令和6年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(松本雄士君) 自由民主党の松本雄士です。まずもって、能登半島豪雨災害によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
 そして、このたび一般質問の機会を与えてくださいました皆様に感謝申し上げ、通告に従いまして、順次質問させていただきます。
 初めに、本県、そして我が国における最重要課題である人口減少対策について伺います。
 昨年の本県における合計特殊出生率は1.16、出生数は5、432人で、令和5年の自然減は1万4、269人、また、社会減は4、653人となり、高齢化の進展と相まって、地域によっては近い将来、多くの社会基盤や福祉の維持、確保が懸念される状況にあるという強い危機感を抱いております。
 人口減少の要因として、非婚化、晩婚化、晩産化の加速度的な進展と、都市部への転出超過が挙げられ、さきに開催された岩手県人口問題対策本部会議においてもさまざまな分析がなされるとともに、若者を取り巻く状況についても報告があったところですが、非婚化や都市部への流出が起こるその本質的な要因、真因をどう捉えているのか、知事の見解を伺います。
 また、自然減、社会減対策として、これまでにさまざま施策を展開し、令和5年度は217億円、令和6年度は221億円を予算化の上、取り組んでおりますが、それら施策により知事が認識する人口減少の本質的な要因にどのような変化が起きているのか、また、改善の兆しがあると認識しているのか、見解を伺います。
 次に、社会減対策の一つとしての企業誘致等による地域産業の拠点化、高度化の推進について伺います。
 令和3年度から5年度の県内大学等卒業者の県内就職率の推移を見ますと、各年度とも目標を下回っているほか、年々減少し、令和5年度には40.8%となっており、特に大卒就職期の社会減対策が共通の課題認識であると存じます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 私は、最優先に取り組むべき事項は、若年層をど真ん中にした経済対策のさらなる強化であり、加えて、新たな成長シナリオを描き、産業と雇用を創出していくことが重要であると考えております。
 県は社会減対策における令和7年度以降の方向性の一つに、多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上を掲げていますが、その中で重点的に取り組むことは、アンコンシャスバイアスの解消や多様な働き方ができる職場環境の整備等としており、それらも大切でございますが、若年層への経済対策、特に中小企業振興や企業誘致による雇用の場の確保、創出への支援が極めて重要であると認識しております。
 岩手県にやりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出し、岩手県への新たな人の流れを呼び込んでいくためには、北上川バレープロジェクトの推進や県南地域を中心とした自動車、半導体関連産業の振興のみならず、県内各地の特色ある地域資源を生かした産業の発展が重要であると考えます。均衡ある県土の発展を図るため、県央、県北地域や沿岸地域の企業誘致等による地域産業の拠点化、高度化の推進について、今後の取り組み方針を伺います。
 この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
   〔7番松本雄士君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 松本雄士議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少の要因についてでありますが、人口減少はさまざまな要因が関係していると認識しておりますが、行政としては、結婚や子供を持つことを希望する方が直面するさまざまな困難を解消していくことが重要であると考えています。
 非婚化については、経済的、社会的な困難から結婚を諦める状況、いわゆる生きにくさが解消されていない状況があるほか、近年では、コロナ禍による婚姻件数の急減もあると考えています。
 また、本県の社会減は、東京都と本県の有効求人倍率の差と強い相関があり、東京圏との相対的な経済状況の差が影響していると見られることから、コロナ禍による地方回帰の効果等により減少幅が縮小した時期もありましたが、再加速している東京一極集中の影響が大きいと捉えています。
 次に、自然減、社会減対策の施策展開による変化についてでありますが、県では、経済的、社会的な困難から結婚や出産等を諦める、いわゆる生きにくさの解消を図るため、全国トップレベルの子育て支援施策や多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上を図る施策を展開しており、県内全市町村が第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化を実施、i−サポ会員数が8月末時点で前年同月比121%の1、000人を突破、いわて働き方改革推進運動に1、000社を超える企業が参加、北上川バレーエリアに、半導体、自動車関連を中心に、令和元年から令和5年で89社の企業が進出、東北最多の企業が経営革新計画に基づく生産性向上を実施するなど、結婚、出産のしやすさが改善し、また、働き方改革、生産性向上、賃上げに取り組む県内企業が増加しています。
 さらに、男女の役割分担に関するアンコンシャスバイアスの解消に向けて、県では、経営者の意識改革に向けた啓発や家庭内無償労働の見える化などに取り組んでいますが、民間ベースでも、岩手経済同友会が人口動態の専門家である天野馨南子氏による講演、パネルディスカッションを開催するなど、動きが活発化しています。
 一方で、本県の婚姻件数、婚姻率ともに、全国同様、減少傾向が続いている、大学生の県内就職率がコロナ禍前の水準を割り込んでいるなどの状況が見られます。
 このため、県では、多方面で見られる良好な動きをより大きなものにし、課題にも戦略的に対応していくため、少子化対策、社会減対策の三つの柱に、市町村や地域的な対策に関する取り組みを加えたプラスワンの基軸に沿って、市町村や企業、団体等と連携しながら、施策のさらなる強化、拡充を図ってまいります。
 次に、企業誘致等による地域産業の拠点化、高度化の推進についてでありますが、県では、自動車や半導体関連産業を中心に、国際競争力が高く、経済成長の牽引役となるものづくり産業のさらなる発展を目指すとともに、それぞれの地域の資源や特性を生かした産業振興に取り組んでいます。
 これらの取り組みにより、県央地域では、ヘルステック・イノベーション・ハブを拠点とした医療機器関連産業や、滝沢市IPUイノベーションパークを初めとしてIT産業の集積が進んでいるほか、高い付加価値を生み出す研究開発型の企業立地も進んでいます。
 県北・沿岸地域では、高い技術力を誇る縫製業、コネクタや空気圧関連の製造業、農林水産資源を生かした食料品製造業に加え、再生可能エネルギーを活用した企業誘致の可能性が高いと考えています。
 今後も、地域全体の産業競争力の強化を図るため、生産性、技術力の向上などを支援しながら、県南地域における自動車、半導体関連産業への地場企業の参入拡大のような好循環を生み出すことで、特色ある地域産業の拠点化、高度化を推進し、若者や女性の地元定着、U・Iターンの拡大を図ってまいります。
〇7番(松本雄士君) 今、知事より御答弁いただきました。その中で、今の真因として経済的な生きにくさとか、東京一極集中という話が出ました。私もそうとは思っていますが、人口減少の本質的な要因の一つには、若年層が抱く将来の雇用や経済基盤への大きな不安、閉塞感があるのだと思っております。今を担う我々が、その責任において、その不安の解消に全力を尽くしていかなければならないと思っております。
 今、i−サポ―いきいき岩手結婚サポートセンターであったり、いろいろな取り組みの数値的な報告がございましたが、私は自然減、社会減対策において、本当に狙いとしているところに対して、また、不安解消というところに対して、改善の兆しというのは見えていないと認識しております。繰り返しとなりますが、私は、若年層への経済対策、特に中小企業振興や企業誘致による雇用の場の確保、創出にもっと注力すべきと思っております。
