令和6年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録 |
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〇9番(はぎの幸弘君) 自由民主党のはぎの幸弘でございます。今回、先輩議員、同僚議員の御配慮を賜り、2回目の一般質問の機会を与えていただきました。衷心より感謝申し上げます。
早速ですが、質問に入ります。 初めに、防災、減災対策について伺います。 近年、気候変動の影響により、自然災害が頻発化、激甚化しており、多くの尊い人命が失われる災害が発生し、全国各地で住民生活の安全、安心が脅かされる事態となっています。 気象庁によると、1時間に80ミリメートル以上の猛烈な雨の発生回数は、2023年までの10年間で約237回となっており、データをとり始めた1976年からの10年間と比較して、約1.7倍となっているとのことです。 岩手県においても、本年8月に大雨警報が頻発し、大船渡市に上陸した台風第5号に伴う被害により三陸鉄道が約3カ月間の一部区間運休、8月下旬の大雨では、釜石自動車道の法面が二度にわたり崩落して一時通行どめとなるなど、県民の生活に大きな影響を及ぼしたことは記憶に新しいところです。 自然災害が頻発化、激甚化する中で、県民の命と生活に直結する防災、減災対策は県政の最重要課題の一つだと考えております。 そこで、頻発化、激甚化する自然災害への対応について伺います。県では、令和2年12月に第2期岩手県国土強靱化地域計画を策定し、人命の保護、社会の重要な機能の維持、県民の財産等の被害の最小化、迅速な復旧、復興を基本目標としてさまざまな取り組みを進めておりますが、令和5年度の目標値の達成状況は、61%にとどまっております。人命の保護を基本目標としていますが、自然災害が頻発化、激甚化する中で、取り組みのおくれをどのように分析しているのか伺います。 また、知事はマニフェストプラス39において、大規模自然災害など新たな危機への対策強化を掲げておりますが、今後、どのように対策を強化するお考えか、あわせて知事に伺います。 次に、土砂災害警戒区域等における対策について伺います。 土砂災害警戒区域等は、土砂災害から県民の生命を守るため、土砂災害のおそれがある区域を明らかにし、警戒避難体制の整備や住宅等の新規立地の抑制などを目的として指定するものであり、岩手県では東北地方で最も多い1万3、305カ所が指定されております。 しかしながら、近年は指定区域以外においても災害が発生していることを踏まえ、県では、土砂災害が発生するおそれのある箇所として、新たに9、992カ所にも上る箇所を抽出したとの報道がありました。県民の命と財産を守るためには、速やかな区域指定と対策が必要ですが、新たな指定の状況と今後どのように対策を進めていくのか伺います。 次に、浸水被害発生地域における河川改修について伺います。 本県の河川整備率は、令和5年度までに52.7%と全国と比較して低い状況となっております。私の地元、遠野市を流れる猿ヶ石川では、堤防が途切れている箇所において、平成28年の台風第10号による大雨など、過去に浸水被害が発生し、住民生活に大きな影響を与えたことから、遠野市から県に対し、早急な整備について要望しているところでありますが、いまだに実現には至っておりません。 過去に浸水被害が発生した地域においては、堤防の整備や河道の掘削、ダムや遊水地の整備など、洪水時の水位を低下させ、浸水被害を軽減させるためのハード対策が急務でありますが、本県の河川整備率の現状をどのように認識しているか、また、河川整備を加速していく必要があると考えますが、今後の取り組みについて伺います。 次に、県民と協働した防災、減災対策について伺います。 県では、第2期岩手県国土強靱化地域計画の国土保全・交通分野において、河川改修等の治水対策を重点に掲げ、気候変動に伴い頻発、激甚化する水害等への対策として、県民を初め国や地方自治体、企業や学校など、流域全体のあらゆる関係者が協働して流域全体で行う治水である流域治水に取り組み、事前防災対策を推進することとしています。 県民と協働した防災、減災対策は、県民が主体的に防災活動に参加することで自助、共助の意識が高まり、災害時における地域の結束力を強化し、互いに助け合う文化を育むことにつながることから、非常に重要な視点であり、ぜひ行政主導で計画に盛り込んだ取り組みを着実に進めていただきたいと考えております。 そこで、貯留機能保全区域の取り組みについて伺います。貯留機能保全区域は、河川氾濫時などに農地等に一時的に雨水を貯留する区域を指定することで浸水被害を軽減することを目的とし、令和3年の指定都市河川浸水被害対策法の改正により創設された制度であります。 本年7月に全国で初めて奈良県の大和川流域で指定され、注目を集めている取り組みであります。指定された区域内では、貯留機能を阻害する盛り土などの行為が届け出制となるなど、区域内の住民の理解が必須であり、官民一体となって取り組む必要がありますが、ハード事業は時間も費用もかかるため、このような県民との協働による対策にもあわせて取り組んでいく必要があると考えますが、本県における貯留機能保全区域の指定の有効性をどのように認識しておられるか、今後の活用見込みとあわせて伺います。 次に、河川の維持管理について伺います。 河川が適切に維持管理されていない場合、河床への土砂の堆積や植物などにより河道が狭まり、洪水リスクが高まるほか、堤防の損傷による決壊リスクが高まるなど、適切な維持管理と災害の発生リスクは密接に関係しており、日ごろの維持管理が非常に重要となっております。 県においては、常日ごろ、適切に維持管理業務に当たられているものと認識しておりますが、樹木などの伐採や堤防の草刈りなど、県民との協働による環境整備により、さらに行き届いた維持管理となるような手法もあるのではないでしょうか。県民による維持管理には法的制約や技術的な制約もあろうかと思われますが、県民との協働による河川の維持管理のあり方について、県のお考えを伺います。 次に、人口減少対策について伺います。 日本の総人口は2008年の約1億2、808万人をピークに減少に転じ、2011年からは13年連続して減少し、2023年には約1億2、435万人となっており、日本における人口減少は深刻な社会問題となっております。 岩手県においても、2023年の合計特殊出生率が1.16と全国で39番目となり、自然減に歯どめがかからない状況となっておりますし、社会減においても、コロナ禍が明け、人の流れが活発化して以降、転出超過が拡大傾向となるなど、さらに深刻な状況となっており、待ったなしの対策が必要となっております。 県においては、知事を筆頭とした岩手県人口問題対策本部を設置し、自然減、社会減の両面からさまざまな取り組みを展開されていることは評価いたしますが、手おくれとなる前に、減少に歯どめがかからない要因をしっかりと分析し、実効性のある取り組みを展開していく必要があるのではないでしょうか。 そこで、子供、子育て支援策について、知事に伺います。 知事は、前回の選挙時のマニフェストプラス39において、全国トップクラスの子育て支援策を一番目に据えて当選をされましたが、トップクラスの支援策の実施によっても合計特殊出生率が1.16と減少した事実に象徴されるように、自然減に歯どめがかからない現状をどのように分析されているのか伺います。 また、マニフェストプラス39では、必要な財源を確保し、市町村の現状把握にも努め、施策のフル稼働と一層の拡充を図ることとされています。自然減に歯どめがかからない状況の分析を踏まえ、今後、子育て支援策をどう拡充していくのか、あわせて伺います。 次に、子供、子育て支援策における県内市町村との連携について伺います。 人口減少に伴い、行政サービスの維持がますます難しくなることが予想される中で、市町村との連携が重要であります。市町村との連携により、県内の地域特性やニーズを把握し、一層効果的な対策が可能となり、地域の魅力化へとつながります。知事もマニフェストプラス39において、市町村の現状把握に努めることとしております。 子供、子育て支援策を進める当たり、県がリードして県内一律の支援策を講じていくことも考えられますが、市町村の現状をどのように把握しているのか、また、どう連携しているのか伺います。 次に、学校給食費の無償化について伺います。 きのう、村上貢一議員も取り上げておりましたが、学校給食費の無償化の取り組みは、県民からの期待の高まりもあり、既に実施している自治体もありますが、本来、自治体ごとの財政力に応じて格差が生じることのないよう行われるべきものと思っております。 学校給食費の無償化について、きのうの知事の御答弁では、国への要望を継続していただいているとのことですが、それは継続するとしても、県独自の英断として、全国トップクラスの子育て支援策として県内一律の支援を全国に先駆けて取り組んではいかがでしょうか。教育行政を所管する教育長の御見解を伺います。 〔議長退席、副議長着席〕 次に、社会減対策について伺います。 去る9月12日に開催された岩手県人口問題対策本部会議において、社会減対策として、三つの柱プラス1が提示されています。 