平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案に対する質疑を行います。
 議案第2号平成19年度岩手県一般会計補正予算(第3号)は、達増知事による初めての予算編成であります。
 知事は、危機を希望に変えるとして二大戦略、新地域主義戦略と岩手ソフトパワー戦略を掲げています。極めてわかりにくく意味不明でありますが、補正予算に示された事業に基づいて、その内容と目指すものについてお聞きをします。
 第1に、新地域主義戦略の具体化として、草の根コミュニティ再生支援事業350万円が計上されています。この事業の具体的目的は何でしょうか。草の根コミュニティとは、自治会、町内会を差すのでしょうか。
 3、500を調査対象とするとのことですが、わずか350万円の予算で、何を、どう調査するのでしょうか。
 県と市町村が協力して草の根の地域を守るとしていますが、県と市町村の役割分担とは、何を、どう協力して進めるのか、示していただきたい。
 市町村中心の行政システム構築事業570万円が計上されています。4広域圏を想定した権限移譲を推進しようとするものと考えられますが、設置する岩手県分権推進会議の目的、権限移譲のモデル市町村はどうなっているでしょうか。
 4広域振興圏の自治体を目指し、上からの市町村合併の推進とはならないでしょうか。
 第2に、岩手ソフトパワー戦略の具体化としては、いわて情報発信強化事業費2、500万円が計上されています。岩手が誇る地域ブランドを岩手ソフトパワーと位置づけて、県外に情報発信しようとするものということですが、岩手が誇る地域ブランドとは、具体的にどういうものでしょうか。これまでの情報発信と、どう違うのでしょうか。
 増田前知事は、イパングを発行して知事みずからの宣伝をしてきたように思いますが、これをどう検証・評価して達増知事は新たな情報発信をしようとしているのでしょうか。
 文化芸術振興方策検討調査事業が90万円計上されています。これは、文化芸術振興基本条例の制定を視野に入れて、県民の文化・芸術活動の振興策を検討するというものですが、既に基本法があり、13都道府県でも条例が制定されています。文化・芸術の振興は重要なことですが、これがどうして岩手ソフトパワー戦略となるのでしょうか。
 第3に、医師確保対策事業として医師確保緊急対策事業費1、110万円、医師確保対策推進事業費6、660万円、医療人材育成支援事業費8、620万円が計上されています。事業の内容と昨年度の医師確保の実績はどうなっているか。県内の医師数の確保状況と推移、診療科ごとの推移、県内の地域偏在の状況はどうなっているか。胆沢病院の産婦人科と小児科、大船渡病院、宮古病院の循環器科の医師確保と診療科の維持の見通しはどうなっているでしょうか。岩手医科大学の10人の定員増に伴う45人の奨学生の確保と財政負担、市町村との連携はどうなるのでしょうか。
 看護師等養成所施設整備費補助として120万5、000円が計上されています。岩手医科大学が、循環器センターに続いて7対1の看護師配置基準を目指し看護師の募集をしていますが、この中身と看護師養成・確保の状況はどうなっているでしょうか。看護師不足の状況となるのではないでしょうか。
 第4に、障害者自立支援対策臨時特例事業費が4億8、360万円計上されています。総額11億6、220万円となります。本来、当初予算で措置されるべきものだと思いますが、これは、障害者自立支援法による耐えがたい負担増や事業所の減収、小規模作業所への補助切り捨てなどの大問題に対する臨時的軽減策として実施されるものであります。
 昨年度の障害者の負担増の実態をどう把握しているでしょうか。今回の措置で、どれだけの負担軽減となるのでしょうか。また、事業所の減収の実態と、それへの補てんはどの程度になるのでしょうか。
 小規模作業所の法人化の状況と対策はどうなっているでしょうか。要望の強い児童デイサービスは、どう実施されるのでしょうか。
 第5に、介護給付費適正化推進事業費として100万円が計上されています。コムスンによる不正な介護報酬の請求が、全国的―19都県で問題となっています。県内でコムスンを含めて不正、不適正な実態はなかったでしょうか。利益第一主義の企業参入、低い介護報酬と劣悪な労働条件などの問題が浮き彫りになっていますが、県内の実態と今回の問題をどうとらえているか、示していただきたい。
 第6に、乳幼児、妊産婦医療費助成など、県単医療費助成事業費が11億8、000万円計上されています。本来、当初予算で組むべきものと考えますが、なぜ補正予算計上となったのでしょうか。
 第7に、牛海綿状脳症防疫対策事業費2、418万円にかかわってお聞きします。
 死亡牛のBSE検査の実績と結果はどうなっているでしょうか。
 国は、来年度から食用のBSE検査への助成をやめようとしていますが、国に要望するとともに、県独自にも実施すべきではないでしょうか。
