平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 長引く不況と医療・社会保障の改悪、負担増のもとで、県民の命と暮らしを守る課題は切実で緊急の課題となっています。言うまでもなく、地方自治体の目的は、地方自治法に明記されているように、住民の福祉の増進を図ることであります。ところが、小泉内閣のもとで、不良債権の早期処理の名のもとに、倒産、失業が激増し、医療と社会保障の改悪によって、今、県民の命と暮らしが脅かされています。私は、県民の切実な願いと要求を実現する立場から質問いたします。
 第1に、医療と福祉の四つの問題について質問いたします。
 一つは、昨年の10月から高齢者の医療費が1割から2割負担となりました。これは、2、000億円の負担増と2、200億円の受診抑制の効果があると厚生労働省は試算していますが、岩手県ではこの影響はどう予測、試算されているでしょうか。また、実際に昨年10月からの高齢者の負担増と受診抑制はどうなっているでしょうか。
 4月からは、サラリーマンの医療費が3割負担とされようとしています。サラリーマン世帯の実収入が、一昨年と比べて27万2、000円も減少しているときに、1.5倍の引き上げは深刻な受診抑制と健康悪化を引き起こしかねないと考えますが、どう受けとめているでしょうか。
 岩手県医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の4師会が、県内でも、サラリーマンの4月からの3割負担の凍結、高齢者の負担軽減を掲げて県民運動を展開しています。増田知事はこれをどう受けとめているでしょうか。知事としても声を上げるべきではないでしょうか。
 二つ目に、特に深刻な問題は、在宅酸素療法の治療を受けている高齢者であります。これまで月850円の医療費が、昨年の10月以降1万円前後まで引き上げられ、在宅酸素療法を中断するお年寄りも生まれています。酸素を奪われた患者さんは、苦しさで外出もできない、夜寝ることもできない、まさに命を縮める事態であります。全国では自殺者も出ています。
 岩手県保険医協会の調査では、県内の在宅酸素療法の患者さんは1、145人。そのうち、昨年10月から3カ月間で、9人の方が経済的理由で治療を中断したとされています。転院その他で中断した患者57人の半数は、経済的理由ではないかと言われていますので、40人近くの患者が、今、医療改悪によって、命綱である酸素が奪われる事態に追い込まれているのではないでしょうか。知事は、こうした実態を調査し把握されているでしょうか。こうした事態を、痛みの一言で済ますことができるとお考えでしょうか。私は、経済的理由で在宅酸素療法が受けられない事態を回避するために、県として緊急に特別の対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 呼吸器障害の障害認定者は県内932人となっていますが、医療費助成の対象とならない3級の方が425人、4級の方が171名となっています。既に全国では、20都道県で内部障害3級までの医療費助成を行っています。増田知事が連携している北海道、青森、秋田はもとより、宮城、福島の各県も実施しています。宮城県では、在宅酸素療法患者に対する電気代の補助も行っています。556万円の予算で613人が対象です。岩手県でも、直ちに障害3級までの医療費助成を実施すべきではないでしょうか。できないとするなら、その理由をはっきりと示していただきたい。
 三つ目に、国保税の滞納者に対する保険証の取り上げ、資格証明書の発行も、県民の命と健康を脅かす重大問題であります。ことし2月1日現在で、資格証明書の発行件数は23市町村、2、455世帯となっています。家族の数をどう把握されているでしょうか。15歳以下の子供と65歳以上の高齢者はどうでしょうか。盛岡市では、既に2、055世帯、家族あわせて3、483人から保険証を取り上げています。15歳以下が481人、65歳以上が224人となっています。子供がインフルエンザで風邪にかかっても、これで病院にかかれるでしょうか。資格証明書では、病院の窓口で全額払いとなり、最初からお医者さんにかかれない事態となっています。窓口全額払いで、後で償還払いとなった件数は今年度どうなっているでしょうか。
 最近、盛岡市で、障害を抱えた乳幼児を持つお母さんから、170万円の滞納を返済しなければ保険証を交付しないとされ、病院にもかかれないと相談がありました。まさに命を奪われかねない事態であります。こんな事態を放置していていいのでしょうか。1年以上の滞納者から保険証を取り上げるというのは、自民党政治の悪政中の悪政でありますが、それでも特別の事情があれば保険証を取り上げてはならないとされています。特別な事情の中には、世帯主またはその者と生計を一にする親族が病気にかかり、または負傷したこととの項目があります。家族が病気の場合は、保険証が交付されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、県単独医療費助成制度の対象となっている重度心身障害者や妊産婦、乳幼児などが、保険証の取り上げによって必要な医療を受けられない事態が起こらないように、保険証取り上げの対象外として徹底すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 保険証の取り上げ、資格証明書の発行は、払える能力があっても払っていない悪質なものに限るよう、徹底すべきではないでしょうか。リストラや失業、倒産、低所得のため、国保税を払えない県民が、必要な医療を受けられない事態が起こらないように県として具体的対応をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 四つ目に、介護保険の改善について質問いたします。
 介護保険が実施されて3年が経過しました。実態と現状は深刻であります。岩手県の在宅サービスの平均利用率は限度額の34.8%にとどまり、全国46番目、全国最低であります。必要なサービスが受けられず、家族介護に大きく支えられているのが現実です。その最大の理由は、ケアマネジャーのアンケート調査でも示されているように、高過ぎる利用料の1割負担にあります。また、特養ホームの在宅での待機者は、介護保険前の156人から1、745人に、11倍に急増しました。盛岡市内の特養ホームの待機者は、どこでも100人から200人となっています。
 私は、先日、ある特養ホームを訪問しましたら、5月に60人の待機者が今120人になっていました。5年から10年待たなければ入所できず、待っている間に亡くなってしまう深刻な状況であります。こうした事態は、在宅もだめ、施設もだめという、介護保険制度の根幹にかかわる問題であります。この現状をどう認識しているでしょうか。また、その原因、理由をどう受けとめているでしょうか。
 東京武蔵野市では、在宅サービスを3%に軽減し、全国平均を10%上回る実績を上げています。私は、介護保険制度が在宅で安心できる介護を目指すというなら、利用料、お金の負担を心配せずに在宅サービスが受けられるように、当面、低所得者対策として、すべての在宅サービスの利用料を3%に軽減するよう、県としても市町村を支援する抜本的対策を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 経過措置の低所得者が3%から6%に負担増となりますが、負担増を回避する対策を講じるべきではないでしょうか。
 特養ホームの入所待機者を解消するために必要な緊急整備を図るべきと考えますが、県の計画はどうなっているでしょうか。
 保険料引き上げ予定の市町村とその額、高齢者の負担増はどうなるでしょうか。これまでの約30億円の基金を活用して保険料の引き上げを最大限回避すべきと思いますが、どう検討されているでしょうか。
 第2に、雇用と中小企業対策について質問いたします。
 昨年9月の県内の失業率は3.9%、失業者3万1、400人と公表されていますが、昨年全体ではどうでしょうか。全国では失業率5.4%、359万人、就業者数は昨年12月と比べて71万人減少しています。求職をあきらめている就職希望者は520万人に達しています。岩手県内のこの間の従業員数の推移、減少、求職をあきらめている人の数はどうなっているでしょうか。この間の誘致企業や大型店の撤退による離職者と再就職の状況はどうなっているでしょうか。高校生、大学、短大の就職内定状況は昨年と比べてどうなっているでしょうか。就職が決まらない現在の高校生、学生はどうでしょうか。
 雇用対策の大前提として、不当なリストラや工場閉鎖を許さないことが必要であります。昨年のアルプス電気の場合は、赤字を理由に工場閉鎖を行いましたが、従業員が離職をするときには、合理化費用を含めても10億円の黒字となる不当なものでありました。こうした一方的なリストラ・合理化を許さない、リストラ・合理化事前協議制を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 サービス残業の根絶と長時間残業の短縮は、雇用拡大の緊急課題であります。この間、岩手労働局で指導したサービス残業の是正件数と支払った額はどうなっているでしょうか。所定外労働時間を削減すれば、全国で234万人の雇用拡大になると試算されています。県内労働者の残業時間とその解消による雇用効果は、どう試算されるでしょうか。政府の目標である1、800時間を達成するならば、その雇用効果はどうなるでしょうか。
