令和6年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(城内愛彦君) 自由民主党の城内愛彦です。質問の機会をいただき感謝申し上げます。
 ことし1月1日に発生した能登半島地震発災から間もなく1年がたとうとしています。いまだにその復旧の出口が見えないでいる被災者の皆様に改めてお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い完全復旧を願うものであります。
 それでは、当局の明快な答弁を期待し、質問に入ります。
 1問目は水産業の振興であります。
 これまでも質問の機会をいただくたびに本県の水産業の振興について取り上げてきました。私は東日本大震災津波発災後の9月に議席をいただき、沿岸部の基幹産業である水産業の一日も早い復旧、復興について議論を重ねてきました。そのスピード感は、現地、現場とのずれを感じ、その点についても当局に訴えてきたところであります。そのおくれの影響は少なからずあったと言わざるを得ません。
 あわせて、我が県における主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの不漁が追い打ちをかけています。それに伴い漁家も減少し、漁協の経営も圧迫しています。まさにこれからの沿岸漁業は、本格的につくり育てる漁業へと大転換が迫られています。
 県内ではサケの不漁に伴い、サケ、マス類の海面養殖が盛んに行われだしました。その状況と課題、展望、県の果たす役割について、知事にお伺いいたします。
 次に、漁協の経営状況について伺います。
 近年、漁家の高齢化に伴う担い手不足や漁獲の不振などから本県の水産業は厳しい状況にあり、漁協の経営を圧迫しています。サーモンの養殖や定置網の経営なども漁協の収入源の一つであります。
 そのような中にあって、ショッキングな事案が新聞報道されました。8月中旬の台風第5号災害以降、本県の定置網に急潮被害という見出しでした。またかと思ってしまったのは私だけではないと思います。漁家を支える漁協に与えるダメージは大きいものがあります。県内の水産関係、漁港施設等の被害状況と復旧の見通し、漁協の経営に与える影響と県の果たす役割について伺います。
 以下は質問席より行います。
   〔34番城内愛彦君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 城内愛彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 サケ、マス類の海面養殖についてでありますが、主要魚種の水揚げが大幅に減少する中、安定的な収益の確保に向け、サケ、マス類の海面養殖が県内9地区において行われており、今年度の生産実績は2、000トンを超えるなど着実に拡大しています。
 今後のさらなる生産量の拡大に向けては、養殖用種苗の確保が喫緊の課題であることから、県では、養殖用ギンザケの種卵の量産化を実現し、令和5年度から販売を開始したほか、県内19カ所のサケふ化場のうち7カ所において、施設を有効活用したサケ、マス類の海面養殖用種苗の生産を推進するなど、漁協が行う種苗生産体制の構築を支援しています。
 国の研究機関の報告によると、サケ、マス類の国内消費のうち60%は輸入に頼っており、国内での養殖生産の拡大が期待されていることから、静穏域を多く有する本県の強みを生かしたサケ、マス類の海面養殖のさらなる拡大に取り組む好機と捉えています。
 このため、県ではさらなる生産拡大に向け、ICTを活用した養殖用種苗の効率的な生産の実証など、研究開発を進めるほか、県産サーモンの知名度向上や消費拡大に向け、県内の量販店、飲食店と連携した、いわて県産サーモンフェアの開催や新商品の開発などに取り組んでいます。
 今後も、サケ、マス類の海面養殖が拡大していくよう、漁業者や関係団体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、農林水産部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤法之君) 水産関係の被害状況等と漁協経営についてでありますが、11月末現在、定置網では14カ統の被害のうち9カ統、養殖施設では30台の被害のうち24台が復旧済みであり、漁港施設では流木等の漂着被害があった37漁港全てで撤去が完了しており、早期復旧に向けた取り組みが進められています。
 また、各漁協では、急潮等の災害による漁具の損失や漁獲金額の減少を補填する漁業共済制度も活用して復旧を進めており、直ちに漁協経営に支障を来すものではないと伺っています。
 県としては、水産振興の中核的な役割を担っている漁協の経営基盤の強化に向けた取り組みを支援していくこととしており、岩手県漁業協同組合連合会等と連携し、急潮や新たな魚種に対応した定置網の導入、サケ、マス類の海面養殖等の新たな取り組みなどを盛り込んだ経営改善計画の策定を指導するほか、経営基盤の強化に向けた国の金融支援事業の活用を促すなど、今後も漁協の経営安定と強化を支援していきます。
〇34番(城内愛彦君) この急潮被害については、今後、頻繁に起こる可能性がありますので、ぜひ県は、被害を未然に防ぎ、定置漁業が継続できるような仕組みづくりにシフトするべきではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 急潮被害といいますか、急潮の情報というところで申し上げますと、県の水産技術センターで急潮情報を発出しているのですけれども、昨年度の実績3回に対しまして、今年度は14回情報を発している状況で、急潮についての対応は必要に迫られているところがあると思っております。こういったきめ細かな情報の発信とともに、被害に遭った場合には、さまざま支援制度、国の事業、県の事業等も活用しながら復旧を進めていきたいと考えております。
〇34番(城内愛彦君) ぜひよろしくお願いします。
 次に、水産加工業への支援について伺います。
 東日本大震災津波後に復旧した冷蔵倉庫に魚が入らない状況が続いています。そのような問題提起をした際に、内陸部の方々に利用してもらえないかと質問した後、早々に県では、水産加工業連携新活動促進事業を立ち上げていただきました。その事業の状況について伺います。
〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 今年度新たに創設した水産加工業連携新活動促進事業費については、5月に公募を開始し、これまで5事業を採択しているところです。また、この5事業の中には、内陸地域で生産された、例えば、リンゴやブドウの皮など水産加工業者の冷凍設備を活用して瞬間凍結した上で粉状に加工することで、香りにフォーカスした食材として活用する事例や、さらには、野菜など冷蔵設備を活用して保存し、水産加工業者が大手小売事業者のニーズに応えた新商品の開発、製造に取り組むものなどが含まれております。
 この事業の公募期間は12月25日までとなっており、これら5事業以外にも活用したいといった相談を受けているところです。
 引き続き、厳しい環境変化に置かれている水産加工業者の経営の維持、発展に向け、国などが行う支援策とも連動しながら、適時適切な支援を行ってまいります。
〇34番(城内愛彦君) すばらしい事業だと私は評価しておりますので、ぜひ今後も継続して事業を展開してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 来年度も継続して実施ということにつきましては、今現在、関係部局と調整段階ですので、はっきりしたことは答弁できないところでございますけれども、こういう厳しい経営環境に置かれている水産加工業者の経営の維持、発展に向けた支援はとても大切なことだと思っておりますので、引き続き支援を行うということを考えてまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひよろしくお願いします。
 次に、生産、加工、流通が一体となった仕組みづくりについて伺います。