 第8に、ダム建設事業費は6億500万円補正されています。知事に聞きますが、簗川ダムや津付ダム建設事業は、原点にさかのぼってその必要性、妥当性、自然環境破壊の影響などを検討し、見直すべきではないでしょうか。
 木造住宅耐震診断支援事業として610万円が計上されました。昨年度から全市町村を対象に実施されている事業が、なぜ補正予算となったのでしょうか。これまでの実績と今年度の対象数を示していただきたい。
 達増知事が、防災と安全対策を六つの政策の一つとして重視するというなら、全国の都道府県の過半数が実施している耐震改修助成こそ、実施すべきではなかったでしょうか。
 公営住宅建設事業として1億1、540万円が補正され、陸前高田市に環境共生住宅として鳴石団地が整備されます。その特徴と県営住宅の応募状況、これまでの整備戸数の推移を示していただきたい。環境共生住宅を今後さらに整備すべきではないでしょうか。
 議案第13号は、知事の退職金を支給しないとするものであります。選挙公約ですから当然の措置ですが、副知事や出納長はどうするのでしょうか。
 議案第15号は、県公会堂のギャラリーについて使用を許可しようとするものであります。県公会堂は80年を迎え、県議会の議事堂としても利用されたものであります。知事が岩手ソフトパワーというなら、岩手の近代建築遺産として、歴史的建造物として、しっかりと改修して活用すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 議案第21号は、県立岩谷堂農林高校の校舎改築(建築)工事の契約案件であります。事前の談合情報があり、結果として、談合情報どおりの落札となったものであります。落札額10億5、700万円、落札率94.88%、入札参加JVは、わずか4JVでありました。これだけの大きな仕事で、落札率を見ても参加業者を見ても、談合が強く疑われるものではないでしょうか。県は、公正取引委員会及び県警察本部に情報をなぜ提供したのでしょうか。
 県警本部長に質問します。この談合情報の情報提供をどう受けとめ対応しているのでしょうか。
 議案第26号は、盛岡市の中核市指定に同意しようとするものであります。反対するものではありませんが、権限移譲とその財源措置はどうなるでしょうか。保健所の設置が大きな課題ですが、県の具体的な支援、人的支援を含めて示していただきたい。
 以上ですが、答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、草の根コミュニティ再生支援事業についてでありますが、事業の目的は、草の根の地域の人口構成や地域の活動状況や課題を把握するための調査を行うとともに、そのあり方や活性化について地域の住民の方々とともに議論を深めていくこと、及び市町村とともにそれらコミュニティを支援することでございます。
 草の根コミュニティとは、自治会、町内会などの地縁組織を指します。
 調査の方法は、今年度は、市町村を通じた書面調査及び類型化して抽出した地域について、大学と連携した実地調査を行う。来年度も実地調査を継続し、支援策を検討してまいります。
 市町村との役割分担は、コミュニティに対する施策は市町村が中心となって行っていくものでありますが、県としては、市町村との十分な連携のもとに、人的基盤づくり、財政的基盤形成の面で後押ししてまいります。
 次に、岩手県分権推進会議の設置の目的等についてでありますが、会議の目的は、分権型社会にふさわしい行政システムの構築に取り組むために設置するものでございます。会議では、県と市町村の役割分担のあり方や、その実現のための具体的な方策などを検討していくものでございます。
 次に、権限移譲モデル市町村の目的、選定要件でありますが、目的は、市町村における先進的な権限移譲の取り組みを支援するとともに、その効果や課題の検証を行い、他に波及させることです。選定要件は、他の市町村に先行して権限移譲を早期に実現する市町村や、移譲された権限を活用して新たな政策を立案する市町村、また、県と市町村の庁舎の共同化などを行う市町村などを選定するものです。
 上からの合併推進とならないかとの御懸念でありますが、この事業は、県と市町村の役割分担の検討などを行うものでありまして、市町村合併について検討することを目的とするものではございません。
 次に、県外情報発信についてでありますが、岩手ソフトパワー戦略は、グローバル化が進展する中で、本県が持つ普遍的価値を源泉とした魅力を発信し、国内外から高い評価や信頼を得ることにより、いわゆる経済力や地域力をより高めていこうとするものであり、岩手ブランドを確立するため、今後さらに押し立てていくものとして、例えば農林水産物や平泉文化などが挙げられるものと考えます。
 次に、これまでの県外情報発信については、主に全国紙への広告掲載と県外向け広報誌の発行という形で実施されており、イパングについては、私も衆議院議員時代から拝見しておりますが、知事と各界において活躍している方々との対談等を通じて、岩手の資源や魅力を情報発信してきたものと理解をしております。
