平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(小野寺研一君) 自由民主クラブの小野寺研一でございます。
 質問に入る前に、さきに体調を崩され、検査、治療入院を受けられました天皇陛下におかれましては、御病名が判明し、国民ひとしく心配いたしておりましたが、医療の粋を尽くした治療のかいあって快方に向かわれ、無事退院されました。心からお見舞い申し上げますとともに、お喜び申し上げます。
 日本国の象徴として、国事に対し、また、国際的にも多大な貢献をなされましたことは全国民の周知しているところであります。その成果ははかり知れないものがございます。
 陛下におかれましては、いつまでもお健やかで、国家、国民を見守っていただきたいと思う次第であります。皇室のいやさかをお祈り申し上げます。
 それでは、質問に入ってまいりますが、どうか明快な御答弁をお願いいたします。
 まず初めに、国際情勢と日本の立場についてお伺いいたします。
 冷戦構造も崩れ、いよいよ世界も平和の道を進むことになると期待も膨らみました。それに伴い、世界の経済も好転し、先進国は発展途上にある国々に援助の手を差し伸べて、紛争の火種となる貧困から抜け出し、共生できる時代が来ると期待もいたしました。それが日本経済の再生にもつながり、バブル崩壊後の不況からも抜け出せるだろうと思ったからであります。
 しかし、世界平和はかつてないぐらいの危機的状況に直面し、複雑怪奇な方向に吸い込まれていくような不気味な様相を呈してまいりました。それではいけないということで、国連が中心となって、テロ対策、人権問題、紛争問題など全会一致で決めてきたのでございますが、時間がたつにつれて不協和音が出始め、国連もまたかつてない危機的状況を迎えているのであります。ここ数年でテロ対策や最近の紛争対策に投下された膨大な資金が他に使われたらと思うと、まことに残念でなりません。世界経済の好転なくして日本経済の立ち直りもまた不可能と考えます。
 そこで知事にお伺いします。1点目は、経済といえども、平和でなければ発展は望めないということについてであります。国連を中心に、人権擁護、人道上大きな危険をもたらす独裁政治の排除、軍拡阻止、安全保障に全力を挙げることと国連分裂の回避に日本は最大限努力すべきであると考えますが、政治家としての知事の所見をお聞かせいただきたいと思います。
 2点目は、開会中の国会審議についてであります。国際紛争に対して、あるいは景気浮揚に対して希望の持てる審議内容になっていると思われますでしょうか。党利党略が際立つ論戦と映るのでございますが、同様に知事の感想をお聞かせいただきたい、そのように思います。
 3点目は、国に対する提言についてであります。地方6団体の頂点に全国知事会がございます。内政問題の地方分権あるいは都市と地方との共生あるいは対立、脱ダム宣言等も大変重要なことでございますが、やはり失業を減らし、生活を安定させる景気浮揚を第一義に考え、現状の国際情勢に危機意識を持って国に対し提言などしていただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうかお伺いいたします。
 次に、岩手県総合計画についてお伺いいたします。
 岩手県総合計画が策定され、21世紀への岩手づくりに向けて県も各自治体も懸命の努力をしてまいりましたが、バブル崩壊後の経済不況、長引く景気低迷で国の財政も悪化の一途をたどり、地方自治体もそのあおりを受けて、このまま2年も続けば予算編成にも支障を来す最悪の状況下にあると思われます。2月14日の知事演述で、平成14年度までの実施状況を述べられ、最善の努力をしたと評価されておりました。私も評価いたすところであります。しかし、忍び寄る財政難の影響で、約束事が繰り延べになったりほごになったものもあると思われます。
 そこでお伺いいたします。まず、1点目は、県税収入が大きく落ち込んだことについてでございます。当初から予想されておりましたが、見込み額と実収入の差があれほど大きなものになれば許容範囲を超えたものになります。見込み違いをどのように説明されるのでしょうか。
 また、次年度も歳入減が予想されます。総合計画の実施にどのような影響を与えると考えておられるのかお尋ねいたします。
 2点目は、今後、総合計画と照らし合わせた地域づくりについてであります。これからは、地域の特性なり資源や人材を生かした取り組みがますます求められてきています。例えば二戸地方では、浄法寺町役場庁舎や一戸町コミュニティセンターなどの施設を地元の木材を利用して整備したり、ソバやヒエ等の雑穀を活用した特産物の開発、さらには、カシオペア連邦地域づくりサポーターズによる地域づくり団体の活動支援などさまざまな取り組みが出てきております。特色のある地域づくりを県内各地により一層広めていく必要性を痛感いたします。このような地域の取り組みに対して、県としてもぜひバックアップをしていただきたいと思いますが、所見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、市町村合併についてお伺いいたします。
 合併特例法の期限がいよいよ迫ってまいりました。平成17年3月31日まであと2年ということでございますが、実質1年、平成15年――ことしいっぱいがタイムリミットとなると思われます。今まで知事は、合併するかしないかは当該市町村の住民の皆さんが決めることと繰り返し答弁されてまいりました。これからもそれでいいのでございましょうか。国は国なりに、理由を説明して法整備までして進めようとしております。県としても、岩手の行政を8年間つかさどってきた知事に合併問題について所存がないはずはなく、私はこう考えるということをやはり県民に説明する責任があると私は考えます。当然決断は当該市町村の住民であることには変わりはないのでございますが。代表質問と重複するかもしれませんが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。
