平成13年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(照井昭二君) 自由民主クラブの照井昭二です。
 先輩・同僚議員の御配慮によりまして登壇の機会をいただきました。感謝申し上げます。
 それでは、質問に移らせていただきます。
 最初に、岩手県総合計画において目標に掲げております指標についてお尋ねいたします。
 総合計画策定時の平成11年は、我が国の経済情勢が横ばいあるいは底上げ感があり、少しは明るい兆しが見え始め、目前の21世紀に何かしら期待感が持たれていた情勢であったと認識いたしております。しかし今、我が国を取り巻く情勢は、IT不況などによる経済の低迷と、それに伴う雇用関係が悪化していることに加え、米国における同時多発テロ事件の世界経済への影響が懸念されるなど、社会経済情勢は我々の予測をはるかに超え、急激な変化を見せております。
 国においては、去る10月26日に雇用対策や不良債権処理など構造改革を加速する改革先行プログラムを発表し、規制改革などによる雇用拡大や失業率上昇を踏まえた安全網の充実、整理回収機構の機能拡充による不良債権処理の促進など構造改革の推進に向けた動きが活発になっており、これまでの我が国を支えてきた社会経済システムが大きく変わろうとしております。
 本県においても、地方交付税制度改革に伴う地域総合整備事業債の廃止や県債残高の増加など財政が一段と厳しさを増している中、市町村合併や広域行政への理解など、県民の意識もここ二、三年の間に大きく変わってきたのではないかと実感しております。また、個人生活面でも、情勢の変化によりライフスタイルを変えていかなければならない、そうした意識、あり方にも従来とは異なる変化を感じております。
 このように短期間に社会経済情勢が大きく変化している中で、平成11年8月に策定された岩手県総合計画で示された目標である指標については、社会システムや経済環境、財政環境が大きく変わってきていますので、計画の目標数値の見直しあるいは変更をしなければ計画そのものが絵にかいたもちになってしまうのではないでしょうか。例えば、道路整備などでも、道路公団初め4公団の統合の動きなどによる影響で変更が生じるのではないでしょうか。こうした情勢を考えますと、指標のうち、変えなければならないものも少なくないと思います。また、本年度から実施している政策評価システムの実施などにより、それぞれの指標に対するウエートの置き方も変わってくるのではないかと考えております。
 知事は、県政運営において、方向・方針、施策、成果など具体的に数字であらわすことを基本にされており、これはイメージとして大変わかりやすいのでありますし、県民が数字を共有することも大事でありますが、期待感を持って示された数字──指標が、現状の中で変化についていけず、実態とかけ離れた数字となるおそれがあります。
 指標の進捗状況は、政策評価によりますと、計画に沿って進められ、順調に推移しているものもあると聞いております。例えば、ISOの取得事業所数のように速いスピードで既に目標を達成しているものがある反面、例えば製造品出荷、一部農林水産物、観光など経済情勢の問題、その他国際問題などいろいろな背景で達成困難なものも見受けられます。これらの数字が実態とかけ離れてしまうのはいかがなものかと思います。早急な見直しが必要だと考えますが、知事の御所見をお示し願います。
 次に、広域的な地域づくり、まちづくりの推進、あるいは地域間、市町村間の連携の促進という視点に立って、地域デザインと公的施設の設置のあり方についてお伺いいたします。
 岩手中部広域圏におきましては、医療施設である県立病院に関連し、花巻厚生病院と北上病院が高度医療、二次救急医療及びリハビリテーション医療の充実、そして医療圏という域内の診療応援の強化、医療水準の向上など医療機能の充実強化を目指し統合する方針がこの10月に決定され、関連自治体が建設候補地の選定を行っております。このほか、教育施設として、県立高等学校の再編・統合整備による新しい農業高等学校の設置の問題があります。当面の間という仮住まいであり、名前もつけてもらえないのが今の現状でございます。花巻市、北上市はもとより、周辺町村におきましても、大規模な施設の整備であり、住民は将来の地域の姿をイメージしながら、これら建設整備に関し大きな関心を寄せております。
 大規模な公的施設の建設整備は、道路アクセス、公共交通機関などに十分な配慮が伴いますし、上下水道などの基盤が整備されているか、あるいは整備可能な地域であることなども前提になると思います。また、災害対策や利用者、通勤・通学の利便性も留意されるべきところでありますし、さらに、都市機能の一体性、商業圏、地域としての特色、ステータス、こうした角度も視野に入れるべきものと考えられます。
