平成14年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(工藤篤君) 自由民主クラブの工藤篤でございます。
 質問に先立ちまして、去る7月10日から11日にかけての台風6号により亡くなられました方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました方々が一日も早く立ち直っていただけますよう祈念申し上げます。復旧に当たり行政として最大限の支援をお願いするものであります。
 さて、私どもの任期も残すところあと半年余りとなりました。これまでの間、私も微力ながら県政運営の一翼を担って、ふるさと岩手のために尽くしてまいりましたが、知事におかれましても、4年間の県政運営のトップとして総括すべき時期であろうと考えます。そこで、これまでの県政運営に当たっての検証、提言あるいは地域の課題などについて順次質問させていただきますので、誠意ある答弁をお願いします。
 まず、平成11年8月に策定した岩手県総合計画についてであります。
 私は、今の県総合計画は県民の皆さんに、とてもわかりにくい不親切な計画だと思っております。この計画は、みんなで創る夢県土いわてを基本目標として、岩手という県土を舞台にして夢県土いわてを実現していくのだという計画であります。これで岩手の未来はこうなるのだなと理解できますか。私は以前、目標というものは具体性があって初めて目標というものであって、夢県土いわてというような抽象的な言葉は、理念としてはいいが目標としてはふさわしくないということを申し上げました。そのことに気づいていただけたようで、平成13年度から施策重点化方針が示されるようになり、平成14年度も、各部局が施策全般の見直しをしながら、緊急かつ重要な課題に対応するため八つの施策の重点化項目について、積極的に取り組むこととされたのであります。社会経済情勢の変化や県民ニーズの変化に的確に対応するためにも、知事が指導力を発揮して、いち早くこのような対策をとってこられたことに対し、敬意を表するものであります。
 岩手県総合計画が策定されたのは3年以上も前のことでありまして、準備段階から数えれば優に5年を経たことになります。環境問題や雇用問題など解決すべき課題は山積し、県民ニーズの多様化や経済の動向、雇用環境の変化などに対応できない面も出てきております。改正するとした場合でも、今から準備をしても来年度には間に合わないでしょうから、よほど早く取り組まなければならないと思うのであります。県の総合計画は、今後の県政運営の基本となるものでありますから、毎年の施策重点化方針による手直しの部分や、21世紀になり東北新幹線も本県を縦貫したこと等を踏まえまして、21世紀を歩む岩手はこうあるべきだ、県政はこのように推進していくのだという方向を改めて示す必要があると思います。市町村合併後の市町村の形やら、北東北3県の広域連携やその後の道州制をにらんだ施策の展開など、新しい課題は山積しているのでありますから、これらに対応していくためにも、新しい岩手の総合計画の策定に着手するべきであると思いますが、知事のお考えを伺いたいと思います。
 次に、政策評価についてであります。
 県では、今年度も総合計画に掲げるそれぞれの目標達成に向けて、施策を取り巻く現状やその成果を的確に分析した上で、施策を効果的に推進するため、政策評価システムを導入し政策評価を実施しているとのことであります。これまで費用対効果の面で評価になじまないとされてきた盛岡駅西口の県ビルなど数件も対象としたようであり、結果が公表されましたが、既に設計や事業に着手しているこれら事業については、拝見したところ評価が出るまでの間にも事業は進行しているようであります。これでは県民から見て、評価はよかったという結果にするしかないととられてしまいませんか。トラベルコスト法によって事前評価するとしておられましたが、事前評価とは事業を実施する前の評価を言うのではありませんか。私は、公共事業はすべて事業評価して事業を実施しろと言っているのではありません。県央や北上川流域とその他の地域との格差は歴然としているのでありまして、その事業が地域格差是正のため必要なのだということであれば、それは立派な大義名分であり、堂々と県民の皆さんに訴えればよいことであります。評価の経過と、評価半ばにおいても実施しなければならなかったという事業の取り扱いについて、知事のお考えを伺いたいと思います。
 次に、公的団体の不祥事についてであります。
 私は、去る平成11年2月議会において、盛岡市にある知的障害者の施設で、入所している園生のお金を施設の管理者が勝手に自分の施設に寄附させていた事例や、平成12年12月議会では、北上市にある知的障害者の施設での入所者の人権侵害の事例などをただしてまいりました。当時の保健福祉部長は毅然として対応してくださり、その都度解決してきたものと思っております。しかし、ことしも、事もあろうに県レベルの知的障害者団体の会長が数年間にわたり旅費等を不正受給していた事件、会長は責任を負い退任したものの、いまだにくすぶっているとも聞いております。
 また、県北の知的障害者施設では、当時の理事長が勝手に入所者などの預金を担保に借り入れを行い、株式投機等により多額の損失を発生した事件などが明らかになりました。この県北の施設については、昨今の就職難で、この施設が閉鎖されるようなことがあれば、たくさんの障害者の職場や入所先がなくなってしまうことから、何とか早く立ち直ってほしいと願うと同時に、大切なお金を使い込みされてしまった障害者の皆さんの心情を思うと、怒りと悲しみで胸の張り裂ける思いであります。県においても、弱い立場にあって何も言えない被害者を何とか救済していただきたいと思います。この前理事長の行為は刑事事件に相当するものであると思うのですが、県及び警察本部はその後の対応をどうとってきたのでしょうか。
 一方、この前理事長個人が2億3、000万円余のお金を持っていることは通常考えられないことであります。担保にした預金証書などの一部は当然入所者の名前になっていたのですから、お金を貸した金融機関は入所者の預貯金であることを知っていたか、あるいは予見できたわけであり、貸した金融機関にも責任があると思われるのであります。金融機関側からすれば、どうせ入所者の預貯金が担保になっているのでありますから、前理事長から返還されなくとも取れなくなることはないと踏んで、担保がある間は貸し続けたことは明白であります。金融機関側の責任追及や返還請求など、このことについて、県はどのように対応してきたのでしょうか。グループホームにいる方たちは将来に不安を訴えております。県は障害者の雇用の場として存続させるため、前理事長の責任を不問にしようとしているのではありませんか。