平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇42番(佐藤正春君) まず、知事、選挙もあと1カ月でございます。知事も県内を満遍なくお歩きになりまして、残るのは斉藤信議員と佐藤正春のところだけでございます。恐らくこのままだと無競争になるんじゃないでしょうかね。
 さて、昨日の東京紙A新聞の社説にマニフェスト提唱の増田知事の名前が出ております。ところが、きょうまでに知事は、公約も政策も具体的に発表していない。私どもには見えない。これではしっかりした質問ができません。
 そこで私は、きょうは関連でございますから、身近な市町村合併についてお伺いいたします。
 なぜ合併が進まないのか、いろいろ事情があろうかと思います。まず、合併を進める市町村のリーダーの素質に問題はないのか。本来、リーダーたる首長は、周辺の市町村からの信頼も厚く、また、合併への理解と政治的手腕がなくてはなりません。どうも人口規模から見ても予算規模から見ても、大きな町が中心となって進めているところに問題がありはしないか。例えば、盛岡市しかり、一関市も同様でございます。うまくいっていない。
 去る2月3日に一関地方任意合併協議会の首長さんたちが知事を訪れ、合併重点支援地域の指定要望をしたようでございます。これに対して知事は、重点支援地域の関係は来週にも庁内で手続をとりたいとし、14日に指定をいたしました。その際、中心部だけでなく、隅々までも目配りし、全体に光が当たるよう充実した内容の建設計画としてほしい、枠組みについては、敷居を低くし、関係市町村とよく話し合っていただき、必要があればその都度県も対応したい、こう発言しておられます。そのとおりでございます。なかなか知事としては行き届いた思いやりでございまして、高くこの点は評価いたします。
 そこで、関係住民が耳をそばだてて聞いているので、この問題について知事に直接私はお伺いします。明確にお答えいただきたい。
 1、県では、平成12年5月に広域行政推進指針を発表しております。この指針との整合性は図られているのですか、どうですか。
 2、一関市議会では、平成7年に1市2町の合併促進の決議をしております。知事は、この議会の決議をどのように評価し、理解をしておりますか。
 3、一関市長が準備会への参加を要請した11町村のうち、不参加が半分以上を占めています。また、参加の意思表示をした藤沢町が入れないのはなぜでしょうか。うわさによると借金があるためだと。
 また、大東町は、負担金まで議会で可決しながら、たなざらしにされているのはなぜですか。これでは町長としての立場がないんじゃないですか。
 4、歴史、文化、対外的ネームバリューからいっても、この協議会は平泉市を目指すものでなくてはならないと私は思っていますが、知事はどう考えていますか。あえて言うならば、平泉町中心の合併こそ将来展望が開けるし、悔いが残らないと思いますが、どうでしょうか。
 5、以上の点について、協議会といかなる話し合いを持ち、どのように指導してきたのかお伺いいたします。
 一関地方任意合併協議会は、排除の論理や一部首長の私見乱用が見え隠れしていますが、これは正しい合併事業を損なうものです。知事は、合併を進めるだけではなく、正しく指導すべき責務も負っております。場合によっては、合併の組み合わせをやり直しても正しく指導すべきと思いますが、どうですか、お伺いいたします。

〇知事(増田寛也君) 佐藤正春議員の御質問にお答え申し上げます。
 幾つかございましたので、順次お答え申し上げます。まず初めに、合併を進めるリーダーの素質に問題があるのではないか、こういうお話でございましたけれども、これは、私はどうだこうだと言うべき立場にはございませんが、それぞれの住民の皆さんの信任を得て出てきたリーダーでございますので、その方が当然中心になって今いろいろと動いておられる、こんなふうに考えております。
 もう一つは、大きな町が中心となった合併の進め方についてどうかというお話がございました。後ほどの御質問で一関中心の合併のお話がございましたが、私は、この間、何人かの市町村長さん方が来られたので申し上げておきましたけれども、私自身の考え方としては、やはり一般論としていいますと、どうしても中心部――これはほとんどの場合、市があるわけでございますが――と周辺の町村部との対比の中で、町村側の方では、やはり自分たちのところ、いわゆる周辺部の方が寂れてしまうのではないかという心配を抱くのが普通でございまして、地域全体がそういった周辺部も含めて十分に目配りされることによってよくなっていく。全体として力を発揮していく。ですから、そういう周辺部の皆さん方が抱いている不安や懸念を、中の話し合いの場、任意の合併協議会などの場において十分に払拭することが必要だろうということで、あえてそうしたことを来られた市町村長さん方に申し上げておきましたが、そういう考え方で、これからもぜひ中で十分に話し合いをしていただく。そして、相互に腹蔵なく、いい町、建設計画の策定に向けて努力していただきたい、こういうふうに思っております。
