平成15年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(折居明広君) 自由党の折居明広でございます。
 会派を代表して質問する機会をいただきましたが、私にとりましては、市議会、県議会を通じ16年間にわたる議員生活を締めくくる最後の議会であり、まことに感慨深いものがあります。
 さて、増田知事には、景気低迷による県税収入の落ち込みや地方交付税の大幅な減収など、厳しい財政環境のもと、骨格予算として約8、100億円余の新年度当初予算を編成されましたが、その労を多とするものであります。今後の肉づけ予算においても、県民の視点に立ち、県民が生き生きと生活できるような予算の編成が行われるよう希望するものであります。
 以下、順次質問いたします。
 まず、増田知事のこれまで2期にわたる県政に対する知事御自身の評価についてお伺いします。
 増田知事はかねてより、知事の任期は3期12年、最長でも4期が節目と話しておられましたが、全国的に知事の世代交代が進む中で、改革派として知られ、多選に否定的だった三重県の北川知事が、昨年の11月議会で3選不出馬を表明され、三重県内のみならず、全国的にも大きな衝撃が走りました。
 しかし、本県では改選期をまたいで解決すべき県政課題も山積していることから、私どもは増田知事の続投を望んでおりましたところ、昨年12月の記者会見で、次の選挙に3選を目指して立候補する旨、正式に表明されました。大いに歓迎するものであります。
 知事の1期目は阪神・淡路大震災の年からの4年間であり、2期目は岩手県総合計画策定でスタートした4年間でありましたが、そこでお伺いします。知事の1期目、2期目それぞれの4年間の県政を振り返って総括すれば、どのような自己評価となるのでしょうか。1期目と2期目の評価の違いなどについてもお聞かせ願います。
 知事は会見で、地方をよくすることが国をよくするという考え方で行政を行ってきたが、平成12年4月の地方分権一括法施行以来、多くの事務や権限が形だけ地方へ移り、しかし、税源の移譲は全く進まず、財政は厳しく、税収も減り、長期の公債の発行残高を抱え込むなど、地方自治体を取り巻く環境は厳しさを増しており、地域格差の拡大も懸念される中で、県政の最高責任者として先頭に立ち、全力を尽くして岩手を自立した強い自治体にし県民生活の向上を図りたいと力強く決意を述べられております。
 県の主要3基金は年々減少し、今まで以上に歳出抑制と事業の厳選や見直しが求められているなど厳しさを増す財政事情の中で、次の4年間、知事は具体的にどのような政策を展開し県民の暮らしの向上を図ろうとしておられるのか、詳しくお示し願います。
 次に、知事が参画している研究会等についてお伺いします。
 本県が事務局となり、三重県の北川知事や東大の月尾教授、神野教授らをアドバイザーに、高知県の橋本知事など8県の知事がメンバーとなって、国に頼らない地域づくりを進めるための研究会、地域自立戦略会議をことし4月に発足させると報じられております。私は、行政の透明化を進め、税制や公共事業を見直し、政策や実績を競い合いながら独自の分権プランをつくろうと、地域を越えて知事同士が連携し合い、地方の立場から積極的に発言し行動している増田知事を評価したいと思います。
 この戦略会議は、昨年7月に発足している地方分権研究会と車の両輪の関係として活動を進めていくとのことですが、成果に期待するものであります。今、知事が各県知事と連携し組織している研究会や勉強会は、平成10年の地域から変わる日本推進会議を皮切りとして、国と地方の税制を考える会、地域からIT戦略を考える会など6団体でありますが、地方が主体的に検討し、はっきりと発言していこうとする認識が広がってきており、地方の声としていずれも全国的に注目され、その動向が注視されております。それらに取り組んでおられる知事の基本的な考え方とねらい、さらには具体的検討テーマや成果等についてお聞かせ願います。
 次に、東北新幹線盛岡以北開通に伴う盛岡都市圏のあり方についてお伺いします。
 東海道新幹線が東京-大阪間を結んだのが東京オリンピックの年、昭和39年であります。それから18年後の昭和57年に東北新幹線が大宮-盛岡間で暫定開業され、その後、上野まで延び、さらに平成3年6月に東京駅乗り入れを果たしました。当時の日本経済は総じて右肩上がりで、新幹線は、日本の経済成長と歩調を合わせて延びていきました。昭和60年から平成3年までの本県の経済成長率は初めて全国平均を上回り、都道府県順位でも15位と大きく前進しております。そして盛岡は、新幹線北のターミナルとして自他ともに認める北東北の拠点都市であり、その役割を果たしてきたのであります。
 大宮-盛岡暫定開業からちょうど20年目の昨年12月1日に盛岡-八戸間が開通しましたが、盛岡が新幹線効果によって築き上げてきた北のターミナルとしての優位性、拠点性の今後に陰りはないのでしょうか。
 八戸延伸からはや2カ月、年末年始の輸送実績を報じる紙面は、「はやて効果でほくほく」、「はやて乗客伸び順調」、「予想を上回るはやて」とにぎやかでしたが、それは、盛岡-八戸間における今までの特急はつかりと今度の新しいはやての利用者数の比較であって、実態は、はやて、こまちが盛岡駅に到着しても4分の1ほどしか下車せず、残りは八戸や秋田に向かっているとの話も聞きます。はやてはすべて盛岡駅に停車し、これとは別に、東京-盛岡間にはやまびこも16往復あり、こまちも停車するとはいうものの、1日約6、000人と言われた乗りかえ客や、IGRいわて銀河鉄道に移行した1日7、000人ほどの通勤・通学客が盛岡駅から消えてしまい、新幹線ホームやコンコース、駅ビル構内にはかつての人の流れや勢いが見られません。新幹線延伸に伴い、盛岡駅がターミナル駅から単なる通過駅になってしまうのではないかとの私の指摘に対し、当局は余り危機感の感じられない答弁でしたが、今もそういう認識なのでしょうか。北東北の連携が注目を浴びている今日、その拠点となるべき盛岡都市圏の今後の見通しやあるべき姿などについて知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、新幹線盛岡-八戸間の開業と同時にスタートしたIGRいわて銀河鉄道についてお伺いします。
