平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇10番(平澄芳君) 自由民主クラブの平澄芳でございます。
 一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 質問に先立ち、このたび御逝去されました及川幸郎議員の御冥福をお祈り申し上げます。
 さて、議員とは勝手なことを言うものだと思った一時期がありました。攻守所を変えこの場に立ちますと、一国一城のあるじに対して失礼があってはいけないとも思い、当時の議員の心境かくあらんと、過去の答弁を思い出すにつけ、至らぬ自分に反省しきりでございます。無礼のないよう心して質問いたします。率直かつ明快なる御答弁をお願いいたします。
 最初に、県立病院改革プランについてお尋ねいたします。
 その第1点は、民意の反映が十分になされたのかについてでございます。昨年11月に県立病院改革基本プラン(案)が、また、その実施計画が2月18日に示されたところでございます。12月下旬に各地域医療圏ごとに県立病院運営協議会が開催され、私も出席いたしました。医療局の強硬とも思える態度に、この協議会はプランの一方的な押しつけであって、協議の場とは言えないと感じたところであります。
 私の地元の事情を少し申し上げます。九戸村には、入院ベッド数45床の県立伊保内病院があります。県立病院のない町村が医師確保に悲鳴を上げている現状に比べれば恵まれているのでございますけれども、人口8、000人弱のこの村には開業医はおられない。県立病院の4名のほかにはお医者さんがいないのです。伊保内病院と4名の医師がこの村の唯一の命のとりでであります。この伊保内病院がベッド数ゼロの無床診療所になるかもしれないとの寝耳に水の情報に、住民は地獄の底にたたき落とされたようなショックを受け、危機を感じた行政、婦人団体が陳情や署名活動を行ったようであります。年末年始にもかかわらず住民の8割の署名を集め、知事に対し要望したと聞いております。結果は、有床診療所という、足して2で割ったような結論でした。経営健全化も重要なテーマであり、実施計画には同意せざるを得ないのではないかとの思いもありますが、地域住民は決して納得しておりません。2月22日には例年の2倍の住民参加のもとに保健福祉大会が開催され、診療機能の低下が及ぼす影響を心配する声が続出し、現状維持を求める大会決議を行ったと聞いております。
 開かれた行政を推進する知事にあっては、さきに示された実施計画に対するパブリックコメントを求め、また、県立病院運営協議会や住民説明会を開催し、県民に対する説明責任を果たし、県民の声を聞き、十分な理解を得た上で実施すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 人口7万人の二戸医療圏におきましては、例えば眼科のお医者さんは福岡病院と一戸病院に1名ずつ、たった2名しかおられません。診療応援でよいのです。週1回の診療でもよいのです。さきの12月定例会において中央病院の待ち時間短縮についての質問がありましたが、1年待っていても治療してもらえない医療過疎地域の実情を酌んでいただき、かねてから要望の強い耳鼻科の開設などにもこたえていくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。大衆迎合主義も時によりけりでありますし、心を鬼にして決断しなければならない局面があってしかるべきだということは十分承知してはおりますが、今回の強硬なやり方は混乱を招いたと指摘をしておきます。
 2点目は、経営上の問題であります。平成14年度における一般会計からの補てん額145億円は、支出額8、958億円の1.6%、純損失163億円も1.8%にすぎません。義務的経費と考えることはできないでしょうか。しかも、県立病院を抱えているからこそ国からもらえる地方交付税は収益的収支部門に30億円ないし40億円、純粋に一般会計から持ち出す割合はさらに圧縮されるはずであります。
 お伺いいたします。有床診療所化、ベッド数削減など一連の改革による交付税の減少見込み額はどの程度を見積もっておられるでしょうか。
 27病院ごとの経営収支を見ますと、累積で黒字の病院、赤字の病院まちまちであります。これまで各病院の個別の経営改善にどのような取り組みをなされたのでしょうか。その結果と自己評価はどうだったのか、最大限の取り組みをしてもなおかつ赤字解消に至らなかったと言えるのかお伺いいたします。
 私は、病院ごとの経営を見直す改革プランを先行させていただきたいと思うのでございます。改革プランには外部からの人材登用やコンサルタントの活用もうたわれておりますから、この際、改善で有名なトヨタOBのコンサルタントの活用も一考に値すると思うのであります。行政の究極の目的は、民生の安定と福祉の向上にあるとみずからに言い聞かせてまいりました。もっとかみ砕いて申し上げますと、まくらを高くして眠られることであります。知事に対して失礼な物言いではありますが、県民がまくらを高くして眠られるよう、さらなる配慮をお願い申し上げます。
