| 令和7年12月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録 |
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〇7番(松本雄士君) 自由民主党の松本雄士です。このたび一般質問の機会を与えてくださいました皆様に感謝申し上げ、通告に従いまして、順次質問させていただきます。
まず初めに、農業振興について伺います。 農業における最大の課題、ひいては食料安全保障上の最大の課題は担い手の確保です。稼げる農業、農業所得がしっかりと確保でき、先を見通せる農業の形をつくって見せていくことが、何よりも担い手確保に大切であります。 そして、その基礎となる生産基盤の強化による生産性の向上や産地づくり、試験研究等を力強く推進していく上でも、本年7月に策定されたいわて農業生産強化ビジョンについては、本県、ひいては我が国の農業が大きな転換期にあるときに、幅広く関係者の意見を聞いてまとめた大変意義あるものと認識しています。 以上に基づいて岩手県の農業の生産強化に向けた取り組みが進められていくこととなりますが、ビジョンの取り組みに対し、不断に向き合い、見直していくところに本当の価値があると考えます。 〔議長退席、副議長着席〕 ついては、多角的、総合的に検証を深め、さらなる政策立案、実践につなげていくためにも、年度ごとの指標達成状況等のみならず、岩手県農政審議会の各部会等において、期中における取り組み状況等を踏まえた協議の場を設定するほか、当該ビジョン策定に当たり、幅広く意見交換した組織、団体の実施する会議等も有効に活用しながら、第三者的な評価について、適時性をもって実施し、早目のてこ入れや予算配分の見直しなど、その実効性の確保を図っていくべきと考えますが、県の見解を伺います。 次に、農業共同利用施設の再編整備について伺います。 このことについては、ビジョンの中で複数箇所に記載されるなど重点事項の一つであります。農業共同利用施設は、農産物を川上から川下までつなぐ農産物流通におけるインフラであり、非常に重要な役割を果たしているものと認識しています。 農業協同組合だけでも、その所有する農業共同利用施設は県内に174あり、このうち約7割の施設が30年以上経過し老朽化がかなり進んでいますが、現在、国の事業を活用して再編整備を予定している件数は22件です。また、再編計画があるといっても、その検討の熟度を高めていかなければならず、早目の検討促進への支援が欠かせない状況です。 また、現場では、再編、合理化の検討や事業申請のノウハウが不足しているほか、施設の再編、合理化には、産地及び農業団体等の経営的見通しを巻き込んだ検討が不可欠となります。 農業構造転換集中対策期間は、新たな食料・農業・農村基本計画に基づき2025年から2029年までの5年間とされています。その後期に向け、合意形成に時間を要する再編集約の割合がふえていくことが想定されています。 農業団体等が検討を具体化するための情報提供や早期の支援強化が必要と考えますが、具体的にどのように促し、再編整備を支援していくのか伺います。 また、さきの決算特別委員会での質疑において、農業共同利用施設の再編整備に係る県の上乗せ助成について、来年度当初予算編成に向けて対応を検討していくとのことでしたが、具体的にどのような検討がなされているのか伺います。 この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。 〔7番松本雄士君質問席に移動〕 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 松本雄士議員の御質問にお答え申し上げます。 いわて農業生産強化ビジョンについてでありますが、本ビジョンは、岩手県農政審議会、県内全ての市町村や農業協同組合長に加え、消費者団体や中小企業団体、若者、女性、県内外の大学生との意見交換を重ね、多くの意見をいただき、共通理解を図りながら策定したところであり、このことが本ビジョンの特徴の一つでもあります。 ビジョンの推進に当たっても、基本的な考え方として、策定過程と同様、定期的な意見交換を通じた県と市町村、農業団体等との一層の連携強化をビジョンに明記したところです。 こうした考えのもと、政策評価システムに基づく進捗管理に加え、県農政審議会等において指標の進捗状況や成果、課題などを共有し、さらに必要な対策の追加や見直しを行いながらビジョンに基づく施策を着実に推進し、その実効性を高めていくこととしており、県、市町村、関係団体、生産者など、あらゆる主体が一体となって目指す姿や農業生産の目標の実現に向け取り組んでまいります。 その他のお尋ねにつきましては、農林水産部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕 〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、農業共同利用施設についてでありますが、現在、国事業を活用し共同利用施設の再編集約、合理化を予定している施設、22施設を見ますと、施設の規模や地域の合意形成の進捗状況などが異なっており、事業実施予定年度も踏まえ、事業申請に向け計画的に検討を進める必要があります。 今年度の当該事業の申請に当たっては、成果目標の設定や事業計画の作成に時間を要していたことから、県では、申請手続に関する助言や東北農政局との調整に加え、農林水産省本省との意見交換を実施し事業採択につなげたところです。 こうしたノウハウを生かし、今後、事業実施を予定している農協や市町村等に対し個別相談を実施するほか、来年1月、成果目標設定のポイントや事務手続等に関する研修会を開催する予定です。 こうした取り組みにより、国への事業申請に向けた農協等の検討が円滑に進み、国の農業構造転換集中対策期間内に着実に事業実施できるよう支援してまいります。 次に、県の上乗せ助成についてでありますが、県内の施設の老朽化の状況を踏まえると、共同利用施設の再編集約、合理化を支援する国事業における県の上乗せ助成については、相当な額になると見込まれますことから、県では、先月も国に対し、地方財政措置を充実させるよう要望するなど繰り返し働きかけを行っています。 先般、閣議決定された令和7年度補正予算案では、補助率を6割から最大3の2まで引き上げることなどが示された一方、地方財政措置については明記されていないなど、依然詳細が不明であることから、国から情報収集するとともに、他県の状況を注視しながら、引き続き対応を検討してまいります。 〇7番(松本雄士君) 本ビジョンにつきましては、本当に幅広く、これまでになく意見を聞いて策定されたもので、本当によかったと思っています。さらに高みを目指していくために、不断の見直しに取り組んでいっていただきたいと思います。そこにおいては、やはり生産者自身とこのビジョンの取り組みにギャップが生じていないかといったところを常に気をつけながら、進めていっていただきたいと思っております。 そして、共同利用施設でありますけれども、今、建築コストが非常に高騰している中、県の上乗せ助成は、再編整備しようとしている団体にあってはインセンティブが大きいところがあります。ただ、財政負担になるというところもわかるわけでございますが、この5年間が、岩手県の農業の生産基盤を確固たるものにしていく上で非常に重要な5年でありますので、事業申請の研修会や情報提供をやっていただくのは本当にありがたいですし、そういうものもやっていただきながら、助成のところを引き続き検討していっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、県産食材の輸出促進について伺います。 北米等へのトップセールスは、この短い期間に連続して行われ、市場としての期待の高さがうかがわれるものです。一方、県が出資している食肉加工、流通業者は、いわて牛を世界に広めるきっかけをつくるため、人件費の一部を負担し、カナダの現地小売業者に令和4年4月から、食肉加工、販売統括の職員1名を派遣しておりましたが、現在、県とも連携して取り組んでいる輸出促進の取り組みにおいて、経営資源の配分に限界もある上、戦略性の不透明さにより、今後の取引拡大も見込めないといったことから、残念ながら、その職員1名を引き揚げる見込みであります。それによって、恐らくいわて牛という名称でカナダの小売で販売されていたものは、他県の国産牛肉に置きかえられてしまうだろうとのことでありました。 世界において、いわて牛という名称で販売してくれるところはほとんどございません。また、県内の農協においては、カナダ、アメリカへのリンゴ輸出について、昨年度から輸出がとまっているというか実績がゼロになっています。 知事は、トップセールス後のメッセージにおいて、県産食材の消費拡大に向けた手応えを感じたと発信されていますが、この現状をどう受けとめ、そして、どのような支援が必要であると考えているのか伺います。 