平成13年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(工藤大輔君) 自由党の工藤大輔でございます。
 本定例会に登壇の機会を与えてくださいました先輩・同僚議員に感謝を申し上げ、質問に入ります。
 最初に、県民の目に見える地方分権社会の推進についてお伺いします。
 地方分権一括法が施行され、分権社会の構築に向けたさまざまな努力が続けられておりますが、さらなる前進のためには余りにも高いハードルが待ち受けているように思います。
 その第1は、財源の問題であります。機関委任事務の廃止など制度の改善がなされても、国庫補助金等での国による縛りがなくならなければ国と地方の関係は基本的には変わりません。自主財源の確保とあわせて、自治体がみずから治めるという自主性や創意工夫の芽は摘まれてはなりません。第2は、行政機関の重複であります。国とその出先機関、県とその出先機関、そして市町村と、幾重にもわたる行政機関の重複はむだも多く、できるだけ現場に任せる観点で見直すべきであります。出先機関の中には、意識の上で地元の代弁者になり切れず、顔は中央を向き、実質的な権限も多くないように思います。中間の機関の廃止、縮小、統合も必要ではないでしょうか。第3は、真に分権を進めるためのリーダーの姿勢であります。国会議員を初め、首長や地方の各分野の指導者は、分権社会についての共通した認識と行動が必要であります。現実には、各論になると分権の趣旨とは逆の行動がいまだに多いと思います。第4は、地方分権社会に向けた県民や市町村の盛り上がりの欠如であります。これまで地方分権の熱心な議論は、分権の受け皿として市町村よりむしろ県が前面に大きく出ていたことや、法律上の事務的論議が多く、まちづくりなど現場の目に見えて役立つものが少なかったことがあります。一体どこが変わったのか、どのように変わるのかわからないというのが県民の現実ではないでしょうか。県民が日常生活の場面で地方分権とどうかかわるのかを意識し、認識を深めることが大切だと思います。県におきましては、これらのハードル解消に向け鋭意取り組みを行っていると思いますが、私は、特にも市町村と、そして地域での住民レベルの盛り上がりの必要性を痛感しています。
 そこで、県としては、県民とともに、県民にわかりやすく、目に見える地方分権社会を構築していく必要性をどう認識され、どう取り組みを行っていくお考えか御見解をお伺いします。
 また、県は今年度、人と権限と財源を3点セットにして市町村に移譲する岩手モデルとも言える試みに取り組むなど、分権社会を目指し、市町村を重視する姿勢を鮮明にしています。この試みには、市町村との協議の結果、9市町村から19事務の希望があったということを常任委員会でお伺いしました。私は、当初かなりの市町村が名乗りを上げると思いましたが、さほど多くなかったことを見ると、市町村との間に意識のずれがあるように思います。
 県としては、9市町村にとどまった現状をどのように認識しているのでしょうか。また、14年度から実施するに当たり、現段階においてこの制度の実現の見通しをどのようにとらえているのかお伺いします。
 次に、行政品質向上運動についてお伺いします。
 経済の成長が不安定な中、行政の透明性や県民へのサービスの向上を求める要請が高まり、地方分権への対応の必要もあって、行政運営の仕組みを抜本的に見直し、新しい行政システムを構築することが緊急の課題となっております。
 県におきましても、行政システム改革大綱を定め、生活者や地域から始める新しい行政システムの確立を目指し八つの視点で改革を進めており、パブリックコメントや行政評価制度など新しい仕組みも導入しながら改革を進めています。また、同時に、民間企業において経営改革のツールとして採用されている経営品質向上運動にも取り組んでおります。知事も、毎年の演述の中でもこの取り組みについて触れられ、本年2月の知事演述においては、県職員が一丸となって行政品質向上運動に取り組んでいると意欲的に述べていらっしゃいました。
 しかし、実際には、役所の仕事の性格上、意識を企業感覚の方向に変えていくということは至難なことであり、実現するためには、強力なリーダーシップと職員の意識の共有が不可欠であります。県におきましては、14年度に向けて、再度、外部診断に取り組みたいとしており、前回より100点アップの500点を超える目標を設定するようですが、職員全体への浸透について検証等も必要となってくるのではないでしょうか。私は、この取り組みは民間手法導入の一つとして理解しておりますが、一方で、行政システム改革大綱との関係など、いま一つ理解できないところがあります。県では、この運動を行政システム改革の中にどう位置づけているのでしょうか、取り組みの現状と今後の方向もあわせてお伺いします。
 次に、県における民間からの人材登用についてお伺いします。
 私は、民間からの人材登用は、県庁の組織の活力を高める上で大変意味をなすものと考えています。県におきましては、現在、人材育成のために、各種研修の改善や自治大学校への研修派遣、また、各部門からの民間や海外への職員の派遣などに積極的に取り組まれています。しかし反対に、民間からの登用は、年限を区切った特別のケース以外は多くないように思います。県の組織全体を見ると、企画立案部門などさまざまな分野で民間からの専門家の登用が可能ではないかと思います。私は、特にも佐藤総合政策室長率いる総合政策室の設置に大きな期待を寄せています。政策立案能力の向上による県勢の発展を期待しており、この分野などにシンクタンクや専門的知識を持った人材登用を積極的に進めてはどうかと思います。民間の有能な人材がこれまで培ってきた経験を生かし、地方行政での活躍を希望しているケースも多いものと思います。同時に、県庁に新しい風を吹き込んで、組織をより活性化させることにも大きく役立つものと考えます。
 そこで、県におきましては、民間からの人材登用について、中でも政策立案強化のための民間登用についてどのようにお考えかお伺いします。
 次に、地方交付税改革の市町村への影響についてお伺いします。
 その一つが地域総合整備事業債の廃止についてであります。この制度によって、それぞれの地域において、みずからの知恵や発想でこれまでにない独創的な施設整備など地域活性化に向けたプロジェクトが実施されてきました。自主財源が極めて少ない中で、創意工夫を凝らした地域づくりを進めるためには、この制度は欠かすことのできないものであります。反面、自治体が施設整備に安易に利用するという批判もあることは承知しておりますが、この制度が果たす役割はいまだに大きく、廃止によって地域づくりに大きく制約を受け、後退することが懸念されます。
