平成13年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(藤原泰次郎君) 自由民主クラブの藤原泰次郎でございます。
 登壇の機会を与えていただきましたことに深く感謝を申し上げ、通告に従い順次質問させていただきます。
 まず、県政運営について増田知事にお伺いいたします。
 知事は、平成11年4月に70万票近い圧倒的な支持と県民の大きな期待を背景に、第2期目の県政運営のスタートを切ったのであります。時はまさに20世紀から21世紀に移ろうとしている時代の大きな転換期でありました。20世紀の最後の知事として、また、21世紀の最初の知事として県政を担うこととなったのでありますが、今、我が国は、戦後の発展を支えてきた経済社会システムが複雑化し、極めて難しい時代に直面しております。こうした情勢の中、知事は、2期目のスタートに当たり、20世紀と21世紀のかけ橋となる4年間を変革と創造の4年間と位置づけ、その決意を宮澤賢治の詩の一節を引用し、表明しております。「諸君はこの時代に強いられ率ゐられている奴隷のやうに忍従することを欲するか むしろ諸君よ 更にあらたな正しい時代をつくれ 宇宙は絶えずわれらに依って変化する」、賢治は、当時の盛岡中学校交友会雑誌に寄稿した詩の中でこう呼びかけておりますが、私は、これは知事の県政運営に当たっての強い決意に通ずるものと受けとめております。県民の大きな期待と知事の強い決意によってスタートした2期目の県政も前半の2年が過ぎ、後半の2年目に入ったわけでありますが、知事は、これまでの2年間をどのように評価しているのか、また、その評価の上に立って、これからの県政をどのように運営していこうとしているのかお示し願います。
 次に、知的障害者福祉の推進についてお伺いいたします。
 県では、本年3月、健康安心・福祉社会の実現を目指し、ノーマライゼーションとリハビリテーションの推進を理念に岩手県障害者プランを策定されました。このプランでは、広域生活圏ごとの相談・支援体制の整備や数値目標を掲げたサービス提供基盤の整備、社会参加と就労へのシナリオが示されているなど、障害者保健福祉の充実に向けた方策が具体的に示されており、障害がある人もない人も、ともに地域で生きがいを持って生活できる社会の実現のため、すべての県民がこのプラン推進に積極的に参加することを望むものであります。
 さて、障害者プランによりますと、本県の18歳以上の知的障害者は約5、500人で、そのうちの約3、900人が地域で生活しておられます。これらの方々の中には企業に雇用されて働いている方も多数おられますが、個々の障害の状況によっては、福祉作業所や通所授産施設でのいわゆる福祉的就労を行っている方々も少なくありません。福祉作業所については、障害者の親の会などが運営し、予算の確保や利用者の障害の重度・重複化への対応など大変な御苦労をいただいているところであります。また、地域で生活していても、親が高齢化するなど、将来に不安を感じている御家族も少なくありません。県ではこれまで施設整備を計画的に推進してこられましたが、新しい施設ができてもすぐに満杯となり、必要なときが来たらいつでも安心して入所利用できるという状況にはいまだ至っておりません。
 そこでお伺いしますが、在宅知的障害者の福祉的就労の場として重要な役割を果たしている福祉作業所について、県では今後どのように支援されるのでありましょうか。
 また、福祉的就労の場を確保する観点などから、福祉作業所や、近年、県内各地に整備されている通所授産施設については障害の種別を越えた有効活用が必要と思われますが、この点いかがお考えでしょうか。
 さらに、親亡き後の不安を解消するため、今後とも入所施設の整備が必要との声も地域では聞かれますが、どのような方針で臨まれるか、基本的な考えをお伺いいたします。
 次に、県内中小企業の経営安定に向けた支援策についてお伺いいたします。
 我が国経済は、90年代以降長期にわたって低迷を続けており、この間の政府の相次ぐ景気対策にもかかわらず、その回復には至っていないところであります。
 さて、去る9月13日に内閣府が発表いたしました月例経済報告においては景気は引き続き悪化しているとの判断が示されており、依然として国内の設備投資は減少基調にあり、また、民需の柱である個人消費も雇用環境の悪化から回復が見込めない状況下にあります。このように、景気の停滞が一層深刻化する中、全国的に企業倒産が増加してきており、県内企業の倒産件数も、平成11年は117件、平成12年は118件、さらにことしに入ってからも増加傾向を示しており、事業継続の危機に立たされている企業も数多いのではないかと私は非常に憂慮しているところであります。
 小泉内閣は、構造改革なくして景気回復なしの方針のもと、経済、財政、行政等の幅広い分野で構造改革を断行するとしており、さきの月例経済報告においても、構造改革を強力かつ迅速に遂行するため、先行して決定、実施すべき施策を改革先行プログラムとして取りまとめ、平成13年度補正予算を編成するとしているところであります。
 私は、21世紀の新しい日本社会を創造していくためには、社会経済の構造改革は避けて通れない課題であると考えております。しかしながら、個人消費の伸び悩みや株価の低迷など厳しい経済情勢の中で、構造改革が進められることにより、中小企業の経営は一時的とは言われますがさらに厳しい状況となることが予想されることも事実であります。中小企業の倒産がさらに増加した場合、地域経済や雇用にとって致命的な事態に陥ることも懸念されるところであり、県内中小企業が事業の継続に支障を来すことのないよう、適切な支援策を講じていく必要があると考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、長引く不況の中で厳しい経営を強いられている県内中小企業の経営の安定に向け、県としてどのような支援策を講じられているかお示し願いたいと思います。