〇知事(達増拓也君) 県では、いわて国際戦略ビジョンにおいて、北米を県産農林水産物輸出の有望市場と位置づけ、輸出拡大に取り組み、令和6年度の米国、カナダへの牛肉の輸出額は、トップセールス実施前の令和3年度と比べ約2倍に増加しました。 一方、リンゴの輸出に取り組んできた農協では、令和5年度の凍霜害による国内需要の逼迫への対応のため、輸出を休止したと承知しています。 ことし9月に実施した北米でのトップセールスでは、現地事業者からの県産農林水産物への高い評価に加え、今回初めてフェアを開催した現地の飲食店グループに知事が直接働きかけた結果、いわて牛を使用したメニューの常時提供が決定するなど、大いに手応えを感じています。 今後も、事業者等の意向把握や輸出手続の助言を丁寧に行うとともに、県産農林水産物への高い評価や、これまでトップセールスで築いたネットワークを生かしながら、現地ニーズの把握、フェアの開催やバイヤーの産地招聘などフォローアップを継続して行い、輸出に取り組む事業者を支援してまいります。 〇7番(松本雄士君) 牛肉は、トップセールス前に比べてふえたのはふえたのですが、もともとの量ということもありますし、リンゴにつきましては、確かに凍霜害のこともありましたが、北米の検疫の関係であるとか輸出の難しさから、そこがとまっているという実態にあります。 トップセールスの華やかな報道の裏側では、携わっている事業者、団体の御苦労と御尽力がありますが、そこにはお金がかかっているわけであります。やはり宣伝、広告効果が得られるのかとか、先行投資といった経営判断をするときに、残念ながら、戦略性がないところで先が見通せなかったということが、最大の要因ではないかと考えております。 また、今お話にもありましたいわて国産戦略ビジョンにおいても、カナダにつきましては、リンゴ、牛肉はまず販売開拓、切り開いていくところで、その後の展開については余り明記がなっていない。やはりその後の戦略が必要であったものと考えております。 さらなる輸出拡大に取り組んでいくためには、これまでのイベント型の取り組みから、具体的に輸出先国の商流、物流に入り込んでいくための次のフェーズに進んでいかなければなりません。そのため、いわて農林水産物国際流通促進協議会を中心に協議し、重点市場をどこに絞り、商流、物流の現地パートナーや専門家と戦略策定、市場であったり顧客像、どういったところにターゲットを絞っていくのか、コア商材は何で、どのような差別化を図っていくのか、何よりも取扱高の目標をどう置いていくのか。そのための具体的なKPI―重要業績評価指標や、マイルストーン、サプライチェーンの構築といった戦略を検討していかなければならない。それが必要であると考えますが、今後の戦略について、どのように、いつまでに策定していくのか伺います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 県では、いわて国際戦略ビジョンに基づきまして、米、リンゴ、牛肉等を重点品目とし、日本食レストランが増加しているアジアや輸出額が上位の北米等をターゲットに、農林水産物の輸出拡大に取り組んでおります。 このビジョンに基づきまして、JAグループや金融機関、企業等で構成しますいわて農林水産物国際流通促進協議会では、毎年度、事業方針を定めておりまして、今年度は、米、リンゴ、牛肉を重点品目として輸出の取り組みを継続して進めますとともに、リスクヘッジの観点から、これまでの重点市場に加え、EU等の新たな有望市場において、販路開拓、拡大を進めていくこととしております。 具体的には、県が委嘱する海外市場に精通する農林水産物輸出コーディネーターから収集しました現地のマーケット事情やニーズ等を共有しますとともに、バイヤーの招聘や産地商談会の開催、トップセールスやフェアを継続して実施しております。 松本雄士議員から御提案のありました協議会を中心とした新たな戦略の策定につきましては、これまでの協議会での取り組みも踏まえまして、協議会の構成団体と意見交換してまいります。 〇7番(松本雄士君) 現地コーディネーターの方が当然詳しく、そこでニーズを把握して、どういった方針というのはこれまでもやっているところであります。やはり商流、物流に入っていくために、先ほどのように具体的に検討を進ませていっていただきたいと思います。そのためには、現地コーディネーターの方の意見は非常に重要で、現地への深い理解やそれに対応できる体制もあわせて検討していって、輸出促進に取り組んでいっていただきたいと思います。 次に、飼料高騰対策について伺います。 本県農業産出額においてかなりの割合を占める肉牛、酪農において、一般社団法人岩手県畜産協会の昨年度の調べによりますと、特にも肉用牛において、令和5年度に比して経営所得が大きく減少しマイナスになるなど、かなり厳しい状況にあり、その傾向は続いているとのことです。特にも繁殖、肥育で所得率がマイナスとなっています。前年比で、令和6年度は10ポイント以上所得率が下落している状況にあります。 さらなる生産性向上や外部支援組織、コントラクターやTMRセンターといった体制強化など、畜産経営の構造改革も進めていかなければなりませんが、餌の高どまりに対して農産物価格の上昇が追いついていないことが一番大きく、足元での激変緩和措置も継続的に必要な状況にあります。 令和6年度まで2カ年継続して配合飼料価格安定緊急対策費補助、トン当たり2、000が手当てされてきておりますが、令和7年度以降の県独自の支援の検討状況について伺います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 直近の配合資料の価格は低下傾向にありますものの、ことし9月現在の価格は高騰前の令和2年と比べて約4割高く、依然として畜産経営に大きな影響を与えております。 このため県では、配合飼料価格安定制度を所管します国に対し、配合飼料価格の高騰が続いた場合においても、畜産経営体の再生産が可能となる十分な補填金が交付されるよう、制度の拡充を繰り返し要望しております。 また、畜産経営体に対する負担軽減の支援策につきましては、重点支援地方交付金を活用して、速やかに予算化できるよう検討しますとともに、生産コストのさらなる低減に向けて、化学肥料の使用量を低減する堆肥等の活用や、先月共同宣言を行ったいわて飼料生産・利用行動指針に基づき、飼料基盤を積極的に活用した自給飼料の生産拡大を進めるなど、今後も畜産経営の安定が図られるように取り組んでまいります。 〇7番(松本雄士君) 重点支援地方交付金は今年度さらに拡充が見込まれておりまして、それで予算化を検討していただけるということでありますので、ぜひともよろしくお願いいたします。 また、山形県では実施しているのですが、今議論しているのは配合飼料でありまして、単味飼料のトウモロコシであったり小麦フスマ、大豆かすのような、ここも実は影響が大きくて、そういったところももし検討していただけるのであれば、ぜひともお願いしたいということであります。 次に進みます。中小企業支援について伺います。 賃上げ支援後の県内中小企業の経営状況についてでありますが、岩手県の企業倒産件数は近年増加傾向にあり、特に令和6年は76件と東日本大震災津波後最多を記録、令和6年度の倒産発生率は全国でワースト1位、令和7年に入っても倒産傾向は高どまりが続いております。 そのような中、最低賃金の大幅な引き上げと中小企業の窮状を踏まえ、今年度も補正予算により物価高騰対策賃上げ支援金27億円を措置するとのことです。令和5年度より累計で、予算ベースでありますが67億円という巨額がこれまでに手当てされてきておりますが、当該賃上げ支援の効果としては、一時的、緩和措置的側面が大きいと私は考えます。 中小企業の生産性、経営革新、適正な価格転嫁をより一層促していかなければ根本的解決にはつながりません。県の物価高騰対策賃上げ支援金は、事業継続と雇用の維持には有効であったと考えますが、当該支援後の県内中小企業の経営状況を県は定量的にどう捉えているのか伺います。 〇商工労働観光部長(箱石知義君) 県内の中小企業の経営状況を定量的に捉えるのは困難であり、また、賃上げ支援後の状況ではございませんけれども、例えば国税庁がことし4月に公表した国税庁統計法人税表をもとに、本県の令和5年度の状況を算出しますと、利益がマイナスとなっている法人の割合は66.6%となっており、これを注視していくことが必要と考えております。 本県が実施しているエネルギー価格、物価高騰等に伴う事業者への影響調査における経営課題について、本年8月末時点でのトップは、原料、資材高騰への対応で、その回答割合は50.8%となっております。 この調査を物価高騰対策賃上げ支援金実施前の令和5年11月末時点と比較すると、賃金の引き上げが29.5%から44.9%、人材確保が35.5%から47.1%と、この二つはいずれも10ポイントを超える大幅な増加となっております。 