平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(岩渕誠君) 民主・県民会議の岩渕誠です。
 さきの統一地方選挙におきまして県議会に議席をちょうだいし、また、先輩・同僚議員の御配慮をいただきまして、改選後初の定例会で、こうして一般質問の機会を得ましたことに、深く感謝を申し上げます。
 達増知事を初めとする県当局、そして議員各位には、これまでも報道記者として数々の取材をさせていただいてきましたが、今後も県民の目線で、県民とこの岩手の将来にとって有益な議論を行ってまいりたいと思います。
 地方自治における二元代表制の趣旨を最大限に生かすべく、みずからの考えを提示しながら質問してまいりますので、どうか率直に、本音で、県民にわかりやすい御答弁をお願いいたします。
 では、初めに、岩手競馬の問題について伺います。
 岩手競馬の経営問題をめぐっては、これまでも数度にわたり再建計画が提示されてきたところでありますが、いずれも経営の改善には結びつかず、逆に赤字を膨らませ続けてきたことは周知の事実であります。そしてこの3月には、それぞれの構成団体議会で、合わせて330億円に上る融資案が可決されたところであります。今後、赤字になれば廃止とのルールが示されたものの、事実上、負債整理のため県民の税金を投入したことに、いまだ厳しい批判もあります。
 私は、県民の批判には県税投入そのものに対することもさることながら、経営悪化を招いた原因の所在が明確にならず、かつ、だれ一人として経営責任をとらないことへの怒りが込められていると思っております。
 経営悪化の原因を徹底的に検証し、その問題点を広く周知させ改善していくことは、再建への第一歩だと思いますが、私は、県競馬組合や構成団体である岩手県が、この点について極めて不十分だったと指摘せざるを得ないのであります。
 再建計画を提示するたび、過大な売り上げ計画だと懸念する声に対しては、十分に達成可能だと胸を張りながら、計画が頓挫をすると、景気動向など外的要因を持ち出して、見通しの甘さがあったと弁解する光景を、何度見てきたことでありましょうか。こうした姿勢こそ、競馬問題に対する危機感の欠如を露呈し、また、無責任な体質を象徴するものであったと思います。
 こうした現状から、現在、第三者による検証委員会が設置をされておりますが、その中身についても私は懸念を抱いているところです。それは、この検証委員会が何を検証する場なのか、あいまいではないかという点であります。問われるべきは、過去の経営判断と赤字を招いた体質についてと思うのでありますが、報道によれば、手続論的な部分についての議論が多く、経営判断そのものに踏み込んでいない印象を受けるのであります。
 私は、競馬組合の赤字を招いた原因の一つは、内部の危機意識の欠如、とりわけ、経費削減に対する意識に問題があるのではないかと思っております。そして、その意識が仮にあったとしても、それに取り組めなかった、実行できなかった構造的な問題が横たわっていると指摘をいたします。コスト削減の成否によって収支均衡が図られるかどうかという現状を見るにつけても、こうした点を他にゆだねることなく、みずからが明らかにして取り組んでいかなければ競馬の存続はあり得ないと考えますが、達増知事の御所見を伺います。
 次に、県の行財政改革と意識改革の必要性についてお尋ねいたします。
 県の公債残高は、現在およそ1兆4、000億円、これに対し、予算規模は、補正予算時点で7、200億円余りとなっていて、実に年間予算の倍の借金をしているという、極めて厳しい環境に置かれております。今後、新しい行財政構造改革プログラムが策定されると聞いておりますが、財政健全化を目指しつつ、必要な投資を行うバランスのとれた財政運営が求められるのは言うまでもありません。まず、財政面では、選択と集中がより求められると思いますが、それを実現するには、現在の予算編成システムの改革が必要であると認識しております。
 具体的には、部局ごとに予算枠を確保して政策的な予算を組むという、いわゆる部局配分の仕組みに課題があると感じています。確かに、財政当局よりも現場により近いところに予算枠を配分することの一定の意味は認めるところであります。しかしながら、予算カットを余儀なくされる最近の編成作業を見ていますと、それぞれの部局の中の事業は守りたいとの思いから、選択と集中の考えよりも、事業数を確保したまま予算の一律削減に走る傾向が強くなっているとの印象はぬぐえません。また、県全体として見た場合、優先順位は低いものの、部局の中では優先順位が高いとされたため予算化されるなど、時として県民生活よりもお役所の事情が優先する弊害もあるとの指摘も出されております。
 こうした予算システムの改善に向けて、既に県も見直しを始めていることは承知をしておりますが、財政改革に向けた予算の編成のあり方について、これまでの指摘を踏まえ、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 組織の改革と職員の意識改革についてもお尋ねします。
 増田前知事は、職員体制について、将来的に4、000人体制を目指すとし、組織のスリム化を図る考えを明らかにしてまいりました。私は、財政面からも、スリム化の方針についてはやむを得ないものと考えておりますが、その具体的な人員配置においては検討の余地があるものと思います。
 例えば、統合の進んだ農業改良普及センターでありますが、これは、食料供給基地を標榜する岩手県にあって、これまで農業者に対する技術指導や経営指導、さらには、農村の生活改善などを行ってきた部署であり、農村地帯にとっては最も身近で頼りになる県の部署の一つだったのであります。しかしながら、組織改革の一環で統合が進められたことにより、その指導を十分に受けられないとの不満と不安が農家の間ではくすぶっております。私は、このような現場に密着した部門については、その役割を十分に理解した上で組織改革を行うべきで、それこそが生の声を吸い上げる現場主義を徹底することにつながるのだと思っております。一方で、本庁知事部局については、現在の組織体制を大幅に見直し、大部局編成によって管理部門のスリム化や機動性の確保も可能と考えますが、こうした現場主義を貫く組織改革の必要性について、県はどうお考えでしょうか。
