令和6年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録 |
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〇11番(村上貢一君) いわて県民クラブ・無所属の会の村上貢一です。今回、一般質問の機会を与えていただいた会派、同僚の皆様、議員の皆様に感謝申し上げます。通告のとおり順次質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
ます。 初めに、人口減少対策についてお伺いいたします。 先月5日、厚生労働省の人口動態統計によると、ことし上半期の出生数は、前年同期比6.3%減の32万9、998人、本県においては2、355人であり、初の出生数70万人割れの公算、価値観の多様化で未婚、晩婚傾向が進んだことに加え、新型コロナウイルス感染症で結婚や出産を控える人がふえたことが少子化に拍車をかけたと見られるとの報道がありました。 また、2023年の本県の出生数は5、432人で、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.16と全国39位、東北6県の中でも4番目という状況でもあります。 達増知事のマニフェストプラス39においても、我が国が直面する危機、歯どめがかからない人口減少と少子化として、人口減少、少子化に立ち向かい、希望郷いわて、その先へ。大攻勢をかける次の4年間と掲げており、この難局に立ち向かう手腕に期待をしますし、果たすべき使命は重大であります。 さて、知事は、さきの9月定例会において、我が会派の工藤剛議員の人口減少対策における質問に対して、県では人口減少対策を最優先課題とし、少子化対策として、具体的には第2子以降の3歳未満児の保育料無償化や在宅育児支援金の支給などの子育て支援策の実施、社会減対策については、U・Iターンの促進や若者や女性に魅力のある雇用、労働環境の整備などにも取り組んでおり、今後に向けては、アンコンシャスバイアスの解消や関係人口、交流人口の拡大など、ジェンダー平等の視点や社会経済情勢の変化、市町村等のニーズを踏まえた施策の充実、強化を図り、一人一人の希望する生き方を自由に選択できる岩手の実現を目指すと述べられました。 また、人口減少対策の推進には、県と市町村の連携が重要であると強調し、地域の実情に応じた実効性のある取り組みをオール岩手で推進していくと述べられました。 さらに、東京一極集中の是正に向けた取り組みについては、全国知事会を通じて東京一極集中の是正を国全体の課題として、行政、企業、国民が取り組む必要性と、国に対しても地方重視の政策を強く訴えていく方針を示されました。 それは、まさしく第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に基づいての取り組みであり、その戦略は、人口減少に歯どめをかけることが目的であります。岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、岩手とつながるの四本柱で戦略を展開しているわけでありますが、知事はこれまでの人口減少対策に係る本県の取り組みをどう総括、評価しておられるのでしょうか。 また、今後の戦略推進に当たり、新たに最優先で予算を集中的に投入する取り組み等のお考えがあるのでしょうか、御所見を伺います。 次に、県政懇談会のあり方についてお伺いいたします。 去る10月、岩手日報紙に本県出身学生7人、知事と県政懇談会、都内で初開催との記事が掲載されました。東京都で開催された県政懇談会いわて幸せ作戦会議では、達増知事と首都圏在住の岩手県出身学生7人が、東京で気づく、岩手のチカラをテーマに、人口減少対策や若者の県内就職促進について議論し、学生からは、リモートワーク環境の整備や交通費補助の必要性や県内の若者とのつながりを深めるための効果的な情報発信の重要性との意見も出たとのことであります。達増知事は、人口戦略を岩手にかかわる全ての人の人生戦略に対応させる必要性を述べ、いい論点がたくさんあり、大いに参考にしたいと語ったとの記事でありました。 知事が出席する県政懇談会は、いただいた資料によりますと、平成19年の知事就任以来、現在までで延べにして233回の開催であります。最多の年度は平成20年の就任2年目の31回で、岩手フロンティア懇談会、草の根地域訪問等々、直接県民から意見や提言を伺い、県民との協働による県政推進を図られたと推察いたしますが、ここ数年は10回程度であります。 時も変わり、現在の世界情勢では、地球規模の気候温暖化やウクライナ侵攻、AIを初めとする科学技術の進展、急激な人口減少社会など、予測が難しい時代になっています。予測ができないため、一つの正解がなく、多様性の中で納得解をどうやってみんなで生み出していくのかが問われる時代ではないでしょうか。 今こそ人口減少対策に立ち向かうべく、就任当時に立ち返り、より幅広く県民との意見を深めるために県政懇談会の充実、拡充を検討すべきと思いますが、今後の県政懇談会のあり方について、知事の御所見を伺います。 次に、学校給食費無償化についてお伺いいたします。 学校給食は教育の一環として実施され、食育の観点からも大変重要であり、児童生徒の心身の健全な発達に資するものであります。 また、社会全体で子育てを支援していくという考えのもと、子育て支援策として、全国で学校給食費無償化の動きが広がり、本年10月1日より、青森県は学校給食費無償化等子育て支援市町村交付金18億7、621万円余を計上し、全40市町村の無償化を始めました。報道によると、全県レベルでの無償化は全国初とのことであります。 一方、本県においては、現在、11市町村が無償化を実施し、19市町村が一部補助を行っている状況であり、それぞれの市町村の自主財源を投じての実施でありますが、今般の物価高騰、食材費の高騰は学校給食費無償化を実施している市町村を初め、未実施も含め対応に苦慮している現状にあります。 このような状況を踏まえ、これまで関連した意見書や前定例会においては、小中学校の学校給食費無償化を求める請願も採択されたところであり、本県全市町村での学校給食費無償化を進めるべきと思いますが、知事の御所見を伺います。 次に、農業振興についてお伺いいたします。 初めに、いわゆる令和の米騒動に関連して、備蓄米や安定供給についてお伺いいたします。 ことしの夏、お盆が明けたころより、本県においてもスーパー等の店頭から米がなくなり、需要と供給のミスマッチの状態になりました。国の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の第2条には、政府は米穀の需給及び価格の安定を図るため、米穀の供給が不足する事態に備えた備蓄の機動的な運営及び消費者が必要とする米穀の適正かつ円滑な流通の確保を図るとしておりますが、今回、政府は備蓄米の機動的な放出には至りませんでした。 