令和6年9月定例会 決算特別委員会会議記録 |
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令和6年10月22日(火)
1開会 午前10時1分 1出席委員 別紙出席簿のとおり 1事務局職員 議事調査課 総括課長 昆 野 岳 晴 議事管理担当課長 佐 藤 博 晃 主任主査 柴 田 信 主任主査 及 川 雄 也 主査 高 橋 宗 子 主査 堀 合 俊 彦 主査 佐々木 賢一郎 主査 三 浦 訓 史 1説明員 農林水産部長 佐 藤 法 之 技監兼 林務担当技監 工 藤 亘 副部長兼 農林水産企画室長 村 上 聡 農政担当技監 照 井 富 也 農村整備担当技監 兼農村計画課 総括課長 今 泉 元 伸 水産担当技監 森 山 拓 也 技術参事兼 農業振興課 総括課長 佐々木 誠 二 技術参事兼 農産園芸課 総括課長 中 村 英 明 技術参事兼 水産振興課 総括課長 筒 井 実 競馬改革推進室長 大 坊 哲 央 農林水産企画室 企画課長 坂 田 健 一 農林水産企画室 管理課長 尾 形 将 敏 団体指導課 総括課長 金 野 賢 治 指導検査課長 森 昌 弘 流通課総括課長 臼 井 宏 流通企画・ 県産米課長 菅 原 伴 和 担い手対策課長 和 泉 光一郎 農業普及技術課 総括課長 鈴 木 茂 寿 農業革新支援課長 長谷川 聡 農村建設課 総括課長 東 梅 克 美 水田農業課長 吉 田 正 博 畜産課総括課長 村 上 勝 郎 振興・衛生課長 高 橋 真 紀 林業振興課 総括課長 高 橋 幸 司 森林整備課 総括課長 砂子田 博 整備課長 小 川 健 雄 森林保全課 総括課長 田 村 聡 漁業調整課長 野 澤 清 志 会計管理者 滝 山 秀 樹 会計課総括課長兼 会計指導監 今 雪 博 貴 監査委員 五 味 克 仁 監査委員 中 野 玲 子 監査委員事務局長 佐々木 真 一 参事兼監査第一課 総括課長 及 川 博 英 監査第二課 総括課長 長谷川 英 治 財政課総括課長 佐 藤 直 樹 〇福井せいじ委員長 これより本日の会議を開きます。これより議事に入ります。 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。 本日は農林水産部関係について、延べ15人の質疑を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしました。 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、第1部、第2部に分けて審査をすることとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので御了承願います。 初めに、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。 〇佐藤農林水産部長 それでは、令和5年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。 初めに、事務事業に係る取り組みなどについて御説明申し上げます。 当部では、いわて県民計画(2019〜2028)の復興推進プラン及び政策推進プランに基づき、農林水産業の振興に向けた取り組みや、生産資材価格等の高どまりを踏まえた影響緩和対策を実施したほか、本県において49年ぶりとなる第73回全国植樹祭を開催しました。 復興推進関係では、水産業リボーン宣言に基づき、サケやアワビ等の主要魚種の資源回復、蓄養ウニ等の増加している資源の有効利用、サケ、マス類の海面養殖などの新たな漁業、養殖業の導入に向けた支援のほか、漁港施設の機能強化等に取り組みました。 政策推進関係では、意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料・木材供給基地づくりなど、四つの政策項目に基づき、農林水産業の核となる経営体の育成や新規就業者の確保、環境負荷を低減する技術の導入推進や再造林、間伐等の計画的な森林整備の促進、データ駆動型農業技術の開発、普及や森林クラウドシステムの本格稼働、国内外でのトップセールス等による農林水産物の販路の開拓、拡大、農山漁村の活性化に取り組む農村RMOの育成と活動支援などに取り組みました。 また、生産資材価格等の高どまりを踏まえ、農林漁業者に対する省エネ化設備の導入や、肥料、飼料、ウニ、ナマコの放流用種苗の購入費への支援などに取り組みました。 今後とも、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図るとともに、資材価格等の動向を注視しながら経営体質の強化等に取り組んでまいります。 続きまして、当部関係の令和5年度の決算について御説明申し上げます。令和5年度岩手県歳入歳出決算書の20ページをごらんください。 一般会計歳出決算の農林水産部関係は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの及び22ページに参りまして、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費、12款公債費の一部及び13款諸支出金の一部であります。 特別会計の決算につきましては、40ページに参りまして、40ページが県有林事業特別会計、42ページが林業・木材産業資金特別会計、44ページが沿岸漁業改善資金特別会計となっております。 一般会計及び特別会計を合わせた当部全体の予算現額は、988億4、308万円余、これに対する支出済額は、679億679万円余であります。 また、翌年度繰越額の合計は274億583万円余、不用額の合計は35億3、046万円余であります。 以上で農林水産部関係の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 〇福井せいじ委員長 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。 〇千葉秀幸委員 まずは、県立農業大学校について伺ってまいりたいと思います。 御承知のとおり、人口減少、あるいは少子化の影響によりまして本当に人手不足、そして、農業現場においても担い手不足が懸念されている苦しい状況でございます。そんな中、まずは県立農業大学校について、入学者の状況、そして、県立農業大学校が求められる役割の認識について伺いたいと思います。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 県立農業大学校の入学者数につきまして5年ごとの平均値で推移を見ます。令和2年度から6年度までの平均入学者数は約48人でございます。平成27年度から令和元年度までの平均入学者数に比べて4%ほど減少しております。 経営科別に見ますと、花き経営科と酪農経営科は減少傾向である一方、果樹経営科と肉畜経営科は増加傾向となっております。 また、入学者数が減少傾向にはありますが、そのような中でも県外出身の入学者は増加しておりまして、県別で見ますと、秋田県や宮城県が多い状況でございます。 県立農業大学校は、本県の基幹産業である農業を支え、地域農業の発展を担うリーダーとなる農業者を育成する役割を担っており、農業従事者の減少、高齢化、経済のグローバル化、気候変動やGX―グリーントランスフォーメーション、DX―デジタルトランスフォーメーションの進展など、本県農業を取り巻く環境が大きく変化する中、県立農業大学校の果たす役割はますます重要になっていると認識しております。 〇千葉秀幸委員 わかりました。入学者は定員70名まで枠があると思っております。その中、令和5年が53年、今年度が40人ということで、まだ枠があるわけでございます。先ほど御答弁でもいただきましたが、積極的に岩手県の農業高校、そして、北東北地域など県内外を中心に、より強化していただいて、積極的な募集受け入れに向けて強化していただきたいと思っております。 そして、基本的には県費で運営しているわけでございまして、ならば、やはり岩手県の農業大学校で学んで、岩手県の農業に定着していただきたいという強い思いがあるわけでございますが、卒業生の就職先の状況について伺いたいと思います。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 令和2年度から5年度までの4年間の平均卒業生数約48人について就職先を見ますと、約6割が就農しております。また、農業関連団体、企業への就職も含めると、約8割が農業関連の業種に就業しております。 出身県別で見ますと、卒業生数約48人のうち、県外出身者は、おおむね3割の約15人でございます。このうちの4割が県内に就業しているという状況でございます。 〇千葉秀幸委員 わかりました。県立農業大学校を終わって6割が定着ということですが、もっとここの数字を高めていただきたいと思っております。 県立農業大学校の環境を整えていくのは非常に大切なところでありますが、今回の菅野ひろのり委員の総括質疑でも触れられておりましたが、令和6年7月に県立農業大学校の敷地内全域において発生した停電の問題についてでございます。こちらについて、確認をしながら質問していきたいと思っておりますが、改めて、敷地内停電の原因と詳細について伺いたいと思います。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 県立農業大学校におきまして、7月24日、学生が夏休みに入る直前でしたけれども、学生寮や教室、家畜飼養施設など敷地内全域が停電となりました。 電機設備業者による調査では、高圧送電ケーブルやキュービクルなど電機設備全体の老朽化が原因とされたところでございます。 停電発生直後から、特に、学生の皆さんは寮にいらっしゃいますので、その生活や、それから、夏休み中の家畜飼養実習など、そういったものに支障が生じないよう、電源や水の確保のため、順次、発電機を設置するなどの仮設復旧を行ったところであります。夏休み期間は8月18日までで、8月19日には休み明けになりますけれども、そのころにはおおむね、通常の学校運営を行うことに回復したということでございます。 敷地内の高圧送電ケーブルやキュービクルなどの設備修繕、仮設の発電機のリース料、燃料費などに要する経費につきましては、今定例会において補正予算の議決をいただいたところでありまして、早期復旧に向け工事等を進めてまいります。 〇千葉秀幸委員 今回は県立農業大学校の正門のところから、寮であったり、学校であったりということで動線が連なっているということで、そこの大もとのところから故障、老朽化に伴う影響だということで、敷地内全域に影響が出たと私も理解しているところでございます。 そのような中、令和6年度に、生徒の寮についてエアコン設置の予算が認められたわけですが、この工事の影響等々によってエアコン設置の進捗状況、おくれが伴っている等々の影響をどのように把握されているのか教えてください。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 学生寮の居室エアコンの設置につきましては、本年6月中旬に工事請負業者と契約を締結し、工事を進めていたところでございます。 7月に敷地内停電がありましたけれども、その影響等を踏まえて、請負業者と工事スケジュール等の調整を行いまして、現在は、予定どおり工事が進んでいるところでございます。本年度内に設置工事が完了するよう、しっかり取り組みを進めてまいります。 〇千葉秀幸委員 わかりました。おくれがないということで、まずは一安心したところでございますが、県立高校を見渡しても、普通高校もエアコンがついているのに対しまして、県立農業大学校は教室にもまだエアコンがついていないということ、答弁は求めませんが、引き続き、これは学びの環境という観点からも必要ではないかということは、恐らく共通認識であると思いますのでどうぞそちらもよろしく御検討をお願いしたいと思っております。 次に、畜産情勢について伺ってまいります。 和牛子牛の相場展開、物価高による消費者の生活防衛意識の高まりによって枝肉相場が低迷していること、飼料価格の高騰を主因とした生産コストの上昇により、導入費が抑えられる動きが続いているということで、令和5年4月から12月にかけて、過去4年間の平均価格を下回っている展開の状況となっております。 今後も物価高による和牛消費の低迷や飼料価格を初めとした生産コストの高どまりにより、引き続き、平均価格を下回ると見込まれているわけでございますが、まずは令和5年度の市場価格、そして、それに伴う県の認識について伺いたいと思います。 〇村上畜産課総括課長 令和5年度の県内におけます和牛子牛の平均取引価格についてですけれども、約52万円と、令和4年度に比べて17%程度低下しております。 令和6年の4月から8月までの県内における和牛子牛の平均取引価格は約50万円と、前年同期間と比べて5%程度低下しておりまして、全国的にも同様の低下が見られております。県内の肉用繁殖農家は、厳しい経営環境に置かれているものと認識しております。 〇千葉秀幸委員 令和5年度が52万円程度。そのような中、コロナ禍でありました令和4年度は、消費が非常に落ち込んでいるときで、この価格は62万円でございます。今年度はもっと苦しいというところで、直近の令和6年度の4カ月程度の平均は50万円に届いていないわけであります。高いところはそれなりの価格がついているけれども、低いところは二、三十万円程度だという苦しいお話を聞いております。 もちろん、生産者の努力は絶対的に必要ではあるけれども、なかなか思うように価格に反映されていないという状況でございます。畜産現場からは苦しいという声が聞こえているわけでございますが、改めて、県にどういった声が届いているのか伺いたいと思います。 