 県外情報発信については、より効果的なものとなるよう、現在、イパングや銀河系いわて大使のあり方などを含め、見直しを進めております。
 一方で、例えば農林水産分野について申し上げれば、既に食材の情報発信に向けた県と民間企業との連携や、農林水産物の総合的な売り込みに向けて、私自身、先頭に立って取り組んでいるところでございます。
 今後におきましては、情報発信のターゲットの明確化、そのターゲットにふさわしい発信手法の選定を行うとともに、本県が持つ普遍的価値に根差し、各分野を貫く統一的イメージを構築することにより、岩手ブランドを全国に向けて発信してまいりたいと考えております。
 次に、文化芸術振興方策検討調査事業についてでありますが、岩手には、自然や歴史にはぐくまれ、先人たちが培ってきた文化・芸術がありますが、条例制定により、総合的な施策の展開を通じて、地域の文化を一層魅力あるものとして振興し、地域社会の活性化にもつなげようとするものであります。このことは、本県の文化的魅力や道義的信頼を高め内外に発信することにより、本県の地域的価値を一層高めるという、まさに岩手ソフトパワー戦略そのものと言えると思います。
 次に、ダム建設事業についてでありますが、簗川ダムや津付ダムについては、流域住民の生命や財産を守るため、事業の必要性、緊急性が高いと判断しており、今後も事業を進めてまいりたいと思います。
 なお、事業を進めるに当たっては、政策評価システムの中で外部の意見を聞きながら、必要性、重要性、緊急性を客観的に判断しているところでございます。
 次に、木造住宅耐震診断支援事業についてでありますが、本事業は耐震診断を含め、耐震対策全般について政策的判断を要するという観点から、6月補正予算に計上したところでありました。
 平成17年度の制度創設以来、平成17年度には410戸、平成18年度900戸、合計1、310戸の耐震診断実績があったところであり、この6月補正においては900戸分の予算計上を行ったところであります。
 次に、木造住宅の耐震改修助成についてでありますが、木造住宅の耐震改修への助成については、これまでの耐震診断の状況と市町村の取組状況等を踏まえながら検討することとしていたところでございます。現在の状況を見ますと、診断結果において多くの住宅が倒壊の危険性がある一方で、耐震改修に取り組む市町村数やその実施戸数も少ないことから、県としては、引き続き耐震改修の推進に向けた環境整備を図っていくこととしたところでございます。
 次に、副知事及び出納長の退職手当についてでありますが、私は、議員には退職手当がない一方で、同じように選挙で選ばれる知事には高額の退職手当が支給されることに疑問を感じていたことなどを踏まえて、選挙におけるマニフェストでお示しした方針に従って、今回、私の退職手当を支給しないとする条例案を提出したところでございまして、副知事及び出納長は事情が異なるものと認識しております。
 次に、県公会堂についてでありますが、県公会堂は、県都のシンボルとしてことしで80周年を迎えましたが、県では、有識者による懇談会の報告も受け、平成15年に全面保存を決定しております。また、昨年、国の登録有形文化財となるなど、価値ある歴史的文化遺産として認識しております。耐震診断結果では、耐震対策の緊急性は低いと聞いておりますので、当面は所要の維持補修等を行いながら活用していくこととなると考えておりますが、将来に残すべき文化遺産としての本格的な改修の必要性等については、中長期的な利活用のあり方とあわせて、もう少し時間をかけて検討してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医師確保事業の内容についてでございますが、医師確保緊急対策事業は、即戦力となる医師の招聘活動として、医療関係者、県外事務所等と連携しながら、本県出身医師等のデータベースの整備、全国を視野に入れた機動的かつ計画的な医師の訪問誘致活動を行うものでございます。医師確保対策推進事業は、医師確保アクションプランに基づく医師のライフステージに応じた取り組みとして、医師養成のための奨学金事業や臨床研修医の受け入れ体制整備などを行うものでございます。医療人材育成支援事業は、岩手医科大学医学部の定員増に対応して、岩手医科大学が実施する医学教育環境の整備について支援するものでございます。
 昨年度の医師確保の実績についてでございますが、私どもは、初期臨床研修医の定着といったことを主眼にしておりますが、これまで初期臨床研修を終わった方が2年間出たわけでございますが、いずれも初期臨床研修を修了した医師の8割以上が引き続き県内で勤務し、又は大学院に進学しているところでございます。これは、臨床研修病院の指導医の先生方の熱意あふれる指導など、御尽力のたまものと考えております。医師確保対策室設置以降、これまで9名の医師を確保したところでございまして、非常に昨今の医師不足の中で大きな成果を上げたと自負しておりますが、県民各位から多くの情報を提供いただいたところでございまして、引き続きこうした御支援をお願いできればと考えております。