 そして、今、東京一極集中の話が出ましたが、少子高齢化が進んでいき、経済合理性にどうしても重きを置きますと、効率性向上やコストパフォーマンス的な観点から、都市部への集中、集約というのが必然的に高まっていくと思います。知事はそもそも均衡ある経済発展、県土の発展という意義、また、その必要性をどう捉えているのかというところをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 先ほど申し上げましたように、まず、今までの蓄積も生かしながら、そして、それぞれの地域の特色に応じた産業を振興していくことが重要と考えております。
 一方、自動車、半導体関連産業というのは、県北地域、あるいは沿岸地域に関連企業が成長していくことは視野に入れて取り組んでいるところでありますし、そういう意味で、県南地域で起きているようなことが県北・沿岸地域にもということ、また同時に、県北・沿岸地域特有の食料品関係の産業などをさらに伸ばすということ、それぞれ見込みのあるようなことについては、あらゆる分野、あらゆる手段を講じながら産業振興を進めるということだと考えております。
〇7番(松本雄士君) それぞれの地域の特徴を生かして振興に努めていただくというのは、ぜひそのとおりやっていただきたいですし、私は、地方の衰退と都市部への集中というのは、あらゆるリスク、災害であったり、労働であったり、医療、福祉、社会保障制度上の維持、そういうリスクを高めてしまう。それは都市部にとっても、地方にとってもメリットはなくて、中長期的な視点で均衡を保ち、持続可能な形で発展していくのがこの日本において必要不可欠であると思っております。
 そういったことで、先ほども話がありましたが、滝沢市IPUイノベーションパークのことについて質問させていただきたいと思います。
 企業誘致等による地域産業の拠点化、高度化の取り組み一つである滝沢市IPUイノベーションパークについては、滝沢市、岩手県立大学及び岩手県が平成21年に整備計画を策定し、関係機関とも連携を図りながら、IT関連企業の誘致や人材育成などを進めてきたところであり、これまでの本会議や委員会においても、拡張を含めた滝沢市IPUイノベーションパークの発展に取り組むと繰り返し答弁がされてきているところです。
 雇用の創出による社会減の克服、県民所得の向上という重要な目的の実現に向けても、東北地方最大の開発拠点を目指し、県立大学周辺のIT関連産業のさらなる集積に向け、県が主体性を発揮して、滝沢市IPUイノベーションパークのさらなる拡張に取り組むことが必要と考えますが、県の見解を伺います。
〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 産業集積を進めていくに当たっては、市町村が主体となって産業用地の整備を行い、県と市町村が連携して誘致等を行うことを基本としております。
 現在のパークにつきましても、岩手県立大学のポテンシャルを生かし、地域産業の開発力や競争力を支えるIT開発拠点の形成を図るため、このような考え方のもとで整備を行った上で、県、滝沢市及び岩手県立大学が共同で運営計画を定め、企業誘致を含めた取り組みを一体的に行っております。
 現在では、このパークに28社もの企業が立地するなどIT関連企業の一大集積地として定着したことを受け、滝沢市から隣接地への拡大の意向が示され、パークの拡張の必要性を盛り込んだ新たな運営計画を本年3月に策定したところです。
 今後も、引き続き、パークの拡張が迅速に進むよう、必要な支援を行ってまいります。
〇7番(松本雄士君) パークの拡張に取り組んでいただけるということで、ぜひともお願いしたいわけでありますけれども、ハード的な質問の次に、ソフト的な支援の質問をさせていただきます。
 岩手県立大学は、平成10年に開学以降、地域の知の拠点として産学官が連携して地域産業の活性化や県民生活の向上に大きく寄与してきているところでありますが、その運営及び施設整備等に、例年約40億円ほど県の一般会計予算に計上されております。
 また、県立大学の卒業生の県内就職状況を見ますと、令和5年度卒業生で38.3%、ソフトウェア情報学部においては25.4%の県内就職状況となっており、私は非常にもったいないと思っております。岩手県立大学創設の意義、滝沢市IPUイノベーションパーク整備の経緯等を踏まえれば、もっと県が主体性を持って、岩手県立大学及び近隣市町との連携のもと、滝沢市IPUイノベーションパークを核とした地域産業の拠点化、高度化に取り組んでいくべきと考えます。ついては、県の強いリーダーシップのもと、企業誘致や滝沢市IPUイノベーションパークに立地する企業への就職促進に向けての取り組みを強化していくべきと考えますが、県の見解を伺います。
〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 全国的にIT人材の確保が課題となる中で、このパークは、県立大学に隣接するすぐれた立地環境にあり、IT関連企業の誘致を進める上での大きな優位性を有していると考えております。
 さらに、県立大学では今年度から、ソフトウェア情報学部2年生のカリキュラムにおいて、パーク内企業の見学と企業による講義を必修化するなどの取り組みを進めており、こうした状況を積極的に情報発信しながら企業誘致を進めていきたいと考えております。
 また、こうした取り組みを進めることで、県立大学ソフトウェア情報学部の県内就職率をさらに高めていくことが可能であることから、パーク内企業と学生の交流やマッチングの機会をさらにふやしていくとともに、大学生による起業、スタートアップ支援、さらには、首都圏等からのU・Iターンの促進を図ってまいります。
〇7番(松本雄士君) IT人材の育成が必要だと、IPUイノベーションパークのポテンシャルであるとか優位性はあるという発言が今ありました。そのとおりだと思っております。ただ、本年3月に策定されたIPUイノベーションパークの運営計画を見ますと、私はどうしても県の消極的な姿勢の印象を強く受けております。繰り返しになりますが、県立大学創設の意義、IPUイノベーションパーク整備の経緯等を踏まえますと、県がもっと主体性を持って、リーダーシップのもと、IPUイノベーションパークの活性化とそこを中心とした地域産業の拠点化、高度化に力強く取り組んでいただきたいとお願いする次第であります。
 さらには、ICT企業のみならず、医療、福祉、環境等、幅広い産業のトップセールスや優遇措置、IPUイノベーションパークに就職する学生への支援等も考えていただきたいと思います。
 続いて、次の質問に移ります。
 農業振興について伺います。我が国及び本県の農業は、自然環境、世界情勢、生産構造、需給、価値観をめぐる制度等、全てにおいて大きな転換期を迎えているものと認識しております。
 そのような中、農業者の減少は、人口減少のさらにその先を進んでおり、20年後には基幹的農業者の中心となる層は、現在の約20%程度になるのではないかという見込みもあります。本県においても例外ではなく、令和2年に4万4、000人いた本県の基幹的農業者数は、20年後には1万人を割り込むことも想定されます。誰が食料を生産し、供給してくれるのでしょうか。
 現在、県では、今後の岩手農業振興の柱となる中長期的な農業ビジョンが農政審議会等の意見を踏まえて検討されており、非常に期待を寄せているところであります。本県農業における中長期的なビジョン策定の意義と目指すところ、また、検討状況について伺います。
〇知事(達増拓也君) 食料自給率が100%を超える本県においては、食料・農業・農村基本法の改正を契機に、気候変動やGXの進展など本県農業を取り巻く環境が変化する中、その強みをより一層発揮し、我が国の食料供給基地としての役割をしっかりと果たしていくことが重要と考えております。
 日本の農業が危機的状況に直面している今、この岩手県から、あるべき日本の農業の姿を実現するよう、農業ビジョンは、市町村、関係団体、生産者と一体となって、農業生産の増大や人材確保、育成などの方向性を示し、本県農業を強化する役割が期待されます。
 これまで、岩手県農政審議会において意見を伺ったほか、県内全ての市町村や農業協同組合長等との意見交換を実施したところであり、今後も、生産者や農業団体等の意見を広く伺いながら、現在議論が進められている、国の食料・農業・農村基本計画の策定などの動向も踏まえつつ、農業ビジョンの策定を進めてまいります。
