平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇42番(伊藤勢至君) ただいまの工藤大輔議員の質問に関連をいたしましてお伺いをいたしたいと思います。
 県北・沿岸振興、それと中国大連市との連携という部分についてでありますけれども、県北・沿岸振興につきましては、特に沿岸振興については水産漁業を振興することが大変大きな推進力になるものと思っております。そういう中で、昨年はアワビの稚貝ふ化養殖事業3、000万円の補助をいただいておりましたけれども、19年度はこれを700万円に削減するという内示があったようでございまして、期せずして、アワビのふ化養殖施設を持っている単組の漁協の組合長さん方から、それではとてもやっていけないという要望がありまして、4月20日に県漁連会長さん、そして単組の5団体の組合長さんらにおいでをいただきまして、農林水産部に要望を申し上げたところであります。その結果と思いますけれども、おかげさまで19年度予算には補正予算で約1、400万円を追加といいますか、足していただいた形で、これには知事の県北・沿岸振興にかける御配慮もあったように伺っておりますが、これにつきましては大変ありがたいと思って感謝を申し上げますけれども、その際の視点の一つが、激変緩和という説明もございました。激変緩和ということになりますと、確かに軟着陸ということになるのでしょうが、そうしますと、20年あたりから緩和の部分がなくなってしまうと、やはりまた激変の部分でいくのかなと、このように思うわけであります。お金がないと言いながらも、これは、私はその要望の際に申し上げましたが、当局の説明では、アワビのふ化養殖事業は大体行き渡って成果も上がってきたので、アワビをやめてナマコにするのだという御説明でありましたが、そのようなスクラップ・アンド・ビルドでは県北・沿岸振興につながらない。アワビはアワビでしっかりやってもらいながらナマコをやるのならわかる、こういうこともお話をしたわけでありますが、これにつきまして、19年度以降の農林水産部の考え方はどのようになっておられるのか、高前田農林水産部長にお伺いをしたいと思います。
 あわせて、その中で当局からの提案は、ダイバーを使って、漁協が人を雇って収穫をすればいいのではないかという話もあったわけであります。しかし、漁民は収穫の喜びということもやはり大きな気持ちの、何と言いますか、高揚につながっていると思っております。左手で体を支えて、口で箱眼鏡をくわえて、右手でさおを持って、右の足でかいを操りながら、まさに職人芸だと思っているのですが、こういう収穫の喜びまで奪ってしまいかねない。したがって、激変緩和の措置というのであれば、当然、それについてどのような部分を協調し合いながらやっていくのかという説明がなければ、来年度以降も、県北・沿岸振興議員連盟がきょう発足いたしましたが、仲間の議員の方と一緒に、それではいけないという反対をせざるを得なくなりはしないかと思っておりますので、来年度以降の見通しについて御説明をいただきたいと思います。
 それから、ナマコの養殖の話が出ました。今、本庁内でナマコの養殖に一番御熱心なのは出納長であると伺いましたので、組織を挙げて一生懸命取り組む姿には、どなたであれ、私は協調したいと思っておりまして、余りないことだと伺いましたが、ひとつ伺いますので、お教え願いたいと思います。
 私も大連を訪問したことが1回ございます。大連友好議員連盟でしたか、それで行ったわけでありますが、その際に、アワビの蓄養場を視察いたしました。アワビの養殖施設の中で一緒にナマコも養殖をしておりました。えさはワカメでありました。先ほど言いましたアワビも、ナマコも、あるいはウニも主食は昆布、ワカメであります。そういう中で、三陸のナマコであるからおいしい、旧三陸町の吉浜アワビであるから価値が高い、こういうことだと思うんですが、中国大連は人口600万人であります。そしてまた、中国全土では13億人とも言われておりますし、戸籍がないからもっといるのではないか、15億人いるのではないかとも言われております。いや、もっと18億人ぐらいいる―わかりませんが、いずれ、その中で経済特化政策がとられてきました結果、富裕層と貧困層がすっかりもう分かれてしまって、そういう中で富裕層が約1割5分ぐらいということであります。そうしますと、大連で富裕層が90万人、中国だと恐らく日本の人口を上回る富裕層がいるのかもしれません。そういう方々が、ナマコがおいしいということで、ナマコ、ナマコ、ナマコと言いましたら、三陸のナマコはとても供給が間に合わないと思うんです。しかも、そのえさになっている昆布、ワカメがすばらしいから三陸のナマコがすばらしいのだと思います。どのようにこの三陸のワカメがすばらしいかといいますと、最も卑近な例でお話をいたしますが、我が家でも朝食にワカメのみそ汁をつくります。