 県は、この制度が市町村の地域づくりに果たしてきた役割をどう評価し、今回の見直しをどう受けとめているのでしょうか。また、今後、市町村財政の円滑な運営に向けてどのように指導していくお考えかお伺いします。
 第2は、段階補正を見直す方針を打ち出している点であります。同じ小規模な団体でも、合理化が進んでいる自治体をモデルにしてこの割り増し制度を見直す考えのようですが、さきの岩手日報紙でも報じられましたように、例えば、県内で最も人口の少ない山形村は自主財源比率は14.3%で、財源の半分以上が地方交付税となっています。県内市町村全体でも3割以上を交付税に依存している現実があり、町村レベルでは山形村と同様な財政事情のところも多いわけであります。この見直しは、財政需要が今後増加していく中で深刻な不安を与えています。
 この制度は、これから年末にかけて本格的な議論になると思いますが、本県のような現実を無視した形で一方的に廃止を行うようなことがあってはならないと思います。県としては、この問題をどのように受けとめ、今後どう対応していくお考えか御見解をお伺いします。
 第3は、県事業として、地域総合整備事業債等の活用を見込み、検討が進められてきましたエコパーク平庭高原の整備についてであります。これは、平庭高原地域の豊かな自然環境や生活文化を最大限に生かしながら、環境の視点に立ち、ゼロエミッションなど環境共生型の新しいライフスタイルの実践の場を目指して、滞在拠点の整備を進める事業であります。地域におきましては、活性化の新たな起爆剤となるものとして大きな期待を寄せています。県では、平成11年度に基本計画を取りまとめておりますが、葛巻町、山形村両町村との連携のもと、計画どおりの事業の着手、完成が望まれている一方で、厳しい県財政のもと、国においては地域総合整備事業債制度の廃止などの動きもあり、本事業の先行きについて地元関係者は大変危惧しております。
 そこで、基本計画策定以降の本事業の進捗状況と今後の見通しをどのようにお考えかお伺いします。
 次に、廃棄物処理と環境保全対策についてお伺いします。
 去る10月11日、種市町の宿戸地区の水道水源である大浜川が鶏ふんまじりの大量の土砂の流出で汚染され、町が大浜川からの取水を停止する事態が発生しています。給水人口950人に影響を与え、取水再開のめどは今でも立っていない状況にあります。県が行った水質検査によると、COD──化学的酸素要求量──が周辺の沢水の約40倍、アンモニア性窒素に至っては、上流の地域で通常の1、800倍、河川下流域においても最高で通常の50倍の量が検出されました。私も現地を視察してまいりましたが、一帯は鼻をつくアンモニア臭が漂い、土が緑色に変色をしていたり、土というよりむしろ砂浜の上を歩いているような感触でありました。
 水道水源の汚染という最悪の事態に至ったのはなぜなのか、私は、まず、常時の監視、指導について疑問を持つものであります。監視を行うのは県なのか市町村なのか。五、六年前から投棄している現状が産廃Gメンの発見でようやく不適正投棄として認識されました。その第1の要因には、水質汚濁防止法の特定施設として鶏舎には届け出制の規定がなかったことが挙げられます。第2には、産業廃棄物という観点では保健所、畜産の指導であれば農政当局、みずからの自治体の水質を守るという観点では町にそれぞれ責任が分かれていたこと、第3には、平成16年度までに家畜排せつ物法による施設管理も義務づけられている背景の中で、担当部局は巡回指導もしておりましたが、現行では法的根拠がなく、事業者から処分方法の正確な状況を聞くことができなかったことが挙げられます。また、今回の事例は、事業所が種市町にあり、投棄場所が大野村であったこともあり、隣接する市町村間での上流と下流の連携の問題も残ります。
 私は、住民生活に直結する水道水源を守り、県が標榜する環境首都を実現していくのであれば、今回の事案を一つの教訓として廃棄物処理についての県下の現状を改めて認識するとともに、監視・指導体制についての県と市町村間、また、隣接市町村間の連携の強化、業界の環境保全への認識強化をより一層講じるべきと考えます。県におきましては、特に水源保全の観点から、廃棄物処理の県内の現状をどうとらえ、今後どのように対応していくお考えかお伺いします。
 次に、介護保険制度の運営についてお伺いします。
 これまで社会保障の分野において、年金、医療よりおくれをとっている福祉の充実を図ることや、深刻化する高齢化の進行に一層対応するなどのため導入されたのが介護保険制度であり、当初からさまざまな問題を抱えたままの見切り発車でありました。現行制度で1年半が経過いたしましたが、一度立ちどまり、制度の課題や問題点をしっかり検証してみる必要があるのではないでしょうか。
 いわていきいきプラン2005の計画目標達成状況を見ますと、岩手県高齢者保健福祉計画においては、個別健康教育における被指導実人員が極端に確保されなかったこと以外はおおむね目標が達成されていると思いますが、もう一方の岩手県介護保険事業支援計画におきましては分野別に達成度が低い状況にあります。しかも、圏域別に見るとサービスの格差が極端にあらわれている面も指摘できます。例えば、訪問介護サービスにおいては医療との区分が不明確であり、ケアプラン作成時の振り分けが難しいという指摘があります。また、訪問看護指示書を出さず往診対応や医療の訪問看護で対応されているため、地域に訪問看護ステーションができてもサービスが利用されにくい状況もあり、事業者は運営に苦慮しております。また、医療機関や介護支援専門員との連携が不十分なケースも聞いています。
 また、訪問介護や通所介護等の主な居宅サービスの利用者の9割は満足しているという調査結果があるものの、訪問リハビリテーションや痴呆対応型の共同生活介護、介護療養型医療施設の利用においては、サービス事業者、施設の不足、専門スタッフがいないなど体制が不十分な面もあり、結果として地域間で格差が生じている状況があります。私は、地域の独自性という名のもとにサービスの格差が生じることがないように、県のコーディネートの役割に大きく期待するものであります。
