令和6年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録 |
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〇26番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。皆さん、大変お疲れさまです。よろしくお願いいたします。
第1に、人口減少対策について伺います。 決算特別委員会の総括質疑において、全国知事会の提言として、大学や企業の本社機能や研究開発部門の地方分散の推進取り組みについて、知事は、半導体を初めとした製造部門の誘致とあわせて、研究開発部門を含む本社機能の移転の取り組みを支援していると答えていますが、そこで、改めて支援の具体的内容と成果など、本県の実績について伺います。 大学等の教育分野における県内学生の受け皿としての動向について、進学のために県外に離れていく学生が、社会減の大きな要因の一つとなっています。 11月6日の岩手日報論壇の北上市立大学計画の試算見直しをとの意見によると、国が本年度から集中改革期間として私立大学に5年間財政支援を行うほか、国の大学では、理系学部の拡充により入学定員が1万9、000人もふえると述べています。 こうした中で、工業系の北上市立大学の開学への動きに対して、全国の動向や県内の各教育機関の体制を踏まえると、独自の開学に対する費用対効果など十分な説明が必要だと問題提起されています。 私は、北上市の取り組み自体を否定するものではありませんが、現実的に、国の新たな動向が投稿者の指摘のとおりであるならば、むしろ、この国の動きこそ、地方創生の具体の展開として、地方自治体がみずから身を削って新たな大学等を整備するのではなく、中央からの著名な大学などの地方移転や分散などを誘導すべきではないかと考えます。 そこで、本県における大学等の分散整備の現状と県の取り組みについて伺います。 東京一極集中の問題を論じるときに、国の具体的な政策として抜本的で大胆な地方移転を促す政策が必要であり、知事の言う、地方と都会のバランスのとれた人口構造への転換を進めるために、石破政権が掲げる新たな地方創生施策について、どうあるべきとお考えか、所見を伺います。 人口減少問題について、失われた30年の影響を踏まえて議論するとき、勤労者の雇用と経済環境の劣化が影響しており、安心して働き、人生設計を描くことのできる安定した賃金と雇用を確立することは、結婚、出産、子育てにとって一丁目一番地の問題であります。 これまでも多くの議論が交わされているところですが、特に非正規雇用について、本県の状況もしっかりと把握し、その対策を講じていかなければなりません。 昨年7月に公表された令和4年就業構造基本調査の直近、2022年非正規雇用割合は35.5%で、前回、2017年より0.2ポイント減少していますが、実質的に2017年からのデータを見ても、35%前後の頭打ち状態で推移しており、非正規雇用者が固定化され、改善していないと思われます。 この非正規の改善率の低さと固定化に見られる状況に対して、県としての評価を伺います。 次に、賃金実態について、毎月勤労統計調査、男女別常用労働者の1人平均月間現金給与額の本県の実態について確認したところ、震災前の2010年から昨年の2023年の13年間で、5人以上規模事業所で、総額で9、834円しか上がっておりません。 男女別では、男性はむしろマイナス5、719円、女性がプラス2万7、295円となっています。しかし、男女賃金格差は8万7、417円もあり、13年間に3万3、014円の格差が縮小されたものの、依然として大きな格差となっています。 何よりも驚きなのは、先ほど述べたとおり、総額でわずかしか上がっていないこと、男性はマイナスになっていること、そして、女性の賃金格差は依然として改善していないことであります。改めて失われた30年の深刻な姿を見る思いであります。30人以上規模事業所においても、この傾向は全く同じでした。 県では、こうした賃金格差の現状に対して、どう認識し、これらの改善に向けて、中小企業等賃上げ環境整備支援事業費補助や魅力ある職場づくり推進事業費補助金等によって、どのような改善と成果が得られているのかという点と、さらなる具体的な取り組みについても伺います。 自由民主党政治によって大企業優位の労働者派遣制度を強行に導入し、当初の特定16業種から、徐々に派遣労働業種をふやし、最終的に今日の全ての業種に拡大した結果、当初から危惧されていたとおり、派遣労働者が雇用調整弁となり、正規と非正規の格差によって賃金は上がらず、雇用は不安定化しました。今を生きるのに精いっぱいの若者たちや勤労者は、未来の人生を描くことができず、深刻な人口減少に拍車をかけた根幹であると思います。 改めて、国に対する非正規雇用問題を含む労働法の見直しやその労働環境と賃金の改善について、抜本的な対策を講じるよう強く求めるべきですが、伺います。 次に、保健医療政策について。 がん対策基本法に基づく第4次推進計画として、岩手県がん対策推進計画を令和6年3月に策定しておりますが、改めて、がん対策に係る諸課題等について伺います。 がんとの共生に関して、がんは、早期発見、早期治療によって治せる病気であり、がん患者の3割が働く世代の方々です。治療しながら働き続ける人も少なくありません。がんの5年相対生存率は、男女計で62.1%と年々伸びております。女性に多い乳がんに至っては91.1%と、がん種によって完治が期待されるものもあります。 しかし、内閣府の世論調査では、がん全体の5年生存率が50%を超えていることを知っているのは3割を切っているということです。そうしたことから、まだまだ怖い病気であり、告知されると、仕事をやめて治療に専念する傾向も多いと言われています。 ただ、がんと診断されたときに、あわてて仕事はもうできないと諦めずに、治療を受けながら働き続けられる環境や、条件を冷静に判断できる医療機関との相談機能や職場環境を整えていく必要があります。 昨年5月24日に岩手日報に掲載された、当時、厚生労働省医系技官の丹藤昌治さん、50歳の経験談が紹介されていました。肺がんと骨への転移でステージ4と診断されましたが、転移数が少ないオリゴ転移との判断で、肺摘出手術を受け、分子標的薬による錠剤服用により、深刻な副作用もないことから仕事を再開したとのことです。発病から2年、普通に仕事ができるまで回復したとのことでした。ただ、丹藤さん自身は職場環境に恵まれたが、病気をオープンにできない患者も多いため、社会の受け入れ環境はおくれていると述べています。 丹藤昌治さんの経験は2年足らずの間に起きていることですが、私は、丹藤昌治さんと全く同じ病状、手術、薬物療法を受けて9年目となります。昨年には再発が確認され、左手首の骨腫瘍摘出手術と抗がん剤の変更をいたしましたが、私自身も、身の回りの方々の理解と協力によって、こうして活動できていることに感謝しなければなりません。 そこで、仕事と両立するための環境づくりや相談支援体制について、どう取り組まれているのか伺います。 また、例えば、岩手県がん検診受診率向上プロジェクト協定締結企業などでは、実際にがん患者の就労実態や環境整備などについても取り組まれているのか。取り組まれているとすれば、このプロジェクト事業を就労環境整備促進としても活用すべきだと考えますが、伺います。 がん患者の社会的な問題への対応として、がん治療に対する経済的負担に対する不安の声も多く聞かれる課題であります。がんと診断を受けたときから、病気に対する不安、家庭、仕事に対する影響への不安、そして経済的負担への不安です。