平成13年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(田村誠君) 政和会の田村誠でございます。
 このたび権威ある岩手県議会本会議において、3度目の一般質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員の皆様に、まずもって感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い、地域課題も含め県政全般に関して順次質問してまいりますので、当局の誠意ある御答弁をお願い申し上げます。
 さて、私は質問の機会を与えていただくたびに、県土の均衡ある発展と水産振興について、その都度県当局の取組姿勢についてただしてまいりました。その結果、着実に県政に反映され、成果があらわれてきておりますことに対し、心より感謝申し上げます。
 県内各地では実りの秋を迎え、農家は稲の刈り取りや果物の収穫に忙しく、道の駅など物販施設には、季節の地場産品が所狭しと並べられ、三陸の浜では、連日サンマの水揚げに市場は活気に満ちあふれております。
 しかし、一方で、国の公共事業の削減や地方交付税の見直しが叫ばれ、民間ではITバブルがはじけ、大手企業のリストラが県内の関連企業にも及ぶなど、景気低迷に拍車をかけ、県内の雇用不安を増大させております。
 そこでまず最初に、県政運営姿勢についてお伺いいたします。
 増田知事は、夢県土いわてを県民総参加で実現しようと、みずから広い県土を飛び回り、各種団体、老若男女を問わず精力的に説明責任を果たしながら、県民と対話し、その声に耳を傾け、県政に反映しようとする姿勢に敬意を表するものであります。特にも、近年財政事情が厳しく、スクラップ・アンド・ビルドをしなければ新規事業の着手がままならない中にあって、県民の理解と協力がますます必要となるものと存じます。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、県政を担当して2期目の折り返しに入っておりますが、みずからがつくり上げた県総合計画の推進状況をどのように把握し、前期2年間を振り返って成果をどのように評価しているのでしょうか。また、その評価に従ってどのような取組方針を策定し、今後の県政運営に反映させようとしているのかお尋ねいたします。
 あわせて、国は都道府県への交付金や公共事業の見直し、構造改革・都市再生などについてあらゆる場で発言しておりますが、県政への影響をどのように認識されるのか、また今後の対応策をお聞かせいただきたくお願いいたします。
 次に、合併推進への基本的考え方と大船渡・三陸の合併支援策についてお伺いいたします。
 まず最初に、このたびの大船渡市と三陸町の合併申請に至るまでの間、紆余曲折はありましたものの、両市町の首長が中心となって合併が実現されることになり、県御当局の御高配と両市町職員の日夜を分かたぬ迅速な作業処理に対し、地元議員として心からお礼を申し上げます。また、この合併につきましては、県議会の御理解と御指導により、今定例会本会議の冒頭で可決賜りましたことに対し、改めて感謝申し上げます。
 ところで、最近県内におきましても市町村の行政サービスを維持・向上させていくため、合併による新しいまちづくりに向けた論議が高まってきておりますが、合併には地域住民の合意形成、将来のまちづくり構想や手順、タイミング、そして何にも増して首長のリーダーシップが成否を決めるものと、今回の両市町の合併の経過に参加して強く感じております。
 そこで、私は合併推進の立場でお伺いいたしますが、国においても合併に対し積極的な姿勢で新たな支援策を示しており、その具体的な内容も踏まえて、今後の合併推進に向けた県の基本的な考えについてお尋ねいたします。
 次に、大船渡・三陸合併についてお伺いいたします。
 先般、大船渡・三陸の合併協議が無事調印され、県への申請を経て、このほど県から、本県で初めて合併重点支援地域に指定されたところであります。この間、県御当局の助言や御指導が今日の結果に大いに寄与したものと承知しております。
 そこでお伺いいたしますが、大船渡・三陸の合併をどのように評価し、今後の建設計画の着実な実施も含めて、県としてどのように関与し、支援をしていく考えなのかお尋ねいたします。
 また、合併申請とあわせて提出された県への要望事項のうち、特に越喜来と綾里地区間の隘路である小石浜トンネル整備の見通し、三陸町内における県管理の地域間道路の整備、漁業集落排水事業の推進について、今後県としてどのように対応していくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、水産振興についてお伺いいたします。
 水産業は、国民の需要が高い良質なたんぱく質を多く含む水産物を安定的に供給する重要な産業であり、特に本県では、沿岸地域の基幹産業となっております。一方で、わが国の水産業は、新たな国際海洋秩序の導入と定着、漁業生産の減少と自給率の低下、漁業者の減少と高齢化などの課題に直面しております。
 このような中で、本県を初め全国の漁業者が強くその制定を要望していた水産基本法が、本年6月22日に成立したところであります。この基本法は、水産物の安定供給の確保、水産業の健全な発展を基本理念としており、具体的な施策に関しては、資源管理、資源の調査研究、増養殖の推進、漁場・漁港の整備、水産加工と流通等、幅広い施策を総合的に講じることが規定されております。
 そこでお伺いいたしますが、このような水産基本法の基本理念や各種施策と県の水産基本計画との整合性はどのようになっているかお尋ねいたします。
 また、本県の水産業に即して考えましても、水産物の安定確保はもとより、販売力の強化が重要であり、漁場整備、増養殖、資源管理、そして水産加工業対策など一連の流れがきちっとしてこそ、施策の成果が上がるものと考えます。
 そこでお伺いいたしますが、本県の漁場、資源、加工、流通等の水産業の現状がどのような状況にあり、水産基本法の制定を踏まえ、今後このような一連の流れに対していかような施策を講じていくこととしているのか、県の考えをお示し願います。特にも、水産加工業界に関しては、近年弱体化が進んでおり、体質強化と高次加工による商品の付加価値向上等が必要と思われますが、本県水産加工業界の現状をどのように認識し、今後、県としてどのような支援策を講じる考えかお伺いいたします。
