平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇31番(佐々木順一君) ただいまの岩渕議員の質問中、知事の政治姿勢につきまして関連質問をさせていただきたいと思っております。
 国民一人一人には、思想信条、良心の自由があります。これは政治家の大前提だろうと思っております。したがって、戦前の官選知事であれば、それは行政職でありますから行政職に努めなければならないわけでありますが、今日の首長は、当然のごとく、公選で選ばれた純然たる政治家でありますので、これはやっぱり思想信条、良心の自由というものを発揮しなければ健全な民主主義は育たないと、こう思っております。
 昨今、全国的に首長になってみずからの政治活動やら、あるいは選挙への介入について封印あるいは自粛する首長さん方も中にはいるようでありますが、これはやはり政治家としての自殺行為であると思っております。このことを踏まえまして、1点だけ知事にこの政治姿勢について論理を整理したいと思いますから、お伺いをしたいと思っております。
 それは、首長は法律的には特別職地方公務員として位置づけられております。一方、国家行政の長である内閣総理大臣を初め国務大臣は、特別職国家公務員であります。国、地方の違いこそありますが、法的立場は同等であります。しかも、一般職の公務員とは異なって、堂々と政治活動、選挙活動を行う自由も認められております。しかしながら、内閣総理大臣を含む国務大臣等が、選挙活動を初め政治的言動をとっているにもかかわらず、政治活動、選挙活動が認められている首長を初め知事に対し、自己の主義・主張に基づく政治的言動を、抑制すべきではないかあるいは控えるべきではないかとの指摘は、甚だ理解しにくいところがあります。また、首長に対し、思想信条、良心の自由を控えるべきあるいは抑制すべきと、必要以上にこれを求めることは、ある意味では権利の侵害に当たると思いますが、この二つの点につきまして知事の御見解をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私の政治姿勢に関する関連質問をいただきました。
 先ほどの岩渕議員への答弁でも申し上げましたとおり、政治には意見の対立や論争がつきものでございます。しかし、こうした葛藤を恐れずに、政治の魅力、多様な意見を統合していく力、言いかえますと、一人一人ばらばらでは解決できないような問題をみんなの力で解決していく、そういう政治の魅力というものを共有していこうとする努力と工夫は、都道府県や市町村といいますか、そういった地方にあっても私は望ましいものではないかと思っております。
 私は、自分に対する批判をきちんと受けとめていくためにも、みずからの政治スタンスを明らかにして、意見の対立や論争等の葛藤を乗り越えて、有権者の皆さんが民主的な意思決定をすることができるように努めてまいりたいと思っております。
 そして、思想信条、良心の自由に関する人権侵害に当たるのではないかということでありますけれども、思想信条、良心の自由、これが侵すべからざる基本的人権であるということは、19世紀イギリスの思想家ジョン・スチュアート・ミルの自由論の中に述べられておりまして、このミルの自由論は私の愛読書の一つなんですけれども、ジョン・スチュアート・ミルがそういう自由が大事だと、自由をとにかく大切にしろと、不可侵の人権だというその論拠は、それが集団全体の利益になるということなんですね。全知全能ならざる人間が何か意見を述べるとき、あるいは何か物を決めるときに、やはり多様な意見を戦わせる中で検証していく必要、検討していく必要がある。ですから、そういう全体の利益のためにも、そうした自由というのは、権利として守られなければならないのではないかと思います。この考え方は、今の日本や岩手においても大変重要だと思っておりまして、岩手県の先人、先輩方、そして岩手の有権者の皆様は、日本の民主主義を発展させてきた原動力だと言えると思います。私は、そのことに誇りを持ちながら、民主主義のさらなる発展のために、岩手から発信を続けてまいりたいと思います。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第2号平成19年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第26 議案第26号盛岡市の中核市指定に係る申出の同意に関し議決を求めることについてまで
〇議長(渡辺幸貫君) この際、日程第2、議案第2号から日程第26、議案第26号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