| 令和8年2月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録 |
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〇40番(工藤大輔君) いわて新政会の工藤大輔でございます。今定例会におきまして代表質問の機会をいただいた議員各位に感謝申し上げます。
さきに知事演述で示された令和8年度の県政運営の方針とマニフェストプラス39について質問いたします。 初めに、国の地方創生に関する総合戦略についてお伺いします。 国におきましては、昨年末、高市政権として初の地方創生総合戦略が閣議決定されました。石破政権の地方創生2.0は、人口の東京一極集中をこれ以上加速させないこと、楽しい地方を掲げ、女性に選ばれる地域づくりに力点を置き、日本全体の活力を取り戻す国家戦略として位置づけられましたが、高市政権では、半導体や先端産業への国家主導の集中投資、産業クラスター形成、非東京圏の労働生産性を東京圏以上に引き上げることをKPIに据えるなど、地方創生は人口政策から経済政策へと重心を移しつつあります。 知事は、新たな地方創生総合戦略をどのように受けとめ、県全体を持続的発展につなげていくかお伺いします。 高市総理は所信表明演説で、この夏を目途に地域未来戦略を取りまとめるとしています。政策パッケージは、国が策定する戦略産業クラスター計画と知事が主導して地場産業の成長を目指す地域産業成長プランを策定することとなっています。 本県には自動車、半導体関連、医療機器を初め、全国と比較しても競争力を持つ潜在分野がありますが、どのような企業、業種が浮かんでいるのか、プランの策定についてお伺いします。 県内の企業誘致の現状は、北上川バレー構想が進み、自動車、半導体関連の城下町が形成されるなど、ものづくり産業の集積と人材育成を軸にした地域振興が進み、県経済を牽引し、さらなる成長が見込まれます。 一方、県北・沿岸圏域では、港湾や三陸沿岸道路の整備が進んだものの、特にも県北圏域では、令和2年度から令和6年度までの5年間の企業誘致の実績を見ても、新設が3件、増設が6件、1件当たりの雇用人数は、新設が25人、増設が8人でありますが、既に1社が撤退を決めるなど十分な成果を残せておらず、地域からは、より積極的な企業誘致策の展開が求められております。 誘致戦略を練り直し、財政支援、税制優遇など対象業種、規模、期間などの拡充を図るなど新たな対策が必要と考えますが、県北・沿岸圏域への企業誘致に向けどのように取り組むお考えか、お伺いします。 以降の質問につきましては質問席で行いますので、御了承願います。 〔40番工藤大輔君質問席に移動〕 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 工藤大輔議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、国の地方創生に関する総合戦略についてでありますが、国は、昨年6月に閣議決定した地方創生の基本構想において、強い経済基盤と豊かな生活環境を構築した上で、若者や女性にも選ばれる地方をつくることを今後10年間の目指す姿として掲げています。 地方創生に関する総合戦略は、こうした基本構想を踏まえつつ、地方の強い経済の実現に力点を置いていますが、この考え方は、本県が国に対して強く求めてきた地方重視の経済、財政政策への転換に沿うものであり、歓迎しております。 一方で、子育てや教育、医療、福祉、社会インフラ等も含めた地方の暮らしを守るための取り組みも重要でありますことから、国においては、ナショナルスタンダードの観点も十分に踏まえながら、経済だけではなく、必要な措置を講じる必要があると考えます。 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略は令和8年度に終期を迎えますが、国の地方創生に関する総合戦略を踏まえつつ、自然減、社会減対策を推進するとともに、人口減少下においても持続可能な地域経済を実現するために、関連する施策を次期総合戦略に盛り込み、地方創生を推進してまいります。 次に、地域産業成長プランの策定についてでありますが、国の新たな地方創生に関する総合戦略では、強い経済の実現に力点を置いた地域未来戦略の推進が打ち出され、都道府県ごとに地域産業クラスターの形成拡大や地場産業の成長に向けた地域産業成長プランを策定することが求められています。 本県では、こうした国の動きを好機と捉え、世界に開かれた地方創生をさらに進めるため、市町村や関係団体から御意見を伺いながらプランを策定することとしています。 プランの策定に当たっては、自動車、半導体、医療機器関連産業など本県の経済成長を牽引するものづくり産業や、農林水産業、観光、伝統工芸品など県内各地域で経済、社会、文化的な基盤となる地場産業を中心に、スタートアップ、輸出、インバウンドといった産業横断的な戦略の視点なども取り入れて検討を進めてまいります。 