〇7番(松本雄士君) かつて岩手県の農業は生産額3、500億円を超え、その振興に当たっては、生産者、関係団体一体となって岩手県農業基本計画等を策定し、総合食料供給基地としての位置づけを明確にして、主産地の形成や品目、地域ごとに施策が力強く策定、実践されていたと認識しております。
 農業を本県の基幹産業というのであれば、かつてのような深い協議、検討と施策の展開を期待するものであります。今、意見交換を進めているというところでありますけれども、ぜひ、それをより深く、広く進めていただきたいと思います。
 そして、これからの農業ビジョンには、安全、安心は大前提として、環境負荷低減に先進的に取り組みながら、生産意欲を高める農業所得目標を設定し、生産性の向上や低コスト化など、採算性を重視した取り組みを強力に後押しするものであってほしいと思います。
 また、岩手ブランドの発信強化に向け、消費動向等を踏まえ、主要作物の生産方向と主産地の再設定など、さらに市場性の高い産地形成に取り組んでいただきたいと思います。
 いずれ、しっかりと稼げる農業を目指し、農業所得の確保が見通せなければ、農業者はいなくなってしまいます。ぜひそういうものを後押しするものであってほしいと思います。
 そこで、農業ビジョンの策定に係る目標設定について伺います。農業ビジョンは、農業に携わる方々を初め、広く県民がいわて農業に誇りや夢、希望を感じられるものにしていくことが何より大切であり、そのための目標を持つということが重要でありますから、新規就農者数や農業法人数、農業産出額等の総合指標のほか、主要品目の作付面積や単収等の生産者側の目標を設定すべきであり、また、可能であれば、ビジョンに県内における県産消費や食の教育の充実に向けた目標設定も検討すべきと考えますが、県の考えを伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 農業ビジョンの目標設定についてでございます。
 農業ビジョンは、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を一層推進していくため策定するものでございまして、その目標設定につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)における、いわて幸福関連指標や具体的推進方策指標のほか、農業振興に係る各種個別計画の目標との整合性を考慮しつつ、岩手県農政審議会を初め生産者や関係機関、団体等の意見を伺いながら、策定過程の中で検討を進めていきたいと考えております。
〇7番(松本雄士君) 次に、そのビジョンを形あるものとして、絵に描いた餅とせず、きちんと実践していくために、各種施策の展開とその裏づけとなる財源をしっかり考えていかなければならないと考えております。令和5年度に、県は全国においても先駆けてグリーン/ブルーボンドを発行し、地球温暖化など環境的課題解決に貢献する取り組みを後押ししています。
 一方、農業においても、国のみどりの食料システム戦略等を踏まえ、中長期的な観点から、調達、生産、加工流通、消費の各段階において、カーボンニュートラル等の環境負荷低減を推進し、持続可能な食料システムの構築に向け、取り組みを進めているところであります。
 ついては、本県独自の取り組みとして、環境負荷低減の取り組みを推進しながら、農業ビジョンの実践に資するアグリボンド的なものの発行による財源確保についても考えていくべきと考えますが、県の見解を伺います。
〇総務部長(千葉幸也君) 政策の推進を下支えする継続的かつ安定的な財源の確保に向け、既存の歳入確保策に捉われず、さまざまな選択肢を検討の俎上に乗せることは重要であると認識しております。
 さきのグリーン/ブルーボンドの発行におきましては、金融市場における旺盛な投資需要を背景に、通常の債券よりも低利での資金調達を実現したところでございます。
 松本雄士議員御提案のアグリボンドにつきましては、資金の使途を農業関連事業にあらかじめ特定し、発行する債券であると考えておりますが、その実現に当たりましては、国際基準等に基づくフレームワーク、当該債券に対する市場におけるニーズ、発行業務を引き受ける金融機関の有無などの課題があり、現行の債券以上に発行の優位性を確保するためには、今後さらなる研究が必要であると認識しております。
〇7番(松本雄士君) さまざま課題はあるけれども、理論的には発行できないことはないと受けとめました。ぜひその研究を進めていただきたいと思います。
 また、その財源確保策として、次に、電気事業会計の剰余金処分についても伺いたいと思います。
 電気事業会計の剰余金処分として、震災復興・ふるさと振興パワー積立金から農業部門のGX関連等にも繰り出しがなされています。令和5年度の包括外部監査結果報告では、電気事業会計は多額の流動資産を保有しており、電気事業の資金需要を確保した上で、県民への還元を念頭に置いて、これを有効活用する必要があることについて言及されております。また、外部包括監査結果の中には、同程度の新潟県の例が示されておりまして、新潟県は本県の2倍ぐらいの水準で剰余金処分で一般会計に繰り出しているというのも報告されておりました。
 電気事業会計において、将来への備えを確保しておくということは当然に必要でありますが、想定以上の利益が計上された際には、より積極的な剰余金処分を行い、農業部門等へのGX推進を図っていくべきと考えますが、県の考えを伺いたいと思います。
〇総務部長(千葉幸也君) 電気事業会計でございますが、独立採算制により経営される公営企業でありまして、資産や利益の活用については地方公営企業法に基づいて行われているということであります。
 これまでも、地域貢献、それから県民への還元ということでございますが、これは総務部から企業局に対して、さらなる地域貢献ということでお願いしてまいったところでございますが、今後もさまざまな形で、県の政策を推進していく上で、相談しながら進めてまいりたいと考えております。
〇7番(松本雄士君) ぜひ積極的な剰余金処分というのを検討していっていただきたいと思います。
 県内の農業団体が本年より先進技術を取り入れたピーマン栽培の実証農場を稼働させております。本県は夏秋季では全国1位のピーマン産地であり、その農業団体、JA全農になりますけれども、中山間地域の農家に技術を還元し、生産拡大、中山間で稼げる農業について目指していくということを目的に取り組んでいるところです。
 そして、この実証農場は、土を使わず、液体肥料を循環させる廃液の再利用、また、太陽光パネルの設置による動力源への再エネの積極的な活用、自動収穫ロボットの導入など環境負荷の低減、人手不足等の対応、まさにこれからの農業に求められることに挑戦しているというものであります。その実証農場の経営的な検証は数年かかると考えられますが、このような分野にぜひ県も積極的にチャレンジ、投資していっていただきたいとお願いする次第であります。
 次に、農業ビジョンの実践に当たって、もう一つ、市場性の高い産地づくりについてお伺いいたします。
 農業ビジョンには、生産性、市場性の高い産地づくりに向けた取り組みを大いに期待するところであります。特にクオリティの高い岩手ブランドをどう発信し、認知してもらい、消費行動までつなげていくのかといった戦略がとても重要になると思います。まずは知ってもらうというところが大切かと存じます。
 ついては、世界に誇れる岩手県の農林水産物を世界で最も有名な本県出身のスポーツ選手に、イワテベリーデリシャスと発信してもらうだけでも絶大な効果があると考えます。岩手県のために一肌脱いでもらうという意味で、岩手アンバサダーへの就任について、オール岩手で我々一丸となって、本気になって大谷翔平選手にお願いしたい、お願いすべきと考えますが、このことについての所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) 県では、JAグループが、いわて純情米等のアンバサダー契約を締結した佐々木朗希選手や、県産農畜産物の応援団長に任命した天津木村さんなど、本県ゆかりの著名人とのつながりを活用した県産農林水産物のPRに、関係団体と連携しながら取り組んでいます。
 松本雄士議員御提案の、大谷選手への岩手アンバサダー就任依頼については、国内外での県産農林水産物のPRに大きな効果が期待できる提案と考えますが、実現に向けての課題も多いものと認識しております。