私は、備蓄米は長期にわたる極端な供給不足に備えるための制度と認識しますし、市場機能をゆがめる運用があってはならないと思います。しかしながら、状況に応じての柔軟な対応等、その目的と仕組みを再考すべきとも思いますが、知事の御所見を伺います。 また一方で、ことし2024年産県産米の一等米比率は、10月31日現在の速報値で94.4%と全国トップで、県全体の作況指数は106となり、24年ぶりの良となる見通しとのことであります。 米売り場も通常の状態となり安堵はしたものの、新米の余りにも急激な値上がりは消費者の家計を脅かし、流通業者や技術者もその対応に苦慮している状況であります。県では、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律―食糧法がありながら需要に見合う供給量が確保できず、米の急激な値上がりという事態を招いた今回の米騒動をどう分析し、今後の米の安定供給に生かしていくのか、消費者が安心できる価格での供給体制をどう構築していくのか御所見を伺います。 次に、金色の風の生産戦略、販売戦略についてお伺いいたします。 先般、去る秋の日、一関市の金色の風を栽培している稲作農家を訪ね、金色の風の圃場を拝見しました。その広々とした圃場風景に、岩手県の農業、大生産地の恵み、まさしく金色の風を感じ取ることができました。その後、農業の現状を含め意見交換をさせていただきました。その中において、平成29年に岩手県のフラッグシップ米としてデビューした金色の風にかける思い、たくさんの消費者にもっと食べていただきたいという高い志とその意欲、登録農家の責任感と意気込みに深い感銘を覚えた次第でありました。 その金色の風は、全国に誇る最高級品種としての評価を獲得するため、取り組みの一環として生産から販売まで適正に管理し、作付経営体を登録することとされております。 〔議長退席、副議長着席〕 その登録状況は、デビューの平成29年産の作付面積は109ヘクタール、経営体数は94、平成30年産の作付面積は228ヘクタール、経営体数は219、令和元年産の作付面積は295ヘクタール、経営体数は180でありましたが、現在の令和6年産の作付面積は200ヘクタール、経営体数は87と減少の一途をたどっており、金色の風の存続に危機を感じざるを得ません。 また、金色の風は全量が全農の買い取りであり、価格は非公表とのことであります。一方で、ひとめぼれや銀河のしずく等の概算金は大幅に値上がりしている中、栽培マニュアルを厳守しながら生産している農家の御苦労に見合った価格となっているのか、実態はいかがでしょうか。 県では、生産や農家買い取り価格の状況をどう捉えているのか、また、このような状況下、高価格帯路線をうたっている金色の風の生産販売戦略に変化はあるのか。今後の方針についての御見解を伺います。 次に、圃場整備事業についてお伺いいたます。 本県の基幹的農業従事者数は、平成27年の5万9、000人から令和2年には4万4、000人と、5年間で1万5、000人減少しており、また、基幹的農業従事者の平均年齢は68.3歳から69歳と上昇し、高齢化が進行しています。 新聞報道によれば、令和6年11月6日に開催された国の食料・農業・農村政策審議会企画部会において、2020年に比べ2030年には米を含む土地利用型作物の経営体は33万経営体が減少し、また、耕作されなくなるおそれのある農地は74万ヘクタールと予測し、高齢化に伴い農業者が急減する中で、生産基盤が弱体化する厳しい見通しが示されました。 このような予測の中、本県の主力である米生産を持続させ、収益力の高い産地づくりを進めていくためには、担い手への農地集積と一体的に進める圃場整備とともに、生産コストの低減や高収益作物への転換に向けた水田の大区画化が急務と考えますが、令和3年度末時点の本県の30アール程度以上の区画整備済み面積の割合は53.8%、50アール以上の区画整備済み面積の割合は11.4%となっており、東北各県や東北地方全体の割合に比べ低い状況にあります。本県の区画整備済み面積の割合が低い状況にある原因と、区画整備済み面積の割合を向上させるため、県はどう取り組んでいくのか伺います。 また、圃場整備事業による水田の大区画化と並行して、スマート農業技術の導入も重要と考えますが、本県の導入状況と今後の導入促進推進に向けた取り組みについて伺います。 次に、温室効果ガス排出量の削減についてお伺いいたします。 先月11日、世界気象機関は、ことしの世界の平均気温は観測史上最も高く、2015年から2024年は観測記録のある175年間で最も暑い10年になるとの見通しを示しました。また、温室効果ガス、二酸化炭素の世界平均濃度は、2023年に420ppmで過去最高を更新し、WMО―世界気象機関のサウロ事務局長は、温暖化が進むごとに異常気象やリスクはふえる。早急に温室効果ガスを減らす必要があると各国に対策強化を呼びかけました。 本県においても、三陸沖が世界一の海水温上昇という事態に主要魚種の不漁等、水産業に深刻な影響が生じている上、線状降水帯の発生など気象災害も頻発、激甚化の様相が見られる状況となっています。 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画では、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で57%削減を目標としておりますが、さきの新聞報道によると、2021年度の温室効果ガス排出削減割合27%減で、目標の57%減削達成には道のりは遠いとのことであります。現在の温室効果ガス排出削減の進捗状況と課題、今後の目標達成に向けての取り組みについて伺います。 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてお伺いいたします。 経済産業省は、先般、再生可能エネルギーのうち、中小規模の水力発電や地熱発電の開発が地域経済の活性化につながるとして、新たな経済対策の一つとして、その支援策を検討していること、また、次世代技術を活用した地熱発電の実用化に向け、官民協議会を来年設置し、開発期間の短縮や発電規模の拡大といった課題を洗い出し、2030年までの事業化を目指すとともに、地熱開発の予算も拡充し、地熱資源量の有効活用につなげたいと考えているとの報道がありました。 本県は地域資源に恵まれ、特に風力や地熱は全国的にも賦存量に恵まれており、これら地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入を積極的に進め、市町村や事業者等への支援等を図っていくべきと考えますが、県の第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に掲げる2030年度の再生可能エネルギーによる電力自給率66%に向けての進捗状況と課題、今後の取り組みについて伺います。 次に、子宮頸がんのHPVワクチンについてお伺いいたします。 