対策項目には、経済的負担への不安について、具体的に取り組む方向性が示されていません。 患者個人の病状と治療方針、生活環境によって保険適用内容も異なりますから、個別事例として対応することは当然ですが、いわゆる標準的治療の保険制度や所得階層別の平均的な負担割合の情報提供、健康保険限度額制度の仕組みについては、被保険者から示される自己負担限度額と区分表によっておおよそのことは理解できますが、がん患者とその家族にとっては、重要な情報の一つであると思っています。この経済的負担に対する情報も、仕事との両立を意識させる上で重要となります。 私の事例で申し上げれば、医療費自己負担限度額は月約25万2、600円です。毎日服用する抗がん剤1錠の薬価は約1万8、540円ですから、掛ける30日で月55万6、200円、3割負担で16万6、860円ということになります。このほか、副作用のための薬、外来診療費は、定期的なCT、MRI検査を初め、月によって限度額超えのため、満額いっぱいの負担感は大変大きいものがあります。 これらの診察治療費に加えて、入院や手術費用が加わりますから、こうした点も心理的に、がんと診断されたときから、本人と家族にとっては大きな不安の一つになります。2022年度のデータとして、県内のがん診療連携拠点病院等の10の医療機関での総相談件数が5、965件、そのうち経済的な相談件数は2、836件、47.5%と約半数を占めています。 その上、このたびの報道では、政府は高額療養費制度の上限額を引き上げる検討に入ったとのことであり、経済的不安に対してケアできる環境についても推進計画にしっかりと明記し、きめ細かい対応をしていただきたいと思いますが、お伺いします。 がん医療の充実について、医療機関の整備と医療連携体制の構築として、地域密着で提供すべき医療と高度、専門的ながん医療の役割分担について、身近ながん医療を引き続き各圏域で提供するとしています。 がん患者の受療動向と医療完結率のデータが紹介されていますが、例えば、圧倒的に盛岡医療圏に胆江、両磐、久慈医療圏以外の3割が依存し、県北、沿岸地域の医療完結率が5割台という動向を見るとき、患者の受療動向で高度、専門医療のがん診療拠点病院から標準治療や在宅療養支援の地域がん診療病院へ転院し、役割分担が促されているのか伺います。 また、盛岡医療圏のその動向の高さには、岩手医科大学附属病院と県立中央病院という拠点医療機関の存在が大きいわけですが、とりわけ岩手医科大学附属病院での2023年がん治療実績は、手術、放射線治療では県立中央病院の倍近く、薬物療法については全県の64.5%となっており、県立病院を軸とする他の8医療圏の身近ながん医療を提供する病院との関係において、本計画による役割分担についてはどのように共有され、対応されているのか伺います。 がん対策の最後に、今回、新たな高度医療の一つであるサイバーナイフ治療機器が、県立中部病院に県内で初めて整備されることとなりました。その治療効果が大いに期待されますが、改めて、この機器導入によるがん医療への効果と、あわせて、こうした高度医療機器を公立医療機関として整備する意義についても伺います。 第8次岩手県医師確保計画、第5章、産科及び小児科の医師確保計画において、周産期医療体制の項目として、潜在助産師の復職支援や助産師志望者への修学支援、また、地域における分娩取扱施設の確保、継続支援としています。 改めて、県として、分娩取扱助産所に対してはどう認識されているのでしょうか。計画の体制方針では分娩取扱施設の確保としか記述されておらず、助産所の必要性についての方針が明確ではありません。 以前、神崎浩之議員との分娩取扱助産所の取り組みに対する議論では、分娩を取り扱う助産所の必要性の議論については、岩手県周産期医療協議会などで具体的な議論を行ったことはないとして、周産期医療体制の確保における方策の一つと考えられる一方で、嘱託医師や嘱託医療機関を担う産科医、産科医療機関の負担の問題もあると消極的な答弁でした。 本県の周産期医療体制と産科医不足が恒常的な問題となっている中で、助産所の整備について、医療法第19条の嘱託医師、嘱託医療機関の確保や日本助産師会が示す分娩を取り扱う助産所の開業基準と合わせた二重の壁が、開設、整備を阻む要因となっていることは明らかであり、産科医の負担と妊産婦の負担は、結果的に増すばかりの状況になっていないでしょうか。 そこで、全国初め、特に東北地域で開設されている宮城県の3施設、福島県の1施設の助産所では、どのような実績を上げているのか、また、医療法第19条と日本助産師会開業基準に対してどのような対応がされているのか伺います。そして、実際に嘱託産科医の負担がふえているのか、あわせて伺います。 〔副議長退席、議長着席〕 公益財団法人日本オストミー協会岩手県支部では、県内の自治体などに対してオストメイトの生活の質の向上に向けて、地域の環境整備と支援対策について要請、要望の取り組みを進めています。 そこで、オストメイトの本県における実態はどのようになっているのか伺います。 また、幾つかの要請課題に対する県としての対応や支援、あるいは市町村との連携も含む具体的な取り組みについて伺います。 第1は、日常生活用具給付等事業における排せつ管理支援用具に関する給付基準額の見直しについて、2006年に国管理から市町村が管理する日常生活用具給付事業に移管されてから、この20年間において徐々に見直しされたところもありますが、日本オストミー協会の調査によると、市町村の約80%は見直しが進んでいないとしています。 現行の給付基準額ではオストメイトへの負担も大きく、昨今の物価高騰の影響もあり、メーカーの装具類の値上げなども相次いでいるということで、このような実情について、県として市町村の給付事業の把握に努めながら、必要な支援について対応すべきですが、伺います。 第2は、災害時におけるストーマ装具の災害預託への対応についてですが、日本オストミー協会岩手県支部では、災害対策の自助の一環として、オストメイトが使用しているストーマ装具の家、親戚、友人宅、職場等への分散保管を進める中、多発する災害への備えとして、自分仕様のストーマ装具を避難所などに預かってもらう取り組みをお願いしています。 東日本大震災津波のときに救援物資として送られてきた装具では、その仕様が異なり利用できなかった経験から、こうした取り組みを行っていると聞いています。保管方法は、1年ごとに本人自身が自分用ストーマ装具や附属品一式を預ける内容で、滝沢市がこれに対応しているとのことです。 そこで、この対応を市町村任せとせず、県としての災害対策上の位置づけを検討いただき、市町村と連携した対策を講ずるべきですが、お伺いいたします。 また、避難所対策として避難所における取り組み指針が策定され、避難所運営ガイドラインにおいて、トイレの特別ニーズ対応項目に、人工肛門、人工膀胱保有者のための装具交換スペースを確保することが盛り込まれており、避難所開設や既存の公共施設における対応、そして、今般変更される岩手県広域防災拠点配置計画に基づく、広域防災拠点構成47施設を含む機能整備が求められますが、令和6年11月9日に避難所の環境改善に関する防災備蓄品の導入補助方針を政府が固めたとの報道もあり、その意味でも今後の対応について伺います。 同9月6日の報道によると、厚生労働省は、医師の偏在解消について、厚生労働省医師偏在対策推進本部を設置し9月5日から議論を始めたとのことですが、前武見敬三大臣が、偏在対策は待ったなしの課題、解消する強い覚悟と決意で検討をと述べ、規制を含め前例にとらわれない方法で問題を解決するとしています。 