平成15年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成15年3月10日(月)
   

1開会 午前10時4分

1出席委員別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 大沼勝
 議事課長 平澤石郎
 議事課長補佐 浅田和夫
 主任議事管理主査 八重樫典彦
 議事管理主査 浅沼聡
 議事管理主査 多田繁
 議事管理主査 田丸裕佳子
 議事管理主査 嵯峨俊幸

1説明員
 農林水産部長 佐々木正勝
 農林水産部林務局長 坂元邦夫
 農林水産部水産局長 上村俊一
 農林水産部次長兼農林水産企画室長 武田牧雄
 農林水産部次長 千田勉
 農林水産部次長 佐々木忠正
 農林水産企画監 高橋信雄
 団体指導課長 和佐健介
 組合指導監 藤沼豊頼
 流通課長 得田啓史
 農業振興課長 河村茂幹
 中山間対策監 齋藤恭
 農業普及技術課長 小岩寛
 農村計画課長 安樂敏
 総合国営対策監 芦長喜
 農村建設課長 川邊賢治
 農産園芸課長 中正保治
 水田農業推進監 佐々木和博
 畜産課長 馬場明雄
 家畜衛生対策監 千葉厚
 林業振興課長 千田壽光
 緑化推進課長 照井昇
 松くい虫対策監 佐々木孝昭
 森林保全課長 黒澤茂
 水産振興課長 武井篤
 漁業調整監 伊藤正明
 漁港漁村課長 千葉信明
 参事兼財政課長 菊池秀一
   

〇水上信宏委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第27号、議案第28号、議案第30号から議案第36号まで、議案第44号、議案第45号、議案第47号及び議案第49号の以上35件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いします。
 また、質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保証するため、質疑項目が複数ある場合、関連する項目については、できるだけまとめて質疑されるとともに、質疑及び答弁は、簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 また、定足数の確保についても、あわせて御協力をお願いします。
 農林水産部長から農林水産部関係の説明を求めます。

〇佐々木農林水産部長 農林水産部関係の平成15年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成15年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部が所管する予算は、6款農林水産業費及び9ページの11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費であります。あわせて1、033億7、508万3、000円で、前年度予算と比較して、金額で221億8、488万3、000円、率にして17.7%の減となるものであり、一般会計の予算総額に占める割合は12.7%となっております。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますので御了承願います。
 予算に関する説明書の147ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査に要する経費等であります。次に、農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの金融機関に対し利子補給等を行うものであります。次に、148ページをお開き願います。農業構造改善対策費の主なものでありますが、経営構造対策事業費は、地域の実情に即した経営体を育成するため、産地直売施設や農業近代化施設の整備に対し助成するものであります。次に、149ページの農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要する経費のほか、新規就農者の育成確保のための相談窓口の整備や技術研修等に要する経費であります。次に、150ページをお開き願います。農業振興費の主なものでありますが、説明欄中段の、いわての農林水産物まるごと展開事業費は、本県産米の評価を確立するため、米の流通段階におけるDNA分析を実施するほか、県産農林水産物の需要拡大を図るため、全国に向けて総合的なPRを実施するとともに、生産者、流通・加工・外食関係者、消費者等が一体となって、地産地消運動を積極的に推進しようとするものであります。次に、下段の農林水産物流通システム効率化促進事業費は、農林水産物の流通の合理化を促進するため、流通情報の整備や新たな流通方式の導入等を進めようとするものであります。また、151ページの説明欄下段の、いわて農業担い手支援総合対策事業費は、意欲ある担い手を育成・確保し、地域ぐるみ農業を推進するため、生産から流通に至る各種機械や施設整備に対し助成するものであります。次に、農作物対策費の主なものでありますが、土地利用型営農モデル高度実証事業費補助は、米の生産コストを低減し、生産性の高い営農システムを確立するため、育苗センターや共同利用機械等の整備に対し助成するものであります。次に、152ページをお開き願います。畑作振興費の主なものでありますが、説明欄中ほどの純情野菜産地国際競争力強化対策事業費補助は、輸入野菜の急増に対応し、野菜生産の省力化、低コスト化を図るため、ネギの全自動収穫機等の整備に対し助成するものであります。次に、153ページの北上奥羽山系開発費の主なものは、緑資源公団が北上奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還金であります。次に、植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農産物生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の取り締まり等に要する経費であります。次に、154ページをお開き願います。農業協同組合指導費の主なものでありますが、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金は、債務超過農協に対する支援事業を実施する岩手県農業協同組合中央会に対し、支援資金の原資の積み立てに要する資金を貸し付けるものであります。次に、農業共済団体指導費は、岩手県農業共済組合連合会及び農業共済組合の運営費に対する助成等であります。次に、食糧管理費は、主要食糧である米の計画的な集荷、供給等に要する経費であります。次に、155ページの農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要する経費であります。次に、農業大学校費は、同校の管理運営及び教育環境の充実を図るための施設整備に要する経費であります。次に、156ページをお開き願います。蚕業費は、中核的養蚕農家の育成・確保のため、養蚕団体を中心とした普及指導体制の整備等に要する経費であります。
 次に、158ページをお開き願います。2項畜産業費であります。畜産総務費は、畜産関係職員の人件費及び岩手県肉牛生産公社の経営改善を図るための無利子の貸付金等であります。次に、畜産振興費の主なものでありますが、畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い経営体の育成を図るため、生産から流通・消費に至る総合的な地域畜産振興対策に要する経費であります。次に、159ページの説明欄下段の地域有機物資源活用促進事業費補助は、資源循環に配慮した家畜ふん尿の堆肥化の促進及び活用を図るため、簡易堆肥舎の整備等に対し助成するものであります。次に、160ページの説明欄下段の死亡牛適正処理施設整備事業費補助は、BSE検査済みの死亡牛等を適正に処理するため、化製業者が行う施設整備に対し助成するものであります。次に、草地対策費の主なものでありますが、県営畜産経営環境整備事業費は、環境汚染の防止と畜産経営の安定を図るため、家畜排せつ物処理施設等を整備するものであります。次に、161ページの家畜保健衛生費の主なものでありますが、牛海綿状脳症防疫対策事業費は、平成15年4月1日から実施する24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する経費であります。次に、162ページをお開き願います。農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要する経費であります。
 次に、163ページの3項農地費であります。農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。次に、土地改良費は、農地等の区画形質の改善、農道・用排水路等の整備、農業集落排水施設の整備など、農村の生活環境や生活基盤の総合的な整備に要する経費であります。次に、165ページをお開き願います。農地防災事業費は、農地・農業用施設に対する洪水被害等を防止するための防災ダムや水門等の海岸保全施設の整備及び老朽化した水利施設の整備に要する経費であります。次に、166ページをお開き願います。開墾建設事業費は、農業経営の規模拡大等を図るため、農地造成、用排水施設等の整備に要する経費であります。次に、167ページの農地調整費の主なものでありますが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借等の業務に要する経費に対し助成するものであります。
 次に、168ページをお開き願います。4項林業費であります。林業総務費は、林政関係職員の人件費及び県有林事業特別会計への繰出金等であります。次に、林業構造改善対策費の主なものは、担い手の育成と競争力のある地域林業を確立するため、木材加工施設の整備に対する助成等であります。次に、169ページの林業振興指導費の主なものでありますが、森林組合育成強化対策事業費は、森林組合の経営体質の強化と広域合併の促進を図るため、財務改善に要する資金の貸し付け等を行うものであります。次に、170ページの説明欄中段の岩手しいたけ王国確立総合対策事業費は、安全で良質、新鮮な県産シイタケのブランド化を確立し、安価な輸入品や他産地との競争力を高めるため、生産施設の整備や流通体制の強化に対する助成等を行うものであります。次に、171ページの説明欄中段の――仮称でございますが――森林科学館整備事業費は、岩手山周辺地域振興ビジョンに基づき、環境学習・教育の推進のため、県産木材の展示機能を備えた森林環境拠点施設を整備するものであります。次に、172ページをお開き願います。森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要する経費であります。次に、造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し助成等を行うものであります。次に、173ページの林道費は、山村地域の生活環境の改善と林業生産基盤の整備を図るため、県営33路線、市町村営8路線の林道整備等に要する経費であります。次に、174ページをお開き願います。治山費は、山地災害を未然に防止し県土の保全を図るため、治山事業81カ所、地すべり防止事業4カ所の実施等に要する経費であります。次に、林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究などに要する経費であります。
 次に、176ページをお開き願います。5項水産業費であります。水産業総務費は、水産関係職員の人件費及び水産科学館の管理運営に要する経費等であります。次に、漁業構造改善対策費は、効率的かつ安定的な漁業経営を育成し、流通の衛生管理向上を図るため、ワカメ、昆布等の養殖施設や海水殺菌装置などの整備に対する助成等であります。次に、177ページの水産業振興費の主なものについてでありますが、説明欄下段のワカメブランド推進事業費は、県産ワカメの国際競争力を強化するため、優良種苗や省力化機器の開発、販売基本戦略の策定など、生産から販売に至る一連の構造改革に要する経費であります。次に、178ページの説明欄中段でありますが、森川海を通じた環境保全事業費は、森林、河川、海域の住民が連携して行う、海域の廃棄物の回収・除去、植樹や育林、河川清掃などの環境保全活動に対する助成等に要する経費であります。さけ、ます増殖費は、サケ・マス資源の維持安定を図るため、調査研究や稚魚の買い上げ、河川への放流を行うとともに、健全な稚魚の生産を行うための飼育池の整備等に対する助成であります。次に、179ページの水産業協同組合指導費の主なものでありますが、説明欄下段の漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統団体の信用事業の統合を促進するため、低利の長期資金の融資を行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、無利子資金の貸し付けを行うものであります。次に、漁業調整委員会費と180ページの漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催並びに漁業調整などに要する経費であります。次に、漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要する経費であります。次に、181ページの水産技術センター費と、次の182ページの内水面水産技術センター費は、両センターの管理運営及び試験研究に要する経費であります。次に、漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費であります。次に、漁港漁場整備費は、県管理26港、市町村管理19港の漁港整備、大型魚礁5カ所、増殖場7カ所の漁場整備、海岸保全9港、漁業集落13地区の整備などを行うものであります。
 次に、大きく飛びまして、241ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。農地及び農業用施設災害復旧費及び林道災害復旧費、242ページの治山災害復旧費及び漁業用施設災害復旧費、それから243ページの漁港災害復旧費は、いずれも過年災害、そして現年災害の災害復旧事業に要する経費であります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが議案その1に戻っていただきまして12ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、6市中金融機関が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、14ページの36漁港関連道整備事業までの31件が農林水産部の所管であります。内容は、社団法人岩手県農業公社及び社団法人岩手県林業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が2件、農林水産関係の各種資金の融通に伴う利子補給が10件、平成15年度から翌年度以降にわたって施行される工事に係るものが19件でありますが、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 22ページをお開き願います。議案第3号平成15年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ3億7、566万4、000円とするものであります。
 次に、23ページの第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、1款繰入金は、一般会計からの繰入金であり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 次に、24ページに参りまして、歳出の主なものでありますが、1款農業改良資金貸付費は、新たな農畜産物の生産や加工を開始または販売方法を改善するなど、農業経営の改善を図ろうとする農業者等に対し、無利子資金を貸し付けるものであります。
 次に、25ページの議案第4号平成15年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ46億4、122万7、000円とするものであります。
 次に、26ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、2款財産収入は、県有林造成基金の運用収入、3款繰入金は、一般会計及び県有林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。
 次に、27ページの歳出の主なものでありますが、1款県有林事業費は、県行造林造成事業等の下刈り、除伐、素材生産等に要する経費であります。次に、第2表地方債は、県有林事業に充当するものであります。
 次に、28ページに参りまして、議案第5号平成15年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ9億4、706万7、000円とするものであります。
 次に、29ページの第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、4款諸収入は、貸し付けに係る償還金等であります。
 次に、30ページに参りまして、歳出の主なものでありますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し林業生産高度化資金、林業労働福祉施設資金等を無利子で貸し付けるものであります。
 2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資を金融機関に預託するものであります。
 次に、31ページの議案第6号平成15年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ3億464万8、000円とするものであります。
 次に、32ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し経営改善資金等を無利子で貸し付けるものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 まず、負担金徴収に関する議案でありますが、62ページをお開き願います。議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、かんがい排水事業等の農業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、72ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、林業事業及び県単独治山事業に要する経費の一部を、受益市に負担させようとするものであります。
 次に、73ページの議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、地域水産物供給基盤整備事業などの水産関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、歳入を伴う条例議案について御説明申し上げます。
 議案その2の14ページをお開き願います。議案第32号国営土地改良事業負担金徴収条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、国営事業の受益地の一部が事業完了後8年以内に農地以外に転用された場合に、受益者から徴収することができることとされている土地改良法第90条の2に定める特別徴収金の徴収について所要の整備を行うものであります。
 次に、19ページをお開き願います。議案第35号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、家畜保健衛生所における検査手数料の額を増額しようとするものであります。
 次に、20ページの議案第36号岩手県手数料条例の一部を改正する条例についてでありますが、当部の所管は、21ページ中段の別表5の関係であります。
 また、20の項の伝達性海綿状脳症に係る検査を除くとの文言を加えるものでありますが、この伝達性海綿状脳症とは、BSEを総称する家畜伝染病予防法上の疾病名であり、手数料条例の改正の趣旨は、平成15年4月1日から実施する24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査について、農家の負担を考慮し、この手数料を徴収しないこととするものであります。
 次に、38の項から54の項までは、漁業手数料の額を増額するものであります。
 次に、遊漁船業者登録申請手数料及び22ページの遊漁船業者登録更新申請手数料は、遊漁船業の適正化に関する法律の改正に伴い、平成15年4月1日以降、遊漁船業が知事への届け制から登録制に移行することから、手数料を徴収しようとするものであります。
 以上で予算関係議案についての御説明を終わります。よろしく御審査くださいますよう、お願い申し上げます。

〇水上信宏委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇佐々木俊夫委員 まず、最初に質問させていただきますが、その質問の中でも緊急的質問になろうかと思います。御承知のとおり、去る7日の夜から8日早朝にかけまして三陸地帯に猛烈な暴風雪と申しましょうか、襲来がございました。これは、台風並みに発達した低気圧の影響ということのようでございまして、しかも、私も経験したことのない物すごい積雪でございまして、しかも、それは春の雪の特徴でございますが、非常に湿った重い雪ということから大変な被害が続発いたしております。国道の通行どめはもちろんでございますけれども、さらに、大変大きな地域に停電が発生をいたしまして、私もしばらくぶりで一昼夜停電の電気のない生活をしてまいりまして、この電気のありがたさということをしみじみと実は感じてきたところであります。
 そこで、私の見る限り、山林の折損事故もぼつぼつ見られるのでありますけれども、それ以上に致命的なのは、ようやく収穫期に入ったワカメ漁場が大被害でございまして、きのうからきょうにかけて関係者、もう総動員で復旧作業に入っておりますが、非常に危機的状況、私も消防団員でございますので現場に出動いたしまして、その状態をつぶさに見ながらいろんな角度から協力もしてまいりましたし、また、風雪のために沈没した漁船もございます。その現場にも行ってまいりましたが、県下には相当あるのではないかと想像されますが、現段階で県の方で把握している実態と、それに対する対応策、どのようなことを考えておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

〇上村水産局長 委員おっしゃるとおりです。大変心配しております。昨日の15時現在の状況ですけれども、水産業関係におきましては、防波堤の倒壊、それから漁港の物揚場の転倒あるいは漁船の転覆、それから海浜公園の倒木あるいは破損、それからまだ実態をつかめておりませんけれども、何よりも心配するのは、委員おっしゃるとおり、収穫期を迎えて、それも昨年より高目に推移していますワカメへの被害が大きく懸念されるところであります。きのう、おとといから実態調査に入っていますけれども、しけがなかなかおさまらないということで、各地方振興局水産部あるいは市町村、それから漁協、団体等精力的に調査しておりますけれども、いずれそれがおいおい明らかになってきますけれども、非常に心配されるところであります。そういった実態を早急に関係機関が連携してつかみながら、それぞれに対応を詰めてまいりたいと考えております。

〇佐々木俊夫委員 まだ何か抽象的な答弁でございますけれども、今挙げられました、そのほかワカメのみならず養殖施設も大分壊されているのではないかと、このような状況もございますが、金額的に推計でもまだ全然つかめていないということでしょうか。土曜、日曜でございましたので、いろんな対応に難しさもあったと思うのですけれども、また、その対策として、過去の例もあろうかと思いますけれども、具体的にどういう対策が考えられるのかということを、もしありましたらお願いいたします。

〇上村水産局長 ただいま実態を早急につかんでおる最中でございますので、明らかになりましたならば、それをお示ししたいと思っています。対応につきましては、防波堤とかあるいは物揚場等、県営事業あるいは市町村事業、国庫事業等にかかわる事業につきましては、国の災害復旧制度の活用とか、あるいは県とか市町村の事業等によって対応するわけでありますけれども、そのほか漁船の転覆等につきましては、これは共済制度の問題がありますし、あるいは、まだ実態をつかめていませんけれども、ワカメのみならずその母体となります養殖施設、これにはホタテとかカキとか、あるいはホヤとか昆布等も下がっておりますので、この基盤たる施設がどのような状況になるか、それの実態を早急に把握しまして対応を考えてまいりたいと考えております。

〇佐々木俊夫委員 それでは、部長にお願いしておきますけれども、議会は13日までございますので、まだ間がありますので、その間にこの実態を把握して議会の方にも実態をお示しいただきたいし、また、その対応策につきましても早急に考えて、そのことについても議会の方にお示しをいただきたい、これは要望いたしておきます。
 次に、まず第1点でございますけれども、ことしは漁業権の免許書きかえの年でございます。私は、常に思っているのでありますけれども、県知事の持っている権限の最大の中の一つにこの漁業権の免許権というのがあると思っております。この漁業権と申しますのは、農業であれば農地利用権にも当たりますので、漁民の生殺与奪の権を県知事が握っていると言ってもいいぐらい非常に強力な権限であります。したがいまして、これは永久にその免許が継続するのではなくして、5年ないし7年ぐらいで更新をしながらいく、その更新がことしということになるわけでありますので、その更新についての県の基本的な考え方、あるいはまた、問題点をどのように把握しておられるかということが第1点であります。
 それから、2点目は、もう随分前から促進されつつある漁協の合併事業でございますが、これがなかなかもって遅々として進んでいない。種市の方で先般実現したというニュースも聞いておりますけれども、その後の県下の状況はどのように進められて、どんな見通しを持っておられるのかということであります。
 それから、もう一つは、先ほども部長説明にもございましたけれども、漁協の信用事業の統合促進ということで12億円ほどの資金が出ているわけであります。水産関係の1項目で12億円というのは、まず過去に例のない多額なものでございまして、そういう資金を投じて促進しているわけですが、その成果はどのようになっておるのか。聞きますところ、信連の方に吸収した信用事業は極めて優良な債権でありまして、不良化されたもの、あるいは固定化されたものは漁協にそのまま残してあるというようなことも聞くんですけれども、そうしますと漁協の方ではそうしたものだけが残って、いいものは信連に吸収されていくということで、果たしてこれで本当の漁業信用事業というものがいいんだろうか、こういうことを思うのでありますけれども、その辺も含めながら御説明いただきたい。
 もう一点だけですが、先ほども説明ございましたワカメの推進事業があるのであります。そのほかに同じ目の中にいわてブランド水産加工品創造事業というのが1億8、000万円ほど計上されております。ワカメも最終的には加工されるわけでありますけれども、この関連というのはどういうことになるのか。ワカメ推進はワカメだけで、あとのブランド水産加工というのはそれ以外という分け方でこういうことになるんだろうか。その辺の関連はどのようになっているのか。

〇佐々木農林水産部長 4点の御質問がありましたけれども、私から漁業権の切りかえについて御答弁申し上げまして、それぞれ担当課長から逐次御答弁を申し上げます。
 漁業権の切りかえについてでありますが、委員からお話がありましたように、漁業権には定置漁業権と区画漁業権、それから共同漁業権の3種類がありまして、存続期間は、定置と区画が5年、それから共同漁業権が10年となっているものでありますが、平成15年度は、すべての漁業権の存続期間が満了するということで、今年度中にすべて切りかえられることになっているところでございます。
 近年の漁業権漁業を取り巻く環境につきましては、秋サケの4年連続の不漁、ワカメ養殖の不振、あるいは小型漁船漁業の低迷などによりまして漁業生産全体が減少の一途をたどっておりまして、また、漁業就業者の減少と高齢化の進行など、さまざまな課題を抱えていると認識をしているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、今回の漁業権の切りかえに当たりましては、一つには、定置漁業権につきましては、秋サケの不漁などで採算性が低下しております漁場を他の漁場と統合して定置経営の効率化を図りたいというのが、定置漁業権の考え方でございます。
 それから、区画漁業権につきましては、ワカメ養殖業の不振により漁場の利用率が低下しているという状況にありますので、この養殖漁場を高度に利用するという観点から、新たにイワガキ、マツカワ、アワビ、ウニ養殖の導入によりまして、1人当たりの養殖施設を増加して収益を上げるという観点に立ちたいと思っております。
 それから、さらに共同漁業権につきましては、小型漁船漁業の所得向上のため平成13年度から110万尾のヒラメを放流しているわけでございますが、こうしたヒラメの漁獲を推進するというようなことを、それぞれ柱として今回の切りかえに当たっての基本姿勢で取り組んでまいりたいと思っておりまして、こうした取り組みを通じまして漁業権漁業の一層の活性化を図ってまいりたいと思っているところでございます。

