令和6年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録 |
前へ | 次へ |
〇16番(菅野ひろのり君) 希望いわての菅野ひろのりです。登壇の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げます。昨日の五日市王議員と多々重複する点もありますが、通告に従いまして質問に入らせていただきます。
まず初めに、衆参同日選挙について、知事の考えを伺います。 岩手県内では、現職参議院議員の辞職と衆議院解散に伴い、10月27日投開票日の衆参同日選挙が行われました。 〔副議長退席、議長着席〕 達増知事は、公務の合間を縫って、一関市千厩町で行われた小沢一郎衆議院議員候補と木戸口英司参議院議員候補の合同の演説会に駆けつけ、3人が並んだ姿は大変印象的でありました。 その際、知事の演説の一説に、与党は政権を下野することによって正され、野党は政権交代の過程で正されるという言葉があり、特定候補者の応援にとどまらず、日本政治全体への危機感と警鐘であったと私は感じました。 選挙結果は御承知のとおりであります。自由民主党は政治とカネの大逆風で過半数割れ、公明党は党代表が落選、一方の野党第1党の立憲民主党は大幅に議席を伸ばしたものの比例票はふえず、支持を得たとは言いがたく、特に比例票を見ると、自由民主党、立憲民主党両党以外の第3党以下が全体の半数を上回りました。日本の政治は、政治不信が高まると新興政党が続々立ち上がりますが、構図が変わってきたことに有権者の意識がかいま見えます。 達増知事は、衆議院、参議院のこの同日選挙の結果をどう受けとめ、岩手県民が政治へ求めることは何と捉えているのか。また、自公政権が過半数を割り込んだ状況の中で、これからの望ましい政治体制はどうあるべきか伺います。 以降は降壇して伺います。 〔16番菅野ひろのり君質問席へ移動〕 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。 統一教会問題と裏金問題の事実関係を十分に究明することが求められている中で行われた衆議院総選挙の結果、与党が過半数を大きく割り込んだことは、国民が健全な政治を求め、自公政権に対して不信任を示したものと考えます。 特に岩手県においては、参議院補欠選挙が政治家や政党の政治倫理の問題に端を発して行われたダブル選挙となり、健全な政治を求める県民の民意が示されたと思います。 自公2党だけでは過半数に足らず、その他単独で過半数を得た政党や政党グループがない状況の中、国民の民意を形にすべく、当選した議員や政党には今までにないような工夫と努力を重ね、政治の健全化に加え、直面する多くの課題に対応していくことが求められると考えます。 〇16番(菅野ひろのり君) 知事は、X―旧ツイッターにも、その際の演説内容を書き込まれておりまして、改めて読んでみますと、健全な政権交代が繰り返されることで政治は進歩、発展する。これは外務省時代からの思いであると私は受け取っています。 そういった中で、さらに、達増知事は、日本の政治全体を正す、その指導ができるのが小沢一郎氏だとも述べられておりました。当選19回、現在82歳で議員在職50年を超えた小沢一郎衆議院議員の指導により、どのように日本政治が正されることを期待するのでしょうか。日本の政治が変わることで岩手県の暮らしがどう変わっていくことを期待しているのか伺います。 〇知事(達増拓也君) さきの衆議院議員総選挙に向けて、統一教会問題や、裏金問題に関与していない政治家や政党で新しい政権をつくり、国民の生活が第一という視点から政策を実行するということを最も強く考え、行動に移していたのが小沢一郎議員であり、その意味で、日本の政治全体を正す、その指導ができるのが小沢一郎と述べたところであります。 1990年代、米ソの対立、東西冷戦が終わり、日本の政治には多様な国々に対する丁寧な外交や地方重視の国内政策など、新しい方向性が求められ、政治改革の論議も活発化し、1993年には自由民主党の下野、細川連立内閣の発足という大きな変化がありました。 しかし、その後、日本の政治は冷戦時代の枠組みから脱却できず、新自由主義的経済財政政策が主流となり、失われた30年と呼ばれるような停滞を続け、貧困や格差の問題が深刻化しました。統一教会問題や裏金問題もそのような日本政治の体質から起きたものであると言えます。 今、日本の政治に求められているのは、国民の生活が第一という視点に基づき、国民の消費する力、言いかえると、自分や自分の好きな物事に投資する力を高め、暮らしや仕事の現場である地方を強化し、地方から日本全体が豊かになっていくこと、そのように充実した国内の力を背景に、多様な国々と丁寧な外交を進めていくことであります。 そのように日本の政治が変わるとき、改革の政治の先頭に立ってきた岩手県は、県民生活や県民経済がますます向上し、世界の中でより大きな役割を果たしていくことが期待されます。 〇16番(菅野ひろのり君) ありがとうございました。今、御答弁いただいた中で重要なのが、地方から日本がよくなっていくことだということにあると思います。そして、地方といえば、今、石破首相の所信表明演説がありまして、その期待するところを知事にお伺いしたいと思います。なぜなら、今回も地方創生推進交付金の倍増を打ち出しました。そして、地元鳥取県の講演、報道を見ますと、どうしたら若い方、女性に選ばれる地方をつくるのかが、地方創生2.0の核心だと思っていると述べられております。 自由民主党の総裁選の岩手県の投票状況は、私自身もそうでしたが、全国を見ましても、自由民主党の中で地方に光を与えてくれるのは石破首相ではないかと思って期待したところであります。 一方で、岩手日報の論説を見ますと、地方創生、かく10年の地方創生は看板倒れであったということ明白だと痛烈に批判もされています。達増知事の所見を伺いたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 冷戦が終わったことで、それまでソ連や東側に対する防衛でありますとか、その関係で国内的にもさまざま準戦時状態のほうにお金でありますとか人手でありますとか、そういったものが国家として割かれていたのを冷戦が終わった以上、それを国内に、地方にお金や人的資源、さまざまな資源を向けることができるようになったはずでありますし、当時、さまざま地方分権、地方主権、地方が主役、地方をよくして、そして日本を発展させるようなビジョンも出たわけであります。 けれども、結局、大都市に有利なマネーゲーム経済を中心とした新自由主義的経済を進めるような政策が20年、30年にわたって主流を続けることにより、地方は今、直面しているような課題があるようになってしまったわけであります。 石破茂総理は、地方中の地方というような県に生まれ、そして、そこの選挙区から出ている久々の総理大臣ということで、近年の総理大臣の中でも、最も地方が直面している課題、そして、地方をそうさせた国政の流れというものが身にしみてわかっている総理大臣だと思います。 先週、首相官邸で行われた全国知事会議、内閣と知事たちとの意見交換の中で、石破首相は地方創生を再起動しなければならないと言っていまして、過去10年の地方創生をやり直さなければならないという趣旨のことを述べていました。したがいまして、過去10年の地方創生は、東京一極集中を是正できなかったという意味では失敗しておりますので、それを再起動する。ただ、これを再起動し、成功させるためには、かなり思い切って相対的に大都会よりも地方に有利になるような思い切った経済、財政政策が求められていきますので、そちらの方向に向くため、今までそういうことを主張してきた岩手県としては、さらにそこを訴えていきたいと思いますし、全国知事会からも働きかけていきたいと思います。 〇16番(菅野ひろのり君) 私も小沢一郎衆議院議員もそうですし、石破首相もそうですが、やはり地方から日本をよくする、今、そういった政治家が求められておりますし、選挙となれば、政権交代のために全力を尽くしますが、選ばれた首相でありますから、石破首相には、そういう意味で期待を申し上げたいと思っております。 そして、次に、選挙における開票結果の集計誤りについて選挙管理委員会にお伺いいたします。 参議院の補欠選挙が、同日選挙ということで、いろいろ選挙管理委員の市町村の皆様もそうですし、県の皆様も大変御苦労なさったと思っています。