法人の監督責任のある県として、前理事長の不正をただすとともに、園生を初め被害者の方々の救済のため、今後どう対応していくのか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、岩手県労働金庫の横領、流用事件についてですが、報道によれば、この事件は3月に発覚したとなっています。報道される前に監督官庁である県に報告されなかったのですか。労金は3月よりもっと前にこの事件を知って隠していたのではありませんか。県は報告を受けて、どのような対応、指導をしてきたのですか。そして、報告を受けて、なぜ公表しなかったのですか、あるいは公表するよう指導すべきではありませんでしたか。一生懸命働いて預金をしている労働者の預金をです。役員たちが勝手に中央労金に上納したり、分け前をもらって勝手に処分したり、これでは労金に預託した方たちは浮かばれないではありませんか。役員は全員辞任して出直すべきではありませんか。県でもこの事件を公表すれば、労働金庫の統合やその後の役員人事にも影響が出るから、県も金庫と共謀して隠したと思われても仕方ありません。団体の不祥事を隠して、商工労働観光部では中小企業者や労働者の権利よりも団体の利益を優先するのですか。部長、労働金庫の事のてんまつ、指導結果や処分について、きちっと答弁していただきたいと思います。
 次に、東北新幹線盛岡以北の開業に関してであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 岩手県北住民の長年の悲願でありました東北新幹線が、いよいよこの12月1日に県土を縦貫して開業することになりました。振り返れば昭和48年に東北新幹線の盛岡以北の整備計画が決定されてから、既に30年近い歳月が流れたのでありまして、県北に住む者にとって、まさに悲願とも言えた世紀の大事業が実現しようとしているのであります。知事初め執行部の皆さん、県議会、そして県民が一体となって要望し続けた結果でありまして、二戸市民とともに実現運動に携わってきた者として、長年の努力に心から感謝を申し上げたいと思います。
 二戸地域は、今までも十和田湖に最も近い駅として知られてきました。また、二戸駅の利用者は、県内はもとより青森県や秋田県にも及ぶことが見込まれており、特にも特段の御配慮をいただいた新幹線関連道路の整備によりまして、久慈市や十和田市、鹿角市などとも直結し、まさに北東北の結節点としての機能の強化が図られてまいりました。私も地元の方たちとともに、新幹線の全便が二戸駅に停車するようJRに対し訴えてまいりました。しかしながら、今月20日に発表された東北新幹線はやてのダイヤを見ますと、二戸駅には16往復中11往復しか停車しないのであります。すべての便の停車を求めてまいった地元として、とても承服できるものではありません。特に上りの始発と下りの最終を停車させなかったことは、仙台や東京での滞在時間が短くなるだけでなく、岩手日報にも掲載されておりましたが、盛岡からの通勤者が新幹線に乗ると事業所の始業時間に間に合わないと言っているように、新幹線が使えないのであります。このように、発表されたダイヤは、利用者の利便性など全く考慮していないと思うのでありますが、まだ運行までには日にちがありますので、県として早急にJRと協議し、改善していただくべきであると思いますが、県のお考えをお聞かせ願います。
 一方で、こうした地の利を生かした産業、経済、文化の面での機能の充実が求められております。北3県の連携ということを考えてみますと、地理的条件は二戸市がちょうど真ん中に位置するのであります。二戸市を中心にして半径60キロメートルの円をかけば、青森県は八戸や三沢、十和田など、秋田県側では大館、鹿角など、そして本県では盛岡市までが含まれます。これだけの条件を満たしている地域はほかになく、盛岡を補完して十分であると思います。今後は、二戸地域の産業、経済、学術、文化等の集約を進め北東北連携のサブ拠点としての役割を担っていくよう整備すべきであると考えますが、二戸地域の位置づけと、今後の振興策についての県のお考えをお尋ねいたします。
 また、二戸駅は十和田湖にも最も近い駅でありまして、十和田八幡平観光の拠点としての発展が大いに期待されるところでありますが、旅行代理店の商品などを見ましても、これまでは当地を拠点とした周遊型商品は見当たりません。新幹線の開業を契機に、県として、二戸駅や二戸地域を拠点とした新商品の開発、提示などを行い、旅行代理店などと一体になって、新たな観光振興を図るべきと思いますが、お考えと今後の取り組みをお聞きしたいと存じます。
 次に、いわて銀河鉄道についてでありますが、私は事あるごとに、できるだけ地元負担を少なくしてほしい、利用者の負担を軽くしてほしいと訴えてまいりました。残念ながら決定された運賃は、普通運賃が現行JR運賃の平均1.58倍、通学定期が現行の1.99倍、これは県や沿線市町村の補てんがあって、2005年までは現行の1.35倍に抑えられておりますが、通勤定期は現行の2.12倍とされたところであります。この額は利用者にとって、一言で申し上げて高いなあという印象であります。それでも黒字転換は19年目に延ばされたところであり、前途は厳しいものがあると言わざるを得ません。今後は、県民の積極的な利用と、利用促進に向けた行政の支援が大切と思いますが、利用者サービスの向上も欠かせません。県の考え方や対応などをお示しいただきたいと存じます。
 次に、財政問題についてであります。
 今年度の当初予算では、県の財政規模は県税収入の減に加え、地方交付税や国庫支出金が大きく減額となったことなどから、過去最大の下げ幅となりました。一方、昨年度の決算見込みによれば、県税は前年度に比べ65億円、5%の減、地方交付税は4%の減、国庫支出金も2.7%の減となっており、県債管理基金などの取り崩しによって何とか歳入を確保した形になっておりますが、財政指標では、財政の硬直度を示す経常収支比率が90%台になっております。この数値は、危険水準をはるかに超え、これまでの地方財政運営の考え方からすれば落第点であります。なぜこのような財政状況になったのか、このような状況で本年度の財政運営は大丈夫なのか、今後の財政見通しについてはどのように見ておられるのか等についてお尋ねいたします。
 また、県債の発行について、県では縁故債が中心になっておりますが、そろそろ県民参加型のミニ市場公募債というようなものを発行してはいかがでしょうか。資金調達手段の多様化と、何よりも県民の行政への参加意識が高まると思うのでありますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、県幹部のいわゆる天下りについてであります。
