平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(高橋元君) この4月の県議会議員改選に当たり、初めて議席を賜りました、ものづくり産業の現場に籍を置く民主・県民会議の高橋元であります。もとより浅学非才の身でありますが、県民生活の向上、県勢の発展に微力ながら尽くしてまいりたいと意気込んでおりますので、議員諸兄並びに執行部の皆さんの御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
 所属する会派の先輩議員並びに同僚議員各位の御配慮により、改選後初の定例議会において一般質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
 私は、がん撲滅対策、医療の充実、岩手の集落と自治組織、ものづくり産業の活性化、農林水産業の振興の5項目について御質問いたします。
 第1の項目、がん撲滅対策についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、がんは昭和56年に日本人の死因のトップに登場し、平成17年には、亡くなられた方の3人に1人、約32万5、000人ががんで死亡したとされ、また、平成27年―2015年には、推計で死亡者の2人に1人ががん患者と言われております。本県における平成17年のがんによる死亡者数は4、089人で、全死亡者の27.9%を占めており、昭和59年以降、死因順位の第1位となっているとされております。一方、納得できる治療を求めて悩んでいるがん難民は、がん患者の53%、全国で推計約68万人に上ることが民間研究機関の分析で明らかになり、その実態は、平均して3カ所の医療機関を受診し、医療費はそれ以外のがん患者の1.7倍を要しているとのことであります。また、がん患者の年間医療費負担額は約120万円との調査もあり、複数年にわたる医療費の確保や終末期の介助は、がん患者を抱える家族、家庭において心身ともに過酷な状況下にありますことを、私も妻のがん闘病において身をもって感じております。このように、がん疾病は国民、県民の健康的な生活に大きな影を落としており、予防施策の推進、早期発見・早期治療、高度な医療体制など、がん撲滅に向けた諸施策の実行が今強く求められております。
 そこで質問の第1は、本県がん対策推進計画策定について伺うものであります。
 国においては、本年4月にがん対策基本法が施行され、6月には、この法律に基づき、がん対策の具体的な目標を定めたがん対策推進基本計画が策定されたところであります。この計画は、がん対策の基本的考え方を定めるとともに、都道府県がん対策推進計画の基本となるものとされておりますが、本県では、がん対策の基本的方向について、どのような考えのもとで進めていこうとしておられるのか、県計画の具体的な策定スケジュールはどのようになっているのか、あわせてお伺いいたします。
 質問の第2は、がん診療連携拠点病院の整備について伺うものであります。
 1点目は、県立がんセンターの整備構想についてであります。本県におけるがん診療は、がん医療を専門的に担うセンター病院が整備されておらず、個々の病院ごとの対応にゆだねられてきております。現在、既に宮城県や新潟県、栃木県、静岡県など他の都道府県においては、がん医療を専門的に担うセンター病院が整備され、がん治療とがん予防に多大な成果を上げておりますが、本県でも専門のセンター病院を整備し、さまざまながんに対し高度な治療を受けられる体制にすべきと思いますが、そのような考えはないのでしょうか。また、独立したセンター病院の整備が難しければ、現存の病院を拡充し、センター機能を持たせるというような考えはないのでしょうか、お伺いいたします。
 2点目は、県がん診療連携拠点病院の指定についてであります。厚生労働省の指針に基づき、がん医療水準の均てん化の実現に向け、地域におけるがん診療連携を推進し、質の高いがん医療を提供する体制を確保することを目的に、県内に1カ所整備するとされている県がん診療連携拠点病院の指定について、本県からは、これまでに県立中央病院、岩手医科大学附属病院の2病院が推薦されましたが、求められた機能要項が一部未整備で、指定を見送られた経緯があると承知いたしております。県がん診療連携拠点病院の指定について、今後どのように考えておられるか、お伺いいたします。
 3点目は、中部地区統合新県立病院における地域がん診療連携拠点病院の指定についてであります。二次医療圏に1カ所程度整備するとされている地域がん診療連携拠点病院については、本県はこれまでに県立中央病院及び二戸病院が指定を受けており、今後、各医療圏ごとにこの拠点病院の整備を進めていくものと考えます。県立病院の再編により、新たに地域の中核病院として整備される花巻厚生・北上統合病院の指定に向けた専門医の配置、医療機器の整備など、今後の具体的な整備計画をお示しいただきたい。
 伺うところ、近年、北上南部工業団地に進出された企業は、全身のがん転移を瞬時に検査できるPET-CTに使用される検査薬を製造する企業ということで、新病院へのPET機器の導入とあわせ、放射線治療の開始で地域がん診療連携拠点病院の指定がなされることを圏域の患者並びに患者の家族から熱いまなざしのもとに待たれておりますことを申し添えます。
 質問の第3は、がん予防施策について伺うものであります。
 がんの発生部位は、全国統計によると、多い順に、男性が肺がん、胃がん、大腸がんであり、女性は、子宮がん、胃がん、肺がんの順であります。本県においては、男性は、胃がん、大腸がん、肺がんであり、女性は、大腸がん、乳がん、胃がんの順であります。がんの予防施策については、がんの早期発見に向け、県内各市町村でがん検診が実施されておりますが、県では、検診内容や検診率、検診結果及び動向をどのように把握し、分析しておられるのでしょうか。また、再検査を必要とされた県民の再受診など、がん検診は有機的に行われているのかお伺いいたします。