このようなことから、県内の中小企業は、物価高騰への対応に加え、最低賃金の上昇に伴う防衛的賃上げや人材確保などのさまざまな課題への対応に迫られており、依然として厳しい経営環境にあるものと認識しております。 〇7番(松本雄士君) 定量的に捉えるのは難しいということですが、いろいろなデータがあるのだと思います。冒頭に話しましたけれども、倒産件数と倒産発生率は非常に高い。当然その裏づけとなっているようなデータを捉えて、しっかり注視していっていただきたいわけであります。 今後も、いろいろコストプッシュ型のインフレが続いていく中で賃上げが継続していくことが想定されますが、当該支援金、物価高騰対策賃上げ支援金に持続可能性はあるのかお伺いいたします。 〇商工労働観光部長(箱石知義君) 企業の賃上げ原資の確保につきましては、やはり生産性向上と価格転嫁の取り組みが大変重要と考えております。 一方で、こうした効果をすぐに発現させることがなかなか困難な状況でもございますので、その効果発現までの間、賃上げ原資の支援金によりまして、企業の経営、そして雇用の維持を支えていく施策の必要があると考えております。 〇7番(松本雄士君) 今の答弁のとおりだと思います。ただ、この3カ年で67億円という巨額が費やされ、また、それをどこまで続けていけるのかといったところは、非常に難しい問題でありますけれども、バランスの問題かとも思っております。 本年のノーベル経済学賞は、技術革新と創造的破壊が経済成長に果たす役割を解明したとして、3名の方に授与されています。歴史的には、長らく経済停滞が常態であったのに、産業革命以降、成長が常態化した、そのことを理論的に説明したものであります。その論文は、30年以上前のものが中核となっております。 我々が現在選択している資本主義の成長の本質は創造と破壊であり、動的均衡であると説明されております。成長率はイノベーションの数とその質の掛け算であると。その成長の結果としての賃上げであると私は解釈しています。 また、その論文では、適正な新陳代謝を促進していくために、国、行政は制度設計者になれるということ、さらには、内発的に創造は生み出せるということ。伴っての社会保障の必要性が言及されております。無秩序な創造と破壊を推奨しているものでは決してありません。 今申し上げたことからも、物価高騰対策賃上げ支援金のような緩和措置的な施策に巨額を投じておりますが、生産性向上や経営革新、スタートアップ支援といった本質的成長を促す施策にもっと注力していくべきであります。 限りある財源でありまして、財源の戦略的な再配分を考えていくべきであり、物価高騰対策賃上げ支援の財源バランスを見直すなどして、中小企業の経営革新計画の策定に貢献している商工指導団体の経営指導員の処遇改善を図ることはもとより、起業、スタートアップ支援、いわて戦略的DX・GX等研究開発推進事業、そのほかにも、いわて起業家育成資金に利子補給や保証料負担もしております。そういった支援をもっともっと厚くしていくべきと考えますが、見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) 本県経済の持続的な成長に向け、長期的な視点に立って、新たな価値、サービスの創造など先導的な取り組みを進めていくことが重要であり、県ではこれまで、新しい時代を切り拓くプロジェクトにより、新しい技術を用いたさまざまな取り組みを進めるなどしております。 また、中小企業の生産性向上や適正な価格転嫁の促進に向けた取り組みや、それを支援する商工指導団体の経営指導員の処遇改善、起業、スタートアップ支援や大学等の技術シーズを活用した製品化、事業化の支援の強化は、いずれも本県の地域経済を支える中小企業の発展に不可欠な取り組みであります。 一方、中小企業の生産性向上の取り組みの効果は、発現までに時間を要するとともに、価格転嫁をすぐに進めることが困難な事業者もあることから、ここ数年、最低賃金の大幅な引き上げが行われる中、防衛的な賃上げに対応する物価高騰対策賃上げ支援金は、当面の事業継続と雇用の維持に有効であるものと認識しております。 今後においても、刻々と変化する経済情勢や国の動向も踏まえ、限りある財源の効果的、効率的な予算編成に努めていくとともに、本県経済の活性化や将来的な成長産業の創出に向け、今後の財政状況や事業効果を見きわめつつ、より一層充実を図るよう取り組んでまいります。 〇7番(松本雄士君) その認識はそのとおりでありまして、ぜひとも商工指導団体への支援であったり企業支援を手厚くしていただきたいです。 令和3年から令和7年の県全体の経営革新計画283件中、9割近くは商工指導団体の支援によるものであります。一方、本県の商工指導団体の経営指導員の人件費は、東北地方で最下位であります。さらには、企業支援等の取り組みにおいて、政策評価結果では成果指標の達成度がCという評価で、令和7年度において事業見直しや事業費が減額されているものも見受けられます。 このようなところをしっかり、お金だけではなく支援体制も強化していただいて、対応していただきたいと思います。今お話にもあった、当然、両輪での支援が重要なわけでありますが、財源の戦略的リバランスといったところをぜひとも検討していっていただきたいと思います。 大きい問題であります最低賃金の引き上げについてでありますが、最低賃金の引き上げは、中央最低賃金審議会の目安をもとに、公益、労働者、使用者代表から成る地方最低賃金審議会において、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払い能力の3要素を考慮して決定されます。 これまで知事は、労働局に対して、最低賃金の引き上げや議論のあり方について申し入れを行ってきておりますが、その目的及びスタンスについて伺います。 〇知事(達増拓也君) 本県では、生産年齢人口の減少に加え、人口の社会減が続いており、特に、進学、就職期の転出が顕著となっています。 地域経済を持続的に発展させていくためには、若者や女性にとって魅力ある職場づくりの推進が求められ、県民一人一人が、必要な所得が得られると実感できる岩手の実現を図っていく必要があります。 これまで、本県の最低賃金は全国下位が続き、特に一昨年は全国ワーストとなり、都市部のみならず隣県との格差も生じていたところです。全国的に人口減少が進展し、産業人材の確保が大きな課題となる中、岩手県の経済界からも、その状況を脱したいという声を聞いていたところであります。 こうした状況を踏まえ、本県の優秀な人材が安心して県内に定着し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができるよう、地域別最低賃金の改正に向け十分な議論を行うことについて、岩手労働局長及び岩手地方最低賃金審議会会長に申し入れを行ったものであります。 〇7番(松本雄士君) 令和6年5月、またことし6月に申し入れが行われましたが、その文面には、最低賃金が全国最下位であるという現状を勘案いただきとか、依然として最低賃金が全国でも下位であるという現状を勘案いただきといった文章が見られまして、非常に労働者寄りかと感じました。今の若者流出対策という視点もわかりますが、非常に中立性を欠いた申し入れだったような受けとめをしております。コストプッシュ型のインフレが続いており、賃上げの必要性は重々わかりますが、経営サイドへの配慮も大切であります。 そこで、高知県の地方最低賃金審議会では、セーフティーネット水準として、賃金の中央値の6割を注視することを公益、労働者、使用者で共有したとのことであります。 政治的介入ともとられかねない申し入れよりも、高知県のように、申し入れをするのであれば、客観的データをもとに、公労使3者の合意形成を促進させるような申し入れを行うべきと考えますが、見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) 地域別最低賃金は、最低賃金法に基づき、公益、労働者、使用者の代表から成る地方最低賃金審議会で審議、答申が行われ、都道府県労働局長が決定しています。 今年度の中央最低賃金審議会の議論では、EU指令において、賃金の中央値の60%や平均値の50%が最低賃金設定に当たっての参照指標とされていることなども踏まえて検討が行われたほか、松本雄士議員御紹介のように、高知地方最低賃金審議会では、セーフティネット水準として、賃金の中央値の6割を注視することを公労使で共有して、議論をしたと聞いています。 こうした指標の導入については、審議会において、公労使3者が主体的に判断していただく事項と考えており、県が審議の具体的なプロセスについて直接的な申し入れを行うことについては、慎重な検討が必要と考えます。 県としては、岩手労働局との情報共有を図りながら、必要に応じ、最低賃金に関する申し入れの内容について検討してまいります。 