 まず、1点目として、青森県と岩手県境にまたがる産業廃棄物不法投棄事件の再発防止についてであります。全国でもまれに見る悪質なもので、徹底的に糾弾されなければなりません。我が会派の菊池幹事長が代表質問で、また、他の代表質問でもありましたように、答弁はいただいておりますので詳しいことは省略いたしますが、地域住民にとっては、投棄された廃棄物の早期撤去とともに、今後二度とこのような事件が発生しないようにということが切なる願いであります。そのためにも、ぜひ排出業者の責任追及と撤去費用の徴収に断固として当たっていただくことが必要でありますが、それ以上に再発防止対策が重要と考えます。県としての取り組みをお聞かせ願います。
 2点目として、盛岡以北への産業廃棄物処理施設の設置についてお伺いいたします。一般質問に5回登壇させていただきましたが、この件に関しましては、今回を含めて3回と相なります。その必要性や小規模な不法投棄の防止などいろいろと申し上げてまいりました。各自治体も真剣に取り組み、立地場所の提供に手を挙げていただいている自治体もあります。県はどのように考え、今後どのように進めていくおつもりなのか改めて答弁をお聞かせ願います。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 中央教育審議会は、昨年11月に教育基本法を見直すべきとする中間報告を公表し、3月にも最終報告を発表する見通しであります。政府はこれを受けて、基本法改正作業を本格化させようとしております。現行教育基本法制定から56年、ようやくにしての見直し作業であり、遅過ぎた感がありますが、まずは歓迎いたしたいと思います。その理由は、家庭の教育力の回復、公共心、伝統や文化を尊重する態度、郷土や国を愛する心の涵養など教育の基本にならなければならなかったことが挙げられているからであります。まだ検討の段階ですので正式の見解は述べられないのかもしれませんが、教育委員会としてはどのように受けとめ、対応していくつもりなのか所存をお聞かせください。
 また、男女共学を、男女共同参画社会の実現や男女平等の促進に寄与するという新しい視点から教育の基本理念として規定することが適当ということもまた明記されております。私は、男女共同参画には大賛成でございます。女性のまじめさ、あるいは頭脳の明快さ、遠くない将来、多くの女性が社会に進出していくだろうと思われます。しかし、一方では、主婦として立派に家庭を守り、子育てをも立派にされている主婦の方あるいは女性の方もたくさんいると思うのであります。夫婦別姓もいいでしょう、男女で炊事や子育てを分担してやるもよし、それぞれ自然体でいいのではないでしょうか。このことは、法律で規制するものではなく、教育現場に持ち込むべきものでもないと思うのでございますが、いかがなものでしょうか。
 次に、先生の置かれている立場についてお伺いいたします。
 県教委は、授業放棄、校内暴力等が起きたとき、先生はどのように対応すればよいと指導しておられるのでしょうか。どの学校にもこのようなことは潜在的にあると思われます。現実にそういう事態が生じているところもあるでしょう。特に、若い新任の先生がこのようなことで自信をなくし、体調までも崩すということも聞いております。先生の資質を問題にする前に、学校内の授業ができる環境を整えてやることがまず先決と考えますが、各学校は、このようなことにどのように対応されているのでしょうか、県教委としての対応も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 次に、完全学校週5日制が実施されました。戸惑いはなかったでしょうか。いよいよ家庭、学校、地域の3者がより一層連携をとり合いながら、その機能を発揮していかなければならない重大な局面を迎えたと思います。教育委員会ではどのように認識され、どのように指導して協力を得ていくつもりなのかお伺いいたします。
 次に、林業問題についてお伺いいたします。
 我が国の森林・林業の現状は、木材の需要低迷と価格の低落、林業労働者の減少・高齢化などにより年々厳しさを増し、危機的状況に陥っております。このため、健全で豊かな山づくりに欠かせない間伐も思うに任せず、それが環境保全などの森林の果たしているさまざまな役割に悪影響を与えます。森林が荒れることによって良質の水資源の確保も難しくなり、災害も予想以上に発生することにもなりかねません。今さら言うまでもなく、一度荒れた森林を健全で豊かなものに回復させるには、気の遠くなるような長い年月と膨大な労力を要することはこれまでの歴史が物語っているところであります。今こそ森林整備に重点を置き、対策を講ずるときと考えます。自分たちの生活を守り、自然を守ることに通じることを肝に銘じるべきと思います。一大森林県であります岩手県の現状も同様でございまして、何らかの対策を講じなければならない時期に来ていると思います。
 そこで、3点についてお伺いいたします。まず1点目は、森林整備のあり方に関する検討委員会についてであります。このような状況の中で、本県の広大な森林を21世紀に生きる次の世代に緑の遺産として確実に引き継ぐためには、これまで山づくりの中核として推進されてきた県有林事業や林業公社事業の果たすべき役割は極めて重要であると考えます。しかしながら、県有林事業及び林業公社事業の借入残高は、平成13年度末でそれぞれ502億円、444億円と膨大な額となっております。このまま何ら改善策を施すことなく放置すれば、本県の県政史上に極めて重大な禍根を残すことは必定であり、早急に経営改善策を講ずる必要があると考えます。
