平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(大宮惇幸君) 民主・県民会議の大宮惇幸でございます。
 本定例会におきまして、一般質問の機会をいただいた先輩・同僚議員の皆様に心から感謝申し上げます。
 なお、質問に当たって重複する部分も出てまいるかと思いますが、御理解を賜り、通告に従い順次お尋ねいたしますので、知事並びに執行部の簡潔、明快な御答弁をお願い申し上げます。
 まず、市町村合併についてお伺いいたします。
 政府の地方制度調査会が今後の地方制度のあり方に関する答申をまとめ、11月13日に小泉首相に提出されましたが、平成17年4月以降の合併推進については、合併に関する新しい法律を制定し、一定期間さらに合併を推進するものの、合併特例債等現行の合併特例法のような財政支援措置はとらずに、都道府県がおおむね1万人未満の市町村等を対象とした合併に関する構想を策定し、合併を進めていくという内容になっております。全国に1万人未満の市町村は1、500余あり、700万人が暮らしており、県内でも1万人未満の町村は23町村あり、約12万7、000人が暮らしております。11月15日付の岩手日報でも、『「半ば強制的」強まる警戒感』、小規模自治体の切り捨てなどとして関係町村長の批判的コメントなどが報道されたところでありますが、人口規模のみで一律に合併が進められるようなことがあれば、住民の皆さんも地域の将来に不安を抱くのではないかと考えております。分権型社会の形成を進め、住民自治の充実を図るためには、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村の規模、能力を充実強化していくことが重要であり、市町村合併はそのための有効な手段であると十分認識しておりますが、合併の推進はあくまで地域主導で進めるべきではないかと考えております。知事は、この答申の内容をどのように受けとめているのか御所見をお聞かせください。
 また、地域での議論の結果、合併を選択しようとするのであれば、財政支援措置のある現行特例法のもとで合併するのが有利であり、早急に協議を進める時期であると思われますが、県内の合併の検討状況を見ると、今のところ法定協議会がなく、任意協議会が三つ設置されているのみという状況であり、合併特例法の期限切れが17年3月に迫っているのにもかかわらず、動きが鈍いのではないかと非常に心配しております。幸い今回の答申の中で、現行特例法に経過規定を設け、平成17年3月31日までに市町村が議会の議決を経て都道府県知事に合併の申請を行い、平成18年3月31日までに合併したケースについては現行法に基づく財政支援措置等を引き続き講じるという方針が明らかにされたところですが、それでも現在の県内のペースのままでは、現行法下での合併を相当数実現することは難しいのではないかと考えております。県として今後どのように取り組まれるのか知事の考えをお聞かせ願います。
 次に、自治体病院についてお伺いします。
 医療局では、県立病院経営懇話会の報告書を受けて、県立病院改革基本プラン(案)を策定し、発表したところであります。これによりますと、平成14年度の単年度損益は約18億円余の損失となり、累積欠損金は過去最大の99億円余に達しており、さらに平成20年度には単年度損益14億円余の損失、累積欠損金は172億円余になると試算しております。このため、施設類型を見直し、中央病院をセンター病院、9病院を広域基幹病院、2病院を地域間病院とし、14病院をサテライト施設として大幅に縮小するほか、病床につきましても、平成14年度の一般病床の平均空き病床数は約950床となっていることから、平成20年度までに720床縮減するなど、経営の建て直しに取り組む方針が打ち出されております。
 一方、県内には12の市町村立病院があり、それぞれ住民の医療を担っているところでありますが、これらの病院の平成13年度の決算を見ますと、12病院の合計で単年度損益は約5億円余の損失、累積欠損金は76億円余に達しており、また、6病院が単年度赤字、10病院が累積欠損金を抱え、経営が大変厳しい状況にあります。医師の確保につきましても、中小規模の病院が多いことや新幹線沿線から離れていることなどから困難をきわめていると伺っております。このような経営難と医師確保難という厳しい現実をどのように打開し、住民の医療を守っていくのか、市町村にとってはまことに頭の痛い問題であります。このため、私の地元雫石町でも、昨年、雫石病院のあり方に関する検討委員会を発足し、検討を行っているところであります。また、他の病院でも同様の組織を発足させたところがあると伺っております。
 そこで、今回の県立病院改革によるサテライト医療施設への転換や病床の縮減によって医療の格差が起こらないのか、県営医療をどう充実強化、発展させていくのかという観点からこの計画が練られ、打ち出されたものなのかお伺いします。また、市町村立の自治体病院との連携を強化していくべきと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、農業問題について何点か伺います。
 まず、水田農業改革に向けた水田の汎用化等圃場条件整備の推進について伺います。本県では、国の米政策改革大綱を踏まえ岩手県水田農業改革大綱を策定しましたが、その基本方向は、農業者や集落の自主性と創意工夫による自立できる経営体を育成し、これら経営体が中心となった体質の強い持続的な水田農業の確立を図るとしており、米の需給と価格の安定を図るため、生産調整は今後とも避けて通れないと思うのであります。今日、本県の水田面積9万2、000ヘクタールの約38%に当たる3万5、000ヘクタールが生産調整の対象水田となっておりますが、このような状況にあって、水田の高度利用を推進していくためには汎用化等圃場条件の整備が重要と考えます。今後、水田農業改革に向け、圃場条件の整備をどのように推進していくのかお聞かせ願います。
