平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇18番(新居田弘文君) 民主・県民会議の新居田弘文であります。
 質問に先立ちまして、及川幸郎先生の御逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。あわせて、長年にわたり公私ともに御指導賜りましたことに、心から感謝と御礼を申し上げます。
 このたび、先輩・同僚各位の御配慮によりまして初めての一般質問の機会を与えていただき、感謝申し上げます。
 順次質問を進めてまいります。
 さて、増田知事は、昨年、県民の圧倒的な支持を得て見事3選を果たされ、以来、既に10カ月の時が経過しました。2期目までは、バブル崩壊後とはいえ、景気対策や県民からの要望にこたえる各種主要事業の実施のため積極的な予算計上を行い、盛岡以北新幹線整備の推進、第三セクターIGRいわて銀河鉄道の立ち上げ、岩手県立大学の開学、各種試験研究機関の整備、さらには、各種インフラ整備に向けた投資など、いわば右肩上がりの県政運営を展開してこられたものと思われます。予算面で比較しますと、一般会計当初予算ベースで平成7年度の6月現計では7、700億円であったものが、平成13年度には9、028億円まで上昇しました。そして14年度からは緊縮財政に転じ、今回提案の平成16年度当初予算案は7、798億円と、過去最大の下げ幅となるなど財政状況も大きくさま変わりしました。増田知事在任の2期8年間を含む拡大一方の予算編成が、今、指摘されている多額の県債残高を抱える要因になったものと思われますが、改めて知事の御所見を伺います。
 昨年3選を果たされた直後の6月議会での知事演述で、過去8年間の反省を踏まえて、今後、県民と一体となって地域自立型の地域社会形成を目指すとの決意を述べられました。具体的には、七つの重点施策を示しつつ、誇れるいわて40の政策を掲げられました。今議会冒頭の知事演述では、16年度の主要施策として、雇用対策と青森県境産業廃棄物投棄事案への取り組みと環境型・循環型社会の形成の二つの緊急課題のほか、飛躍するたくましい産業の振興、次代を担う人づくり、心から信頼できる安全・安心の確保の三つを重点事項に掲げ、その具体化を述べておられますが、昨年の内容に比べると、抽象論としては理解できますが、具体的取組内容がいま一つ迫力に欠ける感を抱いております。改めて新年度に臨む知事の決意のほどを披瀝願いたいと思います。
 また、知事は、国のいわゆる三位一体改革に触れ、三位一体改革とは、行政サービスの供給と負担についての自己決定と自己責任の原則を確立するものでなければならないとし、今回の改革は、単に自己責任の確立のみを押しつける結果に終わったことはまことに残念と述べられておられます。
 去る2月のある新聞にこういう記事が掲載されておりました。沖縄県宮古島の平良市の伊志嶺市長が「『三位一体』の無理に抗議」、「『痛み』弱小自治体に来る」という見出しで、16年度一般会計について異例の赤字予算案を発表したところ、全国の自治体からよくやってくれたと激励が相次いだというものであります。その後、総務省や県から強い指導があってその予算案は結局撤回されたのですが、これこそ全国の県や市町村の首長の気持ちを代弁したものではないでしょうか。
 今、全国の地方議会で新年度予算の審議が始まっております。地方分権一括法が施行され、中央から地方への権限と財源の移譲が進み、地方がみずからの発想を生かし、自己決定と自己責任の原則が確立できるものと思い描いていたはずです。そして、それがすぐ実現できるかのように、昨年の衆議院総選挙においては、政府・与党も政権公約――マニフェストとして三位一体改革の実現を訴えました。ところが、選挙が終わって、平成15年12月の閣議決定、平成16年度予算編成の基本方針及び平成16年度の経済見通しと経済・財政運営の基本的態度によって国庫補助金の1兆円の縮減と地方交付税の大幅な減額方針が示され、結果は知事が演述した内容となり、まさに地方に対して自己責任のみを押しつける政府予算でした。本日付の新聞に紹介されておりますが、全国3、200首長アンケート結果でも、小泉改革は悪い方向に向かっていると報じておりました。ここで改めて、平成16年度政府予算案と三位一体改革として進められている国の対応に対する知事の所感をお聞かせください。
 また、知事は、21世紀臨調の知事・市長連合会議の座長という重責を担っておられますが、そのお立場で、今後、政府関係機関に対しどのように臨まれるおつもりかお聞かせ願います。
 次に、県出資等法人のあり方についてですが、県は、昨年12月、岩手県出資等法人改革推進プランを公表し、知事演述の中でも改革に取り組む意気込みや決意を述べられております。かつては県政課題の推進に大きな役割を果たしてきたものの、時代の変化によって施策推進の使命を終えた法人あるいは民間法人との競争原理の導入などを考えあわすと、今回の改革プランは至極当然であります。しかし、今回の改革プランの対象となっていない出資等法人であっても、事業のほとんどが県からの受託事業で占められている法人などは、今後、事業の縮小も考えられます。あわせて、国民負担、県民負担をできる限り小さくし、小さな政府、小さな県庁を構築するために手本となる改革を進めてほしいと思いますが、知事の決意のほどをお示しください。
 次に、市町村合併と合併に伴う地方公共団体の統合についてお尋ねいたします。
 まず、市町村合併については、本県でもその動きが活発になり、今現在、法定協議会の設置が3組織9市町村、任意協議会が3組織7市町村、さらに、合併に係る研究会等は18組織あると聞いております。合併特例法による財政支援の特例適用の期限を目前に控え、県は、市町村合併を今後どのように指導されていく計画であるのかお示し願います。また、まだ研究会段階や研究会の立ち上げにも至っていない地区については、県は今後どのように対応していくのかあわせてお聞かせください。
 次に、市町村合併に連動する商工団体の統合の問題についてであります。
 県は、昨年3月、自立する意欲ある企業の支援体制の充実、団体組織財政基盤確立、市町村合併と商工団体のあり方の基本方針を定め、経営改善普及事業の広域的実施体制等に関する基本的方針についてとして公表されました。これによりますと、市町村合併がなされた場合には、1行政区域には1商工団体が望ましいとされています。したがって、このまま市町村合併が進み、商工団体の統合も県の基本方針どおりとして進めば、町村商工会が解散され、市の商工会議所に一律に吸収されるとの不安が商工業者に漂っております。お隣の宮城県では、たとえ会議所のある市と複数の町村が合併しても、商工会同士の合併は課せられるが、会議所との合併は強要しない方針と聞きます。県内でも、盛岡市と都南商工会や北上市と和賀、江釣子商工会の例もあり、弾力的な運用の例も存在します。