また、プランは、ことし夏前の策定を求められていますが、これに先立ち、令和8年度当初予算案においても投資促進関連事業などを盛り込んでいるところであり、地域未来交付金を初めとする国の財政措置も十分に活用しながら、産業のさらなる集積と地域経済の成長に向けて取り組んでまいります。 次に、県北・沿岸地域の産業振興施策についてでありますが、県はこれまで、電子部品産業や造船業など、地域産業を牽引するような企業誘致や増設の支援のほか、地域の資源を活用した食料品製造業や高い技術力を誇るアパレル産業などの地場企業の振興にも取り組んできたところであり、近年では、IT企業の新規立地や南部せんべいの工場増設などが行われています。 その一方で、県北・沿岸地域においては、県南地域と比較して新規立地件数や増設、雇用人数が少なく、ポテンシャルのさらなる開発に取り組むべきであります。 県では、引き続き県北・沿岸地域の交通アクセスの向上を積極的にPRしながら、県北・沿岸地域の産業を牽引する企業と地場企業との取引拡大や関連企業の誘致、水産加工など地域資源を強みとした立地の促進などに取り組むとともに、県北・沿岸地域の再生可能エネルギーのポテンシャルに着目した産業振興に取り組んでいきたいと考えております。 こうした取り組みを効果的に進めていくに当たり、市町村の意向も踏まえながら、来年度、県北・沿岸地域を初めとする複数の市町村が連携した企業誘致活動を支援するほか、企業立地に関する補助制度についても、県北・沿岸地域への立地が促進されるよう検討を進めてまいります。 〇40番(工藤大輔君) 県はこれまで、4広域振興圏の特徴を生かした地域振興施策をとってまいりました。この地域未来戦略における地域産業成長プランの作成において、これまでの取り組みをリンクさせていくお考えなのか、お伺いします。 〇知事(達増拓也君) 国の新しい総合戦略に今まで県が取り組んできたことを反映させるかという御質問と理解いたしますが、地域未来戦略は、その県の強みを東北地方というブロック、また岩手県の中で進めていくということでありますので、今までの県北・沿岸振興の取り組みが生かされていくものと考えております。 〇40番(工藤大輔君) 例えば県北圏域の取り組みなどでは、ずっと同じような取り組みをされてきているのですけれども、成果がなかなか見出せていない、効果がなかなか拡大できていないのが現状だと思います。ですので、今回の地域未来戦略においては、地方における経済成長の絶好の好機と捉えながら、県北圏域にあるものそれだけではなく、ぜひ拡大する形、また、今まで予算の関係上拡大できなかった分野もあるのではないかと思いますが、そういったものもしっかりと地域を見据えながら取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 また、企業誘致については、検討されるということですので、今後の展開を期待したいと思います。 次に、マニフェストプラス39についてお伺いします。 2023年の知事選に当たり、知事は、いわて県民計画(2019~2028)とマニフェストプラス39を掲げ選挙に臨まれました。人口減少対策や産業振興、子育て支援など、これまでのいわて県民計画(2019~2028)の具体策として39項目の施策を取り上げ、その実現に当たっては、議会での質疑や当局の検討を経て、毎年度の予算編成の中で随時実行されてきたものと思います。 来年度の予算編成においては、マニフェストプラス39はどのように具現化されていくのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) マニフェストプラス39の各項目に関連する施策については、いわて県民計画(2019~2028)やアクションプランの具体的な施策として、関連する事業等を予算化し、執行しております。 令和8年度当初予算案においては、マニフェストプラス39に関連する子育て支援策、いじめ・不登校対策、中小企業振興、移住・定住施策など、幅広く既存事業の拡充を図ったほか、さらなる新規事業についても盛り込んでおります。 施設整備においても、中山の園の整備に係る基本設計、実施設計等の経費のほか、県立職業能力開発施設再編整備基本計画の策定に向けた経費を計上するなど、その熟度に応じて令和8年度当初予算案に盛り込んでおります。 また、県議会議員の皆様に提供している資料では、各項目に関連する取り組み状況を便宜的に、既に順次実施、事業に着手、具体の検討の三つの区分に整理しておりますが、今回、リハビリテーションセンターのサテライト施設の整備に関し、県立釜石病院にいわてリハビリテーションセンターと連携した回復期リハビリテーション病棟の整備を公表したことから、事業に着手の段階に整理するなど、それぞれ取り組みを進めております。 