 次に、来年度から始まる米政策改革においては、国から示される米の生産目標数量は産地ごとの販売実績をもとに配分されることとなり、言いかえれば、売れ残りが出る産地は米の作付面積の配分が減らされるものと認識しております。このような中で、本県が将来ともに米主産地としての地位を確保するためには、知名度の高い岩手米の確立に向け、ひとめぼれ、あきたこまちにかわる良質、良食味で、本年のような冷害やいもち病にも強い本県オリジナルの銘柄品種の開発が必要と考えます。
 そこでお伺いしますが、県が現在取り組んでいる品種開発の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 品種開発のスピードが遅いように思いますが、開発のスピードを速くする方策がないのかあわせてお伺いします。
 次に、農業用機械の施設の整備に対する支援についてでありますが、新たな米政策のもとでは、売れる米づくりを進めるとともに、いかに生産コストを下げるかが重要であります。農水省によれば、平成12年の本県の水稲生産費は10アール当たり13万7、727円であり、これは東北平均の14%高となっており、その中でも、特にトラクターなどの農機具費については16%も高い状況となっております。今後、米の価格の上昇がなかなか期待できない中では、担い手の育成を支援する上で農機具等の整備に要する経費の負担を可能な限り軽減すべきと思う次第であります。このため、農業機械や施設整備のための事業について補助率を高めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、農地は農家の財産でありますので、権利の話は表立ってやりたがらない傾向にあります。このような中で、担い手農家へ農地を集積するに当たっては、出し手農家から一たん公的な機関が利用権を設定し、担い手農家に転貸する仕組みが有効と考えます。特に、現場に近いところの市町村段階でこうした仕組みを活用することによって利用集積が大きく進むと思うのですが、取り組みの状況をお示し願います。
 次に、園芸振興について伺います。
 本県農業は、米の生産調整の拡大と農産物価格の低下等により農業生産額は年々減少しており、農家経済は、近年の経済情勢も反映し、一層厳しいものとなっております。また一方では、遊休農地の発生や肉用牛の飼養頭数の減少により、有効活用されていない公共牧野も発生していると聞いております。こうしたことから、規模拡大を志向する農家に対しまとまった畑地基盤が確保できるよう、公共牧野の活用を促進することにより園芸の振興が図られるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、農産物の高付加価値化について伺います。
 最近は、消費者の食の安全・安心に対する関心の高まりを背景に、新鮮でおいしく、安心して食べられる農産物への人気が高まっております。また、農家所得の向上を目指し、産直施設や地元農産物を活用した農産加工、農家レストランなど、農家みずから農産物の価値を高める取り組みが県内各地で見られてきております。このような取り組みによって得られる所得は農業全体から見ればそれほど多いものではないかもしれませんが、私は、個々の農家の意欲的で創意にあふれたこのような取り組みの積み重ねこそが生産者の意欲を一層高め、生産振興のてこになるものと考えております。県の御見解をお聞かせ願います。
 次に、畜産振興について伺います。
 本県における肉用牛経営や酪農経営は、本県の広大な飼料基盤の有効活用による良質な粗飼料の確保を基本に振興が図られることが重要と考えられます。現在、岩手県肉牛生産公社においては、増殖部門を順次縮小することに伴い、これまで公社が利用していた草地に余裕が生ずると聞いております。そこで、これらの草地を肉用牛農家や酪農家に利用させることにより一層の粗飼料の確保が進むものと思われますが、県として、今後、公社の草地の利活用についてどのようにしていこうとしているのかお考えをお聞かせ願います。
 次に、家畜排せつ物の処理についてでありますが、いわゆる家畜排せつ物法の猶予期限まで1年を切り、畜産農家は、現在、適正な処理に向けて取り組んでおりますが、厳しい経済環境下ですので、期限内にすべての農家の堆肥舎等の施設の整備をするのは難しいのではないかと考えております。また、整備するにしても、できるだけお金をかけたくないというのが農家の気持ちであり、現在、小回りがきく県単事業があり、多くの農家がこの事業を活用したいと考えておりますが、この事業も平成16年までと聞いております。期限までには応急対応を行うとしても、その後堆肥舎等を整備するときに、現在の県単事業のような新制度の継続がぜひ必要と考えております。県として、畜産振興を図るためにもこの事業を継続していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、観光振興について伺います。
