平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(藤原良信君) 自由党の藤原良信でございます。
 質問に入るに先立ちまして、去る2月10日に御逝去されました先輩、故吉田秀先生のみたまに謹んで哀悼の誠をささげるものであります。先生には自由党会派の議員総会長として卓越した手腕で御指導を賜り、県勢の発展に御貢献されましたことに心から敬意と感謝を申し上げますとともに、心より御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。
 私は、会派を代表いたしまして、知事の県政運営の基本方針並びに当面する県政への取り組みにつきましてお伺いをいたします。
 まず、厳しい経済状況下における岩手県の総合計画の推進についてお伺いをいたします。
 県では、平成11年8月に策定をいたしました岩手県総合計画において、21世紀の新しい社会を展望し、右肩上がりではない経済社会情勢を見据えた上で、知識、情報、技術の集積と新産業の創造による活力ある産業社会の実現をうたっておりますが、策定からまだ2年余りではございますが、現下のような厳しい不況のトンネルの中にあっては、その道筋をつけることは容易ならざるものと思っております。知事は、この厳しい状況の構造的不況の真っ只中にあって、どのようにして道筋をつけ、総合計画の推進を図るおつもりなのでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、本県の政策評価についてお伺いをいたします。
 近年、大きな経済成長を望めない中にあって、行政におきましても限られた資源のもとで、少子・高齢化や情報化、環境問題など、多様な行政需要への対応や地方分権の推進に伴う自主的な行政運営が求められており、県を初めとする地方自治体は大きな変革の時代を迎えようとしております。このような中、最近、国や全国の自治体におきまして、住民本位の効率的な行政運営を目指す、いわゆる政策評価の取り組みが急速に進んできております。本県におきましても総合計画の着実な推進を図るため、平成12年度に政策評価の試行を実施し、今年度はこれまで行ってきた事務事業評価や公共事業評価を政策評価に統合し、政策評価システムとして、成果重視の考え方のもと総合的な評価を行ったところでございます。政策評価システムを1年間実施した結果はどうあらわれたのでしょうか。また、県総合計画とはどう関連させていくおつもりでしょうか、あわせてお示しを願いたいと思います。
 次に、平成14年度当初予算についてお伺いをいたします。
 我が国の財政は、バブル崩壊後の景気回復優先の財政運営を行ってきた結果、平成13年度末の累積した公的債務残高、すなわち借金は、国、地方をあわせて約675兆円に達するなど、主要先進国の中では最悪の危機的状況に置かれております。本県財政は、今後景気動向による税収の落ち込みや国の財政構造改革、具体的には地方交付税制度や地方債制度の見直しによる影響、公債費の増嵩などから、従前以上にその厳しさが増してくるものと強く懸念をされるところであります。このように国、地方を通じて極めて運営の厳しい行財政環境の中にありまして、当初予算編成に当たっての基本的な考えとあわせてどのように評価しているのかお尋ねをいたします。
 行政改革システムについてお伺いいたします。
 地方自治体の改革が大きな課題となっております。去る1月、私は、地方分権推進特別委員会の皆様と、福岡県福岡市のDNA2002計画などを調査する機会をいただきました。民間の経営専門家などからなる経営管理委員会の設置や民間経営手法の導入など、かくあるべしと感じさせられたところでございます。翻って、本県の行政システム改革はいかがでありましょうか。もとより本県では、定数の縮減や事務の効率化など、行政改革に取り組んできたことは承知をいたしております。しかし、こうした取り組みを上回るスピードで社会経済情勢は激しく変化をしております。民間企業では大胆な経営革新を行い、荒波を乗り越えようと懸命の努力をされております。私は、地方分権の時代における地方自治体の首長は、行政経営システムをいかに構築し、機能させているかによって評価されるべきであり、首長個人の力量だけではなく、職員全員の力を引き出すリーダーシップが重要であると思うのであります。私は、行政システム改革大綱の課題については重点的に取り組むとともに、顧客志向、成果志向、現場への権限委譲、市場競争原理の活用などを核としたニュー・パブリック・マネジメントを導入し、職員の意識改革や制度的改革など、県民の目に見える大胆な改革を断固たる決意を持って取り組んでいかなければならないと考えるものであります。知事は、今後どのように行政システム改革に取り組む考えかお示しを願いたいと思います。
 雇用対策についてお伺いいたします。
 岩手労働局から12月の有効求人倍率が公表されましたが、大変厳しい状況であります。知事は、演述の中で平成14年度当初予算編成方針として、特に緊急かつ重要な課題に対応するための8項目の施策重点化方針を掲げ、その第一に、雇用の確保、複合産業や新産業の創出に向けた取り組みを上げて積極的に取り組む姿勢を示されました。しかし、矢巾町のアイワ岩手工場やアルプス電気盛岡工場の閉鎖あるいは金ヶ崎の富士通岩手工場などでの長期帰休など、特にIT関連、縫製関連企業の撤退・縮小が続いており、大変厳しい雇用情勢となっております。生産拠点の海外シフトという構造的な問題、世界的なIT不況という時代の潮流もあろうかと思いますが、転勤や転職、離職を強いられる県民の生活の確保、これからの地域経済をどのように立て直していくかという大きな難問が立ちはだかっております。県は、緊急地域雇用創出特別交付金の活用によりまして、保育・介護、医療、環境などの分野で雇用を創出していくとしておりますが、国や自治体の主導でどれくらいの雇用を創出しようとしているのでありましょうか、具体的にお示しを願うものであります。
 また、雇用にかかるセーフティネットの整備や新たな雇用形態であるワークシェアリングの導入についても、県としての対応や今後の進め方についてあわせてお示しを願いたいと思います。
 資源循環型地域社会についてお尋ねいたします。この実現に向けた本県の取り組みにつきまして強くお尋ねをしたいと思います。
