平成14年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(佐藤力男君) 自由党の佐藤力男でございます。
 今定例会に当たり、任期中において最後となる質問の機会を与えていただきました。先輩・同僚議員各位に対し感謝申し上げながら、厳しい論戦の後、おとなしい質問で恐縮でございますが、これまで質問してまいりました内容を中心に質問させていただきます。
 さて、21世紀を迎え2年を経過する我が国は、依然として将来を見通せない大きな不安感と閉塞感が国民の間に満ち、いら立ちの中で毎日を過ごしていると思われます。振り返って93年6月、地方分権の推進に関する決議が衆参両院全会一致で採択され、これで我が国に定着した中央集権構造が改革され、その過程ででき上がった地方経済の疲弊と、失われた自主性と地域住民の麻痺した依存心で枯渇してしまった地域の持つエネルギーを取り戻せるものと大いに期待いたしました。
 そんな時期に迎えた県政の新たなリーダーを選ぶときにあって、私ども県民は、地方の時代、さらには東北の時代などと期待された新しい時代の到来に、全国一若い、そして、すべてにおいて注目された増田知事に県政を託しました。その後、我が国の経済成長神話が終えんし、生産優先から生活優先、国土開発優先から環境の保全が求められるなど、地域住民みずからが主役となって輝く地域社会を築く道に確実に向かっているものと確信してまいりました。
 しかしながら、99年に地方分権一括法が成立し翌年施行されるに至り、何やら地方の時代のとらえ方が違っているぞと感じ始め、さらに今日、小泉政権下で聖域なき構造改革が進められるにつれ、地方交付税や社会資本整備予算の削減、採算を理由とする事業の凍結など、長い間の政府の失政によるツケを数の論理と税収の多寡をその根拠として田舎である地方に押しつけ、田舎という地方を切り捨てる今の政治の姿勢は到底容認できるものではありません。今こそ私たちは、真の地方主権を確立するために、地方の声を国政に届け、公正で公平な政治主導の国家運営を断固求めていかなければなりません。増田知事がその政治姿勢として掲げる県民の視点に立った県政を推進することがその道であり、その立場に立って議論することが今求められる姿勢と認識し、私も県民の一人として以下質問いたします。
 初めに、県財政の状況と大型事業の進め方についてお尋ねいたします。
 我が国は、驚異的と言われた高度経済成長を遂げ瞬く間に経済大国の仲間入りをしたと言われ、国民はその豊かさを享受してまいりました。しかし、成長期に国債を使って国力を大きくした結果、02年度末の日本の国債発行残高は414兆円、地方自治体の分を含めるとその借金は693兆円程度に上ると見られ、実に国家予算の8倍と、既に借金中毒に陥っており、さらに12年後の国債残高は2倍の800兆円になると言われております。こうした国の財政状況は国債の格付に影響し、ことし5月には最上位から6番目、主要国ではイタリアよりも3段階低い最下位になりました。いかに国債であっても、いずれ返さなければなりません。国民の中では、返すことはもう既に困難、これはもうかつての戦争国債と同じように扱われるのではないかともささやかれ始めました。
 一方、県財政も、こうした国の政策を受け県政を推進した結果、県債残高は02年度末で1兆3、384億円、単年度予算のおよそ1.5倍になると見込まれており、財政が窮迫状態であることは明らかであります。
 このように、これからの国家財政のもとでは、いわゆる有利な起債も信用できず、また、税収が大きく好転するなどとは考えにくい状況下にあって、私は、収入のないときは支出を抑えるとする単純な経済の原則で財政運営を送っていくことが重要と考えるものであります。県債償還の見通しと、歳出を抑制し、行政コスト削減への基本的なお考えをお示し願います。
 また、県は8月6日、盛岡駅西口複合施設など、実施中の大型プロジェクトの政策評価結果を公表いたしました。いずれも施設整備は妥当と結論づけております。しかし、もとより施設の必要性を前提とした立場での評価であり、つくるための使用目的であります。この際、盛岡駅西口複合施設については、箱物ではなく、みちのく盛岡らしい利用をなど、さまざまな意見もありますので、ここはじっくり県民の声に耳を傾け、一時的な凍結など政治的判断をなされてはいかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
 全国でも本県でも市町村合併に向けた取り組みが盛んに行われ、連日新聞紙上をにぎわしております。市町村合併への取組状況の全国的な傾向は西高東低で、特に北海道、東北は低調ですが、本県も進んでいないと感じております。そうは言っても、いずれ一つの節目となるのは特例法の期限内であるはずです。これにかんがみ、知事は、本年度内に合併が必要かどうか責任ある回答を求めるとしておりますが、現在の県内の状況をどのように把握され、その上で、論議が盛り上がらない要因、取り組みが低調な理由はどこにあるとお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 また、県は、8月に合併支援プランを策定し、県が行う権限や人材、財源などの移譲を示し、国の支援プランに加え、その後押しを示しました。しかし、現在のところ、このプランに対する反応はいま一つで、起爆剤になっていないと認識しております。是非の判断の原則はあくまでも市町村や住民であるとしても、このままこれを待つ姿勢でよいものか。今後、市町村合併に対し、県単独で財政的な補助、交付金など具体的な支援策が必要と考えますが、どのような検討をしておられるのかお伺いいたします。
 また、知事は、県内でのシンポジウムなどで、市町村間に温度差があるものの、県の発展の中心が盛岡だけではいびつ、最低10万人の都市が県南にあらわれれば県全体が盛り上がると、合併協議が進むことに期待を寄せられておりますが、全く同感であります。その方向の具現化に向けて、単独市町村では示し得ない、広域として考えられる将来像を地域ビジョンとして県が示すことも住民がその是非を判断できる一つの材料であると考えます。このことは、全県を対象として計画するという施策を、大所高所からの知事の判断で盛り込むことが可能と考えるからであります。知事はこの際、地域を預かる政治的なリーダーとして、地域事情を考慮しながらも、タイミングをとらえ、後世に禍根を残さない指導をすべきであり、また、潜在的に求められていると考えますが、知事の今後の取り組みへの御所見をお伺いいたします。
 次に、少子・高齢化対策についてお尋ねいたします。