 県では、3月に退職した次長級以上の幹部職員の再就職先を公表しましたが、退職者30人のうち27人が県と何らかのかかわりのある団体に再就職したとのことであります。いわゆる天下りにはいろいろ批判があり、県でも削減する方向で取り組んでいるとは伺っておりますが、今回の数字を見た限りでは、何らの解決になっていないと思うのであります。これを根本的に解決するためには、まず次長級以上の職員を定年まで勤務させるということであります。県職員の定年は満60歳と条例で決められていながら、ほとんどの次長級以上の職員は勧奨により定年前に退職しているようであり、これでは再就職を世話することが条件になってくるのは自明の理であります。このような勧奨は原則廃止し、早期退職を希望する職員以外は定年まで勤めさせ、その上で、いわゆる天下りを廃止するというようにしなければ、現在の悪循環は断ち切れないと思い提案するものでありますが、いかがでしょうか。
 次に、二戸市と青森県田子町の県境付近における産業廃棄物についてであります。
 県では、全量撤去に向けて調査を開始するとのことでありますが、汚染による健康被害や風評被害に地域住民は大変困っております。一刻も早い撤去をお願いするとともに、沢水などの水質を継続的に監視していただくことを要望しておきますが、いつごろを目標にして撤去を進めるのか、示していただきたいと思います。青森県側では、住民のはっきりした合意もないままに水壁の設計に取りかかろうとしております。両県のこれまでの対応は打ち上げ花火ばかり上げているように見えて仕方がありません。県境付近における産業廃棄物の撤去の見通しについて、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、BSEの原因究明についてお伺いします。
 BSE発生後、生産者に対しましては、子牛や牛肉の価格の低下に対する各種の補てん金制度や、運転資金の無利子融資などの対策にあわせて、本県においては、滞留していた廃用牛を全国で初めて食肉処理場以外で処理できるようにするなど、独自対策を積極的に打たれたことは高く評価したいと思います。しかしながら、このBSE問題については、その原因が究明されて初めて解決したと言えるものだと思っております。国は今後、死亡牛全頭についてもBSE検査を行うこととし、世界で最も徹底した検査体制となるということでありますが、原因が究明されない限り根本的な対策も打てないわけでありますし、国民の不安も完全に払拭したことにならないものと考えております。
 そこで、お伺いしますが、BSEの原因究明の状況は現段階でどうなっているのか、お知らせ願います。
 次に、8月上旬から中旬にかけての長雨と日照不足による農作物被害対策についてお伺いします。
 ことしは、盛岡気象台開設以来の暖冬に続き、7月の台風など、気象変動の激しい年となっております。また、夏秋野菜の出荷最盛期である8月の上旬から中旬にかけては、長雨と日照不足などにより、一戸町のレタスや岩手町のキャベツが生育不良や病害発生などにより多くの被害を受けております。奥中山地区のレタスにあっては、一時期出荷量が平年に比べると二、三割まで落ち込み、さらに長雨のために定植できない圃場が多く、最終出荷時期である10月上・中旬の出荷についても減少が免れない状況であるとのことです。御承知のとおり、奥中山の夏秋レタスは、全国的にも有名な産地に成長しております。また、キャベツにつきましても、その生産拡大を図られてきているところであり、今回の被害は、このような産地において、野菜生産農家の生産意欲が減退し、次年度の生産規模が縮小しなければよいがと危惧をしているところです。今回の災害を克服して、いわて純情園芸産地の一層の拡大を図るためには、これら被災農家の意欲高揚を図ることが何より重要であると考えます。ついては、県としてどのような農作物の被害対策を講じようとしているのか伺います。
 次に、県内農業の振興についてであります。
 御案内のとおり中国産の輸入野菜、ホウレンソウやマツタケにまで多量の農薬が検出され、消費者は危ない外国食品に取り囲まれております。このときこそ、地産地消、食料供給県としての岩手を全国にPRすべきであり、安全な岩手の野菜や穀類、そしてブロイラーなどの生産振興を図っていくべきであろうと思います。また、消費の拡大が生産を高めることにもつながるのでありますから、農畜産物の販路の拡大も県として重要であると思います。幸い二戸地域は、これらの一大産地を形成しておりますので、消費者のため、安全な食の供給を全国に広げていくためにも、県北地域の農業振興と今後の販路の拡大について県の取り組みをお伺いしたいと存じます。
 また、県営畑地帯総合整備事業が実施されている舌崎地区は、県北地区のリンゴ生産の中心的な地域でありますが、地理的な条件などから春先にたびたび霜の被害を受けております。農業振興と安定した農業経営を図るためには、防霜施設の整備が必要であると考えておりますが、聞くところによりますと、畑地帯総合整備事業において防霜施設の検討が進められているとのことですが、ぜひとも整備を促進されるようお願いするとともに、今後の見通しについてお尋ねをいたします。
 次に、道路の整備についてでありますが、国においては2003年から始まる新しい道路整備長期計画のあり方について中間報告をまとめております。この中で、道路整備の達成率を事業の量ではなく、渋滞解消やバリアフリー化率など、具体的に国民生活をどう向上させたのかの質で評価する成果指標を導入することが盛り込まれております。
 二戸においては、登校中の児童が歩道のない道路で車にはねられて亡くなるという痛ましい事故も起きております。また、都市化の進展に伴い、火災も大規模化、複雑化しておりますが、大型消防車が通行できない道路も数多くあります。
 私も高速交通体系が整備されつつある今日、このような日常生活に欠かせない道路の安全やバリアフリー化が優先される時代が来ていると思うのであります。もとより身近な道路は市町村道が多いわけでありますが、県道についてもしかりであります。今後は、こういう道路整備に重点を移していく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
 二戸市においても、一般県道二戸一戸線の川原橋及び岩谷橋のかけかえと交差点の改良、そして一般県道二戸軽米線の上野沢地区や上斗米金田一線の金田一川地区と川口地区、金田一温泉線の湯田地区、野々上斗内線の野境地区においては、なお未改良の部分が多く、安全という面からも市民生活に支障を来しており、地域住民からは早期整備を強く求められております。これらの早期改良整備について特段の配慮をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
