平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 継続審査となっていた議案第28号2003年度岩手県一般会計補正予算(第6号)と請願陳情第23号県立病院改革基本プラン及び実施計画の抜本的見直しと県立病院の機能強化・充実を求める請願の不採択に反対の討論を行います。
 議案第28号岩手県一般会計補正予算(第6号)は、いわて森のトレー事業の中断に伴い国から12億8、000万円の補助金返還命令が下され、その3分の1に当たる4億2、600万円余を県が返還しようとするものであります。12月県議会で知事は、12億8、000万円の補助金返還命令に対し、延滞金の発生を回避するとして、その3分の1に当たる4億2、600万円余を県が返還する補正予算を提出しました。12億8、000万円の返還も4億2、600万円の返還も巨大な額であり、これはとうとい県民の税金の支出によるものであります。ところが、こうした重大な問題であるにもかかわらず、知事も県当局も事業中止に至る経過と問題点、責任の所在も明らかにせず、4億2、600万円の返還だけを認めてほしいという無責任なものでありました。
 県議会の農林水産委員会と総務委員会は継続審査として、その後、関係者の参考人質疑も行ってきましたが、補助金申請の日付の改ざんや意見の食い違いなど重大な問題点が浮き彫りとなりました。本県議会でも、いわて森のトレー事業については真剣な議論がなされてきましたが、農林水産部の事故報告書の提出が予算委員会終了後の3月18日、総務部による検証の内容が示されたのが翌日の19日と、知事、県当局の不誠実な姿勢がこの問題の解決を妨げてきた最大の問題であります。
 この間の審査で明らかになったことは、第1に、いわて森のトレー事業が生産技術が確立されていないベンチャー的事業にもかかわらず、27億円余に及ぶ過大な事業計画を十分検証することなく策定したことであります。資金計画の点でも、販売計画、生産計画の点でも極めてずさんなことが明らかになりました。
 第2に、こうした事業計画がわずか半年で補助金決定されたことは、国の景気対策による強い指導と圧力があったと言わざるを得ず、実際、補助金決定に当たっては、補助金内示後に事業計画に同意するという手続的な瑕疵がありました。また、国から県を含めて補助金申請等に係る日付の改ざんも行われました。県とともに、国、林野庁の責任は重大であります。
 第3に、突然の事業主体の変更、いわゆる庄内鉄工から木材には全く知識も技術もなかったトリニティ工業への変更は重大な意味を持ちました。製造ラインのふぐあいによって、結局、生産中止に追い込まれたのであります。この事業主体の変更の理由と経過は残念ながら明らかになっていませんが、事業主体である生産協同組合の責任は重大であります。
 第4に、納入された機械と製造ラインのふぐあいを見逃した完了確認検査における県の責任も明らかになりました。開発的な要素を持つ機械と製造ラインの完了検査が納入検査程度で済まされていたことは、早期にこの問題を解決する機会を失うこととなりました。機械と製造ラインのふぐあいが明らかとなっていた2度目の完了確認検査までおおむね良好としたことは重大な誤りであります。機械と製造ラインのふぐあいについての対応も極めて不十分なものでありました。
 第5に、担保設定の問題であります。県と振興局は協調融資の意味を誤解して、担保設定が可能と指導しました。また、林野庁とも協議していたとしています。この問題は、融資ができなければこの事業自身ができなくなるというほど重要な内容を持っていました。県の責任とともに林野庁の対応も明らかにすべきであります。
 第6に、会計検査院の指摘後の県の対応の問題点も明らかにされました。会計検査院の指摘は重要なものでしたが、事業の破綻の責任が完了検査の問題とされている点では極めて単純であり、事業計画そのものの問題点、補助事業が国の同意を受けた経過など、国の関与と責任が回避させられていることなど問題のあるものでありました。この点での対応が後手後手になったことも重大であります。
 森のトレー問題の問題点がこうして明らかになったものの、知事を含めた県の幹部職員の責任は具体的にはいまだ不明であります。県の上乗せ補助金を含めるなら約15億円の税金のむだ遣いであり、さらに補助金の返還となるなら二重の税金のむだ遣いとなるものであります。4億2、600万円余の一部返還は、県民への犠牲の転嫁そのものであります。県単医療費助成の負担増を押しつける一方で、県民のとうとい税金を返還に回すことは許されるものではありません。知事を含めた特別職、責任ある幹部職員の具体的な責任を明らかにし、給料削減などの措置を講じるべきであります。
 次に、請願陳情第23号県立病院改革基本プラン及び実施計画の抜本的見直しと県立病院の機能強化・充実を求める請願が不採択とされました。県立病院は、創立以来53年の歴史を重ね、県下にあまねく医療の均てんをの創業の精神に基づき、県民の命と健康、地域医療にとってかけがえのない役割を果たしてきました。ところが、今回の県立病院改革プランと実施計画は、赤字を理由に、個々の病院の実態と改革の努力も見ずに上から一方的に病棟と病床の大幅な削減を強行し、紫波病院など五つの病院を診療所化しようとするものであります。また、387人の看護師や事務職員を削減し、医師の増員を含めても全体で268人を削減する大リストラ計画であります。
 第1の問題は、五つの病院の診療所化は有床に見直したものの、地域医療の重大な切り捨てとならざるを得ないということであります。有床診療所の場合、19床に対し12人程度の看護師の配置では1人夜勤となり、夜間救急患者への対応は困難であります。何よりも今、入院されている患者の追い出しとなり、年間では1、200人の患者が追い出されることになります。入院できない診療所では、外来患者も減少することが他の診療所の実態でも明らかであります。