 本県のほとんどの市町村の定住人口が減少に転じつつある中で、地域産業の継続的な振興、地域の活性化を図るためには、地域の産業を時代のニーズに合った構造に転換し、雇用を確保していくとともに、県外からの交流人口を増加させ、地域産業を活用していくことが必要であると考えますが、観光は、関連する幅広い産業を包含した産業であるとの認識が定着しつつあり、観光消費がもたらす他産業への需要創出効果や雇用創出効果等の経済効果が非常に大きいことから、21世紀のリーディング産業として注目を集めております。国の平成14年度観光白書によると、平成13年の観光消費額20兆6、000億円は、生産波及効果が48兆8、000億円、雇用創出効果が393万人であり、全就業人口の約6%を占めると試算されております。国では、こうした観光の経済に与える影響の大きさに着目し、国内観光の活性化のため、外国人旅行者倍増を目標としてキャンペーンを展開していると伺っているところであります。
 本県においても、国内からの観光客の誘客はもちろんでありますが、今後、経済の拡大が予想される中国、台湾、韓国などの東アジア圏からの誘客についても取り組んでいくことが必要と考えます。昨年開設した北東北三県・北海道ソウル事務所を活用し、韓国からの誘客にどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組むのか、あわせて台湾や中国からの外国人観光客の誘客にどのように取り組んでいくのか伺います。さらに、国内観光の観点から、将来、自然豊かな岩手のリピーターになってもらうことが期待される中学生などの修学旅行の誘致にどのように取り組んでいく考えか伺います。
 次に、観光振興に関連して、グリーンツーリズムについて伺います。
 近年、農山漁村では、体験型修学旅行や地元食材を求めてくる都市の方々がふえております。また、退職後、田舎暮らしを希望する人も少なくありません。こうした学校教育や都市の方々の動向は、農家民宿や産地直売などの利用をふやし、農家の所得向上、地域を元気にさせる取り組みとして大いに期待しているところであります。しかしながら、農山漁村地域は、高齢化、過疎化が進んでおり、早晩農林漁家の個々の取り組みだけではこうした動向に対応できない状況になると懸念しているところであります。県では、10月に公表した40の政策の中で、グリーンツーリズムなどにより都市と農山漁村との交流を進めるとしており、また、ゆったり・じっくりいわて推進プロジェクトの中で観光との連携なども期待されるところであります。
 そこで、本県のグリーンツーリズムのこれまでの取り組みの成果と、今後どのように取り組んでいこうとしているのかお示しいただきたいと思います。
 次に、地熱熱水の有効利用についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、エネルギーは、水や食料と並んで現代社会の基盤をなす不可欠な要素でありますが、我が国では、その供給構造の脆弱性が常に変わらぬ課題となっており、他方、その消費に伴う地球温暖化問題が顕在化してきております。このような諸課題に応ずるため、資源の制約や環境への負荷が少ない新エネルギーの導入が要請されているわけでありますが、県においては、地域の特性を生かした新エネルギーの導入等を基本方針とする新エネルギーの導入の促進及び省エネルギーの促進に関する条例のもと、地域の自立を念頭に置きながら、風力やバイオマス、地熱等の地域資源を利用した新エネルギーの導入に鋭意取り組んでいるものと認識しているところであります。とりわけ、クリーンで無尽蔵な資源である地熱に関しては、発電用蒸気とともに湧出する地熱熱水の有効な利用を図る観点から、私の地元雫石町において熱水供給の実証調査を行い、特にも、経済性の確保が困難であるとして国が撤退した後においても、事業化への可能性を求めつつ県単独での調査を継続しておられると承知しているところであり、私は、こうした県当局の労を多とするものであります。しかしながら、熱水供給の実用化に向けてはさまざまな課題が存することもまた事実であり、その有用性を肌に感じながら花卉栽培などに取り組んでいる地元としては、17年度までとされている実証調査の期間においてこれら諸課題が解決され、長年にわたる取り組みが大輪の花を咲かせるものかどうか一抹の不安を禁じ得ないところであります。
 そこでお伺いいたしますが、最大の課題であります経済性の確保など、熱水供給事業実証調査の現況と課題はいかなるものでしょうか。また、それらを踏まえた今後の方向についてはどのようにお考えなのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、2・4・5-T系除草剤の撤去について伺います。
 県は、先般公表した40の政策において、七つの重点施策の一つに環境首都を目指す環境先進県を掲げ、その中で、青森県境産業廃棄物不法投棄事案への取り組みを特にも緊急に取り組む課題としたところであります。環境首都を標榜する本県におきましては、平成10年の岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例制定以後、積極的に環境関連条例を制定するなど制度面の整備を進めてきており、さきの9月定例会においては、岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例を制定し、流域における環境保全上健全な水循環を図るという観点から、本県の恵み豊かな緑と水を次の世代に引き継ぐための施策の基本的な方向を示したところであります。
 このような取り組みを進めている中で明らかになった青森県境産業廃棄物不法投棄事案は、環境を破壊し、県民の健康と生活環境を脅かす非常に怒りを覚える事件でありますが、現在、県においては、地域の安全な生活環境を取り戻す対策や排出事業者の責任の徹底追及を鋭意進めているところであり、不法投棄された産業廃棄物の早期の全量撤去による解決を目指し、今後も全力で取り組んでいただくことを強く希望するものであります。
