令和6年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。議案第2号、令和6年度岩手県一般会計補正予算(第4号)、議案第32号、令和6年度岩手県一般会計補正予算(第5号)について質問いたします。
 議案第2号、令和6年度岩手県一般会計補正予算(第4号)は、2024年台風第5号の被害に対応した災害復旧及び三陸鉄道株式会社への支援に必要な予算を計上したものなど、総額3億2、500万円余となるものであります。
 8月12日に大船渡市に上陸し、岩手県を横断した台風第5号は、沿岸地域で記録的な大雨となりました。48時間降水量は、久慈市下戸鎖で481.5ミリメートル、大槌町で319ミリメートル、久慈市山形で284.5ミリメートル、岩泉町で220.5ミリメートルで、観測史上最大となりました。久慈市は滝ダムの緊急放流に伴い、長内地区と小久慈地区に警戒レベル5に当たる緊急安全確保を発令し、放流後に解除しました。公共土木施設と農林水産関係の被害額は、市町分を含めて31億6、985万円余となっています。
 そこで質問いたします。記録的な大雨でありましたが、2016年の台風第10号災害と比べて大きな被害とならなった要因は何でしょうか。今回の台風第第5号による災害の特徴と、この間の河川改修等の効果、滝ダムの効果等について示してください。
 台風第5号に係る災害復旧事業の今後の見通しはどうなっているでしょうか。
 三陸鉄道の被害額は2億200万円となっています。今回の補正額は5、100万円ですが、復旧事業費全体の内訳と復旧の見通しを示してください。
 田代川の氾濫の影響で宮古−田老駅間で運休が続いています。改良復旧が必要と思いますが、被害の状況と復旧事業の内容を示してください。
 議案第32号、岩手県一般会計補正予算(第5号)は、8月15日から9月2日の大雨被害に対応した道路、河川の災害復旧費などに対応したものであります。
 8月27日には内陸地域に線状降水帯が発生し、1時間当たりの降水量は盛岡市で68ミリメートル、盛岡市藪川で99.5ミリメートルと観測史上最大となりました。3時間降水量でも、盛岡市で108ミリメートル、盛岡市藪川では191.5ミリメートルと観測史上最大でありました。市街地を流れる中津川は氾濫危険水位を超え、1万4、000世帯に避難指示が出されました。中津川はぎりぎりのところで氾濫しませんでしたが、上流の米内川は氾濫し、畑橋が流出し住民が孤立するなど、大きな被害が発生いたしました。
 そこで質問します。今回の被害総額は74億2、000万円余ですが、盛岡市の豪雨災害による被害状況、被害額は、県分、盛岡市分でどうなっているでしょうか。
 災害復旧事業の見通しはどうなっているでしょうか。激甚災害の対象となるのでしょうか。
 米内川の氾濫によって9月6日現在、7世帯18人の住民が孤立しました。流出した畑橋の仮橋の整備、林道矢沢線の緊急拡幅が求められていますが、孤立状態の解消はどう図られているでしょうか。
 農地に土砂や流木が流入するなど、農業被害の復旧は急務であります。被害と復旧の見通しを示してください。農家は農家負担を心配しています。最大限農家負担のないよう、早期の復旧を図るべきですが、見通しを示してください。
 盛岡市における大雨豪雨災害については、17時49分に大雨警報、19時17分には記録的短時間大雨情報が出されました。米内川は急速に水位が上昇し、2時間程度で3メートルを超え、氾濫しました。しかし、盛岡市からは避難勧告も避難指示も出されませんでした。盛岡市は市の対応を検証するとしていますが、県の対応としてはどうだったのか。県と盛岡市との連携、風水害対策支援チームの取り組みを含めて、何が課題だったのか、今後の対策を含めて示してください。
〇県土整備部長(上澤和哉君) 台風第5号の特徴と河川改修等の効果についてでありますが、まず、令和6年台風第5号の特徴は、短時間の強い降雨はなかったものの、長時間に降雨が続いたものであり、平成28年8月に岩泉町の小本川において甚大な被害をもたらした台風第10号と比較すると、岩泉雨量観測所における総降水量は、いずれも251ミリメートルと同程度の降雨を観測しましたけれども、最大3時間降水量を比較した場合は、平成28年台風第10号の138ミリメートルに対し、今回の台風第5号は40ミリメートルとなっています。こうした雨の降り方の違いが災害の発生状況に違いをもたらしたものと考えています。
 次に、河川改修等の具体的な効果についてでありますが、県ではこれまで河道の拡幅や築堤等により河川改修工事を進めてきた岩泉町の小本川や安家川などにおいて、整備がなかった場合と比べて水位が低減していることを確認しており、河川改修工事の効果があらわれていると認識しています。
 また、久慈市の滝ダムにおきましては、台風第5号による大雨に備え、事前放流による追加で容量を確保した上で洪水調節を実施し、計画を上回る大雨により緊急放流に移行したものの、洪水調節により下流の河川の氾濫を防ぐとともに、水防活動や避難行動の時間を確保したところです。
〇復興防災部長(福田直君) まず、台風第5号に係る災害復旧事業の見通しについてでありますが、各部局に確認したところ、公共土木施設については、既に応急工事に着手しているものもある中、緊急度などを踏まえて、今後順次着工していく予定であり、農業関係施設については、令和7年中の営農再開に向けて、林業関係施設については、令和7年度中の工事完了に向けて、水産関係施設については、今年度中の工事完了に向けて、順次着工していくことになっております。
 次に、盛岡市の豪雨災害の被害状況についてでありますが、先月末時点で住家の床上浸水が25棟、床下浸水が39棟、公共土木施設では、河川33カ所、道路47カ所、農林水産関係では、水稲の冠水のほか農地160カ所、農業用施設11カ所、林道53カ所、作業道8カ所、林地荒廃10カ所、上水道施設では2カ所でそれぞれ被害が発生しております。