 大谷選手がインタビューやSNSで紹介したヨーグルトや南部鉄器が国内外の注目を集めたところであり、県としては、アンバサダー就任以外のさまざまな形も含め、どのような取り組みが可能か研究してまいります。
〇7番(松本雄士君) 大谷選手はこの岩手県に生まれ、岩手県で育って、岩手県に対する思いが強くあると思います。ぜひとも皆様、よろしくお願いいたします。
 次に、飼料高騰対策について伺います。
 農業生産資材全般において価格の高騰が続いており、農業経営に与える影響はとても大きいものがあります。生産資材価格の高騰、高どまりの状況の中で、農畜産物への価格転嫁は思うように進まず、生産者への経営努力でコストを吸収することは限界となり、直近の農林水産省の統計では、畜産部門の営業利益は、経営体、規模にかかわらず、軒並み赤字となっております。
 特に配合飼料の高騰による畜産経営の影響が大きいため、国の配合飼料価格安定制度により影響緩和を図ってきたところ、令和5年度以降も価格の高どまりが継続し、制度の仕組み上、補填が急減することで飼料コストが急増することが懸念されたことから、国では、飼料コストの急増を段階的に抑制する新たな特例を設けて対応してきましたが、3・四半期連続で発動したことで、新特例は昨年度に終了しております。
 県では、畜産経営体の負担を緩和するため、配合飼料価格の上昇分のうち、配合飼料価格安定制度では補い切れない額の一部について、令和5年度第4・四半期まで1頭当たり2、000円を補助していましたが、令和6年度の県の対応について伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 県では、これまで飼料の価格上昇分を支援する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に累次の補正予算により飼料購入費への支援を行い、令和5年度第4・四半期の補助金については、ことし7月に生産者に交付したところです。
 直近の配合飼料価格は低下傾向にあるものの、ことし7月現在の価格は、高騰前の令和2年と比べ約4割高く、依然として畜産経営に大きな影響を与えております。
 このため、配合飼料価格安定制度を所管する国に対し、配合飼料価格の高騰が続いた場合においても、畜産経営体の再生産が可能となる十分な補填金が交付されるよう、制度の拡充を繰り返し要望しています。
 また、生産コストのさらなる低減に向けまして、化学肥料の使用量を低減する堆肥等の活用や、飼料基盤を積極的に活用した自給飼料の生産拡大を推進しておりまして、今後も畜産経営の安定が図られるよう取り組んでまいります。
〇7番(松本雄士君) 配合飼料の高どまりが畜産経営に与える影響は大きいことから、ぜひとも県独自の対策の継続を検討していただきたいと思います。
 また、その財源となっておりました重点支援地方交付金等、こういった継続、拡充についても、強く国に働きかけていっていただきたいと存じます。
 そして、一時的な価格補填では、もっと必要なのは、飼料自給率向上に向けた構造転換のところでありまして、そこへの取り組みについて、次に伺います。
 飼料の自給率向上は持続可能な農業の発展や食料安全保障に直結する重要な課題であります。2023年度の日本の飼料自給率は全体で26%、濃厚飼料に至っては自給率13%と、そのほとんどを輸入に依存している現状です。このような状況では、国際情勢等による飼料価格の高騰や供給不足のリスクを常に抱えているほか、経営コストの3割から5割を占める飼料費をいかに低減させていくのかということが畜産農家にとって大きな課題となっています。
 県内畜産業の安定的、持続的な発展を目指すためには飼料自給率の向上が必要不可欠、広大な面積を有する本県において、耕種農家の輪作体系の一環として飼料作物の拡大や耕畜連携の推進、外部組織による飼料生産の効率化、青刈りトウモロコシ等の高栄養飼料作物の生産拡大、草地の生産性向上等により国産飼料に立脚した畜産への転換をより一層推進していかなければなりません。ついては、国産飼料供給力向上に向けた県の考えと、今後の取り組み、具体的な数値目標について伺います。
 また、地域計画策定における畜産農家と飼料生産組織の参画状況についても伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 飼料自給率向上でございますけれども、国産飼料の供給力向上は、生産費の約4割を占める飼料費の低減につながる重要な取り組みであり、飼料作物の作付拡大や草地の生産性向上とともに、飼料生産の効率化などを進めることが必要と考えています。
 県では、酪農・肉用牛生産近代化計画において、令和12年度の飼料自給率の目標を乳牛で50.9%、肉用牛で53.8%とし、牧草地、飼料畑の造成や、水田を活用した飼料生産、牧草等の収穫量を高める草地改良のほか、飼料の安定的な生産、供給を担う外部支援組織の育成などを進めています。
 さらに、今年度は新たに、稲作経営体への専用収穫機等の導入による高品質な稲ホールクロップサイレージの供給や、専門家派遣による外部支援組織の経営の多角化等を支援しておりまして、今後も国産飼料の供給力向上に取り組んでいきます。
 それから、地域計画についてでございます。令和6年4月に県と農業団体で策定をしました地域計画策定に係る推進方針におきまして、耕畜連携を重点活動事項の一つとしております。現時点で、畜産経営体等が参画した計画が8市町13地区で策定されている状況でございます。
〇7番(松本雄士君) わかりました。ぜひともその数値目標の達成に向け、力強い取り組みをよろしくお願いいたします。
 次に、農業共同利用施設の整備更新について伺います。
 カントリーエレベーターやライスセンター等のもみ乾燥調製施設は、生産コストの削減など地域農業振興に大きく貢献する、極めて公共性が高い施設であります。また、年間を通じた高品質な米の安定供給に大きく寄与するなど、国内の安定的な食料供給、流通において重要な機能を担っており、改正された食料・農業・農村基本法の目的に食料安全保障の確保が新田に加えられたことを斟酌いたしましても、その整備、更新は適切になされるべきものと認識しております。
 これまでも強い農業づくり交付金等の国庫補助事業を活用し、新設及び機械施設の改修、更新、再編整備を行ってきておりますが、耐用年数を経過した施設が約7割となっており、劣化状況等に応じた施設の更新や長寿命化への対策が喫緊の課題となっております。
 しかし、もみ乾燥調製施設の更新において、米需要量が減少していく中長期的なトレンドを勘案しますと、単純な更新では国庫補助事業の採択に必要なポイントを積み上げるには、現状かなりハードルが高くなっております。さらには、園芸の集出荷施設の老朽化も深刻な状況となっております。
 ついては、農業共同利用施設に係る機能維持や施設の長寿命化、再編、更新に係る県の見解や今後の支援等について伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 農業共同利用施設は、生産者の調製作業の省力化に加え、共同選別による品質の均一化、共同出荷による市場性の向上などに重要な役割を果たしており、施設の長寿命化や再編、整備に計画的に取り組んでいく必要があると考えております。
 県では、これまで施設の再編、整備を支援する国事業の活用を進めるとともに、県独自に施設の省エネ化への支援などを実施してきたところです。
 今般、国では、令和7年度農林水産予算概算要求において、施設の再編、整備を促すために、事業の上限単価の引き上げや予算枠の拡充を盛り込んでおります。
 県としましては、国事業の詳細を確認しながら、JA等の施設の再編、整備事業が採択されるよう計画策定等に支援するとともに、今後、施設の長寿命化に係る支援の必要性を国に対し働きかけてまいります。
〇7番(松本雄士君) ぜひとも農業団体と一緒になって連携を密に取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 次に、中山間地域等直接支払制度の見直しについて伺います。
 本県において、中山間地域は県土面積、耕地面積、農業産出額の大部分の約8割を占めており、当該地域における営農と生活機能の維持が重要な課題となっております。国では、中山間地域等直接支払制度の集落機能強化加算を令和7年度以降の6期から廃止し、同加算の対象だった生活支援は、新設するネットワーク化加算の対象に加える方向で検討されているとの報道がされています。