 これまでもたびたび提案してきましたが、今、水産業は大きな転換期にあると感じています。海洋環境の変化に伴う水揚げされる魚種の変化や魚家の高齢化、後継者不足といった大きな問題に直面しています。今、漁業を持続可能な産業にするためにも、将来に視点を置いた行動を起こすべきです。だからこそ、生産、加工、流通を一体にした会議を持つべきであり、その延長線上にこそ、今のピンチをチャンスに変える鍵があると考えるからであります。時間的余裕はそう多くはありません。県の強いリーダーシップを期待します。水産会議のような新たな仕組みづくりについて、検討の状況はどのようになっているのでしょうか、知事にお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県では、水産業リボーン宣言に基づき、サケ資源の回復とともに、ウニの畜養やサケ、マス類の海面養殖などを推進し、今年度、ウニの畜養は15漁協で計画され、サケ、マス類の海面養殖の生産実績は2、000トンを超えるなど、取り組みが着実に広がっております。
 また、水揚げが増加しているマイワシやブリ等について、加工原料として活用するためのセミナー開催や、新たな販路、物流モデルの構築に取り組んでいますが、一層の利用拡大に向けては、生産分野と加工、流通分野との連携をさらに深めていくことが重要です。
 このため、県では、令和7年1月に県漁業協同組合連合会や県水産加工業協同組合連合会などの関係機関、団体とともに会議を設置する方向で調整中です。その会議では、取り組み状況や課題を共有するとともに、サケ、マス類の海面養殖のさらなる振興策など、生産分野と加工、流通分野が一体となった取り組みについて協議することとしております。
 こうした取り組みを通じて、沿岸地域の基幹産業である水産業が持続的に発展するよう取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) 前向きな答弁をいただき、ありがとうございます。ぜひそういう連携を強化していっていただきたいと思います。
 質問の2点目は、農林業の振興についてであります。
 初めに、沿岸部の農業振興について伺います。
 近年、沿岸部の遊休農地の拡大を顕著に感じます。遊休農地の現状、後継者や集落営農の状況はどのようになっているでしょうか。震災前は多くの商店があり、高齢になっても地域で安心して暮らしができる仕組みがあり、その中に宮古市魚菜市場があり、宮古青果市場がありました。宮古市はもとより、近隣の市町村の経済を牽引したといっても過言ではありません。東日本大震災津波により沿岸部の多くの商店が廃業しました。その後、魚菜市場に出品する方々の数も減り、青果市場も閉場してしまいました。
 このような負の連鎖が続いている中で農家の高齢化が進み、農地の遊休化、後継者の不足に拍車がかかっています。こうした状況を踏まえ、今後、どのように沿岸部の農業振興に取り組んでいくか伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 沿岸地域では、急勾配、農地分散など不利な生産条件の中で地域農業の核となる経営体のほか、小規模兼業農家など多様な生産者が参画し、農業生産や地域活動の活性化などを通じて、活力ある農業、農村を実現していくことが重要です。
 このため、県では、地域農業の核となる経営体の継続的な確保、育成に向け、新規就農者への経営開始資金等の交付、中小企業診断士など専門家の派遣、集落営農組織に対する農業機械の導入支援等に取り組むほか、沿岸地域の気象特性を生かしたブロッコリー、ピーマンなどの導入支援や、トマトなどのハウス団地の整備、中山間地域等直接支払制度を活用した農業生産活動や農地の保全活動への支援などを進めています。
 今後も、担い手の経営規模の拡大と多角化等の取り組みへの支援や小規模兼業農家も参画した産地づくりを進め、沿岸地域の農業者の所得向上と農業、農村の活性化に取り組んでいきます。
〇34番(城内愛彦君) 沿岸部で今、ブロッコリーの産地化が始まったと言っても過言ではないと思っていますが、ぜひやる気のある若い方々の支援をしっかりとやっていって、経営が成り立つ仕組みづくりをお願いしたいと思います。
 先ほども冷蔵庫の活用と言いましたけれども、沿岸部ではブロッコリーの出荷に必要な発泡スチロールや氷が手に入り、そういう環境も後押ししているようでありますので、複合的な仕組みがあるのだということも調べつつ、沿岸部に合った生産物を強固にできるようにお願いしたいと思います。
 我が会派で毎年行う市町村要望調査において、産業動物臨床獣医師の不足を沿岸部から要望いただき、県に届けてきたところですが、畜産農家にとって切実な課題であり、かけがえのない財産を失うほどつらいものはないと訴えられてきたところであります。
 産業動物獣医師の不足について、現状と今後の改善策について伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 産業動物臨床獣医師についてでありますが、県農業共済組合は、令和4年4月から宮古地域を、令和6年4月から釜石・大槌地域、気仙地域、久慈地域を家畜診療対象外としたところです。現在、家畜診療対象外となった地域全てで県農業共済組合のかわりに家畜診療を引き受ける開業獣医師が確保されるなど、安定的に獣医療が提供できる体制が構築されていると承知しています。
 今後は、開業獣医師の高齢化等を踏まえた新たな獣医師の確保が重要と考えており、県では獣医学生に対する就学資金の貸し付けなどによる産業動物獣医師の確保のほか、広域振興局が主体となり地元の市町村や農業協同組合等と検討を重ねながら、各地域の実情に応じた獣医療の持続的な提供に取り組んでいきます。
 今年度からは、新たに県獣医師会と今後の獣医療提供体制のあり方について意見交換を始めておりまして、関係機関、団体等の意見を丁寧に聞きながら検討を進めてまいります。
〇34番(城内愛彦君) 畜産業も沿岸部にとっては主要な産業であります。そういったことをしっかりと県でも捉えていらっしゃると思いますし、望まれる支援体制を速やかに構築してほしいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、受けた要望の中で特筆すべきは、農産物に対する鳥獣被害対策であります。農家や被害を受けた方々は、その被害報告に煩雑さを感じ、泣き寝入りをしている方々もあるようですが、被害報告書を簡素化し、真の被害状況を確実に把握し、対策を強化するべきであります。熊、鹿、イノシシによる農産物に対する被害の状況はどのように推移しているのか。また、被害状況の把握を含めた被害対策の強化にどう取り組むのか、当局の決意を伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 農作物被害額につきましては、国の実施要領に基づき調査をしており、本県では、令和5年度速報値で約5億2、000万円と、令和4年度と比べ約5、000万円の増となるなど、近年、増加傾向となっています。
 令和5年度被害の内訳を見ますと、令和4年度に比べ、ニホンジカは減少し、ツキノワグマやイノシシは増加しています。
 県では、農作物被害の防止に向け、有害鳥獣の捕獲とともに、侵入防止柵の設置や里山周辺の除間伐などを推進しており、今年度は県が主体となり、昨年度から取り組むニホンジカやイノシシの広域捕獲活動を3カ所で実施するほか、新たに鹿の集中捕獲などの特別対策を実施する3市町村の取り組みを支援しています。
 さらに、わな遠隔監視システムによるツキノワグマの捕獲実証にも取り組んでおりまして、今後も市町村、関係団体と連携し、野生鳥獣による農作物被害の的確な把握に努め、その提言が図られるよう積極的に取り組んでいきます。
〇34番(城内愛彦君) これまでも鹿については取り上げてきましたが、ゼロが基本だという数字的な話をさせていただきました。適正数という言葉は、最近、県でも使わなくなりましたけれども、被害がある以上は、しっかりと対策をとっていただきたいし、その成果が出つつあるというのは評価しますが、まだ残っていると言わざるを得ませんので、その点について再度確認したいと思います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 先ほども答弁申し上げましたとおり、従来の有害鳥獣捕獲に加えまして、昨年度から県主体の広域捕獲を追加して実施し、それから、今年度は、鹿の特別対策ということで、新たな取り組みを実施して、有害鳥獣の被害と低減に向けて取り組んでまいりました。今後もさまざま、来年度に向けて、国の事業等の新たな提案もございますので、そういったものもうまく活用しながら、県としての取り組みを積極的に進めてまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひ手を緩めることなくお願いします。