 さらに、このような水産施策を講じ、水産振興を図るためには、その基盤となる調査研究が非常に大切であります。県では、水産技術センターを拠点に環境、生産、流通、消費まで幅広い分野の調査研究がなされておりますが、本県に立地する北里大学水産学部の専門分野の活用や連携が有効であると思われますが、それについて県の考え方をお伺いいたします。
 次に、漁港・漁場の整備について伺います。
 水産基本法の成立とともに漁港法が漁港漁場整備法と名前を変え、従来、漁港と漁場で別々に定めていた長期計画を一体化し、漁港・漁場の整備を一つの法律で行うことになりました。資源が生まれ育つ漁場と水産物を水揚げし加工・流通させる拠点となる漁港の連携強化をし、一体的に整備することは、一層の事業効果を発現させ、効率的な事業実施のために重要と考えますが、県として漁港の周辺環境整備も含めて、今後どのように漁場と漁港の整備に取り組む考えかお伺いいたします。
 次に、ワカメ養殖の振興対策について伺います。
 本県の漁業は、サケの種苗放流を初めとするつくり育てる漁業を中心に展開してまいりました。特に、ワカメ養殖は全国の約4割、全国一の生産を上げ、県下の6、103漁業経営体の約4割に当たる2、418経営体が営んでおり、本県の漁業経営を支えております。
 しかしながら、近年の中国産ワカメ等の輸入増加に伴って、昨年、本年と2年続きで価格が暴落し、県内のワカメ養殖漁家は存続の危機に立たされていると言っても過言ではありません。これまで県漁連や漁協等が中心となって検討会を開催し、ワカメ養殖の生き残りに向けた具体的な対策を検討中と聞いておりますが、ワカメ養殖の振興に関し、現在どのような対策が検討され、実施されようとしているのでしょうか。
 私は、このような関係者の取り組みに対し、県が積極的に支援すべきであると考えますが、県としてどのように支援していくお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 また、本県において同じような課題を抱えるホタテ・カキ養殖の現状と今後の振興策について、県としてのお考えをお示し願います。
 次に、魚市場の機能強化についてお伺いいたします。
 本県の魚市場の水揚げ量は、サケ・マス、スルメイカの不漁などにより、平成8年の21万300トンから平成12年には15万700トンへと大きく減少しております。魚市場は基幹的な流通機構として大きな役割を果たしており、地域の流通、加工、運輸等さまざまな関連産業が成り立つなど、沿岸の地域経済にとってなくてはならない存在となっております。
 しかし、一方で現下の我が国周辺水域における資源状況では、今後も国全体の漁獲量の大幅な増加は期待できないことから、魚市場としても、ハセップ化による衛生管理の向上のほか、水産物のみならず魚菜市場として機能を付加、水産情報の発信基地、広く観光客や一般市民が気軽に利用できる場とするなどにより、他市場との差別化を図り、市場としての競争力を持つことがその維持・発展のために重要であると考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県として魚市場のハセップ化のほか、その他の機能強化について、今後どのように取り組んでいくお考えなのかお尋ねいたします。
 次に、担い手対策に配慮した漁業許可の見直しについてお伺いいたします。
 本県の漁業就業者は、昭和53年に実施した第6次漁業センサスでは2万843人でありましたが、平成11年には1万2、180人と6割以下に減少しております。この内訳を男子で見てみますと、特に次世代漁業を担う39歳以下の就業者が、昭和53年の6、370人に対して、平成11年には1、580人と4分の1以下に減少しています。県は、Uターンなどの漁業就業希望者に対し、情報提供や相談窓口の設置など対策を講じてきておりますが、後継者の確保に当たっては、まず、やる気のある担い手が漁業を開始できることが必要であります。
 一方で、現在の漁業許可は新規に許可を取得することが困難となっているとの指摘もなされております。資源管理の重要性は言うまでもありませんが、これに支障のない範囲であれば、やる気のある担い手に新規に許可を与えることも必要であると思われます。
 そこでお伺いいたしますが、漁業許可のあり方について、次世代を担う担い手が漁業を開始しやすいような見直しが必要と考えますが、新規許可の取り扱いをどのように考えておられるかお尋ねいたします。
 次に、高齢者福祉と難病支援対策についてお伺いいたします。
 長寿国日本が高齢化社会の対策に鋭意取り組み、介護を国民皆でお互い支え合おうと介護保険制度を導入して1年余りが経過いたしました。しかし、今日ますます高齢化が進み、平成12年度に実施した国勢調査の速報によると、核家族や高齢者家族の数が増加しているため、家庭介護が難しくなってきており、施設への入所待機者も現在800名を超えていると聞いております。
 これと並行して、痴呆性老人は増加の傾向をたどり、施設内での事故も増加しているとの新聞報道もあって、私も痴呆介護に携わった一人として、その実態は大変であるとの観点から、昨年も一般質問でこの問題を取り上げたところであります。関係者によりますと、現在の痴呆介護には、介護される側の人間の尊厳が守られていないとする意見など、まだまだ問題点が多いとの指摘もあり、痴呆性老人問題につきましては、介護家族を含めた総合的研究・研修機関の設置が急務と考えます。
 そこでお伺いいたしますが、痴呆介護の現状をどのように把握し、今後県としてどのような対策を考えているのか、総合的研究・研修機関の設置も含めてお尋ねいたします。
 また、痴呆性老人のケアに大きな効果を上げていると聞いておりますグループホームについて、県はどのように評価し、今後の整備の見通しを含めどのような対応策を講じていく考えなのかお伺いいたします。
 さらに、高齢者対策の一環として、早い時期に建設された老人ホームについて、その現状と課題をどのように把握し、現基準に合致しない施設の建てかえを含めて、どのように改善を図っていく考えかお尋ねいたします。
 次に、難病を抱える方々への支援対策について伺います。
 最近とみにこれらの同じような症状を抱える方々から、将来の生活不安についての相談が多く寄せられ、その都度、保健所や大船渡病院のケースワーカーの心のこもった指導をいただき感謝いたしております。しかし、先日そのうちの1人の方が、将来を嘆きみずからの命を絶ってしまいました。それまでは同じ問題を抱える仲間づくりに保健所の指導を得て積極的に取り組み、ともに助け合っていきたいとしていた矢先のことだけに、大変残念でなりません。
 そこでお伺いいたしますが、県は難病を抱える方々の実態をどのように把握しているのか、生活支援も含めて今後の対策についてお尋ねいたします。