柱の一つ目が、いわてとのつながりの維持・強化、として県内定着、U・Iターンの取り組み、二つ目として、多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上、三つ目として、ニューヨークタイムズ紙への掲載を契機とした交流人口・関係人口の拡大、プラス1として、市町村や地域的な社会減対策に関する取り組みの支援・強化を掲げ、県にはさまざまな分野、視点で御努力されておられると認識しております。 一方で、さきに申し上げたとおり、近年、社会減は拡大傾向にあり、目に見える数字では成果が確認できていない状況となっております。 そこで、社会減の要因と対策について伺います。人口減少対策を効果的に進めていくためには、人口減少の要因を的確に分析することが何よりも重要です。要因として挙げられるのは、結婚や出産に対する意識の変化、子育て環境への不安、経済的負担などさまざまであります。さきの岩手県人口問題対策本部会議においては、社会減の大きな要因として、女性の転出数が多く、特に就職時における県内定着が課題であるとしていますが、その要因をどう分析しているのか伺います。 また、就職時の女性がみずから率先して岩手県に残りたいと思ってもらえる施策が必要と考えますが、要因分析を踏まえ、今後どう取り組んでいくのか、あわせて伺います。 次に、高校教育の充実について伺います。 地方では高校の統廃合が進み、地域の人口減少を加速させるという悪循環となっている中、本年9月の県議会定例会において、県立西和賀高等学校を2学級とする編制方針を示されたことは、すばらしい英断であったと私も感じた次第です。 高校教育の充実、魅力化は、地域の高校に通う生徒がふえ、地域にとどまる動機づけへとつながります。特に、人口減少社会の中で、専門高校は地域における人材育成の拠点としての役割がますます重要となっていることから、工業、農業など地域の特色や産業構造を踏まえた県立高校の学びのあり方について、地域への定着の動機づけとなるよう、柔軟に見直しを図っていくべきと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、交流人口、関係人口の拡大について伺います。 県では、交流人口、関係人口の拡大を社会減対策の柱の一つとし、SNS等を活用した情報発信や複業マッチング、地域おこし協力隊への活動支援などに取り組まれておりますが、これまでの取り組みの成果と課題をどう分析しているか、県の御認識を伺います。 また、ライフスタイルが多様化する中で、本年5月に広域的地域活性化基盤整備法が改正され、都市部と地方部それぞれに生活拠点を設ける二地域居住を普及、促進することとされました。現在、国会で審議中の総合経済対策にも二地域居住への支援策が盛り込まれており、国においても、具体化に向けて動き出しております。県においても、二地域居住等に係る事例等の共有、対応策の検討、提言等を行うことを目的に設置された全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームに参加しておりますが、私は、人口減少対策の一環としての関係人口を拡大する取り組みの一つとして、この二地域居住も有効と考えております。この考えに対する県の御所見を伺います。 次に、社会インフラの整備促進について伺います。 社会インフラの整備は、地域経済の発展に不可欠であることは誰もが認めるところであります。社会インフラは、教育、医療、福祉などサービスを支える基盤であり、交通網の整備により人の移動の活発化や物流の効率化など、県民の生活の質を向上させるために重要であります。 そこで、道路整備について伺います。道路整備や改良は地域振興に不可欠であり、さきに述べました人口減少対策や防災、減災対策の足元も支える重要な社会インフラであります。県内市町村からの要望にも、毎年度、道路整備に関する多くの項目が盛り込まれており、県民の安全、安心や産業を支える道路網の充実に対する期待は依然として高いものがあります。 人口減少が進む中、また、財源が限られる中ではありますが、これらの期待に対し、どう応えていくおつもりか、今後の道路整備の推進について、知事のお考えを伺います。 次に、橋梁の長寿命化対策について伺います。 令和3年3月に策定された岩手県道路橋長寿命化修繕計画によれば、本県が管理する道路橋は約2、800橋あり、その多くは1950年中ごろから1970年中ごろの高度経済成長期を中心に集中して建設されましたが、建設から50年を経過する道路橋の割合は、2030年には54%、2040年には74%まで増加し、急速に老朽化が進行します。 道路橋は交通の要所であり、その安全性の確保が重要です。県は道路橋長寿命化修繕計画において、より効果的で効率的に道路橋の維持管理を推進するとしておりますが、現状と課題、また、今後どのように取り組んでいくのか伺います。 次に、いわて花巻空港の利用促進について伺います。 いわて花巻空港は岩手県の交通の要所として、国内の主要都市へのアクセスを提供し、観光やビジネス面での地域経済への寄与のほか、現在は台湾への定期便も再開し、国際交流の促進も期待される地方空港であります。また、県外の自治体では、さきに述べた二地域居住の取り組みの推進方策として、航空会社と覚書を締結し、都市と地方などを行き来する二地域居住の希望者に対し、往復航空券分のマイレージを付与する取り組みを始めるなど、地方空港を人口減少対策の起点として活用している事例もあり、いわて花巻空港も交流人口や関係人口のさらなる増加に寄与できるポテンシャルを持っていると考えております。 いわて花巻空港の利用者数は、令和5年度にはコロナ禍以前の水準まで回復し、約47万5、000人となり、また、来年1月には上海便の期間限定での運航再開や、3月には韓国の清州を往復するチャーター便の運航が決まるなど、これまでの県当局による利用促進の取り組みに敬意を表するところであります。 しかしながら、いわて花巻空港のポテンシャルを最大限に引き出すためには、さらなる路線の拡大や利用しやすい価格帯の充実が必要と考えますが、県の御所見を伺います。 次に、中小企業への支援策の充実について伺います。 岩手県の中小企業は、本県経済の基盤を形成する重要な位置づけにあり、これまでも雇用の創出や地域活性化に寄与してきました。コロナ禍を乗り越え、現在は物価高騰や人口減少といった課題に直面しながらも、これまで培った知恵と工夫でやりくりをしていますが、ぎりぎりの状態で経営している中小企業が多く、さらなる支援が必要ではないでしょうか。 そこで、最低賃金の引き上げへの対応について伺います。2024年の最低賃金は、2023年に全国で最低であったことから、最下位を脱したいとの異例の政治的介入により6.6%増額と前年を上回る大幅改定となり、952円となりました。県民の幸福度を高めるためには最低賃金の引き上げは理解いたしますが、急激な大幅アップに対応できる中小企業は少なく、価格転嫁の困難もあり、収益性の低下により経営が行き詰まる企業がふえる懸念もあるのではないでしょうか。 中小企業の淘汰は県民の雇用への影響も大きく、最低賃金の急激で大幅な増額は、長期的には県民にとってもマイナスの影響となるものと私は危惧しております。 最低賃金対応の国の補助金であるキャリアアップ助成金は、賃金を3%以上増額改定した企業を対象とするなどの一定の要件がありますが、賃金は一度上げると下げることは難しいほか、会社規模が大きくなるほど人件費もふえるため、申請を断念する企業もございます。ゆえに、県においても、賃上げの支援、事業を検討する際には、要件の緩和、あるいは、要件を設けずに支援することを考える必要があると思いますが、御見解を伺います。 次に、人手不足への対応について伺います。 本年6月に、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法が改正され、技能実習制度は人手不足における人材確保等を目的とした育成就労制度に移行し、3年を超えない範囲で施行されることとなりました。人口減少が進む中で、本県においても貴重な人材の確保を推進するため、改正法が施行されるまでの間、国と連携しながら県内の中小企業への丁寧な周知や相談体制の整備が必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。 次に、野生鳥獣対策の充実について伺います。 野生鳥獣による被害は、人的な被害や農作物への被害など、深刻な問題となっています。農作物被害金額で見ると、全国では近年が150から160億円程度とほぼ横ばいとなっております。一方で、岩手県では、令和元年度の約4億円から令和5年度は速報値で約5億2、000万円となっており、被害が拡大しております。 県においては、本年10月にツキノワグマ被害防止策に関する市町村連絡会議を初めて開催するなど、野生鳥獣対策に御尽力いただいているものと承知しておりますが、さらなる対策の充実が必要ではないでしょうか。 そこで、狩猟免許取得促進と捕獲活動への支援について伺います。岩手県における狩猟免許所持者数は、近年増加傾向にあり、令和元年度の3、268人から令和5年度には4、339人となっています。