 我が国においては、循環型社会形成推進基本法を初め、各種リサイクル関連法の整備をもとに本格的な循環型社会への離陸を始めたところであります。本県におきましても、現在、沿岸南部地区を中心に地域のセメント工場などの産業資源や港湾機能を活用した環境調和型の地域づくりを目指す、いわゆるエコタウン構想の実現に向けた取り組みが進められているところでありますが、廃棄物を原燃料化する前処理プラントなどの主要なリサイクルプロジェクトに名乗りを上げる事業者が見当たらない状況にあるとのことであります。こうしたエコタウン構想の推進に当たっては、県も検討委員会への参画などを通じ、地元と一体となって自動車リサイクル法案などの制定により、事業化が有望となる分野やリサイクル製品の販路確保が見込まれる分野などで、経済的、技術的な面から事業可能性を調査検討しておりますが、いまだ事業採算性の見きわめが立たないことなどが主な要因と聞いているところであります。
 また、こうした中で県漁連により沿岸地域特有のカキ殻、FRP廃船などの漁業系廃棄物の適正処理に向けた調査が実施をされておりますが、廃棄物の効率的な供給量の安定確保や収集運搬体制の確保に当たりましては、地域的な制約条件やコスト面での阻害要因も内在しており、大きな課題となっていると伺っております。いわて資源循環型廃棄物処理構想の推進に当たりましては、県が目指そうとしている廃棄物の適正なリサイクルシステムの構築についてどのように取り組もうとしているのか、基本的な考え方をお示し願いたいと思います。
 環境施策としての森林整備についてお尋ねをいたします。
 岩手県は環境首都を目指しております。環境の世紀である21世紀を迎え、私たちの生産活動がみずからの生存を脅かす過大な負荷を環境に与えないよう、意識改革、生産方法、ライフスタイルの変更、新たな環境ビジネスの創出等循環型社会づくりのための具体的な施策を思い切って進めていく岩手県にしていかなければならないと思うものであります。森林の持つ公共財としての価値、例えば日本の森林の水源を涵養する役割や土砂の流出防止の役割などを経済的に勘案しますと75兆円ともいわれております。それどころか森林は古代から日本人を育て上げてきた源、日本文化の生みの親であり、経済的価値だけでははかり切れないものがございます。戦後、エネルギー源の転換、外材の輸入等によりまして、森林を取り巻く環境は極めて厳しい状況にございます。このまま放置しますと、生産財としての価値が低下するだけではなく、災害等が発生しやすくなるとともに、水質汚濁を通じてプランクトン発生による水質の悪化が、水産資源に悪影響を及ぼすなどの問題を引き起こすことにもなります。公共財としての森林。国土、県土を守るため、県を挙げて森林施策に取り組めば、喫緊の課題であります後継者対策や雇用対策にもなり、過疎化の進む中山間地域の活性化策にもなると思い提言をいたします。
 具体的には、県内の森林を水資源等の涵養等、公益的機能を重視する環境林と木材生産を重視する生産林にゾーニングし、それぞれの機能に応じた整備を進めることでございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 環境林においては、次世代も含めた県民共有の財産と位置づけ、その公益的機能を高度に発揮させる新たな森林管理対策である森林環境創造事業は、市町村、森林組合等が連携して、広葉樹や針葉樹が混交する多様な森林づくりを行うものとし、このことによって継続的な林業従事者の雇用が確保され、地域の活性化に資するとともに効率的な県土利用に貢献するものと思います。国においては、緊急地域雇用創出特別基金事業を創出いたしました。こうした事業の支援で各地で森林の整備を内容とする、いわゆる緑の雇用事業が動き出しました。こういう時期にこそ、全体的な環境施策の中で森林整備を推進すべきであります。20世紀は経済的豊かさを求めて環境破壊をいたしました。21世紀はこの負の遺産を解消し、さらに環境と経営を同軸にとらえて、森林整備による環境を配慮した優しい岩手づくりを目指すべきだと思いますがいかがでありましょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、医療制度改革に対応した本県の医療行政についてお伺いをいたします。
 我が国の医療の現状は、先進諸国に比べまして人口当たりの病床数が多く、近年減少の傾向にあるものの、平均入院日数が長いことなどの問題点が指摘をされております。このため、厚生労働省では、入院医療体制の整備などを目的として、既に昨年3月から施行されている第4次医療法の改正を初め、医療費の増加を抑制するため、今後10年程度で現在全国で126万床程度の病院の一般病床数を50万から60万床に半減させるほか、一般病院から介護サービスを中心とする施設への転換を促すなどの医療制度改革の具体的方針を固めたと報じられております。このような医療制度改革の流れを踏まえて、病院、診療所を含めた本県の医療供給体制を今後どのように構築していくのか、その基本的な方向性についてお示しを願いたいと思います。
 また、本県は27病院という他県には見られない多くの県立病院を運営し、県民に対する医療サービスを提供してきたところでございますが、今後、県立病院についてどのような方針で対応し県民の医療を確保しようとしていくのか、あわせてお示しを願いたいと思います。
 介護保険についてお伺いいたします。
 介護保険がスタートをいたしまして、間もなく2年が経過をしようとしております。昨年10月から高齢者の保険料も本来の額での徴収が始まり、まさに制度が本格的に実施されるに至ったわけでありますが、同時に介護保険制度の課題も浮き彫りになってきたと考えるものであります。施設の入所希望者が増加している現状にかんがみますと、施設の整備も必要であることは言うまでもないところでございますが、施設を整備し、入所者がふえますと保険料が高くなり、高齢者の方々の生活をますます圧迫することになりはしないかと懸念もするものであります。要介護度1程度の介護度の軽い方は、基本的には施設ではなく在宅で対応していくことも必要であると考えます。私は、在宅での介護が真に困難な方のための施設整備は進めつつも、いま一度、制度の理念が何であったのかを考えるべきであると思いますが、いかがでしょうか。来年度は介護保険事業支援計画の初めての見直しの時期でもあり、この見直しに当たっての基本的考え方をお伺いしたいと思います。
