平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇22番(照井昭二君) 自由民主クラブの照井昭二です。
 この場をお借りいたしまして、大変お世話になりました及川幸郎先生へ感謝を申し上げ、心よりの御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 それでは、県政の諸課題につきまして、通告に従い質問させていただきます。
 最初に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 昨年は、春には統一地方選挙があり、また、秋には衆議院議員選挙が行われました。好むと好まざるとにかかわらず、二大政党の政権争奪の渦に国民は巻き込まれましたが、どの政党が日本のかじ取りをするかは、岩手県民としても看過できるものではありません。みずからの信念と県のあるべき姿、国のあるべき姿を考え、自分の応援すべき候補者を選択し、政党を選択しなければなりません。地方自治を声高に論じても、国の動向に大きく振り回されるのが今の地方自治体のジレンマでもあります。ここに、国民一人一人、県民一人一人が責任と自覚を持って国政に参加することの重要性があります。しかるに、さきの衆議院議員選挙では、県民には知事の姿が見えず、国政に対しての知事の考えが県民に伝えられることもありませんでした。県民が国政をだれに託すべきかを考え判断するとき、春の統一地方選挙で岩手の県政を増田知事に託した多くの県民は、国政に対する知事の考え、国政選挙における知事の判断がどこにあるのかを注目しておりましたが、その期待はかないませんでした。この点に関し、知事はどのような御所感をお持ちかお聞かせ願います。
 また、ことしは参議院議員選挙があります。くしくも、増田県政において夢県土いわての実現を目指し、ともに頑張ってこられた前副知事と次長のお2人が相まみえる構図となりました。私には、なぜ2人が争わねばならないのか不思議でなりません。
 イラクへの自衛隊派遣の問題、憲法の改正論議、日本人としてのアイデンティティーが問われる教育基本法の改正など、国の存亡をかけた問題の解決を迫られる今、争いのための争いとなる選挙にならないことを祈るわけでありますが、知事は、この大事な選挙においてもみずからの考え、二大政党政治の中での苦渋の選択の判断基準、国政と県政のかかわり方、それらを県民の前に示す考えはないのでしょうか。岩手県民は、知事の強いリーダーシップを期待しております。御所感をお聞かせください。
 次に、平成16年度県予算案についてお伺いいたします。
 知事は、この来年度予算案について、自立に向けた構造改革予算と位置づけた上で、めり張りのついた予算となり財政健全化に踏み出したと述べております。確かに、国の三位一体改革の影響を受け、地方交付税、臨時財政対策債が大幅に減少した中で、公共事業費の大幅削減に加え、県単独補助金の見直しや職員給与の減額による総人件費の抑制など、従来聖域とされていた部門にまで切り込み、産業や雇用、教育、保健福祉といった分野に重点配分を行うなど、この間の県当局の御努力を多とするものであります。
 しかし、一方、県債発行額は前年度6月現計予算と比較し70億円、4.9%増加し、県債残高も1兆4、047億円に達する見込みとのことであります。この中で、私が最も懸念いたしますのは、この県債発行額の中に300億円の借換債が含まれていることであります。非常になじみの薄い言葉で、これはどのような性格のものなのかをお尋ねしたいのですが、民間で言えば、約束手形を発行して支払い期日が迫っているが、その期日をいわゆるジャンプしたということなのでしょうか。これは、言葉をかえて言いますと、単なる借金の先送りではないのか、こう思えるのですが、なぜ来年度予算案で多額の借換債を計上したのでしょうか、その真意をお伺いいたします。
 次に、県民にとってわかりやすい県政についてお尋ねいたします。
 県においては、岩手県総合計画の基本計画の中で、県行政の基本姿勢の第1項目として、県民とともにつくる開かれた県政の推進を掲げ、そのための具体的な施策として、徹底した情報公開の推進、企業会計方式による財務諸表の公表や、政策立案過程におけるパブリックコメント制度の導入などに積極的に取り組んできているところであり、私はこうしたこれまでの県行政における一連の取り組みを高く評価するものであります。さらには、現下の厳しい社会経済情勢の中にあって、本当の意味での生活者主権、地域主権の社会を実現し、この21世紀にふさわしい新しい岩手づくりを進めていくためには、県民と行政とがお互いに信頼し合い、真のパートナーシップを築き上げながら、県民との協働のための取り組みをこれまで以上に積極的に展開していく必要があると認識しております。しかしながら、県にとっての基本的な規範となるさまざまな条例を拝見しますと、そのほとんどが県民にとってなじみが薄く、専門的で難解な用語の羅列になっており、その道の専門家でない限り、これをしっかり理解するためには、相当の努力と忍耐を要するのではないかと感じるのであります。