 いわて銀河鉄道は、盛岡以北の並行在来線のうち、盛岡-目時間16駅82キロをJR東日本から引き継ぎ、運行しておりますが、これまでの関係者の御尽力に感謝するものであります。
 昨年12月1日の盛岡、一戸両駅におけるいわて銀河鉄道の開業出発式は、特ににぎやかな祝賀行事などもなく、新幹線開業とは好対照に小ぢんまりと開催されております。私は、沿線住民の貴重な足となっているこの路線を守っていくためには、沿線地域の人たちに、自分たちの線路というマイレール意識を持ってもらうことが何よりも重要と考えております。開業当日の盛岡駅では記念グッズや記念入場券が人気を集めていたようですが、各駅でも、このような機会には利用者増につながるいろいろなイベントを考えるべきではないでしょうか。
 盛岡以北の並行在来線はいわゆる不採算路線で、利用者増の努力を重ねても、収支予測では、単年度黒字が開業後6年、黒字転換には19年を待たなければならないと言われております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 昭和59年の三陸鉄道開業時の地域の盛り上がりようは今回のIGRの比ではなかったと聞いていますが、その三鉄でさえ今は利用者が当時の半数以下に落ち込み、8期連続の赤字と苦戦しております。全国各地の第三セクターが経営する鉄道も同様で、37社のうち、一昨年度の黒字計上はわずかに4社、残りは赤字経営と、極めて厳しい状況下にあります。地域と一体となってマイレール意識を高め、利用者をふやし、住民の足を守るという心構えで頑張っていかなければ、IGRもじり貧になってしまうだけと私は危惧しております。
 新駅設置の促進、駅舎や構内の多面的利用、乗り継ぎや通勤・通学時間帯に配慮したダイヤの編成などに努めるとともに、幅広く県民に協力を求めながら、あらゆる増収方策を検討すべきであると私は思います。知事は、いわて銀河鉄道の現時点での利用者の動向や課題をどのように認識しておられるのでしょうか。また、地域住民のマイレール意識の醸成や今後の増収方策など経営安定化に向けた取り組みについてお聞かせ願います。
 次に、内陸部と沿岸部を結ぶ道路ネットワークの整備と港湾の整備についてお伺いします。
 私は、県勢の発展を考えるとき、内陸部の工業集積の効果をいかにして沿岸部に波及させるかが大きな課題の一つだと考えております。それを実現するためには、まず、内陸部と沿岸部との人の流れや物流を円滑にするネットワークの整備・充実が喫緊の課題であります。現在の道路状況では、大型車両による内陸部から沿岸部への運搬が困難であり、隣接県の港湾を利用せざるを得ないという声を私は内陸部の企業からよく聞きます。
 新日本海フェリーでは、金ケ崎町にある関東自動車岩手工場で生産されたトヨタ車を秋田港から北陸・関西方面に海上輸送を始めております。この岩手工場で製造された車は、今までは釜石港から外国へ輸出されるルートと、仙台港から専用船で名古屋港などに運び出され、そこから陸送されるルートがありましたが、今はさらに新車を積載したトレーラーが週4回、秋田自動車道を経由して秋田港へ走っていると地元紙が報じております。
 県内における高速道路は現在266キロメートル、産業の振興や地域の活性化など県勢の発展に大きく寄与しております。特にも、本県は全国一広い面積を有し、東に北上高地、西に奥羽山脈が縦走し、さらに県内のほぼ全域が積雪寒冷地という地理的ハンディがあることから、東北縦貫自動車道と三陸縦貫自動車道を縦軸として、東北横断自動車道釜石秋田線など4本を横軸とするはしご上の多軸型ネットワークを目指して整備が進められております。
 ところで、東北横断自動車道釜石秋田線は、花巻-東和間が昨年11月から供用されておりますが、東和-宮守間は進捗率が現在わずか2%であり、宮守から釜石までの区間については整備の見通しが全く見えない状況にあります。昨年10月に国道283号仙人峠道路の仙人トンネルがめでたく貫通しましたが、将来的には東北横断自動車道の一部になると言われているこの道路の整備の見直しについてお聞かせ願います。
 静岡県にある民間の有料道路熱海ビーチラインでは、道路を証券化して、投資家から資金調達し有利子負債の返済に充て、通行料収入を元利払いに充てる、いわゆる有料道路証券化方式を導入したと言われております。私は、国道283号仙人峠道路が完成し供用開始するなら、有料化して証券化方式を導入するといった高速道路の整備手法も検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 道路関係四公団民営化推進委員会が昨年末に出した最終報告では、不採算路線の建設に歯どめをかけるため、採算性に経済・投資効果や社会効果などを指数化した基準を設けるよう求めております。これでは、本県のように交通量がそれほど期待できない地域の高速道路切り捨ての議論であり、まさしく知事の言うように、日本全体を見渡し、地方の実情を直視し、理解した上での大所高所からの議論がなされているとは到底言いがたいと私も思います。その後、推進委員会の最終報告を受けた政府・与党では、地方の声に配慮して、一部路線については、国が3、地方が1の負担割合で整備する新たな直轄方式の導入に合意しておりますが、しかし、このままでは東和より先の区間は建設凍結となる可能性も高く、せめて整備計画区間である東和-遠野間だけでも建設すべきとの声が出ております。整備手法の見直しや国の厳しい財政状況を勘案しても、沿岸部のさらなる振興を図るためには、東北横断自動車道釜石秋田線の整備促進は不可欠であります。
 知事は、緊急提言や共同声明を出すなど積極的にこの問題にも取り組んでおられますが、釜石秋田線の整備について、国の動向と知事の御所見をお聞かせ願います。また、東北横断自動車道以外の横軸道路ネットワークの整備見込みについてもあわせてお伺いします。
 道路整備に関連して、岩手県港湾ビジョンについてもお尋ねします。