 大規模な公的施設の建設整備により、周辺環境は一変いたします。また、施設は、人の動き、道路交通、商店街とのかかわりなど広範囲の住民の生活全般に大きく影響するものであります。申し上げるまでもありませんが、地域づくり、まちづくりの構想の推進、都市機能を高める上でもかなりのウエートを占め、相乗的な効果も大きいと思います。合併への取り組みや市町村間の連携など住民の生活圏も広がってきておりますので、これからますます広域的な視点で地域の将来をデザインして、地域づくり、まちづくりを進める必要があるものと考えております。地域づくり、まちづくりに大きく影響を及ぼすこととなる県の大規模な施設の設置と広域的な地域のあり方についてどのようにお考えなのでしょうか。
 私は、医療施設、教育施設を例に挙げましたが、県の大規模な施設の設置は、地域の広域的な将来構想をにらみながら議論されるべきものと考えておりますし、医療施設でも教育施設であっても、地元の議論はもちろん一番大事でありますが、知事部局や地方振興局サイドの考え方が反映されてしかるべきものと考えております。さらに、それが市町村の地域づくり、まちづくりの構想とも全体的に同じ方向を示し、マッチするものであれば、より一層地域振興につながるものではないかと思います。県と市町村のより一層の連携、協力も図れると考えております。また、市町村も、地域の将来をより広域的にデザインし、より前に出て相互に連携していくべきものと考えるものであります。県の公的な施設の整備構想、計画には、物によって事前に公表できない場合もあり得るものと考えますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、花巻空港の路線維持・拡充と利用促進についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、国内航空分野におきましては、新航空法の施行により需給調整規制が平成12年2月に廃止され、航空会社による路線の参入、撤退や航空運賃の設定が自由化されたことから、例えば、羽田福岡線のような特定の需要の多い幹線では新規参入により競争が促進され、増便や運賃の値下げなど利用者への利便性は向上しておりますが、地方空港路線では運休や減便の動きが見られるなど、その取り巻く環境は大変厳しくなっております。
 こうした状況下で、本県の花巻空港が平成16年度末の供用開始に向け滑走路2、500メートルの延長整備を行っておりますことは、観光客の受け入れや企業の誘致などを通じた本県経済の発展のみならず、本格化する国内外との交流拡大に一層大きな役割を果たしていくものと期待しております。
 しかしながら、花巻空港の利用状況を見ますと、景気等の影響によるものと思いますが、低迷しており、路線につきましても、本年3月には新潟線が廃止され、さらに11月から3月までの季節便でありました沖縄線も本年度は3月の一部運行のみで、平成14年度からは運休、事実上の廃止となってしまいます。六つあった路線が、わずかこの1年で札幌、名古屋、大阪、福岡、4路線を残す見込みとなったのであります。さらに、今後、利用率の悪い福岡線の廃止や他の路線での減便など、花巻空港にとって過酷な事態が憂慮されております。このような事態になれば花巻空港の利便性は著しく低下し、本県の観光やビジネスへの重大な影響を及ぼすことは言うまでもありません。また、現在行っている滑走路2、500メートル延長整備の意義も問われかねません。したがって、花巻空港の利用促進が緊急の課題であることはだれが見ても明らかであります。
 そこで知事にお伺いいたします。滑走路2、500メートル延長整備を踏まえ、これからの花巻空港の路線維持と利用促進のための具体的な対応策についてお示し願います。
 また、花巻空港の魅力をより高めるためには、新規航空路線の開拓がぜひとも必要と思われます。新たな路線の開拓についての戦略と見通しについても御所見をお伺いいたします。
 次に、環境施策についてお伺いいたします。
 最初に、先月開催されたいわて大環境祭21についてであります。
 10月6日から8日までの3日間、岩手産業文化センターで開催されましたいわて大環境祭21は環境に関する本県の大イベントでありますが、当初どれほどの人が集まるのか懸念もあったようでありますが、マスコミの報道等によりますと、目標を上回る入場者で大変にぎわったとのことであります。開催の準備に当たられた実行委員会を初め、関係各位の御努力に敬意を表するものであります。
 私も環境の世紀と言われる21世紀の最初の年にふさわしい大イベントとして注目しておりましたけれども、多くの人々が訪れたことは、県民や企業の方々の環境に対する意識の高まりによるものと考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 しかし、イベントは、ともすれば一過性で終わりがちになる傾向があります。県が環境首都いわてを目指した取り組みの一つとして今回のイベントを位置づけている以上、これを契機とした今後の取り組みが大変重要になるものと考えております。