 また、県は、行政品質向上運動に取り組んでおりますが、多額の血税を払ってコンサルタントを雇い、しかも、その契約は長年にわたって随意契約という、極めて不透明な形で行われていることに疑念を感じざるを得ません。見直しに着手していると伺っていますが、一部ではまだ続いているとのことです。県民に成果の見えない名ばかりの行政品質向上運動は、既に手段ではなく自己目的化しており、即刻改めるべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 さらに、私は、県庁内や学校などをこれまで取材する中で、内部管理や評価のための書類づくりなどが飛躍的にふえ、職員に元気がなくなってきていると感じております。本来は県民や子供たちのために仕事をしたいという意欲のある職員ほど、内向きの仕事が多くなっている現状に不満を感じていることに危機を覚えます。行き過ぎた内部管理や評価にかける労力を、本来向かうべきところに向かわせることも職員の意識改革では必要と思いますが、県の現状認識と今後の取り組みの方向性をお聞かせください。
 次に、県産品の販売強化策についてお尋ねします。
 知恵と工夫、そして情熱を持って生み出される県産品には、世界に誇れる本物がそろっております。例えば岩手のお米でありますが、日本穀物検定協会による食味試験、つまり、おいしさをはかる検査では、県南産のひとめぼれが12回も最高ランクである特A評価を受けております。現在、国内での米の最高峰は魚沼コシヒカリとされておりますが、私は先日、この魚沼のコシヒカリと私の地元花泉のひとめぼれとササニシキについて、穀物検定協会で食味官能試験を行ってまいりました。
 食味官能試験は、20人の専門官が実際に食べ、その味や香り、粘りを比べていくのですが、結果は、魚沼コシヒカリと変わりはないおいしさであるとのことでありました。やはり、岩手の米は日本一のおいしさであるとの思いを強くしたところであります。しかしながら、それを単純に喜べない現実が、この岩手には横たわっております。せっかくの高品質のお米が、価格に反映をされていないのであります。
 卸段階での取引価格を見ていくと、魚沼のコシヒカリは、60キロ当たりおよそ3万円もするのに対し、県南のひとめぼれは1万5、000円前後と、半分の値段であります。しかし、もっと驚くべきは、穀物検定協会の検査で、岩手のひとめぼれのおいしさよりもワンランクもツーランクも落ちるとされた米が、数千円も高く取引されているということであります。おいしいとされた米が味の劣る米に価格で負けているということは、生産者にとって耐えがたいことであり、また、消費者から見ても、高いお金を払って食味の劣る米を購入しているということになります。この現象の根底には、ブランド力という問題があります。
 今、首都圏の消費者の中心に、お米イコールコシヒカリという図式ができ上がっていて、コシヒカリであれば、たとえひとめぼれより食味が劣るとあっても高価格で取引をされています。私は、これでは岩手のまじめな生産者が報われないばかりでなく、食料供給基地岩手という基本戦略を根底から崩しかねず、直ちに本格的な対策が必要だと考えております。その一つのキーワードは、食味という新しい物差しを導入し、おいしさへの評価と価格が連動するようにしていくことだと思います。
 おいしさの基準は、人それぞれとはいうものの、安心安全、そして本物のおいしさを求める消費者に対し、岩手の米にはこの食味の値をつけて売り出すなど、高品質の産品を生かす販売戦略の確立は急務であると思いますが、いかがお考えか、お伺いいたします。
 もう一つは、コシヒカリブランドに対抗するために、ひとめぼれ地帯が手を取り合って、ブランド力アップの取り組みをすべきだと思います。さらに、県の組織としての取り組みも必要です。食料供給基地岩手と言われるものの、今までそのブランド力強化のために人員配置はしてきたでしょうか。私の調査によれば、県の東京事務所には、県産の農林水産物の売り込み対策に当たる専門職員は1人もいないと認識しておりますが、これは大きな問題であると言わざるを得ません。こうした人員配置のありようを、県当局はどのように認識しているでしょうか。首都圏での県産品の販売促進のため、体制強化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 もう一つは、知事のトップセールスの重要性であります。
 先日、私は、和牛の出荷頭数で、岩手がナンバーワンのシェアを誇る東京食肉市場でのいわて牛の枝肉研究会に出席する機会を得たのでありますが、県産牛肉の販売でも、知事に対する期待は大きいものがありました。ぜひとも、達増知事には、さまざまな県産品を扱う市場へと足を運んでいただき、市場関係者へのトップセールスで岩手の本物の実力を示し、価格形成へとつながる御努力をいただきたいと思いますが、どのようにお考えか、お聞かせいただきたい。
 次に、医療・福祉の問題についてお尋ねいたします。
 先般、県立病院の昨年度決算が公表されましたが、医師不足による診療科目の減少などもあり、9億7、000万円の赤字となったとのことであります。これまで、県立病院経営については、財政赤字の解消や医師不足への対応などから、県立病院の一部診療所化を進めてきたところでありますが、この決算内容を見る限り、その成果は見えてきません。患者や家族の負担は大きくなっただけに、何のための診療所化だったのかという思いを強く抱いております。
 さて、県内では、県立病院の診療所化などに伴うベッド数の削減、民間医療施設の無床化により、この10年間で、3、000床以上ものベッドが医療機関から消えています。その一方で、介護福祉施設への入居を希望しながら、在宅で待機している人たちの数は2、000人以上に上っています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 医療制度や介護保険制度など、国の政策が十分に機能していないことも大きな要因の一つだと思いますが、結果として、この岩手でも、多くの療養難民が発生していることを証明しております。それは、病院を退院する日の光景にもあらわれていると言われます。
 かつて、病院を退院する日は、患者にとっても家族にとっても、病状の回復と家庭でまた一緒に過ごせることを喜んだ日でありました。しかし、現在では、十分に機能が回復をしないまま退院を余儀なくされるものの、高齢化によって家では面倒を見る人がいない、さりとて、施設に頼もうにも、待機者があふれて入所もままならないといって、お願いだから退院をさせないでくれと涙を流すお年寄りや家族もいるという、大変にせつない日になっているのです。
 県立医療機関の中には、診療所化やベッド数の削減で、使われなくなってはいるものの十分に機能を発揮する病床を持つところがあります。
 そこでお尋ねいたしますが、特区制度などを導入して、こうしてあいた病床スペースを民間へ貸与し、福祉施設などへの活用の道を探るべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、教育についてお尋ねいたします。