〇40番(工藤大輔君) それでは次に、進捗がおくれている具体的な検討に区分されている3項目についてお伺いします。 スポーツ医・科学センターの建設についてでありますが、現在のスポーツ医・科学サポート事業は、パフォーマンス測定、分析、トレーニング支援などの専門的なサポートを行うとともに、幅広い年代の県民の健康増進や体力の維持、向上などのライフパフォーマンスに大きく寄与しております。 どのような機能を持った施設としてこれから設置しようとしているのか、整備に向けたスケジュールとあわせてお伺いします。 また、整備に当たっては、県営体育館と県勤労身体障がい者体育館との統合が検討されていることから、スポーツ医・科学センターと一体での整備が効果的だと考えますが、見解をお伺いします。 〇知事(達増拓也君) スポーツ医・科学の知見を広く県民に還元し、県民のスポーツ、健康づくり活動をサポートするための研究、分析、情報発信の拠点であるスポーツ医・科学センターについては、現在、有識者懇談会を設け、センターが担う機能や必要な規模等を検討しており、現在のセンターが有する競技力向上と健康づくり支援の二つの機能を維持しつつ、さらに、ハイパフォーマンススポーツセンター等との連携や、スポーツデータを活用したアセスメント機能の強化、人材育成機能の充実を図る方向で進めています。 整備に当たっては、施設、設備の共用化による相乗効果や整備費、運営経費の面からも効果的であることから、議員御提案の県営体育館と県勤労身体障がい者体育館の集約化と一体で整備することも検討しております。 来年度の早いうちにスポーツ医・科学センター整備の基本的方向性をまとめるよう、有識者懇談会で意見を伺うこととしております。 〇40番(工藤大輔君) 一定の方向性を示していただきました。追加してお伺いしたいのですけれども、全国では、アリーナを核としたまちづくりが進んでいます。スポーツイベントに限らず、コンサートや国際会議など、多様な目的で利用されるアリーナとしての建設について、知事はどのようにお考えかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) アリーナにつきましては、県内の経済団体からも提案いただいており、また、各県でさまざまな形でアリーナの建築やその運用が進んでいるところであり、岩手県としても、関係者と意見を共有しながら検討していきたいと思います。 〇40番(工藤大輔君) ぜひその方向で検討していただきたいと思います。 次に、三陸沖における再生可能エネルギーの推進についてお伺いします。 県はこれまで、浮体式洋上風力発電の導入可能性が高い久慈市とともに、漁業者と発電事業者が共生できるよう検討、協議することとし、海域を利用する関係団体を訪問し合意形成に向けて取り組んできたと認識しておりますが、久慈市沖の準備区域から有望区域の整理に向けた取り組みについてお伺いします。 あわせて、洋野町沖と野田村から宮古市までの海域での方向性についてもお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 現在策定中の第3期岩手県海洋エネルギー関連産業創出ビジョンでは、洋上風力発電について、2040年までに1ギガワットの案件形成を図ることなどを目標に掲げ、取り組んでおります。 この実現に向け、まず、久慈市沖については、漁業影響の把握方法等を協議するため、法定協議会の設置前に、新たに漁業者団体との意見交換会を設置するよう調整を進めており、早期に次の段階の有望区域に整理されるよう取り組んでまいります。 また、洋野町沖については、着床式の洋上風力発電の導入に向けて、発電事業者からヒアリングを行うとともに、漁業協調のあり方等について検討を進めるほか、野田村沖から宮古市沖についても、浮体式洋上風力発電の実証フィールドとして有望であることから、関係市町村を対象とした勉強会等を通じ、実現に結びつけてまいります。 このような案件形成を着実に進めることで、洋上風力発電の安定した市場が形成され、県内外の投資やすぐれた技術を呼び込むことが期待されますので、引き続き関係市町村と連携しながら取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) 以前と比べまして漁業者からの理解が深まってきているという声を久慈市からも聞いておりますし、以前と環境は変わってきたと思います。精力的にこれに取り組んでいただき、一つの大きな産業として実現するよう、取り組みを加速するよう要望したいと思います。 次に、三陸振興を総合的にプロデュースするまちづくり会社の設立についてお伺いします。 まちづくり会社は、行政が持つ公共性と民間が持つ経営力や機動性を用いて、地域の人材や資源を生かしながら、地域に根差したビジネスの創出を目指し、地域活性化の切り札として各地で設立され、紫波町の株式会社オガールは、成功事例として全国から注目を集めております。 