 集落機能強化加算は5期で初めて加算され、営農以外の除雪や見守り、送迎、配食などの生活支援や営農ボランティアなどに活用でき、令和6年度において県内では6市町40集落、面積としては1、912ヘクタールで協定が結ばれており、活用している集落からは、地域の機能維持に対し評価が高い制度でありました。
 ネットワーク化加算に移行するとすれば、上限額が引き下げられるほか、複数の集落をまとめなければならないことが想定されます。そもそも複数の集落の機能を補完し、農用地保全のみならず、生活支援を目的とした農村型地域運営組織、いわゆる農村RMОでありますが、それはその規模や範囲、かかる手続が煩雑であるということを要因に、事実、現在、岩手県では5地区にとどまっているほか、秋田県では3地区、青森県はゼロと農村RMОの活用は停滞しております。
 現場からは集落機能強化加算の唐突な廃止に戸惑いと継続を求める強い声を聞いております。ついては、県として、集落機能強化加算廃止に対する見解と、かかる影響をどう把握しているのか伺います。
 また、各地への説明や支援等について、今後どう進めていくのか伺います。
〇農林水産部長(佐藤法之君) 中山間地域等直接支払制度の集落機能強化加算についてでありますけれども、県内では、令和6年度、奥州市や西和賀町など6市町40協定において、この加算措置を活用し、高齢者の見回りや、通院、買い物支援などに取り組んでおりまして、地域からは、先ほど松本雄士議員からもお話がございましたけれども、廃止された場合、こうした取り組みの継続に支障が出るとの懸念や不安の声が届いているところです。
 県では、集落機能強化加算は、生活支援等の集落機能の強化につながっていることから、国に対し、ことし6月に令和7年度からの第6期対策においても継続するよう要望するとともに、地域からの懸念や不安の声についても国に伝えております。
 国では、今月下旬に本県での説明会を開催する予定でありまして、こうした機会を通じて、第6期対策における加算措置等、制度の詳細を確認するほか、国の動向も注視しながら、必要な対応を検討してまいります。
〇7番(松本雄士君) 国には農村に生活の基盤があるから営農を継続できる、営農を継続できるから農地を守れるという視点が今回大きく欠落していると思っております。この廃止は中山間地域等直接支払制度の根幹にかかわるものと受けとめております。そもそも中山間地域等直接支払制度は農地を守ることが大前提でありましたから、県からも国に対し、地域の声、実情というものをしっかり伝えていただきたいと思います。
 続いて、農福連携の推進について伺います。
 農業と福祉の連携についてでありますが、直近の調査では、県内の指定就労継続支援事業所が250事業所ありますが、そのうち何らかの形で農業に関与しているものが46%、116事業所、現在は取り組んでいないが興味を持っているというのが34事業所、農福連携に対して非常に関心の高いところが伺えます。
 農業と福祉サイドのそれぞれの事情、ニーズから農福連携のさらなる推進が求められており、改正食料・農業・農村基本法の第46条には、障がい者等が有する能力等に応じて農業に関する活動を行うことができる環境整備に必要な施策を講じることというのが新規に盛り込まれました。
 これからの地域共生に資する農福連携のさらなる推進に向け、農業、福祉サイド、そして、行政が一体となって取り組みを進めていく必要があると認識しております。
 現在、農福連携に取り組む農業法人や福祉サービス事業所等へのハード支援については、国の農山漁村振興交付金(農福連携型)がありますが、設備等の導入により作業に携わる障がい者を3年で5名以上ふやさなければならないなど、事業要件のハードルの高さから現場での活用が進んでおらず、県内では多くの事業所が農福連携に、先ほど申した数ぐらい取り組んでいる中、令和5年度の本県の国の交付金の活用、採択はゼロであります。また、制度導入以来、本県のこれまでの採択実績は6件にとどまっております。
 農福連携に取り組みたいという現場では、農福連携に関心があっても経営リスク等を勘案し、なかなか踏み込めない実態が多くあります。現場は、スモールでもスピード感があってシンプルな支援を必要としております。このことについての県の見解と今後の対応について伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 農福連携は、農業の担い手の確保に加え、障がい者にとっても多様な就労機会の確保と地域との交流促進などが期待できる重要な取り組みであります。
 本年6月に実施いたしました障害者就労継続支援事業所を対象としたアンケート調査によりますと、松本雄士議員御指摘のとおり、約半数の事業所が事業所内での営農、生産者からの農作業の受託、農産物の加工などの方法で農業に取り組む一方で、課題として、支援人員の不足、周年での作業確保のほか、農作業に必要な設備の整備等が挙げられているところであります。
 農福連携に係る設備導入については、国による補助のほか、公益財団法人等の民間団体が助成事業を実施しており、草刈り作業機器など比較的低廉な設備導入にも活用された実績があると承知しております。
 県としては、いわて障がい者就労支援センターに配置いたしましたコーディネーター等を通じまして、助成に係る情報提供とあわせ、その活用を丁寧に支援するなど、農福連携の一層の促進を図ってまいります。
〇7番(松本雄士君) 民間団体への補助、国の交付金よりは使いやすいものがあるというのはそのとおりでありますが、現場に余り周知されていない、活用もされていない。ぜひそういうものの周知、また、県においても、スモールでもスピード感があってシンプルな、一歩目を踏み出せるような事業の創設を検討していただきたいと思います。
 次に、不登校対策について伺いたいと思います。
 本県の児童生徒数、国公私立、小中高の計でありますけれども、令和元年度からの5年間で1万947名減少し、現在、約11万名ほどとなっています。一方、令和4年度の不登校児童生徒数は2、588名、平成30年度から令和4年度までの5年間で800名増加している。全体の児童生徒数は大きく減少している。ただ、不登校児童生徒はふえているという現状がございます。
 県は、不登校児童生徒の増加の要因をどのように把握し、その要因に対しどのような対策をとられているのか伺います。
〇教育長(佐藤一男君) 不登校の背景や要因は多岐にわたり、個々の児童生徒の状況も多様であります。令和4年度の児童生徒問題行動・不登校等生徒指導上の課題に関する調査によりますと、文部科学省では、小中学校における不登校について、長期化するコロナ禍による生活環境の変化により、生活リズムが乱れやすい状況が続いたことや、学校生活においてさまざまな制限がある中で交友関係を築くことが難しかったことなど、登校する意欲がわきにくい状況にあったことなども背景として考えられるとの見解を示しているところでありまして、本県においても同様の認識でございます。
 県教育委員会としましては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの配置、24時間子供SOSダイヤル等の相談窓口の設置、1人1台端末等を利用したこころの相談室の設置、市町村の教育支援センターの新設、強化のための補助事業など、これまでの不登校対策に加え、今年度は新たに、不登校児童生徒支援連絡会議主催による保護者支援のためのフォーラムの開催、県教育支援センターふれあいルーム分室の県立図書館内への設置、1人1台端末等を活用した心の健康観察システムのモデル事業に取り組んでいるところです。
〇7番(松本雄士君) 不登校児童の増加を背景にさまざま取り組みが広がってきているというのを今、聞いたところでありますが、県民意識調査においても、いじめや不登校に対する適切な対応へのニーズは非常に高い。県民もこの事態をとても憂慮しているということでありまして、その取り組みをよろしくお願いいたします。
 また、そのような不登校対策におけるスクールソーシャルワーカーについて聞いていきたいと思います。
 人口減少が進展していく中、これからの希望ある岩手県や日本を創造する大切な子供たちの健全な成長支援、学びの場の確保が極めて重要であると考えます。そのためにも、一人一人の子供に寄り添う姿勢、安心して学べる居場所づくり、誰一人取り残されない学びの保障に向けた取り組みが特に大切であると考えております。
