平成14年12月定例会(決算特別委員会)会議録

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平成14年12月5日(木)
   

1開会 午前10時3分

1出席委員別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 大 沼  勝
 議事課長 平 澤 石 郎
 議事課長補佐 浅 田 和 夫
 主任議事管理主査 八重樫 典 彦
 議事管理主査 浅 沼  聡
 議事管理主査 田 丸 裕佳子
 議事管理主査 嵯 峨 俊 幸

1説明員
 農林水産部長 佐々木 正 勝
 農林水産部林務局長 坂 元 邦 夫
 農林水産部水産局長 上 村 俊 一
 農林水産部次長兼農林水産企画室長 武 田 牧 雄
 農林水産部次長 千 田  勉
 農林水産部次長 佐々木 忠 正
 農林水産企画監 高 橋 信 雄
 団体指導課長 和 佐 健 介
 組合指導監 藤 沼 豊 頼
 流通課長 得 田 啓 史
 農業振興課長 河 村 茂 幹
 中山間対策監 齋 藤  恭
 農業普及技術課長 小 岩  寛
 農村計画課長 安 樂  敏
 総合国営対策監 芦  長 喜
 農村建設課長 川 邊 賢 治
 農産園芸課長 中 正 保 治
 水田農業推進監 佐々木 和 博
 畜産課長 馬 場 明 雄
 家畜衛生対策監 千 葉  厚
 林業振興課長 千 田 壽 光
 緑化推進課長 照 井  昇
 松くい虫対策監 佐々木 孝 昭
 森林保全課長 黒 澤  茂
 水産振興課長 武 井  篤
 漁業調整監 伊 藤 正 明
 漁港漁村課長 千 葉 信 明
 教育長 五十嵐  正
 教育次長 小 原 公 平
 教育次長兼高校改革推進室長 藤 堂 隆 則
 参事兼総務課長 中 村  昭
 小中学校人事監 岩 船 敏 行
 県立学校人事監 鈴 木 文 雄
 学校教育課長 石  宏 明
 生徒指導監 戸 羽  茂
 全国産業教育フェア推進監 中 里 英 敏
 学校財務課長 清 水 眞一郎
 生涯学習文化課長 吉 川 健 次
 文化財保護監 小田野 哲 憲
 スポーツ健康課長 松 尾 光 則
 高校改革推進監 伊 藤  勝
 出納長 橋 田 純 一
 副出納長兼出納局長 水 本 紘 一
 出納課長 坂 林 則 夫
 監査委員 一 戸 克 夫
 監査委員 谷 地 信 子
 監査委員事務局長 久 保 隆 男
 総務課長 三 上 佑 子
 監査課長 八重樫 賢 一
 参事兼財政課長 菊 池 秀 一
   

〇千葉伝委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部、教育委員会関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いします。
 なお、農林水産部は約20人の予定がありますので、ぜひ御協力をお願いします。
 なお、世話人会の申し合わせにより、平成13年度決算の審査であるので当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、所属する委員会の部局審査では、当該委員の発言はできるだけ遠慮願いたいこと、各委員の発言機会を保証するため、1人――委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう願いたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時をめどに審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いします。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。

〇佐々木農林水産部長 農林水産部関係の平成13年度の決算について御説明申し上げます。
 平成13年度歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 まず、一般会計についてでありますが、農林水産部関係は、6款農林水産業費及び16ページの11款災害復旧費のうち1項農林水産施設災害復旧費でありまして、合わせまして予算額が1、676億8、605万円余で、これに対する決算額は1、483億368万円余と、執行率は88.4%となっております。
 また、前年度に比べまして177億6、443万円余、10.7%の減となっております。
 なお、一般会計の翌年度への繰越額は60事業で192億7、700万6、000円となっており、前年度に比べ88億5、786万円余、31.5%減となっております。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、便宜、平成13年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきますので御了承願います。
 決算事項別明細書の172ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費からが当部関係であります。
 174ページをお開きいただきまして、まず、農業総務費は、農政関係職員の人件費などの管理運営に要した経費や国土調査に要した経費等であります。次の農業金融対策費は、農業近代化資金などの貸し付けを行う農協等の融資機関に対する利子補給等が主なものであります。次に、176ページの農業構造改善対策費の主なものでありますが、経営構造対策事業費は、認定農業者の育成や新規就農の積極的な推進等を図るため、生産・流通・加工等の施設の整備に対して助成したものであります。次に、農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費のほか、新規就農者の育成確保のための相談窓口の整備や技術研修などに要した経費であります。次に、178ページをお開きいただきまして、農業振興費の主なものでありますが、山村等振興対策事業費は、定住環境の整備、都市との交流促進等に要した経費に対し助成したものであります。中山間地域等直接支払事業費は、生産条件の不利な中山間地域において農業生産を行う農業者等に対する交付金の直接支払いに要した経費であります。次に、農作物対策費の主なものでありますが、水田農業経営確立対策費は、生産調整の実効性の確保や米、麦・大豆等を組み合わせた収益性の高い水田農業経営確立のための推進活動等に助成したものであります。水田作付体系転換緊急推進事業費補助は、生産調整の緊急拡大を達成するため、米から他の作物等への転換を図る農業者に対し助成したものであります。次に、180ページをお開きいただきまして、畑作振興費の主なものでありますが、農業生産総合対策事業費は、高品質の麦・大豆の安定生産や産地の形成のため、実証圃の設置、営農用機械の導入等について助成したものであります。次に、北上奥羽山系開発費は、北上奥羽山系の開発事業に係る地元負担金の償還に要した経費などであります。次に、植物防疫費は、病害虫の発生予察、防除指導等に要した経費であります。次に、182ページの農業協同組合指導費の主なものについてでありますが、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金は、債務超過農協に対する支援事業を行う岩手県農業協同組合中央会へ支援原資の積み立てに要する資金を貸し付けたものであります。次に、農業共済団体指導費は、農業共済に係る事務に要した経費について助成したものであります。次に、184ページの食糧管理費は、県内市町村に対する米の計画出荷量の配分や確認等に係る指導等に要した経費であります。次に、農業研究センター費は、センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。次に、農業大学校費は、大学校の管理運営及び施設整備に要した経費であります。次に、186ページをお開きいただきまして、蚕業費は、養蚕産地育成のため、農協等の養蚕産地育成推進員の設置への助成等に要した経費であります。
 次に、2項畜産業費に参りまして、畜産総務費は、畜産関係職員の人件費等及び岩手県肉牛生産公社の運営の円滑化を図るための無利子の貸付金などであります。188ページの畜産振興費の主なものでありますが、畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い経営体の育成を図るため、生産から加工・流通に至る総合的な畜産振興対策に要した経費であります。食肉処理施設等再編整備事業費は、食肉の衛生基準の強化に伴う屠畜・解体処理施設の整備に要した経費に対して助成したものであります。次に、草地対策費は、畜産関係の公共事業がその主なものであります。県営畜産経営環境整備事業費は、環境汚染の防止と経営の合理化のため、家畜排せつ物処理施設等の整備に要した経費であります。次に、190ページの家畜保健衛生費は、家畜保健衛生所の管理運営、家畜の衛生対策、家畜伝染病の予防及び盛岡家畜保健衛生所の施設整備などに要した経費であります。次に、農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究などに要した経費であります。
 次に、192ページをお開き願います。3項農地費についてでありますが、農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。次に、土地改良費は、農地等の区画整理、農道・用排水路などの整備、農業集落排水の整備など、農村の生活環境、生産基盤の整備を総合的に推進するために要した経費であります。次に、194ページに参りまして、農地防災事業費は、農地・農業用施設の洪水被害を防止するための防災ダムの整備及び老朽化した水利施設の整備に要した経費等であります。次に、196ページの開墾建設事業費は、農業経営の規模拡大等を図るため、農地造成、用排水施設等の整備に要した経費等であります。次に、農地調整費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化などを促進するために要した経費について助成したものであります。
 次に、198ページをお開き願います。4項林業費についてでありますが、林業総務費は、林政関係職員の人件費及び県有林事業特別会計への繰出金などであります。林業構造改善対策費は、担い手の育成と競争力のある産地形成のため、木材加工施設等の整備に対し助成したものであります。次に、200ページの林業振興指導費の主なものでありますが、森林組合育成強化対策事業費は、森林組合の経営体質の強化と広域合併の促進を図るため、財務改善等に要する資金の貸し付けなどを行ったものであります。林業普及事業費は、普及指導職員の人件費、活動費など、林業技術の普及指導に要した経費であります。次のページをお開きいただきまして、203ページの備考欄の中ほどでございますが、岩手県林業公社事業資金貸付金は、公社が行う分収造林事業に必要な資金を貸し付けたものであります。次に、森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要した経費であります。次に、造林費は、森林資源の充実と森林の公益的機能の維持増進を図るため、森林の育成管理、広葉樹林の整備等に対し助成等を行ったものであります。次に、204ページの林道費は、林業生産基盤の整備と山村地域の生活環境の改善を図るため、県営56路線、市町村営22路線等の林道整備等に要した経費であります。次に、206ページの治山費は、山地災害などから県土を保全するため、治山事業128カ所、地すべり防止事業4カ所の実施などに要した経費であります。次に、林業技術センター費は、センターの管理運営及び試験研究などに要した経費であります。
 次に、208ページをお開き願います。5項水産業費についてでありますが、水産業総務費は、水産関係職員の人件費及び水産科学館の管理委託に要した経費等であります。次に、漁業構造改善対策費の主なものについてでありますが、沿岸漁場整備開発事業費は、水産物の安定供給や沿岸漁業の発展のため、水産資源の維持・増大を図ることを目的に行う増殖場の造成や魚礁の設置などに要した経費であります。次に、210ページの水産業振興費の主なものでありますが、水産業改良普及費は、普及指導職員の人件費、活動費など、水産技術の普及指導に要した経費であります。次に、水産物流通加工振興対策費は、水産加工業の近代化のための設備資金の貸し付けに要した経費であります。次のページをお開きいただきまして、213ページの備考欄の2行目でございますが、さけ・ます増殖費は、サケ・マス資源の維持安定のため、稚魚の買い上げや河川への放流を行うとともに、増殖効率化施設の整備に対し助成を行ったものであります。次に、水産業協同組合指導費の主なものでありますが、漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統団体が信用事業の統合を促進するのに必要な資金を県信用漁業協同組合連合会に対し貸し付けたものであります。次に、漁業調整委員会費及び214ページの漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催、漁業調整などに要した経費であります。次に、漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営、漁業取締船の運航などに要した経費であります。次に、216ページの水産技術センター費及び内水面水産技術センター費は、それぞれのセンターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。次に、218ページの漁港管理費は、県管理漁港施設等の維持管理に要した経費であります。次に、漁港漁場整備費は、県管理26港、市町村管理24港の漁港整備、大型魚礁5カ所、増殖場10カ所の漁場整備、漁港海岸10港、漁業集落12地区の整備などに要した経費であります。
 次に、大きく飛びますが、286ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費でありますが、農地及び農業用施設災害復旧費及び林道災害復旧費は、それぞれ過年災害と現年災害の災害復旧事業に要した経費であります。次に、288ページの漁港災害復旧費は、過年災害の災害復旧事業に要した経費であります。
 以上が一般会計の決算についてであります。
 次に、特別会計について御説明いたします。
 恐れ入りますが、歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、32ページをお開き願います。農業改良資金特別会計についてでありますが、予算現額は8億8、310万4、000円であります。
 これに対する決算額についてでありますが、収入済額は9億186万円余で、貸付金に係る償還金がその主なものであります。
 次に、支出済額は7億5、089万円余で、農業経営の安定や生産力の増強を図るため、一般資金、畜産振興資金などを無利子で貸し付けたものであります。
 次に、34ページをお開き願います。県有林事業特別会計についてでありますが、予算現額は56億6、053万9、000円であります。
 これに対する決算額についてでありますが、収入済額は48億6、752万円余で、県有林造成基金の運用収入、一般会計、県有林造成基金からの繰入金、立木処分に係る売り払い収入等であります。
 次に、支出済額は47億8、273万円余で、県行造林造成事業等の下刈り、除伐、素材生産などに要した経費であります。
 なお、翌年度繰越額は8億4、911万2、000円となっております。
 次に、36ページをお開き願います。林業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は22億4、443万4、000円であります。
 決算額についてでありますが、収入済額は22億3、628万円余で、貸付金に係る償還金がその主なものであります。
 次に、支出済額は10億292万円余で、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対する林業生産高度化資金、林業労働福祉施設資金などの無利子での貸し付け及び森林組合等に運転資金を低利で貸し付けるため、金融機関へその原資の預託を行ったものであります。
 次に、40ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は7億4、304万8、000円であります。
 決算額についてでありますが、収入済額は7億3、935万円余で、貸付金に係る償還金がその主なものであります。
 次に、支出済額は1億37万円余で、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し経営等改善資金などを無利子で貸し付けたものであります。
 以上で農林水産部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇千葉伝委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。

〇佐々木俊夫委員 もう乱立です。林業ですから林立と言った方がいいかな。簡潔に申し上げますが、農林水産業費の5款水産業費のうち、3目水産振興費と4目水産業協同組合指導費に関連して御質問いたします。
 まず最初でありますけれども、産地魚市場の現状とその対策について伺います。
 私が申し上げるのは盛岡青果市場の岩果問題とは根本的に違う課題でありますけれども、県下の各漁港にある産地魚市場の経営が大変厳しい状況にあると言われております。これは、今日の漁業経営の厳しさの裏返しと申しますか、その反映そのものだろうと思うのでありますが、そこで問題として考えられますのは、まず第1は、何と言ってもそういう状況ですと魚の適正な価格形成ができないという事態がまず心配されます。そしてまた、それに関連する地域の水産加工業あるいは関連産業というものの衰退という問題がそこに出てまいります。
 そしてまた、もう一つは、魚市場を利用している漁業者というのは大別しますと二つになると私は考えておりますが、その第1のグループと申しますのは地先沿岸漁業者、地場づきの地先づき漁業をしております漁業者のグループと、もう一つは、沖合遠洋漁業を営んでおりますいわゆる大型船のグループと二つあります。第2のグループは、その市場の経営がちょっと変だとなれば、よその市場に移動して水揚げをするという機動力を持っているわけでありますけれども、第1グループの地先、地元の零細漁業者はよそに移動することができないということになりますから、そういう最も困っている人たちの経営に最も影響があるのが魚市場の経営実態だろうと思うわけであります。
 さらに問題なのは、その魚市場を経営しているのは漁業協同組合がほとんどだということになりますので、漁業協同組合の経営そのものも極めて深刻な打撃を受けるということになりますので、この魚市場の現状についてまず御質問申し上げます。
 そしてまた、関連いたしますが、いわゆる食の安全と申しますか、生鮮食料品供給の市場でございますので、ハセップ対応というのが非常に大きく経営を圧迫しているのが実態だろうと思うのでありますが、このハセップ対応の現状、あるいはまたその促進成果等について御説明いただきたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 魚市場の現状についてでありますが、委員からお話がありましたように大変厳しい状況になっております。数字で申し上げて恐縮でございますけれども、県内産地魚市場の水揚げは、10年前の平成4年に425億円でございましたが、10年の間、平成13年には245億円と180億円減少している状況にあります。そういうことで、市場を有する漁協・漁連におきましては、市場業務等の職員を削減したりいろいろ苦慮しているところでありますが、平成4年に1市場平均で14名であったものが、平成13年には10名ということで大幅に削減されているところでございます。
 また、漁協におきましては、これら職員を漁閑期に、比較的暇な時期に自営加工場や養殖生産物の集出荷業務など市場以外の業務に配置し、人件費の削減などもやっているところでございます。
 魚市場はまさに、輸入水産物あるいは国内他産地との競合にさらされておりまして、一方では、お話がありましたように食の安全・安心への関心が高まる中で、ハセップ等衛生管理への対応が不可欠となっておりまして、限られた水揚げ金額の中で、企画力・指導力、あるいは衛生管理の強化が今まさに求められているところだと思っているところでございます。
 ハセップ対策への取り組みについてでありますが、なかなかこういった厳しい経営環境の中で、新たな投資が伴うということでハセップの取り組みが進みがたい状況にあるところでございます。

〇千葉伝委員長 静粛に願います。

〇佐々木農林水産部長(続) そういうことで、平成13年に2工場、それから平成14年に2工場が認定され、それ以前のものも含めまして現在7工場が認定工場になっているところでございます。
 県といたしましては、こういったハセップ認定を促進する必要がありますので、水産技術センターにハセップアドバイザールームを設けていろいろ個別相談に乗っているところでございます。あるいは、直ちにハセップシステムの導入といかない場合には、SSOP(一般的な衛生管理基準)があるわけでございますが、そういう前段階への対応が図られるようなソフトの対策も進めているところでございます。
 こうしたハセップ対応を促進するためには、安全な加工原料の確保が一方では重要でありますので、県といたしましては、漁獲段階から産地魚市場についての衛生管理の強化を促進しているところでございまして、こうした取り組みを一層進めてまいらなければならないと考えております。

〇佐々木俊夫委員 漁獲が減っているから経営不振に陥っていると言えばそれまでなんですけれども、経営不振どころではなくて、危機にある魚市場があるやに聞くんですが、そういうことはございませんか。

〇和佐団体指導課長 漁業協同組合連合会で魚市場を運営しているところがありまして、そういう地区漁連の経営状況でございますが、非常に厳しい状況にあるというのはそのとおりでございます。具体的には、宮古湾漁業協同組合連合会と山田漁業協同組合連合会と釜石市漁業協同組合連合会というのがあるわけでございますが、宮古湾漁業協同組合連合会については近年、単年度では黒字を維持しておるところでございますが、繰越欠損金を有している。山田漁業協同組合連合会については、単年度収支はおおむねゼロでございますが債務超過、繰越欠損金を有しておりましてちょっと問題がある。釜石市漁業協同組合連合会についても、当期利益の状況につきましては、平成13年度でございますが、おおむね損益ゼロでございますが、繰越欠損金を有しておるということでございまして、経営上の課題を抱えているということでございます。

〇佐々木俊夫委員 詳しくお聞きすればいいところなんですけれども、それほどの深刻な状況の中にあって、県としてどのような対策をとっておられますか。

〇武井水産振興課長 先ほど御説明あったとおり、市場を運営している漁連等の経営が非常に苦しいわけでございます。それで、片方で現在の水産業の現状をかんがみますと、なかなか水揚げがふえるという状況にはないということでございます。片方では、先ほど部長が御説明いたしましたとおり、いろいろ衛生管理の対応も必要だということでございまして、やはりこのような中におきましては、各市場で、例えば機能を統合するとか、あるいは一層の衛生管理を図るというような取り組みを行っていくということ。それから、各市場で機能統合できるものについては統合していくということが必要であると考えてございまして、県といたしましても、各市場とともに御相談しながら、ハード面、ソフト面合わせまして必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

〇佐々木俊夫委員 極めて抽象的なので答えにはなっていないような気がしますけれども、問題は、魚市場が健全で適正価格が形成されますとよその漁船も入ってくるんですよ。それによって市場が活性化していくということになります。
 今、抽象的なお答えですけれども、やっぱり具体的に踏み込んだ指導なり対策というものが必要な段階にもう来ているのではないか、あるいはもう過ぎてしまったのかなという心配がありますので、今後対応をお願い申し上げます。
 次に、もう1点だけ、漁業協同組合の合併問題の進捗状況についてお伺いいたします。
 この間、種市町で何カ組合かが合併の予備調印をしたという報道がされましたけれども、この合併問題は昔から県政課題でありながら、なかなかもって遅々として進まないのが実態だと私は思っているのでありますが、その原因、理由は何なのか。
 また、全漁連の方では1県1漁協という方針もあるやに聞いたこともありますし、県では、県下に三つあればいいんだとか、四つあればいいんだという話もちらほら聞いたことがあるのであります。今、町村合併という大きな課題の流れの中にあって、県下のこういう漁協の合併対策についてどのように取り組まれるのか、現状はどうなのかということであります。

〇佐々木農林水産部長 漁協の合併の前に、先ほど魚市場は大変厳しい、県としてももっとしっかりやれという話でございましたが、私どももそういう気持ちを持っておりまして、これからの産地魚市場のあり方について、平成13年度から市場関係者、系統団体と一緒になりまして、これからの地域魚市場のあり方についていろいろ検討しているところでございます。今年度中に、そうしたハセップの話もございます、それから入札業務の効率化、あるいは先ほども御答弁申し上げました市場間の機能分担という、市場ごとに具体的な改善策を盛り込んだ、(仮称)水産物産地市場機能強化計画を今年中に作成することにしておりまして、それをもとに一生懸命指導してまいりたいと思っております。
 それから、漁協の合併の進捗状況でございますが、いずれ平成19年度を目途に1郡1漁協ということで、種市南、釜石湾、大船渡、陸前高田の合併について取り組んでいるところでございまして、先般報道にあったとおりでございますが、種市南地区につきましては、平成15年4月1日の合併に向けて、合併契約の仮調印が行われたところでございまして、この合併が実現いたしますと、本県といたしまして昭和54年度の田野畑村漁協以来24年ぶりの合併が実現するということで、大いに期待しているところでございます。
 それから、残りの釜石湾、陸前高田地区では平成12年7月に、それから、大船渡地区では平成13年8月に、それぞれ合併推進協議会が設置されておりまして、現在、平成15年度中の合併に向けていろいろ合併のための条件整備、あるいは合併後の事業体制の整備などの合併及び事業経営計画の策定につきまして、今鋭意検討がなされているところでございます。
 この合併がなかなか進みがたい問題点、原因は何だということでございますけれども、何と言っても欠損金等の財務の問題で、それぞれ合併対象農協の間に財務の格差があるということが一番の原因だと思っているところでございます。
 いずれ、系統内に漁協事業・組織改善推進委員会が設けられておりますので、その委員会の中でこれからの具体的な日程、あるいは手順等の具体的な方策について積極的に進めていただきたいものだと思っております。
 県としても、漁協の置かれた現状をかんがみ、早期に合併ができるように積極的に支援してまいりたいと思っております。

〇佐々木俊夫委員 終わろうと思いましたけれども、先ほど部長から、今年度中に魚市場の検討結果が出るというお話でございまして、ひとつ立派な結論を出していただきたいんですが、結論が出てから予算化するんですか、それとも来年度予算に向けて予算化について取り組みますか、それが一つ。
 もう一つは、合併は財務問題が問題ですと、これはもう昔からわかっている話でございまして、やっぱりそういうことをも解決しながら合併に行くということは昔からの課題なんです。今さら出てきた課題ではありません。
 ある県の知事が今の町村合併に当たって、夜逃げ合併じゃないかと言ったというんですね。たくさん借金をした町村が、どこかと合併して、はい、さよならと、こう言ったと言われているんですけれども、そういうことになってはならないわけでございまして、漁業においてもしかりであります。これは最初からわかっているんですから、これの対応策をしないと合併は進まない。今、いみじくも部長の答弁にあったわけでありますから、どうぞその対策をお願いしますし、前段の検討結果と来年度予算との関係について。

〇佐々木農林水産部長 この魚市場の健全な経営を目指すことは極めて大事だと思っておりまして、実は今申し上げましたように、そういう個別具体的な計画を詰めているところでございますが、あわせて予算も並行して進められているところでございますので、この経営計画が実現されるような支援策についても検討してまいりたいと思っております。
 それから、財務格差の話でございますけれども、いずれ欠損金のあることが大きな要因になっていることはそのとおりでございますので、できるだけ早期に欠損金が解消されるような取り組みをしていただきたい、自助努力をしていただきたいというのと同時に、県としても、不健全経営の漁協に対して利子補給を並行して行っているところであります。

〇藤原良信委員 農林水産は大変大きいわけですけれども、水産に絞って御質問いたしますのでよろしくお願いします。大きく分けて2点でございます。答弁については、たくさん質問者がおりますから、簡潔にお願いいたします。
 まず、その中で1点目ですけれども、養殖業の中のホタテ業についてお尋ねいたします。
 これは水産振興費等に関係してくるわけですけれども、今まで養殖業、ホタテ業の振興は県も予算計上して進めてまいりました。現状は、平成9年度には1万トン生産していたのが、ことしは5、000トンを切って半分以下になったと聞いております。価格も低迷しているという状況下でございます。我が国の中でのホタテ業については、岩手県は3番目の生産高を保っていたわけですけれども、大変厳しい環境になってきている現状でございます。予算を計上してその振興策をやってきたわけでございますけれども、この現状をどう把握されておるかということでございます。今後の対策をどうとっていくのかということについてお尋ねしたいのであります。よろしくどうぞお願いします。

〇武井水産振興課長 ホタテ養殖の現状についてでございますが、委員から御指摘がございましたとおり、特に平成14年度、13年度、価格の低迷が進んでおります。この価格低迷の原因につきましては、主力産地でございます北海道、青森県、さらには、殼つきの生で出荷するという形で出荷形態が本県と競合いたします宮城県、これらの3道県で生産量が非常にふえている、このあたりが現在の単価が下がっている現状であると考えてございます。
 それで、ホタテガイの振興対策についてでございますが、特にもホタテガイにつきましては、貝毒の発生というものが非常に重要な問題でございまして、やはり食の安全・安心を確保するという形から、県漁連あるいは生産者とともに、貝毒の対策を現在積極的に進めておるところでございます。

〇藤原良信委員 そこでですけれども、これは対策をぶっていかなければならないと思うんですが、立法論で申し上げたいと思います。それに対する見解をお示しいただきたいんですが、おわかりのように、岩手県は良質なホタテガイを出しております。味も甘くておいしいと大変評判です。これは、耳づりと言いますけれども、一個一個線でつないで、手数をかけて生産していて、そしてことしは5、000トン生産し、平成9年度には1万トン生産している。ちなみに、北海道は40万トン生産しているんですけれども、これはばらまきなんですね。ですから、これは大量にとれる。大量にとる。稚貝を砂地にばらまきしてそれで採取する。岩手県の場合、一個一個つないでいるからとてもじゃないけれども手数がかかっている。おいしいものはつくるんですけれども、生産量は上がらないんです。したがって、これはブランド化のいい見本なんだと思います。
 ただこれが、むき身になると北海道産が岩手県産に化けていっているのではないかという指摘もされております。稚貝を貝柱だけ取っちゃって、我々ではわかる面もあるけれども、産地ではない方々が見ると、貝柱は北海道産も岩手県産も同じだという見られ方をされていく図式がございます。これらに対する原産地表示を明確化していくということは、ことしからスタートして徹底されているんですけれども、この現状を徹底していく必要があると思いますが、それがどういう進捗状況になっているかというのが1点。
 もう1点は、生産の立場からになりますと、岩手県はホタテ業に関しては海域が七つございます。北部海域、中北部海域、山田湾海域、大槌湾を除く中部海域、大槌湾海域、それから大船渡湾を除く南部海域、大船渡湾海域の七つなんですが、ちなみに、南部海域について、越喜来湾と広田湾まで全部一緒になっているんです。広田湾で貝毒が発生しますと越喜来湾まですべて出荷がストップになってしまう。これは、私は海域を分けていくべきだろうと思っております。生産者が、自分のところの貝は貝毒が発生していないんだけれども、同じ海域だから一網打尽にストップされちゃうという図式でございます。
 ちなみに、説明しなくてもいいんですけれども、海域の決め方は水産庁ですが、任意の検討会でこれが決められるということでございます。したがって、じゃどういう要件を整えればこれが認められるかというと、こう違いますよというデータをつくればいいのだと思います。技術センターにそのデータをそろえればいいと思いますので、こういう対策をきちんと持って行政でやれる分野だと思います。これを岩手県がぴしっとした対応をつくっていくことが必要であると思いますけれども、今の点等々について御見解を賜りたいと思います。

