令和6年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(名須川晋君) 希望いわての名須川晋でございます。通告に従いまして、順次質問させていただきます。
 スポーツ、文化分野におけるグローバル人材の育成について、まず伺います。
 メジャーリーガーで、今シーズンはヒューストン・アストロズで活躍、来期はロサンゼルス・エンゼルスに所属することが決まった菊池雄星選手は、このたび、長年の夢だった屋内野球施設、マウンドの王という意味のKing of the Hill―KOHを母校、花巻東高等学校に隣接して整備しました。子供たちの夢と未来のリーダーを育てる新たな拠点として大きな期待を寄せるとともに、ノブレス・オブリージュのあつい志をリスペクトするものであります。
 ビフォアー雄星、アフター雄星、2009年春の選抜大会準優勝を起点に、内気で何となくコンプレックスを抱えていた岩手県の少年少女たちは、自分たちにもやれるんだと自信を持ち始め、自己肯定感は高まり、意識は前向きへと大きく変化しました。
 彼の背中を追い、大谷翔平選手があらわれ、今期は見事50ホームランと50盗塁のいわゆる50─50を達成し、2年連続3度目のMVPを獲得しました。来年はいよいよ佐々木朗希選手もメジャーに挑戦です。ゴルフの米澤蓮選手、スポーツクライミングの伊藤ふたば選手、スキージャンプの小林陵侑選手、スノーボードの岩渕麗楽選手、スピードスケートワールドカップ女子500メートルで早くも2勝目を飾った新星、吉田雪乃選手、芸術の領域では株式会社ヘラルボニーと、岩手県から世界で目覚ましい活躍を遂げるきら星のごとき若手逸材たちを輩出するようになりました。
 逼塞する世の中にあって、彼らは県民に夢と希望を与え続けてくれています。圧倒的少子化で岩手県が、日本が縮んでいきますが、環境を整備し、正しい指導方法のもと、個の素質を伸ばしていくことで、岩手県はまだまだ世界に羽ばたくグローバル人材を育成することができると確信しています。若者への知事の期待や思い、そして、政策への反映についてのお考えをまずはお聞かせください。
 県の財政運営について4点伺います。
 医療局がさきに公表した岩手県立病院等の経営計画(2025〜2030)の最終案は、入院患者が人口減少率以上に減少していることに加え、経費の増等が令和6年度診療報酬改定において適切に反映されなかったこと、人事委員会勧告により給与費の増の影響が大きいことなどにより、令和6年度の決算見込みは90億円の赤字、期末資金残高はマイナスとなり、資金不足は令和10年度まで拡大していくという衝撃的な内容となっています。
 公営企業である県立病院の多額の赤字や資金不足については、本来、経営改善の取り組みにより解消すべきものである一方で、県立病院が僻地医療や救急、感染症、精神、小児、周産期などの不採算、特殊部門に係る医療を行っている役割を踏まえれば、毎年度の繰り出しに加えて一般会計からの支援が必要なのではないかと考えますが、知事の御所見を伺います。
 また、医療局の経営計画と同時に、岩手県庁舎の在り方に関する報告書の素案も公表されました。一定のコストメリットがあるとされる一部建てかえ案でも、今後50年間の一般財源負担は900億円を超えるとの見通しが示されています。さまざまな要因により多額の赤字を抱える県立病院を支えつつ、県庁舎の建てかえを初めとする多額の事業費を要する建設投資も行うとすれば、県の財政運営への影響が懸念されます。
 そのような中、国では、所得税、個人住民税の基礎控除額の引き上げ、いわゆる103万円の壁について議論され、経済対策にもその方向性が盛り込まれました。控除額の引き上げは、個々の県民にとってはメリットがある一方、県としては約300億円の減収が見込まれ、財源に大きな穴があくことが懸念されます。これらの見直しが行われる場合の県の対応について伺います。
 社会経済情勢が大きく変動している中、知事には、県立病院という県民福祉の増進のため最も重要な社会基盤を維持しつつ、老朽化するインフラの更新を進めるという難しいかじ取りが求められ、それには財源の裏づけが必要となります。
 県が9月に公表した岩手県中期財政見通しでは、厳しい見通しが示されているところですが、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会では、国と比較して、地方の財政には余裕があるとの指摘がされています。確かに、財政調整基金残高を見ると、本県は震災前の平成22年度末時点の残高140億円に対し、令和5年度末では310億円と2倍を超える規模となっており、県の財政には余裕があるのではないかとも解釈できますが、本県の財政状況は、県立病院への繰り出しや公共、公用施設等の更新など、多額の財政需要に対応可能な状況なのか、知事の認識と今後の財政運営に対するお考えを伺います。
 令和7年度の予算編成方針について伺います。
 9月に発出された副知事依命通知では、令和6年度に引き続き、人口減少対策、GX、DX、安全、安心な地域づくりの四つを重点的に取り組むべき事項とし、市町村を初めさまざまな主体との役割分担や政策評価結果等を踏まえた積極的な見直しや再構築を行い、ゼロベースで事業の必要性と優先順位を見極めた上で重点化を図るとしています。
 現時点で何を見直し、再構築し、これまでの取り組みを踏まえ、何を重点化していくのか、知事のお考えをお聞かせください。
 高齢化社会への対応について、3点伺います。
 少子高齢化を根底としたさまざまな課題に対し、適切かつ柔軟に対応していくことが求められています。国立社会保障・人口問題研究所がこのたび発表した世帯数の将来推計によれば、本県は世帯主が65歳以上の高齢者の単身世帯の割合は、2020年に30.7%でしたが、2035年に37.0%、2050年には40.2%に上ることが明らかとなりました。特にも独身者が増加する今後、身寄りのない人々が多く出現し、医療や介護、死後の手続等、あらゆる場面において課題が噴出することが予測されます。
 判断能力が不十分な高齢者や障がい者等の権利擁護のため、権利義務にかかわる行為をサポートする成年後見制度や、将来の認知能力低下への不安に備え、あらかじめ後見人を指定しておく任意後見制度の活用の促進は、県民が尊厳ある本人らしい生活を維持していくために重要な取り組みであります。
 国においては、制度の利用が十分に進んでいないことを踏まえ、法制審議会民法部会において、成年後見人のスポット利用や変更手続の簡素化、利用しやすい任意後見制度のあり方についての議論が続けられているところであり、見直しの充実が期待されるところです。