 内陸部と沿岸部の物流の円滑化を図るためには、道路整備とあわせて港湾の整備・充実も重要な課題であります。県では、4重要港湾の機能充実の方向性について、2020年を視野に入れた岩手県港湾ビジョンを策定し、県内港湾の活用を促進することによって産業の活性化を図るとしておられますが、その基本的な考え方と、その実現に向けてどのように取り組むおつもりなのかお聞かせ願います。
 次に、国際チャーター便等の活用による花巻空港の利用促進策についてお伺いします。
 花巻空港は、昭和39年に1、200メートルの滑走路で供用開始以来、順次拡張が行われ、昭和58年には滑走路2、000メートルが実現し、東京、札幌、大阪の各線にジェット機が就航しました。現在、滑走路の2、500メートル延長や平行誘導路新設などの工事が進められておりますが、拡張整備に要する総事業費は約278億円、拡張計画は、平成16年度に83万人という県の需要予測をもとに行われていますが、定期便の利用者は、平成9年の54万9、000人をピークに下降し、平成13年度は50万人の大台を切るなど、航空需要が落ち込んでおります。巨額の投資に見合う効果が期待できるのか再度検討すべきとの声もありますが、私は、本格的な国際化時代の到来に対応して、機能の充実を図ることは必要だと思います。
 国際チャーター便の運航を効率的に拡充する観点から、また、滑走路延長によって運航制限が緩和され欠航が減少するなどからも拡張整備は了とするものの、これからいかに運営し、利用促進を図っていくかに焦点が絞られてくると思っております。JAS沖縄線の再開や大阪線一往復増設は快挙であり、東京路線復活にも期待するものでありますが、今回の整備によってジャンボ機の発着が可能となれば、直行便の範囲が米国西海岸やハワイ、豪州、サイパン、グアムなどへと広がるので、そこへの取り組みに活路を開くべきと思います。国際チャーター便の就航数のアップなど、どのような利用促進策を考えておられるのでしょうか。また、国際チャーター便の就航にはCIQ機能の強化が不可欠と思いますが、その方策についてもあわせてお伺いします。
 私は、隣国の台湾や韓国や中国との交流を促進するために、定期便的な運航を工夫し、実現する必要を感じておりますが、プログラムチャーターのようなものをふやしていくという点についても知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、長引く不況で、昨年12月の全国の完全失業率は5.5%と、就職希望者にとっては厳しい氷河期が続いておりますが、県の雇用対策についてお伺いします。
 県内の雇用情勢は、やや上向いてはきているものの依然として厳しく、昨年12月の有効求人倍率は0.47、ことし1月の新規高卒者の就職内定率は過去最低で、前年同月比0.4ポイント減の70.4%と、就職戦線は冷え込んでおります。高校生の中には、あきらめて専門学校へ進む人や、フリーターでいいと就職を断念する生徒も多いとのことであります。これからの社会を担う若者が、希望する職業につけず、持てる力を発揮できないということは、世の中にとって大きな損失であり、深刻な問題であります。
 先ごろ開かれた県産業教育審議会でも本県における厳しい高校生の就職問題が論議され、企業が要求する仕事の内容は昔と比べると難しくなっているが、生徒のレベルがそれに追いついていないのではないかとか、高校生のインターンシップは1日や2日では足りない、夏休みなどを利用して2週間程度やってみたらどうかなど、学校における職業教育の抜本的見直しなどの提言がなされております。
 知事は、高卒者の就職状況をどのように認識されているのか、また、今後の取り組みについてもお聞かせ願います。
 一方、本県でも、製造業の生産拠点の海外シフトによるリストラや公共事業の減少による建設関連企業の倒産、個人消費の低迷等による大型小売店の撤退等によって雇用情勢は低水準に推移しており、平成13年度以降、全国平均を大きく下回っております。県では、岩手県総合雇用対策により、臨時、応急の雇用も含め、平成14年度から3年間で2万1、000人の雇用創出を目指して取り組んでおられますが、残念ながら目に見えた効果が出ているとは言えず、また、国や県の雇用対策でも、短期雇用の効果はあるものの、長期雇用にはつながっておりません。これまでの雇用問題への取り組みに対する認識と、それを踏まえて今後の取り組みの基本的考え方、特にも若年者の就職問題の取り組みについてお伺いします。
 さらに、緊急雇用対策の基金事業をどのように長期雇用につなげていくお考えなのかもあわせてお聞かせ願います。
 次に、岩手と青森との県境に不法投棄された国内最大級と言われる産業廃棄物の撤去と現場の原状回復についてお伺いします。
 主に首都圏から運び込まれた産業廃棄物が、27ヘクタールの原野に霞が関ビル1杯半分の約82万立方メートル、かつて産廃問題で揺れた香川県豊島の約2倍の量でありますが、事件が発覚し、八戸市と埼玉県の業者、社長が逮捕されてからはや3年になります。
 焼却灰など約67万立方メートルが集中的に埋設されている現場西側の青森県では、平成18年度までに水処理施設と遮水壁を建設し、有害な廃棄物約33万立方メートルを10年以内に撤去するが、その他の廃棄物の除去基準については今後詰めていくとの基本方針であります。一方、燃え殼など約15万立方メートルが部分的に投棄されている東側の本県は、現場を例えば森林化するなどもとの自然に戻すことを目標に、支障となる廃棄物は全量撤去するとしており、約2万7、000立方メートルの特別管理産廃は平成15年度から3年間で撤去し、それ以外はその後おおむね5年間で撤去、または現地浄化すると明確に方針を示しております。また、総事業費は約135億円、行政代執行などで10年以内に原状回復したい等々、新年度当初予算案に関連して明らかにしておられますが、大いに評価したいと思います。
 いずれ、今国会で成立が見通される時限立法の特定産業廃棄物の支障除去特別措置法案をにらみ、県境産廃10年以内の一掃を目指していると思いますが、撤去、処理に関する基本的な考え方、原状回復後における現場の再生、活用方策等についてお聞かせ願います。