 それらの被害額については、調査中のものもありますが、公共土木施設は約40億8、000万円のうち、県分が約34億7、000万円、盛岡市分が約6億1、000万円、農林水産関係は、約9億円のうち、県分が約300万円、盛岡市分が約4億1、000万円、その他が約4億8、000万円となっております。上水道施設は約3億4、000万円で、全て盛岡市分となっております。
 次に、8月15日から9月2日までの大雨に係る災害復旧事業の見通しなどについてでありますが、各部局に確認したところ、公共土木施設、林業関係施設等については、既に応急工事に着手しているものもある中、緊急度などを踏まえて、今後、順次着工していく予定でございます。
 また、台風第10号による災害については、激甚災害に指定される見込みであることが先月20日に公表されましたが、その具体的な対象範囲について、国に確認を行ってまいります。
 次に、米内川の氾濫による被害への対応についてでありますが、林道米内川線は仮復旧済みの箇所もある一方、同路線の畑橋が流出したため、現時点で7世帯18人が孤立状態となっております。盛岡市に確認したところ、現時点で、斉藤信議員御指摘の林道矢沢線は10月末ごろ、流出した畑橋は12月中旬ごろに仮復旧の見込みと伺っております。孤立世帯の中には一時的に転居されている方もおられますが、孤立状態が解消されるのは12月中旬以降になるものと考えられます。
 次に、県の対応等についてでありますが、線状降水帯による大雨については、気象庁から半日程度前の呼びかけがなされる場合もありますが、8月27日はそれがない中で、盛岡市が急遽対応する事態となりました。
 気象庁による呼びかけがなされない場合であっても、住民の皆さんに避難情報を正確に伝達し、避難所を迅速に開設することが重要であり、河川管理者による水位周知河川以外についても、ウエブサイトで水位情報を確認することが可能となっております。
 そのため、県としては、これらの点を風水害対策支援チームに諮問した上で、先月30日に改めて市町村に助言通知を発出したところであり、今後、住民の皆さんが的確な避難行動をとることができるよう、市町村と連携して対応を図ってまいります。
〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 三陸鉄道の復旧事業費についてでありますが、三陸鉄道の復旧には、国庫補助事業の活用を予定しておりますが、復旧事業費2億200万円のうち、国の負担が4分の1で5、050万円、地方負担分が同じく4分1となり、これが今回補正予算案に計上している5、050万円となるものでございます。残る2分の1が事業者負担分となり、1億100万円を見込んでおりますが、この事業者負担分につきましては、基本的には三陸鉄道が加入している土木構造保険を活用する予定としております。
 なお、地方負担分5、050万円につきましては、県と沿線市町村により2分の1ずつ負担することとしております。
 被害の状況についてでありますが、田代川の氾濫により、佐羽根駅から田老駅間の線路の路肩が約25メートルにわたり洗掘され崩壊する被害があったものでございます。復旧の見通しにつきましては、被災した場所が河川の対岸であるため、一時的な河川の流路の切りかえや仮設道路の設置が必要であること、サケの遡上期に配慮する必要があること、天候不順など不確定な要素があることから、復旧までは数カ月を要する見込みであると聞いております。
 復旧事業の内容につきましては、基本的に現状復旧が原則とされているところ、三陸鉄道では、再度の洗掘を防止するため、復旧箇所の法面下部に大きい石を詰めた金属製のかごを設置し、強度を高める方針で復旧を行うと聞いております。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 農地等の被害と復旧の見通しについてでありますが、8月15日から9月2日の大雨により、盛岡市では9月20日時点では、農地や水路など171カ所で5億9、900万円の被害が確認されており、こちらは10月1日に被害額等が確定しまして、183カ所、6億3、100万円の被害となっています。
 来月中旬から災害査定が予定されておりまして、県では、国事業を活用し、早期の復旧を図るため、査定後速やかに復旧工事に着手できるよう、事業主体である盛岡市を支援していきます。
 また、先ほど復興防災部長から答弁がございましたけれども、本県が激甚災害の対象となるか確定はしていませんが、激甚災害に指定された場合には、国庫補助率が引き上げられ、農家負担の軽減が見込まれるところでございます。
 引き続き、盛岡市と連携して早期の復旧に向けた取り組みを進めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 8月27日の盛岡地域を中心にした豪雨災害でありますけれども、線状降水帯が盛岡北部、盛岡南部と発生しました。今、全国的に、集中豪雨型の災害がふえていて、こうした短時間で集中的に降る災害に対して、県も本格的に対応を考えるべきではないのか。台風などの場合には一定程度、進路が事前に予測でき、時間も一定の余裕がある。しかし、今回のような線状降水帯や短時間降雨情報はせいぜい半日ぐらいです。こういうときに県を挙げて、市町村と連携した体制が必要なのではないか。そういう意味で、風水害対策チームのあり方を聞いたのです。県と市町村の新しい災害に対する対応をしっかりやるべきではないか。
 それと、米内川は何の避難勧告も指示もなしに氾濫しました。形式的には水位周知河川ではなかったから、2時間で3メートルも水位が上がったのに、県も市も対応をとらなかった。3メートルというのは完全氾濫している状態なのです。そういう点では、盛岡市の体制も弱かったが、県も水位周知河川ではないからということで済むのか。水位周知河川にすぐ指定してほしい。知事も記者会見でそういう方向を示していますから、確認したいのですけれども、県がこういう局地的な豪雨災害に対する対応を今、再構築することが必要なのではないか。改めてお聞きいたします。