〇村上畜産課総括課長 県では、農協等と組織しておりますサポートチームの活動や、現地調査など直接生産者との意見交換の機会などを通じまして、生産者の声を聞いているところでございます 肉用牛繁殖農家からは、購入している粗飼料の価格が上昇し、経営を圧迫している、近隣から粗飼料が確保できず輸送費がかさむといった声があったり、肥育農家からは、配合飼料価格の高どまりに加えて枝肉価格も下落傾向にあるなどといった声があるところでございます。 飼料価格の高騰が畜産経営に大きく影響していることから、県といたしましては、自給飼料の生産拡大を一層進めていく必要があると考えております。 〇千葉秀幸委員 肉用牛については、市場価格が上がらないときには、肉用牛肥育経営安定交付金の制度であったり、肉用子牛生産者補給金であったり、さまざまな制度で上乗せをしながら支援しているところでございます。飼料価格の負担については、先ほど御答弁いただいたわけですが、これについては、国からの交付金で、その中で県独自に配合飼料の価格等々、今年度は支援していると伺っておりますが、改めて、配合飼料の価格の推移、そして、飼料代の高騰に対する支援、見通しについても伺いたいと思います。 〇村上畜産課総括課長 県ではこれまで、県独自に累次の補正予算によりまして飼料購入費への支援を行いまして、令和5年度第4・四半期の補助金につきましては、ことし7月に生産者に交付したところでございます。 直近の配合飼料価格は、高騰前の令和2年に比べ約4割高く、依然として畜産経営に大きな影響を与えていることから、国に対し、配合飼料価格の高騰が続いた場合でも、畜産経営の再生産が可能となる十分な補填金が交付されるよう、配合飼料価格安定制度の拡充を繰り返し国に対して要望しているところでございます。 また、生産費の約4割を占める飼料費の低減に向けまして、先ほど申し上げましたとおり、自給飼料の生産拡大を進めることが重要と考えております。 このため、牧草地の造成、整備の支援や、化学肥料の使用量の一部を堆肥に置きかえる草地改良技術の実証を行っておりますほか、今年度から水田における飼料生産を強化するため、稲ホールクロップサイレージ専用収穫機の導入などを支援しておりまして、引き続き、自給飼料の増産に取り組んでいきたいと考えております。 〇千葉秀幸委員 自給飼料の増産ということでございますが、これもさまざま現場サイドからは課題が多くあるわけでございます。ここでは多くは触れませんが、例えば、米がほかの品種と混ざってしまって思うように区別できないなど、さまざま課題がある中で、本当に御苦労されている中でございます。今後、より拡充していくということももちろん理解はするわけでございますが、まずは、引き続きの長引く物価高によって、思うように市場価格が上がっていかない、そういう苦しい状況でございますので、今、御答弁で引き続きの国へのお願いをしていくということはいただきましたが、来年度に向けても、そこへの支援があるかということで心配の声が上がっております。来年度においても、引き続き御検討をいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。 〇千葉伝委員 私からは、きのう環境生活部でお聞きしておりますけれども、野生鳥獣の被害対策についてお伺いしたいと思います。 まず最初に、本県においては、ニホンジカ、イノシシ、ツキノワグマの野生鳥獣の生息域の拡大とともに、それぞれの個体数が増加して、それに伴って、農作物被害が大きくなっている現状と思っております。さらに、ツキノワグマによる人的被害も発生し、鳥獣被害がより深刻化、広域化しているということで、私も地域の農業者、あるいは畜産農家から、何とかならないかという話も聞いております。 そこで、まずは、令和5年度における農作物の被害状況と、あわせて、作物の状況もお知らせ願いたいと思います。 〇和泉担い手対策課長 本県の野生鳥獣による農作物被害額については、令和5年度は、速報値で約5億2、000万円であり、令和4年度と比べ約5、000万円の増となるなど、近年、増加傾向となっております。 野生鳥獣による令和5年度の農作物被害額を作目別に見ますと、果樹が約1億8、000万円、稲が約1億4、000万円、飼料作物が約1億1、000万円、野菜が約6、000万円となっておりまして、上位3品目で全体の8割以上を占めている状況にあります。 〇千葉伝委員 特に熊ですとデントコーンを好むということから、葛巻町の畜産農家では、熊は外からではなくて中から食べるということで、余り気づかないことから、後になってかなり被害を受けていることがわかるということもあるようであります。 続けて、被害防止に当たって鳥獣被害防止総合対策を実施しているわけでありますけれども、電気柵等の侵入防止策だとは思いますが、その状況をお知らせ願います。 〇和泉担い手対策課長 県では、農作物被害の防止に向け、有害鳥獣の捕獲とともに、侵入防止柵の設置や里山周辺の除間伐など地域ぐるみの被害防止活動を推進しております。 侵入防止柵の設置につきましては、令和5年度は11市町村において、約101キロメートルの侵入防止柵が整備されており、令和6年度については、9市町村において約64キロメートルの侵入防止柵の整備が計画されております。 また、市町村や農業団体等から鳥獣被害防止対策の充実強化について要望を受けており、県では、野生鳥獣対策の継続、拡充について、国に対し要望しているところです。 県としては、今後も野生鳥獣による農作物被害が低減するよう、関係機関、団体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。 〇千葉伝委員 かなりの距離の防止柵をつくっていただいているということでありますが、現在でも市町村から要望等がある状況でしょうか。 〇和泉担い手対策課長 鳥獣被害防止に対する要望については、市町村や各農業団体等から受けている状況にございます。 〇千葉伝委員 この事業は今後も続けてやる予定でしょうか。 〇和泉担い手対策課長 県としては、今後も野生鳥獣による農作物被害が低減するよう、積極的に取り組んでいきたいと考えております。 〇千葉伝委員 これは、国費は入っていないのですか。 〇和泉担い手対策課長 野生鳥獣被害防止に関しましては、国の交付金、特に農林水産省の野生鳥獣被害防止対策交付金を使いまして対策を進めているところでございます。 〇千葉伝委員 ということは、国が続けてやるということにならなければ、県単独ではやれないということになるのですか。 〇和泉担い手対策課長 基本的には、市町村が作成する被害防止計画を実現するために国の交付金を活用している状況であります。今年度につきましては、鹿、イノシシに対して、県が広域で捕獲する取り組みを実施しているところでございます。 〇千葉伝委員 別に責めているわけではありません。私はぜひやっていただきたいために質問しているところでありますので、引き続き、事業をやっていただきたいと思います。 続きまして、有害鳥獣捕獲に当たって、野生動物は1カ所にいるわけではない。市町村をまたぐ、あるいは県境をまたぐ、移動して被害を与えているということですから、これに対する対策の状況と、今後も対策をより広域的に強化していただきたいという要望もあるのですが、これはどうでしょうか。 〇和泉担い手対策課長 県境を越える被害防止に向けた取り組みにつきましては、国が主催する全国会議や東北地域の担当者会議等において、各県の被害状況や有害捕獲の状況、被害防止に向けた取り組みについて情報共有を行いまして、被害防止の取り組みの参考としているところです。 また、県では、市町村を越えて移動するニホンジカ及びイノシシについて、市町村等が実施する農地周辺での有害捕獲に加え、令和5年度から国の事業を活用しまして、久慈地域や遠野地域において、県が主体となって広域捕獲活動を実施しており、今年度は、新たに大船渡地域を加えた県内3地域において実施しております。 今後も野生鳥獣による農作物被害が低減するよう、関係機関、団体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。 〇千葉伝委員 最初にやるときは、地域モデル的にやるということで進めているのでしょうが、少しずつ拡大しているということで、これはその地域だけの話ではなくて、岩手県全体にかかわる分ですから、できるだけ広域化した対策を進めるということで頑張っていただきたいと思います。 それでは次に、捕獲に係る報償費の関係でお聞きしたいと思います。 私はことしの6月定例会でも関係した質問をしているのですけれども、実際に捕獲に携わっている猟友会の会員等から、現在の額では足りない、十分ではないということをお聞きしているところであります。現在、農林サイドの報償費の状況はどうなっているか、まずお知らせください。 〇和泉担い手対策課長 野生鳥獣の有害捕獲の際には、農林水産省の交付金を活用しまして、市町村を経由して捕獲従事者に捕獲活動経費が支払われております。 この経費の上限単価は国で定めておりまして、例えば、鹿につきましては、1頭当たり8、000円、イノシシについては、1頭当たり7、000円、熊については、1頭当たり8、000円となっております。 〇千葉伝委員 私どもは各市町村に毎年、33市町村に要望を聞きに行っているのですが、33のうちの8市町村ぐらいから、重点的な要望の中に入っているということです。捕獲を実際にきちんとやっていくには、猟友会の協力を得なければできないと思っております。したがって、今の額では足りないというのがやっている人たちの切実な声であります。市町村によっては単独でかさ上げ、積み増ししてやっているところもあるのですが、県は鳥獣被害対策を進める上で、報償費を上げるということはどう考えているのでしょうか。上げる考えはないのか。 〇和泉担い手対策課長 県では、野生鳥獣の捕獲数の増加等に伴いまして捕獲従事者の費用負担が増加していることから、国に対し、有害捕獲活動経費の上限単価を引き上げるとともに、必要な予算措置をするよう要望しているところでありまして、今後も機会を捉えて国に働きかけを行ってまいりたいと考えております。 また、今年度、新たに国の交付金に集中的に鹿被害を低減させるため追加された、シカ特別対策等事業におきましては、捕獲活動経費の上限単価が1頭当たり1万8、000円とされておりまして、令和7年度の国の予算要求にも盛り込まれているところであります。このため、この活用を促してまいりたいと考えております。 〇千葉伝委員 国単価は単価として、今の新しい考え方、進め方の中にかなりの高額な報償費も考えているということで、ぜひ早めにこれを実現するように、国にももちろんですけれども、お願いをしたいと思います。農産物関係の被害の分については以上であります。 引き続き、家畜衛生分野の質問をさせていただきます。 豚の伝染病である豚熱の発生要因としてイノシシが考えられており、この間、久慈地方で本県初の豚熱が発生しました。その際、畜産課が中心となって大変な御努力をされ、周辺からも、さまざまな協力のもとに迅速な衛生処理、対策を行ったということで、改めて敬意を表するところであります。 ところで、豚熱発生後の対策を進めた後の状況でありますけれども、その際、イノシシが要因ではないかと言われている分で、国の疫学調査チームが入って疫学要因の調査を実施したと聞いていますが、その結果はどうなっているでしょうか。 〇高橋振興・衛生課長 本県の養豚農場で豚熱の発生が確認された翌日となります5月29日に家畜伝染病等の専門家4名による国の疫学調査チームが発生農場に立ち入り、農場に出入りする車両、人の動線や消毒状況、農場専用の衣服、長靴の着用状況、野生動物の侵入防止対策の実施状況などについて調査したところです。 また、9月27日には疫学調査チームの検討会が開催され、発生農場の現地調査結果のほか、発生農場の患畜や農場周辺の野生イノシシから分離された豚熱ウイルスの遺伝子検査結果などを踏まえた検討が行われました。本県の発生農場については、飼養衛生管理基準の不備は指摘されておりません。そして、発生原因は特定できていない状況です。 〇千葉伝委員 イノシシがウイルスを持って移動しているということから、豚の飼養農家たちは大変危険だということで防止策を含めて頑張っています。発生要因を特定するのはかなり難しい部分はあろうかとは思います。でも、ある程度、このあたりが怪しかったというあたりまで国の疫学調査チームが調査していただければと思いますが、その発生要因は一つだけではないわけで、当然、人なり家畜舎なり、人の出入り、物の出入り、そういったところにウイルスが付着して侵入することは十分考えられるわけなので、ぜひ豚熱の対策をする上では、そういったあたりを畜産農家、豚の飼養農家に御指導いただきたいと思います。 それで、豚熱のウイルスを保有しているイノシシが捕獲、あるいは死亡豚ということで、調査することにしていますよね。豚熱の抗体の保有状況や、調査した状況について伺います。 〇高橋振興・衛生課長 野生イノシシの豚熱検査については、県では、令和元年度から野生イノシシの豚熱検査を開始しておりまして、これまでに1、855頭の検査を実施しております。 本県で野生イノシシの豚熱感染が確認されました令和4年4月から本年10月17日までに、合計で198頭の感染が確認されている状況です。 〇千葉伝委員 かなりの頭数を調査、検査して、プラスが現在198頭ということで、数年の検査した状況、例えば、調査の分布の地図なり何なりということも多分やっているのではないかと思いますが、そういったことで、何か地域的な状況などがあるかどうかお聞きしたいと思います。 〇高橋振興・衛生課長 豚熱に感染した野生イノシシが確認された地域の分布ですが、現時点で、18市町村で確認されているところです。感染が確認されている地域は、宮城県境から始まりまして、奥州山脈に沿って北上してきております。