平成19年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇30番(工藤大輔君) 民主・県民会議の工藤大輔でございます。改選後初の定例会におきまして、一般質問の機会を与えてくださったことに感謝を申し上げます。
 達増知事は、御自身初の県知事選挙を、圧倒的な大差をもって勝ち上がりました。これは、今日までの政治活動への評価や、現状を打開するリーダーとして達増知事が最適任との県民の判断によるものであります。地方分権社会の実現を目指し、県民の豊かな生活を実現させるため、信念のまま、たゆまぬ改革を岩手から発信し続けていただきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 知事は、本会議冒頭の演述において、県北・沿岸広域振興圏の振興について、特にも重点的に取り組む決意を述べられました。県北・沿岸地域の置かれている現状を直視し、危機を希望に変えようとする強い思いを感じ取ったところであり、歴代知事が果たし切れなかった県政最大の課題解決に向け、全庁一丸となって取り組んでいただきますよう、知事のリーダーシップを期待します。達増知事の目には、現在の県北・沿岸地域はどのように映っているのでしょうか。また、県北・沿岸地域の未来をどのように描いているのでしょうか。補正予算案を見ると、県北・沿岸地域に対する知事の並々ならぬ思いが込められていると感じますが、希望王国岩手の実現に向け、県北・沿岸地域の振興にかける知事の思いをお伺いします。
 次に、県北地域の雇用対策についてお伺いします。
 雇用情勢が大変厳しい県北では、平成19年4月の有効求人倍率は、県平均の0.67倍に対し、久慈地域は0.25倍、二戸地域は0.37倍と恒常的な雇用格差があり、改善の兆しが見えない状況にあります。また、所得も県下で最低ランクにあることから、生活の基盤が安定せず、将来に不安を抱えています。子育て世代にとっては将来に向けた子供たちへの貯蓄もままならず、家計を補うためのパートすらなかなか見つからない状況にあります。これまで、県下でも、首都圏へ出稼ぎに行ったり、遠洋漁業船に乗って海外へ行くなどといったケースが数多く見受けられましたが、県北では、こうした状況が今日もなお続いております。このことは、子供たちの健やかなるべき成長にも少なからず影響を与えてきたことでしょう。このように圏域内では職種や働く場の絶対数が不足しており、職業を選択する余地が少ないことから、域外や県外への有為な人材の流出が続いております。これ以上、地元定着率を悪化させるようなことがあっては、地域振興の手だてをなくすことにもつながり、県が進めようとしている産業振興もおぼつかない事態になるのではと懸念しています。
 そこでお伺いしますが、県は、県北地域の雇用対策の中で、特にも子育て世代を含んだ若年層に対する雇用対策をどのように進めていくのでしょうか。また、地域ジョブカフェは多くの若者に利用されて定着しつつありますが、雇用情勢の厳しい地域におけるジョブカフェについては、今後、どのような機能を拡充していこうとしているのか、考えをお伺いします。
 次に、県北・沿岸地域における企業誘致への取り組みについてお伺いします。
 内陸と県北・沿岸地域の格差は、新幹線開通後の製造業を中心とした企業立地の差にあると考えられます。地域の資源を活用した中長期的な戦略に基づく農林水産業の振興はもちろん重要でありますが、企業誘致は、雇用創出、消費拡大、地場産業の活性化等、地域への経済波及効果が大きく、景況感や雇用情勢が悪い地域においては即効性が高い、極めて有効な手段であります。知事も、市町村長との懇談会において、県北・沿岸地域への企業誘致に力を入れていく旨、明言されたところでありますが、今後、どのような戦略で県北・沿岸地域への企業誘致を進める考えであるのか、お伺いします。
 また、昨年11月に取りまとめた県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向においては、内陸部の産業集積を県北・沿岸地域に波及させるとの基本戦略を打ち出しているところでありますが、その具体策は何であるのか、お示し願います。
 次に、八戸地域との連携強化についてお伺いします。
 県北地域の振興を図るには、八戸地域との関係強化を図ることが重要であります。既に県境に接する八戸、久慈、二戸の3市は、振興局とも連携をとりながら、災害時の相互支援協定や観光分野等において連携策を模索しているところであります。これまでも道路や新幹線、ダム事業等の特定課題を中心に、協議会等の組織をつくりながら要望活動を続けてまいりました。しかし、隣接する振興局において、行政上の壁があるのと同様に、県境の壁は県益にもかかわることから、さらに厚いものとなっています。例えば、二戸、田子における県境産廃不法投棄事件は、青森県の許可業者により岩手県内に廃棄された事例であり、立入調査ができなかったという法律の限界があったにせよ、もっと連携を密にできなかったものかと思います。
 また、海上における県境のラインは、岩手・青森両県の今後の漁業において大問題へと発展するおそれを有しています。さらには、高校受験における入試制度の違いや、緊急時の情報伝達手段ともなるラジオや携帯電話など、身近な課題も多々あります。
 県では、八戸地域との連携を強化する上で、県境における課題をどのように認識し、県としてどのような役割を果たす考えか、お伺いします。
 次に、岩手競馬についてお伺いします。
 地方競馬の置かれている環境は年々厳しさを増しており、平成3年の売上高9、862億円、入場者数1、466万人をピークに減少の一途をたどっています。そのような中、平成16年に競馬法の改正が行われ、馬券の販売等の民間委託が可能になり、条件つきで3年間の交付金納付猶予制度の創設などが行われました。また、先般も、競馬法及び日本中央競馬会法の一部が改正され、厳しい環境下に置かれている地方競馬を活性化させることを目指した法整備が行われたところであります。今回の法改正の柱としては、地方競馬全国協会の地方共同法人化を進めたこと、地方競馬の開催日程や番組編成の調整と助言、地方競馬主催者の共同利用施設設置、競馬活性化計画に基づく事業への補助などが挙げられます。
 そこでお伺いしますが、ここ数年で2回にわたる法改正がありましたが、地方競馬主催者にとって、これまでの改正はどれだけのメリットがあったのでしょうか。法律により規制される競馬事業において、競馬法の改正は岩手競馬再生へ向けた絶好のチャンスと言えます。回り道のできない現状を打開するために、県並びに競馬組合ではどのような活動を行ってきたのでしょうか、お伺いします。
 次に、岩手県総合計画の見直しについてお伺いします。
