平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(新居田弘文君) 民主・県民会議の新居田弘文です。
 先輩、同僚議員各位の御配慮により、一般質問の機会をいただきました。通告に従い、順次質問をいたしますので、明快な御答弁をお願いいたします。
 なお、既に登壇されました方々と重複する点があろうかと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
 まずもって、達増知事におかれましては、このたびの知事選挙、県民多数の御支持、御支援のもとに御当選、まことにおめでとうございました。心よりお祝いを申し上げます。
 さて、知事は、知事選挙立候補に当たり、この岩手の危機を希望に変える二大戦略、政策の6本柱を示し、70項目の具体的政策提案をいたしました。このマニフェストについての考え方や、具体の内容について幾つかお尋ねします。
 厚生労働省が5月30日に発表した2005年度世帯平均所得によると、1世帯当たりの平均所得は、前年比で2.9%減の563万円で、平成になった1989年以降の17年間で最低だったと報じています。また、知事も、岩手県民1人当たりの平均所得の現状が全国平均を大きく下回り、東京都とは2倍近い開きがあるなどの比較を示され、所得の格差が拡大する一方で、65歳以上の老年人口比率が全国平均の20.1%を超え、24.5%となっていること、一方、医療、福祉、社会保障の負担が増大していることを指摘しています。
 そこで、知事にお尋ねします。
 日本の経済は、いざなぎ景気を超え、安定成長過程にあると政府は述べているが、実際は厚生労働省の発表にも指摘されているように、全国の世帯平均所得が減少する現状と、それにも増して、岩手の所得の減少が拡大する状況をどのようにとらえ、今後とるべき方向性をどのように考え、国に対して何を求め、さらに、岩手がすべき施策が何なのかをお示しいただきたいと思います。
 次に、新地域主義戦略について伺います。
 県は、平成18年4月から、業務の完結性や地域に密着した広域行政を行っていくためとして、四つの広域振興圏と新しい振興局体制をスタートさせました。これは、従来の九つの生活圏が四つの広域振興圏に、また、12の地方振興局のうち、県南6地方振興局が県南広域振興局に再編されたものです。そして、知事はマニフェストの中で、この四つの広域振興圏を将来の自治体と位置づけ、草の根地域を守る新地域主義戦略と位置づけしています。まず、ここで言う新地域主義戦略の考え方について、より具体的に示していただきたいと思います。
 次に、県北、県央、県南、沿岸の4大広域振興圏を将来の自治体と位置づけしていますが、今後、市町村合併については、具体的にどのように指導していくつもりか、伺います。
 また、知事は、就任後、県内視察を実施し、首長との意見交換会に積極的に取り組まれました。地域の実態を把握し、地元首長の要望を直接聞くということは、地域を思う知事の姿勢が伝わってまいります。地域によって首長の意見、要望もそれぞれ違うと思いますが、県や国等に対してどのような意見や要望があったのか、お伺いします。
 さらに、知事は、4広域振興圏を県勢振興の基礎的枠組みとしていますが、沿岸地域を1広域振興圏とすることについては、距離的な条件や日常的経済圏から疑問視する意見もあったと報道されていますが、知事の所見をお伺いします。
 次に、大連訪問の成果と今後の進め方について伺います。
 知事は、5月23日に、いわて花巻空港からチャーター機、岩手・大連友好の翼で中国大連市を訪問し、大連市長や経済人との懇談や交流を深めたと伺っています。本県は、平成17年に宮城県と共同で経済事務所を設置し、経済交流や人の交流を目指して今日まで取り組んできました。
 そこで伺います。知事は、今回の訪問で、一層の交流を発展させるため、新たな地域間連携の推進に係る協定を結んだとされていますが、具体的にはどのような内容ですか。また、6月補正予算にも人事交流を目指した取り組みを計上されましたが、その具体的なねらいについてもお伺いします。
 次に、地方財政と国とのかかわりについてですが、岩手県の起債残高が1兆4、000億円にも及び、県財政運営の足かせになっています。これだけ起債残高が増額した要因には、盛岡以北の新幹線建設に伴う負担や、いわて銀河鉄道開業に伴う負担、県立大学の建設や県の各種試験研究機関の再編・建設など県事業等によるほか、国の景気対策に呼応した公共事業の財源とした起債の発行、加えて、三位一体改革によって地方交付税の削減等が挙げられます。特に、三位一体改革では、地方の財源が差し引き6兆8、000億円減少し、弱小自治体ほど補助金削減が税源の移譲額を上回るなど、深刻な状況となっています。
 県の調査によりますと、県内35市町村の平成19年度普通会計当初予算で、預金に当たる基金残高が平成19年度末見込みで570億円となり、10年前から半減、このまま推移すると、あと三、四年で残高がゼロに陥る可能性があると指摘しています。各自治体とも国の地方交付税削減の影響を受け、財政破綻の足音がまた一歩近づいたと言えます。県も市町村も、待ったなしの行財政改革が求められております。
 そこで、知事は、国が進めてきた地方分権や三位一体改革をどのように評価されているのか、伺います。
 次に、知事は、この厳しい県財政の中で、マニフェスト実現のためにどのような財政運営を目指すのか、基本的考えを伺います。
 6月補正財源として、県債142億円を見込んでいます。プライマリーバランス均衡のぎりぎりの線でありますが、知事の所見を伺います。
 去る6月15日、参議院本会議において、自治体の財政破綻を早い段階で食いとめる地方自治体財政健全化法が可決・成立しました。
 ある新聞社の調査によりますと、全国の100を超える市町村で、一般会計と特別会計をあわせた平成17年度の連結決算が赤字であったことがわかったとされ、さらに今回の法律施行によって、国保会計や公営企業会計など、公営事業会計を加えた連結決算をもとに連結実質赤字比率を算出し、指標が基準を超えると財政健全化団体や財政再生団体になる仕組みとされています。新聞には、全国の市町村から連結実質赤字比率が高い30団体が紹介されていました。幸い、岩手県内の市町村名はありませんでしたが、今後、新たな指標、公営企業会計や一部事務組合、土地開発公社、第三セクター等の連結によっては、厳しい状況になるのではないかと危惧しています。このことを踏まえ、県は市町村の実態をどのようにとらえ、今後、どう指導していくのか、お伺いします。
 次に、ふるさと納税について伺います。
