平成14年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信です。通告に従い質問します。
 まず、経済交流総合戦略の策定について提言を交えてお伺いします。
 ことし5月に知事が中国の山西省、河北省、遼寧省を訪問され、その後の記者会見において感想などを述べられています。すなわち、山西省では民間レベルで観光面の交流が行われていることや、黄土地帯であって黄砂など環境問題があること。河北省では県立大学と向こうの社会科学院とで学術交流が行われていること。遼寧省、ここは旧満州の一部で本県ともなじみがあるところですが、特に大連市においてワカメの加工施設やアワビの研究生産施設を見学されたこと。そして、これらを総括して、中国は巨大市場であるが、こちらから乗り込んでいけるような戦略か何かが考えられないかと結んでおります。
 私も同感でございまして、今進めている海外との交流は、姉妹都市交流の促進とか訪問団の交流とか、ショートステイなどの外国人の一時的な受け入れといったたぐいが多いように思います。幅広くいろいろな国や地域と交流することも必要でありますが、海外の特定の地域にターゲットを定め、長期的に幅広い連携、経済交流を進めるならば、例えば知事が訪問された中国東北部であれば、水産物や工業製品等の物的交流、これに学術、観光、環境対策などを含め、相当数の人的交流も考えられます。このように、交流先と堅実に長期的な取り組みを続けるなら、物流、人流とも安定した需要が生まれる、需要があれば花巻空港にも海外直行便が登場するし、それが頻繁になれば検疫や税関が必要となるでしょうから、ひいては花巻空港の振興も図られると思います。
 そこで、千田知事の大県構想、工藤知事の教育立県に並ぶような基本構想として、経済交流総合戦略を策定すべきでないかという観点で知事にお尋ねします。
 第1に、今後、海外の特定の地域、例えば中国東北部などにターゲットを定め、経済交流を行うというようなお考えがありましょうか。
 第2に、ターゲットとする海外の特定の地域と本県との経済交流を促進するため、農業、水産業、製造業、観光、環境など本県の持てる力を全部結集して、あるいは北東北3県が結集してという考えもありましょうが、全面的な物的、人的交流を図るというような構想を樹立し、その実現を図るというようなお考えはありましょうか。
 次に、北東北3県・北海道ソウル事務所についてお伺いします。
 昨年9月に本県で開催された北海道・北東北知事サミットにおいて、北東北3県に北海道を加えた4道県合同で、ソウルに事務所機能を整備する方向で検討する旨合意がなされ、また、ことし8月に秋田県で開催された同サミットにおいても、11月の開設を目指す旨が合意され、このたび今月19日、本県としては初めての海外事務所の開設に至ったところであります。当日は、私も開所式に出席しましたが、日本及び現地韓国から総勢200名を超える招待者が集まり、4道県の知事、議会議長等の出席のもと、盛大に記念式典が開催され、韓国政府、関係機関・団体の方々と相互に交流を深めたところであります。
 韓国経済は、御案内のとおり、97年末にIMFから資金支援を受けるという金融危機に陥りましたが、金融、企業、労働、公共部門の4大部門に対する改革を進めた結果2年足らずで立ち直り、サッカーワールドカップを成功させ、ことしは6.1%の経済成長を見込むほどと聞いております。また、11月4日に日本、中国、韓国によりプノンペン市内で開催された首脳会議において、中国の朱鎔基首相が日中韓の3国間での自由貿易協定の締結を提案したと報じられるなど、近い将来、東アジア地域が一つの貿易圏として急速に統合されていくことが期待されるかのような動きも見られるところであります。
 そこで、知事にお尋ねしますが、ソウル事務所開設のねらいは何か、本県にどのような影響を与えるのかお伺いします。
 次に、交通安全対策についてお伺いします。
 本県は、四国4県に匹敵するとも言われる広大な県土であり、県民生活や産業振興などに最も影響がある交通機関は自動車であります。自動車交通にとっては、道路網の整備も重要な課題でありますが、それとともに、痛ましい交通事故をいかにして防止するかという交通安全対策が非常に大切であると考えております。全国では、第7次交通安全基本計画に基づく種々の施策を積極的に展開していることもあって、交通事故による死者数が減少傾向を示していると聞いております。
 本県においても、交通事故による死者数は昨年よりも減少しているものの、年当初から一度に数名の方が死亡する事故が発生したり、若者による飲酒、暴走などが原因となる悪質な事故が連続して発生するなど、その実態は、重大化、悪質化しているのではないかと思われ、特にこれから厳寒期を迎えることもあり予断を許さない状況にあると思います。