〇和佐団体指導課長 私の方からは漁協合併の進捗状況と信用事業の統合についてお答えさせていただきます。
 まず、漁協合併の進捗状況でございますが、漁協系統では、平成19年をめどに1郡1漁協の構築を目指すこととしているところでございますが、委員御案内のとおり、現在、種市地区とあと釜石湾、大船渡、陸前高田の4地区において合併に向けて取り組みがなされております。種市南地区においては、4漁協が平成15年4月1日に合併するということとしておるところでございますが、この合併が実現すると本県として昭和54年度の田野畑村漁協以来の24年ぶりの合併となるものでございます。また、釜石湾地区につきましても三つ漁協がありますが、平成15年7月1日の合併に向けて協議がなされております。それから、陸前高田地区及び大船渡地区では、平成16年度の早い時期の合併に向けて今、協議が行われているところでございます。
 県といたしましても、この種市南の例えば漁協の方々の合併の理解といいますか、機運も高まっているところでございますので、それを生かして地域の中核的役割を果たして、自立できる漁協経営の早期実現に向けて、そういう機運を生かして、系統でありますとか関係市町と一体となって、その促進に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、信用事業の統合でございますが、漁協系統団体では、こちらも系統からのイニシアチブの話なんですが、厳しい金融環境の変化に対応するため、平成9年9月に県下37漁協が実施している信用事業を県信漁連に順次統合する計画を立てて、平成10年度から事業統合に取り組んでおります。現在のところの成果でございますが、32漁協が統合を完了しておりまして、1漁協、信用事業を廃止なさったところもあるんですが、残りの4漁協についても平成15年中に統合するということでございます。この信用事業の統合によりまして、業務停止などの早期是正措置命令の発動が開始されたりとか、あるいはペイオフ解禁などの金融情勢の変化に対応できる体制の整備が図られたところでございまして、これにより県内漁協系統の信用事業に対する信頼が確保されている状態にあるのではないかと考えてございます。
 これからの課題といいますか、取り組んでいく内容でございますが、漁協の信用事業を譲り受けた県信漁連は、信用事業統合に伴い4支所を廃止したところでございますが、依然として漁協店舗をそのまま県信漁連の店舗として活用しているなど、店舗の統廃合、再配置による統合効果の一層の発揮というのが課題となっておるわけでございます。県としてもこれに必要なATMの設置等に係る経費の一部を補助しているところでございまして、金融環境が厳しくなる中で漁協系統信用事業に対する利用者からの一層の信頼を確保し、漁協金融の円滑な融通を図るため、引き続き系統と一体となって連携してまいりたいと考えております。

〇武井水産振興課長 水産加工品等のブランド化についてお答えいたします。
 まず、ワカメブランド推進事業につきましては、本県のワカメが中国等の輸出の中で非常に厳しい状況にある中で、生産、流通加工、さらに販売まで一貫した対策が必要であるということで、この事業の中で、例えば生産規模の拡大あるいは省力化機器の開発、さらに新商品の開発までを一貫して行っている事業でございます。一方、いわてブランド水産加工品創造事業でございますが、これは水産加工品全般に関する対策でございまして、例えば加工業者がハセップを導入するための施設整備資金の貸し付け、あるいは秋サケ等の新商品の開発によります付加価値向上、このような水産加工品全般に関するブランド化のための各種対策を講じている事業でございます。

〇佐々木俊夫委員 漁業権の切りかえ、大変な事業でございまして、ひとつ前進的に頑張っていただきたいと思うのですけれども、やっぱり漁場を直接管理し利用している地元漁協が、その漁場の実態というものは一番よく知っているわけでございます。そして、この漁場をどのようにすれば合理的利用ができるのか。また、組合員の利益に合致するのかという角度でいろいろ検討を加えていると思うのであります。そういう成果を持って県の方に漁場計画変更等の申し出をそれぞれされていると思うのでありますが、これは可及的に尊重すべきものだと、しかも浮魚、つまり泳いであるく魚は大海峡を回遊しますので、1カ所でこれを独占するわけにはいきませんで、関連地区というのはあるわけでありますけれども、近接の関連地区がそれぞれに同意しているものは、やっぱり地域の意向というものを十分に尊重しながら、いわゆる本来の漁場のあり方ということを考えながら、必ずしも余り過去の例にとらわれないでやるべきではないかと思うのでありますが、もしお考えがあればお伺いします。
 それから、もう一つは、漁協合併、いよいよ動き出したかなという感じなんでありますけれども、県としては最終的合併目標というのはどんな姿を考えて、それをいつまでに完了されようと、こうされておりますか。
 それから、ワカメは特殊なそういう国際商品なので特別にブランド化を図っている。これはもうそれで結構でありますけれども、今度の議会で食の安全安心委員会と言うんですか、こういうのができてきまして、いろいろと食べ物についての衛生その他対策をするわけであります。ワカメは中国とか、あるいはまた、韓国からも大分輸入されて、これが日本の製品と一緒にまぜ合わされて、消費者は知らないで食べているというのが今までの例だったのでありますけれども、今は産地表示というものが行われるような時代になってきておりまして、その産地表示が実際本当に行われておるのか、そしてまた、その成果は国産ワカメとどのような関係になってきているんだろうか、こういうことなんですが、もしつかんでおられればお示しいただきたい。

〇佐々木農林水産部長 漁業権の切りかえについてでございますが、今、農林水産業、さまざまな課題を抱えているわけでございますが、漁業につきましても従事者の減少、高齢化といったようなさまざまな課題を抱えておりまして、私は漁業につきましても構造改革をしっかり進めてまいらなければならないと思っております。やっぱり漁場も一部には遊休化してきているという状況にもありますので、構造改革をしっかり取り組む必要があると思っておりますが、15年度の漁業権の切りかえに当たりましては、委員からお話がありましたように、本来の漁場利用のあり方というものを十分に踏まえまして、さらに漁協なり地域の意向というものを十分伺いながら、私どもとしても適切に対応してまいりたいと思っております。
 その他のお尋ねにつきましては、担当課長からお答えさせます。

〇和佐団体指導課長 県内漁協の最終的な姿をどういうふうに今、考えているかという御質問でございますが、これは漁協系統で考えていらっしゃる1郡1漁協、四つでございますね。これを私どもとしても今、支援してまいりたいと考えているところでございます。

〇得田流通課長 ワカメの食品表示でございますが、ワカメにつきましては加工品であっても塩蔵ワカメであっても乾燥ワカメであっても、昨年2月から原料、原産地の表示、こうしたものが法律上義務づけられるということになってございます。県としてはこれまで食品表示110番とか点検指導、こうしたものを実施しておりますが、今のところ本県においてそういう問題があるというケースについては把握しておりません。

〇佐々木俊夫委員 今のワカメの件、終わろうと思ったんですけれども、そういう表示を義務化した結果、国産あるいは県産ワカメにどのような影響が出たと判断されておられますか。

〇得田流通課長 もとより表示というのが適正になされるというのが、これは食の安全・安心のために絶対的に必要なことでございますが、こうした動きがいろいろとしっかりやられるということは、本県産にとってプラスになると考えております。

〇佐々木一榮委員 1点のみお尋ねいたします。畜産環境保全特別支援資金利子補給補助に関係してお尋ねいたします。
 平成11年11月1日に施行されました家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律についてでありますが、本県の現状と取り組みについてお伺いをいたします。
 対象となる飼養規模は牛で10頭以上、豚100頭以上、鶏2、000羽以上、馬10頭以上でありますが、本県における該当畜産農家数と現在の対応及び今後の計画についてお伺いをいたします。
 平成11年11月1日より適用された定期的点検、補修、維持、管理についてどのような現状でしょうか。また、昨年11月からは記録も管理方法の基準となりましたが、状況はいかがでしょうか。
 平成16年――来年11月1日からは施設の構造管理の方法等に関し最低限守るべき全国的基準を満たさなければ罰則の適用もあるわけですが、県の畜産農家に対する指導、あるいは畜産農家の設備投資等にかかわる問題点に対する認識はどのようにお持ちでしょうか。

〇馬場畜産課長 家畜排せつ物処理施設の整備についてお答え申し上げます。
 まず、お尋ねの本県における法対象農家数と現在の状況、そして今後の計画についてでございますけれども、本県における家畜排せつ物法の対象農家数は約4、100戸と見込んでおります。今年度末――まだ見込みでございますが――6割を超える進捗が見込まれているところでございますが、地域によって差がございまして、酪農地帯でおくれているという状況でございます。県といたしましては、未整備の方々には国庫補助事業だとか、あるいは県単独事業、各種補助制度がございまして、こういった制度を積極的に活用願いまして、個々の地域やあるいは農家の実情に即して、猶予期間内に整備ができますように、平成15年度当初予算におきましては、公共事業では堆肥センターの建設だとか、あるいは大規模経営体を対象としました施設整備を優先採択いたしますとともに、創意工夫を凝らしまして低コストで整備が可能な県単独の地域有機物資源活用促進事業の予算を大幅に増額いたしまして、当初予算に計上させていただいております。
 それから、処理施設の維持管理なり記録の実施状況についてでございますが、家畜排せつ物法では、管理基準が定められておりまして、この中にはいわゆる施設の構造基準と、もう一つは管理面での基準がございまして、構造につきましては、ただいま申し上げましたように各種事業を活用願いながら整備を進めているわけでございますが、その管理の面でいきますと、例えば堆肥舎のひび割れによって汚水が流出しないような点検をする、あるいは規模拡大によって当然現在持っている施設よりも容量が不足する場合が生ずるわけでございまして、そういった面での発生量の記録、あるいはみずから堆肥として還元する、あるいは地域内の農家に供給する、そういった利用の面での記録が必要になっているわけでございまして、こうしたことにつきましては、地方振興局が巡回指導の中で指導を行っているわけでございますが、やはりひび割れ等の発生が一部で確認されておりますし、また、記録につきましても、まだ不十分な状況でございますので、今後さらに指導の徹底を図る必要があると考えております。
 それから、畜産農家に対する指導ということでございますけれども、ただいま申し上げましたように巡回指導を行っているわけでございますが、いずれにしましてもこれからの時代は環境を重視した生産活動が強く求められておりますので、対象農家の皆さんには、法に適合する施設の整備に取り組んでいただく必要があると思っておりまして、地方振興局に設置しております地域たい肥生産利用推進協議会が中心となりまして、個別農家ごとに進捗状況を確認しながら、猶予期間内での施設整備の促進に努めてまいる考えでございます。

〇佐々木一榮委員 先ほど対象となる飼養規模について、それぞれ牛で10頭以上とか鶏とかを出した。60%進捗ということでありますが、それぞれの状況について御答弁いただきたいと思います。
 それから、現在、県の指導ということだろうと思いますが、16年11月からはさっき申しましたように罰則があるということで、県の命令に違反した者は50万円以下の罰金、それから虚偽の報告や立入検査拒否等をした者は20万円以下の罰金というような、あとは経過措置があるわけありますが、例えば保健所等には産廃Gメンという方々が今、産業廃棄物の関係でいらっしゃるわけでありますが、今後、県はこの罰則に対してのこの命令違反や虚偽の報告、立入検査については農林水産部としてはどのようなポジションでこれを監視指導していくお考えなのか、あわせてお伺いします。

〇馬場畜産課長 畜種ごとにということの御質問でございますが、対象農家、いわゆる酪農家で言えば大体1、300戸と――これは年によって変動しますので確定はないんでございますけれども――見込んでおりますが、そういった中ではまだ半分程度以下という状況でございます。また、一方、肉用牛の農家であれば大体2、200戸ぐらいかなと思っておりまして、その方々にはもう6割ぐらい進んでおります。中小家畜、豚だとかブロイラーということになりますと、これは当然もともと還元する土地はないわけでございますので、経営を開始した時点ですべてそれに見合う施設というのが、もともと求められているということで、豚舎とともにそれに見合う整備というのが大前提になってまいりますので、かなりの部分が当初から整備をされるということで、あとは一部不足のところでその規模拡大を補った部分を整備していくということで、それがいわゆる公共事業を使いながら今やっている最中ということで、かなりの部分整備が進んでいると見ているところでございます。
 それから、来年11月で猶予期限が切れた場合ということでございますが、確かに法ではそうなっておりますけれども、その前段として、いわゆる現場の方では巡回指導をやるわけでございまして、そういった点で不適切な面がありますと、またその場ではいろいろないわゆる指導助言といいますか、そういったことがまず、第一段階になされます。そして、手順としますと、それがなかなか遵守していただけないということになりますと、いわゆる勧告という次の段階に入る。その勧告でも当然ある一定期間を見てその改善を求めるということで、どうしてもそこにはやっぱり無理があった場合には次の適用という、法的にはそういう手順を踏むということになってございます。これは現時点でも、家畜排せつ物法に限らずなんでございますが、現場で何らかの形でそういうトラブルがありましたときには、保健所の方と連携をとりながら、それぞれ地方振興局の方では農業関係と保健所の方と連携した会議を持っていますので、そういった場でお互い連絡を取り合いながら、いわゆるそれぞれの立場で指導するといいますか、どのように両者が一緒に連携して指導していくか、そういったものを常に協議しておりますので、そういった形で対応するということになると思っております。

〇佐々木一榮委員 最後です。今の後段のお話でありますけれども、一般の住民の方々から投書なり通報なり、産業廃棄物とか不法投棄などですと保健所の方にあって、あとは保健所の方で調べたり産廃Gメンの方々が抜き打ちで調査したりということがあるわけでありますが、再度確認しますけれども、今回の来年からの罰則規定については、あくまでもそういうような形ではなく、通常の今の指導のような形の延長線上でということで理解してよろしいでしょうか。

〇馬場畜産課長 まず第1番目は、とにかく期限内に整備をしていただくということが、私ども当面最大の目標でございまして、そういった面で事業を活用していただきながら整備をしていただくということでございますが、それに限らず、年に何回かでございますが、現場ではそういうトラブルが生じておりますので、そういった面では常にお互いが保健所と連携をとり常に情報交換をしながら、そして随時、あと市町村と一緒になって対応しておりますので、具体的な場面になれば、そういったことになるのではないかと考えておるところでございます。

〇千葉浩委員 152ページの水田農業経営確立対策費に関連しまして2点ほど質問させていただきたいと思います。
 まず第1点でございますが、WTOの農業交渉についてお聞きしたいと思います。
 この行方というのは、今一大関心事でもありますし、大変いろんな方々が心配をしていることでございますが、交渉の結果によっては、非常に我が国の水田農業に甚大な影響を与えるとも思っておりますし、それからWTOの農業交渉を今やっているわけですが、この論点と申しますか焦点になっている問題というのは、一体、一番大事なのは何だという具体的なことをひとつお聞かせ願いたいと、こう思っております。
 さらに、岩手県では、北海道、新潟、東北の各県が一緒になって、農林水産省に対していろいろ緊急提言をやったと伺っているわけですが、具体的な提言内容についてひとつお聞かせを願いたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 WTO農業交渉につきましては、現在、大詰めの作業が行われているところでございます。
 今の状況についてでございますが、去る2月12日に、WTO農業委員会特別会合議長がモダリティの第1次案というものを示したわけでございますが、輸出国の論理に立った、まさに偏った内容だと、私どもとしては受けとめているところでございます。
 若干申し上げますと、関税率の引き下げにつきましては、我が国におきましては、EUと一緒になりまして平均で36%、それから品目ごとに最低で15%の引き下げというものを主張しているわけでございますが、モダリティの第1次案では、これに対しまして平均で60%、最低で45%というものでございます。これを仮に米に当てはめてみますと、引き下げ率の最低のところの45%で当てはめてみますと、輸入米と県産の米との価格差がほとんどなくなるという状況のものでございます。これが第1点でございます。
 それから、ミニマムアクセス米につきましては、我が国は現行の国内消費量の7.2%を5%に削減するようにと求めているわけでございますが、モダリティの1次案では、逆に8%から10%まで拡大しろという内容になっているものでございまして、こういう状況でございますと、稲作経営に大きな影響を与えることが予想されるということで、総体として受け入れがたいと思っているところでございます。
 こうしたことから、先般、北海道、東北各県、それから新潟県と一緒になりまして国の方に提案を申し上げたところでございますが、結論的に申し上げますと、我が国提案の実現に向けて、交渉に全力を挙げて粘り強く取り組んでほしいという趣旨で緊急提言をしたところでございます。

〇千葉浩委員 これは交渉ですから大変だと思うのですが、この交渉の行方というのは全部一大関心事でございまして、これは部長が交渉するわけではないですから、これはなかなか大変だと思うのですが。
 2番目、総合食料供給基地の確立ということで質問をさせていただきますが、我が県は全国で有数の農業県であることには間違いございません。今、水田農業改革あるいは今おっしゃったWTOの交渉だとか、いろんな問題が山積しているわけですが、まさに岩手県の農業を取り巻く環境というのは非常に厳しいとも思っておりまして、食料供給基地を標榜しておりますが、こういう厳しい状況の中で、実現に立ち向かっていかなければならないということになるわけですが、本会議の私の質問の中で知事も答弁しているのですが、水田農業改革運動を全県的に展開していくと、こういう話もありましたし、生産構造改革で積極的に取り組んでいくと、こういう答弁。そして実現のためにあらゆる支援策をすると、こういう答弁があったわけですが、具体的にどういう支援策であり振興策であり、どう部長は考えておるか、部長の考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 国の米政策改革それから県として水田農業改革大綱をお示ししたわけでございますが、いずれにいたしましても、今回の改革は本県農業にとってもまさに一大転機になるものだと思っております。しかし、本県にはすぐれた農業者、それから多彩な資源を有しておりますので、生産者がそれぞれしっかりした目標と戦略を持って取り組むならば、この大きな変革も乗り切れるものだと思っておりますが、私、常に、改革というのは一人一人の農業者では実現できなくても、集落が一丸となって取り組めば、また新たな展望が開けるものだと思っております。例えば、農地の利用集積にしてもそうですし、それから作付の団地化を図る、あるいは新規作物を導入するといったときも、農業者がまとまって導入するという話も出てまいりますし、それから、農産加工も地域で取り組むというようなことをあわせ考えますと、いかに地域の総力を挙げて取り組むかという一にかかっているものだと思っております。
 そういうことで、県といたしましても、今、集落にそういう考え方で集落ビジョンをつくっていただいておりまして、ぜひ地域の労働力の事情なり、それから資源の状況を踏まえた、まさに特色のあるビジョンをつくっていただきたいものだ思っておりますが、前段にも申し上げましたように、今回の改革はかつてないものでございますので、県といたしましては、こういった地域の特色のある取り組みに対して地域の自主性が発揮できるような、総合的な対策を検討してまいらなければならないと思っております。

〇千葉浩委員 最後でございますが、いろいろ農業を取り巻く環境は厳しいわけですが、農業者はもちろんですが、関係団体それからいろんな方々が一緒になって取り組んでいかないとこれは難しいと思います。総合食料供給基地として、岩手県がこれから発展していかなければならない。農業というのは、米ということに限れば、販売戦略であるとかいろいろな他産業との関係もいっぱいあるわけです。米だけではございませんから、そういう意味では波及効果というのは大変に広いわけでございますから、ぜひ供給基地として立派にやっていただくようにひとつお願いをしたいし、私も今度が最後の議会でございます。あとはありませんが、そういう意味で、執行部の方々、ぜひひとつ英知を持って元気を出して、農業政策にこれから取り組んでいただきたいということをお願いしまして終わります。

〇菊池勲委員 部長、先般の代表質問でもお聞きをしたんだけれども、どう考えても知事の答弁では納得しないのがいっぱいあるんだけれども、私は平成9年の4月からある土地改良区の理事長をさせられて、もう6年になったんだけれども、農業というのは、今の千葉委員の論理だと大変すばらしい農業になっているんだけれども、つくった施設は時期が来ると壊れていくんだよね。一回つくって、少なくとも自分の一生もてば一番いいんだが、長くて30年、もう、ひどいのは20年当たりから滅び始めて修理をしていかなければならない。だけれども、もうちょっと修理をしてもたせて、いつかの時期にまた新しい方式でということで、U字溝からパイプラインに転換をしている事業が、私どもの改良区で今盛んに始めてもらっている。大変御協力を、御指導を賜っておるんだけれども、何せ、まだ3分の1をちょっと超えた程度にしかなっていない。よその改良区はちょっと私はわかりませんけれども、そんな格好で、農家を救うためには、このままだと、もう、ほとんどお先真っ暗。食料供給県なんという話は、全くうそみたいな話なんだ。農業の一線でおる私は、これじゃ、農民は、つぶれるのを待っているしかないというのが実感なんですよ。代表質問でもそういう質問をさせてもらったんだけれども。部長、それじゃ忍びないよね、その責任者として。
 私は、公共事業削減の率が余りにもひどいということは、経済情勢ではなくて財政の中身は十分理解しているんだけれども、これでは――私ども第1次産業、農林水産業を支えているのは公共事業だと見ているの。それは、土建会社とかそういう会社の方々なんだよな。農業での暇とは言わないけれども時間をつくって、そこに働いてそして外資を得て、そして農業経営と農村を維持しているんだよ。生きているんだ、そこで、我々は。そして格好いい話は、日本の食料供給基地なんというのは夢なんだ、私らは。農民が生きなければだめなところに来ているの、今。もう土壇場に来ちゃっている。そして18.何%の公共事業を削減するという形で、知事が立派に公約を打ち出した。公約だから立派だと思うんだ。私は大変なことだと思っているの。一般質問を含めて私も代表質問を、皆さんの一般質問を聞いていて、知事のマニフェストはそういう格好なんだから、じゃ、おら、しようがないんだなと。じゃ、半分死ぬぞと。なんじょして生きるんじゃなく、死ぬということは、生きる方法がないんだよね。
 部長にお願いしたいのは、公共事業という位置づけ、部長の感覚をひとつ聞かせていただきたい。

〇佐々木農林水産部長 農業農村整備事業の位置づけということでございますが、私は農業というのは農産物の生産だけではなくて、農村の生活環境を守っておりますし、それから他産業への波及効果も大きいということで、極めて地域経済に与える影響も大きく、重要な産業だと思っているところでございます。そうした観点からも、今、まさに米政策改革が求められておりますし、一方ではWTOという話がある中で、農業・農村の整備を進めなければならないということについては十分に承知をしているところでございます。
 そういうことで、私の立場で、この農業・農村の整備について一生懸命取り組んでまいりたいと思っています。