 生涯健康手帳についてお尋ねをいたします。母子保健事業の中で、特に母子健康手帳の活用に関してお伺いをするものであります。
 先般、母子健康手帳の改正があり、原則平成14年4月以降交付される手帳は、父親の育児参加の促進、子育て支援、幼児期の生活リズムの形成等を盛り込んだもので、利便性にも考慮したものとなっているようです。私は、このような母子健康手帳の持つ内容と情報を乳幼児期にとどまることなく、就学期以降も広く生涯を通じた健康づくりに活用していくことが重要であると考えており、生涯健康手帳というような新たな制度の創設を国に対して政策提言をし、ともに市町村との連携を強化し、市町村に助言をすべきであると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 情報ハイウェイの活用についてお尋ねいたします。
 本県では、平成13年4月からいわて情報ハイウェイの本格運用が開始され、今年度から高精細テレビ会議システムを活用した遠隔地の医療支援やインターネットを使った県立学校での教育支援など、さまざまな分野での活用が始まったと報道されておりますが、いわて情報ハイウェイの活用状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 また、県及び市町村におきまして平成15年度までに電子自治体を構築することが求められておりますが、このような電子自治体の構築に当たって、今後いわて情報ハイウェイがどのようにかかわるのか、あわせてお伺いをいたします。
 情報系産業の育成についてお尋ねをいたします。
 情報系産業の育成については、既存産業の強化はもとより、新しい技術の創出やそれらの活用による新しい産業の展開が必要であると認識をしているところであります。県では、県立大学正門前に情報通信技術に関する研究開発を行う地域連携研究センターを整備し、また、その中には通信・放送機構の岩手IT研究開発支援センターが設置される計画を立てておられます。この通信・放送機構の岩手IT研究開発支援センターは、平成12年度の国の補正予算で措置をされ、県の積極的な働きかけにより全国3カ所という厳しい競争の中で本県への整備が実現されたと伺っております。県の将来を見た適切な対応に敬意を表するところであります。県が整備をいたします地域連携研究センターでは、情報系ベンチャーの育成などの機能を有しているとのことであり、通信・放送機構の岩手IT研究開発支援センターとの連携によりまして、本県の産業振興に大きく寄与するものとして大いに期待を抱くものであります。
 そこで地域連携研究センター及び岩手IT研究開発支援センターの整備の進捗状況と、県としてこの双方のセンターを活用いたしまして、本県の情報系産業の育成をどのように考えていくのか、あわせてお示しを願いたいと思います。
 農林水産業の振興につきましてお尋ねをいたします。農林水産業の振興と消費者の信頼回復にこたえる流通対策等についてでございます。
 今、我が国全体で産業の空洞化が進行し、非常に深刻な事態に立ち至っております。農林水産業分野においても輸入農林水産物の著しい増加に伴い、国内生産の空洞化というべき状況下が出ております。特に、本県は、1次産業の総生産額は総額2、128億円と、県内総生産の中で重要な位置を占め、第1次産業の帰趨は県内経済全体、ひいては県民生活、県内雇用情勢等に重大な影響を与えるなど、2次的、3次的な波及による影響が極めて大きく、商店街の購買力の減退一つとっても1次産業の状況がいかに影響をするかは常日ごろ実感をさせられております。本県は、地理的条件もあり、また、歴史的にも農林水産業を基幹産業として位置づけてきた経緯もございます。今、改めて農林水産業の振興を県政課題の重要課題の一つとして、大きな柱に位置づけ取り組むべきだと思います。知事は、本県農林水産業の役割をどのように認識をし、どうリードしていくつもりなのか、基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 私は、進行する農林水産の空洞化に対抗していくためには、外国の農林水産物、特に中国を中心とする産品に比較いたしまして、鮮度、品質等で優位性のある産品づくりが絶対に必要であると考えるものであります。生産者がわかる、いわゆる生産者の顔が見える産品づくりを進め、これがブランド化につながるような1次産品づくりなくして道は開けないと思うものであります。外国産に負けない岩手らしい農林水産物の生産・供給体制を確立していくためには、さまざまな取り組みを強力に進める必要があると思われます。特に、農林水産物の流通システムの見直しとブランド化の推進が欠かせないと考えるものであります。県では、来年度、農林水産物の各流通段階でのコスト等の実態解明に取り組み、生産者の所得向上につなげたい考えのようであり、また、ワカメにつきましては生産から流通、加工に至る各段階の見直しを目指したワカメ養殖業構造調整対策も国の新規事業としてスタートすると聞いております。このような第1次産業における流通対策の分野は、行政では取り組みにくかった分野であり、ぜひ意欲的に取り組むことを期待するものであります。
 そこで知事は、本県における農林水産物流通の課題をどう認識し、また、今後どのように流通改善に取り組んでいくのか御見解をお示し願いたいと思います。
 また、農林水産物の供給におきましては、食の安全の視点が何よりも大切にすべき基本であり、消費者の視点は、さらに一層安全・品質に向かっており、その関心、志向は年々高まってきております。私は、国の安全保障を確保する上では、食料、エネルギー、正面装備の3点が基本になると常々思っているものでありますが、特に、食料は我々が地方において生産者として具体的に取り組める課題であり、安全な国内食料の確保と提供は、日本人の精神・文化とも相まって、事ごと重要な課題と認識しているものであります。特にも、食の安全を根底から脅かす、いわゆる牛海面状脳症──BSEが発生し、なお国全体の対策がなかなか思うようにいかないことは極めて遺憾な事態であります。さらに、この事態を深刻にする雪印食品の問題が発生しており、営々として生産者が築いてきた食の安全が根本から揺さぶられ、消費者の信頼を一気に失墜させる事態となっていることは極めて残念でなりません。