 県自治体としての独自の雇用対策は、特別に重要であります。この間の基金事業による雇用拡大の実績と平均雇用日数はどうなっているでしょうか。特に青年の雇用拡大策は特別に重要であります。私は、不足している特養ホームの緊急増設、30カ所増設するなら約900人の雇用、基準人員から1、000人余も下回っている消防職員の増員、小学校1・2年生で30人学級を実現すれば、200人余の先生をふやすことができます。こうした雇用対策で、常勤のそして青年の雇用を拡大すべきではないでしょうか。
 県内中小企業は事業所数で90%以上、従業員数でも70%を占めますが、来年度予算では中小企業対策はどうなっているでしょうか。額と比率を示していただきたい。県内経済と雇用に占める比率にふさわしく、抜本的に拡充すべきではないでしょうか。
 小泉内閣は、消費税の免税点を引き下げ、簡易課税制度を縮小しようとしています。また、外形標準課税を導入するとしていますが、県内企業に対する影響について、それぞれ企業数と増税額を示されたい。政府の調査でも、中小企業の52%が消費税を価格に転嫁できないとされていますが、県内の実態を把握されているでしょうか。こうした増税は、不況をますます深刻にし、倒産、廃業と失業をふやすもので、私は反対して見直しを求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、米と農業の問題について質問します。
 今、WTO農業交渉が緊迫した事態を迎えています。新しい農業交渉の枠組みとなる第1次案が示されましたが、その内容は、現在の関税率を半分近くに下げ、米価暴落と減反の主な要因である米輸入をさらにふやすことになるものであります。米を柱とする食料供給基地を標榜する岩手県の知事として、この第1次案に強力に反対を表明し、米のミニマムアクセス米の削減こそ求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 政府は、昨年12月、米政策改革大綱を示しました。その内容は、米の需給と価格に対し国の責任を放棄し、米価の下落と圧倒的多数の農家を切り捨てようとするものであります。政府の言う売れる米づくりとは、安い米づくりでしかありません。ところが増田県政は、この米政策改革大綱を先取りして実施しようと、県版水田農業改革大綱を示して実施しようとしています。これでどうして岩手の米と農業が守れるのでしょうか。増田県政の改革なるものは、自民党政治の先取りが特徴ですが、今回の対策はその最たるものであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 今、農民が農政に求めていることは、全国農協組合長アンケートに示されているように米輸入の削減であり、価格補償、所得補償の拡充であります。ところが、県の来年度予算は、農林水産業予算1、014億円のうち、公共土木事業が533億円で、52.6%を占め、価格・所得補償はわずか2億1、913万円で、予算に対する比率は0.2%、農政だけで比較しても0.3%にすぎません。この土木事業偏重の農林水産業予算のゆがみを正し、農家が求める価格・所得補償を主役とした予算に転換すべきではないでしょうか。
 米政策改革大綱で育成するとしている4ヘクタール以上の農家は県内2、854戸で、販売農家の3.9%にすぎません。これでどうして岩手の米と農業が守れるのでしょうか。今、必要なことは、県独自に米の生産と農家の経営を守る対策を講じることであります。生産から加工、流通、販売まで転作条件を整備することではないでしょうか。
 第4に、21世紀を担う子供たちに行き届いた教育を進めるために、30人学級の実現について質問いたします。
 教育委員長にお聞きします。今、全国で30人学級、少人数学級を実施している県は、文部科学省の調査でも22道府県となっています。来年度はさらに広がり拡充されようとしていますが、その状況をどう把握され、その経験、教訓をどう認識されているでしょうか。岩手県教育委員会として、全国の経験を調査・研究しているのでしょうか。
 私は、先日、山形県の少人数学級の取り組みについて調査をしてきました。山形県では、3年間で、小学校全学年で21人から33人学級の実現を目指し、今年度小学校3年生まで実施しています。その成果は目を見張るものでありました。県教育委員会の担当者と山形市内の小学校の校長先生から取組状況を詳しく聞きました。一番の教訓は、少人数学級によって子供たちの生活が安定し、学習にも集中して取り組める状況がつくられていることであります。
 山形県は、少人数学級の取り組みについて、担任教師、校長、保護者、3年生の児童からアンケート調査を実施していますが、その内容は、担任教師の場合、子供との対話が充実をしたが84%。保護者では、授業参観を見てきめ細かい指導ができたが76%。校長のアンケートでは、教育効果として学級に落ちつきが生まれ、集中して学習に取り組む子供がふえたが100%となっていました。小学校3年生では、毎日の学習が楽しくなったが75%、友達がふえたが89%であります。私もカルチャーショックを受けるほどの状況でした。こうした全国の経験から真摯に学んで、岩手県としても30人学級に踏み出すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、岩手県で30人学級の実現を求める請願が、1月15日の商工文教委員会で全会一致で採択され、今議会で採択の見通しですが、これは県民の声であり、県議会の意思ともなるものであります。増田知事はこれをどう受けとめているでしょうか。
 また、小学校1・2年生から計画的に30人学級を実現する場合、どれだけの学級増と教員増となるのでしょうか。他県のように、常勤講師で対応するとすれば、その費用はどれだけでしょうか。増田知事が子育て環境日本一を標榜するなら、また、青森、秋田との3県連携を重視するなら、少人数学級でこそ足並みをそろえて実施すべきではないでしょうか。やらないとすれば、その理由は何でしょうか。
 知事に聞きますが、岩手大学教育学部存続について県議会は決議を上げていますが、PTAや教育関係者、県民などが6万6、000人の署名を集め、岩手大学教育学部の存続を強く求めています。教育学部存続の必要性と岩手の教育のかかわりについて、どう考えているのかお聞きいたします。
 第5に、簗川ダムなど大型開発の見直しと財政問題についてお聞きします。
 来年度末では県債残高、いわゆる県民への借金は1兆3、622億円余となります。増田県政の8年間でふやした借金は、実に約7、400億円、借金総額の55%になりますが、知事はこの結果と責任をどう認識されているでしょうか。この理由は言うまでもなく、予算の枠を超えた公共事業、大型開発を借金で推進してきたことにあります。今、問われていることは、深刻な財政危機のもとでも、破綻した大型開発優先の県政を進めるのかということであります。
 そこで具体的にお聞きします。県営簗川ダム建設事業は、一昨年、事業費が340億円から670億円に倍増しましたが、まともな専門的検討も県民の意見も聞かず、わずか2カ月で事業の推進を決めました。こうしたやり方が政策評価の名に値すると知事は考えているでしょうか。
 実際、事業の内容も問題だらけであります。盛岡市の水、利水は、60年後に給水人口が36万8、000人になると想定して63億円を投入しようとしていますが、全く根拠がありません。まさにダムに63億円を投げ捨てるようなものであります。御所ダムの水でさえ給水人口が31万人であり、使われない危険があるものであります。県として、独自に利水の必要性について検討すべきではないでしょうか。
 治水・洪水対策の専門家が県の計画を具体的に検討し、簗川の現地調査を行って、ダムに頼らなくても河川改修で十分対応が可能で、費用もかからずにできると具体的に提言をしています。この専門家は、長野県のダム建設中止にかかわった専門家であります。
 知事にお聞きしますが、長野県が実施したように、ダム、河川防災の専門家と住民代表も参加させ、専門的、科学的再評価を実施すべきではないでしょうか。
 津付ダムは、利水の必要性はもとより、洪水対策でもその必要性に疑問が出され、広田湾の日本一のカキ養殖漁民は反対を表明しています。200億円のダム事業を根本的に見直すべきではないでしょうか。
 港湾整備事業は、320億円を投入した久慈港は全く使われていない状況です。需要予測もあいまいな大船渡湾の港湾整備に、436億円も投入する根拠はどこにあるでしょうか。こうした不要不急の大型開発を見直してこそ、財政の再建も福祉の充実も実現できるのではないでしょうか。
 長野県は、浅川ダムの中止を決めるとともに、我が党が明らかにした山崎建設の内部文書による談合疑惑について、専門家を入れた県公共工事入札等適正化委員会に諮り、調査の上、談合があったと認定しました。
 増田知事に聞きますが、岩手県でも同じ山崎建設の文書で鷹生ダムの談合疑惑が具体的に指摘されていましたが、なぜ調査も入札等適正委員会にも諮らなかったのでしょうか。
 第6に、知事の道州制と市町村合併についての姿勢について質問いたします。