 次に、雇用対策について伺います。
 県内の雇用情勢は、全国的に5%を突破した失業率に見られるように危機的状況にあります。連日マスコミで報道されておりますように、県内においても状況は同様で、大手関連企業の工場閉鎖やリストラ、倒産のほか、景気の低迷や公共事業の1割カットなどが加わって、県内の雇用環境はますます深刻なものとなっております。
 こうした状況から、県としても雇用対策に必死に取り組んでいるようでありますが、その矢先、マイカルの問題が発生し、関係市町村も新たな対策に乗り出さなければならず、どうしても対策が後追いとなっております。期待された情報技術、環境関連など新分野への雇用開拓も大きく期待できず、働く者にとって、日々生活の先行きに強い不安を抱いている状況にあります。
 そこでお伺いいたしますが、県内の求職者数と就職率の状況について、その背景なども含め、県は雇用情勢の実態をどのように把握し、今後いかように対応していく考えかお示し願います。
 2点目として、企業が進出する際は、安い用地の提供があるなど恩恵に浴していながら、経営が厳しくなり、簡単に閉鎖し引き揚げるその姿勢に私は不信を抱かざるを得ないのでありますが、県はこれまでの誘致企業の動向調査についてどのように実施されてきたのでしょうか。
 過日、知事は誘致企業の方々と懇談会を持たれたようでありますが、今後、地元企業として雇用を守り、地域の発展のために企業としての責任を果たしていただくよう申し入れる必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、どうしても撤退せざるを得ない企業については、その跡地利用により新たな雇用創出を図るべきであると考えますが、御所見を賜りたいと思います。
 次に、県内企業の大部分は中小企業であり、地元企業として精いっぱいの努力を続けておりますが、これまた大変厳しい経営実態にあります。突然の解雇、賃金不払い、正規社員からパート・派遣労働者などへの切りかえ等の労働条件の切り下げが行われていることも多く耳にいたしております。このような労働条件では、個人における個別の労使紛争も増加しているのではないかと推察されますが、組織された労働者でさえ厳しい労働環境にある中で、未組織労働者はより厳しい環境下にあると思われます。
 そこで県は、この厳しい環境下にある未組織労働者の雇用実態を踏まえ、どのように対処しているのか、また、今後の地元企業への体質強化についてどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、警察官の増員についてお伺いいたします。
 全国の犯罪情勢を見ますと、刑法犯認知件数が上半期2年連続で100万件を突破し、また、特異・凶悪な事件が続発するなど、治安情勢は一層厳しさを増しているところであります。
 本県におきましても、凶悪事件の増加、少年犯罪の悪質化や来日外国人犯罪の増加、さらには交通死亡事故の多発により、県内全域に交通死亡事故非常事態宣言が発令されるなど、警察を取り巻く情勢は一層深刻化しております。もとより県民の願いは、事件事故に巻き込まれることなく安全に、そして安心して暮らすことであり、街頭に立ち、地域をパトロールする警察官の姿は、県民に大きな安心と信頼感を与えるものであります。
 本県は四国4県に匹敵する広大な県土を有し、警察官1人当たりの面積負担率や人口負担率は全国屈指と伺っており、このような状況の中で真に県民の安全と安心を確保していくことは、さまざまな困難を伴うことであろうと推察するところであります。
 折しも、昨年7月の警察刷新会議からの緊急提言において、増大する国民からの要望やその質的変化に対応するためには、もはや内部努力のみでは限界である、新たな時代の要請に的確にこたえ得るようにその体制を増強すべきであるとの指摘があり、本年度、宮城県を初めとする全国12の県において2、580名の地方警察官が増員されました。
 また、先般8月24日付の新聞報道によりますと、警察庁が5、000人の警察官の増員を来年度の予算の概算要求に盛り込むと報じられております。治安情勢の深刻化が肌で感じられる昨今、安全な生活の確保は、私ども県民にとって重大な関心事であります。
 そこで、出原本部長の警察運営の基本理念である、県民のための警察を実現し、県民の安全と安心を確保するため、本県警察の増員の必要性について県警察としてはどのようにお考えかお伺いいたします。
 最後に、港湾整備の推進状況とポートセールスについてお伺いいたします。
 私ども沿岸地域に在住する者にとりまして、太古の昔から海の恵みにはぐくまれ、今日の、あるいは将来の県勢発展や沿岸地域の発展に海の利活用が大変重要となっております。その今日的課題の一つが、現在県が精力的に進めております港湾整備の促進であり、港湾施設や関連施設の今後の利活用であります。しかし、公共事業の見直しや長引く景気の低迷などにより、ここに来て沿岸地域の発展に将来を危ぶむ声が聞こえ、今後の整備促進を心配しております。
 そこでお伺いいたしますが、本県の拠点港湾として期待されている大船渡港の整備状況とポートセールスの推進状況、そして公共事業の見直しなどによる今後の港湾整備の影響をどのようにとらえ対応されようとしているのか、お尋ねいたします。
 さらに、工業用地造成などの関連事業や現在未着手となっている岸壁の整備についてもお示し願います。
 次に、港湾整備に関連して、港湾の整備と並び重要な内陸部への交通アクセスの整備についてでありますが、物流の拠点として港湾整備が進められましても、陸上輸送の中核となる内陸部との道路整備がこれにおくれることになれば、今後の整備計画にも大きく影響してくるものと思われます。
 そこでお伺いいたしますが、現在建設計画が進められております津付ダムの推進状況と国道397号の整備の見通しについてお伺いいたします。
 また、大船渡港湾の一部供用開始予定の平成18年度までに内陸部への交通アクセス整備を間に合わせる努力も必要と思われますが、県の考え方をあわせてお示し願います。
 最後に、一般国道107号荷沢峠の災害復旧と防災対策についてでありますが、現在崩落している箇所の復旧計画と冬場の凍結防止対策はどのようになっているでしょうか。また、現地には新たな崩落危険箇所もあるように見受けられ、付近を通行するたびに防災対策の必要性を強く感じるところでありますが、県の現状認識と今後の対応策をあわせてお伺いいたします。