 県内医師数の推移、地域偏在の状況についてでございますが、医師数については2年ごとの調査となっておりまして、平成16年が直近でございますが、平成6年と16年を比較して主な診療科について述べますと、内科は平成6年に596人であったものが16年には598人、外科は262人であったものが248人、産婦人科は132人であったものが89人、小児科は139人であったものが125人となっております。
 地域偏在の状況についてでございますが、人口10万人当たりの医師数で見ますと、平成6年では県平均が164.7人でございました。最も多い盛岡医療圏が254.9人、最も少ない久慈医療圏が79.5人でございました。これが平成16年では、県平均が179.1人とふえてございます。最も多い盛岡医療圏が264.0人、最も少ない久慈医療圏及び二戸医療圏が114.9人とふえてございますが、医療の専門化、高度化の中で、実質的には医師の不足感というのはあるものと考えております。
 次に、岩手医科大学の定員増の状況及び看護師の養成に関してでございますが、岩手医科大学医学部の定員の10名増については、昨年8月に国が発表いたしました新医師確保総合対策において認められたところでございまして、定員増に当たりまして、国から条件がつけられております。増員後の定員の5割以上の人数分の奨学金を設定するといった条件がございます。本県の場合、岩手医科大学医学部の定員が10名ふえて新しい定員が90名になりますので、45名以上の奨学金の設定が必要ということになってまいります。なお、この45名の中には、本県が中心となって各県と連携して国に要望した経過もございまして、他県等の大学の医学部に進学した者も対象となるものでございます。県としては、国からの条件に対応するためには、県と市町村が共同で実施します市町村医師養成事業や医療局で実施する奨学資金貸付事業など、現行の制度の25名分の奨学金枠を拡充する必要があると考えておりまして、現在、新たな枠組みとか財政負担について、市町村や関係機関と協議を進めているところでございまして、岩手医科大学の10名定員増の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、看護師等養成所施設整備費の補助内容は、民間立の看護師養成所において、新たに在宅看護実習室を整備するための改築工事費の補助でございます。
 次に、看護師の養成、確保についてでございますが、県内の看護師等学校養成所における平成19年度入学生は668人でございまして、定員充足率は97%となっております。18年度卒業生の就職状況は、704人が卒業しましたが、就業者は604人(後刻「603人」と訂正)、そのうち県内への就業者は325人となっております。
 看護師につきましては、平成18年度の診療報酬の改定により、手厚い介護体制に診療報酬上の高い評価がなされるということで、看護師の需要が高まって大規模な病院での大量募集等が報道されているところでございますが、現状のところ、県内の主な病院では募集を超える応募があるということでございまして、必要な看護師は確保される見込みであると伺っておりますけれども、今後の動きを注視する必要があると考えているところでございます。
 続きまして、障害者自立支援法の関係でございますが、昨年度の負担増、それから今回の措置による負担軽減をあわせて御説明申し上げますと、昨年度、低所得者の方を例にとりますと、通所事業では、平成18年3月までゼロ円であったものが18年度には1万2、560円―これは1カ月当たりでございますが―、それが19年4月には8、810円と3、750円の減額になってございます。居宅事業の場合、平成17年度ゼロ円であった方、これはホームヘルプサービスを10時間利用した方ですが、18年度は4、000円になっております。19年4月からは3、750円と、250円の減額になっております。入所施設の場合には、平成17年度は3万9、800円でございましたが、18年度は4万1、000円、19年4月も4万1、000円ということになっております。なお、平成18年度、19年度の通所施設、入所施設は食費も含めた額になっております。
 事業所の減収の実態でございますが、本年5月に調査したところ、これは88施設を対象として調査しておりますが、制度施行前と比べて減収した施設が88カ所中53カ所で約60%、変化なしが20カ所で23%、増収が15カ所で17%となっております。減収した施設53カ所中、今回の事業運営円滑化事業対象事業所―従前収入の90%保障をするという事業所は45カ所でございまして、補てん額は総額1億6、345万8、000円となっております。
 次に、介護給付費の適正化推進事業に関してでございますが、コムスンの問題が発覚後、同社が運営する事業所を介護保険法に基づく訪問介護事業所7カ所、障害者自立支援法に基づく居宅介護事業所7カ所を監査しております。監査結果につきましては現在精査中でありまして、問題がある場合には改善を求める予定としております。