具体策として、開業医の多い地域での開業希望に対する、救急など地域に足りない機能を担うよう要請できることや、保険医制度の見直しで、保健医療機関の管理者になる要件に、一定の保険診療実績を院長就任要件に加え、全国規模での医師のマッチング支援、医学部の地域枠を医師少数県に多数県から振り分けることも検討するとしています。 また、マッチング支援や地域枠の拡大策も、従前の取り組みの課題からいえば、問題は医師の定着率をいかに高めるかという点であり、こうした厚生労働省の新たな医師偏在対策の検討の方向について、これまでの本県の偏在対策の取り組みの中で、本県の課題に照らし合わせ、どのような所見か知事に伺います。 また、知事自身は、地域医療基本法(仮称)の制定を求めていますが、今回、医師偏在の是正という観点に踏み込む状況があるのでしょうか。厚生労働省は、医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会の意見を年内にもまとめたいとの意向であるようですが、さらに強力な医師偏在是正策を盛り込んだ地域医療基本法(仮称)の制定を、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会として国に求めていく必要があると思いますが、伺います。 防災対策について伺います。 本年、岩手県広域防災拠点配置計画が見直されましたが、その特徴的な変更点では、広域防災拠点エリアが追加され、それに伴って構成施設も、これまでの29施設から47施設に拡充されました。これら拡充による見直しの狙いと背景、それに伴って期待される防災機能の効果について伺います。 また、福祉避難所などの避難行動要支援者が避難する施設に対する広域防災拠点構成施設の機能と役割として、どのように検討し取り組むのか伺います。 加えて、先ほどもオストメイト対応の避難所整備に関して取り上げましたが、このたびの防災備蓄費の政府による補助方針は、報道されている内容では、移動トイレ、トレーラー、キッチンカー、生活用水の確保など、避難所環境の改善等により、被災者の避難生活について健康維持を図ることとしています。 そこで、こうした備蓄資材の調達に当たって、防災対策資機材の開発や製造などに取り組む県内事業者の活用が期待されるところであり、本県発の活用策についても県として積極的に対応すべきですが、お伺いいたします。 あわせて、今後、政府が避難所運営について国際基準を反映させた自治体向け指針の改定に向けた動きがあるようですが、県として対策の強化が一層求められると思います。今後の対応についても伺います。 有機農業の取り組み拡大について伺います。 有機農産物の生産に向けた取り組みの全国的な広がりが強まっております。農林水産省は2050年までにオーガニック市場を拡大し、耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を2017年2万3、500ヘクタールから2030年で6万3、000ヘクタールとして、2050年目標として25%、100万ヘクタールへの拡大を掲げています。 こうした取り組み方針のもと、有機農業の面積拡大に向けて、地域ぐるみで有機農業の生産から消費まで一貫して取り組むオーガニックビレッジについても、2025年までに100市町村、2030年までに200市町村創出することを目標として全国各地で産地づくりを推進していますが、今年度で既に2025年目標を上回る129市町村に拡大しています。 本県では、一関市が本県第1号となるオーガニックビレッジ宣言をして、高能率水田除草機実演や有機農産物のPR、学校給食への有機米の提供に取り組まれ、花巻市が、ロボットによる除草省力化技術実演会、有機野菜販売会の開催などに取り組み、有機農業実施計画のもと、去る11月27日にオーガニックビレッジ宣言を行っています。 そこで、本県の有機農業の取り組みについて、岩手県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画によれば、アドバイザー派遣や技術交流会の開催、消費促進に関する事項では、販路拡大と事業の理解促進といった内容ですが、積極的な生産拡大などに取り組もうとする内容として不十分だと感じます。 さらに、いわてのお米ブランド化生産・販売戦略ビジョンが策定されましたが、高品質、良食味米の生産と新たなニーズへの対応の必要性を示し、多様なニーズに対応した生産、販売及び消費拡大による全国トップクラスの米生産地としての地位の確立としていますが、有機農業の取り組み拡大に明確に取り組む姿勢が、このビジョンでも見えません。 県は、オーガニックビレッジの取り組みは、本県の有機農業を推進する上で重要であるとしていますが、市町村支援の取り組みだけではなく、主体的かつ積極的な取り組みや有機農産物の位置づけも含め取り組み内容を強化し、オーガニック市場への展開を推し進めるべきだと思いますが、お伺いいたします。 最後に、首都圏など関東近辺で頻発している、いわゆる闇バイト関連事件について、日々報道されている情報に対して、多くの皆さんは、いつからこんなに日本社会の治安が悪化し、未来ある若者たちが、犯罪行為に余りにも簡単にかかわり、傷害や死亡に至る暴力を実行してしまう事態に、大きな衝撃と不安が拡大しています。 そこで、改めて本県の状況についてお伺いいたします。 以上で登壇しての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、企業の本社機能等の移転についてでありますが、企業の本社機能や研究開発部門の地方への分散を促進するため、国においては、地域再生法に基づき、建物の取得額や新規雇用者数に応じて税額控除等を行う地方拠点化税制を平成27年度に創設しています。 県においては、平成28年度に、県独自に県税の減免や企業立地促進奨励事業費補助金のかさ上げなどの優遇制度を創設し、誘致企業に対する制度の紹介や、特に研究開発部門の県内への移転の提案などの働きかけを進めてまいりました。 こうした取り組みを通じ、大手コネクタメーカー、また、車載用メーターディスプレーの世界的なメーカーが盛岡市に開発拠点を設けるなど、研究開発部門の県内への拠点設置が進んでおります。 今後も、若者や女性、高度技術人材などの多様な人材の働く場を確保し、東京圏から地方への人の流れをつくるため、国への支援制度のさらなる拡充の働きかけを行いながら、引き続き、企業の本社機能等の県内への拠点設置に向けた誘致活動を進めてまいります。 次に、石破政権が掲げる新たな地方創生施策についてでありますが、国では、令和6年6月に公表した地方創生10年の取組と今後の推進方向における、人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至っていないとの振り返り等を踏まえ、令和6年11月に閣議決定した国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策において、新たな地方創生施策、いわゆる地方創生2.0を展開する旨の方針を示しました。 現在の極端な東京圏への転入超過の状況を変え、地方と都会でバランスのとれた人口構造に転換していくためには、まさに、今回国が示した、地方こそ成長の主役であるという認識を国民全体で共有し、国と地方が一体となって、地方創生の取り組みを加速化、深化させていくことが必要と考えます。 新たな総合経済対策では、新しい地方経済・生活環境創生交付金の創設や地方創生交付金の当初予算ベースでの倍増、農林水産業の持続可能な成長、食料安全保障の強化など、地方重視の政策に関する記載が盛り込まれており、一定程度評価できると考えています。 