一方で、野生鳥獣による農作物の被害金額は増加傾向にあり、ハンターの増加が効果的に作用していない状況となっているのではないでしょうか。ほかの自治体においては、ハンターに対する報酬が活動内容に見合わないことや、猟銃の発砲に対する責任問題を背景に、行政からの野生鳥獣の駆除を猟友会が辞退する事案が発生しております。 本県における野生鳥獣被害の拡大防止のためには、狩猟免許の取得促進によるハンターのさらなる増加に取り組む必要があると考えますが、県の御見解を伺います。 また、行政との連携のもと、円滑に捕獲活動ができるような支援も必要と考えますが、県の御見解を伺います。 次に、広域的な処理体制について伺います。 岩手県における農作物被害金額は、令和4年度において全国で6番目ですが、そのうち鹿の被害については、北海道次ぐ2番目と、農作物被害の大きな要因となっております。本県における鹿の生息は、北上山地南部の五葉山周辺に限られておりましたが、2010年代にはその範囲が北上山地全体に広がり、現在では、県内のほぼ全域に生息するまでになっていますが、捕獲数には自治体間で格差があり、一部の自治体に多くの負担が生じております。 鹿の個体数減少に向けては、担い手の確保や捕獲圧の維持、向上のための対策に加え、捕獲個体の処理負担を軽減できるような広域的な処理体制の構築などが必要であり、県主導によるオール岩手での対策を強化していくべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。 次に、産業動物獣医師の確保対策について伺います。 産業動物獣医師の確保対策については、県農業共済組合が沿岸地域を家畜診療対象外としたことを背景に、本年6月の県議会定例会において、鈴木あきこ議員が一般質問で取り上げました。県当局からは、家畜診療対象外となった地域において、県、市町村、農業協同組合等と検討を進め、開業獣医師を確保したことにより、安定的に獣医療を提供できる体制が構築されたこと、産業動物獣医師の確保に向けて、修学資金の貸し付けや獣医系大学における就職説明会の開催などに積極的に取り組んでいくとの力強い御答弁をいただきました。 一方で、県内における産業動物獣医師数は、令和2年度の223名から令和4年度は219名に減少しております。県が令和3年3月に策定した、獣医療を提供する体制の整備を図るための岩手県計画では、令和12年度までに235名を確保する目標としておりますが、その間に公務員獣医師の約50名が退職する見通しであり、確保は一層厳しくなることが予想されます。将来にわたり、県内において安定的に獣医療を提供していくためには、当該計画の着実な推進はもとより、必要に応じて取り組みを見直しながら、政策をさらに強化していく必要があると考えますが、県の御所見を伺います。 次に、介護人材の確保対策について伺います。 我が国では、2025年に団塊の世代が75歳以上となる2025年問題が迫っています。本年7月に国が公表した第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数によると、2026年には約240万人の介護職員が必要とされる一方で、2022年の介護職員数は約215万人となっており、約25万人の介護職員を確保する必要があると推計されています。 岩手県においても介護職員の確保が喫緊の課題です。県が本年3月に策定した、いわていきいきプラン(2024〜2026)では、2040年までに県内の介護職員が約6、000人不足するとの推計となっています。2025年問題を来年に控える中、早急に対策を講じる必要があると考えますが、介護職員数について、現状をどう認識しているか伺います。 また、現状をどう分析し、今後必要な介護職員の確保に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。 次に、マイナ保険証―マイナンバーカードの健康保険証利用の利用促進について伺います。先ほどの名須川晋議員の質問と重複する部分もあろうかと思いますが、質問してまいります。 きのう12月2日に従来の健康保険証の新規発行が停止され、来年12月1日をもって現行の健康保険証は廃止されることになりました。マイナ保険証には、医療情報の共有による円滑で適切な医療の提供を可能にすることや、高額医療費の手続や確定申告の簡素化、医療費が安くなることなど、従来の健康保険証にはないメリットもあります。現在は移行期ということもあり、連日報道されている中で、マイナ保険証への移行に対するさまざまな声が挙がっておりますが、メリットとあわせて、移行に対する不安にも県民に丁寧に説明しながら利用を促進していくべきと考えております。 そこで伺います。県内の医療機関等におけるマイナ保険証の利用率をどう評価しているのか、また、さらに利用を促進していくために、今後どのように取り組んでいく予定であるのか伺います。 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) はぎの幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、激甚化、頻発化する自然災害への対応についてでありますが、第2期岩手県国土強靱化地域計画におけるKPI、重要業績評価指標の令和5年度の目標達成状況については、達成率100%以上の指標が61%、達成率80%以上の指標が89%と、9割近くとなっており、全体としてはおおむね順調に取り組みを進めることができています。 今後の具体的な施策としては、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を想定した市町村の津波対策への財政支援、被災者把握システム、岩手モデルの市町村での導入に向けた実証実験、さらに気候変動に伴う豪雨災害に備えるための流域治水などを総合的に進めることとしています。 また、自然災害以外の危機事象については、例えば感染症対策として、平時の備えを充実させるとともに、有事への移行をスムーズなものとするため、岩手県新型インフルエンザ等対策行動計画の対策項目を6項目から13項目へと大幅に拡充することなどを予定しております。 今後もハード、ソフト両面からの取り組みにより、自然災害からの多重防御を初めとする危機管理体制を構築し、県民の安全、安心の確保を図ってまいります。 次に、子育て支援策についてでありますが、本県の出生数減少の要因として、若い女性の社会減を含めた女性人口そのものが減少しているほか、有配偶率及び有配偶出生率の低下が挙げられ、出会いや結婚を取り巻く環境や、仕事と子育ての両立の難しさなどが影響していると考えております。 このため、少子化対策については、有配偶率の向上、有配偶出生率の向上、女性の社会減対策の三つの柱が重要であります。 子育て支援策は、このうち有配偶出生率の向上に関するものであり、県では市町村と連携し、第2子以降の保育料無償化や在宅育児支援金などの取り組みに加え、市町村が実施する、既存施設等を活用した遊び場の整備、産後ケア利用時の子供の一時預かりや交通費の支援に要する経費の補助などに取り組んでいます。 さらに、子育て支援策の多くは、市町村が実施主体として担っていることから、市町村が地域事情に応じた少子化対策に取り組めるよう、小規模町村を対象とした伴走型支援もあわせて実施しており、これらの取り組みを進める中で、出生数の向上には社会減対策との連動も重要であると改めて認識されてきたところであります。 このことから、子育て支援策に加え、結婚支援、若者のライフプラン形成支援、雇用労働環境の安定と活躍できる職場の創出に向けた取り組みの強化などとあわせ、ライフステージに応じた支援の充実を図ってまいります。 次に、今後の道路整備の推進についてありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる経済社会活動や県民の安全、安心な暮らしを支える道路等の社会基盤を強化していくことが重要であります。 広大な県土を有する本県においては、東北道や三陸沿岸道路の縦軸、釜石自動車道や宮古盛岡横断道路の横軸に加え、これらの道路を補完し、または代替となる道路がネットワークとして一体的に機能することが必要であります。 これらの道路を初めとする社会資本の計画的な整備には、国費など公共事業費の確保が必要であることから、令和7年度政府予算提言・要望において、公共事業予算の安定的、持続的な確保について、国へ要望したところであります。 今後とも、さまざまな機会を捉えて、公共事業予算の確保を国に働きかけるとともに、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も活用しながら、道路整備を推進し、防災対策や産業振興など幸福の追求を支える社会基盤が整っている岩手の実現に向け、取り組んでまいります。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、子供、子育て支援策における市町村との連携についてでありますが、県では、岩手県子ども・子育て支援事業支援計画に基づきまして、子供、子育て支援の充実に取り組んでおり、市町村の事業運営に対する財政支援や人材確保などにより、保育所等における待機児童数が減少するなど、就学前の児童に係る教育、保育環境の充実が図られてきたところであります。 