〇得田流通課長 ホタテの貝柱の産地表示についてのお尋ねでございますが、こうした産地表示につきましては、JAS法に基づきまして生鮮食品品質表示基準といったものが適用されまして、例えば三陸産などの生産された水域面といったものを表示する制度となっております。
 こうした制度につきまして、本県で表示が適正にとられているかどうかということを確かめる制度といたしましては、本県におきましてことしの2月に食品表示110番をフリーダイヤルで設置しておりまして情報の提供を呼びかけておりますほか、食品表示ウオッチャーといった方々58名を委嘱しておりまして、情報の収集に努めておるところでございます。
 また、県といたしましても、通常の点検・指導といったことを通じまして、産地表示といったものの適正化に努めておるところでございます。

〇武井水産振興課長 続きまして、貝毒の海域区分についてでございますが、委員御指摘のとおり、本県は現在、水産庁次長通達によりまして七つの海域に区分されてございます。それで、南部海域の細分化という問題につきましては、これは細分化した後の海域の貝毒の発生状況がほかの海域に比べて特異的に違うということをきちんとデータをもって明らかにすることが必要でございます。また、それとともに、細分化の場合には、関係する漁協等関係者で、その細分化につきまして共通の理解あるいは意見の集約が行われることが重要だと考えてございます。
 このようなことから、県といたしましても、貝毒検査を現在実施しております県漁連あるいは関係する漁協と、貝毒プランクトン発生状況の把握等の実施につきまして相談してまいりたいと考えてございます。

〇藤原良信委員 ぜひこれは取り組んでいただきたいと思います。予算計上して、なおかつ大変厳しい現状で、水産業の振興の中での養殖業振興、その中でのホタテ業の振興に県も取り組んで鋭意やってきたわけですけれども、なかなか厳しい現状だということを把握し、どう対応していくかということを改めてこの機会に提言した次第でございます。
 現在の状況からいきますと、ホタテ業は稚貝まで買ってやったら赤字になるという状況下でございます。よって、岩手県はいいものをつくっている産地でございますから、北海道産は今言ったように大量につくるわけですから、しかも安易なやり方でやりますので、岩手県産のホタテと比べると2分の1ぐらいなんですね。それをむき身にされて岩手県産に化けられたら、とてもじゃないけれどもやっていかれないということがございます。
 それから、海域のことについては、生産者、系統組織が共通意見になっていっておりますので、これらを改めて確かめて、海域で不利をこうむるような状況下であれば、手直ししていくことは岩手県の水産業の振興にとって大事なことでありますので、改めてこれはそういう取り組みをしていただきますようにお願いして、私はこの件については終わります。
 大きな項目のもう1点ですけれども、漁船漁業について御質問いたします。
 漁船漁業は、岩手県は2、000そう以上あると言われておりますが、この漁船漁業がやはり大変な現状になってございます。近年、スルメイカ漁が不漁で、大量に倒産とかそういう状況に追い込まれる厳しい状況下にあったんです。そのときに救ったのがイサダ漁でございました。イサダ漁というのは春先に始まって、それから漁船漁業が活動するんですけれども、このイサダ漁が今3分の1の価格になっております。これは、今はイサダの活用の仕方じゃなくて、いろいろな民間会社で、日本の大手が養殖のえさはイサダを使わなくても済むような、農耕種苗みたいなものだと思いますが、そういうようなものをつくれるようになったということ等もあると思うんです。イサダというのは小さい魚ですけれども、それが大変ローコストになっているということでございまして、これらを含めて、2、000そう以上ある漁船漁業が大変厳しい状況下でございます。岩手県の漁船漁業は恐らく淘汰されるであろうと言われております。
 漁船漁業の場合は、そういう生産だけではなくて、例えば造船所とか、あるいは無線とか、さまざまな物品を含めまして実は大変影響があるんです。それに携わっている仕事をしている方々もございまして、これらにもすべて影響してきます。今までも県が予算計上して振興策をやってきましたけれども、この現状をどう把握しておられますか。これが1点。
 そして今の現状を、ただいま私が申し上げたことを理解していただきますならば、これらを踏まえた上でどう今後対応していこうとするのか、この点についてお示しいただきたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 漁船漁業についてでありますが、大変苦戦をしているわけでございます。これにつきまして若干数字で申し上げますと、まだ速報値でございますけれども、平成13年度の定置網漁業を除いた沿岸の漁船漁業ということでございますが、漁獲量が約4万トン、金額で約94億円、5年前の平成9年に比べますと漁獲量、金額とも約25%減少している状況にあります。
 特にも、お話がございましたように漁船漁業の主力をなしておりますイサダ漁業の金額につきましては、平成9年の21億円から平成13年には6億円と15億円も減少しているというようなことで、大変厳しい状況にあるわけでございます。
 いずれ、この漁船漁業の振興につきましては、岩手県水産業振興計画におきましても、資源管理あるいは周年操業の体制を整備するなどによりまして漁船漁業の経営安定を図ることとしているわけでございます。
 一、二具体的に申し上げますと、資源の有効活用を図るため、ヒラメにつきましては平成8年から、マコガレイにつきましては平成13年度から、小型魚の漁獲の自粛をお願いしているところでございます。さらに、漁船漁業の対象資源を積極的に増加するために、平成13年度から関係者が一体となって取り組んできた成果だと思っておりますが、ヒラメで110万尾、マツカワで10万尾の種苗放流を実施しているところでございまして、これも今後とも続けてまいりたいと思っております。
 それから、これからの漁船漁業を担う若い方々の新規参入ということが極めて大事だと思っておりまして、こうした若くて意欲のある漁業者などの漁業許可の取得が容易になるような制度の見直しも、順次進めているところでございます。
 いずれ、こうした施策を重点的に進めながら、私は、本県の沿岸漁船漁業はつくり育てる漁業と車の両輪だと思っておりまして、そういう観点からも今後さらに積極的な振興を図ってまいりたいと思っております。

〇藤原良信委員 ありがとうございます。
 今部長がいみじくもお話しされましたが、やっぱり若い人たちが、これからの後継者が続くような体制をどうつくるかということなんですけれども、今の現状ですら漁船漁業は、実は補償費で自殺者も出ています。大変な経営状況でございまして、やめるにやめられない。しかしながら、大変な状況だということでございまして、今のお話、いみじくも対策の一端だと思いますが、制度の見直し、これは行政でできる分野です。ぜひ今の御見解を、各論に入った立法論については今提言では申し上げません。これはいろいろな環境整備が必要ですから。ただ、制度の見直しというところに行き着くと思いますので、それをぜひ後で詰めたいと思います。
 それから、流通課長、情報の提供等というお話がございましたけれども、これはもっと踏み込まなければならないと思います。このことを申し上げたいと思います。
 岩手県は第1次産業全部です。シイタケもそうなんです。シイタケも、岩手県産が大分県産に化けています。岩手県産のどんこが、これは大分県ではつくれないんですけれども、それが大分県産に化けて、東京の三越、高島屋等のデパートで1万円以上の贈答品で、一番上に岩手県産が並んで、2段目、3段目が大分県産で、それが大分県産として売られています。こういうふうな流通をきちんとしていかないと、岩手県が幾らいいものをつくっても、手数をかけていいものをつくれば、多少価格が高くても市場は買ってくれるという状況があるんですけれども、これがどうしても化けていってしまう。
 さっきのホタテもそうなんです。北海道産は甘くないと言われているんです。岩手県産の方がずうっと甘い。だけれども、これが化けて岩手県産で流れていくようだと岩手県のイメージも減退するということになりますので、流通課長、もう一度その点について、情報の提供ということだけではだめなんです。踏み込んでこれを検査する必要があると思います。もう一度決意をお示しいただきたいと思います。

〇得田流通課長 まさに表示の適正化につきましては御指摘のとおりでございまして、県としても、表示の適正化点検・指導、情報をいただいてから調べるとかいろいろなことをやっておりますが、さらに一歩踏み込んで国にも、関係都道府県に対しても取り組みの要請をしていくほか、今、トレーサビリティーシステムといった産地から消費者の手に渡るまでの経路を明らかにするシステムの導入を促進しておるところでございまして、そういったことについても一生懸命やっていきたいと考えております。

〇千葉浩委員 決算の水田農業確立促進事業費補助に関連して、米政策改革大綱についてお伺いいたします。
 米の生産調整は、これまで農業者を初めとしまして、関係機関、団体が一丸となって取り組んでまいりました。そして、毎年その目標を着実に今まで達成してきたわけでございます。しかし、依然として米価が低迷していることはまことに残念でございます。
 今般、国では米政策全般を見直し、この3日に米政策改革大綱を決定したことでございますが、この改革は、これまで30年以上にわたって実施してまいりました生産調整の方法を変えるものでございまして、我が国農政の大転換になると私は思っております。
 今般のこの米政策の見直し、これまで何回となく報道されまして、農業者を初め多くの方々が非常に関心を持って見守る中で米政策大綱は公表されたわけでございますが、具体的に何がどう変わるのか、農家の方々は大変な不安を持っておるわけでございます。
 そこでまず、この米政策改革大綱の大きなポイントは何なのか、また、県としてこの大綱をどのように受けとめているのか、農林水産部長の見解をまずお聞きいたします。

〇佐々木農林水産部長 米政策改革大綱についてでありますが、今般の米政策の改革は、単に生産調整の分野だけではなくて、水田農業政策あるいは米政策全般にわたりまして、ラージパッケージと言われておりますけれども、総合的な観点から検討がなされてきたものでございます。それが先般公表になったわけでございますが、その大きなポイントというお尋ねでございますが、幾つか申し上げたいと思います。
 まず第1に、平成22年度(2010年度)までに農業構造の展望と米づくりの本来あるべき姿の実現を目指す、平成22年度までに構造改革を目指す姿に実現するということで、米づくりの本来あるべき姿と実現の道筋が示されたということが一つでございます。
 それから、2番目でございますが、生産調整につきましては、平成20年度(2008年度)までに、農業者・団体が主役となる需給システムに移行する。これは端的に申し上げますと、これまで国において配分がなされてきたわけでございますけれども、2008年度、あるいはできればその前からと言われておりますが、農業者団体主体の配分に移行するということでございます。
 そしてもう一つは、平成16年度から、当面の需給調整のあり方として、平成15年度は14年度と同じ仕組みでいくということでございますけれども、平成16年度から変えるところは変えていくということでございますが、その中身につきましては、生産者、農業者がその生産調整を実施した場合のメリット対策というものをみずから十分理解し、納得した上で、主体的な経営判断により生産調整に参加するかしないかということを自分自身が決定するのだというような仕組みになるということでございます。
 それから、生産調整の配分につきましては、今は生産調整目標面積の配分になっているわけでございますが、これを数量配分に変えていくというようなことでございます。
 さらにもう一つ申し上げますと、助成方式が今まで全国画一的に一律ということで行われてきたわけでございますが、今後は、地域の水田農業の特色ある産地づくりを進める観点から、産地づくり推進交付金というものを創設する。しかし、この助成金の使途あるいは水準、具体的にどういう使い方をするかというようなことについては、地域で決定してもらうというようなことに変わっていくということでございまして、大きな改正点と言えばこういうことになると思います。
 そういうことで、今般の米政策大綱につきましては、政策全体を見直されたものでございまして、我が国水田農業の将来を左右する一大転機になるものだと思っておりまして、あわせて農業もまさに自己決定、自己責任の時代に入ったものだという感を強くしているところであります。

〇千葉浩委員 今部長から答弁ございましたが、まさに我が国、岩手県の農業もそうですが、将来を全く左右する本当の一大転機になったと思っております。好むと好まざるとにかかわりませず、大綱として方向性が決定したわけですから、何を言ってもこれは決定したわけですから、今後、県として、この大綱に沿ってどう対応しようとしているのか、これが一番の問題だろうと思っております。
 具体的な内容についてはこれからだと思うんですが、農業者は、先ほど私が申し上げましたとおり、大きな不安を持っていると思うんです。この指導を図っていかなければなりませんが、県も農業団体も地方振興局もそうだと思いますが、今度の減反調整の説明会もこれから行われようとしているわけですから、こういうところではっきりと話し合いができる、説明できる、そういうものも身につけていただきたいと思いますし、それから、他県でございますが、もう既にいろいろ研究会だとか委員会だとかを立ち上げているんです。岩手県にもあるんですが、この大綱を踏まえて、緊急にそういう対応策を考える体制をつくろうとしている気持ちがあるかないか、そういうものも踏まえまして、県としてこれから緊急にどう対応するか、もう一度御答弁を願いたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 今回の新しい米政策につきましては、まずもって実践する生産者の理解を得ることが何にも増して重要だと思っておりまして、これから地方振興局を挙げて、そして国の食糧事務所などと一緒になって地域ごとに説明会をするということで、まず、今回の大綱の内容、そして具体的な施策なりがはっきりした時点で随時周知を図ってまいりたいと思っております。
 お尋ねがありましたが、本県でも米政策のあり方研究会を設置していろいろ検討してきたわけでございまして、その研究会はまだ存続しておりますので、今回の大綱の内容を踏まえ、本県として具体的にどういう手だてを講じていく必要があるのかも含め、引き続き研究会の各層各界から広く意見を聞いてまいりたいと思っております。
 それとあわせまして、今、作業を進めているところでございますが、それぞれ市町村なり地域の米の生産力あるいは商品力、販売力を客観的に評価する、言うなれば稲作主産地度というようなもののデータを今、整理中でありまして、整理ができた段階で、この冬からも具体的にそういったものを示しながら、それぞれの地域がこういう大綱が示された中で将来にわたってどういう地域農業を営んでいくべきか、みずから何をしなければならないか大いに議論をしていただくことが大事だと思っております。
 いずれにいたしましても、大きな転換期でございますので、本県農業に影響を及ぼすことのないよう、さらに発展できるような対策について、関係団体ともども一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

〇菊池勲委員 今、千葉委員の高度な質問を聞いて、私も農民の一人として大変感銘をいたしたところなんだけれども、私は農業をしていて全然迷っていないんだ。堂々と朝から一生懸命働いている。きょうはいっぱい聞きたいんだけれども、一つだけに絞ってお伺いしたいと思う。
 農業農村整備事業に関してでありますけれども、私は、平成9年の4月からある土地改良区の責任者にさせてもらった。それから6年余、事業を展開してまいったけれども、平成9年当時は大変順調な計画で、県の地方振興局にも一生懸命努力をしてもらって、私どもは夢を抱きながら、近い将来にはすばらしい農業政策が来るだろうということで、3割の減反政策もはね返しながら、必ずや持っている水田すべてに米がつくれる時代が来るだろうということで大きな投資を展開してまいった。だが、残念ながら、だんだん景気が悪いどころか予算の配分が悪くなりまして、計画は、もう半分も前進しないような状況になっている。本当はいつも世話になっているから高い声で質問するのは悪いんだけれども、これは地声でありますので御理解を賜りたいと思います。
 安樂農村計画課長にも大変御苦労をかけながら、先代の課長を含めて、私どものような国営の事業もダブってお願いをしておりますけれども、農家の説得のときに、ねえ、理事長、こんな時代になぜこんな金をかけるんだという議論がまず100人中100人。いいですよと。おまえさんたちの土地だから、私はその土地を開発する改良区の理事長をやっているんだから、私がしたくてやっているのではなくて、あなた方の財産を守るための戦いをするわけですから、今の状態では、水田に水をひくために、U字では水は最後まで流れていかないと。だったらどうするんだと。あなたが持っている水利権は川にはあるけれども、田んぼに運ぶのは改良区の仕事ですよということの説得をした。ある先輩の方からえらい議論で私怒られたんだけれども、私も逆に、すべてしゃべり終わってから怒り返してみた、その先輩に。だったら、悪いけれども、あなたの田んぼは残すから、あなたは川から水をくんで入れてくださいよと。そこの部分だけU字を残しておくからと言ったら、今、70過ぎてからそんなことできるわけないだろうと。当たり前でしょうと、だからこそこの組織をもって営々として財産を守ってきたんだからと言ったら判こを押して帰ったんだけれども、そのころまでは順調に来たんだ。
 ところが、予算が半分に減ってしまっているでしょう。私どものこの計画、5年でできるやつが9年でも見通しがつかない。9年でも見通しがつかないということは10年たってもだめだということでしょう、これは。こんな状態では、減反政策が厳しくなるのもそのとおりなんだけれども、それに対して、水田を守る我々は何として守るかだ。昭和40年代につくった水田のU字が、水を運ぶ施設が、継ぎ目が漏ってしまってどうしようもないんだ。毎年モルタルか何かでみんなくっつけて、そしてその年をしのぐ。また来年も同じこと。同じ場所。そのうちに形が変わって壊れてくる。そのときに皆さんにお願いしながら、農村農業整備事業でパイプラインにして、少なくとも向こう40年ぐらいもつ施設にしたいと思って、今、一生懸命お願いしている。
 今まで、昭和40年代につくった水田、その施設があと残り、パイプラインを希望する残りの面積は一体どれだけあるのか、まず、それを教えてください。

〇安樂農村計画課長 委員御指摘のとおり、これまでの土地改良事業というのはどちらかというと新規開発型だったわけですが、これからは、過去につくったものをいかに管理して、いかにそれを更新していくかという時代に入ってきております。委員から今御指摘ありましたこれからどの程度そういうものがあるのかという点でございますが、これは一概にすべてということではございませんけれども、例えばそういう事業として土地改良総合整備事業というのがございます。それが今後どのくらいあるかと申しますと、現在実施中の地区だけでも1、500ヘクタールぐらいございます。さらに、今後出てくるであろう地区は3、000ヘクタールぐらいございまして、あわせまして4、500ヘクタール以上の地区がこういう事業をもとに更新し、さらに少しでもよりよい基盤整備にしていこうと事業を待たれているということでございます。

〇菊池勲委員 これは斉藤信委員に言うと怒られるんだけれども、公共事業は悪だという形の中でこんな格好になっていると私は思っておったんだけれども、聞くとそうでもないんだね。必ずしも悪ではないんだ。我々、これはもう人間すべてなんだけれども、主食は米というのが日本人の特徴だから、私は自信を持って米をつくる農業をしているわけだ。だけれども、安樂課長によると、まだ三千数百ヘクタールも残っていると。現況の予算配分だとするならば、この3、000ヘクタールの希望を何年で消化できるんですかね、課長。

〇安樂農村計画課長 これは今後の予算なり社会情勢で大きく変わりますので一概には申し上げられませんが、大ざっぱに現在の予算の状況で仮にやっていくとすると、余りこういうのは威張って申し上げられないんですが、20年近くかかるということになってございます。ただ、これは県全体で20年でございます。今、農業農村整備事業補助事業は原則6年で終わる規模でやっていくということでございますので、それぞれの地区については採択されれば6年以内に事業が完了するということでございますが、全体では20年近くかかるということでございます。

〇菊池勲委員 ありがとうございますと言えば簡単なんだが、そうじゃないんだな。昭和40年代にやった整備は、先ほど申したとおり、U字溝で水を運んできたんだ。10リットル流して全部最後の田んぼまで行く計画でつくったやつが、10リットルの水が最後に行かないわけだ、一滴も。15リットル流したら行くかといったら、それも行かないわけだ。ところが、水利権は決まっている量しか持っていないから、むだな水を流す方法はないということなんですよ。だからこんな高い声でお願いしているわけだ。本当は静かな声でお願いしなきゃならないんだけども、これは地声でありますから。
 今言ったように、私どもは改良区で約4、500ヘクタールを管理する組織なんだけれども、私ども、今盛んにこの仕事をお願いしながら進めてもらっている。ところが、4、500ヘクタールは工区ごとに分けてある、数字はね。一つの改良区の面積だけれども、工区ごとに分けているものだから、今言ったように、新規は認めないという議論なんだよ、地方振興局は。私は、新規ではないと。うちの改良区はスタートが遅かったから今までかかっているけれども、これは順序に行きたい。最後には4、500ヘクタールすべてこの方法でやりたいんだから、新規ではないと言っているんだけれども、当局は、これは新規だと。1から2に移るときは、2工区は新規、2から3に行くときもまた新規。ですから、課長が言ったように、始まったら6年以内に完成するということは、新規を認めなければ見通しはないということなんだよ、これ。その感覚、1改良区は一つの単位の中で、ただ管理上工区を分けているだけの話でありますから、組織は同じなんだよ。これを新規という判断を私は気に入らない。それでも気に入らないままでいれば改良区の責任者としては守っていけないんだ、農民を。これをどう判断するか、部長。

〇佐々木農林水産部長 それぞれの地域、それぞれの組織でいろいろな事情があろうと思いますが、いずれこういった強い要望がありますことは十分承知しておりますので、一生懸命取り組ませていただきます。

〇菊池勲委員 そう言われると、あとしゃべれなくなる。部長、ありがとう。そういう答弁はすばらしい答弁だし、正直言って、これは責任者の部長にばかり負担をかけようなどと私は思っていない。我々組織も、土地改良連合団体という組織がありますから、組織を通じて農林水産省にも厳重にお願いしながら陳情を申し上げている最中でありますので、部長もその力強い気持ちで堂々と胸を張りながら予算要求に頑張ってほしいとお願いしたい。
 そういう問題を含めて、私どもは農村でありますから、環境整備のために農業集落排水事業に今盛んに努めてもらっている。私の地域も恐らく平成21年あたりの完成見込みで今工事を始めてもらっているんだけれども、予算の配分だと、これも平成21年じゃとてもおさまらない。もう何年かかるかわからないと。きのう、うちの助役と会ったんだけれども、先生、市も財政が厳しいけれども、もちろん県も厳しいでしょう-国がそのとおりの状態だからね-、だけれども、少しでも多くの配分をもらわないと、環境が破壊された後に直すには1世紀どころの話じゃないだろうと。ですから、小さい中小河川が汚染をされないうちに早目に処理をしなければだめだということで手をかけてもらっているんだけれども、依然としてなかなか前に進まない状態なんですね。額にすれば約53億円の事業費ですからそう簡単にはいきませんけれども、年間それなりに配分してもらっているんだけれども、この状態だと計画よりかなりおくれますけれども、できるだけ計画どおり施行してもらって、そして環境を壊さないうちにきれいな農村環境を整備しながら快適な生活をしていこうとうちの助役は言っておったんだけれども、その点も含めて、部長にその決意のほどをお伺いしながら、私どももただお願いするだけではなくて後方から最大の御支援を申し上げてまいりたい。もう一度決意のほどをお願い申し上げます。

〇佐々木農林水産部長 生産基盤の整備も含め、生活基盤の整備も含め、これからまだまだ整備を促進してまいらなければならないと思っておりますが、こういう厳しい財政環境にありますけれども、私どもとしても知恵を絞って、工夫を凝らしながら一生懸命取り組ませていただきます。

〇阿部敏雄委員 水産振興、漁業協同組合の育成の面から3点についてお伺いいたしたいと思います。
 まず、1点は、漁業許可方針の見直しについてお伺いしたいと思います。
 私も12月の一般質問で漁業協同組合への県の支援についてお伺いしました。今、前段で佐々木俊夫委員、そして藤原良信委員からも質問されて若干重複するわけでございますけれども、漁業許可というのは漁業者の生命なんです。私は3年前、当選してすぐその問題を出したんですけれども、時間がかかって、ようやっと平成14年2月議会の予算特別委員会で二つの漁業種類について許可方針が改正されたという答弁がありました。しかし、一般はわからないんですけれども、漁業者は漁業許可がなければ何もできないんですね。ワカメをつくるにもワカメの漁業許可が必要だし、一本釣りでも、何でもなんですよ。ですから、若い担い手を育てようとしても、許可がなければ、船をおりて何かやろうと思ってもできない。それを握っているのが漁業協同組合の海区の方々や県の許可なんです。ましてや、この許可は知事の許可なんですよね。農林水産大臣の許可ではないんです。
 先日も水産議員連盟にある若手が来て、自分たちは固定刺し網をしたいと。目の前のサケをとりたくてもとれないと。しかし、宮城県の方はトロールでとっていくんですよね。目の前でとられるから自分たちもとりたいんだと。しかし、各漁協がみんな定置を持っているから、漁業協同組合の方でそれに反対するわけなんです。しかし、漁業協同組合の組織は組合員なんですよね。組合員あっての漁協なんですよ。まず、その点を含めて、漁業許可方針の見直しについてお伺いします。

〇伊藤漁業調整監 許可方針の見直しについてでありますが、現在の知事許可漁業は、イカ釣り、サンマ棒
受け網漁業など約6、500件となっております。これらの許可は、昭和54年に県が定めた海面許可漁業の許可等の取扱方針に基づいて行っております。この方針は、操業実績船の更新または承継を前提としておりますことから、平成12年度から見直しを進め、新たに新規許可枠を定めて、意欲ある漁業担い手の育成を図り、漁船漁業を活性化させていこうとしているところであります。
 既に、見直し対象漁業14種類のうち、かご漁業を除く13種類につきましては漁業者に説明して理解を得ておりまして、平成13年度にはイルカ突棒漁業とイカ釣り漁業について、本年度はすくい網漁業など3種類につきまして許可方針を改正し、許可の更新を行ってきたところであります。
 また、漁業者の理解を得ております残り7種類につきましても本年度内に許可方針の改正を行う運びとなっております。

〇阿部敏雄委員 本当にこれは担い手育成のためにも重大なことなんですね。ただ、漁業協同組合の意識構造がまだ変わらないんですよね。
 佐々木委員も話したとおり、産地の市場についてもそうなんです。私は2点、地元の釜石漁協、漁連の市場運営について、状況、それから、釜石が今度新しい市場を建てようとする構想がありますね。それに対する県の支援についてお伺いしたいと思います。
 私の地元大槌にも魚市場があるんです。立派な市場なんです。今度、釜石も新しく市場を建てようとしている。しかし、水揚げ状況が減っているという状態ですね。私、大槌の市場に20年勤めたんです。当時は黙っていても、北洋のサケの指定港だから、釜石、大槌、山田、宮古、それ以外水揚げできないから、だからある程度5億、10億の水揚げが確保されていたんです。それがなくなった。漁業調整によってサンマの大型船もなくなってきた。そういう状況の中で釜石が本当に新しい市場を建てるというとき、大槌を含めた形の市場形成をとっていかなければ、大槌は将来も魚市場を経営していくんだと。また、釜石もやる。将来、大槌と釜石の合併問題がありますね。1市1町魚市場一つとなったとき、どっちかがなくならなければならない、私はそう思っているんです。ですから、釜石の3漁協の合併がどうなっているのか、その状況。それから、釜石の新しい市場の移転と水揚げ状況についてお伺いします。

〇和佐団体指導課長 釜石の3漁協の合併に向けた取組状況について私から答えさせていただきます。
 釜石漁協と平田漁協と白浜浦漁協の3組合におきまして平成12年7月に合併推進協議会を設置されまして、これまで7回議論していただいていると聞いております。現在、平成15年度の早い時期の合併に向けて、合併のための条件とか、どういう事業を組んでいくかとか、そういうことを議論していただいていると伺っているところでございます。県としても、そういう協議会に参画して議論の促進に努力しているところでございます。