国内において子宮頸がんで亡くなる方は年間2、900人程度と報告されており、年代別の死亡率は、30代前半から年代が上がるにつれ高くなる傾向にあり、日本では25歳から40歳の女性のがんによる死亡の第2位は子宮頸がんによるものとのことです。この子宮頸がんを予防するためには、HPVワクチンの接種と定期的な子宮頸がん検診が有効な方法であり、また、両者を受けることにより子宮頸がんの早期発見、早期治療につながるものと認識しています。 厚生労働省によると、世界保健機関はHPVワクチンの接種を推奨しており、120カ国以上で公的な予防接種が行われ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの接種率は8割以上とのことです。 厚生労働省が2023年1月から2月に接種対象者と保護者に実施したHPVワクチンにおける理解度に関する調査によると、HPVワクチンについて、知っている、少し知っていると回答したのは58%、HPVワクチンのリスクについて十分な情報がなく、接種する、させるかどうか決められないについて、思うと回答したのは51%、HPVワクチンを接種すると報道で見たような健康被害が起きるのではないかと思っているについて、思うと回答したのは43%との結果となり、HPVワクチンの周知とともに、接種に対する不安感の払拭がまだまだ必要と思われる結果となっています。 日本での接種率は徐々に上昇中とのことですが、本県の接種状況はどのような状況でしょうか。また、HPVワクチンの接種への不安感を払拭し、接種率を高めるためには医療機関や教育機関との連携による接種への周知、啓発等も必要と考えますが、県の取り組みについて伺います。 次に、膵臓がん対策についてお伺いいたします。 過日、私に県民の方から手紙が届きました。一部を抜粋して紹介いたします。ことし7月にNHK、Eテレの地域ぐるみで挑む膵臓がん早期発見プロジェクトを視聴する機会があり、6年前に逝去された母校高校の恩師を思い出していました。御家族のお話では、成人検診で異常が見つかり、すぐに精密検査を受診しましたが、2週間後には帰らぬ人となってしまったとのことでした。病名は膵臓がんでした。確かに、この病気は発見が遅くなると手おくれになるケースが多いことはよく知られています。なぜ早期発見ができなかったのか、もっと早く医療機関に診てもらうことができなかったのかと今も悔やんでいるこんなときに、この番組を見る機会がありました。 番組では、広島県の尾道市で始まった尾道方式と呼ばれる膵臓がんの早期発見を目的とした全国的な取り組みや、早期発見の重要性等について紹介されていました。膵臓がんの早期発見を岩手県民も強く望んでいることでしょうとのお手紙でありました。 尾道方式は、かかりつけ医と地域の中核病院が協力して早期発見に取り組むことで生存率の改善を図っている事例ですが、本県の膵臓がん死亡者の状況はどうなっているのでしょうか。また、膵臓がんの早期発見への取り組み状況と課題について伺います。 次に、不登校対策についてお伺いいたします。 文部科学省が10月末に公表した令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、2023年度に全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒が過去最多の34万6、000人となり、11年連続で増加の状況です。本県の小、中、高校の児童生徒においても3、052人で、前年度比17.9%増で過去最多、小学校843人、中学校1、616人と過去最多となり、高校は593人でした。 現在、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、不登校などの未然防止、早期発見、適切な対応を推進するため、ICTを活用した教育相談体制の一層の充実や、関係機関と連携した教育機会の提供等により、児童生徒に寄り添った不登校対策を推進するとのことであり、各種施策に取り組んでいると承知しておりますが、現在の不登校児童生徒の増加実態をどのように捉え、また、その要因をどのように分析し、子供たちの学習する権利、機会を確保し、子供たちの社会的自立につなげていくのか、その御所見を伺います。 また、学校内外の機関等で専門的な相談、指導等を受けていない小中学校における不登校児童生徒が全国で約13万4、000人いるとのことでありますが、本県の相談、指導等を受けていない児童生徒の実態はいかがでしょうか。対象の児童生徒に対してのアウトリーチ支援等、その対応策について伺います。 次に、フリースクール等民間団体支援についてお伺いいたします。 先般、盛岡市内の民間のフリースクールを訪れ、お話を聞く機会がありました。そこの目指すものは、全ての子供たちが自分に価値を感じながら、笑顔で成長していける社会を目指し、自分らしさを大切にしながら、安心して学び育てるフリースクールとして、一人一人に寄り添った教育の普及にも取り組んでいるとのことでありました。 実際の教室では、生徒それぞれが自分なりの学習や個性を生かした活動に安心して取り組んでいるようで、教育機会の確保、学びの場として大きな役割を果たしていると実感した次第であります。 同様に、県内には17のフリースクール等民間団体があり、8月末時点で146人の児童生徒が利用したとのことであります。県内いずれのフリースクールも不登校という社会課題に高い使命感で取り組んでおりますが、共通しているのは、厳しい不安定な財政運営と伺っております。県のフリースクールへの課題認識と、財政支援を初めとした事業支援策への御所見を伺います。 また、不登校児童生徒を持った保護者は、学習機会を確保するための費用、学びの選択をするための費用等、教育的負担や子供を見守るための離職、仕事の時間を減らすなどにより貧困につながるおそれもあることから、保護者支援等も必要と考えますが、県の認識と御所見を伺います。 次に、闇バイト、特殊詐欺事件についてお伺いいたします。 最近、連日のように報道される闇バイト事件は、凶悪、悲惨な様相も見受けられ、県民の安心をも脅かしております。さらに、県内において、特殊詐欺事件、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺事件など、被害の報道も少なくありません。若者から高齢者の心情につけ込んだ卑劣な犯罪を断じて許すことはできません。 県内の闇バイト関連事件の発生状況や特殊詐欺、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の被害の状況を踏まえ、闇バイト、特殊詐欺犯罪等の被害撲滅への本部長の御決意を伺います。 最後に、犯罪被害者支援についてお伺いいたします。 県内における重要犯罪の認知件数は、令和2年は53件、令和3年は58件、令和4年は61件、令和5年は82件であり、増加傾向が見られ、いわて被害者支援センターにおける相談件数及び直接支援件数も増加傾向ということであります。 このような中、岩手県では犯罪被害者等支援条例が本年4月1日より施行されました。