 そこで伺いますが、商工会議所と商工会とでは、その設立要件や会の運営方法にも大きな違いがある中で、県では、市町村合併に連動しての商工団体への指導の実態はどのようになっているのでしょうか。商工会と会議所との統合について、宮城県と同様の運用または特例扱いはできないものでしょうか、県のお考えをお聞きいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねします。
 国づくりは人づくりかと言われるように、教育は国づくりの根本をなすものであります。戦後、日本が敗戦の混乱の中からこうして立ち直り、経済発展をなし得たのも教育の力によるものと言って間違いないものと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 昨年3月、中央教育審議会から新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興計画のあり方についての最終答申が文部科学大臣に提出されたところでありますが、その答申で新たに盛り込まれた教育理念としての特徴的なものは、社会の形成に主体的に参画する公共の精神、道徳心、自立心の涵養、日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養などで、最近の教育界をめぐる状況を考えますと当然のことと思うのであります。
 さて、このように教育基本法改正の動きが進む中で、地方教育行政の根幹をなす教育委員会制度について共同通信社が全国の都道府県知事に対しアンケート調査を実施し、その結果が公表されました。この中で増田知事は、教育委員会制度は余り機能していないと回答されておられます。
 そこで伺いますが、知事が教育委員会制度が機能していないとお考えになっているのはどこの部分なのでしょうか。そして、改善できるのであればどのように制度を見直すべきだとお考えでしょうか。あわせて、中教審の答申内容についての知事の見解をお聞きしたいと存じます。
 次に、児童生徒の学力向上についてお尋ねいたします。
 去る1月9日付で平成15年度学習定着度状況調査の結果が公表されました。一言で言って、県民のほとんどが愕然としたり、あるいはため息を漏らしたのではないでしょうか。翌日の新聞では、「基礎学力まだ不十分」、「正答率目安ほぼ全教科下回る」と報じられておりました。しかも、高学年ほど学力低下傾向にあるとの結果でした。
 本県では、昭和39年の第1次岩手県教育振興基本計画策定以来、時代の変遷に対応しながら、現在は第8次計画のもとで教育の充実、発展に取り組んでおられます。行財政構造改革プログラムにおける七つの重点施策の中にも、新しい次代を担う人づくり教育先進県を標榜し、教育への県の取り組みの意気込みが示されたところであります。しかしながら、児童生徒の学力向上の指導を担う肝心の教職員に飲酒運転や暴力、セクハラなど不祥事が相次ぎ、子供と教師の信頼関係が損なわれるなど、まことに残念な状況が見受けられ、指導体制の早急な立て直しの必要があると思われます。
 そこで教育長に伺いますが、今年度の学習定着度状況調査の結果をどのように分析され、今後の学力向上に向けてどのような方針で臨まれるのか、また、学力向上は児童生徒と教師の信頼関係の確立が重要と考えられますが、どのような手だてを検討されておられるのでしょうか。
 次に、平泉の文化遺産の世界遺産登録についてお尋ねします。
 長年にわたって、地元平泉町はもちろん、国、県を初め関係者の理解と協力に支えられ、各種の調査や発掘を重ね、当時の姿を明らかにしてきました。去る1月30日の新聞紙上にも、県文化振興事業団埋蔵文化財センターが1991年に柳之御所遺跡から発掘した木製品が平安時代末期の邸宅の門と見られる建造物の屋根のふき板などの建築部材であることが判明し、絵巻物に描かれている貴族の板ぶき屋根の邸宅が実際に存在したことを裏づけたと報じております。このように、平泉には、貴重な日本人の文化、歴史の遺産がまだまだ数多く眠っているのであります。しかし、平成20年の世界遺産本登録に向けて、残された時間は決して多くはありません。平成18年7月には登録申請を行うと聞いておりますが、その前提として、一関の骨寺村荘園遺跡、衣川の長者ケ原廃寺跡、前沢の白鳥舘遺跡などの藤原氏に関連する遺跡の国史跡指定に間に合うよう関係市町村の作業が進んでいるのか非常に心配されているところであります。
 そこでお尋ねします。各遺跡の発掘調査とあわせて遺跡地の公有化を進めておられますが、今後の公有化の進度予想をどのようにとらえておられるのでしょうか。また、県は、コアゾーン候補を所管する市町村に対して、十分な指導や財政的援助はもとより、今後より一層必要となる広域的な取り組みについてこれまで以上の強力なリーダーシップを発揮すべきと考えますが、いかがでしょうか。さらに、コアゾーン候補となる史跡の追加指定、周辺地域の土地利用の規制等を含めた条例の制定も予定されるなど、関係部局が横断的に協力し、取り組む必要があることから、県の担当部局を現在の教育委員会から知事部局に変更してはいかがでしょうか伺います。
 ところで、御案内のように、平成17年のNHK大河ドラマでは義経放映が決まっております。昭和41年に村上元三作の源義経の放映がありましたが、今回は宮尾登美子氏の大作平家物語を原作とし、金子成人氏脚本、主人公義経役に若手人気タレント滝沢秀明さんが扮する予定と聞いております。当然岩手平泉の藤原氏とのかかわりが大きく紹介されることとなるわけですが、平泉を全国に紹介できる大きなチャンスであります。県では、この機会をどのようにとらえ、どのような観光プランをお考えでしょうか。具体的な計画があるかをお尋ねします。また、平泉を含め、県南地区の観光振興策として今後どのように取り組むおつもりかあわせてお答え願います。
 次に、観光振興に絡む道路整備についてお尋ねします。