そういった中で、軽米町で得票数の入れかえミスがあったということでありました。同様のケースは、県内の国政選挙、知事選挙で過去に例がないということでしたが、今回、大槌町でもそういったミスがあったと聞いております。来年は参議院選挙、さらには衆議院選挙もあるかもと言われていますが、原因と今後の対策について伺います。 〇選挙管理委員会委員長(吉田瑞彦君) 選挙管理委員長の吉田でございます。菅野ひろのり議員の御質問にお答えいたします。 菅野ひろのり議員御指摘のとおり、10月27日の参議院補欠選挙の開票に当たり、軽米町と大槌町で集計報告にミスがありました。集計の誤りの原因につきましては、軽米町では、開票結果の集計に使用していた町の独自様式がありまして、それと県への報告様式との間で候補者の順番が異なっていたということのようです。担当者は、そのことを確認せずに順番どおりに得票数を書き移して県に報告したため、候補者を間違えた表になっていたということでございます。また、大槌町では、担当者の入力誤りが原因でした。 このほかに、県内において投票用紙の交付ミスや投票者数の報告ミスなどがありました。同日選挙ではない県外の自治体においては、不在者投票が投函されず多数の票が無効になったりするというような重大なミスが報告されています。 衆参同日選挙であったこと、あるいは、衆議院解散から投開票日までの期間が短かったことなどと、このミスとの因果関係は、まだ明らかにはなっておりません。 しかしながら、いかなる理由があっても、選挙は国民主権の行使に直結することでありますので、誤りは許されるものではありません。来年7月の参議院議員通常選挙に向けて、誤りを未然に防止する体制を早急に構築する必要があります。 県の選挙管理委員会では、11月1日に、書記長名で各市町村選挙管理委員会事務局長宛てに通達を出しております。柱は三つありまして、一つは、選挙事務に携わる関係者に対する意識改革、2番目として、事務誤りの防止に向けた体制づくり、3番目には具体的な対応策の検討及び確立であります。 これを具体的に申しますと、現場では何が起こるかわかりませんので、選挙事務にかかわる全ての職員の認識を統一するために、どの業務にも対応できるようなマニュアルをつくる、あるいはチェックシートを作成すること。それから、投開票作業に従事する全職員が参加するリハーサルを実施すること。改めて、複数人によるチェック体制を確立し、その徹底を図ることなどを通達しております。これは1回だけの通達ではなく、これからも何度も繰り返してそのような指導を行うつもりであります。 当委員会といたしましては、これまで選挙前だけに開催していた担当者会議があるのですが、定期的に開催するなど再発防止に努め、公正かつ適正な選挙事務の執行に取り組んでまいる所存です。 〇16番(菅野ひろのり君) 選挙管理委員長の手腕、御指導に期待をしております。 そして、SNSについてでありますが、今回、都知事選挙もそうでしたし、兵庫県知事選挙は公職選挙法違反の可能性も指摘されていますように、SNSが使われるようになってきた中で、選挙する側も、選挙を応援する側も、SNSの活用と選挙制度の正しい理解が求められているのだろうと私は思っています。また、フェイクニュースの拡散、切り抜き動画の拡散、炎上やバズるという言葉があるように、動画のアクセス向上を見込んで、いろいろな過激な表現、あるいは、時には表現の自由を通り越した誹謗中傷、こういったものもふえてきているのではないかと思います。インターネット選挙に対する岩手県民の正しい理解の啓蒙活動は必要になってくるのではないでしょうか。SNSを活用した選挙への影響、課題をどのように捉え、今後、県民の理解醸成に努めていくのか伺います。 〇選挙管理委員会委員長(吉田瑞彦君) 御存じのとおり、平成25年の公職選挙法改正により、インターネット等を活用した選挙運動が解禁されました。これは、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実であるとか、有権者の政治参加の促進等を図るためでもあります。 特に、ユーチューブやX―旧ツイッターなどのSNSは、低コストで簡単に始められますし、みずからの主張や政策を伝えるために活用されていることは御承知のとおりです。他方、SNSには御指摘のような弊害も指摘されていることは見聞きしております。 実は、県の選挙管理委員会もSNSを使って啓発活動をしているところです。これは、公益財団法人明るい選挙推進協会などの調査で、どういう媒体を使って投票行動をしているかというアンケート調査に基づくと、SNSを見ている有権者が多いことから、SNSの優位性を活用した啓発活動を行っているところです。現時点におきましては、菅野ひろのり議員御指摘のような弊害について、県の選挙管理委員会には、具体的な御指摘があるわけではありません。 ただ、菅野ひろのり議員の御意見も踏まえまして、選挙管理委員会でのSNSを通じた啓発活動などを通じて、有権者に対してSNSの適切な利用、活用の呼びかけだけではなく、SNSによる弊害についても注意喚起することをこれから検討してまいりたいと思います。 〇16番(菅野ひろのり君) ぜひ先ほどの選挙のミスがないように、そして、SNSの活用に対して理解の醸成を引き続きよろしくお願いしたいと思います。 そして、103万円の壁の影響についてでございます。 今回の衆参同日選挙の結果の特徴として、我が会派の軽石義則会派代表が県連代表を務める国民民主党の大躍進がありました。県内では唯一と言っていいでしょうか、国民民主党はプラス1万3、141票と前回の選挙に比べて躍進した。その背景には、先ほどのSNSの活用と国民にわかりやすいメッセージの手取りをふやすということが言われております。 石破首相の所信表明演説でも、この103万円の壁引き上げに言及され、2025年度の税制改正に向けて議論を続けるとされました。 そして、多くの報道が、そのメリットよりも税収減について取り上げています。岩手県も700億円程度の地方税の減収があるということでしたが、国民民主党の主張は、財源を減らすことではなくて、所得をふやして税制改正を含め幅広い議論を求めるものだと私は理解します。ですから、地方におけるメリットというのを正確に共有していく、捉えていくことが私は必要なのだろうと思っています。 そこで伺いますが、この103万円の壁を取り除いたときにどのようなメリットがあるのか。例えば、人材確保に苦しむ本県中小企業の採用環境の改善や労働時間の延長に伴う労働者の収入増につながるなど、メリットが考えられると思いますが、こうした雇用の側面から、本県への影響について伺います。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 大手民間シンクタンクの調査によれば、年収の壁を意識して労働時間の調整を行っている学生は、全国で約61万人と推計され、その1人当たりの年収が平均10万円増加した場合の労働供給量、すなわち総労働時間は、年間4千万時間程度増加すると試算されております。 同様の方法により本県における時間数を試算しますと、年収の壁を意識して労働時間の調整を行っている学生は約1、300人となり、総労働時間は9万3、600時間増加すると試算されます。 ただいま答弁申し上げた学生に、年収の壁を意識して労働時間の調整を行っている被扶養配偶者を加えれば、さらに総労働時間は増加すると見込まれます。 一方で、経営者にとっては、例えば、健康保険や厚生年金保険への加入義務が生じる、いわゆる106万円の壁の問題なども複雑に絡み込んでくることから、一概に雇用の側面からの影響を推計することは難しいと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) ぜひここは国会での議論の推移を見守りながら、いずれ所得がしっかり確保できるように、これも期待を申し上げたいと思います。 次に、経済対策でございます。昨日から中小企業支援等の質問がさまざまありましたので、ここは簡潔に御質問したいと思います。 合計で13.9兆円の補正予算案が閣議決定され、昨日の報道だと、国会に補正予算案が提出されると衆議院の議会運営委員会で伝えられております。12月定例会における補正予算案で福祉灯油の事業もありましたが、さらに、昨日の答弁で、今後、最低賃金の引き上げに伴う中小企業の支援、あるいは、LPガス、あとは飼料、肥料高騰対策等への対応について答弁されました。