令和7年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇人口減少・若者女性支援調査特別委員長(小西和子君) 人口減少・若者女性支援調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、令和5年9月定例会において設置されて以来、9回の委員会及び4回の県内外での現地調査を実施し、人口減少、若者女性支援について調査を実施してまいりました。
 まず、人口減少対策の現状と課題についてでありますが、総務省が公表した令和6年の人口推計によると、日本の総人口は1億2、380万2、000人で、前年に比べ55万人の減少、14年連続で減少となりました。
 一方、東京圏への転入超過は平成8年以降29年連続の増加となっており、東京一極集中が加速しています。
 本県の人口は、2000年代以降は減少傾向にあり、令和6年は約114万5、000人、人口減少率は1.57%と全国で3番目の高さとなりました。
 自然増減では、出生数の減少と死亡数の増加により減少幅が拡大し、合計特殊出生率は1.09と過去最低を更新しました。
 また、社会増減においても減少幅が拡大し、特に、20歳台前半の女性の社会減が大きくなっています。
 県が実施した少子化要因分析によると、合計特殊出生率の低下幅が小さい県の特徴として、正規雇用の職についている女性が多いことが挙げられており、女性の労働環境の改善に向けた取り組みを進めるため、性別に関するアンコンシャスバイアスやジェンダーギャップの解消が重要となっています。
 また、進学、就職期の若年層の転出超過が社会減の大きな要因となっていることから、若者や女性、誰もが多様な生活や働き方ができる環境を整えていくとともに、首都圏等からの交流人口の拡大を進める必要があります。
 次に、若者支援の現状と課題についてでありますが、性別役割分担の硬直化、やり直しのきかない単線、画一的な教育から就労への構造、若者へのセーフティネットの手薄さが不安や萎縮を招き、イノベーション志向を起こりにくくさせていると指摘されています。
 複雑化、多様化、複合化する課題を抱える多様な人々を支援するため、中核となって活動する人材や組織を育成するとともに、課題解決の取り組みを継続して行えるよう、運営に対する経済的な支援が求められています。
 また文部科学省が公表した令和5年度の本県の小・中・高等学校における不登校の児童生徒数は3、052人で、過去最多となりました。
 さまざまな理由で学校と距離をとる児童生徒の多様な価値観や課題に対応し、学ぶ権利と社会参画を支援するための相談支援機関やフリースクールなど多様な居場所づくりが求められています。
 しかしながら、相談支援機関やフリースクール等を運営する民間団体の多くは非営利団体や個人運営が多いため、経済的な安定性が課題となっています。
 次に、女性支援に係る現状と課題でありますが、令和3年の社会生活基本調査によると、本県では、妻の家事及び育児時間が夫の4倍超となっており、本県の女性は、家庭の負担が非常に大きいという結果となっています。
 この男女間での家事や育児等の無償労働時間の大きな偏りを起点に、就業分野の偏りやリスキリングの機会の不足、硬直的な正規雇用の働き方との両立困難などの課題に派生しています。
 女性活躍を推進するためには、仕事と家庭の両面で女性を支える取り組みが必要であり、女性を取り巻く環境を変化させることが重要となっています。
 また、さまざまな事情により困難な課題を抱える女性などから配偶者暴力相談支援センターに寄せられた令和5年度の相談件数は、過去5年間で最も多い2、248件でした。
 女性をめぐる課題も複雑化、多様化、複合化していますが、県土の広域性から行政等の手が届かず、被害が表面化しない深刻な現状があり、女性支援の強化が喫緊の課題となっています。
 女性が抱えている問題に応じた適切な支援を提供できるよう、行政、民間団体等、さまざまな機関が連携し、相談支援等の充実強化を図っていく必要があります。
 本委員会としては、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、人口減少、若者女性支援等に関する今後の施策に当たり、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し入れるものであります。
 1、人口減少対策においては、本県の若者や女性の転出動向や動機の把握及び分析を行うとともに、原因を追求した上で、一人一人の価値観や多様性に寄り添った施策を展開し、かつ効果を検証すること。
 2、若者や女性に閉塞感をもたらす地域社会における性別に関するアンコンシャスバイアスやジェンダーギャップの解消を図るため、さらなる意識醸成と普及啓発を行うとともに、多様な人材の意見を意思決定の場に加え、意識改革や行動変容につなげること。