 県では、いわていきいきプランにおいて、市町村による成年後見人・補佐人・補助人報酬助成件数の目標値が定められておりますが、令和4年度の現状値に対し、令和8年度の目標値は微増にとどまり、利用を促進していく上では、そもそもの目標設定が低過ぎるのではないかと感じており、危機的な状況に不安を抱いているところです。
 そこで伺いますが、県内における成年後見制度、任意後見制度の活用状況はどのようになっているでしょうか。国においては、成年後見制度、任意後見制度の利用促進の検討が進められている一方、岩手県社会福祉協議会では、福祉サービスの利用補助のほか、日常生活自立支援事業により日常的金銭管理や書類預かり等の日常的な生活をサポートするサービスを提供しているところですが、どのような利用状況になっているのか、あわせて伺います。
 親族が亡くなると相続関係のほか、保険、年金、医療関係等公的サービスから、クレジットカード、携帯電話の利用廃止等、民間サービスまで多くの手続が必要となりますが、横串が刺さっていないがため、個別の対応となり、これにかける時間と労力は相当なものとなります。市町村窓口では各課同士の連携や案内はいずれの自治体でも行われているとは思いますが、高齢、多死社会において、窓口の一本化を図るワンストップサービスが求められています。国はガイドラインを策定し、おくやみ窓口の設置を推奨していますが、県内の設置状況はどうなっているか伺います。
 厚生労働省の公募事業により、株式会社日本総合研究所が令和6年9月に全国の市町村を対象に実施した、引き取り手のない遺体・遺骨の取り扱いに関する実態調査の中間報告によると、引き取り手のない遺体、遺骨の事務の手順に関するマニュアルがないという市町村の割合が88.2%と全国の市町村の1割程度しかマニュアルが整備されていない実態が明らかになりましたが、県内の実態はどうなっているのか伺います。
 災害対策について伺います。
 近年の自然災害の頻発化と大規模化を受け、被災者一人一人に寄り添い、必要に応じ専門的な能力を持つさまざまな関係者と連携しながら、被災者の自立、生活再建が進むよう、伴走して支援する災害ケースマネジメントの重要性が指摘されています。
 現在、内閣府が中心となって施策を推し進めており、本県においても研修会を開くなど緒についた感がありますが、その普及の進め方と平時からの取り組みについて伺います。
 第2期復興・創生期間後の共助社会の担い手への支援について伺います。
 令和7年度末、政府が示した第2期復興・創生期間が終了し、被災者支援総合交付金による事業は令和8年度以降、一般施策への移行を目指すこととなっています。岩手県としても復興施策継続の必要性を説明しているものの、状況は厳しいと認識しています。国としても、必要かつ震災由来として明確である等の条件つきで継続した支援を検討していますが、震災から13年以上経過する中、明確な震災由来かどうかを表現するのはとても難しい状況にあります。
 現在、被災者支援、復興支援の一端を担うNPОの活動補助として、NPО等による復興支援事業、被災者の参画による心の復興事業がありますが、国が定めた復興・創生期間が終了するから被災地、被災者支援が終わるということでは到底なく、先ほど質問した災害ケースマネジメントの主体としても育成が必要であり、県として令和8年度以降の支援策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、復興施策が難しい状況にあるとするなら、県として平時の施策としての移行が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、政府は災害ボランティアとして活動するNPОなど支援団体の事前登録制度を2025年度にも創設する方針を固め、来年の通常国会に災害対策基本法改正案を提出する方針で、NPОなどの活動支援を強化する規定を盛り込む方向で検討しているとのことであります。本県ではどのような対応が想定されるのか、伺います。
 地域の防災リーダーで即戦力としての活躍が期待される防災士の登録者は年々増加しておりますが、個別の活動ではなく、災害時を念頭に防災士の組織化を進める必要があります。また、私のように、資格を取得したもののそれきりで、いざというとき全く戦力にならないだろうという人も多くいるはずで、資格取得後の継続した研修体制の充実が必要と思われますが、県の対応について伺います。
 国際交流について伺います。
 近隣国として中国や韓国との交流を一層深化していくことは当然でありますが、国対国の関係は大きく揺れる振り子のごとくに、時として地方であっても歴史問題に直面し、影響を免れることができないのも実情です。
 地球を俯瞰してみれば、グローバルサウスの筆頭格としてインドは人口14億人を超え、毎年1、000万人ペースで増加する世界最多の国となり、平均年齢は約28歳、2027年にはGDP、国内総生産が日本やドイツを抜き世界3位になると予測され、高成長を当て込み、中期的に最も有望な事業先として日本企業の進出も激増しています。一方で、若者の失業率は非常に高く、新卒を含む高学歴の若者の多くが職を得られていないというのも実態のようです。
 民間レベルでは、10月にニューデリーにて開催された第3回日印大学等フォーラムにおいて、高等教育機関の連携拡大に向け交流が図られたといい、日印政府間レベルでは、今後5年間でIT技術者を中心に5万人超の人材交流を申し合わせたとのことですが、本県は急成長を果たすインドとの交流をどのように進めていくのか伺います。
 花巻空港上海便、限定再開についてであります。
 先ごろ発表された政府観光局の推計値によれば、ことし1月から10月までの訪日外客数は、新型コロナウイルス禍前の2019年以来、5年ぶりに3、000万人を超え、特にも10月の訪日客は331万人超と、単月としては過去最多となり、年間累計も最多となることが確実な情勢です。最近は盛岡市でも外国人観光客の方を多く見かけるようになりましたが、いわゆるゴールデンルートから地方への分散は遅々として進まず、まだまだ本県はお客様を受け入れる余地もポテンシャルも大いにあります。
 こうした状況で、来年1月18日から2月15日までの期間に156席の機体で、週2往復の花巻上海便が、5年ぶりに再開されることが決まったことは、限定的であるとはいえ、ステップ段階として率直にうれしいものです。中国の春節に合わせた対応ということで、乗客は、雪、スキー、温泉などを目的とした観光が中心と推測しますが、実態はどうでしょうか。