 さらには、不登校から成人となって、そこからのひきこもりにもつながるというケースも一定数あるものと推察され、社会における経済的損失も大きいものと考えております。
 不登校対策では、その背景にある家庭環境の複雑化、深刻化という現状に対し、学校独自での改善、解決は難しく、そこにおいて専門的見地からの不登校児童生徒を取り巻く環境に働きかける福祉専門職としてのスクールソーシャルワーカーの役割はとても大きいものがあると認識しております。
 また、不登校対策及びその予防においては、保護者や関係者間での情報共有がとても大切であり、スクールソーシャルワーカーの方々には対象児童生徒を初め、その御家族や周辺環境への働きかけ、調整等に日夜御尽力いただいているところであります。
 現在、県では18名、また、6市町では独自にスクールソーシャルワーカーを配置されておりますが、県は、今の教育現場におけるスクールソーシャルワーカーの必要性をどう捉えているのか。また、現状のスクールソーシャルワーカーの体制や活動における課題認識についてお伺いいたします。
〇教育長(佐藤一男君) スクールソーシャルワーカーは、社会福祉の専門的な知識、技術を活用し、問題を抱えた児童生徒を取り巻く環境に働きかけ、家庭、学校、地域の関係機関をつなぎ、児童生徒の悩みや抱えている問題の解決に向けて支援をするなど、重要な役割を担っています。
 県教育委員会では、スクールソーシャルワーカーを6つの教育事務所にそれぞれ2名から4名を配置するとともに、その活動に指導、助言を行うスーパーバイザーを本庁に1名配置し、全18名で県内全ての市町村の小中学校の相談に対応できる体制を整えています。
 課題としましては、相談件数が年々増加し、問題も複雑化、多様化していることから、スクールソーシャルワーカーの専門性の向上に加え、保健、医療など、多くの専門家との連携を強めていく必要があると認識しております。
 そのため、これまでスーパーバイザーによる教育事務所のスクールソーシャルワーカーへの助言や、教育事務所ごとに大学教授等を招いてのケーススタディに取り組んできたところであり、今後も、各教育事務所の事例を持ち寄った全体での研修の実施など、スクールソーシャルワーカーの専門性の向上に向け、研修内容の充実に取り組んでまいります。
〇7番(松本雄士君) 教育現場においては、多くの学校の先生方に児童生徒に寄り添った教育相談体制の充実に取り組んでもらっておりますが、一方で、過重労働の問題もあり、一人でも多くの児童の悩みに寄り添っていくため、スクールソーシャルワーカーに求められるところは大きいと認識しております。
 そのような役割を担うスクールソーシャルワーカーの方々は、地域に根ざし、子供やその御家族に継続的に寄り添い、支援していくことが望ましく、雇用の安定が不可欠であると考えますが、スクールソーシャルワーカーの現状の雇用契約、勤務形態及び報酬、期末勤勉手当の支給等について伺います。
〇教育長(佐藤一男君) スクールソーシャルワーカーは、毎年度、会計年度任用職員として任用し、そのうち、教育事務所に配置し広く管内を統括するエリア型スクールソーシャルワーカーにつきましては、1日6時間、週4日、年間840時間勤務、学校訪問を中心に個別事案に対応する訪問型スクールソーシャルワーカーについては、1日6時間、週2日、年間420時間勤務しております。
 報酬につきましては、時給2、850円で、期末勤勉手当はエリア型スクールソーシャルワーカーに支給されております。
〇7番(松本雄士君) 県内の市町においては、正職員としてスクールソーシャルワーカー専門に従事したり、月給制のところもあると聞いております。また、他県の市においても、月額報酬のところが多くあると聞いております。本県のように会計年度任用で、時給制である上、週や年間の上限時間数がある中では、子供の立場に立った支援が十分にできるのでしょうか。その御家族に寄り添った支援ができるのでしょうか。さらには、訪問型スクールソーシャルワーカーにおいては、年間、勤務時間の制限から、期末手当、勤勉手当も支給されていないという実態があります。
 以前、大槌町の正職員であり、スクールソーシャルワーカーとして活躍されているナムさんという方にお話を伺いました。本年7月11日の岩手日報にもその取り組みが大きく取り上げられておりますが、一人一人の事情や特性に応じた支援に奮闘されております。
 多くの対象児童に多様な学びの場をつないでおりました。行き場のない感情を抱える子供に寄り添いたい、ナムさんはその思いで大槌町全ての小中学生の面談であったり、地域での体験学習の場づくり等に尽力されております。
 そのナムさんも、スクールソーシャルワーカーは非常勤職員が多く、身分も報酬も生活していく上で保障されたものではなく、長い目で子供たちを支えていくためにも処遇の改善は必要であるとおっしゃっておりました。改めて、スクールソーシャルワーカーの雇用のあり方や今後の体制についての県の考えを伺いたいと思います。
〇教育長(佐藤一男君) 先ほど御答弁申し上げたスタイルで、県内市町村立小中学校に対応していただいておりまして、適切に対応いただいていると考えております。今、御紹介いただきましたが、実態を踏まえまして、よりよい配置方法や仕事のあり方なども確認、評価しながら、今後も取り組んでまいりたいと考えております。
〇7番(松本雄士君) スクールソーシャルワーカーの方々は、悩みを抱える児童生徒を取り巻く環境に深くかかわる仕事です。その保護者の方も働いているため、時間外に保護者から電話相談を受けたり、家庭訪問に行ったりしているほか、土日の対応もあると聞いております。家庭環境に働きかけるというのは、そういった自分の時間を削って対応しているということがあります。
 子供たちが笑顔で一歩前に踏み出していけるよう、思いのある優秀なスクールソーシャルワーカーの方が長く定着する仕組みの構築に取り組んでいただきたい。長く継続的に寄り添うという使命に対して、今の雇用形態、会計年度任用、時間など年間の上限があるというのがマッチしていないと私は思っておりますので、ぜひ検討していただきたいですし、国へも強く働きかけていただきたいと存じます。
 次に、不登校児童生徒の居場所等について伺います。
 各市町村の教育支援センターや校内教育支援センター、民間団体によるフリースクール等は、不登校児童生徒の学びの場としてのみならず、居場所の確保に極めて重要な役割を果たしていると認識しております。現在、教育支援センターが未設置の市町村は6町村と伺っており、教育支援センター未設置の町村においては、フリースクール等もないわけでございますが、不登校児童生徒の学びの場の確保等にどのような取り組みが行われているのか、また、県の支援状況についてお伺いいたします。
〇教育長(佐藤一男君) 教育支援センター未設置の6町村についてでございますが、通常の教室に入りづらい児童生徒が学ぶための校内教育支援センター、いわゆるスペシャルサポートルームというものを設置し、自分のペースに合わせた学習や、教員等とともに学ぶことができるようにするなど、学びの場と居場所の確保に取り組んでいると承知しております。
 県教育委員会としましては、教育支援センター未設置の町村に対して、引き続き、設置に係る経費の3分の2を補助する県の補助制度を活用して設置を進めるよう働きかけてまいります。
〇7番(松本雄士君) また、校内教育支援センターにおけるオンラインやICTの今の活用状況についても伺いたいと思います。
〇教育長(佐藤一男君) 校内教育支援センターにおきましては、教師用の指導パソコンと児童のタブレット型端末をオンラインでつないで、自分のクラスに入りづらい児童生徒が別室から授業に参加する方法や、授業を録画した動画の配信を行うなどの方法によりまして、児童生徒の学びの保障をする取り組みが進められているというところでございます。
 今後も、市町村教育委員会と連携しながら、ICT等の効果的な活用によって不登校児童生徒個々に応じた支援に努めてまいりたいと考えております。
〇7番(松本雄士君) わかりました。多様な不登校児童生徒に対応できるよう、教育支援センターや学校内の居場所づくり、機能拡充を図っていただきたいと思います。児童生徒が将来的に地域社会の一員として、さまざまな分野の活動に参加できる基礎力をつけていくということが一番肝心だと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、県立病院の経営計画についてお伺いいたします。