 3、若者や女性、多様な人々の支援のため、中核となって活動する人材や組織を育成するとともに、運営に対する経済的な支援を行うこと。
 4、交流人口の拡大につながる取り組みを進めるため、地域のポテンシャルを生かした産業等を支援するとともに、柔軟な生活や働き方を受け入れるための環境づくりを行うこと。
 5、フリースクールなど多様な教育機会を保障するとともに、学び直しや再就職の支援を行い、一人一人の才能や能力を伸ばす取り組みを進めること。
 また、支援機関やフリースクールなどに対する運営費等の経済的支援を行うこと。
 6、男女間賃金格差の是正、正規雇用の女性の就業継続やリスキリングの支援強化など、女性が抱える仕事と育児、介護、健康課題の両立支援に取り組むこと。
 7、安心して子供を産み育てられる環境をつくるため、妊娠から出産、子育て期までの切れ目のない伴走型支援を市町村と連携して推進するとともに、女性が希望する年齢で結婚、妊娠ができ、子育てと仕事を両立するライフデザインがかなう職場環境が、県内の多様な雇用先で整備されるよう支援すること。
 また、困難な状況にある女性を適切な支援に確実につなげるよう、相談支援体制の充実強化に取り組むこと。
 以上のとおりであります。
 結びに、日本の総人口が減少する中、地方間での人口獲得競争下において劇的な人口増加は難しいことから、人口減少のスピードを現状よりも緩やかにする対策を講じるとともに、人口減少と向き合い、人口減少を前提とした対策もあわせて講じていかなければなりません。
 県当局においては、若者を将来の担い手として人口減少社会を背負わせるのではなく、今を生きる若者として、地域全体で支える取り組みを推進することを求めます。
 そして、若者や女性、県民の誰もが、ありのまま、自分らしく生きられる岩手県となることを切望し、人口減少・若者女性支援調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(城内愛彦君) 次に、高橋デジタル社会・新産業創出調査特別委員長。
   〔デジタル社会・新産業創出調査特別委員長高橋こうすけ君登壇〕
〇デジタル社会・新産業創出調査特別委員長(高橋こうすけ君) デジタル社会・新産業創出調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、令和5年9月定例会において設置されて以来、9回の委員会及び4回の県内外での現地調査を実施し、デジタル社会及び新産業創出等について調査を実施してまいりました。
 まず、デジタル社会に係る現状と課題についてでありますが、令和2年12月25日に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針では、デジタル社会の目指すビジョンとして、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会、具体的には、場所や時間を問わず、国民一人一人のニーズやライフスタイルに合ったサービスが受けられ、働き方ができ、また、自然災害や感染症等の事態に対して強靱な社会を掲げており、このような社会を目指すことは、誰ひとり取り残さない、人に優しいデジタル化を進めることにつながるとしています。
 本県では、人口減少や少子高齢化、東日本大震災津波からの暮らしの再建、近年の主要魚種の不漁などの本県が抱える地域課題に加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う観光業などの産業への打撃や消費の落ち込みなどにより、経済や社会に大きな影響を受けました。
 今後、人口減少、少子高齢化が進行する中で、経済を成長させ持続可能な社会を実現するには、行政を初め、商工業、観光産業、農林水産業、建設業などの産業における生産性の向上や、子育て、教育、医療、介護等を含むあらゆる分野で改革、変革が避けられないものとなっています。
 近年、デジタル技術が急速に発展し、県内においても自治体や産業等におけるデジタル化の取り組みが進められておりますが、さらにデジタル化に取り組む企業の裾野を拡大していく必要があります。
 しかし、中小企業からは、デジタル技術やデータ利活用の方法がわからない、人材が不足しているなどの課題が挙げられていることから、中小企業が行うデジタル技術の活用による生産性向上等への支援やIT人材、デジタル人材等の確保、育成への支援が求められています。
 県は、令和5年4月から令和9年3月までの4年間を計画期間とした岩手県DX推進計画を策定しておりますが、デジタル社会の推進に向け四つの取り組み方針、行政のDX、産業のDX、社会・暮らしのDX、DXを支える基盤整備のもと、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランと歩調を合わせ、取り組みを推進していくことが重要です。