 そこで、環境生活部長にお伺いいたしますが、いわて大環境祭21の開催をどのように評価し、この成果を今後どのように波及させていこうとしておられるのかお尋ねいたします。
 次に、クマ対策についてお伺いいたします。
 ことしは例年以上にクマの目撃数が多く、襲われて亡くなられた方が出ましたし、人身被害も多いと聞いております。花巻でも、先月、女性がクマに襲われてけがをするなど、クマ対策は県民生活の安全確保のために急いで取り組まなければならない課題と考えております。
 さきの9月定例会での樋下正信議員の質問に対し、環境生活部長は、人里への出没要因は、昨年はブナの実などが豊作だったため出産がふえ、子連れグマの行動が活発化したことや、ことしの秋の実の不作により、えさを求めて行動圏を拡大していることが考えられると答えております。
 そこでお伺いいたしますが、まず、本県の現在までの人身被害の状況がどうであるか、また、人身被害は本県のみのものなのかお伺いいたします。それから、駆除の方法についてもお示し願います。
 また、クマが生息していること自体は、本県の自然の豊かさをあらわしているとも言えますが、一方では、里山での人身被害も深刻化しておりますので、よほど有効な対策を講じないと、人里への出没が減少しないのではないかと心配するところであります。人里への侵出を防止するためには、クマの行動圏や人里への出没原因に関する調査研究などが不可欠であります。人身被害への対応と体制についてもお伺いいたします。
 私は、人が山に入ったら、山のルールに従うのが当然ですが、クマが里に出没した場合、この時点から豊かな自然の象徴であるクマも、鋭いきばとつめを持つ害獣に変身してしまいます。この場合は、当然里のルールに従ってもらう、そういう基本的な考え方を確立しルールづくりを進め、保護対策と安全対策の調和を図るべきと私は考えますが、いかがでしょうか。
 次に、自然公園計画についてお伺いいたします。
 本県は豊かな奥羽山脈や北上高地を初め、リアス式海岸などに代表されるダイナミックな景観を誇る三陸海岸など、豊かですぐれた自然に恵まれ、これら自然の風景地を保全し利用するため、十和田八幡平や陸中海岸の国立公園、栗駒、早池峰の国定公園のほか、花巻温泉郷など、七つの県立自然公園が指定されております。特に、県立自然公園条例の制定に伴って指定された七つの県立自然公園は、国立公園や国定公園とは一味違い、本県の素朴ですばらしい自然を広く県内外に紹介し、県民の保健、休養に資するものとして、これまで大きな役割を果たしてきました。県立自然公園の計画は、昭和36年から昭和49年までの各公園の指定時に策定されたものであり、その後、長い年月を経ております。県民の環境あるいは自然に対する意識の高まりについては先ほど述べたとおりでありますが、こうした時期に公園計画を改めて検討すべきと考えております。今後、どのような取り組み、対応を考えておられるのか、基本的な方向をお示しいただきたいと存じます。
 また、具体的な話になりますが、現行の公園区域はどのようになるのか、ふえるものなのかどうか。また、住宅地が進出して公園区域として意義を失った地域の見直しなど、どう進められるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、県産品の海外への販路拡大の取り組みに関しお伺いいたします。
 去る10月、ヨーロッパにおいて、従来のハンガリーにかえてイギリス、ロンドンで岩手フェアが開催され、予想以上の反響があったと報道されております。本県では、これまでに県産の原材料を活用した食料品や伝統技術にはぐくまれた工芸品などの海外での販路拡大に取り組んでおり、香港、シンガポールでの物産展のほか、アメリカ、オーストラリアでも同様の催しを行ってきております。今日のグローバル化の波は、県産品の販路拡大のビジネスチャンスである反面、我が国消費者の高い購買力がターゲットとされ、外国製品の流入を招き、国内市場での競争が一層激化するおそれも大きくなってきております。これまで、世界各地で取り組んできた成果をお示しいただくとともに、経済環境も大変厳しくなってきましたので、今後、県産品の販路拡大をどのように進められるのかお伺いいたします。
 次に、スキー競技の競技力向上とスキー振興についてお尋ねいたします。