 限定便のみならずチャーター便の運航、そして、定期便再開の報は全国各地から届きます。上海便の定期便再開の見通しはどうか。利用実績によって本格運航再開の機運が高まることから、岩手県から上海へのアウトバウンド施策ともあわせて伺います。
 DXの推進について伺います。
 本県におけるマイナンバーカード及びマイナ保険証取得、普及状況はどうなっているでしょうか。現行の健康保険証の新規発行がきのう、12月2日に停止しました。以降、最長1年の使用が可能となるとのことです。マイナ保険証を取得していない人には資格確認書が交付され、取得済みの人には資格情報のお知らせが届きますが、単独では利用できません。マイナ保険証については、情報保護の観点で不信があり利用しない方々、あるいは、制度自体がよくわからないという高齢者層は非常に多く、トラブルに乗じた詐欺の発生さえ懸念されるところです。当面、医療機関窓口への支障が予測されますが、県としてどのように対応されるのか伺います。
 地方公共団体の基幹業務システムの統一標準化については、2025年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すとされていますが、岩手県を初め、県内各自治体の進捗状況はどうなっておりますでしょうか。
 自治体担当者や開発ベンダーからは、非常に苦労していると仄聞し、既にもう間に合わないという悲観的な予測がされていますが、その際はどうなるのか。追加で発生する費用負担の問題や、市町村への支援策について伺います。
 行政における生成AIの利活用について伺います。
 時事通信社が発表した全国自治体DX推進度市区町村ランキング2024によれば、本県では一関市が全国6位と最上位クラスに位置づけられました。この高評価にたがわず、当市は生活保護業務にAIを活用した業務支援システムの実証実験を民間企業と共同で開始し、来月後半からは試作版システムの運用開始を目指すとのことです。
 全国に目を向けても、文書や資料作成の効率化、アイデア出し等、生成AIを活用する自治体の事例がいよいよ見受けられるようになりました。時々刻々と進化するAI技術を過度に恐れず、民間の力を取り入れながら活用を図っていくべきと考えますが、本県の状況について伺います。
 株式会社帝国データバンクによる生成AI活用最新調査によれば、導入企業は17.3%、活用目的としては業務効率化が90.9%、人手不足への対応が44.3%とのトレンド分析が示されています。襲いかかる物価高騰に人手不足も深刻化する折、中小零細企業が大半の本県においても、課題克服の有効な一手段として生成AIの導入、活用が望まれるものです。
 県としても啓発や学習できる機会の提供、導入支援等について検討するべきと考えますが、いかがでしょうか。
 化製場の悪臭対策について伺います。
 死亡した家畜の処理や畜産物を加工した際に発生する副産物を加工し、製品化する工程を担う施設として、本県の畜産振興に欠かせないのが化製場であります。本県には花巻市に所在し、日々、その重要な役割を担われているところではありますが、一方で、当該施設を発生源とする悪臭は広範にわたり、市民が健康的、文化的な生活を送る上で重大な影響を及ぼし、同地区にある宮沢賢治記念館や花巻新渡戸記念館等、市を代表する観光施設を訪れるお客様にも御迷惑をおかけしている状況です。
 花巻市では、平成28年に花巻市悪臭公害防止条例に基づき改善勧告を発令しているところではありますが、いまだ十分な改善が認められない状況にあります。このような状況から、花巻市は県に対して、改善勧告に基づく対策の効果などを検証するため、県と市が合同で立入検査を実施することを要望していますが、その実施状況について伺います。
 また、花巻市は、要綱や要領による行政指導ではなく、県の権限を確実に行使できるよう、青森県や秋田県の条例を参考に、化製場設置者に対して臭気処理施設の設置を義務づけた条例改正を要望していますが、県当局の考えをお示しください。
 本県の令和4年の農業産出額2、660億円余の中で、畜産部門は1、714億円余と約6割を占め、全国で第4位となっており、畜産は本県農業の基幹部門であります。農業をめぐるさまざまな課題がある中、今後、本県の農業産出額を伸ばしていくためには、畜産振興が重要となるものと認識しております。
 この畜産振興を図る上でも、化製場は必要不可欠な施設でありますが、根本的な解決に至っていないのは大変遺憾であり、改善は急務であります。
 化製場の悪臭対策については、本来、事業者みずからの責任において行うべきものでありますが、近年、コンプライアンス、法令遵守やCSR―企業の社会的責任が重要視されているという社会情勢からも、化製場と取引のある事業者に対し、十分認識させるべきものと考えます。
 県は、本県の畜産振興を図っていく上で、化製場の果たす役割をどのように認識し、取り組んでいくのか伺います。
 教育振興について伺います。
 1点目は、岩手中部ブロックにおける併設型中高一貫教育校の新設についてであります。
 次世代のリーダーとして将来の岩手県に貢献できる人材の育成を目指すとして、平成21年4月に併設型中高一貫教育校が県立一関第一高等学校に導入され、県教育委員会は、平成27年4月20日に改定した、今後の高等学校教育の基本的方向において、県立一関第一高等学校への導入の成果と課題を引き続き検証しながら、今後の方向性について検討するとしております。
 花巻市では、岩手中部ブロックにおける進学の拠点校である県立花巻北高等学校を対象に、併設型中高一貫教育校の新設を以前から県教育委員会に要望しております。その背景には、毎年多数の生徒が市外の進学校に流出している現状を憂い、時間的、金銭的にも大きな負担が生じているとともに、企業進出が続く地域に設置することで、県外から転勤してこられ、教育に対する意識が高い保護者にとって、子供の進学先として大きな選択肢となり得るとの理由によります。
 意欲ある子供たちによりよい学習環境を提供するため、岩手中部ブロックにおける中高一貫校の設置について、どのように考えているのか伺います。
 このたびの県立西和賀高等学校の定員を40人増とした2学級化を決定した教育委員会の柔軟な対応と、地方創生と高校の魅力化、特色化の両輪で、いわて留学を進めてきた学校現場、地域関係者の協働体制、コンソーシアムの結実に敬意を表します。
 県立高等学校魅力化フォーラムの開催などの取り組みが功を奏したものと率直に評価するものでありますが、終わりのない挑戦はこれからも続きます。今後の特色ある教育の進め方について伺います。