三陸の美しい海岸線は三陸復興国立公園に指定されており、三陸ジオパーク、みちのく潮風トレイルを初め、食や伝統文化など有形無形のコンテンツがあります。 三陸振興を総合的にプロデュースし、今までにない手法で開発を手がけるまちづくり会社の設立に期待を寄せておりますが、どのような機能を持たせ事業を展開していくのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 三陸地域は、豊かな自然環境や文化、伝統など地域振興に資する事業のシーズが数多く存在しており、これらを活用して広域的な展開を図る事業主体が必要であることから、民間企業的手法も取り入れながら三陸振興を総合的にプロデュースする体制として、公益財団法人さんりく基金三陸DMOセンターの役割をさらに発展させる方向で検討を進めているところです。 具体的には、みちのく潮風トレイルや防災学習等の広域観光事業を中核に位置づけ、三陸DMOセンターが効果的に収益事業等を展開していくため、公益財団法人さんりく基金の目的、事業内容、主たる事業所の位置などを変更し、現在よりもさらに発展、強化させた体制となるよう、早期に所要の準備を進めたいと考えております。 県とさんりく基金が緊密に連携した復興後の三陸地域の魅力を高めるための体制整備によりまして、持続的に発展する三陸地域の創造に取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) まちづくり会社ということで、これは全国でもよく取り組まれている事例の中では、民間企業のような形で、まず会社形式にし、例えば県も出資し、該当する市町村からも企業からも出資してもらいながらの経営基盤で運営していたり、その中には、収益事業として不動産事業があったり、また、エリアマネジメント、イベントや情報発信、テナントの誘致などといった取り組み事例が多いのだと思います。 まさに稼ぐ力を大事にしながらの取り組み事例が多いのですけれども、今回のマニフェストの中には、地域密着型のデベロッパーという言葉があります。これが意図するところはどういったものか。一般的にデベロッパーというと開発事業をやるということですけれども、知事は、この点についてどのような認識を持ってマニフェストに記述したのか、お伺いします。 〇知事(達増拓也君) まず、民間企業的手法により事業展開を目指す新たなまちづくり会社の設立を検討いたしましたが、昨今の社会環境や経済情勢を踏まえますと、黒字の継続的な確保や株主への配当責任といった株式会社として果たすべき機能を発現させることは容易ではなく、民間企業として新たに組織を設立するのではなく、さんりく基金において、収益事業を中核事業の中に位置づけ事業展開を図ることを検討しております。 地域におけるデベロッパー―開発をしていく主体ということでございますけれども、他の民間企業の仕事を奪ったりすることがないような形で、そのすき間を埋めていくような総合的な調整、そして、今まで岩手県沿岸で進めてまいりました復興も、いわば災害後の地域の開発、SDGsでいうところの持続可能な開発、そうした意味での復興の延長としての開発を行う主体として検討しております。 〇40番(工藤大輔君) 私は、最初に知事のマニフェストを見たときに、もう少し大きなことを考えているのだと捉えたのです。恐らく多くの方々もそうではないかと思います。しかも、三陸全体を総合的にプロデュースするということは、長い海岸線を持つ本県の三陸、総合的にと言ったときに、三陸DMOセンターの機能をどこまで強化すればそれに見合う活動ができるかというところ、これはまさに詰めて考えていかなければならないと思います。 新しい形のものを検討されているということですが、もう少し何か踏み込んでお答えできるものがあれば、お願いしたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 物価高騰が続いておりまして、今、既存のさまざまな民間企業でも、倒産や民事再生がふえているところであります。他方、今、岩手県沿岸地域には、震災前にはなかったような会社が、地域の観光、また産業の振興を進めながら発展している民間企業でありますとか、地域の団体といったものがどんどんできているところでもあります。 こうした発展している地域内の企業や団体と連携しながら、岩手県沿岸地域全体の発展の司令塔役を果たせるようなものを検討しているところであります。 〇40番(工藤大輔君) これは、マニフェストプラス39をつくった当時と現在と余り変わらないと思うのです。恐らくこれは、選挙戦の際には、そのような認識で捉えていなかった方が多いのではないかということを指摘したいと思います。 次に、マニフェストプラス39の進捗と達成状況についてお伺いします。 我々の任期も残り1年半となり、知事の当初予算案の編成も残りあと1回となります。