また、昨年度からは、子育て世帯の経済的負担を軽減し、希望する子供数を実現できる環境を整備するため、第2子以降の3歳未満児に係る独自の保育料無償化などを市町村と連携して実施しているところであります。 一方、放課後児童クラブにおいては、ニーズの高まりを背景に、昨年度と比較して待機児童が生じている市町村が増加するなど、小学生の放課後の安全、安心な居場所の拡充が課題となっております。 このため、県では、現在策定を進めている次期支援計画に、新たに放課後児童対策の推進に関する事項を盛り込むこととしており、市町村と連携して放課後児童クラブなどの公的な居場所を確保し、安心して子供を生み育てられる環境づくりを推進してまいります。 次に、介護人材確保対策についてでありますが、介護サービス施設・事業所調査に基づく厚生労働省の推計によりますと、令和4年度の県内の介護職員数は2万4、466人であり、平成29年度からの5カ年で3、179人増加しております。 一方で、令和5年度介護労働実態調査によると、本県の65.4%の事業所が介護従事者の不足を感じており、今後、介護サービス需要の増加や生産年齢人口の減少が見込まれる中で、介護人材の確保は喫緊の課題であると認識をしております。 県では、参入の促進、労働環境、処遇の改善、専門性の向上の三つの視点から総合的に介護人材確保対策に取り組んでおり、特に、業務改善、業務効率化に資する介護ロボット、ICTの導入支援や、その活用に係る研修会の開催など、働きやすい職場環境づくりへの支援を強化することが重要と考えております。今定例会において、介護ロボット、ICTの導入支援に係る経費の増額を提案しているところであり、引き続き、介護事業所が必要な介護人材を確保し、質の高いサービスを提供できるよう、市町村や関係団体等とも連携をしながら取り組んでまいります。 次に、マイナ保険証の利用状況等についてでありますが、県ではこれまで、ホームページ等を通じて県民への周知啓発に努めてきたほか、県医師会や被用者保険者等が参画する岩手県保険者協議会の場において、各保険者等に対し、さらなる利用促進の取り組みについて要請しており、本年10月の本県のマイナ保険証利用率は17.25%で、全国平均の15.67%を上回っているところであります。 マイナ保険証は、本人の健康や医療データに基づいた適切な医療を受けることが可能となることや、高額療養費の手続の簡素化、医療現場の負担軽減等が期待されるなどのメリットがある一方で、情報セキュリティーや機器のトラブルが発生し、こうした不安から利用率が伸び悩んでいると認識しております。 これまで、全国知事会として、マイナンバーの利用に関して国の責任において情報セキュリティー対策の徹底、国民及び医療機関への普及、啓発を行うことや、高齢者等への十分な支援を行うことなどを要望してきたところであり、利用率向上に向けて、引き続き国に対して必要な働きかけを行ってまいります。 〔企画理事兼商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、中小企業に対する賃上げ支援策についてでありますが、国が実施している業務改善助成金やキャリアアップ助成金については、賃上げの実行に加え、設備投資や賃金規定の改定などが支給要件とされており、こうした状況を踏まえ、県において賃上げ原資を補填する物価高騰対策賃上げ支援金を実施したところでございます。 また、同様に、国が実施している、いわゆる持続化補助金やものづくり補助金、また、事業再構築補助金などと連動する形で、県において、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金を実施し、設備投資に加え、人材育成や販路開拓に要する経費までを補助対象とした支援を行っているところでございます。 国に対しては、こうした支援策を実施するに当たっての要件緩和について政府予算要望などを通じて働きかけを行っているところであり、引き続き、中小企業者の実態やニーズを踏まえた効果的な支援を適時適切に展開してまいります。 次に、技能実習制度から育成就労制度への移行に伴う対応についてでありますが、育成就労制度については、令和6年6月21日から3年以内に施行されることとなり、現在、国において、制度の詳細についての検討が進められているところであり、こうした状況から、中小企業者から制度の具体的な内容がわからないなどといった声があるのではないかと受けとめております。 こうした中、既に県内においては、岩手県国際交流協会や岩手県中小企業団体中央会などが、岩手労働局や出入国在留管理局と連携して、新たな制度についての説明会やセミナーなどを開催していると承知しております。 今後、制度の詳細が明らかになっていく過程において、岩手労働局などにおいて、中小企業者に対する周知の徹底や相談体制の整備に向けた取り組みが進んでくると考えており、県においても、こうした取り組みと連動する形で、県内の中小企業者が制度の移行に円滑に対応できるよう支援していきたいと考えております。 〔県土整備部長上澤和哉君登壇〕 〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、土砂災害警戒区域等における対策についてでありますが、新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所の土砂災害警戒区域等の指定については、昨年度から区域指定に向けた調査を実施しており、今年度は、約2、400カ所の調査を進めているほか、昨年度調査が完了した1、509カ所について、住民周知など区域指定に向けた手続を進めているところです。 今後の対策については、土砂災害警戒区域等の指定などのソフト施策と、砂防堰堤の整備等のハード対策を効果的に組み合わせた防災、減災対策を進めていくことが重要と認識しており、引き続き、関係市町村等とも連携を図りながら、土砂災害警戒区域等の早期指定に取り組むとともに、要配慮者利用施設など保全対象の重要性や緊急性を踏まえて重点化を図りながら、ハード対策も進めてまいります。 次に、河川改修についてでありますが、本県の管理河川の整備率は、令和5年度末時点で52.7%となっており、いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランの目標値を達成しているものの、全国と比較すると低い状況となっています。 県では、近年洪水により家屋の浸水被害が発生した区間や、資産の集中している区間等において、優先的に河川改修や堆積土砂の撤去等を進めており、令和6年度は、遠野市の猿ヶ石川など18河川において河川改修を実施しております。 河川改修等の加速化を図るため、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策による国費も活用しながら進めており、引き続き、必要な予算の確保に努めながらハード対策を着実に進めるとともに、流域治水の考え方を踏まえ、ソフト施策も効果的に組み合わせながら、防災、減災対策に取り組んでいきます。 次に、貯留機能保全区域の取り組みについてでありますが、貯留機能保全区域の制度は、特定都市河川指定要件の拡大と合わせ、氾濫をできるだけ防ぐための新たな取り組みの一つとして創設されたものであり、流域治水の実効性を高め、河川の氾濫被害軽減、防止に有効な取り組みであると認識しています。 県では、令和4年8月豪雨で被災し、沿川の地形や土地利用の状況から河川の拡幅が難しい一戸町と葛巻町の馬淵川流域を対象に特定都市河川指定の検討を進めており、指定後に策定する流域水害対策計画の中で、貯留機能保全区域制度の活用の可能性も含めて検討してまいります。 また、岩泉町小本川では、輪中堤や宅地かさ上げと町による災害危険区域指定など土地利用と一体となった河川改修に取り組んでおり、これらの取り組みを、地域の特徴を踏まえ県内全域に横展開し、流域治水の考え方を踏まえた防災、減災対策を推進してまいります。 次に、県民との協働による河川の維持管理のあり方についてでありますが、住民協働による河川清掃や草刈りについては、良好な河川環境の維持向上を図る上で重要な役割を担っていると認識しており、県ではこれまで、住民によるボランティア活動を支援する制度を設け、活動に必要な用具の支給や保険料の負担などの支援を行っています。 これに加え、例えば、草刈り後の刈り草の収集、運搬、処分や、草刈り作業に支障となる立ち木の伐採等を県が行うなど、地域の方々の作業負担の軽減にも取り組んでおります。 河川内の草刈りを地域の方々が行う場合は、作業箇所周辺の状況により、周辺環境への影響や安全対策などを検討する必要がありますが、作業の負担となっている具体的な内容などを伺いながら支援に努め、住民協働を推進してまいります。 次に、橋梁の長寿命化対策の現状と課題についてでありますが、道路法では、5年に一度のサイクルで点検を行い、橋梁の損傷度に応じて4段階に区分した判定を行うことを定めており、県では、令和元年度までの5年間の点検結果等に基づく、岩手県道路橋長寿命化修繕計画を令和3年3月に策定し、長寿命化対策に取り組んできたところです。 