 このような中で、先般、県有林事業と林業公社事業の経営改善方策を中心に検討がなされてきた森林整備のあり方に関する検討委員会からの最終報告が県に提出されたと伺っておりますが、その内容はどのようなものであったでしょうかお伺いいたします。また、この報告を受けた県として、今後どのような改善策を講じていくおつもりなのかあわせてお聞かせください。
 2点目は、木材の需要拡大についてであります。本県の森林は、民有林だけでも面積34万2、000ヘクタール、その森林蓄積は1億4、900万立方メートルで年々増加し、木材の安定供給に向けた基盤が築かれてきておりますが、別の言い方をすれば、森林資源の在庫が年々ふえる一方で、木材が売れず、倒産に追い込まれていく状況にあるのではと心配するものであります。山に幾ら立派な森林資源があっても売れないのでは、森林所有者の山の手入れをする意欲もうせ、山が荒れることにつながるのではないでしょうか。
 そこで伺います。いかに森林資源の在庫を減らす、すなわち木材需要を喚起させていくつもりなのか対応策をお示しください。
 3点目は、木酢液の特定農薬への指定についてであります。本県は、先ほど申し上げたように、民有林面積78万3、000ヘクタールのうち人工林面積が34万ヘクタール、残り44万ヘクタールの大半が広葉樹林であります。その広葉樹を活用し、木炭生産やシイタケ生産が県の農林業の振興に大きな役割を果たしてまいりました。しかし、御案内のように、外国からの輸入攻勢により深刻な状況になっております。本県は全国一の木炭生産県でありますが、先ほどから申し上げているように、厳しい経営を余儀なくされています。
 このような中で、木炭生産時の副産物である木酢液は、全国生産量の2分の1を占め、木炭生産者にとって大変貴重な収入源となっています。また、木酢液は、減農薬栽培や有機栽培を行っている農家に広く使われております。このような中で、昨年12月11日に改正農薬取締法が公布され、特定農薬制度がこの3月から施行されることになりました。木酢液については、これまでの使用実態、自然木から採取することなどから特定農薬への指定が期待されていましたが、残念ながら保留になったと聞きます。
 そこでお伺いしますが、木酢液の特定農薬への指定について、県はこれまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。また、県として今後どのように対処していくのかお聞かせください。
 次に、医療問題、とりわけ県立病院に関してお伺いいたします。
 県においては、県下県民にひとしく良質な医療の提供を合い言葉に、より信頼され、愛される病院づくりを基本方向として計画を立てられ、着実に進めてこられました。県民の健康を守り、医療の充実を図るために、県内27カ所に県立病院を設置し、他の診療施設と協力し県民に医療を提供していることは全国的に見てもトップクラスであり、県民も感謝していると思われます。私も、関係者の皆様に敬意を表したいと思います。特にも、近年新装なった県病の環境は目をみはるものがあります。県民が安心して診療が受けられるよう、今後においても努力していただきたいと思うのであります。
 そこで2点についてお伺いいたします。まず1点目は、医師確保の問題であります。最近、必ずと言っていいほどお医者さんを何とかしてくれないかという問題が地域の病院等から挙がっております。遠野、高田病院の実態は詳しくは承知しておりませんが、一戸病院の実情を申し上げますと、内科は正規の医師が2名――病院長ほか1名――と常勤臨時医師1名、計3名ということでございます。院長が診療のほかに役職を持たれて出かけられても何とか対応してきたのですが、臨時の先生が3月いっぱいで大学の方に帰られる。その後任の先生がいまだに決まらない状況は、町もそうでございますが、患者さんに大きな不安を与えているのが実情であります。1日の総外来患者が700人前後で、内科への外来患者は平均で170名、多い日で200人、入院患者は現在45人前後、2名の先生では完全にお手上げで、3名でもかなりの重労働であり、休みもとれないありさまと聞きます。見かねて職員組合が町議会に医師確保の陳情をしたと聞きました。遠野、高田及び一戸、その他の県病の医師確保の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
 2点目は、県立病院事業をめぐる環境が一段と厳しさを増してきていると聞きますが、今後の県立病院の事業運営をどのように進めていくのかを示していただきたいと思います。
 最後に、地域課題として2点につきお伺いいたします。
 1点目は、県道一戸葛巻線についてであります。御案内のとおり、昨年12月1日、盛岡までであった新幹線が北上延伸し、八戸まで開通いたしました。待ちに待った新幹線の開通を、県北・沿岸一帯の自治体、また、そこに住む住民は、大きな期待を込め、地域発展に貢献するであろうと確信し、歓迎しているところであります。その中で、魅力ある郷土づくりを進めるために、その責任の重大さを感じながら知恵を出し合い、連携を密にしながら真剣に取り組んでいるところであります。
 県道一戸葛巻線は、葛巻町と二戸地方の人的交流と経済面の物流に欠かすことのできない主要地方道であり、新幹線二戸駅にアクセスする唯一の重要道路でもあります。改良も進み葛巻町管内はほぼ終わっており、地権者の関係で延び延びとなっていました鬼渕橋も完成、開通の運びとなりました。県の配慮に感謝をしているところであります。しかし、町境にあります奥通り地区約1.5キロメートルが昔のまま残されております。道幅が狭く、大型車のすれ違いもままならず、片方は急な山、片方は断崖の谷、いずれにも拡幅は困難で、降雪の多いときなど防護さくを飛び越え雪崩が道路を直撃します。最近においてもJRバス路線の3日間の通行どめがあったところです。このような人命にかかわる事故につながりかねない箇所でもあります。