〇復興防災部長(福田直君) 御指摘いただきましたとおり、これまでと対応の異なる形で風水害がやってくるという状況になっておりまして、県としても、これまでの対応から一段上げた対応が必要と考えております。そのため、風水害対策支援チームに、避難情報発令基準の見直し、避難所の速報体制の見直し、さらには、線状降水帯等発生に備えた対応、水位周知河川以外の河川の情報収集、これらの点について改めて諮問させていただきまして、市町村にも助言を改めてさせていただいたところでございます。
 今後も市町村と連携して対応を図ってまいる中で、さらに対応を強めていきたいと考えております。
〇県土整備部長(上澤和哉君) 米内川の水位周知河川の指定につきましては、調査を進め、今後、盛岡市との関係機関との調整を進めて、来年度の出水期前までには指定できるように取り組んでまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 中津川が氾濫水位を超えて、盛岡市は避難指示を出しました。しかし、豪雨が降っている真夜中の指示です。避難所確保が遅かったという話もありますけれども、実際に避難した人も少ないのです。そして、実は障害者施設の人が事前に避難した。ところが、体育館で障がい者の方々がまともに避難生活ができるような状況ではなくて、翌日の朝、すぐ帰ったという話です。障がい者や高齢者の場合には、福祉避難所に避難するということがきちんと確立される必要があるのではないか。
 それと、なぜ避難者数が少ないのかということもしっかり県としても検証すべきだと思いますけれども、最後、いかがでしょうか。
〇復興防災部長(福田直君) 御指摘いただきました内容につきまして、県の風水害対策支援チームにおいても、住民への周知につきまして、平時からの対応としては、避難のあり方ですとか、そもそもの危険情報の周知、さらに、災害時の対応としては、Lアラートの活用、このあたりを改めてお願いさせていただいたところであります。気象庁においても半日前の呼びかけ、まだ正確に出せない場合も多いみたいですけれども、それについても、さらに今後、精度を上げていくというお話もありますので、そういったことを踏まえてしっかり対応していきたいと考えております。
〇議長(工藤大輔君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号、以上17件については、47人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員会に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、10月11日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第2号から議案第27号まで及び議案第32号は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
        委員会付託区分表
   (第6回県議会定例会 令和6年10月7日)
                 決算特別委員会
1 認定第1号
2 認定第2号
3 認定第3号
4 認定第4号
5 認定第5号
6 認定第6号
7 認定第7号
8 認定第8号
9 認定第9号
10 認定第10号
11 認定第11号
12 認定第12号
13 認定第13号
14 認定第14号
15 認定第15号
16 議案第28号
17 議案第29号
   
〔参照〕
        委員会付託区分表
   (第6回県議会定例会 令和6年10月7日)
                 総務委員会
1 議案第2号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款第1項
          第3項
          第4項
          第6項
          第7項
       第9款
       第11款第5項
   第3条
2 議案第11号
3 議案第27号
4 議案第32号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
   第2条
                 文教委員会
1 議案第2号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第2款第8項
       第10款
2 議案第14号
3 議案第17号
4 議案第18号
                 環境福祉委員会
1 議案第2号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款
       第4款
2 議案第3号
3 議案第8号
4 議案第22号
5 議案第23号
                 商工建設委員会
1 議案第2号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第7款
       第8款
       第11款第3項
   第2条第2表中
    1追加中 2、3
    2変更
2 議案第7号
3 議案第12号
4 議案第13号
5 議案第15号
6 議案第16号
7 議案第19号
8 議案第20号
9 議案第21号
10 議案第32号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
       第11款第3項
                 農林水産委員会
1 議案第2号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
       第11款第1項
   第2条第2表中
    1追加中 1
2 議案第4号
3 議案第5号
4 議案第6号
5 議案第9号
6 議案第10号
7 議案第24号
8 議案第25号
9 議案第26号
10 議案第32号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第11款第1項
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時20分 散 会

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