 平成12年の法改正によって排出者責任が明記され、処理業者に加え、排出業者も産業廃棄物処理費用の負担など原状回復の責任を負うこととなっておりますが、岩手・青森県境の産廃問題を排出事業者の責任を追及する全国のモデルケースにしたいものであり、そのことについて知事の御所見をお聞かせ願います。
 以上で私の質問は終わります。
 最後に、私ごとでありますが、県議会に席をいただいてから3期12年間にわたり、微力ではありましたが議員としての仕事に全力を傾注して取り組むことができました。これもひとえに先輩・同僚議員や県民並びに知事を初めとする県執行部の皆様方の温かい御厚情と御支援のおかげであり、この場をおかりして心から感謝申し上げる次第であります。
 フランスの作家ジャン・ジオノが書いた木を植えた男という作品があります。南フランスの山岳地帯の荒地にたった一人で30年余り毎日木の種を植え続け、ついには森をよみがえらせた年老いた羊飼いの話でありますが、本当に世の中を変えることができるのは、権力や富や力に頼る行動ではなく、この羊飼いのように、名誉や報酬を求めず、静かな持続する意思に支えられた粘り強い行為なのではないでしょうか。
 県民の一人一人が力を合わせ、よりよい岩手を築く確かな意思を持続させていくならば、必ずや輝かしい岩手の未来が実現するものと私は確信しております。
 この春に再度選挙という関門に挑戦される議員各位と知事におかれましては、どうか御健闘の上、勝利されますことを祈念申し上げ、お礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 折居明広議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず初めに、知事としての私の2期8年の評価と、そして、今後の政策展開についてお尋ねがございました。
 私なりにこの8年を振り返ってみますと、1期目の4年間のうち、初めの2年間は助走期間、その後は全力で疾走してきたとの感を持つものでございます。この間、特にも現場重視の地域経営という考え方で、これからの生活者ですとか地域に重点を置いた行政システムを確立していかなければならない。具体的には、地方振興局に多くの権限を持ってもらったり、あるいは、県よりも市町村を中心に据えた行政を展開する、こういう考え方で改革を進めてきたところでございます。
 また、第2期目でございますが、これはちょうど1999年から2003年ということで、20世紀から21世紀への移行期となった時点を含む4年間でございましたが、この4年間は、特に変革と創造の4年間と位置づけまして、この間に、新しい岩手のシナリオとして2010年を目標とする岩手県総合計画を策定し、自立、参画、創造という理念を掲げ、岩手が目指す将来像として掲げる五つの社会の実現に向けた施策をそれぞれ実行してきた期間でございます。
 このさまざまな分野での施策の推進を図るためには、県事務をできるだけ市町村に移していく、場合によっては人もつけた一括の事務移譲を行うですとか、あるいは、政策評価システムを導入して政策の取捨選択をしていくということ、それから、県民の暮らしの満足度と地域の元気を高める、生活者や地域から始まる行政システムのなお一層の確立に向けた改革を推し進めてきた、こういう気持ちでございます。
 しかし、この間、本県でも人口減少などが始まりますし、またさらには、2007年、あるいは場合によっては2006年とも言われておりますように、我が国全体が急激な人口減少期に見舞われる。そしてまた、低経済成長に基調が移っていくといったことなど、我が国を取り巻く環境は大きく変化しているわけでございまして、これまでの経験に基づいた従来の延長線上での改革ということ、過去の成功体験にとらわれた、そういうものではもうだめであって、全く新しい発想に基づいた非連続の改革に失敗を恐れずに勇気を持って挑戦していく必要がある――これは先日の知事演述で述べた部分でございますが、そのような考え方を持っております。
 そこで、今後の県政運営についてでございますが、まず、ただいま議員も最後にお話がございましたが、喫緊の課題でございます青森県境における産業廃棄物の不法投棄事案などを含めた循環型社会の形成に全力を挙げて取り組むことが大変必要でございます。またもう一つは、安全で安心ないわての食の確立、これは、これからの第1次産業を振興させていくためにも欠かせない視点でございます。また、本県のものづくり基盤の拡充に向けた産業集積、これはいわゆる第2次産業の分野にかかわる話でございますが、こうしたことや新幹線の八戸延伸を契機とした広域的な視点での観光振興、これは第3次産業にとっても欠かせない視点でございます。こうしたことでのさまざまな対策を講ずる、そして、岩手の子供たち一人一人の個性を生かした教育など、新しい岩手づくりに向けた取り組みについて着実に推し進めてまいりたいと考えております。
 さらに、21世紀の夢県土いわての創造をより確かなものにするためには、従来からの国への依存体質から脱却をして、経済的にしっかりと自立するということ、そして、その上で自己決定、自己責任の原則に基づく判断をしていくということが重要でございます。そうした経済的に強固な基盤をつくり出すとともに、エネルギーや食料等の物的資源、教育や交流・連携等の人的資源、技術や立案機能などの知的資源などにおいて自立する具体的な戦略づくりをこれから行って、一人一人、地域地域がその個性を引き出し特性を生かしながら、真の岩手の自立への方向を目指していくための取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、私が知事として参画している研究会が幾つかございますが、地方分権研究会など、こうした研究会はいずれも大きくは地方分権の流れの中にあって、地方の自立を地方みずからが考え、その確立に向けて地方から国に提言をしていく、あるいは自分たちがみずから実践していくことを目指しているものでございます。そのために、今日地方が直面している共通の課題が幾つかございますが、そうしたものについて、関係する県と調査研究や情報交換を行って、連携して取り組んでいこう、こういうものでございます。