 道州制の導入は、財界と自民党の以前からの野望というべきものでありますが、知事の目指す道州制とはどういうものでしょうか。どこが違うんでしょうか。道州制はそもそも、市町村合併推進を前提にしていますが、知事は、市町村合併を上から押しつけようとしているのでしょうか。
 全国町村会は、今、町村の自治は存亡の危機にあるとして、本日、全国町村議会議長会と共催で日本武道館で町村合併の強制に反対し、地方財源の確保を求めて7、000人規模の町村自治確立総決起大会を開催しています。県町村議会議長会も2月20日、町村合併の押しつけに反対する町村自治の確立に対する決議を採択しました。こうした動向、意見について、知事はどう受けとめているでしょうか。私は、こうした町村への援助や小さな町村を応援する仕事こそ、県政として行うべき課題と考えますが、広大な森林や環境を守っている町村の役割とそれへの支援を含め、知事の見解を求めるものであります。
 盛岡市と矢巾町、滝沢村の合併論議は、矢巾町と滝沢村の議会の態度によって決着がついたと考えますが、知事はどう受けとめているでしょうか。これ以上、合併を押しつけるならば、自治体への干渉行為となると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、金と政治の問題について選挙管理委員長に質問します。
 昨年2月の長崎県知事選挙をめぐる違法献金問題で、自民党長崎県連の前幹事長らが逮捕されました。この問題で重大なことは、公職選挙法第199条、200条の特定寄附の禁止事項、すなわち、公共事業受注企業からの選挙に関する寄附を禁止する条項に違反したことが犯罪とされたことであります。また、2月13日には、福井地裁が、赤字の中堅ゼネコンによる自民党への政治献金を、経営者の注意義務違反とした判決を下しました。これらの動きは、公共事業受注企業からの政治献金は、お金で政治をゆがめるものというべき警告と受けとめるべきと考えますが、どう認識されているでしょうか。また、この教訓をどう生かすべきと考えているでしょうか。
 具体的に伺います。我が党の調査で、鈴木俊一環境大臣が、2000年総選挙の際、みずからが支部長を務めている自民党第2選挙区支部が、国の公共事業を受注していた8社から690万円の献金を受けていました。この中には、2000年度決算が赤字で、昨年民事再生法の適用を申請した高弥建設も含まれています。これは、公職選挙法第199条に違反する疑惑が高いのではないでしょうか。
 朝日新聞の報道によると、鈴木環境相は、当初、選挙の前だったので、選挙で応援してくださるということで、いろいろな団体が応援してくださったその一環で、建設会社からも寄附をいただいたと説明していました。100万円を寄附した建設会社社長は、地元後援会から、軍資金が足りなくて困っていると頼まれ、陣中見舞いのつもりで献金した。具体的な証言が三つも紹介されています。
 県公安委員会委員長に質問します。昨年は、警察官の泥酔事件など不祥事が続出しました。公安委員会としてどのような論議と対策がとられたのでしょうか。
 県警本部長に聞きます。やみ金融の被害が増大していますが、やみ金融はそもそも最初から違法な融資であり、返済の義務もないものであります。暴力団との結びつきも指摘されています。県警への相談件数と対応・処理の状況、摘発・逮捕の状況、今後の対策の強化について示していただきたい。
 最後に、イラク問題について知事の姿勢、見解を伺います。
 今、国連安保理事会を舞台にして査察の継続による平和的解決か、それともアメリカなどによる武力行使による戦争かが鋭く問われています。
 2月14日、国連安保理に行われた国連監視検証査察委員会と国際原子力委員会の報告は、いずれも査察の継続による平和的解決を求めるものでした。国連安保理事会でも国連全体でも、圧倒的多数が査察の継続による平和的解決を求めています。2月14日から16日にかけて、世界の78カ国、地域で、1、000万人を超える史上空前の反戦平和の集会・デモが取り組まれました。ところが、日本政府は、国連で査察の継続に疑問を唱え、事実上、アメリカの武力行使を後押しする新たな決議を求める態度を表明したのであります。これは、世界と日本の平和を求める世論に背を向ける異常な態度であり、アメリカ言いなりの情けない態度であります。
 きょうのニュースは、アメリカとイギリスが、イラクが最後の機会を失ったとして、事実上、武力行使を求める決議を提出したと報道をしています。
 私は、増田知事が、イラク問題について国連憲章と憲法9条の立場から、はっきりとアメリカなどによる武力行使、戦争に反対する態度を示すとともに、アメリカに追随する戦争容認・推進の小泉政権に厳しく抗議するよう求めるものでありますが、いかがでしょうか。
 以上で質問を終わります。答弁次第で再質問を行います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、サラリーマンの医療費の関係でございますが、これについて自己負担3割への引き上げということございますが、これについては医療保険財政が危機的状況を今迎えているということを踏まえて、将来にわたり持続可能で安定的な医療保険制度を構築するために行われるというふうに認識をしております。
 最近の状況を見ますと、医療関係団体から十分な理解が得られたとは言いがたい面もありますし、それと同時に、一たん国会で議決された事項について、与党内も含めて国会内にも異なった意見が出ているということも承知をしておりますけれども、これの凍結がかえって将来の負担増につながらないかということを私は心配しております。また、今ここで凍結をして問題の先送りをすると、この問題のみならず、すべての困難な問題について国民が国会や政府への信頼感を失ってしまうのではないかということも恐れるものでございます。そこで、国会などの場でさらに議論を深める期間もありますから、そうしたことを行って、むしろこの際、国民全体に医療制度改革全体の将来像をはっきりとぜひ責任を持って示していただきたい。その上でこの3割負担については予定どおり実施をしていただきたいと考えております。
 次に、在宅酸素療法を受けている患者の実態につきまして、担当部にその概要を調査させたわけでありますが、県内の患者数は現在約1、300名で、昨年10月以降、経済的理由で治療を中断した方は16人ということでございます。この方々が、まさに経済的理由により在宅酸素療法を受けられずに、直ちに生命に危険が及ぶおそれがある場合には、対応の選択肢の一つとして、生活保護法による医療扶助の適用など、しかるべき他の制度を活用して、必要な医療の確保に努めていきたいと考えております。
 次に、30人学級の実現を求める請願についてでございますが、実はこの請願は、本会議での採決前のものでありますので、今この段階で執行部の見解は差し控えたいと思います。
 それから、岩手大学の教育学部の存続の必要性と岩手の教育ということでございますが、北東北国立3大学が、平成16年度からの法人化の後、教員養成系学部も含めた再編、統合に関する検討を継続していく方向と伺っていますので、県議会の決議もございますし、こうした決議も踏まえて、今後もさらに岩手大学との情報交換を緊密に行っていきたいと考えています。そして、本県の教育についてというお尋ねがございましたが、本県の教育振興上、多様な課題に対応できる優秀な教員の養成、それから現職教員の再教育が可能な体制確保などが、こうした本県の教育の上で重要な課題だと考えております。
 それから、財政問題について幾つかお尋ねがございましたが、県債残高が増加したのは、これは、何度かこの場で申し上げておりますが、平成4年以降の国の経済対策に呼応する公共事業を行うためのいわゆる補正予算債や、地方財源不足を補てんするための財源対策債、さらには東北新幹線、県立大学、美術館の建設財源として発行してきた県債などが多額となったということによるものでございまして、この県債残高の要因としては、もちろん県のこうした政策をとるという主体的な政策判断も一方でありますけれども、国で公共事業中心の景気対策を重視した財政運営をずっと10年近く継続的に行ってきたというその結果、国自身も多額の公債費残高を抱えまして、主要先進国中最悪と言われる財政状況に陥る一方で、地方に対しても後年度交付税措置というこうしたインセンティブを与えて、国と同様の公共事業中心の財政運営を国が誘導してきたという、こうしたことによって生じた面もあるというふうに両用考えております。
 こうした公共事業の大幅な前倒し実施によって、確かに県民生活の利便性の向上や産業基盤の整備促進が大いに図られたと考えていますが、もはや経済成長の基調が大きく変化をしましたし、また、国、地方を通じての過去に例のない厳しい財政状況がございますので、これまでのような財政運営を行っていくことは大変難しいと考えています。このため、今後は国への依存体質から脱却して、持続可能な財政構造への転換と、自立に向けた政策形成と、そしてまた、個々の施策への重点化を図ることが肝要だと思っていますので、その道筋を示すプログラムをつくって、平成15年度から18年度までこの4年間にそうしたことに集中的に取り組むという考え方でございます。