 交通安全対策として、新聞報道などでスピード違反などの悪質な違反取り締まりがクローズアップされておりますが、私は、一般的には見逃されがちなのですが、交通信号機や横断歩道などの交通安全施設の整備が非常に大切ではないかと常々考えているものであります。事実、県民の方から私に寄せられる要望の中には、子供たちの通学路にぜひ信号機を設置してほしいといった信号機の増設要望や、車の通行量に応じて待ち時間が変わる手押し信号機が欲しいといった信号機の改良要望がありますし、ここは足の遅い高齢者の方々が頻繁に横断するのでといった横断歩道の設置要望など、交通安全施設の整備充実に関するものが大変多く含まれております。これを見ても、県民がいかに交通安全施設の整備充実に高い関心を持ち、そして交通事故防止を願っているのかがうかがえるところであります。
 そこで、お尋ねしますが、県警察では交通信号機や横断歩道など交通安全施設に係る県民の要望をどのように把握しておられますかお示し願います。また、把握された県民の要望はどのように反映されておられるのかお聞かせ願います。
 次に、交通事故相談所についてお伺いします。
 先日、県民の方から私のところに相談があったのですが、その方の話はおよそ次のとおりでした。自動車を運転中に車両同士の衝突事故に遭い身体損傷を受けたが、相手側の損害保険会社の提示した額が余りにも安かったので、県民生活センターの交通事故相談所に足を運んだ。相談所では、提示された額が安過ぎるのではないかという相談に対し、事故当事者の一方の側の話だけを聞くわけにはいかないということであった。また、訴訟を起こした方がいいかという相談には、裁判にかかわることなのでと答えず、弁護士会を紹介するにとどまった。なお、相談所から、損害保険会社が支払う保険金等に不満がある場合には、交通事故紛争処理を専門に扱う全国ベースの組織があると紹介され、これは役に立った。
 そういうことで裁判になったが、相手側の保険会社が偏った工学鑑定書を出してきたため、交通事故相談所に足を運んだが、交通事故の工学鑑定というのは、事故の痕跡、車の変形、現場の状況等から工学的に事故直前の車の運動状態を推定し、事故原因を解明するのに用いられるもので、アメリカでは鑑定を行う公的資格所有者もいるということだが、日本ではまだ一般的ではないので、偏った工学鑑定でないかと相談されても、何とも言えないということであった。ほぼ孤軍奮闘に近い状態であったが、裁判は10倍以上の金額で勝訴した。自分としては、裁判を起こして勝訴したが、岩手県民の辛抱強さや我慢強さを逆手にとって、あたかも県民を食い物にするような損害保険会社には今でも腹が立つ。それで、中には損害保険会社の言うことをうのみにし、泣き寝入りをしている県民もいると思うので、交通事故相談所においては自分のような例を糧としてほしいということでありました。
 私のところに持ち込まれたのは裁判になった事例ですから、ごくまれなこととは思いますが、本県での交通事故相談体制はどうなっているのか気になったので調べてみたところ、県行政組織規則には交通事故相談所という組織はありませんし、県職員録にも載っていませんので、県の出先機関という位置づけではないようです。でも、実際に県民生活センターに問い合わせてみると、交通事故相談所があり、多くの相談に応じているということでした。
 そこで、お伺いしますが、交通事故相談所はどのような仕組みで設置されているでしょうか。体制や役割はどのようなものでしょうか。年間の相談件数、相談員の研修はどうなっているかなどを含め、交通事故相談所の概要をお聞かせ願います。
 次に、県内における福祉活動団体への支援についてお伺いします。
 先日、地元紙に、沿岸部のNPO法人が、精神障害などの克服を目指す若者を受け入れる施設おもしろ学級の授業を初公開したとの記事が掲載されておりました。この公開授業では、投薬治療を続け家に引きこもりがちだった2人の若者がパソコンを操作して、自然観察活動の資料づくりのための文書や写真の入力練習が披露され、同法人の理事長は、社会復帰を目指して頑張る人たちを支援する活動の輪を広げていきたいと意欲を語っておられます。
 このように新聞に取り上げられたもののほか、県内においては、NPO法人やボランティアグループ、障害者などを抱えた親の会など、各種の福祉活動団体がさまざまな活動を展開されており、皆様の思いやりの心と行動力に深く敬意を表するものであります。
 平成12年に改正された社会福祉法においては、地域住民、社会福祉事業経営者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力して福祉サービスを必要とする住民のための福祉の推進に努めなければならないものとされております。このような観点に立つとき、それぞれの地域に合ったきめ細かいサービスが提供され、共助の精神に満ちた社会が形成されていくためには、こうした福祉活動が重要なかぎの一つになるのではないかと考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、県内における福祉活動団体のこのような活動に対して、県としてはどのような支援がなされているでしょうか。また、今後そのような活動の活発化に向けどのように取り組んでいこうとされているのか、あわせてお示しをお願いします。