 次に、令和4年4月に県内で初めて野生イノシシの豚熱感染が確認されて以降、令和6年11月28日現在、209頭の感染が確認されています。特に、本年5月に県北地域で発生した豚熱伝染病による被害は甚大でありました。その発生原因は、野生イノシシによるものと考えられますが、今後の対策について伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 洋野町の豚熱発生事例について、国の疫学調査チームの検討結果では、発生原因は特定されなかったものの、発生農場由来と野生イノシシ由来のウイルスのゲノム情報が類似していたと公表されたところです。
 豚熱の発生防止に向けては、感染源の一つである野生イノシシを介した農場へのウイルスの侵入防止対策を徹底するとともに、飼養する豚に対し、適切な時期にワクチンを接種することが重要です。
 県では、これまでも豚を飼養している生産者に野生イノシシの侵入防止柵の点検や、飼養する豚への適切な時期のワクチン接種など、飼養衛生管理を徹底するよう周知してきましたが、本県や他県での豚熱発生後も繰り返し注意喚起しています。
 また、今年度は野生イノシシへの経口ワクチン散布を31市町村、約340カ所に春と秋の2回、合わせて約2万7、000個行ったところでありまして、今後も本県の養豚農場で豚熱が発生することがないよう、全力で取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひその対策については、強化をお願いします。
 次に移ります。これまでも取り上げてきましたが、川上から川下、山から海まで川でつながっているわけでありまして、河川の立木伐採に、いわての森林づくり県民税を活用してはどうかと提案してきました。河川の立木は大雨の際の災害の原因となることがあります。伐採により県民の安心、安全の確保につながるほか、地域の林業従事者の仕事の確保、県民税活用のPRにもつながるものと考えます。県民から広くいただく税金であり、有効活用して広く県民に還元していくことを検討すべきと考えますが、河川の立木伐採に森林づくり県民税を活用していくことについて、検討状況を伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 河川の立木につきましては、洪水時に倒伏、流出して被害を拡大する可能性があることから、基本的に河川管理者が緊急性の高いところから伐採を実施していると承知しています。
 いわての森林づくり県民税を活用した取り組みについては、これまで水源地域の上流域など緊急に整備が必要な森林について、大雨等による災害が発生しないよう、公益的機能の高い森林へ誘導する間伐などを優先的に実施してきています。
 いわての森林づくり県民税は、来年度が現行の第4期の終了年度となることから、現在、第4期終了後の取り組み方向について意見を伺っており、県内4カ所で開催した県民懇談会では、洪水により流出した立木が下流に被害を生じさせないような対策が必要との意見も出されています。
 近年の森林、林業を取り巻く情勢は、いわての森林づくり県民税制度創設時から大きく変化しており、気象災害の激甚化など県民生活に直接かかわる分野等への使途拡大についても、関係者から意見を聞きながら、しっかりと検討していきます。
〇34番(城内愛彦君) 河川の管理者が本来やるべき仕事であるというのはそのとおりでありますが、なかなか県土整備部でも仕事ができない状況があるようでありますので、ぜひ、知恵を出し合いながら、しっかりと連携することが必要だと私は思って提言しているわけであります。連携を深めていってほしいし、それが県民益につながるのであれば、見直しも含めて前向きに検討するべきだと思いますが、どうでしょうか。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 先ほど、河川の立木についての基本的な考え方、認識の部分で述べましたけれども、城内愛彦議員御指摘のとおり、部局がしっかり連携して取り組むことが大事だと思っております。
 先ほど答弁申し上げましたとおり、今、次期の令和8年度からの対策について、県民から意見を聞いたり、アンケートもとったりしておりますので、こうした結果も踏まえながら、使途拡大について検討を進めていきたいと考えております。
〇34番(城内愛彦君) 質問の3点目に入ります。産業振興についてであります。
 東日本大震災津波発災から間もなく14年目を迎えようとしています。ハード面の復旧は、閉伊川水門を残すところとなり、関係する皆様にはこれまでの御労苦に感謝申し上げます。
 おかげさまで道路網も整備され、沿岸部の交通量もふえてきました。これまで震災復旧やたび重なる台風災害の復旧に携わった建設業界も落ち着きを見せ、復興期間終了とともに青息吐息と伺いました。あわせて、国の働き方改革や、県における入札制度のあり方、公共工事の発注量の減少などが挙げられます。そこで、県営建設工事に係る入札制度について伺います。
 先日、宮古、釜石、気仙地区の建設業界の懇談会に出席した際に、幾つか課題について伺ってきたところであります。地域にとって建設業は雇用の場であり、地域経済の牽引役であり、災害時の強い味方であります。県内の公共事業も減少している中にあって、地元沿岸地域の建設業者は仕事がない状況の中で内陸部の業者の参入、高齢化なども相まって、大変危機的な状況にあります。
 県営建設工事に係る入札制度については、令和6年2月定例会一般質問でも入札制度の地域要件や予定価格の事前公表の見直し、地域企業の受注の機会の確保や経営力の強化、育成、積算を含めた技術力を高められる入札制度や仕組みづくりについて取り上げました。県の見解は、入札動向や業界団体の御意見、他県の動向等を踏まえ、適切に対応していくとの答弁でありました。
 3地区合同の懇談会では、工事は総合評価落札方式で入札されているが、実績によって評価点が変わることから、例えば、施工管理技術者が多くいる会社であれば、常に入札が取れて、それがまた実績となって会社の評価点が上がることになっている。工事を取れていない会社でも受注機会が得られるような仕組みを導入してほしいとの声がありました。
 近年、公共事業が減少している中にあって、施工実績の有無が受注機会の確保に大きく影響しています。県営建設工事の総合評価落札方式について、業界団体からどのような意見が出されているのか、現行制度の課題と認識、見直しに向けた検討状況、県の対応について知事にお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県営建設工事に係る入札制度についてでありますが、総合評価落札方式は、価格に加えて、過去の実績を含め、企業が有する能力や技術力など価格以外の要素もあわせて評価し、入札価格と技術力が総合的にすぐれた者を選定する入札方式として実施しているところであります。
 県では、県内13地区で業界団体との地域懇談会を開催しており、近年では、復旧、復興事業の完了など工事発注件数の減少に伴う受注機会の減少により実績づくりが困難となる企業があることや、実績のある企業に落札が固定化されることなどの意見が寄せられております。
 県といたしましても、総合評価落札方式では施工実績を重視した簡易2型による工事発注件数が9割以上を占めていることから、工事発注件数が減少する中においては、施工実績の有無により受注機会を確保できない企業の増加が見込まれることが課題と認識しております。
 こうした課題や業界団体からの意見を踏まえ、施工実績評価を緩和する方向で総合評価落札方式を見直すこととしておりまして、現行の工事成績評定の評価対象期間を過去5年から10年に延長するなどのほか、施工実績の有無が評価に影響を及ぼす評価項目を極力除外する入札方式を新たに導入し、令和7年度からの試行に向けて準備を進めているところです。
 県といたしましては、今後とも、入札動向を注視するとともに業界団体の御意見を伺いながら、適切な入札制度の運用に努めてまいります。
〇34番(城内愛彦君) 前向きな答弁をいただき、安心したところであります。ぜひよろしくお願いします。
 次に、沿岸部の産業振興を担う人材を育てる場として、県立高校の存在が大事であります。昨今の資材等の物価高騰や人件費の高騰の影響もあると思いますが、県立宮古商工高等学校と県立宮古水産高等学校の合築による整備の進捗状況について伺います。
〇教育長(佐藤一男君) 令和3年5月に策定しました新たな県立高等学校再編計画後期計画に基づきまして、老朽化が著しい宮古商工及び宮古水産高校を合築により、宮古商工商業校舎敷地内に整備することとして、令和4年5月から設計業務を進めてきたところです。
