平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(千葉康一郎君) 民主・県民会議の千葉康一郎でございます。
 改選後、初の定例会におきまして一般質問の機会をいただきましたことに、先輩・同僚議員に心から感謝を申し上げます。
 一般質問も後半になりますと、さきの質問者と質問内容にかなり重複する点もありますが、理解を深める意味で質問いたしますので、御理解を賜りたいと思います。
 質問に入る前に、まず、さきの知事選で、達増知事におかれましては、県民の圧倒的な御支持を得て知事に就任されましたことを、心からお喜び申し上げる次第でございます。
 140万県民は、知事の若さと清新さ、そして行動力に大いに期待しておるところであります。どうぞ、大いなる自信と誇りを持って、県民の先頭に立ち、希望王国岩手の実現に向けて、強力なリーダーシップを発揮されますよう、心から御期待申し上げるものであります。
 それでは質問に入ります。まず、知事にお伺いします。
 知事は、知事選出馬に当たって、世界に通用する自治なくして、世界に通用する政治はあり得ないとの崇高な政治理念と、守らなければならない財産としての岩手心を持ち続けて県民本位の県政を進めていく旨、力強くその決意を表明されました。そして、県民の圧倒的多数の支持を得て、見事、知事に当選されたところであります。
 そこで、これからの県政運営に当たっての基本的な考え方をお聞かせ願います。
 先日の知事演述でもお示しいただきましたが、改めてお聞きいたします。
 特にも、知事のマニフェストで岩手4分の計を示されました。つまり、県内を4広域圏に分け、それぞれ地域に合った振興を図るということを強調されました。私は、知事のこの新地域主義戦略は、市町村中心の地方分権を推進する上で非常に意義あるものと考え、高く評価するものであります。
 そこで伺いますが、それぞれの広域振興圏の地域特性に応じた振興を図りながら、県全体の均衡ある発展をどのように図っていくのか、基本的な考えをお示しください。
 また、広域振興圏においては、広域振興局が設置された場合その役割が大きくなり、従来の地方振興局と市町村との関係に比較して、県との関係が遠くなることも懸念されますが、広域振興圏体制において、県はどのように市町村中心の地域経営への支援を進めていくのか、知事の考えを伺います。
 また、県北・沿岸振興は、岩手県の発展にとって大きなかぎを握るものと思いますが、具体的に今回の補正予算では、県北・沿岸圏域の振興について、どのような施策が盛り込まれ、それにより、どのような効果が期待できるのか、お聞かせください。
 知事は、このほど、本年度の骨格予算に肉づけをし、今定例会に提案されたところでありますが、限られた財源の中で、県民に夢と希望を与えるいわゆる達増カラーをどの程度盛り込むことができたとお考えですか、知事の認識を伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 まず1点目は、平成18年度をもって第1期改革の決着を見た三位一体改革についてであります。
 そもそもこの改革のねらいは、一口に言って、分権改革をバックアップできる自治体財源の仕組みを構築するところにあったと私は理解しております。この改革の決着に至る過程では、激しい議論や駆け引きがあったところでありますが、結局は生活保護費の国庫負担分を削減しないかわりに、義務教育費や児童扶養手当、児童手当の国庫負担分の支出を地方に押しつけた形で決着しています。私は、この三位一体改革の決着は、改革の本来の趣旨からは大きくかけ離れたものであり、地方交付税についても、単なる総額の削減のみが先行したと思っております。また、税財源移譲についても、平成19年度より、所得税から個人住民税への移譲が行われましたが、全体としては、地方自治体が真に住民本位の行政運営をみずからの責任で行えるような改革ではなかったと思っております。
 そこで、この三位一体改革について、今後の本県における影響と対応についてお聞かせください。
 また、県は、今後も引き続き三位一体改革を初めとする地方の自立に向けた分権改革の実現を、地方6団体等と連携して国に対し強力に要望すべきと考えますが、知事の考えをお示しください。
 2点目は、財政運営について伺います。
 平成19年度予算も、今回の補正をもって達増知事による政策的な肉づけがなされましたが、総額で対前年度当初予算との比較では約1.8%、130億円余の減で、総額7、268億円となり6年連続の減額予算となっております。その中にあって、直面している諸課題の解決や生活向上など、危機を希望に変える戦略に取り組む事業に積極的に予算計上されました。また、公共事業についても、対前年度9.7%を縮減しながらも地域経済に配慮し、各種社会資本整備に取り組むこととされております。さらに、プライマリーバランスの均衡も図りながら、県債残高の減少にも努力された予算編成であり、評価できるものであります。しかしながら、依然として厳しい財政環境は変わっておりません。県は、このような財政環境から脱却するための行動計画として、ポスト行財政構造改革プログラムを策定するとされておりますが、その策定に当たっての基本的な考え方について伺います。
 3点目は、今後の県財政の中期的な見通し等についてであります。
 長引く景気低迷による県税収入の落ち込みや地方交付税の大幅な減額などにより、県財政は極めて厳しい状況が続いてきたところであります。国においては、平成18年7月の経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006に沿って、今後5年間に歳出削減を計画的に実施するとしていることから、今後も地方交付税や国庫支出金などの依存財源は、多くを期待できないものと思われます。
 そこで、今後の県財政の中期的な見通しについてお示しいただきたいと思います。
 また、現下の財政状況から脱却するためには、歳出規模の適正化とともに、何といっても自主財源の確保が重要であり、その自主財源の大宗を占めるのが県税であります。税財源の確保のためには、企業誘致や産業活動の支援が必要であり、県内経済の活性化策を推進することが緊要であります。また、収入未済額の縮減や、先般新聞でも報道されましたが、県有未利用地の処分などの取り組みも、より一層求められるところであります。県は、この自主財源の確保策をどのように考え、どう取り組んでいく考えであるか、伺います。