 現在の岩手県総合計画は、前増田知事のもとで、平成11年度から22年度までの12カ年計画として策定され、既に後期実施計画の期間である9年目に入っております。この間、人口減少社会の到来、勝ち組、負け組といった言葉に代表されるような企業間・地域間競争の激化、雇用情勢の悪化、地方分権改革の進展、交付税ショック等による地方財政の悪化、市町村合併の進展や広域圏の見直し等々、県内外の経済社会情勢は大変目まぐるしく変化してきております。特にも、本県の人口は、平成11年に初めて自然減に転じ、近年、その減少の度合いが拡大してきておりましたが、先ごろ公表された都道府県別将来推計人口によりますと、本県人口は2005年の138万人が、2035年には104万人まで加速度的に減少するとの推計が示されています。これは、当初の県総合計画に掲げられている2025年の人口見通しとの比較においても、下限予測値との比較で5万9、000人、上限予測値との比較では実に13万9、000人と、10%以上の見通しの違いとなる大変ショッキングな内容でありました。これまでも人口の自然減、社会減を食いとめるためにさまざまな対策をとられてきましたが、今回示された数値は、歯どめをかけるどころか、さらに危機感を抱かせる内容となっています。
 そこでお伺いしますが、県では、政策立案の重要な基礎データであり、各種目標値の算定基礎ともなっている人口について、今回の人口推計が県総合計画における人口の見通しとこのように大きくかけ離れたことをどのように受けとめているのでしょうか。県では、今後4年間の新しい地域経営計画を岩手県総合計画の後期実施計画に位置づけて策定するとのことでありますが、私は、岩手のリーダーとして新たな知事が誕生したわけですから、新たな総合計画の策定を行うか、理念や政策を共有できる分野を残しながらも、総合計画の基本構想や基本計画の中に知事の新たな視点を取り入れ、実施計画や地域計画との整合性を図り、より政策の実効性を高めていく手法をとるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、広域振興局体制への移行についてお伺いします。
 先般、二戸地方振興局で行われた知事と県北地域の市町村長との懇談会に私もオブザーバーとして出席しました。県北振興についての意見交換の後段に、知事から、県北広域振興圏をフロンティアとして、新しいビジネスチャンスや交流連携の枠組みとして活用していきたいと思うがどうかと、各市町村長にそれぞれ問いかけをされたことが非常に印象に残っています。この問いかけに対しては、沿岸の首長からは、内陸と沿岸の産業構造は違うといったような意見も出されましたが、内陸部の首長からは特に異論がなかったように思いました。
 知事は、マニフェストにおいて、岩手四分の計と表し、四つの広域振興圏を将来の自治体として考えておられるわけでありますが、今回の懇談会において、県北広域振興圏をフロンティアの枠組みとすることについて、県北地域の市町村長の認識をどのように受けとめたのか、お伺いします。
 また、県南広域振興局が他の圏域に先行して広域振興局体制へ移行した理由としては、県南圏域が市町村合併の進展により、花巻市、北上市、奥州市、一関市と人口10万人前後の都市が誕生するなど、圏域内のほとんどの市町村が合併を行って5市3町となり、住民に身近な行政サービスを総合的かつ専門的に提供できる基盤が整いつつあること、電気・機械関連産業や自動車産業を中心に産業集積が進んでいること、農業分野でも十分な競争力があることなどが挙げられました。確かに、市町村合併を行ったばかりという不安定さを除けば、諸条件が整っていたと言えるでしょう。
 一方、県北・沿岸圏域では、市町村合併を選択した地域は、久慈市、二戸市、宮古市、大船渡市、洋野町ですが、人口2万人から5万人台で、合併したといっても、県南地域と比べると小規模の自治体であります。また、三位一体の改革による交付税等の削減が続いたことにより財政力は悪化し、産業集積も不十分な状況にあり、合併新法下での合併についても、まだ先行きが見通せない状況にあります。このように、先行実施した県南広域振興局と余りにも違う条件の地域において、実際に移行できる条件をどのように考えているのでしょうか。また、移行時期についての見通しとあわせてお伺いします。
 次に、大連市訪問の成果と今後の取り組みについてお伺いします。
 知事は、5月23日から26日までの日程で、岩手・大連友好の翼で訪中をされました。就任間もない知事が初の外遊先に大連を選んだことは、知事の大連との連携への期待のあらわれであり、大連当局も、岩手からの強いメッセージに、岩手への印象をさらに深めたのではないでしょうか。大連との交流の歴史は、1991年に中村直知事が岩手・大連友好の翼の団長として訪れたのが始まりで、その後、着実に交流を進め、2005年には岩手県大連経済事務所を宮城県と共同で開設し、県内企業の対中ビジネスの支援、観光客誘致への取り組み等、各種交流事業の支援を行ってまいりました。
 また、2004年からは大連商談会、2005年から岩手・大連相互チャーター便の運航や、医療分野に関する協定締結を行い、医師不足による医療分野でも交流のすそ野を広げようとしています。そして、今回、大連市長と地域間連携の強化に関する協定を締結し、新たに県産品の輸出拡大、観光客の誘致、農林水産分野と環境分野についての技術交流、職員の相互受け入れを行うこととなり、さらなる飛躍が期待をされております。
 そこでお伺いしますが、今回の協定締結を踏まえ、大連との交流のトップランナーとしての地位を確固たるものとして築き上げていくために、今後、どのような取り組みをしていく考えか、訪問の成果とあわせてお伺いします。
 また、今回の訪問の目的の一つに、県産品の輸出促進も挙げられています。多くの県が注目する中にあって、地域間競争に打ち勝ち、ナマコや干しアワビを初めとする県産一次品等を売り込むためには、県内の生産体制の整備を促進するほか、日本国内での評価をさらに高め、大連市場に有利な情報を与えることや、中国における所得層、年齢、趣向などをリサーチし、総合的な販売戦略を構築することが必要で、大連や中国市場に進出している商社等の活用も有効な手段と考えます。県においては、今後、どのような戦略を持って取り組む考えでしょうか、お伺いします。
 次に、限界集落についてお伺いします。
 本県の将来人口が予想をはるかに超えて大幅に減少し、少子・高齢化が進展することが予測されていることは、先ほど申し上げたとおりでありますが、それは、今後、地域のさまざまな機能の低下や、各地に限界集落、さらには消滅する集落が出てくることを同時に予見させるものであります。
 本年2月の予算特別委員会において、私からの限界集落数の現状把握に対する質問への答弁では、国土交通省が平成18年に行った調査の結果、県内17の過疎地域市町村の1、618集落において、65歳以上の人口が50%を超える集落が74集落あったということでありました。また、過疎地域の全集落に占める割合は、全国の12.64%、東北平均の5.78%よりも低い4.57%という答弁であり、さらに、同僚の高橋博之議員の質問に対する答弁では、集落の状況を多面的、多角的な視野で考えるため、今後、詳細に調査するとの答弁でもありました。