 いかなる国や地域であっても、社会を構成し、その国力、活力の源となるのは住民であります。そして、適正かつ理想的な人口分布はいつの時代にも望ましいことであります。しかるに今、我が国が抱える大きな問題の一つに、少子・高齢化問題、わけても将来を左右する少子化の問題は国においても取り組みに手詰まり感があり、事は深刻と認識しております。
 私たちが今日ここ岩手に住み、豊かな暮らしとは何だろうと考えてみますと、高齢者が元気で生きがいを持って働き、その終えんは自分の家で家族にみとられて迎える、そして、子供がたくさんいて泣いたり笑ったりしていて、子育てのお母さんたちは安心して次々と子供を産み、生き生きと働きに行ける、それが目指すべき岩手の暮らし方のモデルであり、未来の日本であると考えます。
 このように考えるとき、岩手にはその土壌となる地域、要素がたくさんあり、それは今も根づいている結いの心そのものであります。必要なのは、そこに住む人々がいかにそこに気づき、親や家族のみならず、地域の宝として地域ぐるみでその認識を共有し、その環境を築くことができるかであります。働きながら子供を育てる環境をつくる、それは、単に女性の就業、子育て環境を充実させることだけでできるものではないはずです。こうした地域の姿をつくり上げるには、まず、人生経験豊かで、地域の暮らしのベテランである高齢者の皆さんが社会活動へ積極的に参画し、生き生きとして元気であることが肝心であります。このことは、県は既に十分認識され取り組んでおられますが、地域特性を生かした事例など、その成果と現在の取組状況をお聞かせ願います。
 また一方、少子化対策でありますが、この問題に対する県のスタンスは、私のさきの質問に平成10年の県民意識調査の結果を示され、結婚は個人の選択や価値観にかかわる問題でもあり、さまざまの議論があるとしております。一定の理解はできるものの、その論には地域格差があり、本県の事情を十分反映するものではないと感ずるものであります。私が問題ととらえていることは、個人の選択や価値観にかかわらず、結婚したくてもその機会に恵まれない人に対する対策であります。一番深刻なはずの結婚年齢に達している男性の未婚率の数字について、その実態を把握されておられれば広域生活圏別にお知らせください。
 これは、もとより個人にかかわることも多く即効策は期待できないものの、本県が真に夢県土いわてを目指すならば、真正面から取り組み、悩んでいる県民に希望を与えることも重要であります。生え抜きの部長の納得できる前向きな答弁を期待するものであります。
 次に、本県の基幹産業たる農林業に元気の出る振興策についてお尋ねいたします。
 本県の農業は、県内総生産額の3.5%とその割合は年々減少しており、農業粗生産額や農業就業人口も平成2年に比し、平成12年にはそれぞれ82%、81%まで減少、一方、生産資材価格は総じて約7%アップしております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 こうした中で、農家総所得はほぼ横ばいで推移しておりますが、農業依存度は22.6%から15.9%とほぼ7ポイント減少しております。それでも全国的には、地産地消運動などの成果により特定地域では農家所得が向上しており、農家は活力を戻しつつあるという評価もあるようであります。しかしながら、この数字から判断しても、本県農業がこのままでよいはずはなく、本県農業を一層元気にすることが必要であり、それが県勢発展の起爆剤になり得ると確信するものであります。
 さて、総合食料供給基地を標榜する本県農業にあって、生産をして大消費地へ送り込むこと、これを主体にこれまでの政策がとられ、結果、農家所得の向上に大いに寄与してまいりました。しかし、今日のように安全・安心がすべての農産物に求められ、生産者の顔が見える農業へ大きく見直されているとき、その戦略もこれに応じた戦略へと方向転換が求められ、また、少量多品目生産など産直を基本とする兼業農家や高齢者農家の生産にも対応した農業形態を進める必要もあります。つまり、産地名の差しかえや使用農薬による疑惑など、農産物の流通による問題が起きている今日、できるだけ産地に近い場所での流通形態をとる、すなわち、地元産地の卸売市場から県内農産物が流通すること、これは産地としての付加価値を高め、ひいては信用度の向上につながるものと考えますがいかがでしょうか。
 一方、稲作農家も飯米自給へのこだわりはともかく、価格補償制度に依存した生産体系から、消費拡大対策や水田の汎用化を進めるなど、新しい経営形態、あるいは専業的につくる農家へ集約するなど、農業の新しい形づくりを模索すべきであります。また、消費についても粒食での消費のみならず、パンなど粉食での消費を展開するなどし、例えば学校給食や公共施設での利用を手始めに展開し、安定的な需要に結びつければ、かなりの消費につながると考えます。さらには、アルコール類の消費において日本酒が落ち込み、しょうちゅうが年々伸びている現状を見るとき、本県でも全国の銘柄米の産地として、米しょうちゅうの開発や商品化に取り組んではいかがかと考えますが、米の消費拡大に対する御所見と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、雇用の問題についてお尋ねいたします。
 昨年12月に過去最悪の5.5%を記録した我が国の失業率は、一時回復の兆しを見せたものの、ことし5月以降再び5.4%に悪化、ワースト記録更新の勢いであります。民間のシンクタンクによれば、02年の見通しは5.8%、03年には6%に達し、過去50年で最悪の水準になると予測しております。一方、この8月の有効求人倍率は、全国平均で0.54、本県は0.41と非常に厳しい雇用情勢が続いております。こうした不景気の影響は、既に始まった新規高校卒業者の就職活動を直撃しており、県内の求人が7月末現在で871人、前年同期比39%の減少となっております。わけても、先端技術産業の撤退や有力企業の倒産などにより、県内でも雇用環境の厳しい我が胆江地方は、8月末時点の就職希望者515人に対し、県内求人数がわずか76人となっており、まことに深刻であります。
 さて、私は戦後のベビーブーム時代に生まれ、団塊の世代と言われており、学校を卒業すれば金の卵ともてはやされ、気ままを言わなければ、だれでも就職できました。就職後は、残業に次ぐ残業で働き、気がつけばオジンと呼ばれ、疲弊した老兵は隅に置かれ、やがてリストラ。自営している者も景気のよさにはしゃいだのもつかの間、わずかな蓄えは底を尽き、残されたのは借金ばかりなり、あげくの果ては苦労して育てた子供は卒業しても就職できず、ああ、我が人生嘆かずにはいられない。これが今、我が世代の心境であります。