 それから、簗川ダムについてお尋ねがございましたが、昨年度の公共事業評価委員会におきまして、現地調査や利水事業者からの意見聴取を行いまして、河川改修案、それから方水路トンネル案、ダムと河川改修の組み合わせ案など、幾つかの代替案を比較検討して、議論を尽くした上で、委員会から四つの意見を付して事業継続が妥当であるという意見をいただいたわけでございまして、県では、その委員会の意見を受けて事業継続ということにしたわけでございます。今後、附帯意見の一つである事業内容に大幅な変更があり、再評価を実施する必要があると判断した場合に該当することになった場合には、当然、再度公共事業評価委員会に諮って、専門的な見地に立った議論をいただくことになると考えております。
 それから、盛岡市の利水計画についてですけれども、これは盛岡市の方で長期的なまちづくりへの対応、それから広域的な観点、それからリスクに対する安全性の向上など、幾つか主要な要素がございますが、そういったものを勘案した上で、簗川ダムに利水の立場で参加をするということを判断したと、盛岡市の主体的な判断ととらえておりますが、県では、やはりそうした市の考えを尊重すべきものと今考えていますけれども、実はこの利水計画のあり方については、さまざまな議論もありますので、今後とも市と十分に意見交換をしながら、我々も種々検討していきたいと考えております。
 それから、公共事業などの評価システムについては、今、条例化に向けて、専門的な知見を得る手法も含め、検討を行っております。まだ成案を得ていないわけですけれども、それで幾つか県の方で計画をしております各種の大規模公共事業がございますけれども、こうした各種の大規模公共事業につきましても、今申し上げましたような評価システムの検討結果を踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。
 それから、鷹生ダムの談合疑惑についてお尋ねがございましたけれども、これは経過としてはこの工事は平成10年5月28日に入札執行したものであって、その時点では特に情報は全くございませんで、一般競争入札で適正に入札自体は行われたと認識しています。長野県の例も今お話いろいろございましたのですが、あの浅川ダムの場合には、入札をするそのさらに前日にも談合情報があって、県として誓約書を出させて入札執行したという経緯をたどっているようでございますけれども、後日改めて専門家を委員とする第三者機関を設置し調査を行ったということで、本県の場合と大分その経過が違うと考えております。
 それで、本県の入札監視委員会の方ですけれども、こうした談合情報などがあった場合に、談合についての調査、審議を所掌事項としておりませんで、談合調査は実は担当セクション、これは総務部総務室の入札管理監や各地方振興局の企画総務部の職員により実施をしているところでございますが、今後、談合情報への適切な対応というのがより必要になるだろうと思いますので、入札監視委員会に談合調査機能を持ってもらうことや、それから談合情報を専門的に調査する職員として警察のOBを採用することなども考え、調査体制の強化について具体的に検討していきたいと考えております。
 次に、道州制についてお話ございましたが、道州制と言ってもいろいろな考え方が古くからありまして、中央集権をより強化するようなものについては、もとより私も反対でございます。この道州制ということは実に内容が多岐にわたっているものでございますので、一つ一つ内容はむしろこれから、こうした考え方についていろいろな広い見地から形づくっていく必要があるんだろうと思うのですが、自己決定、自己責任の原則に基づいて地域が主権を持つそういう社会を実現していくということでは、やはり私は国と県、それから県と市町村の役割分担を、現状ではなくてやっぱり抜本的な見直しをしていく必要があるだろう。住民に最も身近な市町村が行政の中心的機能を担う、いわゆる補完性の原理ですが、そういうことによって透明性の高い、そしてなおかつ、責任ある行政を行っていくことができるし、また、そのことが重要であると考えております。
 この結果、県は、市町村の補完・支援機能や、県境を越えた広域的な課題への対応といった役割を担っていくこととなって、従来のやはり都道府県の役割からは変質をしていくということに、今後、将来向かっていくのだろうと思いますけれども、こうした都道府県の新たなあり方については、これは地方自治の根幹にかかわる話でございますし、まさしく地方自治そのものの話ですから、住民の視線というものを踏まえて、住民が求める制度を協働して築いていくと、国がひとりで、自分たちで決めるということではなくて、住民が求める制度を協働して築いていくということが重要でありまして、地方が多様な選択肢の中からそうした幾つかの制度の中から、ふさわしい制度を選択できるような柔軟な仕組みとなるようにならなければならないと考えております。
 それから、全国町村会などの最近の動向、それから意見などがいろいろ出てございますけれども、合併特例法期限後の基礎的自治体のあり方については、今、第27次地方制度調査会で検討が行われておりまして、地方自治の根本にかかわる点が数多く含まれておりますので、全国町村会など地方団体の意見を十分に踏まえて、本当に幅広い角度からの議論が行われるべきであると考えております。
 そこで、町村の役割と支援についてですけれども、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村、こういうことでございますので、市町村が住民ニーズに対応した地域づくりや公共サービスを行っていく主体であるという、こういう市町村中心の行政に転換していくことが望ましいので、市町村合併の、これはもう自主的な選択ということを申し上げておりますが、そういうようなことによって行財政基盤を強化し、また、地理的条件などから合併を選択できない町村も補完措置が必要と考えますが、どちらの選択をとる場合にも、それぞれがそれぞれの立場で真に自立できる市町村を目指すことが私は重要だと考えております。具体的に盛岡市、矢巾町、それから滝沢村の住民発議による合併協議会の設置請求があったわけでございますが、昨年12月に2町村の議会での否決によってその設置が見送られたわけでありますけれども、この3市町村を含む広域としての盛岡広域圏内6市町村で合併に関する研究会を今後立ち上げ、合併の枠組みなどの議論を行っていこうとする動きもあると承知をしているところでございます。
 最後に、イラク問題についてでございますけれども、これは現在、国連の安保理での動向に対して世界各国がその取り扱いを注視しておりますし、関係国も非常に激しくこの問題について動いているわけでございます。私はこれからの国際社会は、全地球的な立場で国際協調を基礎理念とすることで成り立つべきものと考えていますので、その意味から、このイラク問題などでは特に顕著にあらわれていますけれども、一つは近年のアメリカのグローバルリーダーシップについて、その国益を――国益というのはアメリカの国益という意味ですが、――アメリカの国益を国際社会全体の国際益という考え方、まさしくそういうふうにほかの国から見ればとられてもしようがないようなそういうアメリカの考え方、あるいはアメリカ国際主義というものに危惧を覚えているところでございまして、やはりイラク問題についても、特にアメリカ、イギリスの考え方と、それから例えばヨーロッパでも主要な国でありますドイツ、フランスなどの考え方は対立をしているわけで、それぞれ背景もいろいろあると思いますけれども、やはり国連の安保理の決議を基本にして、当然平和的に解決されることが望ましいと思っております。やはりこういった問題こそ国政の場でまさしく各政党が責任を持って議論し、そのことによって我が国の確固たる外交理念を確立していく、それから諸外国からも存在のある国としていくべき話でありまして、今一足飛びに知事としてどうかという話があったわけですけれども、まず私はこのことこそ各政党が責任を持って外交理念のもとに対応していくべきものと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) まず、高齢者の医療費の負担増や受診抑制についてでありますが、県レベルでは、多数の保険者が存在することなどによって、分析のための必要なデータの収集に限界があり、その影響額等を容易に予測、試算することができないところでございます。また、実際の影響額についても、対象者数の変化、あるいは診療報酬の内容改定、疾病の流行状況など、さまざまな要因がありますことから分析予測は難しいものとなっております。
 また、サラリーマンの医療費3割負担による受診の影響についても、同様に分析は困難でありますが、高額な自己負担のために必要な医療が受けられないといったようなことがないよう、制度上、所得状況に応じ自己負担限度額が設けられ、特に所得の低い方々に対しては、限度額を据え置くとともに、高齢者について低所得者の範囲を拡大するといった配慮がされているところでございます。
 次に、重度心身障害者(児)医療費助成事業の対象範囲を障害3級まで拡大するということにつきましては、この事業の目的は、あくまでも身体障害者の1級、2級の重度の障害者の受療機会を確保する、生活の安定に寄与するということであります。今般の医療制度改正等ありますが、ほかの母子家庭の医療費の助成とか、そういった県単医療費助成事業の所要額がかなり増加するということもありまして、現下の厳しい財政環境のもとでの直ちに対象範囲の拡大というものは、困難であると考えておりますが、当面、既存の制度の適用で対応していく考えでございます。