 そこで、県におきましては、地域における介護保険サービスのさまざまな基盤の格差をどのようにとらえ、この解消にどのように取り組むお考えかお伺いします。
 また、ノーマライゼーションの精神の高まりや介護予防を進める観点から、リハビリテーションの体制強化が求められています。これまで地域においては、市町村での機能訓練事業を初め、老人クラブやボランティアの協力のもとに取り組んでこられました。県におきましても、先導的役割を担っていただくためにこれらのことに支援してまいりましたが、圏域ごとに見ると、施設や専門員が不足しているところが沿岸全域や県北地域に見受けられます。可能な限り住みなれた環境でリハビリテーションが受けられる体制を整備するには、広域支援センターの強化と地元医療機関の協力も不可欠であります。
 そこで、地域におけるリハビリテーション機能強化のための介護機器の普及や理学療法士、作業療法士などの専門職員の人材確保と配置について、その現状と今後の方向をどのようにお考えかお示し願います。
 また、要介護にならないための予防と、要介護となった方々の心のケアも重要と考えますが、どのように取り組むお考えかあわせてお伺いします。
 次に、BSE検査についてお伺いします。
 一昨日の一般質問でも取り上げられましたが、私は、2頭目の発症確認による混乱を見るにつけ、一次検査結果での公表には改めて疑問を抱かざるを得ません。むしろ消費者の不安感をあおるのではないでしょうか。一次検査が陽性でも、その牛肉はしっかり保管され、市場には出回る危険はなく、最終確定前に急いで公表する意義は私には感じられません。仮に一次検査における陽性の公表が結果的に確認検査で陰性とされた場合、この間の風評被害は極めて甚大になると考えます。
 県としては、このような場合の生産者や流通、販売、飲食店等における損害などの影響をどのように評価し、判断した上で今回の県独自の公表方式を採用することとしたのか御見解をお伺いします。
 次に、教育問題についてお伺いします。
 第1に、学力向上の取り組みについてであります。今、平成14年度から実施される新学習指導要領を中心とするいわゆるゆとりの教育が全国的に大きく議論されています。人格形成や生きる力をはぐくむことの必要性が求められる中、学力低下が危惧されています。現実には、ゆとりの教育の建前とは相反して、受験競争は変わらず行われていくと思います。この指導要領は全国一律の適用ではありますが、私立の学校では、その特性から国の示す内容に従わない方針を打ち出している学校も少なくありません。企業や官庁のメカニズムや過去の経験などから考えても、徐々に人物重視の傾向に移行はしても、学力がそれほど意味をなさなくなるとは考えられません。世界的に見ても、実力主義と言われるアメリカ企業では日本企業以上に学歴が重視されている事実もあり、MBAなどの資格を有する人材が重視されています。これからの我が国は、産業構造が変化する中、激化する国際競争に打ち勝つ人材を育てることがますます重要となっています。確かに、大学に入ることや高学歴を積むことだけが最終目標でも幸せになる条件でもないわけですが、学力向上を図ることにより、本県の子供たちには実現可能な多くの選択肢を与えてあげたいものであります。
 岩手という自然豊かな大地と風土の中で生まれ育った子供たちは、全国的に増加が指摘される青少年の犯罪も少ない傾向にあり、都会の子供たちと比べ、人間性から見てもすばらしい特性と素質を持ち合わせております。県教育委員会としては、これから予測される社会の変化等に対応して、学力向上についてどのようにお考えか、また、本県児童生徒の学力向上にどのように取り組むお考えかあわせてお伺いします。
 第2に、魅力ある学校づくりに向けた改革への取り組みについてであります。都市部を中心に、学区を廃止し、生徒や保護者が学校を選ぶことができる学校選択制のシステムができつつあり、公立学校も選ばれる時代に入りました。法律の改正により、教職の資格がなくても校長になれるようにもなり、公募制による民間人校長も全国で6人誕生しています。多様化する教育ニーズにこたえながら、新たな取り組みを積極的に取り入れ特色化を図ることは、学校内の閉塞感を取り除き、学校同士が切磋琢磨し、高め合うこととなります。
 このシステムは狭い地域に多数の学校が存在するからこそ成り立ちますが、地方では地域のつながりが強く、隣の学校までの通学距離の面などから学区が存在し、学校選択ができにくいのが現状であります。それゆえに都市部に決して引けをとらない教育方針が必要であり、これまで以上に個々の学校の自己責任と教師陣の質が問われてくることと思います。確かなコンセンサスのもとで、教師陣の教える喜びと生徒の学ぶ喜びとが相まってその効果が発揮されるわけですが、県におきましては、魅力ある学校づくりのための改革にどのように取り組んでいるのでしょうかお伺いします。
 第3に、教師の資質についてであります。教師は、生徒の学力にとどまらず、人間形成に大きな役割を負っています。しかし、現実は、全国的に生徒と教師の距離が離れ、信頼関係を構築できないことから、学校・学級崩壊などさまざまな問題が起こっており、また、教師間の競争の意識の欠如も指摘されます。
 このような中、教育改革の一環で不適格教師の配置転換も可能となってきました。国は、一つの方針として、教職以外の事務職などへの配置転換を示しております。しかし、私は、不適格と判断された教師の配置転換でこの問題が解決するかどうか疑問があります。教師としての職責が果たせなくなった以上、その教師は教育現場を離れるべきと考えます。今年度の教員採用試験の受験倍率を見ると、小・中学校教諭が14.2倍、県立学校教諭が8.1倍など、ここ二、三年では比較的低いものの、教師への道はいまだ狭き門であり、今後もこの傾向は続くものと思います。裏を返せば、それだけ意欲と情熱を持った教師予備軍が多いと言えます。新たな可能性を秘めた人材にチャンスを与え、期待し、時代に適合した教師のもとで学べる環境を整える方が生徒のためであり、ひいては学校全体の士気につながると思います。今後、この制度の運用に当たっては、不適格教師の定義づけなど基準設定に御苦労されるものと思いますが、校長や教育委員会の評価だけでなく、教わる側の評価も取り入れ、公正かつ厳格な基準を設け、オープンに取り組んでいただきたいものであります。
 そこで、教師のための学校ではなく生徒のための学校であるという観点に立って、県教育委員会としては、いわゆる不適格教員の問題にどのような姿勢で取り組むお考えか御見解をお伺いします。