 大船渡・三陸の合併が契機となって、沿岸地域の発展と内陸部との交流が一層盛んになり、地域産業、経済・雇用情勢等が今後活性化されることを切に願いながら、以上で私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、総合計画については、その計画に掲げました主要な指標がございますが、その達成状況を基本として、県の進めております施策や事業の効果を評価する政策評価システムを本年度組織再編にあわせて本格的に運用を始めたわけであります。各指標の達成状況につきましては、全体の約6割は順調に推移していますけれども、その一方で、38の指標が平成10年度の基準値を下回っております。その中でも、特に産業分野での指標の進捗に伸び悩みが見られるという状況になっておりまして、この分野については、別に県民意識調査を行っておりますが、その結果でも県民の皆さんの方から厳しい評価と、こういうことになっております。
 このため、こうした政策評価や今後の経済社会情勢の見通しを踏まえて、特に、緊急、そして重要な課題に対応するため8項目から成る平成14年度の施策重点化方針を定めたと、これはきのう御答弁申し上げたとおりでございまして、その中には産業分野、雇用の確保をトップに掲げたわけでございますし、それから、環境首都の実現ですとか地域で支える健やかで安心できる暮らしの実現、こういったものも入れてございます。全部で8項目ですが、こうした重点化方針を定めたところであります。
 来年度の予算編成に当たりましては、この方針で選定した施策を重点的にやると。やはり予算もそういったものに重点化をするという姿勢で臨みたいと思っていますし、今後とも、いずれにしても全体の升は限られておりますので、それを最大限に活用する。その際には、やはり成果が上がっているかどうかという成果主義、そして生活者の視点であるかどうか、また、さらには地域の視点に立っているかどうか、その三つの視点で行います施策の実効性を高めるということで取り組んでいきたいと思っています。
 それから、国の構造改革がこの岩手県政に与える影響ということですけれども、いわゆる骨太の方針に基づいて、それを受けた形で9月21日──1週間ほど前ですが──に改革工程表というものが示されました。これを見てみますと、雇用対策など早急に対応が求められるものや公共投資改革などの推進、それから循環型経済社会の構築、子育て支援など主として14年度予算に係るもの、さらに、制度的な面として、地方交付税の見直しなど地方財政に直接関係する項目も多く含まれていると、こういう状況でございます。私は、国の構造改革そのものは不可避であると思うんですが、そのことがいたずらに都市と地方の対立を招いたり、あるいはいいとこ取りだけされて、単に国の一方的な都合によってそのツケを地方に回すといったようなことが絶対にないようにしなければいけないと思うわけでありまして、こうした改革を進めるに当たって、やはり国との間で我々もちゃんと土俵に上って、十分に論議を重ねることが必要だと、こういうふうに考えております。
 今後、内容について、来年度の予算編成作業を通じてだんだんに具体的な姿、国の考え方というのがより明らかになってくると考えますので、引き続き国のこうした動向をにらんで、必要なことはどしどし発言をしていきたいと考えております。
 次に、合併の考え方と、大船渡市・三陸町合併のいわゆる支援策についてお尋ねがあったんですが、市町村の合併は、地域の将来や住民の皆さんの生活に大きな影響を及ぼすものでありますので、それぞれの地域においてやはり議論を尽くしていただく、その上で、最終的にはそれぞれの人がみずからの問題として自主的に判断するということがこの問題の前提であろうと思います。
 県では、やはり個別の事情がさまざま異なりますので、地方振興局を中心としてシンポジウムや研修会を開催したり啓発資料を作成したりしておりますが、さらに、8月30日に国の方から発表のあった58項目の合併支援プランというものがございますので、この内容、これは全国で一般的に書いてあるので、これを本県に当てはめた検討、しかもそれぞれの、昨年の5月に県の方で示しましたさまざまな市町村の組み合わせというのがあるので、それぞれに沿った形でこの国の示した合併支援プランというのを具体的に当てはめて、これを各市町村に対して情報の提供を今後行っていきたい。合併について積極的な地元の動きなどが見られるようなところについては特に急いでこうしたものを提供していきたい、こんな作業を今やっておりまして、そういったことによって地域での議論がより深められるように支援していきたいと考えております。
 大船渡市と三陸町については、これまでの地域的な結びつきですとか両市町を取り巻く現状などを踏まえた結果、合併の方向を選択されたと思っていますが、これについては、合併推進の立場で積極的に取り組んでこられた皆さん方のみならず、慎重な立場から意見を述べられた方々もおられましたが、こうした方々も含めて、この間の議論にかかわられた多くの皆さんにまず敬意を表したいと思っております。
 今回の合併を今後の新生の大船渡市の真によりよいまちづくりにつなげていくためには、やはり合併後の建設計画を初めとするまちづくりが何よりも大事でありますので、県でもこうした国の合併支援プランというのをできるだけ効果的に活用していきたい。そして、できております建設計画の着実な推進に向けて積極的に支援をしていきたい、こういう姿勢でおります。
 次に、誘致企業の問題でございますが、実は、私は、誘致企業の県内の責任者あるいは本社を訪問して経営者と直接意見交換をする場をできるだけ多く持ちたいと思っておりまして、平成8年度からこれまでにおおよそ150社のそうした人たちと直接会って、誘致企業のサイドから出てくる要望などを伺って、行政としてそれをどういうふうに対応していくのか、支援をしたり協力をしたりということで、そういうサイドでの信頼関係を築き上げていったり、あるいはこちらサイドからは、誘致企業に対して地元企業との取引拡大といったこと、それから従業員の地元採用などについて強く働きかけを行ってきたところでございます。ちょうど今までに150社ほどになっておりますが、誘致企業が地域に根差した企業活動を展開する上でやはりこうした場が重要だと思うので、これからもこのような場を数多くつくっていって直接向こうの方に訴えていきたい、こういうふうに思います。
 また、誘致企業において、こうした現在の経済情勢の変動などによって操業短縮ややむを得ない事態が発生するおそれがある場合には、市町村との工場立地協定が結ばれていますので、この協定に基づいて事前に連絡をいただくということが通例になっているわけですが、県でもこうした際には、当然のことながら地元の方からのそうした場合の要望というのがあるわけですので、その時点で考えられる最も有効な方法で対応するといったようなことできております。