一方で、大学、企業の本社機能の地方への分散や政府関係機関の地方移転、国民理解の醸成など、東京一極集中の構造そのものを是正するような対策への言及がなかったものと認識しており、今後、国の新しい地方経済・生活環境創生本部において、地方の意見も踏まえた議論がなされ、具体的な対策が打ち出されることを期待します。 次に、労働環境の改善等についての国への働きかけについてでありますが、本県の非正規労働者の割合は、59歳以下の働き盛り世代では改善傾向にあり、また、自分の都合のよい時間に働きたいからなど、個人や家庭の都合により非正規雇用を選択する労働者が増加し、正規の職員、従業員の仕事がないからといった不本意な非正規労働者の割合は、減少の傾向にあります。 一方で、就職氷河期世代を含む働き盛りの年齢層の非正規労働者のうちの10%を超える労働者が正規雇用を望んでおり、引き続き、関係機関等と連携して、非正規社員の正社員転換や処遇改善などを促進していく必要があります。 このような考え方のもと、政府予算要望において、正社員雇用の拡大や非正規労働者の正社員化を含め、雇用、労働環境の改善に資する制度の推進を要望しており、加えて、全国知事会を通じ、若年者の正規雇用の促進や賃金、給与の向上に向けた環境整備などを要望しております。 県としても、いわてで働こう推進協議会を核に、引き続き、経済団体や労働団体を初めとしたオール岩手で、労働環境や処遇改善を含め、安定した雇用の確保に取り組んでまいります。 次に、国における医師の偏在対策についてでありますが、木村幸弘議員御案内のとおり、国においては、医師偏在是正のための総合的な対策パッケージを年内に策定することを目指して議論を進めていますが、現在示されている骨子案においては、医師確保計画の深化、医師の確保・育成、実効的な医師配置を三つの柱とした7項目が示されています。 県ではこれまで、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を初め、さまざまな機会を捉えて、本県の課題を踏まえた医師不足の解消と医師偏在の是正を国に要望してまいりました。 その結果、現在示されている骨子案においては、医師少数区域での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大や臨床研修の広域連携型プログラムの制度化、医師多数県の臨時定員地域枠の医師少数県への振りかえ等が盛り込まれております。 骨子案においては、財源を含めた詳細な部分が示されておらず、引き続き、より実効性のある医師不足、偏在対策が国の責任において実施されることを目指し、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会による国への提言活動等に取り組んでまいります。 次に、医師偏在是正の取り組みについてでありますが、本県で提案している地域医療基本法案については、草案の第2条において、医師を偏りなく地域に配置すること等により、国民が、その居住する地域にかかわらず、ひとしく適切な医療を受けることができることを基本理念としており、木村幸弘議員御指摘の医師偏在の是正は、まさに地域医療基本法案の目指すところであります。 医師偏在是正については、先ほど御答弁しましたように、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会として国に強く求めてきたところであり、引き続き、本県が提唱している地域医療基本法案の趣旨が実現する施策について、県民が必要な医療を地域で適切に受けられるよう、知事の会として国に求めてまいります。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、非正規雇用割合の評価についてでありますが、本県の非正規雇用の現状については、先ほど知事が答弁申し上げたとおりであり、正規雇用を望んでいる労働者への対応を含め、安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手県を実現していくことが重要であると考えております。 このような考え方のもと、岩手労働局や市町村と連携し、人への投資や若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の構築などを含めた安定的な雇用の確保等に関する要請を行っているほか、氷河期世代を含む働き盛りの年齢層の正規雇用を望んでいる労働者を対象に、経済団体や労働団体等と連携のもと、いわて就職氷河期世代活躍支援プラットフォームを設置し、スキル取得や資格取得の支援など、キャリアアップにつながる取り組みなどを行っております。 こうした取り組みを通じまして、非正規社員の正社員転換や処遇改善など、安定した雇用の確保を図っていきたいと考えております。 次に、賃金格差等についてでありますが、毎月勤労統計調査に基づく5人以上の規模の1人平均月間現金給与額については、全国平均にあっても、この13年間において26万3、000円余から27万1、000円余と8、000円の増加となっており、本県もこれとおおむね同様の傾向にあると受けとめております。 また、賃金水準については、例えば、連合岩手の春闘による正規労働者の賃上げ額によれば、長く同水準で推移していた賃上げ額が、昨年、そして本年と大きく引き上げられており、今後、毎月勤労統計調査の結果にも、こうした状況が反映されてくるのではないかと考えております。 県においては、社会減対策や中小企業者の賃上げ対応の側面を含めて、木村幸弘議員御指摘の補助金を初めとしたさまざまな取り組みにより、中小企業者の雇用、労働環境の改善に向けた支援を行っており、こうした取り組みにより、経営革新計画を策定する中小企業が着実にふえているほか、労働時間を変えずに週休3日制を導入するなどといったさまざまな取り組みが広がっております。 今後も引き続き、中小企業者のニーズや社会経済環境の変化に適切に対応しながら、性別にかかわらず、一人一人が生き生きと活躍できる社会の実現に取り組んでまいります。 〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、がん治療と仕事の両立に対する取り組みでありますが、県では、本年3月に策定した第4次岩手県がん対策推進計画において、がんとの共生やそれを支える基盤整備の項目を分野別施策として位置づけ、がん患者への就労等に対する支援を進めていくこととしております。 具体的には、県内全てのがん診療連携拠点病院などにおいて、がん相談支援センターを設置し、就労を含めた患者支援の取り組みを行っているほか、県が作成しているがん患者向けの、いわてのがん療養サポートブックにおいて、同センターを初めとした就労等に関する各種相談窓口の紹介を行っております。 また、がん治療と仕事の両立等の社会参加や療養生活への支援を図るため、がん治療に伴う外見変化により、医療用ウイッグなどの医療用補整具を使用する患者に対し、市町村とともに、その購入費用の補助を行っているところであります。 そのほか、岩手労働局や独立行政法人労働者健康安全機構岩手産業保健総合支援センターでは、個人に対する就労支援のほか、企業に対する患者への就労環境への配慮などに関する助言などを行っており、そのような関係団体とも連携を図りながら、治療と仕事の両立に対する取り組みを進めているところであります。 