〇7番(松本雄士君) 次の質問に進みます。産業振興について伺います。 滝沢市IPUイノベーションパークの拡張についてでありますが、現在、IPUイノベーションパークには29者もの企業が立地するなど、IT関連企業の一大集積地として定着したことを受け、IPUイノベーションパーク拡張の必要性を盛り込んだ新たな滝沢市IPUイノベーションパーク運営計画2024を昨年3月に策定しております。 当該計画では、IPUイノベーションパーク拡張に向け、拡張する土地の概要と利用計画、整備する機能、手法、スケジュール、役割分担等を定める整備計画を令和6年度に策定するとしておりましたが、取り組みがおくれております。その要因について伺います。 〇商工労働観光部長(箱石知義君) 滝沢市IPUイノベーションパークの整備計画についてでありますが、令和6年度において、滝沢市及び岩手県立大学と県で整備計画の策定作業を進めましたが、拡張用地が決まっていないため、年度内での策定までには至らなかったものでございます。 このため、令和7年度も引き続き策定作業を継続していくこととし、これまで3回の打ち合わせを開催しております。 〇7番(松本雄士君) 用地が決まらなかったということでありますけれども、それで、3回協議しているとのことです。いろいろクリアしなければならない要因があるのだと思いますが、その要因を解決するため、県としては、関係先とどのような連携や取り組み支援を行っているのか伺います。 〇商工労働観光部長(箱石知義君) 関係先との連携や取り組み支援についてでございますが、滝沢市が拡張予定候補地としている用地は、岩手県農業研究センター畜産研究所が牧草地として管理している土地であり、活用に当たっては、当該土地が果たしている機能を維持、確保した上で進めていくことが重要であるということを共有しながら、代替地の確保を含め、現在、農林水産部と滝沢市の間で協議が進められていると承知しております。 当部といたしましては、IPUイノベーションパーク拡張の必要性を踏まえ、滝沢市や岩手県立大学とともに、進捗状況等を確認、共有しながら、IPUイノベーションパーク拡張用地の確保が円滑に進むように取り組んでまいりたいと考えております。 〇7番(松本雄士君) IPUイノベーションパークは非常に重要な位置づけであるのですけれども、改めて、IPUイノベーションパーク拡張、機能強化における県の役割、位置づけは何なのかを伺いたいと思います。 〇商工労働観光部長(箱石知義君) 滝沢市IPUイノベーションパーク運営計画2024において、IPUイノベーションパーク入居、立地企業を岩手県立大学との連携とITの活用等に取り組む企業としており、企業誘致とIPUイノベーションパーク内企業の二次展開の促進に取り組んでいるところでございます。 具体的な取り組みといたしましては、東京都等で開催する企業誘致イベント企業ネットワークいわてや首都圏等のソフトウエア開発企業と県内企業とのマッチングを行うソフトウェアビジネスマッチング商談会の開催により、企業誘致や企業間交流、IPUイノベーションパーク内企業の取引拡大に向けた機会創出を図っております。 また、県外企業の来県時に県立大学を案内し、県立大学との連携協働とともにIPUイノベーションパークの活用についても促すなど、入居、立地につながるマッチングや誘致活動を推進しております。 今後においても、IPUイノベーションパークが岩手県立大学の研究教育ポテンシャルを生かした地域産業の開発力や競争力を支える集積拠点として確立するよう、引き続き、滝沢市や岩手県立大学と連携して取り組んでまいります。 〇7番(松本雄士君) IPUイノベーションパーク拡張、機能強化において、県は主体であります。マッチングやいろいろな案内、そういったものをするだけではなく、IPUイノベーションパーク拡張、機能強化を主体的に進めていっていただかなければならないと思っております。 そして、今の用地交渉のところでありますが、滝沢市側にも代替地の確保や県との連携については、さらに頑張ってもらわなければならないところはあるかと思いますが、全く同じ条件の代替地というものはないわけであります。 県として、当該牧草地の代替地交渉において、必要な牧草量はどれくらいなのか、また、ほかの県有地で補完できるところはないのか、牧草の補償的なことはないのか、そういった課題解決に向けた協議、課題事項を整理して、オープンに話し合いを進めていくことが必要であると考えております。 その用地交渉は農林水産部の所管であるということでありますので、農林水産部にお伺いしたいのでありますが、用地交渉をいつごろまでに完了させるといった共有されたスケジュール感はあるのか、お伺いいたします。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 滝沢市が拡張の候補地としている用地でございますが、農業研究センター畜産研究所が必要とする牧草の約3割を生産しますとともに、高品質な牧草の確保に向けました試験研究を実施して継続して取り組む必要がありますので、市に対しまして代替地の確保を求めている状況でございます。 このお尋ねにありましたスケジュールについては、現時点ではまだ具体的な用地のスケジュールをお示しできる状況ではございませんけれども、県の状況を申し上げますと、滝沢市と定期的に打ち合わせを行っており、代替地については、現在の牧草地と同等の収穫量が見込めること、あるいは重機等が研究所から安全かつ効率的に移動できる距離にあることなどを市にお示ししております。 今後も、こういった市の意向を十分確認しながら、研究所における牧草等の試験研究、それから、飼料確保が適切に実施できる代替地の確保に向けまして、市と連携して取り組んでいきたいと考えております。 〇7番(松本雄士君) 先ほど商工労働観光部からは、令和7年に3回ぐらいの協議が持たれたということでありましたが、用地交渉を完成させるためには、今のようないろいろな条件のところをもっと具体的に、密に意思疎通を図っていく必要があると思います。県からは、どのような働きかけや条件クリアに向けた取り組みがなされたのか伺います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 先ほども答弁したところもございますけれども、この交渉の関係につきましては、市から意向をお聞きしてから、これまでに7回打ち合わせを行ってきております。今年度におきましては、2回開催したところでございます。 代替地については、先ほど申し上げました、現在の牧草地と同等の収穫量が見込める、あるいは重機の移動がありますので、安全かつ効率的に利用できる距離にあることを示しておりますほか、例えば、代替の候補地の面積が狭い場合は、周辺の土地との組み合わせを検討していただくなど、県から市に具体的な提案もさせていただいたところでございます。 いずれにしましても、試験研究が継続できるような代替地の確保に向けまして、市と連携して取り組んでまいります。 〇7番(松本雄士君) 今年度に入って2回というのは非常に少ないと思いますし、周辺地等でいろいろ具体的な提案もしているというところをもっとやっていただきたいと思います。 滝沢市IPUイノベーションパーク拡張は、先ほども確認しましたが、県は主体であります。県立大学開学とIPUイノベーションパーク整備の趣旨について、初代西澤学長は、門前町構想ということを話されました。そして、今、県立大学のソフトウェア情報学部をことし3月に卒業した方の県内就職率は20%にもなっておりません。18.5%。若者がここに定着しない。社会減対策という中で、県立大学のソフトウェア情報学部の卒業生は18.5%であります。また、県から県立大学には大学費40億円が毎年投入されている。 これらを総合的に勘案しますと、間違いなく、優先度高く、速やかにこの開発には取り組むべきであると考えております。 県立大学、IPUイノベーションパークは、本県におけるIT関連産業の研究開発の重点拠点なるものでありますし、今後、地域雇用の資源、地域企業や学生がたくさんいます。そこで培われた知的財産もあります。それを核に若者と企業家を呼び込めるものであります。 また、そのことにより、他分野―ITと観光であったり医療であったりといった連携が、デジタル化や付加価値をどんどん向上させていく、イノベーションの恩恵を地方に及ぼす、そのようにどんどん効果が広がっていく、その核になるものであります。 県は、もっと主体的に、スピード感を持って、そして今、商工労働観光部や農林水産部と分けて聞いておりますけれども、部局連携をもっと密にしてもらって、IPUイノベーションパーク拡張に取り組んでいっていただきたいと思います。 次の質問に移ります。公共施設等の維持管理と県財政について伺います。 先般、第2期岩手県公共施設等総合管理計画案が示され、今後30年の経費見込み額が2.6兆円を超えるという報告がなされました。