 一方、県内には6、070キログラムの2・4・5-T系除草剤が6町村21カ所にわたり国によって昭和46年に埋設され、そのままになっているということも忘れるわけにはまいりません。2・4・5-T系除草剤には、微量ながらダイオキシンが不純物として含まれるとされており、このようなものが岩手の森林の中に埋まっていることは、県民に不安を与えているのみならず、澄み切った空気と水、そして豊かな森林を守り育てて環境日本一を目指し、次の世代に引き継ごうという環境先進県岩手にはなじまない存在であると感じております。
 そこで伺いますが、私は2・4・5-T系除草剤を埋設し管理を行っている国が、責任を持って青森県境不法投棄産業廃棄物と同様に早急に撤去すべきであると考えるものでありますが、県の見解をお聞かせ願います。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 大宮惇幸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第27次地方制度調査会の答申が先日ありましたが、この答申の内容をどのように受けとめているかという御質問からお答え申し上げます。
 まず、この答申に出ておりますが、現行の合併特例法の期限が切れた後、引き続き自主的な合併を進めていく、そのために、合併の障害を除去する措置を含めて新法でその手当てをしていく、こういう考え方については評価できると思っております。
 それから、この答申の中で、小規模な市町村としておおむね人口1万人未満という目安が示されておりますが、私は、人口要件のみをもって一律にこういう市町村を明示するということは適当ではない。これは、今の時代には、人口要件だけでなくて、地域のさまざまな事情を十分にきめ細かく勘案していく必要があるだろうと考えておりますので、この部分については適当ではないと考えております。
 それから、都道府県知事が合併の構想をつくって、その上でさらに勧告などを行うこととされておりますけれども、この部分は、強制的な合併推進という形にとられかねない。都道府県と市町村というのはあくまでも対等協力の関係でございますので、こうした勧告というのは地方分権の趣旨に沿うものかどうか、やはり慎重に検討しなければいけないと思っております。そういう意味で、この勧告ということについては危惧を持っております。
 また、答申の中で、地域自治組織の制度化について明記されておりますが、これについては、合併すると周辺部が寂れるといったような一般的な不安があるわけでございますが、こういった不安を解消して住民自治の強化を図るものでございますので、こうしたものは、今後の合併議論の際の参考にもなるものと考えておりますし、こうした地域自治組織を充実させて使っていくということが、地域自治の尊重につながっていくものと考えているところでございます。
 次に、県内の市町村合併についての取り組みについて今後どのように取り組まれるかということで、これは昨日の答弁と重なる部分がございますけれども、今、私どもの認識としては、県内各地域で合併に向けた議論が活発化していると思っております。
 現行の合併特例法には、先ほど申し上げましたような合併の障害となるような部分を除去するような措置と同時に、いわゆる合併特例債等の財政支援措置が含まれているわけでございますので、次の延長期限が来た後の新法では、この部分が、財政支援措置がなくなるという形になるわけでございますので、まず、この合併特例法の財政支援措置の効果を十分に見きわめながら、現行法のもとでの合併を目指して全力を尽くしていくことが重要だと考えております。合併特例債は、御承知のように借金でございますので、安易に使うということもいけないわけだと思いますけれども、これは、使い方によって十分な効果が出てくるわけでございます。そこの効果を十分見きわめていただきたいと思っております。
 そして、既に合併の枠組みを決めまして合併に取り組んでいる市町村がございますが、そうした市町村に対しては全庁を挙げて支援していく。そのほか、枠組みを構築中のところについては、可能な限りこうした特例法期限内での合併が実現できるように、適切にアドバイスを行っていきたいと考えているところでございます。
 それから、地熱熱水の関係についてのお尋ねでございますが、この地熱熱水供給事業実証調査については、経過を申し上げますと、平成6年度で国の委託調査が終了したわけでございますが、その後、平成7年から12年までは、国から新エネ財団の方に委託をした調査を実施してきておりますが、現在は、平成17年度までの予定でございますが、引き続き県の方で、経済性の確保や原熱水を直接利用するための砒素除去に関する調査を行っているわけでございます。
 これまでのところ、砒素除去の研究につきましては、技術的に一定の成果が得られているわけでございますが、一方の経済性の確保は大変困難でございます。また、熱水供給についてのコストは漸次減っている方向ではございますけれども、一方では、石油価格も低い価格で安定しているわけでございますので、競合するエネルギー、これは具体的には石油などの化石燃料でございますが、こうした競合するエネルギーとは相当のコスト差が今も見られておりまして、その分の差額については県がかなりの額の費用負担を行っている状況にございます。