 次に、農業政策についてでありますが、初めに、野菜の振興策についてお伺いいたします。
 昨今、セーフガードの暫定発動、さらには、これに続く本発動に関する記事が連日のように新聞紙上をにぎわしております。私は、この農産物の輸入問題は、自由貿易を前提としたWTOの国際協定が締結されている状況下ではやむを得ないものと思っておりますが、その一方では、我が国の農畜産物の流通価格が国際的に見て飛び抜けて高い現状の中では、今後も日本をねらった輸出攻勢がさらに強まるのではないかと危惧するものであります。
 過日、農協関係者との意見交換の場に出席させていただきましたが、この席上におきましても野菜の輸入問題が大きく取り上げられ、野菜生産者の多くが将来の農業経営に大きな不安を抱いているとのことでありました。今、県内農業者の多くは、米価の低迷と米の生産調整のたび重なる拡大により経営的に非常に厳しい状況にありますが、これに加え、価格の安い輸入野菜の増加は、農家経営をさらに圧迫するのではないかと思うのであります。
 県では、本県農業の推進方向として、米、園芸、畜産の三本柱を基幹とし、農業所得の向上を図ることとしており、とりわけ野菜については所得拡大の切り札として生産振興を図ることとしておりますが、聞くところによりますと、本県の野菜生産は面積的にも伸び悩んでいると伺っており、また、輸入野菜の急増など現下の情勢を踏まえると甚だ心もとない状況にあるのではないかと考えております。
 そこでお伺いします。県は、この厳しい現実の中で、本県野菜生産の再生シナリオをどう描き、将来展望を見出せる野菜の振興策をどう講じようとしているのかお伺いいたします。
 次に、県産小麦の振興と学校給食への利用についてお伺いいたします。
 国では、食料自給率の向上や水田を中心とした土地利用型農業の活性化に向けて、麦、大豆等の本格的生産の定着、拡大を図っているところでありますが、本県における13年産小麦の作付面積は2、630ヘクタールで、特にも水田への作付面積が大幅に増加していると聞いております。私は、小麦は土地利用型作物として重要な作物で、本県の水田農業を考えた場合には欠くことのできない作物であると思っておりますが、全国的に生産量が増加している状況の中で、実需者の要望に応じた品質のよい小麦を生産することが何よりも消費の拡大につながるものと思っております。
 本県の小麦品種はナンブコムギが主力であり、その多くはめん用として利用されておりますが、今後、より一層の消費拡大に向けて、ナンブコムギのさらなる品質向上とともに、パン用に適した新品種の開発も必要ではないでしょうか、御所見をお聞かせ願います。
 また、ナンブコムギの学校給食パンへの利用についてお伺いいたします。現在、県内の学校給食におけるパン用の小麦粉については、日本体育学校健康センターが外麦で製粉した小麦粉を一括購入し、国庫補助を活用して都道府県学校給食会に全国統一価格で売り渡しており、また、県学校給食会は、日本体育学校健康センターから買い受けた小麦で作成したパンを県内各学校に供給しております。しかしながら、平成14年度からはこの国庫補助が廃止されるため、各県の学校給食会は日本体育学校健康センターからの一括購入をやめ、独自のルートで小麦粉を購入することと決定されていると聞いております。それだけに、県産小麦の利用については、知事が主唱する地産地消の観点から、県を初め、関係各団体の積極的な対応が求められていると考えるのであります。
 そこでお尋ねいたしますが、県は、ナンブコムギの学校給食への利用拡大を図るためどのような取り組みをする考えなのか、県教育委員会等との連携状況も含めてお伺いいたします。
 次に、道路の整備に関するプログラムの進捗状況についてお伺いいたします。
 県では、新しい総合計画において、多様な広域ゾーンの相互連携を図り、圏域の持つ力をうまく引き出すことにより、地域の新たな可能性を開き、さまざまな価値の創造を図っていくという広域的視点に立った地域デザインの重要性を強調しております。この実現のためには、多様な交流・連携を促進し、元気で魅力ある地域の形成を図ることが不可欠でありますが、とりわけ重要なことは、これらを支える社会基盤──道路の整備であると認識しております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、地域や市町村の要望で最も多いのもさまざまな道路整備であり、地域社会が目指すべき将来像の実現を支え、ひいては総合計画の目的を達成するためにも、計画的な道路整備の促進を図ることは県政の最重要課題であると考えるのであります。しかし、政府においては、平成14年度予算の編成に向け、公共事業の10%削減や道路特定財源の使途の拡大などを検討しており、道路整備に係る財政環境は一層の厳しさを増していると言わざるを得ないのであります。
 このような状況下ではありますが、本県の道路整備はまだまだ不十分であり、高速交通ネットワークを形成する規格の高い道路から市町村道などの生活道路まで体系的な整備を図り、均衡ある県土を構築していくことこそが県民の熱望であると承知しているところであります。県では、計画的な道路整備の推進を図るため、平成11年8月に道路の整備に関するプログラムを策定、公表し、平成19年度までに整備を進める主要な箇所を明らかにいたしました。私は、このことは、県民への情報提供や事業の透明化を図る観点から高く評価しているところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、策定時に比し財政状況が厳しくなってきていると考えられる中で、当該プログラムに位置づけられた整備箇所は計画どおり進められているのでしょうか。また、平成14年度以降の進捗についてはどのような見通しをお持ちなのかあわせてお示し願いたいと思います。
 次に、県財政の今後の見通しについてお伺いいたします。