 そこでお伺いいたします。
 県民の県政への理解を深めることにより、県民の県政への参画をより一層促進し、県民とともにつくる開かれた県政をこれまで以上に力強く推進していくためにも、県において策定する条例等について、もっとわかりやすく親しみやすいものとなるよう、県民への周知の仕方も含め工夫する必要があると考えますが、お考えをお聞かせ願います。
 次に、地域における医療の確保についてお伺いいたします。
 県では医療法に基づく医療計画を定めておりますが、この計画においては、花巻地域を含む岩手中部保健医療圏における一般病床の基準病床数を2、032床とされております。岩手中部保健医療圏は、花巻地域、北上地域の7市町村で構成されているのでありますが、この医療圏で見ると、ここ数年の間に病床数の膨大な削減が予定されております。すなわち、平成20年度に予定されている花巻厚生病院と北上病院の統合による83床の減少、大迫病院の診療所化による33床、そして平成18年度の廃止対象とされております岩手労災病院の廃止が確定した場合の221床の減少を加えますと、合計337床もの削減となるわけであります。さらに花巻地域1市3町に限って見ますと、花巻厚生病院と北上病院の統合によって、現在花巻厚生病院が保有する257床が減少することとなり、また、大迫病院の診療所化による減少、さらに岩手労災病院の廃止が確定した場合には、一般病床に限ってみてもあわせて493床の大規模な削減となるわけであり、これは地域医療の確保にとって、まさに生死にかかわる極めて大きな問題であります。花巻厚生病院と北上病院の統合を計画した時点において、岩手労災病院の廃止についてどのように認識されていたのでしょうか、お聞かせ願います。
 また、統合病院の設置場所の決定に当たっては、官民を問わず、地域の医療施設との機能分担・連携の効率を考え、高度な判断をされたものと推察いたしますが、その際、統合病院と岩手労災病院の地域における機能や役割の分担、相互の連携についてどのように考えておられたのでしょうか、お聞かせください。
 岩手労災病院の果たしている役割は大きく、県民の命を守り、安心して暮らせる地域づくりには不可欠な医療施設であります。県としても、岩手労災病院の存続を何らかの形で実現するよう、最大限の努力を払うべきであると考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、新たな米政策に関連し、集落ビジョンへの県の支援、かかわりについてお伺いします。
 国の米政策改革大綱に基づく新たな米政策の本格実施がいよいよ目前に迫っております。この改革では、これまでの国主導から農業団体が主体となった米の需給調整を行う仕組みへと移行し、また、全国一律の助成制度を廃止して、地域が使途や助成水準を決めることのできる産地づくりの交付金制度が創設されるなど、地域の発想で水田農業改革を進める制度に転換することとされております。国では、改革の考え方として、わかりやすい制度や決定プロセスなどの透明性確保を掲げていたところでありますが、ふたを開けてみると、対策内容の複雑さに現地は戸惑っているのが現状ではないでしょうか。
 また、平成20年度には、農業者あるいは農業団体が主役となった生産調整に移行するということでありますが、農協を初め地域にすべてがゆだねられることに対して、非常に大きな不安を抱いているのも現実であります。県では、国の米政策改革大綱が決定されたことを受け、速やかに岩手県水田農業改革大綱を策定するとともに水田農業改革運動を立ち上げるなど、全国に先駆けて改革に向けた取り組みをスタートしたと伺っておりますが、地域では、国の対策の詳細が見えてこない中で、市町村、農協、生産者が一体となって、昼夜を問わず大変な苦労をしながら集落ビジョンづくりなどの取り組みを進めていると伺っております。その結果、現在では県内各地の集落でビジョンができ上がってきつつあるとのことでありますが、私には県がどのようにかかわっているのかが見えてこないのであります。情報の流しっ放しやかけ声だけで、あとは農協や地域に任せっきりになっているのではないでしょうか。県は、地域の主体性、自主性を強調しますが、地域の力だけでは限界があります。