 今後、クリーンエネルギーの導入を推進していく上で、この熱水の利用ということ、熱水は魅力あるエネルギーと評価しているわけでございますが、これを実用化するためには、今申し上げました経済性の確保のほかに、国の財産でございますこの熱水供給施設をどのように取り扱うのか、それから、平成17年度までとされております熱水造成に必要な河川水取水のための水利権の取り扱いの問題、関係施設の老朽化の問題など、数多くの解決すべき課題があると考えております。
 これは相当難しい課題だととらえているわけでございますが、こうした数多くの課題がございますので、今後の方向としてでございますけれども、まず、平成17年度までは、いずれにしても県財政も厳しい状況でございますが、熱水コストの一層の縮減など、経済性の確保の観点からの調査を継続して、地元の皆さん方の熱水利用に供していきたいと考えております。
 それから、平成18年度以降の方向につきましては、ここは年内に雫石町の関係機関や地元の利用者の皆さん、それから学識経験者などの皆さん方に入っていただいて懇談会を立ち上げて、そこで議論をしていただこうと。国の方から資源エネルギー庁の関係の人間にも入ってもらいますし、県立大学の先生にも入っていただく、企業の皆さん方にも入っていただきまして、こうした懇談会を年内に立ち上げまして、ここでさまざまな御意見をいただきたい。それから、これまでの実証調査における成果や国との協議などの結果もございますので、そうしたものも取りまぜて考えて、平成16年度中を目途に県としての方向性を見出していきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立病院改革基本プラン(案)についてでございますが、県立病院は、入院・外来患者数の大幅な減少や診療報酬のマイナス改定により、経営収支が急速に悪化しており、数年後には累積欠損金の増嵩にとどまらず、内部留保資金も枯渇し、このままの規模・体制での運営は大変困難となると予測されます。
 さらに、来年度からの医師の卒後臨床研修が必修化されること等もあり、医師確保の厳しさがさらに増してきております。
 このような状況にありまして、今後とも県立病院は県民の期待にこたえ、良質な医療を持続的に提供していく責務がありますことから、二次保健医療圏を単位として県立病院群が連携し、これを一体的に運営することなどを柱としました県立病院改革基本プランを策定したものでございます。
 この改革基本プランの内容でございますが、入院患者数の減少にあわせまして、二次保健医療圏で病床数を調整し、計画的に縮減を行いながらも、圏域の入院需要に見合う必要数を確保することとしております。
 また、二次保健医療圏の核となる広域基幹病院では、各診療科の複数配置等、医師を充実させ、救急医療や高度・特殊医療等の診療機能を高めるとともに、臨床検査あるいは事務等の業務をできるだけ集約して、圏域内の県立病院を効率的・一体的に運営いたします。
 さらに、周辺の病院、診療所は、常勤の医師を配置するとともに、広域基幹病院からの診療応援、あるいは業務応援等を受けまして、初期医療や慢性期医療等を担当するなど、病院間の機能分担を進め、二次保健医療圏を単位としてそれぞれの症状に応じた適切な医療を提供する、これらを内容とするものでございます。
 次に、市町村立病院との連携についてでございますが、県民医療の確保は、民間医療機関や市町村立病院、県立病院等が機能や役割を分担し、連携を図りながら対応していく必要があると考えてございます。
 市町村立病院との連携につきましては、県立の中央病院、あるいは各地の広域中核病院等から、一般診療や当直などの診療応援を行ってきておりますほか、医師確保のため、医療局が実施しております奨学資金貸付制度や医師養成事業の医師の履行義務につきまして、平成13年度から県立病院に限らず、市町村立病院での就業もその義務履行の対象とすることとしたところでございます。
 今後におきましても、広域基幹病院等の医師の充実を図りながら、可能な限り市町村立病院の診療応援を行うほか、相互の患者紹介、病・病連携になりますが、こういった形で連携を一層図りながら、地域の医療の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 水田農業に関連して、まず、圃場の条件整備の推進についてでありますが、来年度から国の米政策改革大綱に基づき新たな米政策へ移行される中で、本県におきましては、体質の強い持続的な水田農業を確立していくためには、稲作と他作目を組み合わせた水田の高度利用により、水田の持つ潜在生産力が最大限に発揮されるような取り組みが肝要であると存じております。
 このためには、圃場条件の整備が極めて重要であると考えておりまして、これまでほ場整備事業を農業・農村整備事業の重点事業の一つに位置づけ、水田の汎用化等の整備を積極的に推進してきたところであります。
 現在、行財政構造改革プログラムに基づき公共事業費の削減に取り組んでいるところでありますが、水田農業改革は、本県農業の最優先課題でありますことから、今後におきましてもほ場整備事業を最重点事業として位置づけ、用排水施設や暗渠排水、圃場の大区画化など、地域の実情に即し、また、適地適作を基本にしながら推進してまいる考えであります。
 次に、いわて米の品種開発についてでありますが、米の産地間競争が激化する中で、品種の開発に当たりましては、良質・良食味で、ことしのような異常気象下におきましても十分稔実できる耐冷性を有し、減農薬栽培に適した耐病性品種が望まれているところであります。