 まだ記憶に新しい先月17日に投開票された兵庫県知事選挙の結果は、非常に興味深いものがありました。私も関心を持ってSNSをチェックしていましたが、事の真相はいまだ判断つきかねます。その盛り上がりは日を追うごとに高まっていったことに驚きを覚えるとともに、これとは対照的に、選挙前はまるでメディアスクラムとも言える状態だった知事バッシングは、選挙期間に入った途端、政治的に公平で多角的あらねばならないという放送法への抵触を恐れ、報道がピタッととまってしまったテレビ、新聞との違和感が強烈に可視化されました。選挙後、テレビ、新聞はオールドメディアと半ば揶揄され、その限界が明らかになったとの指摘があります。
 さまざまなメディアでこの事象への検証がされていますが、SNSへの有効性やデメリットについては、実に多くの課題が突きつけられました。今後、技術は一層進み、生成AIによるフェイクニュースや本物と見まがうフェイク画像、動画は多数つくり出されていくことでしょう。検索サイトのアルゴリズム機能によって自分の好みの動画ばかりが出てくるフィルターバブルによって、ともすると洗脳が進み、偏った視点が強化され、陰謀論を流布し、他者の意見は受け付けない人間の増加が懸念されます。自分と同じような意見、考えを持つユーザーをフォローすることで、これにそぐわないものは排除しようとする、いわゆるエコーチェンバーによる分断が生まれる予兆は、既に日本でも見られます。最近は大手会社によるPRとの表記のないステルスマーケティング広告の事例も発生し、その向き合い方への対応は焦眉の課題と言えます。
 御承知のように、オーストラリアでは、つい先ごろ、子供たちがSNSにのめり込み、心身に悪影響が出ることへの懸念や、いじめや性被害などの遭遇に批判が高まっていたことから、16歳未満の子のソーシャルメディアの利用を禁止する法案が可決されました。1年後の施行が予定されています。
 こども家庭庁による令和5年度の調査では、ゲーム、音楽鑑賞を含めた平日のネット利用時間は、小学生で3時間46分、中学生4時間42分、高校生は6時間14分、動画視聴が90%を超えているなど、小、中、高校生がICT機器を活用し、さまざまな情報に触れている現状があります。ますます進みゆくネット社会において、得られた情報の真偽を正しく判断する能力の育成と活用など、一層のメディアリテラシーに関する教育が必須でありますが、その現状と今後の取り組みについて伺います。
 以上で今回の私の一般質問とさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、スポーツ、文化分野におけるグローバル人材の育成についてでありますが、近年、本県出身のアスリートや文化人が、さまざまな競技、分野で世界を舞台にしたすばらしい活躍を見せ、多くの県民に感動や勇気を届け、県民に活力をもたらしています。
 県では、オリンピック、パラリンピックを初めとした国内外の競技会で活躍するアスリートの輩出に向けた競技力向上や、一流の文化芸術に触れる機会の提供や意欲的な創作活動等の支援をいわて県民計画(2019〜2028)に掲げ、取り組みを進めています。
 スポーツ分野においては、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業を実施し、子どもたちの運動能力の適性を見出し育てるとともに、各競技団体に対し最先端のスポーツ医・科学の知見をもとにしたトレーニングや指導を行うなど、国際的に活躍するトップアスリートの育成を進めてまいりました。
 また、文化分野においては、世界的に活躍する一流の芸術家による公演の鑑賞や学校等への芸術家の派遣による体験の機会の提供に加え、岩手芸術祭の開催や海外における公演活動への支援により発表機会の確保を図り、国内外から評価される人材が育まれる環境づくりに取り組んでおります。
 このたび、菊池雄星選手が、子供たちが本物に触れる場をコンセプトとして、最新のトレーニング機器を備えた、King of the Hillを花巻市に整備されたことは、本県におけるグローバル人材の育成に大いに寄与するものと期待しており、今後、この
King of the Hillとの連携について意見交換を進めてまいります。
 また、県といたしましても、映像分析などDXを活用した新しい指導方法の提供、オリンピアンの講話や最新トレーニングの学習等を行う研修会、中央競技団体が主体となって世界基準の育成を行うパスウェイシステムの活用など、拡充を図っているところであり、このような取り組みにより、子供たちが世界レベルを体感できる環境の確保を図りながら、スポーツや文化芸術の分野において世界で活躍する人材の育成を進めていきたいと考えております。
 次に、県立病院の運営に係る財政支援についてでありますが、県立病院は高度医療や救急医療の提供に加え、初期医療等の役割も担うなど、県民福祉の増進のため、最も重要な社会基盤として、県民の生活に欠かすことのできないものと認識しております。
 名須川晋議員御指摘のとおり、県立病院の多額の赤字や資金不足については、医療局において経営改善の取り組みを不断に進め、一層の収益強化、経営効率化を図っていくことが重要です。
 加えて、診療報酬という公定価格のもと、物価高騰や給与費の増加など、自助努力では補うことが困難な原因により、全国の公立病院等は極めて厳しい経営環境にあることから、地域医療の維持のためには、診療報酬の改定や地方財政措置の更なる拡充といった、国による実態に即した措置も必要であります。
 これら県立病院の経営状況や国の動向等について注視しつつ、必要に応じ、一般会計からの支援についても検討してまいります。
 次に、今後の財政需要への対応についてでありますが、本県では、人件費や社会保障関係費、公債費の増加に加え、名須川晋議員御指摘のとおり、毎年度200億円を超える県立病院への繰出金や、今後30年間で6、000億円にも上る公共施設の老朽化等に伴う経費など、今後、多額の財政需要が見込まれます。
 また、歳入面においても、人口減少等を背景に実質的な一般財源総額の減少が見込まれることから、本県の財政運営は、より一層厳しさを増していくものと認識しております。
 こうした中においても、住民のニーズに的確に応えつつ、さまざまな行政課題に対応しながら、一定水準の行政サービスを安定的に提供していくためには、施策の推進を支える安定的な行財政基盤を構築していくことが重要です。