おいしくいただきます。そのうちほどなくお昼が参ります。家庭の事情によりまして、これをまた温めてちょうだいをします。またおいしくいただきます。またまた時間がたって夕食が参りますと、家庭の事情によってこれをまたちょうだいするわけでありますが、三陸ワカメは、そのようにしても絶対溶けないで、そのままの姿でいる。恐らく三陸以外のワカメであるとお昼ごろには溶けるでありましょう。そういうすばらしいワカメを食べたナマコ、アワビあるいはウニ、そういったものをやはり売り込みの際には、何といいますか、三陸のものがおいしいとなると、次はロットで来るんです。そうなると間に合いません。そして、それに例えば真崎ワカメでありますとか、重茂のワカメでありますとか、ブランドが確立したワカメを投入するようなことがあっては、マイナス効果でしかないと私は思うのであります。したがいまして、それぞれの三陸沿岸のキャパというものもあります。えさとしてのワカメ、昆布の量もあります。そういったところを勘案していただいて、特にも三陸町の吉浜アワビは、中国の五つ星レストランでは1皿30万の値段がついているところもあるやに伺いましたが、しかし、浜値は全然上がっていないのです。それでは浜で働く人たちの実収入につながっていないと思うわけでありまして、その辺までお考えをいただいた上で、この販路拡大に当たっていただきたい。それにはむしろ量をふやすよりも個々を磨いたほうがいいのではないか、私はこのように思うわけであります。
 宮古湾内で花見ガキというカキを生産しておりまして、大変好評であります。これは2年物をとって、それをばらして出しますと普通の大きさなのですが、これに手をかけて1回分解して、またつるして1年ほど置くと、岩ガキと同等ぐらいの、あるいは以上ぐらいの本当にぷりんとしたカキらしいカキの味を持ったカキができるわけであります。これは手をかけているからであります。
 そして、今、ホタテの養殖等につきましても、1個100円のホタテを100個つくって1万円で売るよりも、手間暇をかけても1個500円のホタテを20個つくったほうが作業が楽で実入りがいいということがあって、そういうことに移行している方々もあるようでありますから、売れるからどんどんつくって売ろう、ロットが間に合わない、大量生産、しかもキャパというものがあるわけでありますので、それを超え過ぎると、三陸の俵物という名前も失ってしまいかねない、このように思うわけでありまして、それらについての御見解をお示し願いたいと思います。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、アワビの栽培漁業の振興について、19年度以降の取り組みの方針についてでございます。
 まず、アワビにつきましての認識でございますけれども、これは、申し上げるまでもなく、全国一の生産量を誇る本県の栽培漁業の主力魚種であると認識をいたしておりまして、今後も、特に沿岸圏域の振興を図る上で、これは重要な資源であると認識をいたしております。アワビにつきましては、これまでの長年の御努力、取り組みによりまして、漁協が中心となって、毎年大体800万個の種苗が放流される体制が確立されまして、事業効果の面でも採算がとれるレベルまで到達いたしております。したがいまして、私どもといたしましては、今後、限られた財源の中でこれらの資源をしっかりと造成していくためには、特にアワビにつきましては、現在、5%を切るぐらいの回収率になっておりますけれども、この回収率を、10%程度を目標として、回収率の向上を目指して効果的な種苗放流事業のモデルを漁業協同組合と一体となって確立していきたいということでございますし、それから、もう一つは、しっかりと関係者と十分な協議を行いまして、民間ベースでの自立的な種苗放流体制への移行を進めていきたいと考えております。
〇出納長(上村俊一君) お答えいたします。
 私も何回か大連を訪問した際、とりわけ大連賓館、前のヤマトホテルですけれども、そこで大連市長の招きで歓迎会があったのですけれども、そこにナマコが出てまいりました。かつてナマコの料理は岩手県から出たいわゆる三陸俵物だったのだろうと思っておりました。また、やっぱりこれをぜひ広めていきたいなといった思いがありました。その中で、おっしゃるとおり、最近、中国での需要が高まってまいりました。干しナマコの需要が高まったんですけれども、とりわけ三陸物につきましては、これは他の干しナマコと違って非常に高品質で、中国人から言わせますと、そういう形がそのまま残った、とげが、イボ足が多いのがあるそうですけれども、まさにそういったものが三陸でとれるといったことで、非常に市場価値が高いわけであります。これはチャンスだということになりまして、そのためには、やっぱり量産技術が必要なわけです。その量産技術につきましては、実は日本よりも大連市―大連市というのはちょうど岩手県と地球上で同緯度ですから、海洋環境が似ているわけです。それなりに他の海産物も競合するわけですけれども、やはりきちんと学ぶところは学べといったことから、私も、大連水産学院を訪問しまして、平成18年2月に同学院との間で学術交流に関する協定―水産技術センターが相手ですけれども―を結んだところであります。その学術交流成果を活用しながら、現在、北里大学あるいは岩手県の水産技術センター、さらには民間企業が連携して増養殖技術の開発に取り組んでいるところであります。