 そこでBSE問題や雪印食品問題により、失われた食の安全に対する消費者の信頼を回復して、安全・安心な品質のよい岩手の農林水産物を生産し、供給していくために、県として知事を先頭にどう取り組む考えか御見解をお示し願いたいと思います。
 次に、PFIの導入についてお伺いをいたします。
 PFIは、1992年英国で初めて導入をされ、有料道路、鉄道、病院、学校等の公共施設や再開発等の分野で大きな成果をおさめております。PFIは民間の経営上のノウハウや技術的能力を活用できることから、公共サービス水準の向上が期待できるとともに、事業コストの削減、財政支出の平準化が可能となります。また、従来公共部門が行ってきた公共施設の建設、維持管理、運営を民営にゆだねることから、民間に対して新たなビジネスチャンスが創出されます。県は、公債費が過去最高となるなど財政的に危機的状況にありますが、このような状況の中で新しい県民ニーズに的確に対応し、良質な社会資本を提供していかなければなりません。以上のことから、今後実施される県の施設等の建設に当たっては、PFIをその整備手法の一つとして検討することが必要であると考えますが、御見解をお示し願いたいと思います。
 港湾と内陸を結ぶ道路整備についてお伺いをいたします。
 港湾へのアクセス道路の整備についてでございますが、本県には4つの重要港湾がございます。これらの港湾が効果的に活用されるためには、企業が集積をする内陸部とのアクセス道路の整備が極めて重要な施策であると考えるところであります。現在、東北横断自動車道釜石秋田線や国道397号など、アクセス道路の整備が鋭意進められているところでございますが、物流の主役となる大型車のすれ違いが円滑にできない箇所が見受けられるところでございます。港湾の活性化を図るためには、これらの隘路箇所の解消に向けた何らかの対策を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか御見解をお示し願いたいと思います。
 最後に、教育問題についてお伺いをいたします。
 教育問題を考える際に、一つの見方として申し上げます。アジア諸国が今後も経済発展を続け、日本との技術力の差が縮まるという認識を持つことであります。こうした変化に日本が対応すべき基本的な政策に、人的資本投資がございます。教育とは、道徳教育ともに人的資本投資でもあります。日本に対して特に大きな影響を与えるのは中国の経済発展でございます。これまで中国で生産される製品はその品質において問題があり、日本国内で製造される製品と直接競合することは少なかったわけでございますが、中国製品の品質の向上に伴って生産の競合が発生し、農・畜産・水産物については現実に生じております。繊維製品についても中国から安い輸入品が日本製品の価格体系に大きな影響を及ぼし始めており、今後多くの工業製品、各種部品、先端産業に至るまで加速度的に同様の現象が起こるものと思われます。中国と日本とでは賃金水準に圧倒的な格差がある以上、コスト面で日本製品が太刀打ちできるはずはございません。中国で生産可能なものは日本国内で生産できなくなるでありましょう。
 中国を初めとするアジア諸国の工業化の伸展という趨勢の中で、日本経済が生き延びるためには、アジア諸国との差別化を図り、付加価値の高い製品の生産に特化していく必要がございます。そのためには、労働力の質の向上が不可欠であり、そのための基本的な手段は教育であり、将来の産業構造を支えるインフラになっているといっても過言ではないと思うものであります。しかし、現在の教育はこれらの方向を向いているのでありましょうか。現実は逆であり、この4月からは学校週5日制の導入が徹底をされており、ゆとり教育のもとで教育水準の低下が懸念をされるものであります。こうした方向は1980年代までの国際経済環境が21世紀も継続することを前提としたものであり、現実の世界経済の変化を考えればおよそあり得ないことでございます。教育投資の効果は現実化するまでには多くの時間を要するものであり、問題が顕在化してから見直すのでは手おくれであり、教育政策を世界経済の枠組みの中でも考える必要があると思うものであります。
 県においては、平成14年度当初予算に教員の充実等を含めた教育関係予算を計上しておりますが、これらを踏まえた上で、将来の岩手を担っていく児童生徒の教育のあり方について御所見をお伺いする次第でございます。
 以上をもちまして代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 藤原良信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、厳しい経済状況下における総合計画の推進についてでございますが、我が国の失業率が過去最悪を記録する中で、本県におきましても、電気機械の製造部門で工場閉鎖が相次ぐなど、経済状況は極めて悪化いたしております。このような中で、総合計画に掲げております五つの社会を実現していくためには、限られた財源を有効に活用しながら、恵まれた自然環境の中で、独自の技術を備えたものづくりを中心として、堅実に産業が発展するような岩手づくりを進めていく必要があると考えております。
 そのため、岩手大学や岩手県立大学を中心とした産学官共同による新技術開発を一層促進するとともに、ベンチャー企業の創業から育成まで一貫して支援する新たなベンチャーファンドを組成するほか、コミュニティービジネスの創業支援などにより、内発型産業の育成や新産業の創出を図ってまいります。
 また、本県の基幹産業であります農林水産業におきましても、意欲ある担い手の育成や国際競争に耐え得る体質の強い農林水産物の生産・流通体制の確立、さらには、木質バイオマスなど新たなエネルギー分野での産業化にも積極的に取り組む考えでございます。
 次に、政策評価の結果、そして総合計画との関連についてでございますが、政策評価は県民の視点に立った成果重視の行政運営への転換を図って、緊急度と優先度に応じた施策の選択を行いながら、総合計画を着実に推進する観点から導入したものでございまして、その評価結果につきましては逐次公表するなど、透明性の高いシステムを構築することに努めたところでございます。
