平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇34番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝でございます。
 初めに、去る2月4日に御逝去された故藤原哲夫元県議会議長、2月16日に御逝去されました故及川幸郎議員のみたまに対しまして、謹んで哀悼の意をささげ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 会派を代表して、先般の知事演述に対する質問を中心にお伺いします。
 質問に入る前に、県政の推進に当たり、私なりに考えておりますことを若干述べさせていただきます。
 自分の住む岩手が、だれもが誇れる岩手でありたい、また、そうした県民の願いを実現する意味においても、これまで以上に地域や住民の意思を反映した活動が我々議会人として当然必要であります。こうした観点から私ども自民党岩手県連は、昨年の統一地方選挙において、真に県民から理解され、信頼されるべく、時代にマッチした姿を提示するため、県内各層から提言をいただき、自民党の日本版マニフェストと連動した自民党岩手県版マニフェスト、いわゆる県民との約束を策定したものであります。その内容は、政策提言、開かれた活動、信頼される政治を基本姿勢とし、緊急に取り組む三つの県政課題、すなわち県境不法投棄廃棄物問題の解決、雇用の確保への取り組み、安全・安心な食への取り組みであり、さらに、重点的に取り組む五つの政策、すなわち元気な産業への推進、安全・安心できる暮らしづくり、教育の推進、食料の安定供給と美しい郷土づくり、地域間の格差の解消に取り組むこととしたものであります。知事もほぼ同様なマニフェストをつくっておりますことから、ぜひ県の重要施策として推進されるものと期待するものであります。
 私どもは、これらの実現に向け、県では知事に、さらには政府・与党の立場から主務大臣、関係省庁へ直接出向き、あらゆる機会を通じ、岩手に必要な要望、施策提言を行い、その結果として、岩手・青森県境産業廃棄物の処理を初め、多くの分野において県民生活の向上に貢献していると考えるものであります。
 岩手の発展を考えるとき、財政状況はどこも厳しい中にあって、あらゆる場面に必要なことは、やった結果の検証を行い、次につながれなければなりません。私は、こうしたことをしっかりと踏まえ、直すべきところは直し、県政推進に当たらなければならないと考えております。私は、これからの岩手は、地域の産業経済、すなわち民間の活力が増大しなければ岩手の将来はあり得ないと考えるものであり、知事の国に対する提言は、外交的行動としては了としながらも、一方では、現下の県民生活の向上を図るという内政面をしっかりと進めるのが基本と考えるものであり、財政事情は十分理解する中で、改革を進めるには何事にも痛みが伴うわけですが、急激な進め方で県民に激痛を与える処方より、県民の十分なる理解と認識を得ながら一定のスパンの中で痛みを分散させる処方もあると考えます。その一方で、知事のみならず、私どももあらゆる手段により国に要望、提言を展開することにより本県に必要な財源の確保を図ることにより、県民生活の向上につなげられるものと考えます。
 それでは質問に入りますが、知事には、県民本位、地域本位での立場での県政推進を望むものでありますが、県民の願いをどのような視点、施策で具体化していくのか、県民にわかりやすい答弁を期待いたします。
 さて、平成16年度予算案の策定に当たり、厳しい財政状況の中、地方交付税の大幅な減等により3年連続した前年度比マイナス予算になったことについてお伺いします。
 まず、平成16年度予算編成の基本的な考え方でありますが、歳入では、県税収入、地方交付税がいずれもピーク時の平成12年度に対して大幅な落ち込みを生じており、このような状況により、昨年10月の行財政構造改革プログラムでは、これまでどおりの行財政運営を続けた場合、平成18年度までの4年間で約1、750億円の財源不足が見込まれるとのことであります。また、さきの知事の記者会見によると、予算編成に当たり、一つには、誇れるいわて40の政策を中心に、政策形成プロジェクトとして大体50億円を目標により事業の選択と集中を行うとしたところであり、二つ目として、行財政構造改革プログラムに基づく各種の取り組みを進めてもなお平成18年度末までに150億円程度の財源不足が生ずる見通しであるが、このうち平成16年度は約60億円の解消を図り、残りを平成17、18年度で解消する前提で予算編成に臨んだところ、昨年末の地方財政対策において、三位一体改革の名のもとに地方交付税、国庫支出金が大幅に削られたことによりさらに財源不足が膨らむなど、極めて厳しい状況になったとのことであります。
 そこで、これまでの財政運営についての知事みずからの検証及び平成16年度の予算編成に当たり、この財源不足の状況を踏まえ、具体的にどのような考え方で予算編成を行ったかお伺いします。
 次に、県は、昨年10月に行財政構造改革プログラムを策定し、自立した地域社会の形成に向けた行財政構造改革を進めようとしております。知事は、右肩上がりの経済成長の中で、身の丈を超えて肥大化してきた行財政構造を抜本的に改めるとしているが、次の事項について知事はいかなる考え方を持って取り組むのか、その基本的な考え方についてお伺いします。
 まず第1に、昨年10月から12月期の国内総生産――GDPは年率7%増と13年ぶりに高い伸び率を示し、日本経済は長期低迷から復活の兆しが見えてきたのではとの見方も出ております。しかし、地方経済は依然として低迷し、雇用情勢も深刻な状況が続いております。こうした状況を地方にもたらした原因は、単なる景気の低迷によるものではなく、市場原理主義に基づくグローバリズムの急激な進展によるものと考えております。このような状況を踏まえ、今日、政府を初めとして地域再生ということが言われておりますが、知事が演述で述べた岩手らしさの確立とは、こうした地域再生に当たっての戦略の一端を述べたものと理解しております。