 同社以外の事業所では、これまで不正な介護報酬請求などにより、本県では6件の事業者指定取り消しを行ってきているところでございます。これは、平成16年度から今年度までで6件ございます。
 介護報酬の設定の関係でございますが、基本的に従事者の待遇、それから良質なサービス水準が維持されることが必要であると考えておりまして、次期介護報酬の見直しに当たっては、報酬の分析評価をきちんと行っていただき、良質なサービスを提供できる水準とするよう、本年4月、国に要望を行っております。
 それから、県単医療費助成事業の6月補正の関係でございますが、今年度の当初予算は御承知のとおり骨格予算で、政策的な事業については6月補正において計上するとしたことに伴うものでございます。
〇医療局長(法貴敬君) 胆沢病院、大船渡病院及び宮古病院の医師確保と診療科の維持についてでありますけれども、関係大学へ医師派遣を要請するなど、医師確保に向けて最大限の努力はしておりますが、全国的な医師の絶対数不足の状況から、後任医師の確保は難しい状況となっておりますが、現在、関係大学や関係する医師会などと協議をするとともに、さらには他の県立病院との連携を図りながら、可能な限りの診療機能が確保できるよう検討を進めているところであります。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 牛海綿状脳症の防疫対策についてでございますが、まず、死亡牛のBSE検査の実績と結果につきましては、検査対象が24カ月齢以上の死亡牛で、昨年度は2、966頭を検査し、そのすべてが陰性となってございます。
 また、食用の牛のBSE検査への助成についてでありますが、生後20カ月齢以下の牛のBSE検査が行われなくなることにより、消費者の不安が増大することや国産牛肉の流通、消費に混乱が生じることも懸念されますことから、県といたしましては、平成20年8月以降もこれまでどおり国が全額補助を継続すべきと考えており、このようなことから、去る6月13日に国に対して要望したところでございます。
〇県土整備部長(西畑雅司君) 鳴石団地の特徴は、団地内に太陽光発電や透水性舗装を採用し、初めての県営木造公営住宅として、暑さや湿気を防ぐ風通し重視の設計や雨水利用の工夫などで環境に配慮した点です。
 県営住宅の応募状況は、平成18年度、全県で年間募集戸数381戸に対しまして1、821戸の応募で、応募倍率は4.78でございます。また、本年5月の募集では、募集戸数62戸に対しまして、応募倍率6.23となっております。
 県営住宅のこれまでの整備戸数の推移につきましては、昭和45年度から昭和54年度までは年間平均約250戸、昭和55年度から平成6年度までは年間約150戸、平成7年度以降は50戸程度、そして、平成14年度以降は年30戸の整備戸数となっており、現在、5、168戸の管理戸数となっております。なお、平成8年度からは、新規供給より建てかえを中心にした整備を進めております。
 環境共生住宅の今後の整備については、従前から県営住宅の整備に当たっては、断熱性能や緑化推進など環境への一定の配慮を行ってきましたが、今後は、環境に一層配慮した県営鳴石住宅建設を契機として、市町村の公営住宅への普及や一般県民に対する普及啓発をさらに進めていくこととしております。
〇総務部長(川窪俊広君) 岩谷堂農林高校の契約案件に係る談合情報についてでございますが、本件については、すべての参加業者から事情聴取を行うとともに、工事費内訳書の分析を行いましたが、談合の事実があったとは認められなかったものでございます。
 また、今回の件につきましては、談合情報対応マニュアルに基づきまして、公正取引委員会及び県警察本部に情報提供したところでございます。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 盛岡市の中核市指定に伴う権限移譲等についてでありますが、移譲される事務は、平成19年6月現在で1、939事務となっており、このうち、保健所の設置関係では1、119事務となっております。その財源措置につきましては、必要な額が地方交付税の基準財政需要額で割り増し措置されるものでございます。
 移行に対する県の支援としては、移行前におきましては、移譲事務の習得のため、平成18年度から実務研修職員を延べ10名受け入れているところでございます。移行後につきましても、当面は、特に保健所は専門職種の配置が必要でありますことから、盛岡市と協議しながら、それらに応じた人的な支援を行ってまいります。