 そこで、お伺いいたしますが、葛巻、一戸両町から毎年の要望が出され、私も以前に一般質問において質問しておりますが、県として現状についての見解と今後の見通しをお聞かせください。
 次に、2点目として、県北振興の観点からお伺いいたします。
 昨年の12月議会の一般質問において村上惠三議員が出身地の安代町を思い、新幹線到来を契機に県北地帯の自然、観光、生活を都会の人々に知っていただき、理解をしていただくためにイベントを開催し、全国に向けて岩手の特性を発信してはいかがですかとの熱い思いの提言がございました。まさに時宜を得た提言と大いに賛意を表し、実現に向けて努力してまいりたいと思います。県北地帯の山や川がすばらしい景観となって、訪れる人たちをいやしてくれるでしょう。
 農林水産部の見解をお願いいたし、県北地方のこの振興をどのようにお考えになっておられるのかもお伺いして、私の一般質問を終わりたいと思います。まことに御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 小野寺研一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず初めに、国連を中心としたいわゆる軍拡阻止などの考え方についてお尋ねがございました。私もやはり国連中心主義でこうしたことに当たらなければいけないと考えるものでございます。今日の国際社会は、経済、地球環境などのさまざまな分野において、国際的な連携、そして国家間の相互依存が拡大するなど全地球的な連帯感が醸成される一方で、いわゆる東西冷戦構造の終えんによりまして、これまで顕在化していなかった各地域の宗教や民族をめぐる対立、そして人道上にも及ぶような問題が各地で発生するなど非常に不安定な情勢下でもございますので、こうした状況下で国連が果たすべき役割は、従前に比べてますます重要になってきていると考えるものでございます。
 軍事、安全保障面については、国連の安全保障理事会を中心とする国際協調が図られる仕組みがもう既に確立をしていますので、こうした仕組みを生かして、今まさに喫緊の課題となっている、いわゆるイラク問題においても各国が国際社会の一員として、自覚と責任を持ってこの国連の場において十分議論を重ねて、協調して対応することが望ましいと私は考えております。こうした中で日本も国際社会の一員として、こうした努力を惜しまずに取り組んでいくべきものと考えているところでございます。
 次に、現在開会中のこの国会審議について、議員の方から、どうも党利党略が際立つ論戦であるけれども、どのような感想を抱いているのかというお話がございました。今この国会では、ざっと数え上げましても重要な問題として、イラクや北朝鮮問題など重大な国際問題がございますし、それからデフレ対策や雇用の創出など経済対策に関する予算審議、さらには、食品の安全性の確保に関する食品安全基本法案もかかっておりますし、それから我が県に大いに関係いたしますが、青森県境産廃不法投棄事案などが対象となる特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案といったことで、数え上げましても我が国の安全保障、あるいは県民生活に直結する重要な案件についての審議が見込まれているところでございます。
 したがいまして、第一義的にはこうした国会の場で十分な論議が尽くされることを大いに期待したい、そういう思いでこの国会の審議を見守っていきたいと考えるわけでありますが、昨年秋の――前回の臨時国会ですが、あのときなどを見ましても確かに議論が空回りしている部分もあったなという印象もありますけれども、よく考えてみますと、それはやはり我々が選んだ国会の場での議論ですから、結局は国民がそうさせていると考えるべきものであって、最後には我々にはね返ってくる問題かとも思いますので、国民全体がやはりこうした国会の論議にもっと深い関心を寄せて、深みのある積極的な論戦がこうした国会の場で繰り広げられるという、我々としての環境の醸成ということも大変大事かと思います。そういう思いで、この国会に先ほど言いましたような重要な案件が幾つもかかっておりますから、今後さらに深みのある議論が展開されることを期待するものでございます。
 次に、全国知事会を通じた国への提言でございます。これまで全国知事会で主に取り上げてまいりましたものは、分権型社会の構築や雇用対策、それから地域産業の振興などの具体的な提言を国に対して行ってきたわけでありますが、国際情勢を踏まえた提言についても、地域における国際化の推進が一方で要請される中で、都道府県の果たす役割が重要になっているという共通認識のもとで、国と地方の役割分担ということは前提としてあるわけですが、地域国際化の推進や基地対策、特にも沖縄などを中心とした地位協定の問題もございますので、こうした基地対策などに関する提言を行ってきたという経過がございます。今後も、先ほどの質問に対してお答え申し上げましたように、大きく変動する国際情勢というものがございますので、そうした国際情勢を注視して、地方の立場から必要な提言を行っていく必要があると考えております。
 それから、市町村合併についてでございますけれども、基本的な認識をまず申し上げますと、今後ますます地方分権が進展していく中におきまして、一方で人口減少や高齢化の急速な進行というものもございます。また、右肩上がりが望めない経済情勢といったものもございますので、市町村がこれまでのような行政サービスの水準を維持しながら、また、さらにつけ加わってまいります新たな行政課題、例えばITの問題ですとか地球温暖化防止の問題、あるいは男女共同参画の問題など新しい行政課題がまた一方で出てくるわけで、こうした問題にも的確に対応していくためには、その役割を果たすのにふさわしい効率性ですとか専門性を備えた行政体制を整備して、いわゆる行財政基盤を市町村が強化した上で、本当に自立できる市町村というものを目指していくことが重要だと考えております。