 次に、国保税についてでありますが、資格証明書交付世帯の家族数は、平成15年2月1日現在4、145人ですが、年齢別に把握したものはございません。また、窓口で全額を支払った後の償還払い件数は、今年度は1月末現在で75件となっております。資格証明書の交付については、滞納者であっても災害等の特別の事情があると認められる場合には交付の対象から除外されており、家族が病気の場合については、そのことを事由として保険税を納付することができないと市町村が判断した場合には除外されるものでございます。また、県単独医療費助成制度などの地方単独事業の対象者にあっても、同様の扱いとなるものであります。
 県としましては、被保険者の方々が必要な医療を受けられるよう、滞納者については十分な納付相談を行い、個々の状況に応じて特別の事情の有無を判断した上で、資格証明書の交付を適正に行うよう、市町村に対して指導しております。なお、リストラ、失業等で国保税の支払いが困難な場合には、徴収の猶予、納期限の延長などの活用や、事由によっては減免措置を行うよう市町村に配慮を促したいと考えております。
 次に、介護保険の現状についてでありますが、在宅サービスの利用が低調な一方、施設の入所希望者は、制度の導入後、増加の傾向にあります。在宅サービスが低調な原因としては、他人を自宅に入れたくないという意識の問題や、マンパワー等の確保と介護サービス提供側の問題も複合的に関係しているものと思われます。また、施設入所希望者の増加の要因としては、要介護認定者の増加や施設選択が可能になったこと、在宅と比較して割安感などが考えられているところでございます。
 次に、利用料の軽減や経過措置適用者の負担増についてでありますが、国庫補助制度である社会福祉法人による減免措置の対象範囲が、来年度から65歳以上の第1号被保険者の15%に拡大する予定と聞いておりまして、県としては、低所得者対策としてその充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、次期計画において県全体で約800床の増床を行う計画となっているほか、現計画の整備分として、平成14年度から15年度にかけて300床程度整備される見込みとなっております。
 次に、介護保険料の見直しについてでありますが、来年度から17年度までの保険料について、10月時点での県平均3、072円に対しまして、最終的には若干引き下げられる見通しとなっております。現在、市町村において、介護給付費準備基金の残高や将来の介護保険財政見通しなどを勘案しながら、最終的な作業を行っているところでございます。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕

〇商工労働観光部長(照井崇君) まず、平成14年の県内の失業率、失業者数については、総務省による労働力調査結果がまだ公表されておりませんので、現段階では承知いたしておりません。
 平成14年の県内の従業員数の推移でありますが、厚生労働省による毎月勤労統計調査によりますと、従業員5人以上の事業所における昨年11月の常用労働者数は41万1、181人となっており、1月に比べて6、874人減少しております。求職をあきらめている人については、総務省による労働力調査の都道府県別の数値は作成されておりませんので承知いたしておりません。
 平成14年度における誘致企業と大型店の撤退による閉鎖は、県の調査では、本年1月末までに14件、閉鎖時の従業員数は935人となっております。再就職の状況については、新会社の設立や新店舗の再スタートによって離職者が再雇用された例もあり、市町村等を通じて現時点において260人が再就職したことを把握いたしております。
 大学、短大、高校の就職内定状況は、岩手労働局の調査によりますと、1月末現在で大学生が57.9%と前年を2.2ポイント、高校生が70.4%と前年を0.4ポイントそれぞれ下回っておりますが、一方、短大生は37.6%と前年を3.2ポイント上回っております。1月末現在で就職が内定していない県内の大学生は807人、短大生は315人、高校生は1、259人となっております。
 次に、合理化等の事前協議制についてでありますが、誘致企業の立地に当たりましては、市町村と当該企業との間で立地協定を締結し、地域産業や従業員に重大な影響を及ぼすような事態が生ずる場合には、事前に協議を行うこととしているのが通例となっております。したがいまして、今後とも誘致企業が地元市町村とこうした内容を盛り込んだ立地協定を締結し、それを誠実に遵守するよう求めてまいります。
 次に、岩手労働局が指導したサービス残業の是正件数と支払った額についてでありますが、岩手労働局によりますと、平成13年4月から平成14年9月までの間に是正を指導した企業数は3企業で、指導の結果、支払われた不払いの割り増し賃金の合計額は756万円となっております。
 また、県内労働者の所定外労働時間とその解消による雇用効果につきましては、平成13年の毎月勤労統計調査によりますと、所定外労働時間は、常用労働者5人以上の事業所では、1人当たり月平均8.2時間となっており、この所定外労働時間をもとに常用労働者5人以上の事業所について試算しますと、約2万3、000人の雇用に相当するものであります。さらに、政府の目標である年間総実労働時間1、800時間を達成する場合の雇用効果につきましては、これも同様に5人以上の事業所について試算しますと、約2万4、000人の雇用に相当するものであります。
 次に、基金事業による雇用拡大の実績と平均雇用日数についてでありますが、平成11年度から平成14年度までの新規雇用の実人員の累計は7、222人であり、臨時応急的に雇用された方の平均雇用日数は、平成11年度は21日、平成12年度は39日、平成13年度は43日となっており、平成14年度は67日と見込んでおります。
 県といたしましては、今後とも、県単独で造成した基金を活用した事業や多様な産業支援策を積極的に展開し、とりわけ若年者の常用雇用の創出、拡大に、より一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業対策についてでありますが、平成15年度当初予算案における中小企業対策関連の予算額は、611億8、100万円余で、一般会計に占める比率は7.5%となっております。経済のグローバル化や景気の低迷が続く中にあって、地域経済の主要な担い手である中小企業における経営の安定と発展を図るため、融資・保証制度等セーフティネットの充実強化を進めるとともに、新しい事業活動の展開など経営革新に向けた取り組みを進める中小企業やベンチャー企業等への積極的な支援、商店街の活性化に向けて意欲的に取り組む商業者への重点的な支援などを行うこととしております。今後とも、中小企業を取り巻く経営環境等の変化を的確にとらえながら、なお一層の中小企業対策の充実に努めてまいります。
   

〇議長(谷藤裕明君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 消費税の制度改正と外形標準課税の導入による県内企業に対する影響についてでありますが、消費税の免税点引き下げにより、県内の免税事業者の割合は全事業者の6割から4割程度に、それから簡易課税制度の見直しにより、簡易課税選択事業者の割合は課税対象事業者の5割から2割程度に減少することが見込まれ、この減少により、本県分の国税として納入される額は、仮に政府の算定による全国の税収見込み額を単純に本県の13年度決算額で案分してみますと、約30億円増加するというふうな数字になるところであります。
 県内企業を対象とする実態調査は行っておりませんけれども、政府税制調査会が行った一般国民を対象とするアンケート結果によりますと、8割以上の方が消費者の支払った消費税が事業者の手元に残る、いわゆる益税に対する改善措置が必要というふうな答えをしております。今回の制度改正は、このような消費者の不満を解消しようとするものであり、本県といたしましても、この趣旨にのっとり適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、外形標準課税の対象となる資本金1億円を超える法人は、本年1月末現在1、474社あります。今回の制度改正は、税制中立を原則としていることから、個別の法人ごとにはある程度増減が生じますけれども、全体としては、本県の税収に与える影響はさほどないものと見込まれるところであります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) WTO農業交渉についてでありますが、今次農業交渉におきましては、本年3月に、すべての品目及び加盟国に適用されるルールの大枠、これはモダリティと言っておりますけれども、この大枠を確立することとして作業が進められているところであります。このような中で、去る2月12日、WTO農業委員会特別会合議長が、加盟国に対してモダリティ1次案を示したところでございますが、この1次案は、我が国が主張してきた食料の安全保障、農業の多面的機能などの非貿易的関心事項が適切に反映されたものになっておらず、また、ミニマムアクセスの拡大など、総体として受け入れがたい内容であると考えております。このため、国に対し、我が国の提案の実現に向けて全力を挙げて対処されるよう、北海道、東北各県、新潟県とともに、近々、緊急提言をすることについて準備を進めているところであります。