 次に、市町村合併についてでございます。
 このことについては昨年来たびたび質問があったことは承知しておりますし、それ以前も恐らくは多くの議論がなされたことと思いますが、お許し願います。
 他県に比べ、その取り組みがなかなか進まないうちに合併特例法の期限があと1年に迫ってまいりました。市町村の命運がこの1年にかかっております。まさにことしが正念場であるとの思いで、自立市町村行政に目を置いた立場からお尋ねいたします。
 戦後、地方自治体も、護送船団方式とも日本株式会社とも言われる国の手厚い庇護を受けてまいりました。乱暴な言い方をすれば、さしたる努力もなしに自治体経営ができましたし、生き残りをかけた挑戦も不要でした。国家への依存体質が地方の自立を阻害してきたことも事実であります。ボーダーレス、グローバルと言われる世界情勢の中で、好むと好まざるとにかかわらず、いや応なく市場経済、競争社会に組み込まれた自治体もまた血のにじむような努力が求められております。活力ある自治体創造のための地方分権は必要と考えますし、そのための合併もいたし方ありません。消極的合併ではなく、将来ビジョンを共有し、新しいまちづくりをと国からは言われるものの、特例債もしょせんは借金、いずれその3割は返済しなければなりませんから、その使い方には節度が求められます。したがって、合併するからといってバラ色の未来が約束されているとは言いがたいところであります。
 一方、現下の厳しい財政状況では、合併せずに単独で自治体経営を行うためには、現行の行政サービスを削減せざるを得ないのも自明のことであります。私は、合併やむなしと思っているところであります。市町村合併は、全国的には、昨年12月末現在、3、176市町村だったものが特例法期限後は1、730程度に再編されるとの推計もあるなど、かなり進んでいると報道されておりますが、県内の動きは極めて鈍いと言わざるを得ません。当然ながら、さまざまな問題が内在しているからこそ遅々として進まないのだと思いますが、知事は、その問題が何なのか、どのように認識しておられるか、まず第1点お伺いいたします。その問題を解決する方法があるかもあわせてお伺いいたします。
 対等合併とは言いながら、中心になる市は痛みを伴わず、実質的には吸収される周辺町村側の不安や不満が合併を消極的に、あるいは否定的にさせているのだろうと思います。合併しない宣言の矢祭町に見られるような、旧市町村間の住民の間に不信感が生じるのではないかというおそれ、代弁者たる議員の数が少なくなって民意が反映されないのではないかという懸念、しかし、これらは住民の努力で解決しなければならない問題だと思います。
 深刻なのは、距離や時間の克服、周辺町村の衰退だろうと思います。二戸広域圏を例にとれば、1、100平方キロメートルと、四国香川県の6割に相当する広大な面積になります。この広大な面積や距離、時間をいかに克服するか、私自身いまだ結論を見出せないでおります。公共施設の二戸市への集中はますます加速するだろうと予測されます。県立病院の中心部への集約、県立高校の再編などで周辺町村の公共施設が消えていきます。合併すれば役場は支所に格下げ、そこで働く職員も減少、火の消えかかっている商店街はさらに寂れることも予想されます。一方で、距離や時間を克服する道路網や公共交通網が貧弱なのも現実であります。しからば、旧市町村ごとに公共施設を配置できるかといえば、知事も集約の方向で考えておられますし、箱物行政やフルセットにも否定的な見解を示しておられます。知事は、議会や記者会見において、大いなるサジェスチョン、アドバイスあるいは知事としてやるべきことは多々ある旨発言しておられます。この点について、知事から大いなるサジェスチョン、アドバイスをいただければ合併は一気に進むと思うのですが、いかがでしょうか。
 もう一点、市町村が実施した合併の是非に関するアンケートでは、自立すべきとともに、わからないという答えが意外と多く見受けられます。住民は、自立を選択したときの行政サービスの低下を想定、想像できないでいるのだと思います。市町村自体も将来の財政見通しを予測できず、具体的な将来像を住民に示せないのではないかとも思えるのでございます。予想以上のサービス低下に、住民が自立を選択してはみたがこんなはずではなかったと後悔するようであれば、これほど不幸なことはありません。この点について、県から財政見通しを含め、住民の判断材料になるような情報を提供する考えはないでしょうか、県の考え方をお示し願いたいと存じます。
 合併の将来ビジョンを実現するためには、各種県事業の着実な実施も不可欠であります。地方振興局はすべての要望を県庁に上げると聞きますが、財政難の折、過度の期待を与えてもいけません。不渡り手形にならないようしっかりとした見通しを立てた上で県の支援を明確に示すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。特例債に期待せず、じっくりと議論してからという首長もおられますし、このままで推移しますと期限内の合併に間に合わないケースも出てまいります。合併特例法の期限が切れて合併した市町村への支援についての基本的考え方と、小さな枠組みで合併した後、さらに合併した場合の支援についての基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、行財政構造改革プログラムについてでございます。