〇武井水産振興課長 釜石市場の状況についてでございますが、釜石市場は、5年前の平成9年には48億8、000万円の水揚げがございましたが、平成13年には38億6、000万円という形で、5年間で約10億円水揚げが減少しております。さらに、平成14年の水揚げにつきましても、11月までの水揚げで、先ほど申しました減ってございます平成13年同期と比較しても金額で7%減少している、こういう状況でございます。
 釜石の市場は現在魚河岸地区にございますが、非常に老朽化が進んでございます。これに伴いまして、釜石市におきましては、第五次釜石市総合計画におきまして、平成18年度供用開始を目標に、新しい魚市場を新浜地区に整備することとしてございます。県といたしましても、釜石市からの要望を受けまして新しい魚市場の用地を現在造成してございまして、今年度中にはおおむね完了することとなってございます。
 釜石市におきましては、委員から御指摘のございました現在の非常に厳しい水揚げの状況等も踏まえながら、新しい魚市場の適正な規模、あるいはあるべき機能等について、現在、検討を行っている段階でございます。
 県といたしましても、このような釜石市の検討状況も踏まえながら、新しい魚市場の整備計画の内容等も踏まえて必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

〇阿部敏雄委員 私は以前にも釜石地方振興局長と会って話したんですけれども、立派な建物を建てても、市場というのは、さっき佐々木俊夫委員が話したとおり、それには仲買人の育成も必要なんですよ。それを一体として取り組まなければ、建物だけ立派なものをつくって、組合のトップの方々が喜ぶような施設ではだめだよと。そこを非常に私は危惧しているんです。県の方でも一体となって、仲買人の育成、加工業者、冷凍業者等も育成しながら、そして魚市場を建てるときはそこを一体とした取り組みでいかなければ本当に……。なぜならば、各漁協が赤字でしょう。そういうとき、漁業協同組合のトップ、理事の方々、普通の会社だったらもうトップは交代しているんですよ。それすらも何ら危機感もないんだ。だから、やはり県は、漁協合併する場合にはいろいろな面で漁協の支援をしているんですから、リーダーシップをとって漁協合併を早く進めて、そして力強い基盤をつくるように、そこの御指導をお願いして終わります。

〇田村正彦委員 農業問題について数点お尋ね申し上げたいと思いますが、その前に、林業水産部と農政部が一緒になってからもう2年を経過したわけです。その中で、今、議論になっている国の新たな米政策が出されましたし、また一方では、林業公社あるいは肉牛公社、県有林の特別会計、そして新たに森のトレーの問題、九戸の森林組合の問題、問題が本当に山積していると言っても過言ではない状況だと。今いろいろな議論があったように漁業関係でも大変な問題があるわけですが、そういったいろいろな問題を抱えた大がかりな部局である農林水産部を所管している部長としてどう感想をお持ちなのか、まずそこをお尋ねしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 農林水産部は統合してから2年目になるわけでございますが、その所感ということでございます。
 平成13年度に統合したわけでございますが、1年目平成13年度は、初年度ということで大変な苦労があったと思っております。私は2年目ということになるわけでございますが、現在、特別の問題もなく、職員には一生懸命取り組んでいただいていると思っているところでございます。
 お話のありましたような課題は確かに山積しているわけでございますけれども、委員の御指導をいただきながら、一つでも二つでも解決できるように取り組んでいきたいと思っております。
 私、赴任して職員に申し上げたのは、農林水産部に統合したということも含めてでございますけれども、まさに1次産業農業、林業、水産業が一緒になったわけでございますが、この1次産業を英語で言いますと、ファーストではなくてプライマリーインダストリーというんだそうです。私も教わりました。プライマリーインダストリーというのは、1次ということではなくて、根源、基礎的な、根源をなすという意味でございまして、まさに国民の暮らしと命を支える1次産業――プライマリーインダストリー――だということで、農林水産部職員一体となって取り組もうということで頑張っていただいているところでございまして、今後もそういう気持ちで農林水産業家のニーズに即した取り組みができるように取り組んでまいりたいと思っております。

〇田村正彦委員 すばらしい答弁をいただきまして本当に感謝申し上げております。まさに国の根源、我々の生活の根源であろうと思っております。
 そこで、そういった観点に立って質問してまいりますが、先ほど千葉委員の方からもあったんですが、新たな米政策が昨日発表になったわけですが、その根底にある理念というんですか、今までの米政策の経緯をつぶさに検証して予想される理念というのは、担い手育成でもってある程度の集約を図って今後の農政を進めていこうというのが農業経営基盤強化促進法に基づいて営々と続いて、その集約が今回の米政策だと私は認識しておるわけなんです。県でもそれを十分に把握なさっておって、県単で担い手育成支援事業として多額の予算を確保していただいて、担い手に対しての支援措置というのを本当に努力されておるわけですね。実は、これがうまく機能しているかというと、なかなかそうでもない。何が原因かと申しますと、やはり地方財政、自治体財政の疲弊というんですか、これが非常に影響している。と申しますのは、担い手支援事業を欲しい農家があっても、その義務経費というんですか、それを地方自治体で負担できない。したがって、やりたい農家がその事業を入れられないという事態が結構出てきておるんですね。そういったことを今後どう改善していこうとしているのか。あくまでも新たな国の米政策はそこを基本にしていると私は認識しておりますし、そういう意味で、そこをどう認識されておられるのか。
 もう一点、これは、今の自治体負担の関係と密接に関係あるんですが、菊池大先輩からお話があった、いわゆる農業基盤整備、これもやはり自治体負担が大変だと。予算の話があったんですが、今、国が新たな規制策を出しました。これの政策の中身を見てみますと、あと4年後までにめどをつけてくださいよと。各地域の米の生産に対するめどをつけてくださいよというのが基本になっていると認識しております。期限をある程度区切っています。これは国の政策です。そしてまた一方では、菊池委員の質問に関連するんですが、例えば基盤整備事業を行うにしても、計画を組んで同意をいただくわけですね、地方振興局で。その際に、何年後には完成しますという前提で同意をもらっているんですよ、すべての事業が。それが、約束した、同意をもらう前提の期限がずっとずれ込んでいく。極端な話、約束違反だぞという考えが農家にはあるんですよね。やはり予算というのは、めり張りというのが私はぜひ必要だと思います。国がこういった政策を出してきているんですから、そういった担い手に集約するような、あるいは米生産にかかわる基盤整備にかかわるものについては集中的に予算投入して対応していくんだという予算的なめり張りというのが私は必要だと思うんです。そういう意味で、そういった予算のめり張りの観点から、この基盤整備と今の新たな米政策というものの関連を踏まえてどうお考えになっているのかお尋ね申し上げます。

〇千葉伝委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いします。また、質問は、平成13年度決算に係る特別委員会であることを踏まえて行うよう願います。

〇河村農業振興課長 いわて農業担い手支援対策事業、県単の事業についてのお尋ねだったと思いますが、この事業は、担い手育成のための県単事業で8億円余りの予算をとっているわけですが、予算の執行状況については、ほぼ満たされているといいますか、活用されていると伺っております。ただ、一部で、市町村の裏負担についてなかなかという話はお伺いしたことがございますが、いずれ担い手育成につきましては、県のみならず市町村との共同の取り組みということで、県3分の1、市町村6分の1、末端2分の1ということでお願いしてございますので、今後とも、市町村には御理解をいただいて担い手育成のための事業について御協力いただければと思っております。

〇安樂農村計画課長 大変厳しい財政下でありますけれども、委員御指摘のとおり、基盤整備事業を我々はやはり重要であると思ってございますので、その必要性やら事業効果の早期発現を図らなければならないという観点から、あらゆる面で予算確保に努力しているところでございます。
 また、予算がどうしても限られたものでございますので、委員御指摘のとおり、めり張りが必要だと思ってございます。我々農林水産部としては、農業農村整備事業全部すべての工事をやっていきたいところですけれども、やはり重点化、効率化を図らなければならないという形で、特に、米問題とも重要にかかわりあります圃場整備事業につきましては重点化事業の一つに位置づけまして、ほかを削ってでもなるべくそちらに回そうという形で事業を計画的に進めていくことにしてございます。
 さらに事業実施に当たっては、さらに低コスト工法を使うとかリサイクルをするとか、一層のコスト縮減を図りながら、少しでも事業が推進できるように努力してまいりたいと思ってございます。

〇田村正彦委員 決算ということなので、それでは、175ページの農業委員、そしてまた、179ページの農業改良普及員という支出項目に関連してお尋ねいたします。
 国では、方針として、農業委員の定数削減、そしてまた、農業改良普及員に対応する交付税の削減、こういったものを打ち出してきておりますが、その意図するところは何と理解しておるのか、まずお尋ねします。
 一括でお尋ねしてまいります。細かい話で恐縮ですが、決算書にヤマブドウの優良品種育成事業が出ております。これに関連してですが、御案内のとおり、くずまきワインも大変好調でございまして、ヤマブドウそのものが不足しているという現状があります。鋭意努力していただいて品種改良を重ねておられると聞いておるんですが、この実証経過と今後のヤマブドウの増産体制の見通しをお尋ね申し上げたいと思います。

〇河村農業振興課長 農業委員会の予算についてでございますが、平成14年10月の地方分権改革推進会議で、農業委員会のあり方ということで、農業委員会の制度そのものは残すけれども、市町村によって置いても置かなくてもいいという規制緩和をしてはどうかという話が1点、それからもう一つは、農業委員会交付金ということで一括国から経費が手当てされているわけですが、それの一般財源化について検討すべしという2点の話が出てございます。
 その意図というのはちょっとあれですが、一つは財政事情ということと、それからもう一つは、農家人口といいますか、農業人口が減少しているという大きな背景があるのではないかと思っております。
 農水省でもそれを受けて農業委員会に係る懇談会を設置しておりまして、その農業委員会の設置の意義・役割、活動のあり方を今年度中、3月末をめどに取りまとめることになっております。県としては、農業委員会というのは、優良農地の確保あるいは担い手の農地利用集積ということで重要な役割があるということで、そういう機能が減じられることのないよう期待しております。

〇千田林業振興課長 ヤマブドウの品種改良の実証経過と今後の増産体制についてでございますが、ヤマブドウにつきましては、県の林業技術センターが平成3年から県内各地から60系統の野生種を収集し、平成5年から試験栽培を行っているところでございます。この結果、それぞれ特性のある品種が選抜されておりまして、例えば、収量の多いものが4系統、それから、糖度の高い品種が1系統ございまして、この5系統につきまして、全国初めてでございますが、ヤマブドウの品種として品種登録の申請をし、受理されているところでございます。
 この中で、例えば収量につきましては、現在葛巻町で栽培されている品種では大体10アール当たり400キロから500キロぐらいの収量でございますが、多収性系統でございますと800キロから1、200キロと、大体2倍近い収量が期待されているところでございます。
 今後の増産体制についてでございますが、技術センターの方では、ことしの12月から既に穂木の採取ができるような状態になってございます。このため、先般、社団法人の岩手県農産物改良種苗センターが苗木養成を行うという取り決めをしたところでございまして、これらの苗木は、平成16年の春から産地を特定しながら段階的に供給を行う、こういう段取りになっているところでございます。
 ヤマブドウは、健康食品ということで需要の拡大が見込まれておりまして、ヤマブドウは年により豊凶の差が非常に大きいということでここ数年生産量も減少傾向になっておりますので、早くこの品種が使われることになりまして増産に結びつけられればいいと考えるところでございます。

〇小岩農業普及技術課長 普及員の関係の交付税が削減されるという御質問でございましたが、先ほどの農業委員会と同じように、国の地方分権改革推進会議でこの普及制度につきましても議論されておりまして、その中の一つとして協同農業普及事業交付金を一般財源化すべきだという報告がなされております。それにつきまして、今、農林水産省におきましては普及事業のあり方に関する検討会を設置し、各方面からの意見を聞いているところでございます。
 交付税の削減というお話でしたけれども、確かNHKで協同農業普及事業の人件費補助に係る報道をしておりましたけれども、農林水産省から確認しているところでは、来年度の普及事業の交付金につきましては本年度並みの要求をしていると伺っているところでございます。

〇田村正彦委員 最後です。答弁に、ヤマブドウは健康飲料としてこれから有望であるというお話もありました。中山間地帯は、御承知のとおり高齢化が進んでおります。このヤマブドウというのは高齢の方でも栽培が可能な品種でして、何とか岩手の特産としてヤマブドウの普及をぜひ図っていただいて、中山間地帯にちょっとでも活力を与えるような新たな施策を加えていただきたいと思います。
 以上、要望ですが、終わります。

〇水上信宏委員 農林水産部の皆さんには、平成13年度は牛海綿状脳症対策について、また、毎年のことでありますが、国の減反政策、農林水産物の安価な輸入等、私の考えでは、政府の後手後手にわたる政策のため、大変御苦労、御努力なされていますことに敬意を申し上げます。
 特にも、廃用牛については畜産流通センターにお願いしたり江刺市にある設備利用をお願いし、早速の対応をしてくださり、畜産農家の方々にも笑顔が戻っているような気がし、安心しております。ありがとうございます。御努力に感謝申し上げながら質問させていただきます。
 歳入歳出決算事項別明細書の第6款、175ページ、農業委員会運営費補助金についてお聞きします。
 日がたったり、数十年も耕作されず農地が放棄され、荒廃状態になっていることは皆さん御案内のとおりであります。河川改修に協力したため砂や砂利だらけで農地として使用できない状況になっている土地でも、地目は農地のため取引ができず、不法投棄の場所になったり、環境の面からも大変な状態になっているわけですが、その対策と今後の取り組みについてお伺いします。
 農地は、自然と環境保全に大事なことは言うまでもないわけですが、農地として使うところは農業者、所有者に耕作することを義務づけ、指導したり、また、使わないところは農地以外に使えるようにし、社会に役立つようにするとか、農地を流動化させ、土地を有効に使えるようにする必要があると思いますが、県として今後どのように考えているかをまずお伺いします。

〇河村農業振興課長 耕作放棄地といいますか、農地として使われていない農地をどうするかということでございます。端的に申し上げますと、大体10年以上農地として使われないで草ぼうぼうになっているものについては、農地法上は現況主義ということで、現在、だれが見ても農地として使われていないものについては、登記簿上の地目が農地であっても、農業委員会の非農地証明という手だてがありまして、それがあれば登記所で書類上の登記変更ができることになっております。
 それが本題ではないわけですが、いずれ、優良農地は農地として使うべきだと。それから、どうしても使えないのはどうするんだということだと思いますが、市町村で農業振興地域整備計画を立てていまして、ここは優良な農地で、将来とも農地として使っていくところについては農地というゾーニングをし、それについては耕作者も市町村も有効に使っていく義務が求められております。そうでない、農業に適さないところについては、農振を外してまた別な用途というふうな、そういう農振計画の見直しが5年に1回ございます。ですから、5年に1回、そういう現状を見ながら、市町村段階で最も有効な土地利用ができるような計画を立てていただくように県としても支援をしてまいりたいと思っております。
 端的に申しますと、10何年も土捨て場になっているとか使っていないということであれば、例えば植林だとか、そういう使い方もあると思っております。

〇水上信宏委員 一応法律ではそうなっていても、法務局でなかなかやらないというのが現実なんです。それから、例えば農地を山林にすると申請しますと隣の畑とか家の許可が必要ですし、黙って放置しておいて大きくなるのは構わないし、どうしても矛盾が出るわけです。そのことは意見です。
 次に、前の質問に関係してお聞きしますが、国に、減反対策で、県ではそうしたら困る、 こういうふうにしてというような進言をしているかどうか。今までどれぐらい進言して、減反だけでなく前向きの考えをせいという指導を農業県としてしているかどうかということを一つお聞きします。
 それから、前の質問に関係して米の消費拡大についてもお聞きしたいわけですが、どのような施策いろいろ2人で漫才のようなものをやったのも記憶がありますを考えて実行してきたか、これからまたどのようにしていく考えか。減反という後ろ向きの対策でなく、消費を拡大するために前向きの対策をしていっていただきたいと思います。日本人が米を食わなくなったら米がなくてもいいような民族になれば大変だと思いますから、小さいときから米に親しむように、米御飯をたくさん食べるようにどういう施策を今までやってきたか、これからやる考えかをお聞きしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 米の消費拡大につきましては流通課長から答弁をさせます。
 生産調整に対して、国に県としての主張をしているかというお尋ねでございます。この生産調整につきましては、既に本県におきましても4割に及ぶ生産調整面積ということで、大変生産者は影響をこうむっているわけでございますが、本県農業を左右する大きな課題でございますので、これまでも必要に応じて国に対して本県としての提案をしてまいったところでございます。
 今回、新たな大綱が示されたわけでございますが、この中にも本県が提案してまいりました点が多々入っていると思います。特にも、これからの地域農業というのは全国画一的な施策ではなく、地域それぞれの事情があるわけですので、そういった創意工夫が生かされるような施策であってほしいということも強く要望してきたわけでございますが、そのことにつきましても今回の大綱に盛られたことは評価したいと思っております。いずれ大綱は示されましたけれども、具体的な施策は平成15年度の予算編成以降になるわけでございますので、そういった部分につきましても精査をしながら、要望すべきは要望してまいりたいと思っております。

〇得田流通課長 米の消費拡大運動についてでございますが、お尋ねのとおりだと思っておりまして、平成13年度におきましては、岩手の米まつりの開催、それから、児童生徒を対象にいたしまして、日本型食生活のよさについて認識を深めていただくため、御飯に対する私の思いエッセイ、こういったものを募集しているほか、米飯学校給食等新事業を実施してきたところでございます。
 また、平成14年度――本年度におきましては、特にもやはり小学生、幼少期の方々にお米に親しんでいただきたいという考え方から、これまで、親子のライスセミナーを開催いたしまして、お米につきまして親しんでいただく機会を提供しておりますし、また、米まつりやおにぎりといったものについても特に重点的に取り組んでまいっておるところでございます。

〇水上信宏委員 一言だけ。例えば、私立幼稚園とか私立学校あたりにでも、もし米を使うときは若干補助するとか、前向きな方に金を使った方がいいと思いますが、そのことについて一言だけ。

〇得田流通課長 お米につきましては、本庁段階というわけではございませんが、各地方振興局におきまして、それぞれの地域の判断に応じまして、そういった学校給食などでの取り組みに対して支援をしておるところでございます。

〇千葉伝委員長 執行部から発言を求められております。

〇河村農業振興課長 先ほど水上委員に答弁申し上げました農地法の適用外証明でございますが、不耕作状態が10年以上というお話を申し上げましたが、これは20年以上の間違いでございました。訂正しておわびを申し上げます。

〇千葉伝委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時56分 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇工藤大輔副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇及川幸子委員 農業用廃ビニール・廃プラスチックの処理状況について1点お伺いいたします。
 これは年間の排出量と処理される量は幾らなのか。それから、処理方法、引き取り方法は決まっているのか、県の指導はどうなっているのかお尋ねいたします。
 これは、処理を規制された後も、業者は県北で処理をすると言って引き取っていくが、実際はどういう状況なのか把握されておりませんが、これもあわせてお伺いいたします。問題はないのか。
 2点目でございます。地元農産物の販売促進について。
 この地元農産物は、よく道の駅を利用して地元の農産物を販売しておりまして、私どもも旅に行くときにはそういう産直に寄ったり、道の駅に寄ったりして大勢のお母さん方が買い求めております。県内では取り組み状況はどうなのか、県はどのような支援策をとっているのか、今後の支援はどうしていくのかお尋ねいたします。
 三つ目でございますが、午前中の水上委員の質問にも重複いたしますが、水上委員が申し上げました、小さいときから米を食べるという提言がありました。私ももっともだと思っております。
 そこでお伺いいたします。学校給食において、地元農産物の利用状況をお知らせください。米飯給食という取り組みでございますが、どのような実態でなされているのか、それから、安心・安全のこの地元野菜をどの程度使っているのかもお示しいただきたいと思います。それから品目。
 四つ目でございます。一学校一農園運動推進事業費1、025万円の実施状況と成果お示しください。
 最後でございます。この世は女性が半分支えているのは申し上げるまでもありません。(「半分以上だ」と呼ぶ者あり)そうですね、半分以上でございました。特にもこの農林水産業も半分、約6割は女性が支えていると言っても過言ではありません。
 そこで、私もずうっと拝見いたしましたところ、農林水産部の幹部職員の方には女性がいらっしゃらないということに気がついたわけでございます。女性の立場に立って農林水産業を支える女性、この女性幹部職員がいてもいいのではないかというところで、この点は部長にお答えいただきたいと思います。

〇中正農産園芸課長 農業用の廃ビニール・廃プラスチックの処理の状況等についてのお尋ねでございます。
 まず、排出量と処理量について申し上げたいと思います。平成13年度の実績ということで申し上げさせていただきますけれども、年間の排出量2、400トンほどになってございます。そのうち回収処理されたものが1、270トン、まだ農家に保管されておるものが1、160トンほどになってございます。半分半分ぐらいだなと見ておるところでございます。したがいまして、この農家に保管されているものを今後一層回収してまいりたいと思っているところでございます。
 それから、処理方法、引き取り方法でございますけれども、御案内のとおり、廃プラスチックは事業者責任ということで、農家の皆さんがみずからの責任において適正に処理すべきと定められております。したがって、具体的処理に当たっては、今委員お話のように専門処理業者に委託して行うということになってございます。
 県としても、そのような形での処理が円滑にいくよう、基本的に、例えば農協とか一定の場所をセットして、あるいは期日をセットして、農家がそこに持ってくれば、委託された業者が引き取っていくというような形の処理が進むようにしているところでございます。
 今後の県の指導でございますが、そのような形の中で、今後とも農家の意識啓発を進めながら、そして、農家に保管されているものがさらに回収処理されていくというようなことを適切にやっていきたいと思っております。
 また一つ、蛇足でございますけれども、加えさせていただきますと、特に気にしておりますのは、水沢地域でやっております再生処理、言うなれば再生品利用でございますが、こういうものを全県下に普及できるような形で一層進めてまいりたいと考えております。

〇得田流通課長 産直並びに給食についてのお尋ねでございますが、まず、産直についてでございますが、産直につきましては、地場農産物の新鮮なこと、それから生産者との顔の見える関係、こうしたことが消費者に評価されておりまして、近年、その施設の設置数・販売額ともにふえてきておるところでございます。
 有人の産直施設の数については、平成10年で231施設だったものが、平成13年度は281施設、50施設ふえておるという状況にございます。
 また、アンケートをしてみますと、回答者の9割以上の方が産直施設を利用しているといった結果も出ておりまして、また、さらに産直におきましては、こうした販売だけにとどまらず、産直まつりとか、食文化の交流といったことも提供されておるという実態にございます。
 こうした取り組みにつきましては、地産地消を推進する上で極めて重要であると考えてございまして、県といたしましては、施設整備や産直セミナーの開催、それから、経営等の各分野の専門知識を持ちますアドバイザーの方々の派遣などを行っておるところでございまして、こうしたことで支援してまいりたいと考えてございます。
 また、学校給食の方でございますが、平成11年度の調査結果でございますが、学校給食におけます県産の米の使用率については100%、野菜については21%、その他、牛乳については100%、牛肉については60%と、いろいろこうした数字が上がってきておるわけでございまして、特にも米飯給食につきましては、週5日のうち大体3回ちょっとの割合で実施されているところでございます。
 県といたしましては、米、牛乳といったもののほかに、野菜とかの地産地消も学校給食で進めていただきたいという観点から、昨年11月に学校給食への県産農林水産物等の利用推進に係る取組の基本方向といったものを定めまして、関係者と一体となって取り組んできておるところでございます。
 こうしたことも踏まえまして、現在では各地域で地場産野菜等を学校給食で提供いたします地場食材給食の日といった取り組みも行われておりますほか、供給組織といったものも各地ででき始めておるところでございます。
 今後とも、こうした事例が県内に幅広く浸透するように努めてまいりたいと考えております。

〇小岩農業普及技術課長 一学校一農園運動推進事業についてでございますけれども、県といたしましては、この事業によりまして農業体験教育のモデルといたしまして、本年度は県内の小中学校30校で学校農園を設置いたしまして、インストラクターの派遣などを行いまして、水稲・野菜・果樹の栽培体験や成果の発表会、収穫感謝祭などを支援しているところでございます。
 さらに、岩手県の農業公社におきましても、担い手育成基金を活用した世代間交流促進事業によりまして、小中学校114校で学校農園の設置を支援しておりまして、その数が年々拡大してきているところでございます。
 平成13年度に実施いたしました県下の全小中学校を対象としたアンケート調査によりますと、学校農園を設置している学校は、小学校では85%に当たる383校、中学校では30%に当たる61校となっておりまして、全体では約7割の小中学校で学校農園が設置されてございます。
 また、平成14年度から、学校において総合学習の時間、あるいは週5日制が実施されることとなったことから、農林水産部といたしましても、平成14年4月に農林水産業体験学習支援要領を定めまして、各地方振興局農林水産担当部署を中心とした体制を整備しまして、児童生徒が行う食と農の理解を深める体験学習を支援しているところでございます。

〇佐々木農林水産部長 農林水産部におきます女性の管理職員の登用のことにつきましては、確かに、御指摘のとおり本庁ではこのようにおりませんし、出先でもまだまだ少ない状況にあるのが事実でございます。
 しかし、今ちょうど管理者の直前、中間管理者と申し上げさせていただきますけれども、非常にふえておりまして、そういう意味では後継者は十分に育ってきていると思っておりまして、今が過渡期だと思っておりますので、今後、人事に当たりましては十分意を酌ませていただきたいと思います。

〇及川幸子委員 2期目にこの席に立たせていただくときは、何割かの女性の幹部の方がいらっしゃることを心から御祈念しております。御答弁ありがとうございました。
 実は、農家のかあちゃんたちとよく話をするのですけれども、朝から夜遅くまでビニールハウスの中で花卉栽培をしている。やれやれ、出荷が終わってほっとしたときに、今度はその廃ビニールの部分で処理、それをずうっと並べて、一々水でブラシをかけて洗って、それから小さく切って、畳んで業者に渡す、それまでの作業が大変だということです。それも経費がとてもかかる。やはり夢のない農業だ、いつやめてもいいやというような意見が大変聞かれております。その辺のところも十分酌まれてこれからの施策に臨んでいただきたいと思って、終わります。

〇岩城明委員 農業関係で1点について質問させていただきます。
 ホウレンソウの生産振興についてお伺いいたしますが、近年、輸入野菜の増加あるいは消費の低迷による市場価格の低落傾向、あるいは農業者の高齢化の進行などから、本県の野菜生産が年々減少しております。私の住んでいる久慈地方では、気象条件を生かした園芸作物の振興に積極的に取り組んでいるところでございます。中でも、雨よけホウレンソウについては、ここが大事なんですが、ホウレンソウで食べられる農家の育成を目指し、生産者を初め、関係機関・団体が一丸となり生産振興に努めております。本年度においても、計画的なハウス導入により生産基盤が強化され、販売額が初めて10億円に達した昨年度を上回る生産量が確保されております。
 今後とも、生産農家の経営安定と一大産地としての基盤を維持、発展させるため、新たな担い手の確保に努めるとともに、意欲のある生産者に対し、なお一層の施策の充実強化が望まれると思うのでありますが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