 そこでお伺いしますが、知事は、知事演述の中で新地域主義戦略を掲げて、住民自治の基礎となる草の根の地域を守っていくと表明されていますが、こうした厳しい状況を示す調査結果や人口推計を踏まえ、地域の人口減少による影響をどのようにとらえ、どのように取り組む考えであるのか、お伺いします。
 また、加速度的に進む少子・高齢化により、町内会単位での活動に支障を来しているところも見受けられます。町内会の自立を確立するためには、500人から1、000人規模の単位を目指した町内会の統合や編入を促進するなど、住民のみならず、自治体側の積極的な関与も必要となるでしょう。住民の意向を尊重することが前提ではありますが、毎日の生活の不安や、医療・福祉を受けにくい環境を改善するためにも、中心部等への移住策も含めた制度の準備も必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、JRバス路線の廃止問題についてお伺いします。
 JRバス東北においては、本年2月、不採算であることを理由として、久慈市、洋野町、野田村を運行している生活バス路線7路線と、二戸地域の一部路線を来年3月末で廃止するとの方針を地元関係市町村に伝えたと聞いたところであります。これらバス路線のうち3路線は県立久慈病院を経由しているほか、久慈-野田間を結ぶ唯一のバス路線が含まれる等、仮にこれらの生活バス路線が廃止されることとなれば、高齢者や児童生徒等の通学者を中心に大きな影響が出ることは必至であり、こうした採算性重視による生活バス路線の廃止は今後とも続いていくのではないかと大変憂慮するものであります。こうしたバス路線廃止の方針が路線バス会社から打ち出される背景には、平成14年の道路運送法改正により、路線廃止の手続が許可制から届け出制に変更されたことが挙げられます。実際、本県においても民間路線バス会社の運行路線は、改正前である平成13年の660路線から、平成18年度末には585路線に減少しています。
 そこでお伺いしますが、県は、路線廃止の実情や、高齢社会がますます進展する状況を踏まえ、いわゆる交通弱者の足の確保について、これまでの対策をどのように評価し、今後、どのような対応をしていく考えでしょうか、お伺いします。
 今回の6月補正予算においては、市町村の路線維持に対する従来の県単独補助金を廃止し、市町村総合補助金に統合したとのことでありますが、助成基準についてはどのような見直しが行われたのでしょうか。また、市町村総合補助金制度では3年間の補助限度額が示されているところでありますが、安定した助成制度としてその後も維持していく考えであるのか、あわせてお伺いします。
 次に、地方財政健全化法への対応についてお伺いします。
 これまでの地方自治体の再建制度を50年ぶりに抜本的に見直し、新たに地方財政健全化法が成立しました。これにより地方自治体は、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の四つの財政健全化比率の指標を毎年公表しなければならなくなる上、一つでも早期健全化基準以上となった場合には財政健全化計画を策定しなければなりません。さらに、将来負担比率を除いた三つの指標のうち、いずれかが再生判断基準以上となった場合には、財政再生計画を策定しなければならないこととされたところであり、国は、北海道夕張市のような財政破綻を未然に防ぐために、地方自治体の財政破綻を未然に防ぐという予防線を張ったものでもあります。将来負担比率の算定においては、公営企業や出資法人、地方独立行政法人に対して、一般会計等が負担すべき実質的負債も加味して算定されることから、より将来を予見した対応が求められてきます。つまり、赤字額が大きくなる可能性があるところから手を引くか、次の引受先や代替案がなければ、早期に廃止しなければならなくなります。しかしながら、三陸鉄道や地域医療を守る県立病院など、赤字幅が大きくても公共的観点からサービスを維持しなければならないものが多々あります。また、三陸鉄道のように、事業が運営されていれば、レールも、トンネルも、鉄橋も資産となりますが、廃止した時点でほとんどが不良資産になってしまうものもあります。仮にこれを処理するためには莫大な経費がかかると言われておりますが、一つの事業の廃止によって比率が大きく変わってくるケースも想定されるのではないでしょうか。
 そこでお伺いしますが、県の17年度決算等をベースに、来年度から公表が義務づけられている四つの財政指標を試算するとすれば、どうなるのでしょうか。また、これを県ではどのように評価しているのでしょうか、お伺いします。仮に、一部事務組合や第三セクター等の事業を廃止ないし縮小しようとした場合に、負債が顕在化することによって、指標がかえって悪化するケースもあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、教育問題についてお伺いします。
 近年、教育立国を標榜しながら、国の教育にかかわる基本姿勢には一貫性がありません。ゆとり教育を掲げ、生徒の生きる力を養う方向性を打ち出したかと思うと、学力低下が如実にあらわれ、掲げた看板を突如としておろしてしまう。本来必要なカリキュラムを省かれてしまい、学ぶべき知識を得ずにその学年を進級していった生徒は、この5年の間に何百万人いるのでしょうか。当時もこの基本政策について反対の声が多くあり、今日の姿となることが多々指摘されてまいりましたが、時の政権により行われたわけであります。その成果や反省をする前に、新たな教育改革の議論が不十分なまま行われようとしていることに危機感を覚えてなりません。国家や地域の最も基本となる人づくりに関する教育においてこのようなことが続くようでは、学校現場が困惑し、迷惑をこうむるのは教育を受ける生徒となります。
 そのような中、教育再生関連三法が成立し、小・中・高等学校への副校長、主幹教諭、指導教諭の配置や教員免許更新制の導入、教師の資質向上等への取り組みが行われるようになりました。特にも、教育委員会による学校活動を点検する責務を明確化するなど、教育委員会が担う責任は大きくなったと言えます。
 しかし、これまでも上意下達の体質があることは事実であり、教育改革が統治的な教育行政に向かってはいけません。
 相澤教育長は、現場重視の視点を大切にしておられますが、偉大な先人に続く人材を育成するために、岩手の教育で求められていることは何なのでしょうか。教育行政の執行に当たって、どのように対応するのかお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤大輔議員の質問にお答えいたします。
 地方分権と県民の豊かな暮らしのために、たゆまず歩んでほしいとのお言葉を冒頭にいただきました。頑張ってまいりたいと思います。