 それから、県でお示ししました広域行政推進指針で申しますと、議員御案内のとおり、一関市につきましては花泉町と平泉町の3市町の合併をその中で示しております。それから、東磐井の方は、6町村の合併あるいは6町村での広域連合というパターンをあの中でお示ししておりまして、今回はそれとは少し異なる、両場にまたがるような組み合わせとなってございますが、これは、県の示しましたたたき台をベースにして、さらに広く網をかぶせて、その中から諸事情で今の形になってきていると思っておりまして、一つのたたき台として議論を進めてきた結果と、こういうふうに考えております。
 それから、一関市議会で、今お話ございましたとおり、平泉町、花泉町を含めた3市町での早期合併を求める決議が行われておりまして、そのことは承知しております。その後、一関市議会の方では、特別委員会なども設置して、中間の報告書も取りまとめて議会に報告していると聞いております。後ほど取りまとめた中間報告書の中では、それに先行して平成7年6月議会で1市2町の合併促進の決議をしたんですが、そうした1市2町の合併促進にこだわらず合併を推進すべきもので、合併の主体は住民であり、住民が納得する合併を行うべき、こんなふうにその後の特別委員会の中間報告書などにも書いてございますので、今回、こうした趣旨も踏まえて、任意の合併協議会参加のための負担金、これは議会での予算議決がなされたと聞いてございますので、その後の情勢の推移が当該地域であったものと理解しております。
 それから、藤沢町と大東町の扱いにつきまして、これは、それぞれの町と関係の皆さん方との話し合いなどがあったものと思っておりますけれども、私どもでは、いずれにしても藤沢町については、町の方の判断によって参加を見送ったと理解してございますし、大東町については、もう既に議会の方で参加のための議決をしてございます。そういったこともあって、今、関係する市町村間において話し合いが行われている。今、現在進行形で話が進んでいると思っておりますので、そうした地域での話をよく見ていきたいと思っております。
 それから、議員の方から、平泉町中心の合併ということで、これは、さらには議員のお考え、以前からこの場でもお話がございましたが、平泉市を目指すものでなくてはならないというお話で、この点についての見解でございます。先ほど申し上げました県の指針においても、たたき台として私どもの方で幾つかパターンを示したんですが、その中で、一関市と平泉町、花泉町ということを示しておりまして、それについては、やはり今までの歴史的な経緯があってそういった組み合わせがあるだろうということで示しましたので、それなども大いに参考にしていただきたい、中での議論の判断にしていただきたいと思っております。
 焦点は平泉町の方でございますけれども、ほかの地域とは比較にならないほどきめ細かく議会の方でも回数を重ねて議論をしてきたわけでございますし、やはり住民の皆さんが、地域の将来像について随分そういった場で真剣に議論を重ねてまいったようでございますので、そうした住民の皆さんとの話し合いをこれからもさらに続けていただいて、そして平泉町がどういう形で、一関市を中心としてもう既に出ている合併協議会についてどういうふうに考えるのかというのを町の自主性において決定していただきたいと考えております。
 それから、先般でき上がりました協議会、私どもの方でも重点支援地域指定をいたしました。それについての指導についてどうだったのかということがございましたが、今回の協議会の設立に当たりましては、地元の一関市、千厩町の両地方振興局を中心として、常に地元の関係する皆さん方と話し合いを持って、場合によっては必要な助言等も行ってまいりました。今後、両方の地方振興局長が新しい市の将来構想検討審議会委員として協議会の運営に参画を考えてございますし、両方の局内に合併支援プロジェクトチーム――これは仮称でございますけれども――を設置するなど、体制を強化して市町村合併支援プランに基づく支援策を積極的に実施していきたいと考えております。
 そうした中で、私は、この間市町村長さん方が来られましたときに、今の組み合わせで固定するのではなくて、敷居も当然低くしていただいて柔軟に考えていただきたいということを申し上げておきましたが、そうしたことも含め、それからまた、両地方振興局長が入ったこういう場もございますので、その中でさらに必要な助言等も行っていきたいと考えております。