 平泉にも近いところに、その昔、仙北街道として岩手と秋田を結ぶ幹線道路があり、人と物資の交流がなされたと言い伝えられております。現在は、一般国道397号の一部として水沢市と秋田県十文字町を結んでいます。その中間、胆沢町に、今、大きなダム、胆沢ダムの建設が急ピッチで進められております。昨年、本体工事に着手し、平成25年度の完成を目指しており、完成しますと、ダム本体はもちろん周辺整備も進み、背後の奥羽山系、栗駒国定公園の山並み等を含め、一大観光地として生まれ変わるものと期待されています。しかし、ダムに通じる交通アクセスは必ずしも十分とは言えず、国道397号の秋田県との県境は冬期間交通どめとなり、この路線は、今後、観光振興上も重要になってくるものと思われ、地元の要望の強いものでありますことから、ぜひとも通年供用化に向けた取り組みが必要と考えられますが、県の取組状況を伺いたいと思います。
 次に、農業問題についてお尋ねします。
 県は、平成11年、国の食料・農業・農村基本法の制定を受け、平成22年を目標にした県農業の振興方向を明らかにするため、いわての大地に個性きらめく農業・農村の創造を基本目標とした岩手県農業・農村基本計画を策定し、あわせて農村社会の環境や基盤の整備の具体化を示した新いわて農業・農村整備計画を策定、この計画を基本にしつつ、農業行政を進めてきたところであります。特にも基本計画では、本県の広大な農地、変化に富む気象条件、地域に根差した農村文化など多様な資源を生かし、我が国の食料供給基地として消費者の求める安全な農産物を安定的に供給し、食料自給率向上の一翼を担うと述べております。先ごろ発表された東北農政局の地産地消に関する動向調査の結果によりますと、02年度の東北の食料自給率は、カロリーベースでは104%と全国平均の40%を大きく上回るものの、米を除いた自給率は32%であります。岩手は米を除いた自給率が37%、米以外では魚介類や果実を除くとほとんど全国平均を下回っており、食料供給基地を標榜するには今後一層のてこ入れが必要な状況です。知事演述でも、本県を我が国の主要な食料供給基地と位置づけ、特に消費者の安全・安心に配慮した生産地の構築を目指すとしております。しかし、今回示された平成16年度当初予算案では、特に農林水産業関係費は前年に比較し17.3%減と大きく減額され、土地改良事業を初め、農産振興に支障がないのか、岩手が目指す農畜産物の供給基地としての体制強化に支障を来さないのか危惧されるところであります。
 そこで伺います。県全体の財政が厳しい中にありますが、特に農林水産関係予算が大きく減額された中で、岩手県農業・農村基本計画で目標としている作目ごとの生産供給力の達成に変更や見直しあるいは基盤整備等の進度にどのような影響が生じるのかどうかお示しいただきたいと思います。
 次に、新たな米政策改革について伺います。
 国は、今までの生産調整――減反にかわって、04年度産米から消費者重視、市場重視の考えのもとに、需要に応じて売れる米づくりを基調とした米政策改革大綱を示し、県も岩手県水田農業改革大綱を定め、既に市町村や農業関係団体と協議の上、農家への作付面積の目標数量を定め、現在、集落ごとのビジョンを作成中と思われます。今回の市町村に対する配分面積の決定に当たっては、県米生産流通対策検討委員会の提言の趣旨に沿って、傾斜配分について考慮したと伺っています。さらに県では、適地適作による売れる米づくりに向けた産地形成を推進するため、市町村間の調整を図りたいと報じられています。まことに当を得た取り組みだと評価しますが、ここで改めてその仕組みや地域など、今わかる範囲で結構ですからお示しいただきたいと思います。
 最後に、岩手競馬についてお尋ねします。
 去る2月7日、岩手日報紙上に「岩手競馬廃止の方向」という見出しの記事が掲載されておりました。今、岩手競馬組合は莫大な累積赤字を抱え、このまま廃止となれば一体だれがその責めを負うことになるのでしょうか。岩手競馬は、地方財政への寄与の面から見ても、これまで岩手県、盛岡市、水沢市にあわせて407億円が配分されており、特に、ピーク時の昭和54年、58年には3団体に対して毎年27億円が配分されました。しかし、組合経営の悪化に伴いまして、平成10年の3億円を最後に配分はなしになり、現在に至っております。しかし、トータルとして、県に全配分の55%の223億円、水沢市が25%の101億円、盛岡市が20%の81億円が配分され、県及び両市の財政に大きく寄与し、それぞれの事務事業の推進に貢献してきたものであります。
 一方、競馬法に基づく地方競馬全国協会に対する交付金と公営企業金融公庫への納付金は、あわせて14年度までそれぞれ183億円、137億円が支出されています。しかも、この交付金は売得金に対しての一定率であって、組合の経営内容にかかわらず支払いされるものであり、交付金というよりはまさに上納金的性格のもので、平成14年度の組合決算での単年度欠損額20億円余のうち、交付金等が13億円余を占めています。競馬組合の事業活動によっての地域への経済効果は、先日、及川幸子議員が述べたとおりであります。
 今、競馬組合は、14年度末で233億円余の借入金を抱えています。大きな赤字原因を聞くと、識者も含めて、景気低迷によって売り上げが大幅に減少したためだと言われます。確かにそれも原因の一つであることはだれもが認めるところであります。しかし、根本的な理由は、新盛岡競馬場オーロパークの建設と、その費用の財源に莫大な地方債を借り入れながら、結果的に売り上げの見通しが甘かったという、先の見通しを精査しないまま構成団体に対して配分金の交付を続けてきたことにあるのではないでしょうか。さらに加えますと、法律上の義務負担とはいえ、中央2団体に対しての交付金等が経営を圧迫していることも大きな要因と考えられます。
 そこでお尋ねします。有識者によるあり方懇談会の最終答申が迫っておりますが、もっと現場の意見や要望を反映させるため、馬主会や調騎会、ファン代表などの声に耳を傾けることも必要ではないでしょうか。もし今までそのような機会があったとすれば、どのような意見が、あるいは要望があったか御紹介いただきたいと思います。
 いずれ、現下の財政事情から見ると厳しいことには変わりはなく、存続しても廃止しても233億円余の借入金支払いは免れるものでなく、かつ今の施設は他に転用できることは考えられません。そこで提案ですが、組合所有の土地、建物を債券化して販売できないかということであります。組合所有の不動産を小口債券化し一般の競馬ファンにも買えるようにし、組合の経営に参加し、関心を持ってもらい、新たな競馬ファンの開拓にも道を開くことになり、かつ組合にとっては売却して得た資金を地方債や一時借入金の返済に充てることが可能となり、利益が出れば、債券購買者に対して配当とか使用料を支払うことも可能であります。もちろん今の法律で可能かどうか検討を要しますが、いかがでしょうか。