第1期計画より9、000億円の増額が見込まれております。 当該増額の主要因として老朽化の進行と人件費や資材費の上昇が挙げられておりますが、単純計算で、単年度873億円の経費となり、直近5年平均の427億円よりも単年度446億円の増額と、到底受け入れられる現実的な数値ではありません。 県としては、公共施設カルテにより定量的評価を実施の上、施設のあり方を決めていくこととしておりますが、施設によっては、現行の報告書等で示している方向性と合わないものもあるかと存じます。 第2期岩手県公共施設等総合管理計画等を踏まえ、所管部署が各市町村や関係団体と議論を深め、調整していくことになると考えますが、そもそも第2期公共施設等総合管理計画の策定主体と責任の所在についてお伺いいたします。 〇企画理事(千葉幸也君) 第2期岩手県公共施設等総合管理計画最終案は、全庁的な公共施設等管理の基本方針を示すものであり、各部局に所管施設の現状や取り組み内容等を確認した上で、知事、副知事を初め、各部局長等で構成する政策会議に付議の上、決定したものであります。 計画の推進に当たりましては、今般お示しした最終案に記載したとおり、岩手県公共施設等総合管理計画推進会議が、部局横断的に計画の進捗管理や財政負担の平準化等の調整を行い、同計画を着実に推進してまいります。 〇7番(松本雄士君) 全庁的な会議で基本方針として設定したということでありますが、管理計画となっているわけであります。そして、その管理計画の中にも取り組み主体である会議体が設定されておりますが、その会議体は、情報共有や進捗管理等を行うということで、特に権限を有していない。この計画は非常にインパクトもありますし重要な中身の計画であります。責任の所在がどこにあるかが不明なときに、この計画は真に機能するのかと考えますが、その辺の見解について伺います。 〇企画理事(千葉幸也君) 公共施設等総合管理計画では、部局横断的な調整を図るため公共施設等総合管理計画推進会議を設置し、先ほど申し上げましたが、部局が連携して取り組みを進める体制としております。 県行政の推進に関する計画の重要事項につきましては、先ほども申し上げましたが、知事、副知事を初め、関係部局長等で構成する政策会議に付議して意思決定を行うことにしており、計画の推進段階においても、必要に応じて政策会議で議論を重ね、計画への取り組みを着実に推進してまいります。 〇7番(松本雄士君) また、その計画の中に管理目標があるのですけれども、それが見直された。そして、学校施設を含む全ての公共施設の延べ床面積を85%まで削減するとなっております。 一方、先ほども言ったとおり、経費が非常にふえる中で、15%の延べ床面積の削減も大変だとは思うのですが、この目標設定で財政的に耐えられるものなのかお伺いいたします。 〇企画理事(千葉幸也君) 第2期公共施設等総合管理計画における今後30年間の公共施設等の維持、更新経費の試算結果は2兆6、196億円と、第1期計画と比較して、先ほど松本雄士議員から御指摘がありましたけれども、9、000億円増加しており、持続可能な公共施設管理を実現するためには、施設総量の適正化と安定的な財政基盤の構築をあわせて進めていくことが必要であります。 安定的な財政基盤の構築に向けては、令和10年度での収支均衡予算を目標に掲げ、歳入確保や歳出水準の適正化など、その実現に向けた取り組みを進めているところでございます。 施設総量の適正化に向けては、第2期公共施設等総合管理計画で盛り込んだ新たな取り組みにとどまらず、さらなる推進方策について、10年間の計画期間を通じ不断に研究し、導入していく必要があると考えております。 将来にわたって、県民の皆様に安全に安心して公共施設を御利用いただけるよう、それを支える持続可能で安定的な行財政基盤の構築に向けて、あらゆる方策を選択肢から排除することなく取り組みを進めてまいります。 〇7番(松本雄士君) 財政的にこれから非常に厳しくなっていくのだろうと考えます。 次の質問でありますけれども、第2期公共施設等総合管理計画の中では、公共施設及びインフラ施設の有形固定資産減価償却率、いわゆる老朽化比率について見える化したということは、議論を深めていく上でとてもよいことだと思います。 一方、全体の老朽化比率52%よりも、道路、橋梁、トンネルの老朽化比率のほうが上回っております。つまりインフラのほうが、老朽化が進んでいるという状態にあります。 それに伴って、経費見込みについても、公共施設よりもインフラのほうが多額の1.4兆円となっていることから、インフラの維持管理、そして財政的措置に係る具体的対応についての検討のほうが優先度、重要度が高いのではないかと考えます。 ついては、インフラにおける持続可能な維持管理のあり方の検討を今後どう進めていくのか伺います。 〇県土整備部長(上澤和哉君) 持続可能な維持管理についてでありますが、道路や橋梁等の社会資本は、県民の安全・安心な暮らしを支え、産業や観光振興の基盤となる必要不可欠なものであることから、県民のニーズに応えるべく、整備や維持管理を行ってきたところです。 一方、第2期岩手県公共施設等総合管理計画の最終案では、道路等の有形固定資産減価償却率、いわゆる老朽化比率は県全体の割合より高い状況となってはいますが、道路等は、あらゆる社会経済活動や県民の安全・安心な暮らしを支えるものであることから、これら資産を適切に維持管理し、良好な状態で次世代に引き継いでいくことが求められていると認識しております。 このため、施設の長寿命化と中長期的なトータルコスト縮減を図る観点から、引き続き、損傷が軽度なうちに対応する予防保全型維持管理を推進するとともに、より効果的で効率的な維持管理を進めることができるよう、例えば、令和7年3月に改定した岩手県道路橋長寿命化修繕計画では、損傷状況はもとより、緊急輸送道路など路線の重要度に応じた修繕の優先度を設定して対策を講じることや、5年ごとの法定点検やこれを踏まえた修繕等の実施に当たり、新技術も活用してコスト縮減を図ることなどにも取り組むこととしております。 今後も、補助事業はもとより、国土強靱化に資する地方単独事業も活用しながら、長寿命化対策を加速化させ、適時適切な維持管理に取り組んでまいります。 〇7番(松本雄士君) インフラは暮らしとなりわいの基礎であって、十分な予算確保と維持、更新には万全を期していっていただきたいと考えます。 一方、国では、集約、再編によるインフラストックの再編の議論が起きております。富山県では、橋梁トリアージといった撤去事例も報告されております。トリアージという表現は本当に重いと思っております。救急現場での本当に究極的な選択でありますので、国は、もうそういった表現を使っているということです。 全体を俯瞰した中で、しっかりと必要なものを守っていけるよう、インフラのあり方、予防保全型、また重要度、優先度を見きわめての手当てをしっかりやっていっていただきたいのですが、加えて、維持管理する人材の確保が官民ともに非常に難しくなってきております。より広域に、いろいろな部門、分野を超えた人材育成、インフラマネジメントの枠組みづくりの議論をもっと具体的に進ませていっていただきたいと思います。 今、非常に厳しくなる財政の話をしているのですが、そういった中において、資金運用における歳入確保についてお伺いいたします。 ふるさと納税やグリーン/ブルーボンドの発行、また、各基金の有効活用等、あらゆる歳入確保策を実施しつつ、持続可能な財政構造を構築していかなければならない。また、そのような取り組みをしていると認識しておりますが、財源対策基金―財政調整基金、県債管理、公共施設管理の三つの基金につきましては、近年60億円超を債券運用に回すなど、利息収入の拡大が図られておりまして、令和4年度は700万円であった利息収入が、令和7年度には2.3億円、利回りは0.82%ぐらいになると見込まれております。 一方、その財源対策基金の一部を含めた33基金の全体の運用状況を見ますと、そのほとんどが預金運用であり、令和7年度見込みでその利回りは0.29%となっております。これでも前年よりは上がっているのですが、今のこの金利情勢を踏まえますと、まだまだ低いと思います。 当然に、各基金の性質を踏まえるとともに、安全性、流動性を吟味した上で運用しなければならず、1、300億円を超える基金の残高全てを債券運用というわけには当然いきません。さらには、専門人材の育成も必要でありますが、債券運用収入は地方交付税算定の基準財政収入に算定されないことからも、各基金の資金状況の分析等を行い、財源対策基金と同様に、債券運用額並びに運用体制を拡大、強化していくべきと考えますが、見解を伺います。 〇会計管理者兼出納局長(滝山秀樹君) 資金運用による歳入確保についてでありますが、金利が上昇傾向にある中、県としても、効果的な資金運用により利息収入の増加を図ることは重要なものと認識しております。 