 次に、新産業創出等に係る現状と課題についてでありますが、本県の製造品出荷額は、自動車関連産業や半導体関連産業を初めとする企業立地の進展や地場産業の振興などにより、令和4年には約3兆1、124億円となっています。中でも初めてトップとなった半導体関連が約22.6%、次いで自動車関連が約21.5%を占め、国際競争力の高いものづくり産業が県経済を牽引しています。
 また、県では、医療機器関連産業において、ヘルステック・イノベーション・ハブを核とした企業間等の連携による技術開発、新製品開発に係る取り組みを推進しているほか、新たな技術や市場の動向を見据え、産学官金連携による技術開発、製品開発、事業化などへの重点的な支援を通じて、カーボンニュートラルやILC―国際リニアコライダーなど、地場企業の強みである高度な基盤技術を活用した新事業、新産業の創出を促進しています。
 世界的に加速するデジタル化やカーボンニュートラルなどの流れに的確に対応していくため、産業集積の基盤を生かしながら、企業間、産学官連携を進め、自動車、半導体関連産業に続く産業として、医療機器関連産業の成長を促進し、加えて、新たな成長産業分野を創出することが求められています。
 本委員会としては、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、デジタル社会及び新産業創出等に関する今後の施策に当たり、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し入れるものであります。
 まず、デジタル社会についてでありますが、1、行政のDXとして、生成AIの活用により業務の効率化、県民の利便性向上を進めるとともに、生成AIに関するリスク管理体制を構築すること。
 2、産業のDXとして、異業種間の連携を促進し、多様な視点から各産業における課題解決に取り組むことにより、産業の生産性向上や高付加価値化を図ること。
 3、社会・暮らしのDXとして、限られた医療資源を効果的に活用し、自然災害や感染症等の事態への対応を含めた地域医療を維持するために、県内におけるオンライン診療を推進し、患者と医療機関の双方が安心できる診療体制を構築すること。
 4、DXを支える基盤整備として、デジタル技術やデータを駆使し、新たな価値を創造することができるデジタル人材を育成する取り組みを産学官金の協働により推進することに加え、AIの活用により、みずから思考し、行動する機会が失われないよう、AI時代に即した学校教育にも取り組むこと。
 また、社会環境の変化に対し独自に対応することが難しい中小企業のIT人材やデジタル人材の育成を支援し、デジタル化に取り組む企業の裾野拡大による生産性の向上を図ること。
 次に、新産業創出等についてでありますが、1、ヘルステック・イノベーション・ハブを核とした企業間等の連携による技術開発、新製品開発に係る取り組みをより一層推進し、さらなる集積拡大と高度化を図ること。
 また、多くの子供たちに先端技術に触れる体験を提供し、次代を担う人材の育成に関する取り組みを拡大すること。
 2、各産業での新たな技術の導入において、既存の補助金制度では助成対象とならないものについて、問題点の整理を行い、必要な見直しを図ることにより新産業の発展を促進すること。
 3、陸上養殖を含めた新しい漁業、養殖業の導入を促進し、自然環境に左右されにくい安定的な漁業生産の実現に取り組むとともに、ブランド化による水産物の高付加価値化を推進すること。
 4、デジタル社会の将来を見据え、ビッグデータやAIを活用した企業などの集積化を目指し、付加価値の高い新産業を創出する基盤整備に取り組むこと。
 以上のとおりであります。
 結びに、世界のデジタル化が加速し、社会環境が変化している中で、人口減少など地域が抱える課題解決や産業の振興には、あらゆる分野においてDXへの対応、進展が求められています。
 県当局においては、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら、県政運営になお一層の努力を傾注し、課題解決に向けた取り組みを行うとともに、デジタル社会、新産業創出等の一層の推進に向けた実効性のある取り組みを実施するよう切望し、デジタル社会・新産業創出調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(城内愛彦君) 次に、高橋脱炭素社会調査特別委員長。
   〔脱炭素社会調査特別委員長高橋穏至君登壇〕
〇脱炭素社会調査特別委員長(高橋穏至君) 脱炭素社会調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、令和5年9月定例会において設置されて以来、9回の委員会及び4回の県内外での現地調査を実施し、地球温暖化や脱炭素社会について調査を重ねてまいりました。