 また、欧米では、州など地方レベルでも発がん物質の調査や含有商品の周知などがん予防活動が盛んで、治療対策と相まって、がんによる死亡者が年々減少するなどの効果につながっているとされております。本県において、国内外のがん予防策を調査し、有効的ながん予防策を県民に周知して、がん撲滅に向けた予防施策を充実すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 質問の第4は、がん患者の会活動支援について伺うものであります。
 がん患者とがん患者を支える家族は、心身ともに大変つらい闘病生活を強いられております。医療分野において、終末医療など緩和ケアが充実してまいりましたが、患者及び家族の心のケアは、個々の取り組みによるところが大きいのが現状ではないでしょうか。県内外でいわゆるがん患者の会が組織され、がんに対する情報交換や日常の生活アドバイスなど、その活動を通じて、患者や家族の心のよりどころとして、精神面で非常に大きな支えとなっております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 がん対策においては、医療面での対策の充実とともに、心のケアを充実させる意味で、がん患者の会の組織化、活動支援などを医療と両輪で推進すべきものと考えます。県内のがん患者の会の実態を把握し、組織化や活動を支援すべきと思いますが、そのような考えはないのか、お伺いいたします。
 次に、第2の項目、医療の充実について御質問いたします。
 質問の第1は、医療従事者の人材確保と養成について伺うものであります。
 医療の現場を担う医師、看護師、助産師などの医療従事者の確保が本県医療の充実には不可欠なわけでありますが、こうした医療に従事する人材の県内における充足状況は、どのようになっているのでしょうか。特に、昨年の診療報酬の改定に伴う配置基準見直しにより看護体制強化の動きが加速化し、全国的に看護師の募集が増加していると聞いていますが、本県における看護師の人材確保は大丈夫なのか、お尋ねします。
 また、医師を初め医療系の大学への進学は授業料等が高額で、保護者にとって大変大きな費用負担となっております。県内大学に限らず、将来、岩手の地域医療を担う志ある優秀な人材が多数進学できるよう、奨学制度のさらなる充実を図るとともに、県内外の卒業生の県内就職と定着を高める施策を講ずるべきではないでしょうか、お尋ねいたします。
 質問の第2は、県立病院における医療従事者の待遇改善についてであります。
 全国的な医師の絶対数の不足、医師の地域遍在の状況下において勤務医の開業医志向もあり、県立病院においても医師の不足が顕著になっております。加えて、最近では患者の権利意識が高まり、インフォームド・コンセントや医療安全対策の充実等が求められるとともに、福祉施設との連絡調整や診断書、意見書の作成等事務的業務も増加し、医師の勤務環境はますます悪化しているとのことであります。診療に係る間接的業務や事務的業務は可能な限り医師以外の職種に移行し、医師の勤務環境の改善を図るべきと考えますが、県立病院における現在の状況と対応策をお伺いいたします。
 また、勤務医は宿直や休日当番、長時間勤務などから敬遠され、看護師においても同様な状況から、再就職者に敬遠されていると聞きます。人材確保上からも、勤務体制や賃金、手当等、待遇の見直しと改善を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。
 質問の第3は、県立花巻厚生・北上統合病院への交通アクセスについてお伺いいたします。
 県立病院の再編統合が進められる中にあって、交通アクセスの問題は、統合圏域の利用者の利便性を損なわないよう、病院の整備と一体的に対応すべき重要課題と考えるものであります。県立花巻厚生、北上両病院が統合する中部地区の統合病院は、両市の市境に、21年春の開業を目指して工事が進められておりますが、両市街地及び東和地区からの通院が予測される中、自家用車による通院に向けた道路網の整備、高齢者や学生などに対応するバス等公共交通機関の利用体制、利用者の利便性を踏まえ、交通アクセスの確保対策は万全であるのか、お尋ねします。
 次に、第3の項目、岩手の集落、自治組織について御質問いたします。
 質問の第1は、限界集落の再生、再編について伺うものであります。
 昨年の国による調査では、本県において抽出した集落中、65歳以上が50%を超えるいわゆる限界集落が82集落とのことでありました。本県は、四国4県に匹敵する広大な県土を有し、奥羽山脈や北上山地の山合いに多数の集落が点在する現状にあり、そのような中、高齢者のひとり住まい、老夫婦だけの世帯は年ごとに急増しており、医療や福祉の充実、安心安全の生活上からも、集合住宅への居住変更など、本県として集落再編に向けた指針の検討を早急にすべきと感ずるところであります。
 そこで伺いますが、55歳以上の準限界集落も含め調査を早急に実施し、集落の再生や再編について検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 質問の第2は、町内会、自治会の育成について伺うものであります。
 人口の減少と高齢化の進行に加え、分権や合併に伴う地域への権限移譲が予測される中、町内会、自治会の果たす役割はますます大きくなってきているものと考えます。知事の提唱する新地域主義戦略のもと、組織体制の整備やリーダーの育成など、町内会、自治会をどのように育成していくお考えか、お尋ねいたします。