 最後に、災害復旧対策についてお伺いします。
 去る9月11日から翌12日にかけての台風15号により久慈市を中心に最大200ミリメートルの豪雨があり、久慈地方に大きな被害が発生しました。特にも種市町は、公共土木施設を中心に、土砂崩れや道路の決壊など多数の箇所で被害が発生し、被害額も多額に上っています。これまで大きな災害の発生がなく、また、財政基盤の弱い地域に被害が集中して発生したことで、地元町はその対策に大変苦慮しています。ぜひ県の力強い支援を心から願うものであります。
 その後、公共土木施設の被害箇所の測量なども実施されたと思いますが、県としては、現段階での種市町の状況をどう把握され、今後、災害査定や復旧等に向けてどのように取り組まれるお考えかお伺いします。
 また、平成11年に軽米町を中心に発生した豪雨災害では、県事業として、河川改良総延長が18キロメートル、関係地権者が約460人、家屋移転が120戸という過去に例を見ない大規模な河川改良復旧事業が進められています。私は、川づくりにより地域一帯が新しい空間として再生する姿を見るにつけ、感慨無量のものがあります。
 しかし、一方では、当該事業は工期が4年から5年に限られており、全体工事の進捗にいささか不安も禁じ得ません。県におきましては、復旧事業の進捗の状況をどのように認識され、また、今後の見通しをどのように立てていらっしゃるのかお伺いします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤大輔議員の御質問にお答え申し上げます。
 地方分権社会の構築について、これを県民の目に見える形でということでございますが、確かにこの点については、今現在も御指摘のとおり、不十分であるというふうに私も思っております。今回のこの地方分権改革というのは、機関委任事務の廃止、関与の縮減、そして必置規制の緩和、権限移譲、さらには県と市町村の新たな対等・協力関係の構築など、国と地方公共団体、あるいは県と市町村に関する制度的な改革が主でございまして、従来の国や地方公共団体間の上下意識を払拭する改革としては、これは一定の意義があったものというふうに思っております。しかし、県民の権利や生活に関しては、国からの権限移譲が十分に進まなかったといったこともありまして、県民にとりましては、いまだ改革の成果が見えにくい面もあったと、このように考えております。
 私は、地方分権とは、地方公共団体の自主性、自立性を高めて、住民に身近な行政をできる限り身近な地方公共団体において処理することを基本とするものと。要は、市町村がその中心になるということが基本だというふうに思っております。そういう意味で、今回の改革では、地方公共団体が自主性、自立性を発揮できる基盤となる税財源の再配分や、県民の権利や生活に関する権限移譲などが将来の課題としてまだ残されておりますので、今後は、こうした県民の目に直接見える項目を、改革の俎上に上げていくことが必要と考えております。
 このため、今後の県の取り組みにおきましては、今、設置されております地方分権改革推進会議の議論を見ながら、税財源の再配分などについて、地方の立場を積極的に主張をしていくことがまず必要だと思いますし、県事務の市町村への一括移譲の試行などを通じて国に対して提言を行って、こうした具体的な分権改革の取り組みの姿を県民の前に提示することによって、地方分権に対する理解を深め、その推進の機運の醸成を図っていきたいと考えております。
 また、一方で、市町村におきましても、基礎的な自治体として、こうした分権改革を主体的にとらえて積極的に発言していくとともに、また、住民に説明をしていく姿勢が強く望まれるところでもございます。いずれにしても、私ども県としては、同じ地方公共団体として市町村と十分に連携をしながら、真の分権社会の構築を進めてまいりたいと考えております。
 次に、民間からの人材登用についてでございますが、本格的な地方分権時代にあって、みずからの判断と責任で個性を生かした地域づくりを進めていくためには、県職員の政策形成能力の向上を図ることはもとより、即戦力としての専門的な知識、技能、経験などを有して、すぐれた政策立案能力を備えた人材を、官民を問わず幅広い分野から確保するなど、県民に対して、より質の高いサービスを総合的に提供できる体制を整備することが必要だと、このように考えております。
 今、お話しのあった特に民間からの人材登用については、これまでの県での実績を申し上げますと、火山対策や並行在来線対策など、こうした重要課題に対応する部署に外部から人材を招聘してまいりました。それから、一定の任期で民間の研究機関などから研究者を採用するという制度を新たに創設して、その第1号で、本年度は、環境保健研究センターに重点研究課題であるイヌワシなどの希少猛禽類の専門家を配置することとしたところでございます。こんなのがこれまでの民間登用の実績でございます。
 行政とは異なる組織環境のもとで得られた専門的知識、そして経営感覚を県政に活用することを目的として、今年度から新たに、民間企業などの職務経験者を対象とした採用試験を今実施してございます。これは社会人採用という形で呼んでございますが、こういう試験を今実施しているところでございまして、民間で培った経験に基づく政策立案能力などにも着目しながら、選考を進めているところでございます。
 今後も、こうした自立した政策自治体としての総合的な組織力を向上させるということで、戦略的な政策形成能力を備えた職員を要請するということも行ってまいりますし、それから今お話しございましたように、民間企業等広範な分野からの人材登用も進めていきたいと、このように考えております。
 次に、廃棄物処理と環境保全対策についてでございますが、廃棄物の不適正処理が河川などの公共用水域の水質汚濁を招く主要な原因としては、ただいま議員からお話がございましたような家畜排せつ物に起因する水質汚濁のほかに、河川区域や山林への廃棄物の不法投棄などもございます。このうち、前者の家畜排せつ物によるものにつきましては、年間、本県内で30件程度発生をしてございまして、このため、本庁それから各地方振興局に関係課や保健所、農業改良普及センターなどの出先機関、市町村、関係団体で構成されたたい肥生産利用推進協議会を設置して、そこと緊密な連携のもとに巡回指導を行うなど、こうした排せつ物の管理の適正化を図ってきてございます。これが今までの体制でございます。