今後の補正予算対応への知事の考えを伺います。 〇知事(達増拓也君) 今なお続く物価高に対応するためには、賃金上昇を促すとともに中小企業の負担軽減を図る取り組みを初めとして、困難な状況に置かれている生活者、事業者を支えるための対策を速やかに講じることが重要であります。県としても既に具体的な事業の検討に着手しております。 現在、賃上げ支援やLPガス使用者、畜産経営体に対する負担軽減などの支援策を盛り込んだ補正予算案を、年内をめどに提案できるよう準備を進めており、県民に寄り添いながら喫緊の課題に臨機に対応してまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) そして、中小企業支援についても同様に伺いたいと思います。我々希望いわて、そして、立憲民主党と岩手県中小企業団体中央会から要望がありました。中央会では最低賃金大幅アップに関する緊急調査をいろいろ行っている中で、大いにある、少しあるといった割合が87%。さらに、賃金増加分を補填する助成金制度を国や県に求める声が65%となっており、今、中小企業は本当に大変な状況です。一方で、ものづくり補助金、事業再生構築補助金なども挙げられますが、採択率も25%ということで、中小企業への支援が不足している状況が見られます。 最低賃金の引き上げの支援について、今回、早急に行うべきだと思いますし、前回の岩手県物価高騰対策賃上げ支援金は予算額が21億円、支給件数2、000件、4万人を対象にしたところ、10億円程度の支給実績にとどまる見込みであります。その結果を踏まえて、制度設計の工夫も必要だと思いますし、賃上げ支援を行うべきだと思いますが、達増知事の考えを伺います。 〇知事(達増拓也君) 県内の多くの中小企業は、エネルギー、原材料価格の高騰の影響や、価格転嫁が十分に進んでいない状況において、人材確保のために防衛的な賃上げを余儀なくされているなど、厳しい経営環境にあります。賃上げ支援の対策をできるだけ速やかに講じることが重要であります。 これまで実施していた物価高騰対策賃上げ支援金は、価格転嫁が厳しい小規模事業所を中心に、見込みを上回る多くの事業所に活用いただき、賃上げの促進に効果を上げたところでありますが、さらに踏み込んだ支援策の検討に着手しているところであり、例えば、単価の見直し等も念頭に制度の検討を進めているところであります。 〇16番(菅野ひろのり君) ぜひその検討を進めていただいて、お願いしたいと思います。商工労働観光部長に1点だけお伺いしたいのですけれども、このスケジュール感は、予算可決後、実際に申請から支給までは、前回だと4週間から5週間ぐらいかかるというスキームだったと思います。10月に賃上げを開始して11月、12月と、期間をギュッとタイトにどんどんやっていかないといけないと思っていますが、そのスケジュール感を教えてください。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 今回実施しました物価高騰対策賃上げ支援金に当たりましては、申請から受け取るまでの期間がかかり過ぎるといった御意見を多数いただいております。 この賃上げ支援金については、全国にもなかなか例を見ない形で昨年度初めて実施したわけでございまして、委託した事業者との情報共有等に難しい面があったと思っております。一回実施しておりますので、その経験を十分に生かしまして、なるべく早い時期に募集を開始して、支給までにかかる日数等も縮める工夫はしっかりとやっていきたいと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) 先日、花巻市の5名ぐらいの小規模事業者と懇談する機会をいただきましたけれども、賃上げに対しての危機意識と、この助成制度を知ったのも結構後になってからだったという声もありましたので、周知徹底も含めて、迅速な対応をお願いしたいと思います。 次に、県立病院と地域医療構想、医療について伺っていきたいと思います。 まず初めに、県立病院についてでございますが、赤字の原因と課題について、いろいろ答弁がありましたが、簡潔にで結構でございますので、伺わせてください。 〇医療局長(小原重幸君) コロナ禍以降、県立病院の入院患者数は人口減少率以上で減少が続いており、診療単価の向上によって入院収益は何とか増収を確保できたものの、その伸びは予定した規模に届かない状況になっているところでございます。 収益が伸び悩む中、近年、医師の増員や給与改定による給与費の増を初め、医療の高度化による高額薬剤の使用量の増加、また、物価高騰による委託料、燃料費の増など医業費用の増加が続いている状況でございます。 今年度上半期におきましても、昨年同期比で収益増は図られているものの、材料費や経費の増がそれを上回っておりまして、同様の状況が続いております。 加えて、今般の給与改定により給与費がさらに増加する一方で、昨年度まで措置されておりましたコロナ・物価高騰対策関係補助金の減など、医業外収益が45億円減少するため、今年度はマイナス90億円ほどの経常損益を見込んだところであります。 引き続き、県立病院として収益、費用の両面において最大限の経営努力を図ってまいりますが、物価高騰や給与改定による経費等の増と診療報酬が見合っていないという構造的な課題等について、自助努力を越えた部分につきましては、地方財政措置も含めた制度全体の中で補われていく必要があるものと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) 人件費についてでございますが、これが一番大きいと捉えております。人事委員会勧告をもとにすると、県全体は3.11%の改定ですが、医療局においては、若い方々、会計年度職員の方々もいる中で、そういった方々は9.45%、医療局の平均とすると4.5%となっているので、その時点で合わない内容になっています。診療報酬のベースアップ評価料の所要額との大幅な乖離があって、給与増所要額は県全体で24億円不足しているということでございます。岩手県だけなのかと思うと他県も同様でして、例えば、新潟県は本県の半分の約600億円の県立病院の予算でありますが、45億円と本県の半分、まさに同じ傾向が見えます。これは国の何らかの対応がない場合、来年度以降の見通しは、さらに厳しくなるのではないでしょうか。その見通しについて伺います。 〇医療局長(小原重幸君) 県立病院では、今般の給与改定に関しまして、その所要額に充当することができる診療報酬、ベースアップ評価料と呼ばれる診療報酬でありますが、このベースアップ評価料で得られるのが6億円余り、その増収分を大きく上回る30億円の影響額を見込んだということで、24億円足りないという状況になっているところでございます。 公立病院の給与制度は、民間医療機関も含む全病院に適用される診療報酬体系とは別の人事委員会勧告に基づいて設計されておりまして、こうした制度上の不整合が所要額と収入額に大きな乖離が発生している一因と考えているところであります。 診療報酬は、令和7年度につきましても今年度と同程度の増収となる設計とされておりまして、この設計のもとで、仮に来年度も同規模の給与改定がなされれば、今年度以上に厳しい環境になるものと見込まれるところでございます。 こうした実態につきまして、先月には、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会として国に要望が行われたほか、全国知事会議の場におきましても、知事から直接、総務大臣に緊急的な財政措置等について提言が行われておりまして、県立病院といたしましても、全国自治体病院協議会等と連携し、国に対し必要な要望を行っていきたいと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) 国の診療報酬制度の関係が今回、非常に大きいと見ております。ここで診療報酬制度について、小原医療局長のお考えを伺います。11月22日に全国自治体病院協議会の八幡平市立病院の先生でもあります望月会長と懇談の時間をいただきました。資料も御提供させていただきましたが、これも全国的に見ると、例えば、令和5年度の医療経済実態調査、厚生労働省の病床報告によると、人件費が平均で大体6割ぐらいかかっている。