 過般、知事は、このままでは赤字再建団体に転落するとの見通しを示しました。平成15年度からの4年間に生ずる約1、750億円の財源不足を穴埋めするため、行財政構造改革プログラムを策定し、新年度予算は前年比6.1%減と、県民に痛みを求める、新聞の表現をかりると超緊縮予算になりました。平成15年度は過ぎようとしておりますので実質あと3年間でございますが、県民、市町村が痛みに耐えられるとお思いでしょうか。痛みに耐えられるかも問題ではありますが、耐えた後の3年後には明るい展望があるのでしょうか。この点について県民は大きな関心とともに不安を感じておりますので、知事の明確な答弁を求めるものでございます。3年間苦しい延命治療を受けたけれども、御臨終と言われるのでは耐える気になりません。つらい副作用もあるが、3年後には退院できます、社会復帰ができますとの医者の確約があれば痛みにも耐えられるという気力が生まれるのではないでしょうか。3年間耐えてください、その後には必ずや明るい未来が待っていますと宣言してください。知事、いかがでございましょうか。
 次に、昨年末に公表された出資等法人改革推進プランに関連してお尋ねいたします。
 一つは、林業公社についてでございますが、同公社は、460億円もの債務を抱えていると聞いております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 これまで林業公社の経営改善について種々検討を重ね、今後のあり方については年度内に決定するとのことでございましたが、2月13日付の新聞に清算の方向で検討との記事が掲載されました。同記事によりますと、県、市町村は債権を放棄、金融公庫からの借入金は県が継承するとのことですが、間違いないのでしょうか。
 林業公社が果たしてきた役割については一定の評価をするものであり、大上段に構えて責任追及をするものではありませんが、経営の結果責任は公社と県が負うのが当然であって、市町村に転嫁すべきではありません。公社に出資している市町村は、それぞれ厳しい財政状況の中にあっても、既に利息の放棄、償還の繰り延べなどに応じているはずであります。考えようによっては、市町村への責任転嫁と言えなくもありません。間違っても債権の放棄を会員市町村に強要することがあってはならないと思うのであります。むしろ利息の支払い、債務の償還を遅滞なく行うべきではないでしょうか、県のお考えをお示しください。
 もう一つは、株式会社アイシーエスについてでございます。
 言葉が悪くて恐縮ですが、率直に申し上げて、電子行政はアイシーエスに占領されていると私は常々感じてまいりました。基本中の基本である住民基本台帳のデータ処理をアイシーエスに委託している市町村は多いと思います。住民票、印鑑証明、年金、国保、住民税等々のシステム構築には住民基本台帳のデータとリンクする必要があることから、各種システム構築の入札を行っても、他社はアイシーエスに太刀打ちできないのが現状であります。知事部局及び医療局などの他部局における電子機器納入、アプリケーション納入及びソフト開発費のアイシーエスのシェアはいかほどになっているのでしょうか。また、第2位の会社名と金額またはシェアをお示し願います。
 アイシーエス1社の寡占状態になっているというのは言い過ぎかもしれませんが、知事はどのように感じておられるでしょうか。このままではシェアはさらに拡大し、アイシーエス以外の民間参入の機会が奪われることになりますし、また、競争原理も働かないものと思われます。民間のアイシーエスに倒産はないと断定できるでしょうか。仮に倒産した場合、現状の寡占状態では行政執行に混乱を起こす危険性もあり得ます。民営化に対するリスク分散、リスク管理についてどのようにお考えかお伺いいたします。
 県及び市町村の公共事業発注設計書積算システムもアイシーエス、データのメンテナンスもアイシーエス、単価歩掛かりは公表されていない。いわゆる部外秘データもあります。確かにこれまでも株式会社として業務を行ってきたところではあるのですが、出資を引き揚げ純民間企業となれば、行政指導などの関与もできなくなるのではないでしょうか。個人データや部外秘データの流出の危険も心配されます。守秘義務を担保するシステムを確立し、会社を分割した上での出資引き揚げを検討すべきではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。純粋に単純に万が一の混乱を心配するがゆえの発言でございますので、念のために申し添えておきます。
 次に、エネルギー問題についてお尋ねいたします。
 首都圏と地方の対立は好ましいことではないのですが、世知辛い世の中になってまいりますと、あつれきが生じてまいります。都会人は、都会の税金が田舎で使われていると言います。採算の合わない高速道路建設は目のかたきにされております。他方、我々田舎も、都会のごみ捨て場になっていることに怒りを感じます。また、東京電力の原子力発電所がなぜ福島県にあるのか、どうして東京湾につくらないのか、都会人は勝手だとも思います。