 引き続き、各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直し、より低利な資金調達など、あらゆる手法による歳入確保に取り組むとともに、事務事業の精査など、徹底した歳出水準の適正化と限られた財源の重点的、効果的な活用に努め、持続的、安定的な財政運営を行ってまいります。
 次に、令和7年度当初予算編成の考え方についてでありますが、令和7年度予算編成に当たっては、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る必要な取り組みの着実な推進と、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランで掲げる四つの重点事項を最優先課題と捉え、政策評価結果等を踏まえた積極的な見直しや再構築を行い、限られた財源を重点的かつ効果的に活用しながら、いわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進する予算として編成する考えです。
 こうした方針のもと、政策推進プラン構成事業については、事務事業評価の結果や社会経済情勢の変化等も踏まえ、事業の必要性や優先順位を見極めながら、事業の見直しや縮減、廃止、休止等に取り組んでいます。
 また、四つの重点事項については、シーリングにより捻出した財源の3倍まで予算要求を認めることとし、部局横断的なワーキンググループや関係部局のもとで施策を拡充、強化する方向性を取りまとめており、自然減、社会減対策では、ジェンダーギャップの解消をポイントに据えながら、有配偶率、有配偶出生率の向上、女性の社会減対策、県内定着、U・Iターンの推進、交流人口、関係人口の拡大、市町村支援。GXの推進では、脱炭素化に向けた県民の行動変容のさらなる促進、事業者の脱炭素化シフトへの支援強化。DXの推進では、デジタルの力を活用した県民の暮らしの向上と産業振興の展開、DX人材の育成、ガバメントクラウドへの市町村の基幹系業務システムの移行支援。安全・安心な地域づくりでは、今後起こり得る最大クラスの地震、津波や大規模災害、新興感染症への対応などの事業に力を入れていくこととしています。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、成年後見制度の活用状況についてでありますが、当該制度は、認知症、知的障がい、精神障がいなどの理由で、一人で決めることが心配な方々を対象として、後見人などが財産管理や地域での日常生活を支える制度であり、県内における制度利用者は、令和5年12月末現在で、任意後見制度12名を含め2、149名となっております。
 当該制度の活用促進の取り組みについては、市町村と、市町村が設置する権利擁護センターで行われており、県においては、成年後見人養成研修や実施機関へのアドバイザー派遣事業に加え、個々の市町村に対するヒアリングなどを通じ、市町村等の支援に取り組んでいるところであり、今後におきましても、当該事業等を通じ制度の周知や利用促進に努めてまいります。
 次に、日常生活自立支援事業の利用状況についてでありますが、当該事業は、成年後見制度の対象には至らないものの、判断能力が不十分と思われる認知症高齢者などの日常的な金銭管理、福祉サービスの利用援助を行う制度であり、国、県の補助事業により、平成11年度から岩手県社会福祉協議会が実施をしております。
 具体のサービスは、岩手県社会福祉協議会から委託を受けた市町村社会福祉協議会が相談支援に取り組んでおり、その利用者数は、令和6年3月末現在で989人と増加傾向にあり、人口当たりの日常生活自立支援事業の利用者の割合は、推定で全国平均の1.6倍となっております。
 判断能力が十分でないことなどにより、成年後見制度や日常生活自立支援事業などの権利擁護支援を必要とする方が、尊厳のある本人らしい生活を継続することができるよう、県では、社会福祉協議会のほか、各種関係機関と定期的な打ち合わせや意見交換を持ちながら、普及啓発や協力体制の強化に取り組んでいるところであります。
 次に、マイナ保険証についてでありますが、健康保険証の新規発行が昨日12月2日をもって廃止となり、マイナ保険証に移行しておりますが、これまで医療機関等の窓口において、情報セキュリティーの不安などにより利用をためらう方や、機器トラブルなどにより資格確認が行えない事例があったところであります。
 これらを受け、国では、資格情報のひもづけ誤りの是正や読み取り機器の改修等に加えて、被保険者に対する資格情報のお知らせの交付に取り組んできているものと認識しております。
 県としては、当面、従来の健康保険証とマイナ保険証が併用されることから、医師会や被用者保険者等が参加する保険者協議会の場などを活用して、医療機関窓口における手続が円滑に行えるよう引き続き要請するほか、国に対しては、情報セキュリティー対策の徹底、国民及び医療機関への普及、啓発を行うことや、高齢者等への十分な支援を行うことなどについて、状況に応じて働きかけを行ってまいります。
   〔企画理事兼商工観光労働部長岩渕伸也君登壇〕
〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、インドとの交流についてでありますが、インドには、県内に立地しているものづくり企業が進出しているほか、本年2月に、駐日インド大使が知事表敬にお越しになった際、本県の強みである半導体産業にも強い関心を示され、ビジネス面での関係を築いていきたいとのお話があったところです。
 また、在インド日本国大使館から、介護、農業などの分野を含め、インドの人材を受け入れる機運を高めるためのセミナーの県内での開催の打診を受けたことを契機に、現在、こうしたセミナー等の実施方法についての検討を進めているほか、先月には、北上工業クラブが中心となって現地を訪問し、人材の送り出し機関の実態やビジネス環境の調査を行ってきたところです。
 加えて、日本航空株式会社インド支店を通じて、インド人の富裕層の観光誘客に岩手県が大きな可能性を有しているとの話もいただいており、先般、同社や八幡平DMOと連携し、現地の旅行会社やインフルエンサーを招いたツアーを実施したところです。
 このように、自動車、半導体関連産業を初めとしたものづくり産業の振興、外国人材の受け入れ、インバウンドの拡大とそれを通じた県産品の販売拡大など、さまざまな分野におけるインドとの経済交流に向けた取り組みが始まりつつあり、今後も、互恵的な協力関係を構築しながら、これらの取り組みを拡大させていきたいと考えております。