 まず、地球温暖化の現状と課題についてでありますが、令和5年3月の気候変動に関する政府間パネル第6次評価報告書統合報告書によりますと、地球温暖化は主に人間活動による温室効果ガスの排出によって引き起こされており、2011年から2020年の世界の年平均気温は、工業化前と比較して1.1度上昇していると指摘しています。
 また、令和7年1月、世界気象機関は令和6年単年の地球の気温上昇が、パリ協定において抑えるべき努力目標としている1.5度を初めて超過したと発表いたしました。
 世界中で異常高温、気象災害が多発していますが、特に、日本の年平均気温の上昇は世界平均よりも早く進行しており、大雨や短時間強雨の発生頻度の増加、高温による農作物の生育障害や品質低下、海水温の上昇による磯焼けや魚種の交代など、既にさまざまな分野への影響が発生しています。
 このような気候変動の影響に対応していくためには、今後予測される被害を回避、軽減する適応策の充実と気候変動の影響やその適応に関する県民の理解促進が必要となります。
 加えて、温室効果ガスを吸収する森林や海藻など、本県の強みである豊かな資源を活用した多様な手法による温暖化対策を一層推進していく必要があります。
 次に、脱炭素社会に関する現状と課題についてでありますが、パリ協定締結以降、世界各国で温室効果ガスの削減に向けた取り組みを加速させており、脱炭素社会への取り組みを通じて、経済成長や産業競争力の強化を目指す動きが強まっています。
 我が国においては、令和5年5月にエネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の三つの同時実現を掲げた、いわゆるGX推進法―脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律が成立し、同年7月にはGX推進戦略が策定されるなど、徹底した省エネルギーや脱炭素電源への転換などが求められています。
 また、政府は、令和7年2月に第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、エネルギーの安定供給と脱炭素を両立する観点から、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスのとれた電源構成を目指していくこととしています。
 本県においても、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画を策定し、2030年度―令和12年度までに温室効果ガスの排出削減割合を2013年度比で57%に、再生可能エネルギー電力自給率を66%とするなどの目標を掲げています。
 本県の状況といたしましては、温室効果ガスの排出削減割合は2022年度時点で33.8%、再生エネルギー電力自給率は2023年度時点で45.7%とおおむね順調な進捗を見せていますが、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロに向けて、さらに実効性のある取り組みを実践していくことが重要です。
 再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せずに県内で生産できる重要なエネルギー源であり、本県の再生可能エネルギーの推定利用可能量は全国的にも優位であることから、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、多様な再生可能エネルギーの導入拡大が期待されます。
 また、豊かな生活と持続可能な脱炭素社会には、省エネルギーを生活の中に無理なく効率よく取り入れ、実践することも重要であり、県産材を利用した断熱性能にすぐれた住宅、高効率でエネルギー消費の少ない機器や設備の普及、食品ロスの削減等、脱炭素型ライフスタイルを確立していく必要があります。
 今後は、これまで以上に県民や事業者、市町村がそれぞれの役割を認識し、主体性を持って取り組むことが不可欠であり、各主体の取り組みが効果的に行われるような支援、助言も重要となります。
 これまでの調査結果を踏まえ、今後とも、地球温暖化対策や脱炭素社会に向けた取り組みを進めていくため、この際、県当局に対し、次の事項に配慮し、施策に取り組まれるよう申し入れるものであります。
 まず、地球温暖化対策についてでありますが、1、地球温暖化によるさまざまな分野への影響が既に発生していることから、今後予測される被害を回避し軽減する適応策の取り組みを強化するとともに、気候変動適応の重要性について広く周知し、県民の理解促進を図ること。
