平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第90号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例等の一部を改正する条例について質問します。
 私は、増田知事や特別職の三役がみずからの意思で給与を削減することに反対するものではありません。しかし、一般職の管理または監督にある職員まで対象にして、給与を削減しようとしていることは問題であります。
 公務員の賃金は、スト権を剥奪した代償として人事院、人事委員会制度のもとでこの勧告を受けて実施をされてきました。この3年間、3年連続でマイナス勧告で、県職員の賃金は減少しています。今年度の勧告では、40歳の係長級、配偶者・子供2人で2万2、000円の減収となり、3年間では20万円の減収となっています。3年間の県職員の減収額は135億円に及んでいます。
 そこで知事に質問します。
 第1に、人事院勧告に基づく給与改定で3年間も減収を強いられているのに、知事提案でさらに給与の削減を行おうとすることは、人事委員会の制度を無視することになるのではないでしょうか。管理職まで給与を削減する法的、論理的根拠はあるのでしょうか。
 第2に、管理職の今年度の給与改定による減収額、この3年間の減収額はどうなっているでしょうか。今回の給与削減による減収額は、1人平均また総額ではどうなるでしょうか。その経済波及効果も示していただきたい。
 第3に、対象となる管理職は総数で何人となるでしょうか。知事部局、教育委員会関係で対象となる部署、人数、削減額をそれぞれ示していただきたい。
 第4に、医療局、企業局には波及すべきではないと考えますが、どう対応するつもりでしょうか。
 第5に、今回の削減の理由に、昨今の県内景気の低迷、厳しい雇用情勢を踏まえ、県民と痛みをともにするとしていますが、小泉内閣のもとで景気が回復せず、雇用情勢もさらに深刻になると予想されていますが、だとするなら、この削減措置は今後も続かざるを得ないのではないでしょうか。あくまでも一時的措置なのか、情勢、状況次第では、削減を継続するものなのか示していただきたい。
 第6に、本来、県知事として、また、県の幹部職員として果たすべき本当の役割は、県政のむだ、不要不急の公共事業を見直し、県民の雇用と暮らし、福祉、医療の充実こそ図るべきではないでしょうか。
 利用人員が低迷している中での花巻空港滑走路延長に278億円、計画と大きく乖離している港湾整備事業や必要のない盛岡駅西口複合施設220億円、見直しのないすこやか子どもランドの58億円など、こうした大規模プロジェクトの見直しこそ図るべきではなかったでしょうか。今回のようなパフォーマンスより、県政のむだにメスを入れて、県民の雇用と暮らしを守る施策の充実こそ、図るべきではなかったでしょうか。
 最後に、知事は昨年11月以降、新聞報道だけでも7回以上の政治資金パーティーを開催しています。知事みずからが政治資金集めをする一方で、県庁の管理職職員には賃金の削減を求めることに矛盾を感じないでしょうか。また、政治資金パーティーでは、県から発注を受けている企業、業者も多数参加していると思いますが、公共事業等を発注する知事が、政治家としてこうした業者からパーティー券を買ってもらう、献金をもらう、このことこそただすべきではないでしょうか。
 答弁次第では再質問いたします。

〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答えをいたします。
 幾つかございましたので順次お答え申し上げます。
 まず、管理職の給与の減額措置についてでございますが、これは、先ほど御答弁申し上げたところでもございますが、現下の雇用情勢の悪化などを踏まえて、私ども特別職だけでなくて、一般職の職員も含めて、一定程度の減額措置を講ずるということで県民の皆さんと痛みを分かち合う、みずからの痛みとして受けとめるという必要があるということで、そう判断をして行うものでございまして、今後もこの人事委員会の勧告というものはこれは尊重をしていかなければならない。人事委員会の勧告を尊重して給与を決定していくと、これは原則でございますので、これは維持していかなければならないというふうに考えておりますが、その上で、今申し上げましたような現下の諸情勢を踏まえた臨時そして特例的な措置ということで、議会の方に提出をさせていただいたものでございます。
 それから、医療局と企業局、こちらはまた対応が別ではないかというお話でございましたんですが、この医療局と企業局の職員につきましては、地方公営企業法がこちらは適用されるわけでございますが、その法律によりまして、そちらの職員の給与については、条例で給与の種類そして基準を定めるということとされております。
 具体的な支給額などはその管理者である医療局長であったりあるいは企業局長が定める規定にゆだねられているところであるわけですが、今回のこの減額の措置というその趣旨、先ほど申し上げました趣旨を考えれば、やはり医療局あるいは企業局の職員についても特に別扱いをする理由はないというふうに思っておりまして、同じ県の職員として、同様の措置をやはり講じていただく必要があるというふうに考えております。その旨、それぞれの管理者である局長に要請をしているところでございます。
 それから、この減額措置ですけれども、これは一時的なものかどうかと、場合によっては継続するものかどうかということのお尋ねでございますが、これは臨時・特例的な措置ということで考えておりますので、1年間の限定的な措置ということで提案をさせていただいております。人事委員会の勧告を基本とするということから言えば、この措置が長期にわたることは、給与決定の原則から見て、やはり適当ではないということでの1年間の限定的な措置ということで条例改正を提案させていただいているところでございますので、現時点では今回のような減額措置をさらに継続することは予定をしていないものでございます。
 今後の対応については、やはりその時点その時点で考えていく必要があると思いますので、これは社会経済情勢をどういうふうに判断するかということになると思いますけれども、そういった社会経済情勢の動向を見ながら、それぞれその時点その時点で判断をしていきたいというふうに考えております。
 それから、県政の見直しということでお話がございました。県行政というのは大変広い分野にまたがっているものでございますので、雇用を守る、暮らしを守る、それから福祉の充実、医療の充実、そのほか教育の問題もありますし、それぞれがどれも重要なものでございまして、そういったそれぞれの分野をやはり総合計画を基本としたそのバックボーンを踏まえて、それぞれの分野で推進をしていく必要があるというふうに思っておりますし、特に現下の厳しい財政状況を考慮して限られた財源をいかに有効に活用していくかという観点から、政策評価などの手法も導入して今議会に予算なども提案しているわけでございまして、やはりその結果、成果重視という観点に立って、優先度をそれぞれ見きわめながら事業の重点化や効率化に努めていきたいと。また、今までもそういう姿勢でやってきているわけでございますが、これからもまたそういう評価の精度を上げるなり何なりして、これからも優先度を見きわめながら事業の重点化、効率化に努めていきたいというふうに考えております。
 それから最後に、政治資金の関係についてお話がございましたが、これは給与の削減は給与の削減としてそういう趣旨で行っているものでございますし、また一方で、適正な政治活動というもの、継続していく上での政治資金という問題が出てくるわけでございまして、問題の所在は私は別であるというふうに考えておりますが、当然、そうした活動を継続していくための政治資金というものについては、これは必要なルールが決められております。政治資金規正法などの定められたルールがございますので、これは各政党もそうだと思いますしそれぞれの政治家の皆さん方もそうだと思いますが、こうした政治資金規正法などの定められたルールに従ってやっていくということが大切だというふうに思っておりまして、また、そのようなことで行っているところでございます。
 その他お尋ねがございましたが、そちらにつきましては総務部長の方から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。

〇総務部長(小原富彦君) 管理職の給与の減収額及び対象となる管理職の数等についてでありますが、まず、今年度の給与改定による年間の減収額及びこの3年間の減収額についてですが、人事委員会のモデルによる試算で、55歳の課長級の職員が今年度の減収額2万8、000円、この3年間の減収額が31万7、000円となっており、また、部長級の職員では今年度の減収額4万2、000円、この3年間の減収額46万6、000円となっております。
 次に、対象となる管理職の数等についてでありますが、今回提案いたしました条例の対象となる職員の総数は約2、000人。内訳は、知事部局等の本庁、地方振興局、その他の出先機関で約400人、減収額は約4、000万円。それから教育委員会関係の事務局、本庁、学校、その他の出先機関で約1、600人、減収額は約1億1、000万円と見込んでおります。したがいまして、今回の管理職手当の減額措置による年額の減収額は総額で1億5、000万円程度となり、1人当たり平均で7万5、000円程度と試算しております。
 次に、今回の給与削減に伴う経済波及効果についてでありますが、一般職の職員の管理職手当に係る減少額約1億5、000万円をベースにして、県の産業連関表を用いて県内経済に与える影響を試算いたしますと、この減少額の約1.53倍に相当する2億3、000万円程度のマイナスの波及効果があるものと推計されるところであります。