 現在、毎年80に上る組み合わせ交配を続けておりまして、今のところ、一つには、あきたこまち並みの食味で耐冷性が強く、耐病性にすぐれるわせ1系統、なかて2系統、またもう一つは、ひとめぼれ並みの食味で耐冷性、耐病性にすぐれるおくての2系統について、現在試験栽培を実施しながら、奨励品種としての適性について検討を行っているところであります。
 また、開発スピードを速める方策につきましては、世代促進温室による1年2作作付する方法、また、世代の早い段階でのたんぱく質やアミロースなどの食味関連成分の分析による早期選抜などによりまして、引き続き育成期間の短縮に取り組んでまいる考えであります。
 次に、農業用機械や施設の整備に対する支援についてでありますが、農業機械等の整備につきましてはいろいろな角度から進めているところでございますが、本県の水稲の生産費が東北の中で特に一番高い状況になっているわけでございまして、その主な理由は、経営の活動規模が小さく、農業機械の能力を十分に発揮できる生産構造になっていないことが大きな要因と考えております。
 これを改善していくためには、何よりも機械がフル稼働できるよう、担い手に対して農地の利用集積を進めていくことが重要でありますので、現在、集落の労働力の実態や将来見通しなどを踏まえ、担い手を明確化するとともに、担い手への農地の利用集積目標等の営農戦略を内容とした集落水田ビジョンを策定していただいているところであります。
 県といたしましても、こうした主体的な取り組みに対し、積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、農地の利用集積についてでありますが、本県では、社団法人岩手県農業公社が県全域を対象として、また市町村段階でも花巻農業振興公社など3公社と盛岡市農協などの7農協、計10の組織が農地保有合理化法人となって、担い手への売り渡しや貸し付けを行う事業を実施しているところであります。これら市町村段階の農地保有合理化法人における平成14年度の農地の貸付面積は154ヘクタールとなっておりまして、近年増加傾向にあります。
 今後、県といたしましては、この事業の一層の活用を促進し、水田農業改革大綱に掲げる大規模家族経営体や集落型経営体への農地利用集積による規模拡大を積極的に進めていく考えであります。
 次に、園芸振興のための公共牧野の活用についてでありますが、本県の園芸振興、とりわけ大根、キャベツなどの土地利用型野菜の振興を図るためには、まとまった面積が確保でき、低利用となっている牧野等を有効に活用しながら作付の団地化を図り、経営規模の大きな野菜主業型農家を育成することが重要であると考えております。
 このため、現在、地方段階にプロジェクトチームを設置いたしまして、野菜生産が可能な農地をリストアップするとともに、規模拡大を志向する農家に対して、これら農地の紹介や権利調整、栽培技術の指導などを重点的に行っているところであります。
 この結果、住田町の住田第2牧場でのキャベツ、安代町の七時雨牧野においての大根栽培など新たな取り組みも出てきておりますことから、今後におきましては、地方段階の支援活動をさらに強化することによりまして、低利用農地の活用を促進し、一層の園芸振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、農産物の高付加価値化の取り組みについてでございますが、生産者の所得向上、あるいは就業機会の創出が期待されることから、これまでも産直施設や加工施設の整備とあわせまして、アドバイザーを派遣するなど支援してきたところでありますが、多くは規模が零細で、商品開発力や経営管理能力が十分とは言えない状況にあります。
 一方、最近では食の安全・安心や地産地消に対する関心が高まる中で、消費者は産直活動や農村レストランなど、生産者の顔の見える取り組みに大きな期待を抱いているところであります。
 こうしたことから、今後におきましては、事業者が企業的な経営感覚を持って、消費者ニーズを的確にとらえた販売企画や新商品開発に取り組み、多様なアグリビジネスが展開できるように、ハード、ソフト両面から支援を強化してまいりたいと考えております。
 次に、肉牛生産公社草地の利活用についてでありますが、岩手県肉牛生産公社は八つの牧場を有しておりますが、事業規模の縮小に伴いまして七つの牧場を順次利用中止することにしております。そのうち、公社有地である1牧場は関係団体が引き続き畜産利用することで協議を進めておりまして、その他6牧場については、地権者に一たん返還することにしております。
 現在、公社はこれら6牧場の返還に当たり、地権者の意向や畜産農家を含めた地元の要望を踏まえ、放牧や採草利用のほか、野菜団地も含めて広く農業分野での活用を視野に入れて町村、農協等と協議を進めており、県としても、その有効活用が図られるよう今後とも支援してまいる考えであります。
 次に、家畜排せつ物処理についてでありますが、県では、いわゆる家畜排せつ物法の対象となる農家の方々の意向に基づき、処理施設の整備計画を策定し、その推進に努めているところでありますが、できるだけ計画を前倒しして進めるよう指導しており、今年度末には約80%が整備される見込みとなっております。
 整備に当たりましては、各種補助事業や融資制度などを利用していただいているところでありますが、県単独の補助制度であります地域有機物資源活用促進事業の導入を計画している農家が大変多いことから、その要望にこたえられるよう今年度の予算を大幅に増額して措置したところであり、平成16年度についても、計画に沿った予算を十分確保しながら、家畜排せつ物法の猶予期間である平成16年10月までに施設の整備が完了するよう、万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、グリーンツーリズムについてでありますが、県では平成9年に岩手県グリーン・ツーリズム推進協議会を組織し、都市住民への情報発信や体験インストラクターの育成などに努めてきたところであります。