 さきにも触れましたが、今の経営を圧迫しているものとして、地全協、公営企業金融公庫への交付金等の問題です。公庫分については後年度還付金として組合に入っておりますが、地全協上納金については、全国段階でも、我が国の競馬のあり方に係る有識者懇談会において、地方競馬の経営改善策としての地全協への交付金猶予などについて検討中と報道されています。この際、県としても関係機関に対し積極的に働きかけるべきではないでしょうか。
 組合と振興公社、東北映像、アール・ナックなど、相互に役員を派遣し合ったり、お互いが出資者であったり、競争原理が発揮されないような今の関係を断ち切り、これらの委託業務をやめ、組合の独自業務として行った方がいいのではないでしょうか。あるいは、民間参入の機会を探ってはいかがでしょうか。このことについては管理者であります知事の見解をお聞きしたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 新居田弘文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、財政上のお尋ねでございますが、県債残高の増加の主な要因でございますけれども、これにつきましては、まず、東北新幹線や県立大学あるいは県立美術館の整備など県単独事業の財源として県債を発行してきたこと、それから、国の経済対策に呼応して、社会資本整備を前倒しで集中的に実施するために補正予算債等を発行してきたこと、それから、地方交付税の振りかえとして臨時財政対策債などの財源対策債などによる財政措置を講じたことからその発行を余儀なくされたこと、こういったことが県債残高の累増の主な要因でございます。
 この経済対策や県単独事業の拡大のための地方債に対しましては、その償還に後年度交付税措置という地方財政対策が講じられますので、自主財源の乏しい本県としても、立ちおくれていた社会資本整備を進める好機ととらえて、こうした地域や県民の皆さん方の要望を背景に取り組んできた、こういうこともございますが、結果として県債残高を多額に抱え込み、償還額が累増する一方で、景気の目立った回復が図られなかった。県税収入が落ち込む、そして地方交付税もその額が大幅に削減されたということもございましたので、この景気対策重視の身の丈を超えた予算編成が本県財政の悪化を招く一因となったものと、さらには国の認識や方針に追随した財政運営、それから3割自治と言われている国依存の歳入構造など、県財政自身が国から自立をしていなかったということがその要因の一つと、このように認識をしているところでございます。このため、今後、投資的経費の規模の適正化に努めて、何度かこの議会で申し上げていますが、平成18年度には新規の県債発行額を県債元金償還額以下に抑える、いわゆるプライマリーバランスの均衡を達成したいと。そして持続的な自立可能な財政構造の構築を目指すと、このようなことで行財政構造改革プログラムをつくりまして、その達成に今努めているところでございます。
 それから、二つの緊急課題と重点的に取り組む三つの事項を内容とするいわゆる誇れるいわて40の政策でございますけれども、その中で、雇用対策それから青森県の産業廃棄物の不法投棄事案への取り組み、それから循環型社会の形成、これは40の政策でも特に前期2年間に最優先で取り組む緊急課題ということで、今回必要な予算確保に努めたところでございます。それから、三つの分野で重点的な施策というものを掲げておりますが、一つは、飛躍するたくましい産業の振興ということですが、これはいわて新産業創出・育成プロジェクトなどの事業を実施することによって、産学官連携による技術開発や競争型の研究開発支援、それからベンチャー企業の育成などを行うことを内容とするものでございます。それから、次代を担う人づくりということですが、これは学力向上プロジェクトなどによりまして、児童生徒に各教科の基礎・基本を定着させるなど、本県の将来を担う人材を育てていくことを内容としておりますし、心から信頼できる安全・安心の確保を図ると。これは、食の安全安心推進プロジェクトで消費者の視点に立った施策を推進する、それから障害者の社会参加・就労支援プロジェクトによって、障害者や高齢者の安心できる暮らしへの実現の取り組みを進めるといったことを内容とするものでございまして、平成16年度予算では、こうした40の政策の中での三つの重点分野を実施することによって、将来に向けての戦略的な布石を打ったと考えているところでございます。
 それから、政府予算案と三位一体改革、この初年度の結果でございますけれども、私は三位一体改革の本当のねらいは、自治体がみずからの判断で自主的に運用できる税財源とそれから政策形成の自由裁量度を確保すること、そのことをねらいとしていたものだと、そして三位一体改革の真のねらいは、そういうことにあったと思っているわけであります。
 今回の改革の結果は3点にまとめて申し上げますと、この税源移譲という点について言えば、所得譲与税による移譲額は極めて不十分ということ。それから、国庫補助負担金についても、国の関与や規制はそのまま残って金額だけが切り下げられている。それから、地方交付税に至りましては、見直しの方向が明らかにされないまま、全体の総額が減らされているということで、地方の自由度の拡大や裁量の発揮にほとんどつながらない内容、そして自己責任だけが押しつけられているということで、先般も申し上げましたように強い憤りを感じているところでございます。
 今後でございますが、今議員からお話がございましたように、21世紀臨調の知事・市長連合会議というものがございますが、こうした場や全国知事会などを通じて、国に対して具体的な税源移譲や地方交付税の見直しなどについて提言を行いながら、真の意味での三位一体改革の実現を迫っていかなければならないと考えております。今、関係する自治体の皆さん方とも相談を始めているところでございますが、そうしたことで広く仲間、同志を募って改革のうねりを起こして、そして三位一体改革が本当の意味で地方の自立につながるように、その運動を展開していきたいと考えております。
 それから、県出資等法人改革でございますが、昨年の12月に県出資等法人改革推進プランというものを発表いたしましたが、それは、まず、所期の目的を達成した法人は廃止などの整理を進めると、それから、経営上問題を抱えている法人や県が財政面での支援を行っている法人、これについては徹底した事業の見直しを行って、改善計画を策定して早急に経営の改善に取り組んでもらうということを内容としているものでございまして、まず、そのうちでも特に24法人について一定の方向性を出したところでございますが、全体で58法人ございますので残りまだ34法人ございます。これらについて、それぞれの経営上の課題を踏まえて現時点で一定の整理をして、今年度内に県としての対応方針を決めて公表すると、そういう予定で今作業を進めているところでございます。