 そこでお伺いしますが、県は、地域再生にどのように取り組んでいくのでしょうか。
 第2に、行財政構造改革を進めるという視点での今回の組織・機構改革の基本的な考え方はどのようなものでしょうか。また、どのような効果を期待して行うのでしょうか。
 第3に、県は、これまで公共事業中心の景気対策に呼応して、おくれていた社会資本の整備を前倒しで行ってきました。今後は、こうした整備された社会資本の利活用が大事であり、ハード整備からソフト運営面での充実が求められております。また、ソフト運営の充実を図るためには、官主導から民間活用、民間との協働化の推進が図られるべきと考えますが、どのように民間活用、官民の協働を進めるのでしょうか。
 第4に、公共事業は重点化が必要であると考えますが、どのような考え方で行うのでしょうか。また、それは、どのように平成16年度当初予算に反映されているのでしょうか。
 第5に、県民に最も身近な基礎的自治体である市町村は、市町村合併、国庫補助金、県単補助金、地方交付税の削減などの課題に対して、それぞれ自治体の存続をかけた懸命な取り組みが行われているところであります。このような中、県においては、県内58市町村を包括する広域的自治体として、その自立の支援を強力に推し進める責務があると考えますが、どうでしょうか。知事は、地域の自立に向け、市町村に対する財政的な支援や市町村合併への支援などについて、今後の任期でどのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 次に、雇用対策等の推進について伺います。
 平成16年度当初予算は、自立元年と位置づけるとのことであります。知事も言っているとおり、経済的な自立、すなわち産業活動の活発化による地域の経済力の強化と雇用の場の創出が大変重要であります。特に若年者雇用の問題については、県内新規高卒者の就職内定率を見ますと、1月末の岩手労働局の調査結果で74.7%と、やや前年度を上回っているとはいえ、依然として厳しい状況が続いております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 かつては、ヨーロッパ先進諸国においては、若年層の失業率の高さなど経済的停滞を指して先進国病と言われましたが、これと同じ状況に我が国も陥っているのではないでしょうか。さまざまな社会的、構造的背景を抱えている問題であり、解決は容易ではないと考えられます。県では、昨年6月に知事直轄の総合雇用対策局を設置し、雇用の創出などに取り組んでいますが、このような若年者層における構造的課題に対して、地方自治体である県としてどのような対応が可能なのでしょうか。総合雇用対策局の成果として挙げられるものがあるのでしょうか。平成15年度の活動の評価と平成16年度に向けた取り組みについてお伺いします。
 また、雇用の創出に関しては、長期的に見れば地域内からの起業化や新産業の創出も非常に重要でありますが、即効性や確実性から見れば、やはり企業を誘致することが最も効果的と考えます。記憶に新しい平成12年から13年にかけての相次ぐ誘致企業の工場閉鎖や撤退を思うにつけ、これからは、既存の県内産業集積との関係や産業特性、県が目指している岩手のあるべき姿に照らし、岩手らしい産業構造の構築に資するような戦略性のある誘致活動が非常に重要であると考えます。今まで以上に地元産業との関係や県の得意分野を伸ばすような視点が必要であります。現在、企業誘致に携わる職員はたったの10数名と伺っておりますが、この人数では不十分ではないでしょうか。これまでの企業撤退等の経過を踏まえ、県ではどのような戦略を持って誘致活動に当たっているのでしょうか。職員を倍増し、より強力に活動を展開すべきであると考えますが、御所見を伺います。
 次に、産業廃棄物不法投棄問題について伺います。
 誇れるいわて40の政策の緊急課題の一つとして位置づけられる本県と青森県にまたがる国内最大規模の産業廃棄物不法投棄事件につきましては、これが契機となって、昨年6月に20世紀の負の遺産を一掃する特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法が成立し、不法投棄現場の原状回復の見通しが明らかになってまいりました。去る1月21日には、本県が国に提出した原状回復のための実施計画案に対し環境大臣の同意がなされたと聞いております。従来は不法投棄された被害県のみが大きな負担を強いられる図式でありましたが、補助金と起債の特例措置により県負担が緩和され、原状回復に向けた取り組みが大きく進むことになると考えます。
 知事は、住民の健康被害の防止と安心感の醸成が最も重要であるとの認識に立ち、いち早く全量撤去の方針を示され、また、汚染拡散防止策として、表面遮水、いわゆるキャッピング工事を進められていることに対し敬意を表するものであります。しかしながら、全体の処理費用は本県分だけでも221億円と言われており、県負担も相当額に上ることが予想されます。効果的、効率的な処理を進め、早期の全量撤去を期待するものでありますが、先般、今後の撤去方法などを決める施工システムの設計のための企画提案募集を行い、審査中であると伺っております。春ももうすぐであり、撤去着手が待たれておりますが、原状回復について、今後の見通しはどうなのか、御所見をお伺いします。
 次に、環境産業の育成等について伺います。
 知事は、今議会の冒頭の演述において、事業者の廃棄物の発生抑制やリサイクルへの取り組みを支援することなどにより、環境保全と産業育成の両立、産業廃棄物を利活用する環境関連産業の育成などを促進していく方針を示されております。私も、廃棄物の処理基準や罰則の強化などのいわゆる規制の強化一辺倒ではなく、真剣に自社の廃棄物の再利用や減量化を進めようとする企業や新たな再資源化技術の開発に取り組もうとする事業者を応援していくことが将来の循環型地域社会の形成に寄与するものと考えております。また、県は、このような趣旨から、今年度、事業者に対する廃棄物の減量化、再資源化等を支援する産業・地域ゼロエミッション推進事業を実施するなど既に取り組みがなされていることは承知しており、評価するものでありますが、今後、この事業の展開を含め、環境保全と産業育成あるいは環境産業の育成等にどのように取り組もうとしているのかお伺いします。