 県下全域への不法投棄対策につきましては、ことしの6月に、クリーンいわてローラー大作戦というもので一斉点検を行いまして、全県で大変箇所数は多かったわけですが、729カ所の不法投棄場所が確認されております。これらの不法投棄箇所のうち、約40%に相当する291カ所が河川区域、そして砂防指定地内でございましたが、これらについては、当然、水道水源に近いなど、緊急性の高いものもこの中に含まれておりますので、現在、県が市町村の協力も得ながら、廃棄物の撤去、処分に取り組んでいるところでございます。
 前回の9月にもまた補正予算、この関係をお願いしたところでございまして、お認めいただきましたので、そういった予算も使って今こうした部分、場所についての撤去、処分に取り組んでおります。
 今後の対応について今お問い合わせもございましたが、こうした状況にかんがみまして、特に河川区域での不法投棄それから水道水源地域での家畜排せつ物の処理に関しまして、河川監理者の巡視や産廃Gメンのパトロールをこうした場所については特に重点的に行うなど、市町村そして関係機関と連携しながら監視指導を強化してまいりたいと。一層そうした監視指導を強化してまいりますとともに、不適正処理が現実に確認をされた際には、関係法令に基づき厳正に対処していきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) まず、市町村への一括事務移譲についてでありますが、この事務移譲は、住民に身近な行政はできる限り市町村にゆだねることを基本とするという地方分権の考え方に立ち、県の事務事業について、人的、財政的支援を伴って一括して市町村に移譲しようとするものであり、地方自治法の事務処理の特例制度など、既存の制度を組み合わせて試行的に行おうとするものであります。
 実施に当たりましては、移譲対象を、県の事務事業のうち、住民に身近なもので市町村が行う方が適当なもの、一つの市町村または広域連合で完結するもの、さらには、単年度または長くても5年程度で終了するものなどと設定して、市町村に照会したものであります。各市町村におきましては、事務事業計画等との調整など、それぞれの実情を勘案しながら検討を行い、結果、9市町村から19事業の要望があったところであります。これらの事務事業について即移譲が可能であるか、それぞれの性格、あるいは制度的な背景などを精査して移譲の可能性について検討を行い、候補となるものを数件に絞り込んだところであります。今後、さらに対象市町村との調整を行い、来年度試行を実施したいと考えております。
 この一括事務移譲につきましては、地方分権の推進の有効な手法の一つと考えており、今後におきましても、県と市町村が共通の認識を持って取り組みを進めることができるよう、努めてまいりたいと考えております。
 次に、行政品質向上運動についてでありますが、本県では、平成10年度に第三者の客観的な目で本県行政のあり方を審査するため外部診断を実施し、その結果、民間企業の経営管理と比較して、業績評価機能や県民満足度の向上に向けた取り組みが十分でないことなど、本県の組織運営、事務事業の執行上の課題が指摘されたところであります。これを受けまして、平成11年2月に策定した岩手県行政システム改革大綱の中で、行政にも民間の経営管理の考え方を導入し、改善に継続的に取り組むことを定め、その具体的な対応の一つとして、行政品質向上運動に取り組むこととしたものであります。この運動は、行政サービスを通じた県民満足の実現を目指して各職場で組織の自己診断を行い、それに基づき、業務方針の策定とその管理、業務改善などのいわゆるTQM活動、さらには県民からの提言や意見、苦情への対応や職員間の情報共有の仕組みの構築など、行政経営の質を高めるため、各職場、各職員が改善を推進していこうとするものであり、平成12年度から取り組んでいるところであります。
 この運動では、リーダーシップの発揮が重要であることから、幹部職員を対象とした研修から始めまして、今年10月からは、各公所ごとに業務方針を定め、その進行管理を始めるとともに、それぞれ改革・改善活動に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、職員の意識改革の徹底、職員満足の仕組みづくり、さらには組織の縦割りの解消を目指すプロセス改善など、こういった項目に取り組み、この運動を一層進めていくこととしております。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) まず、地域総合整備事業債の評価と今後の対応についてでありますが、地域総合整備事業債は、地域の特性を生かした個性豊かな地域づくりを推進するため設けられたものであり、本県においても、地域のさまざまな分野において活用され、自主財源の乏しい本県市町村の自主的、主体的な地域づくりに大きく寄与してきたものと認識しております。しかしながら、一方で、経済財政諮問会議等において、特に箱物整備等について広域的な調整が行われず、安易な事業実施を誘発していること等の指摘を受けましたことから、来年度以降廃止するとともに、IT推進など、重点7分野を対象とした新しい制度の創設などについて検討されているものと聞いておりまして、県としては国における検討状況を見きわめながら、市町村が財政的な健全性を保ち、より広域的な視点に立って、効率的、計画的に地域づくりが推進されるよう必要な助言をしてまいりたいと、そういうふうに考えております。
 次に、地方交付税の段階補正の見直しについてでありますが、仮に段階補正の割増率が一律に縮減されるとした場合、小規模市町村ほどその影響が大きくなるものと想定されます。市町村にとりましては、今後さらに厳しい行財政運営の効率化が求められるものと考えております。
 県といたしましては、今や右肩上がりの時代ではないという現実を踏まえまして、市町村への行財政事務調査等、あらゆる機会を通じまして各市町村の実情等を把握して、具体的な数値目標等を盛り込んだ行政改革大綱の策定や、大綱に基づいた諸施策を計画的に推進するよう助言するとともに、今後、段階補正の見直しの具体的な内容が示された場合には、本県への影響額を試算して各市町村に周知するほか、国に対して必要な意見や提言を行うなど地方の声が十分に反映されますように、迅速な対応に努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、エコパーク平庭高原の整備に係る進捗状況と今後の見通しについてでありますが、基本計画策定後、県におきましては、昨年度は岩手県環境影響評価条例に基づき環境影響評価方法書を作成し、本年度は環境影響評価調査のほか、現況測量調査等を実施しております。また、本事業を効果的に推進するため、両町村が進めている多様な自然や生活文化資源を生かした地域づくりの目標となるエコミュージアム計画策定に助言するとともに、地域の方々が主体となって取り組まれている地域の食文化の研究、地域の歴史資源としての塩の道の活用の研究などの事業に対しまして支援を行っているところであります。