 しかしながら、物価高騰、人件費高騰等の影響により、整備計画及び設計内容の見直しが必要となり、昨年度の9月補正予算で設計委託料の不足分を措置し、現在、受託業者と協議を進めながら、来年2月の完了を目途に設計業務を進めているところであります。
 今後予定している校舎建築につきましては、物価高騰、人件費高騰による影響も見極めながら、令和7年度中の着工、令和9年度中の供用開始に向けて、取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) 地元の子供たちは心待ちにしていますので、ぜひ今後、延びることのないようによろしくお願いします。
 次に、最低賃金の引き上げに伴う県内中小企業への支援策について伺います。
 県内企業の99%が中小企業であります。東日本大震災津波以降のたび重なる台風災害や3年にもわたるコロナ禍は、県内の多くの中小企業に大きな影響を及ぼしました。県内の倒産件数も高水位で年末を迎えています。内陸部と沿岸部、県北部の賃金に格差が生じているとの声も聞こえてきます。これ以上の県内経済の混乱を大きくしてはなりません。
 そのような中にあって、10月27日に我が県の最低賃金が大幅に引き上げられました。県内の中小企業では、これまでは賃上げについては対応できたが、今回の最低賃金の引き上げに伴う大幅な賃上げは、厳しい、価格転嫁が間に合わない、物価高騰対策賃上げ支援金事業の人数上限や支援金額を上げてほしい、沿岸、県北部の支援を手厚くしてほしいとの声もあります。県として、これらの声に対して支援策をとるべきと思いますが、県当局の見解をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 最低賃金の引き上げに伴う支援策についてでありますが、県内の多くの中小企業は、エネルギー、原材料価格の高騰の影響や、価格転嫁が十分に進んでいない状況において、人材確保のために防衛的な賃上げを余儀なくされているなど、厳しい経営環境にあると承知しておりまして、賃上げ支援の対策をできるだけ速やかに講じることが重要であると考えております。
 このため、これまで実施していた、物価高騰対策賃上げ支援金からさらに踏み込んだ支援策の検討に着手しているところであり、例えば、単価の見直し等も念頭に制度の検討を進めているところであります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひ進めてほしいと思います。沿岸部ではなかなか厳しい状況が続いています。私はいつも言うのですけれども、笑顔で年末が迎えられる、そういう施策を県が率先してとるべきだと思いますが、その辺、いかがでしょうか。
〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) ただいま知事が答弁申し上げましたとおり、単価の見直し等も念頭に、さらに踏み込んだ支援策とすべく、ただいま城内愛彦議員から御指摘のありました対象人数をどうするかといったことなどを含めまして、現在、その支援策の要件の具体化に向けた検討を進めているところでございます。
 なお、現在、関係部局と調整段階にある案件でございますので、この場でのこれ以上の時期等を含めた答弁は難しいことから、御理解をいただきたいと思います。
〇34番(城内愛彦君) 理解しますし、ぜひ進めてください。
 次に、沿岸部の観光業の振興について伺います。
 これまでも決算特別委員会や東日本大震災津波復興特別委員会等で、県内沿岸部の観光業、宿泊施設の状況について取り上げてきました。コロナ禍後の昨年5月8日以降、観光客の入り込みに期待感がありましたが、ことしの盆前の台風災害発生に伴うキャンセル等による影響もあり、ゼロゼロ融資の返済等と相まって、引き続き大変な状況にあります。
 ことし8月に発生した台風第5号により被災した三陸鉄道が先月11月14日に待望久しく運行を再開しました。あわせて、同時期に豪雨災害で被災したJR山田線についても、先日、12月20日前後に運行を再開すると発表がありました。復旧に御尽力をいただいた関係の皆様に感謝申し上げます。
 三陸鉄道とJR山田線の運行再開は明るい話題でありますが、夏場の観光シーズンに期待した沿岸部の観光関連産業の皆様からは落胆の声が聞かれ、その間の損失に伴う観光業に与えるダメージは大きいものがあり、その損失額は、はかり知れません。冬場の三陸鉄道名物であるこたつ列車に間に合い、胸をなでおろしていますが、年末に向けた沿岸部への誘客に期待するところであります。どうしても冬場の観光が弱い沿岸部への誘客に県として取り組むべきと考えますが、当局の考え方をお伺いします。
〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 冬場の沿岸部への誘客促進に向けましては、本年1月から3月まで、JR東日本の重点販売地域指定を受け、内陸部の温泉やスノーリゾートと三陸沿岸地域の冬の味覚や絶景を結びつけることをコンセプトに、いわて冬旅キャンペーンを展開し、宮古市のさんりく日の出クルーズや、大槌町の郷土芸能、冬の舞など沿岸部への宿泊を促進する特別企画を実施したところでございます。
 今年度におきましても、年明け1月から3月まで、いわて冬旅キャンペーン2025を実施することとしており、西和賀町の雪あかりや、みやこ冬の味覚イベントリレーなど、内陸部と沿岸部を結びつけることを念頭に、市町村が実施するイベントの情報発信を行うとともに、三陸地域への誘客に向けた旅行商品の造成などに取り組むこととしております。
 加えまして、みちのく潮風トレイルにつきましては、雪が比較的少ないことや、木々の葉が落ちて見晴らしがいいこと、さらには、気温が低くて歩きやすいことなど、冬ならではの魅力や利点もあるといった声もありますことから、こうした情報を積極的に発信し、国内外から沿岸部への冬季間の誘客拡大に取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひその成果に私は大いに期待しますので、よろしくお願いします。
 質問の4点目は、地域医療についてであります。
 コロナ禍明けの我が県の医療の状況については、患者数の減少や費用の増等により県立病院の赤字が公表されました。我が県の医療は、これまで県立病院を中心に地域ごとの医療提供が成り立ってきましたが、地域によっては診療科目の偏在が生じてきました。それに伴い、医師の不足、医師の働き方改革などによる県立病院のあり方も含め、転換期に差しかかっていると言えます。
 県では、次期岩手県立病院等の経営計画で赤字からの脱却を目指していますが、あまねく医療の均てんに逆行することなく、県民の実情とニーズに応えるといった相反する課題に立ち向かっていかなくてはなりません。
 このような矢先に、さきの知事選のマニフェストプラス39において、沿岸部を意識されたリハビリテーションセンターのサテライトの整備を打ち出されました。沿岸部においては、リハビリを必要とする方々も人口比からいって多いほうであります。現在のリハビリテーションセンターを活用している方々には、沿岸部にその機能を持った施設が欲しいという声は以前からあり、知事のマニフェストに期待する方々も多くいます。
 そこで伺います。リハビリテーションセンターのサテライト施設の整備はどのように進行しているのか、お願いします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) リハビリテーションセンターのサテライト施設についてでありますが、県では、本県のリハビリテーションのあり方について、本年5月にリハビリテーション関係者で構成する検討会を設置し、現状と課題、専門医、専門職の確保、育成、リハビリテーション医療体制に係る検討を進めてまいりました。
 検討会では、脳梗塞等の脳血管疾患や、高齢化により増加が見込まれる骨折などの運動器疾患などに対応するリハビリテーション機能が必要であること、沿岸地域の患者数の見込みから、既存の医療機関の活用が適当と考えられること、沿岸地域から盛岡市へ受療する患者のうち、特に沿岸南部の患者が多い傾向となっていることなどから、沿岸地域におけるリハビリテーション医療の充実が必要との意見をいただいているところでございます。
 また、リハビリテーション科専門医や理学療法士、作業療法士などの専門職の確保のほか、医療従事者の教育、研修を行う体制も必要との意見もいただいているところであります。