本年度は青森県境や沿岸地域にも及んでいる状況になっております。 〇千葉伝委員 豚熱の発生要因となるイノシシでありますし、もちろん、ほかの被害があるということで、イノシシの対策を進めておりますけれども、秋田県寄りから青森県に移動しているという状況なわけです。そういったあたりも含めて、今後の対策をどうするかも検討いただきたいと思います。 もう一つ、イノシシが豚熱に感染させるのではないかということで、豚には豚熱ワクチンを実施していますが、イノシシに豚熱のワクチンを直接注射などはできないわけで、畜産課に聞いたところ、イノシシの好む餌に混ぜて、猟友会の人たちにお願いをして地中に埋めておくということで、4、000頭分と言ったらば、いや、4、000カ所とのことでした。その状況と、やった後で何かわかっていることはありますか。 〇高橋振興・衛生課長 県では、野生イノシシの豚熱感染が確認されました令和4年度から経口ワクチンの散布を実施しておりまして、令和4年度は11市町、約90カ所、令和5年度は30市町村、約310カ所、令和6年度は、これまでに31市町村、約340カ所に経口ワクチンを散布したところです。 経口ワクチンの散布の効果につきましては、国において、野生イノシシのサーベイランス検査成績をもとに感染状況などを分析することとなっておりまして、県では、サーベイランス検査を強化しながら、検査成績の収集に努めているところです。 〇千葉伝委員 以上で質問は終わるわけですが、イノシシの移動は、先ほど言った広域的な移動で捕獲も難しい等々で、農作物の被害はもちろん、家畜衛生関係でも豚熱ということで、要因の一つとして考えられるということでありますので、今後、豚熱の発生の防止に向けては、十分に対策を進めていただきたい。 農林水産部だけではなくて、きのうは環境生活部とも話をしましたけれども、うちはうち、こちらはこちらということではなくて、最終的に被害を受けるのは県民、あるいは豚を飼っている人ということになりますので、部同士の連携をしっかりとやる。それから、市町村、捕獲をする団体、猟友会との連携も十分とりながら、しっかりと被害防止に努めていただきたい。これは要望として、終わります。 〇吉田敬子委員 給食施設における県産食材の利用促進についてお伺いいたします。 給食施設は、学校、保育所、県立病院、社会福祉施設等がありますけれども、令和4年度の利用実績は、59.9%ということでしたが、施設別、品目別で、県としてどのように評価しているかお伺いいたします。 〇臼井流通課総括課長 給食施設における県産食材利用の令和4年度の実績についてでありますが、県が令和4年度に実施した、給食施設における県産農林水産物の利用実態調査で、施設区分を今、御紹介のとおり、学校、保育所など六つに分けて集計しているところでございます。 令和2年度の前回調査の結果と比較いたしますと、県産食材の利用割合は全体で0.5ポイント増加、施設区分ごとに見ますと、学校で3.3ポイント、公立病院で2.0ポイント、県立病院で1.3ポイント、それぞれ増加しており、利用促進の取り組みが浸透してきているものと認識しております。 一方、地産地消給食実施事業所の区分では6.1ポイント、社会福祉施設では2.8ポイント減少しており、主な要因といたしましては、給食施設を外部に委託して食材選定まで任せていること、価格面等から県産食材が優先的に選ばれていないことなどが挙げられるものと分析しております。 また、同調査では、品目を主食、野菜、畜産物・水産物、加工品、冷凍食品、牛乳等に分けて集計していまして、こちらも前回調査の結果と比較いたしますと、加工品が10.8ポイント増加した一方で、畜産物・水産物が4.9ポイント、野菜が3.1ポイント減少しており、価格面や冬の期間の野菜等の安定供給などに課題があるものと分析しております。 〇吉田敬子委員 県立病院においては、これまでも県の施設であるからこそ、ぜひ県産食材を使っていただきたいということで、今回、微増ではありますけれども、1.3%増加したというのは、県の担当の皆さんが医療局にかけ合ってくださったことが要因だと私は思いたいのですが、そこはそのとおりだということであるかお伺いしたいことと、地産地消給食実施事業所こそ県産食材を利用しているはずだと私は思っているのですけれども、マイナス6.1%ということで、とても残念に思っています。先ほど御答弁のとおり、ごっそり委託をしてしまっているのでというところが課題なのかと私も思っております。 いまだ野菜、畜水産物が伸び悩むのがなぜなのか。これまでの委員会でも御答弁いただいていて、コーディネーターだったり、そういったことが課題だと県としては認識しているそうですけれども、加工品が一方で伸びてもいまして、これは県のコーディネーター等の成果なのか、改めてお伺いしたいと思います。 〇臼井流通課総括課長 まず、県立病院の利用割合の増加についてでありますけれども、県立病院でも20施設のうち10施設が給食業務を外部委託しているところですが、地産地消の観点から、地元食材の利用に留意することや、米は岩手県産米を調達することを仕様書に盛り込むなど、県産食材の利用拡大に取り組んでいると聞いております。 こうした取り組みによりまして、令和4年度は全ての県立病院で、米は県産米が提供されるようになっておりまして、そういったところが利用割合の増加につながったものと認識しております。 それから、地産地消給食実施事業所の県産食材の利用が減っているわけでございますが、こちらの実施事業所は、要件といたしまして、県産米を100%利用すること、県産食材を積極的に利用することなどを認定要件としております。米については、調査の結果でも、県産米が利用されているということは確認しておりますが、米以外の主食や加工品の利用割合が減少したところでございます。 こちらにつきましても、医療局が実施しているように、例えば、外部委託の中でも県産食材の利用が高まるような工夫を働きかけていきたいと考えております。 それから、野菜や畜水産物が伸び悩んでいる事情でございますが、こちらにつきましても、調査の中で、県産食材の利用に関する課題を調査しておりまして、こちらの調査結果では、外国産や他県産と比べて県産食材の価格が高いことや、冬の期間の野菜等の安定供給などが課題として挙げられます。こういったところが理由になっているものと考えております。 それから、加工品につきましては、給食事業者、水産加工事業者、農業団体との連携によりまして、県内小中学校の給食で水産加工品や畜産加工品のメニューを提供したり、それから、いわて県産食材マッチング交流会というものを開催しておりますけれども、この交流会で冷凍野菜や粉末、ペースト状の野菜加工品を生産する生産者と給食事業者等との商談、意見交換の場を提供したりといったところに取り組んできたところでございまして、その成果で加工品の利用割合の増加につながっているものと考えております。 食のプロフェッショナルアドバイザーという専門家を県では委嘱しておりまして、給食関係では、商品開発の支援などについても実際に行ってきたところでございます。そういった取り組みも、引き続き取り組んでいきたいと考えております。 〇吉田敬子委員 先ほど、質問する前に食のプロフェッショナルアドバイザーについても御答弁いただきましたけれども、ということは、食のプロフェッショナルアドバイザーは15名いらっしゃいますが、こちらの方々も給食にかかわって、コーディネーター等を含めてやっていただいているということでよろしいでしょうか。お伺いします。 〇臼井流通課総括課長 失礼いたしました。食のプロフェッショナルアドバイザーにつきましては、農林水産物を活用した商品開発や販路開拓に精通する専門家を委嘱しております。 給食関係では、先ほど申し上げました商品開発の支援でありますとか、あとは、学校給食施設に食材を納入している産地直売所からしっかり安定的に野菜等を納入できるように、供給体制構築のアドバイスなど、そういったところでかかわっているところでございます。 〇吉田敬子委員 アンケート等もいろいろ実施していただいていて、その中で多いのが、供給体制の構築、情報提供といった点が要望として挙げられておりまして、先ほどの御答弁だと、こちらの食のプロフェッショナルアドバイザーもかかわっていただいているということですけれども、このアドバイザーの人選を見ると、農業の側の方がいらっしゃらなくて、食と農のコーディネートをできる方を委嘱するべきではないかと私は思っています。 先ほどの商品開発や、販路の開拓という部分はすごく長けている人たちだと思いますけれども、もっと農業のほうに入っていって、食材、または、今、有機農産物の活用状況についても県でアンケートに入れていただいていますけれども、有機農産物が県内のどこで生産されていて、生産者がいらっしゃるかとなると、農業の立場にいらっしゃる方で、食とコーディネーターができる方が私は必要なのではないかと感じております。こちらの必要性について、ぜひ今後検討していただきたいと思いますが、お伺いしたいと思います。 〇臼井流通課総括課長 調査結果からは、調査対象施設から、吉田敬子委員から御紹介ありましたとおり、県産農林水産物や地元生産者の情報提供が要望として挙げられております。県としてもそうした生産者側からの豊富な情報提供だとかネットワークづくりというところが重要だと認識しております。 これまで県では、いわて県産食材マッチング交流会の開催等によって商談、意見交換の機会の提供や、ことし1月に給食事業者と生産者のネットワークづくりを目的としたセミナーを初めて開催したところでございます。こちらの給食施設の食材利用につきましては、現地機関も連携しながら取り組んでいるところでございますし、それから、そういった立場のノウハウを持つ方を食のプロフェッショナルアドバイザーとして委嘱していくことについても、吉田敬子委員の御提言を踏まえて、前向きに検討してまいりたいと考えております。 〇吉田敬子委員 マッチング交流会や、生産者との給食のマッチングというのは、一つの生産者と給食業者はつながりますけれども、もっと複数の生産者をもともと知っている方がこういう場所にいるほうが効率がいいと私も感じていますので、ぜひ県内でそういった活動をされている方や、マルシェを開催している方で、農産物の立場からコーディネーターをしている方もいらっしゃいますので、ぜひ今後、委嘱を検討していただきたいと思っております。 最後に、これは提案ですけれども、コロナ禍の中で学校給食へ県産食材を提供されていました。これは消費が減少している県産食材の消費促進につなげるために学校給食に提供したものでありますけれども、現在、物価高騰になっている中で、また、食育という観点からも、県産農林水産物の学校給食利用拡大といった事業を、コロナ禍にやったものと同様のものをやっていただきたいと私は考えております。 昨年度からは、他県で、例えば、市町村が行う県産農水産物を積極的に利用した学校給食を提供する取り組みに対して食材の一部を助成するというような取り組みをしている都道府県もありますので、こういったことをぜひやっていっていただきたいと思っておりますが、御所見をお伺いしたいと思います。 〇臼井流通課総括課長 学校給食への県産食材の提供についてでありますが、吉田敬子委員から御紹介いただいた令和2年度の事業、県産農林水産物学校給食提供緊急対策事業では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急対策として、基準となる価格から2割以上低下している等の農林水産物を対象に、全額国庫で実施したところでございます。 同様の事業を県単独で行う場合、相当規模の財源が必要となる状況でございまして、県単独での事業実施については慎重に検討していく必要があるものと考えていますが、他県の状況等、情報収集をしながら検討してまいりたいと考えております。 〇吉田敬子委員 例えば、昨年度も教育委員会からは、学校給食費の高騰に伴う保護者の負担軽減策として補正予算を組まれたりもしていますし、あとは、県議会でも、学校の給食費の無償化の提言がある中で、なかなかそこが難しく進まない状況ではあるのですけれども、せめて県産食材、食育の観点からと生産者を応援するという立場からも、県産食材が学校給食でもっと利用拡大していくという取り組みは、岩手県ですごく大事な取り組みだと私は思っております。コロナ禍のときは国庫全額負担だということで、財源的には難しいかとは思いますけれども、ぜひ今後、検討していっていただきたいと思っております。 〇佐々木努委員 肉用牛生産振興について、何点か質問させていただきます。先ほど千葉秀幸委員の質問がありましたが、重複する分については割愛しますので、それ以外についてお願いしたいと思います。 初めに、県有種雄牛についてお伺いいたします。毎月、たねやま種雄牛だよりを楽しく読ませていただいておりまして、現状を把握しているわけでありますけれども、その中で、今年度新たに県有種雄牛となった菊美翔平と福太郎3、この成績が非常にいいと、たねやま種雄牛だよりに載っておりました。現在の県としての評価をお聞きしたいと思います。 〇村上畜産課総括課長 菊美翔平、福太郎3についてですけれども、これらの牛の産子を肥育して牛肉を調査する現場後代検定におきまして、枝肉重量、ロース芯面積、脂肪交雑で、これまでの県有種雄牛を大幅に上回る成績となっております。 全国和牛登録協会が公表しております、牛の遺伝的能力を示す育種価の最新の評価では、県内で利用されている種雄牛の中で、脂肪交雑で、菊美翔平が第1位、福太郎3が第4位と非常に高い産肉能力を示しております。特に、菊美翔平については、4月から9月までの凍結精液の供給本数が2、000本を超えるなど、県内全域で活用されており、生産者からの期待も大きいと考えております。 