 ふるさと納税は、大都市の納税者が、住民税の1割程度を出身地など地方に納められるようにするもので、総額1兆2、000億円規模と見込み、菅総務大臣が提唱したものとされ、政府・自民党は、この夏の参議院議員選挙に向けて公約として上げようとしております。
 確かに、個人住民税の1人当たりの税収額指数で見ますと、全国平均を100として、沖縄が54.3に対し、東京都は178.5と3倍強となっており、地方と都市との格差が際立っています。しかし、個人住民税は地方税の根幹で公共サービスの対価として支払っているもので、それを配分するのは誤りであると述べる識者や、大都市圏等の知事は既に反対の声を上げています。さらに、識者や新聞論調では、本来、国と地方の業務量とそれに伴う財源額の配分を議論すべきものを、地方の財源不足は都市部に偏在した財源にあるとして、ふるさと納税は地域格差の対策の決め手と言わんばかりに、前面に押し出すことによって、政治が本来なすべき改革から目をそらそうとしているのではないかと、強く指摘しています。
 知事は、このふるさと納税構想についてどのような所見をお持ちか、伺います。
 あわせて、今まで全国知事会を初めとして地方6団体は、地方財政の根幹である地方交付税の確保に向けての運動の中でも国と交渉してきましたが、結果的に国は一部税源移譲したものの、大幅な地方交付税の削減により、地方財政の疲弊をもたらしたものと感じていますが、知事の所見を伺います。
 また、知事は、政府関係大臣に対し、平成20年度政府予算編成に当たって提言や要望書を提出されましたが、この財政問題についてはどのように働きかけをされ、国の反応はいかがでしたか、お尋ねいたします。
 次に、岩手の産業振興についてですが、岩手は広い県土を基盤にして、全国でも屈指の食料供給基地としての農業、広い三陸の海を舞台としての漁業、IT、電気、精密機械、自動車など製造業を初めとした工業、あるいは八幡平国立公園、陸中海岸の大自然や、平泉文化遺産の世界登録遺産を間近に控えての観光客への期待など、観光産業等岩手に根差した産業の育成は、限りない可能性を持っていると思っています。
 知事は、マニフェストの中で、農林水産業については、岩手を日本の食を守る食料供給基地として確立したいとし、米を初め県産農林水産物がさらに高く売れるよう広告宣伝を強化し、農林水産業従事者の所得向上を図ると述べています。しかし、現実は、農産物の価格低迷や従事者の高齢化等によって、県内農業生産物の生産量も生産額も年々減少し、平成17年の農業生産額は2、541億円で、昭和60年の3、595億円の71%まで減少しています。農業生産の中核をなす米生産は、長期間にわたる生産調整によって生産量の減少と、価格の低迷によって農業所得は減少の一途をたどっています。加えて、今進められている品目横断的経営安定対策等によって担い手の育成は進むものの、面積要件を達成するがため、一方で、残された小規模農家の切り捨てだという不満が出され、むしろ農家に生産費と市場価格との差額を支払う個別所得補償制度を創設すべきではないかとの声もあります。いずれにしても、広大な岩手の地を生かした岩手らしさの農業振興策が求められています。
 そこで伺います。国が今進めようとしている品目横断的経営安定対策による面積要件によって、農業・農村集落が破壊されそうな危惧さえ覚えます。知事も、少子・高齢化や人口流出によって、集落機能の維持が難しくなる限界集落問題や希薄化する人間関係など、地域の実情に対応するため、草の根コミュニティ再生支援対策費を計上されたのも、過疎化する集落の行く末を心配しての措置と考えます。知事は、この品目横断的経営安定対策制度に対する所感とあわせて、今後、岩手の農業をどのように導いていこうと考えているのか、お尋ねいたします。
 また、平成19年度当初予算、そして6月補正予算でも、農林水産業の重点取り組みの一つとして、消費者・市場を重視した競争力ある産地づくりの強化を掲げ、本県農林水産物のブランド化を進めたいとしています。当然、ブランド商品は質と量がどう確保できるか求められ、生産者にとっても農家所得にも、大きく寄与しなければ意味がないと思いますが、県は、具体的にどのように検討され取り組もうとしているのか、お伺いします。
 次に、グリーンツーリズムの取り組みについて伺います。
 岩手の自然や人情に触れながら、岩手のよさや温かみを実感したいとの思いから、岩手を訪れる旅行者が年々増加していると聞いていますが、その中で、農家に宿泊し、農作業体験や地域の文化に触れるいわゆるグリーンツーリズム旅行者数も増加傾向にあります。その受け入れは、地元市町村やJAなどが中心になっていますが、県の役割はどうなっていますか。もっと旅行会社や先方県との連携があれば増員につながるのではないかと思いますが、今後の取り組みをお伺いいたします。
 次に、耕作放棄地を活用したバイオエタノール燃料用水稲の作付について伺います。
 今、生産調整の強化によって県内でも耕作放棄地が増加の一途をたどり、平成17年には、平成2年の約2.5倍の1万2、500ヘクタールに及んでいます。さらに、今進めている品目横断的経営安定対策制度の面積要件によって、面積増加が危惧されます。
 一方、地球温暖化対策の一環として、化石燃料にかわって、地球に優しい燃料の開発が世界的に高まっています。ブラジルでは、サトウキビをバイオエタノール化して燃料化が先行していますし、米国でも、大豆の生産からトウモロコシにシフトが進み、結果的に大豆の輸出量が大幅に減少し、価格高騰につながっているとされています。
 そこで伺いますが、ある県では、増収型の水稲をバイオエタノール原料とする研究開発をしていると伺っていますが、岩手県でも広大な耕作放棄地の有効活用と地球温暖化対策の一環として取り組んでみてはいかがでしょうか、伺います。
 また、知事は、マニフェストの中で、工業・観光については世界に羽ばたく産業を育成したいとし、ものづくり人材育成を推進しつつ、県内企業の支援とあわせて企業誘致を進め、産業を集積すると述べています。
 岩手中部工業団地に立地する関東自動車工業も、生産ラインの拡充によって、年間生産台数も、平成18年度の29万3、000台からさらに増産する体制に移行したと承知しています。地元の部品調達率を現在の42%から、将来的には60%に引き上げたい意向と伺っております。
 知事は、5月30日、仙台で開催されたとうほく自動車産業集積連携会議に出席され、今回から、従前の構成メンバーの本県、宮城県、山形県の3県に、新たに青森、秋田、福島を加えた東北6県に拡大したと報じられております。とうほく自動車産業集積連携会議に新たに3県を加えた考えと、今後の具体的な取り組みについて伺います。また、県内への自動車関連企業の誘致や、北上市への誘致運動に取り組んでいる東芝へのその後の働きかけはどうされていますか、お伺いします。