 沿岸地域におけるリハビリテーション医療の提供に向けまして、引き続き、専門家の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひ宮古市にお願いします。
 次に、看護師の状況について伺います。看護師は医師と並んで重要な医療資源であり、看護師の充足状況については、これまでも機会があるたびに取り上げてきました。育成機関である県立高等看護学院の状況や県立病院の充足状況については、当局の努力は評価するところでありますが、限られた医療資源である看護師確保は、県内の民間病院も少なからず影響を及ぼします。かかりつけ医を推奨する当局として、民間の医療機関の果たす役割は大きいものがあると考えます。
 民間の医療機関での看護師の確保状況はどのように推移しているのか、伺います。
 続けて、これまでも取り上げてきた県内にある国民健康保険診療施設―国保病院、診療所の医師の確保状況はどのように推移しているのか伺います。
 あわせて、県の支援の状況について伺います。県内の診療所における開業医の数の推移も伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 大きく2点、御質問をいただきました。
 まず最初の、民間の医療機関での看護師の確保状況の推移でございます。
 県ではこれまで、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、看護職員の確保定着に取り組んできたところであり、令和4年の看護職員数は1万8、087人と、この10年間で1、190人増加しております。
 この増加につきまして、内訳を見ますと、介護保険施設等の施設で891人増加しており、医療機関については、病院を含めた全体ではほぼ横ばいで推移しているものの、民間施設が多い診療所では施設数の推移に伴いまして、186人減少しているところでございます。
 また、岩手労働局の統計データによりますと、この10年間での看護職員の有効求人倍率は、介護保険施設等でのニーズの高まりもありますことから、2倍程度と全産業よりも高い水準で推移しております。
 こうしたことから、県では、県内3カ所の県立高等看護学院での毎年100名程度の看護師の養成に加えまして、民間の看護師養成所への支援を行っているほか、民間の医療機関を含めた県内就職を高めるための修学資金の貸付制度の運用などによりまして、引き続き、民間医療機関を含めました看護職員の安定的な確保に取り組んでまいります。
 次に、国保病院、診療所の医師の確保状況についてでありますが、令和6年4月1日現在で、県内31の国保病院、診療所には63人の医師が在籍しており、令和になってからは、ほぼ同じ水準で推移をしております。
 県ではこれまで、国保診療施設への自治医科大学卒業医師の配置を進めてきたところでありますが、奨学金養成医師につきましても令和2年度の3人から配置を始めまして、令和6年度では自治医科大学卒業医師が4人、奨学金養成医師が8人と着実にふえてきているところでございます。
 また、開業医の推移ですが、地域の診療所におきましては、医師の高齢化や後継者不足に加えまして、人口減少に伴う患者数の減少などの背景があり、診療所を開設している医師数は、平成26年で620人であったものが令和4年では564人と減少しております。
 県では、引き続き、奨学金養成医師の配置を進めますほか、県立病院や民間医療機関、介護関係者等との役割分担のもと、身近な地域で安心して医療を受けられる体制が確保できるよう、取り組みを進めてまいります。
〇34番(城内愛彦君) 看護師も、そして、医者もそうですけれども、国保診療所、病院の先生方は、御高齢の方々が多くて、新たに来ていただいても、すぐ次の方を見つけなければならないということで、特に沿岸部の市町村で抱えている国保診療所では大変な思いをしていらっしゃるようです。ぜひその辺の情報を交換しながら寄り添う体制をとってほしいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、冒頭に述べましたが、県立病院の経営赤字の解消についてであります。県では、次期経営計画の中で、赤字解消を目指すと決算特別委員会の中で答弁されました。人口減少も進む中で、県民の命を守るとりでであり、県立病院の役割である救命救急といった高度な医療を提供し続けなければならないと考えます。
 そのような中で、ことし6月に行われた診療報酬改定は、民間病院でも厳しいものであったとのことであります。ことし6月に行われた診療報酬の改定が県立病院の今後の経営に対してどのような影響があるのかお伺いします。
〇医療局長(小原重幸君) 診療報酬改定による経営への影響についてでありますが、診療報酬改定の状況といたしましては、賃上げ分を含んだ本体部分は0.88%のプラス改定となっておりますが、薬価引き下げなどを加味すると、実質的には0.12%のマイナス改定となっているところであります。
 また、賃上げに対応するベースアップ評価料やマイナ保険証活用による医療DX推進などの新設項目はありますが、これまで以上に厳しい条件が課せられた基準が多くなっております。
 ベースアップ評価料と人事委員会勧告に対応する場合に見込まれる所要額とは24億円程度の差が生じるほか、ベースアップ評価料を除く診療報酬改定の影響は、プラス改定、マイナス改定の項目を合算すると、プラス1.6億円程度とわずかであり、材料費、経費等の物価高騰を補う収益が得られるものとはなっていない状況でございます。
 このように、物価高騰や給与改定による経費の増と診療報酬改定が見合っていないという構造的な課題もあることから、今後も厳しい経営環境が見込まれるところであります。
〇34番(城内愛彦君) 県立病院が地域に対して果たす役割は大きく、経営改善は医療局が主体となって取り組まれるものでありますが、一般会計からの多額の繰り出しは、県民の命を守るためにも今後必要と考えるものであります。知事も覚悟を持って臨まれると思っていますが、県立病院の経営改善と地域医療に果たす役割の両立について、知事の認識をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県立病院は、不採算地区医療や、高度、専門医療、救急、周産期医療等を提供しており、県では、このような政策医療分野について、国の基準に従って一般会計繰出金を負担しています。
 医療資源の限られた岩手県においては、県立病院が地域医療の主要な役割を担っており、その役割を安定的に果たしていくために、一般会計から繰り出しを受けた上で収支均衡を図っていくことが必要であります。収益の確保と費用の効率化に必要な施策を講じ、持続可能な経営基盤を確立することが重要と考えます。
 次期経営計画の最終案が示す、機能分化と連携強化の取り組みを初め経営改善を不断に進め、これからも地域医療の確保に向けて、県立病院が引き続き主要な役割を担ってまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひよろしくお願いします。
 次に、質問の5点目は、道路整備についてであります。
 また、ことしも10月12日に国道340号宮古岩泉間整備促進住民総決起大会が岩泉町で開催されました。県土整備部の道路担当技監に参加いただき、町民会館を満席にして盛大に開催されました。ことしは中学生の意見発表があり、毎回心を打つ意見の発表は、宮古市側、岩泉町側、両市町の心からの願いであると感じたところであります。改めて、これまでの県土整備部の御努力に敬意を表します。
 本年は、宮古、岩泉土木センターによる経過等の説明もすばらしく、参加者の皆さんも今後の工事展開に期待を寄せる説明でありました。未事業化区間が岩泉町側約8キロメートル、宮古市側約2キロメートルとなりました。大会副会長でもある岩泉町長いわく、今のペースでは生きているうちには通れない。進捗に対するスピードアップを促す激励の言葉もありました。国道340号宮古─岩泉間の残る未整備区間の今後の整備の見通しについて伺います。
〇県土整備部長(上澤和哉君) 国道340号は、北上高地を縦断する唯一の緊急輸送道路として、防災面においても重要な役割を担う路線であることから、県ではこれまで宮古─岩泉間の押角峠工区などの整備を進めてきたところです。
 現在、早期の整備効果の発現が期待できる宮古市和井内─押角工区、岩泉町浅内工区として、あわせて約3キロメートルの区間を事業化し、整備を進めているところです。