 本年度は、さらに6月補正予算で増額を今提案しているわけですけれども、ナマコ種苗の量産技術開発にも着手しまして、平成20年度をめどに本格的な量産技術を確立することといたしております。
 この取り組みのほかに、やはり主体的に取り組むのは漁業者でありますから、漁業協同組合等が主体となって、きょうも新聞に上がりましたが、今、漁場の調査等をやっております。そういった体制を整えつつあるということとともに、やはり、生で売るよりも加工して干しナマコと―干しナマコというのは、水分を飛ばしますから生から大体25分の1まで収縮するんですけれども、そういった乾燥状態でやりますと非常に高く売れるといったことから、水産技術センターによって加工技術の指導を行っていきたいと思います。これは、高品質なものをつくるということであります。
 それから、大連商談会等々を利用して海外市場の拡大を図っていきたいということであります。
 いずれにいたしましても、漁業者の期待が大変大きいわけでありますので、早期に成果を上げていきたいと考えております。よろしくお願いします。
〇42番(伊藤勢至君) ありがとうございました。
 出納長、今度一緒にナマコを食いながら一杯やりたいと思っていますけれども、それは置いときまして、今言いましたのは、15億人とも18億人とも言われる中国が全部そういったものに向いてきた場合に、絶対にキャパが少ない、小さいわけですから間に合わなくなる。ここを絶対頭に置いていただきたいんです。そうしないと、養殖、養殖ということになってきますと、時間もない、納期は決まってくる、ロットを要求される、こういうことになってきまして、それに乗っていったら危ないと思うんです。それよりも一個一個を磨いて、三陸物だから高いんだ、そういう志向をしたほうがいいと思いますので、そういうことも御勘案いただいて、これからの研究をどうぞ鋭意進めていただきたいとお願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時37分 休憩
出席議員(45名)
1 番 木 村 幸 弘 君
2 番 久 保 孝 喜 君
3 番 小 西 和 子 君
4 番 工 藤 勝 博 君
5 番 岩 渕   誠 君
6 番 郷右近   浩 君
7 番 高 橋   元 君
8 番 喜 多 正 敏 君
9 番 高 橋 昌 造 君
10 番 菅 原 一 敏 君
11 番 小野寺 有 一 君
12 番 熊 谷   泉 君
13 番 高 橋 博 之 君
14 番 亀卦川 富 夫 君
15 番 中 平   均 君
16 番 五日市   王 君
17 番 関 根 敏 伸 君
18 番 野 田 武 則 君
19 番 三 浦 陽 子 君
20 番 小田島 峰 雄 君
21 番 高 橋 比奈子 君
22 番 高 橋 雪 文 君
23 番 嵯 峨 壱 朗 君
24 番 及 川 あつし 君
25 番 飯 澤   匡 君
26 番 田 村   誠 君
27 番 大 宮 惇 幸 君
28 番 千 葉 康一郎 君
30 番 工 藤 大 輔 君
31 番 佐々木 順 一 君
32 番 佐々木   博 君
33 番 工 藤 勝 子 君
34 番 平 沼   健 君
35 番 樋 下 正 信 君
36 番 柳 村 岩 見 君
37 番 阿 部 富 雄 君
38 番 斉 藤   信 君
39 番 吉 田 洋 治 君
40 番 及 川 幸 子 君
41 番 佐々木 一 榮 君
42 番 伊 藤 勢 至 君
44 番 小野寺 研 一 君
46 番 佐々木 大 和 君
47 番 菊 池   勲 君
48 番 小野寺   好 君
欠席議員(3名)
29 番 新居田 弘 文 君
43 番 渡 辺 幸 貫 君
45 番 千 葉   伝 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時55分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。樋下正信君。
   〔35番樋下正信君登壇〕(拍手)

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