 また、二戸市では、近年の宅地開発や山林の荒廃などの要因が重なり、梅雨、台風などの降雨時期には水害や土砂災害が繰り返し発生しております。長嶺、堀野地区の住宅地を災害から守るため、雨水排水施設整備が欠かせません。山には治山治水事業、里には下水道事業がありますが、雨水対策としては山と里を一体的に考えて取り組む姿勢がぜひとも必要と考えます。つきましては、二戸市内のこれらの地域への雨水排水事業導入の見通しはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 最後に、県立福岡病院の整備についてでありますが、県北住民にとって一日も早い完成が望まれております。また、福岡病院においては、広域中核病院としての機能を強化するため、泌尿器科の新設、麻酔科専任医師の確保、リハビリテーション医療の充実が課題となっております。特にリハビリテーションについては、雫石町の県立リハビリテーションセンターが常に満床で退院待ちの状況であることから、福岡病院に同様の機能を持たせることは、患者の今後の社会復帰を早める観点からも必要であると思いますが、これら福岡病院の整備についてお尋ねいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤篤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新しい岩手の総合計画を策定したらどうか、こういうお話でございましたが、まず、現在の岩手県の総合計画というのは、平成11年8月に策定したものでございます。その後、今議員からお話ございましたとおり、我が国をめぐる、あるいは我が県をめぐる情勢も随分変化してきておりまして、特にも長引く景気低迷による財政状況の悪化や深刻な雇用問題、それから、BSEを初めとする食の安全の問題、それから、行政的には市町村合併や県境を越えた広域連携など、随分大きな出来事あるいはこれからも解決が困難な課題が山積してきている、これは今御指摘のとおりでございます。
 こうしたことに対してこれからも早急な対応が求められるということでございますが、現在のこの岩手県の総合計画に書いてございます考え方、これは、こうしたグローバル時代を見通した視点、あるいは地球環境保全といった地球環境としてのとらえ方、それから、食の安全や広域行政の推進など、今申し上げましたような新しい時代の潮流を見据えて、あらゆる角度から議論を重ねた上でつくり上げてきたものでございまして、この今の計画の理念や基本的な考え方や方向性というのは、こうした今起こっております、あるいはこれからさらに強まるであろうそうした潮流を見据えて、その基本的な方向性に沿ってでき上がっている、このように考えているわけでございます。したがいまして、引き続きこれからの岩手の進むべき指針となり得る、このようにとらえております。
 そういうことでありますので、現在の総合計画の基本理念にのっとって、これからも計画の実現に努めていきたいと思っていまして、その際には、当然成果重視や生活者の視点ということを忘れずに行っていく必要があるわけですが、個々の具体の施策については、それぞれ必要な見直しですとか、あるいは柔軟な施策の選択といったことも必要になろうと思います。そういうその時点、その時点での最良の施策を選択しながら、こうした激しく変化する社会経済情勢の変化に適切に対処しながら、その計画の実現を図っていきたいと考えております。
 それから、政策評価についてのお尋ねがございましたが、盛岡駅西口の複合施設など幾つかの施設について評価を行ったことにつきましてお尋ねがございました。こうした施設整備事業の評価については、その便益の方の計測の方法ということがまだ定まった方法がございませんで、これまでにも全国的にもほとんど例がございません。そういった便益計測ということは実際には行われていなかったわけです。しかし、こうした事業を実施するに当たって、今まで以上に客観性や透明性を持ちながら、しっかりとした説明責任を果たすことが必要だということで、本県で本年度新たに、確かに整備中の施設も入っているわけですが、そういった施設も含めて、複数年度にわたって整備する施設を対象として評価に取り組んだところでございます。
 この評価におきましては、事業の必要性や事業が行われたことによる効果と費用などを明らかにする仕組みといたしまして、特に不特定多数の県民が利用する施設である盛岡駅西口の複合施設などの費用便益比につきましては、さまざまな評価手法を私どもの方で調査研究して、その上でその結果を活用して試算を行い公表したということでございます。このことによって、県民の皆さんに対しての事業実施の説明責任がより一層果たされていくものと考えております。
 また、こうした施設整備事業につきましては、これまで事業着手に当たって、その必要性や有効性などについて、私どもなりに多面的な観点から検討を重ねて判断、実施してきたと考えておりますが、こうした今回とりました評価結果は、今までのものに、さらにそれを補完するものととらえているところでございます。
 ただ、いずれにしても本県の政策評価につきましては導入後まだ間もないので、今後ともより的確な制度にする努力を怠ってはならないと思っていますので、改善する上での積極的な検討はこれからも一層行っていきたいと思いますし、随時その改善を図っていきたいと考えています。
 それから、青森県境における不法投棄事件についてですけれども、これまで不法投棄現場の環境再生ということで、住民の健康被害の防止と住民の皆さんの安心感の醸成が最も重要だと思いまして、私どもでは、有害な廃棄物を撤去する方針で青森県と協議を重ねながら取り組みを進めてきたところでございます。
 現在、早期の原状回復を図るために、有害な廃棄物の具体的な撤去の方法や撤去による周辺環境影響などについて、詳細な調査を実施している段階でございます。この詳細調査の結果が出ましたら、青森県と岩手県両方でつくっております合同検討委員会がございますので、そこにその調査結果をお示しして、そこからの提言をいただきながら、住民の健康被害に最も影響する有害物質を含む特別管理産業廃棄物から、それを最優先として撤去していきたいというふうに思っていまして、時期的には平成15年度、来年度から撤去に着手して、3年程度でこの撤去作業を完了させたいと思っております。
 それから、残りの特別管理産業廃棄物以外の不法投棄物も大量にあるわけでございますが、こちらについては、現場の環境再生に支障となるものについて撤去するということを基本として取り組んでいきたい。これについても、合同検討委員会の皆さん方からの御意見を十分にいただく必要があると思っていますので、この合同検討委員会の提言をいただきながら、残りの不法投棄物についても取り組んでいきたいと考えております。
 なお、当然のことでありますが、こうしたものを撤去するに当たっては、十分な汚染の拡散防止策が必要でございますので、そうしたものには十全を期したいと思いますし、それから、沢水などの周辺環境調査も実施しなければならないと思っていまして、これもあわせて行っていきたいと思います。いずれにしても、具体的な撤去については、汚染が周辺に飛び散ることのないように万全を期して実施していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) 公的団体における不祥事についてでありますが、社会福祉法人の前理事長が、施設利用者の預貯金に多額の損失を生じさせるという重大な不祥事を起こし、社会福祉事業に対する信頼を失墜させたことはまことに遺憾であり、かつ残念なことであります。