 今年度は、政策評価結果を踏まえて、雇用の確保など8項目の平成14年度施策重点化方針を策定して、予算編成に当たりましては、この方針に基づく施策・事業について重点的に配分したところでございます。
 さらに、事務事業評価や公共事業評価の実施により、個別の事業や箇所の評価もあわせて行いまして、229事業の廃止・縮減を行い、金額にして約42億円を削減したほか、公共事業の実施箇所を重点化いたしまして、新規着工箇所を平成12年度の約2分の1に抑制して、一方で継続箇所の完成年度を早めるなど、一定の成果が得られたところでございます。
 また、政策評価では、総合計画の体系に基づきながら、社会経済情勢を加味した総合的な評価を行っておりまして、今後、指標の新たな設定や見直しを行うなど、計画の着実な推進に反映させてまいりたいと考えております。
 次に、平成14年度当初予算編成に当たっての基本的な考え方と評価についてでございますが、平成14年度当初予算編成を取り巻く環境は、景気の低迷や国の構造改革により県税収入が大幅に減収となりますほか、国の公共事業関係費の削減や地方交付税の減額が見込まれるなど、財源の確保を図ることが極めて厳しい中にありまして、一方で、歳出面では、花巻空港の整備など大型プロジェクトや並行在来線対策に係る事業費が増大するとともに、公債費が増加するなど、極めて厳しい状況にございました。
 このため、予算編成に当たりましては、政策評価システムに基づきまして、既存の事務事業の徹底した見直しと縮減を行うとともに、重点化施策・事業を選定して優先的に実施するなど、限られた財源の重点的・効率的な活用に努めたところでございます。
 また、将来の財政運営を見据えた財政の健全化にも配慮して、国の構造改革の動向や中期財政見通しなどを踏まえて、歳出規模の大幅な抑制を図りますとともに、県債につきましては、財源の確保が難しい中にありまして、対象となる事業を厳選して、前年度を下回る発行額としたところでございます。
 さらに、公共事業につきましては、先ほど申し上げましたとおり、新規着工箇所の抑制を行って継続事業の完成年度を早めるなど所要の見直しを行ったところでございますが、地域経済への影響を考慮して、今議会に提案しております国の補正予算に呼応した、実施予定箇所の前倒しを行う2月補正予算と合わせまして、いわゆる15カ月予算として一定の事業費の確保を図ったところでございます。
 このように、平成14年度当初予算は、財源の確保が厳しい中、政策評価主導という新たな視点に立って財源の重点的・効率的な活用が図られたものと考えております。
 次に、行政システム改革の取り組みについてでございますが、私は、国、地方を通じて厳しい行財政環境の中で、これからの地方自治体には経営という概念が極めて重要になってくるものと考えております。本県では、平成11年2月に岩手県行政システム改革大綱を策定して、平成11年度から13年度までを集中推進期間と定めて、民間の経営管理手法の導入を初め、行政機能のスリム化や行政機構の簡素・効率化など、行政システム改革に積極的に取り組んでまいりました。
 しかしながら、この間、社会経済情勢は激しく変化しておりまして、これに対応するためには、従来の取り組みでは十分とは言えず、とりわけ、これまで行政においては十分な取り組みができなかった民間企業のダイナミックな経営管理手法を導入して、人や財源など経営資源に関する現場への権限移譲や組織横断的なプロジェクトチーム、そして組織のフラット化の導入などに早急に取り組み、改革そのもののスピードを上げていかなければならないと考えております。そのため、昨年12月に民間の経営者や行政経営を専門とする学者などから成る行政経営推進会議を設置したところでございまして、この会議を通じて新たな経営管理手法や顧客志向などについて、積極的に県行政へ導入すべく取り組んでいくこととしております。
 また、改革には、制度的な改革はもちろんのこと、職員の意識改革も重要でございまして、県民本位、県民に価値を創造して提供することが県の組織の使命であるということを職員に徹底するため、業務方針管理の導入や改革改善活動などを行う行政品質向上運動に、幹部職員初め全職員が取り組んでおります。こうした改革には職員全員が一丸となって取り組むことが不可欠でございまして、私は、職員の先頭に立って時代に即した行政経営を進めてまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策についてでございますが、このたび新たな総合雇用対策を取りまとめ、平成14年度から3年間で2万1、000人の雇用創出を目標としたところでございます。平成14年度につきましては、緊急地域雇用創出特別基金事業による臨時応急的な雇用として2、600人、内発的な産業の育成や支援による常用雇用として1、500人、また、国の雇用創出関係助成金制度の活用による雇用として2、300人、合わせて6、400人の雇用創出を目標としております。
 また、雇用のセーフティーネットにつきましては、国の事業に負うところが大きく、県では各種雇用関係助成金の活用についての周知を図るため、岩手労働局及び関係団体と連携して、県内各地で共同説明会を開催するほか、県単独の離職者や中小企業への融資制度の充実を図っていくこととしております。
 また、ワークシェアリングにつきましては、労使双方の理解のもとに進められることが重要と考えておりまして、県においても、労使双方で構成する岩手県労働問題協議会の中で、企業・勤労者の意識の把握、導入方法の調査を進め、その啓発に努めてまいりたいと考えております。
 なお、県としても、未就労の若年者を直接雇用して、その体験を将来の就労に生かしてもらうよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、資源循環型地域社会の実現に向けた取り組みについてでございますが、平成11年9月に策定いたしました環境基本計画において、廃棄物を資源として利用し、できる限りゼロに近づけるゼロエミッションの考え方を普及して、廃棄物の再使用、リサイクルの徹底を図るとともに、リサイクル産業などの静脈産業を育成して、生産、流通、消費までの動脈部分との環をつなぐ新しい産業システムの構築を図るための調査研究を進めることとしたところでございます。