 先般終了した第56回国民体育大会は、隣県宮城で開催されたこともありまして、本県選手の活躍を期待しておりましたが、天皇杯得点では全国で38位と残念な結果に終わりました。一昨年、本県で開催された'99岩手総体で本県高校生が大活躍したこともあり、県民のスポーツに対する関心が高まるなど、本県での次期国体開催にも関心が寄せられるようになってきました。また、平成10年に本県で開催された冬季国体、いわゆるいわて銀河国体は、同年長野県で開催された長野冬季オリンピックにおける日本選手の活躍という相乗効果があり、県民にも多くの感動と自信を与え、大成功のうちに終了したことは記憶に新しいところであります。特に、スキー競技に関しましては、これまでスキー複合のゴールドメダリスト三ヶ田礼一選手を初め多くの名選手を輩出するなど、雪国岩手の県民に大きな夢を与えてきました。また、国体のスキー競技は、本県の確実な得点源として長い間活躍を続け、本県の天皇杯順位に大きく貢献してきたものと認識しております。しかしながら、ここ数年、これまでの得点の柱であった企業スポーツクラブの廃部などにより、スキー国体において、これまでのような得点を獲得することは困難になっているようであります。
 そこで、教育長にお尋ねいたしますが、今後のスキー競技の競技力向上についてどのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
 また、スキーに関しましては、ほかのスポーツに比べ、施設整備の面で消極的と私は受けとめざるを得ません。県民スポーツとして、県民だれしもが身近で手軽に行えるスキー施設の必要性があるものと考えますが、いかがでしょうか。私は、スキーについては、他のスポーツに比べていささか取り残されているのではないかと思っております。スキー振興については、県も市町村と連携して協力していくべきと考えております。
 次に、組織再編と農・林・水の連携についてお伺いいたします。
 本県農林水産業は、これまで多くの困難に遭遇しながらも、たゆまぬ努力で今日を築いてきたところであります。全国に誇れるリンゴ、ホウレンソウ、リンドウ、シイタケ、サケ、ワカメ、アワビなどを初め多くの産地が形成されております。また、農林水産業の振興により、食品産業など関連産業も育成され、地域経済の基盤の役割を担っております。しかしながら、国際化の波はウルグアイ・ラウンド合意により、米を初めとした農産物の輸入拡大等によって本県の農山漁村に急速に押し寄せ、特にも、引き続く米や野菜、ワカメの価格低迷は、農林水産業従事者の経営を圧迫し、その影響は景気の低迷とも相まって、今、地域経済を大きく揺るがすまでに至っております。国は、海外からの農林水産物の輸入拡大による農業経営への影響を緩和する措置として、本年4月にネギや生シイタケの暫定セーフガードを発動しましたが、これも既に期限切れとなり、本発動にいまだ至っていません。今後の輸入拡大による農業経営への影響が懸念されます。
 県内経済も景気低迷の影響が広がっており、本県農林水産業、農山漁村の価値をどう位置づけ発展に結びつけていくのか、その方向性を明らかにすることが、今後の本県1次産業の将来を大きく左右する課題であると考えます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 こうした状況下で、本年度の組織再編により、農政部と林業水産部が統合し新しく農林水産部がスタートしており、農林水産部長を初め3人の次長、林務、水産の2人の局長の大布陣で、第1次産業の振興への意気込みを頼もしく感じているところであります。これから、夢県土いわての基盤となる第1次産業の振興を目指し、組織統合の成果をどう生かし、この厳しい情勢のもとで、農・林・水の3分野が緊密な連携をとった振興策をどのように展開していくのかお聞かせ願います。
 最後に、ペイオフ解禁に関する県の対応について出納長にお尋ねいたします。
 最近の我が国経済の情勢は御承知のとおりでありますが、アメリカの同時多発テロなどの影響があり、株価も低い水準で推移しており、景気低迷の長期化や企業業績の一層の悪化が懸念されております。不良債権処理や株価の低迷によって金融機関の業績も芳しくなく、金融環境が厳しくなっているものと考えております。デフレ不況とも言える景気の深刻化と金融の動向が不透明な中で、議論はいろいろあるようですが、ペイオフの凍結解除がいよいよ5カ月後の来年4月に決まっております。
 株価低迷と不良債権処理の重圧にあえぎ、大半の大手銀行も苦しい経営を強いられており、一部地方銀行は、公的資金の注入に伴って、国が保有する優先株に対する配当が払えない状況に陥るなど、金融を取り巻く諸情勢が完全に安定したとは言いがたく、公的資金の再注入も取りざたされております。こうした中で、ペイオフが凍結解除され、万一預金先の金融機関が破綻した場合には、自治体の公的預金も一般預金と同様に損失をこうむることが考えられるため、ペイオフ対策が全国自治体の大きな課題だと報道されておりますが、本県ではどのような保全対策を考えておられるのでしょうか、現在の状況をお知らせ願います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 照井昭二議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、総合計画の主要な指標ですが、このこうした指標を設定した大きなねらいの一つは、行政として何を行ったかということではなくて、行った結果として県民の暮らしが総体としてどうなったのか、いわゆる成果主義をこれで判断したいと。