 今後でございますが、県が25%、4分の1以上を出資しているなど、一定以上の関与をしている法人につきましては、運営状況を的確に把握して事業や経営のあり方を絶えず見直していくために、具体的な経営目標の設定とその成果を評価する新しい法人運営評価制度というものを構築して、それによって毎年検証をしていきたいということでございます。
 今回のこのプランでございますが、このプランの策定は改革の第一歩にすぎませんので、また、この経営改善計画の策定も決して改革のゴールとはとらえておりません。この経営改善計画に基づいた改善事項を各団体が確実に実行するところから本当の法人改革が始まるものと考えておりますので、今後、不断の取り組みを進めてまいりたいと考えておりますし、その中で改善すべき点があれば制度そのものの見直しも含め、この改善について全体として前向きに取り組んでいきたいと考えております。
 それから、教育委員会制度でございます。
 教育委員会制度について、先般アンケート調査というものがございましたので、これは通信社からのアンケート調査でございましたが、そこでお答えをした内容についてお尋ねがございました。
 現在のこの教育委員会制度は、もう一度申し上げますと、教育の政治的中立と教育行政の安定を確保するために、複数の委員による合議体で教育に関する事務を管理、執行するというものでございますが、この中身につきましては、住民や保護者などの意向がストレートに反映されにくいといったこと、それから住民のニーズに迅速に対応することが難しい。それから制度上の問題ですが、小・中学校の教職員は市町村職員であるわけですが、任命権が都道府県教育委員会にあるといったことがございまして、地域や住民の視点を重視する今日の地方分権の流れからは、制度面それから運用の両面にわたる今申し上げたような課題があると考えておりまして、そのことを先般、通信社からのアンケート調査でお答えをしたところでございます。
 今後、教育委員会や学校現場というのは、より住民や保護者それから児童生徒に軸足を置いた形で、特に住民に開かれた形で運営を行っていく必要があると考えておりまして、このため、改善点としては、住民や保護者などの声が反映されるシステムの構築、それから会議運営に工夫を行って意思決定の迅速化を図ることも必要だろうと思いますし、また、地方分権を一層推進する観点から、制度面でも小・中学校の教職員の任命権などを市町村へ移すといったことや、必要に応じて市町村における広域的な事務処理なども検討すべきではないかと考えているところでございます。
 それから、教育基本法のあり方について、昨年3月に中教審から、公共への主体的な参画意識の涵養、それから日本の伝統・文化の尊重などの視点を盛り込むことを内容とする答申が出されて、今、国でいろいろ議論が行われているところでございます。
 これについてでございますが、これまでの我が国の教育は、教育基本法のもとでもちろん進められてきたわけですが、この間、教育の機会均等や教育水準の向上などをこのことによって実現をしてきたところでございますけれども、基本法制定以降、教育の画一化ですとか家庭や地域の教育力の低下など、教育をめぐる社会環境が大きく変化をしてきていると。多くの課題を抱える今日にありましては、私はこれを契機として、新しい教育のあるべき姿について、ここでもう一度原点に立ち返って問い直してみることもまた必要かと考えております。この場合大事なことは、こうした原点に立ち返って見直すべきとするその背景を十分に見きわめて、幅広い視点から国民的な議論が尽くされるということが必要でございまして、そうしたことによってそれを教育の振興につなげていくことが必要であると考えているところでございます。
 それから、競馬組合について何点かお尋ねがございましたが、私の方にはこの競馬組合の関連会社業務についてお尋ねがございました。今、競馬組合では運営の合理化とファンサービスの確保を図るために、競馬場の走路保全管理とそれから大型映像の放映、それから電算機などのネットワークの運用管理など、いわゆる競馬開催についての専門性の高い業務について、今、外部委託を行っております。外部委託という方向はよろしいかと思いますけれども、競馬組合の経営の厳しい状況があるわけでございますので、今ここで委託の現状を十二分に検証する必要があると考えているところでございます。あり方懇談会の今検討を進められているという一方の状況もございますし、競馬法改正といったような動きもございますので、こうしたことを十分に踏まえたこれからの検討を行っていきたいと考えてございますが、今議員からお話がございましたような、全体の検証とともに今の委託の現状も十二分に検証していく必要があると考えているところでございます。
 その他のお尋ねは、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君) 市町村合併についてでありますが、分権型社会におきまして、市町村が行財政基盤を強化し真に自立できる市町村を目指していくためには、市町村合併は有力な手段であると考えております。合併を選択するかどうかは、市町村が判断となる資料を住民の皆さんに積極的に提供した上で、十分な議論のもとに自主的に判断すべきものであります。
 県といたしましては、特例法期限内の合併を目指す市町村に対しましては、期限内合併が円滑に進むよう、全庁を挙げて県の市町村合併支援プランに基づいて支援していくこととしております。また、枠組みを構築中あるいはまだ決まっていない地域に対しましては、今からでも特例法期限内の合併は可能と考えられますので、地域で議論を深め方向性を見出していただくよう、地域からの要請に応じては県も議論に加わるなど、助言あるいは情報提供の徹底に努めていく考えであります。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) まず、市町村合併と商工団体の統合についてでありますが、商工会議所、商工会においては、事業者のニーズの多様化に対応したサービスの提供を行うため、団体の財務基盤の強化とともに、事業の効率的な実施体制の確立が近年の大きな課題となっており、こうしたことから、市町村合併があった場合には、1市町村1商工団体になることが効果的であり望ましいことと考えております。言うまでもなく、商工会議所、商工会は、地域の商工業者で組織する独立した法人であり、将来のあり方については、地域の総合経済団体として市町村と一体となって商工業振興を図るという観点から、それぞれの団体においてみずから判断して方向を決定すべきものと考え、これまで各団体に申し上げてきたところでございます。