 このような認識に立ってそれぞれの市町村が、しからば、自立できる市町村というのは一体何なのだろうということを住民の皆さんと十分に議論した上で、選択肢はそれぞれの市町村に幾つかあると思いますので、その中から、やはり地域のあり方は地域が決めるという地方自治の基本に基づき自主的に判断すべきと考えておりますが、そうした結果、私の町は、あるいは私の村は合併に取り組もうということを決めた市町村に対しましては、今回の合併特例法の期限内での合併となるように、任意協議会の早期設置に向けた助言などを行って、合併重点支援地域の指定や県の方で持っております合併支援プランに沿って、積極的に県としての支援を行っていきたいと考えております。
 最後に、県北振興についてお話しございました。また、イベントの開催などについてもお話しございましたが、認識として県北地域は、県内外の来訪者を魅了するような高原など、いわゆる新しい雄大な自然空間や豊かな農林資源が数多くございまして、さらに、縄文の遺跡や雑穀文化など特色ある歴史、文化を持っております。県北地域では、こうした地域資源を活用したグリーンツーリズムの推進や四季折々の特色あるイベントの開催、それから県内外の子供たちを対象にした環境学習体験などに熱心に取り組んでおりますし、昨年9月に、議員の地元の一戸町を主会場に全国雑穀サミットというものが開催されたわけで、そこのサミットにおいては、地域で受け継がれてまいりました食文化の魅力ということについても広く発信をしたわけでございます。
 こうした地域特性を生かしたその地域ならではのイベントの開催や取り組みというのは、交流人口の増大、それから地域の印象、イメージも非常にそのことによって向上いたしますので、地域の活性化につながっていくと考えておりますので、県北地域全体や、あるいはさらにはその北の北東北3県の連携も視野に入れながら、今回、東北新幹線盛岡以北の開業というそういう契機もございますので、地域のさまざまな活動をさらに活発化し、地域全体の魅力を県の内外に、より以上に出していくということ、広くアピールすることが重要だと考えています。
 来年度――平成15年度には、県北地域で縄文の森フェスタや全国風サミット、縄文の森フェスタは一戸町でございますし、全国風サミットは浄法寺町の方で開催が予定されています。そのほかにも今準備中のものもございますので、そうしたこれらの機会をとらえて地域の魅力を情報発信していきたい。地域の皆さんが参加して、地域に根差した、県北地域の振興につながるような、今申し上げましたようなさまざまなイベント、それから地域の主体的取り組みが継続的にその後も行われるように、県としても積極的に支援をしていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 県税収入の落ち込みについてでありますが、平成14年度当初予算における税収見積もりに当たっては、引き続き厳しい経済状況が見込まれることから、前年度――13年度決算対比105億円余、8.6%減としたところであります。しかしながら、内閣府が発表している月例経済報告において、我が国の景気の基調判断が、昨年11月からことし1月まで3カ月連続して下方修正されるなど、経済情勢は14年度後半には民需中心の回復に向けて緩やかに動き出すとの大方の見通しに反し、前年よりさらに悪化しております。
 このような状況の中で、15年1月末現在の県税の調定実績額は、自動車税を除く各税目で前年同期を下回り、前年同期対比12.5%減と、先ほど申し上げた14年度当初見込みの8.6%減をはるかに超えて落ち込むことが明らかになったことから、県税収入を当初予算対比29億円余、2.6%減の1、094億円余とする減額を2月補正で提案することとしております。減額の要因となった主な税目は、法人二税と県民税利子割であり、法人二税については、長引く景気の低迷に伴い、製造業を中心に多くの法人で申告額が見込み額を大きく下回っていることにより、15億7、000万円余の減、また、県民税利子割は、郵便貯金の満期到来額を過大に見積もっていたことにより、13億1、000万円余の減となったものであります。
 こうした状況から15年度当初予算における税収見積もりに当たっては、今年度決算見込み額をベースに地方財政計画の税収見込み額、経済指標、国及び県内の景気動向等を分析し、正確な見込み額の算定に最大限努め、今年度決算見込み対比3.4%減の1、056億円余と見込んだところであり、この計上した予算額の確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総合政策室長佐藤勝君登壇〕

〇総合政策室長(佐藤勝君) 歳入減が総合計画の実施に与える影響についてでありますが、御指摘のとおり、本県の財政を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。このような中で、平成11年度に策定いたしました総合計画の推進につきましては、策定以来、政策評価の結果や社会経済情勢の動きなどを踏まえ、その年その年の施策の重点化の方針を定めまして、計画に掲げる五つの社会の実現に向けたさまざまな施策を積極的に推進してまいりました。