生活者の視点、地域の視点に立って成果を客観的に把握をして、そしてそれを重視する行政を進めると、こういうねらいでございます。現在195の指標を設定してございます。それぞれの指標の設定の仕方は、個々にさまざま異なっているわけでございますが、これについては、設定に際しての前提条件が明らかに崩れたものについては、やはり見直しを進めていくべきものと考えておりますが、その設定の趣旨に照らしてこの成果主義を検証していくという、その設定の趣旨に照らして、安易に目標水準を下げることは行うべきではなくて、掲げた目標にできるだけ近づけるために努力をしていくと、このような姿勢で取り組んでいく必要があると考えております。前提条件が全く明らかに崩れたものは、これはやはり見直しをしなければならないと思いますが、それ以外の場合には今言ったようなことで努力をしていく、それを目標とすべきと考えております。
 また、人材育成関係、治安関係、それから地域づくりなど数値化が困難なことから、必ずしも指標の設定が十分ではない分野というのが今ございます。それから、政策評価をより精度の高いものとするために、新たな指標あるいは補足的な指標の設定が求められる分野などもございますので、政策評価の結果や経済社会情勢の変化などを踏まえて、政策評価委員会など外部の皆さんの意見も聞いて、よりわかりやすい指標の設定に努めると、そしてより客観性、透明性が高い県政の推進に努めていく考えでございます。
 次に、地域デザインと公的な県の施設の設置のあり方についてのお尋ねでございますけれども、これからの地域づくり、まちづくりは、地域が発展していくための地域のデザインを踏まえて、広域的な視点で取り組んでいく必要があると考えておりまして、県施設などの設置に当たりましても、こうした地域デザインの方向に沿って利用される利用者の皆様方の利便性を考慮し、それぞれの施設の性格、規模などに応じてその機能を最大限発揮できるように判断すべきものと考えております。
 今申し上げましたのが基本的な考え方でございまして、また、具体的な施設整備につきましては、現下の財政状況や今後の見通し、そして運営上の問題もございますので、設置場所や規模などにつきまして関係をいたします市町村、それは所在市町村だけではなくてやはり広域的な視点で関係する市町村、広域的にとらえる必要があると思いますが、こういう関係市町村や地域住民の皆さんの意見も伺って、そこでの合意形成を図ることが重要と考えております。
 今後も、県施設が地域の振興、活性化に及ぼす効果や地域の実情などを考慮して設置場所について十分に検討を加えまして、地方振興局や関係する市町村との密接な連携を図りながら、その適正配置に努めてまいりたいと考えております。
 それから、花巻空港の路線維持・拡充と利用促進についてでございますが、航空分野における規制緩和の中で、航空各社の経営合理化に伴う路線の再編が最近頻繁に行われております。そして結果としては、利用実績の低い路線が順次廃止や減便となっておりますし、また、ことしの9月の同時テロの影響等もございまして、各社また国内の大手も収益が急速に悪化をしてございますから、地方空港を取り巻く環境が非常に厳しくなっているというふうに認識しています。こうした中で、既存の路線を維持し、さらには増便やダイヤ改善などにより空港の利便性を高めていくためには、これまで以上に全県的な利用促進活動を強化して、利用実績を積み重ねていくことが大事でございます。したがって、ビジネス客や観光客はこれはもうもちろんなんですが、地域間交流を行っております団体などに対しましても定期便の利用を働きかけるなど、母体が岩手県の空港利用促進協議会でございますが、ここと連携をして、今申し上げましたようなところまで範囲を広げて積極的な利用というものに取り組んでいきたい、掘り起こしをさらに図っていきたいと思っております。
 新規路線の開設につきましては、先ほど申し上げましたように、航空各社が大変厳しい経営環境にあるわけでございますが、内外との交流の活発化に対応する観点から、国内・国際航空ネットワークを持っております羽田そして成田空港との路線開設を目指して努力をいたしますし、それから既存路線を活用した日帰り圏の拡大のためのダイヤ改善の実現、札幌便などもかなり使いづらいダイヤになっていますから、こういったところを便数はそのままでも工夫をするとかなり利便性が高まりますので、そういったダイヤ改善の実現や国際チャーター便の拡充に向けた取り組みを進めるなど、花巻空港の利便性を高めていく必要性がございます。