 次に、農林水産業の振興について伺います。
 まず、食の安全・安心への取り組みについてでありますが、平成13年の我が国でのBSE――牛海綿状脳症の初発以来、今日まで既に10頭が確認され、また、昨年暮れにはアメリカでもBSEが発生し、これに伴う外食産業の牛丼メニューの中止、さらには、ことしになって鳥インフルエンザが我が国のみならずアジア諸国で猛威を振るい、国内鶏肉価格が暴落するなど、食をめぐって大きな混乱を生じております。
 食を取り巻く環境の変化、食品流通の広域化、複雑化の中で食生活の多様化時代を迎えておりますが、農林水産業は、国民の命を支える食料を安定的に供給するという重要な使命を担っております。こうした中、本県では地産地消運動に積極的に取り組んでおり、また、昨年8月には岩手県食の安全・安心に関する基本方針を策定したところであり、これら取り組みに対し高く評価するものであります。私は、消費者の食に対する関心が高まっている現在、特に生産者と消費者の顔の見える関係など、食に対する安全・安心の確保は食料供給県である本県の責務であると考えますが、この食の安全・安心への取り組みについて御所見をお伺いします。
 次に、本県の農業は、本県経済の基幹をなす産業として県勢の発展に大きく寄与しているものと認識しております。しかしながら、本県の農業生産額は、近年の輸入農産物の増加などにより、価格の低迷により昭和60年の約3、600億円をピークに年々減少し、平成14年には約2、700億円と、約900億円の減少となっております。農業を取り巻く情勢は、高齢化による従事者の減少に加え、WTO農業交渉、FTA――自由貿易協定交渉など、国際化の一層の進展により今後も輸入の拡大が予想され、さらに厳しさを増すものととらえており、国においても、来年度から消費者重視、市場重視の考え方に立った新たな米政策がスタートするなど、本県農業は、今、大きな転機を迎えております。また、農林水産省が昨年末に実施した国民意識調査によれば、消費者の90%が日本の食料供給に不安を持ち、85%が食料自給率を大幅に引き上げるべきと感じていることなどが明らかとなり、消費者は食料自給率に強い不安を抱いております。
 こうした中、私は、本県農業が我が国の総合食料基地としてさらなる発展を期するためには、これまで以上に地域の多彩な立地条件を生かしながら、米、畜産、園芸を基幹とした収益性の高い農業の再編を強力に推し進めていくことが重要であると考えております。県では、今後、米、畜産、園芸の振興をどのように進めようとしているのか、御所見を伺います。
 次に、地域医療の確保の観点からお伺いします。
 医療機関の整備・充実を図る上で医師の確保が大きな課題となっており、これまでも多くの議員が質問しているところでありますが、このことは、とりもなおさず県民の医療の確保に必要不可欠なものであり、都市部の中核的病院に医師が集中し、特に地域における病院、診療所において医師が不足し、地域住民の医療確保に大きな不安となっていること、また、研修医制度が変わり、新たな医師の確保に2年間のブランクができたこと、最近話題となった地域医療機関と医学系大学との関係等により大学からの医師派遣が一層厳しくなることが予想されることからあえて伺うものであり、地域医療のニーズにこたえるには、医療のネットワークづくりを進め、センター病院、圏域の広域中核病院からの地域への応援・協力体制を確立することが急務と考えますが、医師の確保に当たって、今後どう取り組んでいくつもりなのか、御所見を伺います。
 さらには、少子化が進行する中、子供を持つ親は、子供が病気になったとき小児科に駆けつけるわけですが、小児科専門医師の不足から適切な処置、治療が行えなかったための過去の痛々しい出来事を思うとき、岩手の将来を担う子供の少子化対策の一環ともなる小児救急体制の整備が求められておりますが、夜間、休日を含む小児救急体制の整備にどう取り組んでいくのか、あわせて、小児専門の医療機関として子供病院の整備、充実に本格的に取り組む必要があると考えますが、その取り組みについて伺います。
 加えて、県立病院の改革についてでありますが、まずは、県立病院は、県下にあまねく医療の均てんをという創業の精神のもと、県民の医療の確保に努められており、尽力いただいております関係者に敬意と感謝を申し上げます。今般、医療局から県立病院改革基本プラン並びにその実施計画が発表されるに当たり、私ども議員有志により設立した岩手県議会県民の医療のあり方研究会並びに関係市町村等からの要望により無床化は回避され、地域における夜間、休日などの救急診療が引き続き確保されるという配慮がなされたことに一定の評価をするものであります。県立病院の経営が厳しい環境にあることは承知しておりますが、累積赤字の増大が見込まれる県立病院の改革にどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
 次に、福祉の充実についてお伺いします。
 高齢者が健康で生き生きと暮らし、また、介護や生活支援が必要となった場合においては、社会全体で支えあう仕組みとして平成12年から介護保険制度が施行され、これにあわせて、県では、市町村が行う介護保険事業を支援するためいわていきいきプラン2005を策定、さらに、このプランの3年ごとの見直しにより、県民、事業者、行政それぞれの行動指針となるいわていきいきプラン2008を平成15年3月に策定したところであります。利用者が円滑に良質なサービスを利用できる仕組みづくりとして、いつでも、どこでも、だれもが適切な介護サービスを受けられるシステムの整備を図るとされているが、通所・居宅サービスにおいて施設相互の連携がとられるのか、特に過疎・山間地でも十分なサービスの提供がなされるのか、心配されるところでありますが、特に居宅サービスの向上に具体的にどう取り組んでいくのか、あわせて、入所施設サービス基盤の整備についても伺います。