 しかし、電力に限って見れば、岩手は勝手だと言われても仕方ありません。本県の電力量自給率はわずか3割弱、7割強はほかの県に依存しております。国内における電力量のシェアは、火力が55.5%、原子力34.3%、水力がわずか9.6%であります。なお、太陽光、風力、バイオマスなどのクリーンエネルギー開発はこれからの課題ですが、まだまだ主力にはなり得ません。地球温暖化が顕著になり、二酸化炭素の排出抑制が課題になっておりながら、そして、環境首都を標榜しているにもかかわらず、他県の火力発電所が供給する電力を罪悪感を感ずることなく消費しております。原子力発電も同じことであります。使用済み核燃料の再処理の際に発生する放射性廃棄物を処分するため、原子力発電環境整備機構が処分施設建設地を公募しております。核のごみを地下300メートルに埋設する施設だそうですが、知事は受け入れできない旨、既に表明しております。他県の原子力発電所で発電した電力の恩恵を享受しながら、その過程で発生する核のごみは受け入れないことに矛盾を感じないでしょうか、知事の御所見をお聞かせ願います。
 発電コストは、原子力が1キロワットアワー当たり5.6円、水力が13.6円と2.4倍も高いのですが、老朽化した原子力発電所の解体で生ずる核のごみは1基当たり1万トン、1万年も管理し続けなければいけないとも言われておりますが、その処理費用は発電コストに加算されておりません。このことについて電力業界は、企業の枠組みを超えると持て余しぎみのようであります。二酸化炭素の排出に目をつぶって火力をとるのか、核のごみは受け入れ拒否するが原子力をとるのか、また、コストは高いが水力をとるのか、三者択一とするならば知事はどれを選択されるでしょうか。
 水資源の有効活用、知事の提唱するスローライフ、環境首都を目指す我が県にあっては、風力などの新エネルギーとともに水力発電の開発に力を注ぐべきではないでしょうか。環境への負荷が一番少なくて済むのが水力だと思うのであります。脱ダム宣言ではなく、脱原発宣言、そして水力発電推進を岩手から発信するお考えはないでしょうか。新エネルギーをあわせて自給率3分の1という知事のマニフェストを一歩進めて、当面、水力による電力量自給率50%を目指すべきと考えます。せっかくダムをつくるなら、水力発電分を上乗せし、取水設備だけはあらかじめつくっておくお考えはないかお伺いいたします。
 最後に、知事は、行財政構造改革、県立病院改革、出資等法人改革、県立高校再編と、矢継ぎ早の一連の改革を打ち出しております。改革という言葉の響きはよいのですが、県民に多くの負担と痛みを伴うものであります。一将功成りて万骨枯るとならないよう、県や組織のための改革ではなく、真に県民のための改革であるよう望みます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 平澄芳議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県立病院改革についてでございます。
 この県立病院改革については、基本プランの策定についてパブリックコメントを実施して、大変多くの御意見をいただきました。それから、関係市町村長、運営協議会委員の皆さん方にも御説明などを行ったところでございまして、今、お尋ねの実施計画の方でございますが、こうした基本プラン、そしていただいた意見をもとにした修正を踏まえてこの実施計画を策定したと。内容的にも、いただいた御意見などを踏まえて無床の診療所を有床化したり、それから、二次保健医療圏を単位として、病床規模の適正化を図りながら、県立病院群の一体的、効率的な運営の仕組み、それから、核病院の機能、規模、自助努力による経営改善の方策などをこの中に盛り込んだところでございます。基本的な計画を立案する過程で、県民の多様な意見を考慮した意思決定を行う仕組みでございますパブリックコメントについては既に手続を経ている、このように考えたものでございます。しかしながら、今後、当然地域住民の理解と協力を得ることが大変重要でございますので、これからも機会をとらえて地域との話し合いを重ね、県民の意見を聞きながら取り組んでいきたい、このように考えております。
 それから、合併の関係でございますけれども、合併が進んでいない要因をどのようにとらえているかということでございますが、一つには、昭和の合併がかなり進んだことで、現状のままで乗り切れないかという気持ちが底流にあったり、それから、地域での方向性が合致しないと協議会の方に進んでいけないという、こういった慎重な考え方もあるようでございますし、また、いろいろお話を聞いておりますと、中心部だけがよくなって周辺部が寂れるとか、あるいは、これまで築いてきた各地域の歴史、文化、伝統などが失われるといったような懸念が地域に内在している、こういったことが原因で合併が進まないのではないか、このように推察しているところでございます。