 また、県下全域において、特産品や農作業体験等による都市との交流が盛んに行われてきておりまして、例えば、花巻地方や雫石町では体験型修学旅行の受け入れ態勢の整備を進めるなど、新たな取り組みも見られてきております。
 こうしたことによりまして、グリーンツーリズム関連施設の利用者数は、平成14年度で269万人と調査を開始いたしました平成10年よりも20%増加し、県内のグリーンツーリズムは着実に進展してきているものと考えております。
 今後、グリーンツーリズムを一層推進するために一番求められておりますのは、都市側と農村側双方の情報の受発信を一元化して、また、それぞれをマッチングさせる機能の整備でありますので、こうした全県の拠点づくりを今後検討してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 観光振興に関しまして、まず、ソウル事務所の活用による韓国からの誘客の取り組みについてでありますが、昨年11月に開設したソウル事務所では、今年度春、秋の年2回、旅行エージェントを対象に観光客誘致説明会を開催いたしまして、本県の観光関係者も参加いたしまして、韓国で人気が高い温泉、食、スキー、あるいはゴルフ等の情報提供を行い、その後、本県へのツアーが実現したところであります。
 また、韓国側主催の国際観光展に出展し、本県の知名度向上を図り、韓国からの誘客に努めてまいりました。
 今後は、これまでの取り組みに加えまして、新たに観光動向調査による旅行者等のニーズの把握や観光資源データベースを活用した情報発信を行いながら、ソウル事務所を拠点に本県への観光客誘致を図ってまいりたいと考えております。
 また、台湾や中国からの誘客への取り組みについてでありますが、台湾については、平成12年度の国際チャーター便就航から4年目を迎えまして、便数や来県観光客数は順調に推移していると思っております。
 今後とも、国際チャーター便の継続を台湾政府あるいは航空会社などに働きかけるとともに、仙台空港や成田空港などを経由する観光客の本県への誘導にも取り組んでまいりたいと思っております。
 中国については、まず成長の著しい上海、本県とつながりの深い大連をターゲットに、上海事務所や北海道・東北21世紀構想推進会議で設置しております上海プロモーションオフィスなどを活用するとともに、岩手・大連友好交流協会など、民間の観光交流との連動を図り、さらには、日本への団体旅行の解禁地域の拡大など、中国の海外旅行の動向にも留意しながら、本県への誘客に取り組んでまいります。
 次に、修学旅行の誘致に係る今後の取り組みについてでありますが、本県においては、北海道や首都圏の中学校からの入り込みが多く、平成14年の入り込み状況は、学校数で延べ2、237校で、前年度と比較いたしますと97校、4.5%増加しております。
 また、最近の修学旅行は、自然、歴史文化などが異なる地域でのいわゆる体験学習を重視する傾向にございます。
 したがいまして、今後の取り組みといたしましては、農林水産分野などと連携した体験メニューの充実やボランティアガイドの拡大など、修学旅行受け入れ態勢の強化充実に努めるとともに、受け入れ実績の多い北海道や首都圏で行っております誘致説明会などをこれまで以上に充実して、修学旅行の誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 2・4・5-T系除草剤の撤去についてでございますけれども、この問題につきましては、基本的には2・4・5-T系除草剤を埋設し、管理を行っております国が、住民の皆様の意見等を踏まえて適切に対応すべきものであると認識しております。
 平成10年に国、県、それから関係市町村が協力いたしまして埋設地周辺の土壌、河川の調査を実施いたしました。その結果、除草剤によるダイオキシン汚染は認められなかったわけでございまして、専門家からは、現状のままで問題がないという見解が示されまして、国におきましては、この調査結果等を踏まえまして、現状のままでも安全であるという考えを持っております。そうはいいましても、今後、技術開発等が進み、これが実用化されれば、さらに専門家の意見を踏まえて恒久対策を実施したいというような見解を示しているわけでございます。
 しかしながら、県におきましては、地域の皆様方の要望も踏まえまして、平成12年度以降毎年度、埋設地下流の河川を対象といたしまして、水質、それから底質の調査を継続して実施しておりまして、この調査でも除草剤による影響は認められておらないのでありますけれども、本年度は、さらに関係市町村、地域の住民の方々の御意見も踏まえまして、国と共同で、河川だけではなくて周辺の土壌につきましても、5年ぶりになりますけれども調査を実施しているところでございます。
 県におきましては、これまでも関係市町村と協議会を構成いたしまして、連携しながらこの問題に取り組んできておるところでございまして、国に対して撤去を含む恒久対策の実施を要望してきたところであります。今年度、土壌、水質両面からの調査を実施いたしまして、年度内にはその結果が判明するということでございますので、この結果も踏まえまして、さらに関係市町村の御意見も伺いながらこの問題について適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。