この計画では、対象橋梁2、776橋のうち、早期の措置が必要な区分IIIは212橋、予防的な措置が必要な区分IIは1、538橋となっており、これまで区分IIIの橋梁の修繕を進め、今年度末までに180橋、約85%の対策が完了する見込みとなっております。 長寿命化対策は、限られた人員の中で継続的に実施していくことが必要であることから、点検や工事の省力化や継続的な予算の確保を図りながら、損傷が深刻化してから修繕を行う事後保全型から、軽度なうちに対応する予防保全型維持管理へ転換していくことが課題と認識しております。 このため、新技術の活用等により省力化を図りながら、公共事業予算の安定的、持続的な確保等について国に働きかけていくとともに、補助事業を活用しながら、計画的に補修や修繕を推進してまいります。 〔ふるさと振興部長村上宏治君登壇〕 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) まず、社会減の要因と対策についてでありますが、本年6月に内閣府が公表した調査によりますと、女性が地元を離れて東京圏で就職した理由で最も高い項目が、親元を離れた生活であり、続いて、自分の能力や関心に合った仕事がなかった、東京圏への憧れが上位となっており、就職先や余暇などの面におきまして、多様な選択肢がある東京圏や仙台圏へ転出しているものと分析しております。 このため、人口問題対策本部会議において、新たにアンコンシャスバイアスの解消及び若者、女性など全ての方が自己実現や多様な働き方ができる職場環境の整備を重点事項の一つに掲げ、対策を強化する方向性を打ち出したところでございます。 はぎの幸弘議員御指摘のとおり、就職期の女性に訴求する施策の充実が必要であり、いわてで働こう推進協議会や、いわて女性の活躍促進連携会議等の官民が一体となった若者や女性の県内就職、創業支援、魅力ある職場環境づくりに加え、今年度から実施している女性デジタル人材育成や家事・育児シェア啓発キャンペーン等の取り組みを通じて、女性の多様な働き方や所得の向上、家庭や地域等におけるジェンダーギャップ解消を図り、特に女性の社会減に歯どめをかけられるよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、交流人口、関係人口の拡大についてでありますが、ニューヨークタイムズ紙掲載を契機とした誘客プロモーションや、遠恋複業課による複業マッチング等、これまでの取り組みの結果、令和5年度の観光入込客数は、対前年度比で30%増加、遠恋複業課では、令和5年度までの累計で126件がマッチング、地域おこし協力隊は、令和5年度は266人が県内で活動するなど、一定の成果につながっているものと認識しております。 一方で、さまざまな形で全国各自治体と差別化を図りながら岩手の魅力を強く発信し、本県とのつながりを深めるための取り組みを進めていくことが重要と認識しております。 二地域居住につきましては、リモートワークの浸透など働く人を取り巻く環境が大きく変化する中、将来的な移住、定住も見据えた関係人口の拡大の手段として大いに期待されるものと受けとめており、その推進に当たりましては、SNSや首都圏でのイベント等を通じた本県の魅力の情報発信、住宅やコワーキングスペースなど暮らしと仕事の環境整備、県外からの兼業、副業人材の受け入れ支援等が重要でありますことから、全国プラットフォームとも連携しながら、こうした施策の充実を図り、本県における二地域居住の普及や機運醸成に向けた取り組みを進めてまいります。 次に、いわて花巻空港の利用促進についてでありますが、国内線の利用状況につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から回復基調にあるものの、コロナ禍前の水準には至っておらず、県として、まずは、現在運航中の5路線の維持、拡充を図っていくことが重要と考えております。 その上で、いわて花巻空港からの定期便が就航していない空港につきましても、定期便からの乗り継ぎの活用やチャーター便の運航について、航空会社に働きかけを行っております。 また、国際線につきましては、台北線や期間限定で運航される上海線の利用促進を図るとともに、旅行会社等と連携して国際チャーター便の誘致にも取り組んでおります。 今後におきましても、こうした取り組みを継続、充実させるとともに、各航空会社とも連携しながら交流人口、関係人口拡大の取り組みを推進することにより、新規路線の開拓を含めた航空ネットワークの充実につなげていきたいと考えております。 また、航空運賃につきましては、航空会社に対し割引運賃の拡充を要望しているところであり、今後におきましても、利用しやすい価格帯の充実を求めていくほか、早期割引運賃や航空会社が行うタイムセール、記念運賃などの周知を図ってまいります。 〔環境生活部長大畑光宏君登壇〕 〇環境生活部長(大畑光宏君) まず、狩猟免許の取得促進についてでありますが、県では、新たな狩猟者の確保に向け、狩猟免許を取得していない県民を対象に、狩猟の基礎知識の説明や模範射撃の見学などを内容とする研修会を開催するとともに、市町村等が主催するイベントに出展し、狩猟の魅力をPRしているところです。 また、狩猟免許試験に向けた法令等の説明や、猟銃の取り扱いに関する予備講習会を開催しているほか、試験実施に当たりましては、受験者の利便性を考慮し、内陸部、沿岸部それぞれに試験会場を設け、休日に試験を実施しているところです。 こうした取り組みにより、令和5年度の狩猟免許所持者数は4、339人と、5年前の平成30年度と比較すると1、188人増加したところです。 また、狩猟免許所持者に占める40歳未満の割合は16.7%で、近年、若手狩猟者が増加傾向にあることから、若手狩猟者の捕獲技術向上を目的として、わなの設置や捕獲個体の解体方法を学ぶ研修会も開催しているところです。 今後も、市町村や猟友会など関係機関と連携し、研修会等を実施していくなど、捕獲従事者の確保、育成に取り組んでまいります。 次に、捕獲従事者への支援についてでありますが、県では、有害捕獲の従事者などを対象として狩猟税を減免しているほか、一部の市町村では、有害捕獲の従事者に交付する捕獲活動経費について、国の交付金単価に加え、特別交付税を活用し、かさ上げを行っているところです。 また、令和5年度から、県内全市町村と関係団体で構成する岩手県鳥獣被害防止対策会議を設置し、被害状況の情報共有や被害防止対策の事例紹介を行うとともに、県、市町村、関係団体等で構成する現地対策チームを県内10地域に設置し、研修会の開催や被害防止技術の実証に取り組んでいるところです。 さらに今年度は、ツキノワグマによる被害防止に向けて、県市町村連絡会議を初めて開催し、緩衝帯整備に取り組んでいる市町村の事例紹介や意見交換などを行ったところです。 今後も、国に対し、捕獲活動経費の上限単価引き上げや必要な財源の措置など、捕獲活動に対する支援の拡充を要望するとともに、会議の開催や対策チームの活動等を通じて、市町村等との情報共有や連携強化を進め、捕獲従事者が円滑かつ安全に活動できるよう取り組んでまいります。 次に、広域的な捕獲個体の処理体制についてでありますが、鹿の捕獲については、市町村の有害捕獲や県の指定管理捕獲等事業により捕獲を強化しており、令和5年度の捕獲実績は2万9、138頭となっています。地域別では、北上川と閉伊川に囲まれた北上山地南部地域が令和5年度実績で2万2、405頭と最も多くなっています。 このように、鹿の捕獲実績が増加していく中、捕獲個体の処理が捕獲従事者の負担となっている状況にあることから、県では、市町村の要望も踏まえ、今年度、新たに鳥獣捕獲個体処理効率化支援事業費を創設したところです。 この事業は、国の交付金を活用し、捕獲個体の解体処理施設のほか、食肉加工施設や焼却施設などを整備する市町村等の負担を軽減するため、県としても支援をすることとしたものであります。 現時点で採択に至った事例はありませんが、引き続き、事業を活用する意向を示す市町村等に対し積極的に助言を行うなど、伴走的な支援も実施しながら、捕獲個体の処理が円滑に進むよう取り組んでまいります。 〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕 〇農林水産部長(佐藤法之君) 産業動物獣医師の確保についてでありますが、獣医療の安定的な提供には獣医師の確保が極めて重要であることから、県では、獣医学生に対する修学資金の貸し付けなどを行っており、この10年間で61名の獣医師が県内の産業動物獣医師として就業しています。 また、獣医療を提供する体制の整備を図るための岩手県計画に基づき、新たに地域の家畜診療のあり方等を検討する場を設け、地元の市町村や農業協同組合等と検討を重ね、県農業共済組合のかわりに家畜診療を引き受ける開業獣医師が確保されるなど、安定的に獣医療が提供できる体制が構築されていると承知しています。 さらに、今年度から新たに、県獣医師会と今後の獣医療提供体制のあり方について意見交換を始めたところであり、今後も、産業動物獣医師の確保に向け、県獣医療計画を着実に推進するとともに、関係機関、団体等の意見を丁寧に聞きながら、各地域の実情に応じて、獣医療が継続的に提供されるよう取り組んでいきます。 