 県としても、団体の規模やあるいは根拠法の違いなどから、統合に対する地域の商工業者に戸惑いがあるということは承知しているところでございますが、本県においては、平成15年4月の三陸町商工会と大船渡商工会議所の合併のように、商工会地区に支所を設置して従来のサービスを継続する、あるいは常議員数の地域バランスに配慮するなど、当事者同士の話し合いにより円滑な合併を実施した例も出てきております。また、盛岡地区及び北上地区においても、関係する商工団体において、現在、広域的な実施体制のあり方についてそれぞれ検討がなされている状況にあります。
 県におきましては、商工団体の意向を尊重しながら、団体が合併に向けた取り組みを進める場合には、必要な助言、指導を行うとともに、合併後も事業者に対し必要なサービスを効果的に提供できるよう、支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、NHK大河ドラマ義経の放映と観光振興についてでありますが、平泉町やメーンロケ地に予定されている江刺市等関係市町村においては、この放映を地域の観光振興に生かすべく取り組みを進めることとしており、これらの取り組みが相乗効果を生み出すことができるよう、県としては新たに大河ドラマ義経タイアップ観光特別推進事業を立ち上げ実行委員会を組織するなど、関係市町村と連携しながら観光客の誘致拡大等に努めていくこととしております。
 具体的には、16年度から17年度にかけて義経と平泉をテーマとした特別企画展の開催、旅行商品の開発やモニターツアーの実施、さらにはロケパネル展、記念コンサート、ウォーキング等の地元イベント、それから県南地域の周遊バスの運行等の事業を展開する予定であります。
 こうした平泉を核とする観光振興の取り組みは、周辺の観光の活性化にも寄与するものと期待されるところであり、平泉につながるあるいは平泉からつなぐ観光ルートの再構築など、その効果が県南地域さらには県内全域に及ぶよう、戦略性を持って取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 一般国道397号の整備についてでありますが、胆沢ダムの周辺については、ダム建設工事に伴う付替工事として国に工事を委託して、平成19年度の完成を目指して整備を進めております。
 冬期通行どめ区間につきましては、県境付近で積雪が8メートル以上になるなど、自然環境が非常に厳しいことから、部分的な道路の改良や除雪では通年通行の確保が難しい状況でございます。県では、区間内にある雪崩危険箇所20カ所について順次整備を進め、これまで4カ所の整備を完了しておりますが、このことによって冬期通行どめ期間の短縮、春先の早期交通開放に努めてきたところであります。今後とも、県の財政状況を踏まえながら、危険箇所の解消に鋭意努力してまいりたいと考えております。
 当該区間の通年供用につきましては、このような状況を踏まえつつ、長期的な課題として検討してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 農業関係予算減額に伴う影響について、まず、作目ごとの供給力目標の見直しについてでありますが、農業関係予算のうち、公共事業や施設整備等に係る経費を除いた農畜産物の生産振興に係る予算につきましては、対前年比5%の減額にとどまっており、供給力の低下が懸念される要因は、予算の減額というよりも従事者の減少あるいは高齢化、輸入農産物の拡大などによるものと考えております。供給力の目標につきましては、社会経済情勢の変化、その達成状況等を踏まえ、計画の中間年となる平成17年度に所要の見直しを行うこととされておりますが、今後とも、限られた財源を有効に活用し、適地適作を基本とする作目再編の促進や大家畜畜産の振興などにより、引き続き目標に向けて努力してまいりたいと考えております。
 また、基盤整備の進度への影響についてでございますが、平成11年度に作成した新いわて農業農村整備計画におきましては、平成22年度の水田整備率の目標値を70%としていたところでございますが、緊縮型予算によりまして、平成14年度以降は目標の約7割程度の整備量に減少しておりまして、特にも平成16年度におきましては、ほ場整備事業を最重要事業として重点配分することとしておりますが、約6割の整備量にとどまり、このまま推移いたしますと、平成22年度末には目標の70%に対しまして65%の整備率となる見込みでございます。
 次に、米生産目標数量の市町村間調整についてでありますが、この対策は良質米地帯の米の作付面積を拡大するとともに、稲作の作柄や品質の不安定な地域に園芸作物等の導入・拡大を促進するために、県農協中央会に設置されております岩手県水田農業推進センターの仲介によりまして、各市町村に配分された米の生産目標数量の一部を、双方の合意のもとに移動しようとするものであります。しかしながら、これまで県南地方など米の作付を拡大したいとする市町村は多くありますが、米に対する根強い愛着心等から、県北地方などで生産目標数量の出し手を確保することが難しく、その移動はなかなか進まない実態にあるところでございます。このため、県におきましては、来年度から出し手地域の生産者に対し、米から経営転換するための新たな支援措置を講ずることとしたところでありまして、現在、県南の市町村から生産目標数量を拡大したいという要請がなされておりまして、これを受けて、現在、生産目標数量の出し手となる中山間地域の市町村との調整が進められているところであります。
 次に、岩手競馬についてのお尋ねでございますが、まず、競馬関係者からの意見聴取を行っているかということでございますが、岩手競馬の問題は県民も大きな関心を寄せておりまして、いろいろな場面で生の声を聞いたり意見を伺っているところでございます。また、昨年10月には調教師、騎手、厩務員、食堂会等が構成する岩手競馬発展水沢懇話会からの御要望もいただいたところであり、今後とも競馬関係者を初め、広く意見をいただいてまいりたいと考えております。
 次に、競馬組合資産の小口債券化についてでありますが、特別地方公共団体である岩手県競馬組合は地方自治法の規定が適用されることとなっておりまして、競馬の開催に用いる組合所有の財産は行政財産として位置づけられておりますことから、行政財産である以上は処分が制限されるものと認識いたしております。