 また、心身に障害を持つ人が生きがいを持って自立し、社会参加できるようにするためのユニバーサルデザインによる生活環境の整備を含め、障害者の自立支援をどう進めていくお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、教育、文化の推進について伺います。
 知事は、さきの演述で、この岩手を、個性が輝き、その実力を遺憾なく発揮できる多彩な人材の宝庫にしていきたいと述べていますが、私も知事の考えに同感するものであります。学習定着度状況調査の結果によれば、本県の子供たちの基礎・基本の定着状況が満足できる状況になく、学力で憂慮すべき状況にあるほか、教職員の不祥事が続発し、学校に対する信頼を回復する必要があります。国においては、教育内容や教師、学校にかかわる改革を進めておりますが、近年は、規制緩和や地方分権の視点からの改革議論もあります。こうした流れの中で、知事は、志を同じくする知事で地方分権研究会を組織し、教育分野でも調査、研究をしていると聞き及んでおりますが、その取り組みについてお伺いします。
 次に、生きがいのある充実した人生を送ることができる豊かな地域文化を持つ社会を実現するため、特にも将来を担う子供たちには、自分たちが住む地域の歴史や文化を大切にし、誇りに思うことを教えていくことが重要であります。
 岩手には、県内各地に残る民俗芸能を初め、地域の生活の折々を彩る伝統行事、漆工芸や南部鉄器などの伝統工芸に代表される伝統文化がありますが、とりわけ民俗芸能につきましては、民俗芸能の宝庫と言われるほど多くのものが残されております。
 その一方で、地域社会において少子化、高齢化が進んでおりますことは、民俗芸能の継承に当たり大変懸念されるところであります。
 そこで、岩手に根づく数多くの民俗芸能の継承についての御所見をお伺いします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、予算編成の考え方についてでございますが、私はこれまで、より生活者に近いところで、生活者の立場に立って物事を進めていくという、生活者主権、地域主権の考え方を基本として、県民の皆様方や地域の声、そして要望を踏まえた行財政運営を進めてきたところでございます。
 しかしながら、平成4年度以降累次の国の経済対策に呼応して、公共事業を中心とした社会資本整備を前倒しで集中的に実施してきたことなどもございまして、本県の行財政構造は、右肩上がりの経済成長の中で身の丈を超えて肥大化して、多額の県債残高を抱え償還額が累増した上に、景気の目立った回復は見られずに、県税収入や地方交付税の交付額が大きく落ち込むなど、極めて厳しい財政状況に立ち至ったところでございます。
 今、顧みますと、県財政が国から自立していなかったこともこうした財政悪化の要因の一つであり、また、もっと早い段階から歳入に見合った歳出規模の適正化に取り組む必要があったものと痛感しております。そのような反省を踏まえて、昨年の秋に行財政構造改革プログラムと中期財政見通しを策定して、安定した行財政基盤の構築と質の高い行政サービスを提供できる行政経営体への転換を図るための取り組みを今進めているところでございます。
 平成16年度予算は、中期財政見通しのもと、より一層の選択と集中に努めまして、削減すべきは削減をする、重点化すべきには重点的に配分する、これを基本として、私が昨年、県民の皆様にお示ししたいわゆるマニフェストを県民との約束と位置づけて、そこに掲げた政策の達成に向けて取りまとめた誇れるいわて40の政策を中心に、雇用対策、そして産業廃棄物不法投棄事案への取り組み、たくましい産業の振興、次代を担う人づくり、心から信頼できる安全・安心の確保といった緊急課題・重点施策については、歳入の確保が極めて厳しい状況にありながらも、最優先で予算措置をしたところでございます。
 その上で、持続可能な行財政構造の構築への第一歩として、主要3基金の取り崩しに依存せずに、県税等の収入に見合った財政支出となるよう歳出規模の適正化に努める一方で、自主財源の確保や県債発行の抑制、公債費負担の平準化など、財政運営の将来にもわたる健全化にも配意をしたところでございまして、特にも、プライマリーバランス均衡の平成18年度達成に向けて、県債を主な財源とする普通建設事業費の規模の見直しを図ったところでございます。
 このような方針に基づいて、平成16年度予算は、自立と構造改革元年予算として編成をしたところでございまして、従来に比べて、県民の皆様の痛みを伴う点もございますが、こうした取り組みを進めることによって、将来にわたり、これまで以上に質の高い行政サービスの提供が可能になるものと考えております。
 また、誇れるいわて40の政策を着実に実施していくことで、健全な財政運営のもとに、子供たちが健康で生き生きと暮らし、しっかりとした家庭が築かれ、若者が誇りの持てる仕事につくことができる社会を実現してまいる所存でございます。
 次に、経済再生への取り組みについてでございますが、これからは、それぞれの自治体がみずからの知恵と工夫によって、その経営手腕を競う時代であると考えておりまして、本県ではこれまで、いわて地元学の考え方などを通じて、地域が持つさまざまな資源を改めて見つめ直す取り組みを進めてきたことで、他には見られない、岩手ならではのよさや優位性、特徴が見えてきたものと考えております。
 こうした取り組みを受けて県内では、例えば、葛巻町の畜産と木質のバイオマスを利用したクリーンエネルギー利用の推進や、遠野市の地域に伝わる民話やどぶろくなどの伝統的食文化を活用したふるさと再生など、自分たちが住むその地域の特性に光を当て、地域資源をうまく活用することによりまして、地域が活性化し始めてきているものと考えております。
 地域再生には、とりわけ市町村やNPOとの連携、さらには、国の規制緩和が欠かせないところでございまして、県としては、地方振興局を通じた市町村相互補助金の助成や構造改革特区制度の導入の支援などによりまして、地域再生に向けた取り組みを県内各地域において積極的に促進してまいりたいと考えております。