 特別支援学校の再編整備計画についてでありますが、障害を持つ子供たちを、より身近な地域の学校に就学できるようにとの県教委の考えは大変意味のあることで、積極的に進めるべきだと考えます。しかしながら、現状を見ますと、大変に心配される点があります。
 私は、県内のある養護学校を調査してまいりましたが、教育環境が劣悪であると衝撃を受けました。受け入れる子供たちの増加もあって、例えば図書室の本を廊下に出して授業を行う、一般教室でもアコーディオンカーテンを引いて、一つの教室に2クラスが入るなどしておりました。こうした事態は、健常者の通う学校では考えられるでしょうか。これからさらに受け入れる子供たちがふえることが見込まれていますが、この状態を放置すれば、障害を持つ子供たちの学ぶ権利など、基本的な人権にもかかわると思います。
 県では、これまで、高校再編に伴う学校整備を中心に施設整備を行ってきたと存じますが、こうした障害児の教育施設の現状をどう認識しているのでありましょうか。
 今後の高校再編計画の中で、花巻農業と北上農業の再編など、積み残しとなっている問題とあわせ、教育施設の整備計画の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、障害児教育をめぐる問題としては、現在、県境地帯で、特に知的障害を持つ子供たちの受け入れ先として、通学可能な宮城県内の養護学校への入学を希望しているケースもあります。しかし、実際には、宮城県への入学に関しては住所変更の必要性などから、通学のために、わざわざ宮城県内にアパートを借りているケースがあります。ところが、これでは金銭的な負担が大きくなるため、結局は距離的に遠い岩手県内の学校に入学し、平日は寄宿舎生活を送る子供たちもいますが、これは、身近な地域の中で就学をとの考えから外れることになりはしないでしょうか。宮城県など他県から岩手県に通学を希望する子供たちに対しては、そうした住所変更の手続はせずとも、受け入れていることを考えるとき、即刻、こうした県境による一方的な障壁の解消を働きかけるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、平泉の世界遺産登録に向けた観光対策についてお聞きします。
 平泉文化のバックボーンとなったのは平和を希求する思想であり、地域紛争が激化する国際情勢の中で、世界遺産として登録される意義はまことに大きいものと確信いたしており、登録に向けた準備については万全を期すように望むものであります。
 一方で、平泉の文化を岩手県民が深く知るということは、大変重要なことであります。達増知事が制定を目指す文化芸術振興基本条例の中でも、このことをしっかりと位置づけて行っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、県内で伝統芸能が豊富だということは、それだけ地域地域が豊かであり、大地の恵みや神への感謝の宿る神楽などは、まさにこの地域が古来より平和を求めてきた営みの無形の遺産だと言えると思います。この思いを世界に知らしめるためにも、まず、県民みずからが学ぶ取り組みや、伝統芸能の伝承などをサポートしていくことが県としても必要だと思いますが、知事の御認識をお伺いいたします。
 一方で、世界遺産の登録は広域的観光の中心地として、岩手の存在感を高める可能性を秘めています。折しも、三陸自動車道は今月、石巻から北の区間が開通し、来年度には、岩手と県境を接する宮城県登米市内にインターチェンジが完成予定です。無料供用区間も延長される見込みで、仙台空港などからの観光客の流れは、三陸道の沿線に位置する松島、石巻を経て国道342号を通り、岩手、平泉へとつながる新しいルートに変わるともささやかれています。これに呼応して、宮城県内では、観光道路の整備や観光ルートの策定が進められていると聞きますが、残念ながら、岩手県では、この三陸道の波及効果を十分に引き出す施策の展開があるのか不透明であります。県外から来る観光客のニーズに対応するため、道路網などの整備を行う必要があると考えますが、達増知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、市町村合併についてお聞きします。
 北海道夕張市の財政破綻の記憶がいまだ消えない中、その姿は平成の大合併の中で、当面、自立を選択した自治体にあっても、人ごとでないというのが本音ではないでしょうか。私は、この岩手において、財政破綻の自治体をつくってはならないという思いを強く持っております。現在生じているさまざまな格差は、その多くがお役所や政治による格差、いわゆる官製格差と言っても過言ではないと思います。自治体においてもその格差に苦しむほとんどは地方であり、財政破綻となれば、それはまさに官製格差の最たるものではないでしょうか。
 岩手県においては、これまで合併に対し、まず地域住民が考えることとの姿勢を第一にしてきましたが、こうした点を考えるとき、県はもう一歩踏み出す時期に来ていると感じております。無論、最終的にはそれぞれの自治体が結論を出すべきではありますが、当事者のほか、県やできれば国も入った三者協議、四者協議の場をつくり、そこで合併について議論をし、それぞれのできること、できないことを示していくことが必要ではないでしょうか。市町村合併に対するお考えをお聞かせください。
 情報インフラの整備についてお聞きをいたします。
 民主主義国家の条件の一つは、だれしもが物事を知る環境にあることだと私は思っております。情報なくして思考なし。思考なくして議論なし。議論なくして知恵はなし。
 情報は、一人一人の知恵と工夫を社会に生かすためにも大切なものであることは言うまでもありません。しかしながら、岩手県において、この情報が行き届かない地域があることは周知のことであります。
 さきに行われた統一地方選挙で、私の地元では、残念ながら達増知事の政見放送を目にすることができなかった地域がございます。来月の参議院選では、宮城県の候補者の政見のみを聞くことになる地域もございます。2011年には、地上デジタル放送に全面移行となりますが、現状では、その恩恵に浴することなく、情報過疎となる地域が新たに発生することも懸念をされております。
 一方で、ブロードバンド環境整備のおくれから、企業の中には、情報伝達の手段を理由に、今後の工場運営に懸念を示すところがあるほか、若手農業者の中にも、せっかくつくった農産品を首都圏にダイレクトに送りたいが、ネット環境が整わず実現できていないなど、情報インフラについて、多方面からその整備のおくれを危惧する声が聞かれます。