〔教育長佐藤一男君登壇〕 〇教育長(佐藤一男君) まず、学校給食費の無償化についてでありますが、学校給食費の無償化は、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われることが重要であることから、国全体として取り組むべきであると考えておりまして、本年6月に国に対して学校給食費の無償化の実現について要望を行ったところです。 国におきましては、昨年度、こども未来戦略方針に従い、学校給食の実態調査を行い、本年6月にその結果を公表したところであり、現在、自治体など学校設置者による実施方法の違いや法制面等も含めた課題を整理し、具体的方策の検討が進められているものと認識しております。 県教育委員会としましては、国の動向を注視しながら、引き続き、必要な働きかけを行ってまいります。 次に、高校教育の充実についてでありますが、令和7年度を終期とする、新たな県立高等学校再編計画後期計画において、地域や地域産業を担う人づくりの実現に向け、多様な分野の学びを確保し、地域の教育資源を活用した実践的な学習活動の充実を図りながら教育環境の整備に努めることとしております。 そのような中、現在、次期高校再編計画策定の土台となる県立高等学校教育の在り方〜長期ビジョン〜の最終案を取りまとめ、高等学校教育の基本的な考え方の柱の一つとして、地域や地域産業を担う人材の育成を位置づけ、教育環境の構築に取り組むこととしているところです。 特に、専門高校に係るビジョンにおきましては、地域の産業構造やニーズ等を踏まえながら、専門教育の充実と教育課程の見直しや、学科の改編などの検討に取り組むこととしております。 県教育委員会としては、今後も生徒が地域や地域産業の魅力や課題等に触れながら探究的に学ぶことを通じて、地域や地域産業を担う人材の育成に取り組んでまいります。 〇9番(はぎの幸弘君) それでは、5点ほど再質問させていただきます。 初めに、防災、減災対策についてでございますが、防災対策によって、まずは被害を最小限に食いとめることが大事であります。大きな被害が発生した場合、その後の早期復旧が何より重要だということです。県民生活に直結する道路を初めとした公共土木施設の復旧は特に重要であると考えております。大きな災害が発生した場合、国による激甚災害指定の制度があり、指定された場合には、通常よりも手厚い国の支援が受けられますけれども、一連の災害と見られるケースでも地域や被災した日によって指定されないということもあると伺いました。その場合、自治体の財政負担の軽減が図られないことや、早期復旧が困難になることも想定されます。 激甚災害指定は国の権限であり、県は関与していないものとは認識しておりますけれども、県土の早期復旧のためには、県が迅速かつ的確に災害状況を把握して、必要な激甚災害指定について国に働きかけていくことも必要ではないかと考えますが、県のお考えを伺います。 次に、地域において協働した防災対策として、学校による校庭貯留の取り組みについて伺います。 都市部においては、校庭や公園等に雨水を一時的に貯留して河川へ流出抑制を図る取り組みが進んでおります。学校施設は比較的規模が大きいために、近年のようなゲリラ豪雨など短時間に大量に雨が降ると、校庭などの雨水は一気に周辺地域に流れ出る危険性があります。本来であれば、その大量の雨水を処理できる水路を整備するのはそれぞれの自治体の役目であろうとは思いますけれども、財政上の理由などですぐに対応できる状況にはないのも事実ではないかと推察されます。 また、校庭貯留の取り組みというものは、生徒による施設の通常利用に支障が出ることも考えられることや、費用負担など学校側と地域との間での合意形成が必要であるとは思いますけれども、地域における防災対策の選択肢の一つとして、学校も地域の一員であるという意識で、自治体とともに検討していくことも必要と考えますが、その点の所見を伺います。 次に、子供、子育て支援策における市町村との連携についてですが、先ほど市町村の現状についてお答えをいただきましたけれども、重要な少子化対策については、県内どこにいても同じサービスが受けられるべきということであります。市町村の現状把握と連携を踏まえて、具体的にどう取り組んでおられるのか伺います。 次に、いわて花巻空港の利用促進ですが、岩手県への外国人観光客は令和5年に大幅な回復を見せて、約32万7、000人回となり、その約6割が台湾からの入り込みであります。いわて花巻空港の台北線の搭乗率も、運航を再開した令和5年は91.5%、非常に好調です。本年11月に私も台湾友好議員連盟の一員として台湾を訪問し、視察をさせていただきましたが、台湾と岩手県の関係をこのまま維持、いや、これ以上に発展させていくことが重要であると、まさに肌で感じさせていただきました。 いわて花巻空港を起点とした台湾からのインバウンド拡大にはさまざま取り組んでおり、台湾との関係を維持、発展させていくためには、ウイン・ウインの関係が基本であると考えます。ということは、インバウンドだけではなくて、岩手県から台湾へのアウトバウンド、これも今の台湾からのインバウンドとせめて同等程度までは引き上げるということが台湾に対する敬意ではないかと思いますが、その辺について、どのようにお考えか伺います。 次に、いわて花巻空港の魅力化でありますが、路線の拡充、価格帯の充実という御答弁はいただきました。私は、さらに、いわて花巻空港の施設自体の魅力化というのも必要ではないかと思います。といいますのも、私もいわて花巻空港を幾度となく利用させていただいていますが、例えば早朝の便を利用する場合は、自宅を早めに出なければなりません。そうすると、朝食は空港施設内でとらなければと思っているのですが、レストランが早朝は大概あいていないということで、利用できずに残念に思ったことがございます。したがいまして、利用者のニーズに沿った営業時間の拡大、あるいは売店の充実化などが必要ではないか。飛行機を利用しないとしても、レストランに行くなど、そういう利用の仕方も広めていく必要があるのではないかと考えます。 また、空港の周辺で飛行機の離着陸を見物している人もよく見受けられますけれども、そのような場所に、例えばですが、親子で遊べるような公園を整備して、子供たちにとっても小さいころから飛行機になれ親しんでもらうようにするということが、いわて花巻空港のさらなる魅力化にもつながると思いますが、県の御所見を伺います。 次に、介護人材確保についてですが、介護職員の不足については、なる人もいませんけれども、離職率の高さというのも課題であります。その要因の一つに、都市と地方の賃金格差があるのではないかと思います。介護報酬には、地域ごとの人件費の地域差を調整するための地域区分というものが設定されているようですが、例えば、大都市部では最大で20%の上乗せがあります。本県では全域で上乗せなしということのようです。その結果として、同じ仕事をするなら都市部に行ってやりたいということで、都市部に人材が集中するのは、ある意味必然であると考えます。人手不足も相まって、地方の介護サービス環境がますます厳しさを増すことの要因になっていると思います。 この状況を打開するための手段として、例えば、全国一律で同じ報酬としてもらうように、そして、賃金格差をなくしてもらうことで、東京一極集中の是正と深刻な人口減少対策にも資すると思います。これもまた国の制度でありますけれども、今の県の実情を鑑みれば、できる限りの支援をすべき案件ではないかと思いますので、国に働きかけてはどうでしょうかということについての御見解を伺います。 そして、次に、マイナ保険証の県立病院における利用促進について伺ってまいります。先ほどから述べられておりますとおり、マイナ保険証は多くのメリットがあり、利用促進していかなければならないと考えておりますが、本県は全国で最多の県立病院ネットワークがございます。医療局においては、マイナ保険証への移行は、必要な設備の導入や患者への丁寧な周知などによって率先して取り組んでいくべきと考えておりますけれども、県立病院と地域診療センターにおける利用率はどのようになっているのか。先ほどの本県17.25%というのは全体ではないかと思いますが、県立病院に特化した利用率について確認したいと思いますし、今後、さらなる県立病院での利用促進に向けて、どう取り組んでいくのか伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 私から、子供、子育て支援策の市町村連携と介護人材について御答弁申し上げたいと思います。 まず、市町村との連携についてでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、県では、岩手県子ども・子育て支援事業支援計画に基づきまして、子供、子育て支援の取り組みに加えまして、第2子以降の3歳未満児に係る独自の保育料無償化を全市町村で実施していますが、このうち13市町村におきましては、地域独自の子育て支援策として、第1子まで拡大して実施しているところであります。 