 平成13年度一般会計当初予算におきましては、総額9、027億円余のうち、人件費、扶助費及び公債費のいわゆる義務的経費の割合は40.8%を占め、前年度と比較し3.9%の増加となっております。中でも県債の償還を行う公債費は1、221億円に上り、その伸びは実に12.1%と、13年度地方財政計画で示された地方公共団体全体の伸び率5.7%を大きく上回る伸び率となっております。2年前の平成11年度当初予算と比較してみても、当時の公債費は981億円余で、わずか2カ年で240億円も増加しております。このような公債費の急激な伸びは、今後の県財政の運営に対して大きな影響を及ぼすものとの懸念を抱かざるを得ません。
 そこで総務部長にお伺いしますが、14年度当初予算を含めた公債費の今後数年の見通しはどうなっているでしょうか、お示し願いたいと思います。
 昨今のような厳しい財政状況では、公債費などの義務的経費の増加による投資的経費への悪影響も懸念されてまいります。本県の社会資本整備の状況をかんがみても、まだまだ全国に比べ立ちおくれている印象は否めません。私は、引き続き良質な社会資本の整備を行い、県民の福祉の向上が行われるべきものと考えております。しかし、残念なことに、13年度当初予算の投資的経費はマイナス5.4%となっております。このような財政状況のもと、大幅に伸ばせとは申せませんが、せめて12年度当初予算並みの投資額を確保して社会資本整備を進める必要があるものと思うのでございます。この時期、国の動向が定まらず、県当局においてもまだ御検討中のことと拝察しますが、来る14年度当初予算編成に向けて、投資的経費、特に普通建設事業については今の時点でどのような見通しを持っておられるのでしょうか。先ほどお尋ねした公債費の対応とあわせて、所感でも結構ですので総務部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、医療問題についてお伺いいたします。
 まず、遠隔医療の推進についてでありますが、近年の情報処理や情報通信の分野における技術革新は、さまざまな社会活動を時間と空間の制約から解放するとともに、情報の高度利用による新しいサービスを生み出すなど、県民の暮らしにも新しい可能性をもたらすものと期待されております。
 このような中で、県では、県内どこからでも格差なく公共サービスが受けられる情報通信基盤として、昨年12月からいわて情報ハイウェイの運用を開始しているところであります。県民は、このネットワークのメリットを直接享受できる分野として遠隔医療への活用を期待しているところであります。特に本県では、県北・沿岸地域に多くの医師不足地域を抱えるなど、地域における医療サービスの格差是正が大きな課題となっているところであり、遠隔医療の積極的な推進を図るべきであると考えます。
 県では、今年度、一部の地域、具体的には久慈、大船渡の中核的病院や大学との間でいわて情報ハイウェイを利用した遠隔医療のネットワークシステムを整備されていると聞いておりますが、その具体的な内容と運用に当たっての基本的な考え方をお伺いいたします。
 あわせて、これまで宮古地域や久慈地域において取り組んでいる遠隔リハビリテーション支援システムの利用状況についてもお伺いいたします。
 また、これに関連いたしまして、医療先進国からの国際遠隔診療支援についてでありますが、去る6月に、世界でも有数の医学部と医療機関を有する米国のデューク大学と県及び岩手医科大学が基本合意を締結し、9月からデューク大学の遠隔診療支援を受けると聞いておりますが、この遠隔診療支援によってどのような効果が期待されるのかお伺いいたします。
 次に、県立病院の施設整備計画の進捗状況及び花巻厚生病院と北上病院の統合整備についてお伺いいたします。
 医療局は、平成12年2月に、11年度から22年度までの10カ年を計画期間とするまごころと科学でささえる医療をめざした岩手県立病院等長期経営計画を策定したところであります。この長期経営計画は、高齢化の進展や医学の進歩、疾病構造の変化などによる医療ニーズの多様化や経済構造の変化、さらには医療提供体制の変革など医療を取り巻く環境の変化が著しい中で、県営医療システム全般にわたる構造的な改革を目指したものであると聞いております。地域住民の県立病院に寄せる期待には大変大きいものがありますので、県民医療の充実のためにぜひ計画どおり進めていただきたいと願っているところであります。
 この長期計画では、医療提供システムの整備などとともに、建物の老朽・狭隘化や災害対策医療ニーズの動向などに対応した病院施設整備計画が大きな柱となっておりますが、ここに示された病院施設整備は計画どおり進んでおりますでしょうか、今後の見通しとあわせてお伺いいたします。
 また、この整備計画に盛り込まれている花巻厚生病院と北上病院について、医療局では、岩手中部圏域における高度医療提供体制の充実を目指して統合整備する方向で検討を進めているということでありますが、どのような考え方で統合整備されようとしているのでしょうか。また、地域住民のメリットとしてはどのようなことがあるのかお示し願いたいと思います。あわせて、今後のスケジュールについてお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 初めに、県立高等学校新整備計画についてでありますが、県教育委員会が平成12年1月に公表した計画によりますと、本県のこれからの高校教育を推進するため、生徒の希望をできるだけ尊重すること、新しいタイプの高等学校を順次整備していくことなどがうたわれているところであり、計画策定以来、地域との話し合いを深めながら着実に推進しておられることに改めて敬意を表するものであります。
 計画によりますと、平成14年度には紫波高校、一戸高校に総合学科を導入、千厩高校と千厩東高校を統合、花巻南高校に総合選択制を導入することとされ、千厩の統合する高校と花巻南高校につきましては計画どおりの準備が進んでいると聞き及んでいるところであります。