 次に、組織・機構改革についてでございますが、その基本とする考え方については、厳しい行財政状況のもとで自立した地域社会形成という視点から、持続可能な行財政構造の構築を目指して、全庁的な再構築を進めることとし、まずもって官民の役割分担を見直すとともに、迅速な意思決定を可能とするため、業務の実質的な責任者に対し権限を大幅に委譲するいわゆるエンパワーメントや、補佐的役割である次長職、課長補佐職を廃止する組織のフラット化、簡素な組織構造を目指すグループ制の導入など、組織的能力の向上を図ることでございます。
 そのことにより期待される効果としては、第1に、意思決定のスピードであります。第2に、担当業務が固定化しがちな係制を見直して、大ぐくりのグループとすることにより、業務の繁閑や優先度に応じた柔軟な人員配置を可能とするものでございます。第3は、重点課題への対応の強化でございまして、地方振興局などに特命課長を配置することによって、各地域の重点課題や緊急課題への機動的な対応を図ろうとするものでございます。第4は、職員定数の削減でございまして、官民の役割分担の徹底による事務事業の見直し、フラット化・グループ制の導入などによりまして、初年度の平成16年度は120人程度の職員定数を削減しようとするものでございます。
 次に、民間活用と官民の協働についてでございますが、県民の多様なニーズに合わせたきめ細かいサービスの提供ということを考えた場合に、一律平等に対応するという行政の原則そのものが、むしろきめ細かな個別対応の障害となってくることもございまして、これを克服するためには、NPOなどの民間組織の知恵や力を活用することがぜひとも必要であると考えております。
 このため、行財政構造改革の取り組みにおきましては、民間でできることは民間にを原則に、官民の役割分担を徹底するとともに、例えば、普及、指導、調査業務などの専門的知識や技術を必要とする業務や、より柔軟で効率的な運用が求められる公共施設の管理運営業務などについては、積極的に民間委託や官民協働化を進めることとしたところでございます。
 具体的には、観光宣伝業務を平成16年度から財団法人岩手県観光協会に移管することとして、県立美術館、県民会館などの文化施設や、現在建設を進めている盛岡駅西口複合施設における企画運営業務において、それらの施設を利用する県民やNPOなどの民間組織との協働化に積極的に取り組むこととしたところでございます。
 また、公共施設の管理運営業務の委託は、地方公共団体が出資している法人などに限定されておりましたけれども、平成15年6月の地方自治法の改正に伴いまして、この制約がなくなったことから、今後、純粋な民間企業やNPOへの委託を積極的に進めるとともに、これらの取り組みを推進するため、官民共同の研修会やワークショップを開催して、行政と民間企業、NPOとのネットワークの形成を図るとともに、民間企業やNPOへの委託や協働化が可能な業務の洗い出しと積極的な情報提供を進めることとしたところでございます。
 こうした取り組みにより、複数の民間企業やNPOなどの競争のもとで県民のニーズに対応した多様なサービスの提供が可能となるほか、公共施設におきましては、休館日を設けていた施設が毎日利用できるだけでなくて、利用時間も今よりも長くなるなど、利便性の向上が図られ、県民に対してはこれまで以上に質の高い行政サービスの提供が可能となるものと考えております。
 次に、公共事業の重点化と平成16年度当初予算への反映についてでございますが、本県の厳しい財政状況下では、真に必要な事業を従来にも増して選択と集中により効率的、効果的に進めていかなければならないものと認識しておりまして、とりわけ、限られた予算の中で投資効果が最大限発揮できるよう、早期完成と効果の早期発現に向け、継続箇所を重点的に整備することとしたものでございます。
 なお、新規地区の採択に当たりましては、公共事業評価によって透明性、客観性の確保を図りながら、必要性、緊急性を勘案して箇所を厳選し、平成16年度の事業箇所数を継続・新規箇所合わせて857カ所と、前年の1、093カ所に対して約8割に絞り込んだところでございます。
 また、これまで蓄積してきた社会資本ストックを良好な状態で維持することが、結果的に支出の抑制にもつながり良質な県民の資産として残すことができることから、平成16年度予算においても、維持管理に要する費用については、おおむね前年同額程度を重点的に確保したところでございます。
 加えて、県民の安全・安心を支える分野においては、交通安全施設整備、内水対策、急傾斜地崩壊対策、復旧治山対策など、環境を保全し県民の快適な暮らしを支える分野では、下水道や農業・漁業集落排水などの汚水処理施設整備、活力ある産業の振興を支える分野では、ほ場整備、広域漁港整備など、それぞれの分野において県民に身近で緊急性のある事業への重点化を図ったところでございます。
 次に、県内市町村の自立支援についてでございますけれども、住民本位の行政を確立し、真の地方分権を実現するためには、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村の自立が必要不可欠で、今後、市町村は、みずからの判断と責任において、行財政基盤の強化や創意工夫を凝らした魅力的な地域づくりを進めていくことが求められております。
 県は、そうした市町村と対等協力関係にあるパートナーとして、市町村の自主的な取り組みを全力で支援することにより、ともに自立の道を模索していく所存でございますが、そのためには税財源の地方への移譲などの真の三位一体改革の実現と、市町村合併などによる広域行政の推進を通じて市町村の自主性、そして自立性をさらに高めていくことが重要であると考えております。