 次に、上海便の再開に伴う観光振興についてでありますが、今回の運航再開は中国の大型連休に合わせた運航であり、既に、今年度、東北観光推進機構と連携した上海市での旅行博への出展や現地旅行会社の招請などを通じ、本県の認知度向上と旅行商品の造成促進に取り組んでいるところです。
 また、この運航再開が来年1月からとなることから、本県の冬の観光の魅力を積極的にPRしていくことが重要と考えており、大連経済事務所を通じたスキーリゾートや温泉を初めとした観光資源の情報発信、さらには、県内の観光関連事業者と共同で現地の旅行会社を訪問しての旅行商品造成、拡充の働きかけなどを行うこととしております。
 本県へのインバウンドの入り込みは、ことし上半期にはコロナ禍前を上回ったところでありますが、中国からの入り込みはコロナ禍前の50%以下にとどまっており、今般の運航再開を契機として中国からの入り込みの回復を図り、さらなるインバウンドの拡大に結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業に対するAI導入等の支援についてでありますが、県内の中小企業者が持続的な賃上げ原資の確保や人口減少に伴う人材不足に対応していくためには、AI技術を活用して省力化を含めた生産性向上を図っていくことが重要であると考えております。
 このような考え方のもと、県においては、令和3年度に産学官による岩手県人工知能ビジネス研究会を立ち上げ、昨年度は、AI利活用による観光・サービス業における労働生産性向上をテーマとした研修会を開催したところです。
 また、商工指導団体やIT企業などを対象とした生成AI業務活用講座やAI基礎講座といった人材育成研修を実施しているほか、ものづくり企業を対象に、これまで人が行っていた製品検査にAIを用いた画像検査を導入する取り組みなどを行っているところです。
 今後も、こうしたAIの利活用促進に向けた普及啓発や導入支援等の取り組みを進めつつ、デジタル技術の進展などの環境変化に的確に対応しながら、県内中小企業のAI導入支援に取り組んでまいります。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) いわゆる年収103万円の壁見直しによる影響についてでありますが、見直しが行われた場合の本県の減収額は、機械的な試算でありますが、個人県民税が約150億円、所得税を原資とする地方交付税が約150億円の計300億円程度と見込んでおります。
 これは、令和6年度一般会計当初予算における歳入7、322億円の約4%に相当する規模であり、仮に減収分が補填されない場合、行政サービス水準の低下につながる可能性があると認識しております。
 この減収分については、国費により補填されるべきものと考えており、地方の財政運営に支障が生じないよう適切な措置を講じることについて、全国知事会とも連携しながら、国に要望してまいります。
   〔ふるさと振興部長村上宏治君登壇〕
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) まず、おくやみ窓口の設置状況についてでありますが、国では、御遺族の方の事務手続の負担を軽減することを目的として、令和2年5月に、おくやみコーナー設置ガイドラインを策定し、市町村が死亡手続を行うための専用窓口を設け、ワンストップサービスを提供する取り組みを推奨しており、令和5年4月1日時点において、県内では盛岡市、一関市、金ケ崎町、九戸村の4団体が設置しております。
 おくやみ窓口の設置に当たりましては、職員の確保が難しいことや、制度や手続に関し幅広い知見を有する職員の育成に時間を要することなどの課題があるものと認識しておりますが、住民の利便性向上に資する取り組みであるものと期待されますことから、県といたしましては、全国の好事例や取り組み手法などについて市町村と情報共有を図りながら、本県におけるワンストップ窓口の設置を支援してまいります。
 次に、上海線の定期便再開の見通しについてでありますが、今回の期間限定での運航は、ことし5月に知事が航空会社本社を訪問して要請するなど、運航休止以降、粘り強く働きかけてきたことにより実現したものと認識しております。
 一方、通年での運航再開については、継続して航空会社への要請や情報収集を行っているところですが、現時点では未定であると聞いているところであります。
 引き続き、航空会社に対し運航再開を働きかけてまいりますが、通年での再開に向けましては利用者の確保が重要と考えており、今回の運航終了後も、中国での観光情報の発信などによるインバウンドの誘客拡大に継続的に取り組むこととしております。
 あわせて、航空燃料の確保など空港での受け入れ態勢の整備に向けて、搭乗手続の円滑化に向けた環境の整備や、地上支援作業の関係事業者及び出入国にかかわる関係機関との調整を図ってまいります。
 また、アウトバウンド施策につきましては、県民のパスポート取得費用への助成、旅行商品を造成する旅行会社への支援、各種メディアを活用した県内への上海線や上海の観光情報の発信などの強化を図り、需要の喚起に取り組んでまいります。
 次に、地方公共団体の基幹業務システムの統一、標準化についてでありますが、国では、令和7年度末までに、自治体における住民記録、医療介護、就学支援などの基幹業務システムを全国で統一、標準化した標準準拠システムへ移行することとしており、現在、県及び市町村では、移行に向けて作業を進めております。
 しかしながら、名須川晋議員御指摘のとおり、全国的にも大規模自治体を中心に期限に間に合わない見通しの表明が相次いでいるほか、本県でも、現時点で三つの市において、システム提供事業者の撤退や人員不足による遅延を理由に、移行作業が令和8年度以降にずれ込む見込みとなっております。
 こうした自治体への支援策について、国はまだ対応を明らかにしておりませんが、期限内に移行の完了が見込まれる自治体におきましても、移行に要する経費が当初見込みより増嵩傾向となっているところでございます。
 このため県では、国に対して、移行期限の見直しや増嵩する経費への財政支援について要望しているところであり、引き続き、確実に移行が完了するよう、研修会の開催や個別相談、専門人材の派遣などにより市町村を支援してまいります。
 次に、生成AIの本県における活用状況についてでありますが、県では、令和5年度から、マイクロソフトコパイロットなど、幅広い知的作業を自動で行う生成AIを導入し、自然な会話形式のコミュニケーションを通じて、挨拶文などの文章の生成や翻訳、質疑応答などの作成に活用しておりますが、現状では情報漏えいの懸念から業務情報や個人情報を入力できない等の制約があり、活用状況は必ずしも十分とは言えない状況となっております。