 残る未事業化区間約10キロメートルについては、幅員が狭く、急カーブが連続していることから、整備が必要な区間と認識していますが、まずは事業中工区の早期効果発現が図られるよう、整備に注力していきます。
〇34番(城内愛彦君) 毎回聞いていますけれども、ぜひ進めてください。
 次に、三陸沿岸道路について伺います。
 三陸沿岸道路は、令和3年12月に復興道路として全線開通して3年になりました。その利便性は道路利用者にとっては評価が高いところでありますが、一方で、トイレ、休憩所、ハーフインターの状況について不満の声もあり、関係する皆様の御理解の中で、山田北インターチェンジのフルインター化に向けた起工式が10月6日に行われました。御尽力をいただいた皆様に感謝申し上げます。
 また、かねてより要望のあったトイレについても、国において、宮古市津軽石パーキングエリア内に設置する方針が示され、着工に向けた動きがあるようですが、山田北インターチェンジのフルインター化、宮古津軽石パーキングエリア、この2施設の整備の見通しについて伺います。
〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、令和4年度に事業化された山田北インターチェンジのフルインターチェンジ化については、これまで調査設計や用地取得が進められていたところですが、本年10月6日に、国道45号山田改良として起工式が開催され、一部区間の道路改良工事を進めていると国から聞いております。
 次に、令和5年度に事業化された、宮古市津軽石パーキングエリアへのトイレの設置については、宮古市の市道とパーキングエリアをつなぐ管理用通路及び上下水道の工事が進められているほか、トイレの建築工事に向けた発注準備を進めていると国から聞いております。
 県としましては、三陸沿岸道路の沿線市町村における防災機能の強化や地域活性化等を図るため、インターチェンジの利便性向上などの機能強化が必要と考えており、令和7年度政府予算提言・要望において、機能強化の推進を国に要望したところであり、今後とも、機会を捉えて国に働きかけていきます。
〇34番(城内愛彦君) 県で持ち得る情報をこまめに県民にお知らせできる体制をとってほしいと思います。そうすることによって、利用者も安心して使えるような仕組みができてくるものと思っていますので、その点についてもよろしくお願いします。
 宮古盛岡横断道路の改良工事も国の代行工事として始まりましたが、いまだにその見通しが示されていません。現在の進捗状況について伺います。
〇県土整備部長(上澤和哉君) 宮古盛岡横断道路については、令和2年度に田鎖蟇目道路が、令和3年度に箱石達曽部道路が国の直轄権限代行として事業化されております。
 田鎖蟇目道路については、道路設計や用地買収に加えて昨年12月2日に起工式が開催され、その後、老木地区及び蟇目地区の道路改良工事に着手し、また、本年11月には、蟇目地区における橋梁下部工工事が契約となり、順次、工事を進めていく予定であると国から聞いております。
 また、箱石達曽部道路については、道路設計や用地調査に加え、用地取得が進められていると国から聞いております。
 県としましては、令和7年度政府予算に関する提言・要望において、田鎖蟇目道路と箱石達曽部道路の整備推進を国に要望したところであり、今後とも、機会を捉えて国に働きかけていきます。
〇34番(城内愛彦君) 仕事の進め方はよくわかりましたけれども、完成のめどというのは、皆さんには伝わっていませんか。
〇県土整備部長(上澤和哉君) 完成時期につきましては、今後、工事が進み、供用開始時期の見通しが立った時点で示されるものであると承知しております。
〇34番(城内愛彦君) ぜひこの点についても、県民の皆さんにわかりやすいPRを定期的にお願いしたいと思います。
 次に、国道340号小国地区の携帯電話不感エリア解消については、たびたび取り上げてきましたが、その進捗状況はいかがでしょうか。
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 携帯電話の不感エリアの解消につきましては、重要な課題でありますことから、毎年市町村に対して調査を実施し、県内の状況の把握に努めております。
 この調査結果を踏まえ、市町村と通信事業者との調整が整った案件から、順次、市町村に対し補助等を行い、不感エリアの解消を進めているところでございます。
 城内愛彦議員御指摘の国道340号小国地区につきましては、立丸第一及び第二トンネル内の通信環境整備が終了し、不感エリアが解消されたほか、トンネル以外の道路部分につきましても、今後、順次整備を進めていく方向で検討が進められていると伺っております。
 今後、整備が必要なエリアにおいて事業を進めていくためには、県や市町村以外にも、国や通信事業者等による取り組みが不可欠でありますことから、関係部局及び市町村と連携しながら要望を継続するなど、引き続き、不感エリアの解消に取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひこれはお願いします。このエリアについては、近隣に民家や電話ボックスもない状況であります。携帯電話頼みということになりますので、よろしくお願いします。
 質問の6点目に入ります。
 6点目は港湾振興についてであります。県内にある四つの重要港湾は、特色ある港づくりにより地域ごとの役割が見えてきたところであります。コロナ禍や世界情勢の影響でその利用状況に停滞があったものの、少しずつではありますが、動きが見えてきたところであります。
 宮古港では、誘致活動のおかげで客船が入港するようになり、にぎわいを見せました。2024年度には宮古港に10回の客船が寄港し、うち8回が外国船でした。来年度も既に今年度を上回るペースで寄港するとの話もあります。そこで、問題は、入出港時に欠かせないタグボートや港の静穏度の向上であります。
 当初、宮古─室蘭フェリー航路の開設時に県と宮古市が連携をしてタグボートを常駐させていましたが、その後の状況はどのようになっているのか伺います。
 また、港の静穏度を向上するための防波堤の改良等の動向について伺います。
〇県土整備部長(上澤和哉君) 宮古─室蘭フェリー航路開設時におけるタグボートは、宮古市がタグボート会社と常駐契約を結び、県は市に対し、その経費の2分の1を負担しておりました。
 寄港休止後におきましては、県は経費を負担していませんが、市が単独予算により契約を継続し、タグボート1隻が宮古港に常駐しております。
 また、港内の静穏度につきましては、フェリーの安定的な運航のためには不足していると認識しており、新たな防波堤の整備が必要と考えています。
 このことから、令和2年度には将来の防波堤の配置を見込んだ宮古港長期構想を策定したところであり、今後、港湾利用の見通しなどを踏まえて、整備時期等について検討してまいります。
〇34番(城内愛彦君) タグボートもそうですけれども、卵が先か、鶏が先かという話になると思いますが、寄りやすいところに船は入ってくると私は考えます。とすれば、準備というのは、港湾管理者である県がするべきと私は考えていますが、そういった姿勢を内外に発信することによって、いろいろな船が入りやすい状況が出てくるのだと思います。もちろん、誘致活動についても弾みがつくし、後押しになると思いますが、その点の考え方について、県でもう少し踏み込んだ姿勢を示すべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(上澤和哉君) 先行した施設の整備等につきましては、港湾を取り巻く状況や荷物の状況といった将来の見通しを見据えながら整備の予定時期を考えていくことが大事かと思いますので、引き続き、世の中の情勢を見極めてまいりたいと思います。
〇34番(城内愛彦君) 次に、宮古─室蘭フェリー航路の再開について伺います。
 宮古港への寄港が休止されて4年余り、航路自体が休止されて間もなく3年がたちます。その再開に向けてはたびたび質問してきたところでありますが、前段で述べたとおり、客船の寄港状況については伸びてきましたが、本来、宮古港の活用のベースとなるものはフェリーの定期航路であります。フェリー航路の再開に向けた県の取り組み状況と再開の見通しについて伺います。
 また、あわせて、再開までのフェリーターミナルの活用についても伺います。
〇県土整備部長(上澤和哉君) これまで宮古─室蘭フェリー航路の再開に向け、運航船社等に対し働きかけてきましたが、今年度からは室蘭以外の航路にも対象を広げ、複数の船社に接触して情報収集を行っています。