 そこでお伺いしますが、県は地域が相当なエネルギーを費やして策定を進めてきている集落ビジョンに対して、どのように支援し、また、どのようにかかわってきたのでしょうか、お尋ねいたします。
 また、既に各地域においてそれぞれの産地づくりが始められている中で、県全体としてのブランドの形成や作物ごとの生産量の調整などに対し、今後県としてどのような支援を行っていく考えか、御見解をお伺いいたします。
 次に、森林資源の保護・活用とマツタケの生産振興について伺います。
 この件につきましては、我が自由民主クラブの佐々木大和議員がプロフェッショナルであり、どちらを向いて質問をすればよいのか迷うのでありますが、お尋ねいたします。
 本県はアカマツなど豊かな森林資源を背景として、県内各地においてマツタケが収穫されており、長野県や広島県などとともに、主要な生産県として全国に名をはせ、山村地域における貴重な収入源となっております。しかしながら、マツタケはその年の夏から秋にかけての気温や降水量、天候に大きく左右されることから年によって豊凶の差が著しく、安定した収入が期待できないと伺っております。また、ここ数年は手入れのおくれている森林の増加に加え、天候不順などにより、県内の生産量は減少傾向にあるようであります。
 このような状況の中で、岩泉町においてはマツタケの主産地化を目指し、平成2年に京都の大学からマツタケ研究家として全国的に有名な先生を所長に迎えられて岩泉まつたけ研究所を設立し、以来、アカマツ人工林内の発生環境整備などに取り組まれた結果、町内のマツタケ生産量が以前の3倍にふえるなど、マツタケの生産振興に大きく寄与されたと伺っております。
 しかし、残念ながら、この岩泉まつたけ研究所は平成16年度末をもって閉鎖される状況にあるとのことであります。1ヘクタールの森林から100万円以上の収益があるとも言われているマツタケの生産振興を図ることは、本県の山村地域における農林家の所得の向上や地域林業の活性化はもとより、森林資源の保護と活用にもつながっていくのではないかと考えますが、今後、県としてマツタケの生産振興を図るための試験研究にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、財団法人岩手生物工学研究センターについてお尋ねします。
 昨年の12月議会におきまして、岩手生物工学研究センターの役割や行われている研究内容につきましては、詳しく御説明と御答弁をいただいたところであります。さすがに先端的な研究がなされているということでありますが、私の能力ではなかなか理解できないのですが、しかし、率直な感想を述べさせていただければ、県がこの厳しい財政難の中で、多額の費用をかけてまでやるべき事業なのかどうかということであります。
 バイオテクノロジー研究については、大学や国が所管する研究機関においても盛んに取り組まれております。そうした中で、その研究テーマのほとんどが、不要不急と考えられる基礎的研究を県がこのまま継続しても、学問の向上にはつながりますが県民のためにはならず、むしろ切迫した県財政下においては、その費用を他に回すべきであると考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、花巻空港の拡張整備についてお尋ねいたします。
 花巻空港整備事業は、国際チャーター便の運航拡大、国内外の交流拠点としての機能拡大などを図ることとして、当初、平成16年度供用開始を目指して平成10年度に事業着手いたしました。しかしながら、昨年10月には、平行誘導路の舗装工事を当面5年間休止することとなり、さらには厳しい財政事情を理由にして、空港ターミナルビルを含むターミナル地域についても、当初計画から3年間、平成19年度まで完成を繰り延べるとの発表がありました。拡張整備事業は今年度末で盛土工事もおおむね終了し、全体事業の8割まで進捗しており、これまでに投資した事業費は244億円にも上っております。これらをあわせ考えますと、この莫大な投資をむだに終わらせることなく生かすためにも、平成17年3月に供用開始する2、500メートル滑走路の延長とあわせて、平行誘導路やターミナル地域についても早期に完成させ、新しい機能を最大限に生かしていくことが本県の振興発展に大きく貢献するものと思うのであります。