 今後一層厳しさが増す財政状況、とりわけ本県歳入の大きなウエートを占める県税や地方交付税といった財源の確保が困難をきわめることが予想される中にあって、本県県政の指針であるこの総合計画の着実な推進を図るためには、これまで以上により柔軟な発想と創意工夫によって、成果主義に基づく選択と集中の徹底を図り、限られた資源を最大限に活用し、優先度を見きわめながら施策や事業の重点化を行う一方で、不断に生活者や地域の視点に立ったその見直しや新たな政策立案に努めるなど、その時点その時点における最良の施策を選択し、引き続き総合計画の推進に全力を挙げて取り組んでいく考えであります。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 総合計画と照らし合わせた地域づくりについてでありますが、活力ある地域社会を実現していくためには、それぞれの地域が地域の特性を生かし、その可能性を最大限に引き出し、魅力的な地域づくりを進めるとともに、各地域間の交流と連携を促進することにより、互いの個性や特性がさらに磨かれ、自立的に発展していくことが重要であると考えております。
 このため、それぞれの地域の文化や資源を見詰め直し、それを大切に育てていく取り組みである、いわて地元学を総合計画に掲げ、県内各地域におけるこの取り組みを促進し、講師派遣や研修会の開催等による地域づくり団体のリーダー育成や連携・交流活動の促進、地域づくり活動に関する情報の提供を行うとともに、地域活性化事業調整費や市町村総合補助金によりまして、地域が行う自主的で特色あるさまざまな地域づくりの取り組みを積極的に支援しているところでございます。さらに、今年度からは、地域づくり活動を積極的に実践し、多大な成果を上げている地域づくり団体を知事が顕彰し、地域づくり活動の一層の促進を図ることを目的とした地域づくり表彰を行っているところでございます。
 今後におきましても、地域のさまざまな取り組みに対して支援を行うとともに、自立的な発展を可能とする交流・連携基盤などの整備に引き続き努めてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) まず、県境不法投棄事件を踏まえた今後の再発防止についてでありますが、この事件の背後には、現代社会が抱えます構造的な要因があり、再発防止のためには、厳格な監視指導のみならず、排出事業者の責任追及、法令を補完する制度的な整備や処理施設の整備、減量化、リサイクルの促進など、各般にわたる施策を展開することが必要であると考えております。これらのうち、特に監視指導につきましては、警察併任職員や産廃Gメンの配置による体制整備や、北東北3県が連携したスカイパトロールなどを実施しておりますが、来年度からは、新たに市町村へ産業廃棄物処理施設立入権限の委譲を行うこととしておりまして、一層きめ細かい監視を行うことができると考えております。
 責任追及につきましては、現在、県境不法投棄の1万社以上の排出事業者の責任追及、これを徹底して行っておりますので、この取り組みを通じて、事業者の意識改革を促進してまいりたいと考えております。
 また、法令の補完、リサイクル促進等の面におきましても、昨年12月に循環型地域社会の形成に関する条例等、これをお認めいただき、基本的な制度整備を図ったところでありますが、来年度は、条例に基づく優良事業者の育成や県外廃棄物対策、リサイクル製品認定制度のほか、産業廃棄物税の税収等を活用した環境産業の育成など、新たな制度の円滑な実施に努めていきたいと考えております。こうしたさまざまな施策を総合的に行い、事件の未然防止に努めるとともに、循環型地域社会の形成に向けて、さらに努力してまいりたいと考えております。
 次に、盛岡以北の産業廃棄物処理施設の設置についてでありますが、いわゆる第2クリーンセンターにつきましては、産業廃棄物と一般廃棄物の焼却処理施設に加えまして、十分に有効活用されておりません農林水産系廃棄物からのエネルギー回収、あるいは資源化施設等のモデルというものを想定いたしまして、今年度、処理の需要、処理技術、採算性等についての基礎的な調査を行っているところでありまして、現在その取りまとめに向けた作業を行っているところであります。この構想の推進につきましては、平成13年度から県北ブロック助役等連絡会議というものを設けまして協議をしてきたところでございまして、県北市町村から設置管理運営費など費用を早く示してほしいというような要望がございまして、基礎調査の調査結果がまだ出ておりませんけれども、今般、一定の規模要件等仮定をいたしまして建設費、維持管理費等の試算を行いまして、これをお示しし、あわせて処理廃棄物の排出状況、資源化物の活用方途等について調査、検討中の内容を御説明いたしまして、意見交換を行ったところでございます。
 県北地区の市町村からは、モデル施設が必要という県の基本的な考え方について御理解を賜り、立地の要望までいただいているところもございますが、事業主体、処理施設の機能、さらに関係機関や排出事業者の費用負担という面でさらに検討が必要であると考えておりますので、現在行っております調査結果がまとまり次第、関係市町村、関係団体等とさらに協議を重ねながら、課題を検討し、その実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 森林整備のあり方に関する検討委員会からの最終報告についてでありますが、県では、昨年5月に外部有識者からなる検討委員会を設置し、今後における森林整備のあり方や県有林事業及び林業公社事業の経営改善のための対策などについて検討をお願いしておりましたが、先般、最終報告をいただいたところであります。
 この報告におきましては、まず森林管理につきましては、多面的機能の発揮とあわせまして施業方法の見直しなどによる効率化を図るため、林相や立地条件など森林の実態を踏まえた新たな森林管理に転換すること、また、財務の改善につきましては、農林漁業金融公庫からの借入金の低利資金への借りかえを行うとともに、県、市町村からの公的な支援や県の一般会計からの繰り入れによって債務の軽減を図るなど、これらのことについて検討が必要であるとされたところであります。