政策企画部がまとめた令和8年度当初予算におけるマニフェストプラス39関連の事業についてにおいて、進捗は示されておりますが、マニフェストプラス39を作成した知事御自身は、現在までの進捗と達成状況をどのように見ているのでしょうか、お伺いします。 〇知事(達増拓也君) マニフェストプラス39の各項目に関連する事業の取り組み状況については、県議会での質問に対する答弁、県議会議員の皆様への資料の提供などによりお示ししているところであります。 関連する個々の事業については、その進捗状況に応じて、個別の事業計画により見通しを示す、あるいは予算化する事業については予算案の形で示す、また、事業実施年度の翌年度には、政策評価等により評価結果や進捗等を公表しているところであります。 先ほども答弁したところでございますけれども、県議会議員の皆様に提供した資料で、既に順次実施、事業に着手、具体の検討の三つの区分に整理した表にまとめているところでありますが、いずれの項目も何らかの形で実行に移し、着実に取り組みを進めております。 〇40番(工藤大輔君) 私は、知事が当初つくったマニフェストプラス39と、現在、県が進めている事業に少し違いがあるのではないかと感じております。 例えば、先ほどの再生可能エネルギーのことですけれども、再生可能エネルギーの事業導入を進めるために必要な港湾事業を整備しますというような記述があるのですが、実際は、そのための事業は全く検討されていないのではないかとも思います。 また、市町村に必要な人材を送り出すという観点で、県が一括で採用して、人事管理等も共同でやるということもマニフェストの中に記述があるのですけれども、実際は、県と市町村の給与水準が違ったり、退職金はどちらが払うのかという問題もあったり、内容が詰められていないのが現状だと思います。そして、実際にこれをやるのは、かなり難しいのではないかとも感じております。 このようなものがある中で、一つでも事業実施していれば実施中のような扱いで取り扱われているわけでありますが、先ほど言ったように、我々の残り任期も少なくなってきたので、県民の方々に、より正しく事業の進捗がわかるような形で評価を、例えば、実施あるいは一部実施、今実施中、今検討中とか、もう少しわかりやすい形での区分に置きかえて評価したほうが、より現実を正しく理解できるのではないかと思います。その点について、知事、何か考えがあればお伺いします。 〇知事(達増拓也君) まず、久慈市沖の洋上風力発電に関連し、有望区域に整理されることを視野に入れまして、久慈港の整備計画については、担当のところで関係の皆さんとともに検討を進めているところであります。 そして、市町村の人材確保につきましても、合同での募集や、また、県で採用している森林関係、福祉関係の人材を市町村に派遣するなど、市町村と調整をしながら、さまざまな形で市町村の人材不足を県と一緒に解決することに取り組んでいるところであります。 マニフェストプラス39は、選挙において、選挙の中で議論を進め、有権者の皆さんに投票していただくための資料として発信したものでありまして、その後、このマニフェストプラス39の内容について、これを専門的な観点からの意見、さまざまな審議会や関係の委員会が設けられているものについては、それに諮る必要がありますし、また、法令や県の計画に沿って進めていかなければならないものもあります。 県民とともに、県民が力を合わせて県の政策を推進していくのが地方自治の基本でありますので、任期が始まってから、そのような形でマニフェストプラス39に関連するさまざまな事業に取り組んでいるところであります。 その内容については、直接関係している県民の皆さんからすれば、それはよく見えているのですけれども、そうでないとわかりにくいというのは、確かに御指摘のとおりだと思います。それをどういう資料の形で整理するのかどうか。 ただ、これは選挙のときに政治家個人として公約として発信したものの評価という政治的な政務としてやることではなく、あくまで今の県行政が行っている事業の整理の仕方を行政として行ってほしいということだと受けとめておりますので、県の担当の中で検討させたいと思います。 〇40番(工藤大輔君) 行政上の評価は行政の側で知事のマニフェストを見て進めるということですが、かなり難しいものがあって、職員の方々は、必死にこのマニフェストに合わせる、知事の思いに応えようと必死にやっているのですが、現実的になかなかできないものがあるということで、この評価も、一つでも実施していれば、既に順次実施という形になっています。 言葉としても、既に順次実施というのは、もう実施中ということです。既に順次実施ですから、捉え方からすれば、全部やっていますということなのですが、一つでもやっていればこれに区分するということは、私は適当ではないと思います。