 まず、県北・沿岸振興に対する基本認識についてでありますが、私は、4大広域振興圏中、県北と沿岸の振興に特に力を入れますとマニフェストに明示したとおり、産業基盤が脆弱で、かつ他圏域以上に人口減少と高齢化が進行している県北・沿岸圏域においてこそ、危機を希望に変える取り組みが求められていると知事就任前から強く認識しておりました。
 知事就任後は、真っ先に県北・沿岸圏域の市町村長の皆さんと意見交換を行ったところであり、また、東京事務所に岩手県県北・沿岸振興本部首都圏営業部を設置したこともあり、県北・沿岸振興に重点的に取り組むという私の強い思いを御理解いただきたいと思います。
 私は、県北・沿岸圏域は、すぐれた景観や食材、勤勉で実直な人材など、それぞれの地域に住む方々が、自信と誇りを持って大きく飛躍し得るだけの数多くの希望のシーズを有していると確信しており、私の目には、大きな可能性を持つフロンティアとして映っております。
 しかしながら、当圏域では、他圏域に比較しそれらを十分に生かし切れていないことが課題であると思います。したがって、あらゆる地域資源を結集した取り組みを特に重点的に推進することにより、確かな地域経済基盤を構築していくことが重要であり、6月補正予算においても、県北・沿岸圏域の産業振興に資する事業に重点的に配慮したところでございます。
 県北圏域は、青森県三八地域とともに南部藩発展の根拠地として栄えた歴史があり、また沿岸圏域は、世界を相手に三陸俵物などの交易を行った歴史を持つ、進取の気性に富み世界に開けた地域であります。
 私は、こうした過去を未来に投影できると考えており、地域の方々が県と一体となって取り組みを進めることにより、輝く地域を創造してまいりたいと考えております。
 次に、八戸地域との連携強化についてでありますが、県北圏域の戦略的な産業振興のためには、より広域的な視点で地域資源や人材を活用した取り組みを進めていくことが必要であります。その意味で、八戸地域との連携強化は、これまで以上に積極的に進めていく必要があると認識しております。
 その際の課題としては、1、基幹産業である1次産業の振興のための共通ブランドの構築や両圏域内の地産地消の推進、2、郷土芸能や食などの地域資源を生かした広域観光の推進、3、北日本造船を初めとしたものづくり産業での連携などが挙げられると考えているところでございます。
 私は、今般の補正予算において、八戸地域との連携を視野に入れた県北圏域着地型観光推進事業の創設や県際連携強化のため、地域振興推進費の増額を行ったところであります。こうした予算の活用とともに、防災、環境、医療など、住民生活の向上に関する分野についても、八戸地域との連携に向けた取り組みをより一層強化してまいりたいと思います。
 次に、人口推計が総合計画の人口見通しとかけ離れたことについてでありますが、本年5月に公表された都道府県別将来推計人口が、総合計画における人口見通しを下回っている要因としては、西暦2000年から2005年にかけての県民経済の低迷など、地域経済を取り巻く環境の変化に伴う人口の社会減、また合計特殊出生率が依然として低下傾向であること、こうした動きが重なり合っていることによるものと考えられると思っております。
 今回の公表結果は、こうした県民経済の低迷など、現状のままの社会経済情勢が続くと仮定した場合の推計値であり、人口減少が進む地域にとっては、これは一つの警鐘であると認識しているところであります。
 したがいまして、企業誘致や地域産業の振興により、若者などの雇用の場を確保し、県外への人口流出に歯どめをかけるとともに、男性の育児参加や企業による子育て支援、また地域が一体となって子育てを支える仕組みづくりなどに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、新たな岩手県総合計画の策定についてでありますが、現在の総合計画の基本構想は、自立・参画・創造による持続的な地域づくりという理念のもと、基本目標や将来像、地域デザインなどで構成され、また基本計画では、基本構想を実現するためのさまざまな施策が体系化され、その取り組みの基本方向が定められております。
 この基本構想、基本計画については、私がマニフェストに掲げました公正、自立そして共生という理念や政策の方向性と重なり合う部分が多くあると考えるところでございます。
 一方、グローバル化が急速に進展し、地域経済や県民生活を取り巻く環境も大きく変化しておりますことから、現計画の基本構想、基本計画を踏まえつつ、私のマニフェストを盛り込んだ新しい地域経営の計画を後期実施計画として早急に策定しようとするものであります。
 また、このような状況を踏まえ、新しい基本構想や基本計画のあり方についても、県民の皆様の御意見を踏まえながら、その検討に着手してまいりたいと考えております。
 次に、広域振興局体制への移行についてでございます。
 私は、人口の減少や少子・高齢化の加速など、本県の危機を希望に変えていくためには、従来の市町村の枠組みを越えた、より広域的な単位で、それぞれの特性を生かした新しいビジネスチャンスの創出や交流・連携の拡大につなげていく取り組みが必要と考え、さきの市町村長の皆さんとの意見交換においても、県北広域振興圏を、そのような取り組みを進めるためのフロンティアとしたいという考えをお示ししたところでございます。
 県北広域振興圏の市町村長の皆さんからは、気象条件や地勢などの面の違い、あるいは歴史的な結びつきや日常生活における交流が薄いなどの御指摘もありましたが、観光面での交流・連携の必要性、また八戸都市圏との連携の必要性などを指摘する意見を多く伺ったところであります。
 これらの御意見は、広域振興圏をフロンティアとして取り組みを進めるという私の考える方向と、基本的には同じと受けとめているところでございます。
 そして、広域振興局体制移行の条件等についてでありますが、御指摘のとおり、県北・沿岸圏域においては、市町村合併や産業の集積が進んでいないということがございますが、地域の特性を最大限に発揮し地域の自立を図るためには、広域振興局体制の確立がやはり不可欠であると認識しております。
 県北・沿岸圏域での広域振興局体制への移行については、それぞれの圏域における合併や県事務の権限移譲などによる市町村の体質強化や、各地域の産業振興を推進しつつ、さらには市町村長の皆さんや県民の皆様の御意見なども伺いながら総合的に検討してまいりたいと思います。移行時期の見通しについては、平成22年度をめどに、各広域振興局体制についての一定の姿を示してまいりたいと考えております。
 次に、大連市訪問の成果と今後の取り組みについてでありますが、まず、このたびの訪問に当たりましては、本県と大連市との間で、今後においても継続的に連携・協力していくことを目的とする地域間連携の推進に係る協定を締結したことが、最大の成果として挙げられるところでございます。
 また、大連市長などとの率直な意見交換を通じて、トップレベルでの個人的な信頼関係が構築できたものと考えるほか、これまで積み重ねてきた本県と大連市との友好な関係をさらに深めることができたものと受けとめております。