〇16番(大宮惇幸君) 再質問をさせていただきます。
 まず初めに、地熱熱水の答弁をいただきましたが、地元の要望としては、この地熱熱水エネルギーを定着化してほしいという強い要望がございます。知事も何度か現地に足を運んでいただいて、実情はおわかりかと思います。花卉栽培に取り組む生産組織がございまして、17年度の見通しがいかがなものかということで大変心配をしておるのが実態であります。本県のクリーンなエネルギーに定着していただくように強く要望するものであります。
 次に、2・4・5-T系の除草剤に関連して、知事の決意を聞きたい、このように思います。
 今定例会に追加補正で出されました森のトレーの返還金、これも林野庁であるわけでありますが、この2・4・5-T系除草剤の撤去をこの機会に林野庁と応戦する考え方があるのかないのか、いま一度知事の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、医療局にお尋ねしますが、医療改革、まさにそのとおりでわかりましたが、しかし、病院経営、病院の改革のみならず、病院に勤務する医師、看護師、職員、まさに意識改革についてどう取り組んできたのか、あるいは今後どのように意識改革をしようとしているのか。ややもしますと、公的病院は、若干言葉はまずいかと思いますが、親方日の丸的で、赤字になってもだれもペナルティーも食わない、責任がない、こういう意識が往々にしてあるのではないかと考えられます。そういう意味で、意識改革についてお伺いするものであります。
 次に、農林水産部にお尋ねするわけでありますが、21世紀は種子の革命の時代とも言われております。そうした中で、畜産につきましては、最近有望な種牛が育成されたのは私も存じ上げております。減反政策が30年以上にわたって続けられておる中で、稲作を初めとする畑作あるいは花卉等についての品種開発が農業県岩手としては若干力がないのではないか。品種の育成について立ちおくれている原因は何にあるのか。研究者が不足なのか、あるいは品種開発費が不足なのかお伺いするのであります。
 御案内のとおり、ひとめぼれは宮城県で育種されたものであり、あきたこまちは秋田で育種された品種であります。そうした意味から、やはり岩手独自の品種開発が急務であると考えます。御所見を再質問でお尋ねいたします。

〇知事(増田寛也君) 2点私にお尋ねがございました。
 まず、地熱熱水の関係でございますが、地元の御要望はよく承っておきます。熱水の利用者の方にも入っていただいて、懇談会で関係する皆さん方の御意見を出していただきたい。専門家の御意見も聞きたいと思っておりますので、そこでの議論を踏まえた上で県としての考え方をまとめたいと思います。
 それから、2・4・5-T系の除草剤が埋められているということでありますが、これについては、恒久対策を国の方に強く要望しております。この恒久対策というのは、撤去を含む恒久対策であります。このことについては、林野庁に対しても強く申し入れをしておきたいと思います。

〇医療局長(千葉弘君) 病院改革に当たって職員の意識改革が必要ではないかということでございますが、経営懇話会でもそのことを強く御指摘を受けてございまして、今般お示しした改革プラン案にもその意識の改革を強く打ち出してございます。
 具体的には三つほど掲げてございますけれども、各病院ごとに、その病院の理念なり基本方針あるいは経営の目標をできるだけ具体的に設定する、そして、十分に職員にその意識を徹底させ、それに向かって取り組むということ。あるいは、病院機能評価とかISOの認証取得への取り組み、これは現実に県立病院でも数病院ございますけれども、こういった取り組みをすることによりまして、患者さんへのサービスの強化あるいは経営意識の醸成、こういった効果も見られます。そういったことで、こういった機能評価の取り組み促進といったようなことも掲げてございます。
 さらには、民間経営コンサルを活用しまして、他県において――公立病院ですが――相当の職員の意識改革に効果を上げている事例がございますので、そういったことも検討しながら、意識改革も含めてこの改革を進めてまいりたいと考えております。

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 種子・種苗の開発がおくれているのではないかというお尋ねでございますが、いずれにいたしましても、食料供給県としてさらに発展してまいりますためには、時代を先取りし、そして、消費者ニーズにこたえ得る農産物を生産していくということでございますが、それは、とりもなおさず種子・種苗の開発にまつところ極めて大きいと思っております。
 本県としても、農業研究センターを初め、生物工学研究センターとの連携のもとにこの開発に取り組んでいるところでございますけれども、他県に比べますとこの取り組みが少しおくれた感は否めないと思っておりますが、いずれ今後拍車をかけて取り組んでいきたいと思っております。御案内のとおり、リンゴの岩手6号という新しい品種も出てきておりますし、それからスターチス、小菊、リンドウといった新しい品種の開発も有望なものが出てきております。こうしたことに加えまして、園芸品目、それから水稲の種子につきましても先ほど申し上げましたような有望な品種も幾つか出てきておりますので、こうしたことも含めまして、今後さらに種子・種苗の開発に一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。


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