 この預貯金は、任意の団体の年金組合が管理しているものでありますが、被害を受けた組合の加入者が施設の利用者等であることや法人運営の影響等を考慮して、事実関係を解明するため、特別の監査等を実施したところであります。
 この監査等の結果に基づき、先般、当該法人に対し理事会機能の強化や内部牽制体制の確立など、改善措置を強く求めたところであります。
 こうした中、前理事長の刑事責任や金融機関側の責任などにつきまして、年金組合として弁護士と相談の上、前理事長を告訴するとともに、担保相殺された預貯金を回復するため、金融機関に対する法的な措置を講ずる方針である旨の報告を受けております。
 県としましては、これら法人、年金組合の今後の対応を注視してまいりたいと考えております。
 また、今回の事案におきまして、当該法人・施設そのものの資金には損失を生じておりませんので、入所者の施設利用など処遇等に影響はない状況となっております。
 なお、今回の損失によって被害者の生活に支障が生じたような場合は、社会福祉施策の中で適切に対応してまいります。
 県としまして、今後、同様の不祥事の再発防止を図るため、従来の監査手法等を検証し、当面、入所者からの預かり金等の管理状況を重点的に調査するなど、厳正かつ実効のある指導監査の実施に努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕

〇商工労働観光部長(照井崇君) まず、岩手労働金庫の不祥事件についてでありますが、この事件は、昨年12月に全国労働金庫協会から岩手労働金庫に対して、同協会が平成9年に返還した労金運動強化基金の資金使途を調査するよう依頼があり、資金の流れを解明していく中で、平成8年に起きた元職員とこれにかかわる当時の役員の不祥事件が本年2月に判明したものであります。
 岩手労働金庫によれば、元職員による不祥事件は、商品先物取引の失敗による損失補てんに充てるため、顧客から預かった預金を担保に手形貸し付けを受け、7、300万円余を着服したものであり、また、元役員の不祥事件は、発生した金庫の損害を元職員の退職金を含む本人からの回収金2、200万円余や役員みずからの負担3、400万円余に加えて、労金運動強化基金の返還金1、600万円余を充当することにより整理し、事件を監督官庁に届け出なかったものであります。
 労働金庫法等により、労働金庫に対する指導監督は金融庁と厚生労働省の共管とされ、県は軽微な定款変更の認可や資料の提出を求めることなど、国の権限の一部を法定受託事務として行うこととされております。不祥事件については、労働金庫がその発生を知った場合、県を経由して監督官庁である金融庁及び厚生労働省に届け出なければならないとされております。
 今回の不祥事件については、岩手労働金庫から本年2月に口頭で国及び県に報告があり、国が岩手労働金庫に対し届け出に関する指示を行い、また、労金運動強化基金の取り扱いに係る報告を求め、岩手労働金庫から3月以降3回に分けて、不祥事件の届出書並びに報告書が金融庁及び厚生労働省に提出されております。
 金融業務を行う岩手労働金庫でこのような不祥事件が発生したことは、絶対にあってはならないことであり、極めて遺憾であります。県といたしましては、今回の不祥事件について、岩手労働金庫に対し、これまで機会あるごとに会員への説明と公表について適切に対応するよう助言をしてきたところでありますが、岩手労働金庫においては、誠実・公正及び公開を旨とし、健全経営に徹して会員の信頼にこたえるというみずからの理念を改めて強く自覚し、勤労者のための金融機関という原点に立ち返り適正な運営を行って、一日も早く信頼を回復することを期待いたしております。
 なお、国では近々、岩手労働金庫から事情聴取をすると聞いております。
 次に、東北新幹線盛岡以北開業に伴う二戸地域の観光振興についてでありますが、東北新幹線盛岡以北開業は、新駅が設置される二戸駅周辺を含め、県北部の観光振興を図る上でまたとない機会であり、県では、旅行商品化を促進するなど重点的な観光宣伝を行い、観光客の誘致拡大を図ることとしております。
 その取り組みといたしましては、本年5月に、全国の旅行代理店を対象として開催した全国宣伝販売促進会議及び現地視察において、県北部などの観光ルートを重点的に紹介したところであります。
 また、新幹線新駅の情報や自然・食・生活文化などの特色ある体験型観光メニューを内容としたいわて体験観光素材集を取りまとめ、全国の大手及び東北の旅行代理店に情報提供を行ったほか、東京、名古屋、大阪、福岡において、大手旅行代理店を対象として観光客誘致説明会を開催し、新駅から三陸方面や安比・八幡平方面への観光ルート、新設された御所野縄文公園などの周辺の観光資源を説明するなどして、旅行商品化の促進に努めてきたところであります。
 今後、北東北3県の広域連携事業などにより、二戸駅など東北新幹線の新駅を利用した新たな広域旅行商品を積極的に開発・提案を行っていくほか、来年の4月から6月にかけて全国に向けて、JR6社と連携して北東北大型観光キャンペーンを展開し、観光客の誘致拡大を図っていくこととしております。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) まず、東北新幹線二戸駅の停車本数及びダイヤについてでございますが、先般、JR東日本から発表された内容につきましては、首都圏から北海道までの利用者数などを勘案いたしまして、全国的な調整を行い編成したものと聞いておりますけれども、必ずしも地元市町村の要望を満足したものではないということでございまして、市町村と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、開業におきましても、地元市町村や民間団体等と一体となりまして、新幹線の輸送能力や時間短縮の効果を活用いたしまして、観光振興など、首都圏などとの交流拡大や利用促進に努めまして、停車本数の増やさらに利用しやすいダイヤの実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
 次に、二戸地域の位置づけと今後の振興策ということでございますが、二戸地域は地理的、歴史的つながりを有する青森県南部及び秋田県東部との結節点にございまして、北東北3県の広域交流拠点としての役割を担う位置にあるものと認識をしております。
 これまでこの地域におきましては、八戸市、鹿角市、あるいは二戸市といった周辺6市の商工会議所でありますとか、青年会議所という団体が中心になったものでございますが、相互の地域振興を目的といたしました南部州デザイン会議を開催してきたほか、行政レベルで、ことしの8月には本県の二戸市及び久慈市、秋田県の鹿角市、それから大館市及び能代市の3市が、秋田・岩手北部地域市長サミットを初めて開催するなどいたしまして、県境を越えた交流、連携の輪が一層広がってきております。