〇菊池勲委員 そういうふうにしゃべられると、あとしゃべらない方がいいんだよ。だけれども、部長、私どもは部長をいじめてどうなるものでもないと思う。これ、岩手県全体の財政事情ということはこれも理解はしているんだけれども、早く言えば、県民から税金が上がらないからという基本では、これでは、つぶれるところから上がるわけないんだよね。ですから、ここは政治判断になるわけでありますけれども、これ、部長から知事に対して進言をしてもらわなきゃ、知事の政治判断は難しいと思うのでこんな発言をするわけでありますけれども、ぜひとも、私どもも全面的な御支援を申し上げながら、そして農業基盤をつくるのが基本であるけれども、その波及効果で県民の生活もそして食料供給県岩手の夢も実現できるわけでありますから、ぜひとも部長には、これだけの優秀なスタッフがおるわけだから、一丸となって、その最高責任者があなたであるわけですから、ぜひとも財政部局に御進言をし実態を申し上げて、例えば1%でもいいから上げていただいて、そして公共の施策の中でさまざまな産業に波及効果を与えて、そして1円でも1銭でも税金を納めてもらう施策の展開をひとつお願いしたいと。
 もう一度部長の決意を。

〇佐々木農林水産部長 農業・農村、先ほども申し上げましたけれども、食料の供給のみならず、さまざまな機能と役割を果たしているわけでございまして、今、雇用情勢が悪い中で他産業従事者の農業への志向というような、そういう機運も高まっておりますので、そういうことも含めまして農業・農村の整備について、私は私なりに、私の立場で主張し、心して取り組んでまいりたいと思っております。

〇菊池勲委員 今度は部長ではなく担当課長の方に質問をさせていただく。
 去年の9月の補正予算で、ある有線テレビに農林水産省の補助事業を入れてもらって、もう9月の補正でありますから、3月31日で一応切れて、出納閉鎖が5月までということだから、工事は今盛んにやっておるみたいだ。当初の計画では、これは3億円の補助事業でありますから、大変莫大な補助事業ですばらしい計画だと私思いながら、補正予算は一応お願いして通してもらったけれども、どうも実態は計画どおりはなかなか進んでいないというのが、私の調べた範囲では、そういう傾向になっているわけですね。
 最初からきな臭い施設だからと思ってお願いしたら、例えば、この組織は平成3年から工事を始めて、もう12年ほど前から始めているんですけれども、先般、会計検査院の指摘をもらった組織なんだよね。そういう組織の中で、会計検査院で指摘をして、2年間の検査で合格をもらったのではないと私は思っているの。努力目標として合格を認めたと私は判断しているんだけも、そこにまた3億円の補助事業の仕事を今しているわけだ。
 今、部長にお願いしたこの農業経営、農業経済、農家経営からすれば、例えば私ども地域の農村地帯にインターネットを入れて、金を出せるという農家は1人もいないと見ているの。だけれども、こういう制度を入れた、そして今工事を盛んにやっている。恐らく計画どおりに私はいっていないと見ているんだ。周りは大騒ぎをしている。おめ、入れって言ったっけじゃ。おら、入るって言ってねよと。そのときの計画の段階でとった資料だから、今変更しても別に違法にはなっていないわけだよね。だけれども、事業はもう、3億円は着々と着工しているわけだ。
 これは担当課長にお聞きしたいんだけれども、例えば予算額が3億円で補正予算を通ったんだけれども、果たしてこの施設が入札をしたときに何ぼで入札をされているのか、その額を教えてくださいよ。

〇河村農業振興課長 有線放送関係のお尋ねでございます。ただいまの質問は予算額と入札額が幾らかという話だと思いますが、予算額、9月補正で、補助金額で1億4、300万円余り、事業主体の事業費で2億5、800万円余りということになってございます。それから入札の結果でございますが、税抜きで2億4、000万円、税込みで2億5、200万円の入札だったと承知をしております。

〇菊池勲委員 わかりました。計画のとおりは恐らく、今盛んに工事をやっておったりして、今入っている有線テレビが全然ジラジラで、1日見えなかったという苦情があったり、後から足す事業であるから、一たん電源を切って工事をしなきゃならないことはあるかもしれないけれども、もう年をとった方々はテレビが一番の娯楽なわけだ。せっかく7万円の資本金を出して入れた有線テレビが、何だか知らないけれどもきょう1日かからなかったと。先ほど佐々木委員は、この間の低気圧で1日電気が来なかったという話があったんだけれども、ややそれと似たようなものではないかと思うんだね。だけれども、災害であれば話はわかるんだけれども、事業に1年も電源を切るということはどういうことなのか、こんな苦情がうちの周辺、もう、出回って大騒ぎなの。何が何だかわからんけれども、何せ目先に選挙があるものだから、そのためだと思って気にしながらこんな質問をするわけだけれども、課長、今、入札の額を聞いた。計画どおり事業は進んでいるんですか。

〇河村農業振興課長 年次計画で計画をしてございます。今年度末の事業計画上は、インターネットの加入目標は290戸ということで、国と協議した結果、そういうことになってございますが、現在、私ども承知しておるのは401戸の加入契約と伺ってございます。
 それから、今いろんなトラブルがあるという話もちょっとつけ加えますけれども、現在工事をしているということで、幹線の工事と並行して、それぞれインターネット接続のための工事をしているということで、そのために通信速度が遅くなったり、若干のトラブルがあるとは伺っています。基本的には、3月20日までにこれらの調整を終了して、所定の通信速度といいますか、そういうものが確保されると伺ってございます。
 なお、現在は試用期間ということで、お試し期間ということで、お試し価格ということで料金徴収も行っていないということで、本格的な、正式なサービス開始は4月1日からだと伺ってございます。

〇菊池勲委員 皆さんのところは現場から離れているから、立派な計画を立てれば、それに反論してだめとかいいとかという議論にはならないんだよね。ところが、計画書というのはなかなか上手にできているんだ。だけれども、実態はそのように進んでいないというのが、私が調べた結果そうなっているんだけれども、部長、この結果で、今、北上市農協の役員の改選時期なんですよ。ところが、北上市農協の役員になっているその地域の方々、必ず有線テレビの役員にならなきゃならないそうだ。たった1期目なんだけれども、2期目を一生懸命攻められても、絶対だめだと断っているの。けさ、その方に電話を、連絡して内容を聞いてきた。この有線テレビが出てきたんだ。おれが1期目は監事だったんだけれども、2期目がとれれば今度は理事にさせられると。連帯保証人で判子を押さなければならないから、下手すると、おれの財産いっと間につぶれてしまうというんだ。こんなの役員になる人はいないんだから、おれは絶対理事には立たないと、こうなんだ。これが実態なんだよ。
 あなた方からもらった資料は立派なものなんだ。現実はそういう状態になっているのよ。指導監督するあなた方にすれば、寝耳に水でしょう、こんな話は。私、けさ出勤するとき聞いてきたんだから。うそも隠しもない。それでうちの地域ではその理事を立てれないから、かわりを見つける気をしたけれども、だれも立つ人がないというんだ。
 部長、農業団体がこの状態になったということは、幾ら補助金をぶち込んだってどうにもならないという話になった。農民に生きろと言ったって、上の組織がこんな状態なんだもの、農民は生きる方法はないんだよ、これは。何と思いますか、部長。おれも大変なんだよ、おれも農民だから。何とか答弁してください。

〇佐々木農林水産部長 前回のことも含めて、今回の事業導入に当たっていろいろ課題があったということも十分知っております。今回の問題も、前回の事業実施に当たって事業主体が加入者に十分理解を得る、その手続が不十分であったのではないかと私は思っておりまして、今回の事業につきましても随時地域の情報も逐一収集しながら、二度とそうしたことのないように、十分に指導をしてまいりたいと思っています。

〇菊池勲委員 しつこいようだけれども、担当課長、部長の答弁立派なんだよ。あなた、ちょっと腰が弱いんだよな。部長の前で、迷惑かけることじゃない。部長の方がしっかりしているじゃないか。おまえの方が腰弱いんだよ。やっぱり出向いていって指導しなきゃだめなんだ。地域住民はこんなことをするということは、我々がそこに住んでいる政治家として、一応地域の代表としてはこれは不満なんだよ。こんなことでは予算を通すのは――ここを通っているんだよ。予算議会を通していて、行ったやつがそういう不満になっているということは、通した我々も責任があるわけだからこんな議論になるわけだ。何もなければこれはありがたい話だよ、3億円の補助金をつけてくれたんだからね。だけれども、つけてもらうときはありがたいと思った。結果がこのざまなんだ。これでは我々、つけるところにおる人間がみんな不正をやっているということなんだ、これ。
 課長、あしたにでも、出張旅費はないんだな、行ってみてくださいよ。お願いします。

〇河村農業振興課長 地方振興局を通じていろいろ指導しているわけでございますが、今の菊池委員の御指導を踏まえまして、早速現地の方に出向きまして、いろいろ御指導を申し上げたいと思っています。

〇菊池勲委員 地方振興局の職員は言えないんだよ、絶対に、いつも会っているから。だからやっぱりあなたが行かなきゃだめ。再度御注文。

〇河村農業振興課長 そういうわけで、議会が終わり次第、行ってまいります。

〇阿部敏雄委員 水産業振興費と水産業協同組合指導費に関連してお聞きいたします。3点お伺いします。
 先ほどの佐々木俊夫委員と関連するところがありますけれども、1点、これは以前12月の議会でも出したのでございますけれども、県の漁業許可方針の見直しについてお伺いをいたします。
 本県の水産業はワカメや秋サケの生産量の低下、漁業就業者の減少、高齢化、輸入水産物の影響による魚価の低迷など、大変厳しい状況にあります。その中で、本県の水産業の将来は、私、前にも話したんですけれども、担い手の意欲ある漁業者に積極的に漁業許可を与えるべきだということを述べてきたんですけれども、漁業許可は、5年に一度の更新手続を経ないと与えられないということを言われまして、ただ、実態は漁業協同組合が窓口になっていますね。ですが、実際は漁業協同組合の窓口、許可のあれが全く示されていないんですよね。持っていても、4年間も、一度も漁業許可を使用しない人もいっぱいおるわけです。ただ、県は、県内に2、000の許可を与えていますよと。この漁業許可は何百人に与えると、もう、枠がないということで今まで来たわけなんですね。そして今回見直しということで、新規の人にも与えるということで私は喜んでおったんですけれども、先日、地元の漁業協同組合の組合員から、かご漁のあれをお願いしたいと言ったら、もう枠がないと言われたというので、私びっくりしたんですよ。そういうこともありますので、やはり県は漁業協同組合に、漁民に周知徹底をするような指導をしなきゃならないと思います。そうでないと同じ漁業者が――ただ更新の申請をするだけですから、簡単にもらえるわけですね。今回漁獲物の水揚げ量とか何かと言っていますけれども、店から買っているから、1日水揚げすればそれで漁業実績になるんですよ。ですから、本当に漁業許可を持ってやるという意欲のある人、また、やる人に枠を県はとっておいて、もし、漁業協同組合の方でも20隻の枠以外は出せないよとか、30隻を出せないといったときには、県の方で地方振興局を通じて、そういう人にも与えるようなことを本当に徹底しなければ更新の意味がないと思いますので、まずそれが1点、その件についてお聞きします。

〇上村水産局長 漁業許可の問題でありますけれども、委員おっしゃるとおり、そういった問題も実際あるわけであります。そういったことを踏まえまして、これまでは昭和54年に県が定めた海面許可等の取扱方針に基づいてやっていたわけです。これにつきましては、新しい許可を取得するためには、基本的に他人の許可を承継する以外は原則として認めないという方針だったわけでして、これは現状に合わせますと、そんなことを言っていますと、最近の漁業就業者の減少とかあるいは高齢化の進行とか、あるいはますます厳しくなる漁業の中にあって合わないといったことから、漁船漁業の活性化を図るために、意欲のある漁業の担い手を育てていくことが重要と認識しまして、更新の見直しを行いました。そして平成13年以降、漁業許可の有効期限が満了した漁業種類から、順次、新規漁業許可枠を設けて、意欲のある漁業の担い手に許可しているところであります。
 これまで、見直し対象漁業14種類のうち、イカ釣り漁業など7種類につきましては新しい方針に基づき許可の更新を行ったところでありまして、残りの漁業につきましても、今後、許可の有効期間の満了時期に、新しい方針に基づきまして許可の更新を行う考えでございます。
 また、新規の漁業許可につきましては、これまで延べ37人の漁業者に許可しております。今後とも、意欲ある漁業の担い手に許可してまいりたいと思います。
 周知徹底を図られたいということでありますけれども、御存知のように、漁業協同組合もいろんなサケ漁等で厳しい運営をされております。職員等も1人で何役も買ってやっている状態ですので、私ども基本的な考え方としまして、地方振興局、市町村職員が末端まで行って、一緒になって漁業者に説明責任を果たせといったことで取り組んでおりますので、そういった考え方に基づいて周知徹底を図ってまいりたいと思いますので、御了解願いたいと思います。

〇阿部敏雄委員 実はなぜ私がしつこく漁業許可というのを言っているかというと、もらった許可は自分のものだというような観念、融通できると言えば金銭が伴いますよね、それが実態だったんですよ。ですから私はしつこくこれは、例えばことしで漁業許可の更新が終わったと言っても、漁業者の中には大型船からおりて、1年後、2年後でも、地元に帰って親子で何かしようとなったときに、漁業許可がなければできないわけなんですね。そこを柔軟に、また5年待たなければできませんよではなく、そういうときはやはり柔軟に――知事許可だから、農林水産大臣の許可であれば何とも言わないけれども、知事の許可だから、そこは柔軟にやることが、漁業者の最終目標の漁業所得をふやすということの一点に通じると思いますので、その点よろしくお願いいたします。
 それからもう一点は、先ほど佐々木委員からも言われましたけれども、漁業協同組合の経営実態というのは非常に厳しいものだと思っています。しかしながら、漁業協同組合の理事、それからトップの方々が本当に真剣に実態というものを把握していると自分たちが思っているかどうか、安易な考え方でやられては、いかに合併をしなさい、何をしなさいと言ったって、その場では、はいはいと言っていても、地元に帰れば、何だ、もう関係ないような話をしていますから、そこは県として出向いて、組合員に知らせなければならないと思いますよ。組合員は、自分の出資金ですらも今でも戻ってくるんじゃないかと言っている。地元の組合ですら、出資金がゼロと同じなんです。しかし、組合員は、自分らが積んでいる出資金が戻るんだというような観念を持っていますね。ですから、漁業協同組合の厳しいとき、県としても手を差し伸べていかなければならない。これは漁民を救うことでございますので、そういうことについて、私、組合自身の自覚の努力が必要なことはわかるんですけれども、15年度、今年度、どういう方針で組合を指導してやっていくか、そこをお示し願いたいと思います。

〇和佐団体指導課長 委員御指摘のとおり、漁協の経営は本年度も引き続き厳しい状況にあるということでございまして、県下の漁協に対しサケ漁への過度の依存からの脱却とか、不採算部門の抜本的見直しなどについて、常例検査等で指摘しておるところでございます。これはつまり、現下の漁業環境に合った漁協経営に形を変えていただくということなんですが、漁協の役割として資源管理というものもあるんですが、それが例えば今の一つ一つの漁協では難しいと、そういうことを系統の方でも考えておられまして、合併を進めていこうということで、19年度に1郡1漁協ということで進めておられる、これに対して我々も指導・支援をしたいと考えておりますし、特に経営の悪いといいますか非常に厳しい状況にある、例えば出資金に対する累積欠損金の割合が大きい漁協、これらに対しましては財務改善計画というのをつくっていただきまして、それでその財務改善に必要な資金の借り入れに対する利子補給をしますとか、あるいは計画の実行について御指導を申し上げるというようなことをしておりますが、委員おっしゃるとおり、一番私が痛切に感じたのは、合併を進めるに当たってその組合員の理解というのをちゃんといただいた上で、漁協の経営の今後を考えていくということは非常に重要だと思いますので、これまでも合併に際しては、漁協には必ず座談会とか地域懇談会みたいなものを開いていただいて、きちんと組合とじっくり考えていただくということをしてきたところでございますが、合併の話にまだなっていないところについては確かに我々の指導といいますか、もっと話し合いをしていただいた方がいいのかもしれませんし、ちょっと私どもはそれがどれぐらいやられているのかというのはつぶさに把握しておるわけではございませんけれども、委員のおっしゃるように、組合員の方々の総意でもって漁協の経営を考えていただけるように、15年度に当たりましても我々として指導をさせていただきたいと考えております。

〇阿部敏雄委員 私、なぜ漁協の経営が不安定だとかひどいとか言うのは、窓口が漁協ですね、借り入れの。信用組合が一つになったりしていますけれども、それとまだ窓口が組合にお願いして借り入れをしているわけですが、そういうときに、今の漁協組合の体制の理事とか組合長だけに責任はないと思います。ずっと長い間の組合の累積赤字が来て、本当に今どうにもならないという実態があると思いますから、ぜひ信用保証なんかの面において漁業協同組合に対する指導とともに、組合を助けるんだという観点から検討して、取り組んでいただきたいと思います。
 そしてもう一点、今佐々木俊夫委員からも言われましたが、8日の大雪によってすごい被害状況が実態として出まして、私に9時50分に電話が入りました。東部漁協の漁師組合はもう全滅状態だという情報が入りまして、それで今船を出したいけれども出せないような状態だけれども、もう完全にだめだと。大槌漁協にも電話をしましたら、もうどうにもならないような状態だと。そういうときに、県は早急に出向いて組合から事情を聞いて――なぜかと言えば、私、地元のことを言うんですけれども、大槌漁協の吉里吉里は、去年で3年間連続、病害虫のために共済金をもらってどうにかした。今回はもうそれはできないという状態だということで、資材のことから何からでも非常に悩んでいます、組合は。そういう状態ですので、待っていないで、新聞紙上で知っているとおり、大船渡湾の防波堤も倒れるくらいの、暴風雪の中で波が高くてどうにもならない、その実態を見たらびっくりします。ですから、やはり現地の情報を待たないでトップのだれかが行って、その子細を鮮明に調査し、本当にその対策を練るくらいの姿勢を示してほしいと思います。
 本当に今回これをしなければ、もう漁業協同組合なんかサケはだめ、何はだめで、養殖に期待して、ことしこそワカメの値段が9、000円から1万円して本当にほっとした矢先ですから、どうか水産局長、ぜひ今回の災害について全面的に取り組んでいただきたいと思います。
 以上、要望して終わります。

〇上村水産局長 そのとおりだと思いますので、この議会が終わりましたら、直ちに参りたいと思います。

〇田村正彦委員 3点お尋ね申し上げたいと思います。
 まず、最初が県行造林、これの売却計画をお示しいただきたい。
 もう一点が、県産材の売り込み方針、方策、こういったものをどうお考えになっているのか。
 もう一点が、林産加工事業に係る補助金行政のあり方、いわゆるこれからの林産加工施設の、補助事業に対する行政としての考え方、これをお尋ね申し上げます。
 そしてまた最後に、これは一般質問でもありましたが、国の米政策改革大綱、それを受けての県の大綱が示されております。繰り返しになりますが、それの大きなポイント、これをお示しいただきたい。

〇坂元林務局長 県産材の需要拡大についてでございますけれども、現在、大変林業の状況、現状が厳しいと、そういう中で、県産材の需要拡大というのはまず森林・林業の活性化を図ると、そういう上で非常に基本になる重要な課題であると、そう思っております。そのために、川上から川下に至るあらゆる面からの取り組みを進めていく必要があると考えております。
 まず、森林から木材が安定かつ確実に出荷できる体制の整備を今後図っていくとともに、森林所有者から建築設計者、工務店、消費者までが連携して住宅をつくる仕組みを進めるなど、まず地域の木材を地域で使う、木材の地産地消の取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 また、これまで以上に、公共施設の木造化や土木資材での県産材の積極的な利用について全庁的に取り組んでまいるとともに、未利用木質資源のバイオマスエネルギーとしての利用、活用を関係部局と連携して進めてまいりたいと考えております。
 さらに、合板工場や集成材工場など、民間の大規模な需要に対しまして安定的に供給する体制の整備を進めるほか、関係機関・団体と連携しながら、県産材のPRを積極的に行ってまいりたいと考えております。
 委員御指摘のとおり、具体的な県産材の需要拡大につながるような対策について、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

〇照井緑化推進課長 県有林材の販売についてでございますけれども、県有林事業におきましては、現在、標準的な分収林造林契約者が50年ということで管理をし、その伐期が参ったものから伐採をするということにしてございます。そういったことで、平成13年度までにつきましては約5万五、六千立方ぐらい伐採をしてきてございますけれども、15年度につきましても、大体同程度の伐採になると思ってございます。
 この伐採に当たっての方法でございますけれども、主伐につきましては立木販売、あとは素材生産という二通りでやってございますけれども、特に間伐におきましては、現在素材で販売しておるという、そういった状況でございます。そういったことから、なかなか間伐の場合に収益が上がらないという問題もございまして、今後、低コストでそういった生産可能な間伐方式、そういったものを一つには検討していくということもございますし、それから販売に当たりましては、立木販売、これを積極的に進めていきたいと思っております。
 また、入札に当たりましても、素材生産業者が広く参加できるような、そういった制度に改善をしながら、鋭意、検討を進めていきたいと思っております。

〇千田林業振興課長 林産加工事業に係る補助金行政のあり方についてでございます。本県の森林資源を有効に活用するためには、何といっても県産材の安定供給体制の整備を図ることが必要だと、このように考えてございます。したがいまして、この木材を利用するための加工流通拠点の整備を図るということは、活発な林業生産活動を推進するということに関し重要なことであると、このように考えてございますので、安定供給体制の確立に資するという事業は、県としてもしっかり審査をした上で補助事業の採択に向けて取り組んでまいりたいと、このように考えておるところでございます。