 このような考え方に立って、今後におきましては、福祉教育、まちづくりなど、住民の生活にかかわる権限については、市町村の要請に基づき財源及び人材とあわせ可能な限り移譲を進めるとともに、平成16年度から平成18年度までの3カ年間、市町村総合補助金の特別枠として、1市町村当たり1、500万円を措置することによりまして、市町村総合開発計画などの目標達成や市町村が行う行財政構造改革の推進に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 また、より多くの県業務が地域において完結されるよう、地方振興局機能の充実強化を図って、現場主義の観点から広域行政を推進し市町村の自立を支援していくほか、インターネットの普及など地域の視点に立った情報通信インフラを整備することなどにより、市町村の行政サービスの向上と行政の効率化を支援するとともに、県民やNPOなどがその力を発揮できる協働の社会づくりを進めて、新しい公共サービスの提供を行いながら、市町村の自立を支援してまいりたいと考えております。
 加えて、市町村合併の推進については、合併支援プランに基づき、合併の意思がある市町村に対しては、合併が円滑に進むよう全庁を挙げて支援し、枠組みを構築中、または、まだ決まっていない地域に対しては、助言や情報提供の徹底に努めるとともに、合併市町村に対しては、必要に応じて合併支援交付金を交付するほか、要請に基づき、権限、財源、人材を一括移譲してまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策の推進についてでございますけれども、若年者をめぐる雇用問題は、社会全体の活力の低下を招きかねないなど、本県の将来にとっても重大な問題と認識しているところでございます。
 このため、私は、若者が働く意欲を持って、必要な能力を高め、希望する職業につけるよう支援していくことが重要と考えまして、その一環として、国に先駆けて、昨年12月に若者の就職相談から適性診断、就職支援までをワンストップで提供する、いわてヤングジョブサポートセンターを設置したところでございます。
 今後におきましても、産業政策と連動した若年者の人材育成や就業支援を一層強化するなど、地域の実情に応じたきめ細かな対策を講じてまいりたいと考えております。
 また、総合雇用対策局の活動については、知事直轄組織として、昨年6月に設置以来、現場の視点に立って、より実効性ある対策に取り組んできたところであり、その結果として、これまでに建設業の農業参入を支援するモデル的な仕組みや若年者の就業支援のためのワンストップサービスセンターが整備されたところでございますが、構造改革が求められる建設業の雇用対策やサービス関連産業での1万5、000人の雇用創出に向けた事業の掘り起こしなど、なお一層の取り組みが必要であると考えております。
 このため、平成16年度に向け、部局横断的な取り組みや地方振興局における地域の特色を生かした雇用対策をさらに強化して、雇用創出目標の達成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致でございますけれども、海外も含めた地域間競争が激化する中で、他県と差別化した特色ある誘致政策を積極的に講じて、多様化する企業ニーズに対応するなど、幅広く充実したサービスを提供していくことが重要であると認識しております。
 このため、本庁のほか、東京、大阪、名古屋にも職員を配置して、関係部課とも連携しながら取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、自動車関連産業の集積など、本県産業の特性や優位性を生かした誘致活動、産学官による共同研究の推進や技術開発の支援強化による内発型企業の育成、企業に対する助成・融資の充実強化や工場用地のリース制度など魅力ある優遇策の展開、既立地企業へのきめ細かなフォローアップの実施などを基本戦略としながら、国際競争力が強く、地域への経済波及効果が期待できる優良企業の誘致に取り組んでいるところでございます。
 さらに、平成16年度においては、多様で厚みのある産業の集積と高度化を現地密着型で進める工業技術集積支援センターを北上オフィスプラザ内に専任4人、兼務6人、計10人の体制で設置して、東海地区の自動車部品メーカーの誘致や生産委託などによる地場企業への技術移入の促進と発注率の向上を図るとともに、産学官連携によるものづくり技術の育成による地域産業の競争力強化に取り組むこととしております。
 また、県北・沿岸地域への立地を促進するため、現行の補助制度に加えて、雇用人数要件を緩和した企業立地促進奨励緊急特別事業費補助を創設することとしたところでございます。
 次に、青森県境産業廃棄物不法投棄問題についてでございますが、今月上旬までに、本県の実施計画案に対する環境大臣の同意や補助金の交付決定があったことなど、不法投棄現場の原状回復に向けた制度面の条件が整ったことから、撤去作業は、計画どおり特別措置法の期限である平成24年度までに完了できるものと考えております。
 廃棄物の撤去については、学識者等で構成する審査委員会の審査結果を踏まえて、3月末までに撤去及び処理に係る最適な手法を選定することとしておりまして、撤去に係る実施設計や選別プラントなどの施設建設を経て、夏以降には本格的な廃棄物の撤去に着手したいと考えております。
 なお、鶏ふんなどの地上堆積物や選別施設を通さずに撤去可能な廃棄物については、選別プラントなどの建設と並行して撤去を進めることとしております。
 また、12月に施工した現場北側以外の残りのエリア約8ヘクタールですが、ここの部分についてのキャッピング工事は、雪解けを待って着工することとしております。
 今後におきましても、地元の皆様の健康被害の防止と不安感の解消のため、早期全量撤去を目指して、鋭意努力してまいりたいと考えております。
 次に、環境産業の育成などについてでございますが、環境産業の育成を図るためには、自県(圏)内処理の原則のもとに、廃棄物の発生抑制や資源の循環的な利用に向けた企業の自主的な取り組みが重要であると考えております。
 このような考え方に立って、平成15年度に創設した産業・地域ゼロエミッション推進事業において、産業廃棄物の減量化や環境産業の育成を目的として、産業廃棄物の減量化に向けた設備投資や技術研究開発など、具体的に事業化が可能なものとして4事業を補助採択したところでございます。