 一方、生成AIは、業務効率化や職員の働き方改革、人材不足の解消などに資するものであることから、生成AIの利活用ガイドラインを策定し、利用時の遵守事項等を職員に徹底した上で、利用事例の紹介や職員向け研修会を開催するなど、活用を促進しているところでございます。
 今後も、セキュリティーの強化を図るなど一層の利用環境の整備を進めるとともに、CIО―最高情報責任者補佐官など専門人材の活用を初めとする民間の知見も取り入れながら、職員の利用スキル向上に向けた取り組みを充実させることにより、広く業務への利活用を推進し、業務の効率化を通じた付加価値の向上につなげてまいります。
   〔環境生活部長大畑光宏君登壇〕
〇環境生活部長(大畑光宏君) まず、引き取り手のない御遺体、御遺骨の取り扱いについてでありますが、名須川晋議員御指摘の調査結果は、都道府県、市町村別に公表されていないため、マニュアル等の策定状況を県が各市町村に確認したところ、マニュアルを策定しているのは1市町村、他自治体のマニュアル等を参照し、対応しているのが2市町村、引き継ぎ資料などの内部資料で対応しているのが8市町村で、マニュアル等は特にないとしたのは22市町村となっています。
 マニュアルを策定していない市町村に対し、その理由を確認したところ、国の、身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取り扱いの手引を参考に対応できており、策定の必要性を感じていないなどの回答があったところです。
 なお、全国調査の実施主体に確認したところ、御遺体、御遺骨の発生から終結までの事務手続の円滑化及び負担軽減を今後の検討課題の一つとし、年度内に最終報告を行う予定とのことであり、この最終報告を踏まえた国の動きなども注視してまいります。
 次に、化製場に対する花巻市との合同立入検査についてでありますが、化製場への立入検査については、昨年度までも、必要に応じ県と市が連携して行ってきたところでありますが、今年度からは県と市が合同で実施することを基本とし、検査結果や指導事項等を県と市で確実に共有することとしたほか、事業者への相談対応にも県と市が一緒に対応しているところであります。
 今年度の合同立入検査は、11月末までに計5回実施しており、化製場法や化製場法施行条例に定める基準に従って、化製場の構造設備や衛生措置の適合状況を確認したところであります。
 これまでの検査の結果、壁等の一部破損や清掃の不徹底など、構造設備基準等に適合しない事項が確認されたことから、事業者に対し、文書により当該不適合事項の改善を指導するとともに、改善計画書を保健所に報告するよう求めているところです。
 今後も花巻市と連携して、計画的に合同立入検査を実施し、構造設備や運営等の状況を確認していくなど、事業者に対し化製場の適切な運営を指導してまいります。
 次に、化製場法施行条例の改正についてでありますが、昭和23年に制定された化製場法には、悪臭に関する抜本的な規制が含まれておらず、その後、化製場のほか、工場や事業場による悪臭が社会問題となり、これに対応するため、昭和46年に悪臭防止法が制定された経緯があります。
 悪臭防止法では、住民に身近な市町村に改善勧告や改善命令の権限が委ねられており、県として化製場法施行条例に悪臭防止に関する新たな規制を盛り込むことは、このような経緯や法令体系を踏まえると、慎重に対応していく必要があると考えています。
 化製場に対する県と花巻市による合同立入検査では、構造設備基準等に適合しない事項が確認されたところであり、県としては、不適合事項の改善を含め、今後とも化製場法や化製場法施行条例に定める基準の遵守について、化製場に対する指導を徹底してまいります。
 また、県と市との計画的な合同立入検査の実施、検査結果や指導事項の確実な共有など、引き続き、花巻市との連携強化に取り組んでまいります。
   〔復興防災部長福田直君登壇〕
〇復興防災部長(福田直君) まず、災害ケースマネジメントについてでありますが、被災者の自立や生活の再建を図るためには、一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援が必要であり、発災時に円滑に災害ケースマネジメントを実施できるよう、平時からの体制の構築が重要となります。
 そのため、本県では、市町村やNPO、社会福祉協議会を含む有識者等を構成員とした災害ケースマネジメント推進検討会議をことし9月に立ち上げ、必要な体制の構築に向けた議論を進めております。
 具体的には、市町村が災害ケースマネジメントを行う場合、ボランティアやNPOの活用が考えられること、また、県が研修を行って人材育成を図ることなどについて議論が交わされ、県としては、研修修了者への認定証の交付や登録制度などについて検討を進めているところです。
 今後、年度内を目途に、主な論点の中間整理を行う予定にしておりますので、来年度以降、市町村やNPO、社会福祉協議会などと連携しながら、必要な体制を段階的に整えてまいります。
 次に、心の復興事業等についてでありますが、復興事業のうち、例えば、心のケアについては、相談件数が必ずしも減少しておらず、予算規模も横ばいとなっておりますが、御指摘の心の復興事業等については、被災者支援という事業の趣旨に沿った活動を行うNPOが減少しており、予算規模も減少傾向となっております。
 一方、県内市町村には、ふるさと納税のスキームを活用したNPO支援に取り組んでいるところもあるほか、先月、閣議決定された総合経済対策には、災害時における被災者支援団体への活動経費助成事業が盛り込まれております。
 県内の災害支援NPOには、当部の復興防災DX研究会や災害ケースマネジメント推進検討会議の議論にも参加いただいておりますので、そのような枠組みの中で今後の連携のあり方を検討してまいります。
 次に、災害支援NPOについてでありますが、平成23年の東日本大震災津波を踏まえ、その後の災害対策基本法の改正では、ボランティアとの連携などが新たに規定されたものの、災害支援の重要な担い手であるNPOとの連携はいまだ規定されるに至っておりません。
 本県の復興防災DX研究会では、今年度からいわてNPO災害支援ネットワークの理事などに構成員に加わっていただき、災害時に被災者一人一人のニーズに合わせて、必要な支援を必要なときに提供できる体制をどのように実現すべきか、有識者の皆様と議論を進めているところです。
