令和8年2月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(臼澤勉君) ただいま議案となっております請願陳情受理番号第86号について、委員長報告に賛成の立場から討論を行います。
 まず、冒頭申し上げますが、本請願が背景としている中東情勢の緊迫化、そして、民間人を含む犠牲者の発生については、極めて深刻であり、また、イランによるホルムズ海峡封鎖により、日本はもとより世界のエネルギー供給に重大な危機をもたらす状況であり、事態の早期鎮静化と外交的解決を求めることは、私自身も全く異論はありません。
 中東地域の安定は、我が国にとって極めて重要な国益に直結する問題であります。とりわけ我が国のエネルギー供給は中東地域に大きく依存しており、ホルムズ海峡の安全確保は、国民生活や経済活動に直結する極めて重要な課題であります。
 しかしながら、内容及びその手法については、地方議会として慎重に判断すべき重要な論点が含まれております。地方自治法第99条に関して、総務委員会において、国民が国政に対する要望を直接国会に述べることのできる請願については、国民の権利として憲法で保障されているという指摘もありましたが、これは、憲法第16条の請願権を指すものと考えられます。もっとも、同条は国民個人の権利を定めたものであります。一方で、本請願は、岩手県議会に対し、日本政府がアメリカ及びイスラエルに対し抗議することを要求するとあり、国家間の軍事行動及び外交にかかわる事案で、議会の権限として規定する地方自治法第99条の当該普通地方公共団体の公益に関する事件の範囲を超えるものと考えられます。
 外交及び安全保障は国の専決事項であります。現在、政府においては、国際社会と連携しつつ、事態の鎮静化に向けた外交努力を継続しているところであり、また、邦人の安全確保やエネルギー供給の安定といった国民生活に直結する課題に万全を期するよう対応しております。
 また、今回の事案については、国際社会においても評価が大きく分かれており、単純に是非を断じることが困難な性質のものであります。
 こうした中で、地方議会が特定の国の行動について断定的な評価を行い、外交の方向性や手法に意見を述べることは、外交全体への影響という観点からも慎重であるべきであります。
 中東情勢の背景には、イランの核開発問題や地域の不安定化につながるさまざまな行動が存在しており、国際社会は、これらの課題に対しても対応を進めてきた経緯があります。したがって、特定の側面のみを取り上げて評価するのではなく、全体像を踏まえた冷静な判断が求められると考えます。
 本請願の趣旨は、主にアメリカ大統領への抗議の内容となっております。こうした中にあっては、特定の立場に偏ることなく、関係各国との対話の可能性を維持しながら、事態の鎮静化に向けた外交努力を継続していくことが重要であります。一方的な主張は、外交の手段を狭めてしまうことになります。こうした観点からも、感情的、断定的な対応ではなく、国際社会と協調した慎重な外交対応が必要であります。
 ここで、本県議会における直近の対応について申し上げます。本県議会では、ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮によるミサイル発射、さらには、ガザ地区における人道的休戦に関する案件について、いずれも議員発議による決議として整理されてきた経緯があります。これらは、いずれも議会が主体となって内容を調整し、各会派がそれぞれの立場において判断を行った上で、対外的に意思を示してきたものであります。
 このように、国際情勢に関する案件については、請願を起点とするのではなく、議会が主体となって決議として整理をし、責任を持って判断する形が、本県議会におけるこれまでの運用であると認識しております。
 一方で、請願は、本来、県民からの要望を、その趣旨に基づいて受けとめる制度であります。その請願をもとに、内容を修正し、議会の意思として対外的な意見書を構成することについては、制度上の整理と慎重な判断が求められるものと考えます。
 こうしたこれまでの運用との関係においても、本件の取り扱いについては慎重に判断すべきものと考えます。仮に議会として意思を示すのであれば、これまでと同様に、議員発議による決議として、主体的に内容を整理し、立場を超えたバランスのとれた形で発信することが本来のあり方ではないでしょうか。
 最後に申し上げます。本請願の問題意識にある平和的解決の必要性については共有するものであります。しかしながら、地方議会としての役割、外交の専決性、そして本県議会のこれまでの運用を総合的に勘案したとき、本請願の内容及び手法は、適切であるとは言いがたいものであります。よって、本請願については、委員長報告に賛成し、本請願には反対することを申し上げ、討論といたします。(拍手)
〇議長(城内愛彦君) 次に、鈴木あきこさん。
   〔8番鈴木あきこ君登壇〕

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