 こうした問題を解決するためには、地域住民の皆さんの不安をなお払拭していくことが必要でございまして、地域の将来像などについて積極的に情報提供した上で議論を深め、将来方向をそれぞれの地域で見出していくべきもの、このように考えております。
 こうした周辺町村、周辺の部分の衰退の克服などについて、どのような方法があるかサジェスチョンを示せということでございますけれども、まず、法定協議会において御承知のとおり新しくできます市町村建設計画の策定を行うわけでございますが、この際に、当然地域の住民の皆さんの意見を十分反映させながら、周辺地域にも配慮した計画をつくる、これがまず前提になるものと思います。
 それから、電子自治体に向けたさまざまな事業が今進められておりますので、こうした電子自治体を構築していくことによって、市町村の場合には特に種々の申請行為が多いわけでございますが、インターネットなどを通じてさまざまな申請等が可能となるような行政サービスの質の向上、効率化を図る、そのような自治体を構築して地理的な距離や時間の課題を克服する、このことが必要かと思います。
 また、まだ法改正になってございませんが、近々に今国会に提案される予定と聞いておりますけれども、地域自治組織制度というものが地方自治法などの改正によりまして提案されます。コミュニティーの維持や住民自治の強化を図るという目的でございまして、住民やコミュニティー組織と協働しながら行政サービスや地域づくりに取り組む仕組みでございますので、こうしたものを活用して先ほど申し上げましたような懸念を克服するといったことが考えられるわけでございます。こうした新しい制度も十二分に活用して、これからもこうした合併問題についての議論を大いに深めていく必要がある、このように考えております。
 それから、そうした際の県の支援についてのお尋ねでございますが、県の支援の基本的な考え方については平成14年8月の市町村合併支援プランでお示ししておりまして、特徴的には、特に合併した市町村に県の権限、大幅な権限移譲をその中に盛り込んでいるところでございます。合併市町村の将来ビジョンは、こうした新しい市町村の建設計画において具体化されるものでございますので、この計画の策定に当たって、財政見通しについても勘案しながら、県と関係市町村が十二分に協議をすることとなっておりますので、この計画策定を通じて県の支援の具体的な内容を明確に示していくと、このような考え方でおります。
 それから、合併特例法後の合併市町村への支援でございますが、まず、合併特例法自体が新法に切りかわった後は、合併特例債のような財政支援措置はとらないという内容になっております。
 この合併特例法期限後の新法のもとで合併した市町村への支援に関しましては、今後新法において、都道府県が市町村合併に係る構想を策定することとされる予定と聞いておりますが、その構想の中で検討していきたいと考えておりますけれども、現時点では、県が国にかわって合併市町村に対する財政支援を行っていくようなことは現時点では考えておりません。新市町村の将来構想づくりや建設計画づくりなどに関して、これまでと同様に必要な助言を行っていくと、このような考え方で臨みたいと思っております。
 それから、小さな枠組みで一度合併した後さらに合併した場合の支援でございますが、これについても現行の合併特例法のもとで合併した市町村については、小さな枠組みでございましても、新法における県の合併構想の対象としないなど、こうした新法での取り扱いになる模様でございます。しかし、地域の意向として、自主的なさらに大きな枠組みでの合併を進めようという動きは当然出てくるわけでございますので、それにつきましてはその取り組みを支援していきたいと。ただ、先ほど申し上げましたように、その際も合併特例法の期限後に合併した市町村と同じような考え方で、将来構想づくりとかあるいは建設計画づくりなどについての支援ということを中心に考えていきたいと思っております。
 それから、行財政構造改革プログラムでございまして、これは何度か申し上げましたように、ねらいとしておりますのは、量よりも質を重視した行政サービスを将来にわたって持続的に提供できる行政経営体を構築すると、岩手県をそのようにしていくということをねらいとするものでございます。まず、自助・内部努力を考えるべきでありますので、組織・職員体制のスリム化といったようなことで財政の歳出規模の適正化を図っていくと。その中で、当然、投資的経費の規模の見直しとか重点化などといったことも含まれております。それからあと、公債管理の適正化といったことも行うことによりまして、平成18年度のプライマリーバランスの均衡を達成するということが目標となっております。その時点あるいはそれよりも1年前の時点から年々公債費が減少する、あるいは公債の発行残高の減少も図るということでございます。そうした行財政構造改革プログラムを着実に実行するということ、それからあわせまして誇れるいわて40の政策の着実な実施ということ、この双方を確実に実行することによりまして、産業の活力を取り戻す、それから岩手の将来を担う人材を伸びやかに育てる、それから安心・安全の地域社会を実現する、そして県民の皆さんの心の豊かさやゆとりを取り戻すといったようなことを確実に実現していくと。これは行財政構造改革プログラムと40の政策、この両者を確実に実行することによって、今議員からお話がございましたとおり、その間の痛みというものがございますが、そのことによって県民の皆様にとって将来に明るい展望を持てるものになると考えております。また、県民の皆様もそうした明るい展望が持てるように、私自身もこの改革の一層の推進に全力を傾けていきたいと考えております。