 今後におきましては、事業実施に伴う周辺の自然環境への影響や計画施設に対する需要動向などを的確に見きわめながら、具体の施設整備のあり方やハード面とあわせた環境学習プログラムなどソフト事業の展開、さらには、施設管理運営に当たる町村出資による第三セクターの経営計画などについて、両町村と密接な連携を図りながら鋭意検討を進め、おおむね平成18年度の開業を目指して事業を進めてまいることといたしております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、介護保険制度の運営についてでありますが、訪問看護ステーションや痴呆性老人グループホームについては制度施行当時と比べて増加しているものの、圏域によっては指定事業者が必ずしも十分には確保されておらず、訪問リハビリテーションについては一部の圏域を除き、専門のリハビリテーション従事者が確保されていない状況にあります。その他の居宅サービスについては、各圏域において指定事業者がほぼ確保されている状況にあります。このため、要介護者にとってふさわしいサービスが選択され適切に利用できることが重要であることから、県におきましては、介護基盤整備の担い手である市町村に対し、既に調査やヒアリング等を定期的に行い、基盤整備の進捗状況を把握し、整備のおくれなどに対しては必要な指導、助言等の支援を行ってきているところであります。
 今後におきましても、介護基盤整備の充実に向け、岩手県介護保険事業支援計画に基づき、市町村に対し必要な支援を積極的に行うとともに、必要に応じて既に立ち上げた岩手県介護サービス事業者連絡会等の事業関係者に協力を求めることとしております。
 次に、リハビリテーションの体制強化についてでありますが、まず、介護機器の普及につきましては、介護実習普及センターや県内113カ所の在宅介護支援センターにおいて、福祉用具の展示や利用相談等を行っているところであります。また、理学療法士、作業療法士については修学資金貸付制度を活用し、その養成、確保を図っているところでありますが、人口10万人当たりの配置数は全県では全国平均を上回っているものの、地域的には偏在している状況にあります。こうした本県の現状を踏まえ、本年3月に策定した岩手県地域リハビリテーション連携指針に基づき、既に7カ所、2次医療圏域ごとに地域リハビリテーション広域支援センターを指定し、地域におけるリハビリテーション従事者の研修、他施設への職員等の派遣や介護機器の相談等に係る支援などの役割を同センターに担わせ、圏域内の関係機関との連携を通じた地域リハビリテーション体制の、より一層の充実を図ることとしております。
 また、要介護者の心のケアについては、医師や介護支援専門員等によるチームケアにより、その方々の状況に応じて要介護者の方々の不安や悩みを解消し、自立支援を図りたいと考えております。
 さらに、介護予防については、今後ともいわていきいきプラン2005を通じ、あわせて健康いわて21プランを進めながら、健診事業などの健康づくりや介護予防事業等の促進を図ってまいります。
 次に、BSE検査についてでありますが、消費者の牛肉の安全性に対する不安が生ずる大きな理由の一つとして、BSEに関する正確な情報の不足による不透明さにあると考えております。このため、県民の方々に安心して牛肉を食していただくためには、牛肉を購入する消費者の視点で衛生管理対策を講じることが何よりも大切であることから、牛肉を安全であると判定していくBSE検査過程の透明性を高める観点からの情報の提供が重要であると考えています。このようなことから、一次検査の時点で速やかに検査結果を公表することとしたものであります。
 なお、仮に一次検査で陽性の牛が発見された場合、確定診断の段階でないことから、その公表の仕方については生産地等が特定されることがないよう、十分に留意して公表することとしております。
 このようなBSE検査過程の透明性を高める情報提供等の取り組みを積み重ねることによって、一次検査で陽性と公表し確定診断に至る期間にあっても、流通販売等市場に出回っている牛肉は安全であるとの県民の検査体制に対する信頼が十分得られるよう努力しており、生産者等の方々の状況にも配慮しながら対応しているものであります。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕

〇県土整備部長(竹内重徳君) まず、台風15号における種市町の公共土木施設に係る被害状況についてでありますが、県の災害が4件、町の災害が49件となっておりまして、公共土木施設ごとに申し上げますと、河川施設災害が、普通河川小山川ほか15河川で被害額3億5、900万円、道路施設災害が町道中野高家橋線ほか10路線で1億5、576万円、合計53件で、その被害額はあわせて5億1、477万円の申請となっております。
 今後の災害復旧へ向けての取り組みについてでありますが、12月3日から2週間にわたって災害査定が実施される予定となっておりまして、速やかな復旧に向けて、町と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、雪谷川河川改良復旧事業の進捗状況と今後の見通しについてでありますが、この河川改良復旧事業におきましては、地域住民の皆様方を初め、学識経験者や地元有識者で構成する河川整備懇談会を設置いたしまして、さまざまな御意見を反映した川づくりを進めているところであります。
 これまでの事業の進捗状況についてでありますが、用地補償関係につきましては地権者469名のうち431名、92%の方々と契約を行ったほか、移転戸数については123戸のうち119戸、97%の契約をいただいております。さらに、27世帯の御家族には既に仮住まい住宅へ転居いただいているほか、62世帯分の集団移転地の造成も着実に進んでおります。また、工事につきましては、延長18.3キロメートルのうち14.1キロメートルの区間、77%が今年度末に完成する見込みとなっております。