〇佐々木努委員 非常に期待が持てるという育種価であると思うわけでありますけれども、問題は、出荷頭数がどんどんふえていって、肉になってどれだけの成績を残せるかということだと思うわけでありまして、その結果が出るのは2年後、3年後ということになるのだと思います。非常に優秀な血統であるといいますか、ゲノムも含めて非常に期待ができるということは理解できましたので、これを大事に育てていっていただきたいと改めてお願いしたいと思うわけであります。 ストローの販売本数もかなり伸びている。ただ、それが全部、イコール種つけにつながるかということになると、これからの県の取り組み次第、あるいは、JAの取り組み次第ということになりますので、その辺も含めて、確実に種つけが行われて、実績が出るような形に持っていっていただきたいと思います。 それから、県産子牛価格の現状と今後の見通しについては、先ほどお聞きしましたので、来年度に向けての子牛生産者に対する支援策について、現状どのような方向性を持っているかだけお聞きしたいと思います。 〇村上畜産課総括課長 肉用牛繁殖農家の経営安定に向けましては、肉用子牛生産者補給金制度等の国のセーフティネットを活用することや、収益の主体となる子牛の生産効率を高めること、子牛が高い価格で販売されるよう良好な発育を確保することが重要と考えております。 県では、肉用子牛生産者補給金制度に係る生産者積立金への支援を行っておりまして、今般、この制度等によりまして、本県では、7月から9月に和牛子牛市場で取引された子牛について、1頭当たり最大9万5、100円が交付されることとなったところでございます。 また、サポートチームにおきましては、分娩間隔の短縮や子牛の発育改善指導を行っているほか、子牛の発育に重要な哺育時期の飼養管理技術をスキルアップする研修会を開催するなどして、引き続き、子牛の生産性向上に取り組んでいきたいと考えております。 〇佐々木努委員 わかりました。加えてお願いしたいのは、優秀な繁殖雌牛の確保、保留、これは菊美翔平でも福太郎3でもいいのですが、それの実績を上げるためには、優秀な繁殖雌牛の保留が我が県においては絶対必要だと思いますので、県も毎年行ってはいますが、私は事業の拡大をぜひやってほしい。財政課にもぜひ御支援をいただいて、これは畜産県岩手の名誉にかけても、ぜひ成功させていただきたい事業なので、頑張って予算要求もしていただきたいと思います。 次に、子牛生産農家のモチベーションアップのための取り組みですが、これも何度か提案させていただいています。枝肉共励会等で優秀な成績を収めた牛を生産した繁殖農家に対しても表彰してあげるべきではないかということで提案させていただいていますが、いろいろ難しいようで、いい返事は毎回いただいておりませんが、改めて、取り組むお考えがないかお伺いをいたします。 〇村上畜産課総括課長 肉用牛繁殖農家の和牛改良への意欲を高めるため、平成29年度から、県有種雄牛の生産者に対しまして、県有種雄牛造成功労賞を授与しておりまして、また、令和3年度からは、枝肉共励会等におきまして、県有種雄牛産子で入賞した肥育農家に対しても、県有種雄牛最優秀枝肉賞を授与しております。 佐々木努委員から御提案がありました、繁殖農家の表彰につきましては、今年度から新たに、枝肉共励会等におきまして県有種雄牛最優秀枝肉賞を受賞した牛を生産した繁殖農家も表彰することとしておりまして、こうした取り組みを通じて、子牛生産者のモチベーション向上を図っていきたいと考えております。 〇佐々木努委員 御理解をいただき、実施をしていただきまして、大変ありがとうございます。子牛生産者がいなければ肥育農家も実は存在しないわけであります。子牛生産者を大事にするということがこれからの岩手の肉牛生産にとっては非常に大事なことでありまして、若い方々が特に自分のところで生まれた子牛が枝肉でチャンピオンになったとか、トップになったというのはすごく励みになっているということなので、これからも続けていっていただきたいし、どんどん県外にも、岩手県が率先してやったということでアピールできるような取り組みにしてほしいと思います。 最後に、県産牛肉の消費拡大策についてお伺いいたします。総務省の公表ですと、ここ5年で国民の牛肉の消費量が10%減少したということで、私の見立てでは、和牛、黒毛和種の分がそっくり10%になっているのではないかと思っています。景気も悪くなっていますし、健康志向、赤身の牛肉に何となく志向が向いているなどという話もあるわけでありまして、黒毛和牛の生産農家にとっては厳しい状況がこれからも続くのではないかと思うわけであります。県を挙げて和牛の消費拡大を進めていかなければならないと思うわけでありますが、これまでの取り組みと今後の方向性についてお聞きしたいと思います。 〇菅原流通企画・県産米課長 県では、県、農業団体、市町村等で構成いたします、いわて牛普及推進協議会を中心に、県産牛肉の消費拡大に向けまして、販路の開拓、拡大に取り組んでいるところでございます。 これまで、市場関係者や、いわて牛の取り扱い業者に対する、いわて牛の集いなどのトップセールスや、首都圏ホテルや大手飲食チェーン店等でのフェアなどを実施してきたところでございまして、今年度は、首都圏スーパーにおける、いわて牛フェアも実施しているところでございます。 今後においても、生産者や関係団体の皆さんと一丸となりまして、トップセールスを初め、より高い効果が期待できるプロモーションを展開しながら、県産牛肉の消費拡大に積極的に取り組んでまいります。 〇佐々木努委員 先ほどもお話ししたのですが、国内の消費が落ちているということ。私も若いころはさしの入った肉が結構好きで、食べることが多かったのですが、最近、おいしいのですけれども、二口くらい食べると、少々胸やけがするというか、多く食べられなくなってしまって、これは年のせいだと思うのですが、今、高齢化が進んでいるわけでありまして、そういう方が結構いらっしゃって、ああいうさしの入った肉を好んで食べる若い人たちが少なくなっているということは、国内の消費はこれからなかなか伸びていかないのではないか。ほかの県も国内の消費拡大を一生懸命進めているにもかかわらず、今、このような現状であるとすれば、海外に目を向けていくしか生きる道はないのではないかと私は思うわけであります。 トップセールスで知事も海外に行って、さまざまな岩手県の農畜産物の販売促進を図っているということでありますし、株式会社いわちくとか、私の地元の有限会社前沢牛オガタとか、独自に輸出に取り組んでいる状況なわけでありますけれども、県としても輸出の部分に力をぜひ入れていただきたいと思いますが、現状、県の取り組みはどのようになっているのかお聞かせをいただきたいと思います。 〇臼井流通課総括課長 いわて牛の輸出につきましては、生産者や関係団体とで組織する、岩手農林水産物国際流通促進協議会を中心に取り組んでいるところでございます。輸出拡大に向け、これまで在外公館と連携したPRレセプションや現地バイヤーを招聘した商談会を実施してきております。今年度は、県産牛の需要が拡大している北米―米国、カナダでのトップセールスや、新たに、ことし5月に輸出が開始され、高価格での取引が期待できるEU等での販路開拓に取り組むこととしております。 今定例会では、畜産物輸出コンソーシアム推進対策事業についても補正予算が認められたところでございまして、こういった予算を活用しながら、県産牛肉の輸出拡大に取り組んでいく考えでございます。 〇佐々木努委員 ありがとうございます。先日、株式会社いわちくと懇談をする機会がありました。いわて牛という名前で世界に行く牛はいないということで、全農がまとめて和牛という形で輸出する。ただ、その中で、これは当然御承知のことと思いますが、カナダの炙りマーケットでは、いわて牛という名前を出して、いわて牛が欲しいということでリクエストして、そこでいわて牛として販売していただいているというところもありますが、これは、株式会社いわちくのさまざまな努力もあると聞いています。そういうことをしない限り、いわて牛として国外の国々に認められるということは、なかなか難しいと思いますので、アメリカに今度売り込みに行かれる予定があるそうでありますので、ぜひそういうことも念頭に置きながら、さまざまな団体の方々と連携して、さらに、その方々をしっかりと支援しながら輸出拡大に取り組んでいただきたいと思います。農林水産部長に意気込みを聞いて、終わりたいと思います。 〇佐藤農林水産部長 佐々木努委員から畜産農家の現状といったところの質問、あるいは、消費拡大、輸出という質問を頂戴いたしました。今、畜産農家の現状、非常に厳しい状況にあると思っておりますので、一つとしては、消費拡大の取り組みを積極的に行っていかなければならないと思っています。 国内部分につきましては、国にもしっかり消費拡大対策をとってほしいということで、先月、要望したところでございますし、国内におきましても、さまざまトップセールスなり販路拡大の取り組みを継続してやっていきたいと思います。 それから、輸出につきましては、先ほど流通課総括課長から答弁させていただきましたが、今年度、アメリカでトップセールスを行います。関係団体としっかり連携をして取り組んでいきたいと思いますし、また、カナダにつきましても、2年前にトップセールスをしましたので、そのフォローアップとして今回、補正予算で議決をいただいたところでございます。北米地域は、本県にとっての輸出の重点地域でございますので、関係団体と連携しまして、積極的に取り組んでまいります。 〇畠山茂委員 私は、野生鳥獣対策について1点伺います。きのう、きょうと多くの委員の方が触れておりましたので、私の視点でお聞きしたいと思います。4点ほど、順に聞きたいと思います。 まず1点目が、県内の野生鳥獣による農作物の被害の推移を県はどのように分析しているのかということ。きのう、きょうと金額でも説明がありました。約5億2、000万円で、前年比で4、000万円ほど増だという説明がありましたが、ここでは農作物被害の推移を県はどのように分析しているのかということでお聞きしたいと思います。 あわせて、各自治体が取り組む鳥獣被害、駆除、あるいは捕獲対策について、県はどのような支援を行い、県として成果をどのように評価しているのかもお伺いしたいと思います。 〇和泉担い手対策課長 本県の野生鳥獣による農作物被害額については、令和5年度は、速報値で約5億2、000万円であり、令和4年度と比べ約5、000万円の増となるなど、近年、増加傾向となっております。 令和5年度の被害額を獣種別に見ますと、令和4年度に比べ、ニホンジカによる被害額は、捕獲頭数の増加等により減少する一方、ツキノワグマについては、果樹等への被害の増加、イノシシについては、生息域の拡大等により、いずれも被害額が増加している状況にございます。 県では、農作物被害の防止に向け、国の事業を活用し、市町村等が取り組む有害鳥獣の捕獲や侵入防止柵の設置、里山周辺の除間伐などの地域ぐるみの被害防止活動を支援しているところであります。 こうした取り組みにより、令和5年度のニホンジカの捕獲頭数は、捕獲目標の2万5、000頭を上回る2万9、000頭余りと過去最大となったほか、イノシシの捕獲頭数も過去最大の1、600頭余りとなっております。 今後も、市町村、関係団体と連携しながら、野生鳥獣による農作物被害防止に向け、有害捕獲や地域ぐるみの被害防止活動等への支援を強化していく考えであります。 〇畠山茂委員 先ほどの答弁と似たような形で答弁をいただきまして、順調に捕獲は伸びている。ただ、被害はふえているという、イタチごっこのような状況だと認識をしております。そこで、鹿を初め、イノシシ、猿、被害が大変だというのは住民の方、あるいは市町村要望でも毎年声が大きくなっていて、特に、農作物をやっている方、あるいは、家庭菜園や家庭の庭で花を植えている方々も、鹿は何でも全て食べてしまうということで、困惑しているというのが今、実態としてあります。 そこで、次にお伺いしたいのは、具体的な取り組みについては、先ほど答弁があったとおり、市町村がやっています。そこで、被害防止計画を立てて県内の各市町村はやっているわけですけれども、目標の達成状況を、33市町村は大変なので、おしなべてどういう達成状況なのかをお聞きしたいと思います。 〇和泉担い手対策課長 各市町村が策定する被害防止計画につきましては、各市町村で計画策定年度は異なるものの、計画策定の3年後に目標達成状況の評価を実施することとなっております。 令和5年度については、9市町が評価対象となっておりまして、そのうち目標達成が5市町、未達成が4市町となっております。 〇畠山茂委員 約半分のところで成果が出て、半分のところはなかなか達成ができていないという状況だと思います。 そこで、三つ目です。先ほど千葉伝委員も触れていましたが、野生鳥獣対策は、動物は市町村の境はありませんので、どうやって連携して取り組んでいくかだと思います。市町村要望からも、地域連携が欠かせないという声が最近、大変多くなっていまして、被害対策は市町村任せではなくて、県がコーディネーターなどを配置して、広域連携の取り組みをしていくべきだと私も思っています。先ほどの説明では、久慈地域と遠野地域、大船渡地域で先行してやっているということですが、これは全県内でやるべきだし、大きく言えば、岩手県内全てで連携して情報共有してやるべきだと思いますが、この連携のあり方について、改めてもう一回、県の考え方をお聞きしたいと思います。 〇和泉担い手対策課長 県では、広域的に分布又は移動するニホンジカ及びイノシシについて、市町村等が実施する農地周辺での有害捕獲に加えて、各地域における広域捕獲活動を実施しているところであります。こちらの広域捕獲活動につきましては、市町村からの要請を受けて実施しているものでございまして、各市町村とも連携をとりながら実施することとなっております。 今後も、しっかりと被害防止に向けた取り組みとして広域連携を進め、各市町村がふえていくように取り組みを進めていきつつ、県が主体となった広域的な被害防止の活動を実施していきたいと考えております。 