 その中で、被災者情報の取り扱いなどをめぐり、災害対策基本法にNPOを位置づけるための法改正が必要ではないかとの議論も行っておりますので、政府が法改正も視野に入れた検討に着手していることは、このような本県での議論にも弾みがつくものと考えております。
 具体的な改正案の内容はいまだ明らかになっておりませんが、本県としても必要な対応を図ることができるよう、NPOの皆様と連携する中で検討を進めてまいります。
 次に、防災士についてでありますが、県内の防災士は先月末時点で3、900人余りにまで増加している中、今後は地域防災の担い手として、各地域の自主防災組織にさらにかかわっていただき、地区防災計画の作成などを進めていただくことが重要になると考えております。
 これまでは防災士の人数をふやすため、県として防災士養成研修を開催してきたところですが、今年度は知識の定着や向上、防災士同士の連携強化などを目的とした防災士スキルアップ研修も開催しており、名須川晋議員にも参加いただいたところでございます。
 今後もこのような取り組みを通して、防災士の皆様の実践力の向上を図り、自助、共助の精神に基づく地域防災力の強化を推進してまいります。
   〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤法之君) 化製場の畜産振興上の役割についてでありますが、化製場は、屠畜残渣などの畜産副産物を適正に処理し、有効活用できるよう飼料や肥料などの原料を生産する施設であり、畜産振興を図る上で不可欠な施設であります。
 化製場では、悪臭防止を図るための定期的なメンテナンスの実施が必要でありまして、例えば、この点検に伴い作業が中断する際、県では、畜産副産物の排出事業者に対し、化製場への搬入時期や搬入量を調整するよう働きかけを行うなど、化製場における適正な処理に向け支援してきたところです。
 また、今年度から、畜産副産物の排出事業者や、生産者団体との意見交換を定期的に行っているところであり、本県の化製場がその役割を果たしていくことができるよう、関係団体と連携しながら取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、岩手中部ブロックにおける併設型中高一貫教育校についてでありますが、現在、次期高校再編計画策定の土台となる、県立高等学校教育の在り方〜長期ビジョン〜について、最終案として取りまとめ、併設型中高一貫教育校の方向性を示しているところであります。
 岩手中部ブロックへの併設型中高一貫教育校の設置については、県立一関第一高等学校出身者の大学卒業後の進路状況や、医学部医学科、難関大学等への進学者における附属中学校から高校へ進学した生徒、いわゆる内進生の占める割合が多いことなどの成果、近年は、志願倍率が低調となっていることの課題などを踏まえるとともに、今後の中学校卒業予定者数の推移、中高一貫教育校を導入した際の地域の義務教育への影響等を十分に見極めた上で、慎重に検討する必要があると考えております。
 次に、特色ある教育施策についてでありますが、県教育委員会では、令和4年度から国の交付金を活用した、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業費により、各高校で策定したスクールポリシーに基づき、地域との協働による生徒の探究的な活動等を通じて、各高校の特色化、魅力化の取り組みを進めているところです。
 本年9月に開催した県立高等学校魅力化フォーラムでは、島根県の隠岐島前高校魅力化プロジェクトの創設や推進等にかかわった一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームの代表理事岩本悠氏から、地域、社会に開かれた魅力ある学校づくりのポイントとして、学校と地域の協働体制、生徒と社会をつなげるコーディネート人材、地元の高校生と県外からの留学生をつなげる地域みらい留学といった、高校魅力化と地域活性化の好循環の創出に関する基調講演をいただいたところです。各高校では高校魅力化等の取り組み推進の手がかりを得て、改めて、一層の魅力ある学校づくりに取り組む機運が醸成されたところです。
 県教育委員会といたしましては、引き続き、各高校が地域や企業、関係機関等と協働し、生徒が地域の魅力や課題等に触れながら探究的に学ぶことができる魅力ある学校づくりを進めてまいります。
 次に、メディアリテラシーに関する教育についてでありますが、メディアリテラシーは、メディアから得られた情報をさまざまな視点で分析、評価し、その真偽を正しく判断する能力や、さまざまな情報を効果的に表現する能力とされております。
 また、学習指導要領では、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力の一つと位置づけ、各学校において、児童生徒の発達段階に応じて、1人1台端末を活用しながら、教科横断的な視点で情報活用能力の育成に取り組んでいるところです。
 小中学校においては、国語科や社会科、中学校技術科、特別の教科道徳の授業などを通じて、メディアリテラシーや情報モラルに関する内容について指導するとともに、高等学校では、必履修科目の情報Iにおいて、情報に関するマナーや個人の果たす役割や責任などについて学び、望ましい情報社会のあり方について考える学習を行っています。
 さらに、関係機関と連携した講演会の実施や、収集した情報を分析、評価し、正確な情報に基づいた探究的な学習などにも取り組んでおります。
 今後も、このような取り組みを通して、メディアリテラシーや情報活用能力など、児童生徒に必要な資質、能力の育成を図ってまいります。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって名須川晋君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時16分 休憩
   
出席議員(47名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
10  番 高橋 こうすけ 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時37分 再開
〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。はぎの幸弘君。
   〔9番はぎの幸弘君登壇〕(拍手)

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