このため、現在、花巻空港対策研究会というものを設置して、そこに航空大手3社、JASさんだけでなくて、JAL、ANAと、残りの二つも入れて3社から実務の担当者などに来ていただいて、そこで向こうサイドの状況をよくこちらも勉強してございますし、こちらも地元としての取り組みを航空各社の皆さん方に理解をしてもらうような、そういう場を設定してございますが、そこで今後の路線展開の方向性などについてそういったことを積み重ねて研究をしてございます。こうした研究をさらに積み重ねていきたいと。今年度内にもあと複数回開催を行う予定にしてございますので、そういう研究を積み重ねますとともに、首都圏などの基幹空港における国内線の発着枠拡大の動きがございます。また、航空各社の路線展開、それから新たな機材の導入、これもやや小ぶりの小型機で採算性のいいものが今新しく生まれてきておりますので、こうした新たな機材の導入などの情報を把握して、引き続き関係をいたします機関や航空各社に対して、新しい路線の開設を強く働きかけてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、出納長及び関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔出納長橋田純一君登壇〕

〇出納長(橋田純一君) ペイオフの解禁に関する県の対応についてでありますが、金融の自由化、国際化が進展する中で、来年4月からいわゆるペイオフが解禁されることになっており、元本1、000万円とその利息を超える部分、これについては保護されないこととなります。もとより、公金の管理は確実かつ有利な方法により行われるべきものでありますが、これまで国の保護のもとに担保されてきた安全性を、今後は県がみずからの判断と責任で確保していくことが求められてまいります。
 県におきましては、昨年度から出納局を中心とした研究会において、ペイオフ解禁に関する基本的な課題の整理を行ってきたところであり、これを踏まえまして、本年7月には、歳計現金、基金、制度融資預託金などを所管する課長をメンバーとした岩手県公金取扱連絡会を設置いたしまして、ペイオフ解禁が県の資金管理に及ぼす影響や、県として考えられる対応策について取りまとめを行ったところであります。
 具体的な対応策といたしましては、一つ目に、金融機関の経営状況の把握や金融商品の評価・分析のための職員の養成、二つ目に、預金と県債務との相殺、三つ目に、国債、地方債等の元本が保証される債権運用の拡大などが考えられるところであります。
 今後の公金管理に当たりましては、国の動向等もなお見定める必要がありますが、県といたしましては、庁内関係部局による連絡会を中心に、専門家の意見なども徴しながら、県民からお預かりしている公金の安全かつ効率的な運用に努めてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) まず、いわて大環境祭21の評価と成果の波及についてでありますが、このイベントは、環境に関する県民意識の高揚とパートナーシップの形成を図るという趣旨のもとに開催したものでありますが、厳しい経済状況にもかかわらず、96団体の参加のほか多くの協賛と後援を得て開催することができ、来場者も目標の3万人を上回る3万3、000人余を数えることができました。出展者や来場者に行いましたアンケートにおきましても、おおむね、よかった、満足したという評価が80%を超えるなど、来場者が環境保全活動に取り組むきっかけになったとともに、参加団体等に情報交換やネットワークの輪を広げる場を提供できたと考えておりまして、所期の目的を達成することができたと評価しているところであります。
 また、イベントの企画準備段階におきましても、産業団体、消費者団体、NPO等で構成いたしました実行委員会で議論を重ねていただきまして、環境に負荷をかけないさまざまなアイデアをイベント運営に反映させたところでありまして、このような取り組みが県民、事業者、行政等による環境パートナーシップを形成する上での契機にもなったと考えております。
 今後におきましては、今回培われましたパートナーシップとネットワークの輪をさらに広めるとともに、地域地域での県民の参加と協力による環境に配慮した行動を促進するなど、環境祭の成果を県内各地に波及させ、環境首都いわての形成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、クマ対策についてでありますが、今年度のクマによる人身被害は、昨日、11月29日現在でありますが、昨年の8件を大きく上回る22件というふうになっております。東北各県におきましても、秋田県の15件を初め、昨年より大幅に増加している状況にあります。
 また、駆除方法につきましては、人身への危害が切迫しているなど緊急を要するときには、地方振興局が口頭により有害駆除の許可を行いまして、捕殺あるいは追い払いなどの方法による迅速な駆除に努めているところであります。