 さらに、ひとめぼれやナマコを初め本県産の農林水産物についても、改めて高い評価をいただき、輸出拡大に向け一定の成果を得ることができたと考えております。
 今後におきましても、締結した協定に基づき、県産品の輸出促進や観光客誘致等に係る定期協議や職員の派遣交流を通じて、それぞれの地域が有するポテンシャルを生かしながら、両地域の発展に向けた取り組みを進めていく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、県北地域の雇用対策についてでありますが、岩手県人口移動報告年報によりますと、平成17年から平成18年までの県北圏域における人口の社会減は1、273人で、これは同圏域の人口の1%となっており、子育て世代の若年層を含む多くの方々が雇用の場を求めて流出しているものと考えられることから、県北圏域においては、雇用を創出することが最も重要な課題であると考えております。
 このため、県といたしましては、企業誘致や既存企業の事業拡大、地域資源型産業の育成など、産業振興施策をしっかりと推進し雇用の創出に取り組むとしているところであります。
 また、本年8月に施行される改正地域雇用開発促進法に基づいて、本年10月までに県北圏域など雇用情勢が特に厳しい地域を雇用開発促進地域に指定し、事業主が雇用をふやす場合に国から助成を受けられるようにするとともに、子育て世代を含んだ若年層に対しましては、離・転職者の職業訓練やジョブカフェ事業を活用した能力開発、キャリアカウンセリングなど、必要な支援を行ってまいる考えでございます。
 また、雇用情勢の厳しい地域におけるジョブカフェ機能の拡充についてでありますが、これまでの就職支援に加え、今後は、産業支援機関との連携による雇用の創出支援と若者の地元定着を支援していくことが重要であると考えております。
 このため、ジョブカフェ久慈などに地域雇用開発促進員を6月補正予算で配置し、産業振興部門と連携して企業の雇用拡大を支援するとともに、新たに県北・沿岸地域で中小企業と若年者の面接会を実施するなど、若年者が地元に就職できるよう支援してまいる考えであります。
 次に、県北・沿岸地域への企業誘致戦略についてであります。
 二戸・久慈地域におきましては、健康食品製造、造船及び電子デバイス製造等、地域の核となり得る企業の進出が見られており、こうした企業を中心に、さらなる増設や関連企業の誘致を図ることが重要と考えております。
 昨年度の企業誘致の実績は、企業立地推進課の体制を強化したこともあり、県全体で19件の立地件数のうち、県北・沿岸地域の立地は6件と、最近では件数、割合とも高い数値を出したところでありますが、今後におきましては、人的・経済的な交流が強い八戸経済圏へのアプローチの強化、港湾活用型企業の誘致、農林水産資源を生かした食品関連企業の誘致などを視野に入れ、昨年度創設した減税、免税の制度や県北・沿岸地域でより高いインセンティブを設けている企業立地促進奨励事業費補助などの優遇措置を活用しながら企業誘致を進めてまいりたい、このように考えております。
 次に、内陸部の産業集積を県北・沿岸圏域に波及させるための具体策についてでありますが、これまで自動車関連産業については、工程改善指導を初め、技術展示商談会への出展などを県北・沿岸地域の企業に呼びかけ、同産業分野への参入促進や取引の拡大を図ってきたところであります。
 6月補正予算におきましては、こうした取り組みを半導体関連産業分野にも拡大するとともに、沿岸地域と北上川流域のものづくり人材育成ネットワーク間の交流・連携等を通じ、地域企業の技術力の高度化を図るほか、県北地域におきましては、久慈市と二戸市に財団法人いわて産業振興センターと連携した産業支援機能を整備することとしており、ここにおきましては、北上川流域の企業との取引拡大等も支援していくこととしております。
 こうした取り組みを通じ、また企業の二次展開の促進にも取り組みながら、県北・沿岸圏域への波及の動きを活発化させていきたいと考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、岩手競馬についてでございます。
 競馬法改正による地方競馬主催者のメリットにつきましては、平成16年12月の改正では、勝馬投票券の発売や競馬場の警備等が民間にも委託可能となったほか、主催者が共同で実施する事業への助成制度が創設されたところでございます。
 本県の競馬組合では、これを活用いたしまして、テレトラックでの発売・警備業務やインターネットを活用した発売を民間会社に委託し、運営の効率化を図るとともに、レース映像ネットワークシステムや投票の利便性を向上させるマルチフォーメーション方式導入のためのシステム整備を他の主催者と共同で実施し、ファンサービスの向上とシステム整備費用の圧縮を実現したところでございます。
 また、今回の競馬法改正につきましても、その内容を踏まえ、メリットを十分活用し経営改善に生かしてまいりたいと考えております。
 次に、競馬法改正に当たっての県及び競馬組合の活動についてでございますが、今般の競馬法改正に当たりまして、県は、他道県と連携を図りながら、競馬組合は全国公営競馬主催者協議会を通じて、農林水産省に対し、地方競馬主催者の意見が反映されるような地方競馬全国協会、いわゆる地全協の組織づくり、収支が赤字の場合の地全協に支払う交付金の還付または軽減、さらには経営改善に資する支援制度の拡充などを要望してきたほか、競馬組合では、法案検討段階で実施されました農林水産省のヒアリングにおいて岩手競馬の経営状況を説明するなど、地方競馬の実情を踏まえた改正となるよう要望してきたところでございます。
 今後におきましては、今回の競馬法改正に係る主催者が共同して実施する事業への助成の拡大や、新たに創設される主催者が単独で行う施設改修等に対する交付金の還付制度など、地方競馬の収支改善策の詳細が今後決定されるものと伺っておりまして、岩手競馬の経営安定に資する内容となるよう、引き続き関係道県と連携を図りながら、国等に対して積極的に要望してまいりたいと考えております。
 次に、大連を初めとする中国への一次産品の輸出促進についてでございますが、これまでも現地商談会やバイヤーの招聘等によりまして販路拡大に取り組んできたところでございますが、一層の輸出促進を図るためには、議員御指摘のとおり、十分な市場調査とそれを踏まえた販売戦略の構築、さらには、商社等の専門家のノウハウを活用した販売促進活動の展開等に取り組むことが重要であると考えております。
 このため、新たに6月補正予算に大連経済事務所等を活用した市場調査の実施と、それに基づく個別品目ごとの販売戦略の策定、商社等の専門家の輸出コーディネーターへの委嘱、大連市政府関係者の招聘や関係団体・企業で構成するミッション派遣による県産農林水産物のPR等に要する経費を計上いたしているところでございます。