現在、条例に基づき岩手県犯罪被害者等支援審議会を設置し、具体の犯罪被害者等支援計画策定へ審議会を開催し、鋭意取り組んでいると承知しておりますが、その進捗状況、交わされている主な議論等をお示しください。 私は、県と市町村の責務、果たすべき役割を明確にするためにも、並行して、市町村の条例制定、また、県と市町村の連携した被害者への迅速な支援金制度の創設も必要と思いますが、御所見を伺います。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 村上貢一議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、人口減少対策についてでありますが、県では、これまで、第2期ふるさと振興総合戦略等に基づく施策を展開してきたところであり、自動車、半導体関連産業の一層の集積に伴う雇用の場の確保や移住、定住者の増加、保育所等の待機児童の減少など、岩手で働く、岩手で育てる環境の向上という成果に結びついたところであります。 また、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、人口減少対策に最優先で取り組んでおり、第2子以降の3歳未満児に対する保育料無償化や在宅育児支援金の支給など、全国トップレベルの子供子育て支援策や、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の整備等、一人一人の生きにくさを生きやすさに変えていく施策を推進しております。 一方、近年は、東京都の有効求人倍率が本県など地方を上回る状況下で、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの世界的な危機に相次いで見舞われ、日本全体の合計特殊出生率の低下や東京一極集中の再加速などが見られています。 こうしたことから、東京一極集中の是正や、安心して出産、子育てができる子供、子育てにやさしい社会に向けた取り組みなど国を挙げた対策が重要であり、日本創生のための将来世代応援知事同盟や全国知事会等において、本県も役割を果たしながら、国や他の都道府県と連携して取り組んでいるところであります。 今後に向けては、有配偶率の向上、女性の社会減対策、多様な雇用の創出、労働環境や所得の向上など、少子化対策、社会減対策の強化の三つの柱プラスワンの方向性を基本に、今年度から実施している小規模町村への伴走型支援など、地域の状況に応じた施策の充実、強化を図るとともに、少子化対策、社会減対策に共通する課題であるジェンダーギャップの解消に民間企業を初めさまざまな主体と連携して取り組んでまいります。 次に、県政懇談会についてでありますが、県政懇談会は、知事が直接、県民から意見、提言を聴取し、県政に反映させるとともに、県民の県政への参画と協働を推進することを目的に開催しているものであり、懇談会については、その時々の状況や課題を踏まえ、見直しを図りながら進めています。 今年度は、進学、就職期の若年層の県外転出が社会減の一つの要因であることを踏まえ、県内での開催に加え、村上貢一議員御紹介のとおり、初めて首都圏の大学に進学した本県出身の大学生を対象とした懇談会を東京都で開催し、貴重な意見、提言をいただいたところです。 また、県政懇談会以外でもさまざまな機会を捉えて知事と県民との直接的な意見交換を行っており、今年度は、県内各地域で実施している管内状況調査において、企業や団体の代表者や高校生と意見交換を行うなど、地域の実情や課題の把握に努めております。 県政懇談会などの場における県民との意見交換は、人口減少対策など県政課題の解決に向けた施策立案を行う上で大変重要なものであり、引き続き、効果的な運営を図るとともに、そこで出された意見や提言を全庁で共有し、県政への反映に努めてまいります。 次に、学校給食費無償化についてでありますが、学校給食費の無償化は、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われることに加え、長期的な視点で、切れ目なく行うことが重要と考えており、本年6月に国に対し学校給食費の無償化の実現について要望を行いました。 また、本年8月の全国知事会議において、私も副本部長を務める人口戦略対策本部が設置され、教育の無償化などの重要課題の解決に向け緊急宣言を決議するとともに、国全体として学校給食費の負担のあり方を抜本的に整理した上で、国の責任で財源を含め具体的な施策を示すよう、全国知事会としても国に申し入れたところです。 さらに、11月25日に開催された全国知事会議において、同様の提言を改めて決議したところであり、今後、国への要望活動を行う予定であります。 国においては、昨年度、こども未来戦略方針に従い学校給食の実態調査を行い、現在、課題を整理し、具体的方策の検討が進められているところであり、県としては、国の動きを踏まえながら全国知事会とも連携し、引き続き必要な働きかけを行ってまいります。 次に、備蓄米についてでありますが、国による米の備蓄は、不作などの生産量の減少によって、年間を通じて米の供給に不足が見込まれる場合に備えて行われており、国では、備蓄米の放出について、民間流通が基本となっている米の需給や価格に影響を与えるおそれがあるため、慎重に考えるべきという見解を示しています。 また、国が公表した資料によると、ことし9月末時点での米の民間在庫量は150万トンであり、全国の作況指数が98の、やや不良となった平成30年の同時期と同水準となっています。この際には備蓄米の放出は行われなかったところです。 民間在庫量が不足する状況となる前に備蓄米を放出した場合、供給が過剰となって米の価格が必要以上に低くなるリスクもあることから、備蓄米の取り扱いについては、作柄、在庫量、市場の状況、消費動向、価格、物価動向など、総合的な観点から慎重に判断していく必要があると考えております。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、子宮頸がんに係るHPVワクチンについてでありますが、本県の定期接種における初回接種率は、令和元年度末は3.2%であったところ、国の積極的勧奨が再開された令和4年度末は58.9%、令和5年度末では71.9%と向上し、全国平均の62.1%より高い状況となっております。 さらに、今年度は、過去に積極的勧奨を差し控えた時期に接種が受けられなかった方を対象としたキャッチアップ接種の最終年度であったことから、県、市町村、関係団体が連携し集中的に広報を行ったことにより、定期接種についても令和6年9月末時点で初回接種率が前年同期比で15.1%増となるなど、着実に接種率の向上が見られているところであります。 また、先日開催された国の厚生科学審議会におきまして、キャッチアップ接種については、今年度末までに1回以上接種をした方を対象に最大1年間公費負担の期間を延長する方針が示されたところでありますので、今後、国の通知が示され次第、市町村等と連携し、速やかに周知していきます。 