〇畠山茂委員 あくまでもやっていくのは市町村だと聞こえるわけです。 次、4点目です。きのうの環境生活部でもあったのですが、実動部隊である猟友会の問題で、人材確保の課題があったり、あるいは、新たに猿の被害がふえているということで、管理計画を作成すべきだというお話もあります。それから、きのうの話だと、駆除した後の個体処理施設が不足しているのだとのことでした。きょうは、被害防止柵の電気柵の設置の課題等がありましたけれども、こういったことがきちんと情報共有されて、そしてまた、県と市町村のコミュニケーションがとれているのかと、きのう、きょうのお話で感じるところがあります。 そこでお聞きしたいのは、野生鳥獣対策については、現在は個体管理や駆除の面では環境省の管轄である環境生活部が持って、そしてまた、きょうの農作物被害対策は農林水産省の管轄である農林水産部がまたがって鳥獣被害対策を行っているわけですけれども、一方で、多くの市町村は、一つの部署が補って対策に当たっているわけですので、改めて、県庁内の連携、それから、県と市町村の連携、ここはうまくできているという認識なのか、その認識をもう一度お聞きしたいと思います。 〇和泉担い手対策課長 県では、市町村等と連携した野生鳥獣の被害防止対策を強化していくため、令和5年度に、新たに、県の農林水産部及び環境生活部、県内の全市町村、関係団体を構成員とする鳥獣被害防止対策会議を設置しまして、農林水産部が所管する農作物被害や被害防止対策の取り組み状況、環境生活部が所管する、鹿、イノシシの個体数管理のための捕獲対策や生息調査の情報提供をするほか、新たな被害防止技術の効果の検証、個体処理施設整備に活用可能な事業の情報提供などを行っております。 さらに、各広域振興局、農林振興センター単位で、県内10地域に設置した広域振興局と市町村等で構成する現地対策チームにおきまして、各地域の課題に応じた研修会の開催や被害防止技術の実証に取り組んでいるところでございます。 今後も、野生鳥獣による農作物被害が低減するよう、関係部局や市町村等と連携しながら、積極的に取り組んでいきたいと考えております。 〇畠山茂委員 令和5年度に鳥獣被害防止対策会議を設置して、10地域で情報共有しているというお話でした。そのとおり頑張って取り組んでもらうこともそうなのですが、戻りますと、被害は毎年ふえているのは確実なので、ぜひ一歩でも二歩でも進むようにお願いして、終わります。 〇高橋穏至委員 それでは、順次質問いたします。 令和5年度当初予算で、人口減少対策事業としての位置づけをされている事業がたくさんございます。 まず、いわてニューファーマー支援事業、これは新規就農者の確保、定着の目的で、研修会や経営確立のための資金交付などの事業ですが、成果指標である新規就農者数は、目標280人に対して実績286人と目標を上回ってA評価になっています。一方で、活動内容指標である新規交付者数は100人の目標に対して62人ということで、これは達成していないわけですが、指標の達成状況についてどのように分析しているかお伺いします。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 令和5年度の当該事業の活動内容指標、目標、新規交付者100人に対し、実績が62人となっていることにつきまして、令和5年度の新規交付者につきましては、過去の実績や事業活用、新規就農者、新規就農希望者の事業活用の希望について、要望、調査を行って人数を計上しておりました。一方、交付希望者の中には、就農計画の準備が整わずに就農時期を先送りした例や、前年度の世帯所得の要件を満たさないために交付対象外となった例などが見られました。こういった場合には、交付の要件を満たさなくなるために、実際の実績としては減ったということでございます。 〇高橋穏至委員 新規就農者、単年度280人というのは結構多いと思いながら見たのです。これは毎年280人ずつ続ける目標で今、行っているのですか。確認します。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 新規就農者の確保目標につきましては、令和5年度から280人という目標にしたところでございます。いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの期間中、280人ということで設定しております。 〇高橋穏至委員 第2期アクションプラン中ということは、第2期アクションプランが始まったのが令和5年度で、その間に280人で、もう280人を超したということは、あとは新規就農しないということですか。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 失礼いたしました。毎年度280人でございます。 〇高橋穏至委員 わかりました。ぜひこのペースでずっとやってほしいです。 次に、新規就農対策事業費ということで、二つの事業、まず一つは、高校生の見学会とかはほぼ目標を達成していますけれども、高校生の卒業後の進路について、調査しているのでしょうか。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 県では、県教育委員会の協力のもと、農業高校等の卒業生の進路について把握しているところでございます。 〇高橋穏至委員 それで、その状況はどうなのでしょうか。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 農業高校3校について申し上げます。 農業高校3校の令和5年度卒業生につきましては、農林業関係を含む就職が約6割、県立農業大学校を含む進学が約4割となっております。 〇高橋穏至委員 ありがとうございます。 続いて、いわてで就農応援事業費、それから、農業農村関係人口拡大支援事業費、これはどちらも県外からの呼び込みに対する事業なわけでございますけれども、この二つの事業をやって、どれくらい県外からの効果があったのかをお伺いします。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 まず、いわてで就農応援事業につきましては、県外からの新規就農者の新たな掘り起こしに向け、インターネット上の仮想空間であるメタバースを活用し、就農希望者等への農業に対する学びや参加者同士の交流の場の提供を行ったものでございます。 令和5年度においては、参加者が18名いらっしゃいました。令和6年度に入りましたけれども、このうちの2名の方が県内に移住して就農したということでございますし、そのほか2名の方が、同じく移住の上、現在、就農準備中、研修をしている状況でございます。 それから、農業農村関係人口拡大支援事業につきましては、本県農業農村の関係人口の拡大を図るため、就農ですとか農村での暮らしに関する情報発信、若者を対象とした農村再発見バスツアーを実施しているものでございます。 移住等に結びついているものではございませんけれども、県内で活躍しているU・Iターン就農者の情報を6回発信し、その閲覧数は1万8、800余回となったほか、バスツアーを4回開催しまして、32名の参加があったところでございます。 今後とも、こうした新たな就農者の確保や関係人口の拡大に向けて、SNSや情報誌など、さまざまな機会を通じ、本県農業農村の情報発信、PRに取り組んでまいります。 〇高橋穏至委員 いろいろな事業をやっていて、県内就農をした段階で県外から来た人に、これらの事業がどうだったのかというアンケートなりもしておかないと、やった事業がどれくらい効果があったのかはかれないと思うので、ぜひそれはやってほしいと思います。 これまで質問した事項は、全部新規就農ですとか担い手確保に係る事業だったのですけれども、今、農業従事者の高齢化がどんどん進んでおりまして、後継者不足とかいろいろあるわけですが、新規就農は、先ほど286人と言いました。これらの構成といいますか、どういった年代とか、あるいは、もともと農家であった人の後継者が戻ってきているとか、そういった状況はわかりますでしょうか。 〇鈴木農業普及技術課総括課長 令和5年度、286人の新規就農者で申し上げます。 まず、286人のうち、雇用で就農されている方が160人でございます。それから、自営就農されている方でも、学校を出てすぐ就農されている方は11人でございます。それから、親元というか農家出身で、他産業に従事して、その後、実家に戻るなどという形で就農している方が47人ということでございます。それから、新たに農業を始める方につきましては68人ということです。 年齢でいいますと、45歳未満の方につきましては、全体286人のうち214人ということでございます。 〇高橋穏至委員 この数字は大体つかんでいないとおかしいと思って聞きました。こういったところで、ぜひこれを継続していけばいいと思ったのですが、次に、継続していくために必要な経営体の質問をしたいと思います。 岩手県における農業ビジョン全体像についてですが、まず最初に、農業経営基盤強化促進事業ということで、この事業で重点指導営農者の目標が150経営体に対して実績134経営体、リーディング経営体の目標が15に対して実績14、経営体の育成に対する目標が設定されているのですが、岩手県全体として、例えば、重点指導営農者の対象になるような経営体がどれくらいあればいいのか、あるいは、リーディング経営体はどのくらいあればいいのかという全体目標はあるのでしょうか。 そしてまた、重点指導営農者とリーディング経営体のどれくらいの規模感、要件といいますか、それをどういうふうに捉えているのかお伺いします。 〇佐々木技術参事兼農業振興課総括課長 リーディング経営体の関係の候補者という御質問ということでございますが、リーディング経営体につきましては、おおむね3、000万円以上、または年間農業所得おおむね1、000万円以上を確保する経営体でございます。 その候補者ということで、県では、農業経営就農支援センターというものを設置して、支援対象ということでやっているところでございます。 現在の支援対象経営体については、先ほど高橋穏至委員からお話のあったとおりでございますが、候補者ということでありますが、販売額1、000万円以上から3、000万円未満の形態体が候補者になると見込んでおりまして、令和2年の農林業センサスで見ますと、約1、700経営体が当たると考えているところでございます。 〇高橋穏至委員 そうすると、大体この規模の経営体が目標として岩手県内にどれくらい必要かという想定はしているのでしょうか。 〇佐々木技術参事兼農業振興課総括課長 リーディング経営体につきましては、毎年度、新たに15経営体を育成するということでございます。令和5年度の目標数は、累計で150経営体ということでございます。 第2期アクションプランの最終年であります令和8年度については、195のリーディング経営体を育成目標として掲げているところでございます。 〇高橋穏至委員 それでは次に、地域農業計画実践支援事業費で、これも地域農業計画に実際取り組む事業の目標を定めているものですが、令和5年度80経営体に対して88でA評価でした。地域農業計画実践支援事業の計画の主体となる経営体は、どれくらいを想定しているのでしょうか。 〇佐々木技術参事兼農業振興課総括課長 この地域農業計画実践支援事業費につきましては、事業実施主体として、地域の中心となる経営体、これは中心経営体である3戸以上が組む事業実施主体でありますとか、集落営農組織でありますとか、農業法人といった部分の組織に対して補助するものでございます。 補助目的としては、規模拡大や地域資源を活用した多角化の取り組みなどに必要な機械を整備するということでございまして、組合等については、新たにつくったり、そういうことになりますので、全体としてどのぐらいということではございません。現在、地域計画をつくっているところでございまして、そうした位置づけられた経営体に対して、一戸一戸の部分については補助できないことになりますけれども、3戸以上の経営体が組んだ組織等々について補助するということでございますので、全体像として幾らという部分については、現段階では難しいということでございます。 〇高橋穏至委員 全部後段の質問につながってくるのですが、生産基盤の整備ということで、経営体基盤整備事業や畑地総合整備事業、これは私も毎回のように一般質問でも取り上げている事業で、もっと目標を拡大していかないと生産性は向上しないのではないかという趣旨で質問しているのですが、要望は多いけれども、予算の枠内でという形でやっているので、当然、実績は目標数達成、これは必要最低限の部分なのかと思っておりました。 生産性の高い農業を実現するためには、本来は倍以上の面積をしないといけないですし、あと、生産性を上げるために農地集積とか生産設備の集約とか、作付けの集約化が必要ではないかと考えられます。 松本雄士委員の今定例会の一般質問において、農業ビジョン策定に係る目標設定について、新規就農者数や農業法人数、それから、農業生産額等の総合指標のほか、主要作物の作付面積、反収等の生産側の目標を県全体として設定すべきであり、可能であれば、県内における消費や農業教育の充実に向けた目標も設定すべきという質問をしております。これに対して、県からは、農業ビジョンは、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を推進していくために策定するものであり、その目標設定については、いわて県民計画(2019〜2028)における幸福関連指標、具体的推進方策指標、農業振興に係る個別計画の目標の整合性をとって、岩手県農業審議会を初め、生産者や関係団体の意見を伺いながら、策定過程の中で検討を進めるとのことでした。 