 4点目は、IMS―岩手マネジメントシステムによるカイゼンについて伺います。
 県は、平成17年度に、総務部と農林水産部をモデルとして、IMSのカイゼンに取り組まれました。このことについては、昨年の決算特別委員会でも取り上げましたところ、それぞれ目標を達成し、成果を上げているとのことでありました。私は、ハード面における業務処理の簡素化や効率化はもちろんのこと、職員の意識面においても改善意識が定着し、実際の行政サービスの質的向上が図られなければ意味がないと考えます。
 そこで伺いますが、このIMSのカイゼンが平成18年度に他部局まで拡大されたと思いますが、取り組みの成果とそれに対する評価はどうか。また、このカイゼンを今後も継続・発展させていく考えがあるかどうかについて伺います。
 次に、情報インフラの整備について伺います。
 広大な県土を持つ本県では、県民がいつでも、どこでも、情報サービスを享受でき、安心して暮らせる地域社会をつくるために、県内の暮らしや産業、防災、さらにはひとづくりなど、さまざまな分野で情報化を推進していかなければなりません。そのためには、県内の情報通信格差をなくし、県民が総合的な情報サービスが受けられるよう、情報通信基盤の整備を進める必要があります。
 そこで1点目は、ブロードバンドの整備についてであります。
 この件については、一昨年の一般質問でも取り上げましたが、現在、県内には、将来有望な企業や農業後継者が各地で活躍しております。残念ながら、光ファイバーどころか、ADSLさえも使えない地域がまだまだ存在し、活躍の場が限定されております。企業だけでの努力では解決できない次元の格差があります。情報通信基盤が整備されていない地域には、企業の進出は見込めないばかりか、活動中の企業の撤退もあるという事態も起こり得るのではないかと危惧しておるところであります。
 昨年8月に、総務省が発表した次世代ブロードバンド戦略2010によりますと、2008年―平成20年までにブロードバンドサービスが利用できない市町村をなくし、2010年までにはすべての地域で利用を可能にするということであります。
 そこで伺いますが、県内のブロードバンドの整備状況はどうなっているのか。また、今後の整備計画についてお知らせください。
 2点目は、携帯電話の不感地域の解消対策についてであります。
 今や携帯電話は生活の必需品であり、災害発生時等においては緊急の通信手段であります。しかしながら、山間地などには不感地域が多くあり、地域住民の日常生活に大きな不便を来している現状であります。少なくとも、県内のどこにいても携帯電話だけは使えるように、不感地域を解消しなければなりません。
 携帯電話の通信網の整備は、基本的には通信事業者が行うものとされております。しかし、採算面から通信事業者が単独で整備できない過疎地域等では、一定以上の人口を有する地域などについては、市町村の要望を踏まえ、通信事業者との調整が図られた箇所については、国庫補助や県単補助制度を活用して整備を行うとのことであります。
 そこで伺いますが、県は、県内の不感地域を把握しておられるのか。また、不感地域解消のために、どのような対策を講じておられるのかを伺います。
 また、県は、携帯電話の不感地域解消のために市町村を支援し、通信事業者の設備投資を促進するための支援を拡充すべきであると考えますが、県のお考えをお聞かせ願います。
 3点目は、地上デジタル放送に関してであります。
 平成13年度に電波法が改正され、平成23年7月までに、これまでのアナログ放送からデジタル放送に完全移行されることになりました。地上テレビ放送のデジタル化は、ハイビジョンによる高画質や多彩な情報サービスが受けられることのほか、現在、アナログ放送で利用している周波数の一部を、携帯電話や新たな無線サービスなどに利用することで、産業分野へも大きな波及効果が期待されるなど、大変すばらしいことであります。現在、地上デジタル放送は、そのエリアを順次拡大し、昨年12月には、全国すべての県庁所在地で放送が開始されたところであります。
 そこで、地上デジタル放送のエリア拡大について、岩手県内においてはどのような計画で整備が進められるのか、また、整備に関する国の支援策はどうなっているのか、伺います。
 また、デジタル化に伴う県民負担の有無や程度、さらに負担軽減策についてお示し願います。
 地上デジタル放送についての2点目は、視聴エリア外、いわゆる難視聴地域対策であります。特にも、本県は山間地が多く、地形上の制約から、難視聴地域の発生が懸念されるわけでありますが、整備計画の中では県内のカバー率はどの程度になるのか。そして、その難視聴地域解消対策について、どのように考えておられるのか、伺います。
 次に、農林業行政について伺います。
 まず第1点目は、農業生産基盤の整備についてであります。農業の振興なくして中山間地域の集落の維持、活性化は期待できません。近年、農業の担い手が年々減少し、加えて65歳以上の高齢者が人口の50%以上を占めるいわゆる限界集落が増加しております。これにより集落の維持が困難となり、これが集落崩壊につながりかねないということが大きな社会問題となってきております。農業の担い手は、単に農業のみならず、地域の消防であるとかPTAといった地域活動の担い手でもあります。この担い手をいかにして確保・育成し、地域づくりを進めていくか、この点について多くの地域では腐心しており、その対策が求められております。この担い手の確保や地域づくりの一つの契機となっているのが農業生産基盤整備事業であります。この事業は、大げさに言えば、地域の人心までも変えることができる構造政策であります。千厩地域では、農業生産基盤整備事業を契機にして担い手が確保されて、集落営農の組織化が図られたり、米生産の余剰労働力を活用して小菊やトマトなどの園芸生産が行われ、トータルとして農業生産額、所得を向上させております。このように、農業生産基盤整備事業は、ハード整備のみならず農業生産額、そして所得全体を引き上げる上でも極めて有効なツールであります。県は、このような農業生産基盤整備事業と連携した農業振興策をどのように考えておられるのか、伺います。