〇42番(佐藤正春君) 知事、あなたは選挙は心配ないんだから、本当に強力に知事としての指導力を持ってやらないと、県内、盛岡市、一関市だけじゃないんだから、全体の合併は進まないですよ。少し強力に指導してください。
 今の一関地域におけるこうした知事の言動を見ると、ちょっと指導というよりわきで見ているような感じがするんですが、本来、合併の目指す住民の幸せと地域振興とがかけ離れ、一部の首長の先陣争いになりかねないのではないか、こう心配しているわけでございます。このままだと、見切り発車というよりも意識的な切り捨て発車にならないのかということを心配しております。
 知事の仕事は、本来、県民の幸せと均衡ある地域発展を目指すものでございます。なぜこのような争いを加速するような合併状況をたしなめず支援する約束をしたのか、その真意というものを伺っておきたい。
 特に、知事については、従来から地方から中央に発信する、この勇断を私は非常に買っているわけでございますから、この際も、やはり中央の言うとおりではなくて、知事の判断で、勇断でもって強力に進めていただくようお願いしたい、こういうわけでございます。
 そこで、県民の幸せと合併が相反する場合、どちらを選択するように指導するんですか。
 最後に、排除の論理や住民の幸せが踏みにじられた関係、市町村の議会議決であるならば、我々県議会としても可決承認するわけにはいきません。明快な知事の答弁を求めるものでございます。

〇知事(増田寛也君) 今の御質問にお答え申し上げたいと思いますが、一部の首長さん方の先陣争いとか手柄話になっては困るということで、切り捨てというか、見切り発車のような形にならないようにという、地域におられる議員としては当然の御心配であろうと思うわけでございます。
 特に、一関地域での合併の問題につきましては、今回、私も市町村長さん方が来られましたときに確認してございまして、一つは、今後参加を希望する町村が恐らく出てくるであろうから、そうしたときには当然敷居を低くして、そうした皆さん方の参加を受け入れやすいような形で進めていってほしいということを申し上げておりまして、この点については、必ずそうするということで確認をとっております。それから、一方で合併特例法の期限等も考えながら、4市町村長さんの方から、そういう将来のことは敷居を低くしていますけれども、今この段階で重点地域の指定もぜひ一方で、していただきたいという強い県への要請もございましたので、その点について、今後参加する町村がふえた場合には、我々も速やかに追加指定を行うという前提のもとで、今回四つの市町村の区域で合併支援地域の指定を行ったものでございまして、これからのそうした町村の追加についても我々として柔軟に積極的に対応していきたいと思っております。
 それから、もう一点、住民の考え方と合併が相反する場合ということのお話がございましたが、合併というのは、今までのさまざまな地域の例――これは歴史の貴重な教訓でございますが――こうした例を見ましても、中でやはりどうしてもすべての住民の考え方が一つになるというのはなかなか難しゅうございまして、いろいろと地域間の対立等も内包することもございますし、やはりいろいろ考え方の相違がどうしても出てくるものでございますが、一つは、きちんとした手続を踏まえて出てきたものであって、また、住民の皆さんともそうした手続を踏むに当たって、いろいろ議論を交わしているといったようなものについては、当然合併の手続を我々も進めていくことになると思っております。それはそうしたきちんとした手続を踏み、なおかつ、地域での議論を経てきたものというものは、恐らく住民の皆さん方の大きなこの問題についての考え方を踏まえて、そしてでき上がってきたものであろうと判断されますので、もちろんそうした中での実質的な議論が大いに加速されるように、先ほどお話ございましたように、知事としてそうした地域をよくするというそういう行動がやはり大事でございますので、私もこうした一関の、県のみならず市町村の皆さん方が自主的に合併すべしと判断したものについては、大いに私もその中に入っていろいろ調整をするなり努力していきたいと思っておりますが、そうした上でそうした合併の手続が出てまいりました場合には、私どももそうした手続を我々としても進めていきたいと考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、菊池雄光君。
   〔48番菊池雄光君登壇〕(拍手)


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