次に、がん検診受診率向上プロジェクトについてでありますが、この協定は、がん検診の受診率の向上に向けた取り組みを県と企業や事業所、団体等が協働で進めることにより、がんの早期発見、早期治療を推進し、県民の健康増進に資することを目的としており、現在、18企業等と協定を締結しております。 協定締結後の取り組みとしては、県や市町村、企業が作成した受診勧奨に係るリーフレットの配布や公開セミナーを開催しております。 現在の協定上、がん治療と仕事の両立支援に係る取り組みは実施していないところでありますが、事業者の理解促進やがん患者の就労環境の向上は重要と考えており、取り組みの拡大については、協定企業を初めとした関係機関から御意見を伺うなど、今後のあり方について検討を進めてまいります。 次に、がん治療に対する経済的不安への対応についてでありますが、県では、がん診療連携拠点病院等のがん相談支援センターが中心となって、社会的な悩みへの対応にも取り組むこととしており、就労に関するサポートのほか、傷病手当金や障害年金など、疾病の状況に応じた適切な経済的支援制度の情報提供を行っております。 また、岩手産業保健総合支援センターなどにおきましても、経済的不安に対する支援制度の導入への対応を行っているほか、疾病の状況以外にも、経済的状況に応じた支援制度としての生活福祉資金貸し付けや、家庭の状況に応じた支援制度としてのひとり親家庭医療費助成など、がん患者のさまざまな状況に応じた福祉的な支援へとつなげているところであります。 引き続き、これらの支援センターの利用を促進するとともに、関係団体と連携したがん患者の経済的負担による影響の把握に努め、がん対策推進協議会などの関係者の御意見も伺いながら今後の施策につなげてまいります。 次に、県内がん治療における病院の役割分担についてでありますが、県では、本年3月に策定した第8次岩手県保健医療計画において、がん医療圏ごとの高度、専門的ながん医療を担う医療機関と、二次保健医療圏単位の身近ながん医療を担う医療機関による広域的な連携体制を構築することとしたところであります。 これにより、がん患者の個々の状況に応じ、必要な際には、高度、専門的ながん医療を行う医療機関において、がんの精査、治療、経過観察を行った後、身近ながん医療を行う医療機関へ移行し、標準的な治療や緩和ケアなどが行われているところであります。 また、本計画については、岩手医科大学や医療局などとも協議を重ね策定してきたところであり、各医療機関における役割等についても共有が図られているところであります。 今後においても、県民が適切ながん医療を受けられるよう、がんの種類や進行度に応じた病院間の機能分担や連携により、適切な医療提供体制の確保に努めてまいります。 次に、助産所の実績と課題についてでありますが、国の統計によれば、全国の助産所での出生数は減少傾向で推移しており、宮城県と福島県の助産所の昨年の分娩取扱実績は、宮城県では3施設合計で55件、福島県では3件となっております。 各助産所では、開業以前に勤務していた医療機関とのつながりなどを通じて、医療法第19条に基づく嘱託産科医と嘱託医療機関を確保しているほか、各施設の助産師が、周産期に係る高度な医療を取り扱う病院等で経験を積むことで、分娩件数200件以上などの日本助産師会の開業基準を満たしていると伺っております。 助産所での出生数が減少傾向となっている状況から、嘱託産科医への負担は年々減っているものと認識しておりますが、宮城県と福島県の開業助産師からは、緊急時の搬送への対応や妊婦や胎児に異常があった際の訴訟への対応が負担になると伺っております。 次に、本県におけるオストメイトの実態についてでありますが、本県では、膀胱及び直腸機能障がいにより、身体障害者手帳の交付を受けた方が約2、700人おり、その多くが、病気や事故などにより腹部にストーマという排せつのための人工膀胱や人工肛門を造設している、いわゆるオストメイトであるほか、本人の意向により身体障害者手帳の交付を希望しない方もいるものと承知しております。 オストメイトの日常、社会生活における課題については、県が毎年開催している障がい者関係団体との意見交換会において、県民のオストメイトに対する理解の促進、当事者団体が実施している取り組みのオストメイトの方への周知、日常生活用具給付等事業における排せつ管理支援用具給付基準額の見直し、災害時の福祉避難所などにおける支援などの御意見をいただいているところであります。 次に、排せつ管理支援用具に要する負担軽減策についてでありますが、市町村では、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく地域生活支援事業の必須事業として、ストーマ装具等排せつ管理支援用具を含む日常生活用具給付事業を実施しております。 日常生活用具の給付基準額は、市町村が地域の特性や利用者の状況に応じて定めることとされておりますが、多くの市町村において、近年の物価高騰等に対応した見直しは進んでいないものと承知しております。 オストメイトの方々からは、排せつ管理支援用具の給付基準額の引き上げについて要望をいただいているところでありますが、市町村からは、基準額変更の明確な根拠や適正価格の基準がないことに加え、国からの財政措置が十分でないことから、引き上げが難しいとの意見があるところであります。 県といたしましては、市町村に対し、給付基準額の水準等に関する情報の提供に努めるほか、国に対し、市町村が適切に事業実施できるよう、政府予算要望及び全国知事会として、必要な財政措置について継続して要望してまいります。 〔ふるさと振興部長村上宏治君登壇〕 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 大学の地方移転や分散整備についてでありますが、本県におきましては、他都道府県に所在する学校法人により、現在、短期大学1校、専修大学3校が設置され、県内への進学の受け皿となっているほか、大学附属の研究所が2カ所設置されております。 今般公表されました文部科学省の推計では、現在の大学入学定員の規模が維持された場合、2040年の定員充足率は全国でも7割程度、本県においては6割を割り込むことが見込まれております。 全国的にも学生の確保が課題となる中、本県出身者の2割強が東京圏に進出しており、大学等の高等教育機関の東京圏への集中が、進学期における転出を加速させる要因の一つと考えられ、木村幸弘議員御指摘のとおり、国による理系学部等の新設や定員増の取り組みを契機とした実効性ある地方分散施策が、これまで以上に重要になるものと認識しております。 県では、国に対し、東京圏における大学の定員の抑制及び地方への高等教育機関の分散を積極的に推進するよう要望しているところであり、今後、定員増等が見込まれる大学の情報収集等を行いながら、他県とも連携を強化し、引き続き機会を捉えて国に働きかけてまいります。 〔医療局長小原重幸君登壇〕 〇医療局長(小原重幸君) 県立中部病院に整備されるサイバーナイフの導入効果についてでありますが、サイバーナイフは、放射線の照射範囲を絞り、標的となるがんの病巣のみに放射線を集中的に照射することができるため、例えば、脳腫瘍などの重要な組織にある病巣や複雑な形状の病巣に対する治療にすぐれているものであります。 従来の放射線治療よりも短い治療時間で、通院回数も比較的少なく済むとされていることから、がん患者の日常生活への影響を最小限に抑えることができると考えております。 このサイバーナイフの導入は、やむを得ず宮城県など県外の医療機関に紹介しているがん患者が、県内で治療ができるだけでなく、県内におけるがん医療の完結性を高め、がん医療における高度化、専門化に対応するため、県立中部病院へ導入を計画するものであります。 