 これによって、現場に根づいた具体的な課題について、その解決に向けて、いわばスピード感ある提言を可能とするとともに、複数県が連携することで国への影響力も強まりますので、より実質的かつ効果的である。これは、全国知事会などはどうしても大変な大世帯でございますので、中で利害対立が生じることがございます。特に、東京を初めとする都市サイドの都府県と地方サイドの県では、かなり利害が対立することもございまして、調整などに非常に時間がかかる、スピード感が遅くなるといったこともございますので、こうした任意の集まりというものも十分に活用していく必要がある、このようなことを実感して、今こういうことに取り組んでいるわけでございます。
 例えば、国と地方の税制を考える会というものがございますが、そこでは、地方分権にとって残されている重要な課題としての税源移譲について調査研究を進めてまいりましたし、また、地方の実情にあった公共事業の推進にあっては、公共事業のローカルスタンダード、身の丈に合った公共事業というものを共同で提言したところでもございますし、さらに、地球温暖化防止に貢献する森林県連合というものについては、緑の雇用事業を提唱して、それぞれが何らかの形で国の施策に盛り込まれる、こういった具体的な成果も出てきております。
 従来はこうしたことを地方で唱えますと、確実にしっぺ返しのようなものがあったわけでございますが、最近は、むしろそういったことを具体的に盛り込むということもございまして、今後ともこのような共同・連携しての各県との連携した活動を通じて、いわば地方からの構造改革を推し進めて、地方の自立を一層促進していきたいと考えております。
 次に、東北新幹線盛岡以北開通に伴っての盛岡都市圏の今後のあり方について、私の所見を求められておりますが、この圏域は、従来から東北自動車道や国道46号、そして国道106号など、いわゆる主要交通網の結節点に位置しておりまして、人、もの、情報の交流拠点として都市機能の集積も進んできておりますし、北東北3県の中での拠点としての機能を高めてきている、こういうふうに見ておりました。
 私は、これからの地方の自立のあり方について幅広い議論を進めて、北東北における連携を深めていく考えでございますが、今回こうした中で東北新幹線が盛岡以北まで開通してきたということで、これは秋田方面へのミニ新幹線なども含めますと、ちょうど鉄道サイドでの結節点にも当たりますし、北東北3県を圏域とした経済活動や人、ものの交流が一層活発化するものと期待されますし、歴史、文化、伝統の蓄積や落ち着いた町並みに加えて、こうした都市機能の集積をさらに進め、今後ますます北東北全体の発展の、その中で先導的、そして中核的な役割を担っていくべき地域と考えております。
 県の方で行っております盛岡南新都市開発などの面的整備、これは、具体的な事業主体は地域公団でございますが、こうした面的整備の促進や国道46号の盛岡西バイパスなどの交通ネットワークの整備に努めまして、また、盛岡駅西口地区に県内外の各地域間の連携、交流や国際交流などの拠点となる複合施設の整備を進めるとともに、岩手山周辺地域の観光振興事業や盛岡のこの快適観光空間整備事業など、いわゆるソフト面で、この地域の豊かな自然環境や特色ある歴史、文化などを大切にした圏域市町村などの主体的な取り組みを支援しているところでございます。
 今後もこの支援をさらに強化していきたいと思っておりまして、そうしたことによって、この盛岡都市圏が北東北の拠点都市としての優位性を保って、それにふさわしい都市機能の充実がその中において図られるように努めていく考えでございます。
 いわて銀河鉄道についてのお尋ねですが、これはまだ開業後2カ月間ということでございますので、会社の旅客収入からの推計ということになりますが、1日平均の乗車人員が約1万3、500人ということで、こちらに経営が移る以前のJRのときと比べますと約9%のお客さんの減ということになっております。これは、経営計画で見込んだ減少率は13.6%ということになっておりましたので、その減少率13.6%に比べますと、約9%の減ということで下回っておりまして、おおむね想定どおりにスタートしたものと考えておりますが、これは季節による変動などもございますので、学生さんのお休みの時期等のこともあるので、全体の傾向を把握するにはもう少し推移を見きわめる必要があると見ております。
 このいわて銀河鉄道を将来にわたって維持していくためには、効率的な運営体制のもとで、安全輸送と旅客サービスの向上に努めて、多くの人々に積極的に利用していただく、そして健全経営の実現を図る、これは当然のことでございますが、これが一番肝要な点と認識しております。
 そのための増収方策など、今後のいわて銀河鉄道の経営安定化に向けた取り組みにつきましては、利用者の視点に立ちまして、まず、沿線住民の皆さんが利用しやすいダイヤを編成することはもとより、沿線の市町村と連携をして、滝沢村の巣子地区、盛岡市の青山地区など、利用者の増加に大きな効果が見込まれる沿線適地に新駅を設置したい。それから、沿線の地域イベントや物産・観光資源と結びつけた企画切符の販売、バス・アンド・ライドを促進するバス事業者との連携など、こうした利用促進策に加えまして、旅行業や物品販売、それから保有施設を活用する広告、駐車場などの関連事業により収益を確保するなど、会社として、鉄道事業ということだけでなくて多様な増収方策というものを目指して、そうしたものを、さらにいいものはどんどん実行していくということが重要だと考えております。
 県の方でも、沿線市町村と組織しておりますこのいわて銀河鉄道利用促進協議会というものがございますので、ここを中心に、体験乗車会の実施などによりまして、さらに沿線住民の皆さんにこうした鉄道の体験をしていただく、それでマイレール意識を高揚していきたいと思っております。
 また、沿線市町村と連携して、新駅の設置に対する支援や会社経営の安定化のための基金の造成をこれからしていきたいと思っておりまして、このいわて銀河鉄道の経営が安定し、沿線住民の生活路線が確保されるように、県の立場で積極的に取り組んでいく考えでございます。