 今後は、これらの事業の実施によりまして、大連を初めとする中国市場へ県産農林水産物の魅力を積極的にアピールし、一層の販路拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、地域の人口減少による影響、取り組み方策についてでありますが、これまでの国の調査結果や人口推計によれば、本県は、全国を上回るペースで人口減少、少子・高齢社会に移行するとされておりまして、県民生活にさまざまな影響があると予想されているところであります。
 中でも、これまで集落が果たしてきた冠婚葬祭や福祉などの相互扶助機能、伝統芸能や祭りなどの地域文化の創造・保全、まちづくり、防災、治安、人づくりや環境保全、公共施設の維持等の地域課題への対応など、草の根の地域の持つ多面的な機能の低下が懸念されます。
 このため、県としては、6月補正予算で草の根コミュニティ再生支援事業を創設し、市町村と連携し、大学等の協力も得ながら、集落に関する現状、課題等を把握するための実態調査や集落再生を担うリーダー養成などを行い、また集落機能の維持、再生に向け、県としてでき得る支援方策を検討した上で対応していく考えであります。
 次に、中心部などへの移住策も含めた制度についてでありますが、再生困難な集落については、一つには、行政区の見直しなどによる行政的再編、二つには、自治会の統合などによる機能的再編、三つには、集団移転などの空間的移転といった集落再編成といったようなことによってその機能を維持していくことも、一方策として考えられるところであります。
 それぞれの集落には、その成り立ちに文化的・歴史的背景があり、また人口や世帯数、年齢構成など、その置かれている条件は一様でないこと、さらには集落の意向も最大限尊重しなければならないものでありまして、実情を十分把握している市町村と当該集落とが話し合いを重ねる中で、適切に判断すべきものと考えているところでございます。
 こうした考え方に立ちまして、先ほど申し上げましたとおり、県としては、今後実施する調査によって、集落の実態に合わせた集落機能の維持、再生方策を市町村とともに検討していく考えであります。
 次に、バス路線維持に向けたこれまでの対策の評価と今後の対応についてでありますが、これまで県は、国と協調しながらバス運行対策費補助、運輸事業振興費補助などによるバス事業者への支援とともに、地域交通サポートセンターによる市町村への情報提供や助言などを行い、バス路線の維持・確保に努めてきたところであります。
 本県の公共交通の多くは、国、県及び市町村からの補助金により支えられている実態にありますが、事業者の経営努力や補助金による支援だけでは、地域社会にとって望ましい公共交通を確保することは困難になってきております。
 今年度においては、バス運行対策費補助などの事業を引き続き実施するとともに、市町村が地域の実情に即して主体的に対応することができるよう、県単独の補助制度を市町村総合補助金へ統合いたしまして、それぞれの実態に合った取り組みを支援することといたしております。
 また、地域の公共交通の維持・確保は、県民の利便性の確保という観点のみならず、地球温暖化対策等の環境問題の観点からも重要でございまして、今後、公共交通利用推進宣言を行うことによって、県民一人一人の積極的な公共交通の利用を促してまいりたいと考えております。
 次に、バス路線維持に係る市町村総合補助金での助成基準についてでありますが、今回の見直しのねらいは、市町村が、それぞれの実情に合った地域交通の確保について主体的に取り組むことを重点的に支援することといたしておりまして、従前の県単補助の対象路線については、2年間の経過措置として、市町村総合補助金で支援するとともに、あわせて市町村が独自にコミュニティバス等を整備する場合には、市町村総合補助金で新たに支援することとしたところでございます。
 平成22年度以降も継続するのかという御質問でございましたが、22年度以降につきましては、現時点で確たることは申し上げかねますが、その時点での社会経済環境、財政状況、市町村の意見・要望等も聞きながら、改めて検討することとなるものと考えておるところでございます。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 地方財政健全化法への対応についてでございますが、新たな財政指標の詳細がまだ未定でございますけれども、平成17年度決算をベースにできる範囲で試算いたしますと、普通会計を対象とした実質赤字比率は、黒字決算であったためゼロ%、また普通会計に公営企業を加えました連結実質赤字比率につきましても、平成17年度決算の場合ですとゼロと見込んでおります。また、実質公債費比率は13.7%でございます。
 将来負担比率、これが最も試算が難しいのでございますが、将来負担額といたしまして、地方債残高のうち交付税措置されるものを除いた普通会計の地方債残高や、企業会計分の地方債残高のうち普通会計が負担するものなどをベースに、一定の仮定を置きまして試算いたしますと、およそ分母となる標準財政規模等に対しまして2.7倍程度になるものと試算いたしておりますが、これは、積算方法によってかなり左右されますので、また、その詳細がまだ明らかでないことから、あくまでも仮の試算値ということで御理解いただきたいと存じます。
 こうした試算値の評価につきましては、指標や基準が他県と比較できることとなった時点におきまして、改めて分析し評価を考えたいと思っておりますが、本県の場合は地方債残高が多いということが、財政運営上の課題としてはやはり大きなポイントになるのではないかと想定しておりまして、この財政健全化法の施行後は、これらの指標の動向にも十分留意しながら、中長期的な観点から財政の健全化に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、第三セクター等の事業の整理を行った場合のこれらの指標への影響についてでございますけれども、将来負担比率というストック指標につきましては、将来その団体の負担となる見込みの事項も含めまして、あらかじめそれらを把握・公表して健全化に役立てようとするものでございますので、一般論といたしましては、第三セクターの処理などを行ったとしても、その際に急に悪化するというような性格のものではないと考えておりますが、第三セクターの処理に伴いまして、県が何らかの債務を新たに負担するといった措置をとったような場合には、その新たな措置に伴って指標が変動するというようなことも考えられなくはないと存じます。
 また、フロー面での指標に関しましては、その時々の事情に応じて変動するものでございますので、第三セクター等の負債の処理が必要と想定される場合などにおきましては、このフロー面での指標の変動をあらかじめ予測しながら、対応策を整理していくことが重要であると考えております。