 こうした状況を踏まえますと、私は厳しい県財政の状況下にあればこそ、民間事業者の資金や経営的、技術的ノウハウを活用し、施設整備、運営、維持管理を効率的に行って公共サービスを実現する、いわゆるPFIを導入することによって民間投資を拡大し、施設整備コストの低減を図るとともに、早期完成によるメリットを生かした空港の利用促進につなげることが大事であると考えるものであります。こうしたことから、平行誘導路やターミナル地域の整備に当たりPFIの導入を検討すべきではないかと考えますがいかがでしょうか、御見解をお示し願います。
 次に、公共事業の大幅カットと県内業者の受注率についてお伺いいたします。
 厳しい経済情勢が続く中、来年度予算案では本年度に引き続き厳しい緊縮予算を強いられ、公共事業費は前年度比17.9%という大幅なカットが予定されていると伺っております。本県の建設業は、就業者の年齢構成、就業人口、県内総生産におけるシェアから見ても、県内の基幹産業と言っても過言ではないと考えますが、このような情勢の中でますます厳しい経営を強いられた結果、倒産や離職者が今後さらに増加することが危惧されております。
 その対策として、県では建設業振興緊急アクションプログラムを策定し、県、建設業者、建設関係団体などのそれぞれの役割のもとで、平成17年度までに建設業の構造改革を実現するための必要な施策を講ずると聞いております。しかし、その計画の中でうたわれている建設業の新分野、新市場への進出は、仮に建設労働者の農業等他産業への転換が行われたとしても、現実的には、転換先での新たな失業者を生むことも考えられ、むしろ雇用機会を確保する観点からは、県内建設業者への受注率を高めることの方が有効ではないかと考えるのでありますが、まず、これまでの受注率と受注額の推移をお示し願います。
 さらに、県内業者の受注率を高める具体的方策として、発注する大型工事を分割することで県内業者への受注機会を高めることが有効と考えられます。このことによって、地元産業の振興と就業機会の確保が図られ、県全体の経済効果につながっていくものと考えられますがいかがでしょうかお尋ねいたします。
 次に、今後の岩手における都市計画行政についてお尋ねいたします。
 近年、地方自治体の財政の逼迫、中心市街地の空洞化など、地域や都市をめぐる社会経済情勢は急激に変化しており、広い県土を有する本県の各市町村においても同様の状況が見受けられます。我が国においては、人口が2006年をピークに減少していくのにあわせ、急激な高齢化が進展すると予想されており、本県においては全国に先駆けて、この傾向が顕著にあらわれるものと予測されております。こういった背景の中で、岩手の各地域、各都市は、魅力ある地域づくり、まちづくりに努めているところでありますが、県内を見渡しますと盛岡や県中央部の各都市と県北・沿岸部の各都市の格差が縮まらない中で、都市部自体がその活気を失いつつあるのが現状であります。このことは県政の大きな課題となっております。こういった課題を解決する方策として、人口の集中化を促すことによって、地域の個性を生かした魅力あるまちづくりを促進することも一つの選択肢であります。
 そこで、お尋ねしますが、こういったさまざまな社会経済的な背景のもと、県としてこれからの都市計画行政をどのように進めていくつもりなのか、また、市町村をどのように指導していくおつもりなのか、お考えをお聞かせ願います。
 最後に、県立高校の通学区の拡大と統廃合の問題についてお伺いいたします。
 この3月、県立高校では、新しい制度による入学者選抜が実施されますが、その一つとして、普通科に定められている通学区域がこれまでの19学区から8学区へと大幅な拡大がなされています。本県の通学区域は1学区に1校しかない、いわゆる小学区が7学区あるなど、学区数が東北では最も多い状況にありました。これは本県の地理的条件、通学上の負担の軽減、特定高校への集中による受験戦争激化を緩和することなどに特に配慮してきたものと考えられますが、今日の交通機関の発達、生活圏の広域化など社会環境の変化により通学可能圏域が拡大し、中学生の志望も広範にわたっていることなどから見直しを行ったものと聞いております。しかしながら、今回、通学区域の拡大は、県立高校の広域の統廃合を理屈づけるための布石であり、先鞭であったとも考えられ、教育委員会への疑問の声があります。通学区域拡大の意図したものは何であったのか、教育長のお考えをお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 照井昭二議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、さきの衆議院選挙での私の対応、それから、ことし行われます参議院選挙での対応についてのお尋ねでございます。