〇中正農産園芸課長 雨よけホウレンソウの振興についてのお尋ねでございます。
 委員御案内のとおり、収益性が高くて、夏期冷涼な本県の気象にまさにぴったりした品目であるということで、今般の夏期の冷たい気象の中で野菜等の落ち込みが全般的になりましたが、ホウレンソウだけは100を超えている出荷量にあるということで健闘している状況にあると思っております。そうした意味で、今後ともこのホウレンソウというものを地域の条件に合った作物として積極的に拡大してまいりたいと思っております。
 今お伺いしたとおり、久慈市におきましては行政と団体が一体となりまして、しかも新規に入る人を公募によってやる、そして、そういうことで団地をつくっていこうという新たな動きが見られているところでございます。このような先進的な取り組みというものは、地域の農業の担い手育成、あるいはホウレンソウの生産拡大の新たな手法ということ、そしてまた新規就農の道を開くことになることで大いに注目しているところでございます。
 県といたしましては、久慈市のような取り組みを先進事例として、他地域への波及を図るとともに、ホウレンソウの産地拡大の核となる主業型農家を育成してまいりたいと考えておるところでございます。
 そのような中で、県単の担い手育成事業、あるいは今般、平成14年度やっておりますけれども、花と野菜の里づくり事業等を活用しながら、これからもどんどん進めてまいるというような考えでおります。

〇岩城明委員 中正課長、どうもありがとうございました。
 若干具体性に乏しいなという感想でございます。もう一度お聞きしますけれども、もう少し踏み込んだ施策を説明していただきたいんですが、お願いします。

〇中正農産園芸課長 岩城委員の厳しい御指摘でございますけれども、申し上げましたとおり、ホウレンソウにつきましては、本当に本県の野菜振興の核となる品目と理解、承知しておるところでございます。そして、地域地域の取り組みをこれからも積極的に進めていくという考え方でやってまいりたいと思っております。
 よろしくお願いしたいと思います。

〇岩城明委員 私も、正直に言うと農協の理事をしているものですから、具体的な話をお聞きしたかったんですが、何かするっと逃げられた感じです。いずれ、今回は決算ですので、来年の2月予算まで時間がありますから、それまでに具体化して、再度質問しますので、よろしくお願いします。

〇佐々木大和委員 畜産振興費、家畜保健衛生費にかかわる質問をさせていただきます。
 先ほど来お話のとおり、BSE問題発生以来、県当局は大変な努力をされまして、まず、ここでおさまりを見せているという状況かと思います。前段にはO-157の問題と続いてきておりまして、本当に大変だったろうと思いますが、最近やっと市場価格も回復していると伺っているところでございます。また、報道によれば、松阪牛などは5、000万円という値段が出たということで、少し活気が出たのかなという感じであります。県内の畜産業界も、早くそういうように元気を出していっていただきたいと思います。
 そこで、BSE後の本県の乳牛、肉牛等の飼育農家数、飼育頭数の動向がどうなっているかお伺いいたしたいと思います。
 それから、BSEについては原因究明の状況、さらには予防対策の取り組み等についてもお話をいただければと思います。

〇馬場畜産課長 ただいまはBSE後の県内のいわゆる大家畜農家の戸数なり、あるいは頭数の動きというお尋ねでございましたけれども、私どもの頭数の把握は、毎年2月1日現在で農林水産省から公表されますデータで時系列に押さえるということでございます。
 ことしの2月現在、私どもは相当頭数が減るのではないかと懸念したわけでございますが、間違いなく例年、例えば頭数にしましても1、000頭以上減るという動きがここ参ってきているわけでございまして、例えば、肉牛でも減る状態が続いていたわけでございます。しかし、統計上からしますと、結果的に、例えば肉用牛については出荷繰り延べがあったこと、あるいは乳牛につきましては、廃用牛の出荷停滞ということがあったこと、そういったことからしますと、結果として、数字については従来からの落ち込みという形ではあらわれていない。減ってはいるんですけれども、減り方の下げ幅がとまっているといいますか、そういう結果になっております。
 ちょうど2月1日現在の頭数ということになりますと、県内で、乳用牛でありますと6万頭、肉牛になりますと11万5、000頭、農家戸数でいきますと、乳牛が1、940戸、肉牛になりますと1万1、100戸という数字になっているのが現状でございます。
 BSE対策についてでございますが、ちょうど今現在、国内では5頭が発生しているわけでございますが、現場の中におきましては、いわゆる常時、まさに生産現場の各農家に巡回指導して家畜の異常の有無といったことを点検しております。あとは、実際家畜保健衛生所の方では、今現在は、何らかの異常、すべての牛ということではないわけでございますが、ある一定の症状を呈する牛ということになりますが、そういった牛を対象として、それからもう一つ、今現在やっておりますのは、たまたま今まで発生した乳用牛につきましては、BSEの患畜は98年3、4月生まれということが共通しているということがございます。そういうことからしますと、そういう牛を飼養している酪農家の方々の協力をいただきまして、ちょうど更新ということに当たった時期等におきましては、家畜保健衛生所の方でいわゆるBSE検査をする。そういう生産現場としてできる限りの体制を組むという現在でございます。

〇佐々木大和委員 頭数の動きはそれほどないということでありますけれども、今課長のおっしゃるとおり、まさにそこにはいろいろな意味も含まれるようであります。いずれ、今の体制の中で、消費者に対しては食の安全というのがそのことによってかなり強くあられわるようになりまして、その対策というのは県でもいろいろとられているようでございます。例えば地産地消も、あるいはスローフードも、そういう形での一つの成果だろうと思われます。
 そういう中で、今、家畜保健衛生所の関係が県内三つのエリアに分けられて3カ所になったわけですが、特にそういう中で宮古の方がなくなりました。そういう形で進んできているわけですが、家畜保健衛生所の一つの業務の中に、病気の対策だけではなくて、言うなれば畜産振興のために健康な牛をしっかり管理していく、そして畜産農家を指導していくという役も当然あると思うわけです。
 そういう中で、実は、先ほどの統計で数字が示されましたが、特にも、これは平成14年2月ですけれども、宮古地方振興局管内、沿岸の中の宮古の部分の統計が出ております。これは平成12年までしか出ておりませんが、農業粗生産額が平成元年と比較しまして20%以上このエリアは落ちている、そういう環境になっております。特にも耕種部門と畜産部門を比較してみますと、畜産部門の方がここは特に多いところですね。そして、そこの中でも7市町村のうちの4市町村、山田町、岩泉町、田野畑村、川井村ですか、この部分は畜産の方がかなり多い、七、八割が畜産というエリアにもなっています。
 そうやってみてみますと、先ほど申し上げました家畜保健衛生所の関係なんですけれども、やはり家畜保健衛生所の充実をしていって、生産者の方に目を向けた振興策というのがもっとあるべきではないかという感じがしたわけです。家畜保健衛生所がこれまで整理されてきて、専門分野が中心でしょうけれども、そういう形になってきましたが、地域における大家畜に対する対応の仕方として、これからの家畜保健衛生所の役割、先ほど申しましたようなことが含まれると思いますが、その部分に対して今後どう取り組んでいかれるのかお伺いします。

〇馬場畜産課長 家畜保健衛生所についてのお尋ねでございました。
 最近、本県も畜産経営の規模がだんだん拡大してきております。そういったことによりまして、当然、いわゆる病気といいますか家畜疾病の発生の仕方も複雑になっているという状況でございます。
 それからもう一つ、ここ最近の中で大きな動きは、いずれ前段から心配されていたことではあったんですが、いずれ平成12年に日本に口蹄疫が94年ぶりに発生したということが現実にあったわけでございます。そういったこと、それからまた昨年のBSEということで、ことしはたしか韓国でも口蹄疫が大発生したということがあったりということで、いわゆる海外の悪性伝染病の侵入機会がどんどんふえてきているということがございます。
 そういった状況の中で家畜衛生の対策をきちんと講じていくためには、いわゆる大家畜、中小家畜という畜種別の専門性をきちんと敷いていく必要がある。それから、病気が複雑になっていますので、病性鑑定技術というような体制も充実する必要があるということ、それから、何か事があったときの防疫措置というものの機動性を向上する必要がある。そういう観点からしますと、従来の小規模の、5人ぐらいの公所だったわけでございますが、そういった公所ではとても対応できないということがありまして、平成10年から整備を進めてきたということでございます。
 今現在、県北地域の整備を進めているわけですが、いずれ平成10年にちょうどその中心部といいますか、宮古家畜保健衛生所も盛岡家畜保健衛生所に統合したという経緯があります。ただ、どうしても宮古地域は盛岡沿線からしますとやっぱり距離があるということもありまして、その際には、宮古地方振興局畜産課の中に獣医師を2名配置する、それから、いわゆる地方振興局の中に検査室、決して高度な検査ができるようなことではないんですけれども、緊急の検査もできる体制をとってございます。そういったことで、日常の中での地域の方々に御不便をかけない対応ができるような体制をとっている。
 そして、先ほど来申し上げましたように、かなり高度ということになりますと、どうしても中央の方で最終的な確定の診断をすることが必要になってまいりますので、そういった横の連携が常にとれるような形を常時保っていくという形で対応していきたいと思っているところでございます。

〇佐々木大和委員 地方振興局の中に検査室を設けていただいたということは、地域にとって非常にいいことだと思います。一部現場で言われたことは、例えば尿毒症になったときに、その尿毒症の牛を検査して対応していくのに、その結論を出すのに時間がかかる。盛岡まで持ってくると、途中でなくなってしまう。そうなるともう一切戻せない、捨てるだけだということになるので、大きな負担が畜産家にかかっているという問題があります。
 また、肥料の成分検査、この辺には大分期待しているようでして、これまでも家畜衛生保健所などで相談しても非常によかったということなんですが、幸い検査室も設けてあるそうですので、ぜひその辺を広めていただいて、肥育の段階での、いい牛をつくるためにはいいえさをやらなければならないということで、随分敏感になってそのことを調べているようですが、人が対象の保健所ではそこまでやってもらうわけにいかないというので困っているようですので、そういう対応を今後していただくように要望しておきたいと思います。

〇川村農夫委員 それでは、土地改良費、農地防災費に関連してお伺いします。
 最初に、国営のかんがい排水事業や農地開発事業については国の負担率も高く、これまで本県の主要な農業地帯において大規模な施設の造成や広域にわたる農業生産基盤を集中的に整備する上で有効な事業であったと認識しておりますが、事業が完了すれば、大方の地区では、当然のことながら事業負担金の償還が始まります。それは、今日のような財政状況あるいは農業情勢では、少なからず苦しいものになっていると思います。
 そこでお伺いしますが、国営土地改良事業等にかかわる今後の国の負担金償還額は現段階でどの程度になる見通しでしょうか。こうした事情は市町村、農家とも同様であると思いますが、これらの償還軽減対策はどのように講じられているのかお尋ねいたします。
 次に、本年の台風6号では県内の農地や農業用施設も100億円を超す被害を受け、現在復旧に向けた作業を進めているようでありますが、台風6号の際には、県内のこうしたポンプはフル運転したと聞いており、本県の穀倉地帯である北上川流域においても、湛水防除事業により設置されたポンプの効果はかなりのものと期待しております。こうしたポンプ場は県内にどの程度設置されているのか、主な地域ごとに示していただきたいと思います。
 また、災害の未然防止のため、このような防災事業はできるだけ急いで進める必要があると思いますが、公共事業関係の予算が縮減される中で、県はこの事業をどのように進めていこうとされているのかお尋ねいたします。
 まず2点。

〇芦総合国営対策監 国営土地改良事務にかかわる県の負担金償還額についてのお尋ねでございますが、平成14年度以降の償還対象となっている地区は全部で16地区ございまして、総償還額は439億円となってございます。平成14年の年償還額は33億4、800万円余となる見込みでございます。
 次に、市町村、それから農家の償還軽減対策についてでありますが、市町村負担分にあっては、平成14年度から一括繰り上げ償還に係る起債充当が認められたことから、山王海地区、猿ケ石地区において、負担軽減のためにこれらを活用した繰り上げ償還がなされたところでございます。
 また、農家負担の償還対策にありましては、担い手農家の育成を条件として償還利息を助成する担い手育成支援事業や、年償還額のピークを低減するための平準化事業を実施しているところでございます。

〇川邊農村建設課長 湛水防除事業で設置されたポンプ場の状況でございますが、北上川沿いに北上市1カ所、水沢市1カ所、前沢町4カ所、また、夏川及び金流川沿いの花泉町に2カ所の合計8カ所となっております。
 次に、事業の進め方についてでございますが、厳しい財政状況の中ではありますが、被害実態など地域の実情を勘案しながら、必要性とか緊急性を十分検討の上、現在、平成22年度を目標年次としました県の総合計画に登載されています残り2カ所につきまして実施しているところでございます。

〇川村農夫委員 台風6号の被害状況も踏まえた上で、その残り2カ所というものの見直しもなされる御予定があるのか、補完的に質問いたします。
 あと、次の質問も一括してやります。
 農林水産部長にお尋ねしたいんですが、平成13年度産の国産米10アール当たりの生産費でありますが、全国の平均値で申しますと生産費が10アール当たり全国平均15万8、053円、岩手県の10アール当たりの生産費は16万9、078円、ここで岩手県において生産費が1万1、000円高いという数値が出されました。そして、所得に行きますと、全国平均が10アール当たり4万3、887円、岩手県の所得は3万5、569円、結局、生産費が1万1、000円高くて、その影響もあって所得が全国平均に比べて8、200円低い。こういう実態があるということは、食料供給基地いわてを標榜する岩手の農業が、どうして全国平均に大きな隔たりを持った実態なのかということが非常に問題になると思いますし、こういった不利な状況が今後何年続いていって国の平均的な値に到達できるのかといったところ、あるいは国の平均よりもさらに所得が上がるような方向を見出すことが非常に大事だと思うのであります。
 ですから、今現在のこの生産費が高くついているという要因をどのように分析されておるのか、その将来に向けた取り組み方についても、これは農業立県いわてとして重要な点であると思いますので、できるだけ具体的に御説明いただきたいと思います。

〇川邊農村建設課長 湛水防除事業の計画の見直しということなんですが、とりあえず県の総合計画は、今のところ変更する予定は具体的にございませんので、それについてはちょっと難しいのですが、実際、今各市町村の方から毎年5年を限定して管理計画をつくっていただきまして、その中で新規希望というのが出てくる場合もございます。もし仮にそういうのがあった場合には、財政的には非常に厳しいのですが、その中で総合的に緊急性等を勘案しながら、必要性がもしあれば、上位の方にランクしながら採択していかなければならないと考えております。

〇佐々木農林水産部長 米の生産費についてでございますが、数字も含めて、委員御指摘のとおりでございまして、本県は全国よりも高い状況になっております。
 その要因はいろいろあろうと思いますけれども、大きく一つだけ申し上げますと、1戸当たりの経営活動規模が小さいということに尽きると思っております。そういう意味で農地の利用集積を進めているわけでございますが、いずれ他県よりも本県の経費が余計かかっている、その中でも機械費の割合が大きいということでございます。いずれ農業も機械化の時代でございますので、昔のように手刈りに戻れという話にはならないわけでございますので、機械化は機械化で進めなければならないわけですが、機械化を進める以上、やっぱり機械に投資する効果が出るような経営規模でなければならないということでございます。
 一つの例を申し上げますと、生産調整の話があったわけですが、生産調整は昭和46年から本格的に始まって30年経過するわけですが、稲作で30年前の昭和46年の所得と今の所得を比べてみると全然上がっていない。米価は、最近下がっているとはいうものの、当時からすれば2倍に上がっていますけれども、所得は一向に変わっていない。それは、とりもなおさず経費、特にも機械費がかかっているということでございまして、これを逆に申し上げますと、農地の利用集積をもっともっと進めていかなければならない。そもそもの経営活動規模が小さいことにあわせまして、農地の利用集積が進んでいないということに尽きるだろうと思っております。そういう意味でも、先ほど来の新たな米政策大綱の中でも、構造政策を進めるという目標年次も定められたわけでございますが、本県におきましてはそれにも増して、今からでも、今まで以上に農地の利用集積というものに取り組んでまいらなければならないと思っております。

〇川村農夫委員 経営規模が小さい、農地利用集積を進めていくというところは私も感じるものではありますけれども、ただ、さっきお示ししたデータの中で、生産組織をつくっているところで全国と比較しても60キロ当たり生産費が、全国が1万4、000円に対して岩手県は1万8、900円と4、800円も高くついているのが実態なんですよ。ですから、ウエートは大きいとしても、経営規模拡大、農地利用集積ということが一番進んでいる生産組織においてもこういう差が出ているという部分を、そこに食い込んだときにはどういった要因が考えられるか、その辺もお聞かせいただきたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 個別の農家だけではなくて、生産組織にも違いがあるという話ですけれども、私は、その生産組織の平均をとってみても、本県の生産組織の規模が多分小さいのだろうと思います。
 それからもう一つは、やっぱり西南暖地、南の方に比べて、本県は冬期間を抱えているものですから、機械の稼働時間も稼働期間も一定期間に限られる。西南暖地、南の方であれば年じゅう使える、そういうハンディもあってそういうことになっていると思います。
 いずれにしても、コスト低減が重要な課題でありますので、これについても取り組んでまいります。

〇柳村岩見委員 私からは、家畜排せつ物法の施行に伴い、平成16年10月末日までに適正な処理の施設整備を進めなければならない、この件についてお尋ねいたします。
 先般の一般質問の答弁で、平成13年度末現在、対象農家4、100戸のうち約6割の農家で施設整備が行われたということであります。約6割ということで、約ということは外せない数字でありますが、2、450戸ほどの戸数が整備をされたということであります。
 実は、この整備過程においてBSEが発生いたしました。この影響は多大なものがあったんだろうと思います。残念なことでありますが、発生いたしました。よって、一方、平成16年10月末日までにということであります。大変な中ではありますが、まずもって平成13年度末という段階で60%というこの数字、この御認識、どのようにこの60%をとらえておられるかということ。
 それから、例えば岩手郡町村議会より、こぞってこの法律の経過措置の延長を求める要望が強く出されるところであります。そうしますと、この整備状況は地域にばらつきがあるのか、岩手郡はどうなっているのだろうということについてまずお尋ねいたします。

〇馬場畜産課長 家畜排せつ物処理施設の整備状況ということのお尋ねでございますが、御承知のとおり、家畜排せつ物法が施行されてから5年間の施設整備の猶予というものが設けられておりまして、ちょうどその後半に入るということで、本年7月でございますけれども、地方振興局一斉にその実態調査をしたところでございます。その結果で、対象になる農家の中の約6割のところで整備されて、残り4割、1、650戸が何らかの措置をしなければならないというところでございました。
 現実に、委員おっしゃったとおりBSEが発生したということで投資を見合わせるということがありますし、それから、様子見をするといいますか、そういった方々も現実にあるということでございますので、その1、650戸というのはまだまだ多い数字といいますか、そういった意味ではまだまだおくれているという見方をしているところでございます。
 岩手郡の中での状況ということでございますけれども、やはり、岩手郡は県内でも有数な畜産地帯ということで、特に酪農家が多いわけでございます。そういったことで、今全体の中で、処理施設の整備の中でトータルから見ますと、中小家畜というのはそれがなければ全然そこで経営できないということがそもそもございますから、そういう面では手がけるのが早いわけでございますけれども、そういう意味では酪農家がおくれているという傾向でございます。そういった意味で、岩手郡の中での整備はその調査時点では3割ぐらいということで、今年度何とか45%ぐらいになるのかなという見込みを立てているところでございます。

〇柳村岩見委員 約という言葉をつけてもつけなくてもあと1、650戸ということで、これは平成13年度末の話でありまして、平成14年度も進行中なわけであります。
 岩手郡の状況を今聞きました。いずれその1、650戸、特にも岩手郡がそういう数値にある、これは岩手郡が1、650戸ではないですよ、30%あるいは35%ということですが、この対応につきましては、やはりあと20カ月と言えるのかなと。平成16年10月末日ということになりますと、少し大ざっぱかもしれませんが約20カ月ということであります。この間に整備されなければならない。この対応策についてお尋ねしておかなければならないと思います。
 もう一つ、農業団体で村単事業がたまたまこの制度にあって、それを活用してやりましたというケース、あるいは国庫補助金の導入を図って整備いたしましたというケースに、その施設の建設見積もりにかなりの差がある。例えば、簡単に言いますと、そんなに立派な建物じゃなくても用は足りるのだと。雪が降る、氷点下に下がる、こういう状況の中でも、そんなに見積もりの高い立派なものでなくたって十分間に合うのだと。その裏にあるのは、この補助金額で例えば3戸の農家がそれをやりました。この全体で4戸できないのかという発想をする農業団体があります。県では国庫補助に対しまして、国の施設の見積もりというものにこんなに高い必要はないという話をどのようにこれからされるのかどうか、制度上難しいところがあると思いますが、そういう声があります。要するに、単独あるいはまた県と市町村といったケースの中だけでやる場合だと、恐らくそんな立派なものの見積もりではなくて、割と自己資金も少なくて整備が進んでいくということがありまして、そういう悲鳴を上げる農業団体もあるわけです。その二つの対応策と、実は現実に国の建物の見積もりについて県がどうのこうのと、もっと簡易で十分できるのだなんて話はいきなりできません、できる、いろいろな議論があると思いますが、その2点についてお尋ねします。

〇馬場畜産課長 残された期間での整備についてでございますけれども、ちょうど7月に行った調査の際には、それぞれの農家がどういったお考えを持っているかもあわせて調査してございます。したがって、農家の方々それぞれが、言ってみますと補助事業、これは国、県、今お話ございましたように市町村単独事業もございます。そういった事業のどれを活用されるのか、それからリース事業もございますし、制度資金がございます、中には、ちょっとした整備であれば自己資金ということもある、いろいろ選択肢があると思いますので、そういった選択の中でどのような手段で整備をされるのかお聞きしてございます。したがって、そういう農家の皆さんの意向に沿った整備がなされるように支援しまして、期限までに計画的な整備を進めてまいりたいと思っているところでございます。
 それから、施設の建設コストのお話がございました。一般的に整備が必要な場合は堆肥舎ということになるわけでございます。堆肥センターとかという大がかりなものは全く別でございまして、堆肥舎ということになるわけでございますが、現実に国庫補助事業と県単、あるいは村単ということになりますと、私どもの調査の中でもコストに差がございます。ただ、なぜそうなるかということになりますと、どうしても国庫事業ということになりますと公共事業がベースになるわけでございます。例えば、私どものやっております県営畜産環境整備事業というような公共事業ということになりますと、堆肥舎ということになると、これは建築になります。そうしますと国土交通省の方の積算基準ということで、いわゆる公共事業は透明性といいますか公平性を確保するという観点から設計基準を設けているわけでございます。そういうことで積算するということ、またそれをもとに、岩手県としての基準をつくっている。それを活用して公共事業をやっているわけでございます。そういう面で、それに照らし合わせた結果としてそういう単価になるということでございます。
 一方、村単だとか市町村単独、あるいは県もですが、そういう基準が必ずしも適用されるものではないということで、結果としてそういうところになってきていると思っております。
 それにしても、国庫事業はどうしても高くなるというような指摘があるわけでございまして、国自体も低コスト化ということでガイドラインを示したり、工法の方で、いわゆる堆肥舎の屋根の構造をもう少し安くするようなガイドラインを示すとか、そういうことで建設コストを下げるようなものが示されているところでございます。ただ、どうしても積算の仕方に差が出てきているものですから、結果としてコストの差が出ているというのが現実でございます。

〇工藤大輔副委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔に願います。

〇柳村岩見委員 御丁寧な御答弁をいただきました。法のもとに義務づけが行われて整備が進行している中にBSEが起きました。まことに農林水産部といいますか、担当課、あるいは部長も大変だったと思います。しかし、畜産農家もまたそれ以上に大変なわけであります。法律は猶予期間がどんどん短くなっていきます。部長に最後にこのことにつきまして御決意をお聞かせいただいておきたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 家畜排せつ物の処理についてでございますが、私どものところにもこういうBSEの発生という異常事態を受けて、ぜひ期限を延長してほしいという要望があることは十分承知しているところでございます。しかし、私どもとしても国にも強く要望しているところでございますが、環境の問題は環境の問題として別に考えていただきたいというような話もありますので、生産者の皆さんには何とか御理解いただいて、そして、県としても支援すべきは支援しながら、期限内に整備を進めてもらうべく取り組んでまいりたいと思っております。

〇樋下正信委員 私からは、土地改良費のところで、農業集落排水事業のところでお聞きしたいと思います。
 29日の一般質問でも下水関係で質問させていただいたわけでございますけれども、平成13年度には東和町において公共下水道と農業集落排水との接続による処理場の共同化に着手するなど、県としても庁内関係部局と調整を図りながら経費節減に努めているところでございます。その中で、平成12年度に比べて3.9ポイント伸びて、全体的には53.2%の整備になっているというお話でございましたけれども、これにはまことにありがたく敬意を表するわけでございます。
 しかし、実は私の住んでいる地域の例をとってお話をさせていただきたいと思いますけれども、私のところは農家地帯といいますか農業集落排水のところでございますが、幸いにして私のところは下水道が整備されているんですけれども、高速道路を1本挾んで、同じ農村地域になるわけでございますが、いまだに下水道が整備されないということであります。ここは市街化都市下水道事業の方で整備するということでございますが、ただ、ここは市街化調整区域と農振法がかかっておりまして、網が二重にもかかっておりましてなかなか整備が進まないという状況下でございます。いずれ、午前にも菊池勲委員からも質問がありましたけれども、増田知事も環境首都を目指そうというようなお話もされておるわけでございます。県民等しくこの下水環境には恩恵を受けるべきではないかと私は思っております。
 そこで、平成13年度といたしまして、この農業集落排水の事業費がどのように活用されているか、そしてまた、1本道路を挾んで、片や入っている、片や入っていないということで、ちょっとつなげば入るような地域もございます。その辺の今後の見通しなども踏まえて、どのような予算反映なり今後の見通しについてお伺いさせていただきたいと思います。

〇川邊農村建設課長 まず先に、整備がおくれております公共下水道事業にかえまして農業集落排水事業でできないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、汚水処理施設の整備につきましては、整備対象地域におけます対象人口とか土地利用計画を踏まえまして市町村が策定しております汚水処理実施計画がございます。それに基づいて推進しているところでございます。
 この汚水処理実施計画の策定に当たりまして、農業振興地域につきましては農業集落排水事業で、また都市計画区域につきましては公共下水道事業、それぞれ分担してやることが基本となっております。
 お尋ねのような利用区域が重複している地域につきましては、公共下水道事業で整備するということでなっておりますので、御理解を賜りたいと思っております。
 それから、集落排水事業等の推進等についてですが、先ほど来、農業の整備事業も含めて公共事業の予算が非常に厳しくなっていることでございます。そういう中でも、農業集落排水事業を重点事業と位置づけまして、厳しいながらも平均の予算よりも多くつけて推進しようとやっているところであります。そういうことで、全県域汚水処理実施計画等の目標が定められてございますので、それによって達成できるように頑張って事業を実施していきたいと考えているところでございます。よろしくお願いします。