 情報入手の可否が物事を左右する時代に、この情報インフラの整備は極めて意味のあることと考えますが、具体的な整備についてお示しいただき、その空白地帯の解消に努めていただくよう、強く要望するものであります。
 最後に、知事の政治姿勢についてお聞きをいたします。
 知事は、就任以来、行政の中立を堅持する一方で、政治家としては、その信ずるところを明確にされ行動されております。私は、現代の選挙はマニフェストを掲げての選挙であり、政治家として、知事になったなら何をしたいのかを明確に示した上で有権者に判断をゆだねる形が、今後さらに定着するものと思っております。そうした中で、政策はおのずとみずからの政治的信条による部分も多くなることを踏まえたとき、そしてまた、有権者に対してより明確に審判を仰ぐということを考慮したとき、政治家としての言動、行動は、明らかにするのが自然ではないかと思います。むしろ、これまで、政治的言動を慎むことであいまいな部分を多くしてきたことが、結果的に、政治と有権者の距離を遠ざけた一因とはなっていなかったでしょうか。無論、行政の中立性は県行政のみならず、国や市町村行政の舞台でも問われることではありますが、自身の信念に基づいた政策を提示することは、政治家の仕事ではないでしょうか。達増知事のお考えをお示しください。
 結びに、達増知事は、補正予算案の公表時の記者会見で、合唱を例に御発言されていると承知をしております。私も合唱経験者でありますからこの際申し上げますが、合唱のすばらしさは、参加するすべての人たちによってハーモニーが成り立つということであります。そして、すばらしいハーモニーをつくり上げるためには、まず声を出すこと、そして、それと同時に、それぞれの奏でる音をしっかりと聞き合うということが必要であります。
 達増知事におかれましては、ぜひ岩手県民一人一人の奏でるメロディーに耳を傾け、世界に通ずる岩手のハーモニーをつくり上げる指揮者として御活躍されますよう御期待を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩渕誠議員の御質問にお答えいたします。
 まず、岩手競馬についてでありますが、私は、岩手県競馬組合の経営状況が悪化した原因は、まず、売り上げ減少局面においても、設備投資による売り上げ拡大という方針を見直さず、さらなる設備投資による売り上げ拡大を志向し続けたこと、そして、このような方針のもとで、コスト構造は売り上げ拡大を前提としたものとなり、売り上げに応じたコスト調整が不十分だったこと、これにより毎年赤字が累積し、現在の経営状況に至ったものと認識しております。これらについては、事業運営監視委員会において、現在、法律、経営等の専門的見地から検証していただいているところであり、これまでの委員会審議を通じて、新盛岡競馬場の建設が、売り上げが減少する中でも計画が見直されず、そのまま進められたこと、売り上げが減少する一方で、委託料等のコスト削減が進まず、経費が増大し続けたこと、繰り上げ充用の制度は一般の県民にはわかりにくく、積極的な説明も不足していたことなどの事実関係がはっきりしてきたところでございます。私は、この委員会における検証を含め、経営悪化に至った経過や原因をしっかりと究明するとともに、それを今後の競馬組合の適正な事業運営に生かしてまいりたいと考えております。
 今後の競馬事業の運営に関しましては、これまでの考え方を転換して、売り上げの変動に応じて、年度途中でも必要なコスト調整を行うなど、現実的な売り上げ見通しに対応したコスト管理を徹底した上で、売り上げ拡大にも積極的に取り組み、収支均衡のもとで競馬事業を安定的に継続していくことが肝要と考えているところでございます。
 次に、財政改革に向けた予算編成のあり方についてでありますが、私は、これからの4年間においては、県財政の健全化を図りつつ、地域経済の活性化や県民生活の向上のために、緊急性、必要性の高い事業を重点的に推進していくことが必要と考えており、そのために、今年度中に新しい地域経営の計画を策定することとしております。この計画においては、4年間の基本政策と行財政改革の推進方策を一体的に取りまとめることとしており、その策定作業を通じて、今後の財政運営のあり方について明らかにしていきたいと考えているところであります。
 予算編成システムの見直しについては、この計画策定の作業とあわせて検討していくべき課題と考えておりますが、いずれにいたしましても、県財政は引き続き非常に厳しい状況が続くと見込まれることから、議員御指摘のような課題も踏まえ、今まで以上に政策の選択と集中による行財政資源の最適配分が可能となるように検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、米の販売戦略の確立についてでありますが、県産米を代表するひとめぼれは、食味ランキングにおいて良食味米と高く評価されていますが、これが販売価格に十分反映されていないのが現状であります。これは、トップブランドであるコシヒカリに比べ全国的な流通量が少ないこと、ブランドをリードするずば抜けた知名度の産地がないことなど、ブランドとして消費者に訴える力が不足していることが原因と考えられ、今後、市場や消費者から県産米が高く評価され、これを販売促進に結びつけていくためには、県産米のブランド化を図ることが重要な課題となっています。
 このため、まず、生産面においては、徹底した土づくりや肥培管理により一層の食味の向上を図るとともに、消費者の安全・安心志向にこたえる特別栽培米の拡大など、こだわりのある米の産地づくりを推進してまいりたいと考えております。
 また、流通面においては、議員御指摘のとおり、高い品質を生かした販売戦略の構築が重要であると考えております。御提言のあった食味値を表示した販売については、県産米の品質の高さや食味のよさを消費者に直接アピールできる効果的な販売戦略と考えられます。具体的な実施に向けては、食味値そのものが消費者に十分に浸透していない、また、出荷単位ごとの食味値の評価方法や流通段階での品質低下の懸念、さらには卸売業者の理解が得られるかといった課題も指摘されておりますが、今後、県産米流通の大宗を担う全農県本部とも連携を図りながら、これらの課題解決に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、こうした検討とあわせて、当面、官民一体となった推進組織による県産米のPRの強化や安全・安心なこだわりのある米が評価される生協などの流通ルートの拡大、さらには、量販店OBなどで構成する食のプロフェッショナルチームによる新たな販路開拓などに取り組み、消費者や市場から本県産米の品質や食味の実力がしっかりと支持されるブランド米を確立してまいりたいと考えております。