 次に、稲荷街道の保存と煙山森林公園の整備についてお伺いします。
 稲荷街道というのは、南部氏の祈願所・志和稲荷神社への参道として、盛岡藩13代藩主の南部利済公が日光街道を模して改修整備したとされる街道で、現在、盛岡四高の入り口付近に看板表示がある川久保一里塚を起点として、紫波町の志和稲荷神社まで約16キロの区間を指すものであります。
 昨年11月に矢巾町山岳協会などが中心となった稲荷街道を歩く会実行委員会が主催して、岩手公園から稲荷街道を通って志和稲荷神社までのウオーキングを行いました。新聞等では、歩く会の140人・郷土の歴史再認識とか、壮観な松並木・保存の機運も、といった記事が掲載されたところです。
 私はことしになってそのウオーキングに参加しましたが、景観が非常によい上、御用御屋敷跡、何カ所もの一里塚など、ところどころに松並木、堤などいろいろなものがあるので、これはやり方によっては立派な観光資源になるのではないかと思います。このような旧街道跡に残された貴重な資源については、伐採を防ぎ、看板表示を行うなど、ぜひ保存するよう促していただきたいと提言する次第であります。この稲荷街道の保存にかかわって、当面する懸案事項がありますのでお尋ねします。
 稲荷街道のうち、林業技術センターの東側、現在、煙山森林公園として整備中の土地を通って、樹木園を抜け、パストラルバーデン付近の岩崎御用御屋敷跡に達する区間についてですが、林業技術センターの北東部分は約300メートルにわたって樹齢約170年と推定されるナンブアカマツが40本ぐらい整然と並ぶ松並木街道が残っており、真東の部分は松の木が点在する空き地、真南の部分は園地となっております。この松並木群の隣接地から松が点在する空き地までを含む約10ヘクタールの県有地を煙山森林公園として整備しているところです。
 そこでお伺いしますが、林業技術センターの真東の空き地に点在する松の木は、伐採しないで保存すべきと思いますがいかがでしょうか。その空き地部分の旧街道跡に遊歩道のようなものを整備してはどうでしょうか。また、難しいかもしれませんが、真南部分の園地に、パストラルバーデンから煙山森林公園にアクセスする道路を整備できないものでしょうか。この3点についてお聞かせ願います。
 次に、ベンチャー企業の育成についてお伺いします。
 企業が効率的な事業環境を求めて国境を越えて自由に企業活動を展開するという経済のグローバル化が進展しており、産業競争力の弱い地域は経済の衰退を余儀なくされる厳しい状況を迎えております。
 本県においても、地域経済を支えてきたメーカーなどが、海外に工場を移転し、県内の工場を閉鎖するという事態が続いています。このため、県外からの企業誘致に力を入れることも重要であると思いますが、それとともに、内発型の企業育成、特にベンチャー企業の育成が課題であると考えるものであります。
 先月、平成10年に開所した千葉県の東葛テクノプラザを視察しましたが、県が柏市に設置したこの施設は、県内の中小企業の側にある研究シーズに対して、学者を紹介し、高度高額な計測機器類を低料金で使用させ、研究室を貸与し、立ち上げの際は資金を出して新事業に挑戦させるというやり方でベンチャー企業の支援を行うものです。
 常磐自動車道の柏インターから車で5分という位置にあり、国立がんセンター、東京大学柏キャンパス、千葉大学園芸学部、柏レイソルのサッカー場などが立地する中という環境にあり、千葉県内に理工系大学が10カ所もあるなどの条件を生かした施設です。
 視察では、現在この施設に入居中で、今新製品を開発し販売しようとしている二つの企業を訪問できました。1社は、磁場を用いて振動を与えながら、生物の細胞を破壊しない状態で長期保存できる冷凍装置を開発したというもので、実際に試食すると、解凍後の魚介類やリンゴなどの風味・食感は生の状態に近いという説明でした。もう1社は、もともとプレス金属製作会社ですが、畑違いの新事業に挑んだ結果、一酸化炭素のみに反応するセンサーの開発に成功したというものです。現在、ガス検知器は多数ありますが、一酸化炭素のみに反応するというものはないとのことで、今後、工事現場や炭火焼き店など、幅広い販路が見込めるということでした。
 どちらも本格的な販売はこれからですが、この2社だけでなく、貸し研究室に入居している41社中17社が新製品を開発し、4社が販売開始という成果が出ているという説明でした。
 私はこの視察を終えて、本県も新しい事業を次々と起こしていけるような意欲的な起業家の育成あるいは技術革新を促すようなベンチャー企業の育成、こういったシステムをしっかりとつくっていく必要があると痛感したところであります。
 そこで知事にお伺いしますが、県はベンチャー企業の支援に取り組んでいると思いますが、これまでのところでどのような状況にあるのでしょうか、何か成果は出ているものでしょうか。また、今後どのような取り組みをしていくのかお示しをお願いします。