先ほど申し上げましたとおり、より実態がわかり、そして、県民の方が評価できるような区分を再設定して、この評価をしていただきたいと思います。 私は、行政の方が評価するものと、政治家の知事として、マニフェストをつくって、その実効性がどうか、達成度がどうかということを評価するのは別問題だと思っております。やはり、みずからつくったマニフェストは、より厳しく評価されるべきだと思いますので、これは申し上げたいと思います。 次に、起業とスタートアップの支援等についてお伺いしたいと思います。 知事は、1月5日の年頭の知事訓示で、シンガポールのベンチャーキャピタルと連携し、盛岡市で国際会議を開催するとともに、起業家や投資家のためのアカデミーの開設を進め、スタートアップ・エコシステムの構築を目指すと述べられました。 先端産業の育成や経済成長の好循環を生み出すスタートアップを新たな産業振興の成長エンジンと位置づけ、伴走支援や岩手県で起業する外国人への支援を行えるよう、いわてスタートアップ推進プラットフォームの機能を強化すべきと考えます。 海外ベンチャーキャピタルとの連携したスタートアップ・エコシステムの構築に向け、どのような戦略を描き取り組んでいくのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 県は、いわてスタートアップ推進プラットフォームにおいて、構成団体による起業家育成セミナーなどの取り組みにより、次のスタートアップ候補となる起業家の支援に取り組んでまいりました。 これまでのプラットホームに加え、来年度は、海外ベンチャーキャピタル、インシグニア・ベンチャーズ・パートナーズと連携した国際スタートアップカンファレンスの開催などにより、スタートアップ候補者が岩手県に集い、国内外からの投資を呼び込む枠組みを創設し、さらに、同社が開設を計画しているアカデミーによる成長支援を組み合わせ、岩手の地でスタートアップが国境や県境を越えた成長資金の調達や事業拡大を実現できるよう取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) 次に、大学発ベンチャーの起業支援についてお伺いします。 2024年度に全国で起業した大学発ベンチャー数は5、074社で、前年より796社ふえるなど右肩上がりで推移しています。 経済産業省の2024年の調査では、県内大学のベンチャー企業は15社と、47都道府県で37位の状況でありました。 東京都では、スタートアップの創出やスタートアップの裾野拡大を目指し、研究シーズやアイデア等の事業化をサポートする大学発スタートアップ創出支援事業を開始し、大学の取り組みを支援しています。 大学で学び得た研究成果を起業させ、岩手県から社会的使命を果たす若者や企業を育成させるため、紹介させていただいたような大学発ベンチャーの起業支援が展開できないのか、お伺いします。 〇知事(達増拓也君) 県ではこれまで、大学生等を対象に起業意識醸成のための人材育成プログラムを実施し、大学等の有する技術シーズを活用した研究開発に開発費等の支援を行い、大学発ベンチャーの支援を行ってまいりました。 この研究開発支援を活用した県内の大学発ベンチャー企業が、東北地域から飛躍的な成長が期待されるスタートアップを選定するJ-Startup TOHOKUに選ばれるなど、県の取り組みが企業の成長につながっているものと考えています。 引き続き、これらの取り組みを進めるとともに、来年度から実施する海外ベンチャーキャピタルと連携したスタートアップ支援と組み合わせながら、さらに大学発ベンチャーの成長を支援してまいります。 〇40番(工藤大輔君) 確かに、今、知事から御紹介あった企業は、岩手大学での実績を持って大きな認定をされたということで、期待するところでもあります。さらなる取り組みを要望したいと思います。 次に、国際戦略、海外展開についてお伺いします。 本県の海外展開は、いわて国際戦略ビジョン(2024~2028)に基づき各種事業を展開しています。知事は、昨年2度にわたる北米でのトップセールスで、農林水産物や日本酒等の地場産品の輸出拡大に向け、現地量販店でのフェアや在外公館と連携したプロモーション等を開催するなど、インバウンドに向けた活動をしてまいりました。 来年度はどの地域をターゲットとし、どのような海外展開の取り組みを予定しているのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 本県では、海外展開施策の基本方針であるいわて国際戦略ビジョン(2024~2028)に基づき、地場産品の輸出拡大や外国人宿泊者数の増加等の成果につなげてまいりました。 来年度は、北米等における販路等の一層の拡充を図るため、バイヤー招聘等を実施するほか、成長が見込まれるタイ、シンガポールをターゲットとしてトップセールスを実施する考えです。 