 この財源につきましては、県の森林・林業施策を全般にわたって厳しく見直すこと、また、本県と同様の課題を抱えている関係県との連携を図りながら、国等に対し支援措置を強く要望する必要があるとしております。さらに、県有林事業及び林業公社事業の経営改善に対する支援策等について、県民の理解の醸成に努めることなどが提言されたところであります。
 県といたしましては、厳しい財政事情の中ではありますが、本報告の趣旨を十分に踏まえ、県有林事業及び林業公社事業の財務の改善等について、鋭意検討してまいりたいと考えております。
 次に、木材の需要拡大についてでありますが、本県の林業、木材産業の現状は、木材価格の大幅な下落や外材輸入の増加などにより県産材の利用が大幅に低迷しているため、林業生産活動が停滞するなど、極めて厳しいものになっております。こうした状況の中で、今後、林業、木材産業の活性化を図っていくためには、木材の定時、定量、定質の供給体制の整備を図るとともに、県産材の需要を拡大し、森林資源の循環利用を図る必要があると考えております。
 このため、緊急間伐5カ年計画の着実な推進、地域における木材の賦存量などを詳細に把握するための森林資源データの整備、遠野や気仙地域に見られますような生産から加工、流通に至る一貫した体制の整備などを進めてまいりたいと考えております。また、公共施設や公共土木工事へ率先して利用していただくほか、森林所有者から建築設計者、工務店、消費者までの連携システムによる住宅への利用拡大、民間団体と連携した木質バイオマスエネルギーの利用促進など、川上から川下に至る一連の取り組みを強化してまいります。こうしたこととあわせまして、関係機関、団体と連携しながら県産材のPR活動を積極的に推進し、一層の需要拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次に、木酢液の特定農薬への指定についてでありますが、この3月に施行されます改正農薬取締法において、人畜などに害を及ぼすおそれがないことが明らかなものを特定農薬として指定し、農薬登録がなくても販売、使用ができる制度が創設されたところであります。本県は、木酢液の全国一の産地であり、また、木酢液が有機栽培等に利用されていることなどから、去る1月、国に対しまして、木酢液を特定農薬に指定することについて提案を行ったところであります。
 しかしながら、1月30日に開かれました国の農業資材審議会農薬分科会において、木酢液を含む大多数の資材は効果についての客観的な情報が不足していたことなどから、特定農薬への指定が保留されたところであります。このため、全国の木酢液関係団体で構成する協議会において、全国共通の採取基準を作成するほか、木酢液の効果のデータを収集し、業界としても特定農薬への指定を引き続き働きかけることとしていると聞いているところであります。また、国におきましては、こうしたことを受けて、準備の整ったものから審議会に付議していくこととしていると伺っているところであります。
 なお、国は、保留となった木酢液は、農薬としての効果をうたって販売することはできませんが、利用者の判断で使用することは可能であるとしております。
 県といたしましては、このような関係団体や国の動向を見きわめながら的確に対処してまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) まず、一戸病院等の医師確保についてでありますが、一戸病院の内科の診療体制は、昨年9月と12月にそれぞれ1名の医師が退職したことによりまして、現在、院長を含めた常勤医師3名のほか、関係大学や近隣病院からの応援により診療を行っているところであります。
 また、遠野病院では、昨年4月に産婦人科、6月には小児科、ことし2月には消化器科医が開業等のため欠員となっており、高田病院でも、内科医及び小児科医がことしの5月には開業のため退職の予定となっているものであります。
 後任の医師の確保につきましては、関係大学や首都圏等の大学に派遣要請を行ってまいりました。これらの大学からの派遣につきましては、現時点までそのめどが立たない状況でありますが、現在、医師の職業紹介業務を行う公的団体に対しまして強力に要請を行うなど、鋭意努力を続けているところでございます。
 医師の確保につきましては、平成16年4月から医師の卒後臨床研修が必修されることにより、従来は、任意の研修として主に専攻する診療科の研修が中心であったものが、今後は、内科や外科に加え、産婦人科、小児科や救急医療など数多くの診療科での研修が義務づけられることとなります。大学病院におきましては、その研修医の指導体制の強化や大学病院自身の診療体制の維持を図る必要があること、また、他の病院に医師を派遣する場合にありましても、臨床研修病院など基幹病院に重点的に配置する方向となっておりますことから、中小規模の病院にとりましては今後ますます厳しい状況になるものと予想されます。
 このような状況にありますが、今後とも、引き続き関係大学への派遣要請を強く行うとともに、他の大学へも幅広く要請活動を行うほか、一般公募なども含めまして医師確保に鋭意努力してまいりたいと考えております。
 次に、今後の県立病院の事業運営についてでありますが、近年の医療制度は、平成12年12月の医療法等の改正により、医療機関の機能の明確化として病床が一般病床と療養病床に区分されるとともに、医師の大学卒業後2年以上の臨床研修が平成16年4月から必修されることとなったほか、患者の自己負担の見直しを内容とする医療保険制度などさまざまな改革が進められており、今後におきましても、病院機能のさらなる分化や診療報酬体系の見直しなどが見込まれているところであります。