 次に、内陸部と沿岸部を結ぶ道路ネットワークの整備について何点かお尋ねがございましたが、まず、一般国道283号の仙人峠道路でございます。これは、今お話がございましたとおり、延長18.6キロメートルの自動車専用道路で、東北横断自動車道釜石秋田線のネットワーク上にございますので、その整備促進を図るため、国と県とがそれぞれの役割に応じて工区を分担しながら連携して今整備を進めているというものでございまして、将来はそうした高速道路のネットワークの中に組み入れられる形になるものと思っております。
 よく、高速道路についてはいろいろ誤解があって、地方では公団方式で一銭も地元負担がないから、いろいろなところを勝手に要求するだろうといういわれのない批判があるわけでございますが、現実には、こうした仙人峠道路にも見られるように、国と県がそれぞれの役割に応じてきちんと地元負担をして整備を進めているわけでございまして、そうした地元の負担が全くないということでは決してございません。
 この直轄事業では、仙人トンネルが既に貫通いたしておりまして、本年度末には新たに長さ3、000メートル級の滝観洞トンネルに着手する予定であるなど、工事の進捗が図られておりまして、また、県事業の方におきましても、遠野側の改良工事やアクセス道路となる国道283号の上郷道路の工事に着手するなど、それぞれ順調に今進んできております。
 県では、内陸部と沿岸部のアクセス機能の向上に大きな役割を果たす仙人峠道路の平成18年度の完成を目指して、国とも連携を図りながら鋭意事業の推進に努めていきたいと考えております。
 それから、ただいま折居議員の方から、熱海の有料道路証券化方式について御提案がございました。この仙人峠道路については、既に国と県により今ここまで整備が進められてきておりますので、こちらの方に熱海方式の導入は現実には難しいものと考えておりますが、今、全体的には財政環境が厳しい中で、今後の道路整備を進めるためにやはりさまざまな工夫があっていい、必要だと考えておりますので、議員御提案の民間活力を生かす新しい高速道路の整備手法につきましては、今後の道路整備を考える上でも参考にしていきたいと考えております。
 次に、東北横断自動車道の釜石秋田線の整備についてでございますけれども、これは昨年12月6日の道路関係4公団民営化推進委員会から最終報告となる意見書が総理に提出されたわけで、この意見書を受けて、政府・与党協議会で、当面の措置として、建設コストの削減など直ちに取り組むべき事項――残り20兆円のうち4兆円ほど削って16兆円ほどに圧縮すると聞いていますが、こうしたコスト削減などの事項や新しい直轄方式の導入など、平成15年度予算に関する事項等を決定したところでございます。
 また、今後のスケジュールも公表されておりまして、今申し上げました新直轄方式につきましては、適宜、地方公共団体の意見を聴取して、ことしの6月から7月に開催される国土開発幹線自動車道建設会議――国幹会議と略称されておりますが――で具体的な路線・区間が決定され、さらに11月から12月ごろには新会社などの新組織のスキームの概要が決定される予定というふうに公表されているわけでございます。
 私は、高速道路整備のあり方について、かねてより考え方を同じくしている6県知事で構成する地方委員会などを通じて、地方の意見を十分聞くように強く関係者に申し入れをしてきたわけですが、民営化推進委員会から出された意見書には、先ほど言ったようなコスト削減、そのほか公団のファミリー企業の改革などが盛り込まれるなど、この点は評価ができると思っておりますが、既存路線の料金収入を活用した今後の道路建設が否定されるなど、高速道路の早期整備を切望している地方にとって厳しい内容が含まれているわけでございます。
 また、新たな整備手法として打ち出されました新会社方式や新直轄方式の仕組みについては、実はまだ不明な点が多々ございまして、地方として両者の比較考量をして、その上で我々がどちらを選ぶかといったような具体的な意見を述べることが今のところできない状況にございます。
 そんなこともございましたので、去る2月19日、おとといでございますが、こうした新会社方式や新直轄方式の具体的な仕組みや建設スピードなど制度の内容について、その根拠も含めて明らかにするように、地方委員会として国に提言をしてきたところでございます。
 今後、国政の場において本格的な審議が進められていくことになるわけですけれども、県では、こうした我々のいわば疑問のようなものに対して国がどういうふうに対応するかということを見きわめながら、引き続き、我々の声がしっかりと反映された高速道路の整備がなされるように動いていきたい、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、横軸の道路ネットワークの整備の見込みについてでございますが、本県は県土が広大なものですから、内陸部と沿岸部のそれぞれの地域との交流・連携というのは大変重要で、県の道路ネットワークの中では、今申し上げました東北横断自動車道を含めた四つの横軸、4本の横断軸を設定して、そこに重点的に財源を投入するような重点的整備を進めております。
 順次その整備の見通しについて申し上げますが、まず北から、久慈から二戸に至るルートは、昨年12月の新幹線開業にあわせて整備を進めてまいりましたので、主要地方道二戸九戸線の折爪工区が昨年11月に完成し、これによって本ルートの主要箇所の整備はおおむね完了したと考えております。
 それから、中央部の宮古から盛岡に至るルートでは、これは一般国道106号の高規格化に向けた整備を行うこととしておりまして、そのうち簗川道路については現在工事が本格化、それから都南川目道路、宮古西道路については、工事着手に向けた調査を今鋭意進めているところでございます。
 それから、南に行きまして、大船渡・陸前高田などから一関に至るルートは、一般国道284号の薄衣バイパスが平成15年度早々に供用開始の予定、北上大橋も同様でございます。また、室根バイパスについては、これはもう路線の方が決まりましたので、工事着手に向けた各種調査を今進めているところでございます。