 次に、下水道の整備促進についてお伺いします。
 下水道は、県民が衛生的で快適な暮らしを享受できる生活環境の改善を図るとともに、河川や海域など公共用水域の水質保全を図る上で必要不可欠な公共施設であります。
 このため、下水道整備に対する要請はますます強くなっており、県の総合計画において、平成22年度末における下水道などの汚水処理施設の整備率80%を目標とし、市町村においてはその目標に向かって積極的な整備促進に取り組んできておられるところであります。そして、下水道の整備が進むにつれて、隣接する未整備の地域からも早期の整備を望む声が多くなってきているところであります。
 このようなことから、県民が等しく下水道の恩恵を受けられるよう、一層力を入れた施設の整備促進が必要なわけですが、汚水処理施設全体の整備状況は現在どのようになっているでしょうか、お示し願います。
 また、施設が整備された後のことを考えますと、当然、処理場の運転や維持管理などのため恒久的に経費が必要になってきます。これは利用者の負担になるわけでありますが、下水道をより利用しやすく身近なものにするためにも、経費節減などの努力が非常に重要になってまいります。
 さらに、下水道の普及とともに、処理場から発生する汚泥の量も確実に増加していくわけですが、この汚泥を処分するためには、多くの労力と費用が必要になるものと推測されます。このように、施設建設後の施設の管理における経費の節減や汚泥処分は、県内すべての市町村に求められる共通の課題であると認識しておりますが、県は、これまでこれらの問題についてどのように取り組まれてきたのか、また、県の今後の取り組みについて、お考えがあればお聞かせ願います。
 次に、県有地の処分及び適切な管理についてお伺いします。
 県では、県有地の有効利用の促進及び財源確保の観点から、平成11年12月に県有未利用地等の処分・活用に係る指針を定め、将来とも、公用あるいは公共用として利用する見込みのない土地などについては、積極的かつ計画的に処分を進めていると承知しておりますが、昨年度と今年度における未利用地等の処分状況、実績はどうなっているのかお示し願います。
 また、地方財政法第8条に、地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならないと規定されており、県民の大切な財産である県有地の適切な管理が求められているところです。しかし、使われなくなった土地の草や木が伸び放題になっていると報道されたこともありますし、報道されないまでも、県民の方から私のところに、雑草などが伸び害虫が発生して困っているという相談が寄せられるなど、必ずしも管理が十分でないところもあるやに見受けられます。
 広大な県土に点在する県有地の維持管理をすべて適切に行うということは容易なことではないと思いますが、県有地は公金が形を変えたものにほかならないものであるということをいま一度認識し、適切な管理に努める必要があると考えます。県有地の適切な管理についての基本的な考え方はどうか、お聞かせ願います。
 最後に、身体障害者を対象とした県職員採用試験について、提言を交えてお伺いします。
 ことし7月、秋田県の某新聞に、県職員採用試験 身障者欠格条項の一部撤廃 点字や手話認める 人事委、ことしから実施、という見出しの記事が出ました。その内容は、秋田県人事委員会は、身体障害者を対象とした県職員採用初級試験の受験資格に定めている欠格条項の一部を撤廃し、点字での受験や手話による面接などを認めることを決め、本年度の採用試験から実施するというものでありました。欠格条項というのは、心身に障害があることを理由に資格取得や免許取得を制限するものですが、本県においては、バリアフリーから、さらに進んでユニバーサルデザインという段階にありますので、身体障害者の雇用拡大を目指した取り組みとして、活字印刷文対応可能とか、口頭試験対応可能などの条件を削除して、点字や手話による採用試験を実施できないものかと思います。
 本県においても、歩行障害者などの県職員採用は実績がありますし、身体障害者法定雇用率は達成していると聞いておりますが、聴力障害や視覚障害についてはまだこれからであると思います。実際の配属先を考えると、視聴覚障害があっても差し支えがないような職種や勤務できる職場環境を整えることが課題であるということは重々承知しています。しかし、人事委員会としては、まず受験資格を与え視聴覚障害者に門戸を開き、視聴覚障害者に希望を与え活躍の場を広げるという意味で、このような欠格条項の撤廃について、一歩でも半歩でも取り組まれるべきと思います。
 そこでお尋ねしますが、東北各県では、身体障害者を対象とする県職員採用試験において、かかる欠格条項を撤廃し、採用試験に点字や手話を導入している県がどれだけあるのでしょうか。また、本県においては、かかる欠格条項の撤廃について、採用試験に点字や手話を導入することについてどのようなお考えであるかお示し願います。