 次に、県南広域振興圏における産業振興について伺います。
 県南地域は市町村合併も進み、大きな基礎自治体に変貌しました。県南広域振興局では、業務の完結性を高め、地域に密着した圏域の一体的かつ効率的な広域行政を進めるとしています。そして、県南広域振興局は、昨年12月、県南広域振興圏産業振興戦略を公表し、当地域の産業振興を中心としたビジョンを示したもので、この戦略の成否は、今後、他地域の振興局の再編や振興圏でのモデルケースになるもので、その結果が注目されています。
 そこで、企画理事に伺います。県南広域振興局で新たに策定した県南広域振興圏産業振興戦略について、そのねらいと具体的取り組みについてお尋ねいたします。
 次に、医師確保対策と県立病院の小児科、産婦人科医師の確保について伺います。
 国の見解では、全国的に数字上医師が充足しているとされているものの、偏在によって地方は医師不足により、地域医療の確保が困難な状況に陥っているとされています。特にも、診療科目によっては一層偏在し、産婦人科医や小児科医の医師不足によって、安心して出産し子育てができない状況に至っています。県も、医師確保を最重要課題とし医師確保対策室を設け、その取り組みを進めているところです。また、今回の6月補正でも、医療人材育成支援事業費等、所要の予算を計上したところであります。また、県立病院の平成18年度決算を見ると、2年ぶりに約9億7、000万円の単年度赤字となり、その大きな要因として、医師不足で診療体制が弱体化したことにより、入院・外来患者数とも減少したことによるものであると分析しています。特に、産婦人科及び小児科の医師不足は深刻であります。
 胆沢病院では、産婦人科医師の退職、休職によって近く休診されるとして、多くの患者や近く出産予定の方々に不安と心配を与えています。特にも、胆沢病院は、広域基幹病院として、胆江地区内の公立病院では常勤の産婦人科医師がいるのは胆沢病院だけで、重要な責任を負っています。昨年度の胆沢病院での分娩件数は、県内の県立病院では最高の551件で、その80%が胆江地域の住民です。さらに、この7月から11月までに、分娩の予約として受け付けしている件数は130件とされておりますが、既に胆沢病院では、これらの一部を他地区の病院に転院させたいと指導をしていると聞いています。地域住民が引き続き診療が受けられるよう、最大限の取り組みを求めるものです。
 一方、国では、地方を中心に深刻な医師の不足や偏在に対応するため、当面の対策として、国立病院や規模の大きい民間病院を中心に派遣機能を持たせ、国が都道府県からの求めに応じて自治体病院などに派遣する体制を、早ければ6月にも構築すると新聞で報じていました。
 そこで伺いますが、政府が国主導で医師の緊急派遣制度を創設すると報じられた仕組みについて、具体的な動きや計画はどうなっておりますか。本県への派遣決定についても報道されていますが、その状況について伺います。また、県の重要課題として取り組む医師確保対策について、長期的対策と当面の短期的対策について伺います。
 さらに、胆沢病院産婦人科の継続維持のための医師確保についての取組状況についてもお伺いいたします。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録について伺います。
 浄土思想を基調とする文化的景観の保全を目的とした平泉の文化遺産の世界遺産登録については、県や地元市町及び関係者を初め多くの期待と協力により、長年にわたってその実現に向かって取り組んできたものであります。平成18年には、政府の推薦決定を受け、同年、ユネスコに世界遺産登録推薦書が提出されたところであり、平成20年度において、確実に世界遺産に登録されるものと確信しています。県でも、毎年厳しい財政の中で、関係市町村と連携しながら、必要な予算を確保しつつ条件整備を行ってきたものと承知しています。当6月補正予算でも、平泉世界遺産関連景観緊急対策事業や、世界遺産登録後に向けた観光事業関係費の計上など、積極的な取り組みとして評価したいと思います。
 さて、過日の島根県石見銀山遺跡が、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議から世界遺産の登録延期の勧告を受けた旨の報道がありました。これに対して文化庁は、石見銀山の結果次第では、平泉が登録審査の時期の延期を余儀なくされる可能性があるとの指摘もあったと述べられ、多くの関係者に少なからず心配をかけています。そして、県教育委員会は、5月22日、23日に専門家を招き、文化遺産の保存管理状況等現地指導会を開催したと伺っていますし、そのことについては時宜を得た取り組みだと思っております。
 そこで伺います。石見銀山遺跡がイコモスから登録申請の延期勧告を受けた背景と、平泉文化遺産登録に与える影響について心配はないのか、お伺いします。
 また、鉄塔問題を含めて、現地指導会における指摘とその解決にどう対応していくのでしょうか。
 関連して伺います。中尊寺の北側を流れる衣川北部についてですが、一関遊水地整備関連事業の一つとして、衣川堤防築堤が進んでいますが、工事に先立ち、堤防予定地を含めた埋蔵文化財の発掘調査が行われました。その結果、藤原氏全盛期の遺跡や遺構が発見され、特にも、接待館遺跡は、柳之御所遺跡等平泉町内の史跡に匹敵する重要な遺跡が発見されたものであります。
 一方、北上川の洪水時において、その支川である衣川の周辺集落でも、床上・床下浸水等の被害があったほか、平成14年7月の大雨では、昭和23年以来の国道4号が冠水によって通行どめになるなど、大きな被害を受けました。このことから、歴史的価値の高い埋蔵文化財の保全と治水対策との両立する施策が求められており、過日、県及び国土交通省との調整によって、地元への説明会が行われたと聞いております。
 改めて伺います。発掘された埋蔵文化財の中身と、その保存方法はどうなっているでしょうか。また、内水対策を含めた堤防築堤についての考えと、建設スケジュールについてもお聞かせください。
 最後に、岩手競馬についてお伺いします。
 岩手県競馬組合は、新盛岡競馬場オーロパークの建設費に係る起債償還費や、長引く景気低迷などによる勝馬投票券の売り上げ減少などによって、累積した債務を構成団体からの融資を財源として関係金融機関に一括繰り上げ償還し、そして競馬事業の存廃基準を定め、平成19年度がスタートしました。
 今、春の水沢開催が終わり、盛岡開催が行われています。平成19年度1期開催分の収支実績では、売り上げ実績が計画費6.1%マイナスとなり、その結果、経常損益についても欠損見込みとなっています。競馬組合では、新たに発足した岩手競馬組合運営協議会を中心に、コスト面や経営改善に関することなど、協議を通じて岩手競馬の再生・改善に取り組むと伺っています。