〇23番(斉藤信君) 今、知事の答弁をいただきましたけれども、痛みを分かち合うと。今の部長答弁でも、もう既に3年間で管理職は31万7、000円、部長級は46万6、000円の減収を強いられているんですよ。人事院勧告でマイナス改定を受けて十分痛みを分かち合ってきた。そのあげくに、また知事のイニシアチブでさらにそれをカットされるということには、私は本当に理由がないと思いますよ。そういう点で、知事は人事院勧告を尊重する、これが原則だと言いましたが、この3年間のカット、既に痛みを分かち合ってきたこういう実態に対して、さらにカットを強いることの正当性をどう本当に考えているのか、改めてお聞きをしたい。
 もう一つは、私、最後に聞いたんですが政治資金。私は新聞報道だけですよ。知事は、昨年の11月以降7回も、数百人、1、000人規模で集めて、たくさんの政治資金を集めてきた。一方で自分はたくさん資金を集めながら、管理職にはカットを押しつけるという、私はここに知事の矛盾を感じないかどうか改めてお聞きをしたい。金集めは結構です、カットはやります。私は、それでは政治家というのは政治姿勢は保たれないと思いますよ。
 もう一つ、先ほどの私の質問で答弁漏れがあったのは、この政治資金パーティーの実態を見ますと、経済界の参加者が多い。知事は公共事業の発注者ですよ。さまざまな事業の発注者ですよ。発注を受ける方があなたに寄附をし、パーティー券を買っているんですよ。私はこういう県と深いかかわりのある企業、団体からはパーティー券を買ってもらうべきじゃない、企業団体献金をもらうべきではないと思うけれども、いかがでしょうか。そうしてこそ、痛みを分かち合っているというふうに思われるのではないでしょうか。自分はたくさん集めていて、私は大変矛盾に満ちた態度ではないかと思います。
 医療局長と企業局長にお聞きします。
 今、知事から要請をすると言われました。どれだけの、本当にやる気なのか。私はやる必要はないと思いますよ。やるとしたら何を根拠にやられるのか、管理職の賃金カット、何を根拠にやるのか、はっきり示していただきたい。そして対象は何人なのか、幾らになるのか示していただきたい。
 特に、私は医療局長にお聞きをしたい。
 医療局予算が予算審議で通りました。これから本会議で通ります。しかし、これから管理職のカットを削減したらどうなるんですか。一般会計から150億円のお金を投入しているのに、これから管理職が賃金カットしてその浮いたお金をどうするんですか。一般会計に戻すんですか。何に使うんですか。私はこういう理不尽なことをやるべきではないと思う。そういうことで、ぜひこの点について明確に、カットした分を何に使うつもりなのか、それは本当に有効なのか。
 最後に私、知事にまたもう一つお聞きしたい。
 最後に、経済波及効果で総務部長は2億3、000万円のマイナス効果だと、こういう答弁でしたよ。私、本当に痛みを分かち合うということが近隣の商店街その他に痛みを与えることにならないか、このことも含めて私は答弁をいただきたい。

〇知事(増田寛也君) 何点かございましたのでお答え申し上げますが、まず給与のカットの関係でございますが、人事院の、人事委員会のこの給与についての勧告、これを基本にしていくということが原則だというふうに申し上げたわけでございますが、これをこれからもこの問題についてはやはりベースにして考え、一方でそれをさらに今回のように新たに条例を提案するというところまで経済社会情勢が深刻化をしているということも、やはり率直にそして柔軟に取り入れていくという姿勢が今、一番必要だろうというふうに思います。
 先ほど最後にお尋ねいただいた点について総務部長の方で、カットの波及効果ということで申し上げたわけでございますが、カットした分の波及効果ということは、これは産業連関表で計算をすればそれだけのものが出てきているわけですが、むしろそれを上回る雇用の獲得、発掘につなげていこうということで考えているわけでございまして、そういう点で私どもの方の、これ大変貴重な税金でございますが、それを雇用の基金などに入れて、これはまた改めて議会の方にお願いしなければならないと思っておりますが、ことしの夏以降、またそうした資金を有効に使った個々の雇用の活用策というものも講じていかなければならない。そして、やはりそうした雇用情勢の解決に有効につなげていきたいと、このように考えております。
 それから、あと政治資金の関係でございましたけれども、これは趣旨としては今の雇用の問題とは全く別のものでございまして、これはそれぞれの政治活動を進めていく上でどういう資金が必要かということでの話でございます。したがいまして、これは特に政治家の場合にはそうした資金の透明性ということが高く要求されるわけでございまして、これについて年々さまざまな法規制も変わってきているところでございますが、そうした法規制に従った、そういうルールに従ってそれは行うべきものというふうに思っておりまして、そうした内容についての透明性も確保する、そして適正なやり方でまた今申し上げましたようなさまざまなそういう判断というものを的確にしていく上でも、そういう政治活動を続けていく上でも、そうした政治資金の獲得ということも必要かというふうに考えております。ルールにのっとった形で透明性を確保した上でやっていく必要があると、このように考えております。