 五つの病院は、現在でも重要な役割りを果たしている病院であります。伊保内病院は、二戸圏域では病床利用率が一番高く、院長がかわってから革命的変化と改革が進んでいると地元医師会からも評価されている病院であります。今年度では昨年度の5、400万円の赤字を解消する改革も実現しています。紫波病院も病床利用率は今年度78.8%と改善されており、2、000万円を超える収支の改善を図っています。花泉病院も昨年の赤字を上回る4、300万円の収支の改善を実現しています。こうした病院を診療所化する理由は全くありません。
 第2の問題は、27の県立病院の連携を図ることの問題であります。気仙医療圏では、大船渡病院の場合、病床利用率が93.2%と満員状態で、外来患者も朝5時から待機している状態です。こうした状況で高田病院、住田病院の病棟とベッドを削減するなら、さらに大船渡病院への患者の集中を招く結果となることは明らかであります。病棟の機械的削減ではなく、3病院の連携をもっと機械的に図るべきであります。その他の医療圏も同様であります。
 第3の問題は、何よりも個々の病院の改革こそ進めるべきだということであります。伊保内病院や東和病院、千厩病院などに見られるように、中小の病院でも院長を先頭に職員一丸となって努力しているところでは、厳しい医療情勢のもとでも地域住民の要求にこたえて利用され、経営的にも成果を上げています。こうした病院を多数にしていくことにこそ医療局の責任があります。病棟の削減と職員のリストラでは問題は解決されません。地域医療をどう守っていくのか、そのためにどういう改革を進めるのかが今問われているのであります。
 第4の問題は、医療局のむだと浪費の構造にこそメスを入れることであります。過大な病院建設は同規模の民間病院と比べて倍近いものがあり、数十%の削減が可能であります。医療器械の一部企業との癒着の改善、後発医薬品の活用など、むだと浪費の構造にこそメスを入れるべきであります。
 こうしたことを考慮しない今回の請願の不採択は、県民の願いに背を向けるものであります。
 以上のことを申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第18号ザ・グレート・サスケ議員に対するアダルトビデオ出演疑惑等に関する喚問について請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第18号ザ・グレート・サスケ議員に対するアダルトビデオ出演疑惑等に関する喚問について請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第23号県立病院改革基本プラン及び実施計画の抜本的な見直しと県立病院の機能強化・充実を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第23号県立病院改革基本プラン及び実施計画の抜本的な見直しと県立病院の機能強化・充実を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第28号平成15年度岩手県一般会計補正予算(第6号)を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第28号平成15年度岩手県一般会計補正予算(第6号)は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第24号から議案第28号まで、議案第32号、議案第37号、議案第38号、議案第40号、議案第42号、議案第44号から議案第46号まで、議案第49号から議案第53号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第24号から議案第28号まで、議案第32号、議案第37号、議案第38号、議案第40号、議案第42号、議案第44号から議案第46号まで、議案第49号から議案第53号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
   日程第21 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第21、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
総務委員会
議案番号件名
22政治倫理の確立のための知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例

受理番号件名
24年金制度の改悪に反対し、最低保障年金制度の創設を求める請願

環境福祉委員会
受理番号件名
14志波三山の県立自然公園指定を求める請願
19早池峰国定公園計画を再検討することについて請願
20理容師法施行条例に関する請願
25いわて子どもプランを発展させる次世代育成支援行動計画を策定し学童保育制度の更なる充実を求める請願

 
商工文教委員会
受理番号件名
12教育基本法の早期改正を求める請願
15教育基本法に対する国民的議論を深め、慎重な法案審議を求める請願

農林水産委員会
受理番号件名
21民有林造林事業の推進支援について請願

県土整備委員会
 簗川ダム建設事業について
   

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   
   日程第22 議案第1号平成16年度岩手県一般会計予算から日程第55 議案第48号岩手県立大学等条例の一部を改正する条例まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第22、議案第1号から日程第55、議案第48号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。吉田予算特別委員長。
   〔予算特別委員長吉田昭彦君登壇〕


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