 県では、今後も今申し上げましたようなネットワークも含めたいわゆる多軸型ネットワークというものがございますので、この多軸型ネットワークの形成に向けて着実に取り組んでいく考えでございます。
 次に、岩手県の港湾ビジョンの基本的な考え方についてお尋ねがございましたけれども、これは昨年9月に策定したものでございまして、海上輸送の利用促進を図って、輸送コストの縮減で本県産業の活性化や二酸化炭素発生量の削減による地球環境の保全などを目的として、それぞれの重要港湾が担う機能をできるだけ明確化して、今後おおむね20年間の港湾整備と、そうした港湾を核とした地域づくりの方向性を示したものでございます。
 本ビジョンでは、本県を発着地とする海上輸送に適した貨物について、これを全量調べまして、そのビジョンの中でその50%以上を県内港湾利用に転換させることによって、外貿及び内貿の定期航路を誘致することなどを目標に掲げております。しかし、その実現に向けては、今議員の方からもお話がございましたが、内陸地域における集荷体制の確立や物流の効率化、そして海と陸を結ぶ物流ネットワークの形成、さらには地域活性化拠点の形成など、取り組むべき幾つかの課題を抱えております。
 これらの解決には個々の組織が単独で取り組むのは力が弱い、それから非効率な面がございますので、港湾が所在する沿岸地域はもとよりでございますが、大量の貨物が発生・集中するのは何と言っても内陸地域でございますので、そうした地域を含めて、県内全域にわたる関係者の参加と連携による取り組みが必要だと判断しております。
 このため、県や関係の市町村、それから商工団体、そして個々の地域住民、それから企業、こういった皆さんが一体となった推進体制をことしの夏までに構築することとしておりまして、定期航路の誘致や内陸地域における集配システムの確立など、具体的な取組内容やそのスケジュールを示す行動計画(アクションプログラム)を早急に策定するなど、ビジョンの着実な実現に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、国際チャーター便などの活用による花巻空港の利用促進策についてお尋ねがあるわけですが、県では、この国際チャーター便の就航数のアップに向けて、旅行商品の造成支援など旅行会社が企画する国際チャーター便の運航を支援するほか、韓国などの旅行会社関係者の招聘や国際観光展への出展などを通じて、近隣諸国へ本県をアピールしていきたいと考えております。先般、韓国の方からもかなり大勢の皆さん方が本県の方にも来ております。
 なお、国内線については、これまでも岩手県の空港利用促進協議会と連携して利用促進に努めながら、現行路線の拡充や新規路線の開設に向けて航空会社と交渉してきていまして、このたび、伊丹線のデイリーでの3便化などの見通しが立ったところでございます。今後、現行路線の拡充に向けて、同協議会とも連携しなら努力していきたいと考えています。
 それから、税関や出入国管理及び検疫のいわゆるCIQ体制についてでございますが、国際チャーター便の拡充に柔軟に対応できるような人員体制の充実を国に対して引き続き要望していくこととしてございます。これについては、地方でも補充的な人員を出すことは当然考えておりますし、ぜひ国の方でも、特に出入国管理が大分手薄だと、ここが一番ネックだと聞いておるんですが、こうしたことに対して強く国に働きかけをしていきたいと思っております。
 台湾、韓国及び中国など近隣諸国との定期便的な運航、いわゆる今お話ございましたプログラムチャーター便の運航につきましては、県内の旅行会社との連携を図りながら、昨年設置した北東北3県・北海道のソウル事務所を通ずるほか、直接近隣諸国の航空会社や旅行会社等に対しその実現に向け働きかけを行っていきたい。実はもう既に動いてございますけれども、そういうことでさらに強く働きかけを行っていきたいと考えております。
 次に、高校生の就職状況についてでございますが、本年1月末の内定率は前年同期に近づいてきているものの、依然としてまだ厳しい状況であると認識をしております。県の方で設けました緊急地域雇用創出特別基金で、本年度、県立高等学校63校に就職支援相談員を配置して、その人に動いてもらって進路相談や求人開拓を行う一方、岩手労働局と連携して、県内の経済団体への要請や、それから各地方振興局でも個別事業所への訪問を実施して、求人開拓というものを県の組織全体で行ってきたところでございます。
 今後も、今申し上げました就職支援相談員などによって生徒一人一人に応じた求人開拓や職業相談などの一層の充実を図りますし、それから、産業界の高校生に対するニーズの把握を行って、学校と地域産業の連携によるインターンシップ――これはもう既に行われていますが――の内容をより拡充していきたい。
 それから、今まで高校生については、いわゆる民間企業でのインターンシップでございましたが、県の方でも高校生を対象にしてこういったインターンシップをことし実現したいと思っています。県については、今までは大学生はやっていたんですが、高校生はやっていなかったものですから、ことしは、夏ぐらいの時期になるかもしれませんが、夏休みの時期などに、県機関でも高校生を対象にしたインターンシップを実施して、公務員志望も大分多いものですから、そういった人たちにいろいろ状況を見てもらいたい、こんなことも考えております。
 さらには、企業見学会、それから企業経営者などによる職業講話、企業技術者による技術講習会など、地元の企業の協力を得た、より実践的な教育というものを高校の現場において推進して、生徒の職業意識の涵養と職業教育の一層の充実を図って、やはり地域において求められる人材が育成されるように努めていく考えでございます。
 次に、全体としての雇用対策についてお尋ねがございましたが、今の雇用情勢の中で、多様な就業機会を創出するために、国の交付金で造成した基金を使って、緊急かつ臨時的な雇用の創出を図るということと、さらには、新しい事業活動の展開など経営革新に向けた取り組みを進める中小企業への支援やベンチャー企業の育成、さらにはコールセンターの誘致など、そうしたことによって常用雇用の創出・拡大に努めてきたところでございます。
