平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第43号いわて子どもの森条例、請願陳情受理番号第91号の一部不採択、第100号の不採択に反対の討論を、そして92号、98号、99号の医療費の自己負担3割導入の凍結、高齢者の自己負担の軽減を求める請願の採択には賛成の討論を行います。
 議案第43号は、いわて子どもの森条例であります。これは県立大型児童館いわて子どもの森を設置しようとするものであります。
 反対する第1の理由は、今年度末で1兆3、400億円の県債残高に示されるように、深刻な県財政の危機的状況のもとで、58億円の大型児童館・子どもの森を建設したこと自身が、不要不急、むだと浪費と言うべき箱物行政の典型だからであります。今、子供たちが求めていることは、不便なところに大型の箱物施設をつくることではありません。30人学級の実現など行き届いた教育と、地域で遊べる身近な施設の充実、学童保育クラブなどの施設の整備拡充であります。
 第2の理由は、貧困な管理運営の問題であります。子どもの森の職員体制は、正職員がわずか6人、直接子どもたちを指導するプレーリーダーなど5人は、週30時間の非常勤職員です。給料は月15万9、300円というものでとても専門職とはなり得ない、生活もできない水準です。さらにあとの4人から6人は人材派遣会社からの契約社員であります。子どもの森には56人収容できる宿泊施設がありますが、驚くべきことに子どもたちが宿泊しているときでも職員の宿泊体制はなく、警備会社に委託するというものであります。これでは箱物つくって魂入れずで、まともな児童の健全育成などできるものではありません。
 反対する第3の理由は、管理運営費として1億6、000万円が予算計上されていますが、1億4、000万円は一般財源であります。貴重な一般財源が使われるために、本当に必要な福祉・医療の施策は大幅に削減されています。すこやか子どもランド、いわゆる子どもの森の建設は、何度か見直しの機会がありましたが、真剣に見直しを検討してこなかった増田知事の責任は重大であります。
 請願陳情受理番号第91号は、患者負担増の撤回及び高額医療費の受領委任払い制度設置等を求める請願であります。その中身は、高齢者の負担割合をもとの定額制に戻すこと、市町村での受領委任払い制度実施の援助を求めること、在宅酸素療法患者の高額な医療費負担の軽減のため、障害者3級までの医療費助成の拡大、酸素濃縮機の電気代の補助を求める項目が不採択となったことは、極めて残念であります。また、受診抑制と在宅酸素療法の中断を余儀なくされている低所得者の命削る痛みに背を向けるものであります。昨年10月からの高齢者の医療費が1割負担、所得の比較的ある方は2割負担となりましたが、深刻な受診抑制が引き起こされています。県の調査でも在宅酸素療法の患者16人の方が、経済的理由で酸素療法を中断しました。こうした事態を放置すべきではありません。県民の命守る、医療を守ることこそ県政の一番重要で緊急な課題ではないでしょうか。実際、障害者3級までの医療費助成を実施している県は20道県であり、北海道、青森、秋田、宮城、福島の各県は既に実施しているのであります。なぜ岩手県ではできないのでしょうか。まさに高齢者、弱者に冷たい増田県政の姿を示すものであり、不採択とした会派と党の姿勢も問われるものであります。
 請願陳情受理番号第100号は、国民の主食である米に責任を持つ政策の転換を求めるものであります。具体的には、主食である米を市場原理にゆだねて国の食糧政策への責任を放棄する米改革はやめることであり、米の国内生産、安定供給、ゆとりある需給、米価に責任を持つ政策への転換を求めたものであります。これは農家の切実な要求であり、消費者の願いでもあります。この請願を不採択にしたことは小泉内閣の米と農業つぶしに手を貸すものと言わなければなりません。国の米政策改革大綱は、米の需給と価格を市場任せにし、国の責任を放棄しようとするものであります。さらに、これまでの生産調整を農家と農業団体に押しつけ、米づくりのあるべき姿として、売れる米づくり、安い米づくりを進め、米価のさらなる暴落を引き起こすものであります。米改革大綱で育成される担い手農家は、4ヘクタール以上の農家で、県内の販売農家のわずか3.9%、2、854戸にすぎません。米の自給率は95%になりました。米の過剰は農家の責任ではなく、ミニマムアクセス米の輸入によるものであります。今、米と農業にとって必要なことは、国が責任を持って米輸入の削減廃止を行うことであり、再生産を支える米価を保障することであります。
 請願陳情受理番号92号、98号、99号は、サラリーマンの医療費自己負担3割導入の凍結と高齢者の自己負担の軽減を求めるもので、この採択は重要な意義を持つものであります。3割負担導入の最大の問題は、1.5倍の値上げ、1兆5、000億円の医療費負担増によって、必要な受診を抑制し、治療を中断させ、結局県民、国民の健康悪化を引き起こすことにあります。97年に健保本人の自己負担が1割から2割に引き上げられた際、厚生省の調査で、12%、35万人の患者が受診をやめました。これがさらに3割負担になったら一層深刻な受診抑制と病状悪化が引き起こされることは明らかであります。長引く不況と失業、倒産の激増、所得の減少と年金の引き下げのもとで、医療費の自己負担をふやすことは、本来やってはならない悪政中の悪政であります。それは、国民の命と健康を脅かすとともに、重病化によってかえって医療費の増大をもたらすものであります。また、一層不況を深刻にするものであります。既に1割負担となった高齢者の負担軽減は、在宅酸素療法の患者に見られるように切実で緊急な課題であります。岩手県保険医協会の患者アンケートには、年寄りは早く死ねということかという切実な声がたくさん寄せられています。県議会の請願採択と意見書の採択は医療関係者はもとより、県民の願いにこたえた当然のことであり、県議会の良識を発揮したものであります。
 この請願の採択に反対する公明党の立場は、県民の願いにも痛みにも背を向けるものであります。公明党は、野党のときには健保2割負担の導入に、病院に行くのを手控えるようになれば、かえって医療費の増大を招くことにもなりかねませんと反対し、2001年の参議院選挙の際には3割負担には反対と公約していたものであります。与党になったら公約を投げ捨てるということでは、みずから福祉の党を名乗る資格も公約を語る資格もないことをはっきりと示すものであります。
 以上、申し上げ私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって、討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第100号国民の主食である米に責任を持つ政策への転換を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第100号国民の主食である米に責任を持つ政策への転換を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第91号患者負担増の撤回及び高額医療費の受領委任払い制度設置等の請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第91号患者負担増の撤回及び高額医療費の受領委任払い制度設置等の請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第43号いわて子どもの森条例を採決いたします。
 本条例は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、議案第43号いわて子どもの森条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第92号、受理番号第98号及び受理番号第99号を一括して採決いたします。
 各請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第92号、受理番号第98号及び受理番号第99号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第22号、議案第24号から議案第26号まで、議案第29号、議案第37号から議案第42号まで、議案第46号、議案第48号、議案第50号から議案第53号まで及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第22号、議案第24号から議案第26号まで、議案第29号、議案第37号から議案第42号まで、議案第46号、議案第48号、議案第50号から議案第53号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第20 議案第1号平成15年度岩手県一般会計予算から日程第54 議案第49号岩手県立大学等条例の一部を改正する条例まで

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第20、議案第1号から日程第54、議案第49号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。水上予算特別委員長。
   〔予算特別委員長水上信宏君登壇〕


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