 そこでお聞きしますが、第1期を終えて、売り上げの伸び悩みの状況をどのようにとらえておりますか。第2期以降、どのような視点で売り上げ増を図っていこうとしているのでしょうか、具体的な取り組みと収益増収の計画はどのようなものでしょうか。また、街中場外を開設しましたが、売り上げ状況はどうなっているでしょうか。さらに、競馬関係者からは水沢1場体制を検討すべきではないかとか、一部ナイター競馬の実施検討とかの意見も寄せられておりますが、どのような所見をお持ちなのか、あわせてお伺いします。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 新居田弘文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私のマニフェストに関する御質問をいただきました。
 第1に、岩手の現状認識についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県と全国との所得格差は近年拡大傾向にありますが、私は、その背景には、バブル崩壊で日本経済に余力がなく、地方分権が進まない中で、市場原理優先型の経済・財政政策が推し進められてきたことがあると考えているところでございます。こうした政策により、大都市圏においては、企業活動の活発化や新たな雇用の創出などが図られ、景気回復といった効果が一部もたらされた一方、地方圏においては、厳しい経済情勢が続いていることが所得格差を拡大させる主な要因となっていると思われます。
 私は、グローバル化が急速に進展する今日、依然として県内経済が低迷し、県民所得が減少するなど、耐えがたい痛みに見舞われていることこそが本県の危機と考えており、県民所得を向上させ、当面、その水準をできるだけ全国平均に近づけていくための取り組みが不可欠であり、私としても最大限の努力を惜しまないところでございます。こうした観点に立てば、国においては、地方の活力や自立性を損なわせることなく、地域中小企業の活性化などに資する誤りのない確かな経済財政・金融政策の運営に当たるとともに、個人消費を促す意味においても、安心できる年金制度などのセーフティネットの整備にも万全を期すべきであると考えます。
 県においても、マニフェストに掲げた二つの戦略を基軸として、本県の安全・安心な農林水産物の産地づくりや高付加価値化、ものづくり産業の集積促進や、平泉を核とした観光の振興などに取り組むことにより確かな産業経済基盤を構築し、県民の所得や雇用を確保してまいりたいと思います。
 次に、新地域主義戦略についてでありますが、私は、グローバル化が進展し、地域が世界と直結し、競争、共存する中で、地域固有の文化や風土、心などに根差しつつ、国内外に開かれた自立的な地域社会を目指すことが何よりも重要であると認識しております。そのためには、4広域振興圏の戦略的な地域経営を行い、それぞれを明確な顔を持った圏域として自立を進めていくこと、市町村中心の行政システムの構築を目指しながら、市町村の強化に向けた支援を行っていくこと、そして、県民の暮らしの原点であり、よりどころでもある自治会、町内会などの地域コミュニティの機能を高め、ともに支え、ともに暮らしていくことのできる環境を整備していくことが必要であり、これらを通じて地域の可能性を最大限引き出すよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、市町村合併についてでありますが、私は、マニフェストにおいて四つの広域振興圏を将来の自治体と位置づけておりますが、そのためには、一つの明確な顔を持った圏域として、それぞれの地域が確立されていく必要があると思います。そこに至るまでの間、新地域主義戦略に基づき、圏域の自立性を高めるさまざまな取り組みを展開するとともに、住民自治の基礎となる草の根の地域を守り、支援するためには、草の根地域が期待される機能を十分に果たし得ることが必要と考えております。これらのためには、現在の市町村については段階的に合併などによる行財政基盤の強化が不可欠であると認識しております。したがって、当面、合併推進構想をたたき台として、将来のまちづくりをどうするのかの視点に立って、各地域において真剣に議論をしなければならないところでございます。市町村合併は、最終的には住民の判断によるべきものであり、そのため、県は、的確に判断できるよう必要な材料を提供してまいりたいと思います。
 次に、市町村長からの意見、要望についてでありますが、私は、就任直後から、地域の危機を希望に変えるをテーマに、各市町村長の皆さんとひざを交えて率直な意見交換を行ったところでございます。主な意見、要望としては、県北・沿岸圏域においては、産業振興に係る道路、港湾のインフラ整備、企業誘致支援、営農指導体制の強化など、県南圏域においては、地域医療体制の確保・充実、県央圏域においては、中心市街地の活性化支援などがあったところでございます。この意見交換会を契機として、さまざまな地域課題に対し、市町村と対等なパートナーとして一緒に悩み、一緒に考え、自立した広域振興圏のために、ともに努めてまいりたいと思います。
 次に、沿岸圏域を一つの広域振興圏とすることについてでありますが、四つの広域振興圏をフロンティアとしてビジネスチャンスを拡大し、新しい交流連携の形をつくっていきたいという御提案をして、市町村長の皆さんから御意見を伺ったところでございます。
 私は、地域の自立性や独自性を最大限高めていくためには、基本的に今の4広域振興圏の枠組みが最適であると考えていますが、意見交換の場においては、一部の市町村長の方から、圏域が広過ぎるのではないか、あるいは他圏域との関係が深いので配慮を願いたいなどの意見もいただいたところであります。こうした圏域の設定に対する配慮を求める意見に対しては、大きな支障が生じないよう、地域のIT基盤の整備や行政サービスの電子化を進めることなどにより利便性の向上を図るほか、先行する県南広域振興局の検証、評価も踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。