 現時点では再開等の見通しを確認するには至っておりませんが、引き続き、宮古市等と連携して荷主等を訪問し、宮古港の優位性をPRしながら新たな貨物の掘り起こしに努めるとともに、得られた貨物動向を船社と共有し、再開等に向けて取り組んでいきます。
 また、フェリーターミナルの活用についてですが、寄港休止以降にあっても、クルーズ船の寄港情報や貸し会議室の利用について広くPRしてきたところ、今年度10月までの来館者数は、前年度同期比約1.9倍の1万8、000人余りとなっております。
 県としては、フェリー航路の再開等に全力で取り組むとともに、フェリーターミナルのさらなる利用促進に向け、引き続きPRしてまいります。
〇34番(城内愛彦君) 宮古沖を貨物船、フェリーがたくさん通っているわけでありまして、途中で立ち寄りできるような仕組みも今後、考えの中には置いていけないものか。港のサイズや船のサイズもあり、いろいろな背後地にある荷物や荷主の確保も必要になると思いますが、今の形からもう少し膨らませた利活用も含めて検討していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
〇県土整備部長(上澤和哉君) さまざまな観点からの可能性についてどうかというお尋ねと受け取りましたが、地元宮古市等とも連携し、創意工夫しながら、どういったことができるかについて検討を進めてまいりたいと思います。
〇34番(城内愛彦君) 宮古市とというのもそうですけれども、港湾管理者である県の果たす役割は私は大きいと思っています。ぜひ主体的、主導的に活動するべきだと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、リアスハーバー宮古の活用状況について伺います。
 二巡目の国体の開催に向けて、県内唯一のディンギーヨット専用施設としてつくられたところでありますが、その利活用については、大会誘致だけではなく、合宿誘致や体験型ツーリズム取り組みなど、これまでも企画運営面について、提案も含めて行ってきたところであります。
 県民を含む多くの皆様に利用していただけるよう願うものであり、そのPRの必要性について訴えてきたところですが、PRの成果と利用実績への反映状況、今後の課題について伺います。
〇県土整備部長(上澤和哉君) リアスハーバー宮古は、インターハイ及び希望郷いわて国体のヨット会場や、シーカヤック教室等のイベント会場として多くの方々に利用され、海に親しめる場所となっています。
 これまで、イベントの予定等をラジオやSNS等で発信するとともに、学校長会議等で周知を行い、その魅力をPRしてきました。
 こうした取り組みなどにより、今年度9月末までの利用者数は、大会等への参加や小中学生のマリンレジャー体験等が増加し、前年度同期比約1.9倍の2万6、000人余りとなっており、これまでの取り組みの成果があらわれているものと考えています。
 一方、大学、社会人チーム等のスポーツ合宿のさらなる誘致が課題であると捉えており、県では、ことし9月に公益財団法人日本セーリング連盟を訪問して、合宿地としての魅力や宮古市合宿事業費補助金制度を紹介し、大学、社会人チーム等へのPRを要請してきたところでございます。
 今後も、指定管理者や宮古市等と連携し、さらなる利用拡大に向けて取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) これまで皆さんに対して、私は大変失礼なことを言ってきたと思って反省するところであります。リアスハーバーやフェリーターミナルが塩漬けだという話をしてきましたが、だんだんに塩が抜けていいあんばいになってきたと思っています。ぜひ今後とも活用に向けて、今までのPRをブラッシュアップしてほしいと思います。よろしくお願いします。
 質問の7点目に移ります。
 地域公共交通についてであります。前段でも述べたとおり、JR山田線も8月の豪雨で被災し、運休、バス代行運行が実施されており、本格復旧を望む者として一日も早い復旧を願っておりましたところ、先日、運行再開の見通しが示され、安堵しているところであります。将来にわたり地域の大切な公共交通であるJR山田線を存続させてほしいと願うものであります。
 現在、鉄道事業者とバス事業者との共同経営なども検討されておりますが、JR山田線の存続に向けた県、沿線自治体、関係者が一体となった取り組み状況はどのようになっているのかお伺いします。
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 令和4年度に県内6路線を対象とする、JRローカル線維持確保連絡会議を開催し、鉄路の維持と、県及び沿線自治体が連携を強化して、さらなる利用促進に向けた取り組みを実施していくことについて、沿線自治体と認識を共有したところであり、今年度は、沿線自治体等に対する補助制度を大幅に拡充し、利用促進の取り組みを強化したところでございます。
 JR山田線におきましては、これまで沿線自治体首長会議が3回開催され、路線維持に向けた利用促進策等を協議しています。
 その検討のために設置しているワーキンググループには、県、沿線市のほかJR東日本にも参画いただいており、今年度は、県の補助制度を活用しながら、定期券、回数券の購入支援、モデルツアーの実施、子育て世代向けの情報発信など、関係者が一体となってさまざまな事業を展開しているところでございます。
 JR山田線を初めとするJRローカル線の維持、確保につきましては、県、沿線自治体等が一体となった取り組みを継続的に実施していくことが重要でありまして、引き続き、沿線自治体首長会議等の場を通じて関係者と連携をとりながら、路線維持に向けて取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) 全国的にローカル線の赤字が表面化してまいりまして、その運営については、抱える沿線のどの自治体も苦慮していると考えております。しっかりと知事会を通じて国にもいろいろな意味での要望活動をしてほしいと思いますし、そのことがいい意味で回り出せば、地域のローカル線にも明るい光が見えてくるのかと考えますが、その辺、いかがでしょうか。
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) JRローカル線の維持、確保につきましては、本年6月に実施しました国への要望におきましても、重点事項に入れまして要望させていただいております。そういった形で県、それから沿線自治体で連携して取り組んでいるということを、城内愛彦議員がおっしゃるとおり、積極的に外に発信していくことも地域、沿線自治体の住民の皆さんに安心を届けていくことになると思いますので、引き続き、積極的な情報発信にも努めてまいりたいと考えております。
〇34番(城内愛彦君) この分については、ぜひよろしくお願いします。JR山田線が三陸鉄道に移管された宮古─釜石間があるのですが、そういったことも、視野にという言い方は少しおかしいのですが、ないように、しっかり注意して働きかけを、手を休めることなくお願いしたいと思います。
 次に、バス路線の状況についてであります。これまでコロナ禍によるバスの利用者の減少と運行会社の収益の悪化、運転手の不足、そして、何よりも県全体による通学、通勤等でバスを利用する世代の人口減少が一層進むことが予想されます。バス路線の維持は難しい課題に直面しています。一方で、高齢化による交通弱者と言われる方々もふえ、バス路線の確保、維持は必要であります。
 県内の路線休廃止の状況はどのように推移しているのでしょうか。また、路線維持に向けた運営会社に対する県の支援と市町村の支援について伺います。
 あわせて、交通空白地域や不便地域の解消等を図るため、市町村等が計画し、運行するコミュニティーバス等への支援についても伺います。
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) まず、県内の路線の休廃止の推移についてでございますが、人口減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や燃料費高騰、さらには運転士不足等により、県内乗合バス3事業者の系統数の合計は、令和元年度末の609系統から令和5年度末には544系統と、65系統の減少となっております。