 また、二戸地域の振興についてでありますが、この地域は、豊かな自然や農林資源に恵まれ、御所野遺跡などの特色ある史跡や雑穀文化などの生活文化が継承されており、これら地域特性を生かした地域づくりやグリーンツーリズムの推進など、多様な取り組みを進めていくことが必要であると考えております。
 県といたしましては、こうした地域の取り組みを積極的に支援するとともに、交通ネットワークの形成など交流基盤を充実するほか、北東北3県の連携による大型観光キャンペーンを進めるなど、各地域との交流、連携の拡大を図りながら、新幹線の開通効果を生かした二戸地域の振興に努めてまいりたいと考えております。
 次に、いわて銀河鉄道についてでありますが、厳しい経営環境が予測される中にありまして、IGRいわて銀河鉄道株式会社の安定的な経営を確保し、将来にわたって鉄路を維持していくためには、この鉄道を沿線住民の皆様に積極的に利用していただくことが何より大切なことと考えております。このため会社では、12月1日の開業から、運転本数を従来の本数に比べまして大幅に増加させるほか、快速列車の運転、青い森鉄道線やJR各線との直通運転などを盛り込んだ利用しやすいダイヤを編成するなど、利用者サービスの向上に努めており、今後とも利用者本位のサービスの提供が図られていくものと考えております。
 また、いわて銀河鉄道は、会社の経営努力により採算性が確保されていくべきものでありますが、一方で、行政の適切な支援も必要であろうかと考えております。このため、県と沿線市町村とが中心となって、将来の大規模施設・設備の更新に備えるとともに、開業後の通学定期運賃の激変緩和を図るための経営安定化基金の造成を予定しているところであります。
 さらに、沿線適地への新駅設置の促進に努めておりますほか、開業後の利用促進組織の設置につきまして沿線市町村と協議を行うなど、利用者に一番身近な沿線市町村と連携をいたしまして、いわて銀河鉄道の一層の利用促進がなされるよう努めているところでございます。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) まず、財政問題についてでありますが、国、地方を通じる厳しい財政状況にあって、本県の財政も平成13年度末で1兆2、678億円余の県債残高を抱えるなど厳しい状況にあります。
 この結果、経常収支比率が高い数値となっておりますが、その要因といたしましては、国の経済対策に対応した補正予算債や地方財源不足対策としての財源対策債、東北新幹線の整備に伴う県債等の発行による償還額の増加や、退職者の急増に伴う人件費の増加などが挙げられるものであり、財政が硬直化した状況にあることを示しております。
 このようなことから、今年度の予算編成におきましては、県税や地方交付税などの財源確保が極めて厳しい中にあっても、県債発行を前年度を下回る額としたほか、歳出全体の抑制と、政策評価システムに基づき限られた財源の重点的、効率的な活用などに努めたところであります。このような予算編成により、おおむね支障の生じないような形で財政運営ができるものと考えており、今議会に提案させていただいております台風6号災害のような不測の財政需要が生じた場合でも、年度内を通じて機動的に対応してまいりたいと考えております。本県の財政状況は、公債費が増加し一層厳しさを増していくものと見込まれておりますことから、今後の財政運営に当たりましては、国における税財政制度改革の動向をも見きわめながら、平成11年度に策定した財政の中期見通しの見直しを行い、財政の健全化に向けた新たな目標を設定し、その実現に向けた取り組みを進めていくことが必要であると考えております。
 また、県民参加型のミニ市場公募債についてでありますが、本県では市場公募債は発行せず、地元金融機関と相対で交渉を重ねる縁故債方式によって、極力経費を抑制しながら財源を確保してきたところであります。ミニ市場公募債の発行は、県政への県民参加意識の向上などの点において効果が期待できるものの、その発行単位が小さい上に、投資家の数が増加するため発行コストが増加し、公債費の増嵩につながりますことから、今後さらにその優劣を見定めるとともに、本県の財政状況を勘案しながら、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、県幹部職員の県出資法人等への再就職についてでありますが、いまだ内部で登用する人材の養成が十分できていないなどの事情により、法人等から県の退職者の推薦依頼があった場合には、長年培った識見、専門的知識あるいは幅広い経験が、設立の目的、事業内容等に照らして、その法人の運営に貢献できると判断された者について、幅広く人選を行って推薦してきているところであります。
 一方、県の退職勧奨についてでありますが、本庁次長以上の職員については、これまで人事の刷新や新陳代謝の促進などの観点から、必要に応じて実施してきているところであります。その実施に当たっては、県出資法人等への再就職の推薦を必ずしも条件としてきたものではありませんけれども、この退職勧奨のあり方につきましては、組織活力の維持という観点に十分配慮しながらも、年金の支給開始年齢の引き上げや高齢者の雇用の確保といった官民共通の課題に適切に対処していく必要があることから、見直しを検討する時期に来ているものと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) BSEの原因究明の現状についてでありますが、国のこれまでの調査結果によりますと、第1点として、1998年6月1日以前にイタリアから日本に輸入された肉骨粉は、過熱処理が不十分であった可能性を否定できないこと、2点目としては、関係する配合飼料工場の中に、牛用飼料への肉骨粉混入の可能性を否定できない工場があること、さらに、これまで発生した5頭に共通する飼料として代用乳があり、その原料にBSE発生国であるオランダ産の動物性油脂が使用されていたことなどが明らかになっておりますが、いまだ感染源及び感染経路を特定するまでには至っていないところであります。県といたしましては、今後さらに国において徹底した調査を行い、早期に原因が究明されることを願っているものであります。
 次に、長雨と日照不足による農作物被害対策についてでありますが、8月の天候は、連日の降雨と極端な日照不足で経過し、特に県北地域を中心に夏秋野菜などで生育不良や病害などの被害が発生したところであります。県といたしましては、農作物被害の軽減や拡大防止のため、農作物災害復旧対策事業により、被害の甚大なレタスやキャベツなどの229ヘクタールを対象として、緊急薬剤防除に対する助成対策を講じているところであります。また、ことしのように長雨の条件下であっても、被害を軽減するためには、排水性を改善し有効土層――これは作物の根が活発に伸張できる土層のことでございますけれども――この有効土層を十分に確保することが重要でありますので、この土層改良につきましても、いわて農業担い手支援総合対策事業によりまして支援することといたしております。