 質問の第3は、地域金融機関の確保について伺うものであります。
 本年10月に郵政が民営化となり、加えて、県内における農業協同組合も6農協体制へと経営統合が加速するなど、地域密着型の金融機関が消滅する危機にあるのではないかと懸念されております。こうした地域の金融機関は、役場や学校などの公共施設と同様、生活のかなめであり、地域の活性化はもちろん、犯罪防止上からも適正配置が望まれるものと思いますが、県では、草の根地域を支援し守っていく観点から、地域金融機関の確保についてどのようにお考えでしょうか。また、県としての指針を示し、関係機関に存続を働きかけるべきと思うところですが、そのような考えはないのか、お伺いいたします。
 次に第4の項目、ものづくり産業の活性化について御質問いたします。
 質問の第1は、企業誘致活動について伺うものであります。
 本県における代表的な進出企業は、自動車産業関連企業と電機産業関連企業でありますが、特定の産業だけが集中し企業集積されますと、景気の動向、産業や企業の好不況の波により、地域経済が大きな影響を受けることが懸念され、幅広い産業や業種を視野に入れた誘致も必要と考えるものでありますが、県においては、自動車産業関連企業と電機産業関連企業以外の他産業の企業誘致について、どのような考え方で取り組んでいるのか、お伺いいたします。
 先ごろ報道のあった経済産業省の企業誘致アシストランクにおいて、13道府県が総合評価で企業の満足度が高く、本県の評価は人材支援のみでありました。県では、誘致活動において、企業の進出ニーズ、判断要素をどのようにとらえ対応策を講じているか、お尋ねいたします。
 JR新幹線内の座席ラックにあるJRマガジン・トランヴェール6月号に、独自性豊かな立地環境の福島県にお越しくださいとの、福島県による企業誘致広告が掲載されておりました。他県の取り組みを分析するとともに、本県における許認可手続の迅速性、税制などの優遇制度の評価を上げ、総合評価を高くすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、県と市町村が個別に誘致活動を進めることによって、事後調整など連携の不備により、他県に誘致を許す心配があると思うところでありますが、市町村の企業誘致活動との連携をどのように進めているのか、お伺いいたします。
 企業誘致は、私が申すまでもなく、絶え間ないアプローチと人脈、本県の受け入れ体制の充実であります。特にも、関東、中部、関西地区の企業集積地帯において活発な誘致活動を行っておられると思うところでありますが、県外の県事務所は、誘致活動にどのような役割を果たしているのか、あわせてお聞かせ願います。
 質問の第2は、ものづくり人材の育成についてであります。
 今、ものづくり産業の企業がどのような人材を求めているのか、誘致企業と地場企業、自動車産業とIT産業など、企業規模や業種により求める人材は異なります。また、金型製作、部品や製品製作あるいは材料加工、メンテナンスなど、業種や部署においても求める人材は異なります。旋盤やNC旋盤操作、FA操作、パソコンでの三次元設計、配電設計や電気工事、廃水処理等の環境対策業務など、多種多様な人材が求められております。
 東北唯一の完成車組み立て工場の立地に対応し、東北6県が連携して地元からの部品調達率を高めようと、東北自動車産業会議が設置されております。しかしながら、地場の企業力でかなり先を走っているのは、自動車部品工場が早くから進出している宮城県、福島県であります。この2県と本県では、さまざまな進出条件でかなり大きな溝があると私は感じており、全県を挙げて早急に人材の養成、地場企業の技能・技術力の向上、設備の高度化を図っていかなければ、産業としてすそ野の広い部品・部材供給は他県に流れ、本県のものづくり産業の振興とはなり得ないと思うところであります。
 達増知事は、県北・沿岸のものづくり産業の振興に補正予算を組まれましたが、ものづくり産業の振興の上で、全県に展開する本県の工業高校の技能・技術力のアップが大きなかぎであると私は思っております。しっかりした技能・技術を身につけた卒業生が地元に定着し、地場企業が大きな力を蓄える。そのことによって、県内全域で部品・部材供給体制が構築されるものと思うところであります。
 平成17年度から、工業高校において、国家資格である旋盤技能士2級が在学中に取得できることになり、自動車産業などが集積する愛知県の工業高校では、これに積極的に取り組んでいると聞いております。本県の工業系の高校において、旋盤技能士2級の資格取得への取り組みはどのようになっているのでしょうか。また、他の教科においても同様な取り組みとなっているのか、お伺いいたします。
 私は、先ごろ、県内工業高校2校を視察いたしましたが、生徒が卒業後、即戦力で就業できる技能習得環境とは思えず、特に盛岡工業高校に至っては、歴史と伝統を学習機器・備品に感じ、あたかも、博物館に足を運んだように思ったところであります。実情は、技能を学習する機器は昭和40年前後のものなど、相当な年数を経過したものが多数あり、交換部品がなく使用できないもの、危険で生徒がさわれないもの、技能を学習しても就職先で同様な機器はなく、再教育を受けなければならないなど、優秀な人材、高度な技能を持った人材の育成をできる学習環境とは言いがたいように感じられるものでありました。ほかの工業高校においても、そう変わりはないとのことであり、この際、各工業高校とも技能学習機器の総点検を行い、計画を組んで最新の技術水準にマッチした機器に更新すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、基礎技術と最先端技術を学ぶ工業高校において、いまだDOSで動くパソコンが多数散見されました。これでは、本県の教育水準やものづくり人材の育成意欲を疑われてしまうのではないでしょうか。重点化を図り、計画的かつ速やかな更新を図るべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、5項目の農林水産業の振興について御質問いたします。