 今後とも、地域の皆様方や地元町村の御理解と御協力をいただきながら、平成15年の完成に向けて全力を挙げて取り組んでまいる考えであります。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) まず、学力向上についてでありますが、子供たちが変化の激しいこれからの社会を生きていくためには、いかに社会が変化しようとみずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考える力などの生きる力をはぐくんでいくことが必要であり、そのためには、前提となる各教科の基礎的、基本的な内容をすべての児童生徒に確実に習得させることが極めて重要であると考えております。そのため、県教育委員会といたしましては、チームティーチングや少人数指導、習熟度に応じた学習など、一人一人の能力、適性に応じた教育を推進するとともに、授業改善で効果を上げている学校の実践事例などを広く普及し、各学校が効果的な学習に取り組むよう指導しているところであります。また、学力向上には、教員の指導力の向上を図ることが重要であることから、授業方法や教材開発等に関する研修や、大学院への長期派遣研修などを実施しているところであります。
 今後におきましても、このような取り組みの一層の推進に加え、一人一人の子供たちに、基礎・基本が確実に定着しているかどうかを把握するための調査、内容等を充実するとともに、調査結果を踏まえよりきめ細かな指導を図るなど、本県児童生徒の学力向上に努めていきたいと考えております。
 次に、魅力ある学校づくりに向けた改革への取り組みについてでありますが、各学校が互いに切磋琢磨し質的な向上を図るとともに、明確な教育方針のもと、地域に根差した学校づくりを推進していくことは、極めて重要なことであると考えております。このため、県教育委員会といたしましては、各学校の創意工夫による特色ある教育活動が展開できるよう、地域の自然、文化や、人材を活用した農林漁業体験活動や郷土芸能の伝承活動を取り入れた学校独自の教育活動の充実などに取り組んでいるところであります。
 今後は、このような取り組みの一層の推進に加え、保護者や地域の方々の学校に対する意向を十分に把握し、学校運営に反映させるため、学校評議員の設置の推進や学校評価のあり方に関する調査研究に取り組むとともに、管理職の学校経営能力の向上を目指した研修を新たに実施するなど、各学校が地域の信頼にこたえた運営や教育活動を展開し、子供たちが生き生きと学び、成就感を感じることができるような魅力ある学校づくりの実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、教員の資質についてでありますが、教員は、その職務を通して児童生徒の人格形成に大きな影響を与えるものであることから、指導が不適切であるなど教員としての適格性が危惧される者に対して適切な人事上の措置を講じていくことが必要であると認識しております。このような考えから、これらの教員に対しましては、これまでも研修や個人指導等を通じて資質向上に努めるとともに、職場環境を変えるなどの措置をとってきたところであります。
 また、今般の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、教員以外の職種に配置がえすることが可能になったことから、教員の人事管理のあり方に関する調査研究委員会を今年度設置したところであります。この委員会では、これまでに指導力不足等教員の定義、判定基準、第三者を含めた判定会議のあり方、研修のあり方等について具体的な検討を行っているところでありますが、今後は、有識者、保護者、関係団体等の意見聴取などを経て、来年度中できるだけ早期に対応策を取りまとめるように努め、県民から一層の信頼が得られるよう適切な人事管理を行ってまいりたいと考えております。

〇8番(工藤大輔君) さまざま御答弁ありがとうございました。
 1点について再度質問したいと思います。
 狂牛病の検査報告に関してなんですけれども、エライザ法というこの検査方法は、さまざまな調査によって数値が異なるところもあるんですけれども、600頭から1、000頭に1頭の割合だとか、例えば2、000頭に1頭の割合で陽性という判断をされるケースが多々あると聞いています。陽性と判断された場合に公表したのであれば、その都度風評被害というものが発生すると思います。また、発生した場合に政策を立てるという観点でいくと、農林水産部、また、商工労働観光部の方からも、こういった風評被害が出て、例えば生産者について、また、外食産業や販売者に対してこのぐらいのマイナス効果が発生するという要請があって、そういうものを勘案して決めたと思いますけれども、私は、農林水産部、また、商工労働観光部の方で現状とっている貸付基金等に関して見ても不十分だと思います。
 私は、そのような観点から考えますと、いま一度再考をして、国の方針と一緒の形で二次の確定の方で公表した方が混乱をなくしていけるのではないのかと思いますので、このマイナスに働く経済効果等も考慮したのかどうか、もう一度この一次公表に至った経緯について詳しく教えてもらいたいと思います。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) BSEの一次検査時点で公表するに至った理由は先ほど御説明させていただいたとおりであります。
 これについて、風評被害が出るのではないかということでございましたが、せんだって北海道で陽性牛が出たわけでありますが、北海道も一次検査時点で公表し、そして確定時点でも公表するという二段階方式をとっております。一次検査で陽性であったということでせんだって公表したわけでありますが、そのときに、生産者あるいは消費者の方から、こういう公表方式はよろしくないというクレームは来ていないと私ども承っておりまして、そういう先行事例もございます。
 いずれにしても、先ほど述べたように、このBSEの検査の公表ということについては、消費者の牛肉の安全性に対する大きな不安は、正確な情報不足による不透明さということにあります。やはり県民の方々に安心して牛肉を食していただく、これは牛肉を購入する消費者でもありますから、その消費者の方々に安心して買っていただくためには、やはり食の安全の最後のとりでとなるBSE検査の透明性を高めて安心していただく必要がある、このような判断から採用させていただいたということであります。