 以上をもって私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、経済交流総合戦略の策定についてお尋ねがございましたが、これまでの海外との交流につきましては、農業研修や物産展、青少年派遣など、それぞれ交流目的が明確な分野での交流を、中国を初めとした東アジアや欧米などの国においては進めると、今、議員からお話があったように、分野ごとの交流という観点でやってまいりました。
 近年、中国との関係では、酸性雨や黄砂といった環境問題、それから製造業の移転に伴う産業空洞化、安価な農林水産物の輸入による生産者への影響、食の安全に対する消費者の不安などが問題になってきておりまして、いわゆる中国脅威論が取りざたされるというような状況になってきております。
 しかし、本年5月、実際に中国を訪問した際に私が感じたことでございますが、高速道路の整備が飛躍的に進展するなど、目覚ましいスピードで進む経済発展を目の当たりにしまして、身をもって感じたわけですが、こうした巨大生産地は、一方で巨大なマーケットにもつながるということであって、これをただ単に脅威としてだけとらえるのではなくて、むしろ環境面での共同研究、造林による砂漠化の防止、それから、産業面でも、生産工程における機能分担など、持てる力を相互に補完し合いながら、双方の地域経済の発展に大きく寄与するようなさまざまな施策を今後考えていかなければならないのではないか、こういうことでございます。
 今、中国で進展しているメガリージョン、大きな経済圏との交流ということを考えた場合には、本県単独で交流するというのも確かに一つの方法ですが、それでは余りにもスケールが違い過ぎるという部分もありまして、他県と共同しての対応の方がより多様で厚みのある交流になるのではないかということも感じたところでございます。
 今後県では、議員からお話ございましたように、現在、中国東北部との経済交流を進めている東北経済連合会がございますので、この東北経済連合会などとも歩調を合わせながら、中国東北部ということを念頭にお互いのつき合い方を考えていきたい。お隣の国であり、昔からなじみの深い地域でございまして、東北経済連合会では、ことし現地の方に訪問団を出して向こうとつながりをつけておりまして、来年は、今度は中国の東北部の方から大型の訪問団がこちらの方に来る予定にもなっております。東北経済連合会などとも歩調を合わせて、双方の民間企業のニーズを把握して、あわせて今般開設したソウル事務所なども活用し、まずは東北6県レベルでの経済交流の可能性やそのあり方について、広く調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 次に、北東北3県・北海道ソウル事務所についてでございます。
 冒頭に、去る11月19日の事務所オープンに際しましては、谷藤県議会議長を初め、5人の県議会議員の皆さん方にも御出席いただきまして、盛大に開所式典が開催できましたことに対しまして、まずは御礼申し上げたいと思います。
 この事務所でございますが、これは北東北3県及び北海道における広域連携施策の一環として開設した、全国初めての複数の地方公共団体による海外合同事務所という位置づけでございます。世界に誇れる我が平泉文化や陸中海岸、八幡平などの豊かな自然、さらには雄大なスキー場、多彩な温泉など、魅力あふれる観光資源に恵まれました本県にとって、今後とも高い経済成長が見込まれるお隣の韓国は、高所得者層の多いソウル特別市を中心に、大きな潜在的な観光需要を有しておりまして、国際観光の推進を図る上で非常に有望な市場であると考えております。
 こうしたことから、本事務所においては、誘客宣伝活動を展開する上で、今まで、実際には個々にやってきたわけですが、こうした各道県個々に実施するよりも大きなインパクトを与えることができるという、合同事務所ならではのスケールメリットを十分に生かしながら、当面、韓国からの観光客誘致を中心に業務を進めることとしているわけであります。
 今後は、韓国でも高い需要が見込まれる海産物、めん類、地酒などの特産品の販路開拓、それから、修学旅行などによる青少年の交流、伝統芸能などの文化交流、地場企業と韓国企業との技術提携の支援など、段階的にこのソウル事務所の業務の拡充を図って、これからの相互のそれぞれのメリットにつなげていきたいと考えております。
 本事務所を拠点にこのような活動を積極的に展開することによって、本県の観光産業や地場産業の振興、さらには、多様な交流を通じた地域の活性化が図られるものと考えております。
 次に、ベンチャー企業の育成についてでございますが、経済のグローバル化や技術革新など、経済環境の変化に対応できる強い産業構造を構築していくために、独創的な技術、アイデアを持って新しい事業に果敢に挑戦する起業家やベンチャー企業を育成していくことが極めて重要と考えているわけであります。