 次に、農林水産予算等についてでありますが、農業関係の公共事業は、基盤整備がおくれております本県におきましては、効率性の高い農業の展開や競争力のある産地形成を図るため、その基礎的条件となる基盤の整備や農村生活環境の整備を総合的に実施しているものであります。
 価格・所得補償につきましては、市場価格の変動に対応するため、青果物や畜産物の価格安定対策を行っているものであります。
 また、転作作物の振興に当たりましては、排水対策など圃場条件の整備、団地化や機械化を促進するほか、農産加工による高付加価値化などを推進してまいる考えであります。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) まず、津付ダムについてでありますが、津付ダムは陸前高田市と住田町の治水安全度の向上を図るとともに、陸前高田市の工業用水の確保を目的とする多目的ダムであります。その治水計画の検討に当たっては、河川改修の単独案、宅地等のかさ上げ案及びダムと河川改修の組み合わせ案など、さまざまな手法について比較検討を行い、ダムと河川改修の組み合わせ案が、経済性や地域に与える影響、環境面から最も有利であるとして計画しているものであります。
 利水については、現在、陸前高田市に対して意向の再確認を行っているところであり、開発水量の変更の申し出があった場合には、計画の修正を含め適切に対応していく考えであります。
 次に、大船渡港の整備についてでありますが、岩手県港湾ビジョンにおいて、大船渡港はバラ貨物の取扱拠点港としての施設の拡充や定期航路開設などを目指すこととしておりますが、永浜・山口地区につきましては、茶屋前地区が老朽化してきたことからその機能を移転させるとともに、船舶の大型化に対応することなどを目的として、現在、整備を進めているところであります。
 需要予測につきましては、大船渡港の港湾計画で、その取扱貨物量を企業ヒアリングにより年間約730万トンと見込んでいるものでありますが、岸壁等の整備に当たりましては、取扱貨物量の動向を見ながら行ってきているところであります。
   〔教育委員会委員長船越昭治君登壇〕

〇教育委員会委員長(船越昭治君) 30人学級に対する全国の取り組みの動向をどう把握し、かつ、認識しているかという点にかかわっての御質問に対してお答えを申し上げます。
 全国の少人数学級の取り組みについてでありますけれども、各都道府県は、それぞれの地域の教育課題や施策の効果等を踏まえまして、少人数学級や少人数指導など、少人数教育という観点から、さまざまな工夫を凝らして対応しているものと理解をしております。
 現時点で把握をしているデータで申し上げますと、各都道府県の状況を見ますと、少人数学級の実施学年としては、小学校1年生など、低学年を中心に実施しているものが多うございます。また、1学級当たりの人数規模に関しますと、30人から38人程度の編制基準をそれぞれ設けているということで、いろいろ異なった点がございます。さらにまた、学校では全県一律の基準を設けたり、あるいはモデル校を指定したりするなど、限られた学校で実施するあるいは全県で実施するなど、さまざまな取り組みが計画されております。
 都道府県の中には、来年度から新たに少人数学級あるいは少人数指導の実施を予定しているところもございますが、少人数学級あるいは少人数指導のいずれもそれぞれきめ細かな指導によって効果を上げていくものと認識をしております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕

〇教育長(五十嵐正君) 30人学級の実施についてでありますが、本県におきましては、学級を固定するよりも必要に応じて複数の教員で指導に当たり、学習集団を柔軟に使い分けるなどきめ細かな指導が可能となることから、少人数指導を進めているところであります。
 今年度実施した岩手県少人数指導支援事業により、小学校1年生において、4月当初、登校しぶりであった子供のうち91.4%が元気に通学するようになったり、座席に着いていることが苦手な子供のうち、94.9%の子供が授業によく集中するようになるなどの具体的な効果を上げていることから、来年度におきましても、県単措置のすこやかサポート推進事業の拡充や、国の加配措置等を最大限に活用するなど、さらに本県独自の改善を加えながら、少人数指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、小学校1・2年生で30人学級を実施する場合の学級増等についてでありますが、180程度の学級増と220名程度の教員増となり、新規採用の常勤講師で対応するとして試算をすれば、約11億円の財源が必要となります。
 また、青森、秋田との3県連携としての少人数学級の実施についてでありますが、少人数学級、少人数指導、いずれも効果は認められるもののまた課題もあると、こういったことから、各県の教育課題や施策の効果等を踏まえつつ、それぞれの県においてさまざまな創意や工夫を凝らしながら取り組んでいくべきものと考えております。
   〔選挙管理委員会委員長岩崎康彌君登壇〕

〇選挙管理委員会委員長(岩崎康彌君) まず、公共事業受注企業からの政治献金についてでありますが、国政選挙に関しましては国と、地方選挙に関しましては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である企業が、当該選挙に関し寄附することは公職選挙法で禁止されており、また、3事業年度以上継続して欠損を生じている会社は、欠損が埋められるまでの間、政治活動に関する寄附が政治資金規正法で禁止されております。
 今後とも、政治活動に関する寄附につきましては、関係法令に抵触しないよう、適切に行われることを切に望むものであります。
 お話のありました政治献金につきましては、その詳細を了知しておりませんし、また、個別具体的な事案の調査権限も持ち合わせておらず、お答えする立場にないものと考えておりますので、御了承をお願いいたします。
   〔公安委員会委員長佐藤ソノ子君登壇〕

〇公安委員会委員長(佐藤ソノ子君) 警察職員の不祥事案が発生した場合の公安委員会の対応等についてお答えをいたします。
 このような事案が発生した場合は、警察本部から事案の概要等について報告がなされ、それに基づいて公安委員会においても警察の対応方針や再発防止対策について論議し、必要に応じて要請を行うこととしているところであります。特に昨年は、飲酒に絡んだ不祥事案が多発しましたので、11月19日に急遽、臨時公安委員会を開催いたしました。そして、再発防止のためには職員一人一人がみずからの問題として受けとめ、私生活においても、警察職員としての自覚を持って行動することが重要であるとの認識で一致し、公安委員会からその旨を全警察職員に要請したところであります。
 公安委員会といたしましては、今後とも、警察職員による不祥事案の絶無を期すよう、引き続き県警察に対する管理の徹底に努め、県民の警察に対する信頼を確保してまいる所存でございます。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君) やみ金融の相談件数及び摘発状況についてお答えをいたします。
 平成14年中に受理した悪質商法に関係する相談件数、この中に統計上、やみ金融に関するものも含まれておるわけでございますが、これが4、859件でございまして、一昨年と比較し3、199件の大幅な増加となっております。中でも、やみ金融に関する相談が著しく増加をしておりまして、執拗な取り立てや嫌がらせ電話、業者からの一方的な振り込みなどを内容とするものが目立っております。
 県警察といたしましては、これらの相談に対しまして、警察本部県民課に専従班を設置するなど体制を強化し、やみ金融業者に対する積極的な警告等を実施するなど、相談者の立場に立って被害の救済を図るとともに、事件化による摘発を視野に入れた対応に努めておるところでございます。
 また、県貸金業協会等関係機関・団体と連携しながら被害の回復に努めるとともに、早期の相談を呼びかけるなど、被害の未然防止に向けた広報等に取り組んでいるところであります。
 次に、やみ金融に絡む摘発・逮捕の状況でありますが、平成14年中は4件の金融事犯を検挙しておりまして、6月には高金利事犯で登録業者を、11月には090金融業者などを逮捕しているところであり、今後も違法行為に対しましては厳しい方針で対処してまいる所存でございます。
 やみ金融に対しましては、相談それから検挙活動ともに、今後とも力を入れて取り組んでまいる所存でございます。

〇32番(斉藤信君) 知事の答弁に対して再質問をさせていただきます。
 医療費負担増に反対する医師会などの対応について、知事は、凍結をすれば将来の負担増につながるのではないかと、予定どおり実施すべきだと、こういう残念な答弁でありました。
 既に医師会も言っていますけれども、去年の診療報酬の改悪で医療費は減少していると、10月の改悪でさらに受診抑制をされていると。だから、今の段階で3割負担の強行は必要ないと医師会などは指摘をしています。