今年度のHPVワクチン接種への機運の高まりを生かし、接種率のさらなる向上につなげるため、引き続き、岩手県医師会や教育委員会などの関係団体と連携し、ワクチンの有効性等について普及啓発を図ってまいります。 次に、膵臓がん対策についてでありますが、岩手県内のがんの年間死亡者数については、直近5年間で、男性は約2、500人、女性は約2、000人で推移しており、そのうち膵臓がんの死者数は男女とも200人程度で推移をしております。 また、がんの早期発見については、がん検診が一般的に有効な取り組みでありますが、膵臓がんについては検診での早期発見が困難であり、検診導入による死亡率の低下の報告もないことから、現時点では、厚生労働省や国立がんセンターにおいても、膵臓がん検診は推奨されていない状況となっております。 このため、県といたしましては、他県等で行われている膵臓がん対策の状況について、村上貢一議員から御紹介のあった事例も含めまして、引き続き情報収集するとともに、岩手県医師会や岩手医科大学等の専門医療機関とも情報共有しながら、より有効な膵臓がん対策の取り組みについて研究を進めてまいります。 〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕 〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、米の安定供給についてでありますが、国では、今般の端境期の米の需給動向について、8月の南海トラフ地震臨時情報等を受けた買い込み需要に供給が追いつかない状況が発生したこと、米の品薄に関する特別な情報発信や流通関係者への働きかけが、品薄状況が顕在化した後になったことなどを分析結果として公表しています。 また、今後の対応として、端境期前の6月から端境期である9月中旬までの集荷量、販売量、在庫量の調査頻度の向上や、流通実態に関する米穀店等への定期的なヒアリングの実施、消費者にわかりやすい情報発信などに取り組むこととしています。 県としては、国の分析結果を踏まえ、米の安定供給に向けた適時適切な情報発信とともに、米の価格安定に向け、安定収量の確保が重要と考えています。 このため、国が公表する米の需給動向に関する情報を活用し、県内消費者等に適時適切に発信するとともに、関係機関・団体と連携しながら、実需者ニーズに対応した作付推進や栽培管理の徹底等による安定収量の確保に取り組むほか、再生産に配慮した適正な価格形成への理解醸成について、国への要望等も含め、進めてまいります。 次に、金色の風についてでありますが、ことしは昨年と同様に暑い日が続いたものの、生産者の丁寧な栽培管理により、金色の風の一等米比率は、県平均を上回る96%と高い品質となっています。 買い取り価格については非公表とされていますが、全農岩手県本部からは、金色の風の生産者の意欲向上と、資材価格の高どまりに対応した再生産可能な価格帯になっていると伺っています。 また、生産、販売については、金色の風を取り扱っている首都圏の米穀専門店等から、価格を下げずにさらに付加価値を高めるべきといった声を複数いただいており、県としては、いわてのお米ブランド化生産・販売戦略に基づき、食味や品質にこだわった、金色の風〜雅〜や、減農薬等に関心を持つ消費者向けの特別栽培米の生産拡大に取り組みながら、県産米のフラッグシップとしての評価をさらに高めていきたいと考えています。 今後は、首都圏百貨店での金色の風を中心とした岩手フェアなどを行い、食味や品質にこだわる消費者の評価を高めるとともに、こうした評価を生産者に伝えていくことにより、その意欲向上を図り、生産拡大につなげていきます。 次に、圃場整備事業についてでありますが、本県の30アール区画程度以上の整備率が低い原因は、昭和30年ごろまでに10アール区画程度の水田整備が中心に行われ、その後、農業用水の安定確保に向け、国営かんがい排水事業等による大規模な基幹的農業水利施設の整備に重点的に取り組んできたことや、中山間地域の農地が多く、30アール以上の区画整備が難しかったことなどが挙げられます。 農業従事者の減少、高齢化が進行する中、地域からは圃場整備事業への要望が多く寄せられており、農作業の省力化や効率化など、担い手がスマート農業技術の導入等による生産性の高い農業に取り組むことが可能となるよう、農地の大区画化や汎用化など、基盤整備を着実に進めていくことが重要です。 このため、県では、国の補正予算を積極的に活用し、今年度にあっては、事業費を5年前に比べ約1.5倍の約120億円とするなど、圃場整備に大きく予算を配分しており、今後も基盤整備の着実な推進に向け、建設コストの縮減と予算のさらなる重点化を図るとともに、国に対し、十分な予算措置を繰り返し求めていきます。 また、こうした基盤整備と並行して、スマート農業技術の導入推進に向け、ロボット草刈り機に対応する法面勾配の緩傾斜化を35地区で、水位を自動制御する給水施設の設置を10地区で進めているほか、市町村等によるRTK基地局や自動給水施設の設置支援にも取り組んでいます。 今後は、基盤整備後の圃場における高収益作物の導入など、スマート農業技術を活用した取り組みをさらに進めることとしており、生産性、収益性の高い農業の実現に向け、地域のニーズに応じた基盤整備が早期に進むよう取り組んでまいります。 〔環境生活部長大畑光宏君登壇〕 〇環境生活部長(大畑光宏君) まず、温室効果ガス排出量の削減についてでありますが、2021年度の温室効果ガス排出量は1、043万8、000トンで、基準年である2013年度と比較し、399万3、000トン減少しており、排出削減割合は27.7%となっています。 2030年度の削減目標の達成、さらには、2050年度の温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けては、引き続き、あらゆる分野で県民や事業者、市町村等と連携、協働しながら取り組んでいく必要があります。 県では、県内101の機関、団体が参画する温暖化防止いわて県民会議を中核として、県民、関係機関、団体、行政が一体となり、家庭、産業、業務、運輸の各部門において、省エネルギー化、再生可能エネルギーの導入促進、吸収源対策などの多様な手法による地球温暖化対策の推進などに取り組んでいます。 また、県の支援策として、事業者への省エネルギー設備や太陽光発電設備の導入支援、バス事業者等への次世代自動車の導入支援、省エネ性能にすぐれた住宅建築等への支援などを実施するとともに、県の率先行動として県有施設へのLED照明や太陽光発電設備の導入など、県有施設等の脱炭素化を進めています。 今後とも、市町村を初めあらゆる主体と連携し、こうした取り組みを展開していくなど、オール岩手で温室効果ガスの排出削減に取り組んでまいります。 