平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(小野寺好君) 先ほどの環境福祉委員長報告のうち、請願陳情受理番号第91号、92号、98号及び99号について、政府管掌健康保険の本人の3割負担を実施しないよう、あるいは3割負担の導入を凍結するよう求める請願を採択したことに対し、3点お伺いいたします。
 1、このことは昨年7月の国会で議決になり、2週間余り後に控えた来月4月から実施されることになっております。今、岩手県議会でこれを採択して、政府に延期なり凍結を申し入れることの意義について、どのような意見が交わされたのかお伺いいたします。
 また、直前での凍結を唱えるだけの社会情勢の急変等の緊急性が発生したかについて、委員からはどのような意見が出ましたか、お伺いいたします。
 2、延期なり凍結を申し入れるということでありますと、延期の期間満了あるいは凍結解除の時期を一応明示する必要があるのではないかと思いますが、これについての意見はどうでしたか。また、保険財政の基盤は凍結期間中に好転するのか、悪化するのか、仮に凍結したら1年後はどうなると予測したか等について、委員会の認識をお伺いいたします。
 第3点、診療報酬や薬価等の改定、負担の平準化等、国民皆保険制度を維持するために、今の連立政権ほど医療制度改革に真剣に取り組んだ政権はなかったかと思います。さらに、むだをなくし、財政基盤の強化に取り組んでおりますが、凍結を求める立場からは、政管健保、組合健保の本人負担を2割にとどめるためにはどのような対案があるかについて話し合われましたか。
 以上3点について、委員会の審査内容をお伺いいたします。よろしくお願いします。

〇環境福祉委員長(佐々木一榮君) ただいまの小野寺好議員のお尋ねの件でありますが、当該請願の審査に当たりましては、当局からの参考説明を受け、慎重に審査した結果、採択としました部分につきましては、全会一致により決定したところでございます。

〇22番(小野寺好君) その際に、いろいろな試算とかそういったもののもとに議論されたかどうかお伺いいたします。

〇環境福祉委員長(佐々木一榮君) ただいまお答えしたとおりでありますが、質疑の中では、この医療費3割自己負担は、受診抑制を引き起こすおそれがあるのではないかという部分、また、受領委任払い制度ができない理由としては、法律制度に抵触するのではないかというようなこともございましたし、また、現在の長引く経済の低迷や厳しい雇用情勢の中で、さらなる景気の冷え込みと給与所得者の生活の悪化、健康にも影響を与えかねないというような状況にあるため、これを全会一致で採択したというような経過がございます。
 以上です。

〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。小野寺好君。
   〔22番小野寺好君登壇〕

〇22番(小野寺好君) 公明党の小野寺好であります。
 請願陳情受理番号第91号、92号、98号及び99号について、政府管掌健康保険の本人の3割負担を実施しないよう、あるいは3割負担の導入を凍結するよう求める請願について、これらを採択することには以下の理由で反対いたします。
 急激な少子・高齢社会の到来及び景気の低迷により、保険料収入が伸びないにもかかわらず、国民医療費は毎年約1兆円ずつ増加し続け、各種医療保険制度の運営は困難になってきております。
 このため、国会は昨年7月に国民皆保険制度を維持するために、政府管掌健康保険も給付を受ける際、本人の一部負担金を3割にすることを議決し、平成15年4月から実施することといたしました。これによって、政管健保は994億円の黒字を確保し、積立金は920億円残るとされております。
 昨年7月に国会の議決があったわけでありますが、実施直前になって凍結を言い出すのは、いかに反対しようが間違いなく実施されるということを見込んでのことであれば無責任この上ない態度であります。そうではなく、何としても実施を凍結させたいという考えに対しては、次のような意見を申し上げ、反対いたします。
 1、仮に3割負担を実施しない場合、政管健保の平成15年度収支は、支出が保険給付費で3、100億円、退職者給付拠出金で700億円、合計で3、800億円拡大し、その一方で収入が国庫補助で400億円プラスになるものの、財政は差し引き3、400億円悪化いたします。この結果、積立金を使い果たしてもなお2、500億円もの財源不足が発生し、医療費の支払い不能に陥ると試算されております。
 一部に平成14年度の診療報酬の引き下げ、高齢者の1割負担、平成15年度からの保険料引き上げなどを根拠に、平成15年度の3割負担を凍結してもいいとの主張がありますが、平成15年度の政管健保は保険料引き上げや3割負担を前提にしたものであり根拠がありませんので、凍結には反対いたします。
 2、政管健保の3割負担を見送った場合、不足分を保険料で補うとすれば、政管健保保険料率は現行の7.5%から8.2%へと引き上げをせざるを得ないと試算されております。例えば、月収29万円、ボーナス1.66カ月、年収396万円の世帯では、事業主負担分と本人負担分の合計で年間2万5、000円もの保険料の引き上げとなります。
 平成15年度の政管健保は4、700億円の保険料増収を見込んでいますが、3割負担を見送った場合、さらに3、400億円を企業とサラリーマンに追加負担を求めることになります。財源確保のため、保険料の引き上げを回避するには、給付対象の一部を保険の外に出すとか、あるいは診療報酬等をさらに下げて医療費を抑えることになりますが、病院は経営難に陥りますので恐らく合意は得られないかと思います。
 3、政管健保本人の3割負担は、医療制度改革全体の中でとらえるべきものであり、この部分だけ凍結を唱えるのは身勝手であり、対案を示すとか全体を論じるのでなければ無責任であります。
 平成14年度の医療制度改革では、診療報酬や薬価改定等で2.7%削減する一方で、3歳未満児の負担を3割から2割に下げたり、高齢者負担の1割据え置き等、低所得高齢者への配慮も決めています。平成15年度は総報酬制になりますが、外来薬剤費一部負担の廃止も予定されるなど、医療制度改革が進められています。
 安易な増税や公共料金の値上げには敏感に反応してまいりました公明党が、政管健保本人負担3割を是認するのは、医療保険制度の財政がそれほど深刻だということであります。医療制度改革に真剣に取り組んでいる我が党は、疾病予防を推進しながら、医療費の何が高いのか等を明らかにしたり、むだをそぎ落とすとか、保険制度の統合一元化を目指すなどして医療制度改革に取り組んでいるところであります。
 冒頭に述べました急激な少子・高齢社会の到来及び景気が低迷する中での国民医療費の増嵩、それでも後世のために世界に誇る国民皆保険制度を維持するため、あえて政管健保も本人負担を3割にしなければならないのであります。
 以上の理由で、請願陳情受理番号第91号、92号、98号及び99号について、政府管掌健康保険の本人の3割負担を実施しないよう、あるいは3割負担の導入を凍結するよう求める請願について、これらを採択することには反対いたします。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、斉藤信君。
   〔23番斉藤信君登壇〕


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