給与費、病床数に比例して増加するところ、病床利用率は、1996年当時は8割ぐらい利用してもらっていたのが、2022年には69%とどんどん下がってきている。さらに、医業利益率の推移も2010年には3.7%だったのが2022年にはマイナス1.1%。もっと言うと、国内に42ある県立の大学病院の32病院が赤字。こういう状況を見れば、全国の自治体の中で岩手県は当然、県立病院が一番多いわけでありますから、これはさらに厳しいと思っています。 伺いたいのは、診療報酬制度、自治体病院は基本的には公務員と同じルールの中で成り立つわけです。民間病院は経費を抑制したりもできますし、経営効率、努力というのでしょうか、そういった中身が違うと私は思っています。先ほど国に要望されると、それも引き続きお願いしたいのですが、私は、診療報酬制度を公的病院と民間病院といったところと分ける必要、検討の余地があるのではないかと考えておりますが、医療局長の見解を伺います。 〇医療局長(小原重幸君) まず前提といたしまして、今回の診療報酬改定自体は、岩手県立病院に置きかえますと、プラス改定、マイナス改定、トータルしますと1.6億円程度のわずかの増収になっているということで、材料費、経費等の物価高騰を補う収益にとてもなっていないという前提がございます。そういうことにつきましては、やはり民間病院も同様なのかなという状況がございます。 一方で、先ほど御答弁申し上げましたとおり、県立病院、いわゆる自治体病院のベースアップといいますか給与の改定につきましては、人事委員会勧告等に基づいて設計されているということなので、それを診療報酬で賄うという形になりますと、なかなか整合がとれないということで、そこで不整合が大きく生じているということでございます。 ですので、それを診療報酬という形で対応するのか、または、地方財政措置というような形で交付税等で措置するのか、この議論が必要かと考えているところでございます。 〇16番(菅野ひろのり君) ありがとうございました。診療報酬制度に引きずられながらといいますか、関連しながら、来年度は人件費が70億円ぐらいでしたか、こういう状況で、岩手県は200億円の赤字を抱えながら、人口減、医師確保とある中で、医療体制をどう維持していくかというのが非常に重要なのだと思います。 県下にあまねく医療体制を維持していくと考えたときに、今ある二次医療圏の圏域の設定と20病院を維持すること、そして、高度急性期医療の病院の配置について、一層の機能集約と役割分化を官民含めて検討していく必要があるのではないかと私は考えています。 岩手県保健医療計画は、今年度新たにスタートしていまして、今回の計画では、九つの二次医療圏が維持されました。しかし、人口減、加えて、高度医療は一層先端化して、医師確保も難しくなっていくと言われる中、二次医療圏の見直しが、中期的な視点で必要になってくるのではないかと考えていますが、達増知事の見解を伺います。 〇知事(達増拓也君) 人口減少や医療の高度化、専門化など医療を取り巻く環境の変化の中で、限られた医療資源を効率的に活用し、県民に必要な医療を安定的に提供できる体制の確保が重要であります。 本年3月に策定した岩手県保健医療計画における二次医療圏については、新型コロナウイルス感染症の影響により、直近データによる検討ができなかったことから、最新の受療動向や人口動態、医療資源の動向などを踏まえて、計画期間内に見直しについて検討することとしております。 また、2040年に向けた新たな地域医療構想について、現在、国で検討が行われているところであり、在宅医療については、従来の二次医療圏よりも小さな圏域設定にする必要があることや、高度医療などについては、二次医療圏よりも広域の圏域を設定することなど、圏域のあり方についてさまざま議論されております。 二次医療圏のあり方については、こうした国の動向も参考にしつつ、県民が地域で安心して医療を受けられるよう、救急医療を初めとした身近な医療を引き続き提供するとともに、高度、専門的な医療についても将来にわたって安定的に提供できる体制の確保に努めてまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) 今、次期地域医療構想についても言及がありましたが、私もことしの9月、総務省に伺いましたし、自治財政局の講師の地域医療構想や県立病院の現状と課題について、オンラインの講習も受けさせていただきました。 それで、地域医療構想について、まず初めに、野原保健福祉部長にお伺いしたいのですが、今後、都市部においては高齢者がふえるけれども、医療、介護サービスの減少幅は小さくて、一方で、高齢化が進行した地域、岩手県であるとか過疎地域は、高齢者の人口は横ばいですが、医療サービスは大幅に減少していくのだと。だから、地域の実情に応じた対策が必要なのだとも言っています。 そこで、長くなって恐縮ですが、ここで言いたいのは、公立病院経営強化の主な手法というのは、都道府県の役割、責任の強化というのが示されています。なぜかというと、複数病院間の広域的な取り組みの機能分化、連携強化の必要性を進めるためには、都道府県が地域医療提供体制の確保に大きな役割、責任を有しており、医療資源が充実した基幹病院等を開設する都道府県が関係部局と連携し、必要な機能分化、連携強化の取り組みを積極的に助言、提案するなど、役割、責任を強化することが必要だと述べています。 これは厚生労働省保険局、経済財政運営と改革の基本方針2024、令和6年6月に閣議決定されたものにも同様に書いてありまして、都道府県の責務、権限、市町村の役割、財政支援のあり方について、法制上の措置を含め検討し、2024年末までに結論を得るとされているわけであります。次期医療構想について、次の胆江医療圏についてかかわりますから、今、野原保健福祉部長が承知している範囲で、どういう方向で進むのか伺いたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 今動いている現行の2025年を目指した地域医療構想において、2025年というのは団塊の世代の方々が75歳、後期高齢者になる年でありますが、これは全国共通の課題として、入院医療に着目して、同じような機能を持っているような病床同士は少し役割分担をしましょうということで、今の地域医療構想が動いています。 2040年に向けた地域医療構想は、菅野ひろのり議員から御指摘のあったとおり、都市部に関してはまだまだ高齢者がふえてくるので医療ニーズは高まるのですが、本県のような過疎地域に関しては、高齢者人口もピークアウトしていって、全体の医療ニーズが下がっていく。一方で、本県においても、85歳以上の超高齢者は非常にふえてまいりますので、そうした方々は、肺炎でありますとか骨折、そういったような対応はまだまだ必要です。地域によって医療や介護のニーズがかなり異なってくるので、それぞれの地域ごとに、よりきめ細やかな対策が必要だというのが次の構想の視点だと思います。 また、あわせて、次の地域医療構想については、入院、医療にとどまらず、外来医療、在宅医療、医療と介護の連携、こうした点も盛り込むこととなっておりまして、介護や福祉の視点も盛り込んだ構想というものが本当に求められてくるものと認識しております。 〇16番(菅野ひろのり君) 私も同様の意見でして、高齢者の方々も年齢が上がってきて、昔は病院に行って、手術をお願いしますとか、入院も長かったりしますけれども、今、高齢の方も70代、75歳になっても元気ですが、そうなってくると、病院にかかるときは、介護と回復期の境がだんだんなくなってくるのではないかと思っています。 そういう中で岩手県全体を見ると、医療圏、沿岸地域、県北地域、盛岡地域であったり県南地域、それぞれの病院の配置や人口の動態、産業も大きく変わっていますから、おっしゃるように、地域の実情に即した体制を築いていくというのが根本的に必要なのだと思っています。 そこで、胆江医療圏域について伺いたいと思うのですが、胆江圏域は、県全般で見ると医療が非常に充実しているほうではないかと私は思っています。当然、課題はありますけれども、ただ一方で、問題の一つとしては、圏域として医療体制がどうあるべきなのかという合意形成、あるいは共通認識がとられていないのではないかと思っています。 それは、前回も開催しましたが、地域医療連携会議の中でいろいろな意見や声が出ます。