 次に、路線維持に向けた県と市町村の支援についてでございますが、県では、広域的な路線に支援を行っておりまして、国庫補助路線につきましては、バス事業者に対し国に協調して支援を行っているほか、市町村がバス事業者の運行欠損額に対する補助を行う路線につきましては、県単補助路線として、市町村に対し補助を行っております。
 また、今年度は新たに乗合バス運転士の確保対策のための補助を創設したところでございます。
 市町村では、一部でバス路線の運行欠損額に対する補助を行っているほか、国庫補助や県単独補助実施後のバス路線の事業者負担に対する補助などを実施していると承知しております。
 次に、市町村のコミュニティーバス等への支援についてでございますが、県では、市町村が公共交通の再編に伴い実施する実証運行等への補助や専門家派遣などの支援を行っているほか、国庫、県単補助路線から移行した代替路線など一定の要件を満たす場合には、県単補助路線と同等の支援を行っているところでございます。
 今後も、バス路線の維持、確保を図るため、市町村と連携しながら必要な支援を行ってまいります。
〇34番(城内愛彦君) バス路線の維持というのは、大変重要な課題だと私は認識しています。私の地域では交通弱者がたくさんふえてまいりました。まさにポツンと一軒家のような地域に住んでいる方々もふえていまして、そういった方々の通院であったり足の確保というのは大変重要だと考えています。こういった事業の中に、例えば、スクールバスとの混載という連携も考えられると思います。スクールバスに寄っていくのか、スクールバスのほうが寄ってくるのかという課題もあると思いますが、そういった検討もされているのかお伺いします。
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 昨年度、岩手県地域公共交通計画という県全体の計画をつくっておりますが、その中で、一部自治体において行われているスクールバスの一般利用者への開放や、106急行での貨客混載、貨物と利用者の混載といった事業の垣根を超えた利用促進も普及させていくと盛り込んでおります。今、御指摘のありましたような取り組みは、公共交通を維持していくために非常に期待の持てる取り組みであると思っておりますので、普及に取り組んでまいりたいと考えております。
〇34番(城内愛彦君) 今のスクールバスの件ですけれども、これは実際にある話でありまして、同一地区におばあちゃんとお孫さんが住んでいて、スクールバスの一環だけれども、コミュニティーバスになる。そういう状況がある中で、一緒に乗ったらいいのではないかという話があります。これは今後出てくる話だと思います。具体的にそれは進行できるような形で連携を図ってほしいし、負担の割合、文部科学省であったり、財源の関係もあろうかと思いますが、その辺は大人が知恵を出し合ってやるべき課題だと思いますので、よろしくお願いします。
 質問の8点目に移ります。
 知事の県政運営について伺うわけでありますが、特に、知事の海外へのトップセールスについてお伺いしたいと思います。
 知事は、令和5年度以降、精力的に海外に出張されています。岩手県を海外に売り込むことは賛成いたします。令和5年12月にマレーシア、シンガポールに物産、観光PRのため出張、令和6年5月中国を訪問され、遼寧省や大連市との間で友好交流の拡大に関する覚書や協定を交わし、上海では現地企業との意見交換や中国東方航空への上海定期便の早期運行再開の要請活動を行い、翌6月には、また大連市に訪問、夏季ダボス会議に大連市の名誉公民として日本の地方自治体からの特別招待者として参加、8月にはブラジル県人会記念式典に出席、アルゼンチン、パラグアイと訪問されました。
 この1年はたくさんの公務の中から、知事でなければならないトップセールスと理解しておりますが、私としては、人を岩手県に呼び込む、物が売れるといったことが大事ではないかと考えます。特に、岩手県の農林水産物を売り込んで取引を拡大していただきたいと考えますが、県産農林水産物の輸出、販路拡大に向けたトップセールスの成果について、具体的にお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 昨年実施したマレーシア、シンガポールでのトップセールスでは、現地の流通関係者や消費者等から、県産農林水産物の品質やおいしさなどが高く評価され、現地事業者等とのつながりの強化や新たなネットワークの構築が図られました。
 その結果、シンガポールへの令和5年度の輸出量は、前年度に比べ、牛肉が約4割、米が約1割増加するとともに、マレーシアへのリンゴの輸出が新たに開始されるなど、岩手県産農林水産物の輸出拡大につながっております。
 また、トップセールスにより強化された事業者とのつながりを生かし、本年5月、一般社団法人東北経済連合会と連携して出展した東南アジア最大級の食品見本市、タイフェックス2024において、岩手県産米が東北地方ナンバーワンの成約数となるなど、東南アジアにおける新たな販路が開拓されております。
 今後も、海外市場に精通する輸出コーディネーターによる現地ニーズ等の把握、フェアの開催やバイヤーの産地招聘とともに、トップセールスや東北経済連合会等と連携した販路開拓など、より高い効果が期待できるプロモーションを継続的に展開しながら、県産農林水産物の輸出がさらに拡大するよう取り組んでまいります。
〇34番(城内愛彦君) ぜひその点についてはお願いしたいと思います。過日、岩手県議会台湾友好議員連盟で台湾に行って、SОGOというデパートに寄ってまいりました。地下のフロアにお伺いして、日本の物を売っている場所を見てきたのですけれども、残念ながら、岩手県の物は一品もなかったというのが現状ではないかと思っています。それはたまたま台湾だからかもしれませんし、知事におかれましては、岩手県のすばらしい農林水産品をしっかりと売り込んでほしいし、コロナ禍前に上海をお伺いした際には、鉄瓶を高値で取引する状況も見てきましたし、そういったことが持続できるようになればいいと考えております。ぜひそういうものも含めて、知事だけ訪問するのではなくして、農林水産部や、いろいろな部局の方々も同行させながら、営業活動は必要ではないかと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 台湾は、台中市を拠点とする裕毛屋という大手小売店に行きますと、岩手県の物がかなり売られているところを見ることができると思います。
 台湾の場合、県からのセールスに加え、盛岡市など市町村の売り込みも、言葉の問題や距離的な近さであるとか、現地での市場の情勢など、どんどん進出しやすい状況になっておりますので、多角的な観光、物産のセールスが行われているところであります。
 また、知事が参加するトップセールスに当たっては、事前にかなり警護職員、担当者が現地に赴くことも含め、現地側との調整や、あるいはフォローアップを行っています。知事が行かなくてもさまざまできる場合には、知事以外の職員が行って行うようになっておりますので、県職員の力を総動員し、また、市町村や関係する農業団体、観光団体、企業等とそれぞれ連携し、役割分担しながら、観光、物産のセールスを行っていきたいと思います。
〇34番(城内愛彦君) 私も台湾に行った際、向こうサイドの方々に、相互交流という言葉をよく使われますので、ぜひ我々日本人も行って、現地で何が必要とされているのかもリサーチするべきだと思いますし、その結果、物が売れたり、人が来たりするような形がベストだと思います。そのためにも、トップセールスである知事の役割は大きいと思います。ぜひそういったことを県内外に発信をしていただいて、県産品が売れるようにお願いして、終わります。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって城内愛彦君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時32分 休憩
   
出席議員(47名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
10  番 高橋 こうすけ 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時52分 再開
〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。村上貢一君。
   〔11番村上貢一君登壇〕(拍手)

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