 質問の第1は、増養殖漁業の振興について伺うものであります。
 現在、中国、韓国において日本型魚食文化がブームとなり、日本近海の漁業は、競争と乱獲の時代となってきていると聞いております。また、乱獲のみならず、東シナ海、日本海での海洋汚染による漁獲量の減少、海水温度の上昇による沿岸漁業の変化など、新たな問題・課題がある中で、これまで培ってきた増養殖漁業に大きな光が差してきたように思います。魚介類の輸出など、水産のグローバル化に対応した本県増養殖漁業の競争力の向上のための取り組みはどのようになっているのか、現状と今後の方針についてお考えをお示し願います。
 淡水の海水化が研究され、商業ベースに乗りつつあるとの話を耳にしております。これが実用化されるならば、有力な産業がない山間地において、山間からの良質な湧・冷水を利用し、北洋に回遊する魚類の養殖により、雇用創出や地域の所得向上も夢ではないと思うので、沿岸に限らず、増養殖漁業には大きな希望の光が差していると期待するものであります。
 質問の第2は、小規模農家への支援策について伺うものであります。
 国は、認定農業者や集落営農団体への支援策を強化し、小規模農家への支援を打ち切りました。中山間地に小規模農家が点在する本県にとって、厳しい方針であります。食料供給基地岩手に向けて、4ヘクタール未満の小規模農家への支援策を検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 終わりに、さまざまな困難な県政課題が山積する中、危機を希望に変える大きな志を掲げ知事に就任された達増拓也知事に、深甚なる敬意と感謝を申し上げますます。
 知事とは、国政に初出馬された公示の日からのおつき合いでありますが、若さに加え、政党政治を確立され、国政に希望を生み出した郷土の宰相・原敬先生に通ずる逸材であると私は思っております。思う存分手腕を発揮していただきますよう希望いたします。
 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、県のがん対策推進計画についてでございます。
 がんによる死亡者数は年々増加し、死因の約3割を占め第1位となっており、また、今後、高齢化の進展に伴って、がん患者のさらなる増加が予想されております。
 国の研究班の推計によれば、日本人男性の2人に1人、女性の3人に1人が生涯を通じてがんになるとされているなど、県民の健康を守る観点から、県民が必要な医療を受けられる体制の整備など、がん対策の充実は喫緊の課題と考えております。
 今般、国において、国民のがん対策の充実を求める声にこたえて策定したがん対策推進基本計画は、これまでのがん対策の成果を踏まえつつ、がん患者を含めた国民の視点に立ってがん対策を進めていくこととし、がんによる死亡者の減少、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上を目標にして、がん医療の全国への普及を中心に、がんの予防、早期発見、医療機関の整備、がん登録、がん医療に関する相談支援及び情報提供などについて、総合的かつ計画的に推進することとしています。
 こうした国の取り組みは、県民が安心して納得できるがん医療を受けられるようにすることに通じるものであり、県としては、国の施策と緊密に連携しつつ、本県としてのがん対策を進めていく必要があると考えております。このため、現在、県内の有識者による検討会を設置し、本県のがん医療のあり方について検討をいただいているところでございます。
 本検討会においては、がん診療の受診率向上、手術療法、化学療法及び放射線療法を組み合わせて行う集学的治療の実施、がん治療と並行した早期からの緩和ケアの普及、がん医療を担う人材の育成などの課題が指摘されており、こうした課題に適切に対応し、本県のがん対策をさらに推進するため、県のがん対策推進計画を年度内に策定してまいりたいと思います。
 次に、がん患者の会活動支援についてでありますが、がん患者やその家族による団体は、県内には盛岡、北上、県北・沿岸などに7団体程度と承知しております。これらの団体は、がんという共通の悩みを抱える方々が相互に交流し支援し合う活動を行っており、闘病生活を送っている方々にとって大きな支えになっているものと考えます。県としては、これらの団体が広く県民を対象とした普及啓発活動を行う場合などに、県が出資した財団法人岩手県長寿社会振興財団の高齢者保健福祉基金の活用により、助成し支援をしております。また、緩和ケアの推進などにおいて、患者や御家族から御意見を伺い、在宅緩和ケア体制の整備などに反映してきたところでございます。
 県では、今年度末までにがん対策推進計画を策定することとしており、がん医療に関する検討会を設置し検討を進めておりますが、この検討会のメンバーとして、患者の会にも参画していただいているところであります。
 今後とも、患者の会の活動を支援するとともに連携を図りながら、本県のがん医療の充実を図ってまいりたいと思います。