〇佐々木農林水産部長 私から県が策定いたしました水田農業改革大綱についてお答え申し上げます。
 これまでとどこが違っているのかということでございますが、私は今回の国の米政策改革を受けて、一番地域に考えていただきたいのは、みずからの地域の水田農業について、どういう方向を目指すのかというビジョンを持っていただきたいということが一つでございまして、そういう意味で全集落に、あるいは集落がまとまってもっと広い地域ということになるかもしれませんけれども、集落の水田農業ビジョンをつくっていただくことにしたと、そういう方向について積極的に支援をしていきたいという考えのもとに、一つにはそういう方向づけをしたということでございます。
 それから2点目といたしましては、そのビジョンを具体的に実現するに当たっては、どういう役割分担で地域のまとまりの中でやっていくかということが極めて大事でございます。担い手ということもございますし、それから周辺の農家との役割分担ということも重要でありますので、それぞれの地域、事情が違うんだろうと思います。大規模の家族の農業でやれる地域もあると思いますし、それから、そういう大規模経営を中心として周辺の農家も一緒になった、言うなれば集落型経営体でやっていくというやり方もあると思いますけれども、いずれ、そういうビジョンを策定していただくと同時に、そういうビジョンを実現するに当たって、どういう担い手像を描いていくのかというようなことを、はっきり地域の中で話し合いをしながら、合意形成をしていただきたいということでございます。
 大きくはこういうことでございますが、いずれにいたしましても、今回の米政策改革、本県水田農業の一大転機になるものだと思っておりまして、そういう意味でも、今いろいろ地方振興局を通して集落にそういう県の方向づけを話しているところでございますが、新年度早々、全県の水田農業改革運動として立ち上げながら、この改革に生産者、関係機関・団体が一緒になって取り組んでまいりたいと思っております。

〇田村正彦委員 二度目に聞こうと思ったことをもう既に答えられてしまったんですけれども、実は県産材の売り込み方策、局長からるるお話がありましたけれども、一般の県民の目に見えないんですよね、それが。確かに担当している、それに携わっている人には見えているんです。ところが一般の県民に見えないんですね。
 私はぜひ提案申し上げたいんですけれども、農林水産部でも、県産材を使った住宅建設のためにいろんな事業を起こされておるのは承知しております。ところがなかなかそれが県民に理解されていない。そして利用率が低いと。
 どうでしょう。そういった今までのような補助システムを抜本的に見直して、例えば秋田県なんかがそうなんですけれども、家を建てる人は手を挙げろと、抽選で1軒当たり何立米、無料で県産材上げますよと、こういったことを秋田がやって、物すごい反響を呼んで県産材利用が進んでいると。こういう実例もあるんですよね。まさに県民に見える一つの県産材利用のアピール方式なんです。そういったのも視野に入れながら、本当に県民に見える、本当に県産材を使わなければならないんだと、県産材を利用すればいいんだということをアピールしていく必要があると思うのですが、この点についてはいかがなものかと。
 もう一点が県行造林の、これは県有林の分収林ですけれども、売り渡し。
 実は私の加入している牧野組合、おととしでしたかすばらしいカラマツの分収林を間伐して売却しました。その結果が、素材販売だったため、そして間伐材だったためという答弁もあったようですけれども、分収額ゼロと、赤字でございますと、1銭もあなた方には入りませんと、そういう通知をいただきました。今の答弁では、これからは立木販売も考えていくんだという話ですし、ぜひそうしてもらいたいんですが、県の一つの基準による切り取り、伐採、そして運搬、そして労賃、そういう価格算定で素材にして販売したらほとんどが出てきませんよ、今の木材市況の中では。私はぜひ立木販売、立木入札、これで幾らかでも分収できるということは県の収入にもなるはずですから、県の林業財政にも貢献するわけですから、そういったものをどんどん取り入れてそして高く売ると、そういう方法も取り入れるべきだと思うんです。答弁では、今後は考えていくというような答弁がありましたけれども、もっと積極的に高く売りつける方法、これを考えていただきたいと思うわけです。
 あと、木材加工施設補助行政に当たってですが、これはもう委員の皆さんほとんどの方が承知なわけですけれども、久慈のトレーの問題、あるいは遠野の木材加工センターですか、あるいは盛岡のプレカット工場、ほとんどが赤字、国の補助事業で実施しているのがみんな赤字で、それに乗っかった人が負債を抱えて倒産と、資産処理というような状況に陥っているんですね。
 補助事業を入れるのはいいです。さっき言ったとおり、流通供給の円滑化を図るためにやるんだという話がありました。確かにそういう面ではいいんですけれども、その補助事業で例えばプレカット工場を設置した場合、どこの木を集めてどういうところに販売して、その結果ペイするのかと、そこまで精査した形で事業導入を図らないと、さっきもありましたけれども、とにかく補助事業ありきで入れている嫌いが今まであったのではないですか。私はそうではなくて、もうちょっと立ち入って、マーケティングまで調査した上で補助事業を入れると。そして、その補助事業に参加した人たちが、幾らかでも収益を得られるような補助事業に、そういう考え方で入れなければ、今までのずっと繰り返しの、はい、補助事業を入れました、はい、赤字でございます、それに参加した人たちは家が倒産すると、それの繰り返しなんです、今までは。ぜひそれは断ち切るような、一つの補助施設行政というものを立ち上げていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
 時間ですので、どうしましょう。

〇水上信宏委員長 田村正彦委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時 休 憩
   午後1時5分 再 開

〇飯沢匡副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 田村正彦委員の質疑を続行いたします。

〇田村正彦委員 質問の途中でもう一点あったのを打ち切りましたので、質問させていただきます。
 県版の米政策大綱、御答弁では集落ビジョンづくり、そしてまた、担い手のあり方が答弁にあったわけですが、それともう一つが、今、盛んに言われております食の安全・安心ですか、そういった観点もやはりこれは大事なものだろうと思っておりますし、今、盛んに農協なんかでは各地、部落に入ってトレーサビリティーというんですか、そういったことについての協議がなされておるようですが、そういった食の安全・安心という観点からも聞きたいんですが、過去には大量に空からヘリコプターで農薬散布しておったんですが、ヘリ防散布の実態というんですか、そういったものもお知らせいただければありがたいと思いますが、先ほどの集落ビジョンですけれども、これは平成16年から本格実施ということなんで、これは15年度中にそれぞれ集落ごとに、うちの集落はこういった営農体系で、こういった人たちが主に米生産に当たっていくんだ、そのためにはこういった組織づくりをし、そこにこういった補助事業が入っていくんだということだと認識しているんですが、その計画づくりをいつごろまでにやればいいのかをお示し願いたいと思います。

〇坂元林務局長 県産材の需要拡大についてでありますが、これまで実施してきている取り組みにつきまして、やはり川上から川下までの取り組み全般について、具体的に県産材の需要拡大に結びついているかどうか十分検証を行いまして、他県での有効事例も調べ参考といたしながら、販売、流通面において実効性のある県産材の需要拡大のための対策について検討してまいりたいと考えております。それによって今後全力で県産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県有林材の販売方法についてでありますが、収入確保を図ることは、やはり県有林としての大きなやるべき課題でありまして、先般の森林整備のあり方に関する検討委員会におきましても、需要者のニーズに対応した木材販売への見直しを図るよう提言されております。これらのことを十分踏まえまして、今後、県有林の販売に当たりましては、収入の確保を図るため立木販売の積極的導入促進や販売方法の見直し、改善にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、林産加工事業における補助金のあり方でございますけれども、委員御指摘のように、木材加工施設につきましては全般的に国産材需要の減少の中、ますます厳しい競争を強いられているために、総じて厳しい経営状況となっております。やはり今後、補助施設の整備に当たりましては、経営的に安定させることが地域林業、林産業の振興のために不可欠であると考えておりまして、そういう中で現実に一部経営が破綻している事業体も見られるなど厳しい状況にありますことから、今後につきましては専門家による事前診断を踏まえ、販路の確保、需要動向、収支計画など経営全般にわたりまして、これまで以上に厳密にしっかりとした審査を行いまして、安定した経営が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

〇佐々木農林水産部長 午前中の答弁の中で県の水田農業改革大綱のポイントということで、私ちょっと省略してしまいましたが、委員から御指摘がありましたように、県の大綱の中でも安全・安心の観点を十分踏まえるということで、持続可能な水田農業の推進を図るということも柱として掲げているところでございます。
 集落ビジョン、いつまでかという話でございますが、実は、国は新しい制度に16年度から移行し、そういう集落ビジョンの策定を指導するという話にもなっているわけでございますが、この集落ビジョンの策定については、集落で十分議論を行っていただいて、きちっと合意形成の上で策定いただく必要があるということで、私は相当時間がかかると思っております。そういう意味で集落によって熟度いろいろあると思いますが、できれば、できるところから年度内を目標にしてつくっていただきながら、いろいろ事情があってつくれない、おくれるというところについては、16年度の早い時期につくっていただくという考え方で今、指導しているところでございます。
 それから、食の安全・安心との関連で今、ヘリ防の散布どうなっているんだという、その実態につきましては農業普及技術課長から答弁させます。

〇小岩農業普及技術課長 水稲の航空防除の実施状況についてでございますけれども、平成14年度の延べ散布面積が県内で2万306ヘクタールでございます。延べ散布面積につきましては、平成6年度まで県下で10万ヘクタールを超えておりましたが、年々減ってまいりました。この原因といたしましては、減農薬栽培米の地域が増加したということ、それから転作に伴う散布除外地の増加、あるいは農村集落の混住化なり宅地化が大きく進んで、こういう原因で減ってきていると理解しております。

〇田村正彦委員 1点だけ再度お尋ねしたいと思いますが、食の安全・安心という観点から、確かに平成6年あたりと比べたら8割もヘリ防面積が落ちているわけですけれども、落ちているというか、それくらいヘリ防に対する周りの見る目が大分違ってきているということなんですね。印象を悪くしている面が非常に多いんです。そういったこともあって、盛んに今、地域の営農に当たっていらっしゃる方で、今、普及しているのがミニヘリコプターの農薬散布ですね。これがかなりな台数県内に入っておりますし、それに対して県費補助もかなりな額が出ておるはずですし、また、組織的に各町村にもできている組織もあるやに聞いております。これは前にも申し上げたのですが、食の安全・安心、トレーサビリティーという観点に立った場合、やはり防除体系というのがどこかが主導して組織を一元化して、そこでもって例えばラジコンヘリを集約して防除所とか、あるいは農業共済の方とタイアップしてそれを県下に有効に使える組織づくりというのは、ぜひこれから必要ではないのか。そのことが消費者に対しての安全で安心な米づくりをしているんだぞというコメントにもなると思っているんですが、その辺のところを、今その組織づくりというんですか、そういった体系づくりは進んでいるんでしょうか、そこを最後にお尋ね申し上げます。

〇中正農産園芸課長 産業用の無人ヘリ、いわゆるラジコンでございます。県内の導入状況からちょっと触れさせていただきたいと思いますが、13年度まで19台入ってございますし、14年度につきましては6台の導入で、合計で25台の導入になっているところでございます。この利用状況でございますけれども、それぞれの無人ヘリを中心にしながら、例えば太田では――花巻市太田でございますけれども――太田無人ヘリ利用組合、それから胆沢では胆沢地域の無人ヘリ協議会等々、それぞれのヘリコプターを中心にした組織を立ち上げながら、そういう防除をしているということでございます。今後ともそういう地域の組織的防除が進むように指導してまいりたいと考えておるところでございます。

〇田村正彦委員 私が言いたいのは、それを県下で集約して防除所なり、共済連というのもありますし、その末端組織もあります。そういったものを連携を深めて、せっかく高価なヘリコプターが余り休まないで有効に使えるようなシステムづくりというのを、協議会でもいいですし、そういった組織づくりが必要ではないのでしょうかということを申し上げているんですがいかがですか。

〇中正農産園芸課長 いずれ防除につきましては、今後の重要な体系をつくる上で必要だろうと思ってございます。今、委員御指摘のとおり、どうやったら効果的に、そして安くできるかという観点で、一生懸命そこのところを前向きに検討してまいりたいと思っております。

〇千葉伝委員 予算に関する説明書の158ページ、2目畜産振興費に関し、特に大家畜畜産の振興について伺います。
 本県農業の大きな柱である畜産部門における諸対策について、農林水産部の皆様に御努力いただいていることと、先般の代表質問において知事から本県のBSE対策の一環である肉骨粉の処理を、大分県のセメント工場で焼却していただくこととなった旨の答弁がありましたが、本県の肉骨粉の処理がなかなか進まない中にあって、私も心配していた一人でありますが、困っているときに協力していただくことについては非常にありがたい話であり、県の努力と受け入れ先に対してもあわせて敬意を表する次第であります。
 さて、一昨年のBSE確認以降しばらく低迷が続いていた牛肉の消費も最近ではほとんど回復しており、生産側から見ても子牛価格が大幅に上昇している状況でありますので、BSEの発生によって経済的な影響を受けた酪農家や肉牛農家の皆さんは落ちつきを取り戻しているものと受けとめております。
 そこで、伺いますが、このような状況を踏まえ、今後は、これまでBSEにシフトしていた分、逆に本来の家畜の生産振興に力を入れていかなければならないものと考えていますが、県では本県の大家畜の生産の現状をどのようにとらえているのでしょうか。まず、このことについてお伺いいたします。

〇馬場畜産課長 本県の大家畜畜産の構造といいますか、現状についてでございますが、まず酪農でございますけれども、本県の酪農家の戸数というのは現在、全国2番目ということで、北海道に次いで2番目でございまして約2、000戸でございます。また、飼養頭数からしますと全国3番目、北海道、栃木県に次いでの3番目ということで約6万頭でございます。その産出額ということになりますが、これは全国6番目ということになってしまいますけれども約242億円ということで、全国屈指の酪農県でございます。近年は、経営者の高齢化あるいは後継者の確保難ということで、戸数、頭数とも年々減少しておりますけれども、一方で飼養規模というのは年々確実に規模拡大しておりまして、現在1戸当たり平均約31頭という状況でございますが、しかし全国の水準から比較しますと、全国の水準は都道府県(後刻訂正)平均で見ますと約40頭でございますので、まだ下回る状況という構造になっております。
 一方、肉用牛でございますが、戸数から見ますと鹿児島県、宮崎県に次いでの全国3番目ということで約1万1、000戸でございますし、飼養頭数は、これは5番目になります。北海道、鹿児島県、宮崎県、熊本県に次いで5番目ということになりますが、約11万5、000頭ということで、産出額は5番目でございますが、185億円ということで、やはり全国屈指の肉用牛産地でもございます。酪農と同様に戸数、頭数とも減少しておりますが、特に5頭未満の飼養農家の減少が大きくございまして、この5年間の減少頭数を見ますと2万4、000頭にも上っております。近年、大規模の肥育経営もふえてまいりましたけれども、依然として小規模の繁殖経営が中心でございますので、飼養頭数は平均約10頭ということで全国最下位の規模でございます。
 大変失礼しました。先ほど都道府県と申しましたが、都府県の間違いでございます。訂正させていただきます。

〇千葉伝委員 大家畜の中の酪農部門あるいは肉用牛という分の飼養頭数、戸数、それぞれお伺いいたしました。いずれここの分については全国屈指の畜産県ということで、これまでもいろいろな対策を進めてきているわけですけれども、やっぱりこれからのいろんなことを考えますと、この本県の今お聞きした、特に肉用牛において頭数が2万4、000頭も減っている状況ということを考えた場合に、先ほど畜産課長が答弁した、その畜産農家の現場の方を私自身も見たり聞いたりしているわけですけれども、担い手としての労働力の減少、あるいは高齢化ということの影響ということが大きいということに私も思うわけでありますが、しかし、九州の鹿児島県、宮崎県の肉用牛というのは必ずしも減っていないというふうにも認識しておりますが、その辺の減少していない原因というのか要因というものが本県の方で、わかる範囲でよろしいんですけれども、どのように考えているかお伺いします。

〇馬場畜産課長 九州、鹿児島県、宮崎県での頭数が減っていないその理由についてでございますが、どの県におきましても農業振興を図る上では、やはりその県それぞれの県の置かれた立地条件ということがベースになって作目構成がされているのではないかと思うわけでございます。そういった面からしますと、本県の場合は水田との複合経営といったことで肉用牛の振興が図られてきた、歴史的にそうだったのではないか。最近でこそ肥育が多くなっているわけでございますが、歴史的にはそうだったのではないかと思うわけでございます。
 一方、九州の方からしますと、本県のような水田のような面積がないわけでございまして、そういう中での畜産というものの力の入れ方というのを古くからやっておりまして、そういった面での、例えば宮崎県にしても家畜改良についてもかなり古くから力を入れてきたということ、そういういわゆる農業生産の構造、作目構成といいますか、そういったことがまず一つあるのではないかと思っております。
 それから、肉用牛経営そのものの構造を見ましても、鹿児島県にしても宮崎県にしても、単純平均でございますが規模は倍ということで約20頭になってございます。北海道になればちょっと特別100何十頭ということになるわけでございますが、本県よりは倍ということになっておりますし、それからもう一つは、生産費調査を見ましても、やはり九州ということの地の利といいますか、そういった面で販売額が仮に同じだとしてもコスト面では、例えば建物の償却費が少ないだとかということで、結局所得額がやっぱり本県よりは多いということで、それなりの経営の柱になっているといいますか、そういったことが結局こういう形になっているのではないかと思っておりますし、今、特に鹿児島県はそうなんでございますが離島で結局ふえておるわけでございます。沖縄県もそうなんですけれども、離島の方でその条件の中でどういう振興を図るかということで、肉用牛の振興ということにすごく力を入れているということ、そういったことなのではないかと考えております。

〇千葉伝委員 いずれ各県の状況というか、生産基盤が異なるということのお話であります。いずれ本県の水田複合の中で肉用牛経営、特に繁殖の分については営々として頑張っていただいているわけであります。そういったことでこれからのそのやり方というのが、また、全国の中でも九州の鹿児島県、宮崎県に負けないような肉牛振興を図っていくのが、私は畜産岩手としてのこれからの大きな取り組みとして必要ではないかと思っております。これからの岩手県としてどのような取り組みをしていくお考えなのか、部長にお伺いしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 今後の肉用牛の振興の考え方でございますけれども、ただいまお話がありましたように、また、畜産課長から御答弁申し上げましたとおり、本県の飼養の実態は4頭以下が全体の60%を占めているということで、鹿児島県、宮崎県に比べて全体として半分だということも申し上げたわけですが、非常に規模が小さいという状況にあるわけでございまして、こういう中で牛肉の自由化でございますとか、いろいろ価格の低迷ということで肉牛の飼養部門を中止している経営が特に最近目に見えてきているわけですが、私は、規模が小さいということは、そういう風が吹いたりあらしが来たりしたときに、やめやすいといいますか、断念しやすい小さな規模だと思っておりまして、逆に鹿児島県、宮崎県で頭数がふえているのは、やっぱりしっかりした頭数があって経営の柱として、重要な所得部門として定着しているからだと思っているところでございます。
 したがいまして、今後におきましては、こういうことを十分踏まえながら、現在、県の肉用牛振興5カ年計画というものがあるわけでございますけれども、低コスト牛舎の整備でございますとか、共同利用機械の導入、あるいは生産子牛をできるだけ県内に保留する、あるいは保留した子牛について県内で肥育をしていくというようなキャトルセンターの構想も打ち出しているわけでございますが、こういうことを地域、地域で組み合わせながら生産振興に努めてまいらなければならないと思っております。
 また、特にも安全・安心な牛肉の提供ということもこれからの極めて重要な課題でございますが、本県はかなり整備された草地を有しているわけでございまして、非常に草資源に恵まれているわけでございますので、安全・安心という観点からも粗飼料多給の飼養形態の導入についても、十分これから指導してまいりたいと思っております。いずれBSEの問題につきましては、解決の方向にあると思っておりますので、今後はまさに生産振興に軸足を置いて、一層取り組んでまいりたいと思っております。

〇千葉伝委員 今、部長のお話で、これからの本県畜産、今の分は肉用牛という分でのお話であります。私自身もやっぱり生産基盤の整備ということが、まず大きな分だろうと思っております。そういった中で考えますと、先ほど草地の利用ということからすれば、県内100何十カ所ある例えば公共牧場の再編整備、それもまた考えなければならないでしょうし、あるいは午前中のお話にあった堆肥の適正処理、こういった分、そういったものの基盤も私は整備していく必要があろうと思っています。いずれ、地域性を生かしたその対策を進めるということと、一方では、今、部長のお話があった、これまで築いてきた戸数あるいは頭数、それが一定規模の頭数がなければ家畜の改良とか、あるいはいいものを残していけないとか、あるいは種牛をいいものをつくってもなかなかそういったことが広まっていかない、こういうことを考えますと、逆に今、県で進めている良質の優良な種牛の確保、そしてまた、それに使われる優良な雌牛の確保、こういったものの対策を進めるということが、家畜改良も含めた基盤整備になっていくのではないかと私は思います。当然、価格面においては畜産物の価格安定対策、これも必要だ、いろんなことを考えた上で効率的あるいは生産性の高い経営体をつくっていく、あるいは意欲のある農家を支援していく、こういうやり方をぜひ強力に進めていただきたい。これは要望にさせていただきますけれども、よろしくお願いを申し上げまして終わります。

〇工藤大輔委員 午前中の質疑の中で、家畜排せつ物法の関係で佐々木一榮委員から質問のあったところなんですが、罰則規定が伴うということもあって、本当に生産者は頭が痛いような状況にあると思います。そこで、私は養鶏、養卵の件について質問をしたいと思いますけれども、実際に現在、例えば本社が県内にはなくて他県にあると、ただ、農場は県内にあるといったところで整備をしたい、対応したいということが、そういったところもあるわけでしょうけれども、その場合にはどういった手続を必要とするのかについてお伺いしたいと思います。
 また、一つの機械について耐用年数をどのぐらいで見ているのか、また、切りかえたいという要望があった場合にはどのような対応をしているのか、まず、最初にお伺いします。