 平成16年度においては、地元企業を含めた産学官共同によりまして、工業団地において発生する産業廃棄物や沿岸部の漁業系廃棄物の再資源化による環境ビジネスモデルを構築することとしておりまして、さらには、家畜排せつ物や食品残渣などのバイオマス資源について、再資源化やエネルギー利用などを図ろうとする民間企業などの主体的な取り組みを支援するなどにより、産業育成に結びつけたいと考えております。
 今後におきましても、環境産業の育成に向けて、廃棄物の減量化や再資源化に向けた企業の自主的な取り組みが一層促進されるよう、より効果的な施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、食の安全・安心への取り組みについてでございますが、最近、国内外において家畜等の伝染病が発生する中にあって、こうした食の安全・安心の確保は、最優先で取り組まなければならない課題であると考えております。
 まず、食の安全については、健康な土づくりを基本として、農薬などの適正使用、さらには、出荷前における残留農薬検査、HACCP方式の考え方に基づく衛生管理など、生産から加工、流通、消費までの各段階において、徹底した安全対策を講ずる必要があるものと考えております。
 一方、食の安心については、安全に最大限の注意を払って生産された農林水産物であることなど、消費者が食品を選ぶに当たって知りたい情報をトレーサビリティーシステムやJAS法、食品衛生法に基づく表示などを通じて適切に提供することが重要であると考えております。
 さらに、本県では遺伝子組換え食品の開発は行わないこととしたところでございますが、加えて、遺伝子組換え食用作物の一般圃場での栽培を規制するガイドラインを策定することとしております。
 こうした食の安全と安心の両面からの総合的な取り組みによって、生産者と消費者の顔の見える関係が構築されるものと考えております。
 県では、このような観点から、昨年8月に県民協働の取り組み指針として食の安全・安心に関する基本方針を策定して、今般、具体的な活動計画である食の安全・安心アクションプランを示したところであり、今後においては、この基本方針とアクションプランに基づいて、消費者から信頼される食の安全・安心先進県を目指してまいりたいと考えております。
 次に、米、園芸、畜産の振興についてでございますが、まず、稲作の振興については、来年度から新たな米政策に移行されますことから、将来にわたって本県が米主産地としての地位を確保するため、集落水田農業ビジョンに掲げる売れる米づくりを促進するとともに、新たに米の生産目標数量の市町村間調整や作目再編を推進するための水田の畑地化などを支援してまいりたいと考えております。
 次に、園芸の振興については、園芸作物を作目再編の戦略部門と位置づけて、水田への野菜、花卉などの導入拡大を促進するとともに、新たに先進農家での新規栽培者の技術習得や減農薬、減化学肥料栽培など、環境に優しい農業技術の導入を支援してまいりたいと考えております。
 次に、畜産の振興については、北海道に次ぐ豊富な飼料基盤を活用した大家畜畜産の振興を図るため、新たに先端技術を活用して、乳用牛への受精卵移植による肉用牛の改良と増殖を支援してまいりたいと考えております。
 こうした米、園芸、畜産を基幹とした生産振興を図るとともに、栽培履歴の全戸記帳などによりまして、農産物の安全・安心の確保について一層の徹底を図りながら、消費者から信頼される農産物の安定的な供給を推進してまいりたいと考えております。
 次に、地域医療の確保についてでございますけれども、本県の地域医療を確保する上での課題は、医師の絶対数の確保と地域偏在の解消であると考えております。このため、これまで実施している県の医療局での医師養成事業に加えまして、新たに平成16年度からは、県と市町村が共同して医師養成事業を行うこととしております。両事業の推進によって、今後、60ないし65名程度の医師が養成される見込みでございまして、これらの養成された医師については、県、医療局、市町村など関係機関との協議によりまして、計画的に配置することによって、医師の地域偏在の解消を図る考えでございます。
 医師臨床研修必修化に伴って、平成16年度県全体で受け入れる臨床研修医の数は倍増する見込みでございますので、今後、県内への定着化を図るよう、さらに努力をしてまいる考えでございます。
 次に、救急を含む小児医療については、広い県土を抱える本県においては、当面はセンター方式よりも二次保健医療圏を基本とした体制の整備が適当と考えております。現状では、盛岡医療圏以外では、小児科医による24時間診療体制の構築が困難ですので、内科医などを対象とした研修を行うことに加えて、新たに平成16年度からは、IT機器を活用した遠隔診療支援や夜間の電話相談などを実施するとともに、必要な場合には、盛岡医療圏で患者を受け入れる態勢を整備してまいりたいと考えております。
 次に、県立病院の改革についてでございますが、県立病院事業が患者の減少と診療報酬改定で経営が急速に悪化しておりまして、今後とも極めて厳しい見通しでございますので、改革に向けた取り組みとしては、民間医療機関等との機能分担と連携を進めて、二次保健医療圏を単位として、広域基幹病院の救急や高度・特殊医療を充実するとともに、患者数に応じて病床数の適正化を図り、各種業務の集約や診療応援体制の整備を進めて、二次保健医療圏ごとに県立病院群を一体的・効率的に運営する仕組みを構築する必要があると考えております。
 また、職員の意識改革による経営意識の醸成に努めるとともに、職員配置の適正化と諸手当の見直し等による給与費の縮減、医事業務や調理などの外部委託の拡大など、病院運営全般にわたる経営改善を実施しようとするものでございまして、これらを内容とする計画を強力に進めることによって収支を均衡させて、安定した経営基盤を確立する必要があると考えております。