例えば、今回、奥州市では、新医療センターを計画しております。その中で、疑問や反対の声が連携会議ではあったり、あるいは、県と市の協議を求める声がありました。具体的に言えば、例えば奥州市の職員からは、胆江医療圏域において、県立江刺病院は江刺地域に密着した地域型の病院で、新医療センターは水沢地域に密着した病院と本音とも捉えられる、これは私の主観ですけれども、そういう発言もされていました。 しかしながら、今、県でいうと胆江圏域の議論です。まして、奥州市でもない旧市町村単位。これでは医療の体制は大変難しいのではないかと思っていますし、さらには、奥州市総合水沢病院と県立江刺病院との合併を求める声もあり、さらには、江刺地域からは、県立江刺病院の維持、強化について県南広域振興局に対して要望がなされた。いろいろな考えがあってしかるべきですが、共通認識に立たないと、胆江医療圏のあるべき姿は私は出てこないのだと思っています。 そこでお伺いしたいのは、この課題について、県は地域医療連携会議に出席して、胆江医療圏域の状況をどのように捉えているのか。また、会議における県の役割を伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 胆江医療圏を含めた県全体の地域医療構想の推進の考え方でございますが、地域の医療ニーズや質、量の変化を見据えまして、機能別の病床数を定めて、各地域において医療提供体制の議論を行っているところであります。 そうした中で胆江医療圏につきましては、地域医療構想で定めている急性期病床及び回復期病床が過剰となっていること、慢性期病床については不足していることなど、これはあくまでも機械的な物差しです。こうしたことなどをまずは論点、一つの議題として、胆江地域における将来の地域医療がどうあるべきかということを議論しております。 御指摘のとおり、胆江圏域については四つの民間病院もあり、県立病院、奥州市立病院など多くの医療機関があります。医療提供者側の意見、医療を受ける患者側からの意見、民間病院からの視点もございます。さまざまな意見があって当然だとは考えております。そうした中で、皆さんが将来についてどうしていくのか議論をしていくというプロセスが、時間はかかっておりますけれども、重要なのではないかと考えております。 県の役割、法制上の役割を申し上げますと、地域医療構想調整会議については、医療機関の自主的な医療機能分化や連携について行うということで、県としてはその調整を行うことが期待されております。国のガイドラインにおける県の役割を申し上げますと、当該会議を設置し、議論が活性化するよう積極的な助言をすることとなっております。 そのため、地域医療や病院経営に精通した地域医療構想アドバイザーを派遣いたしまして、専門的な助言などを行っているところであり、引き続き、各地域での議論がより深まるように積極的に支援をしてまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) そういった会話の機会を設けて活発化させて、地域の住民の方々みずからが方向性を示していくのだと。ただ、一方で、専門性もあるわけです。医療問題は情報の非対称性といって、与える側の情報はあるけれども、聞いているほうは、それを判断するのになかなか難しいという課題があるわけです。 そういう中で何が重要かというと、地域医療構想に関係ありますから伺いますが、新医療センター、そして、地域医療構想の整合性について伺いたいと思います。 総務省は、公立病院の新築、建てかえに当たっては、県に対して、新設、建てかえの議論の開始時点から、一つ目、地域医療構想等を踏まえた当該病院の役割、機能別病床数等、その他必要な助言を行うこと。そして、それら強化の検討。さらには、収支見通し等、これら地域医療構想との整合性を確認しなさいとされています。県は、どの時点で奥州市からの申し入れがあったのか。整合性の確認をどう行い、助言しているのでしょうか、伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 昨年度は、奥州市のセンターの基本構想策定の時点で、また、今年度は基本計画の中間案の策定の時点で奥州市から御相談をいただきまして、県の保健医療計画や地域医療構想で定めている病床数との整合性の確認を行ったところであります。 その際、新医療センターが地域医療における役割や機能、地域の医療機関との連携について、県で運営しております地域医療構想で話し合っていただきたいということや、持続可能な運営を行っていくための経営計画が必要であることから、収支の根拠などについても示す必要があるのではないかとの意見交換を行ったところであります。 〇16番(菅野ひろのり君) 今、収支の根拠という言葉がありましたので、ふるさと振興部長にお聞きしますが、奥州市総合水沢病院、新医療センターのもとになる病院です。その収支計画をどのように見られているのか。例えば、皆さんにわかりやすいように説明しますと、端的な例ですけれども、奥州市の病院の経営強化プランにおいて、数値目標が掲げられているのです。令和4年度の患者数の実績が1万4、000人に対して、令和9年は2万6、000人の計画、185%に患者数が伸びていくという計画なのです。 さらにお伝えしまと、胆江医療圏域は七つの診療所や公的病院があるのですが、水沢病院は職員給与比率93%、病床利用率は30%、県立江刺病院は、この間、病床を減らす背景もあるのでしょうか、給与費111%、病床率38%。ほかにも、経営の収支を見れば、江刺病院は赤字、胆沢地区にあります、奥州市国民健康保険まごころ病院は赤字、水沢病院は赤字ということで、赤字が悪いわけではないですが、2019年にこの三つの病院は厚生労働省から地域医療構想の関係で、機能が似通っているし、再編の検討をせよと言われた病院です。こういった状況をふるさと振興部長はどう見られているでしょうか。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 今、菅野ひろのり議員からも御紹介がありましたけれども、平成6年3月に奥州市立病院診療所経営強化プランが策定されておりまして、これは新医療センターの建設を反映したものではないわけですけれども、御紹介がありましたようなさまざまな取り組みで、受療者数の増加等を見込んでも、計画期間の令和9年度まで経常損益はマイナスとなっておりまして、当面、厳しい状況が続くものと認識しております。 今後、新医療センター建設に係る収支が固まり、当該プランの内容に大きな乖離が生じた場合は、必要に応じて見直しが行われるものと承知しております。 〇16番(菅野ひろのり君) 戻りますが、先ほど整合性について伺いました。野原保健福祉部長、この整合性というのは、具体的に何を示すのでしょうか。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 地域医療構想との整合性といいますと、医療法に基づく医療提供体制における整合性ということになります。胆江医療圏は、地域医療構想で定めている機能別の病床数において、現行の急性期病床数及び回復期病床数を超えた整備ができないこととなっておりますが、新医療センターの構想では、現行の総合水沢病院の急性期20床、回復期75床の範囲内での整備予定であることを確認したところであります。 〇16番(菅野ひろのり君) 県には県の役割が非常に強く求められているわけであります。2040年は、すぐなわけでありまして、例えば、新たな病院を建設する。これは奥州市に限らずどこでもそうですけれども、できるまでにいろいろな議論を踏まえながら、10年近くみないといけないわけです。そうなると、2040年というのはあっという間、すぐなわけです。ですから、今の経営状況や、あるいは地域医療構想も踏まえた圏域としての医療体制をしっかりと整合性を持って、県は助言、指導いただきたいと思います。 達増知事にお伺いしますが、県立病院にもいろいろな課題がありました。診療報酬制度の改定、資金繰りの改善、こういった努力もしていただき、知事部局においては協力いただいて、野原保健福祉部長には、将来推計に基づいた今後の医療圏域のあり方もしっかりと検討していただきたいと思っています。 現状の医療圏へ影響を与える病院の新設等には、国の通知にあるように、設置許可を行う県の責任において十分な整合性の検証と助言を行って、持続可能な医療体制の構築に努めていただきたい。