要は、それぞれの主体が、あるいは、いろいろな計画が主体的にやられているものを、整合性をとりながら、その過程の中でつくるということで、全体としての絵はないのではないか。それをつくるべきだというのは、私はことしの予算特別委員会の中でも総括質疑で質問したのですが、知事からそんなものは必要ない、つくりませんという話で、そちらがあるからいいのだという答弁を私にはいただきました。 でも、それをやっていくと、市町村をまたいだ計画がないと、先ほど千葉秀幸委員の自給飼料にしても、酪農家がいて、それに必要な自給飼料をつくろうと思ったときに、個々の計画の中でつくったのでは効率が悪いですし、例えば、子実トウモロコシにしてもWCS―稲発酵粗飼料にしても、生産設備には規模がないと効率が悪いです。設備にもお金がかかります。そういったものを地域としてまとめて計画づくりをしていかないと、効率のいい生産の体制はつくれないのではないかということで、今まで経営体の目標などを全部聞いたわけですけれども、それに対していかがでしょうか。 〇佐々木技術参事兼農業振興課総括課長 地域をまたいだ計画ということでございますけれども、県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランということで、まずは政策推進の基本方向について、目標等々、推進方策等を立てているところです。 また、農業振興における各種個別計画においては、野菜の生産振興計画や、岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画等々で目標設定をしているということでございます。 これについては、個別経営体について云々ということではなくて、県内全体としての担い手のあり方でありますとか産地づくりでありますとか、そういった部分について方向性を示しているものでございます。 現在、県では農業ビジョンということで策定を進めているところでございます。この部分については、目標設定ということでありますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)におけるいわて幸福関連指標や具体的推進方策指標のほか、農業振興に係る各種個別計画の目標等の整合性を考慮しつつ、県の農政審議会を初め、生産者や関係機関、団体等の意見を伺いながら、策定過程の中で検討してまいりたいと考えているところでございます。 〇高橋穏至委員 そうすると、個別につくっていく中で、産地化や総合調整はどこでするのでしょうか。例えば、西和賀町ですと、今、湯田牛乳公社が中心になって酪農を担いながらやっていこうということで拡大しようとしているのですが、餌や土地を持っている農家からすると、今の5年の水張り問題もあって苦労しているけれども、それで転換しようと思っても、WCSの取り組みを始めたけれども、機械も高いし、まとまらないといけない。今、湯田牛乳公社の牛乳の多くは、実は金ケ崎町から来ているわけでして、金ケ崎町との生産の連携の中で、中山間地の水田には不適なところには飼料用作物をつくって、それを一緒になって確保して飼料にするなどということは、地域をまたいで計画をつくらないと実現できないわけで、そういった調整はどこでやるのでしょうか。 〇照井農政担当技監 ただいまの農業ビジョン策定に当たりましては、これまで全市町村の方と意見交換しましたし、あと、各農協の組合長とも意見交換させていただいております。これから農政審議会、あるいは、各圏域の団体とも意見交換させていただこうと思っていますが、その中におきましては、今、高橋穏至委員御指摘のありました、地域ごとの農業はどうあればいいのだとか、そういう部分についても意見交換させていただいていまして、中山間地域の農業のあり方とか、あるいは沿岸地域とか、そういう地域ごとの農業のあり方も含めて意見交換をさせていただいて、その中の取り組みとして、全体としてまとめていきたいと考えております。 今、各種個別計画がありますが、それとも整合性とか、もしこちらのほうが進むのであれば個別計画を直すとか、そのような感じで全体をまとめ上げていきたいと考えております。 〇高橋穏至委員 いずれ、こうやるのだという生産の絵がないと、そこに向かってやる意欲、それぞれの地域でこれをやろうというのを調整したのでは大きい絵が描けない。大きい絵を描くようなリーダーシップといいますか、そこが必要ですし、そういうシンクタンク的なところも入れながら、この地域はこのほうがいいし、酪農と絡むのだったら、あるいは肥育と絡むのだったら、こういうふうにしないと効率が悪いという総合的な計画、戦略をつくってほしいのですけれども、最後、伺って終わります。 〇照井農政担当技監 今、高橋穏至委員から重大な御指摘をいただいたと思っています。いただいた意見も踏まえまして、各関係機関、団体とも意見交換を踏まえながら取りまとめていきたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 私からは、家畜人工授精師について伺います。 まず、先ほど佐々木努委員から、繁殖農家も県で表彰対象にしていただくということで、本当に喜んでいらっしゃると思うし、励みになると思います。そして、菅野ひろのり委員も大変お喜びになっていると思います。 しかし、先ほど農林水産部長の答弁もありました。水を差すようになってしまうのは大変心苦しいのですが、アメリカでトップセールスを知事がこれから行うとか、消費拡大、販路拡大をしていくとか、いい種もできているのですが、家畜人工授精師がいなければ、そもそもそれができないというところになります。 私は一般質問でも、これについて取り上げさせていただきました。岩手県農業共済組合が令和6年度で家畜人工授精師の活動に対して撤退するということで、県内の農業共済組合に頼っていた繁殖農家が大変困っているということで、6月定例会では、対象となる328戸のうち、その時点で109戸、約3割がマッチングできていますということでしたが、そのほかのマッチングについての状況を伺います。 〇村上畜産課総括課長 県農業共済組合の家畜人工授精師を利用している農家は、農業共済組合が家畜人工授精師の廃止を行ったとされる盛岡地域と遠野地域の6市町農家合わせて325戸(後刻「328戸」と訂正)ありまして、8月末現在、対象農家の約5割の継承先が決定しているという状況となっております。 〇鈴木あきこ委員 約5割ということは、160戸はまだできていないという状況になりますね。盛岡市も2戸残されてしまっているという状況は伺っておりました。一般質問のときに、先ほど言った盛岡地域と遠野地域の6市町に関しては、広域振興局が主体となって関係機関と検討を重ねているとありましたが、詳しい状況は長くなるので結構ですが、いい方向に向かっているのか、また、停滞状態なのかを伺います。 〇村上畜産課総括課長 進捗状況が約5割ということですけれども、残りの5割のほとんどは遠野地域でございまして、まだ継承先の検討を行っているところでございます。 具体的には、どのような調整、検討をやっているかということでございますけれども、農業共済組合では、継承先が決まっていない遠野地域の農家に対しまして個別訪問しまして、既存の組織や個人で行っている家畜人工授精所などの継承先に関する意向調査を行っております。現在、農家が希望する家畜人工授精所においてどのように対応できるか、県、農協、農業共済組合、個人事業者等々と検討している状況でございます。 〇鈴木あきこ委員 そうすると、農業共済組合が遠野地域のところは個別に回っていて、農協などもかかわっている。私は、農林水産部長から、全ての業務継承が決まるまで、県としてしっかりと取り組んでまいりますという答弁をいただいていますが、それでは、そこに県はどのようにかかわっていらっしゃいますか。 〇村上畜産課総括課長 県としましても、検討の場の設置だったり、調整だったり、農家の調査結果をもとに、さまざまな家畜人工授精所の情報とかを県が持っていますので、それらを共有しながら、いろいろと継承先が決まるように調整をかけているところでございます。 〇鈴木あきこ委員 繁殖農家は、この農林水産部長答弁を聞いて、そうやってくれるだろうと、安心はしていませんが、期待をしています。今の答弁だと、県としてしっかりという言葉に対しては、すごく弱い対応だというところで、すごくがっかりしています。しかしながら、3月までに誰一人取り残さないでくださいという私の質問に対して、全ての継承が決まるまで県としてしっかりと取り組んでまいりますと答弁をしているので、3月までに全ての業務継承を関連機関と一緒にきちんと取り組んで完了してくださいということを農林水産部長に伺います。 〇佐藤農林水産部長 農業共済組合の撤退に伴う対応というところでございますが、盛岡地域と遠野地域、各地域ごとにそういう検討の場があり、県もそこに当然入っています。場を設けて、その中に参画して検討を重ねてきた状況でありまして、そういった中で、6月定例会の際には、継承先が約3割決まった。そして、今回9月末の段階では5割まで来たということで進捗してきていると思っております。引き続き、進捗管理を的確に行っていきます。 あとは、先ほど畜産課総括課長から答弁がありましたけれども、農業共済組合で戸別訪問したということでございますので、その結果をしっかり関係機関で共有して、今後の具体的な対応も考えていきたいと思っておりますし、引き続き、全ての継承先が決定するまで、県としてしっかり対応してまいります。 〇鈴木あきこ委員 取り組んでまいりますといっても、もう11月になります。期間がどんどん迫ってまいっております。どういう形でもきちんと、3月末までに業務継承を完了していただくようにお願いいたします。 では、次に参ります。それに関連しますが、岩手県では家畜人工授精に関する講習会を毎年行っております。令和6年も9月30日を締め切りにして10月28日から11月22日まで開催予定となっております。今年度の受講者の状況を伺います。 〇村上畜産課総括課長 家畜人工授精師の講習会についてですけれども、毎年1回開催しておりまして、毎年、約30名が受講しております。今年度も、鈴木あきこ委員のお話がありましたとおり、10月28日から11月22日の期間で開催することとしておりまして、受講生は30名ということになっております。 〇鈴木あきこ委員 30名、ありがとうございます。期間が大体1カ月ですから、簡単な気持ちではなくて、本当に人工授精を学びたいという方たちが30名受講していると思われます。 その中で、岩手県は人工授精師が不足していますが、まず、受講者に対して、岩手県は人工授精師が不足して大変なのだという状況を説明であったり、あと、合格後どのような活動をしていくのかということを、アンケート形式でも聞き取り調査でも、そのようなことは行っているのでしょうか。 〇村上畜産課総括課長 県では、講習会につきましては、本県の畜産振興の基礎となる家畜人工授精師の養成を目的に講習会を開催しているところでございます。 受講者の募集についても、県内において、免許取得後に家畜人工授精業務の即戦力として家畜人工授精業務を行ってもらいますよう、県内在住者、または県内に所在する農場等の従事者、あるいはJAの職員などを優先して受講させているところでございます。 この講習会におきましては、受講者に対して免許取得後の活動等についての調査は行っておりませんけれども、講習会の中では、家畜人工授精の制度と関係法規の講義におきまして、受講者に対しまして、講習会を修了し、試験に合格した後の免許取得までの手続のほか、家畜人工授精所の開設のために必要な設備、器具、整備など、あとは、申請に必要な書類などについて説明を行っておりまして、引き続き、免許を取得した家畜人工授精師が地域において家畜人工授精業務が行えるよう働きかけているところでございます。 〇鈴木あきこ委員 多分、今おっしゃっていただいたことは、これまでもやってきていたことだと思いますが、今、岩手県の人工授精師の状況が最悪になっている中、今回の受講生の合格者が現場に出てすぐできるとは限りません。これから先の岩手県の畜産を考えていくと、県としては危機感を持って、新しく合格する方たちに対しての働きかけというのは、本当に必要と思いますが、それについて、いかが思いますか。 〇村上畜産課総括課長 先ほども御答弁申し上げましたとおり、講習会の中において、各種法令や家畜人工授精所の開設ということが家畜人工授精業務を進める上では必要になりますので、その開設に必要な設備とか器具の整備、申請に必要な書類などをしっかりと説明して、地域において家畜人工授精業務が行えるように、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 それでは、次の家畜人工授精師の確保についても、今の御答弁の関係でかかわってくるので、そちらに行きます。 これまで県は、家畜人工授精に関する講習会の合格者を、先ほどおっしゃっていました開業する方たちは、県にきちんと届け出が必要なので把握はしているが、そのほかのところ把握していないということでした。開業する届け出はやはり必要なものなので、もちろん把握することだと思うのですが、それ以外にも、今の岩手県ではほかの方がどのように活動しているかというところも把握して、確保していかなければならないと思っています。先ほどの質問と重複するかもしれませんが、今後、開業する届け出と、開業していない方たちの把握もしていくべきと思いますが、それに対してお願いします。 〇村上畜産課総括課長 県では、家畜改良増殖法に基づきまして、毎年、家畜人工授精所に対しまして、家畜人工授精業務に必要な凍結精液の購入や使用、譲渡などの管理状況について調査を行っております。 また、今年度から、県独自に免許を取得している家畜人工授精師の実態を把握するために、家畜人工授精所に所属する名簿や活動状況についても追加して調査しているところでございます。 