 次に、地方競馬全国協会交付金の支払い猶予等の措置についてでありますが、地方競馬主催者から地方競馬全国協会に支払われる交付金は、畜産の振興や地方競馬開催への支援など、競馬法に定められた使途に充てられているものでありますが、全国的に地方競馬主催者の経営が厳しいことから猶予を求める声が上がっておりまして、県といたしましても、これまで県単独あるいは同じ競馬施行団体である10道県と連携して、機会あるごとに経営収支が赤字の場合には交付金が猶予されるように要望してきたところでございます。現在、国において検討されております競馬法の一部を改正する法律案の中に当該交付金の猶予が盛り込まれておりますので、今後こうした動きを注視してまいりたりと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 学力向上についてでありますが、まず、学習定着度状況調査について、これは昨年10月に実施したわけでございますが、その結果によれば、正答率80%台後半を一つの目安にしたわけでございますが、その正答率が85%を上回った児童生徒の割合、これは各教科ともおよそ10%ないし30%で、中には10%未満の教科もあるところでございます。さらに、学年別の正答率の傾向を見ると、ほとんどの教科では学年が上がるにつれて正答率が下がってきている。これは前学年でのつまずきが徐々に蓄積をして、学年進行とともに顕在化してきたためではないかと考えられております。
 県教育委員会では、このようなことから、全体として調査対象の全教科について、基礎・基本の定着状況が必ずしも満足できる状況にはないと認識しておりますが、課題解決に向けて、特に正答率のよくなかった教科等については効果的な指導例を掲載した事後指導の手引きを作成し、全学校に配布する、あるいは事後指導に活用をしていくとともに、定着が不十分な点については繰り返し指導を行うなど、各学校を指導しているところであります。
 また、学力向上のための特色ある取り組み事例、これも紹介するべくその事例集の発行や指導主事による個々の学校訪問指導の充実を進め、今後とも各学校において児童生徒に基礎・基本を確実に身につけさせる指導が行われるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、児童生徒と教師の信頼関係の確立についてでありますが、学校における教育活動においては、児童生徒と教師の信頼関係を構築すること、これは何よりも重要であると考えております。こうした中で、教員の不祥事が後を絶たないことは大変遺憾に存じております。もとより、一人一人の教員には教育者としての使命感、子供に対する教育的愛情、専門的知識など、これらに基づく実践的指導力に加え、高い倫理観や責任感といった資質能力が必要であると考えております。このため、県教育委員会におきましては、教員の資質向上に向けて、これまで研修体系の整備であるとか研修内容の充実等に取り組んできたわけでありますが、このような取り組みを通じて、児童生徒とのより深い信頼関係をさらに一層強く築くとともに、学力向上が図られるように、教員の資質向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、平泉の世界文化遺産登録についてでありますが、平泉の文化遺産については特別史跡無量光院跡、史跡柳之御所遺跡に加え、文化庁の助言により平成15年度から一関市骨寺村荘園遺跡、衣川村長者原廃寺跡、前沢町白鳥舘などについて、世界遺産の中核となるコアゾーン候補としての検討を進めているところであります。世界遺産として登録されるためには、文化財保護法による史跡として指定されることが条件となります。世界遺産の登録に向け、新たにコアゾーン候補として検討している遺跡については、発掘調査、範囲の確定、国史跡指定という段階を踏む必要があります。
 なお、現在進めているコアゾーン候補の公有化の状況は、無量光院跡については平成16年度にほぼ公有化が図られる見込みであります。柳之御所遺跡については70%程度の進捗率となっておりまして、今後なお地権者の協力を得ながら進める予定です。また、新たにコアゾーン候補とされた遺跡については、世界遺産の登録には必ずしも公有化が前提とはなっておりませんけれども、状況を見ながら、保存管理上必要な場合にあっては公有化が図られる見込みであります。
 コアゾーン候補の範囲が複数の市町村にまたがることになるため、県教育委員会としては、今後に予定されている国史跡指定へ向けた発掘調査、学術調査などの指導助言などの支援のほか、バッファゾーンの設定であるとか、ユネスコ世界遺産委員会へ提出する推薦書の作成などの多岐にわたる業務について、関係する市町村と連携を一層密にして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、世界遺産登録の推進に向け、国、県、市町村の連絡協調を図るため、世界文化遺産登録推進協議会を設置し、関係機関とより一体となって進める体制を構築してきました。平成16年度には、さらに教育委員会事務局に世界遺産登録担当の専任職員を新たに配置し、関係する知事部局との連絡調整を強化するなど、誇れるいわて40の政策の一つに掲げる県の重要施策として、平成20年の本登録に向け、県として一体的に、また、横断的にその取り組みを進めていかなければならないものと考えております。

〇18番(新居田弘文君) 二つほどお聞きします。
 一つは農業問題でございますが、先ほど、予算減額に伴いまして圃場整備の進行が若干おくれるようなお話がございました。それに関連しますけれども、去る2月6日、胆沢町で行われました知事と認定農業者との懇談会、私も近いということでいろいろその内容を拝見し、貴重な御意見を拝聴する機会をいただいたところでございます。この中で認定農業者からは、地産地消と学校給食の取り組み、県の農業関係機関が多過ぎるのでもっと一元化ができないかとか、あるいは米の生産配分について認定農業者に傾斜配分ができないか、あるいは規模の拡大、農地の集約には土地条件の整備、いわゆる圃場整備が欠かせないというような意見が出されました。その席で知事は、今までのように国の一律基準ではなくて、もっと岩手に合った、その地域に合った、いわゆるローカルスタンダードを基本に考える手法をとりたいというようなことで、認定農業者もいろいろ話の中で理解していただいたようでございますが、先ほどお示しいただきましたように、圃場整備がなかなか進まないといいますか、若干おくれる傾向がございます。そういう背景の中で、このローカルスタンダード的な発想をどのような形で今後取り入れるのか、あるいはスケジュール的なことをもしお持ちであればその考えをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、競馬組合の関係です。先ほど部長から調騎会とかいろいろな方からの御意見もいただいているという話でございますが、そのほかに私の方にもいろいろ意見が寄せられております。今、盛岡競馬場は、舞台でいえば一流でありますが、その走る馬――商品は三流だと言われております。これは、この間の知事答弁の中でも、いろいろ改革委員会の中でレースの充実というようなお話がございましたが、最近は、きょうの新聞にも載っておりますように、あるいはきのうの新聞にもありますように、経営が厳しいということで、出走手当あるいは賞金等が2割、3割と落ちているものですから、馬の質がだんだん劣化しまして、悪くなりまして、結局見るお客さんもそれだけ減ってくるというような実情がファンの中でいろいろ言われております。その辺について今後どのように検討されていくのか。