〇馬場畜産課長 最初の、本社が県外にあって農場が本県にあった場合ということのお尋ねでございますが、基本的には、例えば一つ補助事業、県が予算を計上して執行していくという補助事業、そういった例についても過去にも同様の例がございまして、決して県外だ、県内だということではなくて、県内で生産活動を続けるという観点からしますと、当然現場と御相談いただくということになりますけれども、そういう採択をしていくという事例もございましたので、最終的に申請を本社の名前でするのか、それとも現場の例えば農場名でするのかという、そこについてはまた新たな御相談いただかなければならない面があろうかと思いますが、いずれ事業の対象になると私どもは理解しております。
 それから、もう一つは、この排せつ物処理施設の整備に当たっては、県が予算措置をしてやっている場合と、それから国が直轄といいますか、国直接ではないんですが、いわゆる事業団、国の外郭団体が助成をするという事業がございまして、そういった場合については、県は、直接予算計上はしないんですけれども、県としての意見を付すという手続を踏んでいる場合がございます。そういったことにつきまして、本来であれば例えば端的に言えば全農だとか、そういう団体を通じて手続をとるということが一般的でございますが、こういったいわゆる商系に属さないといいますか、あるいは系統にも属さないといいますか、そういったことについて、いずれ不利益があってはだめだと、制度がありながら属していないから結局整備ができなかったという不利益、不公平があってはいけないということでは考えておりますので、いずれそういう対象になるような形で進めさせていただきたいと思っております。
 それから、耐用年数が過ぎた施設ということでございますが、これは当然処理施設の方法につきましては日進月歩、かなり進歩しているわけでございますので、一般論から申し上げますと新たな高度化された施設、そういったことも導入する。それから、当然規模拡大もしているわけでございますので、そういった面を総合的に見て補助事業の対象にしたらいいのか、それともいわゆるリース事業の対象にしたらいいのかというのは、具体的に事業者の方々と御相談をさせていただいて、そして対応してまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 今、馬場畜産課長より説明があったところだったんですが、実際に、例えば隣県に本社があって、県内の配合飼料協会にも所属をしていない、県内の農協とも取引がないといったところに申請を出そうとしても、なかなかやっぱり後回しにされているという現状もあるやに聞きますので、その辺はそういったことがないように、いずれ県内に農場を置いてもらって、例えば雇用面だとかさまざまな面について本当に大きな貢献をされているところもあるわけですので、そういったところにも公平に対応されますように、この辺は強く要望をしたいと思います。
 それと、いずれこれは罰則規定が伴って、肥料化、また炭化だとかさまざまな処理になっていくと思いますけれども、結局これは肥料だとか、あとは炭化したものの有効利用だったり、流通の方がこれから大きな課題になってくると思いますが、この辺について県ではどのように考えているのかどうかについて、まずお伺いします。

〇馬場畜産課長 例えば、堆肥化したり炭化したりという最終製品の流通ということでございますが、私どもは事業を組む場合に当たりましては、まずその計画段階でもってそこから発生する排せつ物、そしてどういう処理をしていくか、その処理方法、例えば炭化という方法、そしてその結果、最終製品といいますか、その後どのように使っていくのかという一連の中で計画を提出いただきまして、それが本当に妥当であるかどうかということを検討させていただくということになるわけでございます。そのときにやはりその会社あるいは経営者がみずから解決する場合と、それから地域の農協だとか、あるいは市町村を含めて、あるいはいろんなグループの方々で解決していく、いろいろ方法はあろうかと思いますけれども、そういった中で一つの、ただ単に処理をするで終わりということではなくて、利用の面まで一体となって一つの流れということで、一緒になりながらその計画づくりをすると。第一段階にはその経営者の方々のお考えを伺うということから始まるわけでございますが、そういった中で一緒にそこの御相談をさせていただくということで進めているものでございます。

〇工藤大輔委員 いずれ、つくったものの販売先がないというのであったら、また問題ですので、この辺については適切に対応してもらいたいと思いますし、あと養鶏、養卵というのは小規模経営というよりも、どっちかといえば中規模とか大規模、例えば5万羽、10万羽とか、20万羽とか大きな規模で経営されているところが多いわけであって、1日に出る量も1、000トン単位だとか本当に多いわけでございますので、そういったところが、整備がおくれたりすると結局処理に困り不適切な処理をしてしまうという傾向もあるわけでございますので、今後さらなる御指導を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、松くい虫についてお伺いしますが、松くい虫も本当に年々被害が増大している傾向にあるわけで、毎年議論となっているところでございますけれども、今年度の予算、そしてあとこれまでの予算措置等の中で年々どのような現象になっているのか。そして、被害状況が、やってはいてもどのぐらいの拡大をし、県では予想どおり、こう言っては変ですけれども、このぐらいやったけれどもこのぐらい被害額が増大してしまったというのは、予想している範疇のものなのかどうか。
 また、今年度は秋田県ではかなりの被害の状況になってしまった。前年度と比べてもかなりふえたと聞いておりますけれども、その辺の実態についても答えてもらいたいと思います。

〇佐々木松くい虫対策監 まず、被害の状況でございますけれども、平成11年度から特に被害量が急増しておるという状況でございます。平成11年度、約2万1、400立方メートルの被害量、それから被害が発生している市町村数は19市町村でございましたけれども、平成12年度には被害量が3万5、800立方メートル余、それから13年度には被害量が5万1、631立方メートル、被害発生市町村も22市町村というようなことに、非常に増加をしたという状況でございます。
 それで、現在の状況でございますけれども、平成14年12月末の被害量でございますが、4万8、000立方メートル少し超えておるというような被害量でございまして、被害の発生している市町村数は23市町村、大迫町で昨年の6月に新たに被害が発生したということで23市町村ということでございます。それで、被害が最も北の発生市町村ですけれども紫波町でございます。こういった被害が最近になりまして急激に増加しておるという状況を踏まえまして、平成13年度、12月末でございましたけれども、本県の松くい虫対策の施策の基本方向を定めております岩手県松くい虫被害対策推進大綱を改定いたしまして、やはり被害の発生が拡散しておるという状況をとめないと、なかなか大変な状況になるということを踏まえまして、被害の拡散を防止する。やはりこのためには被害の先端区域あるいは被害の先端市町村を定めまして、そういった市町村から徹底して被害をなくしていくということが必要であるということで大綱を定めたところでございます。
 特に本年度からはそういった大綱を踏まえまして実施をしておるわけでございますが、その中で特に重要であるということで考えておりますのは、被害防除監視帯というものを平成8年度に花巻、東和のライン、それから宮城県と接しております陸前高田市のところに設置をしまして、そこで被害を何とか防いでいこうというようなことでやってまいりました。ただ、それでもやはり紫波町にまで被害が点在して広がっていくというような状況を踏まえまして、平成14年度に西部の監視帯、それから東部の監視帯ということで、西部の方は花巻の隣の北上市から一関市のライン、それから東部のラインは北上市の東側、途中ちょっと設置できませんでしたけれども、室根村のところまでということで監視帯を設置させていただきまして、そこに被害監視をする監視員をこれまでの13名から23名に多くさせていただいて、そして被害を徹底的に調べる。特に先端区域の被害を重点的に調べて、そしてその被害を徹底して駆除していくということを実施してまいっておるところでございます。
 それで、15年度の関係でございますけれども、15年度におきましても特にこのような体制を強化する必要があるのではないかということで、防除監視帯につきまして、東側の方ですけれども江刺市、それから大東町のところにも監視帯の設置をお願いしたい。そこに防除監視員の配置もお願いしたいということでお願いをしておるところでございます。こういった監視体制を、被害地をぐるっと取り囲むような形で設置をさせていただきまして、それの外側、いわゆる先端区域と申しておりますけれども、そういったところの被害を徹底的に探し出して完全に駆除を図っていこうということを市町村といろいろと協議をしまして、そういった方針で来年度以降も進めてまいりたいと考えております。そのほかに地域緊急雇用の基金も活用させていただきまして、監視帯のない市町村にもそういった被害監視をできるような監視員を配置するということでやっております。
 それで、予算の関係でございますけれども、14年度の松くい虫関連予算ですが、5億7、800万余ということになっておりますけれど、15年度当初におきましては6億8、100万円をお願いしたいということでございます。その中身の主なものは、当然被害木の伐倒駆除を徹底して行うということが主なものでございますが、その中でも先ほど申しましたような監視帯の強化ということも特にお願いをしておるところでございます。
 それから、その次に……。

〇飯沢副委員長 簡潔にお願いいたします。

〇佐々木松くい虫対策監(続) 済みません。申しわけありません。
 秋田県の状況でございますが、秋田県の……。

〇飯沢匡副委員長 いや、秋田県の状況は聞いていませんから、いいです。(工藤大輔委員「いや、聞いています」と呼ぶ)

〇佐々木松くい虫対策監(続) 秋田県の状況につきましては、平成13年度、2万2、600立方メートル余という被害ということですが、14年12月末の状況につきまして伺いましたところ、3万8、500立方メートル余ということでございます。それで、岩手県との関係ということでございますが、角館町とか田沢湖町、それから西木村、それから今年度に入りまして沢内村の隣の町村だと思いますけれども、太田町、それから千畑町、それから湯田町の隣の山内村でも被害が発生したという状況になっておるということで、私どもとしますと、これまでも監視は十分にやってきておるつもりでおりますけれども、これからもまたさらに強化を図らなければならないということでございます。

〇工藤大輔委員 大変いい説明をしていただきまして、ありがとうございました。
 私は、毎年同じような取り組みをずっとこれまでやってくる中で、あと5年もすれば岩手郡だとか下閉伊郡の北部の方までもう行ってしまうのではないのかと、そのような既に勢いになっていると考えておりますが、これはいずれ国の方でもしっかりとした対応をとってもらわなければならない。補助をかさ上げしてもらうだとかしてもらわなければならないわけですが、その辺については、例えば局長、これからこの松くい虫を、これは県木ですのでこれを北上させないため、そして県木を守るためにどのようなことをやっていかなければならないのか。今の説明もございましたが、私は新たな取り組みが必要だと思います。伊藤勢至委員が前から持論としているように、例えば被害があるところだけではなくて、今、被害がないところの地域をもうばっさり切ってしまうだとか、そういった方策をとって松くい虫、マツノザイセンチュウが移動しないところまでその対応をとっていくという考え方も、やっぱり必要ではないのかと考えているところでもございますので、その辺についても含めて力強い答弁をもらいたいと思います。

〇坂元林務局長 松くい虫につきましては、岩手県の県木であるアカマツを何としてでも守ると、特に三陸海岸北部の方に行かないようにするために、従来からやっております対策をさらに強化して、先端地域で徹底的に駆除して周辺に行かないようにまずやっていきたい。それと、今、委員からおっしゃられました、いわゆる松くい虫がそこへ生息しにくい抵抗性アカマツの品種改良したものを導入していくと、これは16年から予定しておりますし、そういうもの、またそれ以外、激害地域においてはほかの樹種に転換していくということを含めまして、特に徹底的に北上化、また西の方に行く部分を防いでそこから拡散しないように全力で取り組んでまいりたいと思います。

〇工藤大輔委員 抵抗性の強いのを16年度からということですが、それだって成長するまでまた10年、20年もさらには年数がたって、またそのときでなければ状況はわからないだとかということになりかねませんので、私はもう本当にこれについては新しい、また大きな取り組みが必要だと思います。また、予算に関係しても、国から来ていただいているところですので、強く国の方に要望してもらい、かさ上げ等してもらえますように強く要望したいと思いますので、何か所感がございましたら、ちょうだいしたいと思います。

〇坂元林務局長 岩手県における松くい虫をやはり徹底的に駆除すると、また、拡散防止のためにあらゆる可能性を追求して、また、国にも要望していくなり、また、新しいいろいろな対策を検討していくなり、最大限頑張って取り組んでまいりたいと思います。

〇樋下正信委員 私は、予算に関する説明書の152ページの畑作振興費のいわて純情果実産地活性化対策事業費補助について、お伺いしたいと思います。
 本県は、青森県、長野県に次ぐ全国第3位のリンゴの主産県であるわけですが、現場では高齢化等により作業がきつくなっているということでございます。これは地元の人からの話もあるわけでございますけれども、こうしたことへの対応として県内では防除の労力の軽減を図るためにSS、いわゆるスピードスプレーヤーが導入されているわけですが、聞くところによりますと、近年このスプレーヤーも大変いいもの、能率の高い高性能なものが開発されている、キャビンとかついてエアコンもついている立派な機械なそうですけれども、そういうものが開発されていると聞いておりますけれども、このような機械導入は地元の産地の労力の維持とか発展のために欠かすことのできないものと考えておりますが、このスピードスプレーヤーに対する国なり県の支援対策はどのようなものがあるものでしょうか。
 そしてまた、この支援状況は農協とか経済連を通じて行なっているかと思いますけれども、支援状況はどうなっているものでしょうか。
 そして、もう一つは、15年度のこのスプレーヤーの導入の計画はどのようなものになっているのか。
 3点について、お知らせ願いたいと思います。

〇中正農産園芸課長 リンゴの防除機の関係についてお尋ねでございましたので、お答え申し上げたいと思います。
 御案内のとおり、リンゴの防除機、スピードスプレーヤーと申し上げますけれども、年々、性能が向上してきておりまして、現在では、いわゆる無人でリモコンで動く防除機も開発されてきているということでございます。無人防除機の導入については、いわゆる国の生産振興総合対策事業という事業がございまして、これで導入できるというふうになってございます。それから、いわゆる無人防除機でない、今、委員が申し上げましたとおり、キャビンつき、あるいは有人の方になりますけれども、これについては県単独事業である、いわて農業担い手支援総合対策事業によりまして、支援申し上げているということでございます。
 なお、これまでの支援状況でございますけれども、平成10年から14年までの5カ年で申し上げますと、県内各地域に25地区に38台が導入されている状況でございます。現在までのところ、この補助事業の中で無人防除機の導入は実績がないわけでございますが、このような38台の実績になっているということでございます。
 それから、15年度の導入の計画についてでございますけれども、盛岡市あるいは紫波町など、7地区におきまして14台の導入が計画されているという状況にございます。県としましては、効率的な病害虫防除、省力的な防除ということで省力化を図るため、計画的な導入を支援してまいりたいと考えているところでございます。

〇吉田昭彦委員 私は、農業、林業、水産業の振興にかかわる問題について何点かお伺いしたいと思います。
 まず、第1に、農業振興にかかわる問題についてお伺いしますが、農業は、先ほど来いろいろ論議がありましたように、国内外ともにさまざまな課題を抱え大変厳しい環境下にありますが、本県においては基幹産業として位置づけられており、一層の振興を図る必要があるとの観点で質問をさせていただきます。四国4県に匹敵する面積を有する本県においては、当然内陸部と沿岸部では異なった経営形態にあることは御案内のとおりでありますが、そこで、まずもってお伺いいたします。沿岸部の農業就業者の年齢構造、一経営体当たり耕地面積、認定農業者の割合、耕作放棄地の状況について、内陸部と比較してどうかお示しをいただきたいと思います。

〇河村農業振興課長 沿岸部と内陸部との比較でございますが、2000年の農業センサスで比較しますと、まず農業従事者の高齢者の割合につきましては、65歳以上の高齢者の割合ということで申し上げますと、内陸部は31%の高齢化率、それに対して沿岸部は38%の高齢化率ということで7ポイント高齢化が進んでいる。
 それから、1戸当たりの経営耕地面積でございますが、内陸部は148アール、1町4反8畝、それから沿岸部が73アールと、2分の1以下ということになるかと思います。
 それから、3点目の認定農業者の割合でございますが、全農家に占める認定農業者の割合で申し上げますと、これは内陸部、沿岸部とも7%ということでほぼ同じということになってございます。
 それから、4点目、最後の耕作放棄率でございますが、内陸部が農地の大体5%ということですが、沿岸部については17%ということで3倍以上の耕作放棄率になってございます。

〇吉田昭彦委員 ただいまの御説明でもわかりますように、大変厳しい環境下にあるわけですが、あわせて沿岸部の場合は、先ほどもありましたように、海の方では、先日しけによる被害があったわけでございますが、いわゆる農業地帯においても強風による塩害、それから用水不足、やませなど自然的条件も厳しい中で農業経営が行われておるということであります。この中で中山間地域直接支払制度は、農家負担を軽減する意味で大きな支援になっておるわけでありますが、しかしながら、沿岸部の限られた農業地域であります平たんな地域で先進的に取り組んでいる地域については、傾斜度の関係でその恩恵に浴していないのが実態であります。
 そこで、提案を含めてお伺いいたすわけでありますが、花、野菜などへの転作によりまして新しい沿岸部の農業振興の形態、農地の利用集積による集落営農など、新たな生産組織による経営形態でもって先進的に取り組んでいる場合に、将来の担い手農業者の農業形態の実証モデルとして何らかの支援策を講じることによって、沿岸部の農業振興を図ってはと考えますが、どうでしょうかお伺いします。

〇河村農業振興課長 御案内のとおり、沿岸部は内陸部と比較すれば大変不利な条件もあるということですが、一方、例えば夏季冷涼だとか冬季温暖だとかいう、そういう農業が発展する可能性も一方では持っているということで、例えば久慈のホウレンソウでありますとか、大船渡管内の花壇苗でありますだとか、各地域で特徴のある取り組みが進んでございます。
 委員御指摘のとおり、いずれ先ほど言ったとおり耕作放棄率も非常に高いということで、内陸と同じような個別の大規模経営というのは非常に難しいということで、基本的には個別経営を補完して、組織的に集落の農地を集約して、可能な限り一つの経営体みたいな格好でまとめていくというふうな集落営農組織の育成というのは非常に重要だと認識してございます。
 県では、これまでも担い手への利用集積を図るための農地流動化モデル地域を設置したり、あるいは試験研究機関による園芸など集約作物導入のための技術支援という点での21世紀農業経営モデル実証試験地というものを設置しておりまして、こういう先進的集落営農組織をリーディングファームという位置づけをして、これを各地域に波及させていく必要があると思っております。

〇吉田昭彦委員 課長からは前向きの御答弁をいただいたと私、理解をいたしましたが、おっしゃられるとおり沿岸部の農業は漁業と一体化しまして、地産地消、食の安全、生産から加工など、販売までのアグリビジネスが可能でありまして、さらには景観の維持、国土保全など多面的な機能を有しておることから、農業・漁業体験等観光と結びついたいわゆるグリーンツーリズム、ブルーツーリズムの基礎となるものでありまして、重要な役割を担うものとして振興が必要だと思うわけであります。
 ついては、部長に重ねて御答弁をいただきたいわけでありますが、ただいま申し上げましたように生産組織が一定の面積の農地の利用集積によって集落営農を展開する場合に、中山間地域直接支払制度のような支援策を県単の制度として創設いたしまして、生産組織を支援することが沿岸部の農業振興上大変重要ではないかと思うわけでありますが、部長の御答弁を改めてお伺いしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 沿岸地域の振興についてでございますけれども、県内大変広うございまして、南北東西、それから平場から中山間地域までそれぞれ特色のある資源を有しているものと思っております。特にも沿岸地域は夏季冷涼、冬季温暖というそういう立地の有利性もありますので、そうした地域、地域の特色を生かした農業の振興をしてまいらなければならないと思っていまして、私は言うなれば岩手県の農業は地域、地域でモザイク模様の農業を展開して、県全体として産地力を高めていくことが非常に大事だと思っております。
 そういう中でいろいろ地域の条件を生かしながら、先進的な取り組みに対する支援ということでございますが、実は御案内のことと思いますけれども、国の新たな米政策の中で、今までは、ややもすると全国画一的な施策であったということの反省のもとに、今度地域の創意工夫を生かした独自の取り組みができるような支援対策ということで、新たに産地づくり交付金、産地づくり推進基金というものを設けまして、そして地域で合意形成された取り組みに対して支援するという制度もできておりますので、この制度の中身、まだはっきりしていないわけでございますが、その状況を見きわめながら、まずはこの基金を有効に活用していただきたいと思っておりますし、それも踏まえた上で、先ほど来、御議論いただいております新たな水田農業の改革をどう進めていくかという話に対する県としての支援ということもありますので、その辺、国の基金の状況を見きわめながら、県としても検討してまいりたいと思っております。

〇吉田昭彦委員 重ねて申し上げるわけですが、沿岸部の場合は、部長も御承知のように、まとまった面積を、農地を保全しながら営農形態を確立していくというのが大変難しい条件下にあると思います。そういう意味では10ヘクタールとか20ヘクタールとか、そういうまとまった地域については県が積極的に支援をしまして、それで集落営農の確立を図るということが大変重要ではないかと思いますので、当初予算は骨格で、肉づけを6月補正でおやりになると伺っておりますので、その支援策についてもぜひお考えいただくように、重ねてお願いを申し上げて、このことについては終わりたいと思います。
 次に、林業についてお伺いします。
 最近の森林、林業をめぐる情勢は、木材価格の低迷や林業労働力の減少、高齢化などにより個々の森林所有者による森林の整備が難しくなるなど、大変厳しい状況となっております。このため、計画どおり間伐が進まなかったり、間伐しても材が林内に放置され、それが大雨により流出し二次災害を誘発するなどの被害が出る場合があるわけであります。これは昨年の台風被害からも、そのようなことが言われておるということは御案内のとおりであります。このような中で、県有林事業は、これまで森林資源の造成整備を通じて森林の多面的機能の発揮、地域雇用の安定確保などに大きな役割を果たしてきており、今後においても、これらの役割を積極的に果たしていく必要があると考えるものであります。私は、森林保全の観点から、県有林事業が率先して間伐や間伐木の整理など、適正な森林整備を推進することで、市町村有林や一般民有林においても間伐などの保育管理が推進されると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと考えますがいかがでしょうか、お伺いしたいと思います。
 それから、林業にかかわりまして2点目でありますが、住田町において森林(もり)の科学館構想を樹立されておることは御案内かと思いますが、住田町では、これまで林業の町を目指しまして森林の適切な造成管理から林産物の生産、集成材やプレカットなどの加工から住宅産業まで、一連の取り組みを関係者が一体となって進めてきており、今後はさらに森林認証の取得と木質ペレットの生産施設など、木質バイオマスエネルギーの利用に向けて具体的な取り組みを進めているところであります。
 また、住田町では、種山ケ原の広大な森林空間を活用した森林の営みと人間との関係を体系的に学ぶとともに、森林に関する情報発信の拠点としての森林(もり)の科学館構想を構想し、現在さまざまな取り組みを進めております。林業をめぐる厳しい環境の中にあって、住田町のこうした取り組みについては、本県はもとより、全国にその情報を発信していくものと考えており、こうした観点からも、また、次代を担う子供たちの森林環境教育を推進していく上からも、住田町の森林(もり)の科学館構想の実現に向けて、町の取り組みとあわせて、県においても積極的に支援していくべきものと考えますがいかがでしょうか、お伺いしたいと思います。