 次に、県北地域の農業振興と販路拡大についてでありますが、当地域は夏季冷涼な気象条件にあり、農地も平場から高標高地まで多彩な立地特性を有しており、こうした資源を生かしまして特色のある農業が展開できる地域であります。既に園芸につきましては、ホウレンソウやレタスなど全国に誇れる産地が形成されておりますので、さらに畜産との結びつきによる土づくりを徹底し、こうした品目を一層強固なものにしてまいりますとともに、果菜類や花卉についても振興を図ってまいります。
 畜産につきましては、これまで以上に公共牧野などの粗飼料基盤を活用した酪農や、肉牛の振興に努めるとともに、ブロイラーや養豚につきましても、地域の重要な部門として発展を図ってまいります。また、消費者の自然・健康志向を追い風として、短角牛や雑穀などの地域特産物の振興にも努めてまいります。こうした農畜産物の販路拡大に当たりましては、県北地域の気象条件や、耕畜連携による土づくり、豊かな粗飼料基盤を有しているという特色のもとに生産された安全・安心な農畜産物であることを前面に打ち出し、契約取引など多様な流通を促進するとともに、新幹線の開通を絶好の機会としてとらえ、地域農業のPRなどにも積極的に支援を行い、県北地域農業の一層の振興を図ってまいる考えであります。
 次に、県営畑地帯総合整備事業舌崎地区における防霜施設整備の今後の見通しについてでありますが、本地区は、春先の霜の被害にたびたび見舞われ、最近では、昨年4月下旬の厳しい冷え込みにより、開花期を迎えたリンゴのつぼみが凍結し、深刻な被害を受けたところであります。しかし、地区内にモデル的に設置した展示圃場において、低温時にスプリンクラーによる散水を実施いたしましたところ、被害を回避することができました。これを目の当たりにした農家から、地元説明会の都度、防霜施設設置の要望が強く寄せられているところであります。こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、防霜施設の整備に向け国との協議を進めているところであり、早期に実現できるように取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) まず、道路の整備についてでありますが、御指摘のように、県道においても日常生活を支える安全で快適な道路空間の確保が重要であると認識しておりまして、その観点から平成13年度に道路歩行環境整備事業を創設して、重点的に整備を進めるなど、道路利用者に優しい整備を行ってきたところであり、引き続き、これら生活道路の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、川原橋につきましては、平成12年度から事業に着手しており、現在、橋梁の詳細設計や地元説明会を終えたところであり、今後は工事の早期着手を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
 また、岩谷橋は、人家が連檐した地区にあり交通量もあるなど多くの課題がありますことから、二戸市とも連携を図りながら事業化に向けて検討してまいりたいと考えております。
 次に、上野沢地区は、平成10年度からゆきみち環境整備事業を導入し、道路の拡幅と急カーブの改善を鋭意進めているところであります。
 金田一川地区については、平成10年度に事業着手し、平成12年度までにほぼ用地取得を完了したところであり、現在、改良工事を進めております。
 また、川口地区は、平成12年度に事業着手し、本年度から用地取得を行う予定にしており、今後改良工事の着手に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、湯田地区は、長川災害関連事業と合わせて整備を進め、本年、橋梁部が完成したところであり、来年度完成に向けて、引き続き橋梁前後の拡幅工事を進めてまいります。
 野境地区につきましては、1車線区間が残っておりますことから、今後の交通量の推移などを勘案しながら、調査の実施について検討してまいりたいと考えております。
 次に、雨水排水施設整備についてでありますが、二戸市においては、これまでは下水道などの汚水処理施設の整備に重点が置かれておりまして、まだ雨水対策に取り組むまでには至っていない現状にあります。
 このような中、長嶺、堀野地区の住宅地では、近年の豪雨時に浸水被害が発生しており、雨水対策に早期に取り組む必要があるものと考えております。これらの雨水対策に当たりましては、山地などの住宅区域外から流入する雨水を考慮するとともに、他の排水施設管理者などとも調整を図りながら、計画を策定する必要があります。当地区の雨水排水施設の整備につきましては、現在の公共下水道事業制度の枠組みの中で取り組むことが可能であると考えておりまして、県としてもできるだけ早く事業化が図られるよう、二戸市を支援してまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立福岡病院の整備についてでありますが、新病院の建設は平成16年度早々の開院を目指して、現在、おおむね順調に工事を進めているところであります。新病院におきましては、県北地域における広域中核病院として、地域支援や連携などの中心的役割を担うとともに、専門的ながんの診断、治療など高度特殊医療や救急医療などの充実を図ることとしております。診療科につきましては、現状の16診療科に加えまして、泌尿器科、精神科、病理科の3科を新設することとしておりますが、これらの診療科を含め必要な医師の確保に当たりましては、可能な限り常勤医の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、リハビリテーション医療につきましては、県の保健福祉計画に基づく地域リハビリテーション支援体制においては、中核となる県立のいわてリハビリテーションセンターと連携した広域支援センターを二次医療圏ごとに順次指定し、これらの相互の連携のもとに、地域リハビリテーション体制を構築することといたしております。この中で県北地区の広域支援センターとなります新しい福岡病院につきましては、理学療法に加えて、新たに作業療法、言語療法に必要な施設を整備するとともに、リハビリテーションに精通した医師や理学療法士、作業療法士、言語療法士などの専門職員の配置など、その体制の充実を図ってまいる考えでおります。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) 御質問の件は、社会福祉法人カナンの園前理事長に関する件であると承知をしておりますが、警察としては、同法人関係者から聴取をするなど、事実関係の把握に努めております。本件につきましては、現在捜査中であるため詳細についての答弁は差し控えますが、全容解明を図る所存であります。