 2、本県の豊富な森林は、温暖化対策に寄与する重要な吸収源であることから、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、再造林や間伐などの森林整備を促進すること。
 3、海藻などを二酸化炭素吸収源とするブルーカーボンの活用に向けた調査、検討を進めるとともに、ブルーカーボンの増大に貢献する藻場の再生、造成の取り組みを一層推進すること。
 次に、脱炭素社会に向けてでありますが、1、全国トップクラスにある再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限活用できるよう、送配電網の強化に努めるとともに、再生可能エネルギーにより生成した水素の利活用の推進や地域と共生した多様な再生可能エネルギーの導入を促進すること。
 2、災害時においても、地域内で一定のエネルギーを賄えるよう、自立・分散型のエネルギー供給体制の構築とエネルギーの地産地消を進め、地域経済の活性化につなげること。
 3、エネルギー消費量の少ないライフスタイルへの転換に向け、県産材を活用した断熱性能にすぐれた住宅や省エネルギー家電製品などの快適さや便利さなどの付加価値を発信し、普及を促進すること。
 4、脱炭素型への転換を進めるためには、県民一人一人がみずからの問題として関心を持ち、具体的な行動を起こす必要があることから、脱炭素社会の実現に向けた意識改革や行動喚起のためのわかりやすい啓発、広報を行い、さらに機運を高めていくこと。
 5、エネルギーの安定供給、経済成長及び脱炭素社会を目指すGXの実現に向け、あらゆる政策分野で県民や事業者、市町村との連携、協働を深め、脱炭素に向けた施策に総合的に取り組むこと。
 以上のとおりであります。
 結びに、自然環境や資源、エネルギー、社会基盤などを持続可能なものとして次世代に引き継いでいくことは、私たちの使命であります。
 県当局においては、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら、県政運営になお一層の努力を傾注し、地域経済と環境に好循環をもたらす脱炭素社会の実現に向け、より実効性のある取り組みを進めるよう切望し、脱炭素社会調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(城内愛彦君) 次に、吉田観光・交通政策調査特別委員長。
   〔観光・交通政策調査特別委員長吉田敬子君登壇〕
〇観光・交通政策調査特別委員長(吉田敬子君) 観光・交通政策調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、令和5年9月定例会において設置されて以来、9回の委員会及び4回の県内外での現地調査を実施し、観光及び交通政策について調査を重ねてまいりました。
 まず、観光政策に係る現状と課題についてでありますが、観光産業は、宿泊業、旅行業に加え、運輸業、小売業、飲食店業、農林水産業など、裾野が極めて広い産業であり、基幹産業へと成長するポテンシャルを有する総合産業であることから、交流人口の拡大や地域経済への貢献が期待される重要な産業であります。
 そのため、県、市町村、DMO、観光事業者等、官民一体となって、観光産業の付加価値をさらに高め、観光で持続的に稼げる地域、稼げる産業へと変革を進めていく必要があります。
 コロナ禍を経て、環境や社会、経済への影響に配慮した持続可能な観光への関心が世界的に高まっており、国の観光立国推進基本計画においても、持続可能な観光地域づくりが大きな柱として設定されていることから、持続可能な観光の取り組みを推進していくことも必要です。
 県内では、ニューヨークタイムズ紙で盛岡市が2023年に行くべき52カ所の2番目に、また、イギリスのタイムス紙で、みちのく潮風トレイルが日本で訪れるべき14選に選ばれたこと、いわて花巻空港の国際定期便やクルーズ船寄港の再開などを契機に、外国人旅行者の増加と需要の変化が起きており、インバウンドを初めとした旅行者のニーズを捉えた誘客促進の取り組みを進めるとともに、国内外からのみちのく潮風トレイルへのさらなる誘客拡大を図るためには、三陸地域が一体となって取り組みを推進していくことが重要です。
 また、スマートフォン等の普及による旅行者の情報取得手段等の変化に対応した客観的なデータに基づく旅行商品造成、コンテンツの磨き上げ、二次交通対策などの基盤整備が必要であります。
 加えて、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、個人や少人数での旅行、近隣地域内での観光が増加するなど、さまざまな変化が見られることから、観光サービスの変革や新たな観光需要を創出する観光地域づくりの体制強化が必要となっています。