〇照井緑化推進課長 県有林事業におきます森林整備についてでございますが、県有林事業はこれまで約5万7、000ヘクタールの森林を造成してきておりますけれども、この造成を通じまして、森林資源の充実であるとか、また、就労機会の少ない山村地域におきます雇用機会の創出などに大きな役割を果たしてきているところでございます。
 先般、森林整備のあり方に関する検討委員会からいただきました最終報告におきましては、県有林事業はこれまで造成した森林の保育管理につきましては、今後とも中心的な役割を担っていくことが重要であるとされております。
 県といたしましては、この報告を踏まえ、今後、県有林事業の経営改善に鋭意取り組むとともに、森林の適切な保全管理を通じまして、委員からただいまお尋ねがございました、大雨の際に現地残材が流出しないようにするなど、林地の保全に十分配慮しながら、間伐等の森林整備を適切に推進してまいりたいと考えております。

〇高橋農林水産企画監 住田町の森林(もり)の科学館構想についてでございますけれども、この構想につきまして、県といたしましては、森林・林業に対する県民理解の醸成ですとか、森林環境教育の推進の上からも支援が必要であると考えておるところでございます。庁内の関係課長、地方振興局の関係部長を構成メンバーとする森林(もり)の科学館構想推進検討会を設置しておりまして、具体的な推進の方策などについて検討してきたところでございます。
 今後といたしまして、この検討会の検討結果をもとに、住田町と一体となって種山ケ原を中心にした森林(もり)の科学館マップの作成でありますとか、森林・林業体験教室の開催など、ソフト事業の重点的な展開を図りまして、この取り組みの成果を県全体の森林環境教育などに活用していくとともに、現在、県が松尾村に整備を進めております森林科学館、これは仮称でございますけれども、このような施設とも十分連携を図りながら、広がりのある取り組みを展開していきたいと考えているところでございます。

〇吉田昭彦委員 住田町の森林(もり)の科学館構想につきましては、まさに川上から川下までという先進的な取り組みも住宅産業に結びつけてやっておられますし、先ほど申し上げましたように、木質ペレットの木質バイオマスの利活用についても非常に熱心に取り組んでおるわけでありますので、森林(もり)の科学館構想と結びつくような形で町自体も積極的に取り組んでおるわけですから、そういう面で、ただいま前向きの御答弁をいただいたと理解をいたしましたが、そのような形で支援をしていただくようにお願いを申し上げまして、このことは終わりたいと思います。
 県有林における森林整備について先ほど御答弁をいただきましたが、それとあわせまして、緊急雇用対策事業を活用しまして県有林の除間伐を推進してはどうかと、雇用の円滑化のためにも、また、森林の保全管理になるのではないかと、そのように思うわけでありまして、雇用対策と森林の管理保全という両方の、一石二鳥になるのではないかと、そのように思いますので、ぜひとも今の失業対策とあわせて緊急の雇用対策事業を活用して、県有林の管理保全を行ってはどうかということを提言、要望いたしまして終わりたいと思います。
 それから、水産業にかかわりましてもうちょっと時間をいただきたいと思いますが、2点お伺いしたいと思います。
 第1点は、本県と宮城県との漁業調整についてでございます。
 これは長年の懸案となっておる事項でございますが、本県南部海域におきましては、宮城県のサケ固定式刺し網漁業によって、本県のかご漁業等の操業が妨げられるなどの問題が生じていると聞いておるわけであります。県においては、合理的な操業区域の設定を目指して、宮城県と引き続き協議が進められていると聞いておりますが、両県の漁業者が円滑に操業できるようにするため、相互の漁業調整を図っていくことが必要と考えられるわけであります。
 そこで私は、昨年2月の県議会においてこの問題について質問したところ、県から、本県と宮城県の海区漁業調整委員同士で話し合いが持たれることとなっているとの御答弁をいただいたわけでありますが、それが実現すれば画期的なことでありますが、その話し合いは行われたのでしょうか。具体的にどのような内容について話し合いがなされたのか、今後の対応はどうなるのかお伺いいたしたいと思います。
 2点目でございますが、カキ殼の再資源化対策についてお伺いいたします。
 岩手県漁業協同組合連合会の推定によりますと、県下で年間に約6、000トンのカキ殼が発生いたしております。特に、気仙地区はむき身で出荷するカキの割合が高く、カキ殼発生量の8割は気仙地区で占められておると言われております。この処理に地区の漁業者は大変頭を痛めておるわけでありますが、カキ殼は適正に処理すれば、さまざまな用途への再資源化が可能なことが明らかとなっております。環境首都いわてを目指す本県としては、カキ殼の再資源化を積極的に図るべきと考えるわけでありますが、県としてカキ殼の再資源化にどのように取り組むお考えなのか、お伺いいたします。

〇佐々木農林水産部長 私から本県と宮城県との漁業調整について御答弁申し上げます。カキ殼の再資源化対策につきましては水産振興課長から答弁させます。
 本県と宮城県との漁業調整についてでありますが、これまで実は行政間でさまざまな調整を行ってきたところでございますけれども、漁業者間の話し合いも大変大事だというようなことで、実は本県からの提案によりまして昨年の8月7日でございますが、初めて両県の海区漁業調整委員会の交流会が開催されたところでございます。交流会では、両県漁業の課題について話し合いを継続して進めていくということで、両県同士が合意したところでございますが、当面は、秋サケ漁業と入会漁業について話し合いを進めていくこととしたところでございます。
 そういうことで、第2回の交流会は同じ昨年の9月13日でございますが、盛岡市で開催したところでございます。その場におきまして、本県の委員から、宮城県のサケ固定式刺し網漁業について、一つには、宮城県が決めている唐桑町唐桑御崎正東線を越えて本県南部海域で操業しているので、取り締まりをしっかりしてほしいということを本県の方から申し入れました。
 それからもう一点は、広田湾に設置をされております宮城県の定置網が、本県の放流したサケを漁獲しているというようなことで、本県の増殖経費を負担していただきたいということなどを提案したところでございます。
 この結果、宮城県のサケ固定式刺し網の操業につきましては、宮城県の漁業取締船の監視が強化されたと思っておりまして、本年度はこれまでのような無秩序な操業が減少しているものと、第1点目についてはそう受けとめております。
 それからまた、増殖経費の負担につきましては、現在、宮城県の増殖団体でこの負担について検討が行われていると聞いているところでございます。
 さらに、第3回目の交流会、今月の1月24日に開催されたところでございますが、入会漁業について、今度は宮城県の方から、漁業者同士の話し合いを行って入会を促進することの提案がありまして、当方としては、本県漁業者の意見を聞いて次回に回答するとしたところでございます。
 このように、本年度から始まった海区漁業調整委員会同士の話し合いではございますが、精力的に話し合いが進められたものと思っておりまして、両県漁業の課題解決に向けて新たな展開が見られているものと思っているところでございます。
 県におきましては、今後とも海区漁業調整委員会と連携をいたしまして、宮城県との漁業調整を推進し、両県漁業の課題解決に向けてさらに引き続き取り組んでまいる考えであります。

〇武井水産振興課長 カキ殼について御答弁を申し上げます。
 委員御指摘のとおり、カキ殼の処理につきましては、漁業者にとって大変大きな課題であります。一方で、素材として有効利用する可能性もあるということでございまして、県としては、再資源化が重要であると考えてございます。このため、各地域でカキ殼の再資源化を具体的に進めてまいりますために、県は市町村や漁業団体と一緒になりまして、受け入れ側の事業者などとの連携・調整を行っているところでございます。特に、気仙地区におきましては、民間会社がカキ殼を道路の路盤材として再利用する試験を行ってございます。県としても、漁協と会社との調整あるいは道路舗装の技術面での助言等を行っております。また、さらに、県の技術的な指導に基づきまして、例えば地区内の牧場の水飲み場周辺にカキ殼を敷いて、ぬかるみを改善する実証試験なども行われているところでございます。また、宮古地区におきましても、県の調整のもとに、カキ殼を牧草地に土壌改良材として利用する実証試験などが行われているところでございます。
 このようなカキ殼の再資源化を今後拡大するためには、まず生産者がカキ殼を再資源化しやすいような形にするということが重要でございますので、県といたしましては、生産者の啓発を図ってまいりたいと考えてございます。また、受け入れ側関係者との連携が一層なされるように努めてまいりたいと考えてございます。

〇吉田昭彦委員 本県と宮城県との漁業調整につきましては部長から御答弁いただき、大変進展をしていると私も評価をさせていただきたいと、そのように思いますので、本県と宮城県、まさに広域連携の上でも大変重要な地域でございますので、さらにお話し合いを続けられまして、円満な解決策を見出していただくように、早急にそういう形態にしていただくようにお願いを申し上げて、その部分については終わりたいと思います。
 カキ殼の再資源化対策についても、積極的な取り組みをしていただいていると評価をいたしましたが、御案内のように、沿岸南部の場合におきましては、カキ、ホタテ、これが大変安定的に生産をし、また、市場の評価も高いわけでありますが、そういう面では、後継者の育成という観点でも、生産者の負担を軽くするという意味合いではこのカキ殼の処理、再資源化、これは大変重要でございますので、そういう点でさらに県の積極的な支援、取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

〇前田隆雄委員 最初に152ページの水田農業経営確立対策の中で伺います。
 一般質問の場においても、水田における麦、大豆の生産振興について伺いましたけれども、答弁が漠然としておりましたので、少々踏み込んで伺います。
 まず1点目に、品質向上対策をどのように考えているのか。2点目に、農家の収入確保対策をどのように考えているのか。そしてまた、この収入確保とかかわりがあるマーケティング対策と販売状況をどのように考えているのか、最初に伺いたいと思います。

〇中正農産園芸課長 麦、大豆の品質向上対策からお答え申し上げたいと思います。
 近年における生産量の増大に伴いまして、実需者から、加工適性などの品質向上が求められているところでございます。13年度におきましては、大豆につきまして特色のある豆腐ができる青大豆、品種名青丸くんと呼びますけれども、また、本年度、麦につきましては、製パン適性の高いゆきちからを奨励品種として採用したところでございます。また、同じように実需者からは食味などの面、こういう面から、たんぱく質含有量の向上、そして均一化ということを求められております。したがいまして、優良品種の導入とあわせ、肥培管理あるいは排水対策などの指導を徹底して、品質の向上に努めてまいりたいと考えております。
 それから、2点目の農家の収入確保対策でございます。
 麦、大豆につきましては、大規模経営によるスケールメリット、これを発揮することが農家収入を向上する上で重要であると考えているところでございます。このため、団地化や担い手への農地の利用集積による規模拡大、これとあわせまして、汎用コンバインなどの高性能農業機械の導入による省力・低コスト生産を積極的に支援し、収益性の向上を図ってまいりたいと、このように考えております。
 既に県内では、一関地域の小麦、あるいは石鳥谷地域での大豆ということで、県平均を大幅に上回る高い収量を実現しているところでもございますので、また、藤沢の有機栽培の麦、あるいは玉山、前沢の青大豆ということで、契約栽培により有利販売を行っている事例も出てきてございます。こうした取り組みを全県的に波及させるなどしながら、農家の所得確保に向けた支援に努めてまいりたいと、このように考えております。

〇得田流通課長 次に、マーケティングについてでございますが、生産者団体それから国、県の行政機関、こういったものに加えまして加工業者、こういった実需者の方にも参画をいただきまして、岩手県産麦民間流通地方協議会とか、いわての大豆普及推進協議会、こういったものを平成13年に設立をしたところでございまして、こうした場を通じまして、例えば小麦の播種前契約の締結、それから実需者と生産者の結びつきの促進、新たな麦、大豆加工品の開発、PR、こういったものに取り組んできたところでございます。
 こういった取り組みをもちまして、麦について申し上げますれば、本年度、県内すべての学校におきまして県産ナンブコムギ、これを3割取り入れました学校給食用パンが導入されましたことや、それから県外への新たな販売ルート、こうしたものも開拓をされておりまして、13年産5、550トン、それから14年産についても6、676トンでございますが、全量が販売できる見通しでございます。
 また、大豆につきましても、特にも県内の加工業者の需要がふえておりまして、例えば県産大豆を100%使用しました商品数は、対前年で2割増しになっておりまして、使用量については対前年の約2.6倍、645トンにまで増加をしており、着実に取り組みが進んで結びつきが拡大をしておりまして、14年産については着実に販売が進んでおると認識をしております。
 一方で、全国的にもこの麦、大豆の生産が増大しておりまして、需給のバランスの面でなかなか難しい面もございますので、こうした点、気を引き締めまして実需者ニーズに対応しました生産技術の向上とあわせまして、県産麦、大豆を使用しました新製品の開発支援、それから学校給食におけますパンの県産小麦含有率の向上などに向けまして、関係者の理解と協力、こうしたものを求めながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

〇前田隆雄委員 水田にかわる作物の推進という意味では、強力な施策を持って支援していただきたいと思うところでございます。
 次に、畑作振興費の中で伺います。
 農業用廃プラスチックについてでございますけれども、これは農家にとって非常に大きな、余分な経費だと言われております。農業資材販売業者に、販売責任において何とか引き取らせることができないものかと思うのですが、いかがでしょうか。

〇中正農産園芸課長 農業用廃プラスチックの関係でございますけれども、廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、産業廃棄物として事業者みずからの責任において適正に処理すると定められているところでございます。その処理に当たりましては、許可を受けた処理業者に委託して実施するということで、具体的にいいますと、産業廃棄物管理票の記入ということなど、かなり厳密な手続を要するとされております。
 県といたしましては、農家個々がこのような処理を行うということが非常に負担が大きいということで、県内各地域に農業用廃プラスチックの適正処理推進協議会を組織いたしまして、適正処理の意識啓発を図るとともに、処理の効率化と費用の低減のため、年に数回の回収日等を設けまして、農家が搬入した廃プラスチックをまとめて処理業者に委託する組織的な回収処理を促進しているということでございます。
 また、排出量の抑制という観点から、すき込みのできる生分解性マルチの利用拡大、それから従来のビニールハウスの被覆材に比べて長期間使用できるフィルムというのがございますので、こうしたものの普及などによって廃プラスチック処理費用の低減を図っているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを促進しながら農家の負担軽減に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。

〇前田隆雄委員 現在の農家は、家畜排せつ物にかかわることにしろ、この農業用廃プラスチックにしろ、環境問題にしろ、非常にいろんなことでがんじがらめにされてきているという状況で大変になってきています。そういった支援に対しても十分な配慮をお願いしたいと思います。
 次に、158ページの畜産振興費の中で伺います。
 実は雫石ではよしゃれというものにちなんで、よしゃれ鶏の生産をしておりました。ところが、よしゃれ鶏のひなが余り確保できないということで、南部かしわに切り変わったということでございますが、その背景がどのようになっていたのか教えていただきたいと思います。

〇馬場畜産課長 雫石町において取り組まれておりましたよしゃれ鶏の生産が、南部かしわの生産に切り変わった理由についてでございますが、よしゃれ鶏は天然記念物の烏骨鶏と軍鶏との交配種の中から選抜されていった大型の肉用鶏でございまして、コクと甘み、歯ごたえのある肉質が特徴ではございましたが、肉質のばらつきが大きかったという難点がございましたし、それからもう一つは、今、委員御指摘がございましたが、要するに一般の肉用鶏と比べまして産卵能力が、一般でありますと年間250個程度ということでございますが、このよしゃれ鶏の場合は50個から60個ということで、なかなかひなの確保が難しいと、そういうことがございまして、南部かしわの場合は大体250個ぐらいということでございますので、確実にひなを確保できるということで、南部かしわの生産に切り変わったものと聞いております。

〇前田隆雄委員 南部かしわを推進していくのだという話はわかりましたけれども、さらに県では現在新しい肉用鶏を開発中と聞いていますけれども、その背景と、それでは今後、この南部かしわをどのようにしていくつもりなんでしょうか。

〇馬場畜産課長 現在、本県では南部かしわのひなの供給ということをやっているわけでございますが、一方、生産者からは、例えば秋田県の比内鶏だとかあるいは鹿児島県の薩摩鶏のように、地鶏を活用した高品質の肉用鶏の開発ということでの強い要望がございまして、新たな開発に取り組んでいるものでございます。
 ちなみに、現在開発中のものは、主に県北の山間部に飼われておりまして、本県の天然記念物として認定されております岩手地鶏を活用しているものでございまして、肉質あるいは発育にすぐれたオリジナル肉用鶏を目指しているものでございます。
 そういったことに取り組んでいるわけでございますが、南部かしわにつきましては、昔懐かしいかしわ肉の味を持った高品質の肉用鶏でございまして、定評がございますし根強い需要がございますので、今後引き続き振興してまいる考えでございます。

〇前田隆雄委員 ただいまの答弁の中で、新しい鶏は南部地鶏を利用する、そして南部かしわのすばらしい鶏だという背景の中で、県では常々いわてブランド推進事業ということをうたっておりますけれども、こういったものをもっと強くPRしていくべきではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

〇得田流通課長 鶏についてうちでもいろいろやっておりますが、ブランド化に向けまして関係機関と連携をとりまして、一生懸命PRをしていきたいと考えております。

〇前田隆雄委員 次に、BSE対策の中で伺います。
 現在BSEで処理されている中で、特定部位という言葉が使われます。今までの特定部位が4カ所と理解していましたが、現在3カ所という話を聞きますが、どのようになっているのか。そしてまた現在、特定危険部位というのはどう処理されているのか。さらに、農家から1、700円という拠出金が出ているのですが、これは検査料なんですか、処理料なんですか。私は農家に負担させるべきではないと考えるのですけれども、そういったところの御答弁をお願いしたいと思います。

〇得田流通課長 特定部位でございますが、これはBSEの原因と考えられております異常プリオン、これが検出される部位でございまして、ほほ肉や舌を除きました牛の頭部、それから脊髄、それから回腸の一部分、この3部位のことでございます。屠畜場法によりまして、牛を処理する際に、除去、焼却することが義務づけられております産業廃棄物でございまして、処理については、昨年の12月まではいわてクリーンセンターとそれから岩手畜産流通センターの焼却炉、この2カ所で焼却処理が行われてきたわけでございますが、本年1月以降は関係者の御協力をいただきまして、青森県の化製場においてレンダリング処理の上焼却をされていると、こういう状況になってございます。
 それから、農家負担についてでございますが、1、700円いただいておるわけでございますが、これは県の屠畜検査料ではございませんで、運搬、焼却などにかかります処理料として、屠畜料の中に含まれているものでございます。
 それから、この特定部位の処理重量についてですが、昨年10月までには、屠畜場法の特例措置期間ということもございまして、牛の頭蓋骨などについては焼却をしなくてもよかったわけでございますが、その経過期間が終了したため、頭蓋骨や角とかそういった部分も焼却することとなりまして、特定部位の処理重量が1頭当たりこれまで約12キロだったものが、約24キロと倍増したところでございますが、関係者の努力、協力によりまして、化製場における処理が行われておりまして料金が据え置かれていると、こうした状況でございます。
 いずれにしましても、こうした費用につきましては、国において十分な対策を講じるよう、今後とも要請してまいりたいと考えております。

〇前田隆雄委員 このBSEに関する農家拠出は、何とか、しないようにしてほしいものだと思います。
 最後になります。造林費の中で伺いますけれども、森林整備事業費の説明の中で、岩手山地域振興ビジョンの推進についてのお話がありましたけれども、その事業は具体的にどの程度進捗しているのか、それから今後の計画について伺いたいと思います。

〇照井緑化推進課長 振興ビジョンの関係でございますけれども、これにつきましては、例の奥産道の工事再開断念に伴いまして、地域の振興を図るという観点から、このビジョンが策定されたものでございます。
 これは平成11年に策定されておるわけでございますけれども、このビジョンの中で環境学習教育の推進、それから観光を初めとする産業振興、新しい交流回廊の創造という、この三つの観点に立った方向をこのビジョンの中で示されてございます。とりわけ、この環境学習教育の推進の中で、いわゆる森林体験等を通じて、自然の成り立ちや人とのかかわりについて学習するといった、いわゆる森の駅を整備するとこの中で構想が出ておりまして、これは松尾と雫石にそれぞれ駅を設けまして、その駅の間をそれぞれ六つのゾーンに分けまして、それぞれ必要な施設を整備しようと。
 当部に関係がございますのは、この六つのゾーンの中で、県民の森ゾーン、そこが当部の直接関連してくるゾーンでございますけれども、この中で、平成13年から15年にかけまして森林科学館、これは子供から大人までが森林・林業の重要性、こういったものを考え、そしてまた体験していただこうということで、県民の森ゾーンの中核となる森林(もり)の科学館、これを13年から15年にかけて今造成しようということで、今回この建設についての予算審査をお願いしているところでございます。
 それから16年度以降は、体験をするために必要な歩道といいますか、県民の森を回って見られるような、そういった歩道を16年から17年にかけて整備をするということで、今進めているところでございます。