 残念ながら、そうしたことも踏まえて結局は撤退をした企業もあるわけですけれども、そうした企業の跡地利用ということがお話のように重要になってきます。こうした場合には、できるだけ早期に代替企業の導入を図るということが大事でございまして、そうした工場跡地というものが出てまいりましたら、その情報をすぐに全国に流す。インターネットなどの方法で、今はすぐにそうしたことがそういった情報を求める人たちの手元に行くようなネットワークがございますので、そういったところですぐに情報を流すなどして新しい企業の誘致に努めておりますし、それから、地元企業がこうした工場跡地を活用して操業するといったような御要望がある場合ももちろんあるわけで、こうした場合には、事情が個別にさまざま異なってきますので、地方振興局での十分な窓口相談といった段階から、さらには本庁挙げてこういった問題についてしっかりと取り組む必要があると思っていますし、いわて産業振興センターなど支援機関がございますので、そうしたところで計画段階から事業化に至るまで、これはいろいろ手続が必要になってきますし、それから事業化するに際してのいろいろな資金の面での問題もございます。こうした事業化に至るまでのワンストップサービスを、今、展開するようにしてございますので、そういうさまざまなケースに応じたそれぞれの段階での支援に努めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承願います。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) まず、小石浜トンネルの整備見通しについてでありますが、県では、これまで峠部のトンネル化を含めた改良計画の検討を進めてまいりましたが、今年度、トンネル部分を除く越喜来側、延長0.9キロメートルの現道拡幅区間の工区について現地測量と詳細設計に着手したところでございます。
 峠部のトンネル化につきましては、今年度事業化いたしました現道拡幅の工区の進捗状況を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、三陸町内の地域間道路についてでありますが、県道崎浜港線、吉浜上荒川線において、それぞれ浪板地区、根白地区の整備を進めているところでありまして、これらの改良整備を着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に、大船渡港の整備状況についてでありますが、永浜・山口地区におきましては、水深13メートルの岸壁の整備が国の直轄事業として平成18年度の完成を目指して進められております。また、県が整備する水深7.5メートルの岸壁につきましても、その推進に努めてまいります。
 次に、ポートセールスについてでありますが、去る9月20日に東京で開催した企業ネットワークいわて2001におきまして、164社の出席企業に本県の四つの重要港湾のPRを行ったところでございます。今後とも、新たな港湾貨物の掘り起こしに努めますとともに、大船渡港のポートセールスにつきましても、地元市や企業と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、公共事業の見直しによる地方の港湾整備への影響についてでありますが、これは大変厳しい状況にあると認識いたしておりまして、今後とも、国の動向を注視しながら、迅速、適切な対応を心がけますとともに、県におきましても、重点的、計画的な事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、関連事業につきましては、平成9年度から埠頭用地などの造成に着手しておりまして、岸壁工事の進捗に合わせて臨港道路の整備なども進めてまいります。
 また、未着手になっている岸壁につきましては、取扱貨物量の推移を見ながら、投資効果や整備の必要性について検討してまいりたいと考えております。
 次に、津付ダムの進捗状況についてでありますが、現在、平成14年度末を目途に環境影響評価の手続を進めておりまして、これと並行して、地権者の方々の移転先など生活再建対策に関する調査等を行っているところであります。平成14年度末から補償等に関する具体的な話し合いを行うことになりますが、特にも生活再建等につきましては、地権者の皆様方から十分にお話を伺いながら意を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、国道397号の整備についてでありますが、現在、江刺市田原地区から東側の全線にわたって港湾整備のスケジュールと連携をしながら改良、整備に取り組んでいるところでありまして、また、ダムに関連する工区につきましても、つけかえ区間を含めて道路計画の策定を進めているところであります。今後とも、この397号につきましては、港湾整備事業と連携しながら、内陸部とのアクセス機能のより一層の充実強化に取り組んでまいります。
 次に、一般国道107号荷沢峠の災害復旧と防災対策についてでありますが、まず、災害復旧につきましては、国有林野内の工事でありまして、国と岩手県がそれぞれ分担して施行することといたしております。県が実施する道路災害復旧工事につきましては、ことしの4月に応急対策を実施したところでありまして、国の災害復旧のスケジュールと連携を図りながら、平成14年度内の完成を目指してまいります。
 次に、荷沢峠の凍結防止対策につきましては、初期除雪の徹底を図りますとともに、峠部の急勾配、急カーブは、凍結抑制剤散布の重点的実施によりまして路面凍結によるスリップ防止などに努めてまいります。
 次に、荷沢峠周辺の防災対策についてでありますが、住田町側の延長約3キロメートル区間は、対策を要する箇所も含めまして重点的に観察する必要のある斜面が14カ所あると認識いたしております。今後とも、道路パトロールを強化いたしますとともに、異常が見られました場合には緊急に対策を講じてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、大船渡市、三陸町の合併に係る漁業集落排水事業の推進についてでありますが、現在、御案内のとおり、県におきましては、新・全県域汚水適正処理構想に基づきまして、県を挙げて排水処理施設の整備を最重点課題として推進しているところであります。当該地域のこれらの事業につきましても、特にもこのたびの建設計画に盛り込まれていることを踏まえ、今後とも積極的に支援、推進してまいる考えであります。