これらの調査結果等につきまして、地域の市町村、農協、農業共済組合などで設けた検討の場において情報共有を図りながら、家畜人工授精師の確保に努めてまいりたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 今までやっていなかったこと、名簿を確認するというのはそうなのですが、開業していない、登録していない人をどうやって探すかというところの質問です。 〇村上畜産課総括課長 今年度から、家畜人工授精所を開設している家畜人工授精所に対しての調査を行って、その中で、新たに免許を取得した方々がそういうところで働いているかも含めて調査をしているところもありまして、さらに、そのような調査の結果もあわせて、県や農協、農業共済組合の検討の場の中において情報共有をして、合格者の活動状況なども共有しながら進めていきたいと思っています。 〇福井せいじ委員長 この際、鈴木あきこ委員の質疑の途中でありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。鈴木委員、御了承願います。 午前11時59分 休憩 午後1時1分 再開 〇大久保隆規副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。 〇村上畜産課総括課長 先ほど鈴木あきこ委員への答弁につきまして、盛岡地域と遠野地域の対象農家を325戸と御答弁いたしましたが、328戸と訂正させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 〇大久保隆規副委員長 質疑を続行いたします。 〇鈴木あきこ委員 328戸、私が間違ったかと思ったので、ありがとうございました。ということは、164件まだ残っているということでした。 私がこの質問をしているのは、県が全面的に悪いというわけではないですが、岩手県は畜産県として大いに繁殖農家に支えていただいているところで質問しておりますので御了解ください。 では、最後になりますが、岩手県では家畜人工授精師が不足している中で、講習もしている。それをきちんと把握してほしいというのは、県としてはやるべきことだと思います。いろいろな規定があるのか、いろいろな壁があるにしても、岩手県が畜産県でこれからもずっとあり続けるためには、必要なところだと思っております。 例えば、今、3月までに家畜人工授精師と農家のマッチングをお願いしていますけれども、100%できたとしても、家畜人工授精師の高齢化とかいろいろな課題があって、その方たちがこれからずっと継続できるかというところは疑問が残るところでございますので、県として何か仕組みをつくるべきではないかと思っております。 例えば、講習会を開いて合格者を出す、その方たちに県に登録をしていただく、資格を取ったからすぐできるわけではないので、きちんと実習をするという要請をする。住んでいるところに合わせて、あなたはこの地域をお願いしますという区域、地域担当みたいなのをつくって、誰かが不足のときにはこの地域で助けるというような、私は素人考えで言っていることなので、簡単にはできるものではないと思いますが、そのような形で、県として継続的に持続的にやっていくべきと思いますが、それに対してのお考えを伺います。 〇村上畜産課総括課長 家畜人工授精業務の継続的な提供という御質問だと思いますけれども、まずは農業共済組合が家畜人工授精業務を年度末に廃止する2地域について、継承施設の確保に向けて、市町や農協等と連携しまして、継承先が決定できるようしっかり取り組んでいきたいと考えております。 その上で、各地域において、安定的に家畜人工授精業務が提供されるよう、各地域の繁殖農家の所在する場所だったりとか、1戸当たりの飼養頭数などの実情に応じまして、必要とされる家畜人工授精師の人数や、技術料としてお金をいただくわけですけれども、その技術料の回収とか精液の管理等の事務作業を効率化するなどを考慮しながら、家畜人工授精師の確保対策や供給体制について、このたび設置しております市町と農協等と連携しながら検討を重ねていきたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 関係する農協や市町村と連携をしながら検討を進めてまいりますではなく、もう一歩踏み込んだ御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 〇村上畜産課総括課長 今、答弁申し上げましたとおり、地域によって、地形や繁殖農家がどの程度分布しているのかというところも含めて、今、設置しています検討の場でしっかりと市、町、農協等と連携しながら検討していきたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 もう一歩踏み込んだ答弁が欲しかったです。お願いします。 最後、今、スマート農業にどんどん移行していますが、恐らく繁殖農家など畜産関係もスマート農業に移行していくと思うのですが、人工授精に関しては、やはり人の手が必要で、機械でというのはなかなか厳しいというところを考えれば、これから先も継続的に家畜人工授精師というものは必要になると思います。これから岩手県が畜産県として反映していくためには、繁殖農家がいてくれないと困ります。そのためには家畜人工授精師がいないと困ります。ぜひそのところ、岩手県の畜産を守ることを前提に一生懸命取り組んでいただきたいと思います。 〇村上秀紀委員 では、私からは、ブドウの生産振興について伺ってまいります。 本県の果樹生産額2番目のブドウに関してですが、本年お盆明けの大雨によって局地的に発生した道路や河川等の災害と時を同じくして、県内栽培面積のおよそ半分を占める紫波町を中心に、粒の劣化や晩腐病など大きな被害に遭いました。この被害の状況をどのように把握しているかお尋ねします。 〇坂田農林水産企画室企画課長 8月下旬の大雨の影響により、紫波町のブドウ園において、果粒の割れや脱粒などの被害が確認されており、被害面積は、10月21日現在で約90ヘクタールとなっております。 ブドウの栽培面積は、最新の数値となる令和2年度の国の統計数値において、本県は224ヘクタールとなっており、今回の被害面積の割合は、その約4割に当たります。 今回被害を受けた園地は、現時点で紫波町のみとなっておりまして、ほかの市町村では被害が見られないことや、紫波町内でも、立地条件等により収穫量の減少割合にばらつきが見られることから、現在、園地ごとの減収量等について精査を行っているところでございまして、今後、被害額も含め、全容の早期把握に努めてまいります。 〇村上秀紀委員 今、御案内いただきました、ブドウ生産は紫波町のほか花巻市や葛巻町でも行っているのですが、あのときの局地的な大雨によって、紫波町のおよそ4割が被害を受けました。金額も、速報ではあるのですけれども、3億円余りということで非常に大きな打撃を受けております。昨年の凍霜害の被害よりも深刻であるという現場からの声でございます。先ほどお話がありましたが、立地などの違いもありましたけれども、あと、品種などでの違いは出ていたのか、その辺を伺います。 〇長谷川農業革新支援課長 今回の紫波町における裂果被害につきましては、紫波町で生食用のブドウの約6割を占めておりますキャンベルアーリーという品種で多く見られております。定点圃場での調査の結果、ことしはキャンベルアーリーが収穫できる糖度に達した日にちが、紫波町で8月18日ごろとなっておりまして、近隣の花巻市はそれより早い8月15日に既に達していたということで、紫波町が3日ほど遅かったという事情がございます。 紫波町が3日ほど遅かったということに加えまして、8月25日からの大雨によって、収穫中のブドウが大雨に当たって被害に至ったという経営体が多かったのかなと見ているところでございます。 〇村上秀紀委員 およそ3分の2が生食用のブドウということでしたけれども、恐らく垣根栽培と平棚栽培の違いもあったのかと思っております。これから全容を調査して、これからどのように考えていくかという先ほどの御答弁でございましたけれども、まず、対策として、恐らく次年度に向けては、裂果が一因となった晩腐病の次期作のネックになる可能性があるので、それに対処していかなければならないというのは現場の声であり、また、農業改良普及センターの方々の、正式にはこれからだけれども、そうなるのではないかという意見もいただいております。 ということで、次年度の栽培対策に向けて、かかり増し経費というものを前年度の凍霜害支援に見合うような支援を今後ぜひ考えていただきたいと思いますが、その点についての方向性を伺いたいと思います。 〇長谷川農業革新支援課長 農作物災害復旧対策事業の実施に当たりましては、複数市町村において一定以上の被害があることや、農薬散布等の対策を実施することで農作物被害の未然防止、または軽減、回復等の効果が大きいと認められる場合が要件となっているという状況です。 今回の被害につきましては、現時点で紫波町のみの発生であるということと、収穫後期の裂果の被害であるということで、農薬散布等による回復効果は見込めないというような内容でございますので、農作物災害復旧対策事業での実施は難しいと考えているところです。 県としましては、降雨による果粒の裂果防止効果の高い雨よけハウスの導入について、国事業を活用しながら支援することに加えまして、農業改良普及センターによる排水対策や適期収穫などの基本技術の指導の徹底を行うことで安定生産を図っていきたいと考えております。 〇村上秀紀委員 まず、先ほど複数の自治体ということで、これまでの支援もそのとおりだと思いますけれども、ただ、今回のブドウに関しては、紫波町が県全体のブドウ面積のおよそ半分を占めています。当年度の作物量の確保支援の意味合いが強いことも承知しておりますが、ただ、今回の晩腐病によって次年度に影響が出るというのはある程度見込まれているので、そういった場合には、確かに、今、散布しても何の意味もないのですが、翌年度、これから栽培に入るというときに農薬の散布、それも高濃度で散布していくなど、そういった対策はできると思いますし、それをある程度見込めていないと、今後の産地の維持発展にも影響が出てくると思うのですが、今の件も踏まえて、お考えを改めて伺えればと思います。 〇中村技術参事兼農産園芸課総括課長 県では、局所的な被害ではなく広域的な農作物被害について、市町村や生産者の農作物の被害軽減、回復の取り組みについて支援を実施することとしておりまして、本事業において、複数の市町村において発生を事業要件の一つとしているものでございます。 県としましては、今回のような被害につきましては、排水対策などの被害防止対策の徹底に向けた指導強化や裂果対策に効果の高い雨よけハウスの導入支援、収入保険や果樹共済への加入促進により、ブドウの農家の経営安定に向けて取り組んでいきたいと考えております。 また、晩腐病につきましては、次年度、4月以降が重点時期になると思いますが、そこにおきまして、殺菌剤による効果的な散布による被害防止に取り組んでいきたいと考えております。 〇村上秀紀委員 局地的な大雨だったために紫波町に限定された。複数の自治体となると、非常に残念な話ではありますが、いずれにしろ、これまでの方法だと、今、お話しいただいたとおりでありますので、ハウスや、あとは排水対策などといったところの支援ということでしたが、それについて、この後また伺いたいと思います。 紫波町としてもこの支援は当然やるということをお話しされております。ただ、その中で、県の果樹農業振興計画にもブドウは入っていますから、ぜひ県としても後押しをお願いしたいと思いますし、これから要因などさまざま調査が進むと思いますので、その中でまた前向きに、支援については考えていただきたいと思います。 では、次にまいりますが、ブドウの産地形成に関する今後の方向性について伺います。今、お話ししましたが、県では果樹農業振興計画を定めておりますし、また、各産地が作成する果樹産地構造改革計画というものもございまして、そちらで確認することもできますけれども、その辺を踏まえまして、ブドウの産地形成の今後の方向性を伺いたいと思います。 〇中村技術参事兼農産園芸課総括課長 県では、令和3年3月に策定した岩手県果樹農業振興計画に基づき、リンゴやブドウ等の果樹について、産地を支える多様な経営体の育成や、産地の生産基盤の強化、販売、流通、加工対策の推進に取り組んでいるところでございます。 ブドウの産地形成に向けましては、消費者や実需者ニーズに対応した生食用の大粒の品種や醸造用品種の生産拡大と安定的な販路の拡大を進めていくことが重要と考えています。 このため、県農業研究センターや生産者の圃場等において、本県に適応性のある品種の選定を行うとともに、地域の果樹生産計画に基づきまして、国事業による良食味な生食用品種や、加工特性にすぐれる醸造用品種の新改植を進めているところでございます。 また、県事業等による病害虫防除に必要な農業機械の導入、ブドウ棚の整備などを支援しているところでございます。 今後は、こうした取り組みに加え、近年の気象変動に対応した栽培管理の徹底や、凍霜害や大雨被害等の軽減に有効な雨よけ施設の整備への支援を行い、生産者が意欲と希望を持って生産できるブドウ産地の形成に取り組んでいきます。 〇村上秀紀委員 まず一つ目に、生産性向上についてですけれども、今後、面積はそのまま横ばいでありながら生産性を向上して、何とか今後の生産の意欲、所得の向上に資するということだろうと思うのですが、ブドウは房の形をつくり上げるのも人の手であるというのは御存じのとおりだと思います。面積の中で生産性を上げるというのは、面積の中で房がふえていけば生産性は上がるけれども、人の手は同じようにふえていくものであります。担い手を今後もしっかりと確保していかなければならないと思うのですが、県で定めている振興計画では、余り担い手の部分には触れていません。