〇前田隆雄委員 今後の計画というものの答弁がなかったように思います。

〇照井緑化推進課長 これは11年から17年までかけて整備をすると、振興ビジョンではそういった形になってきてございます。当部に関連する県民の森につきましては、13年から17年の中で計画をすることにしておりますけれども、13年から15年につきましては先ほど申しました森林科学館、これを整備すると。それから、16年から17年にかけましては、歩道といいますかそういったものを整備したいという計画になっております。

〇田村正彦委員 先ほどの前田委員の質疑の中でちょっと気になる答弁があったので関連でお尋ねします。
 麦、大豆の消費に関してですが、学校給食に今度はパンを導入するのだと、積極的にやるのだと。今までは米をがりがりやれと、今度は麦が余ったから麦だと、パンだと。次は大豆が余れば豆腐だと、こういうことになるんじゃないですか。そうじゃなくて、やっぱり学校給食は米なら米でぴしっとやる。あとは麦は麦で新たな販路の拡大を目指して頑張ると、そういった気持ちがなければ、ただ安易に、子供たちに、余ったから今度はこっちだ、今度はこっちだと。そういうやり方じゃ、とてもじゃないけれども、消費という観点から立った場合はおかしいと思うんですよ。その辺のところをちゃんと確立してやってもらいたいです。

〇得田流通課長 舌足らずの答弁でまことに申しわけございませんでした。
 パンの方については、基本的には外麦の部分を県産の方に変えるという部分でございまして、米飯の学校給食についても全国では週5回のうち2.8回が平均でございますが、本県としてはただいま3.25回と、かなり有数の水準に至っておりまして、決して米を減らしてパンをふやそうという話ではないんですけれども、いずれにしても、給食だけにとどまりませず、新規の販路の開拓などについても取り組んでまいりたいと思っております。

〇小原宣良委員 国の米政策改革大綱に加えまして、食糧法の改正が予定されていることなどから、米の生産調整の仕組みが大きく変わろうとしております。これらの変更内容については、新年度の早い時期で農家も生産団体も市町村も、この全体像をしっかり把握をする必要があると考えますので、幾つかお伺いをいたします。
 第1点は、生産調整の割り当て方法の変更についてであります。生産調整の割り当てが面積から生産数量制となり、農家にはそれを面積換算して割り当てるとするようでありますが、この数量割り当て、すなわち配分の根拠、これをどう見ておるのでしょうか。その要素をどこに求めているかということです。
 例えば、販売実績という中で見ますと、売れ残り実績などがあると思うんです。いわば、売れ残った地区については、数量配分が強化をされるという要素になるのかどうか。要するに、数量で配分をするわけですから、配分の要素は何なのか、この点をお伺いしたいと思います。
 また、生産調整のあり方が強制から選択制となるようでありますが、県は市町村にどう配分しようと考えているのでしょうか。
 第2点は、過剰米短期融資制度についてでありますが、国は農家の資金拠出を得ながら過剰米短期融資制度をつくろうとしているようでありますが、これはどのような仕組みとなるものか。融資単価を含めてお示しをいただきたいと思います。
 第3点は、産地づくりへの助成のあり方についてであります。先ほども吉田委員からの質問がございました。これはどのようになると見ているでしょうか。
 第4点は、米価下落補てん対策でありますが、これもどのような仕組みと対応になっていくと見ておりますか、お伺いをいたします。

〇佐々木水田農業推進監 米の生産調整につきましては、現在、食糧法の改正ということが国会で審議されてございますし、さらには、具体的な内容につきましては、国の生産調整に関する研究会のもとに専門委員会を置きまして、実務的、技術的な側面から検討されておるところでございます。検討中のものも含めまして現在の状況をお答えいたします。
 まず第1点目の、配分が、生産調整目標面積から生産目標数量配分に転換されることについてでございますが、これは生産調整目標面積を達成しても、豊作等によって生産調整の効果が薄れてしまうということ等の指摘を踏まえて変えられたものでございますが、この生産目標数量の配分、これは都道府県配分でございますが、都道府県配分に当たりましては都道府県別の供給実績、これに在庫の増減等で調整した数字をベースにいたしまして、さらには公平、中立な第三者経営機関的な組織の助言を得て、都道府県別の目標数量が設定されるということになってございます。
 それから、二つ目の生産目標数量の配分についてでございますが、新しい生産調整システムにおきましては、生産目標数量を行政と農業団体の両ルートでそれぞれ配分し、農家には単収で換算いたしました生産目標面積を配分することとなってございますが、現在、配分の具体的な方法等につきましては検討が進められている最中でございます。
 さらには、米政策改革大綱では、遅くとも平成20年度からは農業者、農業者団体が主役となるシステムに移行するということにされてございますが、この段階におきましては、必要な場合においては農業者団体が農業者に生産目標数量を配分することとされているところでございます。
 それから、3番目の過剰米短期融資制度でございますが、この制度は無利子融資の仕組みを利用いたしまして、豊作による過剰米を出来秋時点に主食用とは別に区分出荷をすることによりまして市場から隔離し、米価下落を防止しようとするものでございます。区分出荷された米につきましては、翌年の出来秋までの間に主食用等への販売努力を行うとともに、それでも販売できなかった米につきましては、米粉パンなどの加工用途に仕向けようとする制度でございます。
 なお、区分出荷された米に対する融資単価につきましてはまだはっきりしていないわけでございますが、生産調整に関する研究会の検討過程では、60キログラム当たり3、000円という額が提示されておりましたが、これは決定されたものではございません。
 それから、4番目の産地づくりへの助成でございますが、平成16年度に新たに産地づくり推進交付金を創設することとされてございます。この制度は、全国一律の方式から転換し、地域みずからの発想、戦略で構造改革に取り組むためのいわゆる地域提案型の助成でございます。助成の対象やあるいは助成の水準につきましては、市町村水田農業推進協議会において決定するとされております。
 それから次に、米価下落補てん対策についてでございますが、これは二つございまして、一つは、生産調整のメリット措置として、生産調整実施者すべてを対象に米価下落の影響緩和対策を講ずるものでございます。もう一つは、米価下落による稲作減収の影響の大きい一定規模以上の水田経営を行っております担い手を対象に、その担い手の経営安定を図る対策として講じられるものでございます。
 具体的な内容については、今後さらに検討されるものとされてございます。

〇小原宣良委員 この面積から数量に配分方法、生産調整の方法を変えたと。これの効果はどういう農家、農業団体あるいは農村、どういう姿というものに誘導しようとしているのかということが大事だと思うんですね。しかし私は、そういう姿がどうもよく見えない。今までの地域ぐるみ営農とか、そうした集落ぐるみの営農とか、みんなでとにかくやっていこうということの意味からすると、その辺をさらに強化するということなのか、あるいは個々の農家がそれぞれ自分の責任でとにかく対応をしなさいという形になっていくのか、その辺の姿がよく見えない。この生産調整の配分方式を変えたその意味するところ、真意は何だろうかということについて県はどう認識をしておるかということを、改めてお伺いをしたいと思うわけであります。
 それから、先ほども説明がありましたけれども、過剰米の短期融資制度、これについて融資単価は反当たり、10アール当たり3、000円ではないかと。しかしこれは定まっていないということなんですけれども、これはとても話にならないと思うんですね、3、000円では。
 ところで、本県の米の生産に当たって、反当たり、10アール当たりの経費、この現状はどうなっているのでしょうか、今の経費。こういう部分に照らして3、000円というのは、とてもじゃないけれども話にならないということなんですよ。そういう意味で、この過剰米短期融資制度ということにはなりますけれども、しかし、それは実態的でないと指摘をせざるを得ないわけです。
 それから、米価下落補てん対策についても、先ほど一般の農家と大規模農家という部分では、差が出てくるであろうということなんですね。しかし、大規模農家、例えば4ヘクタール以上という形で、中核農家を育成するということなんでしょうけれども、一般の農家とのかかわりの中で、いわば誘導策として中核農家を育成すると、中核農家にはこういうメリットがあるのだからひとつ頑張ってくださいと、こういう形で格差をつけるということが明らかに見えるわけですね。この点はどうお考えでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 私から、冒頭の生産調整の割り当てが、面積から数量に変えられた意味なり評価ということについてお答えをいたします。その他のお尋ねにつきましては、水田農業推進監から御答弁を申し上げます。
 米の生産調整につきましては、昭和46年に本格的に実施されて以来30数年を経過したわけでございますが、残念ながら、この生産調整の目標である米の需給と価格の安定を図るという意味では、いろいろ生産者、関係機関が一体となって取り組んできたわけでございますが、所期の目的は達成することができなかったということで、残念ながらそう申し上げざるを得ないと思っております。そうした中で、一方、生産者からは既に不公平感だとかそれから限界感だとか、あるいは一方的に義務的に制度がやられているというようないろんな問題がございましたし、そういう全般の問題をどう解決するかということで研究会を設置して、優に46回開催されたと思っておりますが、当然生産者、消費者、幅広い各界、各層の方々の意見を聞いて、最終的にこういう方向づけがなされたものだと思っておりますが、そういう意味で、面積から数量に変えた観点というのはいろいろあろうと思いますが、今までの方式では実効性を確保し得なかったということで、一方では生産者の自主的な判断というような考え方が取り入れられた中で、さらに今後とも――この生産者の自主的判断というのは、一切、生産調整をしなくてもいいということではなくて、あくまでも生産調整の実効性を確保するというベースの上に、こういう生産者の主体的な判断というような考え方だと思っておりますが、今後におきましても、生産調整の実効性を確保するという観点と、それから、これからいろいろな対策が講じられるわけですが、その対策につきましては面積というとらえ方ではなくて、あくまでも余剰米だとか過剰米というような数量で対策を組んでいくということでございますので、こういう数量同士のリンクづけが必要だという観点で、全体的にこういう面積から数量の形にシステムが変わったものだと受けとめているところでございます。

〇佐々木水田農業推進監 まず、過剰米短期融資制度の60キログラム当たり単価3、000円ということで議論がされていることについてでございますが、研究会の議論の過程で3、000円という数字が持ち出されたのは、豊作時の過剰米につきましては、一たん市場から隔離した上で、販売環境を整えながら主食用あるいは加工、おもちとか菓子用とかにまず販売を努力すると。さらに、それでも売り切れなかった場合は融資の担保として現物を提供し、この現物が処理できる現実的な価格として例を挙げれば3、000円であるということで、3、000円が持ち出されたものでございます。ですから、この3、000円は最悪の場合、えさ米を処理することも含めての想定として出された数字でございます。
 これを委員お話の米の生産費との関係で申し上げますと、本県平成13年度の数字になりますが、60キロ当たり1万5、435円ということになってございます。ですから、先ほどの過剰米の3、000円という部分はあくまでも基準単収の、生産目標数量の内側につきましてはこれは当然主食用として販売されるわけですから、それを飛び出た部分ということについて3、000円という議論が出されておるということでございます。
 それから、その次の米価下落補てん対策で、特にも経営安定対策の対象とする農家が大規模農家なりに限られておるのではないかというお話でございますが、将来あるべき稲作の姿を考えた場合に、これは地域の実情によるわけでございますけれども、一つは、低コスト化等が可能な大規模家族経営体を目指していく方法があるでしょうし、それから地域の実情によりましては、小規模農家まで一緒になった――大綱の中では、集落型経営体という表現になってございますが、そういう地域ぐるみの経営を育成することによって、将来にわたって米の生産を安定的に確保するという考え方でございますので、将来にわたって水田農業が持続的に発展するということの一つの方法として、そういう経営体質のきっちりした担い手を育てることが重要なのではないかと考えてございます。

〇小原宣良委員 これから深まる議論ではありますけれども、しかしそのためにもちょっとお伺いをしたいのですが、結局、県から市町村に配分をするという際に、数量配分をする際に単収換算をするというわけですが、単収換算をする場合の単収というのは何の基準を使うんですか。例えば農業共済の引き受け単収を使うんですか。単収換算をどうやるのか、農家はどうやればいいのか。数量、面積に換算する場合に、そういう疑問がありますので、その点が一つ。
 それから、産地づくり助成につきましても、集落という形の中で計画を立てるわけですから、先ほどの部長の説明のとおり、そうなってくると生産調整の達成率ということが深くかかわってくると思うんですね。そうした場合に、その生産調整に参加をしない農家という部分については、多分そのことによって計画が達成をされなかったと、この分をしょってくれという話に勢いなるかもしれない。その点はどうなるのか。
 それから本県の米ですが、今までの実績において売れ残りはなかったかどうか、この点はどうでしょうか。
 それから備蓄制度というのは、今までの需給調整としてそれなりの効果を発揮してきたと思うのですが、これからこの備蓄制度というのはどうなるんですか。

〇佐々木水田農業推進監 まず単収についてでございますが、現在これも生産調整に関する研究会の専門委員会で検討されておる段階でございまして、具体的に取り出しまして検討している内容を御紹介申し上げますれば、一つは、農林水産省統計情報部が発表している市町村別収量、いわゆる農作物統計で市町村一本に出るものでございます。もう一つとしては、水稲共済の基準収量、それからもう一つは、公的試験研究機関等が設置する実証圃等の収量ということで議論されてございます。ただ、これは基本的に市町村別収量でございますので、全国から都道府県、市町村への段階についてはこれをベースに現在議論がされてございますが、さらに市町村から農家ということになりますと、同一市町村内に、現実的には中山間地域から平場地域まで抱えている市町村がございますし、さらには土壌条件を見ますと、肥沃なところもございますしそうでもないところもあると。それからさらには品種も違うということで、非常に検討する要素が大きくなっていると。ただ、基本的には、できるだけ農家の納得を得るためには、事細かな単収設定が望ましいわけでございますけれども、事務の合理化という面もあわせて考える必要があるということで、現在、国の専門委員会において検討されておるという状況でございます。
 それから、2点目の産地づくり推進交付金の関係でどうなるかということですけれども、基本的に産地づくり推進交付金は、先ほど申し上げましたように、市町村水田農業推進協議会において助成の対象とか助成の水準を決めることになってございますが、国で一つ条件をつけているのは、産地づくり推進交付金を農家個々に交付する場合は、生産調整参加者に限定するということになってございます。ですけれども、産地づくり推進交付金ですから、決め方によるわけでございまして、すべてを農家個人ごとに配分しないで地域全体として、つまり集落組織の中で水路の維持管理にするとか、あるいは共同利用機械を入れていくとか、そういうことについては生産調整へ参加しないものを除外するということは考えておらないと。つまり、地域として最も望ましい水田農業を確立していくために、これは使われるべきであるという整理になってございます。
 それから、本県産米について売れ残りはあるのかということでございますが、これは現行計画流通制度の中に調整保管という制度がございまして、これは農業団体が運用しているわけでございますが、このままの状態で売り切っていくと価格が厳しいということが想定される場合は、それを現実的には米主産県でそれを市場隔離して調整保管に回すと。調整保管に要する経費につきましては、国も一定の助成をしてございます。現実的に、本県調整保管に回っている米が本県のみならずあるわけでございます。消費量が全体的に減少していく中で、豊作だということもあって、どうしてもこの状態を放置すれば市場に悪影響を及ぼしかねないということで、全国で26万トンだったと思いますけれども、調整保管に回っている数字がございます。これを売れ残りと見るか、農業団体の計画的な販売対策と見るかは、いろいろ見方があるわけでございます。ただ、これは現実的に売れ残りという表現はしないわけですけれども、現実的に国の需給バランスの上では持ち越し在庫という形に数字の上では整理されております。
 それから備蓄制度でございますが、現在検討されておりますのは、従来は備蓄の数量のとらえ方は米穀年度ということで、10月末で数字を押さえて、それを根拠に生産調整目標面積なりを配分してきたわけですけれども、その時期ですと現実的に西南暖地の早場米地帯はもう新米が出回っている時期でございますし、そういうことから考えて、在庫の押さえる時期を6月末に持っていくというのが一つでございます。それから、在庫の水準につきましては、現在100万トンということで検討されてございます。

〇小原宣良委員 これでとどめますけれども、いずれ県が市町村に配分する際に説明に困ると、あるいは聞く側がよくわからないと。同時にまた、県、市町村の段階から各農家、集落に対してこういう目標を配分する際に、農家の皆さんがよくわからないと、何を言っているんだということのないように、ぜひ県は、今、国が検討しているという状況であるならば、しっかりと本県の実情をも踏まえて、十分な意見を述べていただきたい。
 岩手県の場合は、約8割が中山間の農業が占めているわけですね。そういうことからいたしまして、中核農家集約一辺倒ではこれは成り立たないという状況も踏まえながら、新年度の中に始まるであろう配分という対応については、十分に国にも意見を反映させ、納得のいく状況の中で対応していただきたいと思います。

〇飯沢匡副委員長 世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時5分 休 憩
   午後3時24分 再 開

〇水上信宏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇阿部静子委員 地球環境、それから人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価については、国民的な関心が大変高まってきております。そこで、かつて私は森林の多面的な機能について御質問をいたしました。そのときに、日本の森林の価値は70兆2、638億円、それに対して岩手県の場合は2兆6、398億円というすばらしい数字をお聞きいたしまして、いやあ、岩手県というのはすごいところだと感動したわけでございます。このたび、本県農林水産部では農村・農業におけるこの多面的な機能の評価をなさったと伺っております。その内容について御説明をお願いいたします。

〇高橋農林水産企画監 本県農業の多面的機能の評価についての御質問でございますが、実は平成13年11月に国の方で――日本学術会議でございますが――答申しまして、国の農業の多面的機能の評価、金額換算したわけでございます。日本学術会議と同じ手法を用いまして実は昨年、本県農業の評価をいたしました。その結果、例えば洪水防止機能ですとか、水資源涵養機能ですとか、国の評価に準じまして7項目ほど評価いたしました。数字を申し上げますと、例えば洪水防止機能につきましては1、070億円、あるいは水資源涵養機能につきましては655億円等々となってございまして、7項目合算いたしますと県の農業の多面的評価の金額は3、020億円になるものでございます。ただ、実は日本学術会議で言っておりますように、このそれぞれ項目のその評価の仕方の経済的な意味ですとか評価法も異なりますから、合算額と言いましょうか、7項目の合算額は余り意味がないですよという言い方をしておりますけれども、ただ、便宜上、合算いたしますとそういう金額になるものでございます。ちなみに、国の評価額は8兆2、226億円でございます。こういう状況になってございます。

〇阿部静子委員 確かに3、020億円、すぐお金になるわけではございませんから、しかし、それだけの値打ちを持っているんだ、森林とあわせますとまさに3兆に至るようなそういう財産を岩手県は持っているわけでございますので、これをどのように活用なさるおつもりかお伺いをいたします。

〇高橋農林水産企画監 この多面的評価、算出いたしましたこの目的でございますが、やはりこれは県民の方々の農業・農村に対する関心、一層高めていただきたいということと、それからいろいろ、例えば小学生、中学生、児童生徒に対する教育的な一つの材料といたしまして、大いに活用していただきたいという趣旨からこれを算定いたしまして、いろいろ報道などを通じまして、県民の方々にPRをしているところでございます。

〇斉藤信委員 私、最初に、政府の米政策改革大綱と県の水田農業改革大綱についてお聞きします。私の一般質問で部長の答弁漏れがありました。だれが悪いのかわかりませんが、改めてお聞きします。
 政府の米政策改革大綱は、米の需給と価格に対し、国の責任を放棄し、米の下落と圧倒的多数の農家を切り捨てようとするものではないでしょうか。米生産のあり方として売れる米づくりが提起されていますが、これは安い米づくりとなるのではないでしょうか。担い手育成では4ヘクタール以上の農家、これは県内では2、854戸、販売農家の3.9%となっており、農家切り捨てになるのではないか。こうした米政策改革大綱で岩手の米と農業が守れると考えているのでしょうか。県は、政府の米政策改革大綱を先取りして実施しようと、県版水田農業改革大綱を早々と示しました。政府の大綱の中身以外に県独自に米の生産価格、転作の条件整備などの具体的対策があるのでしょうか。私は、今、必要なことは、公共土木事業費が5割以上を占める農業予算のゆがみを正して、農家が求める米、野菜などの価格補償の思い切った拡充と転作条件の整備を図ることではないかと思いますがいかがでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 本会議の答弁では御答弁申し上げたつもりでございますが、改めて答弁をさせていただきます。
 今回の国の米政策改革大綱並びに本県の水田農業改革大綱についてでありますが、本県は、まさに米の主産県でもございますし、我が国の総合食料供給基地を標榜しておりますので、今般の米政策の改革は、本県農業の一大転機になるものと思っております。私は、これからの農業を守っていくためには、何にも増して、地域農業の中心となる担い手を育成することが一番大事だと思っておりまして、まず一つには担い手がしっかりと生計が維持できるような規模拡大を進めたいと思っておりますし、それから担い手を中心に規模の小さい農家も参加した地域ぐるみによる営農組織、あるいは集落型経営体を育成し、規模の大きい農家もそれから規模の小さい農家も、それぞれの役割を分担しながら、地域の総力を挙げて、新たな水田農業の展望を開いていかなければならないと思っております。
 私は、個別経営の育成も、それから地域農業の発展も個々一人一人ではできない、そこに役割分担があって、そして地域の総力を挙げて取り組むことによって新たな米改革大綱にも取り組むことができるものだと思っておりまして、それぞれ規模の大きい農家も小さい農家も一緒になって、地域農業の振興に取り組んでいくべきものだと思っておりまして、こういう観点からも、規模の大きい農家も小さい農家も参画して集落の水田農業ビジョンを策定していただき、その実現に向けて取り組んでいただく一方で、県としてもしかるべき支援をしてまいりたいと思っております。
 その他のお尋ねにつきましては、それぞれ担当課長から答弁させます。