 御趣旨は、さきの衆議院選挙でも私の姿が見えなかったのではないかという御趣旨でございました。この11月の総選挙の際でございますけれども、私が座長をしております政権公約評価研究会というのが全国知事会にございまして、9県知事がメンバーになっておりますが、私が座長でございます。大変重要なこの総選挙でございます。各政党もマニフェストということで政権公約を発表されました。これについて、私もこの政党の皆さん方、二大政党でございますけれども、そのほかの政党とはちょっと時間がなくてやらなかったのですが、大変恐縮でございましたけれども、二大政党の皆さん方と意見交換をし、そして、その政権公約が本当に地方自治の進展にとってふさわしいものかどうかということを評価して、その結果を発表いたしました。記者会見をして、新聞でも取り上げられたり社説でも取り上げられたりしたわけでございますが、これをどのように考えるのか、私どもも住民の皆さん方に判断材料を提供するということが重要ではないかということで、そういうことを行ったところでございます。ことしの春、今、作業中でございますが、また各党、特に政権政党が示したマニフェストがその後どういうふうに予算づけされ、その結果どのようなことが今、起こっているか、その検証もこの研究会で行って、その結果を発表したいと思っています。
 それから、参議院選挙につきましても、各政党が、これはマニフェスト、政権公約と言える正確なものになるかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもかなり詳細な公約を発表されると思いますので、この公約についても政権公約評価研究会として、その内容について評価を取りまとめて発表したいと思っております。やはりそういうことで、政権政党のいかんにかかわらず、与野党それぞれにやはり我々の立場で見解を表明していくことが必要だと考えております。
 それから次に、来年度予算案の中で県債の発行、特に借換債をその中で使っておりますが、その真意を問うということでお尋ねがございました。この考え方でございますけれども、本県の銀行等引受債、いわゆる昔の言葉で言いますと縁故債でございますが、これにつきましては、これまで10年償還を基本として短い償還期間で発行してきたものが大変多うございました。これにつきましては、従来より県債を財源として整備した施設の耐用年数と比較して償還期間が短過ぎるではないかということ、それから交付税の算定において銀行等引受債、いわゆる旧縁故債でございますが、これは20年償還を基礎としているというこういう食い違いがございましたので、この償還期間を延ばそうということで、今、現時点では県の県債の平均償還年数は17.4年となっておりますけれども、20年のところまで償還年数を持っていこうと、今こういうことを考えております。そういったことが一つございます。
 それから、もう一つは、公債費がことしも増嵩して財政の硬直度が高まってきているという状況もございます。その中で、公債費の償還のピークが平成18年度と見込まれておりますので、それを平準化して、そして財政の硬直から逃れたいというもう一つの理由もあって、その双方の理由で今回、借換債を発行したものでございます。
 もう一度申し上げますと、世代間の負担の公平化と公債費負担の中長期的な平準化の観点から見直しを行いまして、そして必要な額を借換債を発行するという考え方にのっとったものでございます。これは、当然後年度の財政運営にも配意して、計画的に発行するということで、県債償還に係る一般所要額の圧縮を図り、円滑な財政運営を行っていくということに資するということでございまして、今後もこういった借換債、安易な運用はするつもりはございませんので、こうした借換債の発行を、今二つの申し上げましたような理由の中で適当かどうかよく判断しながら、この問題を考えていきたいと思います。
 それから、3点目は、花巻市にございます岩手労災病院存続についてでございます。
 これにつきましては、昨年この廃止ということが発表されたところでございますが、御承知のとおり、今、議員からもお話しございましたとおり、リハビリ医療など地域において中心的な役割を担っているということもございますので、昨年10月に、こうした岩手労災病院の廃止をしないようにということで厚生労働省、それから労働福祉事業団が直接の所管でございますので、この両者に対しまして県として要望書を提出しているわけでございます。