 さらに、昨年3月にはいわて資源循環型廃棄物処理構想を策定して、県内を6ブロックに区分し、それぞれの地域の産業構造や地域性に応じた廃棄物の資源化や適正処理の方向性を示したところでございます。これらの計画、構想の実現のためには、リサイクルを促進するための税制度やリサイクル製品の推奨制度の確立など、制度的整備を図りますとともに、資源化・適正処理のモデルとなる施設を整備する必要があると考えておりまして、現在、検討を進めているところでございます。
 また、本県において多様な廃棄物の適正なリサイクルシステムを構築して、循環型地域社会を実現するためには、環境に優しい科学技術の開発や持続的発展が可能となる環境共生型の産業の育成などを図っていく必要がございまして、環境保健センターにおいてさまざまな研究を鋭意進めるとともに、県民、市町村、産業界とのパートナーシップのもとに、全庁的な課題として取り組んでまいります。
 次に、森林整備による環境に配慮した岩手づくりについてでございますが、森林の整備や木材生産を通じて森林資源を循環させることにより、中山間地域の雇用の創出や地域の活性化につながるものであるとともに、一方では、森林は市場原理だけでは推しはかることのできない公共財としての性格を有しております。
 この観点から、現在、岩手県総合計画におきましては、森林や農地、河川、海等の持つ公益的機能の確保を重要施策の一方向として明確に位置づけをしまして、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現に向け、これまで北上高地グリーナリープロジェクトや長伐期施業を重点的に実施する持続的森林管理プロジェクト、そして公益保全森林整備事業など、公益的機能の高い森林の造成を図るための事業に取り組んできたところでございます。
 今後におきましては、これを一層推進するとともに、森林の持つ多面的な機能の発揮を基本理念とする森林・林業基本法を踏まえて、県内の森林を機能ごとに水土保全林、森林と人との共生林、資源の循環利用林の3区分にゾーニングして、特に公益的機能の高度発揮を期待する森林につきましては、針葉樹、広葉樹の混交林化を推進する水土保全林整備事業を導入するなど、それぞれの機能に応じた多様な森林の整備・充実に努めまして、県民の理解と協力を得ながら、森林の有する多面的機能の発揮と林業の持続的かつ健全な発展を図ってまいりたいと考えております。
 次に、医療制度改革に対応した本県の医療行政についてでございますが、岩手県保健福祉計画に基づきまして、周産期医療体制や精神科救急医療システムなど、さまざまな地域医療システムの構築を図ってきたところでございます。
 今回改正された医療法の主な内容としては、病床を主に急性期の患者を対象とする一般病床と、長期にわたり療養を必要とする患者を対象とする療養病床とに区分し、医療機関内の病床の機能分化と連携を進めることとなっております。このため、個々の医療機関において入院医療のニーズを踏まえた病床の見直しによりまして、診療機能の明確化が図られることとなっておりまして、県としては、入院医療のニーズに的確にこたえられるよう、必要な病床数の確保に努めることとしております。
 今後におきましても、県民への医療情報の提供をより一層推進するとともに、遠隔医療を活用することにより、医療の質と患者の利便性を確保しながら、二次医療圏域で通常の医療ニーズの充足が図られるように、医療機関相互の機能分担と連携を図りながら、地域の実情に応じた医療提供体制の確保を図ることとしております。
 また、今後における県立病院事業運営についてでございますが、岩手県立病院等長期経営計画に基づきまして、県立病院が果たすべき機能が発揮できるよう、必要な病床数の確保を図ってまいりたいと考えております。
 次に、介護保険についてでございますが、介護保険制度は、これまで大きな混乱もなくおおむね順調に実施されていると認識しております。この間の本県の特徴としては、特別養護老人ホーム及び介護老人保健施設の要介護認定者に対する整備率は、平成13年9月1日現在で29.7%と全国で第3位となっており、要介護高齢者約3人に1人が入所できる体制が整備されているところでございます。一方、在宅サービスにつきましては、量及び質とも9割近くの方がおおむね満足されているものの、利用状況は全国に比べて極めて低調なものとなっております。
 今回の見直しに当たりましては、このような現状を踏まえ、できる限り要介護状態とならないように、市町村が行う介護予防事業への積極的な支援を行うとともに、施設サービスと在宅サービスのバランスのとれた基盤整備を図りながら、介護を要する状態になっても、住みなれた地域で在宅生活を送り続けられるような社会の実現を目指し、市町村と一体となって計画を見直してまいりたいと考えております。
 次に、生涯健康手帳制度の創設についてでありますが、現在、住民の健康管理につきましては、妊娠中から乳幼児期は母子保健法、就学中には学校保健法、職場では労働安全衛生法、そして地域では老人保健法などに基づいて実施されております。
 このため、国におきましては、すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会をつくるための健康づくり、疾病予防の取り組みを推進することを目的に、新たに健康増進法の今年度内の制定に向けて準備を進めておりまして、その中で生涯にわたった健康記録のあり方についても検討がなされております。その動向を注視しつつ、県におきましても、県民にとって生涯にわたった健康づくりが進められるよう、必要な取り組みを積極的に行ってまいりたいと考えております。
 また、本県におきましては、生涯にわたって一貫した一次予防の取り組みができるよう、住民はもとより、学校保健、地域保健、産業保健の関係者が活用できる共通の手引として健康いわて21プランを策定し、現在、その普及・定着に努めているところであります。
 次に、いわて情報ハイウェイの活用についてでございますが、いわて情報ハイウェイは、現在、医療、教育のほか、防災や行政などの分野で総合的に利用されておりまして、今後は県立大学の公開講座の県民への配信や地域のインターネット・サービス・プロバイダーとの相互接続による県内地域情報へのアクセス環境の整備など、その活用を推進してまいります。