達増知事に今後の岩手県の医療体制のあり方について伺います。 〇知事(達増拓也君) 県内の医療提供体制については、現行の地域医療構想において、高齢化の進展などに伴う医療需要の変化に対応した将来のあるべき姿として、急性期や回復期、慢性期といった機能別の病床数を二次保健医療圏ごとに定めているところです。 国における2040年を見据えた新たな地域医療構想の策定においては、医療提供体制全体の課題の解決を図るため、入院医療だけではなく、外来医療や在宅医療、医療と介護の連携などを加えることとして、現在、検討されています。 県では、こうした国の検討状況を踏まえ、市町村や保健、医療、介護、福祉の関係者、各種団体等との連携を図りながら、県民総参加型による保健医療体制づくりを進め、生涯にわたり心身ともに健やかで幸福に生活ができる社会の実現と、持続可能で希望ある医療提供体制の確保に努めてまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) 医療問題については最後にいたしますが、私が申し上げたいのは、胆江医療圏域においては、各病院や地域の個別の事情、または、開設者の違いにより医療体制の構築において状況が異なることから、官民問わず、共通の視点に立って丁寧に協議をしながら、将来的な圏域における医療体制を目指すべきであるということでございます。その共通の医療体制の先に、例えば、環境福祉委員会が視察した地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構日本海総合病院のような県と市が統合した独立行政法人の仕組み、あるいは、経営問題に焦点を当てた県立釜石病院の誕生、あるいは、市、医療局内での再編等、さまざまな医療体制の可能性があると思います。 私は、達増知事の答弁で、開設者の申し出があれば協議するというのをお聞きしたことがありますが、それを尊重しつつも、医療連携会議の主催は県であることから、地域の実情や地域住民の視点も踏まえた議論を活発化させていただきたい、そのように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、農業ビジョン、農業について伺わせていただきます。 農業ビジョンの策定について、私は農業ビジョンを掲げる以上、希望を持って農業を行えるようにしなければならないと考えています。一方で、生産者の実情を踏まえると、ビジョンが果たす役割というのは非常に難しいといいましょうか、慎重に検討しなければいけないと思っています。 その理由は何かというと、農業は国の農業政策に大きく左右されるわけであります。御承知のとおり、例えば令和6年5月、参議院の広聴広報会において、4人の公述人がおりましたが、補助金の重要性を皆さん申していたわけであります。現実には交付金や補助金を考慮しながら圃場条件、持っている機械、あるいは、地域にある集荷施設であるとか、そういったものを判断しながら作物をつくっているわけであります。ですから、各農家が自分たちの経営の中で努力していて、要は、民間経営者と同じようなものですが、一方で、今回は県からビジョンが示されるわけです。県からビジョンが示されつつ、自分の経営がある。本来は、農業生産現場に基づいて政策が立案されるべきところが逆になっている気もするのです。私はこの辺を慎重にしないと非常に難しいと思っています。 さらには、県がビジョンにおいて、方針を固める以上、農業者に対する責任、あるいは義務が伴うはずだと思っています。農業ビジョン策定が生産農家に与える影響、今後の策定スケジュールを伺います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 農業ビジョンは、本県農業の強化に向け、市町村、関係団体、生産者と一体となって、農業生産の増大や人材の確保、育成などの方向性を示そうとするものであり、これまで、岩手県農政審議会において意見を伺ったほか、県内全ての市町村や農業協同組合長等との意見交換を行っております。 意見交換では、生産振興の方向性を関係者が共有できるようなビジョンが必要といった意見のほか、法人の育成に加え、多様な担い手への支援が必要、スマート農業による生産性向上や高温耐性のある品種の開発が必要など、多くの意見をいただいておりまして、こうした意見も踏まえ、個々の農業者の収益力の向上にもつながるよう、ビジョンに掲げる施策をつくり上げていく考えであります。 今後も、生産者や農業団体等と意見交換を重ね、共通理解を図りながら、今年度末の策定をめどに、現在議論が進められている、国の食料・農業・農村基本計画の策定などの動向も踏まえつつ、策定時期を含め、農業ビジョンの検討を進めてまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) 答弁いただきましたけれども、ふわっとしていて、いまいちどういうものなのかというのがまだ伝わってこなくて、具体的に、例えば、畜産、あるいは稲作でもいいです。皆さんがわかるようなイメージで、どういうビジョンがあると岩手県の生産体制、あるいは販売体制が変わって、生産者はどのように変わっていくのか、もう少し具体的に教えてください。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 今、菅野ひろのり議員から、例えば畜産というお話がございましたので、畜産という部分でどのようにつくり上げていくかというところでお話し申し上げますと、意見交換会について、先ほど全ての市町村、農業協同組合長と行ったという話をしましたが、畜産関係の団体ともこれまでも広く意見交換を行ってまいりました。こうした意見を踏まえながら、ビジョンの内容を検討していきたいと思っておりますが、意見交換の中では、飼料価格の高騰等により畜産経営は厳しい、あるいは、消費の低迷により牛枝肉価格が低下し、子牛価格も低下している、コントラクターやヘルパーを活用していかなければ生産量の維持は難しい、こういう多くの意見をいただいております。 畜産関係につきましても、こういった意見交換を今後も重ねて、共通理解を図りながら、既存の畜産関係計画との整合性も図りながら、農業ビジョンに掲げる畜産関係施策として生産の増大、人材の確保、育成などの方向性を示していきたいと考えているところでございます。 〇16番(菅野ひろのり君) 今の御答弁をいただいた中で、多くの人にクエスチョンマークが頭に浮かんだのではないかと思います。まだ策定の時間がありますし、非常に難しい問題だと思うのです。いわて県民計画(2019〜2028)の下に、さらに政策推進プランに関連性があって、さらに、例えば、畜産であれば近代化計画であるとか、いろいろなものがひもづいているわけです。ですが、県はあえて掲げるのだと示されたわけですから、ぜひそれを御期待して、さらに、県民の皆さんがわかるようにお願いしたい。 そして、大事なのは予算との関連づけだと思っています。この計画があることによって、岩手県の農業予算はどう変わるのか。当然、国は手厚く盛っていますから、県単事業は限りがあるのかもしれません。けれども、当然求められるわけです。私は求めます。どのように考えられていますか。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 先ほど来御答弁申し上げているとおり、この農業ビジョンは、市町村関係団体、生産者と一体となりまして、農業生産の増大、人材確保、育成、こういった方向性を示して、本県の農業を強化していくために策定しようと考えているものです。 国では、食料安全保障の強化等を図るために農業の構造転換の実現に向けた施策を令和7年度からの初動の5年間で集中的に実行するとしております。県としまして、こうした国の施策や予算を有効に活用して、農業ビジョンが目指す、農業生産の増大ですとか、人材の確保、育成などに向けた事業を県としても要求、提案をしていきたいと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) 要求、提案をしていきたいということでございました。ぜひそれを私は期待しておりますし、松本雄士議員もすごく期待していると思います。農林水産委員会としても、しっかりと見ていきますので、ぜひお願いをしたいと思います。 