 全体の問題から言いますと、国と地方の税収のうち、社会保障に向けられる比率というのは、日本は22%、イタリアやヨーロッパは34%から五、六十%ですよ。イタリア並みに社会保障の比重を高めますと、それで8兆円、社会保障が拡充できるのですよ。いわば医療財政が危機ではなくて、公共事業優先が社会保障を破壊してきたんです。ここのゆがみを正せば、こういう国民負担増なしにできるのですよ。あなたのマニフェストと言わず、財源をちゃんと計算してやってください。私は、あなたの厚生労働省並みの答弁に大変失望いたしました。今の国の財源の仕組みを変えれば、こういう負担増は必要ないということについて見解を求めたい。
 在宅酸素療法の患者が1、300人いて16人が中断したと、深刻な答弁でありました。しかし、保健福祉部長は、障害3級まではやらないと、知事は生活保護を受ければいいと。私はこんな冷たい答弁はないと思いますよ。
 内部障害者の3級までの助成というのは、全国20道府県でやっているんですよ。北海道、東北は山形を除けばみんなやっているんですよ。何で岩手でできないのですか。払えない人は生活保護を受けろという、私はこういう答弁はないと思うけれども、そんな冷たい答弁でいいのか、知事にこの点を改めてお聞きします。
 次に、簗川ダムの建設事業について知事に聞きます。
 わずか2カ月で簗川ダム事業の継続を決めた公共事業評価委員会のあり方について、現在委員長を務める首藤伸夫県立大学教授は、我々には治水のレベルや工法が妥当かまで検証する時間も権限もない。知事がそこまでの土俵を用意してくれなければ、到底できないと新聞紙上で述べています。長野県で検討委員を務めた五十嵐敬喜法政大学教授は、治水レベルや代替案が本当に適切か突っ込んで検証できなければ、評価委員会はただの御用機関に成り下がるだけと指摘をしています。この指摘を知事はどう受けとめるでしょうか。治水、利水などについて、専門的に検討ができる専門家と住民参加で再評価をすべきではないでしょうか。
 盛岡市の利水問題について、微妙な答弁でした。簗川ダムへの利水参加の理由として、平成74年、2062年に、盛岡市の給水人口が36万8、260人になるので必要だというのが、盛岡市から県に報告された内容です。しかし、盛岡市自身が昨年の9月に明らかにした盛岡都市圏将来ビジョンでは、都市圏全体の人口は2015年までは微増傾向で推移するが、その後は減少し、2020年には約44万人規模になるとしています。2000年は43万人です。さらに2060年にはもっと減少するのは明らかではないでしょうか。
 県、盛岡地方振興局の合併シミュレーションでは、盛岡市の人口は2006年から減少し、2019年には27万3、909人と予測しています。60年後に36万8、000人になるという根拠は、実際上は盛岡市も県も否定しているのではないでしょうか。県の試算では、平成23年、2011年の盛岡市の人口も28万4、498人としております。これでは、御所ダムの水も使われないことになります。これを是正しなければ、盛岡市は63億円の血税をむだに投げることになるわけでありますが、知事はこうした状況を把握されていますか。これは、県の試算と盛岡市のビジョンと、盛岡市が県に出した利水計画ですよ。矛盾に満ちていると思いませんか。
 道州制、市町村合併問題について聞きます。
 知事は、国、県、市町村のあり方、役割を見直す必要があるとして、この議会で補完性の原理に基づき、基礎的自治体である市町村が、まずもって住民に身近な行政を担っていくべきであると、そのことによって受益と負担の関係がより明らかとなり、行政の透明性が確保されるとして、市町村合併を推進する姿勢を強めています。実はこの言い分は、小規模町村の切り捨てを言い出した自民党の地方制度調査会の中間報告、西尾私案と同じ考えであります。
 自民党の中間報告では、基礎的自治体たる市町村は、住民に最も身近な団体として地方自治の基盤を形成する団体であることから、市町村優先の原則及び補完性の原理を堅持し、市町村における行政サービスの維持・向上を図っていくべきであるとして、地方分権の推進や少子・高齢化の進行、国、地方を通じる財政の著しい悪化等の情勢に対応して、受益と負担の関係を明確にして、行政基盤を強化するため合併による市町村の規模能力の強化が必要である。
 ほとんど同じ主張ですよ。違うのは、小規模町村の切り捨てを言っているかどうかだけです。私は事実上、増田知事の論理は、市町村合併の強制と小さい町村の切り捨てにつながりかねないと思いますが、いかがでしょうか。
 問題は、市町村の役割、権限移譲を強調して、規模拡大と合併を押しつける、受益と負担を強調して、国の責任を放棄して、住民に負担と増税を押しつける地方自治破壊の方向を提起しているのではないでしょうか。人口規模も地理的条件も違う多様な市町村が存在しており、その市町村の存在を認め、自立を応援するのが県の役割ではないでしょうか。
 知事の道州制にかかわる発言は、市町村合併を推進し県の役割を軽視、否定するものではないでしょうか。長野県では、田中県政のもとで町村と県の職員が一緒になって、市町村自立研究報告書というのを出しています。いわば、数千人、1万人規模の頑張っている町村と一緒になって県が知恵を出して、それを支援するプログラムですよ。これが長野県の田中県政のやり方です。全く岩手県と長野県の方向は違うのではないか。このように、町村と一緒になって知恵を出すべきではないでしょうか。町村の具体的な支援策をどう考えているか、示していただきたい。
 北東北広域政策研究会、昨年12月、北東北3県の連携強化ばかりか、3県合体、道州制を目指すとした報告書の骨子を発表しました。そのスケジュールも、市町村合併特例法期限の5年から10年後としています。あとわずかです。3県合体、道州制の推進がひとり歩きしていますが、この報告書の性格はどういうものでしょうか。知事は全面的にこの立場なのでしょうか、示していただきたい。
 実は私のところにこういう手紙が来ました。知事の政治姿勢にかかわって。
 増田知事は、知事選挙に向けた公約を2月中に発表すると言っておりますけれども、その政策づくりに県の幹部職員を使っているのではないか。勤務時間中にそういう作業をやっているのではないかという指摘でありますが、本当でしょうか。そういうことは絶対にないのでしょうか、明確に答えていただきたい。
 教育長にお聞きします。30人学級について。
 私は、全国の本当にすばらしい教訓、経験に真摯に耳を貸そうとしない県の教育委員会の姿勢に、残念ながら失望しました。
 私は具体的に質問で紹介をしましたが、昨日のNHKのニュースでも、山形県の少人数学級の取り組みが紹介されていました。27人の学級で、理科の授業で児童全員が発表をしている授業。体育の授業では2クラス合同の授業ですが、飛び箱が苦手な子供も、2段しか飛べなかった子供が6段飛べるようになったと紹介されていました。なぜできたか。少人数学級で、先生が、子供一人一人の具体的指導案をつくってきめ細かい指導をしているということです。私の調査のときもそうでした。その指導案も見せてもらいました。子供一人一人の指導案、具体的な指導案をつくって、それを学年全体で検討しているんです。だから、本当のきめ細かな指導ができるんです。
 私は盛岡市内の三つの小学校の校長先生にも、すこやかサポートの取組状況を聞きました。校長先生はこう言っていました。今まで泣いてもはっても先生をふやしてくれなかったが、非常勤講師を配してくれたことはどこでも歓迎していました。私は一歩前進だと評価をしています。しかし、それは極めて一時的、部分的であります。問題を抱えた子供の個別指導ができたということは改善ですが、しかし、40人学級のままでは、担任が40人近くを見なければならない矛盾は解決されません。
 本宮小学校では、1年生が入学時は122人、4クラスでした。現在118人です。来年3クラスになるんです。2年生になれば4クラスが3クラスになってしまう。入学予定の新入生も119人です。3クラスですよ、1年生が。40人ぎりぎりで。
 城南小学校では、1年生が入学時75人で、去年の3クラスから2クラスになりました。ところが、その後転入があって、今2クラスとも43人の学級です。確かにすこやかサポートは役割を発揮していますが、担任が40人近くを一日見なければならない状況は解決されないんです。
 私はそういういう点で、全国が少人数指導をやりながら、なぜ少人数学級に踏み出しているか、私はそこに大きな変化と質的な前進効果があると考えるものでありますが、教育長、こういうすこやかサポートの限界、本当に今、少人数学級に踏み出す時期ではないでしょうか。今、県民はそのことを求めて県内各地で会をつくって署名運動をやって県議会にも請願を出しているのです。この県民の願い、子供や教師の願いをあなたはどう受けとめていますか。改めてお聞きをします。
 すこやかサポートの非常勤講師配置は県単独で一時的、部分的改善措置ですが、今、子供、父母、教師が求めているのは30人学級であります。県教委のすこやかサポート事業の調査は、すこやかサポートの効果についてだけであります。少人数学級がいいか悪いか、求めているかは全然聞いていません。私はこの態度も改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇知事(増田寛也君) いろいろ御質問ございましたので、お答え申し上げます。