出納局においては、各部局が所管する33の基金について、要請に応じて基金総額の約8割を一括で繰りかえ運用しており、主に短期の預金で運用することで、資金管理業務の効率化と歳計現金の一時的な不足に対応しているところです。 また、歳入確保を図るため、資金に余裕がある期間は預金金利の入札を実施しており、債券による運用についても、平成30年度から毎年1億円程度を試行的に実施しているところです。 今後も、資金運用による歳入確保が一層重要になると考えていることから、各部局の基金の目的に応じた資金の流動性の確保を図りながら、より高い収益が得られるよう、債券による運用の拡大や人材の育成、外部からの助言など、運用体制の強化について先進事例も参考にしながら研究し、より安全で収益性の高い資金運用に努めてまいります。 〇7番(松本雄士君) すぐにでもできることではないか、歳入を幾らかでもふやせることではないかと思います。研究を進め、また、専門人材の育成も図りながら、早期に目標を設定して、安全かつ計画的に運用をふやしていっていただきたいと思います。ぜひともお願いします。 次に、マニフェストプラス39についての中期財政見通しの反映についての質問をさせていただきます。 岩手県の中期財政見通しは毎年更新されておりますが、ここ数年、一度も黒字を示していない、毎回非常に厳しい中期財政見通しとなっております。 県独自の財政需要約600億円に対し、県の留保財源は約300億円と大きく不足し、その差額を財政調整基金の取り崩しや特例債で補う、借金と貯金の取り崩しの運営が続いております。このままでは、岩手県の未来のための戦略的な投資はおろか、いざというときの備えまでも失われるリスクが極めて高い状況にあります。 加えて、第2期公共施設等総合管理計画において多額の経費見込みが示されました。今後、人口減少による税収減の一方で、広大な県土を維持するインフラ経費は容易に減らせず、財政は二重苦に直面しております。老朽化した県庁舎の整備も待ったなしであります。 かかる情勢下にあって、マニフェストに掲げ、県民の期待もかなり大きい主要政策、リハビリテーションセンターのサテライト、スポーツ医科学センター、県北地域の県立産業技術短期大学校、消防学校、また、北・北道路や新笹ノ田トンネル等、その財源見通しは、さきの決算特別委員会において質問したところ、検討の進捗状況に応じて、順次、中期財政見通しに追加して反映していく、また、毎年度の予算編成過程において具体的な財源確保に取り組んでいくとの答弁でありました。 中期財政見通しは、本来、政策立案の前提となるべきものであります。検討の進捗に応じて見通しに順次追加というならば、戦略なき後追いであり、持続可能で安定的な財政運営に基づく政策検討や判断ができないのではないかと考えますが、知事の見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) マニフェストプラス39の各項目に関連する施策については、いわて県民計画(2019~2028)や第2期アクションプランの内容に基づく具体的な施策として、県民の皆様や関係団体とともに取り組んでいるところであります。 一般的に、施設整備については複数年かけて整備計画を検討するものであり、現時点での事業規模が明確になっている福祉総合相談センターと県民生活センターの一体的整備、中山の園整備に要する経費については、中期財政見通しに既に反映していますが、その他の施設整備については、検討の進捗に応じて、中期財政見通しに順次反映していくこととしています。 投資的経費に関する国の財政措置は、時代背景に応じて変化してきたところであり、近年、インフラの老朽化が進み、国土強靱化の必要性が高まってきた中、公共施設等適正管理推進事業債、いわゆる公適債を初めとする有利な地方債が創設され、その内容も拡充されています。 現在、本県では、国土強靱化地域計画や公共施設等総合管理計画の改定に向けた作業を進めているところであり、これらに基づく国の補助、交付金の重点配分や有利な地方債の積極的な活用などによって財政負担の低減を図り、マニフェストプラス39を含む必要な事業を進めてまいります。 〇7番(松本雄士君) 中期財政見通しは、例年において非常に厳しい。そういう中、第2期公共施設等総合管理計画も示された。そういった要素を加えて、さらには、マニフェストにあるいろいろな投資要素もしっかり見ながら、いろいろ政策検討、判断が本来は必要なのだと思います。 知事のマニフェストプラス39の施策には、大型の箱物、インフラ整備事業が多数掲げられておりますが、それらに対し、毎年度の予算編成過程の中で具体的財源確保に取り組むとの答弁でありました。今は国でいろいろ有利な債権もあるということでありましたが、実質公債費が今後限りなく18%に近づいていく中、地方債に係る資金調達も難しくなってきております。 ついては、国事業の活用や財源確保が具体的に見通せていない中、マニフェストプラス39において、どの施策を優先し、どの施策を見直すかなどの柔軟な軌道修正も必要になってくるのではないかと考えますが、知事の見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) マニフェストプラス39の各項目に関連する施策については、既に予算化した関連事業については、他の施策とあわせて政策評価の結果等を踏まえた見直しを図るとともに、施設整備など時間や相当規模の事業費を要するものについては、市町村や関連する分野の方々から意見を伺いながら、事業規模や所要の財源等をあわせて検討を進め、その検討状況に応じて、順次、関連する事業を予算化していくこととしています。 今後とも、これまでの財源確保の取り組みを一層強化するとともに、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めつつ、マニフェストプラス39関連施策を初めとした必要な施策の推進に取り組んでまいります。 〇7番(松本雄士君) 県や、国、公的なところを含めてでありますけれども、財政の基本は、入るを量りて出るをなすであると考えております。明確な具体的財源がなかなか見出せないという中にあって、マニフェストがどれだけ見通しを立てているのかというところには、私自身は疑念を持っております。また、財源がないということであれば、国からいろいろ引っ張ってくるしかないということであります。 国への働きかけについてでありますが、令和6年度、7年度における知事の国への要望において、全国知事会や北海道東北地方知事会等と連動した動きや年度ごとの予算提言など、制度的、形式的な要望活動は行っておりますが、政治的効果の期待は薄いのではないかと考えております。 この岩手県から日本を変えていくといった大儀、気概を持って国への働きかけをもっと強化していく必要があるのではないかと考えておりますが、知事の見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) 国の予算については、各省庁がふだんの業務の中で地方自治体と課題やニーズを共有して、それをもとに毎年8月末に予算を要求し、12月下旬に財務省による査定を経て国として予算を決定しているものであり、県の公共事業に係る予算なども、こうしたプロセスの中で所要額が確保されているものと認識しております。 ふだんの業務の中で自治体と国が情報共有することが基本的に重要でありますが、新規事業や制度の見直しなど特別の事情がある場合、知事会の役割も活用しながら、知事が、直接国に働きかけることが効果的であると考えております。 今年度は、全国知事会の農林商工常任委員長として、時宜を捉え、米国の関税措置への対策や米の安定的な供給と適正な価格形成、中小企業等の賃上げ環境整備等に関する緊急要請などを行ってきました。 また、令和5年11月に、私が北海道東北地方知事会の会長として実施した熊類の管理等に係る緊急要望は、熊類の指定管理鳥獣への指定につながり、同じく私が会長を務める地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会では、訴えてきた医師の地域偏在の是正について、国の対策パッケージの策定につながったところであります。 また、県として本年6月に実施した令和8年度政府予算要望では、8府省庁等を訪問し、大臣等に加え、当時の鈴木自由民主党総務会長にも面会し、第2期復興・創生期間以降における復興財源やILC―国際リニアコライダーの推進に関する予算、国土強靱化のための公共事業予算の確保など、本県が直面する課題を直接訴え、また、各部局による各省庁への機動的な要請活動も随時行っているところです。 これからも、本県に必要な政策の実現に向け、全国知事会等とも連携し、岩手県の現状や課題を国と共有してまいります。 〇7番(松本雄士君) 国との平時からのコミュニケーションであったり知事の直接的な働きかけが重要だと、まさにそのとおりであって、それをもっと強化していただきたいということであります。