 いずれにいたしましても、県におきましては、一部事務組合や第三セクターの経営状況につきまして、十分に日ごろから把握いたしました上で、さらに、今後は新法の指標の動向にも留意をいたしながら、将来を見据えた対応や経営健全化への指導を適切に行っていく必要があると考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 岩手の教育についてお答え申し上げます。
 子供たちの学習意欲の減退や家庭の教育力の低下、不登校問題など、学校教育にはさまざまな問題が生じているところでありまして、教育再生会議等でも、さまざまな議論が行われているところであります。
 この打開策につきましては、単に学校や教員の努力のみを求めるのではなく、教育の現場の中心である一つ一つの学校を強化していくための仕組みをつくることが重要と考えております。その仕組みとは、学校経営を目標達成型に転換させることであり、また、学校と家庭、地域の連携を抜本的に強化していくことであります。例えば今年度から取り組んでおりますまなびフェストは、学校と子供、家庭が学力や生活習慣などの改善目標を共有し、お互いに努力をして実現していこうというものでございます。このような取り組みを通じて、教員と保護者の率直な話し合いが進み、信頼関係がつくられ、また、学校内部での授業の改善や教員の育成も進んでいくものと考えているところであります。一例を申し上げましたが、このような取り組みをいわて型コミュニティスクールの推進ということで、岩手の教育のしっかりとした土台にしていく、そういう考え方で取り組んでまいりたいと思っております。
 教育関連三法の改正につきましても、このような考え方を踏まえて、単に国の運用通知を待つのではなく、例えば教員免許更新のための講習のあり方につきましても、実践的で授業力の強化につながる内容にするといった形で、県教育委員会として主体的に運用方策等の検討を進めてまいりたい、このように考えております。
〇30番(工藤大輔君) 答弁ありがとうございます。再質問をさせていただきます。
 まず最初に指摘をさせていただきたいと思いますが、総務部長、地方財政健全化法の中身についてなんですが、結果として、例えば公共交通機関等を維持するに当たって、今後、指標に影響するケースが出てくると私は思うんです。それによって、結果として、県とすれば、この指標にひっかかるようなことがあってはならないとなれば、市町村が関連している事業であっても手を引くケースも出てくるのかなと私は思うんです。そうなった場合に、すべての負担が市町村に行ってしまうんだということ、そして処理等にも大きな負担をかけてしまうということが決してないように、県の中で注視をしながら適切に進めていただきたいと思います。
 そして、質問のほうなんですが、県北・沿岸振興について質問させていただきます。先ほど答弁があり、そして知事の県北・沿岸振興に対する思いを感じ取ることもできました。昨年の県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向を取りまとめて、今現在進め、そして補正予算等でもその拡充を行ってもらったと思いますが、その取り組み等の検証をする場合ですが、今現在の仕組みであれば、何年度までに何々をします、このようなことを実施していきますというふうな、何の事業をやっていくんだということの計画の中身であります。ただ、これの成果がどうなるのか。また、その結果が有効求人倍率や工業生産額、農業産出額等にこのように反映されていくんだという一定の目標を設定して、それに向かうのだという目標設定も必要なのではないかと私は思うんです。これまでも、県の仕事のやり方と言えば、あれをやりました、これをやりましたということの中で、その成果をしっかりと確かめてこなかったということもあると思います。そういった目標数値を設定することによって、途中で数値が足りないということを検証することもできますし、必要であれば、さらなる事業を投入しなければいけないなどの判断も出てくると思います。ですから、私は、県北・沿岸振興推進に当たって、そのような目標設定を数値的に設定した上で、今やっている事業等を進めていただきたいと思いますが、どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
 次に、岩手競馬についてお伺いします。
 私は、この2回の競馬法の改正というのは、岩手競馬にとって大きなメリットとはならなかったのではないかと思います。実際に競馬法が改正されてからもすぐに収支改善等が見られたわけでもございませんし、競馬法が改正された結果、大きな期待が寄せられる結果になっているとも思いません。私は、競馬事業を続けるか否か、存廃のルールが決定し、赤字になったら廃止という基準を設けて始まったことしの岩手競馬ですから、さらなる緊張を維持した上での経営をしていかなければなりませんし、待ったなしの環境に置かれた競馬事業は、売り上げを伸ばすか、経費を落とすかの手法しか残っていないのではないかと思います。
 ただ、私が申したいのは、今回、競馬法が改正されたということもあって、その中に払戻金の規制緩和ができなかったものかという思いを持っているんです。現在、競馬主催者の取り分が25%、残り75%は配当として馬券購入者に分配をされるという制度になっていますが、これが1%でも2%でも主催者側に入ってこれるような競馬法の改正となったとすれば、仮に岩手競馬で250億円売った場合に、1%であれば2億5、000万円、2%であったらその倍、5億円ですか、これが手元に入るということになります。それによって借金の返済や魅力あるレースの展開、また、ファンサービスを行うことができれば、当面する緊急的な課題が克服されて、中長期を見据えた安定した経営体へ近づくのだと思います。これについて、どのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、バス路線の関係についてお伺いしたいと思います。
 市町村総合補助金の制度は3年間ということで、その後のことは、その時期になって判断をされるという答弁でした。ただ、私は、総合補助金に組み込んだことの結果、市町村でバス路線を維持したいと思ってこの市町村総合補助金を利用した場合に、制度が切れた場合に路線が切れてしまう、いわば制度の切れ目が路線の切れ目になってしまうのではないかという懸念も持っていますし、また、市町村総合補助金の多くを公共交通機関の維持に回したとすれば、そのほか、これまで利用したいと思っていた分野について、お金が回らなくなってくるような状況になってもならないと思うんです。それについてどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県北・沿岸振興に係る目標値の設定についてのお尋ねがありました。現在お示ししている取り組み工程表では、例えば、企業誘致についてはその件数、農業については作物ごとの作付面積や生産額など個別の取り組みに係る目標値を掲げ、その実現に向け取り組んでいるところでございます。