 この雇用問題は、基本的には国の仕事としながらも、ここまで深刻化してくれば、地方経済を預かる県としても抜本的独自の対策を講ずるべきであります。地元に就職を希望しても、一たん離れてしまえば戻ることは容易ではありません。県では、関係者と連携をとり、その対応をしていることは承知をしておりますが、幾ら事業者に頼み込んでも、仕事の確保の見通しが立たないことには雇用には踏み切れません。新たな産業の創出も大切でありますが、未来の岩手を担う若者が希望の持てるよう、市町村と連携して地元企業の育成と雇用の確保に、地域特性を生かし地域を挙げて、地域密着の仕事づくりに英知を結集して早急に取り組むべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
 次に、県職員の適正配置についてお尋ねいたします。
 それぞれの職員については、職種やまさに適材適所として配置されていると承知をいたしておりますが、この際、特にも市町村の行政事務と連携、指導を要する部署などには、地元出身職員の配置を優先すべきと考えます。このことは、着など、これまで懸念されたデメリットよりも、今日では地域の地理や気候風土、歴史、文化など、いわて地元学を生かした県政運営が進むメリットの方が大きいと考えるからであります。例えば、ここ数年多発する大きな災害時に、自分のふるさとで地域ボランティアとして積極的な参加が期待でき、県民と身近な行政感覚が身につくなど、具体的な体験を通じて公僕としての自覚の高揚が図られるなど、一層の資質の向上につながると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、郷土芸能の保存と、それを生かした複合文化施設の設置についてお尋ねいたします。
 オペラもバレエも歌舞伎も、まずは民俗芸能から生まれました。それは、いつのころからか芸術と称され、ローカルなものからグローバルなものへと位置づけられ、芸術は国家や裕福な愛好者などによって、広く社会の理解と支持を得てまいりました。しかし、それ以外の多くの民俗芸能は、郷土芸能として昔のままの姿で、生まれ育った地域の中で脈々と受け継がれております。それが常に人々の暮らしとともにあり、まさしく地域における重要な文化であり、貴重な文化遺産であります。
 本県には、郷土芸能が数多くありますが、国、県、市町村の指定を受けている郷土芸能無形民俗文化財だけでも397もあり、全国で一番多いということは余り知られておりません。これらは地域の行政や伝承する団体、関係者の御努力で保存の取り組みがなされてきているものですが、郷土芸能の中には後継者も絶え、その記録すら残っていないものも多くあります。これらの郷土芸能の貴重な音声や映像を保存しているのが、秋田県の田沢湖町にある財団法人民俗芸術研究所であります。調べましたところ、本県にかかわるその収録保存数は、民謡が847種、民俗芸能が975種であり、県内一円に及んでおります。これら貴重な資料の多くは、昭和30年代半ばから40年代初めにかけて収録されたものであり、収録資材も古く、しかも保管状態も良好とは言えず、相当劣化が進み、あと数年で消滅するのではと危惧されており、早期のデジタル化が望まれております。この決してよみがえることのない貴重な資料を、県は調査の上その価値を検証し、ぜひ記録保存すべきと考えますが御所見をお示し願います。
 また、こうした貴重な郷土芸能は、地域が持つ特有の文化としてその位置づけが見直されており、保護のみならず観光資源や教育分野など、地域活性化に幅広い活用が期待されております。郷土芸能は無形文化財であり人という要素で成り立っており、人を一つのキーワードとする本県は、ここに着目し、人を揺り動かす力としてとらえ、郷土芸能の宝庫として、ともすれば見失いがちな地域文化を今こそ本県地域振興の核となる財産として再認識し、これを発信できる施設、すなわち岩手県を中心とした北東北3県が相互に協力しつつ、地域文化の再構成と再発展を促進する国内唯一の複合文化施設の設置、展開を提言するものであります。とかく箱物は昨今の厳しい財政状況下では振り向きもされませんが、建てることよりも使うことに視点を置く中身のある箱として、いかなる時代にあっても必要とされる公共施設のあり方を提案しつつ、その設置を求めるものでありますが、これについてお考えをお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 21世紀は、人間の世紀、心の世紀と言われます。20世紀は物の豊かさが求められ、物質の世紀でありましたが、人の命が軽んぜられ、心が置き去りにされてきました。新世紀の初めの荒れた成人式や、本県でも起きている青少年による考えられないようなさまざまな犯罪、さらには、人を育て教えるという聖職にある人々によって引き起こされる、社会の常識では考えられない数々の事件事故が起きており、先生も信じられない、そんな子供たちの隠れた声が聞こえます。こうしたことが続出している本県の教育委員会は、その対応に多くの時間が割かれ、かつ人事の刷新にまでつながる現状に、これではいかぬと言わざるを得ないのであります。我が国の教育改革の動きは、平成9年に橋本内閣により六大改革の一つとして打ち出され、その後、数々の改正が行われました。そして、この4月からは小・中学校において、いよいよ新学習指導要領が全面実施されました。これで21世紀初頭における教育制度の枠組みの方向が定まったと言われております。言いかえれば規制緩和と地方分権が教育分野でも行われた、文部科学省のがんじがらめの規制から、地方教育行政や学校の主体性が確立されることが求められたと言えると思います。
 さて、こうした観点で本県に転じますと、これまでは教育委員会が学校をコントロールするという感じであったものが、学校が主体性と自律性を持ち、教育委員会がこれを支援していく、また、地域に密着した教育制度が地域の教育委員会で行われるということであろうと思います。そして、さらに人事、予算両面でも、校長がかなりの部分において裁量権を持って行える。こうした形ができ上がらなければ、経営的側面の組織と、教えるとする教務的側面の並列が現存する問題の解決にはなりません。こうした点について、教育長の御所見をお聞かせください。
 また、高校再編に伴う今日的な議論を聞いておりますと、まさに地域の教育は地域でとする視点が欠けていると思えてなりません。たとえ最終権限はどこにあろうとも、統合、廃校など生徒数の減少に伴うことはやむを得ないにしても、校名や地域の人材を育てる学科のあり方などは、地域にゆだね議論を重ねることが至当と考えますがいかがでしょうか。