 次に、水産基本法の理念と岩手県水産業基本計画との整合性についてでありますが、県の水産業基本計画は、その柱として、つくり育てる漁業の推進と資源管理、新鮮で安全な水産物の供給、活力と潤いのある漁村づくりなどの方針を掲げてこの実現に向けての諸施策を講じようとするものでありまして、このことは、水産基本法の理念であります水産物の安定供給及び水産業の健全な発展と同一の基調にあり、本計画との整合性はとれているものと認識いたしております。
 現在、国では基本法に基づく水産基本計画を策定中であり、県としては、国のこの基本計画も踏まえながら、県の水産業基本計画を着実に推進し、我が国における水産物の供給基地としての役割を果たし得るように、水産業の一層の振興に努めてまいります。
 次に、本県水産業の現状と施策についてでありますが、本県の漁業生産量は、昭和61年に39万トンだったものが、イワシ類の大幅な漁獲減や秋サケの不漁などにより、平成12年には20万トンと大きく減少している状況にあります。また、本県の水産加工業の現状につきましても、経営規模が零細で、前浜資源を原料とした低次加工品の比率が高いことから、漁獲減少の影響や安価な輸入加工品との競合により大変厳しい経営環境にあります。
 このため、ヒラメの放流などつくり育てる漁業の推進や加工品コンクールの開催、加工技術の開発などにより、資源の増大、付加価値の高い加工品の開発、ハセップ対応の強化などの諸施策を推進しておりますけれども、今後は、さらに水産基本法の理念を踏まえまして、漁業者と加工業者の連携など、生産から加工・流通まで一貫した取り組みを進めることによりまして、漁業生産地ならではのブランド性の高い加工品開発の促進などに取り組んでまいります。
 次に、北里大学水産学部との連携についてでありますが、当水産学部では、水産分野における幅広い研究を進めており、これまでも本県水産業にとって重要な課題であるホタテガイの貝毒研究とその原因プランクトンの研究、秋サケの回帰動向、年齢査定、イワナの魚病研究、マツカワの種苗生産など、これらについて本県水産試験研究機関と連携して精力的に研究に取り組んでいただいているところであります。
 今後におきましても、本県水産業の振興を図る上で、時代の要請に応じた高度で専門的な調査研究が求められていることから、本県水産試験研究機関と北里大学水産学部との研究開発における連携を一層強めてまいりたいと考えております。
 次に、漁港、漁場の整備についてでありますが、今般、漁港及び漁場を一体的に整備する事業制度が創設されたことから、これに伴い、現在、県におきましては、新しい時代の要請に対応できる漁港漁場整備計画の策定作業を鋭意進めているところであります。
 この新しい計画においては、ソフト施策と連携を図りつつ、新鮮で安全な水産物の安定供給に万全を期すとともに、加えて、自然との共生及び都市・漁村の共生・対流の促進を積極的かつ重点的に推進してまいることといたしております。具体的には、自然環境にも十分配慮しつつ、藻場機能を備えた防波堤や消波機能を備えたアワビ、ウニの増殖場などを計画するとともに、漁業就労環境の改善を図るための防風さく、クレーン、照明施設や、さらには来訪者のためのトイレ、休憩施設などの周辺環境をも総合的に整備する予定としてこの計画に盛り込み、今後とも、より効果的、効率的な漁港と漁場の整備に積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、ワカメ養殖の振興対策についてでありますが、現在、関係団体で組織する検討会において、地元種苗を基本とした品質のよいワカメ生産、新商品の開発、地域ブランド化などを骨子とする構造改革の対策が検討されているところであります。このうち、地元種苗の利用等につきましては、来期に向け、既に取り組みが開始されたところであります。
 県といたしましては、現在実施中の刈り取り機の開発、ワカメ養殖の経営分析に加え、販売対策やブランド化への支援、優良な種苗の開発、加工技術の開発などを行うこととし、関係者と一体となって構造改革を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、ホタテガイとカキの養殖についてでありますが、ホタテガイ養殖は貝毒対策や種苗の安定採苗が、カキ養殖については小型球形ウイルス対策などの衛生管理体制の整備がそれぞれ重要な課題になっております。
 県といたしましては、ホタテガイに関しては、貝毒の毒化機構の解明と発生予測、種苗の採苗適期の把握などを行うとともに、カキにつきましては、小型球形ウイルスのカキへの蓄積動態調査や浄化手法の開発を行っているところであります。今後とも、その振興に必要な対策を講じてまいる考えであります。
 次に、魚市場の機能強化についてでありますが、県では、市場のハセップ化を目標に岩手県産地市場衛生管理高度化指針を策定し、各市場が段階的に衛生レベルを向上させるよう、指導、支援を行っているところであります。
 今後、市場が競争力を持つためには、衛生管理の向上とともに、機械化による水揚げ能力の向上、電子決済システムの導入、展示販売施設などによる消費者との交流促進など各市場の特色を生かした機能強化に加え、市場統合などによる経営の合理化もまた必要と考えております。このため、県としては、市場のさらなるハセップ化を進めるとともに、平成14年度中に産地市場再編整備計画を策定し、この計画に基づいた機能の強化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、漁業許可の見直しについてでありますが、本県水産業の振興にとって、漁船漁業の活性化とその前提となる漁業後継者の確保、育成、これは喫緊の課題であります。この観点から、現行の知事許可漁業の許可方針の見直し作業を現在進めているところであります。この中で、御提案のありました新規許可の取り扱いにつきましても、現行許可数の枠内で、資源状況から見て新規参入が可能な漁業種類について新規許可枠を設け、漁業後継者などの意欲ある担い手の参入を認めることなどを内容とする見直し案を関係漁業者に提示し、意見集約を行っているところであります。