 2点目は、いわて森林づくり県民税の成果等について伺います。
 公益的機能を有する県内の森林の維持増進と、地域の特色に応じた森林整備を進めるために、昨年、いわての森林づくり県民税を創設してさまざまな事業を展開しておりますが、これまでの取り組みの成果をお知らせ願います。また、これまでの事業実施に当たっての課題及びその対策についてもお聞きいたします。
 3点目は、農林業行政に関連して、ツキノワグマの対策について伺います。
 ことしは、暖冬の影響か、5月11日までに両磐管内に寄せられたクマの目撃情報は9件あり、そのうち捕獲は2頭とのことであります。県全体の出没数は、平成12年に189頭、平成14年に242頭、17年に260頭、そして18年には585頭と、年度的には波がありますが、増加の傾向にあります。クマの捕獲には、自然保護の観点から一定の個体数を守る必要があることは十分承知しておりますが、保護優先の施策になり過ぎてはいないでしょうか。県民の命と財産を守るために、捕獲などの有効な手段を講ずるべきと考えますが、見解を伺います。
 ところで、県が平成19年、ことしの1月に開催したツキノワグマ保護管理検討委員会では、平成19年は大量に出没するおそれはないと発表されておりました。しかし、両磐地域で、これまでクマ出没の心配はないとされている地域にも出没が確認されており、子供やお年寄りに大きな恐怖を与えております。特に昨年同期の2倍以上の出没となっており、農作物の被害も発生しているところであります。こうした危機を感じた場合には、早期に有害駆除を行うべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。
 また、有害駆除の事務処理は、まず市町村が有害駆除の書類を作成した上で、県がこれに許可を出すということになっており、権限移譲は余りにも限定的ではないでしょうか。現在、市町村の判断で駆除できるのは、人的被害が発生し、また、発生するおそれがあり、かつ緊急を要する場合のみであります。このような事務処理の流れでは、生命、財産を守るには問題があります。すべての権限を現場に近い市町村に早急に移譲すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、クマの出没を防止するためには、山林と人里の緩衝地帯としての里山の自然環境整備を推進すべきと考えますが、県の見解を伺います。
 次に、医療制度改革と県立病院の運営について伺います。
 1点目は、医療制度改革についてであります。
 急増する医療給付の増加を抑制することを目指した医療制度改革関連法案が昨年6月に成立し、10月から一部実施されております。国では、このままでは、平成37年度の医療給付費は56兆円に達すると予測されたことから、医療制度を改革し、48兆円に抑えることとしたのであります。この医療制度改革によって、現役並みの所得を得ている70歳以上の高齢者の窓口負担は、これまでの2割から3割に引き上げられ、また、療養病床でも、長期間にわたり療養している70歳以上の患者の食事、光熱水費は原則自己負担となりました。さらに、県は平成20年度から24年度までの5年間の医療費適正化計画の策定が義務づけられました。
 そこで伺いますが、医療費適正化計画の策定に当たっては、本県の県民医療の実情等も踏まえた独自の施策がどの程度盛り込めるのか、また、どのような方針で臨むのか、伺います。
 また、医療制度改革は、県民医療において重要な役割を担う県立病院事業に対して、どのような影響や問題点があるのか、県立病院事業を経営する県としての認識についてお聞かせください。
 2点目は、県立病院事業について伺います。
 平成18年度決算では、差し引き損益は9億7、000万円の赤字で、累積欠損金は127億6、000万円近くに上るとのことであります。本県では、以前から県民一人一人の健康づくりに向けて、医療機関はもとより、関係団体や市町村と積極的に連携を図りながら、各種の健康づくり施策を推進してきたところであり、県民の健康水準は以前より向上してきているのではないかと思っております。
 私は、健康と病院の関係でありますが、県民の健康水準が向上して患者数が低下すれば、病院は赤字になるのは当然であると思っております。そこで、県立病院の赤字の要因の一つとして、県民の健康水準の向上によってのいわゆる入院、外来患者数の減少は考えられないのでしょうか。また、このような今後の患者数の見込みを踏まえた県立病院の赤字解消策をどのように考えておられるのか、お聞かせください。あわせて、年々増加している個人未収金の解消策についてはどうなっているか、伺います。
 私は、今後、県立病院はもっと高度化、専門化し、地域内の医療機関等との連携を強めながら、文字どおり地域の中核病院としての役割を担うべきと考えますが、県の考えを伺います。
 3点目は、本県における医療供給体制についてでありますが、今、県民の間では医師不足が話題で、将来、地元の県立病院も縮小あるいは廃止されるのではないかという多くの不安視する声を耳にします。また、遠くの医療機関まで通っている方も多く見られます。
 そこで、県は現在、新しい医療計画を策定中と聞いておりますが、県内の患者動向をどのように認識し、それを踏まえて、医療計画では、医療機関の機能配置や連携など、本県の医療供給体制をどうするのか、基本的な考え方をお聞かせください。
 また、県は、医師不足の実態と今後の対策や方向性等について、もっともっと県民に理解されるような説明を積極的に行うべきであると思うのですが、この件についても伺います。
 最後に、教育行政について伺います。質問時間も残りわずかとなりましたので、1点のみ質問いたします。
 教育長に伺います。教育長は、本年3月の定例会におきまして、議会の同意を得て教育委員に任命されました。その後、教育委員会で教育長に選任されて、本年4月から御就任されたところであります。教育は国家百年の計と言われております。とにかく、教育の成果というものは一朝一夕にして出るものではないと思っております。今、日本は、平成12年12月に設置された内閣総理大臣の私的諮問機関の教育改革国民会議が教育基本法の見直しを提言して以来、政治主導による教育改革の動きが強まってきております。