 それから、出資等法人改革の関連で、アイシーエスの寡占状態についてお尋ねがございました。幾つかの点については後ほど部長から答弁をさせますが、今年度の情報関係調達の状況でございますが、パソコン100台以上の大口の情報機器調達では、金額比較では約8割、それからソフトウエア開発部門では約4割をこのアイシーエスが占めていると、今こういう状況になっております。電子機器の購入は競争入札で行っているわけでございますが、その入札自身も当然公正な競争といったもとで行っているわけでございますけれども、結果的にはアイシーエスの割合が高くなっていると受けとめております。
 従来、ソフトウエア開発について、新規開発については公募によって委託で内容を決めていたわけでございますけれども、既存のシステム、もう既にでき上がったシステムを改修、活用する必要があるもので、県に著作権等がないものについては著作権等を有する者に委託をすると、こういう考え方に立っておりまして、その場合にアイシーエスに随契で行われておりました。こういったことが行われておりましたが、今議員のお話がございましたように、競争原理をより働かせることが重要であろうということがございまして、昨年の12月以降に新規開発したシステムの改修、活用する場合にありましては、より競争原理が働くようにこのプログラム等の開発委託に係る契約条項を改正いたしまして、著作権が県に移転することを明確化するといった改善も行っております。こうして競争入札を実施するということにつなげるわけでございます。今、御指摘をいただいたことも重く受けとめまして、また、今後の改善点について検討していきたいと思っております。
 それから、エネルギー問題についてでございますけれども、まず、放射性廃棄物の受け入れについてお尋ねがございまして、核のごみは受け入れないことに矛盾を感じないかというお話がございました。お話のとおり、本県は他県の原子力発電所から供給された電力も消費しているわけですが、原子力発電の利用に伴い発生するいわゆる高レベル放射性廃棄物を受け入れないということにしておりますけれども、このことについては矛盾ということは感じていないわけでございます。
 高レベル放射性廃棄物を受け入れないとしております理由でございますが、これは県民の安全・安心の観点からこの問題を考えました場合に、高レベル放射性廃棄物の最終処分施設は、我が国でいまだかつて建設をされていない初めて建設されるものでございまして、その安全性についていまだ社会的に広く理解をされていないものと認識をしております。
 また、最終処分施設の建設候補地につきましては、平成14年12月に財団法人の原子力発電環境整備機構というところで全国の市町村を対象に公募を開始したわけでございますが、これまで理解を示して応募した市町村は1カ所もないという状況にございまして、私どもとしては施設の受け入れについて県民の理解を得られないと、このように判断をしていることによるものでございます。
 それから、水力発電の推進という観点から幾つかお尋ねがございました。本県は確かに今議員のお話がございましたように電力自給率は低い状況にございますけれども、これは本県を管轄するのは御承知のとおり東北電力でございますが、東北電力が東北6県プラス新潟を含む全体で7県を一つのエリアと考えまして、広域的・経済的観点から地点を選定して、そして大規模な発電施設を建設して電力を供給していると。電力会社の観点からいいますと、個々の県というよりも広域的・経済的観点から一番有利なところ、広域的に最も効率のいいところの地点を選定して発電施設を建設し電力供給という形でございまして、そういった電力会社の観点から検討した結果、本県には火力発電や原子力発電などの大規模な発電施設がなくても、全体としての電力の安定供給に差しさわりがないと判断をしているものと、そして本県も電力の安定供給が図られていると理解をしているところでございます。したがいまして、県では、東北電力管内の電力需給の状況から見まして、大規模な発電施設を誘致する必要はないと考えておりますが、平成10年の3月に策定した岩手県の新エネルギービジョンの中で、これからの環境の観点、それから地域内エネルギーの有効利用の観点から、水力や風力などの自然エネルギーを中心とした電源の開発や支援に取り組むとしているわけでございます。また、その中で太陽光発電や風力発電などに加えて、水力発電も個別に目標を設定して電力自給率の向上に努めております。