 今後は、見直しの内容につきまして理解が得られ、調整が図られた漁業種類から当該知事許可方針につきましては順次改正してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、痴呆性高齢者の現状と今後の対策についてでありますが、県内の痴呆性高齢者は、平成10年の調査によれば、在宅と施設入所者をあわせ約1万3、000人となっており、痴呆性高齢者の権利擁護や御家族の負担などさまざまな課題があると認識しております。
 県では、痴呆性疾患の発症予防や発症後における住みなれた地域での生活支援、さらには重症化した場合における適切な医療・介護の提供体制の整備など総合的な対策をいわていきいきプラン2005に基づき進めているところでありますが、こうしたケアを行うには、介護技術の向上とその技術を習得した人材の養成が極めて重要であると考えております。このため、今後におきましても、県内の介護研修拠点機関において専門スタッフの養成をより一層充実させるとともに、県介護実習・普及センター等において家族への知識や技術の普及を図り、県立大学の研究者等や医療・介護従事者などと連携しながら本県における研究・研修体制を強化し、介護サービスの質と量を確保してまいりたいと考えております。
 次に、痴呆性高齢者グループホームについてでありますが、現在、17施設159床が開設され、痴呆性高齢者介護の大きな柱の一つと認識しているところであり、今後におきましても、需要を的確に見きわめながら、在宅サービス重視の観点から整備を促進してまいりたいと考えております。
 また、早い時期に建設された老人ホームについてでありますが、県内の介護老人福祉施設82施設のうち、1室の定員が4名を超える大部屋のある施設が4施設、築後20年を経過している施設が18施設あるため、利用者の生活の質の向上を図る観点から、今後とも、市町村等と連携を図りながら計画的に整備を促進してまいりたいと考えております。
 次に、難病を抱える方々への支援対策についてでありますが、まず、難病患者の方が将来を嘆き、みずから命を絶たれたことに対しまして深い悲しみを覚えるものであります。
 本県における難病患者は、国で定めている46対象疾患のうち41疾患に患者がおり、本年8月末現在の患者数は5、342名となっております。このため、適切かつ総合的な難病対策が講じられるよう、本年3月策定した岩手県障害者プランにおいて、その対策の位置づけを初めて明確化したところであります。これにより、難病患者の方々の不安や悩み等に適切に対応できるよう、従来からの保健所による相談事業に加え、今年度、難病相談110番を設置したところであります。また、難病患者の方々が自立して地域生活を送れるよう、患者個々人に応じた支援計画を保健所において作成し、医療面においては、難病患者の医療費の軽減を図るため、特定疾患治療研究事業を実施するとともに、在宅において重症化した難病患者の方々に対して、適時適切な入院施設の確保を図るため、平成11年度に全県にわたる入院医療ネットワーク体制の整備を図ったところであります。
 一方、福祉面においては、市町村において難病患者の方々へのホームヘルプサービスの提供等を行うための難病患者等居宅生活支援事業の推進を図っているところであり、さらに、要介護認定や障害の認定を受けた方々については、関係する制度との連携のもと、適切な対応を図ることとしております。
 さらに、難病患者の方々への支援計画がより的確に策定されるよう、本年度研修会を開催することとしております。
 今後においても、岩手県障害者プランに基づいて、難病患者の方々に対して適切な支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、雇用情勢とその対応についてでありますが、岩手労働局によりますと、新規求人数は平成13年1月以降7カ月連続で前年を下回って推移しており、7月は4、712人となっております。
 産業別の新規求人で見ますと、建設業が8カ月連続の減少、製造業は7カ月連続の減少となっております。
 一方、新規の求職申し込み件数は、平成13年4月以降4カ月連続で前年を上回って推移しておりまして、7月は7、040件となっております。
 これを職業別の求人倍率で見ますと、事務職が最も低く0.14倍となっており、一方、保安職が1倍を超えておりますほか、専門技術職が0.64倍と比較的高くなっております。
 また、7月の就職決定者数は実数で2、402人で、就職率、これは有効求職者をもとにして算出いたしますが、7月の就職率は7.5%となっており、サービス業への就職者が最も多くなっております。このように、本県におきましても雇用のミスマッチが存在しているものと考えております。
 県としても、このミスマッチの解消に向けまして、岩手労働局などと連携しながら、職業紹介への協力や職業能力開発に取り組みますとともに、現在作業を進めております県の雇用対策の取りまとめの中で、雇用の創出策を考えてまいりたいと思います。
 次に、誘致企業に係る動向についてでありますが、これまで知事と誘致企業との懇談会の開催を初めとしまして、個別にも企業訪問を行いながら、企業側の動向把握に努めているところであります。この中で、人員削減など懸念のある企業につきましては、必要に応じて本社を訪問し、例えば、地元企業との連携による事業転換の可能性について提案するなど、地元定着に向けまして、県としても可能な限りのフォローアップに努めているところであります。
 次に、未組織労働者についてでありますが、平成12年度の労働組合基礎調査によりますと、県内の労働組合員は約10万8、000人で、これを事業所・企業統計調査の雇用者数をもとに推計してみますと、労働組合組織率は19.5%となっております。
 現在の厳しい雇用情勢下にある労働者への対応につきましては、従来から県庁と地方振興局に相談窓口を設置いたしまして、労働者が抱える各種の相談に応じてまいりました。平成11年度からは、県庁においては、弁護士による特別労働相談ということで、それを強化いたしますとともに、本年4月からは、各地方振興局に地域雇用相談員を配置いたしまして、相談体制の強化を図っているところであります。
 また、岩手労働局におきましても、個々の労働者と事業主との間の労働条件の紛争に対応するため、本年10月1日から個別労働相談コーナーを設置し、多様な内容の相談にワンストップで対応できる体制の整備を予定しているところであります。
 今後とも、岩手労働局と連携を図りながら、未組織労働者を含む労働者の雇用不安の解消などに取り組んでまいりたいと考えております。