 そこで、このような状況の中で、教育長は、本県の教育行政を推進するに当たって、どのような姿勢で臨んでいくのか、そのお考えをお聞かせください。
 時間をちょっと残しましたけれども、以上で私の質問は終わりますが、答弁の内容によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉康一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政運営に当たっての基本的な考え方についてでありますが、最近の地方行政や地方経済を取り巻く環境がグローバル化により大きく変化している中にあって、私に課せられた使命は、まず、確かな地域経済基盤の構築によるグローバル化の時代に対応した力強い産業構造の実現と、若者の雇用の場の確保などによる人口流出の抑制であり、同時に、安定した財政基盤のもと、県民生活にかかわる基本的なサービスを地域で主体的に提供していくことができる仕組みをつくっていくことであると認識しております。私は、その使命を果たすため、公正、自立、そして共生という理念のもと、新地域主義戦略と岩手ソフトパワー戦略という二つの戦略により、県民本位の視点による政策の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、広域振興圏の振興と県全体の均衡ある発展についてでありますが、県内各地域の振興については、フロンティアである各広域振興圏が、それぞれの地域事情のもとで、地域の個性や強みを生かした施策を推進し、地域の自立性や独自性を高めることが必要であると認識しております。このため、私は今年度中に、地域社会を構成するすべての主体の力を最大限に引き出すという考え方を基本とする地域振興全般の目標を掲げた広域振興圏ごとの計画を、県全体の後期実施計画である新しい地域経営の計画と一体的に策定し、具体的な取り組み等を推進していく考えであります。また、これらの取り組みを進めるに当たっては、特に県北・沿岸振興に配慮してまいる考えであります。
 次に、広域振興圏体制における市町村支援についてでありますが、自立した広域振興圏における県と市町村のあるべき関係については、近接・補完性の原則に基づき、地方行政事務の大宗をなす住民の日常生活に関する行政サービスについては、基本的に市町村が提供する一方で、県においては、市町村ではなし得ない広域的な見地に立った産業振興、幹線道路網等の基盤整備や防災等を担っていくものと考えております。このような役割分担のもとで、県と市町村は対等なパートナーとしてこれまで以上に連携、協働を進めていかなければならないと認識しております。したがって、県といたしましては、そのような考え方のもとで、市町村がその役割を十分担えるよう、当面、合併や県職員の人的派遣を伴う権限移譲を推進することなどにより、市町村の体質強化に向けた取り組みに対して支援をしてまいる考えであります。
 次に、補正予算における達増カラーについてでありますが、今般の補正予算303億円は、私のマニフェストに掲げました戦略や政策の具体化を念頭に、県民生活の向上を図るために必要と認められるものについて編成したところでありまして、その全体が私のカラーと受けとめていただければありがたいと考えております。
 具体的には、確かな地域経済基盤を構築しつつ、医療・福祉、教育などの県民サービスをしっかりと確保することに重点を置くこととし、新たなファンドの創設による県内産業の育成支援のほか、医師確保対策やいわて型コミュニティスクールの推進などの取り組みの強化を図ったところでございます。
 また、景気回復がおくれている県北・沿岸圏域の産業振興の重点化に加えまして、町内会や自治会といったいわゆる草の根地域を応援していく取り組みや、県内各地で展開されている伝統芸能活動を支援し、県内外へ発信する取り組みなど、新地域主義戦略や岩手ソフトパワー戦略を展開していく上での新しい機軸となる取り組みも盛り込んだところでございます。
 さらには、公共事業についても、地域の経済状況に最大限に配慮する観点から、産業振興や安全・安心な暮らしの確保に効果の高いものを厳選しながら、積極的な予算計上に努めたところでございます。
 次に、三位一体改革の今後の影響と対応等についてでありますが、三位一体改革は、国庫補助負担金改革における補助負担率の単なる引き下げに象徴されるように、国の財政再建に軸足が置かれ、地方の自主性、自立性を高めるという地方分権の推進の観点からは極めて不十分な内容であり、また、平成18年度までの改革の期間中、地方団体の財政格差を是正する役割を担うべき地方交付税が、本県においても臨時財政対策債を含み約438億円減額されたほか、平成19年度の地方財政計画においてもマイナス4.4%と大幅な減となっているなど、厳しい財政運営を余儀なくされていると認識しております。
 地方自治の確立のためには地方財政の自立が必要不可欠であることから、今後の第2期地方分権改革では、未完の改革にとどまっている地方分権改革を着実に前進させ、地方税財源の充実を図る必要があると考えております。そのため、今月、地方6団体が主催した地方分権改革推進全国大会で採択された決議書をもとに、県選出の国会議員に地方自治の確立と地方交付税の充実強化を直接要望したほか、地方6団体による地方分権改革推進本部を通じ、政府の地方分権改革推進委員会との意見交換を図るなど、地方6団体と連携し、国などに対し地方分権の推進を積極的に働きかけているところでございます。
 また、県単独でも、平成20年度の政府予算要望において、地方財政自立改革の実現について要望したところでございます。今後とも、引き続き地方6団体と連携し、地方分権の実現を国などに対し働きかけるとともに、これらの取り組みを通じて、地方分権改革に対する多くの国民、県民の共感を呼び起こし、それを支えに、真の地方分権を目指す改革を推進したいと考えております。