 次に、町内会、自治会の育成についてでありますが、町内会等は、市町村合併などにより行政の広域化が進む中で、草の根の地域として、まちづくり、防災、環境保全等の地域課題解決の役割を有し、それら能力をこれまで以上に高めていく必要があると認識しております。これまで、市町村においても、そのための施策を進めてきているところでありますが、人口減少や少子・高齢化の影響などに加え、住民の意識の変化等もあり、その機能の低下が懸念されるところであります。
 このようなことから、私といたしましては、6月補正予算で創設する草の根コミュニティ再生支援事業において、市町村との連携のもとで、大学等の協力も得ながら、町内会、自治会を含めたコミュニティの実態調査や、リーダー養成を行うなどにより、その維持、再生に向け努力してまいりたいと思います。
 次に、地域金融機関の確保についてでありますが、本県においては、地域住民が年金の受け取りや各種サービス料金の払い込みなどに農業協同組合や郵便局といった地域の金融機関を利用しており、これらは、生活に必要欠くべからざる基盤であると認識しております。
 農業協同組合では、その合理化のために店舗統廃合をしたとしても、渉外員の巡回強化や年金等の宅配等の実施により、利便性を確保すると聞いております。また、郵便局にあっては、過疎地については郵政民営化後においても、法の施行の際、現に存する郵便局ネットワーク水準を維持するとされております。
 このような取り組みにより、地域金融機関のサービスが維持され、県民生活に大きな影響が生じることがないよう、期待したいと思います。また、県としては、民営化後の郵便局のサービス動向については、今後とも地域からの声に耳を傾け、注視してまいります。
 次に、企業誘致についてでありますが、雇用の場を確保し、地域経済の活性化を図るために、企業誘致の促進は重要な課題と認識しているところであり、業種に偏ることなく、幅広く誘致活動を展開していくことが必要と考えております。このような中、北上川流域においては、自動車関連産業や半導体関連産業を中心に企業の集積が進んでおり、これらの産業は本県の基幹産業であり、すそ野の広い産業として経済的波及効果も大きいことから、今後も重点的に、その誘致や集積に取り組む必要があると考えております。
 また、県北・沿岸地域においては、近年、食品、造船、コネクター、空気圧機器等の分野で核となり得る企業の立地や集積が見られることから、こうした企業のさらなる増設や関連企業の誘致に努めてまいる考えであります。
 今後とも、私自身がみずから先頭に立ちトップセールスを行うとともに、市町村とも一体となって、企業の誘致に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、増養殖漁業の振興についてでありますが、本県の増養殖漁業は、海面漁業総生産額の約6割を占める重要な部門でありますが、近年、就業者の減少や水産物流通のグローバル化が進展する中で、本県漁業の振興を図るためには、その競争力の向上が重要な課題となっております。このため、漁協が取り組む地域営漁計画の策定と実行を支援し、漁場の生産性を高める担い手を育成するとともに、養殖生産の効率化のための技術や、中国で急激に需要が伸びているナマコの増養殖技術の開発、漁業者と加工業者の連携による前浜資源の加工利用の高度化、中国や東南アジアをターゲットにした戦略的な輸出の促進等により、市場性の高い水産物の産地形成に努め、本県増養殖漁業の競争力の強化を図ってまいりたいと考えております。
 また、御指摘のありました海水、淡水、新しい技術を用いた海から離れた立地における増養殖については、今後、研究をしてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) まず、がん専門のセンター病院の整備についてでございますが、がん医療は飛躍的に進歩しておりまして、県民が専門的医療を利用できる環境整備は大変望ましいものと考えております。しかしながら、本県におきましては、すべての医療圏の病床数が医療法に規定されております基準病床数を超えている、いわゆる病床過剰地域となっているため、病床の増床を伴った新たな病院を開設することは規制されているところでございます。こうした状況によりまして、現状では、がん医療を担う専門のセンター病院を新たに整備することは困難な状況と考えております。
 既存の病院を充実し、センター機能を持たせることは、今後とり得る方策の一つとしては考えられるところではございますが、県といたしましては、当面、国が整備を推進しておりますがん診療連携拠点病院の制度を活用し、本県の医療機関ががん診療連携拠点病院の指定を国から受けられるよう働きかけ、また、指定を受けた後も引き続き拠点病院の機能強化を支援していくなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 この県がん診療連携拠点病院の指定についてでございますが、この病院は、今後、本県のがん診療の水準向上とともに、地域の医療機関に対する支援を通じ、質の高いがん診療の普及促進に大きな役割を担うものと考えております。現在、県内の有識者により構成される検討会において、県内のがん医療のあり方について幅広く検討をいただいているところであり、こうした検討結果も踏まえまして、今年度においても国への指定推薦に向けた取り組みを進めたいと考えております。