 このため、起業家精神の涵養と創業ノウハウの習得を目的とするいわて起業家大学というものを全国で初めて開設いたしまして、これまで336人の終了者がそこから出ておりますが、このうち57人の創業者を排出しております。57人が創業にこぎ着けております。それから、盛岡駅のマリオスのところに入っているものでございますが、いわて新産業創造センターなどのインキュベート施設において、56社の事業の立ち上げを支援してきたところでございます。これは、花巻市ですとか、北上市ですとか、そういった地域の起業家支援センターなども含めて、県全体としてのインキュベート施設でございますが、56社の事業の立ち上げを支援してきています。
 また、中小企業創造活動促進法に基づいて、125件の研究開発事業計画を認定して、研究開発資金の助成などの支援を行ってきております。これは、北海道・東北の中では、ほかの県などに比べて圧倒的に引き離して125件、ここで計画を認定して、資金を提供した。その結果、操作性とデータ処理能力にすぐれた医療画像診断システムや温熱保温効果の高い介護用シャワー入浴装置の開発など、独創的な技術を有するベンチャー企業が、その中から今育ってきているところでございます。
 今後は、こうしたベンチャー企業をさらに成長させて、成功事例を積み重ねていくことが重要でございまして、成長を目指す意欲的なベンチャー企業に対する密着した経営支援、いずれは企業化になったものを、会社が大きくなるに連れて、マネジメントとか、今度は市場のマーケティングなども必要になってきますので、そういった段階に進んでいくためにしっかりとした経営支援をしていく、そういうことをしっかりとやっていきたいと思います。
 それから、本年4月に創設して、既に県内の2社に投資を行っておりますが、いわてインキュベーションファンドによる支援というものも、一方でこれからさらに行っていきたいと思います。これは、将来の株式上場を目指して、新たに県で10億円のファンドでつくったものでございますが、もう既に2件に投資を行っております。こうした支援なども行っていくことによりまして、地域経済の先導的な担い手となるという役割が期待されておりますベンチャー企業を数多く育成してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕
〇環境生活部長(時澤忠君) 交通事故相談所の概要についてでありますが、本県では、県民生活に関する相談機関であります県民生活センターに、交通事故関係の専用の相談窓口を置きまして、交通事故相談を行っているところであります。そこに専任の交通事故相談員を3名配置いたしまして、また、岩手弁護士会の協力を得まして、月6回弁護士に来所いただきまして、面接、電話等による相談に応じているほか、各地方振興局に出向きまして巡回相談を実施しているところであります。
 相談窓口では、交通事故被害者等が抱えます損害賠償問題などの一般的な相談に応じておりますが、相談内容によりましては、司法手続によらなければ問題の解決が困難な事案、あるいは関係機関の協力を得なければ解決が図られない事案というものもございます。例えば、訴訟を起こし、裁判で決着したいという相談の場合には、裁判手続の説明や日弁連交通事故相談センターへのあっせんを行っておりますし、また、保険会社が支払う保険金または損害賠償額に不満があるというような相談の場合には、交通事故紛争処理センターへのあっせんを行っているところでございます。
 これらの相談業務及び巡回相談につきましては、ポスターの掲示、ラジオの県政番組等を通じまして広報を行っておりまして、平成13年度では1、417件の相談がありました。うち81件は、巡回相談において取り扱ったものであります。
 交通事故相談員の研修についてでありますが、内閣府主催の中央研修会、あるいはブロックの事例研究会へ参加させているほか、実務を通じて弁護士から指導をいただいているところでありますが、さらなる資質の向上及び知識の高度化に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕
〇保健福祉部長(長山洋君) 県内における福祉活動団体への支援についてであります。
 御案内のように、県内各地域で自分たちの手で住みよい地域をつくっていこうと、さまざまな団体の方々が地道な活動を続けておられることに対しまして敬意を表しますとともに、また、心強いものを感じております。県では、このような団体に対し、赤い羽根共同募金の配分とは別に、主として県が出捐等を行っている基金からの助成等を通じて、その活動を支援しているところであります。ちなみに昨年度におきましては、岩手県福祉基金において一般の社会福祉法人も含め、延べ50団体に合計で3、600万円、高齢者保健福祉基金では23団体に約2、600万円が助成されており、また、福祉活動に限りませんが、公益信託いわてNPO基金においては36団体に約1、000万円の助成が決定されております。