 さらに、学校完全週5日制になり、子供たちは計算上1年の半分しか学校には行きません。これは子供の全生活時間の睡眠時間を除けば、約半分は地域社会と家庭で過ごすことになり、現在の教育に欠けている点とされる体験を通じた経験をする教育のあり方が求められていますが、これへの具体的な対策が見えてきません。
 さらに、このことに関連するのは、過日新聞で話題とされた学校の長期休業中における教員の過ごし方であります。いわゆるまとめ取りのあった学校週5日制完全実施前と同様の過ごし方をしているとすれば、到底県民の理解は得られないことと考えます。今、問題視される体験、経験を、子供のみならず、教える教師がみずから身につけるために、その多くの時間を使うことが必要と思いますが、御所見をお示し願います。
 次に、スポーツ振興についてお尋ねいたします。
 このことは、一昨年の東北総体終了時の9月議会でも質問させていただきましたので、基本的な点について質問いたします。来月末には高知県で今年度の秋季国体が開かれますが、今日的に明るい話題の乏しいときでもあり、スポーツ選手の活躍は県民にひとしく夢と感動を与えるものであり、大いなる活躍を期待するものであります。国体は各県の持つスポーツ競技力の水準をはかる唯一の機会でもありますので、まず、本年の本県選手団の実力をどのように分析されておられるのかお伺いいたします。
 また、前回の競技スポーツの振興についての質問に、ジュニア期からの計画的な育成、優秀な指導者の養成、確保を強調され、あわせて施設の充実と整備の必要性、組織の充実強化を図り、総合的な強化策を進めるという答弁でありました。一朝一夕で一挙に進むとは考えておりませんが、2年が経過した中で、具体的にどのような強化が図られ、その進捗状況をどのように認識されているのかお示し願います。
 最後に、県警察の充実についてお尋ねいたします。
 私たちが海外旅行に出かけますときに、旅行会社から説明と同時に注意を受けるのは、必ず盗難と夜間の外出の話であり、実際に出かけてみましても、まず実感するのは、我が国の治安のよさでありました。ところが最近、我が国でも首都圏のみならず本県においても多種雑多の犯罪が発する傾向にあります。こうした傾向を見るにつけ、私は社会生活の安全確保も急速に強まる重要な地域課題だと感じております。
 13年度の刑法犯の総検挙件数は3、562件であり、その検挙率は重要犯罪で65.4%、重要窃盗犯は48.5%となっておりますが、平成9年にはそれぞれ98.9%、80.9%でしたから大きな落ち込みであります。こうした傾向は全国的なようではありますが、考えてみますと、本県は四国4県に匹敵する面積を有し、警察官1人当たりの負担面積は北海道に次いで全国第2位であります。加えて人口がまばらで高齢者も多く、犯罪抑止力としての地域コミュニティーが衰えていることも一つの要因と考えられます。このような警察力が時代背景に追いつかない現状は、県民に大きな不安を与えるばかりか、求められる地域の住みよさや環境のよさなど、魅力ある県土づくりに大きな障害となるものであり、改めて本県警察の充実強化を望むものでありますが、警察本部長の現状認識と率直なる御所見をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐藤力男議員の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、県財政の状況についてお尋ねがございましたのですが、その県財政のうち、まず本県の県債償還の関係ですけれども、国で何度か行っておりました経済対策に呼応した補正予算債、それから地方財源の不足対策としての財源対策債、それから東北新幹線の整備に伴う県債の発行などによりまして、今後ともこの県債残高、増加をしてまいります。当然のことながら増加をしていくのですが、平成20年度ころにそのピークに達するということで、本年度の当初予算額、14年度の当初予算額と比較すると私どもの計算ですと約370億円ほどふえます。そして、トータルで1、710億円程度になる、平成20年度には1、710億円程度になると見込まれております。
 こうした県債の償還に対応していくためには、財政の中期見通しというものを私ども持っておりますが、これを見直しして、県債の発行額が償還額を下回るようにしていく必要があるだろうと、いわゆるプライマリーバランスの均衡を早期に実現するということが必要だろうと思います。そして、県債残高を圧縮するように、新たな健全化目標を設定して将来の財政状況を見据えた財政運営を行っていくことが不可欠であると考えております。このため、歳入や歳出の推移と、そのギャップの見込みを的確に見積もることによりまして、歳入規模に見合うような歳出の抑制、今も大分抑制してございますが、またさらに一段と事業を厳選して歳入規模に合うように歳出の抑制を図っていくということと、それから県債管理基金を初めとする三つの主要な基金があるわけですが、この基金の計画的な活用と、それからやはり将来に備えての残高の確保ということが重要になってくるだろう。こうしたことを今後取り組んでいきたいと思っております。
 それから、全体を通じての話ですが、行政コストの縮減ということを一層徹底する必要がありますので、事務事業評価などによりまして、事務事業の重点化と効率化を図っていく。それから、新たに政策形成・予算編成システムというものの導入を今しているところでございまして、この新しいシステムにのっとった予算編成を行う。そして、行政ニーズに即した政策立案と、そもそものこの予算編成事務の簡素合理化を図るといったようなことで、最少の経費、最少のコストで最大の効果が上がるように、行財政システム全般のさらなる改革に取り組んでいきたいと考えております。
 盛岡駅の西口複合施設についてお尋ねがございましたのですが、この複合施設の中に入る機能を申し上げますと、この施設の中には、図書情報総合センターという名称で我々呼んでおりますが、現在の県立図書館がございますが、あれが大変古く、また手狭になっていますので、その解消を図るためにこの西口の複合施設の中に新たにそれ相当の機能を持った図書情報総合センターをつくりたいと思っていますし、また、県民活動支援総合センターと呼んでいますが、中身ではNPOの活動ですとか、それからまた、今議会で条例を出していますが、男女共同参画の推進など、新しいさまざまな社会的ニーズがありますので、そうしたものに対応する県民の皆さんの主体的な取り組みを支援するための拠点というものをこの中に入れていきたい。ほかにも随分いろいろな機能、パスポートセンターですとか免許証ですとか、さまざまな利便施設等をこの中に入れていくわけでございますが、こうしたことを入れた複合施設という性格上、これはやはり早期に整備する必要があると考えております。