 一方で、日本の総人口は2070年には2020年から約3割減少し、約4割が65歳以上になるとの見通しであり、今後の国内旅行市場への影響は避けられない状況にあります。
 本県も全国の減少率を上回る人口減少が予想されており、国内観光需要の伸び悩みや地域づくりの担い手不足が懸念されることから、地域経済の活性化につながる持続可能な観光振興の取り組みが重要となっています。
 次に、交通政策に係る現状と課題についてでありますが、本県の地域公共交通は、人口減少や少子高齢化、モータリーゼーションの進行に加え、コロナ禍の影響で利用者が激減し、その回復がおくれており、さらに、燃料費高騰などによる運行コストの増大、深刻な運転士不足などの要因が重なり、厳しい経営状況が続いています。
 県土が広大な本県では、日常的な通勤や通学、通院、買い物等でも広域移動を伴うことが多く、近年では、高等学校の再編や医療施設数の減少等により、その必要性がさらに高まっており、鉄道やバスを初めとした広域的な機能を担う地域公共交通の維持、確保は非常に重要な課題であります。
 また、観光利用等にも対応するため、効率的な地域公共交通への見直しや利用促進を図る必要があります。
 一方で、県内の乗り合いバス事業者の運転士は、令和6年度には令和元年度から約26%減少しています。高齢化や待遇水準が他業種と比べて低いこと等により、なり手が不足しており、運転士不足を原因とした減便や路線廃止が実施されていることから、若年層を中心とした運転士の採用と定着が急務であります。
 加えて、バスの国庫補助、県単補助路線の特例措置終了により、補助要件を満たさなくなる場合、補助路線の廃止が懸念されます。
 県内においても、MaaSやAIデマンド交通等の導入、自動運転の実証実験など、多様な主体の連携やICTを活用した取り組みが進められていますが、さらなる利便性の向上や運行の効率化などに向け、新技術の活用を検討していく必要があります。
 本委員会としては、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、観光及び交通政策に関する今後の施策の推進に当たり、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し入れるものであります。
 まず、観光政策についてでありますが、1、環境、社会、経済の三つのバランスのとれた観光地域づくりを推進することで、交流人口、関係人口の拡大に結びつけ、観光産業を地域の基幹産業へと成長させ、持続可能な観光を推進すること。
 2、観光サービスの変革や新たな観光需要を創出する地域DMOを初め、地域が主体となった観光推進体制づくりや人材育成などの取り組みを強化すること。
 3、データに基づくマーケティング分析を生かして、消費者目線での旅行商品の造成、旅行者の動態に合わせた観光コンテンツ開発や二次交通対策などの基盤整備、高齢者や障がいのある方、外国人旅行者など多様なニーズに応じた受け入れ環境整備を行うこと。
 また、みちのく潮風トレイルに代表されるアドベンチャーツーリズムのニーズの高まりを捉え、三陸の多彩なコンテンツを活用し、地域一体となって推進すること。
 4、外国人旅行者のニーズを捉えたプロモーションを展開し、経済効果の高い高付加価値旅行者の獲得につなげ、インバウンドを初めとした誘客拡大を推進すること。
 次に、交通政策についてでありますが、1、県民が安全・安心に暮らすことができる生活環境を維持するため、市町村間をまたいで運行する広域的な移動手段を維持、確保するとともに、運転士の確保を図るため、採用や離職防止に向けた待遇改善への支援や情報発信を強化すること。
 2、日常生活に必要な通学、通院等の広域移動を円滑に行えるよう、広域的な公共交通と地域内公共交通との適切な接続接点の形成や、さまざまな交通手段がシームレスにつながる接続利便性の向上を推進すること。
 3、国、県、市町村、交通事業者に加え、観光、医療、福祉、教育分野などの主体が連携して、DX、GXの推進を通じた利用者の需要に対応した環境整備や地域公共交通の利用に向けた県民の意識醸成に取り組み、地域公共交通の活性化を図ること。
 4、市町村との連携や技術的助言などにより、地域の特性や需要等に合わせた持続可能な地域公共交通ネットワークの形成に向けた体制強化を図ること。
 以上のとおりであります。
 結びに、人口減少、少子高齢化が進行する中、活力ある地域社会を維持し、発展させるためには、交流人口を拡大させ、地域経済の活性化に寄与する取り組みを推進していくことが求められています。