 次に、人身被害への対応についてでありますが、本年度から2カ年で生息数調査を実施いたしまして、広葉樹林の造成など生息環境の保全や、山や里に出没した場合などの対応を内容といたします鳥獣保護法に基づく特定鳥獣保護管理計画を平成14年度に策定することといたしておりまして、この計画の策定に当たりましては、議員御指摘の保護と安全の両面から、クマの総合的かつ体系的対策を十分検討してまいりたいと考えております。
 また、人里への侵出防止等の調査研究についての体制でありますが、本年度開所した環境保健研究センターに自然環境部門を設置したところでありまして、同センターが中心となって関係機関と連携を図りながら、鋭意、調査研究に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、自然公園計画についてでありますが、本県における県立自然公園の公園計画は、策定以来長期間経過をし、県立自然公園を取り巻く自然環境や社会環境が大きく変化していることから、公園制度の適切な運営のため、現況に即して見直しをする必要があると考えております。この見直しは、県立自然公園の現況を把握、解析し、それらをもとに市町村等の意見を踏まえた上で公園区域を初め、地種区分などの保護計画、施設配置などの利用計画等について行うこととしておりまして、今年度は外山・早坂高原県立自然公園計画について作業を進めているところであります。
 また、公園区域につきましては、現在、区域界が不明瞭になっている例もありまして、これについては現況に即したものとなるようその明確化を図るほか、自然公園にふさわしい地域については指定を拡大するとともに、規制の内容が自然の状況にそぐわなくなった地域については見直しを行うなど、地域の意向等も尊重しながら、それぞれの現況に応じた公園計画としてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 県産品の海外販路拡大の取り組みについてですが、県内地場産業の国際化推進策として、これまでヨーロッパやアジアなどの主要都市におきまして、地元消費者や在留邦人への県産品の展示販売、それから貿易関係者などを対象とした商談会を実施してきているところでございます。こうした取り組みの結果、めん類、菓子などの農産加工品、それから海藻類、缶詰などの水産加工品に加えまして、鉄器など工芸品の常設展示、それから恒常的な取引、こういったものが定着してきておりまして、みずから流通ルートを開拓する企業もあらわれてきております。また、本年度新たに実施したロンドンでの岩手フェアは、在留邦人を中心に県産品の質の高さを評価いただきまして、期間中展示した商品のほとんどを売り上げまして、予想以上の好評を博したところでございます。
 今後は、これまでの実績を踏まえまして、海外における物産展の開催地を、需要が見込まれかつ継続的な取引が有望な地域に絞り込んでまいりたいと考えておりまして、ハセップ等グローバルスタンダードへの対応、それから商標権の取得などのマーケティングの取り組み、こういったものに取り組むことによりまして、県産品の販路の拡大を進めることとしております。
 海外販路の開拓に当たりましては、国際感覚の醸成と物産展を通じましたノウハウの取得、それから県内企業の指導、育成、こういったものを図りながら、民間への円滑な移行に努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) 組織統合の成果を生かした農林水産業の振興策についてでありますが、本県の農林水産業は、県民の豊かな暮らしを確保するための食料供給の役割を担い、その一方では、森林や農地が県民の安全な暮らしを守る県土保全の機能を果たすなど、県民生活や地域経済にとって極めて密接で、かつ、重要な基幹的な産業であると認識いたしております。しかしながら、近時の輸入農林水産物の増加に伴う価格低迷などの厳しい状況にあって、本県の農林水産業が将来にわたって持続的な発展を遂げていくためには、農業、林業、水産業が緊密な連携のもとに、あるいは複合的に営まれている本県第1次産業の特性を踏まえ、農・林・水が一体となってその力を十二分に発揮していくことが必要であり、こうした時代の要請に対応し組織を統合したものであります。
 このような統合の理念に従い、これまで個々の取り組みでは十分な効果を出し切れなかった特にも流通・販売戦略、情報化、環境への取り組みなどについては一体化による相乗的な効果が生じ、その成果が生産者や消費者など広く地域や県民に波及するような、そういう施策の創出に努めているところであります。