 県民の声を広く聞いて判断したらどうかという話がありましたのですが、そういった関係については県民アンケートの実施や有識者、専門家の意見と、私どもなりにできる限りの多面的な検討を重ねて判断してまいりましたし、今回の政策評価による費用便益の試算結果も、こうしたものを補完するものとしてとらえていますので、この施設については、本年度中に建設工事に着手する予定として進めていきたいと考えております。
 市町村合併についてお尋ねがあったのですが、まずこの取り組みが全体的には本県低調ではないかというお話ございましたのですが、私も当初の段階、こういった問題が出てきた当初の段階では、どうもやはり市町村合併をめぐる動きを見ていますと、各市町村においてもかなり現在はシビルミニマムが達成されている状況もありますので、合併の選択というのはかなり大きな変革を伴いますから、そこまで行かずとも現状をもとにして何とか乗り切れるのではないかという気持ちが市町村の底流にその当時あったのではないか。現状の方が楽ですし、それから交付税もそれなりに来るだろうといったような気持ちがやはり底流にあって、余り変化を望まないといったようなことがあったのではないかとも思っておりますが、その後、県でも平成12年に、広域行政推進指針というものを策定して、市町村のこの合併パターンを含む広域行政の方向性について市町村や県民の皆さんにお示ししましたし、それから指針の説明会、それからまた、各地域で行われた官民それぞれで取り組まれたシンポジウムなどもございましたので、機運の醸成が随分図られてきたと思っています。
 大船渡市と三陸町の合併も去年の11月に実現したということもございますが、最近の動きを見ておりましても、盛岡市では法定協議会設置に向けた直接請求の動きがありますし、両磐地域でも任意協議会の10月設置、今いろいろ動いているようですが、10月設置を目指した取り組みといったようなことのほか、各地においても、住民懇談会、それから任意協議会の検討といったようなことが行われてきておりまして、地域の実情に応じてこの議論や動きが活発になってきているととらえております。
 合併というのは、難しいのは、これは上から進めると結局いつまでも地方自治が育たないということがあって、苦労して少し時間がかかってもやっぱり地域のあり方は地域で決めるということを貫いていかないといけないということが一方でありますし、判断材料はいろいろ豊富にお示しした方がいいといったこともあるので、なかなかそのあたりの兼ね合いということであるわけですが、特に地域の将来像にかかわる部分については、関係市町村が住民とともに十分に議論して、その上で苦労しながらも描いていくべきと思っていまして、県では、先ほど議員からお話しあったように8月に市町村合併支援プランというものを示したわけでございますが、こうしたプランもさらに議論の中に取り入れて、将来の地域像を議論する場として、また、年内、各地域で幾つかのシンポジウムの開催を今予定しておりますので、そんなことをしてさらに住民の皆さんに考えていただくようにしていきたい。それで、具体的な支援の方策についてはその支援プランの中に盛り込んでありますから、大幅な権限移譲なども図っていきたいと思っておりますし、この市町村合併への取り組みというもの、各地域の市町村で行われるものについて、これからさらに積極的に支援していきたいと考えております。
 郷土芸能による地域振興と、それから複合文化施設の設置を考えてはどうかというお話ございました。県内各地域で守り伝えられているこうした郷土芸能と言いますのは、これはもう地域の本当に特色ある文化と一体となっておりますし、さらには生活や産業と密接に結びついているということで、みずからの地域の歴史、伝統、文化などを理解する上で極めて重要な資源であると思っております。こうした地域の資源を十二分に活用して、他地域に情報を発信していく、それから体験学習を通じた地域間交流をさらに進めていく、さらには観光産業との連携といったようなことで、総体としてのこの地域の活性化に結びつけていくことは、伝統文化の振興ということだけでなくて地域全体の振興にとっても非常に重要であり、また、必要なことと思っています。
 そこで、県では、郷土芸能を核とする各種の催しの支援ということ、直接主催をしたりあるいはそれを後援したりということで、各種の催し物の支援などに努めてきたところで、今後も後継者の育成、これは学校の教育の場も大いにこういったことに使いたいと思っていますし、それから北東北3県で、岩手だけでなくてやはりさらに活動の舞台を広げて北東北3県で連携した公演の機会をつくっていくということも重要だろう。先般の9月1日に県民会館で北東北3県の子供たちのこうした郷土芸能の発表する舞台をつくったのですが、これは私も行きました。大変すばらしい場でございまして、ああいうのを見ていますと大変教育効果もあったのではないかと思うわけですので、こうした北東北3県の連携による公演機会もさらにこれから充実していきたいと思っています。郷土芸能を活用したそうした上での個性豊かな地域づくりをこれからも進めていきたいと思います。
 御提言あった複合文化施設の設置についてなんですが、これについては現在、調べますと県民会館を初めとして県内各地の公共文化施設というのが私どもの調べですと31ほどございます。それから、郷土芸能の伝承館というのがそのほかに22あるというような状況で、随分こうした文化施設ですとか郷土芸能の伝承館などが数多くありますので、県では、こうしたところに新たな施設をさらに整備するよりは、県民会館を初めとして、今申し上げましたような各地にございます多くの施設の中で郷土芸能の発表等の活動をさらに活発化していきたい、そうした発表の活動を支援していきたい。それから、県立博物館や関係団体が有しているデータが多くございますので、こうした既存の各種データをもっとうまく利活用する、それから、さらにそれをしっかりと保存するような形で整備していくことも大事だと思うんですが、そうした活用をしながら郷土芸能の一層の振興に努める、そういう方に重点を置いて取り組んでいきたいと考えておりまして、こうした新たな施設を整備するということについては今は消極的な考え方でございます。既存のデータなどもさらに十二分に活用するという方向で地域の伝統文化の活性化を図っていきたい、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 合併市町村に対する財政的な支援策についてのお尋ねでございましたが、8月に策定いたしました県の市町村合併支援プランにおきまして、合併市町村の自立を促進するための制度の創設や拡充を図ることとしております。