 次に、がん予防施策についてでございますが、まず、検診状況でございますが、がん検診は、県内全市町村において、40歳以上の方を対象に、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん検診が、20歳以上の方を対象に子宮がん検診が1次検診として実施されております。県内のこうしたがん検診の受診率は全国平均を上回っておりますが、おおむね20から30%台となっておりまして、必ずしも高いものではないと考えております。1次検診の結果による要精密検診率は、平均で5%程度でございます。これらの方々、要精密検診となった方々が受ける精密検診の受診率は80%を超えておりまして、市町村の保健師などによる受診勧奨の成果とは考えておりますが、1次検診も含め、受診率の一層の向上が必要と考えております。また、県生活習慣病検診等管理指導協議会といった組織において検診状況の分析を行っておりますし、県医師会に県が委託して、地域がん登録事業といったものも行っております。こうした協議会や事業のデータ分析などからも、検診の重要性といったものは明らかになってきております。
 県では、本年度中の策定を予定しておりますがん対策推進計画に受診率の向上についても目標に掲げ、市町村等と連携し、受診率の向上を図ってまいりたいと考えております。
 がんの予防についてでございますが、本県では、県環境保健研究センターにおいて、死亡動向などの分析から本県のがん死亡の特徴などについて研究し、その結果を本県の健康づくり施策に反映しているところでございます。がんについては、国際的にも、発生要因の約30%が喫煙、35%が食生活、残りが肝炎ウイルスや物理的環境などによるものであることが明らかになってきておりまして、予防対策については、喫煙、受動的喫煙も含めたたばこ対策や食生活の改善が重要なポイントとされているところでございます。
 県としましては、がん予防の観点から、健康いわて21プランなどの健康づくり計画の推進を通じ、県民に禁煙の実行や食生活の改善について周知を図ってきたところでございますが、現在、今年度末までに新たな健康づくり計画やがん対策推進計画を策定することとしておりますので、この策定作業を通じて、こうした事項の強化についても盛り込んでまいりたいと考えております。
 次に、医療従事者の人材の充足状況についてでございますが、医師法等の資格法に基づく主な医療系の職種は20種以上ございまして、配置すべき標準数が定められている職種はこのごく一部でございます。すべての職種について充足状況を把握することは困難でございますが、医療法によりすべての病院に配置が求められております医師、薬剤師、看護職について、配置すべき標準数について平成18年度の状況を見ますと、県内103病院のうち、医師については36病院、薬剤師については17病院、看護職については2病院が配置標準数を満たしていないといった状況にございます。この中で、看護職につきましては、平成18年度の診療報酬の改定によりまして、手厚い看護体制に診療報酬上の高い評価がなされたところでございまして、看護職の需要が高まり、大規模な病院での大量募集が報道されているところでございます。現状では、県内の病院の状況を見ますと、主な病院では募集を超える応募があるところで、必要な看護師は確保される見込みであると伺っておりますが、今後の動向を注視する必要があると考えているところでございます。
 次に、奨学金制度の充実と県内への就職、定着を高める施策についてでございますが、医療従事者の中でも、特に医師の確保と看護師の県内定着が課題であると考えております。当面は、この医師と看護師の定着に重点的に取り組んでいく必要があるものと考えております。とりわけ医師の確保は県政の最重要課題の一つでございまして、岩手医科大学医学部の定員増に向けた取り組みの一環として奨学金制度の拡充を検討してまいりますほか、医師確保対策アクションプランを積極的に推進するとともに、医師のキャリア形成にこたえる医療環境の整備等を進め、本県の医師確保対策の競争力を高めることにより、医師の県内定着を図ってまいりたいと考えております。
 また、看護師につきましては、修学資金の貸し付けを行っておりますほか、就業相談や再就業に向けた講習会の開催等を内容とするナースセンター事業の実施などを通じて、県内への就職と定着を促進してまいりたいと考えております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) まず、花巻厚生・北上統合病院の地域がん診療連携拠点病院の指定に向けた整備計画についてでありますが、現在、整備を進めている花巻厚生・北上統合病院については、平成16年2月に策定した基本構想において、岩手中部保健医療圏におけるがん治療の中心施設として位置づけておりまして、地域がん診療連携拠点病院の指定要件も念頭に置きながら、専門医の確保について調整を進めるとともに、PET-CTなどの最新の診断機器の整備、緩和ケア病棟の整備などを進めております。
 次に、医師の勤務環境の改善についてでありますが、医師の業務のうち、臨床検査など医療技術者に業務移管の可能なものについてはこれまでもできるだけその推進を図っているところであり、例えば、循環器、消化器領域における超音波検査については、平成19年4月現在で16病院で臨床検査技師に業務を移管しており、今後も引き続き対象病院の拡大を図っていきます。
 また、医師の事務的業務については、診断書の作成などで医師の負担が重くなっているものがあることから、その実態について検証を進めるとともに、他県の状況をも調査しながら、医師のサポート体制の充実について必要な措置を講じてまいります。
 次に、本県の県立病院に勤務する医師の給与等の待遇についてでありますが、これまでも最大限配慮したところであり、東北6県の自治体病院の中で平均給与額が最も高額となっているところであります。今後ともその水準の維持に努めてまいりますが、また、現在勤務している医師の勤務体制を改善するには、医師の絶対数をふやすことが最も必要と考えていますが、当面、宿直勤務翌日に勤務した場合の超過勤務手当の支給、診療応援手当の改正を行ったほか、広域基幹病院にあっては、できる限り一人診療科をなくするような診療体制をとることによって医師の勤務体制の改善に努めてまいりたいと考えております。