 さらには、こうした資金的な支援のほかに、その活動、交流や相談活動の拠点として、ふれあいランド岩手、岩手県ボランティア活動振興センター、いわてNPOサポートルームなどを提供し、その育成・支援に努めているところであります。
 県としましては、地域の住民や団体が、地域の福祉課題等に目を向け、関係機関と力を合わせて課題解決のために各種の活動に積極的に取り組んでいくことが、地方分権の時代にふさわしい地域における福祉社会づくりの大きな原動力になるものと認識しております。したがいまして、今後におきましても、これらの活動団体等の意見もお聞きし、相互の一層の連携の確保に努めながら、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐々木正勝君) 煙山森林公園の整備についてでありますが、まず、お尋ねの林業技術センター付近にあります松の木につきましては、自然景観の保全を図る観点から現状のままで保存することとしております。また、遊歩道の整備につきましては、この森林公園が来園者によるアカマツの観察や自然との触れ合い、散策などの憩いの場として、隣接する松並木街道と一体的に活用できますように、公園整備区域内の旧街道跡に幅約18メートル、長さ200メートルのグリーンベルトを設け、遊歩道としての機能もあわせ持つものとしております。
 なお、パストラルバーデンから煙山森林公園にアクセスする道路の整備につきましては、林業技術センターの機械研修用地及び樹木園の相当部分が道路用地として必要になりますので、センターの業務に支障を来すことから困難でありますので、御理解をいただきたいと思います。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕
〇県土整備部長(猪股純君) 下水道の整備促進についてでありますが、まず、汚水処理施設の整備状況については、平成13年度末における本県の公共下水道、農業集落排水及び合併処理浄化槽などを含めた汚水処理施設全体の整備率は、平成12年度末に比べ3.9ポイント伸びて53.2%となっております。これは、全県域汚水処理実施計画の目標値に対して1.3ポイントほど上回っておりますが、全国の整備率73.7%に比べまだまだおくれている状況であり、今後ともさらに整備促進を図る必要があると考えております。
 次に、建設後の施設管理経費の節減と汚泥処理に対する取り組みについてでありますが、これまで処理場の施設整備に当たっては、運転時に省力化や電力料の低減ができる新しい処理方式の導入に努めているほか、平成13年度には東和町において、公共下水道と農業集落排水との接続による処理場の共同化に着手するなど、県としても庁内関係部局と調整を図りながら経費節減に努めているところであります。また、増大する下水汚泥の適正な処分を行うため、本年度、広域的かつ長期的な視点に立った下水汚泥処理総合計画の策定を進めているところであります。
 今後とも下水道等の汚水処理施設の健全な経営を図る観点から、下水道と集落排水との接続及び処理場の運転や汚泥処理の共同化などを推進し、市町村と一体となって経費の節減や汚泥処理に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕
〇総務部長(小原富彦君) 県有地の処分及び適切な管理についてでありますが、まず、一般競争入札等による未利用地の処分実績は、平成13年度においては、15物件、約19万5、800平方メートルを対象にして処分を進めた結果、旧花巻警察署敷地など5物件、約7万6、100平方メートルを1億9、100万円余で売却しております。また、今年度においては、14物件、約12万6、900平方メートルを対象に具体的な事務作業を進めてきているところでありますが、11月現在、盛岡市本宮二丁目の旧農業研究センター繭品質評価分室敷地など4物件、約6、600平方メートルを7億4、900万円余で売却しているところであります。
 最近の景気動向から処分件数は低迷している状況にありまして、これまで処分に至った未利用地は、宅地や事業用地として利用価値の高い物件であったところであります。県の収入増の観点からも、今後とも処分を推進するため、各部局の財産主管課を構成員とする管財業務連絡会議の場で物件別の立地条件等を検証するなど、これまでにも増して全庁的な連携のもとに取り組んでまいりたいと考えております。
 また、さまざまな経緯や個別の事情はあるものの、御指摘のように一部県有地に不適切な管理があったことにつきましては、県有地が県民の大切な財産であることを再認識いたしまして、改めて財産管理を分掌している課公所等に対し、県有地の定期的な見回りの励行や、必要に応じて適宜草刈りを行うことなどを徹底するなど、各所管部局とともに、公金の取り扱いと同様の注意を払いながら、県有地の有効活用と適正な管理に努めてまいりたいと考えております。
   〔人事委員会事務局長佐藤安彦君登壇〕