 次に、行財政改革に関するプログラムの基本的な考え方についてでありますが、このプログラムについては、今年度内に策定することとしております新しい地域経営の計画の中で一体的に組み立てることとしており、現段階の検討の視点について申し上げますと、新地域主義戦略を推進するための行政システムの改革と、岩手のソフトパワーの発揮を下支えするための行財政の徹底した簡素効率化などの改革に取り組むこととしているところであります。その中で、財政面においては、今後なお一層厳しさを増すことが想定される財政環境に的確に対応するため、すべての事務事業の見直し等を行い、持続可能な行財政基盤の構築を目指してまいりたいと考えているところであります。
 次に、農業生産基盤整備についてでありますが、これまでも、圃場整備の実施により、地域農業の担い手の育成と集落営農の組織化や法人化に向けた農地利用集積を促進するとともに、水田の汎用化や団地化の推進により、集落ぐるみでの新たな園芸作物、小菊やトマトの例をお示しいただきましたけれども、こうした園芸作物の導入など特色ある産地づくりを促進し、効率的、安定的な農業経営の実現に努めているところでございます。また、農道整備により交通の利便性の向上を図り、物流の効率化や、産直活動などを通じた都市との交流を促進しているところであります。今後とも、農業生産基盤整備事業を契機として、こうした取り組みを促進するとともに、今年度から始まった農地・水・環境保全向上対策を活用した地域の共同活動により、農地、農業用水の良好な保全に努め、結いの精神に支えられた地域ぐるみ農業を推進し、食料供給基地岩手の確立に努めてまいりたいと考えております。
 次に、医療制度改革についてでありますが、医療費適正化計画については、生活習慣病対策、特にメタボリック症候群該当者、予備群の減少、平均在院日数の短縮、医療と介護の連携による在宅療養支援などについて計画に盛り込み、医療費の伸びの適正化を総合的、計画的に推進するものであります。本県の1人当たりの老人医療費は、全国平均に比べて85%程度となっているものの、全国に比べて肥満率が高く、また、脳血管疾患による死亡率が高いこと、医療と介護の連携による在宅療養支援体制が求められていることなどの課題があると考えております。こうした課題への対応を進めるため、県内の保健医療関係者を初め県民の御意見等も伺いながら、本年秋をめどに策定予定の地域ケア体制整備構想などとの整合性も図り、本年度末までに医療費適正化計画の策定を進めてまいりたいと思います。
 次に、医療制度改革の県立病院事業に対する影響や問題点についてでありますが、現在進められている国の医療制度改革においては、診療報酬のマイナス改定、平均在院日数の短縮、患者負担割合の増加など、医療費の増加を抑制するための施策が進められているほか、医療計画において、がんなど4疾病5事業の医療連携体制の構築を行うこととされています。こうした国の制度改革の影響を受け、県立病院におきましては、診療報酬のマイナス改定に伴う収益減、在院日数の短縮などによる患者数の減少によりまして、今後も一層経営環境が厳しくなっていくものと考えられます。
 さらには、新たな医療計画の策定を通じて構築される他の医療機関との機能分担と連携の中で、担うべき役割に応じた県立病院のあり方について、議論を進めていく必要があると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、県北・沿岸圏域の振興策についてでありますが、今般の6月補正予算では、食産業振興のための食のマーケティング推進事業や、いわて産業振興センターとの連携のもと、ワンストップの支援体制を整備するため県北地域産業支援機能整備事業、さらには圏域における新たな事業活動への取り組みを重点的に支援するいわて希望ファンド(仮称)組成・推進事業などを加え、大きな可能性を持つフロンティアである広域振興圏の形成を目指しまして、今回、広域振興圏において取り組むべき事業として創設しました広域振興事業において、県北圏域着地型観光推進事業や、沿岸圏域ものづくり産業振興事業などの先駆的、戦略的な取り組みを推進することとしたところでございます。これら事業と、当初予算において措置している各種の事業を地域の方々との協働のもとで推進することにより、地域資源を生かした産業振興を図り、もって雇用の拡大と所得の向上などの成果を早期に発現するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、ブロードバンドの整備状況等についてのお尋ねでございますが、これまで県は、すべての市町村の中心部にブロードバンドを整備するため、県単補助でございます高速インターネット基盤整備事業といったもので民間投資の誘発に努めてまいりました結果、昨年3月末までに、全市町村中心部に限りますと、100%ブロードバンド化を達成いたしたところでございます。しかしながら、県内には依然としてブロードバンドゼロ地域が数多く存在しまして、平成19年3月末現在、ブロードバンドサービス加入可能世帯率81.5%、うち光ファイバー利用可能世帯率55.3%ということで、ともに全国最下位レベルでございます。
 県としては、民間投資による整備が困難な地域につきましては、市町村において、国の交付金等を活用した光ファイバーネットワークの公設民営方式の導入を促進することとしまして、具体的な整備モデルを提案する市町村情報化サポートセンターによる支援、6月補正予算にお願いしております市町村総合補助金による支援を両輪に、ことしの3月に市町村ごとの工程表を策定いたしておりますので、それに基づき、平成22年度までにブロードバンドゼロ地域の解消を目指し、積極的に取り組んでまいる考えでございます。
 次に、携帯電話の不感地域解消対策についてでありますが、県内の不感地域につきましては、通信事業者が公表していないところでございますけれども、昨年8月に市町村を対象に不感地域の解消希望の調査をいたしましたところ、17市町村で52カ所あったところでございます。これらの解消につきましては、通信事業者に対し、市町村とともに、その要望箇所について整備の早期促進を働きかけるとともに、必要に応じ国庫補助制度や県単独補助制度なども活用しながら、その解消に努めているところでございます。
 なお、今年度の解消につきましては、市町村からの要望を踏まえ、通信事業者との調整が図られました7カ所の整備を予定いたしておりまして、それに必要な補助金については6月補正予算にお願いいたしておるところでございます。今後とも、県といたしましては、その不感地域が確実に解消されますよう通信事業者に働きかけながら、国庫補助制度も活用しつつ、整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