 次に、大連市訪問の成果と今後の進め方についてでありますが、今般、大連市と締結した地域間連携の推進に係る協定は、両地域の発展に向け、今後とも継続的に連携協力していくことを目的としたものであり、具体的には岩手県産品の輸出促進、観光客誘致、農林水産・環境分野での技術交流等について定期協議の場を設け、それぞれの地域が有するポテンシャルを生かしていく取り組みを進めていくことや、職員を相互に派遣することを内容としているものです。特に職員派遣については、本県中小企業が中国でビジネスを展開する場合にしっかりとサポートすることができるよう、中国ビジネスに通じた職員を養成することをねらいとしているものでありまして、あわせて、大連市政府との人的なネットワークを形成していくことも視野に入れているものでございます。
 次に、地方財政と国とのかかわりについてお尋ねをいただきました。
 まず、地方分権や三位一体改革の評価についてでありますが、これまでの分権改革を顧みると、平成7年の地方分権推進法から平成12年の地方分権一括法に至る最初の分権改革では、機関委任事務制度の廃止等によって法的には国と地方が対等の関係になりましたが、補助金改革や税源移譲が一向に進まず、実質的に国の地方への規制や関与が多く残ったところだと思います。この第1次分権改革において残された課題であります税財源面での改革を行うことが三位一体改革であったにもかかわらず、これまでの改革は、国庫補助負担金改革における補助負担率の単なる引き下げに象徴されるように、地方の自主性や裁量の拡大につながるものが少なかったほか、地方交付税は、制度改革の方向性が不明確なまま一方的に大幅な削減が行われ、結果として、大都市圏とその他の地方自治体との財政格差を拡大したと言わざるを得ないなど、地方の自主性、自立性を高めるという地方分権の推進の観点からは極めて不十分と受けとめているところであります。今後は、真の地方分権に向けて改革をさらに推し進めていく必要があると考えております。
 次に、財政運営の基本的考え方と6月補正の所見についてでありますが、私は、これからの4年間においては、県財政の健全化を図りつつ、地域経済の活性化や県民生活の向上のために、緊急性、必要性の高い事業を重点的に推進していくことが必要と考えており、そのために、今年度中に新しい地域経営の計画を策定することとしているところでございます。この計画においては、4年間の基本政策と行財政改革の推進方策を一体的に取りまとめることとしており、その策定作業を通じて、今後の財政運営のあり方についても明らかにしていきたいと思います。いずれにしましても、財政の健全化にも留意しつつ、一層の選択と集中を進めながら、本県経済の活性化や県民生活の向上に積極的に取り組み、県民一人一人が確かな希望を抱くことができるふるさと岩手の実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。
 なお、今回の6月補正予算では、プライマリーバランスの均衡を保ちつつ、マニフェストに沿って、緊急性、必要性の高い事業を積極的に予算化するよう努めたところでありまして、今後の県政運営の第一歩となる予算を組むことができたのではないかと認識しております。
 次に、財政健全化法を踏まえた市町村の実態等についてでありますが、この法律によりまして、公営企業等を連結した市町村財政の姿がこれまで以上に明らかになることから、各市町村では、行財政改革の一層の推進と、情報公開などの行政運営のさらなる透明性の向上が求められるものと認識しております。指標の算定方法等は、今後、政令で示される予定であり、現時点で県内市町村が財政健全化団体等になるかどうかは示すことはできませんが、市町村の平成17年度決算で見ますと、普通会計では実質収支が赤字で資金不足の団体はございませんが、公営企業では188事業のうち9事業、25%以上出資している第三セクターでは134法人のうち13法人で資金不足が生じており、慎重な財政運営が求められている市町村もあると認識しております。市町村においては、公営企業等も対象とした集中改革プランを策定しておりますことから、引き続き、このフォローアップを通じて適切な助言をしてまいりたいと思います。
 次に、ふるさと納税制度構想への所見についてでありますが、この議論が出てきた背景には、地域間の格差の広がりが放置できなくなってきたことから、地方税の偏在を是正することが急務だという流れがあると認識しておりまして、地域間格差を是正する方向で地方税の改革案を議論することは、重要な政策課題であると考えております。しかし、ふるさと納税構想は、個人住民税の一部を対象に、国民の自発的な選択に頼る発想で提案されており、地方税の課税原則上の疑問点や、税源偏在是正効果が限定的と見込まれることなど、慎重な検討を要する論点も指摘されているところでございます。したがって、地域間格差の問題に対しては、地方の役割に応じた国と地方の税源配分の見直しとあわせて、地域偏在度が低い地方消費税の地方割合の拡充や、法人住民税、事業税の帰属基準の見直しなど、地方税の偏在是正という政策課題に正面から対応するような本格的な制度改革を早急に実現するように取り組むのが本筋であると考えているところでございます。
 次に、地方交付税の大幅削減に対する所見についてでありますが、三位一体改革により3兆円規模の税源移譲が実現しましたが、地方交付税については、今後、医療や福祉などの行政需要の増大が見込まれる中で、制度改革の方向性が不明確なままで大幅な削減が行われるなど、地方分権推進の観点からは極めて不十分なものと認識しております。さらには、大都市圏を中心にして、景気の回復を背景に税収が大幅な伸びを見せる中で、平成19年度の地方財政計画では、地方団体の財政格差を是正する役割を担うべき地方交付税がマイナス4.4%と大幅な減となり、本県などのように税収が伸び悩んでいる地域では、一般財源の確保が極めて厳しい状況にございます。このような状況に対しては私も大きな問題意識を持っており、第2期地方分権改革に臨むに当たりましては、地方の役割にふさわしい地方税財源の充実強化が図られるような抜本的、本格的な改革を進めるよう、国に求めていきたいと思っております。
 次に、財政問題に係る国への要望についてでありますが、平成20年度の国の予算編成に関する提言、要望といたしまして、財政問題については、国から地方への税源移譲、地方税の偏在是正のための制度改正、国庫補助金の見直し、地方交付税の機能堅持と総額確保など、地方税財政基盤の充実を基本とし、地方財政を自立させるための制度改革等の実現に向けた内容を提言したところでございます。今後、国においては、3年後をめどに第2期地方分権改革の内容を取りまとめることとしていることから、こうした提言の実現に向け、今後も積極的に働きかけを続けてまいりたいと思います。