 今後ということになるわけでございますが、この病院の存続につきましては、やはり今の病院の担っております機能を十分に分析する必要がある。そして、一方で厚生労働省や労働福祉事業団の事情もございますので、ただ、現状のままの維持という形での存続要望ということは、やはり大変困難であろうと思いますので、病院の特色でございますリハビリテーション医療、それから人工透析、振動障害の専門センターなど、地域にとって本当に必要な機能を分析して、ポイントを絞って説得力のある活動につなげていく必要があると考えておりまして、このことについては、先般、地元の皆さん方が来られたときにも申し上げたところでございます。県でも、今後の厚生労働省の出方、労働福祉事業団の出方なども見きわめながら、こうしたこの機能を含めた病院が何らかの形で存続できるように、地元に対して必要な支援に努めていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長に答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 県民にとってわかりやすい県政についてでございます。
 条例、規則などの県の例規につきましては、その解釈が分かれたりあるいは誤解を与えたりするようでは社会の規範足り得ないということがございまして、特に、県税条例などの県民の権利義務に影響を及ぼすような性格のものにつきましては、人により異なった解釈がされることがないよう、これまで、わかりやすさというよりも、むしろ正確さ、厳密さをより重視してきた面があると考えております。しかしながら、こうした例規につきましては、もとより、策定する側のものというよりも、広く県民のものでございまして、可能な限りわかりやすいものであることがまずもって肝要であると考えておりまして、今後、条例等の立案に当たりましては、そうした視点をまず第一に考えながら、わかりやすさと正確さ、この両面がバランスのよいものとなるように、最大限の努力を図ってまいりたいと考えております。
 また、県民への周知につきましても、これまでもテレビ、ラジオのほか必要に応じてリーフレット、パンフレット等の作成、配布などを行ってきたところでございますけれども、県民にとって少しでも身近でわかりやすいものになるように、さらにさまざまな工夫、取り組みを重ねてまいりたいと考えているところでございます。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) まず、花巻厚生病院、北上病院の統合計画時点での岩手労災病院についての認識についてでございますが、岩手労災病院の問題につきましては、平成13年12月、全国の労災病院のうち、研究機能を有する中核病院を除く病院を廃止または民営化、地方移管をするという国の特殊法人等整理合理化計画が閣議決定されたことに端を発しているものと承知いたしております。この両病院の整備につきましては、それ以前、同じ年でございますが、平成13年10月に統合整備の基本方針を策定いたしたところでございます。
 次に、統合病院と岩手労災病院の機能分担などの当時の考え方についてでございますが、統合病院は、岩手中部保健医療圏という広域的視点から、医療供給体制を充実するためには、両病院の診療機能及び常勤医師などのマンパワーの集約などが必要であるとの認識に立ちまして、一般総合医療のほか、がん、脳血管疾患、あるいは小児・周産期医療等の高度特殊医療や救急医療体制の充実、あるいはまた、災害拠点病院や周辺病院等への診療応援、そういった機能を強化するなどとともに、リハビリテーション医療などにその特色を有する岩手労災病院も含め、他の医療機関、民間医療機関との機能分担あるいは病診連携を考慮しまして、圏域内の高度かつ総合的な医療機能を有する中核的な病院として整備する構想を策定いたしたものでございます。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 集落ビジョンへの県の支援とかかわりについてでありますが、県におきましては、集落の方々のビジョンづくりを推進するため、平成15年度早々にすべての地方振興局に支援チームを設置したところでございまして、市町村、農協等と一体となって、集落に入りその策定支援に努めてきたところでございます。この支援チーム員になっております地方振興局、農業改良普及センターの職員は、連日のように、平日だけでなく夜あるいは土日にも集落に入って、生産者の意向把握から、個々の経営、集落全体としての水田農業の将来方向まで、地域の皆さんと一緒になって検討を行うなどの活動を行ってきたところでございます。私も幾つかの集落にお邪魔をし、農家の方々と話し合う機会を設けさせていただきましたが、これほど全県的に、しかも短期間に集中して市町村、農協の職員と一緒になって集落に入って活動を行ったことは、余り例がなかったのではないかと思っております。