 結果を少し申し上げますと、平成14年度末では、臨時的な雇用の創出については、総合雇用対策の数値目標を上回る実績を確保できる見込みでございますが、一方で、産業支援などによる常用雇用の創出については、やはり企業の雇用マインドが著しく低下をしているということもあり、この目標の達成は難しいという状況があるので、こちらの方になお一層取り組みを強化していかなければいけないと思っています。
 このため、中小企業におけるさらなる経営革新の促進に向けて支援体制の充実強化を図る、これは、先ほどの菊池勲議員の御質問のところで申し上げましたが、そういった体制をいわて産業振興センターに設けたいと思っておりますし、本県のものづくり基盤技術や、特に自動車産業などの集積を地場企業の活性化につなげるための取り組み、それから、地域資源を活用したコミュニティ・ビジネスの育成、情報サービス・物流・環境産業等の誘致など、今申し上げましたような常用雇用の創出・拡大に向けた取り組みを行っていきたいと思っております。
 また、若年者の就職支援についてでございますけれども、これは、もう一度繰り返しになる部分がありますが、未就職の高校卒業生を試行的に雇い入れた事業主に対して給与の一部を助成する制度というものを新たに創設いたします。それが一つ。それから、これまで国が県内の大学生を対象に夏休みの期間に実施し、県も受け入れに協力してまいりましたインターンシップ事業についてですが、これは、来年度から県においてもその対象を広げたり、あるいは高校生にも行ったりということをします。それから、期間もいろいろ延長したり、大学生の場合は県内の大学だったわけですが、これを県外の大学生にも拡大する。県出身者でよその県の大学に行っている方で、夏休みなどにこっちに来てインターンシップを経験したいという人たちもいるものですから、そこの対象も広げたりしていきたいと思っています。引き続き、こうしたことを通じて、国の方、あるいは地元の市町村との連携を図って求人開拓を進めて、一人でも多くの若者が就職できるように努めていきたいと考えております。
 それから、国の交付金による基金事業については、この事業により、あれは臨時的に雇用された方々への事業ということになっているわけですが、そうした臨時的に雇用された皆さん方を事業終了後も引き続き雇用していただけるように、市町村を通じて企業等に要請いたしますとともに、県単独で造成した基金がございますので、こちらについては、可能な限り常用雇用の創出・拡大につながるような事業に活用していきたいと考えております。
 最後に、青森県境の産業廃棄物不法投棄事件についてでございますが、これは、不法投棄現場の環境再生に向けて、住民の健康被害の防止と安心感の醸成が最も重要である、こういう認識に立って、住民の健康被害に最も影響する有害物質を含む特別管理産業廃棄物については、これを最優先に考えて平成15年度から撤去に着手、そして、おおむね3年程度でこの撤去を完了させたいと考えております。
 それから、特別管理産業廃棄物以外の不法投棄物の撤去につきましては、これは、まず現場の環境再生の最終形態について、今両県で設けております合同検討委員会の提言をいただきながら検討して、その結果を踏まえて、現場の環境再生に支障となるものについては、さらにその後5年程度で実施をしていきたいと考えております。
 また、排出事業者の責任追及ということについてでございますが、個々の排出事業者についての詳細な調査を今行っているところでございまして、廃棄物の処理過程における注意義務違反などの事実を1社ずつ調べて、その状況を解明し、落ち度があるところについてはその責任を追及するという姿勢でいきたい。これは全国で初めての取り組みでございまして、加えて、対象となる排出事業者が実に広範囲に所在をしてございます。そういったことの関係もございますので、今さまざまな課題に直面しているところでございます。しかし、排出事業者の責任を徹底して追及することが、将来の、これからの不法投棄の再発防止にもつながるという観点からも、こうした事業者の責任の徹底追及というのは極めて大きな意義があると考えておりますので、この点について全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
   

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時40分 休 憩
   

出席議員(45名)
1番 柳村典秀 君
2番 飯沢匡 君
3番 前田隆雄 君
4番 及川敦 君
5番 樋下正信 君
6番 照井昭二 君
7番 吉田昭彦 君
8番 工藤大輔 君
9番 川村農夫 君
10番 佐々木順一 君
11番 佐藤力男 君
12番 阿部静子 君
13番 阿部富雄 君
14番 田村誠 君
15番 岩城明 君
16番 柳村岩見 君
17番 小野寺研一 君
18番 千葉伝 君
19番 及川幸子 君
22番 小野寺好 君
23番 斉藤信 君
24番 伊沢昌弘 君
25番 田村正彦 君
26番 上澤義主 君
27番 瀬川滋 君
28番 佐々木大和 君
29番 水上信宏 君
30番 谷藤裕明 君
31番 藤原泰次郎 君
32番 菊池勲 君
33番 佐々木一榮 君
34番 伊藤勢至 君
35番 高橋賢輔 君
36番 小原宣良 君
37番 長谷川忠久 君
38番 千葉浩 君
39番 吉田洋治 君
40番 工藤篤 君
41番 菅原温士 君
44番 折居明広 君
45番 村上惠三 君
46番 藤原良信 君
47番 及川幸郎 君
48番 菊池雄光 君
49番 佐々木俊夫 君

欠席議員(3名)
20番阿部敏雄君
42番佐藤正春君
43番山内隆文君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時1分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第2、一般質問を継続いたします。
   〔38番千葉浩君登壇〕(拍手)


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