〇警察本部長(三枝守君) 警察においては、ただいま総務部長の答弁にありました情報の提供は受けておりますけれども、その後の対応等については、個別具体的な事案でありますので、答弁を差し控えさせていただきます。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 先ほど、斉藤議員への答弁の中で、看護師養成施設の卒業生のうち、就業者を604人と申し上げましたが、603人の誤りでございました。大変申しわけございませんでした。
〇38番(斉藤信君) 今の答弁を踏まえて、私は最初に、岩手ソフトパワー戦略について、知事はこういうふうに言っているんですね。岩手の文化、岩手の心を積極的に情報発信し、日本国内はもとより世界じゅうに定着させていくと。これは知事演述です。岩手の心、岩手の文化を国内はもとより世界じゅうに定着させるというのは、私は国語的に成り立たないんじゃないかと思います。心とか文化というのはほかの世界とかほかの国に定着させるものではなくて、だからこそ岩手の心なわけでしょう、岩手の文化なわけでしょう。少しこれは自己矛盾ではないでしょうか。私はだから、岩手情報発信の中身として、この知事演述とのかかわりで、少し自己矛盾に陥っているのではないかと思います。
 もう一つ、これは知事の選挙公報ですが、岩手ソフトパワー戦略で、県の道義的信頼を高めるため知事の退職金を廃止する、こうなっています。知事の退職金廃止もソフトパワー戦略ですね。ただ、ひとり知事が退職金を廃止してもソフトパワー戦略にならないんじゃないですか。副知事、出納長というのは1回退職金をもらっていますから、継続されているから今の時期は判断が必要かもしれないけれども、任期が切れたら知事と同等に対応するのは当然ではないかと、あなたがソフトパワー戦略と言うなら。これはあなたの公約とのかかわりでいかがかと。
 それと私は、知事の最大の公約は、危機を希望に変える、ですね。具体的な危機というのは、知事はこう述べているわけです。これは知事演述ですよ。所得が減少する一方で、医療・福祉など社会保障費の負担が増大し、多くの方々が不安に直面している現状を私は本県における危機であると認識していますと。この危機は、本県における危機じゃなくて、全国の危機じゃないですか。私は、あなたがこう言うんだったら、具体的な所得をふやす対策、雇用対策、医療・福祉を守る対策が補正予算に出て当然じゃないかと思うけれども、残念ながらそれは見当たらない。そういう点について、知事の所見を伺って終わります。
〇知事(達増拓也君) 質問にお答えいたします。
 岩手ソフトパワー戦略、これが戦略たるゆえんは、危機を希望に変えるというそのために戦略として訴えているところでありまして、御指摘のとおり、私が岩手の直面している危機として全力で当たらなければならない危機が、平成13年度、岩手県の県民所得が7%以上下落し、それが今もって回復していないということ。もちろんお金だけが人生のすべてではないんですが、医療費でありますとか教育関係の費用でありますとか、全国一律の負担もあるわけでありまして、やはり所得の低下というのは危機として認識すべきであるという趣旨であります。所得が7%以上下落して、それが五、六年も回復しないということは、古今東西なかなかない、異常な事態であります。この異常な事態、主として国の財政金融政策によって、地方に回ってくるお金が激減した結果こうなっていると思っておりまして、そういう意味では国の政策が転換されれば危機から脱することは可能になると思うのですけれども、そうでなくても、危機から脱していくために、このグローバル化の時代をいわば逆手にとり、世界に通用するものを打ち出していけば、そこから所得を上げていくチャンスが開けてくるだろうということで、岩手の中に何かないかと探したときに、一つは新地域主義戦略ということで、広域の新しいフロンティア、ここにはまだまだチャンスがあるんじゃないか。そして、同じ新地域主義戦略の中で、町内会、自治会といったコミュニティ、これも全国有数のものが岩手にはあるのではないか。そして、岩手の伝統文化、特に平泉が来年世界遺産登録が見込まれていることから、世界じゅうが岩手の文化や歴史、伝統に注目する。世界に向けて、もちろん日本国内に向けても、岩手のそうした文化的魅力や、また、平泉中尊寺も、敵、味方はもちろん、鳥獣魚介生きるものすべての平和を願った、そういう道義的信頼、それは今の岩手の人たちの心の中にも生きているものであり、それを全国に、世界に打ち出すことで、買うなら岩手のもの、雇うなら岩手の人ということにつなげていける、これが岩手ソフトパワー戦略の趣旨であります。
 もちろん、文化、心は、それ自体価値のあるものであって、金もうけの道具のような形で追求するのは一種邪道であるかもしれません。もちろん文化や心は、それ自体の価値がまず追求されなければなりませんけれども、戦略という位置づけは、危機を希望に変えるという、そういう所得の大幅な下落、そこからなかなか回復できないという、ここを解決するためにあえてそういう戦略をとるという趣旨でございます。(38番斉藤信議員「議長、答弁漏れじゃないか」と呼ぶ)
〇議長(渡辺幸貫君) これをもって質疑を終結いたします。(38番斉藤信議員「議長、私が聞いていることに答えてないじゃないか」と呼ぶ)