 県当局においては、本委員会の意見や要望に十分に配慮しながら、県政運営になお一層の努力を傾注し、県民が将来にわたり豊かな生活を営むため、地域社会の好循環を生む観光産業のさらなる発展に取り組むとともに、広大な県土の移動を実現する持続可能な交通体系の構築に取り組むことを切望し、観光・交通政策調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(城内愛彦君) お諮りいたします。各調査事件については、これをもって調査を終了したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(城内愛彦君) 御異議なしと認めます。よって、各調査事件については、これをもって調査を終了することに決定いたしました。
   
   日程第33 特別委員会の中間報告
〇議長(城内愛彦君) 次に、日程第33、特別委員会の中間報告であります。
 東日本大震災津波復興特別委員長から、中間報告をいたしたいとの申し出がありますので、この際、発言を許します。岩崎東日本大震災津波復興特別委員長。
   〔東日本大震災津波復興特別委員長岩崎友一君登壇〕
〇東日本大震災津波復興特別委員長(岩崎友一君) 東日本大震災津波復興特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 東日本大震災津波から14年7カ月が経過しました。これまでにハード面の整備はおおむね完了しましたが、被災地における生活再建先でのコミュニティーの形成や活動の定着、心のケアなど、まだ課題は残されています。
 また、令和4年から続く物価高騰に加えて、本年2月には大船渡市で大規模林野火災が発生するなど、これらが被災地の県民生活と地域経済にも大きな影響を及ぼしています。
 このような中、本委員会は、前任期に続き、令和5年9月臨時会において設置されて以来、11回にわたる委員会の開催及び延べ16回の現地調査を実施し、被災市町村や復興に向けて取り組んでいる方々等と意見交換を行ってきました。
 被災地の現状と課題についてでありますが、国では、令和3年度から令和7年度までを第2期復興・創生期間と位置づけ、引き続き、復興の円滑かつ着実な遂行を期するための取り組みを進めてきたところでありますが、同期間以降について、引き続き被災地の復興に向けて総力を挙げて取り組むとの方針を示しつつ、中長期的課題の支援体制を強化し、政府全体の施策の活用等を図るため、本県については、岩手復興局から復興庁本庁が直接支援する体制に移行するとされたところであります。
 この間、県においては、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン復興推進プランに掲げる4本の柱のもと、第1期復興推進プラン期間内に終わらなかった社会資本整備や被災者支援、産業振興等の復興事業、震災の事実や教訓の伝承、発信のほか、物価高騰や主要魚種の不漁、今後起こり得る巨大地震、津波への対応など、復興の進展に影響を与える新たな課題に対する取り組みに継続して取り組んでいるところであります。
 安全の確保については、残るハード面の整備が進められ、今年度以降も一部の海岸保全施設等の整備が続く見込みであるほか、ソフト面については、防災文化の醸成などの取り組みも進められています。
 なお、本年1月に県が実施した調査では、防潮堤などのハード整備や避難訓練の実施などのソフト面の取り組み等により、災害に強い安全なまちづくりが進んだことを実感する声がある一方で、年数の経過による風化への懸念や将来の地震、津波対策の重要性を指摘する声もありました。
 また、本年6月に本県は条件つきで解除されたものの、ALPS処理水の海洋放出に伴う中国の輸入停止措置等により、本県水産業は影響を受けています。
 暮らしの再建については、恒久的な住宅移行後のコミュニティー形成、運営支援や被災者の心のケア、被災児童への支援、復興教育などの取り組みが進められています。
 しかし、被災者支援窓口には、依然として多くの相談が寄せられており、引き続き、生活面や生活設計の面などで課題を抱える被災者の生活安定に向けて、専門家等と連携した支援が必要であり、時間の経過に伴う高齢化や物価高騰の影響などにより、一層複雑化、多様化した課題を抱える方々に対する中長期的な心のケアの取り組みも必要であります。
 なりわいの再生については、県産農林水産物などの販路拡大、中小企業等の施設、設備復旧支援や債権買い取りなどの金融支援、観光キャンペーンの展開など、地域産業の再生に向けた取り組みが進められています。
 その一方で、被災地の基幹産業である水産業においては、主要魚種の記録的な不漁により水揚げ量が減少しており、漁業者の減収だけでなく、水産加工業にも大きな影響が生じているほか、人口減少や物価高騰の影響等により、水産業以外の幅広い事業者にも大きな減収が生じているなど、地域経済が打撃を受けています。
 また、住宅再建などのために造成した土地や防災集団移転促進事業の移転元地等を、企業誘致に向けた産業集積の取り組みや農用地、商業用地などとして有効活用する取り組みにおいては、点在する土地の集約に苦慮しているなど、地域により取り組み内容や検討状況に差が生じています。