 この水力発電をさらに推進するという観点からいいますと、取水設備の設置などについてのお話がございましたけれども、ダムをつくる場合にあらかじめ取水施設だけをつくっておきまして将来発電を行うということは、技術的には当然可能でございますけれども、具体的な将来の発電計画がないままに、県が発電用の取水施設等の先行投資を行うことは難しいと考えておりますが、一方で、クリーンエネルギーの開発が大変重要であると考えておりますので、ダムの建設が計画される場合、一番当初のダム建設計画の段階におきまして、水力発電の可能性につきまして十分検討を行い、発電利用に必要なさまざまな調整をその段階で積極的に行っていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねは、関係部局長より答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) まず、耳鼻咽喉科等の診療応援についてでございますが、耳鼻咽喉科の常勤医師を配置している県立病院は標榜17病院ございますが、このうち8病院、また、あわせて御要望の強い眼科の常勤医師を配置している病院は、標榜17病院に対して11病院でございます。医科大学では、眼科や耳鼻咽喉科を専攻する医師が少ない状況であり、また、県立病院の一部の広域基幹病院――中核病院でございますが――におきましても常勤医の確保が難しく、それぞれの地域からの診療応援要請に十分にこたえられないというのが実情でございます。
 このような状況にありますことから、平成14年度から開始いたしました岩手医科大学における医師養成事業におきましては、眼科、耳鼻咽喉科等の診療科を専攻する医師の義務履行年限を短縮する配慮をし、これら診療科の医師の養成に努めることとしておりますが、さらに今後とも引き続き関係大学への要請、あるいは公募などによりましてその確保に努め、できる限りの診療応援の要請にこたえるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、一連の病院改革による地方交付税の減少見込み額についてでございますが、現在、国庫補助負担金の廃止や税源移譲を初めとする三位一体の改革が大きな課題とされている中で、今後の地方交付税の先行きが不透明な状況ではございますが、改革基本プランの最終年度となる平成20年度における病床数、あるいは職員数などをもとに平成15年度ベースに置きかえまして試算いたしますと、まず、普通交付税では、本県病院事業は病床数が多く、基準財政需要額に算入される額の上限を超えておりますことから、改革プランで削減することとした病床数では影響が生じず、基準財政需要額ベースで総額51億5、000万円余であり、本年度と同額と見込んでおります。
 一方、特別交付税の交付額は、平成15年度における病院事業に係る総額が交付額ですが12億3、000万円余となっておりますが、このうち共済組合追加費用および不採算地区病院等に係る分で約1億7、000万円程度減少が見込まれるものでございます。
 次に、病院ごとの経営改善の取り組みなどについてでございますが、各県立病院におきましては、毎年度患者数や診療単価などの収入の確保、あるいは材料費、経費などの費用の縮減などの目標を定めまして、病院運営会議など、これは月1回やっておりますが、これらで定期的にその進捗状況を検証・評価するとともに、あわせて同規模病院の患者数あるいは診療単価などの比較や分析を行いまして、その後の改善につなげるよう取り組んでいるところでございます。しかしながら、診療報酬のマイナス改定あるいは医療技術の進歩等による在院日数の短縮化、あるいは介護保険施設の充実、また、外来におきましては薬剤の投与日数の規制緩和などによりまして大幅に患者数が減少し、また、病院、診療科によりましては医師の確保がままならないことなどによりまして、多くの病院で経営収支が悪化し大幅な赤字となったところでございます。
 次に、病院ごとの経営を見直す改革プランを先行させるべきとのお尋ねでございますけれども、患者数の大幅な減少によりまして県立病院全体で病床が1、000床近くあいているといったようなことや、外来患者の大幅な減少、また、診療報酬のマイナス改定などによりまして、こういった構造的な課題に直面しておりますことから、今般策定いたしました改革プランでは、二次保健医療圏を単位とし病床数の適正化を図るとともに、県立病院群を一体的、効率的に運営する仕組みを構築しながら、職員数の縮減及び諸手当の見直しによる給与費の抑制、また、調理や医事業務の外部委託の拡大などを進めることとしております。あわせて、個々の病院におきましても、収入の確保や経費の節減など、自助努力による個別の改善を今まで以上に実施していく必要があるものと考えております。
 お尋ねの中にもございましたけれども、民間経営コンサルの活用などを行いまして、鋭意、病院とともにこういったことにも取り組んでまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君) 市町村合併に関連いたしまして、県からの情報提供についてお尋ねがございました。