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてでありますが、令和5年度の再生可能エネルギーによる電力自給率は、新たな風力発電施設や地熱発電施設などの稼働により、前年度から4.7ポイント上昇し、45.7%となったところであり、確実な目標達成に向けて、風力や地熱、太陽光、バイオマスなど、地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでいく必要があります。 特に、地熱は推定利用可能量が北海道に次いで全国2位と高いポテンシャルを有し、発電の安定性にもすぐれてはいるものの、施設整備には、地熱蒸気の効率的かつ確実な掘削や多額の開発費用などが課題となっているところであります。 国では、地熱の有望地域における地表調査や掘削調査への支援の拡充なども検討しながら、地熱発電導入量の拡大を目指しており、県としても、こうした国の動きのほか、技術開発や開発事業者の動向なども注視しながら、市町村と連携して導入促進を図ってまいります。 また、風力発電や太陽光発電などの導入に当たりましては、適正立地による環境との調和が重要と認識しており、今後、市町村と再エネ促進区域の設定に向けた意見交換等を進めていく考えです。引き続き、地域の特性を生かした再生可能エネルギーのさらなる導入が図られるよう、取り組んでまいります。 〔復興防災部長福田直君登壇〕 〇復興防災部長(福田直君) 犯罪被害者等支援についてでありますが、県民の安全で安心な暮らしを守るためには、自然災害や感染症のような危機事象はもちろん、日常生活に潜む交通事故や犯罪など、あらゆるリスクに包括的に対応する必要がございます。 本県では、ことし4月から施行している犯罪被害者等支援条例を踏まえ、新たに策定する支援計画の内容について、有識者等で構成する審議会の場で議論いただいてまいりました。 審議会では、主に、犯罪被害者等支援コーディネーターを設置すべきこと、見舞金制度や日常生活支援の仕組みを整えるべきこと、県に加えて市町村も条例を制定すべきことなどの意見をいただいたところです。 県としては、今年度中に計画を策定した上で、来年度以降、順次支援体制を整えるほか、見舞金制度については国に必要な要望を行うとともに、市町村に対しては具体的な支援メニューのリストを提示するなどして、市町村の条例制定に向けた動きを支援してまいりたいと考えております。 〔教育長佐藤一男君登壇〕 〇教育長(佐藤一男君) まず、不登校対策についてでありますが、先般公表された文部科学省の令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によれば、本県の不登校児童生徒数は小、中、高合わせて3、052人で、令和4年度より464人増加し過去最多となっており、近年、全国と同様、増加傾向にあります。 また、本県の不登校児童生徒のうち、学校内外の機関等で専門的な相談、指導を受けていない児童生徒は、公立小中学校が791人で32.4%、公立高等学校が120人で33.1%となっております。 不登校の背景や要因は多岐にわたり、個々の児童生徒の状況も多様でありますが、文部科学省では、児童生徒の休養の必要性を明示した、義務教育の段階における普通教育に相当する機会の確保等に関する法律の趣旨の浸透等による保護者の学校に対する意識の変化、コロナ禍の影響による登校意欲の低下などが考えられるなどとの見解を示しており、本県におきましても同様の認識であります。 不登校児童生徒への支援については、不登校となった要因を的確に把握し、学校関係者や家庭、関係機関が情報共有し、組織的、計画的に、個々の児童生徒に応じたきめ細かな支援策を策定することや、社会的自立へ向けた支援をすることが重要です。 このため県教育委員会では、アウトリーチ型支援の核となるエリア型スクールソーシャルワーカーを令和5年度から全ての教育事務所に配置し、家庭への訪問支援、関係機関との連携強化等を通じ、児童生徒の状況に応じたきめ細かな支援に努めているところです。 引き続き、これらの取り組みに加え、市町村の教育支援センターにおける教育相談やアウトリーチ型支援の促進を図るため、市町村が行う教育支援センターの設置や機能強化の支援に努めてまいります。 次に、フリースクール等民間団体支援についてでありますが、フリースクールは、子供たちの居場所としての役割を担うほか、学習支援や体験活動を行うなど、児童生徒の状況等に合わせた取り組みを行っており、その運営形態や運営状況、規模、活動内容等はさまざまであると承知しております。 フリースクールなどの学校外施設については、保護者等に対して、その支援情報の提供が不足しているとの指摘がなされているところであり、文部科学省が策定した、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、いわゆるCOCOLOプランにおいても、早期支援のためにフリースクールなどに関する適切な情報や支援が受けられるようにすることが重要であるとされております。 県教育委員会では、フリースクール等民間団体等との連携を図るため、令和3年度から不登校児童生徒支援連絡会議を設置し、不登校児童生徒の支援に係る課題等についての意見交換や情報共有を行い、会議の内容について各学校に情報提供するとともに、県のホームページに掲載し、情報発信しているところです。 また、今年度は、この支援連絡会議が主催となり、7月と11月に不登校支援フォーラム2024を開催し、フリースクールの関係者や専門家によるパネルディスカッション、不登校の経験者や保護者による体験談の発表を行うなど情報発信や啓発に取り組んでいるところです。 引き続き、児童生徒の学びの場や居場所の確保のため、フリースクール等民間団体等との連携を強化しながら、児童生徒や保護者の一層の支援に取り組んでまいります。 〔警察本部長増田武志君登壇〕 〇警察本部長(増田武志君) 闇バイト関連事件などの撲滅への決意についてでありますが、いわゆる闇バイトとは、犯罪実行者募集情報でありますが、これは、いまだ概念的な言葉であり、また、警察統計上も、現段階では明確な区分がなされていないことから、一律に件数をお示しすることは困難ではございますが、本県においては、関東地方を中心に発生しているような凶悪な強盗や殺人事件の発生は、現時点では把握されておりません。 一方、特殊詐欺につきましては、令和6年10月末現在で、認知件数が37件、被害額は約3億円となっており、過去5年間で最悪の被害となっているところでございます。 また、SNS型投資、ロマンス詐欺につきましては、令和6年10月末現在で、認知件数が42件、被害額は3億円を超えている状況で、極めて憂慮すべき事態と認識をしております。 