 また、看護師の待遇の見直しでありますが、県立病院に勤務する看護師については、看護必要度や重症患者率に応じた配置を常に見直しながら行っているところであり、その待遇面についても、他の自治体病院の状況などを考慮しながら決定してまいりたいと考えております。
 次に、花巻厚生・北上病院への交通アクセスについてでありますが、まず、道路網の整備については、花巻厚生・北上統合病院の主要アクセス道路は、統合病院東側を走る国道4号になるものと考えておりますが、花巻市と北上市の御協力を得て、統合病院へのアクセス道路を着実に整備をいただいているところでありまして、今後とも、統合病院のアクセス道路網の整備については、花巻、北上市の協力を得ながら順次進めてまいりたいと考えています。
 次に、バス利用体制についてでありますが、花巻厚生・北上統合病院の公共交通機関によるアクセスについては路線バスを想定しており、バス会社と協議し、花巻及び北上の両方面別のバス停を2カ所に、さらに、時間調整のためのバス待機所1カ所の整備を進めているところであります。具体的な統合病院へのバス路線については、バス事業者のみならず、引き続き花巻、北上両市と連携を図りながら、その確保に努めてまいりたいと考えています。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 準限界集落も含め早急に調査を実施し、集落の再生や再編について検討するべきではないかということについてでありますが、準限界集落とは、限界集落を提唱した長野大学の大野晃教授の概念でございますが、それによれば、55歳以上の人口の比率が50%を超え、現在は共同体の機能を維持しているものの跡継ぎの確保が難しくなっており、限界集落の予備軍となっている状態を指すものでございます。これらの実態について、いわゆる限界集落に移行する前の早期の段階で把握し、集落の再生や再編の対応策を検討すべきとの御提言と受けとめたところでございますが、県としては、先ほど知事が答弁いたしましたとおり、草の根コミュニティ再生支援事業によりまして、県内の全市町村の集落の現状、課題等を把握することといたしております。
 この事業におきましては、市町村と連携し、大学等の協力も得ながら、集落等コミュニティの実態を調査し、あわせて、集落機能の維持、再生に向けた支援方策等を、議員御提言のことも念頭に置きつつ、検討してまいる考えでございます。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、企業誘致に係る企業ニーズの把握と対応策についてでありますが、企業が進出する際には、インフラの整備や人材の確保など、各企業によりましてさまざまなニーズがあることから、集中的な企業訪問等を通じてこれらのニーズを的確に把握し、県と地元市町村が一体となって企業の要望を反映した提案、説明を行い、さらに加えられた要望等に対応しながら、立地に向けた取り組みを進めているところであります。
 また、県といたしましては、最大限迅速な対応を行うとともに、地方税の減免、大型補助などの優遇措置を準備して企業の折衝に努めているところでありますが、今後におきましては、特にワンストップサービスの充実を図るとともに、立地企業に対するきめ細かなフォローアップをさらに強化し、ハード、ソフト両面にわたり本県の支援体制の総合的評価が一層高まるよう取り組んでまいります。
 次に、企業誘致活動における市町村との連携についてでありますが、現在、県及び県内29市町村等により岩手県企業誘致推進委員会を組織し、企業誘致のノウハウなどについて、職員の資質向上のための研修、東京、大阪等での企業誘致セミナーなどを開催しているほか、特に新規の誘致案件につきましては、企業の多様なニーズに的確に対応するため、関係市町村との緊密な連携のもと、合同での誘致活動等に取り組んでいるところであります。
 また、県外事務所の役割についてでありますが、現在、東京事務所4名、大阪事務所2名、名古屋事務所3名の体制で誘致活動を行っており、特に名古屋事務所におきましては、昨年度から誘致担当としてトヨタ自動車OBと専任職員の計2名を配置するなど、体制の強化を図ったところであります。各事務所におきましては、首都圏、関西圏及び中京圏における本県の企業誘致活動の拠点として、まずは新規立地企業の開拓のための企業訪問、そして、立地企業やその関連企業へのフォローアップ訪問等に精力的に取り組んでいるところであります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 小規模農家への支援策についてでございますが、食料供給基地岩手を確立するためには、岩手らしい特色を生かしながら、基幹となる担い手と小規模農家が共存する仕組みを構築していくことが重要であると考えております。このため、県といたしましては、小規模農家も参加した集落営農組織の設立等により品目横断的経営安定対策への加入を促進するとともに、産地づくり交付金や中山間地域等直接支払交付金などを活用した園芸、畜産の導入による所得の向上に努めているところでございます。
 こうした中で、例えば北上市の二子地区では、稲作の基幹作業を集落内のオペレーターで構成される営農組合に集積いたしまして、作業を委託した農家がその余剰労働力を生かし、地域の特産物である二子里芋の生産に専念することにより所得の向上が図られております。また、中山間地域であります一関市の千厩町では、水稲作業を担い手に集積する一方で、小菊を振興作物に掲げ、地域の先進農家が新たに小菊栽培に取り組む小規模農家等を指導することにより、地域全体の栽培技術の向上を図り、市場から高く評価される産地が形成されております。