〇樋下正信委員 その辺のところは、都市下水道事業と農村の下水道事業でやるというのはわかってはいるんですけれども、ただ、先ほども言いましたが、東和町ですか、平成13年度は公共下水道事業と農業集落排水事業が共同でやっているということもあるんですが、道路1本挾んで、片や入っている、片や入っていない。そういうことで、行政の縦割りでなかなかできないんですよと説明はするんですけれども、未整備の方々にすれば、そんなことはどうでもいいんですよ。とにかく早く入れてほしいと。元気なうちに文化的な生活をしたい、片や文化的な生活をしていないということで、そういう意味では、地元の方といいますか、入っていない方から言われる願いはわかるんです。ですから、その辺をもう少し考えていただいて、何とか実現していただくようによろしくお願いしたいと思います。

〇前田隆雄委員 農業実践者または農家を代表する立場として、農・林・畜産問題について質問させていただきます。
 1点目は、ページ数で178から179ページの6目農作物対策費についてでございます。
 農林水産省は今月3日、米に関する政策を抜本的に見直す指針として米政策改革大綱を策定、2008年度までに移行すると発表いたしました。そのような中にあって、現在の減反制度は水田農業経営確立助成事業、いわゆる水田を利用しての麦・大豆、飼料作物の生産に対して助成することと、とも補償制度をもって平成12年度から16年度までの計画として推進するとしておりましたが、平成15年度をもって廃止になるのではという憶測が農家の間に広まっております。県としては、このことをどのように把握しておられるのでしょうか。
 次に、昨年、平成13年度の96万ヘクタールの減反に5万ヘクタール上乗せして101万ヘクタールの減反が規模最大と言われました。農水省は、来年度は、03年産米の減反面積を本年より5万ヘクタールふやし、過去最大規模の106万ヘクタールとすることを正式決定したとしております。5万、5万という数値で増加していますが、5万ヘクタールふえるということは、本県では約2、000ヘクタール程度ふえるのかと思われますが、県としてはどのように対応されるのでしょうか。
 3点目でございます。県は、農業振興を図る上で、地産地消を初めとした、生産者と消費者双方にメリットがある流通システムの向上を図る必要があるとしておりますが、地産地消を具体的にどのようなプログラムで推進しようとしているのか、まず伺いたいと思います。

〇佐々木水田農業推進監 生産調整に関連して2点。まず、第1点目の水田農業経営確立助成がどうなるのかということでございますが、現在の助成制度は、経営確立助成と、とも補償の二本柱になってございます。今般決定されました米政策改革大綱において、平成16年度からは、地域の多様な取り組みにこたえられる新たな発想のもと、全国一律の方式を転換し、地域の主体性を重視した水田の産地づくりを進めるため、新たに創設される産地づくり推進交付金に移行するものとされてございます。したがいまして、経営確立助成につきましては、平成15年度までは現行の制度が継続されることになりますが、先ほど御説明申し上げましたように、平成16年度からは新たな制度である産地づくり推進交付金に移行されることになります。
 もう一つの柱でございますとも補償につきましては、実は、平成15年度において交付基準の一部が見直されるとなってございます。その内容につきましては、いわゆるばら転のものに対する助成水準が引き下げられます。さらには、調整水田、いわゆる水張り水田につきましても助成水準を引き下げるという一部見直しがございますが、団地化された麦、大豆等につきましては現行と同様でございます。さらに、平成16年度以降につきましては、全国的なとも補償制度は廃止することとされてございます。
 次に、15年産の生産調整目標についてでございますが、全国5万ヘクタール増ということで、実は昨日、本県に配分がございまして、その数字は1、793ヘクタールの増となってございます。
 全国的に米消費の構造変化に伴いまして米需要が大幅に減少しているということで、そのことにつきましては、直近のデータですと、年間25万トン、単収500キロといたしましても5万ヘクタールに相当する減少量になるわけでございます。このような状況を踏まえて決定されたものとされておりますが、既に限界感が高まっている中で、なおかつ、これまで本県におきましては着実に目標を達成してきたわけでございまして、農家の心情を思いますと非常に厳しいものがあると受けとめてございます。
 1、793という数字の持つ意味でございますが、目標面積は5.4%の増でございます。本年の実施状況を見ますと達成率が101.8ということで、実は、100から超している分が1.8ございます。これは超過達成と言っているわけですけれども、この数字が約600。それから、農業団体が主体となって豊作時の過剰対策ということで当初から転作に取り組んでおるのが700ちょっとということで、これを足しても1、300ということから考えますれば、非常に厳しいものと受けとめてございます。
 麦につきましてはもう既に播種されておるわけでございまして、麦につきましては収穫年にカウントされるわけでございまして、今まかれている麦につきましては平成15年の生産調整実績ということでカウントされます。県内で着実に団地化されているようでございますが、この辺を取り込みましてもさらに厳しいものがあると思ってございます。
 県といたしましては、生産調整の減収部分を何とか補てんするという観点に立ちまして、野菜、花卉等の耕種作物の導入拡大、あるいは大豆の団地化、それから地域振興作物の産地づくりを一層推進して、収益性が高くて効率的な水田農業の確立に努めてまいりたいと考えております。

〇得田流通課長 地産地消についてでございますが、地産地消につきましては、委員御指摘のとおり、生産者と消費者の顔の見える関係、こうしたよい関係をつくること、回復すること、そういった観点で大変重要なものでございまして、運動の中におきましては、いわて食財の日の設定や、学校給食、食品産業における県産農林水産物の利用拡大、それから食生活指針の普及定着、こういった四つの事項に重点的に取り組んでおるところでございます。
 具体的に申しますと、食財の日につきましては、毎月第4土曜日の前後3日間を設定しておりまして、いわて牛キャンペーンなどの特別イベントを実施しておりますほか、量販店やレストランなどで県産品コーナーの設置等をやっていただいて運動の機運を盛り上げていただいておるところでございますし、また、学校給食や食品産業におきます県産食品の利用拡大につきましては、給食の栄養士の方々、それから外食事業者の方々、調理師の方々、こうした方々に生産地に行っていただきまして生産者とじかに交流していただくとか研修会を開催するといったこと、それから、県産食材メニューを使いました料理コンクールの開催、こうしたことを実施しております。また、食生活支援普及ボランティアによります料理講習会なども実施しておりまして、引き続きこうした取り組みを進めまして地産地消の取組運動のすそ野の拡大に努めてまいりたいと考えております。

〇前田隆雄委員 この減反政策についてですけれども、今、平成13年度決算の最中ですが、当初の計画は平成12年度から16年度、そういう中で、平成15年度で廃止になって平成16年度からは産地づくり推進交付金ということですから、このことに関してはわかりました。2月の定例会で再度詳しく伺いたいと思います。
 このことは部長に伺いたいと思います。
 国産の麦、大豆は高くて売れないという言葉をよく耳にします。今までは、 つくるつくるの政策が先行していたように思われるんです。ただ、食料の安全・安心対策では、消費者と生産者の利害は一致するはずです。そういう中で、トレーサビリティー、アカウンタビリティーを重要視した中で政策的なマーケティングが今後必要になってくると思いますが、いかがですか。

〇佐々木農林水産部長 麦、大豆の対策、平成12年度から16年度までということで始まったわけでございますが、一応平成15年度で廃止、平成16年度からは産地づくり交付金という話があるわけですが、いずれにいたしましても、私どもとしては途中ではしごを外されては困るという認識でございますので、これら新たな交付金なりの中で従前どおりの対策が講じられるよう県としても要望してまいりたいと思っております。
 一方で、転作の麦、大豆を振興しているわけですが、輸入物と比べて、何といっても品質が落ちるという問題が指摘されているところでございます。均一でないという話もありますけれども、たんぱく成分などの面においてもいろいろ要請があるわけでございまして、これから麦、大豆につきましても、面積の拡大とあわせて品質という面にさらに力点を置いて取り組んでまいらなければならない。そうした品質のいいものをつくりながら、地産地消という取り組みを通じて、できるだけ地域に取り入れていただくような取り組みをこれからもさらに進めてまいりたいと思っております。

〇前田隆雄委員 一つだけ質問に対して答弁が出ていないんですけれども、要請でも構いません。最後に言いましたトレーサビリティー、アカウンタビリティーを重要視した中で、すべての農産物においては政策的なマーケティングをしていくべきだと私は思うので、そういったところを今後考えていただきたいと思います。
 次に、190ページから191ページ、畜産業費4目家畜保健衛生費の中で、BSE問題に関して伺います。
 この間の一般質問だったと思うんですけれども、特定部位の処理費用1頭当たり1、700円の金額を生産者に負担させていると聞きましたが、本来、BSE問題というのは国の責任で果たすべきものであり、生産者に負担させるべきでないと私は考えているんですが、県としてはどのようにとらえますか。

〇得田流通課長 特定部位の処理費用につきましては、まさしく御指摘のとおり、BSEの発生に伴い生じたものでございますから、県といたしましては、これまでも本県独自に、また、北海道・東北知事会を通じまして、国に対しましてその費用を負担するよう要請してきたところでございます。

〇前田隆雄委員 このBSE、確かに今、価格は上がってきたとはいいますけれども、まだまだ尾は引いておりますので、これからもどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 最後になります。200ページから201ページ、林業費3目林業振興指導費の中で伺います。木質バイオマスについてでございます。代表質問でも触れられておりましたが、さらに一歩踏み込んで質問したいと思います。
 内容的には、これまでどのような推進をしてきたのか、今後どのように推進していこうとしているのかということになりますけれども、まず1点目が、本当に使えるように、具体的な実証的な利用を推進しているところはあるのかというのが1点。
 そして2点目、その成果はどのようになっているのでしょうか。
 3点目、ペレット化は化石燃料と比べコストが高いという声を聞きますけれども、実質的につくっているところが現在あるのか、さらに、具体的な動きはあるのでしょうか。
 4点目、林業振興の面からも新エネルギー推進の面からもこれから推進しなければならないものだと思いますが、県としては今後どのように考えているのでしょうか。

〇千田林業振興課長 木質バイオマスの利用推進についてでございますが、まず、第1点の、これまで実証的に取り組んできた事例の中で、実際に有効的に動いているところはどこかということと、それから、その成果ということでございます。
 まず、これまで取り組んできている中では、林業技術センターにペレットストーブを導入いたしました。これは外国製のペレットストーブでございますが、外国製のペレットストーブは、木質を使ったペレットでございます。ところが、今、本県でつくっておりますのはバークを素材に利用したペレットでございますので、その辺の違いによる燃焼の状況を調査しておりまして、やはりバークの場合はガラス質が非常に多いということで、外国製のものをそのまま使うと非常に――故障するということではないんですが――使いにくい面もあるということがわかっております。それから、沢内村に小型のチップボイラーを入れてございますし、それから、住田町の世田米保育所にはペレットボイラーを入れてございます。これらはいずれもことしの春先に入れたものですから、その辺の調査を兼ねまして現在運転しているところでございますので、具体的な成果はこれからになるのではないかと考えているところでございます。
 それから、ペレットの関係でございますが、現在、葛巻町にペレット工場がございまして、そこの工場が稼動しておりますが、全国にもまだ数カ所程度しかございません。ここ一、二年でやはり木質バイオマスという形でつくり始めている県もございますが、そういうこともございまして、ペレットを生産している工場というのはまだ余りない。ただ、本県は、葛巻町で生産しているペレットは1、000トン前後だと思うんですが、県内に限らず県外にも出しております。葛巻町の場合はバークを使ったペレットでございますが、住田町におきまして、杉を使ったペレットを使って燃焼させることはできないかということでことし実証試験をしましたけれども、来年度以降、製造施設の整備を検討していると聞いているところでございます。
 それから、今後どのように推進しようとしているかということでございますが、県といたしましては、これまでの利用施設あるいはペレット製造施設の整備を進めるため、国庫補助事業等を活用いたしまして、できるだけ支援を行ってまいりたいと考えております。
 それから、例えば岩手型のペレットストーブ今開発しているところでございますけれどもに加えまして、製材工場の乾燥施設あるいは農業用ハウスの熱源利用等、できるだけ多方面で活用していただけるように、関係部局とも連携いたしまして総合的な利用推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

〇前田隆雄委員 林業振興という面からも大変必要なことかと思いますが、今後の成果に期待しながら終わらせていただきます。

〇伊沢昌弘委員 何点かお伺いしたいと思います。
 これまでもいろいろ御議論がございました。本県の農業は、これまで米、園芸、畜産を基盤として推進されてきているわけでありますけれども、食料供給基地を標榜する本県として、これらの主産物は大いに振興していかなければならないものだと思っているところでございます。しかし、一方で、量的には必ずしも多くありませんが、岩手らしさがにじみ出るような日本短角種であるとか雑穀とか蚕業・養蚕の関係の分野など、特徴ある分野にも力を入れていくべきではないかと私は考えているところでございます。
 以前にも決算特別委員会の中で養蚕について質問した経緯がございました。その後、県内の養蚕の状況はどのようになっているのか、まずお伺いしたいと思っております。
 また、県は、養蚕の今後の振興策をどのように考えているのか。研究機関では、この養蚕についての試験研究はもう縮小されてなくなっているのか、また、やっているのかという部分も含めて教えていただきたいと思っています。
 2点目は、雑穀でございますけれども、岩手県の農業動向年報を毎年いただいているわけでありますが、平成13年度分をこの間いただきました。この中で、何ぼ見ても雑穀のアワ、ヒエを含めて、どこにも何も書いていないということでお伺いするわけであります。
 現在、食品を取り巻く一連の不祥事があるわけですけれども、消費者の食に対する信頼感が揺らいでいるところであります。こういった中で、安全・安心に関する消費者の価値観が高まってきているのではないかと思うわけであります。こうした中で、ことし9月13日、14日、県では、一戸市を主会場に全国雑穀サミットを開催したと伺っています。本県における雑穀生産、加工、販売の取組状況とか、その食のすばらしさなどを全国に情報発信したと伺ってございます。こうした企画はまさに岩手でなければできない取り組みと思うわけでありまして、また、ふだん見かけることが少なくなったものに光を当てて大いに奨励すべきものと考えているところであります。こういった中で、現状における雑穀の生産状況はどうなっているのか教えていただきたいと思っています。
 あわせて、今後の雑穀振興について、どのように考えているのかお伺いしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 今後の養蚕、そして雑穀の振興についてでございますが、まず最初に、養蚕の状況について申し上げます。
 御案内のとおり、養蚕は、中国などからの安い絹製品の輸入、あるいは生産者の高齢化などによりまして――これは本県だけではなくて全国的な傾向でございますけれども――、農家、生産量とも減少を続けてきております。本県におきましても、以前には数万戸あったわけでございますが、最近急に減ってまいりまして平成10年では128戸になっておったものでございますけれども、さらに減少いたしまして平成14年は73戸となっております。生産量につきましても、平成10年の52トンから平成14年は21トンということで、養蚕につきましても極めて厳しい状況にあるわけでございます。いずれ73戸まで減少してきておりますので、何とかここで歯どめをかけなければならないと思っているところでございます。
 こうした中で、養蚕につきましては、中山間地域を中心に、複合経営の重要な部分として他にかえがたいとする農家もおりますので、こうした農家を中心に養蚕産地育成指導員の方々に活躍していただきまして、さらに振興に努めてまいりたいと思っております。それから、養蚕施設は冬場はあくわけでございますので、何とか冬期間に養蚕施設を利用して、例えば菌床キノコができないかとか、そういう複合的な組み合わせの中で養蚕農家の維持を図っていく必要があると思っているところでございます。
 最近、高級品としての需要が期待できる品種も出てきておりますし、繭生産につきましては、さらに高品質化を推進しながら、養蚕の振興につきまして一層努めてまいりたいと思っているところでございます。
 もう一点、雑穀の振興についてでございますが、農林水産は全体に生産が減っているわけでございますが、量的には少ないわけでございますけれども、雑穀生産だけはこれまで減少を続けてきたものが上昇に転じてきておりまして、平成13年は、ヒエ、アワ、キビの合計で申し上げますと、作付面積が149ヘクタール、生産量が271トンとなっております。これを平成10年と比べると56ヘクタールふえておりまして、生産拡大している数少ない品目でございます。
 本県の生産は、面積はこのとおりでございますけれども全国生産量の45%を占めておりまして、まさに第一の生産県になってきておるわけでございます。委員からお話がありましたように、近年の健康志向という追い風もございますので、例えば、短角牛もそうでありますけれども、総量は必ずしも多くないわけでございますが、全国をリードできる、岩手ならではのオンリーワン商品として何とか振興を図ってまいりたいということで、こういった雑穀のよさの情報発信なり、あるいは販売対策とあわせて、栽培管理機械、収穫機等の導入など、その生産拡大、対策とあわせて、収穫してそのままで売ると相当安い価格でしか売れませんけれども、殼を取って精白して売ると付加価値がついて高く売れますので、そういう取り組みもしていただきながら雑穀の振興に努めてまいりたいと思っております。

〇伊沢昌弘委員 年々同じようなスピードで減っているのかなということで、そこまで来たかとびっくりするわけですが、けさですか、県南の方の福祉作業所で毎年繭を使って来年のえとの人形をつくっていらっしゃると。これは、本来的には生糸をとるのが目的なんですけれども、そういった部分も含めて繭がなくなると大変だなという思いがしました。地元学を含めて、岩手県、いろいろなところで過去の文化ということでこれはあると思いますので、そういった分野をお願いしたいと思っています。
 また、雑穀については、めぐみフェアがございまして、多くのところで、各地方振興局の方からも、それぞれとられたもの、それを加工したもの等々を含めて私も産業文化センターで見せていただいたわけです。そういった分野での販路を広げる意味で、ぜひお願いをしたいと思っています。
 もう2点ほどお伺いしたいんですが、6款8目の林業技術センター費についてお伺いしたいと思います。
 林業技術センターにおける研究開発というのは、県民の森林、林業に関する多様なニーズにこたえるために三つほどの目標があると思うんですが、一つは、環境と調和する林業技術の開発、二つ目には、地域資源の有効利用技術の開発、三つ目は、優良品種・系統の開発と保存を推進目標として取り組んでいると聞いているわけであります。
 そこで、センターにかかわって、試験をやられてきた二つのことについてお伺いしたいと思っています。センターの報告の中に、キリのてんぐ巣病の関係について記載がございました。キリてんぐ巣病の被害が拡大して、センターの方でも、この間いろいろな研究をしてきたのではないかと思っています。ただ、防除することが大変難しいということで、全国的にもいろいろな研究センターがこのキリのてんぐ巣病を研究しているようでありますが、いまだに解決策がないようであります。そんな中で、岩手の林業技術センターでも、これまでやってこられた研究の部分を平成14年度で終了保留という形なんですけれどもするようであります。その理由と今後の対応について、キリを完全にあきらめたのかも含めて、どのようなお考えなのかお示しいただきたいと思っています。
 もう一点は、松くい虫対策であります。これは、研究機関のみならず、それぞれのところで防除帯を含めて頑張ってこられているわけですが、紫波地区のあたりまで北上してきたということもあるわけですが、前にセンターにお邪魔した際に、この松くい虫防除の新技術ということで、抵抗性を持つ苗とかを含めていろいろな研究をされていたことを見せていただきました。そこで、これまでの成果と、今後のこの新技術の見通し等について、これまでのところで結構ですので、お示しいただければと思います。

〇千田林業振興課長 キリのてんぐ巣病対策についてでございます。
 林業技術センターでは、昭和63年に、県内各地で発生しておりましたキリの枯損の被害調査を行いました。その結果、栽培面積の9割以上がてんぐ巣病等の被害を受けていることが明らかになっております。そこで、てんぐ巣病対策として、組織培養技術を活用して、病害に感染していない苗木を生産し、平成4年から岩泉町内で植栽試験を実施しておりました。その結果、寒冷地方に特徴的な病状――例えば芽の奇形とか、あるいは夏に落葉するとか――を確認したものの、一方では、組織培養苗も、やはり現地に持っていくと罹病することが明らかになったところでございます。
 さらに、媒介昆虫の一つと考えられておりますクサギカメムシの生態の調査を行ったところでございますが、近年、キリにつきましては、キリ材の価格が大幅に低迷するなど、本県におきましても、ここ数年新規植林がなくなってございます。このように、県内のキリを取り巻く状況が大きく変化してきているところでございます。そこで、平成14年度の林業技術センターの内部評価の実施におきまして、このような状況も踏まえまして、キリのてんぐ巣病の防除技術につきましては、今般、特定課題としての研究は終了することにしたものでございますが、今後は、通常研究の中で、これまでの成果を整理しつつ、他の研究機関の成果あるいは治験を活用して対応することにしたところでございます。
 また、キリにつきましては、キリの花が花卉としての利用の可能性もあるのではないかということで、今後は、このような新たな視点でのキリについての研究も進めてまいりたい、このように考えております。

〇佐々木松くい虫対策監 松くい虫防除の技術開発についてですけれども、まず、これまでの成果についてでありますが、本県の場合、松くい虫被害の発生環境が西日本と大きく異なって寒冷地方にあるわけでございますけれども、松くい虫防除技術にとって基本的なことであります松くい虫被害の病原体を媒介するマツノマダラカミキリの発生形態等を解明してきたところであります。この結果、感染を受けましたアカマツが当年だけでなく翌年にわたって発生することが明らかになり、被害木を適期に駆除できるようになったところであります。また、感染しましても、当年に枯損が顕在化しない、いわゆる潜在被害木の診断方法につきましても確立を図りまして、そのことによりまして徹底的な駆除の実施が可能になったところであります。
 さらに、被害発生に対する防除・予防対策とともに、松くい虫被害にかかりにくいアカマツ林を造成するために必要なアカマツ抵抗性品種を開発するため、抵抗性の高いクローンの選出や人工交配による品種の創出を進めてきておるところでありますが、このうち、抵抗性の高いクローンによる種子供給につきましては平成16年をめどに行うことになっておるところであります。
 今後の開発の方向でございますけれども、これまでの技術開発の成果等を踏まえまして、潜在被害木の診断精度を高めるための技術開発等を進めますとともに、交配による抵抗性新品種の創出を現在も進めておるわけでありますが、これらからの種子の供給を図ってまいりたいというところでございます。

〇伊沢昌弘委員 てんぐ巣病を含めて、キリは岩手県のシンボルの木としてやっているところが多分いっぱいあるので、将来的にはなくなるというのは大変だなという思いがします。議会の中にもキリの名前をつけたクラブもあるわけでありまして、特定ではなくても、ぜひ研究を続けていただければと思います。
 松くい虫、かなりの成果が出ているようでありますので、ぜひ続けていただいて、全体の松を守れるような体制をお願いしたいと思います。
 最後に1点、国有林事業の改革と林業振興の関係についてお伺いしたいと思います。
 平成11年の国有林野事業の抜本改革に伴って、組織再編がこの間進められてまいりました。現在、東北森林管理所盛岡分局の暫定的な組織として設置されておりまして、平成16年4月以降については、地域の事情を十分に踏まえながらそのあり方を検討するという形になっています。これは青森分局ということで全体の問題なわけですが、お伺いしたいのは、あわせて、県内の森林管理センターとか事務所として存在しております川井、雫石、一関、湯田管理センターとか管理所という名称なのでちょっとはっきりしませんけれども、この4カ所が同じように平成15年度末で廃止されるのではないかという計画になっているようであります。最終的には、県内には、安代、盛岡、水沢、宮古、大船渡、久慈、遠野と、7カ所の管理センターとか管理事務所ということで縮小される計画が打ち出されているところであります。県内の国有林管理と林業振興にとって県としても大きなかかわりがあるのではないかと思うわけであります。
 国有林の役割について、県としてはどのような認識を持っておられるのか。なくなった場合も問題はないのか、そういったところ、今後の状況を含めて御所見があればお伺いしたいと思うわけであります。なくなることによって、将来、大変広域な部分を……、先ほど申し上げた七つになってしまうと大変ではないかと私は思っているところでありますけれども、県として、将来このような形になったとすれば、どのような問題ができるのかお示しいただければと思います。

〇坂元林務局長 私の方からは、国有林の現在果たしている役割についての認識ということで答えさせていただきたいと思います。
 本県の森林面積の約3分の1は御存じのとおり国有林が占めている。そういう中で、国有林は奥羽山系とか北上山系を中心に存在しておりまして、当然、民有林と国有林は一体的に木材生産による林業の振興、また、県土保全、水源涵養等に対しまして大きな役割を果たしてきているところでございます。
 現在、国有林と民有林が連携しまして、奥羽山系、北上山系におきまして、緑の回廊の設定等による生態系の保全、また、北上高地におきます緑の復旧事業を現在進めているところでございます。現在、地球温暖化防止対策等いろいろな森林の多面的機能に対する要請が高まってきておりますので、今後とも、国有林として多面的機能の高度発揮を期待してまいりたいと考えております。

〇工藤大輔副委員長 今後の見通しとか、管理センター等が減っていく中で……、それについては何かございますか。

〇坂元林務局長 組織の問題につきましては国の方でいろいろ検討されておりますので、当県としましては、そういう機能の発揮を今後期待してまいりたいということで御答弁させていただきたいと思います。

〇伊沢昌弘委員 それはそのとおりなんですが、先ほど国有林の持つ理由というのが林務局長からお話があったんですが、岩手県の場合、管理所を含めて広大なところを七つも残るからいいんじゃないかというのか、なくなったところとの民有林なり県有林を含めて連携のあり方という分野で、例えば管理ができなくなったと。森林組合を含めて国有林が県の方に管理を委託するとか組合委託をするとか、例えばそういうことが出てくることも考えられると私は思うんです。そういったときに、受け入れ体制を含めて、広大な、今おっしゃったように県の中の3分の1が国有林ということであれば、膨大な分野の管理体制がかなり粗野になるんじゃないかという思いがするわけです。残せという運動をしていただきたいのはやまやまなんですけれども、そうではなくて、国有林が持っている趣旨は今お話しいただいた部分があるんですけれども、県として将来的にもきちっとした管理ができるように、これは要望していくのはそのとおりだと思いますし、県としてのかかわりがどのように出てくるのかということで、御検討したことがあるかどうかお伺いしたいと思うわけです。

〇坂元林務局長 森林のこういう多面的な機能が今後とも継続的に発揮されるよう、今後、県としてもいろいろ考えてまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 1次産業すべての分野をカバーしている農林水産部でありますので、多くの見地、広い見地から、いろいろな意味での1次産業振興に今後ともぜひ御努力をいただきたいと御要望申し上げて終わります。

〇斉藤信委員 私は、最初に、農林水産部の決算全体の特徴についてお聞きいたします。
 決算額の中で、公共事業費が占める額、比率はどうなっているでしょうか。あわせて、価格補償、所得補償の額と比率はどうなっているでしょうか。
 私は、公共事業を悪だとは思っておりません。保安林の保全など必要な公共事業があることは当然のことであります。しかし、農業の生産にかかわる大事なこの部署で公共事業がその大半を占めるということになると、これは農林行政のゆがみだと言わなければなりませんので、まず最初に、全体の額と実態を示していただきたい。