こうした状況は、関東地方を中心とした凶悪な強盗等事件の相次ぐ発生もあり、県民の体感治安の低下も懸念されるところ、県警察におきましては、県民の不安を払拭するためにも、一つ目に、被害防止対策の周知徹底、二つ目に、犯罪に加担させないための対策、そして三つ目に、防犯ボランティア等とも連携をした見せる警戒活動の強化の三つを柱とした抑止対策と、これら犯罪を敢行する組織の壊滅に向けた、戦略的な取り締まりのための体制強化、都道府県の枠を超えた広域的な捜査連携の強化、そして、特殊詐欺等に係る犯罪収益関連犯罪の積極的な取り締まりなどの検挙活動を、この種犯罪に係る対策の両輪として強力に推進するなど、治安の維持に向けた取り組みを全力で進めてまいります。 〇11番(村上貢一君) るる丁寧な御説明、ありがとうございました。警察本部長には、県民の命と財産をしっかりと守っていただきたいと切に願うものであります。これから年末年始も迎えます。本当に安心して年を越せるように頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 再質問を何点かさせていただきます。 まず、人口減少対策について、知事からるる説明をいただきました。その中で、2030年度までに急激に今の20歳代といいますか若者が減るというところで、2030年代までに何とか少子化をとめなければいけないというところが最大の肝だと思っております。国でも昨年12月に、今後3年間、集中的に取り組みを行うこども未来戦略加速化プランを閣議決定いたしました。達増知事におかれましても、マニフェストプラス39を基本にして、岩手県の最優先課題として人口減少対策をとにかくこれから3年間、任期の間、集中的に取り組むという気概で取り組んで、いろいろなものをブラッシュアップして邁進していただきたいと思います。 また一方では、岩手県中期財政見通しを見ると、2024年度以降、79億円から190億円の歳入不足が生じるという試算もされており、全額を財政調整基金の取り崩しで賄うと2027年度にも枯渇すると示されております。先ほど申し上げましたように、少子化対策を最優先で取り組むには、やはり安定的な財源の確保が必要だと思います。安定的な財源の確保について、どう思うのか伺います。 また、我が会派の佐々木努議員は、多年にわたって(仮称)少子化対策県民税というものを提言させていただいております。私もそれには深く賛同するものであります。何とかこの辺を検討して、導入を図られるようなことをお願いするわけでございますが、御所見をお伺いいたします。 〇知事(達増拓也君) ここ数年、3年とか、ここしばらくが人口減少対策にとって決定的な重要な期間であるというのは、そのとおりだと思います。特に、コロナ禍で、これは全国的でありますけれども、婚姻数、出生数、数と率と両方減っていて、岩手県でもそうでありまして、これをコロナ禍による経済活動、社会活動の萎縮効果といいますか、そうであるならば、いち早くこれを元に戻さなければなりませんし、さらに、コロナ禍前よりも上昇させていくような支援が必要な時期だと思います。 財源の関係ではありますけれども、国としてこども未来戦略加速化プランもつくられ、また、国の場合でありますと、国債、借金をする場合も、県債、地方の債権に比べ信用度がそれこそ次元が違いますので、基本的には、さまざまな無償化、現金給付、全国的に多くの財源を必要とするような子育て支援政策や人口減少対策は国が行い、きめ細かい対策を行うような部分については、県と市町村が連携しながら、地方が行っていくという役割分担が、現実的かつ効果的と思います。 岩手県といたしましては、市町村、特に人口の少ない町村は、既にさまざまな無償化支援を行っているにもかかわらず、人口減少が進んでいるというところもある一方で、野田村のように、人口の社会増を実現しているところもありますので、そういった好事例を人口の少ない町村にきめ細かく広げていくということにますます力を入れていきたいと考えております。 それから、財源を確保するための県独自の少子化対策県民税のような負担増に関しましては、むしろ若い世代の可処分所得の減少ということが、婚姻数、出生数の減少につながっているのではないかという指摘もあり、いわゆる手取りをふやすことが今、求められているのではないかというところもあります。 他方、手取りをふやすことについても、税と社会保障全体の中で、負担できるところには負担をしてもらい、財源を確保していくこともまた必要でありましょうから、そのような全体の中で、負担を減らさなければならない対象の負担増にならないようにしつつ、少子化対策県民税というものが可能であるか検討していきたいと思います。 〇11番(村上貢一君) 可処分所得について、例えば、月に80円だとすると年に1、000円ぐらいという考えもございますので、ぜひ達増知事のリーダーシップのもとに進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。 続いて、金色の風の生産戦略、販売戦略について、再質問させていただきます。 まずもって、ことしの東北農政局の発表によりますと、作況指数が106ということで、岩手県の主食用作付面積は4万3、100ヘクタール、予想収穫量は24万5、700トン、10アール当たりの収量は前年より26キログラム増の570キログラムを見込むという発表もございました。そういう中で、金色の風は200ヘクタールですから、4万3、100ヘクタールで割り返すと0.46%。そして、予想収量が1ヘクタールで約4.8トンできるとすれば、960トンで1、000トンを割るような状況で、割合で言うと0.39%でございます。フラッグシップ米という位置づけのある中で、作付面積が0.46%しかないという状況は、私は大変な状況だと思います。 そういう中で、金色の風の目指す作付面積をどういうふうに県では考えているのか。去年より50ヘクタール減って今は200ヘクタールです。現在、12月13日金曜日まで、令和7年産の金色の風の作付経営体の募集期間です。来年もこの様子だと200ヘクタールを割り込むなどということになったら、本当に大変なことになります。現在、県としてはどのように農家へ働きかけ等を行っているのか。もしわかれば、現在の令和7年産の見込み数量などを教えていただきたいと思います。 また、先ほど全農の買い取り価格について、非公表であるけれども、農家が再生可能な買い取り価格であるということでありましたけれども、しかしながら、県としては、作付面積が増加しない要因をどのように考えているのでしょうか。買い取り価格が、現在、ひとめぼれも、銀河のしずくも、概算金でいうと大幅に値上がりしております。そういう中で、実は余り差がないのではないか。栽培マニュアルがあって栽培も難しい金色の風は単収もなかなか上がらない。わりと栽培しやすく単収も上がるひとめぼれ。今の価格だと、金色の風を作付する優位性がなくなっている状況が作付がふえない一つの要因であると思います。 また、現在、金色の風の改良に取り組んでいると思います。つくりやすい、倒伏しづらい改良への取り組みの状況もお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 金色の風についての御質問…… 〇副議長(飯澤匡君) 大きい声でお願いします。 