 紫波高校、一戸高校の総合学科導入については地域の理解が十分には進まない状況もあったものと承知しているところでありますが、今般、紫波町においては総合学科の導入に理解を示し、校舎等施設設備の整備後に導入すること等の要望書を教育長に提出したところであります。県教育委員会は、この要望をも含め、今後どのように進めていかれるのかお考えをお伺いいたします。
 また、一戸町にあっても、これまでの反対姿勢から受け入れの方針と報道されたところでありますが、今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に、学校における子供たちの安全確保についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、去る6月に大阪教育大学附属池田小学校で発生した児童殺傷事件は、教育現場を初め、各方面に極めて大きな衝撃を与えたのであります。特に、いまだに心の傷がいえないと聞きます池田小学校の子供たちや保護者、教職員の方々などの心情を考えますと、改めてこの事件の悲惨さに言葉では言いあらわすことのできない心の痛みを感ずるところであります。
 この事件は、最も安全な場所であるはずの学校にいとも簡単に不審者が侵入し、23人もの子供たちや教職員を殺傷するという信じられない重大な事件であると認識しております。学校は、保護者から大切な子供たちを預かり、教育する場であり、子供たちが安心して学ぶことができる場でなければならないことは改めて申し上げるまでもありません。最近、世の中では残虐な事件が相次ぎ、社会全体としてこうした卑劣な行為を断じて許さない取り組みが必要であると強く感じているところでありますが、子供たちの安全確保についても、各学校の設置者はもとより、学校、家庭、地域社会や関係機関が一体となり、全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。
 そこでお伺いしますが、今回の事件発生以降、県においてはどのような取り組みを行ってきたのかお示し願いたいと思います。
 次に、地域の安全対策についてお伺いいたします。
 まず、県民の身近なところで発生している犯罪と、その抑止対策についてであります。全国における本年上半期の犯罪情勢は、刑法犯の認知件数が128万件で、昨年同期に比べて17万件もふえ、過去最悪とのことであり、県内での犯罪も増加傾向とのことであります。本県におきましても、来日外国人犯罪グループによる強盗やピッキング使用による犯罪、少年の集団による悪質粗暴な事案、ストーカー犯罪、さらには不正アクセス行為やネット利用犯罪等のハイテク犯罪等が全国的な流れを反映してふえてきているようであります。これら犯罪の質的変化は、国際化の進展や少年を取り巻く環境の悪化、さらにはパソコンや携帯電話の普及などによるものではないかと推測されるところであります。
 このような中で、犯罪予防活動として県民挙げて社会を明るくする運動を展開しており、また、県警察では、3年前から自転車の盗みや万引きなど、身近で発生し、しかも発生件数の多い犯罪の総量を抑制しようと、地域安全の一環としてスリークライム・プラス・ワン作戦を展開中であると承知しております。県民にとって身近な犯罪こそ地域住民と警察とが力を合わせて、犯罪を発生させない、被害者を出さないための未然防止対策をより積極的に推進し、県民が安全で安心して暮らせる県土づくりが極めて大事であると考えるのであります。
 そこでお伺いしますが、県民にとって身近な犯罪の発生状況はどのようになっているのでしょうか。また、その未然防止対策としてどのようなことを推進されているのかお聞かせ願います。
 次に、交通安全対策についてお伺いします。
 地域の安全確保には、交通事故防止対策も極めて重要であります。県内の交通死亡事故発生状況を見ると非常に厳しい状況にあり、9月3日には岩手県交通安全対策協議会長である増田知事により交通事故非常事態宣言が発令され、また、21日からは秋の全国交通安全運動が実施されるなど、県民一体となって交通事故抑止活動を展開しているところであります。
 交通事故の防止には、県民一人一人の交通安全意識の向上と交通安全施設の整備が必要不可欠であります。
 そこでお伺いしますが、県民の交通安全意識の向上方策と交通安全施設、特に交通信号機の設置について、地域の要望をどのように把握し、それをどのように反映させているのか、県警察の取組状況についてお聞かせ願います。
 以上で私の一般質問を終了させていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 藤原泰次郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、知事就任2期目の県政運営でございますが、県民本位の地方分権型システムというものを構築するために、岩手県総合計画の中に、新しい時代に対応した県行政の基本姿勢として四つの方針を掲げております。県民への情報公開や説明責任の徹底など、県民と行政が互いの信頼関係のもとに進めるという県民と共にというこの方針、これが一つ目でございます。それから、県民意識調査や県政懇談会などを通じて把握した住民の生活実感を大切にする、これは生活者視点ということで言っております。さらに、市町村や地方振興局といったところの機能強化など、現場を重視するという地域の視点。四つ目は、社会環境の急激な変化に的確、迅速に対応するという機動性や柔軟性ということでございます。この四つの方針に基づいて、今まで県政を運営してきたところでございます。
 今後ますます地方分権の流れを進めていかなければならないと考えておりますが、こうした中では、私たち一人一人が自己決定・自己責任の原則を強く心に刻みながら地域づくりに取り組むことが一層重要になってきていると思います。
 このような考え方のもとで、引き続き、先ほど申し上げました生活者主権、地域主権の社会を見据えたこの行政システムの確立を目指していきたいと思っておりますし、政策評価を徹底して、とにかく施策を重点化していく、めり張りをつけて、これから予想される限られた資源を有効に活用して、県民にとって少しでも満足度の高くなるような行政サービスの提供に努めていきたい。