 なお、支援制度の拡充についてでございますが、国の支援制度、移動通信用鉄塔施設整備事業という2分の1の補助率のものがあるわけでございますけれども、この事業採択要件が、財政力指数全国平均未満かつ鉄塔施設の費用5、000万円以上とされておりますので、この事業採択要件の緩和を図ることを要望してまいります。
 また、県におきましては、携帯電話エリア拡大推進事業ということで、過疎債等を使って整備する場合のその償還に充てるための基金を造成する場合に補助するものでございますけれども、これは、市町村との間では、特に拡充の声が寄せられているものではございませんが、事業者との調整が整ったケースの場合については、県としてできるだけ採択に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、地上デジタル放送の整備計画及び国の支援策についてでありますが、デジタル化放送への移行に向けまして、県内放送事業者は、現時点におきまして、平成22年度末までに中継局を約130カ所を整備することとしております。あわせて、県内に700余ある辺地共同受信施設のうち、設置主体が市町村や共同受信施設組合で改修が必要なものにつきましては、今後、その計画の具体化が求められているところでございます。
 国の支援策としては、一つには、放送事業者に対しては、設備投資費について、法人税の特別償却あるいは固定資産税の軽減等からなる税制上、あるいはまた、政府関係機関の無利子融資等の金融上の支援措置がございますし、市町村、辺地共同受信施設組合等に対しては、平成19年度新たに支援策が創設されまして、その内容は、改修等に要する経費に対し3分の1補助するというものでございます。
 次に、地上デジタル放送における県民負担及び国、県の軽減策についてでございますが、一般的な県民負担としては、テレビ、チューナー等の受信機器の購入経費になりますけれども、それの価格はさまざまでございますので、その額が幾らになるということは申し上げかねますが、県はもちろん、国におきましても、その軽減策は設けられていないところでございます。
 なお、辺地共同受信施設の場合は、先ほど申し上げましたとおり、辺地共同受信施設のデジタル化に向けた改修のため、一定の所要経費に対し3分の1、無線の場合は2分の1でございますけれども、そのような補助制度が今年度新たに創設されたところでございます。
 次に、地上デジタル放送における視聴エリア外の世帯カバー率及び難視聴解消対策についてでありますが、各放送事業者におきましては、アナログが停波される平成23年の7月をにらみ、平成22年度末時点における現在のアナログ受信世帯数に対するデジタル受信可能世帯数のカバー率を、おおむね100%とすることを目指しているところでございますが、ところによっては、中継局の設置時期等が明らかになっていないことや、共同受信施設の改修計画が明らかでないことから、確実に実現できるか、危惧いたしておるところでございます。
 このようなことから、地上デジタル放送への移行につきましては、もとより国策として進められているものでありますことから、県としては、これまで全国知事会や33道府県で構成している地上デジタル放送普及対策検討会の活動あるいは県の提案活動など、あらゆる機会をとらえまして、国、放送事業者等関係機関に対し、アナログ放送の終了によってテレビを見ることができなくなるという事態にならないよう、強く申し入れてきたところでございます。
 また、市町村に対しては、辺地共聴施設のデジタル化改修に関し、国の支援策を活用し早期の着手を助言するとともに、情報提供など、市町村情報化サポートセンターによる支援をしているところでございます。
 今後とも、国等に対し、その責務を果たすよう強く求めますとともに、市町村に対しても適時適切なサポートを行ってまいりたいと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 県財政の中期的な見通しと自主財源確保についてでございます。
 県といたしましては、今後の政策の推進方策や行財政改革の方針等を取りまとめました新しい地域経営の計画を策定することとしているところでございまして、中期的な県財政の見通しにつきましては、御指摘をいただきました骨太方針などの国の動向も踏まえながら、この計画の策定作業とあわせて検討させていただきたいと考えております。このため、来月から順次具体的な作業を進めていきたいと考えているところでございます。
 また、自主財源の確保につきましては、現在の危機的な財政状況から脱却していくためにも、また、持続可能な行財政構造づくりのためにも非常に重要であると考えておりまして、今後もまた、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 具体的には、まず県税については、地域経済の活性化対策の推進等によりまして、中長期的な税源の充実を図っていくことが重要なことであると考えておりまして、産業経済・観光の振興を政策の6本柱の一つに据えまして、これを重点的に取り組むことを通じて、地方税の充実につなげてまいりたいと考えております。また、税負担の公平性の観点からも、滞納整理の推進による収入未済額の縮減や課税捕捉調査の強化を図っていきたいと考えております。
 こうした点を含めまして、自主財源の大宗を占める県税収入の確保につきまして、取り組みをさらに進めてまいりたいと存じます。
 また、その他の自主財源につきましても、御指摘いただきました県有未利用資産の積極的な処分に努めますほか、使用料、手数料の見直しなども含めまして検討を進め、自主財源の確保につながる方策を幅広く進めてまいりたいと考えております。
   〔総合政策室長勝部修君登壇〕
〇総合政策室長(勝部修君) いわてマネジメントシステム―IMSについてでありますが、この取り組みは、無駄を省いて最小のコストで質の高い行政サービスを提供できる仕組みづくり、それから、常に改革・改善を求め続ける組織風土を目指したひとづくり、この両面をねらいとしたものでございまして、平成16年度に初めて農林水産部に導入したものでございます。17年度には総務部にも広め、18年度に全庁的な取り組みとして展開してきたところでございます。