 また、電子自治体とのかかわりについてでございますが、住民基本台帳ネットワークシステムにつきましては、いわて情報ハイウェイを経由して、県内各市町村との接続が完了しているほか、国、県、市町村を結び電子文書の交換を行う総合行政ネットワークにつきましても、いわて情報ハイウェイを活用する方向で検討を進めているところでございます。
 次に、情報系産業の育成についてでございますが、県の地域連携研究センターにつきましては、昨年10月に施設の建設工事に着手して、現在仕上げ工事に入っておりまして、来月半ばの完工予定となっております。このセンターにおいては、県立大学と産業界との共同研究や企業の技術者などの人材育成を進めるとともに、専任のコーディネーターを配置して、ベンチャー企業等への研究成果の技術移転に取り組んでまいります。
 また、地域連携研究センター内に設置されます通信・放送機構の岩手IT研究開発支援センターにつきましては、現在、研究設備の設置がおおむね終了しておりまして、平成14年度の開所に向けて順調に整備が進んでおります。このセンターにおきましては、広く産業界や大学の研究者が情報通信分野における最新鋭の研究開発設備を利用して、医療・福祉関連のネットワーク技術の研究開発などに取り組むこととなっております。
 県では、双方のセンターの連携を密にして、両者の機能を十分に生かしながら、県内の情報関連産業の研究開発の強化やベンチャー企業の育成、さらには情報関連産業の新たな立地の促進などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、本県における農林水産業の役割についてでございますが、本県の農林水産業は、多彩な立地条件を生かして、安全で安心な食料を県民に供給するとともに、我が国の総合食料供給基地としての役割を担っているところであります。
 一方、生産活動を通じて、県土の保全、地域に根差した伝統文化の継承、地域づくりの活性化など、県民生活をさまざまな形で支えるほか、第2次、第3次産業への波及効果も高い基幹産業と認識しております。
 こうしたことから、今後、本県の経済社会の発展と県民生活の安定を図るためには、将来にわたって本県の農林水産業を持続的に維持発展させていくことこそが極めて大事であると考えております。そのため、生産者と消費者の信頼を築く仕組みづくりを基本に、担い手に対する施策の重点化・集中化を図るとともに、国際化に対応した体質の強い生産構造への改革を進めて、流通システムの効率化や食品関連産業との連携を推進するほか、活力ある農山漁村の形成や多面的機能を高度に発揮させる森林の整備などにも積極的に取り組んでまいります。
 このような取り組みを通じて、広く県民の理解と協力を得ながら、県民の暮らしと命を支える産業として、地域の個性を生かした農林水産業の振興に努めてまいります。
 次に、農林水産物流通の課題と改善方向についてでございますが、現在、主流となっている流通システムは、生産から消費まで多段階にわたっておりまして、生産者の流通に対する主体性が発揮されにくく、また、すぐれた生産環境や品質のよさも消費者に伝わりにくいことから、私は今後、生産者のコスト意識を高め、生産・流通コストの低減を図りながら、生産者の顔が見える流通の確立に早急に取り組む必要があると考えております。このため、来年度新たに農林水産物流通システム効率化促進事業を実施して、生産者と食品製造業などの実需者が、直接取引を協議する場の設定や、取引開始のためのコーディネート活動を通じて、契約取引の拡大による中間流通コストの圧縮を目指すこととしております。
 また、だれが、どのようにしてつくったかを知りたいとする消費者がふえておりますので、この2月からモデル的に実施しているいわて牛のトレーサビリティーに引き続き、青果物などの他品目におきましても、栽培情報などの生産履歴を消費者に提供する仕組みの導入に向けて検討することとしております。
 このような取り組みを通じて、生産者と消費者の距離の短縮を図って、安全、安心を求める消費者の信頼を得ながら、県産農林水産物のブランド化と生産者、消費者双方にメリットがある流通システムを確立してまいりたいと考えております。
 次に、安全、安心な品質のよい農林水産物の生産供給についてでございますが、BSEの発生を契機に、食の安全性に対する意識が一段と高まっている中で消費者の信頼を得ていくためには、まず生産者みずからがしっかりとした生産管理を行うことが必要でございます。また、本県農林水産物が高い品質と安全性を有しているということを明らかにして、さらには、それが消費者に十分理解されるような農林水産業を展開していくことが肝要でございます。
 このため、まず生産面では、本県の環境面でのすぐれた生産条件を生かして、土づくりを基本に据えながら、農薬や化学肥料の使用量をできるだけ低減した環境に優しい栽培技術の普及に努めるほか、漁場のモニタリングや貝毒検査の徹底、殺菌海水の使用などによる細菌汚染の防止など、関係機関と連携した安全指導を行ってまいります。
 また、流通加工面では、魚市場などの施設整備を進めるとともに、水産物や食肉加工へのハセップ方式の導入を促進し、鮮度、衛生、品質の管理機能の向上を図ってまいります。
 さらに、先ほども申し上げましたが、いわて牛のトレーサビリティーの仕組みを他の品目にも波及させるなど、生産から消費に至るまでの情報を積極的に消費者に提供していくほか、あらゆる機会をとらえながらPRに努め、消費者の多様な視点に立脚して、消費者の信頼にこたえ得る新鮮で安全・安心な農林水産物の生産、供給を図ってまいりたいと考えております。
 次に、PFIの導入についてでございますが、平成11年7月に、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律が施行されて以来、都県において事業化されたPFIは、これまで神奈川県立近代美術館において建設及び管理・運営のための事業に着手されているほか、中核国際港湾である茨城県常陸那珂港の公共コンテナターミナル施設の整備とその管理・運営が第三セクターによるPFIで開始されるなど、四つのプロジェクトにおいて取り組まれております。