 それから、国の構造改革、先ほど議員もお話になっておりましたが、そうした国の構造改革が今まさしく進められているわけでございますが、こういう今こそ、地方自治のあるべき姿に近づけるチャンスというふうにこれをとらえて、そして国と地方の関係や県、市町村の行財政システムを真に分権型社会にふさわしい仕組みにつくり上げて、21世紀の新しい岩手づくりのために、今後とも全力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。
 次に、中小企業への経営安定支援策ですが、経済環境が大きく変化する中で、中小企業はその強みは何かと言えば、やはり機動性、それから柔軟性、創造性であるというふうに思いますし、これらを発揮していくことが求められているわけであります。県は、このような意欲を持って経営の革新に取り組む中小企業を支援していく考えでございます。
 このため、新しい技術や新しい商品の開発などを通じて新たな事業を開拓して経営の革新に取り組む、そうした中小企業に対して、中小企業経営革新支援法などに基づく助成や低利融資、こうしたものを行っていく。それから、経営上・技術上の課題に対応して、経営コンサルタントなどの派遣や共同研究、技術相談などの支援を行っているところでございます。
 また、経営革新研修の開催やIT活用促進セミナーの開催などを通じて、中小企業の経営者サイドの意識啓発や新しい経営システムの導入をこうした人たちに促しているところでございます。
 一方で、中小企業のセーフティネットについては、国の信用保証制度の拡充に加えまして、県としても、中小企業経営安定資金について、一般貸付、そして連鎖倒産防止のための貸付けの限度額を引き上げるなど、拡充を図ってきているところでございます。
 また、倒産などを防止するために、商工会議所に相談室を設置して、適した弁護士や公認会計士さんなどにより、金融や法律上の相談に今応じているところでございます。
 さらに、来月に取りまとめを予定しております県の雇用対策の中で、こうした中小企業に対する支援策のさらなる充実についても検討することとしてございます。こうした支援策を通じて、活力ある中小企業を育成して経営安定に努めていく考えでございます。
 次に、野菜の振興策ですが、本県が我が国の枢要な産地としての地位を築いていくためには、産地の担い手の育成確保を図りながら、一つには、夏季冷涼な気象条件や良質なたい肥を有するといったような本県のすぐれた生産環境を最大限に生かしていくことが重要だと思います。それから、二つ目には、新鮮で安全、安心な野菜を安定的に供給するということ、この二つであるというふうに思っております。
 このため、まず生産面では徹底した土づくりを進めていく考えでございますし、収穫・出荷調製作業を大幅に低減できる省力機械や低コストで高い強度を持つハウスなど、近年開発が進んできているいわゆるコスト低減技術を導入する、経営能力にすぐれた生産者を育成したいと考えております。
 流通面でも、通いコンテナなど、新しい流通方式の導入を図るほか、現在行っております市場流通に代表される多段階流通の検証をよく行って、生産者、消費者双方にとってこれまで以上にメリットを生み出すことができる流通の仕組みづくりに取り組むこととしております。
 それから、今年度から国の野菜振興対策の一環として、意欲のある産地みずからが生産コストの低減や契約取引の推進、付加価値の向上など、輸入野菜に対抗できる産地強化のための地域計画というものを策定することとしております。
 県では、こうした産地が担い手を核として信頼される野菜団地を形成するなど、産地の構造改革に一丸となって取り組む、そのような地域を重点的に支援していきたいと考えております。
 こうした取り組みを通じて、本県の気象特性が一番発揮されるのは7月から9月でございますが、こうした7月から9月を主体に、現在、市場占有率が全国上位に位置しておりますピーマンやホウレンソウに加えて、さらにキュウリ、トマト、キャベツ、こうしたものの生産を拡大して、全国トップレベルのいろいろな品目がそろっている夏秋野菜の産地づくりを進めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、福祉作業所に対する支援についてでありますが、県においては、福祉作業所の運営基盤の確立を支援するため、平成11年度から県独自の事業として障害者福祉作業所活性化事業費補助を行い、県障害者作業所連絡協議会において、製品のカタログ作成や経営指導などを実施することにより、福祉作業所における障害者1人当たりの平均受取工賃の増額等に具体的な効果が見られたほか、今年度厚い職員配置が可能となるよう、運営費補助基準額の改善を行ったところであります。
 今後とも、福祉作業所については、岩手県障害者プランに基づき整備の促進と運営の活性化を図るとともに、一定の要件を満たす福祉作業所については、通所授産施設への転換を促すなど、必要な支援を行うこととしております。
 次に、福祉作業所及び通所授産施設の有効活用についてでありますが、県としては、通所授産施設については定員の一定割合の範囲で、福祉作業所については制限を設けないで相互利用を進めているところであり、今後とも障害者の方々にとって身近な地域で働く場が確保できるよう、施設における相互利用を促進してまいりたいと考えております。
 次に、知的障害者の入所施設についてでありますが、県においては、障害者にとって安心のある地域生活を確保できるよう、ノーマライゼーションの理念等を踏まえて、本年3月に策定した岩手県障害者プランに基づき、グループホーム等の在宅サービス提供体制や福祉作業所、授産施設等の福祉的就労の場の整備などを進めているところであります。