そして、家畜人工授精業務について質問を変えていきます。 冒頭に、先ほど獣医師の確保の話がありましたが、私は伺っていて、少し違うなと思っているのが、家畜診療所体制について、農業共済組合が撤退したのではなくて、撤退を余儀なくされたわけであります。ここを正確にしないと大きな問題だと思っています。 なぜ撤退しなければいけなかったのかといえば、平成31年に新家畜共済制度のもとに家畜診療所勘定の不足金を家畜共済勘定や業務勘定から補填することが禁じられたということがありまして、言わば独立採算が求められたわけです。ですから、経営を行っている農業共済としては、これは続けることができない、やむを得ないということでしたので、そこは改めて申し上げたいと思います。 そういう中で、家畜人工授精師について質問いたします。畜産における三大ソーシャルワーカーは、獣医師、家畜人工授精師、削蹄師、この三つだと考えております。家畜人工授精師について、鈴木あき子議員も質問されておりますが、農業共済組合が撤退を余儀なくされた結果、農業協同組合なのか、次の人工授精師なのか、マッチングが行われております。今は5割程度ということでございますが、年度内に完了するということだと思っていますので、それはお願いしたいと思います。 その上で、私の課題意識はその後なのです。決まったからいいよ、あとやってねではなくて、その後の体制を県としてどうやっていくのか。私は、県が主導して、関連団体と協議したりして、今後の人工授精師の確保、体制について、明確な方針を示すべきだと思っていますが、協議の状況、県の考えを伺わせてください。 〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、最初にお話しいただきました家畜人工授精師のマッチングの部分につきましては、これまでも答弁してきましたとおり、各地域ごとの実情を踏まえて、全ての継承が決まるまでしっかりと対応していきたいと思っております。 その上で、県の役割の部分でございますけれども、三大ソーシャルワーカーというお話もございました。酪農、肉用牛経営におきまして、獣医師、家畜人工授精師、そして削蹄師はいずれも必要不可欠な技術者でありまして、経営の持続的な発展のためには、これら技術者の継続的な確保が重要です。 現在、飼料価格等が高どまりして、酪農、肉用牛経営が厳しい経営環境にある中、牛の健康を維持し、乳量の増加や子牛の生産効率を高めて収益を向上させていくためには、獣医師、家畜人工授精師、削蹄師が連携して酪農、肉用牛経営を支える仕組みを構築していくことが必要と考えております。 こうした認識のもと、県では、今年度から新たに、県獣医師会と今後の獣医療提供体制のあり方について意見交換を始めておりまして、今後は、県家畜人工授精師協会や県装削蹄師会と意見交換することとしております。酪農、肉用牛経営を支える仕組みづくりについて、まずは、関係機関、団体等の意見を丁寧に聞きながら対応していきたいと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) 家畜人工授精師の確保、体制についてどうですか、もう一度。先ほどの答弁だと、獣医師協会と協議するという答弁だったと思うのですけれども、人工授精師についても獣医師会とまず協議するという意味ですか。 〇農林水産部長(佐藤法之君) お話のありましたとおり、家畜人工授精師といった部分につきましても、今年度から始めた意見交換の中で議論をしながら、あり方といいますか、そういった部分の検討を進めていきたいと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) 人工授精師は獣医師会には属していないですよね。関連はないですよね。獣医師会で話して、人工授精師とどのようにつながるわけですか。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 失礼いたしました。人工授精師のほうでございます。一番最初に答弁申し上げましたとおり、まずは、全ての継承先が決まるように県として対応していく。その後の部分については、開業獣医師の体制というものがなかなか不安定だという御指摘もあるわけですけれども、まずはここをしっかりやっていく。その後の対応については、関係の団体、市町村、農業協同組合、そういったところとしっかりと検討を進めていきたいと考えております。 〇16番(菅野ひろのり君) 私はこの分野はもう少し深掘りしたいと思っています。最後に一つだけ。獣医師は獣医療法に基づいて、県も契約がありますよね。人工授精師は岩手県の酪農・肉用牛生産近代化計画にもないのです。すなわち、人工授精師が担保されている計画、法的根拠も私はまだ見つけられていない。そうなると、今やりますよとなっても、それはこの場の答弁であって、根拠法、あるいは、岩手県の根拠の計画に載っていないのです。頑張ります、一生懸命丁寧にやります、進めますと言っても、何をもってやるのですかということです。この辺はどうなっているか、今後もし考えがあるのであれば伺いたいと思います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 先ほども答弁申し上げたところですが、酪農、肉用牛経営におきまして、家畜人工授精師というものが獣医師と削蹄師といったものとあわせて、不可欠な技術者だと考えておりますので、そういった認識のもとで、しっかりとした家畜人工授精師の確保を図る取り組みを進めながら、安定的な体制に向けて関係機関、団体と連携をして検討し、取り組んでいきたいと思います。 〇16番(菅野ひろのり君) ありがとうございました。この部分も松本雄士議員にも今後譲りたいと思います。 次に移りたいと思います。岩手県立農業大学校の基本構想について伺います。 決算特別委員会で今後の構想について計画に着手するといただきました。検討状況、今後どのように進めていくのか伺いたいと思っております。 もう一点は、電源喪失の復旧状況と今後の整備改修計画、これは毎年度、丁寧に計画的に進めていただいたと思っていますが、来年度、どのようにしていくのかも含め、あわせてお伺いしたいと思います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 県では、農業大学校の機能強化に向けた基本構想の策定に向け、先月から、全ての県立農業高等学校長を初め、学生の研修受け入れ農家や、卒業後の雇用就農先である農業法人等との意見交換を始めたところであります。 意見交換におきましては、農業従事者の減少やGX、DXの進展など、農業を取り巻く環境が変化する中、本県農業の次代を担う人材の確保、育成に貢献する農業大学校の果たす役割は大きいといった意見のほか、学生教育について、先端技術の習得に向けた農業法人等での現場実習や、農産物の高付加価値化を学ぶ流通や販売の体験など、魅力あるカリキュラムが必要、農業者研修につきましては、雇用就農者の増加に対応した機械オペレーターの養成や農業機械の点検、整備研修が必要などの意見をいただいています。 今後は、さらに農業団体等の意見も伺うこととしておりまして、他県の先行事例調査も行いながら、基本構想の策定に向け、検討を進めていきます。 来年度の設備改修計画につきましては、現時点で具体的にお示しすることは難しいところではありますが、農業大学校の施設は、昭和40年から50年代に整備したものが多いものですから、計画的に整備していく必要があると考えております。 このため、県では、今回の農業大学校の基本構想の策定過程において、将来の施設整備の方向性を検討することとしておりまして、農業大学校の教育、生活環境の一層の充実が図られるように取り組んでまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) 答弁ありがとうございました。農業大学校について、ぜひ多くの議員の皆様にも来ていただいて、現状を見ていただきたいと思っています。東北全体の動きとしては、山形県に東北初の公立農林業系の専門大学が2024年4月から開学ということで、今の農林大学校との違いは当然あるんですけれども、他県はそういった取り組みもしていますし、岩手県も人材確保、これからを担う若者、農業者を育てていくためには重要な教育機関だと思います。山形県の場合も、順調にいって構想から数年かかっているわけです。