 次に、品目横断的経営安定対策と今後の農業についてでありますが、品目横断的経営安定対策は、農業従事者の減少や農産物流通のグローバル化が進展する中で、地域農業の核となる担い手の経営安定を目的に実施されることとなっておりますが、本県の地域の実情を踏まえて、農業の振興を図るには、この対策が対象としていない小規模・兼業農家や園芸・畜産部門の経営安定を図ることが重要であると考えております。本県では、集落での話し合いを基本に、全国に先駆けて集落ビジョンを策定し、それぞれの農家が適切な役割分担のもとに連携し、園芸や畜産の導入等により所得向上に努めているところでございますが、私は、こうした取り組みを加速することにより、主業型農家はもとより、小規模・兼業農家も創意工夫を発揮しながら共存し、発展していけるような集落営農を育成し、農業・農村の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 県南広域振興圏産業振興戦略のねらいと具体的な取り組みについてでありますが、この戦略は、広域振興局の大きな設置目的でございます産業振興による地域経済の自立を目指した取り組みを推進するため策定したものであり、平成22年度までの県南広域振興圏における各産業の目指す姿と施策の方向性について示したものであります。本戦略に基づき、県南広域振興局におきましては、これまで産業分野ごとに、広域的な産業振興策を展開する上での重要な仕組みとして、官民のパートナーシップに基づくネットワークづくりを積極的に進めてきたところでございます。その結果、工業分野では北上川流域ものづくりネットワークや県南広域ものづくり戦略会議、また、企業立地促進法による各種優遇措置を受ける上で重要な役割を担う北上川流域地域産業活性化協議会、観光産業分野では県南広域圏観光産業推進協議会、食産業分野では南いわて食産業クラスター形成ネットワークなどを構築したところであります。今後、これらのネットワークを中心に、官と民、民と民とがしっかりと連携した体制のもとに、今般の6月補正に盛り込んだ事業等も含めまして、各般の施策、事業等を効果的、集中的に実施し、本県経済の牽引役としての県南広域振興圏の一層の産業の振興を図ってまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、農林水産業の振興についてでございますが、本県の農林水産物のブランド化を図るためには、恵まれた自然環境等の地域特性を生かして、消費者・市場ニーズを重視した地域づくりを促進するとともに、本県の農林水産物の魅力を積極的にアピールし、消費者、市場の評価が高まるようなマーケティングの強化を図ることが重要な課題と考えております。このため、今年度から新たに、生産面では需要が増加している促成アスパラガスなどの冬春野菜や、粗飼料多給肥育による短角和牛の生産拡大、さらには中国で需要が増加しておりますナマコの増殖などに取り組み、岩手らしさを生かした産地づくりを促進いたしますとともに、流通面では、量販店バイヤーOBや商社等の専門家を活用した国内外への販路拡大など、民間ノウハウを生かしたマーケティングの展開により、生産、流通両面にわたる取り組みを一層強化し、本県農林水産物のブランド化を促進してまいりたいと考えております。
 次に、グリーンツーリズムの取り組みについてでございますが、グリーンツーリズムは、農林水産業の理解の醸成や農山漁村の活性化を図る上で有効な方策でございまして、今後、グリーンツーリズムの一層の振興を図るためには、効果的な情報発信と受け入れ態勢の整備が重要であると考えております。このため、県といたしましては、市町村、関係団体と連携し、首都圏等の学校関係者や旅行代理店等を対象とした誘客活動を展開するとともに、体験インストラクターや受け入れ組織の育成に努めてきたところでございます。また、今年度からは、新たに、NPOが運営するグリーンツーリズムサポートセンターに専任のコーディネーターを配置し、総合窓口機能を強化するとともに、受け入れ農林漁家が少ない県北・沿岸地域を中心に、その掘り起こしを進めることとしており、こうした取り組みにより交流人口を拡大し、農山漁村の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、米からのバイオエタノールの生産についてでありますが、県では、これまで、奥州市のエタノール製造の実証に対する支援、先進事例の情報収集や経済性調査の実施、さらには多収米の開発などに取り組んできたところでございます。また、本年度からは新たに生物工学研究センターにおいて効率的なバイオエタノール生産の基礎研究に着手するとともに、関係部局で構成する検討チームを設置いたしまして、本県が目指すバイオエネルギー利活用構想を策定することといたしているところでございます。県といたしましては、今後とも、産学官の連携を一層強化しながら、多収米や低コスト生産技術の開発を推進し、バイオマス資源を活用した岩手らしい循環型社会の形成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、岩手競馬についてでございますが、まず、売り上げの伸び悩みの状況についてでございます。4月7日から5月28日までの第1期の発売実績は、岩手競馬の自場発売額が47億2、200万円で計画比93.9%、また、他の地方競馬主催者のレースを岩手競馬の発売所で受託して発売する広域受託発売額は12億6、300万円、計画比83.8%で、自場発売、広域受託発売ともに計画を下回って推移しております。競馬組合では、自場発売が計画を下回っている原因といたしまして、岩手競馬圏域内の景気が回復していないことや、存続決定が3月末となり、開幕準備が不足していた影響があったこと。また、広域受託発売が計画を下回っている原因といたしましては、5月から発売を開始した南関東地区のナイター競馬が周知不足等から低調で推移していることなどが考えられるといたしております。
 次に、売り上げ増の取り組みについてでございますが、売り上げの拡大を図るためには、存続決定が3月末となり、開催準備の不足などで低下した岩手競馬のイメージを払拭するような取り組みが重要となってございます。このため、競馬組合におきましては、岩手競馬のイメージアップを図るため、1着馬等による選抜戦などレースの魅力の向上、イベントの開催など、競馬ファンのみならず県民の皆様にも親しんでいただける競馬場づくり、報道機関への積極的な話題提供などを内容とする岩手競馬ルネッサンスプランを6月の盛岡開幕から実施いたしているところでございます。こうしたことに加えまして、テレトラック種市でのJRAレースの発売や、盛岡・水沢競馬場内への広告掲載などにも取り組んでいるところでございます。先般、コスト調整の合意も得られ、競馬事業の継続に向けた態勢も整いつつありますことから、今後とも、売り上げを拡大させるあらゆる方策を積極的に講じてまいりたいと考えております。