〇高橋農林水産企画監 お尋ねの平成13年度におきます農林水産業関係の決算額と公共事業費の比率でございますが、まず、農政関係につきましては、決算額994億2、000万円余に対しまして公共事業費は560億6、000万円余で、56.4%でございます。それから、林業関係が、決算額285億8、000万円余に対しまして公共事業費は191億円余で、これは66.9%でございます。それから、水産関係でございますが、決算額202億9、000万円余に対しまして公共事業費は135億3、000万円余で、これは66.7%でございます。これを合計いたしますと、決算額1、483億円余に対しまして公共事業費は887億1、000万円余、59.8%となっております。
 次に、お尋ねの価格・所得補償と決算額との比率についてでございますが、農政関係の青果物等の価格安定対策あるいは家畜畜産物の価格安定対策の2件ございますが、これが2億7、000万円余で、決算額に対する比率では0.3%となってございます。

〇斉藤信委員 今、答弁があったように、全体で59.8%が公共土木事業、一方で、一番生産者が求めている価格補償は農政だけでたった0.3%、私は、ここに岩手県の農林水産行政の最大のゆがみがあると思います。
 次に、具体的にお聞きします。米問題についてであります。
 この間の米の粗生産額はどう推移しているでしょうか。農業所得はどうでしょうか。私は、担い手農家に対する影響が一番大きいと思われますが、こうした影響について具体的に示していただきたい。
 2番目に、減反の5万ヘクタールの拡大、これは先ほど答弁がありましたから、これによる減収額はどう予想されるか、先ほど面積がありましたので、減収額。
 WTO協定のもとで、実はこれは国会でも明らかになったんですが、4兆円の価格・所得補償の枠があるんです。しかし、実際に政府がやっているのは7、500億円だけです。本来4兆円まで価格・所得補償がWTO協定で許されているのに、7、500億円しかやっていない。本来ならもっと米や野菜やさまざまな価格補償ができるのに、私は、こういうところこそ国に対してもっと価格・所得補償は強化すべきだと求めるべきではないかと思います。
 もう一つ、実は米の輸入をやめさせることもできるんです。WTO協定で大枠で米を穀類としますと、これは、小麦とか飼料をたくさん輸入していますから、米の輸入は基本的にはストップさせることができるんですね。これは理論的には可能だと政府も言っています。私はそういう点で、今、日本の農政というのは、一方的にこうした価格・所得補償を切り捨ててすべて市場にゆだねるというやり方は、日本の農業と農村を破壊するものではないかと思いますが、いかがですか。

〇中正農産園芸課長 米の粗生産額等の推移あるいは農業所得について申し上げたいと思います。
 米の粗生産額の推移でございますけれども、平成9年から13年までの5カ年で見させていただきますと、平成9年は1、028億円、そして、平成13年は814億円という数字でございまして、およそ214億円の減少となってございます。
 それから、農業所得でございますが、これは農業全体ということになりますので御承知願いたいと思いますけれども、生産農業所得で見ますと、平成9年は1、238億円、そして平成13年は989億円となっており、およそ250億円の減少でございます。
 それからもう一点、担い手農家のお話でございました。担い手農家は具体的な数字というのはなかなかないわけでございますけれども、便宜、基幹的農業従事者の生産農業所得で見ますと、平成9年は146万3、000円でございますし、また、平成13年は125万2、000円となっており、およそ21万円の減少となっておりまして、一般農家1戸当たりの17万円に比べて減収幅が大きいと見ておるところでございます。

〇佐々木水田農業推進監 生産調整の今回の拡大によるところの米の減収額の見込みでございますが、増加分の1、793ヘクタールに相当する額を確定している13年産の米価と平年単収で試算いたしますと、約25億円と見込まれます。

〇高橋農林水産企画監 WTO関係の御質問でございますが、WTOの農業交渉につきましては、私ども承知しているところによりますと、先月18日から22日にかけまして農業委員会特別会合が行われ、年内に議長がいわゆる概観ペーパーを取りまとめ、提示することとなっているようでございます。それをもとにさらに交渉を進めまして、来年3月には大枠が確立することになっておりますので、その中におきまして、本県の主張――本県の主張といいますのは、去る9月12日に私ども国に対して米政策の見直しに関しての提案を行いました。その中で、例えば一つの項目として、米のミニマムアクセス制度の改善ということで、このアクセス数量を改善してください、それから、関税率を引き下げることのないようにしてください、こういう要望をしておりますが、この大枠の中でこういった本県の主張が盛り込まれるように期待しているところでございます。

〇斉藤信委員 私が聞いた大事なことを、部長、後から答えてくださいよ。
 4兆円の価格・所得補償枠があるのに7、500億円しかやっていない、私は、これは大問題だと思うんです。やるべきことさえやらないでミニマムアクセス米を減らせなんていう主張は国際的に通用しないですよ。私は、岩手県も若干の問題提起しているけれども、もっと道理のある要求をすべきだと思います。
 今度、米政策改革大綱が決まったというけれども、これは、日本の米と日本の農業をだめにする改革です。ですから、これは絶対に撤回させる取り組みをしなければだめだと思います。一言で言いますと、今度の米改革大綱というのは、需給と価格を市場にゆだねるものです。国の責任を放棄するものです。需給という点では、結局もう市場任せでしょう。価格もそうですよ。当面の対策は暫定的対策ですよ。そういう点で、これは国際的な流れにも反するということを一つ指摘しておきたい。
 外米の年間輸入量は今77万トンです。これは、水田面積に換算すれば15万ヘクタールです。実はアメリカは、70%農業予算をこの間ふやして、一たん廃止した生産費を基準にする価格補償制度、不足払制度を復活させた。肝心のアメリカがこうやって農家の所得をしっかり守っているんです、いわば生産者価格が下がっても。アメリカもやっている、ヨーロッパもやっている。何で日本だけがやるべきこともやらないで18%ぐらいしか価格補償をしないのか。そういう点で、やるべき価格補償、所得補償は国に求めるべきだし、岩手県も0.3%なんていうこんな農政のゆがみを正して、農政でいけば約1、000億円の予算があるわけですけれども、これを2割、3割のところまで持っていく必要があるんじゃないですか。ここを農林水産部長にお聞きしたい。

〇佐々木農林水産部長 WTO協定に関してでございますけれども、本県の主張が認められるようにということで申し上げましたが、これは、ひいては我が国の主張が認められることであると思っております。
 御指摘がございました、全体の中で穀類として要望すべきではないかというお尋ねでございますけれども、こうした国際交渉の内容につきましては、国においてその必要性を十分判断して、そしてWTO交渉の中で必要な事項について提起されているものだと思っております。

〇斉藤信委員 生産県としては極めて弱腰です。今度の米の改革大綱に対して、私は、岩手県として、決まったからではなく、これで本当に岩手の農業と農家を守れるのか、農村を守れるのかという立場で対応すべきだと思います。言うべきことは言うと。大体国が4兆円の価格補償の枠をやらないで、WTOの交渉を力強くやれませんよ。
 今度の米改革大綱で私が心配しているもう一つの問題は、担い手に施策を集中するとなっていますが、この担い手の基準が、北海道は10ヘクタール以上、都道府県は4ヘクタール以上の認定農業者となっています。また、20ヘクタール以上の集落の協同組織だけを対象にすると。岩手県の場合、では、こういう4ヘクタール以上の担い手農家というのは全体の農家の中で何戸で、何%になりますか。

〇佐々木水田農業推進監 今般決定されました米政策改革大綱では、米価下落による稲作収入の減少の影響が大きい一定規模以上の水田経営を行っている担い手を対象に、稲作収入の安定を図る対策として担い手経営安定対策を講じるとされておりますが、現段階で担い手経営対策の具体的な内容が示されていないところでございます。

〇斉藤信委員 私、具体的に言ったでしょう。北海道は10ヘクタール以上、都道府県は4ヘクタール以上の認定農業者、20ヘクタール以上の集落の協同組織が対象なんですよ。休憩の後に、調べてやってください。

〇工藤大輔副委員長 斉藤信委員の質疑の途中ではございますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩したいと思います。
   午後2時56分 休 憩
   午後3時15分 再 開

〇千葉伝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行します。

〇斉藤信委員 今私が話したように、米の政策改革大綱では、担い手経営安定対策は、北海道は10ヘクタール以上、都道府県は4ヘクタール以上の認定農業者と20ヘクタール以上の集落の共同組織だけを対象にするとなっていますので、岩手県ではこの4ヘクタール以上の認定農業者というのは何戸になるのか、全体の農家の中でどういう比率を占めるのか。
 せっかくですから、あとこの問題で最後に、これだけの減反をするわけですから転作の対策というのももっと強化されなければならない。ところが、県産の麦・大豆の生産はもう既に平成22年の目標を面積では上回っているんですね。私は、小麦・大豆などの岩手県が主力品種としているこの転作について、この計画を見直して、生産、加工、販売まで全体的な対策を抜本的に強化すべきだと思いますが、あわせてお聞きしたい。

〇佐々木水田農業推進監 お尋ねございました農家数についてでございますが、2000年農林業センサスによりますと、水稲作付面積4ヘクタール以上の農家は945戸となってございます。20ヘクタール以上の法人、協業経営体は3事業体となってございます。(「比率は、比率」と呼ぶ者あり)
 分母のとり方によって比率は変わるわけでございますが、県全体の水田農家数を同様に農林業センサスから引いたものを分母にいたしますと、約1.1%でございます。事業体につきましては、分母とする数字が適当なところがございません。
   〔斉藤信委員「転作対策」と呼ぶ〕

〇中正農産園芸課長 今、斉藤委員の方からお話のありました麦、豆の振興の話でございます。(「大豆だって豆じゃないか」と呼ぶ者あり)失礼しました。
 先ほど部長の方からもありましたけれども、国産麦あるいは大豆につきましては、今、斉藤委員がお話の中にもありましたが、計画面積を上回っているのではなかろうかということでございます。ただ、今国内の情勢あるいは県内の情勢を見てみますと、言うなれば国産品に対する需要が高まってきているという実態にございます。したがいまして、その需要があるのだということで今後とも振興してまいりたいと思っているところでございます。

〇斉藤信委員 本当に、私は米改革大綱、これでいいのかという対応をひとつ県でやっていただきたい。転作だって本当に本気でやらないとだめですよ。あと、担い手だって1.1%なんだから、率直に言って岩手の農業を守れませんよ。
 次に続きます。次は、私は県産材の活用と森林整備について、この間、林業振興の議員連盟で大変いい勉強をさせていただきました。それで、緊急間伐整備5カ年計画の状況はどうなっているか、進まない原因は何なのか、県産材活用の対策は具体的にどうなっているか。私は、公共施設、小中高校などの学校施設は県産材を積極的に活用する特別の対策、事業を強力に推進すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、中央卸売市場の岩果問題について。
 岩果による不正は以前から指摘されていましたが、県としてどう対応してきたのでしょうか。
 運営協議会には農林水産部長も出席されていますが、この運営協議会ではどういう議論、どういう対応がなされてきたのでしょうか。
 今回の問題の影響、そして県としての対策はどうとられているでしょうか。

〇照井緑化推進課長 緊急間伐5カ年計画の実施状況につきましては、5カ年間の計画量8万2、000ヘクタールのうち、平成12年、13年度の2カ年間の計画量3万600ヘクタールに対しまして、実績が2万8、423ヘクタールと93%になっておるところでございます。
 間伐が進まない原因といたしましては、木材価格の低迷に加えまして間伐材の需要が少ないということから、森林所有者が間伐に消極的になっているといったことであると考えてございまして、今後、間伐対象地の団地化であるとか、施業の共同化、機械化等による低コスト生産によりまして間伐の推進に努めてまいりたいと考えてございます。

〇千田林業振興課長 県産材活用の具体的な対策についてでございますが、本県におきましては、平成10年に岩手県木材利用推進方針を定めまして、これに基づきまして本庁にはもっと・WOOD・県産材推進連絡会議、地方振興局には木材利用推進会議等を設置いたしまして、関係部局が連携いたしまして、公共施設あるいは公共土木工事への県産材の利用を進めているところでございます。
 それから、市町村への支援策でございますが、平成8年度から市町村等が整備する木造の公共施設あるいは工作物などに対しまして、さらには、平成11年度からは小中学校の机やいすの木製化に対しまして助成を行いまして、県産材の利用促進を図っているところでございます。その結果、平成13年度には公共施設では約9、200立方メートル、土木工事では1万1、000立方メートルが利用されているところでございます。
 今後とも、関係部局と連携を図りながら、県産材の利用推進について積極的に進めてまいりたいと考えております。

〇佐々木農林水産部長 岩果問題についてでありますが、まず、県の対応についてでございます。
 盛岡市中央卸売市場の卸売業者に対する監督権限は、卸売市場法において国と開設者であります盛岡市が有しております。したがいまして、卸売業者への監督は国と市が行っているところでございます。
 盛岡市では、卸売市場法に基づきまして盛岡市中央卸売市場運営協議会を設置しておりまして、私がその委員になっております。9月5日に開催されたこの協議会に出席いたしましたが、この事案についての具体的な説明はなかったところであります。
 それから、岩果問題の影響と県の対策ということでございますが、盛岡市からの情報によりますと、現在のところほぼ必要量が確保されているということで、大きな影響は出ていないものと受けとめております。
 県といたしましても、県民生活への影響を最小限にとどめる必要があるというようなことで、先般、各産地に出荷を要請する文書を出したところでありますが、この中で県も市等と連名にさせていただきまして、出荷要請をしたわけでございます。こうしたことも含めまして、県としてもできることについては支援してまいりたいと思っております。

〇斉藤信委員 私は、県産材の活用は、全国第2位の森林県だから、それにふさわしい抜本的な対策をとっていただきたい。特に、小中高等学校の老旧校舎は全体の6割を占めるんですね。これは、これから耐震診断、改築・改修になりますよ。私はそのときに、最近の新聞にも載りましたが、紫波町の上平沢小学校ですか、これは紫波町産材を使って、地元の大工さんで建てるということで、ちょうど80年前に植樹した学校林を使うということですね。これは本当に地域ぐるみの取り組みになっていますが、私は全県的にひとつこういう取り組みが進むようにやっていただきたい。
 特に県立高校なんていうのは県所管ですから、小中学校はできていますけれども、県立高校でも大規模木造校舎を本気になって全国に先駆けてやる。県立高校でやれば全国で初めてですから、私はそのぐらいの意気込みでひとつやっていただきたい。
 岩果の問題ですけれども、監督権限は農林水産省と市ですよ。しかし、運営協議会があるんですよね。それに農林水産部長が出ている。仕切り書の改ざんというのは以前にも問題になって、1回改善指導された問題なんですよ。それに対して全然是正されなかった。50万件の仕切り書に対して、不正は17万件ですよ。3分の1が不正だということでしょう。運営協議会でこういうことが何で議論にならないのか、何のための運営協議会なのか。結果的に、もう自己破産したなんていう結果じゃ、運営協議会の仕事にならないじゃないですか。私は、そういう点では、新聞報道でもまともな報告がなかったというのがありましたから、盛岡市の責任は大きいと思いますよ。だから、そういう運営協議会の改善も含めて取り組むべきだと思いますが、いかがですか。

〇佐々木農林水産部長 私も委員でございますので、委員の立場でもしっかりやっていきたいと思います。

〇斉藤信委員 最後ですが、住田フーズによる鶏肉偽装問題について、また、他の偽装疑惑についてお聞きします。
 住田フーズの偽装問題について、県はどういう調査を行ってきたでしょうか、どのように偽装が行われたのか、偽装が行われた期間、量はどうなっているでしょうか。
 新聞報道によると、他の食品企業1社にもJAS法に基づいて指示をしたとしていますが、その結果はどうだったでしょうか。

〇得田流通課長 本年4月5日に住田フーズ株式会社からの申し出を受けまして、県といたしましてはJAS法に基づき立入検査を実施したところでございます。検査の結果、少なくとも平成13年10月から平成14年3月までの間、合計約22トンのブラジル連邦共和国産の冷凍鶏肉を解凍しまして、それを岩手住田産と表示して包装する手法により、原産地について虚偽の表示を行い販売していたことなどを確認したところでございます。
 また、他の県内の食品企業に対しましてもJAS法に基づく立入検査を実施したところ、生鮮食品品質表示基準の規定に違反する事実を確認いたしましたので、4月26日、JAS法に基づく表示の是正の指示を行いまして、是正措置が講じられていることを確認したところでございます。

〇斉藤信委員 県南のある企業で原産地偽装表示を行っているという内部告発が私にありました。それによると、ここ数年、BSEとは特に関係なく、商品を大量に輸入したり他県の業者から仕入れ、自社の商品にまぜ、自社ブランドで販売していたというものでした。県にはこういう情報は伝わっていなかったのでしょうか、また、この間調査はしていなかったのでしょうか。

〇得田流通課長 個別の企業に対するお尋ねでございますので、一般的にお答えは差し控えさせていただいておるところでございます。

〇斉藤信委員 私は独自に調査をして、実際に偽装に携わったという人の証言をいただきました。それで取り上げます。
 告発はこういう中身です。この会社は、アメリカにつくった子会社を通して、数年前からアメリカ産のレッグやもも肉等を毎年100トン前後輸入しています。アメリカ以外にも、中国から冷凍もも肉等を毎年100トンぐらい輸入。輸入量は平成11年から12年が特に多いように感じました。また、この時期タイからもカモ肉を輸入しております。このほか、国内の同業者、九州のジャパンファーム、ホワイトファーム、日本ハム等、国内他県の業者から冷凍もも肉等を毎年300トン前後仕入れています。この会社は、こうして仕入れた冷凍商品を工場内にあるクリーンルームという解凍室で解凍して、県産品としてすべて別の袋に入れかえています。特に、12月が需要期ということもあり、解凍室だけでは解凍が間に合わず、工場内に大きな水槽をつくり、そこで水解凍を1日じゅうしています。こういう中身です。調査をすべきではないですか。

〇得田流通課長 まことに申しわけないんですが、個別の企業に関するお尋ねでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

〇斉藤信委員 私が指摘したことは、これは偽装表示に当たるんでしょう。住田フーズと同じケースじゃないんですか。これは、それよりも量は何倍もの規模ですよ。内部告発も、これは匿名じゃないんです。そして私は複数の方々の証言もいただいて、その裏づけをとったから取り上げているんですよ。じゃ、こういう偽装は何に反しますか。何にもならないんですか。

〇得田流通課長 その真偽のほどが明らかではないので、いかんともお答えしがたいというところでございますが、表示について偽装があるということであれば、それはJAS法に違反するということでございます。

〇斉藤信委員 真偽のほどと、私が具体的な証言を含めて話をしているんでしょう。(「具体名を言ったら」と呼ぶ者あり)
 じゃ、もう少し言いましょう。住田フーズの問題が表面化したときに、ここの職員は生きた空がなかった。ブラジル、カナダから輸入したものを解凍して銘柄の袋に入れた。精肉の担当者が言っています。地元産と輸入ものの割合は半分半分のときもあった、3対2のときもあった。職場では地元産、そしてあと輸入肉の解凍に分かれている。ほとんどの人が携わっている。解凍は、タオルで水分をふき取ってブレンドして銘柄袋に入れた。住田フーズはまねをしたのではないか。最近この会社は、住田フーズの件が表面化してから解凍室を解体した。億を超える解凍室ですよ。
 同時に、ここでは肉骨粉もつくっていまして、その肉骨粉、これはもちろん輸入肉をレンダリングした肉骨粉、それにはマレック病などの鶏もいたそうですけれども、この肉骨粉はどう使われたのか、こういう疑問も呈しております。
 私は、本当にこれは重要な問題ですから、部長、どうですか、これは本当に真剣に調査すべきではないでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 実名の投書だということでございますけれども、その確実性について現段階で判断いたしかねますので、そういうことがあったということを受けとめさせていただきたいと思います。

〇斉藤信委員 受けとめさせてじゃないでしょう。私はこの議会の公式の場でそういう事実を指摘したんですよ。受けとめるだけで何もしないんですか。ちゃんと答えてください。
   〔水上信宏委員「議事進行」と呼ぶ〕

〇水上信宏委員 委員長がけさほど、毎日なわけですが、決算についての審議をお願いするという話をしていますが、今、決算に当たるかどうかということと、それから、それぞれの人にいろいろな投書が来るのをこういう議会の中で一々取り上げると切りがないと思いますので、委員長がそのことについて判断してください。

〇千葉伝委員長 斉藤信委員の発言に議事進行がかかり、そこの分について再度佐々木農林水産部長から答弁をさせます。

〇佐々木農林水産部長 繰り返しの答弁で申しわけないわけでございますが、ただいまの話、現時点で判断いたしかねますので、そういう質問があったということで受けとめさせていただきます。

〇斉藤信委員 じゃ、最後に一言だけ言っておきます。
 私は直接輸入ものの肉を県産品ブランドにまぜたという方の証言をいただいて取り上げました。

〇小原宣良委員 1点だけお許しいただきたいんですが、詳しくは2月定例会ということになりますが、新たな米の政策大綱についてでありますけれども、今までの転作、減反というのは面積を基本にしてやってきましたね。今度、数量調整という形になりまして、まさに部長がおっしゃるように、自己決定・自己責任の時代に入った。こういうことになってきますと、この数量をどういう形で、どう確認するのか、それぞれの農家の皆さんが自分のところの米の生産量はどれぐらいなのか、農業共催の引き受け単収ということを基本にするのかどうするのかという問題が出てきまして、これは本会議でも私は取り上げましたが、極めて困難な根拠ということを前提にせざるを得ないものなんですね。そうした場合に、県あるいは市町村がどうかかわっていくのかという部分が出てくる。国は、生産団体でこれを自主的に対応してくださいと言うかもしれないけれども、しかし、この対応は極めて困難をきわめるものである。
 したがって、この米の新たな政策大綱に当たって、県は、先ほども議論がありましたが、この数量規制というものに対して、あるいは数量における自主申告というものに対してどういう意見を述べてきたのか、この際、ぜひこの1点はお聞きしておきたいと思いますので、お伺いした次第であります。

〇佐々木水田農業推進監 私どもも、委員御指摘のとおり、数量管理の難しさについては実感してございまして、県の要望におきましても、数量管理に移行する場合であっても面積を併用する仕組みとすべきだという提案を申し上げてきてございました。
 今般決定されました改革大綱におきましても、農業者への配分に当たっては、地域の実情に応じた単収で割り戻して、面積で配分し、その面積目標が達成されたことをもって生産調整を達成したものとみなすとなってございます。

〇小原宣良委員 数量を面積換算するということなんだけれども、じゃ、その場合の数量の基本は、基礎は何をもって面積に換算するんですか。これは、詳しくは2月定例会ということになると思いますから、決算特別委員会ですので、この1点だけにいたします。

〇佐々木水田農業推進監 客観的なデータで透明性が確保されるということが極めて重要だと国の生産調整に関する研究会の中での議論がございました。今回の大綱の中では、具体的に単収の設定については触れられてございませんが、今後、そういう趣旨で具体的な部分について詰められるものと認識してございます。

〇伊藤勢至委員 私は当該委員長でありますけれども、緊急・重大性があると思いますので、あえてここで1点だけ質問をさせていただきたいと思います。
 それは内水面の振興対策についてであります。(「委員長みずから規則を破ったらどうするんだ」と呼ぶ者あり)重要・緊急性があると思いますので、発言を求めた次第でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。(「そんなこと、委員長をやめてからやればいいだろう」と呼ぶ者あり)何したって。
 それは内水面対策について、特にブラックバス対策についてであります。
 岩手県ではこのブラックバスの分布が順次北上してきておりまして、内水面漁業にとって、あるいは川の魅力を壊しかねないということで大変な問題になっているわけであります。
 そういう中で、実は今月2日に水産議員懇談会勉強会がありました。そのときの資料をもらったのでありますが、その資料は、平成14年度ブラックバス等外来魚対策についてということで、ああ、いい勉強会になるなと思って期待をしたところであります。その第1番目が駆除の実施、それから密放流等防止普及啓発、3番目として生態・生息調査ということでありました。
 いい勉強になるなと思いましたところ、それが終わった後の懇親会では、県内で今つくっておりますいろいろな産物を賞味しながら懇談するということでありましたが、その中に、ブラックバスの料理ということで、ブラックバスのチリソースかけという料理が出ることになっていると書いてありました。これは11月3日、金ケ崎町で駆除されたものを使用している。白身の特徴を生かしたエスポワールいわてオリジナル料理ですということです。
 ブラックバスは駆逐をしたいという魚種なのに、それを食べるというのはいかがなものか、私はこう思って、ようし、これはぜひ聞いてやろう、見てやろうということでこの勉強会に参加いたしましたが、案の定料理が出てきました。これはちょっといたずらというか、遊び心というか、ちょっとふざけが過ぎるのではないかと思ったところでありますが、これについて一言伺いたい。

〇武井水産振興課長 県といたしましては、ブラックバスの駆除対策に県民と一緒になって取り組んでございます。それで、特にブラックバスをこれ以上ふやさないためには、他の水域から持ち込まないということとともに、遊漁で釣った場合には、直ちにそれは生きて放さないということを守ってもらうということが重要でございます。
 しかしながら、ブラックバスを対象にいたしました釣り人は、キャッチ・アンド・リリースと申しまして、釣ったものを放すことがルールとされております。それから、県いたしましても、ブラックバスは釣ったら自己処理してくださいと申し上げても、一体釣った魚をどう処理したらいいのかというような問題提起がなされているということでございます。
 このようなことから、遊漁で釣った魚の処理をどのようにすべきかということを外来魚対策協議会、これは遊漁者も含めました関係者で組織した協議会でございますが、この場で検討いたしまして、やはりブラックバスを釣った人は、自分の責任で処理してほしいということを基本にしましょう、その旨を啓発していこうということになってございます。
 しかしながら、ブラックバスにつきましては、一般的に害魚と言われてございまして、食べられない魚という考えが非常に深く定着してございます。しかしながら、料理方法がわかれば家庭でも食べられることですから、自己責任で持ち帰って処理する方法の一つとして食べることを紹介してございます。それから、食べられない場合には、家庭用ごみとして処理することも指導してございます。
 ではということでございますが、片方で食べることのみを仮に強調いたしますと誤解を招くという点も確かにございます。そういうことでございますので、こういうようなことがないように、まずブラックバスは駆除すべき魚だということ、それから、釣ったらば自己責任で処置していただくということ、それから、それにあわせまして、自己責任で処理する際の一つの方法として食べる方法もあるよ、こういうことをきちんと説明していきたいと考えてございます。

〇伊藤勢至委員 日本においてブラックバスは生態系の頂点に位置し、ニジマス、アメリカザリガニなど従来の外来生物に比べて強い魚食性と繁殖力を有していますということで、このカタログにはわざわざブラックバスの料理方法を四つも挙げて、これはブラックバスを食べましょうと。つまり、そういうことが出てくるとブラックバスはいてもいいのではないか、ブラックバスを認めようという議論になりますと、今県内の半分まで広がってきておりますブラックバスの分布がさらにふえて、県内の856河川の中にほとんどいるようになったら、在来のアユ、イワナ、ヤマメ等がどんどん食われてしまう。そういうことではおかしいのではないかと私は思った次第であります。
 したがいまして、こういうパンフレット作成の際は、言ってみればこれは海(後刻訂正)のギャングです。海(後刻訂正)の暴力団。こういうものを追放しようという動きをしようという中で、ブラックバスは食べればおいしいこういう料理方法がありますと書くのは、これはブラックバスを擁護する議論になりかねないと思って、これは重大なことだと思ったのであえて発言を求めた次第であります。
 したがいまして、こういうパンフレットを県内に配布するのであれば、料理方法というところにつきましてはもっと吟味をしていただく。そうしないと、釣るファイティングがすごくて楽しいという思い、それから、食べればおいしいというと、やっぱり食べてみたいなという人も出るかもしれない。これはブラックバス擁護論になっていって、結果的には岩手県の川が全滅しかねない、こういうふうに思ったわけでありますので、私は、この料理方法などというのは挙げるべきではないと思っております。したがいまして、これを検討していただいて、県内の川からはブラックバスあるいはコクチバス、ブルーギル等は駆除するのだ、こういう観点に立つのであれば、このパンフレットは明らかに間違いだと思っておりますので、検討をお願いしたいわけでありますが、返事をいただきたい。