 また、障害者が重度化、重複化した場合に対応できる体制が確保できるよう、入所施設の機能強化を図っていくこととしているところであります。
 今後におきましても、障害者個々人にとってふさわしい自立した生活が確保できるよう、支援体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
 次に、遠隔医療の推進についてでありますが、いわて情報ハイウェイを活用した遠隔医療ネットワークシステムについては、広大な県土による時間と距離の壁や医師確保の困難さなどを克服するため、情報通信技術を活用して、医療水準の向上とその格差是正や利用者の利便性の向上等を目指し、救命救急センターを有する岩手医科大学、県立久慈病院及び県立大船渡病院相互に、リアルタイムで画像を伝送し、重症患者の診断や手術指導を行う高度救急医療支援を目的としたシステムなど、平成14年度から一部実施、運用することとしております。
 また、遠隔リハビリテーション支援システムについては、地域リハビリテーションの充実を図る観点から、いわてリハビリテーションセンターと宮古市総合福祉センター及び久慈市保健センターとを結び、モデル的におおむね月2回、動画による遠隔地間でのリハビリテーションの指導、相談等に活用されており、その実施に当たっての問題点や効果等を検証しているところであります。
 さらに、デューク大学による遠隔診療支援については、このような海外との大学連携は国内でも初めての取り組みでありますが、本県のがん疾患や循環器疾患の死亡率が高いことから、特にこの分野において世界的にすぐれた医療技術を有する同大学から、岩手医科大学に対し診断や治療方法に関する助言等を受け、これらの治療等の結果を公表することによって、本県医療水準の一層の向上を図ることとしております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、県産小麦の振興についてでありますが、県内各地で作付が拡大しているナンブコムギの品質向上には、何よりも基本技術の徹底が重要であると考えております。特にも水田利用では、湿害による生育不良が品質低下を招いていることから、排水対策を十分に行うよう指導しているところであります。
 さらに、実需者が求める加工に適したたんぱく質含有量やでん粉粘度を確保するため、入念な土づくりや適正施肥など、栽培管理の指導を行っているところであります。
 また、パン用小麦の新品種開発につきましては、国の東北農業研究センターが育成した東北214号が、ナンブコムギに比べ単位当たり収量が多い上、赤さび病などの病害にも強い、さらには、パンに加工した場合の色や香り、食味にすぐれていることから、非常に有望な品種と考えておりまして、この実用化に向けて、国との連携のもとに県の農業研究センターが栽培適応性試験を実施しておりまして、あわせて県工業技術センターにおきましては、パンとしての加工適性試験を現在行っているところであります。
 なお、国におきましては、この東北214号について、平成14年にも品種登録申請の見込みと伺っております。
 本県におきましても、奨励品種の採用に向けて、引き続き栽培適応性試験を重ねてまいる考えであります。
 次に、ナンブコムギの学校給食への利用についてでありますが、学校給食における県産農林水産物の利用拡大については、いわて地産地消推進運動の大きな柱として位置づけているところであり、とりわけ自給率向上等の観点から、生産振興を図っているこの小麦についても積極的に取り組むことが重要だと考えております。
 また、御指摘のありました平成14年度からの学校給食用の小麦粉の供給ルートの変更は、県産小麦の消費拡大を図る上で大変よい機会としてとらえております。
 こうしたことから、県といたしましては、これまでのうどんやひっつみなどの原料利用に加え、関係業界等との連携のもとに、ナンブコムギのパン利用の促進に向けて取り組んでいるところであります。
 さらに、県の教育委員会や栄養士協議会など、学校給食関係者から御意見をお聞きしながら、学校給食におけるナンブコムギを含む県産農林水産物の利用推進に係る基本方向を現在取りまとめているところであります。今後は、この基本方向に沿って、県の教育委員会、あるいは市町村の教育委員会などとの強い連携のもとに、県産小麦の利用拡大に努めてまいる考えであります。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) 道路の整備に関するプログラムの推進状況についてでありますが、平成14年度までの前期計画で予定しております事業のうち、新規着手箇所が43カ所の計画に対して、今年度末で32カ所に着手し、その達成率は計画の74.4%、また完成箇所は、53カ所の計画に対して35カ所で66%の達成率を見込んでおります。
 平成14年度以降の見通しにつきましては、国や県の財政環境が厳しくなっておりますことや、道路ストックの増大に伴って改築系の事業費から維持管理費へのシフトの必要性も生じておりまして、前期計画の推進状況が若干おくれぎみとなっておりますことから、平成15年度以降の後期計画を含めまして、当初の計画どおりの事業推進は厳しい状況になっております。
 この道路の整備に関するプログラムの前期計画が平成14年度までとなっておりますことから、これの見直しも必要と考えておりまして、昨今の財政環境等を十分に踏まえながら、県として優先すべき道路事業をさらに厳選いたしまして、県土軸やこれを補完する道路の整備により重点的に取り組んでまいりますとともに、道路予算の確保につきましても、関係方面に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 県財政の見通しについてでありますが、まず、公債費につきましては、平成4年度以降の国の経済対策等に対応した補正予算債や地方財源不足対策としての財源対策債、県立大学や東北新幹線の整備等に伴う県債の発行等により償還金が増加しており、今後とも増嵩が見込まれております。