 その取り組みの成果といたしましては、18年度におきましては、職員から提案されました延べ1万7、000件余の改善に取り組んだところでございまして、全業務量のおよそ3割に相当する時間を削減し、この時間を新たな行政課題に対応する時間などに充ててきたところでございます。
 また、職員1人当たりの年間超過勤務時間で見ますと、18年度は前年度と比較して13.6%の削減となり、コスト低減効果も実現したところでございます。業務プロセスの改革・改善に継続的に取り組む組織風土の定着に貢献してきていると評価しているところでございます。
 今後におきましては、各部局ごとの自主的、自立的な取り組みを基本としつつ、行政品質向上運動と一体的に推進することとして、新しい段階の改革・改善活動にステップアップをして、取り組みの進化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) いわての森林づくり県民税の成果等についてでございますが、いわての森林づくり県民税を活用いたしまして、公益的機能の発揮が求められているものの、十分な管理が行われていない森林を対象に、昨年度は、目標の約7割に相当する753ヘクタールの間伐を実施いたしますとともに、NPOや民間10団体が森林づくり活動を実施したところでございます。
 これら事業の今後の課題とその対応についてでございますが、県民税を活用して行う森林整備につきましては、整備対象森林の確保が課題となっておりまして、外部評価委員会や森林所有者の方々からの御意見なども踏まえまして、今年度から、事業実施要件のうち保安林指定要件を除外し、整備目標の達成に向けて事業を推進することとしているところでございます。
 また、県民参加の森林づくり活動につきましては、さらなる県民へのPRが課題となっておりますことから、事業の広報・PRを強化し、今年度は既に19事業を採択したところでございます。
 今後とも、いわての森林づくり県民税を有効に活用して、本県の森林環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) ツキノワグマ対策についてでございますけれども、まず、捕獲など有効な手段を講じるべきであるというお尋ねにつきましては、県では、ツキノワグマの保護管理計画を策定しまして、広葉樹林の造成などの生息環境整備、電気さく設置などの被害防除対策、捕獲上限数を定めての個体数管理などの総合的な対策を講じております。
 保護管理計画では、クマが出没したとき、原則として音や光などによる追い払いによって対応することとしておりますが、人身に対する危害が想定されるなど、捕獲以外の被害防除の手段がない場合には捕獲を認めておりまして、平成18年度は、過去最多となる241頭を有害捕獲したところでございます。
 次に、早期の有害駆除についてでありますが、捕獲に当たりましては、地域個体群を維持するため、有害捕獲と狩猟による捕獲とをあわせた捕獲の上限数につきまして、毎年度専門家等によります保護管理検討委員会で定めておりますが、有害捕獲につきましては、地域住民の生活や安全を最優先する観点から、時期、場所はもとより、捕獲上限数にもとらわれることなく行うこととしておりまして、特に人身に対する危害が切迫する場合には口頭により許可するなど、速やかに対応しているところでございます。
 次に、市町村への権限移譲についてでありますが、捕獲許可事務につきましては、広域的な観点から個体数管理を行う必要があることや、地域によって捕獲の判断に差が生じるおそれがあることなどから、市町村に対しては人的被害が発生またはそのおそれがあり、緊急を要する場合に限定して、許可権限を移譲しているところでございます。
 これに関しましては、より徹底した移譲を求める意見がある一方で、地域個体群への影響を懸念する意見などさまざまな意見がありますことから、今後の捕獲状況や市町村の動向、保護管理検討委員会での協議などを踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。
 次に、里山の自然環境整備の推進についてでありますが、農林水産部では、県民参加の森林づくり促進事業によりまして、身近な里山林などの整備や野生鳥獣との共生などを目的とする森林づくり活動を支援することとしておりますほか、環境保健研究センターでは、今年度から里山の保全に関する研究を行うこととしております。
 環境生活部におきましても、6月補正予算に、集落周辺等でのクマの行動特性の調査に要する経費を計上したところでございまして、人と野生動物の共生という課題に適切に対応していくため、こうした取り組みの成果を検証しながら、関係機関とさらに連携を深め、より効果的な対策について検討してまいりたいと考えております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 平成18年度決算の赤字要因と赤字解消策についてでありますけれども、患者数の全県的な動向を見ると、入院患者、外来患者とも減少傾向にあり、その中で県立病院の占める割合には大きな変化はなく、また、新外来患者数や新入院患者数は増加していることから、保健健康福祉政策の向上により、県立病院の患者離れがあるとは考えていないところであります。
 平成18年度の患者数減少の要因については、医師の退職などによる診療体制の脆弱化あるいは病院と診療所の連携、病院と病院の連携の推進などによるものなどが主な要因であると考えておりますけれども、外来では、長期投与の促進等により再来患者数が、入院では、医学技術の進歩による平均在院日数の短縮などにより再来患者数が減少したことと考えており、さらには、人数的には把握がなかなかできませんけれども、高齢者の一部負担割合の増加による受診抑制などがあったのではないかというふうに考えています。