また、医療が高度、専門化していく中で、県内で安定的に高度、専門医療を提供できる体制を確保していくため、今般、次期経営計画の最終案において、手術支援ロボットやサイバーナイフなどの高度医療器械を計画的に整備することとしているところであります。 〔復興防災部長福田直君登壇〕 〇復興防災部長(福田直君) まず、オストメイトの方のストーマ装具についてでありますが、岩手県地域防災計画では、高齢者、障がい者等の要配慮者の多様なニーズに十分配慮することを基本方針に掲げており、御指摘のストーマ装具の避難所への預託についても、このような方針を踏まえ、県として市町村に対応を依頼してきたところです。 その結果、例えば、滝沢市では既に預託制度を導入しているほか、導入に向けて検討を進めている市町村もあると伺っております。 今後、県内市町村の障がい福祉担当や災害救助法担当など、関連業務を担当する職員向けの研修会等において、このような先行事例を紹介することで、他の市町村にも同様の取り組みが広がるように努めてまいります。 次に、ストーマ装具の交換スペースについてでありますが、市町村が指定する避難所には、ストーマ装具の交換スペースが確保されているところもありますが、交換スペースが確保されていない避難所も多数存在するものと承知しております。 そのような中、花巻市では、オストメイト用トイレ設備の備蓄を行うことで、災害時に必要な避難所に持ち運び、ストーマ装具の交換スペースを確保するといった先進的な取り組みも行われております。 先月閣議決定された総合経済対策において、地域防災緊急整備型の新地方創生交付金が盛り込まれたところであり、御指摘の交換スペースの確保を含め、市町村に避難所の生活環境の整備を促してまいります。 次に、広域防災拠点についてでありますが、本県の広域防災拠点は、主に津波による被害を想定して、昨年度までは、広域支援拠点として、盛岡・花巻エリアに加え、前線基地となる後方支援拠点として、二戸、葛巻、遠野、北上の4エリアを指定しておりました。 今年度からは、温暖化に伴って激甚化する風水害等も想定して、一関、久慈、宮古、釜石、陸前高田の5エリアを後方支援拠点として新たに追加し、全県的な防災危機管理体制を整えたところです。 また、御指摘の福祉避難所では、各種物資が不足する可能性もあることから、広域防災拠点の備蓄物資について、公益社団法人岩手県トラック協会と締結している協定に基づき、いわゆる岩手方式と呼ばれる効率的な物資輸送を行うこととしております。 次に、防災関連製品についてでありますが、県内には、水循環型シャワーの販売企業や高機能簡易トイレの製造協力企業が立地しているところであり、これらの防災製品は、能登半島地震の被災地で活用されたほか、先月6日に開催された北海道・東北未来戦略会議の会合において、知事からそのことを紹介していただきました。 このうち水循環型シャワーについては、10月に開催された危機管理産業展2024にも出展されたほか、先月開催した県の総合防災訓練では、花巻市や民間企業による入浴支援の想定訓練が行われたところです。 今後、本県関連の防災製品について、備蓄物資としての活用の可能性を探るとともに、来年3月に開催される世界防災フォーラムを含め、さまざまな機会を捉えたPRを関係部局と図ってまいります。 次に、避難所運営ガイドラインについてでありますが、本県では、市町村避難所運営マニュアル作成モデルに生活環境確保の視点を盛り込んだ上で、市町村に避難所運営マニュアルの整備を助言してきたところであり、市町村によって内容に差はありますが、トイレや居住スペースに関する具体的な基準が盛り込まれているものもあります。 一方、温かい食事の提供などに関しては、いまだ市町村の避難所運営マニュアルに反映されていないところであり、今後、御指摘の国際基準も踏まえながら、対応を検討していく必要があるものと考えております。 先月閣議決定された総合経済対策では、快適なトイレや温かい食事を提供するための資機材の備蓄に対する財政支援が盛り込まれたところであり、県内市町村には、その積極的な活用を促してまいります。その上で、温かい食事の提供については、地域コミュニティーによる自炊のほか、地元の料理飲食業組合との連携、NPOやボランティアによる炊き出しなど、さまざまな方策が考えられるため、市町村やNPO、有識者等を含む県の検討会の場で具体的な検討を進めてまいります。 〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕 〇農林水産部長(佐藤法之君) 有機農業の取り組み拡大についてでありますが、県では、市町村と共同で策定した県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画において、取り組み内容の柱に有機農業の推進を掲げ、有機農産物の栽培技術の指導や販路確保に向けた実需者との商談会の開催、市町村が行う有機農業の産地づくりの支援などに取り組んでいます。 また、県独自に、有機農産物等アドバイザーの派遣や有機農業の実践事例を学ぶ栽培技術交流会の開催に加え、化学肥料や化学農薬に頼らない栽培技術の実証などを進めています。 こうした有機農業の取り組みが進む一方、国が有機農業等に取り組んでいる生産者に対して行った調査結果では、有機農業の取り組み面積の拡大が困難な理由として、栽培管理に手間がかかる、収量が上がらない、販路の確保が難しいといったことが課題として挙げられております。 今年度は、花巻市がオーガニックビレッジ宣言を行ったほか、県では、新たにいわてグリーン農業アカデミーを開講し、有機農業等の実践者の育成を進めておりまして、今後も、生産者や関係者と有機農業の課題解決に向けた意見交換を丁寧に行いながら、有機農業の生産拡大に向けた取り組みを進めてまいります。 〔警察本部長増田武志君登壇〕 〇警察本部長(増田武志君) 本県における闇バイトの状況についてでありますが、いわゆる闇バイトとは、犯罪実行者募集情報でありますが、これはいまだ概念的な言葉であり、また、警察統計上も、現段階では明確な区分がなされていないことから、一律にその件数をお示しすることは困難ではありますが、本県においては、関東地方を中心に発生しているような強盗や殺人等の凶悪な事件は、現時点では発生は把握されておりません。 一方、県警察への相談に関しましては、現在、警察庁を初め全国各都道府県警察では、いわゆる闇バイトに応募し、脅迫されていることなどを理由に犯罪に加担しようとする人などに対して、警察への相談や通報を呼びかけているところであり、具体的な相談受理件数や相談内容については、相談者保護の観点からお答えは差し控えさせていただきますが、一般的に闇バイトには、仕事の内容を明らかにせず高額な報酬の支払いを示唆するもの、匿名性の高いアプリに誘導するもの、運転免許証や顔写真等の個人情報の送信を求めるものなどの特徴が認められており、岩手県内においても、こうした特徴点等に合致するような相談を数件把握している状況にあります。 〇26番(木村幸弘君) 御答弁ありがとうございました。それでは、何点か再質問させていただきます。 最初に、がん対策に関係してですが、がんの予防と早期発見の取り組みが非常に重要だと思っています。第4次岩手県がん対策推進計画に掲げる一次予防としての喫煙対策や生活習慣といった環境要因に対する対策、そして、二次予防では、がん検診の受診率向上による早期発見への取り組みがありますが、それぞれの取り組みについて、現状どのような実態となっているのか、改めて伺います。 