 市町村の将来の財政見通しについてでありますが、厳しい地方財政の状況や地方経済の動向等を踏まえまして、それぞれの市町村がみずからの財政状況を分析した上で作成し住民に示すことが基本と考えております。県といたしましては、市町村が将来の財政見通しを策定する際に参考となるよう、平成14年の8月でありましたが、合併シミュレーションのソフトを作成して各市町村に配布したところであります。その後、1年半ほど経過いたしておりますし、地方財政対策が大きく変化したこと等を受けまして、本年度内には新たなバージョンで提供することを今考えてございます。既に作業に入っているところであります。
 また、地方財政計画や三位一体改革をめぐる国の動向等につきましては、今後の財政見通しに大きな影響を及ぼすことになりますことから、県としても引き続き適時適切な情報提供に努めていく考えであります。
 次に、出資法人の改革プランに関連いたしまして、情報関係調達のアイシーエスのシェア等についてお尋ねがありました。
 パソコン等の電子機器等の調達につきましては、各課公所ごとに個別に行っておりまして、そのすべてを把握してはおりませんが、このたび今年度のパソコン100台以上の大口の調達に限って調べましたところ、今年度の4月から1月まで総額2億6、400万円ほどの実績がございますが、このうち株式会社アイシーエスが84%、2億2、100万円余となっております。また、第2位のシェアは太平工業株式会社というところで11%、2、900万円余であります。一方、ソフトウエア開発費につきまして、今年度は同様に総額6億6、600万円ほどの実績でありますが、第1位のシェアは株式会社アイシーエス42%で、2億8、100万円余であります。第2位は富士通株式会社で15%、1億100万円余であります。
 なお、市販のアプリケーションの調達につきましては、各所属で個数単位で個別に購入しておりまして、その購入伝票は膨大であり、その中からアイシーエスの分のみを拾い上げることは困難でありまして、把握いたしかねておりますので御容赦願いたいと思います。
 続きまして、アイシーエスの出資引き揚げ後のリスク管理についてであります。
 情報システムの調達等に関しましては、業者登録制度を設けまして2年に1度の登録審査において経営状況、技術力等の審査を行っております。アイシーエスも審査を受けております。また、株式会社アイシーエスはこれまで順調な経営を維持してきておりまして、経営基盤もしっかりしております。したがいまして、県の出資引き揚げによりましても、同社の経営に与える影響は小さいものと考えているところであります。
 次に、守秘義務の担保及びアイシーエスの会社分割についてでありますが、委託業務の守秘義務につきましてはそれぞれの契約でうたっておりまして、県の出資引き揚げ後におきましても、他社に委託した場合と同様、契約に基づきまして指示・調査ができることになっております。また、同社は、昭和58年に当時の通商産業省から情報システムの安全対策を実施している事業所、いわゆる安全対策実施事業所として認定されておりますし、さらには個人情報保護ガイドラインに準拠いたしまして、個人情報を適切に取り扱っている事業所に与えられる財団法人日本情報処理開発協会のプライバシーマークを平成13年度に取得したところであります。こうしたことから、データの流出等に対しましては、同社において十分な安全対策がとられていると考えているところであります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 林業公社の経営改善についてでありますが、林業公社は県北、沿岸等14市町村の強い要望を受けまして、森林の整備と地域産業の振興を目的に昭和39年度から分収造林事業を進めてきたものであり、約2万4、000ヘクタールを造成したほか、地域雇用の創出など、一定の役割を果たしてきたものと受けとめております。しかしながら、林業公社は自己資金を持たないため、事業資金を農林漁業金融公庫や県、市町村からの借入金に依存してきましたことから、その借入残高が平成14年度末現在458億円と多額になっておりまして、しかも現在の材価では償還が困難な状況にありますことから、この問題を先送りすることなく、早急に経営改善に取り組んでいくべきものと考えております。このため、県におきましては、平成14年度に森林整備のあり方に関する検討委員会からいただいた提言を踏まえまして、県有林事業と林業公社事業の一元化を内容とする県としての経営改善方針案を取りまとめたところでありますが、先般、この原案について報道がなされたものであります。
 林業公社の経営改善は、社員全体で取り組まなければならないものであり、特に県、市町村におきましては、これまで林業公社の設立や経営に大きく関与してきており、こうしたこれまでの経緯からしましても、それぞれが責任を果たさなければならないものと考えております。この方針案は、債権放棄も含めて検討することとしておりますが、今後、林業公社や関係市町村等と細部について協議し、できるだけ早い時期に着手できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時38分 散 会


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