〇人事委員会事務局長(佐藤安彦君) 身体障害者を対象とした県職員採用試験についてでありますが、人事委員会では昭和58年度から、一般の採用試験とは別に身体障害者を対象とした県職員採用選考試験を実施しており、視覚障害や聴覚障害を有する方々を含め、これまで73人が採用されております。この試験におきましては、試験問題等に拡大文字を使用しているほか、拡大鏡の持ち込みを認めるなどの配慮を行っております。
 お尋ねのありました東北各県における点字や手話の導入状況でありますが、点字による試験を行っているのは秋田県と宮城県であり、手話や筆談による面接を実施しているのは青森県、秋田県及び宮城県となっております。本県におきましては、採用後の職務が主として文書やパソコンを通して行われ、また、会話や電話の応対などを必要とするものであり、したがって活字印刷文や口頭による試験への対応が難しい方では業務遂行が困難であることから、点字試験や手話による面接の導入には至っていないところでございます。
 点字試験や手話による面接の導入を行うためには、点字や手話通訳を必要とする程度の視覚障害や聴覚障害を有する方々が従事できるような職域や働きやすい職場環境づくりなどの課題がありますので、人事委員会といたしましては、任命権者と協議をしながら、それらの条件が整った場合には速やかに対応できるよう、調査研究を行ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕
〇警察本部長(熊崎義純君) 交通信号機や横断歩道などの交通安全施設の整備の要望をどのように把握し、その要望をどのように反映させているかということでありますが、まず交通実態の変化に対応して、地域の実情に合った交通安全施設を整備するためには、地域住民の要望や意見を、きめ細かく吸い上げていくということが重要であります。このため、警察といたしましては、道路利用者の交通安全施設などに関する意見、要望を広くくみ上げることを目的として、各警察施設に交通規制等ご意見箱というのを設置しているほか、警察署はもとより交番や駐在所においても、随時、住民の皆様の要望、意見を承っております。また、毎年、関係機関・団体と合同で実施しております交通安全施設総点検に、地域住民の代表の方々にも参加をしていただき、信号機などの交通安全施設整備や一時停止などの交通規制の実施及び道路改良等についての御意見をいただいているところであります。
 把握いたしました要望等につきましては、所轄警察署において実態調査を行った上で、緊急に対応すべきものは速やかに措置するとともに、それ以外のものにつきましては、市町村、地域住民などを構成員とします交通規制対策協議会、警察署ごとに大体11月から12月にかけて開催をしておりますが、ここで検討していただいているところであります。その御意見を踏まえて公安委員会では、交通事故発生状況、交通量など、現場の交通実態を総合的に判断して、交通安全施設の計画的な整備に努めているところでありまして、今後とも御要望、御意見を承りながら必要に応じ整備を進めてまいりたいと考えております。
   
〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時18分 休 憩
   
出席議員(41名)
1  番柳村典秀 君
2  番飯沢 匡 君
3  番前田隆雄 君
4  番及川 敦 君
5  番樋下正信 君
6  番照井昭二 君
7  番吉田昭彦 君
8  番工藤大輔 君
9  番川村農夫 君
10  番佐々木順一 君
11  番佐藤力男 君
12  番阿部静子 君
13  番阿部富雄 君
14  番田村 誠 君
16  番柳村岩見 君
17  番小野寺研一 君
18  番千葉 伝 君
19  番及川幸子 君
20  番阿部敏雄 君
22  番小野寺好 君
23  番斉藤 信 君
24  番伊沢昌弘 君
25  番田村正彦 君
26  番上澤義主 君
27  番瀬川 滋 君
28  番佐々木大和 君
29  番水上信宏 君
31  番藤原泰次郎 君
32  番菊池 勲 君
33  番佐々木一榮 君
34  番伊藤勢至 君
35  番高橋賢輔 君
36  番小原宣良 君
38  番千葉 浩 君
39  番吉田洋治 君
40  番工藤 篤 君
41  番菅原温士 君
44  番折居明広 君
45  番村上惠三 君
46  番藤原良信 君
47  番及川幸郎 君
欠席議員(7名)
15  番岩城 明 君
30  番谷藤裕明 君
37  番長谷川忠久 君
42  番佐藤正春 君
43  番山内隆文 君
48  番菊池雄光 君
49  番佐々木俊夫 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時40分 再 開
〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小野寺好君。
   〔22番小野寺好君登壇〕(拍手)

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