〇知事(達増拓也君) 退職金に関する御質問についてでございますけれども、知事の退職金を廃止するという、県のトップがそうしたことをするということが、また全国あるいは外国からも注目されることで岩手に対する注目度が増せばという趣旨でトップの退職金削減をソフトパワー戦略の中に位置づけているところでありますが、そもそもの問題意識は、私が衆議院議員時代、議員年金廃止問題に取り組む中で、議員には退職金がないのに、同じ選挙で選ばれる知事には高額の退職金がある、これは変えなければならないという問題意識から発しておりますので、そういうことになっております。
〇議長(渡辺幸貫君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第2号から議案第26号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第2回県議会定例会 平成19年6月29日)
総務委員会
1 議案第2号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款、第9款、第12款
   第3条
2 議案第11号
3 議案第12号
4 議案第13号
5 議案第14号
6 議案第15号
7 議案第16号
8 議案第20号
9 議案第24号
10 議案第25号
11 議案第26号
環境福祉委員会
1 議案第2号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第4款
2 議案第19号
商工文教委員会
1 議案第2号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第5款、第7款、第10款
   第2条
2 議案第18号
3 議案第21号
農林水産委員会
1 議案第2号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款中第1項
           第2項
           第3項(第2目中県土整備部関係及び第3目中県土整備部関係を除く)
           第4項(第6目を除く)
           第5項(第11目中県土整備部関係を除く)
2 議案第4号
3 議案第5号
4 議案第6号
5 議案第7号
6 議案第8号
7 議案第22号
県土整備委員会
1 議案第2号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款中第3項中第2目中県土整備部関係及び第3目中県土整備部関係
           第4項中第6目
           第5項中第11目中県土整備部関係
       第8款
       第11款
2 議案第3号
3 議案第9号
4 議案第10号
5 議案第17号
6 議案第23号
   日程第27 議案第27号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについて及び日程第28 議案第28号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第27、議案第27号及び日程第28、議案第28号を一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕
〇副知事(竹内重徳君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第27号は、人事委員会の委員であります阿部由美子氏の任期が7月2日で満了となりますので、その後任として、新たに伊藤方子氏を選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 議案第28号は、公安委員会の委員であります藤原博氏の任期が7月25日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第27号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第27号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第27号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第28号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第28号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第28号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時45分 散会

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