この点、議員御指摘のとおり、取り組みの成果を評価、検証するためには、個別の取り組みを超えた全体の状況を把握できる、より大きな目標値の設定についても重要であると認識しております。これらについては、可能な限り、今年度中に策定する広域振興圏ごとの地域振興のための計画の中でお示しするよう検討してまいりたいと思います。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 競馬の払い戻し割合の引き下げについてでございます。議員御指摘のとおり、発売額が減少しない限りにおきましては、払い戻しの割合の引き下げによりまして主催者の収入は増加いたし、経営収支の改善が図られることとなりますが、御承知のとおり、払い戻しの割合は競馬法で規定されておりまして、今回の競馬法の改正に当たりましても、他の公営競技も同じ払い戻し割合であることや、それから、75%という割合の高さが魅力の競馬の払い戻し割合が引き下げられることによりますファン離れが懸念されるといったようなことなどから、発売額の減少の可能性もありまして、必ずしも経営収支の改善に資するとは限らないことから、払い戻し割合の引き下げは見送られたものと承知いたしております。このようなことから、払い戻し割合の引き下げにつきましては、経済情勢や他の公営競技の払い戻しの動向、さらには余暇活動の状況なども十分踏まえながら、慎重に検討されるべき課題と考えてございます。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 市町村総合補助金の中でいわゆるバス路線維持を図っていくといったような考え方でまいるわけでございますが、そうしたときに、関係市町村におきまして、そういったことに優先的に使われるということではないのかという御懸念でございまして、事ほどさように、バスなどの公共交通機関の維持確保というのは切実な問題であると認識いたしておるわけでございますが、この市町村総合補助金は、どういった政策課題が優先するかどうかということは市町村の判断によるものであるわけでございまして、現時点でそのような状況になるかどうかは判断いたしかねますが、バスという公共交通機関を維持確保していくということを考えた場合に、いわゆる補助金のみに頼るような考え方での維持確保ということではなしに、やはりそれぞれの市町村の実態に即したコミュニティバスとか、そういったものの運行を考えていくとか、それから、もう一つは、先ほど申し上げました省エネ、環境面での配慮という面からも積極的に広く利用していかなければならないのだといった考え方、行動を広げていくことによって支えていくといった運動もあわせ展開していかなければならないと考えておるところでございますが、いずれにしろ、繰り返しになりますが、公共交通機関は地域社会の存立基盤でございますので、いろいろそういった補助金を活用するのみではなしに、地域の実態に合った方策がどういったものが考えられるのかといったようなことを、公共交通サポートセンターなどと一緒に、知恵を出し合いながら支えていきたい、そのように考えておるところでございます。
〇30番(工藤大輔君) 地方バスの路線がどんどん減っていっているというのは非常に深刻な状況になっています。今、民間が運営している路線であっても、いつ行政が手をかけなきゃならないかということを自治体は非常に心配しております。今後、県北・沿岸地域、特にもこういった地域にはこの懸念が広がってくる、また、心配する機会が多くなってくると思いますので、県の積極的な関与によって、よりよい方策をしっかりと見出してくださいますようお願いをしたいと思います。
 競馬についてなんですけれども、先ほど部長から答弁があったわけですが、私は、岩手競馬においては悠長なことを言っていられないというように思うんです。例えば今運営している一定の期間の中で、収支が均衡しなければ、いつ廃止になるかわからない、そのようなせっぱ詰まった状況にある中にあって、私は、この競馬法の改正というのは本当にチャンスだったんだなと思うんです。そして、今の運営状況を見れば、厳しい状況が続いているということをそのように見る以外はございません。これを克服するための手法として、競馬法の改正の中でこのような取り組みができないかということで指摘をさせてもらったところでございます。
 競馬事業は、競艇や競輪、オートレースよりもかかわる人が多くて、そして経済効果の高い、すそ野の広い公営ギャンブルであると思います。馬の種つけから生産、育成、調教の経過をたどって競走馬に仕上げるためには多くのコストがかかってしまいます。そのような背景をかんがみて、他の公営ギャンブルと同じ比率の配当でなくてもよいのではという思いを持っています。また、全部のレースについて1%や2%多くもらうのではなくて、例えば1%を組合が多くもらうレースもあれば、今回の競馬法の中で見れば、100円の馬券を買って100円しか返ってこない馬券に対して、110円払ってもいいですよというふうに逆の改正もあったはずです。これと同じ発想の中で、多く払い戻しをするレースもあれば、そうでないレース、それらを自主的に展開できる、そして地方競馬が独自性を持った特色ある取り組みができる、そういったものを含めてのことができる案として、この払い戻しに関する規制の緩和ということを質問したつもりでもございます。私は、このことが岩手競馬再生に向けて今やれる本当に大きな手法ではなかったのかという思いを持っていますが、改めてその件についての御認識、そして、これから競馬再生に向かって国等に対してどのような行動をしていくのか、決意をお伝え願いたいと思います。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) ただいま、競馬に関して払い戻し割合の引き下げについて、もっと真剣に検討してしかるべきではないかという御指摘をいただきました。議員御指摘のとおり、売り上げの拡大、コスト削減、そして、お話がございました第3の考え方としての払い戻し割合の引き下げの関係ということで、これも重要な検討課題の一つであるとは存じておりますけれども、先ほど申し上げましたような事情、こういったものを総合的に勘案して、今回の競馬法の改正においては見送られたと存じておりますけれども、いずれにいたしましても、私どもも、今、議員からも御指摘がございましたように、やはり岩手競馬としての特色のある取り組みというものは重要な検討テーマだと思っておりまして、競馬の運営につきましても、さまざまな岩手競馬らしい特色ある取り組みというものをこれからも一生懸命考えていかなければならないと思いますし、運営につきましては、コスト削減であるとか、特にも売り上げを現実的な見通しに下方修正して、それに基づくコスト管理をきちっとやっていく。そういった意味におきましても、しっかりと緊張感を持って競馬の運営に努めていかなければならないものと考えております。

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