〇佐々木水田農業推進監 県の大綱を実現するための具体策についてということのお尋ねについてでございますが、稲作につきましては、農地の利用集積の促進などにより、効率的な生産体制の整備を図るとともに、適地適品種の配置による高品質、良食味米の安定生産を基本といたしまして、特別栽培米あるいは有機栽培米の生産拡大や、もち米、酒造好適米の団地的生産など、需要を先取りした特色のある米づくりを推進することとしてございます。
 また、転作につきましては、収量の向上や省力化などにより生産性を高めることが重要でございますので、排水対策など圃場条件の整備や団地化、機械化を積極的に促進するとともに、消費拡大を図るため実需者ニーズに対応した品質の向上や農産加工による高付加価値化など、個性ある産地づくりを推進していくこととしてございます。

〇高橋農林水産企画監 公共事業中心の農業予算のゆがみのお話ございました。それから、野菜などの価格補償の質問ございました。
 この2点についてお答えいたしますと、公共事業につきましては、農業経済の安定を図るためには、その基礎的な条件となる基盤の整備、あるいは農村生活環境の総合的な整備の必要があると考えているところでございます。本県におきましては、こうした基盤整備がおくれておりますことから、公共事業を通じて、効率性の高い農業の展開や、競争力のある産地形成を進めていくことが重要であると考えているところでございます。
 また、野菜などの価格補償につきましては、市場価格の変動に対応するため、青果物や畜産物の価格安定対策を行っているところでございます。

〇斉藤信委員 米の政策改革大綱が本当に日本と岩手の米と農業の発展につながるかということを私は聞いているんですよ。この冒頭こう言っています。米の過剰基調が継続し、これが在庫や米価の低下を引き起こしている。米の過剰基調と言うけれども米の自給率は今95%ですよ。農林水産省の調査で100%割っているんです。何でこれが過剰になるんですか。米の輸入がふえているからでしょう。今の農業を衰退させた最大の理由は米の輸入、米価の下落です。この二つを解決する対策がなかったら、私はますます米、農業は衰退をすると思いますよ。そういう点でこの米改革大綱は冒頭から完全に事実誤認に陥っているのではないか。
 幾つか具体的にこの改革大綱に基づいてお聞きをしたい。目的のところでは、消費者重視、市場重視の考え方に立って、結局国は需給と価格から撤退をするという方向を出しています。消費者重視、市場重視というのは結局大商社、大スーパーの買い占め、たたき売り、これを許してしまうと思いますね。そして、米づくりの本来あるべき姿、こういうことで売れる米づくり、こういうことを提案しているわけです。売れる米づくりは何かと言うと、いろんな需要があるからそれに対応してつくるべきだ。これはうまい米だけではないんです。例えば、飼料米だったらこれは1俵1、000円ですよ。加工用米だったら3、000円です。さっき過剰米の処理も3、000円ということになりましたが、これは外米の価格と同じです。いわばそういう米をつくったらこれは米価の大幅な下落になるのではないでしょうか。米政策改革大綱というのは、国の責任を放棄してますます米価を大幅に下落させることになるのではないでしょうか。やっぱり米の輸入を削減するという大道を強く求める必要があるのではないか。例えば、米政策大綱では100万トンの適正備蓄水準と言っています。これは150万トンから100万トンにする。そして、この備蓄米は入札で買い取ると言うんですよ。いわば備蓄米の価格も保障されていない。そうすると入札になった場合に1俵3、000円が基準になるんではないでしょうかね、最低基準に。そういう点でこうした米価の下落を推進するような米政策改革大綱、それを先取りしてやろうとする県の水田農業改革大綱で本当に岩手の米と農業を守れるのか。
 もう一つ私、聞きたいのは、転作を進める上で、これは転作が必要です。今まで転作奨励金があったからかなりの農家がそれで何とか辛うじてもってきた。この転作奨励金が産地づくり交付金になりますけれども、これは縮小されるのではないでしょうか。新たな転作条件の整備の具体的対策がなかったら私は転作も進まないと思いますけれども、そういう具体的対策はあるのでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 まず、前段の消費者重視、市場重視の考え方でございますけれども、今回の米政策改革大綱は、先ほども申し上げましたけれども昭和46年から30有余年にわたって生産調整が実施された結果、残念ながらこの生産調整の目的であります米の需給と価格の安定を図るという当初のねらいは十分果たし得なかったと思っておりまして、今回の改革もその検証の上に関係者が一丸となって長期にわたって、しかも46回に及ぶいろいろな議論の結果一つの方向性として示されたものだと思っております。消費者重視、市場重視という考え方につきましては、何と申しましても需給が緩和しております中で、消費者に国内産の米を消費していただく、消費拡大をしていただくというような観点で、その方向性が打ち出されたものだと思っておりますし、あわせて、やっぱり米の生産につきましても消費者に安全・安心なものを供給するという観点も取り組みの基本として、方向性として据えて今回の消費者重視、市場重視になったものだと思っております。
 それから、転作につきましても、今後ともこの取り組みを生産者にお願いすることになるわけでございますが、いずれにいたしましても生産者が主体的な判断のもとにその稲作と転作を両方組み合わせながら、地域全体として水田農業によるその所得の向上を図るという観点で取り組んでいただく必要があると思っておりまして、国におかれましてはこうした対策を十分講じられるものだと思っております。

〇斉藤信委員 政府は、米の過剰を農家の責任にしているんです。ここが間違いなんですよ。年間77万トンもミニマムアクセス米を輸入して、それが過剰の原因なのに農家に責任転嫁をして、国の責任を放棄するというのが米改革大綱ですよ。さっき私言ったように米の自給率は95%なんです。本来国民全体の年間の需要を賄い切れない生産に今、実際にはなっているんです。なぜそれが売れないかと言うと、さまざまな形で外米が入っているからです。これを穀類という形でくくり組めばWTO協定のもとでも輸入を削減できるんです。今、例えばアメリカにしても発展途上国にしても、価格補償の予算は80年を基点にすればアメリカは10倍にふやしています。EUは3倍にふやしています。日本は47%、半分に減らしたんですよ。日本の農業の米の一番の原因はここにあるんです。諸外国は全部農業予算をふやしているときに日本は半分に減らした。私は、こんなやり方をしていったら絶対うまくいかないと思いますよ。
 それで、具体的にお聞きしたい。胆沢町のこれは集落営農を頑張って30戸ぐらいでやっているところの実績です。今の転作奨励金があるので、例えば大豆の場合、経営確立助成で10アール当たり4万円、全国とも補償で2万3、000円、高度利用で5、000円、いわばここでは6万8、000円の助成をもらって、収入、支出、これ全部合計しますと10アール当たり5万円の所得になっているんです。6万8、000円の助成をもらって5万円の所得になるということですね。この助成がなかったらこれは成り立たないんです。これはかなり最高のレベルで助成をもらっている場合ですよ。集落営農でいろんな助成をもらって。私は、そういう点ではこういう価格補償がなければ、所得補償がなければ、今、米もその他の作目もこれは成功しないと思います。だから、米を守るんだったらそういう米価をどう守るのか。他作目にさまざまな転換を図るんだったら、では麦、大豆だけではなく雑穀にしてもソバにしても、また、花やその他にしても生産を補償する価格補償制度を充実すべきではないか。農業予算の中で価格補償、所得補償はたった0.3%ですよ。2億1、000万円、これ100億円ぐらいにふやしてやらなければだめなんではないですか。国の予算でも3割は価格補償です。少ない中で3割。岩手県の予算になると0.3%になるんです。私は、だからそれはゆがみではないかと言っているんですよ。0.3%の価格・所得補償、これで転作進みますか。私はそういうことも具体的にお聞きしたい。

〇佐々木農林水産部長 公共事業とそれから価格安定対策の関係でございますけれども、公共事業につきましては、それぞれ農家経済の安定を図るための条件整備として必要なものとして実施されているところでございます。それから、必要な野菜などの価格補償につきましても、それぞれ対策を講じているところでございまして、委員からお尋ねがありましたように、確かに生産調整につきましても、こういった形の助成金があって初めて経営が存立しているという面も多分にあると思っております。そういう意味で具体的な対策につきましては、15年度の国の概算要求のときまでに十分検討されると伺っておりますので、県としてもその地域の実情というものをしっかりと受けとめ、国に対してしかるべくしっかりと要望してまいりたいと思っています。

〇斉藤信委員 だから、私が言いたいのは、米政策改革大綱の先取りでは岩手の米と農業を守れません。県独自に、いわば国が切り捨てた米価の下落対策、転作条件の整備を私は食料供給基地として、日本一の対策をとるぐらいの気構えでなかったら私は守れないと思いますよ。
 最後にこの問題でお聞きしたいのは、規模拡大路線というのは失敗しているんですよ。それだけではだめなんです。やっぱり今の米や農業を守ってきたのは家族経営です。この家族経営が守られて、そして維持されるような対策が私は必要でないかと思うけれども、米問題では最後にこれをお聞きしたい。
 あと二つまとめて聞きます。大型開発の見直しについて。
 今、公共事業は必要だと言われたが、馬淵川沿岸水利事業、これは国営事業で520億円の事業です。しかし、実際にこの農業用水を利用する農家というのは、計画の対象農家に対して現状はどうなっているのでしょうか。県のかんがい排水事業の見通し立たないのではないでしょうか。また、国営事業や県営事業の自治体農家の負担はどうなるんでしょうか。
 大規模林道川井・住田線横沢-荒川区間について、ルートが見直されてトンネル化になりましたけれども、事業費はどうふえたでしょうか。現在の進捗状況、そしてクマタカなどの猛禽類の調査の結果について示していただきたい。
 家畜ふん尿対策について、先ほども質問がありました。4割の農家がまだ残されていると、この4割の農家の実数を示していただきたい。どのぐらいの農家がまだこの対策が進んでいないのか。その理由は何なのか。期限はもう1年半後に迫りましたからね。私は、現段階では実効性のある具体的対策、助成制度が必要だと思います。県としてはどのような具体的な対策が講じられているのか。来年度予算の中身も含めて示していただきたい。

〇佐々木農林水産部長 前段の改革大綱に関連して申し上げますけれども、いずれ本県は平場から高標高地域までさまざまな条件を有しているわけでございまして、それぞれの条件に即した担い手の育成を図っていくべきものと思っております。こういう厳しい産地間競争の中でその規模の経済を実現するということは、私は大きな視点だと思っておりまして、それができる地域はそれを目指す、それからなかなか規模が小さくてそういう担い手の育成が困難な地域では、広く集落なり地域が一丸となって、それに匹敵する経営の高度化を目指すという観点が必要だと思っておりまして、いずれ地域、地域でそういう経営体を十分育成できるように、これから取り組んでまいりたいと思っております。

〇安樂農村計画課長 まず、馬淵川についてお答え申し上げます。
 国営の馬淵川沿岸農業水利事業につきましては、受益面積2、590ヘクタール、受益農家2、039戸という計画になってございます。県といたしましては、畑地かんがいの実証展示圃の設置などを通じまして、受益農家に対しまして畑地かんがいの効果などを御説明申し上げて、事業参加の合意形成に努めているところでございます。
 その結果、関連する県営事業につきましては、平成12年度に二戸市において舌崎地区、平成14年度には一戸町において東奥中山地区が着工したところでございまして、現在、あわせて561ヘクタール、国営全体の22%になるわけでございますが、そこの地域において畑地かんがい事業が進みつつあるところでございます。今後とも、農家の意向を確認しながら、順次、円滑な事業を推進してまいりたいと思っております。
 また、事業の負担金についてでございますが、国営事業の地元負担につきましては、市、町がすべてを負担いたしまして農家負担はございません。総事業費520億8、000万円のうち、二戸市が負担元金で15億3、600万円、一戸町が24億5、500万円となってございます。また、関連する県営事業につきましては、それぞれの地区によって条件が異なりますので一概には申し上げられませんが、例えて申し上げますと、14年度に採択いたしました東奥中山地区におきましては、総事業費が63億5、000万円に対して、町が11億4、100万円程度になりまして、農家につきましては償還総額が1億2、800万円余となってございます。農家に対しましては、また、これもそれぞれ区画整理をやる農家、排水をやる農家、または給水栓の個所数によってまたこれも異なりますので一概には申し上げられませんけれども、農家に対しましては平均で、1戸当たり1給水栓で35万円程度償還総額がかかりますよということを申し上げて、御理解を得ているところでございます。

〇黒澤森林保全課長 大規模林道についてお答え申し上げます。
 大規模林道川井・住田線横沢-荒川区間につきましては、平成13年度の国の再評価委員会におきまして、一部の工事区間について、トンネル化などの経路変更を行い、事業を継続するとの結果が出されたことを踏まえまして、緑資源公団が変更計画を作成し、平成14年5月に認可されたものでございます。ルートの見直し、トンネル化に伴いまして事業費は約5、000万円の増額となってございます。また、平成14年度末の開設延長は35.3キロメートルとなっておりまして、計画延長40.6キロメートルに対しまして、進捗率86.9%となる見込みでございます。
 次に、クマタカなど猛禽類の調査につきましてでございますが、クマタカなどの猛禽類のモニタリング調査につきましては、平成9年度から継続して緑資源公団が実施しております。平成14年度はタイマグラ及び横沢上流周辺におきまして、4月から12月にかけてクマタカの飛翔行動は確認されたものの、繁殖は確認されてございません。また、大洞周辺におきましては、4月、5月に飛翔行動が確認されたものの、平成14年1月の大雪によりまして巣が破損したことから、繁殖は確認されてございません。なお、平成13年度春に巣立ったと思われる若鳥の飛翔行動は、それぞれの個所で認められておるところでございます。

〇馬場畜産課長 家畜排せつ物処理対策についてお答え申し上げます。
 まず、家畜排せつ物処理施設が未整備の農家とその理由についてでございますが、家畜排せつ物法の対象となります畜産農家のうち、今後、施設整備が必要な農家数は、現在のところ約1、400戸と見込んでいるところでございます。県といたしましては、これまで平成12年度に策定いたしました家畜排せつ物の利用の促進を図るための岩手県計画に基づきまして、計画的な整備を進めているところでございますが、BSEの発生に伴う状況の変化などによりまして、当初予定を繰り延べた農家があったことなどによるものと考えております。
 それから、施設整備を進めるための具体的対策と15年度当初予算額についてでございますが、まず国庫補助事業についてですが、堆肥センターの整備だとか、あるいは主に大規模経営体の施設整備を内容とします畜産経営環境整備事業につきましては、来年度当初予算で14億3、000万円余、同じく畜産基盤再編総合整備事業では4億5、000万円余、それから環境保全型畜産確立対策事業では2億7、000万円余を計上させていただいております。
 また、県単独事業でございますが、まさに低コストの施設整備を対象としております地域有機物資源活用促進事業につきましては、来年度当初予算では1億7、000万円余と、前年度予算――前年度は1億円でございましたが、1億7、000万円余ということで、大幅に増額していただきまして計上させていただいております。
 さらに、低利の融資制度といたしまして、畜産環境保全特別支援資金、これは末端金利1%でございますが、これにつきましても融資対象期間を平成16年度までの2カ年間延長することとしております。なお、需要が多い財団法人畜産環境整備機構のリース事業でございますが、これも本県枠の拡大について国に対しまして強く要望しているところでございます。

〇斉藤信委員 馬淵川沿岸水利事業、2、039戸の対象農家で、これは561ヘクタールの農家戸数も示してください。計画から見たらかなりこれは大変な状況ではないのか。そして、自治体の負担はかなりの規模ですね。この財政状況の中で。過大な投資だったのではないか、県の計画は大幅に縮小、見直しが求められているのではないか。このことを改めてお聞きをします。
 最後の質問です。私は、12月県議会で食肉偽装問題を取り上げました。そのときの部長の答弁は、その確実性について現段階で判断いたしかねるので、そういうことがあったということを受けとめさせていただくと、こういう答弁を2回繰り返しました。私はその後、東北農政局にも調査の申し入れをして、具体的な資料も提起をしてきました。部長、受けとめて、この間どういうことをやってきたでしょうか。食の安全・安心は慌てて条例をつくって委員会をつくるようですが、こうした偽装問題こそ真剣になって取り組むべきではないですか。

〇安樂農村計画課長 先に、先ほどの馬淵川についての戸数の御質問ございましたので、お答え申し上げます。
 561ヘクタールでございますが、このうち相当数が東奥中山地区でございまして、畜産農家が多くて面積が大きいものですから、561ヘクタールでございますけれども、その参加農家151戸でございます。

〇得田流通課長 食の安全・安心のためには、やはり適正な表示が確保されなければならないと考えておりまして、このため、国などの関係機関とも連携をとりながら、点検指導の実施や食品表示110番の設置によります監視体制の強化などに努めてきたところでございます。通常、法に基づく立入検査や指示を行うためには、伝聞ではない具体的な情報提供といったものが必要だと考えておりまして、いずれにせよ適正な表示の確保に向けまして、国など関係機関と密接に連携を図っておるところでございます。

〇佐々木農林水産部長 前回そういう御答弁を申し上げたわけでございますが、その後におきましても、実は確信ということで申し上げたわけですが、いずれ今なお匿名というようなことで私ども承知しておりますので、そういうことにつきましては、県として具体的なことを申し上げられる段階にはないということでございます。

〇斉藤信委員 私が県議会で取り上げたのでその後の反響もありました。ことしに入って4回の内部告発も寄せられました。それで、私は改めて具体的にどういう告発が寄せられているか御紹介をしたい。これはその会社の現場担当者からの告発ということであります。住田フーズが食肉偽装で逮捕されるという中で、同じような、それ以上のことが行われているということで告発をしたものですが、告発の中身は四つです。一つは、アメリカ産ブロイラーの輸入及び偽装表示について、平成2年、U.S.……、ここはもう言いましょう、U.S.アマタケという子会社をつくって、それ以来アメリカからのブロイラーの輸入が主な仕事になった。輸入した量は毎年80トン前後になる。これは全部南部どり、地場産ブロイラーとして袋詰めされた。
 タイ産カモ肉の輸入及び偽装表示について、平成10年から13年にかけて、生協向け鴨鍋セットのカモ肉が不足して、急遽、タイに出向いて輸入するようになった。これは岩手産のカモ肉となっています。輸入量は30トン前後であります。
 他県産ブロイラーの仕入れ及び偽装表示について、これはジャパンファーム、長崎ブロイラー、日ハムから定期的に年間150トン前後、これも自社商品、岩手県産として出荷をしている。
 中国産ブロイラーの輸入及び偽装表示について、平成10年ごろから中国産ブロイラーを輸入、これを蒸しどりとか、唐揚げ等加工品を生産して、これも南部どり蒸しどり、南部どり唐揚げとして販売している。この販売先は紀伊国屋、明治屋、与野フード、オリンピック、泉生協など、有数の全国のスーパーや生協に出荷されています。私は独自の調査をいたしました。有力な要人の方々も偽装がされているということを私には証言をしております。
 もう一つ新しい事実を指摘します。少なくともことしの2月まで下請業者で輸入冷凍物の詰めかえが行われていた。これも直接私は従業員から証言をいただいております。こうした疑惑について本当に真剣に調査したら私はわかると思いますよ。ただ、私に寄せられた告発には、もう重要な書類を焼却しているとか、改ざんしているとか、そういう対応もされているということを繰り返しされていますけれども、食の安全・安心と言うなら、こうした問題について真剣に取り組むべきではないでしょうか。いかがですか。できないとしたらなぜできないのか。

〇得田流通課長 先ほどもお答えを申し上げましたが、我々のもとに伝聞ではない、どこのどなた様がどういう発言をしているかという情報を、こういった情報提供がないとなかなかこちらといたしましてもコールバックして事実関係の確認とかしたり、いろいろございますので、なかなかそういった部分が必須ではないかと考えてございまして、いずれにしましても個別の企業のお話でございますので、なかなかお答えしにくい問題でございますので、お許しをいただきたいと思います。

〇斉藤信委員 だったら私言うけれども、内部告発者の人権を守られる保障ありますか。私は紹介してもいいですよ。そういう内部告発者の人権を保障すると、私たちには会社に入った調査権ないんだから、あなた方には調査権あるんだから。ただ、私はそれにかかわった人たちからの直接の証言は聞いていますよ。それで取り上げているんですよ。例えば、ここに資料があります。これには、住商飼料畜産からの購入量を書いたものです。また日ハムから、このときには3万トン、住商飼料畜産からは8、202キログラムのもも肉の購入をしたと、その他たくさん書いていますが、そういう点で私は私の独自調査でこういうふうに公のところで指摘しているのだから、ではどういうふうにやれば調査できるんですか。そして、告発者の人権というのはどういうふうに保障されるんですか。そういうことちょっと言っていただきたい。

〇得田流通課長 いずれにいたしましても、県としては表示の適正なことというのは大切だと思っていまして、食品表示110番、これをフリーダイヤルで設置をしておりますので、まずそういったところにでも情報を提供していただければと考えております。

〇斉藤信委員 部長に聞きたいけれども、110番に通報するより県議会で取り上げることの方が重いんじゃないですか、あなた。とんでもない話でしょう。これ調べれば簡単にわかることですよ。自社製品の生産量って限られているんだから、出荷量と、あとこれは会社ぐるみでやっていますから、そういう解凍、詰めかえの指示書があるんです。110番に出せばいいってそんな話ではないでしょう。県議会での指摘を部長どういうふうに受けとめて対応するのか示していただきたい。これだけやっても何もしないのか。それで食品の安全・安心行政なんてやれますか。

〇佐々木農林水産部長 ただいまの委員からの質問でも、その情報の提供者は現場の担当者だという、あくまでも匿名にとどまっておりますので、委員の調査結果が示されたものだということに受けとめさせていただきたいと思います。

〇斉藤信委員 私の告発にはこういうふうに書いていますよ。現場の人たちは、もし調査があって聞かれれば正直に話そうという人は大勢います。調査に入ってできるだけ一人一人聞いてもらえば本当のことが話せると思います。私も社員ですが、そのときは正直に話しますと。いわば調査に入って一人一人調べてほしいと、そうしたらちゃんと話しますよと、こういう告発もありますよ。だから、ぜひ、幾ら言われても一歩も踏み出さないようなことではなく、やっていただきたい。終わります。

〇水上信宏委員長 要望でいいですか。
 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上信宏委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了しました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時5分 散 会


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