インバウンドの誘致についても、宿泊者数が増加しているASEAN市場をターゲットとして、タイでの旅行博出展や現地の旅行会社への訪問等を行い、さらなる需要開拓を図ります。 また、シンガポールのベンチャーキャピタルとの連携などの新しい動きもありますので、ビジョンの見直しにも着手する必要があると考えており、こうした取り組みを通じて、世界に開かれた地方創生の推進に取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) 2024年の県産品の輸出額は、岩手県貿易等実態調査によると、農林水産物、加工食品、工芸品、食品等、5年前と比較してそれぞれ約2倍の増加となっております。一方、水産物は、2019年比で半減しています。 県産品の輸出額については、令和8年度に78億円の輸出目標を掲げておりますが、水産物を初めとする県産品の輸出促進にどう取り組むのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 令和6年の県産品の輸出実績は、ALPS処理水の海洋放出に伴う中国による日本産水産物の輸入停止措置や、主要魚種の不漁などにより、水産物が令和5年の約15億円から約9億円へと減少しましたが、農林産物が約32億円から38億円に、加工食品、工芸品が約9億円から14億円へと増加し、県産品全体の輸出額は約56億円から約61億円に増加しております。 水産物の輸出促進に向けては、中国への早期の輸出再開に向けた国への働きかけを継続し、主要魚種の資源回復などの水産業再生に向けた取り組みや輸出先の多角化を進めてまいります。 また、日本の農林水産物や加工食品に対するニーズの高まりを背景に、いわて国際戦略ビジョン(2024~2028)において、高い効果が期待できる東南アジアや北米などを重点地域と定め、戦略的にトップセールスやバイヤー招聘などに取り組み、岩手県の認知度やブランド力が高まってきているところであり、強化されたネットワークも生かして、さらなる輸出促進を図ってまいります。 〇40番(工藤大輔君) 輸出の促進に当たっては産地の強化も必要だと思います。農林水産省では、フラッグシップ輸出産地を認定し、国内外への情報発信や補助金の優先採択、海外バイヤーの招聘などを通じて輸出拡大の支援をしています。 県内でも、牛肉、鶏肉、卵、花卉の分野で認定を受けており、そういったノウハウを横展開し、モデルを構築しながら輸出に取り組む産地の育成を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 〇知事(達増拓也君) フラッグシップ輸出産地は、輸出に継続的に取り組み、輸出の取り組みのお手本として令和6年度から国が認定を開始したもので、全国で108の産地が認定されています。 県内では、鶏肉を対象品目としたコンソーシアムと、牛肉を対象品目とし県が事務局を務めるいわて農林水産物国際流通促進協議会・牛肉輸出拡大コンソーシアムの2団体が認定されています。 認定を受けた産地は、生産から加工、流通、輸出まで一貫したサプライチェーンを構築し、継続的、安定的に輸出に取り組んでいることが評価されたと承知しており、こうした産地の取り組みを国際流通促進協議会等の場で周知し、新たに輸出に取り組む産地づくりを進め、県産農林水産物のさらなる輸出拡大に取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) 産地形成にも一層の努力をよろしくお願いしたいと思います。 次に、インドとの連携についてお伺いします。 県では、昨年末、駐日インド大使館において印日パートナーシップ:岩手を開催し、半導体産業が集積する本県との連携を始めようとしておりますが、インドとの幅広い連携は、本県の課題解決の一助になる可能性を有しています。 どのような連携、協力を模索しているのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) インドは、日本にとって最重要国の一つであり、昨年8月の日印首脳会談では、幅広い分野での連携強化が確認され、同時に開催された全国知事会とモディ首相との懇談会には、私を含む16名の知事が出席し、日印自治体相互の交流の一層の促進について、直接意見交換を行いました。 両国の関係強化を追い風として、昨年12月、駐日インド大使館において印日パートナーシップ:岩手―岩手デイを行い、ナグマ・モハメド・マリック大使と、今後の交流拡大に向けた相互の連携協力について意見の一致を見ることができました。 また、インド側の関心が高い半導体分野において、ことし1月、北上市のI-SPARK―いわて半導体関連人材育成施設でインドの指導者向けの研修が行われました。人材育成に関する交流が始まっております。 来年度は、半導体関連分野の交流促進を機軸とした知事の訪印を行い、インド政府や地方政府、大学や研究機関等とのネットワークの構築を行うこととしております。 