 次に、首都圏における県産品の販売体制強化についてでありますが、食料供給基地岩手の地位を向上させていくためには、大消費地である首都圏は最も重要な売り込み先であり、県としても、首都圏における販売促進に向けた取り組みを進めることが重要と考えております。そのためには、東京事務所も一定の役割を果たすことが必要と認識しておりまして、例えば、今月、東京事務所に首都圏での最前線基地として、岩手県県北・沿岸振興本部首都圏営業部を設置したところであり、その設置の際には、私が東京事務所に出向き、営業部とは、職員が営業という意識で、岩手のよいもの、誇るべきものを首都圏の方々に売り込んでいく組織である旨訓示したところであります。
 農林水産物の販路拡大には、生産地である岩手側での取り組みや流通関係団体等と一体となった総合的な対応が必要であり、県の東京事務所は、関係団体の東京駐在等との連携、協力や、これまで培った人的ネットワークの活用等を通じて、そうした販路の拡大を支援していく役割をしっかり果たしてほしいと期待しております。また、東京事務所職員には、各職員が観光、物産、企業誘致、定住交流、医師確保などの幅広い分野におけるセールスマンとしての活躍を期待しております。東京事務所には、こうしたセールス活動にこれまで以上に力を入れてもらいたいと考えておりまして、私のトップセールスや本庁側での取り組みと相まって、県産品の首都圏での販売をさらに促進するよう頑張っていきたいと思います。
 次に、知事のトップセールスについてでありますが、私は、全国に誇れる本県の農林水産物の実力を示し、有利販売に結びつけていくためには、食の安全・安心を基本的価値にとらえて、恵まれた自然環境のもとで、生産者が丹精込めてつくり上げた本県の農林水産物の魅力を強くアピールし、買うなら岩手のものという消費者、市場からの評価を確立することが重要であると考えております。
 このため、私自身も、知事就任後、本県農林水産物の販売促進に積極的にかかわり、民間企業との連携による県内外への積極的な食材の情報発信に取り組むとともに、農林水産物の丸ごとマーケティング等の展開に向けて、農林漁業3団体の包括的業務提携をコーディネートしたところであります。また、来月早々には、私が東京都中央卸売市場大田市場で市場関係者に対して直接県産野菜をPRするとともに、都内の大手食品スーパーの店頭にも出向き、スーパー関係者や消費者に対して、米を初めとする県産農林水産物を丸ごと売り込んでいくこととしております。さらにこれらに加えて、10月には主要米卸業者への県産米のセールス、1月には東京都食肉市場でのいわて牛のアピール、そして10月には東京都築地市場への県産カキのPRなどを行い、できる限り私みずからも先頭に立って、県産品の魅力を市場や消費者に直接アピールし、岩手ブランドの評価向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、平泉の世界遺産登録との関係で、文化芸術振興基本条例に平泉文化を位置づけるべきとの御提言についてでありますが、この条例においては、本県の文化・芸術振興の基本理念や基本方策等について明文化することとしているところであります。世界に誇るべき中尊寺等の史跡、景観について、その思想的背景も含めて県民が広く認識を深めていくことは、グローバル化が進展する中で、県民共通のよりどころとして自己認識の基点ともなるもので、さらには、文化的な伝統を尊重する心をはぐくむことにもつながり、極めて重要であると私も認識しております。
 私といたしましても、こうした平泉文化の重要性を踏まえ、設置を予定しております学識経験者等から成る文化芸術振興懇話会における議論などを通じてこの条例の内容を検討してまいりたいと考えております。
 次に、無形の文化遺産の伝承等についてでありますが、民俗芸能の宝庫である本県には、1、000を超える神楽、鹿踊り、田植え踊りなどが伝えられてきたところであります。これらは、本県の豊かな自然、風土の中ではぐくまれ、人々の社会生活や自然観等を反映しながら伝承されてきた誇るべき財産であり、地域の個性を形づくるものであります。
 私は、本県の文化的魅力、道義的信頼を高めていくためには、これらを保存伝承しつつ、内外に広く積極的に発信していかなければならないと考えております。しかしながら、担い手の確保などの基盤の充実が課題となっており、今後、その解決に向けては、県民の方々が日ごろから伝統芸能に触れ、学び、親しみ、伝承していく、このような取り組みを広く展開していく必要がございます。文化芸術振興基本条例においては、こうした振興策のあり方等を検討してまいる考えであります。
 次に、県外観光客に対応した平泉関連の道路網整備についてでありますが、世界遺産への登録が見込まれている平泉の文化遺産は、本県の観光戦略上最も重要なテーマであり、この世界に誇る文化遺産を有する平泉地域を国際観光文化都市として岩手の観光ブランドとするとともに、その効果を全県下に波及させていくことが必要であります。このため、隣県の観光資源及び仙台空港や三陸縦貫自動車道などの高速交通ネットワークを活用した広域的な観光振興を図ることが重要であります。
 これまで平泉周辺においては、渋滞対策として、国が一般国道4号平泉バイパスを、観光拠点である毛越寺に観光客を誘導するため、県が都市計画道路毛越寺線の整備を進め、今年度、供用開始する予定であること、また、一般国道342号において、市街地部の隘路を解消する花泉バイパスや平泉文化遺産のコアゾーン間を結ぶ厳美バイパスの整備などを進めていること、さらに、渋滞へのソフト面での対策として、特にコアゾーン周辺地域での観光客等の車両への適切な誘導が必要であることから、今年度、観光シーズンに観光客車両等の流動調査を行い、世界遺産登録後の適切な車両誘導対策の実施に生かしてまいることなどを進めているところでございます。
 今後は、本年5月に設置した県内の観光・経済団体や県などで構成するいわて世界遺産観光推進会議において、平泉と他の地域をつなぐ広域的な観光ルートの検討などを行うこととしており、この検討を踏まえ、平泉を中心とした観光を支援する道路整備に努めてまいりたいと思います。
 次に、市町村合併についてでありますが、将来的に四つの広域振興圏も自立するとともに、草の根の地域も守っていくためには、合併による市町村の行財政基盤の強化が不可欠であります。合併新法の期限などを考えれば、私としては、合併推進構想をたたき台として、将来のまちづくりについて、今まさに各地域において真剣に議論していただく時期に来ていると認識しております。そのために、合併すること自体の当否も含め、合併についての諸課題を協議する合併協議会などを関係市町村において早期に設置することが望ましいと考えております。そのような場が設置された場合には、県としても積極的に参加し、住民が的確に判断できるよう、必要な材料の提供や助言、そして国との協議を初め、県としてできる限りの支援を行ってまいりたいと思います。