 さらに、原木シイタケの出荷制限指示や出荷制限地域の原木が使用できない状況がいまだ続いており、引き続き、出荷制限指示の解除や必要な原木の確保に向けた取り組みが必要であります。
 未来のための伝承・発信については、東日本大震災津波伝承館の運営のほか、東日本大震災津波を語り継ぐ日条例の趣旨にのっとった各種フォーラムの開催による震災の事実や教訓の伝承、復興支援への感謝と復興の姿の発信の取り組みが進められています。
 その一方で、近年の全国的な自然災害の激甚化、頻発化により、災害への備えは一層重要となっており、地域の防災力の強化や国内外の防災力向上に資するためにも、震災の教訓や知見等を広く発信していくことが必要であります。
 本委員会では、これまでの調査結果を踏まえ、県当局に対し、東日本大震災津波からの復興を被災者が実感できるものとなるよう、次の事項に配慮して取り組まれることを要請します。
 1、安全の確保については、近年、これまでに経験したことのないような自然災害が国内外で多発していることや今後起こり得る日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震などに備え、完成していない海岸保全施設等の早期完成に向けて着実に取り組むとともに、地域における防災意識の向上や防災文化の醸成と継承に継続して取り組むこと。
 また、ALPS処理水の処分について、国に対し、国民への丁寧な説明や万全な風評対策など、国内外の理解と安心が得られるよう取り組みを継続して行うよう求めること。
 2、暮らしの再建については、いわて被災者支援センター、岩手県こころのケアセンター、いわてこどもケアセンターを初めとした相談窓口において、時間の経過や物価の高騰等に伴い、複雑化、多様化した問題を抱える被災者一人一人に寄り添った、きめ細かで専門的な心のケア等の支援がなされるよう、継続して取り組むこと。
 また、被災者個々の生活再建状況に応じた切れ目のない支援、恒久的な住宅移行後のコミュニティー形成と運営への支援を充実させること。
 3、なりわいの再生については、主要魚種の記録的な不漁への対応として行っている主要魚種の資源回復、増加している資源の有効活用、県内各地で取り組みが進んでいるサケ、マス類の海面養殖を初めとした新たな漁業、養殖業の導入などの取り組みや地域水産業の再生、商品開発や販路開拓等の取り組みに対する支援に継続して取り組むこと。
 また、人口減少や物価高騰への対応、事業承継、DXの推進など、被災地の企業が抱える経営課題の解決や新たな事業を立ち上げる起業者等に対するニーズをきめ細かく把握した上での支援や、関係団体と連携した継続的な支援を充実させること。
 さらに、被災地の土地活用の促進に向けて、復興庁のハンズオン型ワンストップ土地活用推進事業の活用や同庁と連携した市町村による取り組みの支援、また、原木シイタケの産地再生に向けた放射性物質に対する消費者の不安の払拭、安全なシイタケ原木の確保などに継続して取り組むこと。
 未来のための伝承・発信については、東日本大震災津波伝承館などの伝承施設、震災遺構を活用した復興、防災教育に継続して取り組み、震災の事実と教訓を風化させることなく次世代に伝承するとともに、復興の姿を国内外に発信していくこと。
 なお、以上の取り組みを推進する際には、沿岸地域の人口減少に歯どめをかけ、経済を活性化するため、復興の進捗に伴い変化する被災地域の課題を丁寧に酌み取り、市町村や国、関係団体と緊密に連携しながら、復興道路等の新たな交通ネットワークや地域資源を活用した産業振興、交流人口の拡大など、地方創生の取り組みを総合的に推進すること。
 また、被災者の心のケアや被災地の経済の活性化等、中長期的視野での対応を要する取り組みについては、被災地に寄り添った人的、財政的支援を継続し、一日も早い復興の実現に向け邁進するとともに、復興庁を初めとした国に対しても、必要な施策が確実に推進されるよう求めること。
 以上のとおりであります。
 結びに、被災者一人一人が復興を実感し、ふるさとの未来に希望が持てるような三陸地域の創造と発展に向けて、なお一層注力されることを切望し、東日本大震災津波復興特別委員会の報告といたします。(拍手)
   
   日程第34 発議案第1号「カリキュラム・オーバーロード」の改善を求める意見書
〇議長(城内愛彦君) 次に、日程第34、発議案第1号「カリキュラム・オーバーロード」の改善を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。佐藤文教委員長。
   〔文教委員長佐藤ケイ子君登壇〕

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