 初めに、いわゆるサラリーマンの医療費3割負担の話でございますけれども、今、内容的な制度設計、公共事業費をこういうふうに移すとか、いろいろな制度設計のお話ございましたのですが、それぞれそういったことについてのいろいろな影響ですとかいうことを、やっぱり国民全体でいろいろ議論する必要があると思います。そういったことについてはですね。今、結局問題になっているのは、この4月からの施行を国会の場でも先送りしたらどうかということが、今、現実問題としてあるわけで、それについては先ほど私の認識として、将来の負担増ということを考えるならばやはり、もう1年前に大変多くの議論があったわけですが、国会の中でもその中で決められた話ですから、むしろここでそれを予定どおり実施をするということにすることが、やはり一番この問題についての今現在での妥当な解決ではないかということで申し上げたわけでございます。
 それから、在宅酸素療法ですけれども、これについて大変冷たいと、生活保護による医療扶助適用ということを申し上げたのですが、しかしこれは、こうした経済的な状況ということを私どもも調査して把握しておりますし、もちろんいろいろなしかるべき他の制度の活用ということも念頭に入れております。いずれにしても必要な医療の確保ということには十分努めていきたいと思っております。
 それから、簗川ダムでございますが、二つ論点があって治水の関係と利水の関係とございますのですが、治水の関係、これは確かに今現在の県の公共事業評価委員会でも、私自身は限度があると思っておりまして、このことをやはり一つの限界だなという中で、今回、仕組みを変えなければいけないということを、私も今、作業をさせているわけでございます。それぞれの県でこうしたことにやり方があっていいと思いますし、今、盛んに引用されました長野県は長野県のやり方で、誠実にそういったことについて取り組んでいるのだろうと思いますが、私は私で岩手県においてこうした問題について最もいい解決が出されるように、しかも、それは我々だけではなくてやっぱり専門家の皆さんの真摯な意見があって、その上での判断ということが必要だと思いますので、そういった普遍性のある、そしてまた、責任の判断のある形の仕組みをつくって、それでこういったいわゆる大型公共事業に対応できるだけのものにしていきたいと思っております。
 それから、利水の関係ですけれども、この利水について、先ほど申し上げましたように、盛岡市との相談の上で盛岡市の意向を受けて行ってきた問題でございますが、これは実はさまざまな意見、見解というのがございまして、私もそういったものを十分見ながら、先ほど申し上げましたようにこの問題について検討していきたいと思っております。
 それから、市町村合併ですけれども、これはもう再三申し上げていますように自主性です。これは市町村の自主性が最も大事だということで、これはもう今まで繰り返し申し上げたところでございまして、そのことが、例えば補完性の原則といったようなことが西尾私案なり何なりということでございますが、それは西尾私案なら西尾私案でそういうことを言っているのかもしれませんが、私は私の信念としてこれは市町村の自主的なものをベースに置いて考えていくべきということを申し上げているわけでございます。
 それから、北東北3県で広域行政研究会というものを開催してございまして、これについてはいろいろ報告が、まだまとまっていないわけですが、報告というか中間報告がそこの中で出ているわけですが、私はこういう若手職員の自主的なそういった問題についての研究というのは大いに奨励をしていきたいと思っています。これは公的な職員が公的な立場で加わっているものでございますが、いわば一つの問題提起をしていくためのものでございますので、これをどういうふうに考えていくかというのは、むしろこれを例えば県民の皆さんとの中で議論のたたき台にするのかどうか、これからの問題であろうと思うわけですが、今までうちの県でも地方のあるべき姿というのを、こういった研究会でつくって世の中に問題提起をしたことがございます。やはりこういったある意味、統治制度にかかわる問題も含めて、これから非常に重要な、しかも多くの県民の皆さんに考えていただきたいことについて、有為な若手の職員の人たちがそういったことに取り組むというのは、やはりいろいろな意味のあることだと思っております。
 それから、最後に、幹部職員が私のこういった政策とか公約づくりに手伝っているのではないかという話ですが、それはございませんので、これは申し上げておきたいと思います。

〇教育長(五十嵐正君) 全国でいろいろと少人数学級等取り組んでいる県があるわけですけれども、現在、我々もいろいろ調査をしてございます。そういった中で見ますと、来年度、滋賀県とか徳島県など五つから六つの県が少人数学級に取り組むというようなことも伺っております。一方、本県のように少人数指導を導入する県も茨城県とか石川県など10数県ふえるというふうにも伺っております。また、少人数学級を実施している京都府とか広島県は来年度から少人数指導に変えるというふうな情報もございます。そういったことで少人数学級、少人数指導それぞれいろんな特徴があって教育がなされるというふうにとらえることができると思います。
 本県の少人数指導、本年度実施して10カ月になるわけですけれども、すこやかサポートでは、個別指導の必要な場面ですぐサポートができるというようなことで、担任の先生が安心して授業を進めることができるというようなこととか、1年を通じて子供たちが保健室に行くのがぐんと減ったというような、本県のこういったすこやかサポートのよさが至るところで出てきてます。それから、授業の進め方でTT――チームティーチングでやったり、場合によっては40人を二つに分けて20人ずつにして指導するということで、きめ細かな指導ができるし、一人一人に十分時間をかけて指導ができるということで、本県においては少人数指導をさらに充実させたいと考えてございます。

〇23番(斉藤信君) 二つだけ、知事に3県合体論で、私は極めて安易でひとり歩きだと思うのですよ。例えば、青森県、今、知事自身がセクハラ疑惑で矢面に立たされているけれども、今度の産廃問題でも青森県は極めて重大な責任がありました。膨大なやっぱり対策をとらなくてはならない。それだけではなくて青森県は全国的にも異常な原子力依存政策、プルトニウム循環方式で核のごみ捨て場になろうとしていますよ。核融合炉を誘致すると、津軽海峡大橋をつくるなんていう大規模開発計画を立てているんですね。こういうところと合体するなんていうことが何で簡単に出てくるのか。私はそういう点でも、若手職員が自主的にやっているんだと言うけれども、本当に、そういうやっぱり県のそれぞれの問題点、あり方、検討して出しているのかどうかお聞きしたい。
 それと、在宅酸素療法の問題で、障害者3級まで対象にしたらどのぐらいの財源が必要なんですか。ほかの都道府県がやっていて何で岩手がやれないのか、どれだけの財源が必要なのか、そこを示していただきたい。
 終わります。

〇知事(増田寛也君) まず、前段の青森県との3県合体といいますか、そういった話でどうもひとり歩きしているのではないか、中身をよく吟味しろというお話でございますが、そちらの方を私お答えしまして、あと後半の方の財源のことはちょっとわかりませんので、担当部長から答えさせます。
 今の青森県との連携事業、これは私、御承知しておいていただきたいのは、一つ一つ具体の連携事業については内容をよく吟味してやっております。実績が本当に上がるようなものをやっぱりやっていくという姿勢でやっておりますし、一方で、こういった道州制なり何なりというのは特に市町村合併と、今現在進められている市町村合併とは特に私はつながりを持って考えるというのではなくて、これは全く別に大きく国と地方の役割分担の大きな大変更を伴うものですから、これはこれとして切り口は別だと思っておりますが、いずれにしてもやはりこれからの自治の中で、地方の自治体の職員もこうした問題も含めて、うんと行政能力を高めて、特に企画能力を高める上でも、そういった研究を常にしておくべきだということでやっております。これは、もちろん知事がいろいろ先頭に立ってこうした北東北3県、連携を進めておりますけれども、やっぱり県民の合意がなければ一つも進まない話なので、私はそこのところは、青森県が今お話しになったようにいろんな、斉藤議員から見れば懸念の部分があるというふうなお話で、これはそれぞれの県民の見方もあると思うので、一概に私はいい悪いということを私の立場で言うべき話ではございませんけれども、中身を十分見て実績を積み上げていくということの中で、最終的に県民の皆さんがそういったことを総体としてどう判断するかということであると思いますので、そういったことで常に県議会の皆さん方にも一つ一つの成果が見えるようなその積み重ねをしていきたい、このようなことが私の考え方でございます。

〇保健福祉部長(長山洋君) 身障の3級まで拡大した場合の所要額というお話でございますけれども、身障の3級と言いましてもさまざまございまして、対象者の数がきちんと把握されないと具体的な数字は申し上げられない状況でございます。
   

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時33分 散 会


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