 次に、街中場外についてでございますが、今月9日の開設から6月25日までの9日間の発売額は約2、150万円で、平均して1日240万円であり、計画比104.6%と順調な滑り出しとなっております。また、19日からは他主催者の広域受託発売の取り扱いを開始しておりますほか、一昨日、26日からはナイター競馬の発売も開始いたしましたことから、一層の発売の増加が期待されるところでございます。
 次に、水沢1場体制やナイター競馬への所見についてでございますが、水沢1場体制とする場合は、開催日数やレース数を縮小せざるを得ず、現状どおりの開催規模とする場合は、厩舎等の移転のための新たな設備投資を要するなど、競馬組合の収支に大きな影響が及ぶだけでなく、組合のあり方や雇用問題など、岩手競馬の根幹にかかわるさまざまな課題をはらむ問題と認識いたしております。
 また、ナイター競馬の開催につきましては、照明設備の設置に新たな設備投資を要することや、ナイター競馬開催の効果が不透明であることなどの課題もございまして、現在の競馬組合の経営状況から見まして、慎重に検討すべきものと考えております。いずれにいたしましても、まず、現状の開催体制の中で経営の安定化を実現した上で、次の段階として、これらの課題を検討すべきものと考えております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、とうほく自動車産業集積連携会議についてでありますが、連携会議への青森、秋田、福島の新たな3県の加入は、東北が一丸となって、自動車関連産業の集積に向けた取り組みに力を入れることを対外的にアピールするとともに、とうほく連携会議の関連企業数が大幅に増加することによりまして、東北域内における得意技術分野の連携や企業間取引の拡大など、総体として、東北地域における自動車産業集積の加速化を図るとしたものでございます。今後におきまして、連携会議といたしましては、これらのスケールメリットを生かしながら、東北域内での企業間連携や産学官連携による研究会活動、ものづくり人材の育成などを活発化させ、その成果を愛知県での技術展示商談会や共同受注などの取引拡大などに生かし、高品質、高機能部品の生産拠点の形成に向けて取り組んでまいる考えであります。
 次に、自動車関連企業や東芝への働きかけについてであります。
 自動車関連企業につきましては、これまでも中京地区の主要部品メーカーを中心として誘致折衝を行ってきたところでありますが、関東自動車工業岩手工場が今年度の生産台数の目標を36万台とし、部品の現地調達率についてもさらに引き上げる意向があることから、今後におきましては、その取り組みに呼応して、特にも、これまで現地調達できなかった駆動系部品、あるいはエアコンなどの有力部品サプライヤーに対しまして、積極的な働きかけを行ってまいる考えであります。
 また、東芝につきましては、これまでも岩手東芝エレクトロニクス等を通じまして情報収集に努めながら、北上市との十分な連携のもとに誘致折衝を行ってきたところであり、今後におきましても、新工場の実現に向け、知事のトップセールスを含め、北上市とともに引き続き強力な誘致折衝を行ってまいる考えであります。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 国の医師の緊急、臨時的派遣の制度についてでございますけれども、この制度は、都道府県からの派遣要請をもとに、国が緊急、臨時的に医師を派遣するというものでございまして、派遣の要請に当たりましては、都道府県の地域医療対策協議会において決定する必要がありますことから、去る6月25日に、岩手県地域医療対策協議会を開催し、県立大船渡病院及び宮古病院に、循環器科の医師をそれぞれ4名派遣要請することについて、協議、決定をいただいたところでございます。これを受けまして、翌日でありますが、6月26日に、国に対して派遣要請文を提出いたしましたところ、同日、派遣の内定があったところでございます。
 その内容は、大船渡病院には、8月から3カ月程度、国立病院機構が内科医等を1名派遣する。宮古病院には、7月から6カ月程度、日本赤十字社が循環器科医1名を週1回派遣、あわせて、準備が整い次第3カ月程度、恩賜財団済生会が循環器科医1名を派遣というものでございます。
 国による迅速な対応はありがたく評価するところでありますし、また、必要に応じ、この仕組みの活用を図ってまいりたいと考えてはおりますが、今回の場合、結果的には、各病院に4名派遣をお願いしたという要請を認めていただけなかったということもございまして、引き続き国に対して、地方の深刻な医師不足の実情を訴えてまいりたいと考えております。
 次に、医師確保の長期的対策と短期的対策についてでございますが、まず、中長期的な視点での取り組みといたしましては、医師確保対策アクションプランに基づき、医師養成のための奨学金制度や、高校生を対象とした医学部進学セミナーの開催等によりまして、医学部進学者数の拡大などに努めているところでございます。
 今後におきましては、特に国の医師確保総合対策による岩手医科大学医学部の定員増、これは10名増でございますが、その実現に向けた取り組みの推進、医学生を育てる大学の教育機能や拠点病院のがん、救急等の医療機能の充実など、医師のキャリア形成にこたえる医療環境の整備といった取り組みが必要と考えているところでございます。
 また、短期的な視点での取り組みといたしましては、臨床研修体制の充実による臨床研修医の確保・定着、それから、医師確保対策室による即戦力医師の招聘活動のほか、育児支援等による女性医師の就労支援や、辞職、退職した医師の職場復帰研修の実施などを進めているところでございます。
 今後とも、これらの施策を積極的に展開いたしまして、本県の地域医療を担う医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 胆沢病院の産婦人科医師の確保についてでありますけれども、産婦人科医師は、365日、24時間対応が必要な苛酷な勤務環境や、医療に関する訴訟リスクの高まりなどから全国的に減少傾向がある中で、緊急避難的な対策として医療資源の集約化、重点化を推進しながら、地域医療を確保することが求められております。本県においても同様に減少傾向がある中で、胆沢病院では、常勤医師3名のうち2名が勤務を離れ、常勤医師1名の診療体制となる見込みであります。