〇医療局長(長山洋君) 昨今の県内の景気の低迷、厳しい雇用情勢を踏まえまして、県政の運営に責任を負う職員として、医療局においても知事部局と同様の対応をとる必要があると考えております。
 医療局の対象者は106人ほどでございまして、減額する年間額は約1、200万円程度と考えております。
 この減額に伴いまして生じる財源につきましては、医療局内において雇用の安定確保に向けた対策を検討した上で、雇用を創出するための事業に要する経費に充てたいというふうに考えております。
 一般会計との関係では、一般会計から繰り入れる一つのルールがございまして、これは政策的な医療でありますとかそういった部分がルール化されたものでございますので、これらとはちょっと切り離して考えたいというふうに思っております。

〇企業局長(石川戡君) 企業局におきましても、昨今の県内景気の低迷それから厳しい雇用情勢などを踏まえまして、同じ県の職員として、また、県政の運営に責任を負う立場にある職員として、知事部局に準じて同様の措置を講ずることが適当であるというふうに判断をしたものでございます。
 それから、人数、額につきましては、企業局の職員は総数148人でありますが、そのうち対象は12人でございまして、減収の総額が127万4、000円程度でございます。1人当たり平均で10万6、000円と試算しております。
 それから、その使途でございますが、企業局の中におきまして雇用対策に係る連絡会議というものを設置しておりますが、その中で雇用の安定確保に向けた対策を検討しておりまして、雇用を創出するための事業を実施するために要する経費に充当したいというふうに考えております。

〇議長(谷藤裕明君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第90号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例等の一部を改正する条例は、総務委員会に付託いたします。

〇議長(谷藤裕明君) この際、暫時休憩いたします。
   午後1時55分 休 憩

出席議員(48名)
1  番  及川 敦 君
2  番  飯沢 匡 君
3  番  樋下正信 君
4  番  照井昭二 君
5  番  柳村岩見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  吉田昭彦 君
8  番  工藤大輔 君
9  番  川村農夫 君
10  番  佐々木 順 一 君
11  番  佐藤力男 君
12  番  阿部静子 君
13  番  阿部富雄 君
14  番  田村 誠 君
15  番  岩城 明 君
16  番  中 屋 敷十 君
17  番  千葉 伝 君
18  番  佐々木 大 和 君
19  番  及川幸子 君
20  番  阿部敏雄 君
21  番  川口民一 君
22  番  小 野 寺好 君
23  番  斉藤 信 君
24  番  伊沢昌弘 君
25  番  田村正彦 君
26  番  上澤義主 君
27  番  瀬川 滋 君
28  番  水上信宏 君
29  番  藤 原 泰次郎 君
31  番  谷藤裕明 君
32  番  菊池 勲 君
33  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊藤勢至 君
35  番  高橋賢輔 君
36  番  小原宣良 君
37  番  長谷川 忠 久 君
38  番  千葉 浩 君
39  番  吉田洋治 君
40  番  工藤 篤 君
41  番  菅原温士 君
42  番  佐藤正春 君
43  番  山内隆文 君
44  番  折居明広 君
45  番  村上惠三 君
46  番  藤原良信 君
47  番  及川幸郎 君
48  番  菊池雄光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君

欠席議員(1名)
30  番  船 越 賢太郎 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後2時23分 再 開

〇議長(谷藤裕明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   報 告

〇議長(谷藤裕明君) 総務委員長から、委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
日程第5 議案第27号食肉衛生検査所設置条例の一部を改正する条例から日程第27 請願陳情まで(続)

〇議長(谷藤裕明君) 日程第5、議案第27号から日程第27、請願陳情までの議事を継続いたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。千葉総務委員長。
   〔総務委員長千葉伝統君登壇〕


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