この子育て支援策の多くは市町村が実施主体として実施しておりまして、そのほかにも、例えば、妊産婦のアクセス支援や産後ケアのアクセス支援、子どもの遊び場支援など、県と市町村が連携して取り組んでいるところでございます。 このように、全国的に、市町村や都道府県で独自に子育て支援策の拡充を図っているところではありますが、保育料の無償化などの重要な子育て支援策につきましては、これも何度も御答弁申し上げておりますが、本来、自治体の財政力の差などによらず、どこの地域においても同等な水準で行われるべきものでありますことから、全国知事会とも連携をいたしまして、全国一律の制度創設を国に働きかけているところでございます。 次に、介護報酬における地域区分についてでございます。 はぎの幸弘議員御指摘のとおり、介護報酬では、事業所が所在する市町村ごとにサービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して地域区分が設定され、基本単価が割り増しされております。これは物価や人件費等の地域差を調整し、公平性、客観性を担保する観点から設定されているものと認識しております。 県としては、介護事業所が各種加算等を適切かつ確実に取得をし、必要な介護報酬を確保することが重要であると考えていることから、本年7月に県内4カ所において、処遇改善等加算取得を支援するセミナーを開催したほか、介護事業所に社会保険労務士を派遣し個別支援を行う準備を進めているところであります。 また、これまでも、地方においても安定的なサービス提供が図られる適切な介護報酬を設定するよう国に対し要望しているところであり、引き続き、介護職員がやりがいを持ち、質の高い介護サービスを提供できるよう取り組んでまいります。 〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、公共土木施設が被災した際の激甚災害指定についてでありますが、激甚災害の指定は、内閣府が指定した異常気象における当該地方公共団体からの被害報告額と標準税収入との比較により、激甚災害指定基準等に照らし合わせ決定されます。 激甚災害指定につきましては、被害報告額から算出される査定見込額により指定される、全国を対象区域とする激甚災害、いわゆる本激、対象区域を市町村単位とする早期局地激甚災害、いわゆる早期局激、災害査定により決定した事業費をもとに年度末に指定する局地激甚災害、いわゆる局激があります。 発災からおおむね1カ月から2カ月で指定される本激及び早期局激は、各地方公共団体からの被害報告を受け内閣府で検討されることから、発災後は迅速な被害額の把握に努めることが必要であると認識しております。 今後においても、市町村における速やかな被害状況調査を促すとともに、国に対しては、被災箇所、被災日、被害額など具体的な被害の状況を漏れなく示しながら、迅速かつ的確な報告に努めてまいります。 次に、いわて花巻空港の魅力化についてでありますが、空港ターミナルビルは、岩手県空港ターミナルビル株式会社が運営しており、開館時間は7時15分から19時30分までとなっております。テナントとして入っているレストランの営業時間は11時からですが、弁当やおにぎりなどを販売している売店は朝8時から営業しております。 このうち、レストランにつきましては、前の店舗の撤退に伴い、空港ビル会社が交渉を重ね、昨年6月に新店舗としてオープンした経緯があり、随時、メニューの追加、見直し等のサービス向上に努めているところですが、人員体制に余裕がなく、現在の営業時間に至ったと聞いております。 また、いわて花巻空港では、広く県民に親しみを持ってもらうため、スカイフェスタや、みんなでラジオ体操&平行誘導路マラソン、子ども航空教室などのイベントを開催し、多くの方に参加いただいているほか、施設としては、周辺地域住民と協働し、駐車場や遊歩道を備えた飛行機が見える丘などを整備しているところでございます。 今後も、利用者のニーズ等を踏まえながら、空港ビル会社など関係者と連携し、施設の利便性向上に努めるとともに、いわて花巻空港のさらなる魅力化に取り組んでまいります。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 私から、台湾へのアウトバウンドについて御答弁申し上げます。 現在の台北線ですが、台湾からの旺盛な訪日需要を背景に、主にインバウンドの利用により高い利用率を維持しております。 将来的に安定した運航の維持、拡大を図っていくためには、はぎの幸弘議員御指摘のとおり、台湾、岩手県の双方向の利用が重要でありますことから、岩手県からのアウトバウンドをふやしていく必要があると認識しております。 このため、県民へのパスポート取得費用に対する助成のほか、アウトバウンドの旅行商品を造成する旅行会社への支援、SNSによる台北線や台湾の観光情報の発信などに取り組んでいるところでありまして、今後におきましても、こうした取り組みの強化を図ってまいります。 〇医療局長(小原重幸君) マイナ保険証の利用率についてでありますが、本年10月時点の全国平均の利用率が15.67%、本県が17.25%に対しまして、県立病院、地域診療センター全体の利用率は36.7%となっております。 この利用に向けて、令和3年10月から全ての県立病院、地域診療センターにオンライン資格確認機器を整備の上、運用を開始しているものでございます。 利用促進に向けては、はぎの幸弘議員から御紹介のありましたメリットやマイナ保険証の利用方法が記載されたチラシの配布やポスター掲示のほか、受付窓口で円滑な活用に向けた声かけを実施しており、今後も、引き続き利用率の向上に努めてまいります。 〇教育長(佐藤一男君) 校庭貯留の取り組みについてのお尋ねでございます。 学校施設は、子供たちや教職員が安心して教育活動を行う場であるとともに、災害時には避難所としての役割を担う場合もあることなどから、水害、土砂災害に対する防災機能の強化が重要であると考えます。 学校や学校設置者は、地元自治体と連携し、学校施設において水害、土砂災害対策を実施したり、地域全体の水害、土砂対策へ協力することが求められます。 一方、地域の浸水被害を防ぐ取り組みである校庭貯留については、雨水貯留時の校庭利用、雨水貯留後の校庭の整地やぬかるみに対する水はけ対策、土砂等の流入物の撤去など、学校教育活動への影響が大きいことから、その実施については、慎重に検討、判断する必要があると考えております。 〇9番(はぎの幸弘君) わかりました。もう一回だけ質問させてください。 防災、減災対策における激甚災害指定について、先ほど御答弁いただきましたが、そもそも論ですが、1点、国の激甚災害指定における、いつからいつまでが激甚だという期間ですけれども、これはどのようなプロセスで指定されているのか国に対して確認されているのでしょうか。 といいますのも、国の指定した期間から1日ずれて災害が発生して認められないといった相談を受けたこともあったものですから、素朴な疑問として浮上したものです。恐らく気象庁のデータから内閣府が決定しているのかとは思うのですが、この機会に、今後もこのような問題が出る可能性がありますから、念のために事前に国に確認しておいたほうがよろしいと思います。いかがでしょうか。 今、教育長から校庭貯留について御答弁をいただきました。それはそのとおりだと思っております。一般論ですけれども、県による大規模施設、比較的大きな施設というのは、県立学校のほかに県立病院等もございますが、恐らく施設規模に応じて、それらの雨水の処理、適正に処理できる水路の規格を設定しているものと思います。 問題は、敷地外に雨水が出た後のことでありまして、当然ながら、地元自治体の水路に流れるのですけれども、結局、地元の自治体の水路の規格が県の大規模施設の水路の規格とミスマッチとなっており、どちらかといえば水路が小さくなっていると、結局あふれるということが出るわけです。例えば、県立病院などは、今後も一部で建てかえ計画もございますけれども、この機会に、ぜひそういった問題に直面する前に、地元自治体と協力し合いながら、地域全体でそういった対策を事前に検討することも必要と思いますが、いかがでしょうか。 いわて花巻空港の利用促進ですけれども、過日の新聞報道で、岩手県の空港利用促進協議会のキャンペーン記事が掲載されておりました。空港からJR花巻駅と新花巻駅までタクシー利用の場合は運賃片道1、000円、これは12月15日まで、あるいは、若者向け航空運賃割引キャンペーン、これが来年3月29日まで、これはとても有効な取り組みだと思います。 さらなる取り組み、こういった期間限定ではなくて恒久的な取り組みとして、例えばですが、アクセス面では、空港との行き来だけの送迎だとコストがかさむとすれば、花巻市内全域を回れるような循環バスにするとか、空港施設ではLCC―格安航空会社等の複数誘致、路線の利便性を図るとか、国際線の充実化もそのとおりであります。 また、搭乗ゲートに入ってからですけれども、コロナ禍以降、売店が休業となっているようです。小さなことですが、そういった部分から再開して、旅行気分を盛り上げてリピートにつなげるなどといったことをやったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。 