 県立病院は、県下にあまねく良質な医療の均てんをとの創業精神のもと、広大な県土において、不採算、特殊部門に係る医療に加え初期医療も担うなど、最も重要な社会基盤の一つとなっています。
 しかし、人口減少等により医療需要の動向は大きく変わり、収支決算の状況を見ますと、令和5年度は約32億円の経常損失を計上、累積欠損金は428億円になるなど、県立病院の経営は大変厳しい状況にあります。県民への良質な医療提供と、これを支える持続可能な経営基盤の確立は、どちらも欠くことのできない重要な課題であり、そのバランスをとりながら、機能集約と連携強化を丁寧に進めていかなければならないと思っております。
 現在、令和6年内の策定を目指し、岩手県県立病院等の経営計画の検討が行われており、その中で、一定の投資を継続しながら県民に良質な医療を提供していくためには、約10億円の純利益の確保が必要とされています。令和12年度には10億円の利益となる収支計画案が示されておりますが、この収支計画の策定において、病院単位かつ診療科別にどれくらいの粒度、レベル感で積み上げなされているのか。また、収支計画の実現に向け、特に重要となる点について伺います。
〇医療局長(小原重幸君) 次期経営計画の収支計画の策定につきましては、これまでの収益、費用をベースに積算しており、まず、収益につきましては、人口推計から患者数を予測するとともに、今後の診療報酬改定の伸びも一定程度見込んでいます。
 その上で、新たな医療器械の整備等による増収効果も織り込んだところであります。
 また、費用につきましては、各病院の規模、機能を実現するための職員数や、近年の給与引上げの状況を踏まえて給与費を積算したほか、材料費や委託料等の経費についても、最低賃金の上昇や原油、物価高の影響等も加味して積算するなど、項目ごとに推計を行っています。
 ただいま申し上げたように、収支の積み上げは、病院全体をマクロ的に行ったものでありますが、今後の収支目標を達成するために、各病院の個別の試算を行い、計画の実効性についても確認しているものであります。
 収支計画の実現に向けては、高度医療器械や専門人材の重点配置による新規入院患者の積極的な受け入れや診療単価の向上の取り組み、地域包括ケア病床等を活用した回復期患者の受け入れ強化、病棟休止や業務効率化等による職員配置の適正化などの収益の確保と費用の適正化の両面での取り組みが重要と考えております。
〇7番(松本雄士君) 費用、収益、それぞれ与えられた環境、また、項目別に細かくいろいろ積算されたということでありまして、その中で、特に医業収益の確保というところがポイントになるかと思っております。収支計画の実効性を担保する枠組みとして、個別の病院のことはこれからということでありましたが、今後、実践していく上で、大きく計画を下回る病院について、病院ごとに第三者も入れた経営委員会のようなものの設置と進捗管理体制、いわゆるマネジメントの強化をしていくべきと考えますが、県の考えを伺います。
〇医療局長(小原重幸君) 県立病院では、第三者委員から構成される経営委員会を現在設置して、経営計画の策定や経営計画に基づく重点取り組み事項、収支予算、決算などについて、意見、提言をいただいているところです。
 第三者評価につきましては、20病院の一体経営の観点から、引き続き、同様の体制で進めていきたいと考えているところでございます。
 また、収支計画を実現するためには、個別病院の収支が極めて重要でありますので、各年度における病院の収支計画を年度当初に策定し、本庁と病院が一体となって進捗管理を強化してまいります。
〇7番(松本雄士君) 全体で第三者の経営管理委員会みたいな組織を設置してやっているというのは認識しておりまして、その個別版はどうですかという話だったのですけれども、それについては、あくまで内部でやっていくということでしょうか。
〇医療局長(小原重幸君) 県立病院におきましては、どうしても不採算地区等で黒字にならないところがございますので、県立病院群として黒字化を目指すということで、経営委員会につきましても、20病院を一体的に管理という形で進めているところでございますので、引き続き、そういう形で管理していきたいと考えているところでございます。
〇7番(松本雄士君) 全部の病院で黒字化を目指せなど、そのようなことは全然思っていなくて、それぞれの置かれている状況と担っている機能で、赤字の目標であってもいい。全体で目標利益を達成していけばいいというのは私も同感であります。ただ、そういった中で、個別病院で大きくそれとぶれていく、ギャップが生じるということがどうしても今後出てくる。そこに対して、あり方を地域にもより開かれた形で、オープンに第三者の方も入れて進捗管理していくのが必要なのではないかと思ってお話しさせてもらったところであります。ぜひ検討していただければと思います。
 次に、県立病院会計に対する一般会計からの繰出金について伺います。
 地方公営企業法上、施策上、不採算事業であっても、公共的な必要性から行う場合には一般会計が負担するとあり、そのほとんどは国の繰出基準に基づいて一般会計から県立病院等事業会計に繰り出されておりますが、その額は毎年、約220億円前後となっており、約半分程度の交付税措置はあるものの、真水の一般財源がこの10年間で1、028億円と、1、000億円以上投入されております。
 中長期の財政シミュレーション等からも、今後厳しくなっていく本県財政にあって、未来へのしっかりとした歩みを進めるために、自然減、社会減対策、GXの推進を一層強化していく必要があり、一般会計からの県立病院への繰出金水準の適正化を図っていく必要があると考えます。このことについて、知事の考え、また、具体的な検討をどのように進めていくのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県立病院は高度医療や救急医療の提供に加え、初期医療等の役割も担うなど、県民福祉の増進のため、最も重要な社会基盤を県が直接県民に提供しており、不採算医療の提供などに要する経費に対し、国が定める繰出基準等に基づき、一般会計からの繰り出しを行っているところであります。
 県民の医療を守りながら病院事業以外の多様化する行政需要にも十分に対応していくためには、病院事業会計への繰り出しについても不断の検討を進めていく必要があり、次期経営計画の取り組み状況等を踏まえながら適正な規模の投資を求めるなど、毎年度の予算編成において、その水準を検討してまいります。
〇7番(松本雄士君) まずもって、県立病院の収支計画の必達といったところ、それに向けた進捗管理の徹底とかそういうのが大切かと思います。その上で、民間医療機関の立地が困難なところについて、今、知事もおっしゃったとおり、いろいろなところの機能、役割を担っているという病院でありますので、地方財政措置の拡充については、さらに強く継続して国に働きかけていく、これは今までもされていることですけれども、これからももっと強くやっていく。まず収支計画、そして、国への働きかけを行い、その上で、県として未来に向けた投資とのバランスが大事であります。今後の県税収の見通しの中で、どこまで一般会計から県立病院に繰り出しできるのかという水準のところについて、不断の検討を進めていくということでありましたが、中長期的にどの程度まで圧縮できるのかという検討もあわせて進めていく必要があると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、障がい者福祉について伺います。
 医療的ケア児への支援についてであります。本県の医療的ケア児は、令和4年4月現在で253名であり、平成30年の調査に比して58名増加しております。医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が令和3年9月に施行され、地方公共団体や学校設置者は、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有することが法律上明記され、支援体制が整備されてきております。