〇千葉伝委員長 伊藤勢至委員、先ほどの発言の中で海という表現があったんですが、それはそのとおりでよろしいですか。

〇伊藤勢至委員 間違えました。

〇千葉伝委員長 川と訂正で。はい。

〇武井水産振興課長 県内からやはりブラックバス等の外来魚をできるだけ駆除していこう、そのために具体的にどのような方法が一番効果があるかという観点からいろいろ検討していきたいと思ってございます。
 それから、確かに食べることのみを強調するということは誤解を招きかねないことであったなと考えてございます。

〇及川敦委員 短目に申し上げます。
 私が一般質問で取り上げてから、漁業規則等でリリース禁止ということでいろいろ対応をとられていたところでございますけれども、御案内のとおり今、滋賀県の琵琶湖に関する条例化で外来魚の移入の対策がとられてきている。今、三重県ですか、2月定例会で条例化をしようという動きがあるわけでありますが、私も執行部といろいろ見解を交わす中で、必要であれば議員立法の手法も考えながら、例えば今までの漁業規則の対応で不十分なのであれば、本県の既にある条例に追記してでも移入の禁止についていろいろ検討していく必要もあるのかなと、平成13年以来いろいろとられてきた対応を見て、分布が広がっている現状を見てそう思っているわけであります。
 現段階で、これまでの対策等を考えて、今後条例化の必要性も含めて、他部との連携で何か検討しているものがあるかどうか、その1点だけお聞きしたいと思います。

〇伊藤漁業調整監 ブラックバスの条例の件ですけれども、結論から申しますと、本県の場合まだそこまでは行っていないのかなと思います。というのは、本県が本格的に対策を始めたのは平成13年度からになっていまして、その経過を今いろいろと見守っているところでございます。昨年度の場合には、幾つかの河川漁協等で駆除対策を始めました。そして、今年度はさらに、河川にブラックバスが来るようなところで、ため池が河川への供給源になっているのではないかということで、今年度はため池の水抜きの際のブラックバス駆除なんかもやり始めています。
 そういったことで、内水面漁場管理委員会が現在、釣った魚を生体での持ち出しとかリリースを禁止しているのは漁業権のある漁場だけなものですから、ため池とか漁業権のない漁場といったものをどうするかというのもきちんと検討しないと、条例化というところまではまだいかないのかなというところもあります。本県の場合のブラックバス等外来魚対策協議会の中には、遊漁関係者、取り締まり関係者、それから、ブラックバスを釣る団体にも入っていただいて、一緒に対策を協議しています。その中でどうしたらいいかいろいろ検討してまいりたいと思います。ということで、条例化までは今後の課題と思っております。

〇千葉伝委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 次に、教育長に教育関係の説明を求めます。

〇五十嵐教育長 平成13年度岩手県教育委員会関係の決算について御説明を申し上げます。
 お手元の平成13年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 教育委員会所管に係る予算現額は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費まで合わせた1、748億5、538万9、000円で、支出済額は1、738億3、533万9、172円、翌年度繰越額は8億4、193万6、373円であります。
 決算の内容につきましては、便宜、平成13年度歳入歳出決算事項別明細書により、その主なものについて御説明を申し上げます。
 決算事項別明細書の260ページをお開き願います。10款教育費の1項教育総務費1目教育委員会費の支出済額1、922万円余は、教育委員会の運営に要した経費であります。2目事務局費の支出済額25億685万円余は、教育委員会事務局の管理運営に要した経費のほか、児童生徒の保護者向けの新たな広報紙の発行、外国青年を県立高校等に配置し、語学指導や地域のスポーツ指導の支援を行う外国青年招致事業に要した経費等であります。3目教職員人事費の支出済額143億4、049万円余は、教職員の人事管理、退職手当等に要した経費であります。次に、262ページをお開き願います。4目教育指導費の支出済額34億9、139万円余は、児童生徒の健全育成を図るため、心の教室相談員やスクールカウンセラーの配置に要した経費、高校生の国際交流、地域との連携を図りながら特色ある学校づくりを進める高等学校活性化推進、いわて教育情報ネットワーク整備事業などに要した経費であります。また、繰越明許費6億7、187万円余は、いわて教育情報ネットワーク整備事業で、計画調整に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものであります。次に、5目教育センター費の支出済額5億7、239万円余は、教職員の各種研修等に要した経費であります。次に、264ページをお開き願います。6目幼稚園費の支出済額1億417万円余は、こまくさ幼稚園の管理運営に要した経費であります。次に、266ページをお開き願います。7目恩給及び退職年金費の支出済額6億1、374万円余は、恩給及び扶助料等であります。
 2項小学校費1目教職員費の支出済額558億8、099万円余及び3項中学校費1目教職員費の支出済額319億4、282万円余は、それぞれ小学校・中学校の教職員の人件費や総合的な学習の時間推進等に要した経費であります。
 次に、4項高等学校費でありますが、1目高等学校総務費の支出済額354億3、867万円余は、県立高校の教職員の人件費や初任者研修等に要した経費であります。次に、268ページをお開き願います。2目全日制高等学校管理費の支出済額20億6、810万円余及び3目定時制高等学校管理費の支出済額7、949万円余は、各高校の管理運営や教育設備の整備等に要した経費であります。次に、270ページをお開き願います。4目教育振興費の支出済額10億7、886万円余は、県立高校の産業教育設備、部活動設備、情報処理教育設備及び教育実験実習等に要した経費であります。5目学校建設費の支出済額73億3、853万円余は、県立高校の施設整備及び維持補修等に要した経費でありますが、校舎建設は盛岡第三高校の改築、千厩東高校ほか1校の増築、産業教育施設建設は盛岡農業高校、体育館建設は葛巻高校ほか1校、部活動施設整備は釜石工業高校ほか9校、校地整備は久慈工業高校ほか5校、大規模改造は高田高校ほか5校の校舎、山田高校ほか2校の体育館、水泳プール整備は福岡高校ほか1校、セミナーハウス建設は宮古商業高校ほか1校の整備に要した経費であります。また、繰越明許費1億2、277万円余は、久慈農林高校グラウンド整備事業で、用地交渉に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものであります。次に、272ページをお開き願います。6目通信教育費の支出済額1、087万円余は、通信教育のための管理運営に要した経費であります。
 次に、5項特殊学校費でありますが、1目盲聾学校費の支出済額19億7、949万円余は、盲学校及び聾学校の管理運営及び施設整備等に要した経費であります。2目養護学校費の支出済額85億4、780万円余は、養護学校の管理運営及び施設整備等に要した経費であります。
 次に、274ページをお開き願います。6項社会教育費1目社会教育総務費の支出済額19億1、415万円余は、生涯学習を推進するための県民フェスティバルや長寿学園の開催、青少年ふるさと体験学習事業など青少年の野外体験活動を通じた心身の健全育成及び青少年の家の管理運営等に要した経費であります。次に、276ページをお開き願います。2目視聴覚教育費の支出済額92万円余は、教育メディア利用促進事業等に要した経費であります。3目文化財保護費の支出済額6億5、422万円余は、指定文化財の保存・修理等への補助、柳之御所遺跡土地公有化事業及び埋蔵文化財センターの管理運営等に要した経費であります。また、繰越明許費2、140万円余は、柳之御所遺跡土地公有化事業及び文化財保護推進事業で、計画調整に不測の日数を要したことから、翌年度に繰り越したものであります。次に、278ページをお開き願います。4目芸術文化振興費の支出済額10億3、780万円余は、芸術文化の振興を図るため、岩手芸術祭や青少年劇場などの開催、高等学校総合文化祭や国民文化祭への派遣、高校生の文化部活動の育成、北東北3県芸術文化連携交流の推進、県民会館の管理運営及び施設整備等に要した経費であります。5目図書館費の支出済額3億6、024万円余は、県立図書館の管理運営、図書情報システムの整備等に要した経費であります。また、繰越明許費2、587万円は、図書情報総合センター整備事業で、設計、工法の検討に不測の日数を要したことから、翌年度に繰り越したものであります。6目博物館費の支出済額6億6、774万円余は、県立博物館の管理運営及び施設整備等に要した経費であります。次に、280ページをお開き願います。7目美術館費の支出済額11億9、502万円余は、県立美術館の管理運営、整備等に要した経費であります。
 次に、7項保健体育費でありますが、1目保健体育総務費の支出済額6億9、805万円余は、児童生徒の保健安全の充実及びエイズ・性教育推進事業等に要した経費であります。次に、282ページをお開き願います。2目体育振興費の支出済額4億456万円余は、生涯スポーツ推進事業、競技力向上対策事業等に要した経費であります。3目体育施設費の支出済額8億8、861万円余は、県営運動公園、県営体育館等、体育施設の管理運営及び施設改修等に要した経費であります。
 以上で御説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。

〇千葉伝委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。

〇及川敦委員 議事進行のため手短に申し上げますので、要点のみ御答弁いただければ幸いでございます。
 まず、高度情報通信を担う人づくりについて2点伺いますが、平成12年度の段階で、この主要施策に関する説明書によれば、コンピューターの設置割合は55.7%という段階であったようでございますけれども、学校間の格差を早く是正するという非常に重要な観点もありますし、文部科学省の方針もあって、これまで加速度的に設置が進んでいるものと理解しておりますが、設置状況が100%となるまでのめどはどのようになっているのか、現在の段階もお知らせいただければと思います。
 また、コンピューターが設置されても教える先生もいないというのがこれまでであったようでありますが、これもどの程度まで改善されているのかお知らせ願います。
 また、私が商工文教常任委員であったころから指摘しまして、改善をお願いしておった通信費の件でございますが、機械が入っても、通信費が学校に十分ないということで、学校の生徒に、インターネットの使用は禁止だよというような学校が当時はかなり見られたわけであります。その当時から比べると、今はパケット通信料とか契約方法もいろいろ変わってきていると思いますので、この通信費の部分について改善が進んでいるものと理解しておりますが、どういう改善がなされているのか、この決算の場で御報告願いたいと思います。
 次に、学校施設等安全対策についてでありますが、これも同様、以前から御指摘申し上げてきた事項でございますが、特に学校遊具の安全対策についてどのような指導をして改善しているのかお知らせ願いたいと思います。なぜきょうこれを申し上げるかといいますと、先月だったですか、これは小学校なんですけれども、まだ腐食が進んでいる遊具が校庭内に大分放置されていた事情があったようでございます。PTAの関係者が非常に心配して、いろいろ調べていって、文部科学省からこういう指導も出ている、県教委の方からもこういう指導があったというようなことであったようですが、現場でまだまだ不徹底の部分があるのではないかということがありましたので、この遊具の安全対策について再度お尋ねいたします。
 もう1点、最後は、学校の校庭の芝生化の件でございます。
 これも国のいろいろな補助事業で、全国で学校の校庭の芝生化、私も何カ所か見てきましたが、ああ、いいものだなと理解しておりました。特に、都市部の学校、我が盛岡市の小・中学校の生徒の基礎体力も非常に低いというような現状もあるわけですが、校庭の芝生化と同時に基礎体力が向上するというようなデータもあるやに伺っております。また、周辺環境、都市部については特に住宅地が密集している中で学校があるわけでありますが、春の風が強い時期に必ず毎年出るのが、砂ぼこり公害といいますか、これも一つの長年の課題になっておりまして、私は一石二鳥の事業なのかなと思ったんです。本県においてはいまいち取り組みが見えないわけでありますが、その取組状況についてもあわせてお知らせ願えればと思います。

〇石学校教育課長 まず、コンピューターの設置状況の進捗ぐあいということでございますが、平成12年度のコンピューターの設置ぐあいは55.7%でございました。昨年度、平成13年度には73.0%という形で進捗してございまして、1年間で17.3%上がっておるという状況でございます。特に県立学校につきましては、今年度すべての学校に設置するという目的で事業を行っているところでございます。
 また、コンピューターを教えることができる教員の養成ということでございますけれども、平成12年度におきましては37%の教員がコンピューターを使って教えることができるというものに該当してございましたが、昨年度は44%まで上がってございます。こちらの方につきましては、平成17年度までにすべての教員がコンピューターを使って教えることができるように、研修の方を計画的に進めてまいりたいと考えてございます。
 それから、通信費の問題でございますけれども、昨年度の段階では47市町村で時間制限なくインターネットを使うことができるというような状況でございましたけれども、今年度は52市町村という形で、こちらの方も徐々に改善に向かっているというところでございます。
 具体的な内容は、やはり契約ということになるわけでございますが、今後ともインターネットを制限なく使えるような形で取り組めるように、市町村の方を指導したいと考えてございます。

〇松尾スポーツ健康課長 学校施設内遊具の安全対策についてでありますが、平成2年度以降、全国では公園等において箱ブランコにおける重大な事故が発生しており、文部科学省では、学校に設置されている遊具の安全確保についての通知がなされたところでございます。
 これを受けまして、本県では市町村教育長あるいは教育事務所長会議及び県立学校長会議等で、学校施設及び施設内遊具の安全確保について指導するとともに、各教育事務所、市町村教育委員会に通知しております。
 各学校では、学校施設内遊具の定期的な安全点検や日常の点検により安全確保に努め、破損・使用不能遊具については各市町村教育委員会に報告しており、各市町村教育委員会では、適切かつ迅速に対応し、安全管理に努めているものと承知しております。
 県教育委員会としましては、今後とも各種会議や通知等を通して、遊具などの安全管理に努めるよう設置者である市町村に対して指導してまいりたいと考えております。

〇清水学校財務課長 校庭の芝生化についてでございますけれども、小中学校の校庭の芝生化につきましては市町村において判断することでございます。したがいまして、運動場の整備とあわせて芝生化を行う場合、国庫補助事業の対象となるということでございまして、申請が出された場合には、補助事業として採択されますよう最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
 また、高校におきましては体育実技や各種運動部が使用しているという状況もございますし、校庭の使用形態から芝生化は難しい状況にあるものと考えてございます。
 また、使用形態に合った芝生化には多額な工事費、さらには維持管理費等を要します。したがいまして、この厳しい財政環境を考えますと、整備は非常に難しいものと考えております。
 なお、取組状況についてでございますけれども、大変申しわけございませんが、中・小学校につきましては把握いたしておらないところでございます。
 なお、高校におきましては、ないと承知いたしているところでございます。

〇及川敦委員 では、コメントだけ申し上げて議事進行に協力いたしますが、通信費の改善については本当にありがとうございました。当時、子供が、先生がこうやってやるんだよと言っても、でも、つないじゃだめという現場もありましたので、改善していただいたことには本当に感謝申し上げます。
 コンピューターの設置につきましても、我々もいろいろなところを視察した際に、もう骨董品のようなパソコンがまだ散見されておりまして、それも大分改善しているようでありますけれども、100%を目がけてお願いしたいと思います。
 学校遊具については、ぜひPTAの方までおりるように学校の方に指導していただかないと、どうしても安全に関心があるのは親御さんということになろうかと思いますので、お願いしたいと思います。

〇飯沢匡委員 ただいま、学校のパソコンの設置状況についてお話いただきましたが、それが授業の中で、カリキュラム上どのように活用されてどのような教育を施されているのか、その辺の状況をお知らせ願いたいと思います。

〇石学校教育課長 現在、いわて教育情報ネットワークということで、各高等学校、小・中学校につきましてはそれぞれの設置者である市町村が、それぞれの努力で整備を進めているところでございます。このいわて教育情報ネットワークを整備することによりまして、生徒の面におきましては、例えば、進路実現を図る上で、自分でさまざまな会社の状況、情報をインターネットを活用して情報収集するようなことが行われていること、あるいは生徒の連絡事項を徹底する上で、校内LANを活用いたしまして周知徹底が図れるようになったこと、それから、盲聾養護学校の中におきましては、電子メールを活用することによりまして生徒同士のコミュニケーションがさらに活発に行われるようになったというようなことがこちらの方に上がって来ているところでございます。
 また、授業におきましても、数学の関数指導など、コンピューターを使ってグラフを描くことによって平行移動の話とかが視覚的にわかるようになったとか、あるいは細胞分裂の動画というものをインターネットから教材入手して行うことができたとか、授業面におきましても大きな学習の効果を上げるような形で使われているという報告が上がってきているところでございます。

〇伊藤勢至委員 産業教育のあり方について1点お伺いいたします。
 産業教育ですから、当然、工業、商業あるいは水産高校等の部分でありますが、卒業してから実社会に出て、実社会がいろいろな要望、要求を持っていると思うんですが、どうもそこにギャップがあるようだという観点でひとつお伺いしたいと思います。
 私どもは昨年8月からマレーシア、インド、中国に海外調査に行ってまいりました。マレーシアではヒロセ電機とアルプス電気を訪問したわけであります。ヒロセ電機には、宮古にもあるんですが、かつて宮古の工場にいたという工場長、副工場長がいまして、その方といろいろお話をする機会をいただきました。岩手県の産業教育に対して望むものはないでしょうかと伺いましたところ、率直に言って、自分たちが要求するいわゆる技術者を供給してもらっているとは言えない、工員はともかく、技術者ですよ、そういうことを実は言われたのであります。
 おかしいなということで帰ってきて調べてみましたら、県内では九つの工業高校の中でいろいろ勉強させていますということでありまして、盛岡工業、黒沢尻工業、水沢工業、一関工業、大船渡工業、釜石工業、宮古工業、久慈工業、福岡工業と工業高校が九つある。そこにもいろいろあるようでありますが、今、現場が要求していますのは、金型を使ってコネクターをつくる、そのコネクターが携帯電話あるいはコンピューター関係で大変利活用が多いということで元気がいい会社もあるが、どんどん海外シフトしていく会社もある。こういうことがあったわけですが、現場が要求している技能・技術を持った卒業生を送り出せないという、どうもミスマッチがあるのではないかと思ったところであります。ここは深く調べておりませんが、高校生の就職状況が厳しい中にあって、やはり現場が要求している生徒を送り出す教育ということで、それには、やはり現場にどういう技能・技術を持った生徒、子供が欲しいのか、それを精査というか聞き取っていただいて、それに対応していくべきだと思ったところであります。これに対しての御意見がありましたら、あるいは取り組み方等について考えがありましたらお聞かせください。

〇石学校教育課長 産業教育に関します技術者養成というお尋ねでございますが、各専門高校におきましては、社会の変化あるいは産業の技術革新に対応するため、高校におきましては、特に将来の職業に関しますそれぞれの分野工業、農業とかに関します基礎・基本的な内容を身につけさせることを基本としながら、将来、進学あるいは就職した中で、さまざまな社会の変化、それから職業に必要な技術を継続的に身につけられるような基礎的な段階をしっかりと教育しようと頑張っておるところでございます。
 その意味では、専門高校の中にも多種多様な生徒が入ってきている現状もございますので、そういう状況も踏まえながら、技術者養成ということも踏まえながら教育内容の充実に努めているということでございます。例えば、インターンシップを行いまして、実際の職場を見学して、どのような機器を使って仕事をしているのか学んでもらう、あるいは、最新の技術を教えるために、教員の方が最新の新産業技術講習会という研修がございますが研修を積んで、最新の治験を得た上でそれを授業の中に生かしていく、あるいは、実際に最新の技術を持って働いている方々を学校に招聘しまして、その方から講義をしていただくという形で、産業界と学校が連携した形で授業を進めていっているということでございます。
 また、産業教育振興会という組織が岩手県にもございまして、産業界と教育界の方が一緒になりまして、今後、岩手の産業教育をどうしていくか協議を行っておりますので、そちらの方の協議の内容も踏まえながら、岩手県の産業教育の振興を今後とも図ってまいりたいと考えてございます。

〇伊藤勢至委員 先月の中ごろだったと思いますが、宮古市内で宮古・下閉伊産業教育懇談会というのがありました。これは県内各地持ち回りでやっておって今回が宮古ということでありましたが、その中で懇談をしていろいろな話が出たのであります。その中の一つなんですけれども、ある電気工事経営の社長さんが要望があるということでお話をされましたのは、学校の中で使っている教材教具・道具、機材・器具が非常に古いというんですね。もう20年も前の、かつてやった道具とか工具とか、そういうもので勉強しているから、卒業して自分の会社に入っても1年、2年は道具、工具を覚えてもらう時間でさっぱり役に立たない、こういうことだったんです。
 したがいまして、どんどん時代の要望は変わっていくわけですし、現場の技能・技術もどんどん進歩していくわけですので、ある程度の年限を区切りながら、やはり現場の実際の最先端で使える道具、工具、教材等をそろえていただくように要望したいと思いますが、お考え、計画があればお聞かせいただいて終わります。

〇清水学校財務課長 職業教育の充実を図り、時代に対応した人材育成のため、実験・実習用の産業教育設備を技術革新に即応した設備に更新するため、県単独事業の産業教育設備近代化推進事業によりまして、学校の整備状況を的確に把握しながら計画的に更新することといたしております。
 しかしながら、設備が多種多様に及ぶことから必ずしも十分な整備を行うことができないところでございますが、今後の整備に当たりましては、学校及び関係課とこれまで以上に緊密に連携を図りながら、学校の特色、さらには実社会で役立つ人材育成のための設備の重点化に努めてまいりたいと考えているところでございます。

〇佐々木一榮委員 まとめてお尋ねしたいと思いますので、答弁漏れのないようによろしくお願いしたいと思います。
 3点あります。
 1点目、いわて教育情報ネットワーク整備事業について、平成13年度67校となっていますが、今後の整備予定も含め、平成13年度の圏域別整備状況はどうなっておりますでしょうか。
 また、市町村、小学校、中学校の場合は、県内それぞれ地域ごとに先進地域、また、進んでいない地域等あろうかと思いますが、その状況と向上対策をどのようにお考えでしょうか。これが1点目です。
 2番目に、学校週5日制への取り組みについてお尋ねします。平成13年度の実績をどう評価されており、実施後の土曜日の子供の行動傾向をどう把握されているでしょうか。特にも、最近、県内の小・中学生を対象にした進学塾が増加傾向にあるように私は感じておりますし、大分塾の会員等も多いと伺っております。県教育委員会にさまざま県民から意見等も寄せられると思っておりますが、完全学校週5日制の本来の目的に対して現状と課題をどう認識されているでしょうかお尋ねいたします。
 3点目になりますが、高校生の進路指導に教育委員会は深くかかわっておりますので、その観点からお尋ねしたいと思います。実は、この質問は本会議の一般質問におきまして先輩の佐々木俊夫議員が取り上げたところと関連するのでありますけれども、私も、若者の地元定着、雇用の観点から、専修学校に対する教育長の御認識をお尋ねしたいと思っております。
 そこで、まず、平成13年度の県内高校卒業生の大学、短大、専修学校への進路状況はどうなっていますでしょうか。
 それから、本県では、学校法人以外の専修学校に対しては全く助成されないわけですが、看護学校のみに助成されていると伺っております。このことについて、教育長はどのような見解をお持ちでしょうか。私は、職業差別ともとれるような感じがするのでありますが、教育長の見解をお尋ねしたいと思います。

〇五十嵐教育長 学校週5日制に関連しまして、塾通いとゆとりの教育というか、そういった関連についての御質問ですけれども、完全学校週5日制実施後において、学習塾、進学塾が増加したかどうかという具体的な数は把握していないところでございます。ただ、ことしの6月に児童生徒を対象にして県の教育委員会が実施しました学校週5日制に関するアンケート調査の結果によりますと、毎週土曜日が休みになったことで塾に通うことが多くなったと答えた児童生徒は、小学生では1.2%、中学生では0.8%ということで、以前より微増しているということでございます。
 それから、ゆとりの教育、5日制のことで現状にずれが生じているのではないかということでございましたけれども、これも、さきのアンケート調査を見ますと、小・中学生の多くが友達と遊ぶことが多くなったとか、家族と過ごしたり買い物をしたりすることが多くなった、さらには、部活動をすることが多くなったというようなお答えでございます。したがって、現段階では、県内の児童生徒は、ゆとりの中で多様な活動や体験を行っているものと認識してございます。ただ、6月の1回だけのアンケートですので、12月にまたアンケート調査をやりますので、そういったものをまた分析していく必要があると考えております。
 いずれにしましても、御案内のとおり、完全学校週5日制は、児童生徒にさまざまな体験をさせながら望ましい人間形成を図るためのものであることから、過度の塾通いにならないように、学校における授業の改善とか保護者の理解を得るなど、子供たちの休日の有効な過ごし方について関係者が協力して対応していくことが必要であると考えております。
 次に、専修学校についての助成に関するお尋ねでございましたけれども、本県の高校生の約3割が専修学校に進学しております。大体大学進学も3割、就職等も3割、そんな感じになっております。
 専修学校は、ものづくりを担う実践的な職業教育をやっている、さらには、より専門的な技術教育等の面で重要な役割を担っていると認識しております。専修学校については、委員御指摘のとおり教育委員会の所管ではございませんので、総務部によりますと、専修学校に対する運営費の補助私立専修学校運営費補助ですけれどもは、公共性等の観点から学校法人立のものに限定しているものの、県独自の設備整備費補助等につきましては、学校法人立以外の専修学校をも対象として行われているということでございます。学校法人立以外の専修学校に対する助成については、 それぞれの担当部局の判断において行われているものと考えております。

〇石学校教育課長 御質問ございましたいわて教育情報ネットワーク事業の整備状況でございますが、まず、圏域別の整備状況でございます。
 現在、昨年度までに67校に整備いたしたところでございますけれども、例えば、両磐、気仙、久慈、二戸などは7割以上の進捗状況を見ているところでございます。ほかのところはおおむね5割から6割の進捗状況でございまして、今年度までにはすべての地域のすべての県立学校におきまして100%の進捗をさせたいという形で事務を進めておるところでございます。
 次に、市町村の状況でございますけれども、教室のLAN整備につきましては、平泉町、湯田町、松尾村で65%以上の進捗状況がある、それから、端末の平均台数につきましては、矢巾町、野田村、胆沢町で1校当たり41台の整備が進んでいるということで、かなりの進捗を見せている部分がございます。一方、別の地区ではなかなか進んでいない地域があることも事実でございます。こちらの方の市町村のコンピューターにつきましては市町村の責任において整備をしていただいているところでございますけれども、進捗が進んでいる市町村の取組状況を積極的に情報提供いたしまして、おくれている市町村の方の整備も促してまいりたいと考えてございます。

〇佐々木一榮委員 1点だけ教育長に再度お尋ねします。
 そうしますと、専修学校の件になりますが、学校法人だろうが学校法人以外であろうが、専修学校に対する重要性といいますか、そういう認識は同じにお持ちだということでよろしいでしょうか。