 次に、私の政治姿勢についてお尋ねがありました。私は、知事選に際し、希望王国マニフェストを掲げ、岩手の危機を希望に変えることを県民の皆様にお約束し、多くの有権者の皆様より御支持をいただいたと認識しております。国政選挙で政権公約として導入されてきたマニフェストが地方の選挙においても定着してきており、地域の将来ビジョンやその実現に向けた政策を有権者と約束することでその政治責任が明確化し、有権者の政治への関心や信頼を高めるなど、民主主義の質を高める重要な役割を果たすものと考えており、今後、マニフェストにある戦略や政策を実行に移し、成果が早期にあらわれるよう全力で取り組んでまいります。
 議員御指摘の、知事は政治家としての言動行動を明らかにすべきという御意見については私も賛成であります。有権者の自由な政治参加を引き出すためには、まず、政治家が自由な政治活動を積極的に行うことが必要だと思っております。知事は政治家であり、知事が政治を恐れる、あるいは政治を避けるといった、政治の自由を萎縮させるような行動をとることは、御指摘のとおり、政治と有権者の距離を遠ざける一因になると思います。政治の本質は自由であり、多様性を認め合うことですから、当然意見の対立や論争が伴いますが、それなしには民主主義はあり得ません。先人や先輩方の努力もあって、岩手ではそのことが有権者に広く浸透しており、政治の分野でも大きな希望があると思います。グローバル化の中で危機に直面する岩手を守り、希望王国を実現するためには、県民と問題意識を共有し、県民の深い理解を得ていくことが不可欠との考えに立ち、みずからの理念や政治信条、加えて分権社会を実現する政治のあり方についても、信念に基づいて、県民に対し直接かつ積極的に語りかけてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 組織改革についてでございますが、今後の県の組織につきましては、厳しい財政状況や市町村への権限移譲などの分権の流れを踏まえまして、総体としては、簡素で効率的な組織・職員体制を構築していくことが必要と考えております。このような流れを踏まえまして、いわゆる管理部門や市町村が主体となるべき行政分野におきましてはこれまでも簡素化を図ってきているところでございまして、今後も、さらにスリムな体制に向け、見直しを続けていきたいと考えております。
 一方で、産業振興などの現場において県が提供すべき行政サービスを担当する部門につきましては、県庁全体の定数削減を進める中においても、いかにサービス内容を向上させるかという観点に立ちながら、必要な体制を確保するよう検討していかなければならないと考えております。
 御指摘の平成18年度における農業改良普及センターの組織改革につきましては、生産者や地域のニーズに的確かつ効果的に対応できる技術レベルの高い支援体制の構築を目指して行ったものでございますけれども、今後におきましても、このような現場における行政サービスの向上を判断の基本に据えながら、最適な組織体制のあり方について検討してまいりたいと存じます。
   〔総合政策室長勝部修君登壇〕
〇総合政策室長(勝部修君) 職員の意識改革についてでありますが、県がこれまで取り組んできた行政品質向上運動は、職員一人一人が顧客の視点に立って、仕事の仕組みや進め方を継続的に改善することにより、質の高い行政サービスを提供していこうとする取り組みであります。具体的には、幹部職員のリーダーシップの向上や社会経済環境の変化への的確な対応など、県の行政を経営的な視点から評価、改善する一連の取り組みとして推進してきたものでございます。この取り組みによりまして、各部局、各課等において、取り組むべき方向性を明らかにした業務方針に基づくPDCA型の業務運営スタイル、すなわち方針策定、実行、評価、そして改善という一連のマネジメントサイクルが定着してきていることであるとか、あるいは改革改善活動に対する職員の意識が向上してきていることなどの効果があらわれてきております。
 しかしながら一方で、これまでの運動を振り返りますと、取り組み手法が画一的であったり、あるいはプロセスの簡素化、効率化に比べて標準化によるサービスレベルの確保が低いことなど課題も明らかになってきているため、外部人材の活用方法の見直しを初めとして、運動の取り組みを県民の皆様にわかりやすくお示しすることなど、行政品質向上運動を再構築するための作業に着手しているところでございます。
 県としては、行財政資源の制約が強まってきている中で、県民の皆様の負託にこたえていくためには、環境変化に迅速かつ的確に対応できる職員の意識改革を一層促進するとともに、これまでの取り組みにより蓄積されましたナレッジを活用して、幹部職員みずからが率先して改革改善を行っていくことが強く求められているものと認識しているところでございます。今後におきましては、これまでの総合政策室など推進部門主導型の進め方を見直し、各職場がみずから考え、実践し、成果を把握していくという各部局自立型の方法で進めるなど、職員のマンパワーが十分発揮できるようなシステムへの転換を含めて、県民本位に立脚した行政経営の実現に向けて取り組んでいく考えでございます。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 県立病院の休止病床スペースの福祉施設としての活用でありますが、病棟休止や診療所化によって生じた病院施設の空きスペースについては、それぞれの病院の状況に応じまして、これまで確保することができなかった急患対応のスペースやインフォームドコンセントの部屋の設置のほか、病室転院の見直しなど、患者サービスや療養環境の向上のために活用しているところでありますが、より一層の有効活用を図るためには、これまで以上に医療と福祉の連携が重要となっております。そのため、福祉サービスなどへの活用も有効であると考えられることから、住民の意向を踏まえながら、地元市町村や福祉担当部局とも十分に連携を図りながら検討してまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 情報インフラの整備の取り組みについてでありますが、平成23年7月のデジタル放送への円滑な移行につきましては、テレビ放送を視聴してきた県民の方々がアナログ放送の終了によってテレビを見ることができなくなるという事態を回避すべく、放送事業者に対しては、整備計画に基づき必要とされる131の中継局の早期設置や、国に対しては、相当数が見込まれる共同受信施設の改修への支援を求めるとともに、市町村に対しては、当該施設改修への早期着手に向けた支援などに取り組んできたところでございますが、今後とも、引き続き必要な対応を強く求めていく考えでございます。