 その推移について、今年度発行予定分を含めて試算いたしますと、平成14年度には本年度当初予算額と比較して142億円増の1、363億円程度となり、以降、15年度には1、490億円、16年度には1、580億円程度と見込まれるところであり、今後一層厳しい財政運営が強いられるものと考えております。
 次に、平成14年度予算編成に向けた普通建設事業の見通しについてでありますが、国の概算要求基準におきましては、いわゆる骨太の方針に基づき、歳出全般にわたる徹底した見直しを行うこととし、公共投資関係費については10%削減する一方で、都市再生など重点7分野の施策について重点化を図ることや、道路等の特定財源を見直すこととしておりますことから、社会資本整備がいまだ十分とは言えない本県にとりましては、少なからぬ影響が出ることが予想されるところであります。
 また、本県の来年度予算を取り巻く状況は、歳出においては、先ほど申し上げました公債費の大幅な増嵩に加え、東北新幹線盛岡以北の建設費負担金や並行在来線対策、花巻空港の整備などの大規模プロジェクトがピークを迎える一方、歳入におきましては、その大宗をなす県税と地方交付税などの税財源に係る制度改革の影響が見込まれるなど極めて厳しいものがあり、これまでのように普通建設事業費を確保していくことは難しいものというふうに考えております。
 したがいまして、来年度の予算編成に当たりましては、中期財政見通しをもとに、今後の公債費の状況にも配慮しながら、政策評価制度を通じた施策の重点化による事業の精選と徹底した見直しを行うこととし、特にも公共事業につきましては、効果が早期にあらわれる継続事業を進捗させるため、新規着工箇所は費用対効果分析による優先度を踏まえて厳選するなど、一層の重点化、効率化を図っていく必要があるものと考えております。
   〔医療局長長山洋君登壇〕

〇医療局長(長山洋君) まず、県立病院の施設整備計画の進捗状況についてでありますが、この計画では、当面、平成17年度までの前期7カ年で老朽化した九つの病院の新築整備を盛り込んでいるものであります。このうち既に一戸病院及び大迫病院の新築整備が完了しており、沼宮内病院については14年度、福岡病院については15年度の完成を目指して、現在、工事ないしは設計作業を進めております。
 また、磐井病院及び南光病院については、17年度の完成を目標に用地買収に着手しているほか、山田病院についても、現在、用地の選定作業を進めております。
 個々には多少のおくれがあるものもありますが、関係市町村、関係機関の御理解、御協力により、計画に沿って整備が進められるものと考えております。
 そして、花巻厚生病院及び北上病院の統合整備についてでありますが、岩手中部保健医療圏という広域的な観点から、医療供給体制の充実を図るためには、常勤医師等のマンパワーの集約により高度・特殊医療体制の充実を図ること、盛岡圏域等遠隔地へ入院しなければならない患者さんの負担を軽減すること、小児・周産期医療や二次救急医療のさらなる充実を図ること、また、終末期医療を受けるための緩和ケア病棟を設置することなどが必要であるとの認識に立ち、新たに高度かつ総合的な医療機能を有する病院として、統合整備することが適切であると判断したところであります。
 今後の整備の進め方でありますが、これまで両病院の運営協議会等の場で、これらの考え方について関係市町村、医師会等関係団体から広く御意見をいただいているところであり、これらの意見等を踏まえて早期に基本方針を取りまとめ、花巻、北上両市の推薦された中から速やかに用地を決定した上、平成20年度の開院を目指して用地買収、基本構想の策定、設計、建築工事に順次取り組んでまいります。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) まず、県立高等学校新整備計画についてでありますが、お尋ねのありました紫波高校につきましては、同校の整備に係る検討委員会において、新たな学校づくりについて検討し、先ごろ、人文科学、自然科学、ビジネス経済等七つの系列を設置するなど、総合学科としての基本的方向が取りまとめられたところであります。
 県教育委員会といたしましては、こうした検討委員会の報告を受け、総合学科の導入に向けて、生徒の進路希望を尊重し、大学等上級学校への進学や職業教育の充実を図ることのできる教育内容を用意するとともに、それにふさわしい施設・設備の整備について、現有の施設・設備の有効利用も考慮しながら、地元からの要望の意向等も踏まえ、導入時期を含め検討してまいりたいと考えております。
 また、一戸高校についてでありますが、地域においても中学生やその保護者を対象としたアンケートを実施するなど検討が進められていると承知しているところであり、県教育委員会といたしましても、今後とも御理解を深められるよう、地域との話し合いを重ねながら、適切な導入時期についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、学校における子供たちの安全確保についてでありますが、本年6月に大阪府で発生した児童殺傷事件を踏まえ、県教育委員会では、直ちに学校の安全管理について緊急再点検を実施したほか、8月にも再度一斉点検を行ったところであり、それらの結果を踏まえ、学校への来訪者の確認や不審者対応に関する子供たちへの指導など万全を期すよう、県立学校や市町村教育委員会に対し指導を行ってきたところであり、これを受けて、各市町村においては、学校の状況に応じて防犯カメラの設置や警報ブザーの配布などの措置を講じてきたところであります。
 また、家庭・地域社会との連携を促進するため、県PTA連合会、県警察本部などの関係機関に対する協力要請や学校関係者と警察との連絡協議会の開催などの取り組みを行ってきたほか、県立こまくさ幼稚園において、不審者の進入を防ぐため、門扉の改修を行う予定としております。