 そして、医療技術の進歩等を背景に、日常生活を営む医療的ケア児等の増加による在宅医療需要の増加が見込まれており、去る令和6年6月定例会において、医療的ケア児等への支援の充実を求める意見書が可決され、国に意見書を提出しているところですが、患者やその家族の負担の軽減、家族の急な病気等に対応するため、短期入所やレスパイトの提供体制の確保、充実が重要な課題となってきております。
 県においては、医療型短期入所事業所は6施設、利用定員も現在17名となっておりますが、一部地域、盛岡市、矢巾町、一関市、釜石市に集中しています。ニーズの高まりを踏まえ、他県でも実施している医療型短期入所施設の開設に係る支援事業について、令和7年度実施の方向で進めていくこととされておりますが、現在の状況と今後の見通しについて伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 在宅の医療的ケア児を持つ家族の介護負担軽減に関するニーズは高いことから、既存の医療提供施設などを活用した医療型短期入所事業所の拡充は重要であります。
 医療型短期入所事業所の開設を促進するため、県では、これまでも看護職員を対象とした医療的ケア児支援者育成研修や、医療的ケア児支援センターによる出張講座などの実施により、事業所における医療的ケア児への対応力向上に取り組んでまいりました。
 また、今年度は、地域で医療的な見地から助言等を行う医療的ケアアドバイスチームを創設し、地域の中核的な医療機関との連携体制の構築により、受け入れの際の医療面での不安の軽減を図ることとしております。
 さらに、他県の取り組みも参考としながら、今後開設を目指す事業所と医療的ケア児及びその家族とのマッチングの機会を設ける取り組みについて検討を進めるほか、新規参入を考えている事業者に対する丁寧な助言を行うなど、医療型短期入所施設の開設促進に向けた取り組みを進めてまいります。
〇7番(松本雄士君) いろいろ取り組みを進めていくというところでは、今、説明があったのですが、もっと具体的な状況というのはどうなっているのでしょうか。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 先ほど御答弁申し上げましたが、今年度、医療的ケアアドバイスチームを設置することで考えております。事業所、医療型についてはもちろん医療機関なのですけれども、介護との連携となりますと、医療面での不安というところが導入が進まない、マッチングが進まない部分の課題だと考えておりまして、アドバイスチームの役割として、医療型短期入所や障がい児通所施設、保育所や幼児教育、学校における医療的ケアの実施についての具体的な医療面からのアドバイスということも想定しておりまして、今後、モデル地区なども設定いたしまして、この取り組みを進めていきたいと思います。また、先ほど御答弁申し上げましたとおり、他県の事例を今、研究しておりまして、我が県に取り入れる事例、事業がないかということで、検討を進めている状況でございます。
〇7番(松本雄士君) それは令和7年度実施の方向ということでよろしいのでしょうか。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 医療的ケアアドバイスチームの取り組みにつきましては、今年度からやっていきたいと思っておりますし、令和7年度におきましては、これから当初予算要求を詰めていく段階で、この時点でということは現在なかなか申し上げられない部分はございますけれども、具体化に向けまして、今、内部で検討を進めているところでございます。
〇7番(松本雄士君) ぜひともよろしくお願いいたします。
 次に、市町村の小中学校おいて、医療的ケア児を受け入れるためのバリアフリー化等を行うに当たり、国の学校施設環境改善交付金は2分の1または3分の1補助であるほか、下限額400万円が設定されており、交付税措置はあるものの、対象事業において少なからず財政負担が市町村に生じるほか、少額の改修等には使えない実態があります。また、看護職員の配置のための切れ目ない支援体制整備充実事業についても、国は3分の1補助となっております。
 県は、教育振興計画の、共に学び共に育つ特別支援教育の推進において、インクルーシブ教育の視点を踏まえ教育環境の整備を図ることとしていますが、医療的ケア児の受け入れのための学校現場の改修経費に係る市町村への財政支援についての県の見解を伺います。
〇教育長(佐藤一男君) 市町村における学校施設の改修に当たっては、文部科学省の学校施設環境改善交付金や地方債等を活用し、財政負担の軽減を図りながら整備を進めているものと承知しておりますが、県教育委員会では、市町村とのヒアリングなどを通じまして、各市町村の実情、事業計画に応じた国の補助制度の活用について、情報提供や助言などを行っております。
 また、子供たちの多様なニーズに応じた教育環境の向上を図るため、医療的ケア児を受け入れるためのバリアフリー化等の事業につきましては、補助要件の緩和や補助率の引き上げなど、国に対して要望しているところです。
 今後も、各市町村が国の補助制度を活用しながら事業が円滑に実施できるよう、情報提供や助言に努めるとともに、全国の都道府県と連携し国に財政支援の拡充を要望するなど、さまざまな機会を捉えて働きかけを行ってまいります。
〇7番(松本雄士君) わかりました。財源的に厳しいのもあるのかと思いますけれども、国への働きかけのほど、よろしくお願いいたします。
 最後に、岩手県立療育センターの運営について伺います。
 岩手県立療育センターにおいては、受診、入所のほか、在宅支援や相談支援等の機能を担っておりますが、相談支援のために設置されている発達障がい者支援センターについては、利用者等からの電話相談から結果説明まで、約9カ月もかかっている実態にあるとお聞きいたしました。この理由と、どのような対策が行われているのか伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 発達障害者支援法では、市町村が、発達障がいの早期発見や保護者に対する継続的な相談対応等に努め、県が設置する発達障がい者支援センターは、専門的な見地からの相談や助言等を行うこととされております。
 しかしながら、現状では、市町村や地域の相談支援事業所を経由せず、直接、発達障がい者支援センターに相談するケースが多いことから、相談に至るまで一、二カ月程度要しているものと承知しております。
 また、発達障がいは、診断の難しさから、市町村等からの事前情報がない場合、複数回の面談や詳細な検査が必要になるなど、相談に対する結果説明までにさらに日時を要する場合があり、待機期間を短縮するためには、まずは、身近な地域での相談支援により、一定程度のアセスメントを経ることが肝要であると考えております。
 このため、引き続き、相談支援専門員等を対象とした研修などによりまして、地域における発達障がい児者への対応力向上を図るとともに、有識者などで構成いたします、発達障がい者支援体制整備検討会議などの意見を伺いながら、適切な役割分担のもとでの相談支援体制の構築について検討を進めていく考えであります。
〇7番(松本雄士君) 私は関係者から9カ月と聞きまして、今の答弁ではそこまでではないけれども、やはり数カ月かかるケースはあるのだと、お聞きいたしました。適切な診断で本人も周りもどうケアしていくのか、対応していくのかが重要になりますので、市町村等と連携して、スピードある対応をお願いしたいと思います。
 以上、終わります。(拍手)
〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって松本雄士君の一般質問を終わります。
   
〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時8分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時27分再開
〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
〇副議長(飯澤匡君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇副議長(飯澤匡君) 日程第1、一般質問を継続いたします。高田一郎君。
   〔25番高田一郎君登壇〕(拍手)

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