それによって、熊であったり地域医療であったりということがありましたが、今、私が聞いているのは、マニフェストプラス39においてということでありまして、今、岩手県の将来への投資判断、財政運営において、本当に大きな分岐点に立っているのだと思っております。 検討している、進めているといった表現で、結果として、県民の期待の大きかったマニフェストの多くにおいて、見通しも立たなかったということだけは回避すべきではないかと強く思っております。このマニフェストプラス39において、リストに並べたものを全て進めるのではなく、限られた財源の中で、何を守り、何に注力していくのかといった判断こそが、今、問われているのだと思います。 今のままでは、長らく県のリーダーを務められた知事に対する県民の期待に応えていないのではないかと考えておりますが、改めて知事の考えを伺いたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 先ほども答弁いたしましたけれども、マニフェストプラス39関連事業は、それぞれ、直接かかわる県内の関係者を初め、その関係の地域でありますとか、広く県民的な検討や調整や手続を踏まえながら、それぞれ進めているところでありまして、きちんと県民の期待が行政に反映されるよう努めているところであります。 〇7番(松本雄士君) マニフェストにあるいろいろな、先ほども出たリハビリテーションセンター、スポーツ医科学センターであったり県立産業技術短期大学校は、地域の方の期待は非常に大きいところがありますので、それを裏切らないようにしっかり進めていっていただきたいと思います。 続いて、不登校対策について伺います。 誰ひとり取り残さない学びの保障についてということでありますが、令和6年度の本県の不登校児童生徒は、小中高で前年比約10%増の3、351人となり、この5年間で約倍近くに膨らんでおります。 そして、小中学校において、学校内外の機関等で専門的な相談、指導等を受けていない不登校児童生徒947名のうち、教職員ともつながっていない児童生徒が91名います。学校関係、専門家の誰ともつながっていない生徒が91名います。 誰ひとり取り残さない学びの保障に重点的に取り組むこととしておりますが、この91名について、現在どうなっているのか。多様な価値観に触れないまま大人になっていくことに、とても憂慮しております。 学校内外の専門機関、学校関係者ともつながっていない児童生徒がいることは、とても大きな問題と考えますが、県の認識と、この91名に対し、いつまでに、どのような手段で最低限のつながりを構築していくのか、具体的な目標、計画について伺います。 〇教育長(佐藤一男君) 学校内外の機関等で専門的な指導を受けていない、かつ教職員等からも指導を受けていない児童生徒数につきましては、前年度の調査、令和5年度の本調査から新たに把握できるようになったものであり、これらの児童生徒の状況について県教育委員会が確認したところ、保護者が学校からの接触を拒否していたり学校への不信感があったりして、本人に対する指導、支援ができない、あるいは保護者が病気を抱えているため家庭訪問が実現しない、あるいは端末を通して健康観察や連絡等を行っているが、継続的な指導が実現しないなど、学校と家庭の連携が困難なケースが多く見られております。 このため、児童生徒や保護者が悩みを抱えて孤立せず、適切な情報や支援を受けられるよう、学校はもちろんのこと、スクールソーシャルワーカー、教育関係機関、保健福祉機関などの専門家が、粘り強く家庭や保護者とかかわるアウトリーチ支援や、ICTの活用による学習機会の提供など、多様な支援を行っていくことが求められております。 県教育委員会としては、このような学校と家庭の連携が困難なケースにおいても、誰ひとり取り残さない学びの保障に向けて、関係機関の協力もいただきながら、市町村教育委員会と連携して取り組んでまいりたいと考えております。 〇7番(松本雄士君) 保護者が、なかなかそういうものに対応してくれないと、そこは非常に難しいと思います。ただ、学校関係、専門家の誰ともつながっていないお子さんが小中学校において91名いるということは、大変大きい問題であると思います。今、粘り強く取り組んでいくということでありましたが、それが非常に大切であると思います。そういった取り組みを切らさず、頑張っていってほしいですし、そういった思いが必ず伝わるように願っております。 そして、教員の業務負担軽減についてでありますが、コロナ禍を経て、不登校児童生徒の増加傾向は今後も続いていくものと考えております。 少子化が進む中、誰ひとり取り残さない学びの保障に向けた取り組みが重要であり、そのためには、一人一人の子供に寄り添う姿勢や安心して学べる居場所づくりを通じた支援が不可欠であります。そして、義務教育学校、小中学校での活動や体験は、非認知能力の育成や人格形成において極めて大きい役割を果たすと考えております。 一方、不登校児童生徒の増加は、担任を初めとする教員の業務負担をかなり増大させております。変調への気遣い、また、欠席があれば電話、家庭訪問、家庭の状況を踏まえた対応が求められる、非常に負担が大きい。 この教員の業務負担軽減と児童生徒へのきめ細やかな支援のため、先ほども話がありましたが、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、教員業務支援員といった方々の役割が非常に重要でありまして、その拡充や処遇改善による要員の確保が強く求められております。 ついては、これら教員業務支援員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡大や処遇改善について、県の具体的な考えと今後の計画について伺います。 〇教育長(佐藤一男君) 教員業務支援員につきましては、今年度、小中学校に44名、高等学校に32名、特別支援学校に3名任用しております。スクールカウンセラーにつきましては、エリア型、配置型合わせて66名を配置し、スクールソーシャルワーカーについては、エリア型と訪問型合わせて計17名を配置して全県をカバーしております。 現在、これらの職員の来年度の体制について鋭意検討を進めているところでありますが、これらの職員の増員には、県の財政負担も増加することが課題となっております。県教育委員会としましては、国に対して、必要な財源措置を要望しているところであります。 また、昨年度から、勤務時間数など一定の要件を満たす職員に対して、勤勉手当を支給するなど処遇の改善を図ってきたところでありますが、今後も、国や他の都道府県の動向等を注視しながら、不断に必要な見直しを行ってまいります。 〇7番(松本雄士君) あらゆるテーマを出したときに、必ず財政の問題が出るのですが、教育、そして不登校といったところへの対応は本当に重要であると考えております。 そして、これらの方々をサポートする方々への処遇は、いろいろな人件費、給与等が上がっている中で、かなり据え置かれております。勤勉手当が措置されたのはエリア型の方であったり、訪問型のスクールソーシャルワーカーには手当てがされていないといったところもあります。そういったところを含めて、要員の拡大であったり処遇改善をしっかり考えていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、県立病院の経営と新たな地域医療構想の質問に入らせていただきます。 令和7年度の県立病院の決算見込みについてでありますが、県立病院経営について、これまで同様に人事委員会勧告に準拠するということであれば、令和7年度の給与費の増加額と決算見込みがどうなるのかをお伺いいたします。 〇医療局長(小原重幸君) 令和7年度の人事委員会勧告に基づく給与費の増加額は28億円程度と試算しており、この給与改定を踏まえた今年度の決算見込みにつきましては、補助金等の医業外収益の変動を見込まない状況で67.5億円の赤字と推計しております。 なお、先日、国は今年度の補正予算で医療機関・薬局における賃上げ・物価上昇に対する支援を行う旨を公表しており、現時点で明らかになっている資料から試算いたしますと、県立病院においては16億円程度の支援が見込まれ、仮に年度内に交付決定がなされた場合は、見合いの収支改善が図られるものと見ております。 〇7番(松本雄士君) 給与費が28億円ふえて、決算も約70億円近いという巨額な赤字と、非常に危機的な状況であると思います。ただ、医業外収益があれば、約67億円から16億円引けば約50億円の赤字におさまる。また、このことは、昨年度も給与費が上がった中でこの水準にとどめたということは、医療局、また県立病院の現場の方々の御努力があったのだろうと考えます。 