 今後、こうした取り組みを全県に波及させていくため、今年度から新たに普及員OB等で構成するNPO法人との協働によりまして、地域のベテラン農家が小規模農家にきめ細やかに技術を指導し、集落ぐるみで園芸作物の導入拡大を進めていく本県独自の仕組みを構築することといたしております。県といたしましては、今後におきましても、このような施策の展開により、小規模農家を含めた農家が参加し、農業生産に取り組むことができるような食料供給基地岩手を確立してまいりたいと考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) ものづくり人材の育成についてお答え申し上げます。
 本県の工業高校においては、ものづくり産業を強化するという観点を踏まえて、基礎学力としっかりとした生活習慣を身につけ、産業界が求めるものづくりマインドとすぐれた技術・技能を持つ人材の育成に取り組んでいるところであります。
 このような中、資格取得への取り組みについては、黒沢尻工業高校専攻科に旋盤技能士2級取得に役立つ6尺旋盤を重点配置し、すぐれた技能を持つ専門家を外部から招聘し、生徒のみならず、教員も含めて技術指導を受けているところであります。このほか、県内の各工業高校においても、産業界からの人的、物的支援を受けながら旋盤技能士2級の受験に向けて取り組み、昨年度までは受験生がおりませんでしたが、今年度は13名が受験をする予定であります。ほかにも、電気系学科においては第2種電気工事士の資格取得に取り組むなど、今後ともこのような資格取得の取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 次に、工業高校の機械装置やパソコンなどの教育設備についてでありますが、パソコンにつきましても、整備・制御系のパソコンは設備と一体でございますので、一緒に答えさせていただきたいと思います。
 こういった教育設備につきましては、全般的に老朽化が進んでいることは事実であります。しかしながら、この5年間で約5億5、000万円の設備更新を行ってきており、これは、本県全体の教育設備費の約6割に当たります。こういった更新を行ってきておりまして、どうしても更新をしなければならない設備については何とか賄ってきており、今後とも計画的に取り組んでまいる方針であります。また、今年度、文部科学省と経済産業省の連携による国庫事業、これは3年間で5、000万円ほどでありますが、この事業を獲得しまして、この中で6尺旋盤を3台導入する予定であります。今後とも、このような外部資金の有効活用についても力を注いでまいります。さらに、このような大型の実習装置については、拠点校へ重点配置し、学校の枠を超えた利用を進めていきたいと考えております。
 先端的な設備については、その技術革新が日進月歩であり、陳腐化が激しいこともあります。また、大変高価であるということもございます。そのような中で、このような設備を使う学習につきましては、企業の設備を使用させてもらえるような研修カリキュラムを組みまして、地域の企業の御理解のもと、多大な御協力を得ながら、今年度からそのような取り組みを開始しているところでございます。
 以上申し上げましたように、工業高校の教育におきましては、財政環境が厳しい中、教育設備を含めてさまざまな工夫をしながら、特にも地域の産業界の理解と協力を得て、交流を深め、教員も研さんを積み、地域と一体となった人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時28分 休憩
出席議員(48名)
1 番 木 村 幸 弘 君
2 番 久 保 孝 喜 君
3 番 小 西 和 子 君
4 番 工 藤 勝 博 君
5 番 岩 渕   誠 君
6 番 郷右近   浩 君
7 番 高 橋   元 君
8 番 喜 多 正 敏 君
9 番 高 橋 昌 造 君
10 番 菅 原 一 敏 君
11 番 小野寺 有 一 君
12 番 熊 谷   泉 君
13 番 高 橋 博 之 君
14 番 亀卦川 富 夫 君
15 番 中 平   均 君
16 番 五日市   王 君
17 番 関 根 敏 伸 君
18 番 野 田 武 則 君
19 番 三 浦 陽 子 君
20 番 小田島 峰 雄 君
21 番 高 橋 比奈子 君
22 番 高 橋 雪 文 君
23 番 嵯 峨 壱 朗 君
24 番 及 川 あつし 君
25 番 飯 澤   匡 君
26 番 田 村   誠 君
27 番 大 宮 惇 幸 君
28 番 千 葉 康一郎 君
29 番 新居田 弘 文 君
30 番 工 藤 大 輔 君
31 番 佐々木 順 一 君
32 番 佐々木   博 君
33 番 工 藤 勝 子 君
34 番 平 沼   健 君
35 番 樋 下 正 信 君
36 番 柳 村 岩 見 君
37 番 阿 部 富 雄 君
38 番 斉 藤   信 君
39 番 吉 田 洋 治 君
40 番 及 川 幸 子 君
41 番 佐々木 一 榮 君
42 番 伊 藤 勢 至 君
43 番 渡 辺 幸 貫 君
44 番 小野寺 研 一 君
45 番 千 葉   伝 君
46 番 佐々木 大 和 君
47 番 菊 池   勲 君
48 番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時49分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。岩渕誠君。
   〔5番岩渕誠君登壇〕(拍手)

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