 この10月には、農林漁業者が一堂に会したいわて農林水産業振興大会を初めて開催いたしました。食料や木材の供給基地づくりなどについて、農・林・水共通の認識のもとに強く連携することを、参加者の総意をもって高らかに宣言したところでありますが、このような生産者、関係団体が一体となった取り組み、さらには県内一円において、また、各地域地域における消費者と農林漁家が一体となった地産地消の県民運動の広がりなど、これらの新しい一連の取り組みが、必ずや岩手ならではの将来にわたる農林水産業の一層の発展につながるものと確信し、県民の皆さんの深い理解と支持を得ながら、農・林・水相互のメリットをさらに発揮し、各種施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) スキー競技の競技力向上とスキー振興についてでありますが、積雪寒冷地にあります本県にとって、スキー競技の振興は、県民のスポーツに対する関心と意欲を高めるとともに、国民体育大会の総合成績を上げる上でも大きな意義を持つものと考えております。このため、県教育委員会といたしましては、これまで県体育協会や学校体育団体等と連携し、指導者の海外派遣や全国的に活用している講師による研修などを行い、指導者の資質向上にも努めてきたほか、スキー競技強化のため、雪国スポーツ育成強化事業として特別強化枠を設けるなど、他の競技に比べて手厚く措置してきたところであります。
 今後におきましては、このような施策の充実に努めるとともに、小・中・高の一貫指導体制をより強化しながら、競技力向上策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 また、スキー振興についてでありますが、本県のスキー場は、近年、全国有数の大規模なスキー場が相次いで開設されたほか、各地域に身近なスキー場も整備されてきた結果、平成12年現在、24カ所が稼働しており、本県のスキー場整備はなされているものと考えております。このようなことから、県教育委員会といたしましては、民間や市町村だけでは対応できないジャンプ場の整備や県営のサマー・スキージャンプ場を設置しているところであります。
 今後におきましても、市町村との連携による冬季スポーツ指導者講習会の開催や全国レベルのスキー大会の誘致などにより、県民のスキーへの興味、関心を高め、既存施設の有効利用を図りながら、スキーの振興に努めてまいりたいと考えております。
   

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後3時13分 休憩
   

出席議員(44名)
1  番  及 川   敦 君
2  番  飯 沢   匡 君
3  番  樋 下 正 信 君
4  番  照 井 昭 二 君
5  番  柳 村 岩 見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  吉 田 昭 彦 君
8  番  工 藤 大 輔 君
9  番  川 村 農 夫 君
10  番  佐々木 順 一 君
11  番  佐 藤 力 男 君
12  番  阿 部 静 子 君
13  番  阿 部 富 雄 君
14  番  水 上 信 宏 君
15  番  田 村   誠 君
17  番  中屋敷   十 君
19  番  及 川 幸 子 君
20  番  阿 部 敏 雄 君
21  番  川 口 民 一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉 藤   信 君
24  番  伊 沢 昌 弘 君
25  番  田 村 正 彦 君
26  番  上 澤 義 主 君
27  番  瀬 川   滋 君
28  番  佐々木 大 和 君
29  番  藤 原 泰次郎 君
31  番  谷 藤 裕 明 君
32  番  菊 池   勲 君
33  番  佐々木 一 榮 君
35  番  高 橋 賢 輔 君
36  番  小 原 宣 良 君
37  番  長谷川 忠 久 君
38  番  千 葉   浩 君
39  番  吉 田 洋 治 君
40  番  工 藤   篤 君
41  番  菅 原 温 士 君
43  番  山 内 隆 文 君
44  番  折 居 明 広 君
46  番  藤 原 良 信 君
47  番  及 川 幸 郎 君
48  番  菊 池 雄 光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君
51  番  吉 田   秀 君

欠席議員(6名)
16  番  岩 城   明 君
18  番  千 葉   伝 君
30  番  船 越 賢太郎 君
34  番  伊 藤 勢 至 君
42  番  佐 藤 正 春 君
45  番  村 上 惠 三 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時32分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小原宣良君。
   〔36番小原宣良君登壇〕(拍手)


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