〇五十嵐教育長 本県の高校生の約30%が進路として専修学校を選んでいるということで、これは、大学に行く生徒も就職する生徒も皆同じわけですので、そういう認識でおります。

〇伊沢昌弘委員 2点お伺いしたいと思います。
 最初に、少人数指導、30人以下学級を含めていろいろこの間議論してまいりました。平成13年度から少人数指導ということで支援事業が始まってきているわけですが、この間いろいろ議論がなされて、30人以下学級、30人学級を基本にした場合、小学校1年生、中学生でどの程度かかるかということで、一定程度の負担、18億円とかいろいろな話が出てきた経緯がありました。
 そこでお伺いしたいんですけれども、少人数指導というのは、言ってみれば、今の40人を基本とした学級がやはりうまくいかない、うまくいかないというか問題があるということで、文部科学省の方でも加配措置なり、いろいろなことを含めてやってきたのではないかと私は理解しているところであります。他県でも、いろいろな形で30人以下も認めますよ、ただし自前でどうぞおやりくださいという形の中で、今、22道府県という数字が出てきているんですけれども、そういったところが始めたと思っているところであります。
 そこで、実はお金がかかる話であってだめなのか、それとも中身で、少人数学級で、40人を基本として少人数配置をしながら複数配置をする、いろいろなパターンが今あるわけですけれども、こちらの方が絶対的に指導の状況ですぐれているという中で岩手県としてなかなか30人学級に踏み込めないのか。多くの方々は、30人学級を求める請願も含めてこの間ずっと続いているわけであります。現場の実態も含めて、この辺がどうなのか。
 平成13年度の実績、それから、平成14年度は学校いきいきプランを含めて緊急雇用創出特別交付金等々を含めながら多くの方々を非常勤職員として学校にも配置をしてきています。こういった実態を踏まえて、学校現場でこの少人数指導がどのような役割を果たしているのか、教育委員会としてのこれまでの経過を踏まえた御所見といいますか、実態を踏まえた問題点等があるのかないのか。こちらがいいのだということも含めてぜひお知らせをいただきたいものだと思うので、よろしくお願いいたします。

〇岩船小中学校人事監 少人数指導の取り組みについてでございますが、今年度、県教育委員会では、岩手県少人数指導支援事業によりまして、県単措置によって、小学校1年生にはすこやかサポート事業で86校に116名、小学校2年生から中学校3年生までには、国の第7次定数改善計画の少人数指導加配を使いまして219校に320名、さらに、緊急地域雇用創出特別交付金による学校いきいきプランとして73校に73名を配置してまいりました。あわせますと、378校に509名の教職員を配置してございますが、これらの教職員は、すべて30人を超える学級を抱える学校には配置できております。
 県教育委員会としましては、学習集団を柔軟に使い分けることのできる、そういった内容のことが国から改善計画の中で方針を示されておりますので、このことを踏まえまして、子供や教科の特性に応じて、必要なときは少人数のグループの中できめ細かな指導を行いましょう、あるときは特に配慮の必要な子供がいてチームティーチングによってより手厚く対応できる、こういうことから、本県では、学級編制は国の方針どおり40人としながらこの少人数指導を進めてまいりたいと考えております。
 具体的な少人数指導と少人数学級の考え方、効果等についての違いでございますが、1学級当たりの人数を今の40人編制から35人、33人、30人と引き下げていって、集団を固定して学級担任1人というのが少人数学級であります。一方、少人数指導というのは、学級編制は今のままの40人にしますよと。ただ、必要に応じて複数の教員で指導に当たったり、小集団に分けて学習を行っていきましょう。つまり、柔軟に学級を使い分けて学習集団等に編制する、こういうのが少人数指導でございます。
 例えば、小学校1年生について比較しますと、1クラスが30人という少人数になった学級であっても、担任は1人固定されたままでございますので、特に配慮の必要な子供に対しては指導の上で多くの困難が残ると予想されます。これに対して少人数指導ですと、担任のほかにもう1人担任が配置されますので、個別指導の必要な場面では即時に対応することができるということに加えまして、一方、他の子供たちに対してはもう1人の教員が継続して指導することができる。いわゆる複数の目で子供一人一人のよさをとらえていくことができるし、お互いが協力し合って授業を進めますので、教員同士の資質向上も図られると考えております。
 効果もいろいろ見受けられております。小学校1年生ですと、登校を渋る傾向にあった子供が多くその改善につながっている、あるいは、必要に応じて集団分けを行うので、学習意欲が高まって学力の向上の方にもつながっている、こういうデータも届いてきております。したがいまして、今後におきましても、各小・中学校の実態を考慮しながら、年次的な計画のもとでこの少人数指導を進めてまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 40人を基本としながら、今、国の7次定数改善計画の中で動いている、よって、このままでいいのだ。いいといいますか、すごくいいのですと、こういうことだと思うんですね。ただ、私は、常勤講師、正教員の配置ではなくて、1年生に非常勤講師ということでやっている、これは問題がないのかというのが一つひっかかっているんです。
 また、加配の部分で、小学校2年生から中学校3年生まで、先ほど219校に320名配置したと。ここには、常勤講師なのか正規の職員もこの加配の分で入っている方はいないんでしょうか。例えば、今40人で1クラスに担任の先生がいる。そこに、30数人で超えているからということで、何クラスか一緒に、こういったところに加配の分の先生がいわばカタるといいますか、子供の指導で各クラスを歩くと思うんです。そういったときに、多分ベテランの先生が若いクラス担任の先生がいるところにクラスの運営とかいろいろなことも含めて、いい面では御指導ができる。しかし、悪い面でいえば、その先生のやり方に対して、いろいろな意味でやり方が違う面もあると思うんですが、トラブルが起きている例があるんじゃないかという気もするんです。
 そういったところが一つ問題だと思いますし、1年生のすこやかサポートを非常勤講師の中でやっている。ここも正規の教員がやっていくというのであれば私はある程度納得ができるんですけれども、将来的にも非常勤講師ということでこのすこやかサポートの部分は続くものなんでしょうか。その辺改めてお伺いしたいんですけれども。

〇岩船小中学校人事監 まず、最初に、小学校1年生のすこやかサポートについてですが、これは、限られた財源を最大限効果的に使うにはどうしていったらいいか、こういうことでございまして、現在は、できるだけ30人を超える学校に手厚くいくようにということで、非常勤講師ということで配置してございます。今後、非常勤でさらに学校を広げていくのか、あるいは今のままで常勤講師に変えていくのか等さまざま問題がございますけれども、いずれ成果と課題を踏まえながら今後も検討してまいりたいと思います。
 それから、小学校2年生以上の国からの少人数指導加配でございますが、ここには本採用教員と常勤の講師を配置してございます。ちなみに、本採用教員は163人、常勤講師が157人となっております。

〇伊沢昌弘委員 40人で固定をしながらこの加配の人とか非常勤講師で少ない人数の指導ができる、これは大変いいことだと思うんです。ただ、将来的に40人というくくりを低くしていくつもりの一過程なのかどうかが一つのポイントだと思います。
 それから、なぜ40人でくくって今のような計画なのか。30人でくくった上で、一定程度のサポート、チームティーチングも含めた少人数指導。さらに区切るわけですよね、40人学級でも20人とか25人とかという教育ができますよという形なわけですから、何も最初のくくりが40人にこだわる必要がないんじゃないかと私は思うんです。
 最終的にはお金の話だと思うんですが、お金の問題で教育をどうするかという課題は、やっぱりここは他県の動向を含めて国にも考えてもらわなきゃならない部分ですし、今、教育改革の中で教育費に係る国庫負担の問題もあるわけですけれども、ぜひここは次世代を担う子供たちの教育ということで、そういった分野に岩手県としても踏み込むべきじゃないのかなと思うわけですが、改めて御見解を賜りたいと思います。

〇岩船小中学校人事監 いずれ、現在の国の編制基準は40人ということで進んでおります。まだこの少人数指導には手をつけたばかりでございますので、今後、いろいろ効果を見ながらぜひ検討してまいりたい、こう考えております。

〇伊沢昌弘委員 私も勉強させていただきたいと思います。
 もう一点ですが、博物館費にかかわって、平成13年度99万3、000円だと思うんですが、地元学センターの整備にかかわって若干支出をされている。平成11年からの総合計画の中でも多分あったと思うんですが、今までどのような準備段階なのか。建物云々ももちろんそうでしょうし、博物館の中で美術館が抜けたところを活用することもあると思うんですが、理念的にいわて地元学センターということで主要施策の五つの社会の中の一つに挙げられているわけなんですが、施策の展開の中には内容の御説明が載っていなかったものですから、改めて今の地元学センターの検討状況、そして、どのような構想があるのかということでお示しいただきたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。

〇小田野文化財保護監 地元学センターにつきましては、現在、どのような構想で、どのような性格あるいはどのような形で進めるか、基本計画は立てておるところでございますが、具体的にどのような中身でやるかということを去年は100万円ほどの予算で検討しているところでございます。ことしにつきましては、それを具体に形にするためにどういうものが考えられるかということで、これも100万円ほどの予算でございましたけれども、基本計画に基づいて絵をかくという形で現在仕事を進めているところでございます。

〇斉藤信委員 私も、最初に、30人学級の実現にかかわってお聞きしたいと思います。教育長にお聞きしたい。
 全国22の道府県で既に30人学級、少人数学級の取り組みが広がっていますが、どう受けとめているでしょうか。私は副知事にも聞いたんですが、教育長が当事者ですから、山形県教育委員会が行った少人数学級編制研究会の内容、成果について、報告書も出ています。教育長自身、全国のこの取り組みをどう受けとめているかお聞きします。
 岩手県でも少人数学級に踏み出すべきではないか、県教委内部では検討をしているのかしていないのか示していただきたい。
 31人以上の学級は、盛岡で、小学校で354学級、中学校で230学級となっています。大変深刻です。全県ではどのぐらいあるでしょうか。小学校1年生と中学校1年生ではどうなっているでしょうか。
 総括質疑の際に副知事は、小学校1年生と2年生で30人学級を実施すれば18億円かかると。私は、これはちょっと高い試算だと思うんです。新卒の常勤の先生を配置すると、こうした場合にどういう必要額になるのか示していただきたい。

〇五十嵐教育長 少人数学級についてのお尋ねですけれども、まず、全国で22道府県がそういったものに踏み切っていることをどう受けとめているのかということでございます。いずれ少人数指導については、どの都道府県でもいろいろな形で国の加配とか県単を活用して取り組んでいるととらえております。22道府県の内容を見ますと、県単の措置などによって学年を限定して少人数学級を編制している県が14県、一部あるいはモデル校や指定校を設けて実施しているのが8道府県ということで、22道府県がこういったことを実施していると把握してございます。
 山形県で主催した少人数学級編制研究会には本県の教育委員会からも出席し、少人数学級編制とか少人数指導の実施におけるいろいろな効果とか問題点などについて研究・協議をしてきたところでございます。報告によりますと、少人数学級を実施している県からは、目が行き届くようになって指導しやすくなったというような成果とか、あるいは、指導効果のデータがまだ始めたばかりで得にくい、費用対効果が見えないという課題も伝えられております。
 少人数学級、少人数指導については、各都道府県が、それぞれ地域の教育課題とか施策の効果等を踏まえながら、少人数指導、少人数学級などのさまざまな工夫や取り組みをして対応してきているものと受けとめております。
 本県においては、学級編制基準を国の標準どおりの40人を基本として、県単措置によるすこやかサポートや国の第7次の定数改善計画による少人数指導加配を最大限に活用しながら少人数指導を進めているということでございます。この取り組みによりまして、先ほど小中学校人事監から話がありましたように、今、いい効果が見えてきているという段階でございますので、その辺はもう少し見ながら現在のきめ細かな少人数指導を進めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては岩船小中学校人事監から答弁させます。

〇岩船小中学校人事監 県内の31人以上の学級数についてでございますが、平成14年5月1日現在で申し上げますと、小学校3、205学級のうち1、179学級、中学校が1、435学級のうち991学級ございます。それから、小学校1年生で31人以上の学級は、549学級のうち177学級、中学校1年生では、462学級のうち322学級となっております。
 続きまして、小学校1、2年生で30人学級を実施した場合の所要額のお尋ねでございますが、平成14年度の新規採用者の平均給与で試算しました。180学級の増、217名の人員増となりまして、約11億円の財源が必要となります。

〇斉藤信委員 岩手県が県単独で少人数指導、すこやかサポートをやったというのは、私は一歩前進だと思うんです。そういう成果もあると思うんです。ただ、山形県など22道府県がやっている少人数学級というのは、またそれとは質的に違った奥深い成果と変化が生まれている、私はここを率直に見なければだめだと思うんです。
 例えば山形県のアンケートでは、少人数のメリットを生かした授業改善、79%がきめ細かな指導ができたと。少人数学級で向上したと思われる基礎・基本などの取り組みについては、特にコミュニケーションの能力がついたが74%、子供と教師のかかわりの充実、これが最高の反応で84%だと。どういうことかといいますと、子供と教師の距離感がなくなったということなんです。私は、福島県にも聞きましたし、その他の県にも聞きましたが、先生の人相がよくなったと。余裕を持って一人一人の子供たちが見られるようになった。奥深い変化が、まだ部分的な実施ですけれども生まれている。
 実は、この報告書の中には、文部科学省から、文部科学省の方向とは違うと激しく抵抗されたと言っています。それを乗り越えて22道府県が独自にやっているというところに大変な重みがあると思うんです。そういう立派な報告書も経験も出ていますので、私は、県の教育委員会として、少人数指導も私は否定しません。しかし、今、さらに前進した取り組みがあるのですから、ぜひ全国の経験から学んで、最後まで文部科学省の枠ではなく、環境、ひと、情報、人づくりは岩手の柱の一つですから、この立場でやっていただきたい、これは教育長に要望しておきます。
 次に進みます。老朽校舎の耐震診断の実施と改築・改修について、小・中・高で耐震診断の対象となっているのはどのくらいでしょうか。耐震診断の計画が出ていますが、確実に実施される保証はあるのか、その経費はどのぐらい予想されるか。
 小・中学校の場合は災害時の避難場所となっていると思いますが、校舎、体育館で避難場所となっている老朽施設はどのぐらいあるでしょうか。私は、最優先でこの施設は改修すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 県立高校の場合、耐震診断がされたが、具体的に対策がとられていない高校、体育館が少なくありません。どのぐらいあるでしょうか。なぜ進まないんでしょうか。
 私は、県立高校の場合、農林水産部のところでも取り上げましたが、ぜひ木造の校舎に県としてチャレンジしていただきたい。全国に先駆けた立派な木造校舎をつくることを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

〇清水学校財務課長 まず、小・中・高で耐震診断の対象となるのはどのぐらいかということでございますが、耐震診断の対象となる昭和56年以前の建物で、耐震診断が未実施の建物は、小・中学校の校舎、体育館あわせまして1、088棟、高校の校舎、体育館あわせて61棟でございます。
 この耐震診断の計画が実施される保証ということでございますけれども、平成15年度から3年以内に耐震診断を計画しております棟数は、小・中学校の校舎、体育館あわせまして854棟、高校の校舎、体育館あわせて31棟でございます。県といたしましては、市町村に対しまして、計画に基づき耐震診断がなされるよう指導・助言していくとともに、高校につきましても、計画どおり実施できるように最大限の努力を重ねてまいりたいと思ってございます。なお、文部科学省では、耐震診断に要する費用を総務省に対しまして特別交付税で措置するよう要求していると聞いているところでございます。
 次に、耐震診断に要する経費につきましては、建物の形状あるいは構造によって異なること、また、診断に必要な資料といたしまして、主に構造図、意匠等の設計図書があるかどうかということによりまして経費が異なることから一律に金額を積算することは非常に難しいわけでございますが、実施した事例や設計業者の見積もりを参考にいたしまして1棟当たりの費用を設定いたしまして試算したところでございますが、それによりますと、小・中学校の耐震診断の計画数854棟を診断するとした場合には、約34億円ぐらい見込まれます。また、高校の31棟を診断するとすれば、1億2、000万円程度の費用が見込まれると考えてございます。
 次に、小・中の場合、災害時の避難場所となっていると思うが、校舎、体育館で避難場所となっている老朽施設はどのくらいかということでございますが、高校、体育館で避難場所と指定を受けておりますのは1、664棟でございますが、そのうち919棟が老朽施設で、耐震診断が必要な施設となってございます。
 次に、最優先で耐震診断、改修を実施すべきと思うがどうかというお尋ねでございますが、小・中学校の避難場所、避難施設の指定及びその施設の耐震化につきましては設置者であります市町村の判断によるものでございますが、県といたしましては、学校は、子供たちが1日の大半を過ごす生活の場でございますし、安全な教育環境を整備する必要があるとともに災害時の避難施設となっておりますことから、市町村に対しましては、計画に基づき、できるだけ速やかに耐震診断を実施いたしまして、改修が必要な施設につきましては速やかに改修に努めていくよう指導・助言してまいりたいと考えてございます。
 次に、県立高校の場合、耐震診断がされたが対策がとられていない校舎、体育館はどのぐらいあるかということでございますが、昭和56年以前に建設されまして、3階以上で1、000平米以上の校舎について、平成8年度から平成14年度までに62棟の耐震診断を実施及び実施中でございます。その結果、改修を要するものは49棟でございまして、そのうち17棟について改修を実施したところでございます。体育館につきましては、災害時の緊急避難場所に指定されている19棟について耐震診断を実施いたしました。その結果、改修を要するものは10棟となってございます。
 さらに、耐震化のための改修が進まない理由といたしましては、診断の結果、要改修と診断された棟数が非常に多いこともございます。したがいまして、耐震基準に適合するための改修には多額の経費を要することなどから改修の推進が非常に困難な状況にございますが、財政事情を勘案しながら、計画的に整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、木造の新校舎は今どのぐらいあるか、その評価はどうか、県立学校の改築に当たっては木造の校舎を検討すべきではないのかというお尋ねでございますが、小・中学校の木造の新しい校舎は、平成14年度建設中のものを含めまして、過去10年間で小学校18校、中学校4校、あわせまして22校が建設されてございます。ただ、このうち7校は、一部がRCづくりでございます。
 その評価でございますけれども、木材は断熱性や湿度調整にすぐれておりますし、また、衝撃吸収力が大きく、けがを防ぐ等の特性があると考えられまして、これらが相乗的に作用することによりまして子供たちに温かみと潤いのある教育環境が図られると評価されており、木造校舎にした学校では、子供たちや教師からの評判がよいと聞いてございます。
 県立学校の改築についてですが、学校建築物は、火災等の災害から児童生徒の安全を確保するため、耐火性能の高い建築物であることが要求されてございます。県立高等学校の建築に当たっては、実験実習棟の整備やクラブ活動のための用地を確保する必要もございます。したがいまして、限られた敷地を有効に活用する必要があることから、校舎の主要な部分は3階建て以上で建設しており、建築基準法上、耐火建築物として建築することとされておりますことから、木造で建築することは極めて難しいものと考えてございます。
 なお、今後の学校建築に当たっては、管理棟以外の産業教育施設等の改築に当たっては、将来の検討課題として、建築コストや用地の確保の問題などを含めまして十分に調査研究をしてまいりたいと考えてございます。

〇千葉伝委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いします。

〇斉藤信委員 簡潔に聞いているんですけれどもね。
 木造の県立高校については、耐震化は必要なんですけれども、これは、検証が必要だということで木造でだめだということではないですから。諸外国ではもう既に立派なものができていますし、私は改めて建築設計の専門家にも聞きましたけれども、可能性はあると。そういうときに岩手でやってこそ評価されるわけだから、ぜひ検討してください。
 最後にまとめて聞きます。県立高校の入試制度について、新しい入試制度について、この間、県民、各界からどのような意見が寄せられているか。調査書、面接で500点、学力検査で500点の入試となっていますが、調査書も面接も新たな入試科目となって、一層受験生に対して過酷な制度となるのではないか。
 面接で英語による質問等々が実施されますが、学力試験でリスニングテストがあり、特に必要ないのではないか。新たな負担をまた押しつけることにならないか。
 学力検査と調査書、面接の評価は学校ごとに基準を変えて3段階で行う。これは、受験生にはわかりにくく、高校の先生には新たな負担となるだけではないのか。受験倍率が1とか1以下のところが多いわけですから、シンプルな制度にすべきではないのか。受験倍率で1倍を割っている高校は全体で何校あるんでしょうか。
 体罰・セクハラ事件の対応について、昨年度の事件で重大な事件が発覚しました。盛岡市内の高校であります。さまざま調べましたが、なぜ長期にわたって校長や教頭に伝わらなかったのか、その点の調査はどうしたのか。そして、伝えなかった教師の責任というのはどういうものなのか。
 また、この間の処分について、繰り返し体罰事件を行ったにもかかわらず、文書訓告、口頭注意、この程度で済まされている例が少なくありません。私は、今までの体罰、セクハラに対する県教委の対応に甘さがあったということが最近社会問題化した大きな背景にあると思いますが、いかがですか。

〇伊藤高校改革推進監 入試制度について5点のお尋ねでございました。どのような意見が寄せられているかということでございますが、日程について、中学校の卒業式と十分調整をとってほしいなどということを寄せられたところでございます。また、面接につきまして、公平性、客観性を十分保障してほしいということが寄せられたところでございます。英語の応答試験につきましては、時間、配点、出題などについて寄せられたところでございます。
 二つ目でございます。調査書と面接、学力検査で500点ということでございますが、調査書の点数化につきましては、中学校2学年、3学年における学習の記録の評定を換算するものでございます。面接は、自己アピールカードや調査書の評定以外の部分をもとに、生徒の個性や長所、学校内外における諸活動のほか、高等学校における生活や学習に対する意欲等を適正に評価しようとするものでございます。
 3番目でございます。英語の応答でございますが、英語の学習におきましては、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことの4領域での指導がなされておりまして、特にも、今後、聞くことや話すことがこれまで以上に重視されているところでございます。現在は、聞くことについては検査してございますが、話すことについては確認できていない状況でございまして、こうしたことから話すことの検査を実施するものであり、内容といたしましては、中学校における日常の学習で十分に対応できるものと考えてございます。
 4番目でございます。3段階選抜はわかりにくいという御指摘でございますが、これは、学力だけではなく、受験生の意欲や関心を評価するためのものでございまして、県内の中学校1、2年生にはこの5月にパンフレットを配布し、周知を図ったところでございます。今後におきましても、各中学校において志望する高校等の具体の選考について十分説明してまいることとしてございます。
 なお、高等学校におきましては、その負担を軽減し、誤りのない入試事務を行うために、処理ソフトの準備等を検討しているところでございます。
 最後でございますが、今年度の受験倍率が1倍を下回った学科を有する県立高校は52本分校でございます。実質志願倍率は1.04倍でございました。
 この新しい選抜方法でございますが、生徒の個性や興味・関心、進学意欲などを多面的に確認するものでございまして、各高等学校が、その教育目標のもと、入学した生徒を自信を持って3年間指導し、しっかりと育成して卒業させるという責任のもとに行うものであることから、倍率のいかんにかかわらず、その生徒を理解し、選考することが必要である、このように考えてございます。

〇小原教育次長 体罰とセクハラの関係でございます。
 最初に、お尋ねのありました学校の体罰についてでありますが、なぜ長期間伝わらなかったのかということでございます。3月から11月まで発覚しなかったということでございますが、その間、行為者本人はもちろんのこと、事実を知っていた教員からの報告もなく、管理職も把握し得ないでいたということはまことに残念なことだと思っております。このことは、情報伝達あるいは上司への報告、それから生徒からの相談体制等に問題があったと考えておりますし、また、生徒指導上の問題を担当教員だけの問題としてとらえてしまい、他の教員の指導には口を出しにくいといった雰囲気があったものとも考えられます。この件につきましては、管理監督者としての責任を問いまして、関係校長2名を訓告処分にしております。
 県教委といたしましては、こういった反省を踏まえまして、全県立学校で校内組織体制の一斉点検あるいは校内研修会等を行って、さらには全県立学校長のマネジメント研修等をやって指導の徹底を図っているところでございます。
 それから、この種事案の処分が甘いのではないかというお尋ねでございますが、いずれこういった事案が発生した場合には、その行為に至った経緯でありますとか対応とか、あとは児童生徒の被害の状況等々、総合的に勘案します。さらには、他県の事例とか過去の処分等々も参考にしながら適正に処理してきたものと考えております。
 しかしながら、こういった体罰等への対応につきましては種々御批判もあったことから、他県の状況等々も参考にしながら検討を行いまして、本年6月に処分基準を制定し、公表いたしたところでございます。こういったものを公表することによりまして、処分決定に当たっての透明性の確保とか、あるいは教職員に対しましてさらなる自覚を促して不祥事の未然防止を図ってまいりたいという意図がございます。いずれ、今後は、こういった基準に沿って厳正に対処してまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 これで最後ですが、入試制度について、例えば今までも調査書があった、面接もありました。しかし、これは点数化されなかった。それでも内申書というのはなくしてほしいというのが生徒の一番の強い要望です。今回それが点数化される。面接も点数化される。どういうことかというと、受験科目なんですよ、面接が。そういう形でますます受験生の負担が重くなる。今、聞きますと、52本分校が1倍を割っているわけでしょう。基本的には希望者が全員入れるような客観的条件があるのに受験の制度、科目をますます過酷にしてしまうというやり方は、私は全く逆行しているのではないかと思います。もっとシンプルなものに改善すべきである、これは指摘だけしておきます。
 今、セクハラ、体罰の件で、私は、反省するならやめようと思ったけれども、反省がないので、一つだけ例を挙げます。たくさんあるんですが、一つだけ挙げます。6カ月間に3件の体罰事件が明らかとなった高校で、処分は文書訓告です。この加害教師は、教頭の制止を無視して、教頭をける、体当たりして倒すなどの事件も指摘されています。校長からの事故報告書では、体罰、セクハラと騒がれても仕方のない内容であると報告されています。こういう事件が何で文書訓告なんですか。何の基準があってこういう処分になるのか。そういう件数がたくさんあるんですよ、5年間全部調べたけれども。私は、そういう反省に立って今度の基準が出たというのならわかるけれども、今まで適正だったと、そういうことでは、本当に今後も実行されない。
 もう一つ最後に聞きますが、事故報告書については、東京都の教育委員長は、きちんと被害者からも聞きなさい、意見が違った場合には併記しなさい、こうなっています。岩手県の事故報告書には、被害者――生徒からの調書が義務づけられてないんです。だから間違った報告書もあるんですよ。私は、そういう点もきちっと改善していただきたい。どうですか。

〇小原教育次長 先ほどお話しいたしましたが、処分につきましては、いずれ、社会の情勢の変化とか県民感情とか、そういったものも考慮してやるわけですが、その時々で厳正、適正に処理してきたとお答え申し上げました。いずれ、そういうこともあって今回は基準を示したということでございます。
 それから、事故報告書につきましては、様式等もあろうかと思いますが、いずれ、加害の教員なり被害を受けた生徒なり、それぞれ事情はきっちり把握いたしまして処理しているところでございます。

〇千葉伝委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉伝委員長 質疑がないようでありますので、教育委員会関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時10分 散 会


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