 ブロードバンド・ゼロ地域解消につきましては、平成22年度までに実現するべく、市町村情報化サポートセンターの支援により、この3月に作成した市町村ごとの工程表に基づきまして、市町村において、国の交付金等や6月補正予算に計上の市町村総合補助金を活用した光ファイバーネットワークの公設民営方式の導入を強力に推進していく考えでございます。
 以上のことにつきましては、何よりも県民の方々や市町村の意識喚起が必要であるということでございまして、いわてICTフェアの開催や市町村幹部への啓蒙、意見交換会を順次開催するなど、市町村情報化サポートセンターにより、引き続き総合的に支援してまいります。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 特別支援学校等の整備についてお答え申し上げます。
 これまでの特別支援学校の整備につきましては、重い障害や複数の障害を抱える児童生徒がふえていること、高等部への進学を希望する生徒が急激にふえていることなどの課題に早急に対応する必要があったことから、学級の増設、すなわち教員の増員が優先となり、施設整備には十分に手が回らなかったことは否定できないと考えております。私も本年4月以降、幾つかの特別支援学校を訪問いたしましたが、児童生徒の増加に伴う施設の狭隘化や教室不足については、早急に改善しなければならない課題であると強く認識したところであります。障害のある、なしにかかわらず、どの子供にとっても安全・安心な教育環境を整えることは私どもの務めであり、したがって、平成22年度までは、現在の再編計画で統合を予定している高校の整備や松園養護学校高等部の整備を計画的に進めてまいりますが、23年度以降につきましては、私としては、特別支援学校の現状にかんがみ、可能な限り早い時期に改善が図られるよう、整備計画を検討してまいります。
 花巻農業高校と北上農業高校が統合した新しい花巻農業高校につきましては、本年3月に検討委員会の報告をいただいたところであり、今後、この報告に基づいて、都市型の農業高校として新しい花巻農業高校づくりを進めてまいります。また、校舎等の施設については、今年度に耐震診断を実施し、状況を把握しながら、新たに建設するのではなく、耐震補強と大規模改造により整備することとし、老朽化が進んでいる実習設備については、検討委員会の提言を踏まえて、早急に充実を図る方向で検討してまいります。
 次に、宮城県境における障害児教育をめぐる問題についてでございますけれども、宮城県との県境地域から宮城県の養護学校に入学を希望する児童があるということにつきましては、教育委員会といたしましては、来年度から一関の養護学校と聾学校を統合するとともに、現在、主に前沢養護学校や宮城県の養護学校に就学している知的障害のある子供も就学できる学校にする準備を進めております。基本的には、この一関地区の特別支援学校に入学をしてもらうことが望ましいと考えております。しかしながら、本人の障害の状況や家庭の状況などから、どうしても宮城県の学校に就学することが望ましいと判断される場合にあっては、今後、特例的に区域外の就学を受け入れてもらえるよう、宮城県教育委員会に働きかけてまいります。
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇5番(岩渕誠君) 前向きな答弁が多いことに対しまして、まずもって感謝を申し上げます。前向きな御答弁でございましたので、その実現に向けて御尽力いただきますようにお願い申し上げたいと思います。
 しかしながら、幾つかの点におきまして少しお聞きしたいことがございますので、再質問をさせていただきます。
 まず、医療局長のほうから御答弁がありました診療所など県立医療機関の福祉施設への活用ということでございます。大変前向きな御答弁であったと理解しておるわけでありますが、実は、こうした基本認識は、県においては既に持っていたと私は承知しております。しかし、実態としてこれが進まなかった部分は、これはやっぱり福祉の問題になるのかなというふうに思っております。地域包括ケアプラン、今見直しが進んでいると思いますけれども、実際にそこに入れませんと、なかなか進まないというのが現状だと思います。こういう話になりますと、県は、これは市町村の問題でありますというような答弁が多くなるわけでありますけれども、現実として療養難民が加速度的にふえている、それに伴って、家庭の苦労も大変大きいということにかんがみまして、これまでの待ちの姿勢ではなくて、積極的にメニューを公開するなどして、市町村への参加を呼びかけるべきではないでしょうか。
 それから、この包括ケアプランの見直しではなくて、老人居宅型の施設ということでの対応であれば、特区などを導入しなくても、これは今すぐにでもできる話だと思います。この辺について、県はどのようにお考えなのかをお聞きしたいと思います。
 次に、農産品を中心とする県産品の販売対策でございます。
 非常に御努力いただいた答弁だというふうに認識をしておりますけれども、実態から申しますと、兼任辞令では、その力のかけ方というのがおのずと変わってくると思います。
 他県の例で恐縮でありますが、秋田県、これはことしの4月から専門職員を2人、東京の事務所に配置をしているはずであります。やはり地域間競争が激しい中で、どうやってマーケットの最前線に対して活動していくか、これをきちんとしていませんと、本当に立ちおくれにつながるというふうに思っております。
 実態を見ますと、今、農林水産品の話でございましたからそれに少し限定をしますが、5階でやっている流通課でもその対策というのをやっているんですが、2階の商工労働観光サイドでも、食産業の集積あるいはインストアショップへの県産品の売り込みということで商品開発も含めてやっている。私は、それはそれで大変にすばらしいことだと思いますし、特にも、食産業関連の開発ということでなさっている商工労働観光部の取り組みについては高く評価をするものでありますが、しかしながら、全体の印象で見ますと、岩手ブランドという全体のイメージがなかなか伝わりにくい。しかも、この盛岡からの、本庁からの発信力というのは非常に弱いというふうに感じております。