 二つ目は、IT化が進みまして、今は場外で馬券――勝馬投票券が買い求められるようになっております。それで思うのでございますが、岩手県競馬の開催中はまだしもいいんですが、冬期間、1月13日以降ですか、今も九州とかいろいろなところの場外をやっています。それに対して岩手県競馬組合の窓口で勝馬投票券を売っておりますが、結果的に、岩手競馬がオープンした4月からいろいろなお客さんを迎え入れて投票券を買っていただけばいいんですが、冬場のうちにみんなよその県の方に岩手県民の財産が流れていく、そういう嘆きも聞こえてきます。
 さらに加えて言いますと、昨年から東京競馬場に場外発売所を設置しましたが、その状況を見ますと、25日間開催し、1日平均260万円の売り上げで、それに対して費用がその3倍も4倍もかかるというようなことで、本当にこういう形でいいのだろうかといういろいろな疑問がございますが、今後検討する課題にしていただきたいと思いますし、所見があれば伺いたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 認定農業者とのいろいろな意見交換会のときに有益な御意見をさまざまいただきました。その関係についてお答え申し上げますが、圃場整備の予算も大分きつくなってまいりまして、そういった中で、認定農業者、担い手の皆さん方からも、何とか、今、議員がお話しになりましたようなさらに効率を上げるような農業というお話がございまして、例えば、予算が大分きつくなってきておりますので、それを有効に生かすということからいいますと、大型機械を入れるときの道路が狭隘になっているところを広げて、そして大型機械が入りやすくするように予算を柔軟に使うですとか、あるいは用排水路の管理、こういったところに予算を回すだとか、地域地域の状況に合った、限られた予算の効率的な使い方に一層磨きをかけていく必要があると聞いたところでございますので、今、担当の部局によく話をして、そうした予算の効率的な運用などを研究させているところでございます。これは、国の方にもいろいろ御意見を申し上げて、そして国とも調整していかなければならないと思いますが、国の方でも、限られた予算ということでございますので、ぜひ柔軟に対応していただきたい。私どもの方で地域の実情を十分に説明をすることがこうしたことを可能にしていくと思っておりますので、スケジュール的なところまではまだ、これから十二分にそうした話し合いを続けていくということでございますが、またさまざまな地域の実例を広く集めて、地域の実情に合った、緊急性の高いところからの整備ということに向けていきたい、このように考えております。

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 競馬の関係で2点のお尋ねがございました。
 まず、ファンが求める競馬として質の向上が必要ではないかということでございます。岩手競馬の最大の課題は発売額が年々減少していることにあると思っておりまして、まずは、できるだけこれに歯どめをかけるということが先決だと思っております。そのためには、議員御指摘のとおり、魅力のあるレースづくりが求められるものだと思っておりまして、競馬組合におきましては、16年度の岩手競馬の開催に向けて、いろいろ他の競馬主催者との交流レースでございますとか、いろいろな共催イベントの開催等について、今、検討をしているところでございますが、いずれ今後の競馬の問題を考えるときに、このことにつきましても本格的に検討されるべき課題だと思っております。
 それから、場外発売の見直しということで、競馬組合におきましては、売り上げの増大を図るために、中央競馬との施設の相互利用、それから、他の地方競馬主催者との相互受委託販売を進めているところでございます。こうした取り組みのねらいでございますけれども、岩手競馬の勝馬投票券を他の競馬主催者の施設で購入できる一方、他の競馬の勝馬投票券を岩手競馬の施設で購入できるということでございまして、競馬ファンの選択肢が広がるということでございまして、売り上げが増大することによる相乗効果をねらっているものだと思っております。議員のお話では、冬場に他の地方の方に投票してしまって4月からの岩手競馬の投票に余力がなくなってしまっているのではないかというお尋ねだと思いますけれども、いずれそういうねらいでやっているものでございますので、中央競馬あるいは他の地方競馬の分を発売していることが岩手競馬の売り上げの減少に影響しているのかどうか、この辺の判断はなかなか難しいものだと思っておりますが、いずれ前段の御質問、それからただいまのことも含めまして、今後の組合の存廃を検討する上で改めて本格的に検討されるべきものだと思っております。

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時25分 休 憩
   

出席議員(48名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
37  番 瀬 川   滋 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(2名)
27  番 田 村 正 彦 君
50  番 佐 藤 正 春 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時42分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。平澄芳君。
   〔10番平澄芳君登壇〕(拍手)


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