 さらに、学校における事件事故の予防、発生時における対応等を定める危機管理マニュアルの年内策定に向け現在準備を進めておりますが、それに先立ち、特に今回のような事件の再発防止を図るため、近々、不審者対策に関する手引を作成し、その徹底を図ることとしております。
 今後におきましても、保護者、地域の関係者、警察等の関係機関との理解と協力を得ながら、子供たちの安全確保に積極的に取り組んでまいる考えであります。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕

〇警察本部長(出原健三君) まず、身近な犯罪の発生状況とその抑止対策についてお答えいたします。
 身近な犯罪とは、一般的に地域住民の皆様が日常生活を送る上で身近に不安や恐怖を感じる犯罪と定義されております。その中でも特に発生件数が多い犯罪として、自転車盗、万引き、車上ねらいが挙げられます。そのため県警察といたしましては、これら三つの犯罪を抑止することを目的とした、いわゆるスリークライム・プラス・ワン作戦を推進し、これら犯罪の総量抑制に取り組んでいるところであります。
 本年8月末現在におけますこれら犯罪の認知件数は、自転車盗が3、246件で前年対比12%増加、万引きは821件で同じく9%増加であり、車上ねらいは824件で同じく1%減少となっております。この三つの犯罪全体では約4、900件であり、昨今の厳しい治安情勢をも反映しまして、前年対比で9%の増加となっているところであります。
 この三つの犯罪だけで全刑法犯の認知件数の約半数を占める情勢でありますので、今後とも犯罪の総量抑制を図るためにも、このスリークライム作戦をさらに強力に推進してまいりたいと考えております。
 また、プラスワンとして、空き巣・忍び込み・事務所荒らしの侵入盗も抑止対象に掲げておりますが、これらにつきましては、本年8月末現在429件の認知であり、前年対比7%の減少となっております。
 身近な犯罪の抑止対策につきましては、第1には、自転車盗を初めとする犯罪の発生状況を踏まえたパトロールなどの警戒活動を強化しております。具体的には、自転車盗難防止モデル地区の設定や、同じくモデル校・モデルストアの指定などによる地域や学校、企業と一体となった警戒活動を推進しております。
 第2には、各地域の防犯ボランティアの方々や自治体を初め関係機関・団体との連携による地域住民の盗難防止意識を高めるための広報啓発活動などを推進しているところであります。
 今後とも、これら施策を強力に推進するとともに、犯罪の徹底検挙に努め、県民の皆様が安全で安心して暮らすことができる県土づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、交通安全対策についてお答えいたします。
 まず、交通安全意識の向上方策についてであります。
 県警察では、本年も交通死亡事故抑止を県警の重点目標に掲げ、各種施策に取り組んでいるところでありますが、県民の交通安全意識の向上方策といたしましては、交通安全教育や広報啓発活動、さらには交通指導取り締まり活動を重点とした活動を行っているところであります。
 特に、交通安全教育につきましては、幼児から高齢者に至る各年齢層を対象に、交通社会への参加実態に応じた参加・体験・実践型の交通安全教育を推進しているところであります。
 本県では、特に高齢者の道路横断中の交通死亡事故が多いため、本年度導入しました高齢歩行者教育システム、これは車両の速度感覚を疑似体験しながら道路横断の危険性を体験・認識していただく装置でありますが、このシステムを県内各地において活用しているほか、高齢運転者適性相談所を設置し、運転適性などについて個別に指導・助言を行うなど、高齢者の事故防止対策を行っているところであります。
 また、交番、駐在所等で発行しておりますミニ広報紙、交番・駐在所速報や関係機関・団体との連携によりますパンフレット、チラシなどの配布、さらには、報道機関の協力による交通事故発生状況を初めとする交通関係情報の提供など、広報啓発活動を積極的に推進することにより、安全意識の向上を図っているところであります。
 次に、交通安全施設、特に、交通信号機の設置についてお答えいたします。
 交通信号機の設置につきましては、各警察署ごとに交通規制対策協議会や交通規制御意見箱、通称トークと呼んでおりますが、この御意見箱を設置し、各市町村や地域住民の皆様の意見、要望の集約を図っているところであります。
 交通規制対策協議会は、市町村、道路管理者及び町内会など、幅広い職域、団体の中から警察署長が委員を委嘱し、交通信号機の設置など、交通規制全般に関する意見や要望をお聞きしているところであります。
 また、交通規制御意見箱は、広く県民の皆様からの交通信号機の設置も含めた交通規制に関する意見、要望を把握するため、警察署や交番、駐在所等に意見箱を設置するとともに、県警のインターネットにも開設しているところであります。
 これらにより寄せられた信号機の設置要望につきましては、要望箇所を管轄する警察署におきまして、現場を確認するなどの調査を行い、その必要性を検討した上で、必要と認めたものにつきましては公安委員会に上申する手続となっております。そして、上申を受けた公安委員会では、道路構造、交通の流れや交通量などの交通実態、学校、病院などの周辺環境、さらには交通事故の発生状況などを総合的に検討しまして、計画的な整備を行っているところであります。
 ちなみに、過去5年間に新設しました信号機の総数は206基でありますが、このうち住民の皆様などからの要望に係る信号機の設置割合は約半数となっております。
 今後とも、地域の皆様の要望を的確に把握し、交通実態に即した信号機の整備に努め、交通の安全と円滑を確保してまいりたいと考えております。
   

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
    午後4時51分 散 会


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