 県といたしましては、このプランに基づきまして、合併に伴って生ずる臨時的な財政需要や合併後の一体的なまちづくりに資するよう、合併市町村に対する財政支援策について、平成15年度の制度化に向けまして現在検討を進めているところでございます。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) まず、高齢者の社会活動への参画に対する支援についてでありますが、県では、高齢者の健康づくり、生涯学習、就労等の支援のほか、地域社会の中で積極的に社会参加していただくため、県長寿社会振興財団の高齢者保健福祉基金による助成や、各地方振興局に設置しておりますシルバーパワーネットを活用した社会貢献活動への支援及び情報の提供などを行ってきております。これまでに、パソコンネットワークによる生きがいや地域活動を充実させる盛岡市のいわてシニアネット、三陸沿岸14市町村を結ぶシニアネット・リアス、盛岡弁など方言を通じて青少年の郷土愛をはぐくむ盛岡弁に親しむ会、北上和賀地区の伝統芸能普及や観光ボランティアを行う高齢者大学北上校同窓会、住田町では、高齢者の住まいの小修繕や補修を行う大工ボランティアグループ、久慈市では、河川景観の保全や地域交流などを行う夏井川堤の景観を創る会など、さまざまな高齢者グループが地域の特性を生かしながら積極的な活動を行っているところであります。
 今後におきましても、社会活動が積極的に行われるよう、社会参加のきっかけとなる情報提供や活動の場づくり、さらには活動助成など多様な支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、男性の未婚率等についてでありますが、平成12年の国勢調査の結果から、当部で計算いたしましたところ、本県男性の20歳から49歳までの総数の未婚率は41.8%となっております。これを広域生活圏別に見ますと、最も高いのは盛岡の42.5%、最も低いのが釜石の40.4%となっており、どの地域でも大きな違いは見られない状況でございました。
 未婚の要因につきましては、これまでも、職業観、家族観、居住環境などの面から分析・検討され、それに応じた施策が展開されてきているところであります。
 結婚の支援策としまして、これまで、市町村や岩手県農業公社などによる青年たちの交流事業や結婚相談員――現在約510名ほどおられます――、こうした方々を対象とした研修会の開催などが行われてきたところであります。
 しかし、最近の若者の意識や行動を考えますと、公的な出会いの場の提供もさることながら、広域的に地域で行われていますスポーツや音楽のサークル活動、お祭りなど伝統行事、ボランティア活動の中で、自然な形で出会いを繰り返しながら互いに理解をしていくことが必要なのではないかと思われます。このため、地域で活動しているリーダー的な人々が、意識的に10代、20代のころから青年たちがみずからこのような活動に参加し、積極的に取り組むよう働きかけていくことが必要であります。こうした活動を支える意味でも、インターネット等を活用した情報の提供も有効ではないかと思われますので、関係者と相談しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 農産物の地場流通の促進についてでありますが、県産農産物の多くは首都圏を中心とした大消費地へ出荷されておりまして、県内の卸売市場に出荷されている県産農産物の割合を見ますと、例えば、青果物では年間平均で約25%程度と推定しております。このように、県内の卸売市場での取扱率が低いのは、地場流通の量が必ずしも十分でないということもありますが、一方では、県産青果物の品目が限られていること、また、本県は夏秋ものが中心でございますので、冬場の生産が少なく、出荷時期が限られていることなどによるものであると思っておりまして、県外からも多くの青果物が入荷されている実情にあります。しかし、県民は、できるだけ地元の農産物を購入したいという志向が年々高まってきておりますので、豊かな岩手の恵みを享受できるような地場流通を一層促進していく必要があると考えております。
 議員御指摘の、県産農産物を一たん地域の卸売市場を経由することにつきましては、長い間培ってきた首都圏などの大消費地の卸売市場との取引先との関係、価格形成力、流通コストなどの問題もあるものと考えております。
 いずれにいたしましても、今日の農産物流通をめぐる状況は、消費者が地元産に対する選択性を一層強めてくるものと考えられますので、地域の卸売市場における上場量の拡大、市場を核とした県内流通システムの整備などにつきまして、系統組織等の出荷者、卸売市場などの関係者の理解と協力を得ながらその促進を図ってまいる考えであります。
 次に、米の消費拡大についてでありますが、本県農業の基幹である稲作の安定生産を図るためにも、また、日本型食生活を提唱している食生活指針を実践する上からも、米の消費拡大に向けて積極的に継続的に取り組んでいく必要があると考えております。
 県といたしましては、これまで、関係機関・団体と連携をとりながら、消費拡大策として米飯学校給食への支援をしておりますほか、高校生を対象としたごはん食講習会、栄養士によります学校給食調理コンクールなどを開催してきておりますし、また、多くの市町村におきましても、産業まつりなどにおいて米の消費拡大運動に取り組んでいただいているところであります。また、本年度、新たに、幼少時から御飯食を取り入れた食生活を身につけていただくために、幼児と保護者を対象とした親子おにぎり教室、小学生と保護者、栄養士によるライスセミナーなどを開催する予定としているところであります。
 米の消費拡大のためには、議員御指摘のとおり、パン、しょうちゅう、めんなどへの多用途利用にも積極的に取り組む必要がありますので、既に一部商品化されているものもありますが、今後、関係の業界とも連携をしながら、こうした課題にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕

〇商工労働観光部長(照井崇君) 雇用問題についてでありますが、製造業の海外シフトに伴う誘致企業の撤退や個人消費の低迷等による大型店の閉鎖などが相次ぐ中で、地元企業への就労を希望する方々、とりわけ地域の将来を担う若者についてより多くの雇用を実現するためには、各地域ごとにその特性を生かし、即効性の高い雇用の場の確保・創出を図るとともに、地域経済の担い手となっている地場企業の経営安定と育成を図ることが重要であると認識いたしております。
 このため、県におきましては、さきに改定した岩手県総合雇用対策において、国の交付金を受けて造成した緊急地域雇用創出特別基金による事業については、より地域に密着した事業の展開が図られるよう市町村への事業費の配分ウエートを高めることとしたほか、県単の緊急地域雇用特別基金による事業については、その活用の自由度を高め、各地域において創意工夫を凝らしながら、雇用創出に向けた多様な事業の実施が可能となるように定めたところであります。
 今後は、特にこの県単基金を活用し、例えば、新規学卒者など若年者を新たに雇用した地元企業への支援など、幅広い雇用支援の施策が各市町村において展開されるよう積極的に助言してまいりたいと考えております。
 また、地場企業の経営安定と育成に関しましては、本年4月に策定した岩手県中小企業経営革新推進計画に基づき、本年度から平成16年度までの3カ年で、県内500社の経営革新を商工団体との連携のもとに支援するほか、新製品、新サービスの開発・事業化を目指す中小企業に対して中小企業創造活動促進法に基づく各種助成を行い、その育成に努めているところであります。
 県といたしましては、このような各種事業等を通じ、地域の雇用吸収力を高め、新規学卒者を初めとして、就労を希望するより多くの県民がその個性や能力を発揮できるよう、雇用の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 県職員の適正配置についてでありますが、職員の人事配置に当たっては、勤務意欲の高揚と公務能率の向上を目的として、職員一人一人の能力を最大限に発揮することが可能となるよう、適材適所を基本に本庁と出先機関との積極的な交流等に努めておりますが、必ずしも出身地に配置することを前提としているものではないところであります。
 御提言のありました、市町村行政との特に密接な連携等を必要とする地方振興局等の地方公所への職員の配置につきましても、あくまで適材適所の観点から配置することを原則としてきておりますが、そうした中でも、地域に固有の課題に適切に対処するに当たって地元出身の職員が最も適任である場合もあり、そうした配置もあり得るものと考えるところであります。
 広い県土を抱える本県においては、自分の出身地であるか否かにかかわらず、勤務するそれぞれの地域において、心から地域を愛し、全力で地域振興に尽力することが、分権時代を迎えた今、県職員としての使命であると考えており、地域のよきパートナーとして、その意欲、能力を最大限発揮しながら、積極的に地域づくりに取り組むことができるよう適切な人事配置に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕

〇教育長(五十嵐正君) まず、郷土芸能の記録保存等についてでありますが、県では、県内各地に数多く伝承されている貴重な無形民俗文化財の保存・伝承に資するため、文化庁の補助を得て文化財の映像記録化を促進しているほか、昨年度から開始されたふるさと文化再興事業の委嘱を受けて、民俗芸能の保存団体が行う映像記録の作成を支援するとともに、財団法人地域創造が行っている映像記録作成補助事業についても、その積極的な活用について市町村の取り組みを支援しているところであります。
 お尋ねのありました財団法人民族芸術研究所が保管している映像資料等の保存につきましては、市町村や保存団体を初め、県内の関係者、関係団体がどのような映像資料等の利活用を望んでいるのか、また、必要としているのかといった意向を踏まえながら、先ほど申し上げました各種の補助制度等の活用の促進を図ることなどにより、適切な保存に向けて指導、支援してまいりたいと考えております。
 次に、学校の主体性と自律性についてでありますが、県教育委員会といたしましては、子供の個性を伸ばし、地域の実情等に応じた開かれた特色ある学校づくりを実現する観点から、学校裁量の拡大を図ってきているところであります。
 例えば、新しい学習指導要領においては、授業の1単位時間の設定を弾力化して、創意工夫を生かした時間割の編成が可能となり、また、総合的な学習の時間の創設、選択教科の拡充など、各学校の実情に応じた教育課程を編成することが可能となっております。
 また、県立学校につきましては、これまでも修学旅行等の学校運営に関するさまざまな裁量の拡大を図ってきているほか、今年度からは、新たに、各学校が地域関係者等の意見を聞きながら、事業の内容を自由に決定できる個性輝く学校づくり推進事業を実施しているところであります。
 なお、学校裁量の拡大に伴い、学校がみずからを律し、より責任のある学校運営をすることが強く求められており、各学校が学校評価を導入し、家庭や地域と十分連携しながら、校長のリーダーシップのもとに不断に学校運営の改善を図っていくことも大切であると考えております。今後とも、これらの取り組みを進めることにより、学校の自主性、自律性を確立し、地域に開かれた特色ある学校づくりが推進されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、高校再編についてでありますが、各高等学校が、それぞれ特色ある魅力的で活力にあふれた教育を行うためには、生徒や地域の実情に応じた学科の設置など、地域社会と連携・協力して教育活動を展開していくことが重要であります。このため、県立高等学校新整備計画において、統合や新しいタイプの高等学校への整備を計画している学校にあっては、当該校の同窓会や保護者の代表、地域PTAの代表のほか、関係市町村の教育長、首長部局、産業界を代表する方などから成る整備検討委員会を設置し、校名や学科を含め、望ましい教育のあり方について検討していただくことにしているところであります。
 県教育委員会といたしましては、この検討結果を最大限に尊重しながら地域の高校教育の方向性を示しているものであり、今後とも、地域に根差した学校づくりが展開されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、体験活動を重視する教育のあり方についてでありますが、家庭や地域社会においても子供たちに多くの体験をさせることが重要であるという認識のもと、県内19カ所の子どもセンターから、いつ、どこで、どのような体験ができるのかというような情報を提供するとともに、子供たちのボランティア活動等について、指導者の照会、相談に応じる支援センターを県内15市町村が設置しており、その拡充を促進してまいりたいと考えております。