 次に、県全体としてのブランドの形成などに対する支援についてでございますが、集落ビジョンにおきましては、県の園芸産地拡大計画に基づく重点推進品目の生産拡大に取り組んでいただくことにしておりまして、これら品目を主体に産地の広がりをつくりながら、県内産地間の連携を強め、有利販売のためのロットの確保、長期安定出荷のためのリレー出荷に取り組むほか、適時適切に産地情報を提供するなどにより、消費者から信頼される岩手ブランドが確立されるように支援してまいる考えであります。
 また、本県産の園芸品目は品質が高いこともあって市場関係者などからの引き合いが強いので、水田農業改革の始まるこの年を園芸拡大の好機ととらえまして、一層の生産拡大を推進してまいりたいと考えております。
 次に、マツタケ生産振興についてでありますが、マツタケの増産を図るためには、発生地の環境整備が必要でありますことから、県林業技術センターでは、マツタケの発生環境調査や発生量と気象条件の関係などについて、調査・研究を実施してきたところでございます。また、平成11年度から、マツタケと共生関係にあるアカマツの根にマツタケ菌を感染させて、マツタケを発生させる研究に取り組んでいるところでございます。この研究では、アカマツの根にマツタケ菌を感染させるため、園芸用土でございますとか液体培地、木綿などいろいろな材料で培養試験を繰り返してきたところでございますが、特殊な繊維シートでマツタケ菌の培養に成功し、平成14年8月に特許出願をしたところでございます。
 林業技術センターでは、現在、温室内で鉢植えアカマツの苗木を利用して、マツタケ菌が順調に成長できるかどうかについて、経過を観察しているところでございます。加えて、平成16年度から林業技術センターの試験林内におきまして、マツタケ菌を感染させたアカマツ苗木を植栽し、実際に林内でマツタケが発生するかどうかを確認する林地導入試験を行うこととしております。さらに、県内各地で、35年生前後のアカマツの根に直接マツタケ菌を感染させる研究にも取り組んでまいる考えであります。
 次に、財団法人岩手生物工学研究センターのバイオテクノロジー研究についてでありますが、本県の農林水産業、食品工業等の産業振興を図る上で、生物の持つさまざまな機能を活用するバイオテクノロジーが極めて有用であり、産業競争力を強化するためには、革新的な技術を独自に開発することが不可欠になっておりますことから、生物工学研究センターにおきまして、県試験研究機関の応用化研究を支援するための基礎的研究に取り組んできたところでございます。現在、こうした基礎的研究をもとに、例えば農業研究センターとは、稲の分野におきまして、生物工学研究センターが開発した遺伝子マーカーを利用し、従来でございますと10年から15年要していた品種育成期間を大幅に短縮する技術について、また、環境保健研究センターとは、シイタケの酵母を利用した環境ホルモンの分解技術について、それぞれのプロジェクトを組んで研究開発に取り組んでいるところでございます。
 このような技術開発は、独自の基礎的研究機関を持つことによって可能になるものであり、本県のこの面での研究は、東北各県を大きくリードしているものと考えております。今後におきましても、バイオテクノロジーは、安定した食料生産、環境調和型産業の創出などにもつなげていくための基礎となる技術として、ますます重要になるものと考えておりますので、生物工学研究センターと県試験研究機関との結びつきを一層強め、研究開発に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 花巻空港の拡張整備についてでありますが、PFIにつきましては、逼迫する財政状況の中で行政サービスを効率的に確保するという観点からも、有効な手法の一つだと考えております。このPFI事業が成立するためには、事業に参入する企業が施設の建設、維持管理及び運営を一体的に行うことによって収益を確保しなければならず、県が事業を行う場合と民間事業者が行う場合のコストの比較、いわゆるVFM(バリュー・フォー・マネー)などについても十分検討する必要がございます。
 空港整備における平行誘導路やターミナル地域につきましては、滑走路等他の空港施設と一体となって機能を発揮するものでありまして、分離して管理、運営することが難しく効率的でないこと、また、既に公共事業方式の枠組みで約80%まで事業が進捗していることなどから、PFIのメリットを引き出すのは少し難しいのではないかということを考えております。また、他の空港施設と異なり、民間からのテナント収入などを見込める新ターミナルビルについてPFI導入の可能性を検討しました結果、バリュー・フォー・マネーがマイナスとなったことから、PFIを導入するメリットはないのではないかと判断しております。