〇40番(工藤篤君) ただいまは、青森県境に不法投棄された産業廃棄物問題については、知事より、来年度から3年間、つまり平成17年度までに撤去していただけるとの御答弁をいただき感謝いたします。撤去期限を示していただいたことで地元も安心できると思いますので、ぜひ早目に撤去が完了するよう御配慮をいただきたく要望いたします。この産廃問題については知事の前向きな取り組みに対し敬意を表する次第であります。せっかく知事から答弁をいただきましたので、少し疑問に思うことを再質問させていただきたいと思います。
 今回、この県庁の中に業務を入れて11人のスタッフで対策室を設置しました。9月2日に記者会見をされましたが、青森県でも同様のことをやっております。青森県は産廃の許認可を県庁がやっていますから、それでいいのですが、岩手県はほとんどの権限を地方振興局、保健所に委譲しているのであります。増田知事や地方振興局、保健所の職員は本当によくやっております。そこで、強化すべきは県庁ではなく、少ない人数で権限委譲されて頑張っている出先機関、一生懸命やっている地方振興局こそ強化すべきではないでしょうか、いかがでしょうか。
 また、調査すべき団体、企業は首都圏を中心に2、600社以上もあるとのことであります。この作業も本気でやるなら特別対策室は東京事務所の中にこそ設置すべきではないでしょうか。県庁に設置したものを今すぐ廃止することは難しいと思うのでありますが、二戸や東京に業務発令するとか、増員して何人かは駐在させるとか、何らかの方策があると思いますが、知事のお考えを伺いたいと思います。
 それから、保健福祉部長に法人あるいは施設の監査についてお尋ねしたいと思います。最近、福祉法人あるいは施設が大変急増いたしておりまして、私はこの県の監査をする職員の数が足りないのではないか、こんなことも実は心配をいたしておりまして、この点はどうでありましょうか。
 それから、監査の方法でありますけれども、いわゆる法人あるいは施設等から提出されたその資料を突き合わせるような方法とか、こういうものではなかなか不正などは発見できないのではないか、このようにも実は思うわけでありまして、今後この監査の方法等を根本的に見直さないと、なかなかこういう不正というものは正せないのではないか、このようにも実は思っておるわけでありまして、今後、抜き打ちや監査のあり方、方法を見直す必要があると感じておりますがいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 以上です。

〇知事(増田寛也君) 今、不法投棄の問題について2点お尋ねあったのですが、まず不法投棄の対策室、9月9日だったと思いますが、発足した関係ですが、これは主として首都圏等に所在をしております2、600社、あるいはこれからの捜査によってはもう少しふえるかもしれませんが、ここの企業に対しての責任を追及することを主眼とするものでありまして、環境生活部長以下、環境生活部総力挙げて追及の仕方、戦略を練ってそれで追及していかなければならないと思っておりますので、まず現在もそのための資料等は全部本庁で厳重に保管しながらやっておりますので、そこでまずそういったチームをつくる。今後、必要に応じて首都圏の行政機関からの協力もいただきながら、企業の呼び出し等を行っていきたいと思いますが、また、そういった具体的な際に人員等が必要であれば、いつでも必要な増員を図って機動的に運営していきたいと思います。
 それから、二戸の保健所や地方振興局の方では一般的な廃棄物行政を展開しておるわけでございますが、これは現場の皆さんも大変一生懸命この問題について危機意識を持ってやっていただいております。この現場の問題は二戸のみならず各地域にそれぞれあるわけでございますが、二戸はああいった現場も抱えていることがございますので、またそういった現場の作業量とか事務量とかいうのを十分に見ながら、適切な配置を進めていきたいと思っております。

〇保健福祉部長(長山洋君) 監査のあり方でございますけれども、確かに福祉法人もふえてまいりますし、いろいろ内容も複雑になってまいりますので中身が大変濃くなってきております。現在は地方振興局が主体的にやっておりまして、それを本庁の監査チームが支援するという方法をとっております。これも量に応じて少し中身は検討してまいりたいと思います。
 それから、資料等の突き合わせだけではないかというお話でございますけれども、確かに今回のようにさまざまな外部の帳簿等ありますと、出されたものだけでチェックするのは大変でございますので、そういった意味も含めて少し監査の対象なども拡大を含めて対応してまいりたいと思います。
 それから、また、外部監査ということもそれぞれの法人なり団体の方にも導入するとか、あるいは同じ社会福祉経営団体といいますか、そういう団体の中にもそういった同様のチェック機能というものを導入するというのも一つの方法ではないかなと考えております。いずれ検討させていただきたいと思います。
   

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時27分 休 憩

出席議員(42名)
1番飯沢匡君
2番及川敦君
3番樋下正信君
4番照井昭二君
5番柳村岩見君
6番小野寺研一君
7番吉田昭彦君
8番工藤大輔君
9番川村農夫君
10番佐々木順一君
11番佐藤力男君
12番阿部静子君
13番阿部富雄君
14番田村誠君
15番岩城明君
18番佐々木大和君
19番及川幸子君
20番阿部敏雄君
21番川口民一君
22番小 野 寺好君
23番斉藤信君
24番伊沢昌弘君
26番上澤義主君
27番瀬川滋君
28番水上信宏君
29番藤原泰次郎君
31番谷藤裕明君
32番菊池勲君
33番佐々木一榮君
34番伊藤勢至君
35番高橋賢輔君
36番小原宣良君
37番長谷川忠久君
38番千葉浩君
39番吉田洋治君
40番工藤篤君
41番菅原温士君
43番山内隆文君
45番村上惠三君
46番藤原良信君
47番及川幸郎君
48番菊池雄光君

欠席議員(5名)
17番千葉伝君
25番田村正彦君
42番佐藤正春君
44番折居明広君
49番佐々木俊夫君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後3時44分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 日程第3、一般質問を継続いたします。伊藤勢至君。
   〔34番伊藤勢至君登壇〕(拍手)


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