 このような中にありまして、昨年4月には診療報酬の大幅なマイナス改定が行われたほか、在院日数の短縮や薬剤の長期投与の緩和等により入院、外来とも患者数が減少し、県立病院の収益は大幅に悪化するなど極めて厳しい経営となっております。
 このような状況のもと、引き続き県民に良質な医療サービスを提供していくためには、今後、各医療圏を単位に、中核病院を核として、周辺病院の機能分化や患者数に見合う病床、病棟の規模の適正化を図るとともに、医師を初めスタッフの弾力的な配置や臨床検査等業務の集約化など、圏域全体で補完し合う効率的な体制を構築する必要があるものと考えております。また、医療器械の効率的な活用や薬品、診療材料の廉価購入と適正管理、委託業務の見直しなど経営の一層の改善を進め、安定した経営基盤の確立に努めていかなければならないものと考えております。
 現在、これらの改革、改善を進めるため、病院関係者で組織する委員会での検討を開始したところでありますが、今後、医師会や地元関係者等の御意見も伺いながら、これらの方策を具体化してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 主要地方道一戸葛巻線の整備についてでありますが、本路線は、一戸町と葛巻町相互の交流・連携を支える主要な道路であり、このうち一戸町姉帯地区の約1キロメートルの区間については、平成11年度から改良工事を進め、昨年12月に工事を完成したところであります。
 御指摘の奥通り地区につきましては、道路の幅員が狭く急カーブが連続するなど交通の隘路になっていると認識しておりますが、地形条件が極めて厳しく、現道の拡幅が困難であることから、この隘路の解消のためには大変規模の大きな事業になることが考えられます。一方で、景気の低迷などのために財政環境が非常に厳しいことから、道路事業の実施に当たっては、公共事業評価などによりましてその重要性や緊急性を十分検討する必要がございまして、本区間につきましても、このような視点に立って、県全体の道路整備計画の中で検討してまいりたいと考えております。
 なお、本路線の冬期交通の確保のため、さらに除雪を徹底するとともに、急カーブ区間の安全性の向上を図るため、カーブミラーの増設を行うなど、今後とも適切な道路の維持管理に努めてまいりたいと思っております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕

〇教育長(五十嵐正君) まず、教育基本法の改正についてでありますが、平成12年に国の教育改革国民会議における最終報告で教育基本法の見直しが提案され、これを受けた文部科学大臣の諮問に答え、先般、中央教育審議会から中間報告が出されたところであります。この中間報告では、これからの教育の目標として、自己実現を目指す自立した人間の育成など5項目を教育目標として掲げるとともに、この目標を達成するために、教育の根本法である教育基本法を見直す必要があるとしているものであります。
 中央教育審議会においては、今後の答申に向け、国民的な議論の取り組みとして、全国都道府県教育委員会連合会などの関係団体の意見や全国5カ所での公聴会である一日中央教育審議会の開催にあわせ、ホームページによる一般からの意見なども踏まえ、引き続き検討を進めているところであります。
 県教育委員会といたしましては、教育基本法が我が国の教育にかかわる根本の法律であることから、このような国における動きが国民の教育への関心を一層高める契機となり、男女共同参画社会実現への寄与を同法の基本理念として規定するかなども含め、幅広い視点から十分に議論が尽くされ、今後の教育の振興、発展につながることを期待しているものであります。
 次に、学校における問題行動等への対応についてでありますが、個々の児童生徒の中には、授業についていけない、心の悩みを理解してもらえないなどにより暴力行為に及ぶなどの問題行動等を起こすケースもあることから、各学校においては、日ごろから全教職員が一致協力した指導体制を整えるとともに、わかる授業や心の居場所づくりを進め、一人一人の児童生徒が自己の存在感を実感し、自己実現ができるよう努めているところであります。
 また、初任者など若い教員に対しては、校内外における研修を充実させ、その指導力の向上を図るとともに、学年主任や生徒指導主事を中心としたバックアップ体制を組むなど、若い教員の指導、支援に取り組んでおります。
 県教育委員会といたしましても、問題行動等に対応するため、特別に教員を加配したりスクールカウンセラーを配置しているほか、発生時の対応マニュアルを配布しておりますが、今後とも、教育環境の一層の整備が図られるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、完全学校週5日制についてでありますが、県教育委員会では、昨年、児童生徒や保護者等延べ1万5、000人を対象に、完全学校週5日制実施後の状況について6月と12月の2回にわたって調査を実施いたしました。その結果、児童生徒は土日にさまざまな活動をしており、完全学校週5日制が定着しつつありますが、土日の生活の仕方などについてはさらに工夫していく余地があると認識しております。
 県教育委員会では、市町村教育委員会や子どもセンターなどの関係機関と連携を図るとともに、各学校で地域連携の窓口になっている教員や県内全市町村に学校、家庭、地域の、いわばパイプ役として配置している地域教育推進員が積極的な情報提供を行うことにより、地域での子供たちの活動機会の拡充を図るなど、学校、家庭、地域が一層連携して完全学校週5日制の趣旨に沿った有意義な活動が行われるよう指導してまいりたいと考えております。


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