公立病院問題については構造的な問題が大きくて、診療報酬の改定が物価高騰や人件費の上昇に合っていないところがあるので、そういったところは国に強く継続的に働きかけていかなければならないですが、一方で、巨額の県からの繰り出しと今聞いた赤字という現実を受けとめますと、やはり経営効率の向上、また経営改善には不断に取り組んでいかなければならないと思っております。 そういった中、当面すごく心配されるのが資金不足への対応であります。昨年度末は、ほかの会計からの長期借入金のほか、未収、未払いの決済サイトの調整等で資金を確保した経緯があります。 今年度は、新たな病院事業債45億円を借り入れて対応するということですが、それで今年度乗り切れるのか、大丈夫なのかお伺いいたします。 〇医療局長(小原重幸君) 今年度の収支見込みにつきましては、先ほど答弁いたしましたとおり67億円ほどの赤字と当初予算から悪化しておりますが、昨年度末の資金繰りによりまして、年度当初の資金残高を一定程度確保できておりましたことから、当初見込んでいた45億円の病院事業債の借り入れにより、現時点で10億円程度の年度末資金を確保できる見込みでございます。 医療局といたしましては、これまでの経営改善を進め、年度末の資金繰りに遺漏のないように取り組みを進めてまいります。 〇7番(松本雄士君) わかりました。 そして、この県立病院は、経営問題もさることながら、やはりこれから大きく問題になってくるのは、医療人材の確保のことであると考えております。 人口減少、少子化に相関して医療人材も減少していくとともに、首都圏やより医療環境のよい都市部の病院に人材がどんどん流出していくことが想定されます。地方における医療人材の確保は、一層困難をきわめ、伴って、医療の質の確保も大きな課題になってくるものと思料されます。 現在、県立病院の経営計画の中に令和12年度までの職員配置計画がございますが、長期的な医療人材確保に向け、地域年齢別人口推移や医療需要動向、病床見込み等を踏まえて、さらにもっと長い長期の医療人材の必要数の推計、2040年問題がありますので、最低でも2040年までの推計を行うなど、長期的視点に立った前広、幅広な医療人材確保に向けた施策の検討が必要であると考えますが、見解を伺います。 〇医療局長(小原重幸君) 国の人口推計等を踏まえれば、2040年に向け高齢者人口が緩やかに減少する中で、医療従事者はさらに速いスピードで減少することが見込まれており、松本雄士議員御指摘のとおり、長期的視点に立った医療人材の確保に向けた対応が必要と考えております。 これに向けた取り組みの一環といたしまして、例えば、中高生等を対象に病院業務の理解促進を目的とした病院見学会、オープンホスピタルの開催や、小学生が看護師等の業務を体験できるイベントの実施などにより、早い段階で医療に触れ合い、興味を持ってもらえるよう、将来的な医師や看護師等の人材確保に向け取り組んでいるところであります。 また、経営計画の基本方向である病院の機能分化や連携強化のもと、病院業務の効率化等にも取り組むとともに、AIやRPAの活用によりDXを加速させることで、働き方改革を推進するなどの取り組みも進めているところです。 引き続き、持続的に良質な医療を提供するため、医療を取り巻く環境の変化に的確に対応し、取り組みを不断に見直しながら医療人材の確保に努めてまいります。 〇7番(松本雄士君) いろいろな取り組みで医療人材の確保に取り組んでいくというのは不断にやっていかなければならない大切なことでありますが、令和12年度までの経営計画を超えての医療人材の必要数の推計をしっかり持たなければならないと考えるのですが、その取り組みは難しいのでしょうか。 〇医療局長(小原重幸君) やはり医療の高度、専門化や人口減少による医療需要の動向の変化、医療従事者の不足等、医療を取り巻く環境が急速に変化しているという状況がございます。 長期的な視点からの県立病院の医療提供体制の規模や必要となる病床数や職員数等につきましては、まずは経営計画の期間内でしっかり定めながら、中間的な見直しも考えているところでございまして、現時点で長期的に推計することは、なかなか難しいと考えているところでございます。 〇7番(松本雄士君) いろいろ不確定要素も多くて難しいということでありますが、だからこそ、そういったものをある程度見込んだいろいろなシナリオをもって、経営のところも本当に大変でありますが、そこはしっかり国に働きかけるなり、どうにか資金確保で乗り切れますが、医療人材がいなければ医療は成り立ちませんので、そういったところに向けた取り組みを強化していっていただきたいと思います。 そして、今話したような医療人材のこともありますが、地域人口の推計や医療需要動向、また経営、医療人材、質の確保といった観点からも、機能分化と連携強化は一層進めていかなければならないと考えております。 令和8年度には、国のガイドラインに基づいて新たな地域医療構想の策定と保健医療計画の中間見直しが行われ、新たな地域医療構想には、構想区域における将来の医療機関機能の確保のあり方や地域医療構想の達成に向けた医療機関の機能分化、連携の推進に関する取り組み等の記載が求められ、医療圏の設定に大きく影響してくることが想定されます。 現状、本県には九つの二次医療圏がありまして、この見直しについて、国の基準に該当している医療圏が6医療圏あります。 この令和8年度策定の新たな地域医療構想の議論の中で、当該医療圏の見直しに向けた検討を進めていくこととなるのか伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 本県では現在、一般的な医療需要の充足が図られることを基本として、九つの二次保健医療圏を設定するとともに、がん医療など、より広域的な疾病・事業別医療圏を設定し、それぞれの圏域において必要な医療提供体制を確保しているところであります。 こうした中、岩手県保健医療計画では、脳卒中や心血管疾患などにおいて、隣接する圏域との連携により医療提供体制を確保している圏域を例示し、人口動態や交通アクセス、最新の受療動向などを踏まえ、計画期間内で二次保健医療圏の設定見直しに向けた検討を進めることとしております。 今後の二次保健医療圏については、受療動向のほか、圏域内の医療従事者の確保や医療機能の分化、連携の状況など、さまざまな状況を考慮しながら、そのあり方を検討していく必要があると考えております。 現在、国の地域医療構想及び医療計画等に関する検討会において二次医療圏に関する議論が行われているところであり、これらの議論にも対応し、二次保健医療圏について検討してまいります。 〇7番(松本雄士君) 非常に難しい問題であり、いろいろな要素を踏まえて検討を進めていくということかと思いますが、良質な医療の均てんとともに持続可能な医療提供体制を考えていかなければならないということでありまして、医療圏の見直しは、いずれ決断しなければならない。それは、基幹病院のあり方にも直結することだと思います。 非常に難しい議論でありますので、丁寧な説明と議論の積み重ねが求められます。よりオープンな協議と早期、そして前広な議論を進めていっていただくことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。(拍手) 〇副議長(佐々木努君) 以上をもって松本雄士君の一般質問を終わります。この際、暫時休憩いたします。 午後4時6分 休 憩 出席議員(44名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 27 番 吉 田 敬 子 君 28 番 高 橋 但 馬 君 29 番 岩 渕 誠 君 30 番 名須川 晋 君 31 番 軽 石 義 則 君 32 番 佐々木 朋 和 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 38 番 斉 藤 信 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 関 根 敏 伸 君 44 番 佐々木 順 一 君 45 番 岩 崎 友 一 君 46 番 千 葉 伝 君 47 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(2名) 15 番 上 原 康 樹 君 26 番 木 村 幸 弘 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後4時28分 再開 〇副議長(佐々木努君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 〇副議長(佐々木努君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。 〇副議長(佐々木努君) 日程第1、一般質問を継続いたします。田中辰也君。 〔1番田中辰也君登壇〕(拍手) |
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