〇農林水産部長(佐藤法之君)(続) 金色の風についての御質問をいただきました。 まず、金色の風の生産量という部分についてでございますが、こちらは6月定例会のときに村上貢一議員からも質問がございましたとおり、今のところは250ヘクタールを維持していくところをまず目標としているところでございます。今年度につきましては、これを下回る200ヘクタールとなったわけでございますけれども、今、御指摘もございましたとおり、金色の風は、倒伏しやすいとか、収量が上がりにくいとか、こういった課題がありますので、ある程度生産者が限定されてくる。つまり、高い栽培管理技術を要しますので、こういった部分で面積はなかなか上がってこないところがあると思います。しかしながら、金色の風の面積につきましては、ぜひ維持するような方向を目指して取り組んでいきたいというのがまず一つでございます。 それから、来年度の目標数字につきましては、未定というところでございますけれども、今、お話し申し上げた目標に向かって、全農等々、また、生産者の声も聞きながら、面積の部分についての目標を達成できるように取り組んでいきたいというところでございます。 それから、金色の風は、生産量だけがすぐ上がってくる状況ではないのだと思っています。かといって、量がありませんので、消費の部分についても量で勝負するような取り組みもできませんので、先ほど答弁申し上げましたとおり、まず消費者評価を高めていく。評価を高めていったことを生産サイドにお伝えしながら、生産の拡大につなげていくという循環をつくっていきたいというのが今の考え方、方針でございます。 今の置かれている現状としましては、金色の風は、難しいところもございますけれども、生産と販売の部分を両輪としながら、取り組みを前に進めていきたいと考えているところでございます。 〇副議長(飯澤匡君) 農林水産部長、品種の改良計画について、あるかどうか答弁してください。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 最後に、品種の改良計画でございますけれども、県としましては、昨今の高温耐性の部分に関しましての品種改良を岩手県農業研究センターで取り組みを進めているところでございます。 金色の風の品種改良という部分につきましては、高温耐性の取り組みを進めていく中で、倒伏しやすいとか収量が上がりにくいといった部分の改善に取り組んでいきたいと考えているところでございまして、今の時点でどこまでということは申し上げられない状況にございます。 〇11番(村上貢一君) ありがとうございます。私は明確な目標を持って進まないと、今月13日で登録経営体の募集が締め切りになります。そういう中で、250ヘクタールに200ヘクタールにことし減ったというのは大変なことです。50ヘクタール減るということは240トン減るわけですから、販売しよう、拡大しようといっても、いや、実はもう物がないのですということになりかねないと思います。物がないと販売にはつながりません。必ず来年は250ヘクタールに戻すような気概がないといけないと思います。 そのためには、私の一つの案としては、例えば3年間なら3年間、農家と複数年契約をして、そして、そのインセンティブは、銀河のしずくなり、金色の風の概算価格より幾らか高い、最低価格保証のようなものが金色の風にはある。そうすると、農家も、それでは金色の風をつくろうではないかというところにつながっていくのではないかと思うのですが、今のままだと農家の責任感というか、県南地域の農家の思いの中で甘えているような気がするのです。県としてもしっかりと農家の思いをくむという姿勢が作付をふやして、また、作付がふえることによって販売にもつながっていく。 あとは、認知度を上げるために、山形県のつや姫は、宮城県、島根県、大分県、長崎県、宮崎県など他県に種もみを出しました。県の奨励品種とすることを条件に、県外に出すことによって全国の認知度を上げたという事例もあります。つや姫は、その前に山形県でつくったはえぬきが12年間も庄内地方なり内陸地方で特Aのランキングを取り、魚沼産のこしひかりと同等な味だと言われつつ低価格になったという同じ轍を踏まないために、他県に出して認知度を上げた。そのような方策で、今や全国区で認知度も80%ぐらいあるようになりました。 フラッグシップ米としての金色の風も、これからあと2年で10年を迎えるわけですから、200ヘクタールなどと言っているようでは、どこがフラッグシップ米なのだというところもあります。しっかりと今後、あと2年、目指すのは食味ランキングの条件であります1、000ヘクタールだと思います。同じ時期の、平成29年にデビューした新潟県の新之助、宮城県のだて正夢、福島県の里山のつぶは、みんなどこも順調に作付をふやしていますし、新潟県の新之助は、今、5、000ヘクタールぐらい行っております。そのような状況でありますから、作付面積が0.46%で200ヘクタールでは余りにも寂し過ぎますので、ぜひその辺、これからの金色の風についてのあり方を含めまして、最後に農林水産部長に聞いて終わります。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 今、村上貢一議員から、複数年での契約を締結する、あるいは、つや姫の取り組みとして、他県にも出したことで認知度が向上してきたといった事例の御紹介をいただきました。こういった点について、県としましても、しっかり参考とさせていただきながら、今後の金色の風の取り組みを進めていきたいと思います。 先ほど答弁しましたとおり、金色の風は、銀河のしずくと並んでのフラッグシップ米として、この取り組みを目指していくのだというところはしっかりと持った上で、高い栽培管理技術を有して生産に取り組んでいる生産者の皆様の期待にも応えられるように、今後も取り組みを進めてまいります。 〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって村上貢一君の一般質問を終わります。 〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。 午後4時15分 休憩 出席議員(47名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(1名) 10 番 高橋 こうすけ 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後4時37分 再開 〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 〇副議長(飯澤匡君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。 〇副議長(飯澤匡君) 日程第1、一般質問を継続いたします。五日市王君。 〔43番五日市王君登壇〕(拍手) |
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