 赤字解消策としては、医師の確保はもとよりのこと、地域の医療機関との連携を密にしながら、病床のオープン化や患者紹介、逆紹介を推進するとともに、各地域における患者動向分析による需要に見合った施設規模、診療体制を確立することが重要と考えており、さらには、医療計画の策定を通じて、県立病院の役割を明確にしながら、疾病別の医療機関ネットワークの中で、機能や役割を果たしていく必要があると考えています。
 次に、個人未集金の解消策についてでありますが、個人未集金は、長引く景気の低迷や健康保険法等の改正による患者負担額の引き上げなどにより、年々増加しているところであります。そのために、未集金対策マニュアルを作成するとともに、具体的な事例集の配布、さらには、全病院長会議などで重要課題としてその対策を協議するなど、未集金の発生防止や回収管理について取り組んでいます。
 具体的には、院内の診療体制の強化や圏域ごとに回収専門員を配置し、また、未集金の適切な管理と督促業務の効率化のために、未集金管理システムの開発・導入をしているところであり、さらには、悪質な未払い患者に対しては法的措置を講じているところであります。
 なお、病院利用者の利便性向上のためにクレジットカードの利用など支払い方法の環境整備や、医療費の支払いが困難と認められる患者に対しては、医療相談や医療費助成制度の指導助言を行うなどの措置を講じているところであります。
 次に、県立病院の高度化、専門化でありますけれども、県立病院は、広域基幹病院の二次保健医療圏の核として、救急医療や特殊専門医療機能の充実強化を図るとともに、地域の県立病院診療所がプライマリーケアや慢性期医療を担うなど、圏域における医療の完結性を高めることを基本方針として、現在、病院改革を進めているところであります。
 今後は、医療計画などの策定を通じて、千厩病院に導入した開放型病床制度の活用など、民間も含めた医療連携体制や地域における医療と介護の連携体制を構築していく中で、県立病院の役割や機能を明確にするために、さまざまな議論をしていかなければならないと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医療供給体制の基本的な考え方についてでございますが、まず、県内の患者動向についてでございますが、平成17年度に県が実施いたしました患者受療行動調査によりますと、県全体といたしましては、入院・外来患者とも、8割以上が二次医療圏域内で医療が完結しているという結果となっております。
 医療供給体制の基本的な考え方についてでございますが、事前対応を重視した切れ目のない保健・医療・介護の連携、がん、脳卒中、周産期医療などについて、一般医療から高度医療まで医療機能の分担を推進、こうした体制を支える医師等の確保、退院時から在宅療養まで支援する医療と介護の連携体制の構築などを基本に、医療計画の策定過程において医療連携をテーマとした医療供給体制を検討していきますが、限られた医師などの医療資源のもと、高度医療を要する疾病等については、さらなる機能の集中化も必要との御意見などもいただいているところでございます。
 今後とも、医療関係者や県民の御意見をさらに伺いながら、地域連携など、医療供給体制についての新しい視点を取り入れた医療計画を策定してまいりたいと考えております。
 次に、医師の不足の実態と今後の対策や方向性に関する県民への説明についてでございますが、こうしたことにつきましては、これまでも県の広報誌や県政番組、各種フォーラム等の場を通じて、県民の皆様にお知らせしてきたところでございますが、しかしながら、医師不足問題はさまざまな要因が複雑に絡み合った結果として生じていることもございまして、県民の皆様にさらに御説明していかなければならないと考えております。
 新しい医療計画の策定に当たりましては、今後パブリックコメントの一環といたしまして、地域ごとに説明会を開催する予定としておりまして、こうした機会もとらえて、医師不足問題とその対策についても、より深く理解していただけるよう、説明に努めてまいりたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 本県の教育行政の推進というお尋ねにお答えをいたします。
 4月以来、小・中学校、高等学校、特別支援学校を訪問し、実際の授業を参観したり、学校長や教員の方々から、さまざま取り組みや課題について御意見を伺ってきたところであります。この中で強く感じましたことは、まさに今日の教育問題については、現場の中で改革する方向を目指さなければ実際の効果は上がらないということ、また、単に学校や教員に努力を求めるのみでは解決策が見えてこないということであります。学校経営の仕組みを大きく変えていくことが重要だというふうに考えております。
 具体的には、学校経営のあり方を明確な目標達成型に転換しつつ、同時に、学校と家庭、地域との連携を強化する方向に持っていき、教育そのものを学校と家庭、地域との協働に変えていくことが必要だということであります。
 例えば、学力問題について申し上げますと、学校においてわかりやすい授業を行っていく、わかりやすい授業へ改善をしていくといった教員の努力はもちろん重要でございますけれども、同時に、家庭学習の習慣の定着、早寝・早起き・朝ごはんといった日常の生活習慣の改善、あるいは保護者による子供たちへの学習への動機づけなどの取り組みが、家庭においてもしっかり取り組まれなければなりません。このような観点から、学校と家庭が十分に話し合い、信頼関係をつくりながら、お互いの役割をしっかり果たしていくことが必要であります。このことは、よい意味での学校と家庭の緊張関係がつくられるということでもあり、こういう中で、学校や教員の意欲も高まり、学校の改革も進んでいくものと考えているところであります。また、家庭における取り組みも、よい方向に向かっていくものと考えます。
 このような方向性を岩手型コミュニティ・スクールの推進ということで、本県の教育改革の土台としてまいりたいと、このように考えております。
 現在、私も含め、県内各地にお伺いをしながら、市町村教育委員会や学校長との話し合いを重ねているところでございます。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時00分 散会

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