今回、台湾路線の拡充について、具体例として取り上げましたけれども、もちろん、それ以外の韓国などもそうですが、ベトナムやフィリピン、インドネシアなどからの実習生も多く岩手県内に入ってきております。観光面だけではなくて、ビジネス面でのニーズを調査した上で、いわて花巻空港からの行き来を容易にすれば、実習生を受け入れている企業にとっても、実習生たち自身にとっても利便性が向上して利用促進につながると思いますが、いかがでしょうか。 最後に、マイナ保険証についてですけれども、いろいろな情報について、県民の皆様がしっかりその情報を把握しているのかを逆に県では把握されているのか。例えば、テレビでも何回も言っておりますけれども、12月2日以降も発行済みの保険証は有効期限が切れるまで有効ですとか、マイナ保険証を持っていない人には資格確認書が届きますとか、あるいは、1歳未満の乳児や紛失再発行時の再交付、海外からの転入等の場合には、顔写真のないマイナンバーカードを原則1週間で交付する特急発行の仕組みもあるということです。先ほど御答弁いただいていますけれども、これらもしっかりと啓発していかないと、結果的に、不信感が募って、なかなかマイナ保険証の利用につながらないと思うのですが、いかがでしょうか。 先ほど県立病院の窓口で30%台の利用率ということですが、こういったトラブルなどを回避する対策を期待しておりますけれども、具体策をお持ちであれば伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 私から、最後に御質問いただきましたマイナ保険証について御答弁させていただきたいと思います。 利用促進、また、普及啓発につきましては、国でも今、盛んにずっと行っておりますし、県といたしましても、先ほども御答弁申し上げました、県医師会や被用者保険者等が参画する岩手県保険者協議会の場を活用いたしまして、各保険者に対しまして利用促進、また、メリットやデメリットについて、被保険者の方々にお伝えする、患者にお伝えすることについて共有し、取り組みを進めてきたところでございます。 こうしたこともあって、先ほど御答弁申し上げましたとおり、本県は全国より利用者は多く、また、県立病院などについても非常に高い状況であり、また、県歯科医師会も非常に熱心に取り組んでおられまして、歯科診療所についても、全国よりも高い状況となっているところでございます。 昨日移行になったばかりで、従来の保険証はまだ使えます。移行期の間にどのようなトラブルがあるのか、また、スムーズにいっているのかということも含めて、医療機関、医療関係団体から情報収集をいたしまして、それに対応する対応策も関係機関で情報共有しながら、必要に応じて国に対しても働きかけを行いながら、普及促進、県民の皆様への啓発を進めてまいりたいと思いますし、医療局でさまざまトラブル防止の取り組みもしていると思いますので、こうした取り組みなどについても、県内各医療機関の間で共有してまいりたいと考えております。 〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、激甚災害指定のプロセスについてでありますが、先ほど御答弁したとおり、激甚災害の指定は、内閣府が指定した異常気象における当該地方公共団体からの被害報告額と標準税収入との比較により、激甚災害指定基準等に照らし合わせ決定されるものです。 国の激甚災害指定における期間設定につきましては、内閣府が被害報告等をもとに気象庁と協議をし、災害の被災地域や期間を確定させるものと承知しております。 なお、はぎの幸弘議員御指摘の事例につきましては、今回の被害報告額が激甚災害指定の基準となる金額を下回っているといったことから、激甚災害の指定がされなかったと考えております。 次に、校庭貯留等の取り組みについてでございますが、雨水等の適正な処理は、主に小流域での氾濫や内水による浸水被害を防止、軽減する上で重要であり、雨水を貯留や浸透させる施設の整備のほか、水路の整備等の対策について、各施設管理者が実施するものと認識しています。 一方、各施設の雨水対策については、校庭貯留など施設利用への影響も懸念され、慎重に検討、判断する必要があると考えられることから、各施設管理者や地元自治体と意見交換を行いながら、流域治水プロジェクトへ位置づけること等を検討するなど、地域全体で連携して、流域治水を深化させる取り組みを推進してまいります。 次に、いわて花巻空港における搭乗ゲート内の売店についてでありますが、搭乗ゲート内の売店は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う航空機の減便等を受け、令和2年4月下旬から休業しております。 その後、空港ビル会社からテナント企業に対して再開の要請を行っておりますが、人員確保が困難との理由から、再開には至っていないと聞いております。 今後も、空港ビル会社と情報交換を行いながら、施設の利便性向上に向けて、課題の把握とその解決策を検討してまいります。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 私から、空港利用のキャンペーンの話と、LCC、国際線の充実という点について御答弁申し上げます。 まず、キャンペーンの関係でございますが、官民で組織する岩手県空港利用促進協議会では、ことし11月から利用促進キャンペーンとしてタクシー料金の割引、若年層向けの航空運賃の割引を実施しております。 タクシー料金の割引につきましては、現在、空港からのバス路線がない鉄道駅までの移動需要を把握するための実証運行として実施しているところで、キャンペーン終了後に利用状況を分析して、関係機関と連携しながら、空港からの二次交通の充実につなげていきたいと考えております。 また、若年層向けの運賃割引につきましても、来年3月までの予定でございますが、こちらもキャンペーン終了後に利用状況を分析しまして、次年度以降の事業に分析結果を生かしていきたいと思っております。 それから、LCCの関係でございます。いわゆるLCCと呼ばれる格安航空会社でございますが、主に成田国際空港、関西国際空港などといった国際空港と地方空港とを結ぶ路線を展開しております。 いわて花巻空港への参入に当たりましては、既存路線や鉄道との競合が考えられる一方で、採算性の観点から安定した高い需要が求められるほか、空港における搭乗カウンターなどの施設、それから、グランドハンドリング態勢の整備等、課題もあるものと考えております。 一方で、安い航空運賃で利用できるLCCによる路線を含めまして、航空路線の充実は、交流人口の拡大や地域活性化を図る上で重要でありますことから、これら航空会社の動向についても情報収集の上、対応を検討してまいります。 それから、国際線の充実についてでございますが、国際線の拡充に向けましては、既存の路線の維持、拡充を図るほか、新規路線の誘致が考えられますが、定期便化に向けましては、ビジネス需要を含めた需要の見極めが非常に重要でありまして、路線の誘致に先立ちまして、チャーター便の運航実績を積み重ねていく必要があると考えております。 国際チャーター便につきましては、本年3月にはベトナム、5月には韓国へのチャーター便が運航されまして、韓国については来年3月にも運航が予定されております。こうした路線に加えて、運航実績のある香港、タイなども視野に入れながら、旅行会社等と連携し、まずはチャーター便の誘致に向けて取り組んでまいります。 〇医療局長(小原重幸君) マイナ保険証のトラブルを回避する対策についてでございますけれども、先ほど答弁申し上げましたとおり、マイナ保険証の利用方法が記載されたチラシの配布のほか、患者の方々が円滑に使用できるよう窓口で丁寧に声をかけるなど、地道に丁寧に対応しているところでございまして、トラブルが発生した際にも適切に対応できるよう支援を行っているという状況でございます。 今後もこのような方法などで丁寧に行い、利用促進に向けまして取り組んでいきたいと考えております。 〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって、はぎの幸弘君の一般質問を終わります。 〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。 午後4時14分 休憩 出席議員(47名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(1名) 10 番 高橋 こうすけ 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後4時37分 再開 〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 〇副議長(飯澤匡君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。 〇副議長(飯澤匡君) 日程第1、一般質問を継続いたします。菅野ひろのり君。 〔16番菅野ひろのり君登壇〕(拍手) |
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