 やはり消費者の方から見れば、御自身が牛肉をお食べになるわけでありますから、牛肉自体が安全かどうかということについても、行政がやる検査のみならず、生産者が行っている状況の透明性というものもやはり求められるのが消費者の気持ちではないかと思っています。しかし、少なくとも行政としては、食の安全の最後のとりでであるBSE検査について、できる限り透明性を高めて、そして県民に検査体制に対する信頼を十分得ていただいて、そして、食の不安を解消していただけるように努力している状況であります。

〇8番(工藤大輔君) 今、御答弁をいただきましたが、私は、今、農林水産部は本当にしっかりとした対策をとっていると思います。おそれがあるものがあっても決して市場に出回ることがないように、また、10頭ごとに刃をかえたりだとか、いろいろ苦労されてやっているわけですけれども、今、一番消費者が関心を持っているのは、狂牛病というものがマスコミだとかメディアの新聞とかで目に見えてしまうことにピクリと反応をしてしまうんだと思います。特にも家庭の主婦の方々は、買い物をするとき、そういったものが目に残ったり耳に聞こえたのが残ったりしているだけで買い控えするという現状がやっぱりあると思いますので、農林水産部の方ではしっかりとした対応をとっていると思いますので、私は、そのおそれがあるうちはやはり公表すべきではないと思いますし、関山保健福祉部長との認識とは少し違うものがありましたが、最後にお伺いしますが、佐藤農林水産部長、鈴木商工労働観光部長、それぞれ生産者、そして流通関係者、外食産業の人たちの分野を抱えていらっしゃるわけでありますので、その人たちの立場に立った場合、どのような形でこの公表方法に対して要請をしたというか、こうしてほしいという要望をしてきたのか、御所見をお伺いしたいと思います。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) ただいまお話のありました検査結果の公表についてでありますが、公表につきましては、庁内で連絡会議を設けておりまして、その連絡会議は、副知事を長とし、関係する部局長が構成メンバーになっております。その中で、エライザ法による第一次検査の結果の段階で公表するか否か、あるいは確定するまで待つか、いろいろ内部で議論をし、その中で第一次の段階で発表するということに決めた経緯があります。したがいまして、生産部門を預かる私どもあるいは流通を預かる商工労働観光部門と検査を実施する保健福祉部門とでそれぞれ食い違いがあるわけではございませんが、ただ、今、議員からいろいろお話ございましたので、生産の立場から検査の公表について御説明申し上げます。
 もともと検査を軸にしまして、検査の前の生産過程と検査を経た後の食肉の流通過程、それぞれ場面が違いますけれども、風評というお話がございましたが、BSEに対する不安とか、あるいは戸惑いとか、そういうものは生産者も、加工あるいは流通、処理を担当する者も、検査する側も、あるいは消費する側も、みんなで牛肉に対する安全性というものを確認していかなければならない。あるいは食の安全というものを意識していろいろみんなで考えなければならない。こういうことからすると、生産者は安心して出荷をする。その出荷を受けて、県は厳正な検査をする。そして流通に回る。そういうことをすべて透明性を高めてまいりますと、食べる側も生産する側も、その過程が明らかになれば安全性というものが高まってくるのではないか。つまり、検査を受けてもし疑陽性が出た場合、疑陽性が出たけれども、生産を預かる私どもとしては、生産の方々に対してきちんと対策をとるようにやっているよということを県民の皆さんにも知ってもらいたいし、そして、四、五日たって最終結果が出ますけれども、その間は冷静になって県民の皆さんにも理解をしていただく。それを積み重ねることによって、検査に対する信頼であるとか、あるいはいわて牛に対する信頼もまたおのずと生まれてくると。こういう観点から我々一枚岩になって、そういうことがむしろ食への信頼をかち得る方法だという観点から第一次検査の結果の段階で公表するということにしたものであります。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕

〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 私ども商工労働観光部門は、検査済み、いわゆる確定した牛肉について小売部門、卸売部門から流通部門を担っているわけでございまして、消費者の方々に安心して食べていただけるようにPRしていくことが私どもの役割でございます。これまで農林水産部と一体となりまして、10月には東京で銀河系フェスティバルをやりまして、そこで焼き肉コーナーなど、これは前年度よりやや低目の75%ぐらいを持っていったんですが、いわて短角牛は完売、前沢牛もまずまずということでした。それから、11月の県内のいわてめぐみフェアでございますが、このときはもう牛肉完売ということで、みんな検査済みということでこのときは私ども周知を図りましたし、焼き肉コーナーなどを設置して消費の回復に努めたところでございます。それから、今はお歳暮シーズンでございますので、県産品愛用運動の中で、県産の牛肉はすべて検査済み、確定と出たものは安全であるというPRを行っております。それから、首都圏のいわて銀河プラザでは岩手県産の牛肉を販売しておりますけれども、毎日順調に売っている状況でございます。それから、この12月中旬には、銀河いわてプラザで焼き肉などの試食販売などのキャンペーンを行いますし、1月以降においても引き続きアンテナショップ等でそういった牛肉等の販売促進を行ってまいりたいと思います。
 このような一つ一つの積み重ねが消費の回復につながってくるものと考えております。私どもは、検査したものは安全だということで流通部門でいろいろ販売に努めているわけでございます。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、照井昭二君。
   〔4番照井昭二君登壇〕(拍手)


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