 県では、平成12年1月、関係部局で構成するPFI研究会を設置して、これまで事例研究、講演会の開催、各種セミナーへの出席を通じてPFIへの理解を深めるとともに、本県におけるPFI導入の可能性について研究を行ってまいりました。現在は、PFIを導入するに当たって必要となる手順や県としての取り組み方針、推進体制などを明記した指針の策定に取り組んでいるところでございます。
 また、具体的な事業においてPFIが事業手法として可能かどうかを検討することが必要なことから、近い将来整備を計画している廃棄物処理施設や自然エネルギーによる発電、公営住宅などの公共・公益施設について、県が事業を行う場合と民間事業者が行う場合のコストの比較、いわゆるVFM(バリュー・フォー・マネー)の検討を含めたPFI導入可能性調査を実施する予定でございまして、今後ともその推進に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、港湾へのアクセス道路の整備についてでございますが、我が国の経済社会は、世界経済のグローバル化による国際的な大競争時代を迎えておりまして、新たな経済発展の可能性を開いていくためには、高コスト構造を是正するとともに、地方の産業立地競争力の強化が求められております。
 そのような中で、本県にありましても、沿岸部の物流拠点と内陸部の産業との連携を強化することによって、輸送効率の改善や物流コストの削減を図ることが重要な課題と認識しているところであります。こうしたことから、県においては四つの重要港湾について、より重点的整備を進めるとともに、内陸地域と沿岸地域とを結ぶ国道397号などの主要なアクセス道路の整備を進めているところでございます。
 また、大船渡港や釜石港の整備が平成18年度を目標に進められておりますので、物流ネットワークとしてより効果を高めるために、平成14年度には物流支援道路整備事業を創設して、さらにアクセス機能の強化を図ることとしたところでございます。
 この事業は港湾と高規格幹線道路のインターチェンジや主要工業団地などの物流拠点を結ぶ路線におきまして、国道107号田瀬地区など、特に大型車の交通の隘路となっている箇所を解消することを目的としたものでございまして、今後とも、早期に物流ネットワークの整備効果を発現させるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、将来の岩手を担っていく児童生徒の教育のあり方についてでございますが、科学技術の発達や経済社会のグローバル化が一層進展する新しい時代におきまして、創造性に富んだ多様な人材を育成することが重要であると認識しておりまして、その基礎づくりを担う学校教育におきましては、児童生徒一人一人に社会生活を営む上で必要な基礎・基本を確実に身につけさせるとともに、個々の多様な才能を伸ばしていくことが大きな役割であると考えております。
 このような考えから、本県におきましては、児童生徒の個性や能力に応じたきめ細かな指導の充実に向け、特に小学校への非常勤講師の配置を強化するなど、少人数指導の徹底を図ることとしておりますほか、高等学校においては、生徒個々の興味・関心、能力・適性に合致した教育活動を地域の知識や技術を生かして実践するなど、創意工夫を凝らした特色ある地域づくりを推進してまいる考えでございます。
 また、情報化や国際化といった社会の変化に柔軟に対応していく能力をはぐくむ観点から、子供たちの情報活用能力の育成に向けた教育情報ネットワークの構築を進めるほか、異文化理解など国際理解の精神を培うために、世界的な視野に立って課題を設定し学習を深める、高校生海外研修などの充実に努めたいと考えております。
 私は、このような施策を通じて、岩手の子供たちを新たな課題に主体的・創造的に取り組み、明るい未来を力強く切り開く人材として育成するため、その教育環境の一層の整備に努めてまいりたいと考えております。

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時10分 休 憩

出席議員(47名)
1  番  及川 敦 君
2  番  飯沢 匡 君
3  番  樋下正信 君
4  番  照井昭二 君
5  番  柳村岩見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  吉田昭彦 君
8  番  工藤大輔 君
9  番  川村農夫 君
10  番  佐々木 順 一 君
11  番  佐藤力男 君
12  番  阿部静子 君
13  番  阿部富雄 君
14  番  田村 誠 君
15  番  岩城 明 君
16  番  中 屋 敷十 君
17  番  千葉 伝 君
18  番  佐々木 大 和 君
19  番  及川幸子 君
20  番  阿部敏雄 君
21  番  川口民一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉藤 信 君
24  番  伊沢昌弘 君
25  番  田村正彦 君
26  番  上澤義主 君
27  番  瀬川 滋 君
28  番  水上信宏 君
29  番  藤 原 泰次郎 君
31  番  谷藤裕明 君
32  番  菊池 勲 君
33  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊藤勢至 君
35  番  高橋賢輔 君
36  番  小原宣良 君
37  番  長谷川 忠 久 君
38  番  千葉 浩 君
39  番  吉田洋治 君
40  番  工藤 篤 君
41  番  菅原温士 君
43  番  山内隆文 君
44  番  折居明広 君
45  番  村上惠三 君
46  番  藤原良信 君
47  番  及川幸郎 君
48  番  菊池雄光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君

欠席議員(2名)
30  番  船 越 賢太郎 君
42  番  佐藤正春 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後3時29分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。上澤義主君。   〔26番上澤義主君登壇〕(拍手)


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