 次に、居宅サービスの向上についてでございますが、これまでも要介護高齢者が、自宅や住みなれた地域で必要な介護サービスを安心して利用できる仕組みづくりを支援してきたところでございます。平成16年度は、要介護高齢者などの住宅改修費補助の拡充のほか、新たに、身近な地域で居宅サービスを提供するご近所介護ステーションの設置支援や介護サービスを継続的に利用できるように配慮されたモデル介護支援ハウスの整備費補助などの実施により、居宅サービスの向上に努めてまいります。
 また、施設サービスにつきましては、平成19年度までに、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、そして痴呆性高齢者グループホーム合わせて2、000床程度の増床を計画しているところでございます。
 次に、障害者の自立支援についてでございますが、私は、高齢者や障害者はもちろん、すべての人が安心して暮らすことができる社会の実現のため、ユニバーサルデザインの考え方を政策の基本に据えたいと考えております。
 特に、障害者の自立支援策として、まず、支援費制度の定着と効果的な運用を図る必要があると考えておりまして、ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ、グループホームなどの在宅サービス基盤の整備に努めて、その量的・質的拡充に努めるとともに、岩手県障害者プランに基づいて、障害者が住みなれた地域において自立できる環境の整備に努めて、障害者の就労支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 具体的には、グループホームなどの生活の場の整備、拡充、それから、福祉作業所や授産施設などの就労の場の確保、障害者施設において障害者を雇用する障害者施設ピアヘルパー雇用促進事業の実施、それから、県や市町村が障害者授産施設等に仕事を出す仕組みを運営するチャレンジド就労機会拡大事業の実施、さらに、障害者の職業能力の開発と就業支援を図るチャレンジド就業支援事業の推進によりまして、就労支援に努めてまいりたいと考えております。
 地方分権研究会についてでございますが、この研究会は、全国一律一斉という発想に一線を画して、地方の自立を地方みずからが考え、その確立に向け国に提言していく、あるいはみずから実践していくことを目指して、志を同じくする知事や学界、経済界の方々をメンバーとして、地方が直面している共通の課題のうち、教育、環境、医療福祉などの6つの分野において研究と実践を行っているものでございます。
 地方の持つ学校現場をフィールドとして、個々の具体のテーマから出発して、いわば実践に重点を置いて、例えば、地方独自の視点に立った学力向上の方策、新しいタイプの学校づくりなど、今幅広く取り組んでいるところでございます。
 その具体的な取り組みとして、平成16年度は、関係県共同による統一学力テストの実施、それから、小学校での英語教育の実践的研究、学校評価を支援するシステムの開発導入、コミュニティ・スクールのモデル校の指定、日本の次世代リーダー養成塾への高校生の派遣を実施しようとするものでございまして、これらは既に国の施策として議論もなされ、あるいは具体な施策に反映されているものも一部ありますけれども、今後とも、この研究会の取り組みも含めて、教育改革の流れを先取りしながら、地方分権時代にふさわしい教育について研究と実践を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、民俗芸能の継承についてでございますが、本県では、県内全域にわたって数多くの郷土色豊かな民俗芸能が伝承されてきておりまして、これらの民俗芸能は、地域に暮らす人々の折々の生活に密着しながら、その心のよりどころとしてはぐくまれ、愛好されてきたものと考えております。
 しかし、近年の都市化、核家族化、少子・高齢化という時代の急激な変化は、こうした地域の持っている豊かな人間性や潤いのある生活基盤にも影響を及ぼすことになりまして、このような中で、守り伝えられてきた民俗芸能の承継においても、特に指導者の確保、それから後継者の養成が、強く懸念されているところでございます。
 このようなことで、県では、着実にこれらの民族芸能を次世代に引き継ぐために、学校教育における伝統芸能体験学習の推進のほか、青少年による民族芸能の公演の機会の提供などに取り組んでいるところでございまして、今後においても、関連する機関と連携して、県民の民俗芸能に対する一層の理解を得ながら、こうした取り組みの拡充を図って、全国に誇り得る本県の民俗芸能の宝庫としての評価をより確かなものとしてまいりたいと考えております。
   

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時9分 休 憩
   

出席議員(50名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中平 均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平 澄芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平沼 健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田村 誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
37  番 瀬 川   滋 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
50  番 佐 藤 正 春 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(なし)
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時32分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。田村正彦君。
   〔27番田村正彦君登壇〕(拍手)


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