 さらに、子供会や青少年団体等の活動に助成する子どもゆめ基金の活用を促進するなど、子供たちが積極的に体験活動に取り組むための環境づくりを市町村と一体となって進めているところであります。
 また、教師みずからの体験、経験の必要性についてでありますが、教員には、教育公務員特例法により、その職責を遂行するため絶えず研究と修養に努めることが求められており、教員は積極的に体験、経験を積む必要があると考えております。
 御指摘のありました学校週5日制完全実施後の教員の過ごし方についてでありますが、長期休業中とはいえ、土曜日、日曜日以外は勤務日であり、校内研修や部活動の指導、地域巡回指導、あるいはみずから企画し、福祉施設で介護体験等を実施する社会体験研修などが行われているほか、所属長の承認のもと、勤務場所を離れて幅広い専門的な研修にも取り組んでおります。
 今後におきましても、児童生徒のさまざまな体験活動の拡充はもとより、教員が積極的に社会体験、自然体験を積み、それらの体験に裏打ちされた教育活動が一層なされるよう、指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
 次に、スポーツ振興についてでありますが、ことしの国体における本県選手団の成績は、夏季大会終了時点で、昨年の43位を上回る41位となっております。秋季大会につきましては、近年、連続して入賞しているホッケー、山岳、ウエートリフティングなど7競技の活躍が期待されておりますが、本県の得点源であるホッケー少年男女、ボクシング少年が国体出場を逃したことなどを勘案しますと、昨年の38位を上回ることは厳しい状況となっております。
 また、競技スポーツ振興の施策といたしましては、昨年度から県体育協会に県職員2名を派遣し組織強化を図るとともに、選手強化5カ年計画の策定や強化指定競技の合宿、県外チームとの交流、海外派遣による指導者の養成などを支援しております。さらに、海外から優秀な指導者を招聘しているほか、教員のスポーツ特別選考により、これまで15名の優秀選手・指導者を確保するとともに、今年度新たに、地域を拠点とした中・高連携によるジュニア期からの一貫した育成強化に取り組んでおります。このような事業の展開により新体操や陸上競技などで一定の成果が出ておりますが、まだ十分とは言えない状況にあることから、今後におきましても、これら施策の拡充や重点化を一層推進し、競技力の向上を図ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) 警察力の充実・強化についてお答えいたします。
 まず、全国の本年上半期の刑法犯発生件数でありますが、135万件を超え、戦後最多を記録した昨年を上回る極めて厳しい状況となっております。内容的にも、国民の治安に対する不安を増大させる重要凶悪事件の発生や、路上強盗、ひったくりなど公共空間における犯罪の増加、少年や不法滞在外国人による凶悪犯罪の多発など、悪質、凶悪化が顕著となっているところであります。
 本県におきましても、本年上半期で前年を640件、10%上回る7、014件の刑法犯が発生しておりますほか、殺人、強盗、放火など県民が直接脅威を感ずる犯罪の続発や、去る8月17日に前沢町内で発生した少年4名による祖父母殺人未遂事件のように悪質、凶悪な少年事件の発生を見ているところであります。このように、犯罪は、量的な増加とともに質的にも大きな変化を見せており、一層予断を許さない情勢となっております。
 こうした情勢の変化は、御指摘のとおり、検挙率の低下や県民の体感治安の悪化にも影響し、県民に大きな不安を与えているところでありまして、管内のパトロールの強化でありますとか、発生した犯罪の徹底検挙など積極的な警察活動の推進により犯罪の抑止と検挙率向上に努め、県民の安全と安心な暮らしの実現を図ることが喫緊の課題であると考えているところでございます。
 そのためには、県民の期待にこたえ得る力強い警察を確立していくことが重要であり、これまでも現場を重視した体制の見直しなどに取り組んできたところであります。また、本年度においては、警察官20名の増員が認められ、体制の強化が図られたところであります。しかしながら、広大な県土を有し、警察力を分散せざるを得ない本県の特殊性にかんがみ、現状はいまだ十分な体制とは言いがたいと考えております。
 県警察といたしましては、このような情勢を踏まえ、引き続き治安情勢に対応した警察体制の運用の見直し、交番相談員など警察活動を支援する制度や装備資機材の整備に努めるなど、複雑多様化する警察事象に的確に対応できる精強な警察づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
   

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時34分 休 憩

出席議員(43名)
1番飯沢匡君
3番樋下正信君
4番照井昭二君
5番柳村岩見君
6番小野寺研一君
7番吉田昭彦君
8番工藤大輔君
9番川村農夫君
10番佐々木順一君
11番佐藤力男君
12番阿部静子君
13番阿部富雄君
14番田村誠君
15番岩城明君
18番佐々木大和君
19番及川幸子君
20番阿部敏雄君
22番小 野 寺好君
23番斉藤信君
24番伊沢昌弘君
25番田村正彦君
26番上澤義主君
27番瀬川滋君
28番水上信宏君
29番藤原泰次郎君
31番谷藤裕明君
32番菊池勲君
33番佐々木一榮君
34番伊藤勢至君
35番高橋賢輔君
36番小原宣良君
37番長谷川忠久君
38番千葉浩君
39番吉田洋治君
40番工藤篤君
41番菅原温士君
43番山内隆文君
44番折居明広君
45番村上惠三君
46番藤原良信君
47番及川幸郎君
48番菊池雄光君
49番佐々木俊夫君

欠席議員(4名)
2番及川敦君
17番千葉伝君
21番川口民一君
42番佐藤正春君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後3時56分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部静子さん。
   〔12番阿部静子君登壇〕(拍手)


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