ですから、岩手県がこれから構想を考えていく上でも、10年後の農業を考えたときに、そこからスタートとなるとやはり大変なこともありますが、ぜひお願いしたいと思います。 農業者は本当に大変な実情でございますから、まず、農林水産部長には厳しい口調で質問させていただきましたことを、御容赦いただきたいと思います。 そして、最後でございます。県職員の働き方改革について伺いたいと思います。 県職員の皆さんは、働き方改革ロードマップに基づきながら業務を行っているという中で、まず、フレックスタイムについてでございます。令和4年1月に、育児、介護通院等の事情がある職員を対象としたフレックスタイムが導入された。令和6年1月からは、試行として単身赴任の方も対象となっている。令和5年度のフレックスタイムの利用者は52名になっているのです。対象者も限定はしていますけれども、余り使われていないと思っています。運用拡大を進める上での課題、今後の対応について伺います。 〇総務部長(千葉幸也君) 菅野ひろのり議員御指摘のとおり、県では令和4年1月からフレックスタイムを導入し、年々利用者数が増加しておりますが、全庁的な広がりにまでは至っていないところでございます。 この要因としては、利用対象者が、育児や介護を行う職員のほか、通院治療が必要な職員、単身赴任者、自己啓発を行う職員に限られることなどが挙げられます。 こうした中、ことし実施した職員アンケートにおいて、回答者の64%がフレックスタイムの制度拡充を望んでいること等を踏まえ、令和7年度から対象を全職員に拡充する方向で職員団体と調整を進めているところでございます。 今後、制度を拡充していく中にあっても、職場における労務管理の煩雑化やコミュニケーションの希薄化等によって業務に支障が生じないよう、システムによる勤務時間の管理や、全職員が必ず出勤するコアタイムの設定など、適切な組織運営に努めつつ、フレックスタイムのさらなる利用拡大を進めてまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) そして、もう一つが在宅勤務です。新型コロナウイルス感染症の発生と拡大に伴って導入が進みました。ただ、一定の要件を満たす場合には、原則週1日の在宅勤務が可能ですが、限定的です。令和6年6月からは全職員が対象となったということですが、在宅勤務の利用実態、課題、今後の対応について、簡潔で結構ですので、お願いします。 〇総務部長(千葉幸也君) 在宅勤務制度を利用した職員は、令和5年度は130人、令和6年度は、全職員を対象としたこともありまして、10月末時点で262人と増加傾向にあります。 一方、在宅勤務の運用に当たっては、職員の勤怠管理、業務の進捗管理が難しくなることが懸念されるほか、窓口業務のように在宅勤務になじまない業務に従事する職員もいるところでございます。 このため、県では、管理職に対し、在宅勤務における業務内容の確認、職員の柔軟なシフト調整について通知等を通じて周知徹底するなど、制度運用のさらなる適正化に努めております。 今後も、こうした取り組みを着実に進めることで、在宅勤務制度などの働き方改革を一層加速化し、ひいては人口減少下における有為な人材の確保にもつなげることができるよう、職員一人一人が働きやすい職場環境づくりを推進してまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) 働き方改革は、私はトップがやらないと現場の人はなかなか難しいと思っています。本当は八重樫副知事にお聞きしたいところですが、通告していませんでしたので総務部長に……、いいですか、副知事にお伺いしたいと思います。お願いします。 〇副知事(八重樫幸治君) 仕事と生活の調和を図り、職員が明るく生き生きと働くことができる職場環境の実現に向けましては、職員のやる気を引き出すリーダーシップが大きな推進力になると考えています。 このため、副部長等で構成する、働き方改革推進会議において、働き方改革ロードマップを共有し、ペーパーレス化や執務環境の改善に取り組んでいるほか、職員一人一人の目指す働き方の実現に向け、所属長等が職場の実情を把握し、みずから率先して業務のスクラップやプロセスの見直しを進めるなど、改善意識の向上に取り組んでいます。 今後におきましても、フレックスタイムや在宅勤務など各種制度の充実に努めるとともに、研修などの機会を通じて、私自身が職員に直接呼びかけることで職員の行動変容を促し、職員一人一人のワークライフバランスを推進してまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) 大変恐縮でございました。総務部長も率先して在宅勤務等ができるのだと思いますが、でも、部長ができるような環境にならないと、一般的な方もできないと思うし、さらには、そういう仕事の働き方改革をしていくことで県庁が変わっていくことになるのだと思います。 最後に、基幹システムは、古く耐用年数が20年かかっているものもあります。私は、DXを推進するに当たって、基幹システムを変えながら、そのシステムに合わせた働き方に変えていかないといけないと思います。最後にふるさと振興部長にお聞きして、終わりたいと思います。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 庁内基幹業務システムの最適化に当たりましては、既存のルールや組織文化、風土も含めた抜本的な業務改革に取り組み、職員の利便性向上と、社会経済情勢の変化や多様化する県民ニーズに柔軟に対応できる業務執行体制の構築が重要と考えております。 そのため、部局横断の、庁内基幹業務システム整備に係る対応検討クロス・ファンクショナル・チームを立ち上げ、システム導入による業務フローの見直しについて検討するなど、柔軟な働き方の実現や、限られた行政経営資源の有効活用に資するシステムを構築するための検討を行ってまいりました。 また、これまでの検討を踏まえた最適なシステムの構築には、民間事業者の専門的な知見や最新の技術情報を収集し、調達仕様の精度を高める必要がありますことから、現在、事業者への情報提供依頼の準備を進めているところでございます。 県といたしましては、引き続き、システム導入を契機とする内部業務の大幅な見直しと効率化を図ることにより、政策立案等の考える業務のほか、現場でしかできない業務等へ注力できる環境構築、そして、働き方改革の推進に向けて取り組んでまいります。 〇16番(菅野ひろのり君) 終わります。ありがとうございました。(拍手) 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって菅野ひろのり君の一般質問を終わります。 日程第2 議案第19号令和6年度岩手県一般会計補正予算(第8号)から日程第12 議案第29号市町村立学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例まで 〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第2、議案第19号から日程第12、議案第29号までを一括議題といたします。 提出者の説明を求めます。 〇総務部長(千葉幸也君) ただいま議題とされました各案件について御説明申し上げます。 議案第19号は、令和6年度岩手県一般会計補正予算(第8号)であります。 これは、人事委員会勧告に基づく給与改定に要する経費などを計上するものであり、総額51億2、200万円余の増額補正を行おうとするものであります。 補正の内容は、給与費、これは人事委員会勧告に基づく給与改定に要する経費等でありますが、51億2、200万円余であります。 議案第20号から、議案第23号までの4件は、令和6年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計など4特別会計の補正予算でありますが、これらはそれぞれ所要の補正をしようとするものであります。 議案第24号から議案第29号までの6件は、条例議案であります。これは、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例など6条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後6時8分 散会 |
前へ | 次へ |