こうした取り組みを通じ、県内産業への好影響につながるよう努め、岩手県とインドの連携が一層強化されるよう取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) インドの経済成長はすごい勢いのものがあります。インドの大学等との連携は、高度人材獲得に向けた可能性も広がると思います。連携も深めながら、岩手県の課題の克服にも努めていただきたいと思います。 農林水産業の関係については1点、水産業の質問だけにしたいと思います。 水産業の振興についてでありますか、サケ等の主要魚種の不漁が続く中で、海洋環境の変化に左右されにくいサーモン養殖は、本県水産業の重要な成長分野であります。令和元年度に試験養殖が開始されて以来、事業が拡大化され、現在では全国有数の産地へと成長しています。 今後、生産拡大を進めながら競争力を高めるには、付加価値の向上が不可欠であり、先行する宮城県のようなみやぎサーモンとしての統一ブランド、品質基準、販売戦略など、県外市場での認知度を高める取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。 また、作業負担の軽減を図るなど省力化の取り組みも必要かと思いますが、本県サーモン養殖の競争力強化に向け、どのように取り組むかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 県内ではサーモン養殖の取り組みが拡大し、全国有数の産地となっており、さらなる生産拡大に向けては、他産地との差別化や作業の省力化等が重要であります。 県では、県産サーモンの知名度向上や消費拡大に向け、県内の量販店等と連携したフェアの開催や商品開発などに取り組むとともに、生産、加工、流通分野の関係者で設置したいわて水産連携推進会議での意見交換等を踏まえ、県統一のキャッチフレーズを決定し、来月、首都圏量販店でPRを行います。 作業の効率化や品質の安定化に向けては、ギンザケの種卵の量産化を実現したほか、ICTを活用した効率的な種苗生産の実証に取り組んでいます。 さらに、令和8年度当初予算案には、ロゴマークの作成や県外イベントでのPR、自動給餌機等の導入への支援に要する経費を盛り込んだところであり、本県サーモン養殖の競争力強化に向け、漁業者等と連携しながら積極的に取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) よろしくお願いしたいと思います。 それでは、最後に医療についてお伺いしたいと思います。地域医療構想については飛ばしたいと思います。 医療DXの推進についてでありますが、オンライン診療は、近年の診療報酬の改定で情報通信機器を用いた診療の評価が見直され、時限的な特例から恒久的な診療形態となりました。 全国では、遠隔診療や電子カルテの連携、看護師同席型のオンライン診療など、医療DXを活用した新しい医療提供モデルの実装段階が進んでおります。また、八幡平市においても、医療アクセスを補完する取り組みが始まっています。 遠隔診療は、介護や育児中でも継続的な診療を受けやすくなるほか、慢性疾患を持つ患者などが遠隔地から専門医の診療を受けられるなど、診療応援での移動時間を減らし、新たな診療時間の確保ができるなど、医療格差の是正にもつながります。 県内のオンライン診療に係る施設基準の届け出医療機関の現状を踏まえ、今後どのように取り組むのかお伺いします。 〇知事(達増拓也君) 医療資源の地域格差の解消に取り組むために、限られた医療資源を有効活用しながら、対面診療を補完する遠隔地からの診療連携体制の強化は、特に県土が広い本県においては重要な視点であります。 県では、遠隔診療を推進し、オンライン診療に必要な設備整備の支援等に取り組んでいるところであり、オンライン診療の施設基準を届け出た県内の医療機関は、施設基準が新設された令和4年4月時点の21施設から、令和7年12月時点で109施設と着実に増加しています。 令和8年度当初予算案においても、遠隔医療設備整備費補助を盛り込んだところであり、引き続き、県内でオンライン診療に取り組む医療機関の設備整備を支援し、住みなれた地域で安心して質の高い医療を受けられる体制の構築に取り組んでまいります。 〇40番(工藤大輔君) 最後となりますけれども、意見として、これから新たな医療構想の作成に入っていくわけでありますが、ぜひ、本県の実情を踏まえて、地域格差を生まない医療提供体制の構想となることを強く求め、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。(拍手) 〇副議長(佐々木努君) 以上をもって工藤大輔君の一般質問を終わります。 次に、飯澤匡君。 〔47番飯澤匡君登壇〕(拍手) |
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