また、特にがん検診の受診率向上について、先日、NHKのあしたが変わるトリセツショーという番組で、がん検診に行きたくなるプロジェクトが紹介され、行動科学の専門家と連携しながら、全国280自治体以上の協力により、検診対象者150万人以上に検診案内をするというものでした。 このほか、案内状にもさまざまな工夫を凝らし、チラシ風のデザインや他の幾つかのがんと一緒に合わせた検診セットなど、負担も時間もお得感をアピールするなどしたり、喫煙者向けの肺がん検診の案内内容も、あえて喫煙者だけの問題とせずに、非喫煙者も肺がんになりますというデータなどを示す表現の工夫などにより、受診率の向上につながっている自治体などもあると報じられていました。 単なる自治体からの無機質な検診の手続案内という形から、内容やタイミングも見定めた取り組みが、より対象者の関心を高めることになるとの指摘でありました。この内容は、番組放送に合わせて関心を持った方々にタイミングよく検診案内が各自治体から届くことによって、関心を高めてもらうという試みでした。 がん検診への興味、関心を高めるための取り組みについて、実際、このプロジェクトに参加された八幡平市、大船渡市、久慈市の取り組み成果なども把握し、県全体として受診率向上につながるような取り組みを行うことなどについて、改めて伺いたいと思います。 がんを知るための取り組みの一つとして、コロナ禍で、2020年度から2022年度までの岩手県がんフォーラムの開催が、関係者による無観客方式で行われております。その内容は新聞紙上等で紹介されるなどしておりますけれども、幅広く県民にその内容が伝えられているのかといえば、決してそうとは思えないと感じます。 紙上での岩手県がんフォーラムの内容等を紹介する方法もありますが、私が病院で手にしたのは、この新聞紙上で紹介した内容をパンフレット形式に再編集し、見やすくしたものでありました。これが病院の受付窓口に置いてあるのです。このことによって、非常に効果的にそれぞれの患者あるいは関心を持っている方々が手にし、目にすることができると思います。 したがって、市町村の検診時期のタイミング等も含めて、広報手段として世帯配布ができないかと思っています。受診啓発等に非常に効果的な方法ではないかと思いますが、県としての取り組みについて伺います。 助産所についてでありますが、登壇での質問でも申し上げましたけれども、そもそも、なぜ岩手県周産期医療協議会などで検討の議論も行わなかったのか。そして、2年前の答弁の中では、これから検討を進める議論をしていきたいと述べていますが、その議論は行われてきたのか伺います。その上で、議論の内容として県が述べた嘱託医制度の負担の問題の具体的課題や、あるいはその課題を克服するためにどのような検討が行われているのか伺いたいと思います。 医師偏在対策の検討内容に対して、改めて知事に伺いたいと思います。厚生労働省の考え方が事実上の開業規制にどこまで踏み込めるのかという点や、若手医師は、負担の重い院長にはならずに、気楽な自由診療で稼ぐほうを希望するのではとの有識者の声もあるようです。 私は、無医地区を初めとした医師少数区域における開業がふえるよう、医療審議会等での審議等を通じて、医師多数区域や地域で既に充足している診療科の開業について一定の制約を加える一方、医師少数区域や地域で不足する診療科での開業については、運営上のインセンティブを措置するなど、医師少数区域や地域で不足する診療科の開業がふえるような思い切った政策誘導を講ずるべきではないかと思います。 地域医療基本法(仮称)案に医師少数区域における開業の促進などについて具体的に盛り込み、法案をさらに強化し、知事会を通じて国へ制定を働きかけることについて、改めて知事の所見を伺いたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 医師少数区域における開業の促進についてでありますが、今般の国の総合的な対策パッケージ案において、医師少数区域を重点医師偏在対策支援区域と位置づけ、対象区域で承継、開業する診療所に対する経済的インセンティブが新たに盛り込まれました。 詳細についてはまだ示されていませんが、医師少数区域における開業の促進は、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会で国に求めてきた、医師の地域間、診療科間等の偏在解消のための仕組みづくりや、本県が提唱している地域医療基本法案の基本理念である、国民が、その居住する地域にかかわらず、ひとしく適正な医療を受けることができることと合致するものであります。 医師少数区域における開業の促進については、総合的な対策パッケージの内容を踏まえて、本県のような医師少数区域に対応した施策となるように、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会として、各県知事と連携して対応を検討してまいります。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、がんの予防と早期発見の現状についてでございますが、本年3月に策定いたしました第4次岩手県がん対策推進計画におきまして、一次予防については、喫煙率を令和4年の19%から令和11年までに14.1%に低下させることを目標の一つに設定し、地域における禁煙や受動喫煙防止に係る研修会の開催や普及啓発活動などに取り組んでいるところであります。 また、二次予防については、各種がん検診受診率を令和4年の50%程度から60%まで向上させることを目標に設定し、さきに答弁させていただきました、岩手県がん検診受診率向上プロジェクト協定を活用した普及啓発等を通じまして、がん検診の受診率向上に取り組んでいるところであります。 次に、がん検診受診率の向上に向けた取り組みでありますが、木村幸弘議員から御紹介ありました取り組みは、NHKとがん検診受診率向上に取り組む自治体のための希望の虹プロジェクトの協働事業であり、岩手県内では、御紹介のありました3市のほか、盛岡市も参加していると承知しております。 今回の取り組みは、番組放送前にリーフレット等をプロジェクトに参加した市町村が住民に対し個別に郵送いたしまして、行動科学に基づくがん検診の受診勧奨を行ったものであります。 取り組み成果については今後取りまとめられることとなっておりまして、参加自治体の状況なども伺いながら、受診率向上につながる受診勧奨の手法について、検討を進めてまいります。 次に、岩手県がんフォーラムの周知の仕方についてでありますが、県では、岩手県がん診療連携協議会及び岩手日報社との協力のもと、毎年、本フォーラムを開催しており、令和5年度からは、紙面開催のほか、岩手日報社のホームページで動画の配信を行っているところであります。 また、本フォーラムの内容をまとめたパンフレットを毎年作成し、県や岩手県がん診療連携協議会のほか、県内のがん患者団体などへも配布するなど、工夫しながら県民への周知を図っているところであります。 木村幸弘議員御紹介の効果的なパンフレットの配布につきましても、県と連携協定を締結している企業や市町村などの関係機関と連携しながら、より効果的な取り組みとなるよう検討を進めてまいります。 次に、助産所整備に係る課題についてであります。 分娩を取り扱う助産所の整備につきましては、産科医が不足しており、少子化を背景に分娩数の減少に伴いまして産科医療機関も減少している状況にあること、助産所から分娩の取り扱いを希望する声をいただいていないこと、助産所での分娩には緊急時の対応においてリスクが懸念されることなどの課題がありますことから、安全・安心な出産環境を整備していく上で、岩手県周産期・小児医療協議会などの場において、整備に向けた具体の議論には至っていない状況でございます。 