 かつては、岩手ブランド推進室というのが県庁内にはあったと思います。とにかく、岩手のものを包括的に売り込んでいくということが必要なんだと思うんです。幸いにして、農林漁業団体の方で、包括的な組織が御尽力によって立ち上がったということでございますので、これに呼応して、県としてもぜひそういった組織を立ち上げて、これを前面に岩手ブランドをお知らせしていく、そういう工夫が必要だと思うんです。これは農林水産品だけではなくて、さまざまな岩手県内の新しいものについても、取り入れられる可能性があると思います。例えば、産学官連携によりまして、岩手県南技術センターで今開発を進めておりますオゾン発生器、これも高い評価がありますけれども、なかなかマーケットの中には乗ってきておりませんので、こういった産業サイドのブランドについても、一括的に取り扱う必要があるのではないかなというふうに思っております。
 それから、もう2点あります。
 難視聴対策でありますけれども、地上デジタルの完全移行というのは、実はこれは大変盲点がございまして、今見えているところに対しては100%に近いぐらいのケアをしなさいと。これは国の指導でございますが、しかしながら、今見えていないところに対しては、これは何の指示もないわけであります。しかし、現実問題として、難視聴地域を抱えて今見えないところをどうしていくか、これが大変大きな問題でございまして、これにつきましては、ブロードバンドの環境整備とあわせてしっかりとやっていくという、こういう御認識を持っていただかなければ、見えないところはいつまでたっても見えない、こういうのが続くわけであります。ぜひ、その点からの検討をお願い申し上げたいと思います。
 それから、私の質問の中でたびたび宮城県との関係が出てきまして、先ほどは相澤教育長のほうから大変前向きな御答弁をいただいたわけでありますけれども、いろんな分野でこういう問題が、県境についてはあるわけですけれども、今までこうした問題は宮城県とのおつき合いの薄さがゆえに、状況を把握していないというケースが間々見られます。
 これまで、北東北を中心にした行政的な視線が多かったんじゃないかなと、こういうふうに思うわけですけれども、お隣は秋田県でもありますし、青森県でもありますし、宮城県でもございます。ぜひ、達増知事におかれましては、宮城県の村井知事とは既に会談をなさったようでありますけれども、世界遺産でも協力をしたいというお考えを宮城県のほう、持っている自治体も多ございますし、きのうの宮城県議会では、村井知事が松島の世界遺産についても登録を目指したいと、こういう御発言をなさっております。この際、やはり宮城県との連携についても、諸問題の解決の観点から、サミットなど定期協議の場を設けるべきだというふうに思っておるんですが、この辺についてお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手ブランドについてでありますけれども、岩手ブランドといいますのは、買うなら岩手のもの、また、雇うなら岩手の人ということで、これはあらゆる分野において、何でもかんでも岩手という定評を確立していこうというものでございます。そういう意味では、岩手県庁全体が岩手ブランドを推進する組織として取り組んでいかなければならないのではないかと思っておりますし、東京事務所も総務部の下にありまして、分野横断的に取り組んでいく体制になっておりますので、頑張っていきたいと思っております。
 岩手ブランド確立のためには、まだまだ努力また工夫の余地があると思っておりますので、いただいた御意見を参考にしながら進めてまいりたいと思います。
 そして、宮城県との協力、松島のことにも言及をされましたけれども、いろいろな前向きな連携協力、可能性が開けていると思います。そういう意味で、私も、全国知事さんたくさんいる中で、まず村井知事に表敬のあいさつに行きまして連携協力を申し入れ、賛意をいただいたところでございますけれども、御指摘ありましたような学校の問題、そういった解決すべき課題についても、県と県との間でしっかりと解決していけるような取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 今、旧花泉病院の病棟利用の関係でお話がございましたけれども、介護サービスをどう組み立てていくかというのは、基本的には、市町村にやはりお考えいただくことではないかなと思っておりまして、どういったサービスをその市町村でどう展開していくかということ、資源の利用も含めまして市町村に十分に御検討いただかなければならないと考えておりますが、ただ、今議員から御指摘がございましたけれども、施設整備の参酌標準が非常にかたく決められているといったことなんかもありまして、市町村が現実の問題として、なかなか新しいことに対する取り組みができにくい場合もあるのではないかなと考えております。そうした部分については、やはり県としてもさまざまなアイデアなりあるいは考えをお示しして、市町村と一緒に取り組んでいく必要があるんではないかなと思っております。やはり、既存の施設をうまく使いながら、地域の人たちのサービスを高めていくということは非常に大事なことではないかなと考えておりますし、殊にも、医療機関と近接しているような建物というふうになっておりますので、先ほど御提案がありましたけれども、居宅型で外部からの介護サービスを導入するようなやり方でやれないかといったことも含めて、医療局とも連携しながら検討を進めさせていただきたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 難視聴対策ということでございまして、いわゆるデジタル化、携帯電話、ブロードバンド環境整備、こういったことにつきましては、地域社会の必要欠くべからざる基盤ということで、これは地域振興部、県としても挙げて一生懸命取り組んでおるわけでございますが、今問題点として指摘のございました、いわゆる難視聴地域をどうするかということでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げた中に、いわゆる光回線を敷くということによりまして、例えば一関などにおきましても、ことしの秋をめどに、いわゆる一関市内域に光ファイバーを敷設いたしておるわけですが、これを例えばケーブルテレビ事業者などに一部開放するといったような考え方もございまして、そういったことによって、例えば県境においていわゆる岩手の放送が見られないといったような事態が解消することができるということでございまして、県としても、こういった一関市のようなケースというものをほかの市町村の方にもいろいろと活用するように、サポートセンターでもって市町村に対して後押しをしていきたいと、そのように考えてございます。

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