 また、地域の雇用確保に大きな役割を果たしております中小企業の体質強化につきましては、今後とも、新商品の開発や新たな生産方式の導入など、経営の革新に向けた取り組みが重要であると考えておりまして、新技術の開発や事業の立ち上げ、経営革新などに対する助成や融資、経営コンサルタントの派遣など、さまざまな支援策を講じてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕

〇警察本部長(出原健三君) 警察官の増員問題についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県は四国4県に匹敵する全国でも屈指の広大な面積を有し、警察官1人当たりの面積負担率は全国第2位となっているところであります。
 また、警察官1人当たりの負担人口は、全国が545人であるのに対しまして、本県は697人で、全国第8位という高い負担率となっております。加えて、冬は厳しい寒さと多量の降雪など厳しい気象条件の中にあり、さらに、延長距離約700キロメートルに及ぶ海岸線を抱え、常に津波災害を初め、密入国対策など継続的な対策を講じなければならないという地勢の特殊性を有するところであり、これが警察活動に及ぼす影響も極めて大きなものがあります。
 一方、本県の治安情勢につきましては、強盗、強制わいせつなどの悪質・凶悪な犯罪を初め、来日外国人による犯罪、少年による凶悪事件や高度情報化社会の進展に伴うハイテク犯罪の増加、さらには交通死亡事故の多発など警察事象が量的に増加する一方で、質的にも大きな変化を見せており、治安維持上危惧すべき状況にあります。
 このような情勢を踏まえ、本県警察におきましては、警察本部の事務部門の統合を初めとする組織及び業務の合理化や直接事件事故などの処理に当たる警察署等の体制を強化するなど、限られた定数の中で組織の見直しを図り、時代の要請にこたえ得る警察活動の推進に努めているところであり、今後も可能な限りの合理化に努めていく考えであります。
 しかし、厳しい地勢や治安情勢が悪化する中で、交番の不在対策やパトロールの強化など、地域に密着した警察活動の強化を望む県民の皆様の声に十分にこたえ、県民の皆様の安全で平穏な生活を確保するためには、現体制では限りがあり、警察官の増員を初めとする体制の強化が必要であると考えております。
 議員御指摘のとおり、県民の願いは事件事故に巻き込まれることなく、安全に、そして安心して暮らすことでありますので、県警察といたしましては、警察官の増員について強く警察庁への要望を継続してまいりますとともに、今後とも県民のための警察を基本理念に警察活動を推進してまいりたいと考えております。

〇25番(田村誠君) それぞれ御答弁を賜りまして心から感謝を申し上げます。
 時間もたっておりますから、簡単に2点お伺いいたします。
 まず最初に、先ほども御答弁いただきましたワカメ漁家に対する夢県土いわてを実現させていただきたい、そういう思いで質問するわけでありますが、先ほど県も、ブランド化などさまざまな構造改革を含めて今後支援をしてまいりたいというところでございますが、いかんせん中国からまたワカメが入ってくる、あるいは、これからワカメ漁家にとりましては、まさにワカメの収穫に向けた作業を展開するわけでございますけれども、このワカメの動向と申しますか、外国産ワカメの輸入状況、あるいはセーフガードにつきましては、本議会でも国に求めているわけでございますが、その動向についてまず第1点、お伺いいたします。
 次に、カキ養殖の振興策について、これまた答弁をいただきました。これに関連いたしましてお伺いいたすわけでありますが、広島県内のカキ養殖漁場でマイクロバブル発生装置を導入いたしまして成果を上げたと聞いてございます。これは、御存じのことだろうと存じますけれども、かなり小さな空気の泡を発生させまして、カキいかだにそれを設置することによりまして、それを設置した箇所のいかだが下がるというぐらい、大船渡湾でも実際効果を上げているというふうに聞いているわけでございます。
 今成果の調査もそれぞれ漁民の方がやっているようでございますけれども、こうした新しい機種も導入しながら、閉鎖湾である大船渡湾のカキ養殖、新しいカキもできてきているわけでありますが、このマイクロバブル発生装置を漁業者が導入する場合、何らかの支援策が必要というふうに思うわけでございますが、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) 最近の輸入ワカメの動向とセーフガードの状況についてでありますが、財務省の貿易月報によりますと、ことし7月までの我が国へのワカメの累積輸入量ですが、塩蔵で約1万8、000トン、乾燥で約4、400トン、これを原藻に換算すると約20万1、000トンとなっております。これらを昨年の同期と比較いたしますと、塩蔵は14%の減、乾燥は3%の増、原藻換算で5%減ということで、全体では若干減少している状況にあります。しかし、昨年は国内生産量の約4.7倍が輸入されたということを考えますと、引き続き高水準にあると言えるかと存じます。
 農林水産省におきましては、国内価格が低迷していることなどから、引き続きセーフガードの監視対象品目として輸入動向を注意深く監視するとともに、セーフガードの発動に向けた政府調査に必要な資料の収集に努めていると聞いております。
 県といたしましては、国の状況や輸入の動向を注視しながら、これまでと同様に国の調査に極力協力していくとともに、本県ワカメ養殖業の構造改革に関係者と一体となって精力的に取り組んでいく考えであります。
 それから、マイクロバブル発生装置についてでありますが、マイクロバブル発生装置は、調べますと、水質浄化を主な用途としております。広島県のカキ養殖漁場で、漁場の環境悪化による赤潮、それから貧酸素水などの被害防止のために試験的に導入したところ、副次的な効果としてカキの成長促進が認められたとされております。
 本県におきましても、昨年の6月以降、大船渡湾、山田湾などのカキ養殖漁場でこの装置が約50基程度導入されておりますが、広島県に比べて環境が比較的良好な本県の漁場での効果があるのかどうか、今後のカキの出荷実績などによりまして検証することといたしております。この装置が本県の漁場で効果があるということが検証できれば、国の養殖業高度化機械緊急整備リース助成事業を利用したリース方式による機器の導入という方法もありますので、これを検討してまいりたいと考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、川口民一君。
   〔21番川口民一君登壇〕(拍手)


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