嘱託医確保の課題については、産科医が不足し産科医療機関も減少している中で、嘱託医に対応できる産科医がいないことに加え、現場の産科医からは、妊婦や胎児に異常があった際の訴訟への対応が大きな負担となっていると伺っております。 この点に対しては、嘱託医確保のため、まずは、産科医の確保に引き続き取り組む必要があるものと考えております。 〇26番(木村幸弘君) 御答弁ありがとうございました。地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の取り組みにこれからも期待したいと思いますし、先般、報道で、また厚生労働省は、新たな地域医療構想等に関する検討会の中で重点医師偏在対策支援区域の案を示し、これは都道府県が設定するのだという考え方が報じられておりました。そうなりますと、より具体的に、岩手県のエリアの中でどう医師偏在対策の重点区域を定めながら取り組んでいくのかということも、引き続き重要な検討課題になりますし、この問題をより具体化させていくためにも、国に対するさまざまな意見や要望を現場からしっかりと上げていくということで、御努力をいただきたいと思っております。 次に、防災対策について伺いたいと思います。 防災対策の連携の一環として、119番通報新システムの取り組みについて、現在、2026年4月の運用開始に向けて取り組みが進められ、盛岡地区広域消防組合消防本部が提案し、総務省消防庁やJAXA―宇宙航空研究開発機構などで開発した119番通報内容を救急、消防車両、ドクターヘリ、防災ヘリが、文字や地図などで共有する全国初のシステム開発とあわせて運用が予定されています。 県内各消防本部の指令業務の共同運用が予定されていますが、その体制準備の状況を伺いたいと思います。 また、このような指令システムが、いわて消防指令センターに集約化され効率的な運用が期待される一方で、大規模災害時等に消防指令センター機能が損なわれた際のバックアップ機能などについて、リスク管理が適切に対策されているのかという点と、広域防災拠点との連携と情報共有に対する対応についてもあわせて伺いたいと思います。 犯罪対策の関係です。本県への犯罪の拡大等の懸念と対策について、やはり県警察本部として、今ほど御答弁いただきましたけれども、不審なSNSによる求人広告等に対する情報の提供、あるいはその閉鎖に向けた取り組み、そして、中学生、高校生、大学生、あるいは若者を中心とした方々への指導、啓発の取り組み、さらに、都市犯罪の形態から防犯意識や治安態勢が都市部に比べて手薄な本県など地方への犯罪拡大への警戒対策など、詐欺犯罪から、さらに凶悪で直接的な侵入強盗事件抑止のためにも、高齢者世帯等への周知徹底などについて、今後どう取り組んでいくのか改めて伺いたいと思います。 〇復興防災部長(福田直君) まず、消防指令センターの共同運用についてでありますが、激甚化、頻発化する自然災害や高齢化に伴う救急需要の高まりなどを踏まえた場合、消防業務を共同で運用することにより、スケールメリットを生かして、消防力の維持、強化を図ることが期待されます。 盛岡地区を初めとする県内10の消防本部では、消防指令センターの共同運用を図ることとしており、令和4年度から法定協議会が設置され、令和8年度からの運用開始を目指し、現在工事が進められております。 また、これにあわせて、防災ヘリやドクターヘリ、消防、救急車両の位置情報を一元的に把握するシステムも導入される予定であり、これによって、災害時の救助や救急搬送が迅速化するなど、防災危機管理能力の強化につながるものと考えております。 次に、消防指令センターのバックアップ機能等についてでありますが、大規模災害の発生などで消防指令センターの機能が停止した場合であっても、緊急通報は、ネットワーク回線の切りかえによって管轄内の消防署等につながり、消防、救急活動を継続することが可能となっております。 また、御指摘の広域防災拠点は、緊急消防援助隊の活動拠点や広域医療搬送拠点の機能を有するものであり、それらの機能は、消防本部から県に寄せられる救助要請などに基づいて運用されることになります。 災害発生時は、消防本部による効果的な初動活動が極めて重要であることから、今後も消防本部との十分な連携を図ってまいります。 〇警察本部長(増田武志君) 犯罪の拡大防止対策についてでありますけれども、まず、SNSによる求人広告等に関しましては、サイバーパトロールを強化することにより、いわゆる闇バイト募集広告の投稿者に対し、犯罪に加担させられ検挙されている事例がある旨の警告文による警告を行っており、これは、同時に検索をした者への注意喚起ともなっているところです。 なお、闇バイト募集広告を発見した場合には、SNS事業者に対しまして削除要請を行っているところであります。 次に、若者を中心とした取り組みとしては、中学校や高等学校における防犯教室等において、闇バイトに関する防犯指導を行っているほか、県内の4大学に対して、学生約9、800人を対象に、学内メール等を活用した闇バイト募集への警告文や抑止動画の配信を行っていただいており、闇バイトに応募しないよう注意喚起を行っているところであります。 また、若者の親世代を含む幅広い世代を対象に、報道機関の協力を得て、闇バイトの特徴である、楽で、簡単、高収入を強調し、シグナルやテレグラムといった匿名性の高いアプリに誘導するアルバイト募集には応募しないようテレビやラジオを通じた広報啓発を行っているほか、県内13カ所のハローワークの窓口等には、注意喚起のポスターを掲示していただくなどしております。 さらに、高齢者世帯等への周知徹底に関しましては、巡回連絡を初め各種警察活動の場を通じて、闇バイトの手口や被害の現状等についての情報発信をしているほか、自宅等における防犯対策として、在宅中であっても玄関ドアに鍵をかけるとともに、不審な訪問があった場合には、決してドアをあけることなく、インターホンやドア越しで対応することや、不審な訪問があった場合の確実な警察等への通報などについて、具体的に注意喚起を行っているところであります。 最後に、地方への犯罪拡大防止に係る警戒についてでありますが、関東地方を中心に相次いでいる強盗等事件が深夜帯に発生していることを踏まえ、県下においても、深夜帯等における住宅地周辺での警戒活動を地域の防犯ボランティア等とも連携しつつ重点的に実施しているところであり、パトカー等の警察車両については、赤色灯を点灯させるなど見せる警戒を強化して、地域の犯罪抑止と住民の安心感の醸成に努めているところであります。 県警察といたしましては、引き続き、県民へのタイムリーな情報発信や各種警察活動を通じて、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって木村幸弘君の一般質問を終わります。 以上をもって一般質問を終結いたします。 日程第2 議案第1号令和6年度岩手県一般会計補正予算(第7号)から日程第30 議案第29号市町村立学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例まで 〇議長(工藤大輔君) この際、日程第2、議案第1号から日程第30、議案第29号までを一括議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。 |
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