 なお、今後、各種の公共施設整備に当たりましては、その整備手法の一つとして、行政のスリム化、民間活力の活用の観点からも、PFIの適性が見込まれる案件については、その導入について検討してまいりたいと考えております。
 次に、県内業者の受注率の推移でございますが、普通会計分をとってみますと、件数ベースで、平成13年度は88.3%、平成14年度は89.8%、これを金額ベースで見ますと、13年度は79.0%、14年度は76.0%となっております。また、受注額の推移は、平成13年度は1、192億円、平成14年度は1、110億円となっております。
 県営建設工事の発注に当たりましては、これまでも県内業者への発注を基本としてきたところでありまして、昨年度は、条件付一般競争入札の入札参加要件を緩和したほか、今年度につきましては、下請に県内企業を優先活用することや工事材料に県内資材を活用することについて請負契約の付記条項として明記しております。また、本年1月には、県内受注率が他に比較して低い舗装工事、これにつきまして県内建設業者への発注金額の引き上げなど、入札参加機会の拡大を図っております。また、発注の規模、工種につきましては、工事の難易度、現場条件、さらには地域の実情等も勘案して適正に執行してきたところでございます。
 今後とも、入札及び請負参加資格に関する連絡会議などを通じまして、総務部とも連携をさらに密にしながら、県内建設業の技術力を適正に評価して、一層の受注機会の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 次に、都市計画行政についてでありますが、今後予想される人口減少や中心市街地の空洞化などを背景といたしまして、全国的に都市再生や地域再生が積極的に進められているところでありまして、こういったことにも対応して、平成12年には、都市計画法が大幅に改正され、地域ごとにきめ細やかな都市計画のマスタープランを策定するとともに、都市づくりにおいて、住民や市町村が主体的に取り組みを進めるための枠組みが定められたところであります。
 本県におきましても、本年の5月を目標にいたしまして、従来の環境、人などといった視点に加えまして、市街地の既存ストックを有効に活用するコンパクトシティー、こういう新しい都市づくりの視点を位置づけました岩手県都市計画マスタープランを県内の26都市圏において、それぞれ策定することになっております。
 今後は、これらの県の都市計画マスタープランを踏まえまして住民の提案制度、また、まちづくり条例などに加えて、各市町村においてもそれぞれ独自のマスタープランの策定を行い、平成16年度から新たに制度化されるまちづくり交付金や既存の事業を活用いたしまして、各都市や各地域がそれぞれの特色や知恵を出し合い、競い合って魅力あるまちづくり、地域づくりを行っていくことになります。
 県としては、市町村とも連携しながら、こういった活動を積極的に支援し、活力ある県土の実現に努めていきたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県立高校の通学区域の拡大と統廃合についてでありますが、この3月に実施いたします高校入学者選抜から適用する県立高校の通学区域の見直しは、近年における高等学校進学率の上昇や生徒の進路希望の多様化が進行し、また、公共交通機関の発達など、社会環境の変化により、通学可能圏域が拡大している状況を踏まえ、生徒の学校選択の幅を確保し、生徒一人一人の進路選択を支援していく観点から、その拡大を図ったものであります。
 具体的な通学区域の見直しに当たっては、中学生やその保護者及び高校生への意識調査や地域における説明会では、通学区域拡大に対する要望が多く出されたところであり、また、通学区域のあり方を検討する外部の識者による委員会からは、受験機会の均等が図られるようにすること、通学可能圏の拡大を考慮することなどを勘案の上、通学区域の見直しを行うことが適当である旨の検討結果が示されました。
 そうしたことを踏まえて、県教育委員会におきましては、九つの広域生活圏を基本に区域を設定することとし、さらに、各地域の実態や要望等を踏まえながら、気仙地区と釜石・遠野地区を一つの学区とすることとして、通学区域を8学区としたものであります。


前へ 次へ