 県としては、関係大学へ医師派遣を要請するなど、医師確保に向けて努力をしておりますけれども、後任の確保は難しい状況となっております。このため、産婦人科については、限られた医師数の中で、今後とも継続して産婦人科医療を提供するためには何が求められているのか、医療提供者である産婦人科医師の勤務環境改善と医療の質の維持を図っていくためにはどのような体制が必要とされるのかなど、現在、関係大学や県産婦人科医師会などと協議しながら、地域の医療資源を十分考慮し、なおかつ、県全体としてのシステムのあり方について検討しているところであります。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 平泉文化遺産に関連しまして、衣川堤防についての御質問がございました。
 衣川堤防につきましては、接待館遺跡の保存と治水の両立のために堤防計画を変更したことに伴いまして、今後、新たに必要となる測量設計、用地買収、事業費の増などから工期が2年程度延び、平成23年度の完成となる見込みでございます。しかしながら、当該地区は平成14年に家屋等に浸水被害を受けていることから、緊急的な治水対策として、衣川橋より上流の約600メートルの区間につきまして、平成14年の洪水規模に対応する高さの堤防を、国土交通省と連携しまして、今月22日までに整備いたしました。
 また、内水対策につきましては、昨年度に浸水範囲や浸水原因などにつきまして、地元住民への聞き取り調査や現地調査を行っており、今後も引き続き、一連の堤防整備とともに、国土交通省や地元奥州市とも連携を図りながら、検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 平泉文化遺産の世界遺産登録についてお答えを申し上げます。
 石見銀山の遺跡の登録延期の勧告につきましては、その背景には、適切な保存管理のために新規登録を抑制しようとする、昨今の世界遺産登録をめぐる厳しい情勢が反映されているのではないかと考えております。
 なお、幸い、本日のユネスコの登録審議におきまして、石見は登録ということに決定をいたしたという連絡が入っております。したがいまして、平泉は予定どおり、来年において審議を受けられるというふうな情勢になります。
 本県といたしまして、世界遺産を取り巻く厳しい情勢の中で、こういう状況を受けとめながら、この秋に実施されるイコモスの現地調査に対して、文化庁、関係市町と連携の上、万全の体制で臨むことといたします。
 次に、現地指導会における指摘と対応についてでございます。
 去る5月に実施をしました現地指導会では、以下の2点について助言をいただいているところであります。
 第1点は、個々の資産と浄土思想に係る関連性をより明確にすること、景観条例の実効性を確保することであります。
 個々の資産と浄土思想との関連性については、例えば、中尊寺金色堂は、浄土思想に基づく来世浄土を現実の世界に具現化した仏教建築物であるなど、個々の資産と浄土思想との関連を、よりわかりやすく説明するための補足資料を作成しているところであります。
 景観条例の実効性を確保するためには、県民の方々に、平泉の価値と保存管理の重要性を理解していただくことが不可欠であります。したがいまして、シンポジウムや県の広報誌などを活用し、広く県民の方々にお伝えをしながら、行政と県民が一体となった景観保全の取り組みを展開してまいりたいと考えております。
 平泉の景観に関連いたしまして、鉄塔問題につきましては、多くの方々に平泉の価値を理解してもらい、そういう中で、地域の方々の生活と世界遺産の価値との調和を図っていくという景観問題の本質を見きわめながら、これまで協議を続けてきたところであります。
 今後とも、あらゆる角度から、事業者と検討を加えてまいりたいと考えております。
 次に、衣川北部の埋蔵文化財の中身とその保存方針についてであります。
 衣川堤防築堤工事に先立ち実施された発掘調査で、奥州藤原氏に関連する12世紀の建物の柱穴や溝跡などが発見されました。特にも、接待館遺跡は大規模な堀跡に囲まれ、大量のかわらけが出土したことから、議員御指摘のとおり、柳之御所遺跡に匹敵する重要な遺跡であるとの評価を得たところであります。県といたしましては、このような評価を受け、築堤工事と遺跡保存の両立を目指すという方針のもと、地元の住民の方々に説明し御理解をいただきながら、国土交通省に対し要望したところ、堤防ルートを変更し、接待館遺跡の現状保存を決定していただいたところであります。
 今後、接待館遺跡については、文化庁の指導を得ながら、地元奥州市が主体となり、史跡指定に向けた確認調査を進めることとしており、県としてもこれを支援してまいります。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時32分 休憩
出席議員(48名)
1 番 木 村 幸 弘 君
2 番 久 保 孝 喜 君
3 番 小 西 和 子 君
4 番 工 藤 勝 博 君
5 番 岩 渕   誠 君
6 番 郷右近   浩 君
7 番 高 橋   元 君
8 番 喜 多 正 敏 君
9 番 高 橋 昌 造 君
10 番 菅 原 一 敏 君
11 番 小野寺 有 一 君
12 番 熊 谷   泉 君
13 番 高 橋 博 之 君
14 番 亀卦川 富 夫 君
15 番 中 平   均 君
16 番 五日市   王 君
17 番 関 根 敏 伸 君
18 番 野 田 武 則 君
19 番 三 浦 陽 子 君
20 番 小田島 峰 雄 君
21 番 高 橋 比奈子 君
22 番 高 橋 雪 文 君
23 番 嵯 峨 壱 朗 君
24 番 及 川 あつし 君
25 番 飯 澤   匡 君
26 番 田 村   誠 君
27 番 大 宮 惇 幸 君
28 番 千 葉 康一郎 君
29 番 新居田 弘 文 君
30 番 工 藤 大 輔 君
31 番 佐々木 順 一 君
32 番 佐々木   博 君
33 番 工 藤 勝 子 君
34 番 平 沼   健 君
35 番 樋 下 正 信 君
36 番 柳 村 岩 見 君
37 番 阿 部 富 雄 君
38 番 斉 藤   信 君
39 番 吉 田 洋 治 君
40 番 及 川 幸 子 君
41 番 佐々木 一 榮 君
42 番 伊 藤 勢 至 君
43 番 渡 辺 幸 貫 君
44 番 小野寺 研 一 君
45 番 千 葉   伝 君
46 番 佐々木 大 和 君
47 番 菊 池   勲 君
48 番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時49分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。千葉康一郎君。
   〔28番千葉康一郎君登壇〕(拍手)

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