果樹産地の改革計画については、面積は横ばいでありながらも、改植の具体的な面積などは言及しているのですけれども、担い手については県ではどのようにお考えなのでしょうか。 〇中村技術参事兼農産園芸課総括課長 まさに今、村上秀紀委員からお話があったとおり、ブドウの振興に向けては、担い手を確保しながら、また、生産性向上に向けましては、今、老齢樹が多いものですから、それらの更新が必要な課題と考えております。 そこで、新規就農者の確保に向けましては、園地の情報を集約したデータベースを整備しながら、新規就農者や規模拡大を望む生産者への円滑な継承を進めるとともに、この改植に向けましては、先ほどお話ししましたような国事業を活用しながら、消費者や実需者の多様なニーズに対応した品種、加工適性、醸造性の高いような品種の転換を進め、園地を若返らせ、そして、担い手を確保しながらブドウの振興を進めていきたいと考えております。 〇村上秀紀委員 醸造用のブドウは垣根栽培で、導入にもこれまでよりも効率がいいとなりますが、生食用ブドウもあわせて全くなくすわけにはいかないと思います。それを進めるに当たっては、先ほどまでも設備のハウス等の補助の事業を用意してあるというお話でしたけれども、国、あるいは県でも用意はされていますが、今、設備の金額がかつてに比べてかなり高額になっていまして、また、棚を使用しているブドウ農家の方々は、昭和30年代の当時のブドウ産地の形成が始まったころからそれを使い続けていまして、実は、既存の棚であっても限界が来ています。その棚の入れかえ、例えば、改植に合わせて棚も入れかえたいと思っても、設備も更新していく体力が続かなくて、なかなかそれで改植につながっていかないこともあります。よって、ハウスとか排水設備とか、そういったところの補助事業をぜひ見直しながら、導入しやすい形にしていただきたいと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。 〇佐々木技術参事兼農業振興課総括課長 補助事業の関係でございます。補助事業につきましては、県単独の補助事業で例を申しますと、県3分の1、市町村6分の1の割合で、2分の1の補助の地域農業計画実践支援事業というものでございます。国においても2分の1であったと承知しておりますけれども、その部分についての高率の補助ということになりますと、これまで補助してきた方々との関係、財源等々の課題がございますので、今、見直しという部分について早急にお答えはできないところでございますけれども、いずれ皆さんで一緒に組んで少し負担割合を減らすとか、そうした取り組み等々も進めながら、改植、あるいは施設の再整備という格好の取り組みを農業改良普及センターなどが経営計画等々の相談に乗りながら進めてまいりたいと考えております。 〇村上秀紀委員 2分の1の補助があるわけですけれども、元値が余りにも金額が張るもので、なかなか踏み出せないというお話でございました。 あと、先ほど担い手のお話で、比較的若いブドウ経営者、世代交代も進んでいるところもありますけれども、今回の裂果、晩腐病の被害、また、昨年は凍霜害、その前の年もあって、今、3年連続でブドウ生産は被害に遭っていまして、収入保険も3年続いてしまうと5年平均の金額が相当下がってきておりますから、非常に体力的に厳しくなっている。次年度の生産はどうしようかと既に悩み始めている、特に若い方々は、世代交代したのだけれども、この状況だと果たしてこのままブドウ生産を続けていけるのかという不安を持っている方々が非常に多くなってきております。 そういうことも含めまして、ぜひ次年度も心おきなくブドウ生産に励めるような、先ほどは後ろ向きの答弁でありましたが、町は既に、当然、町の話ですから、やると決まっていますので、県でもその後押しをということをいま一度お願いしたいと思います。 あと、果樹産地構造改革計画では、令和元年から7年までの実績と目標が示されていました。その中では、園地面積、品種の改植、あるいは担い手の確保についての令和7年度までの目標が示されているのですが、もしわかれば、その目標に対しての進捗を伺いたいと思います。 〇中村技術参事兼農産園芸課総括課長 岩手県果樹農業振興計画におきましては、リンゴにつきまして、令和12年までに4万9、000トンの生産、ブドウにつきましては、3、600トンを生産することとしております。 令和5年度につきましては、霜被害等が大きかったものですから、リンゴにつきましては達成率、令和12年に対しての令和5年ですが、64%、ブドウは65%になっておりますが、この被害を受ける前の令和3年と比較しますと、リンゴについては87%、ブドウについては92%ということで、それなりの数値のところまで来ていると思いますので、今後につきましても、今、課題となっています気象変動に伴う被害が出ないように技術指導を徹底するとともに、雨よけ施設等も導入しながら、被害軽減を図りながら、この計画を達成するようにしていきたいと考えております。 〇村上秀紀委員 わかりました。最後の最後まで支援の話というのもあれですけれども、8月末から9月については、紫波町国道396号沿いの産直には、県内各地からたくさんの方々がブドウをお買い求めにいらっしゃいます。ぜひその風景をこれからも維持、発展していきたいと思いますので、ぜひ皆様方の今後のお力添えをお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。 〇斉藤信委員 それでは、令和の米騒動、米不足の要因と課題について、私は自由民主党農政の矛盾破綻のあらわれではないかと思っているのですが、今回の米不足の実態をどう把握しているでしょうか。 〇菅原流通企画・県産米課長 令和5年産米につきましては、高温、渇水の影響による精米歩どまりの低下、米以外の食料品の価格上昇、インバウンド等の人流の増加によりまして、需要の増加等により民間在庫が減少していたところに、ことし年8月の地震、台風等による買いだめの動きなどにより、スーパー等での販売数量が増加しまして、全国的に店頭の米が品薄になったものと認識しております。 また、県内におきましても、8月下旬ころからおよそ1カ月間、米が品薄となったことから、スーパーにおきまして、米の販売数量の制限などが設けられる状況があったと承知しております。 〇斉藤信委員 政府の答弁などをレコードのように述べたような感じで、それでは全然自分の頭で考えた実態にならないのではないか。そもそも民間在庫は156万トンあったではないですか。156万トンあったのに、なぜ米騒動になったのですか。 〇菅原流通企画・県産米課長 斉藤信委員のお話がございましたとおり、民間在庫に関しましては156万トンありましたけれども、全体の民間在庫は令和6年8月時点の速報値で65万トンとなっておりまして、これは対前年同月比で40万トンの不足となったところでございます。 この中、8月に、先ほど申し上げた、地震、台風等による買い込みの需要が発生いたしまして、3週連続で全国で販売数量が非常に高い伸びを示したことから品薄になったものと認識しております。 〇斉藤信委員 私は、米不足の要因というのは、政府による生産抑制政策に根本的な問題があったと考えます。昨年度、米の生産量は660万トンです。そして、消費量は702万トンです。そもそも生産と消費でこんなに落差があったのですか。 そして、お聞きしたいのだけれども、主食用の水稲作付面積、生産量、稲作農家の推移について、この10年間で示してください。 〇吉田水田農業課長 主食用米の作付面積等の推移についてでございますが、国の作物統計資料によりますと、本県の令和5年度の主食用米の面積は4万2、800ヘクタール、生産量は23万5、800トンで、平成26年度と比べて、作付面積は16%の減、生産量は18%の減となっております。 また、国の農林業センサスによりますと、最新の数字が令和2年度のものになりますけれども、稲作農家数は2万7、272経営体で、5年前の平成27年度と比べまして21%の減となっております。 〇斉藤信委員 主食用米の作付面積は、この10年間で8、400ヘクタール減少したのです。16%というのはそういう規模です。そして、生産量は5万1、900トン減少なのです。稲作農家の推移は、残念ながら、たった5年間の推移ですけれども、7、355戸減っているのです。5年間で21.2%です。米の生産基盤がどんどん減少してきた。そこに政府が消費量と生産量をぎりぎりで生産調整、生産抑制を押しつけてきた。だから、米が少なくなるとこういう異常な事態、全国でスーパーから米がなくなったのですから、本当に異常な事態なのです。 私はそういう点で、主食用の米の生産基盤の減少というのが根本にある大問題ではないのかと思います。そこで、2013年の政府の日本再興戦略では、米の生産コスト削減の目標をどう定めたか示してください。 〇吉田水田農業課長 日本再興戦略でございますが、平成25年に国が産業競争力の向上を目的として策定したものでございます。農業分野では、生産、流通の効率化により所得の増加を図る観点から、米につきましては、令和5年までに、資材、流通面での産業界の努力も反映して、担い手の生産コスト、具体的には、米の60キログラム当たりの生産コストを平成23年の全国平均から4割削減することを目標に定めております。 〇斉藤信委員 米の価格を4割下げる。これの実績はどうなりましたか。 〇吉田水田農業課長 生産コストでございますが、国が公表しております最新の値である令和4年産米の60キログラム当たりの生産コストは、全国平均で1万5、273円、平成23年産米の生産コスト1万6、001円と比較しますと、約5%の削減となっております。 〇斉藤信委員 令和4年度は1万5、000円ですけれども、その前は1万3、000円ぐらいに下がったでしょう。言わば、米の生産は減らす、米の価格は下げる、こういう形で米をつくっていられないという状況になったということははっきり示していないと、米の価格を4割下げて、米農家がもつわけがないではないですか。ほとんどが赤字ではないですか。 そこで、米の増産と備蓄の増加構想が必要だと私は思うけれども、来年度の米の需給計画はどうなっていますか。 〇吉田水田農業課長 国が令和6年7月末に策定いたしました、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針によりますと、供給量は、速報値である本年6月末の民間在庫量156万トンと、本年産の主食用米等の生産量を令和5年産とほぼ同量と予想した669万トンとを合わせまして825万トンと見込んでいるところでございます。 需要量につきましては、人口減少、それから、1人当たりの消費量の減少によりまして、前年より約30万トン少ない673万トンを見込んでおり、供給量から需要量を差し引いた、令和7年6月末の民間在庫量は、本年6月末並みの152万トンと推計しています。 〇斉藤信委員 ことしこんなに米不足になって、スーパーから米がなくなったのに、来年の生産量も669万トンです。そして、669万トンというのは、今お話があったように、ことしの消費量より30万トン少ないのです。今までも年間10万トン減らしてきた。来年度30万トン減らす根拠は何ですか。 〇吉田水田農業課長 民間在庫量の関係でございますけれども、ことしの6月末、それから、来年6月末の民間在庫量は、これまで需給均衡の目安とされてきた180万トンを下回る水準となっているものと認識しております。 ただ、国では、この在庫水準についても、需要が減少している中でもあるので、需要量に対する在庫量の割合ということで見ますと、在庫率で見れば、平成23年や平成24年と同水準ということで、全体としては十分な在庫の確保はされていると説明を受けているところでございます。 先ほどお話ししました、需要量を673万トンと見込んでいるところでございますけれども、今後、需給見通しの新たな情報が10月末以降に国から変更して提示される予定となっておりますので、引き続き注視してまいりたいと考えております。 〇斉藤信委員 ことしがなぜ700万トンの消費量になったのか、そして、ぎりぎりの生産と消費の米生産の計画で、米不足が実際に起きたわけです。みんな来年度も米不足になると言っています。ことしは早場米を食べて何とかしのいだわけでしょう。来年の生産量が少ないし、在庫量も少ないし、米政策が破綻したけれども、それを見直しもできない。ここに自由民主党政治の行き詰まりが示されているのではないかと私は思います。 そこで、次に、水田交付金の実績、水田の活用実態、畑地化の取り組みについて示してください。 〇吉田水田農業課長 令和5年度の水田活用の直接支払交付金につきまして、本県への交付金額は約112億円となっておりまして、前年度から約8億円減少しておりますが、水田に作付する麦、大豆等の畑作物を対象としました畑作物産地形成促進事業というものと、新市場開拓用米や加工用米等を対象とした、コメ新市場開拓等促進事業、これは水田での作付に交付されるものでございますが、これらを加えますと、前年度と同程度の交付実績となっております。 令和6年産の水田の作付状況でございますが、水田全体の作付面積は約6万9、500ヘクタールで、前年と比べ約1、400ヘクタール減少している状況でございます。作物別に見ますと、前年と比較して、飼料用米や飼料作物などが減少している一方で、主食用米、それから、ホールクロップサイレージ用稲、輸出用米などが増加しております。 また、畑地化につきましては、今年度、国事業の活用を希望した面積が約600ヘクタールございますが、その全てが採択されている状況でございます。 〇斉藤信委員 結局、岩手県の水田における主食用米、戦略作物等の作付状況を見ますと、飼料用米が936ヘクタール減少です。飼料作物も933ヘクタール減少しています。この減少の理由は何ですか。 〇吉田水田農業課長 飼料用米につきましては、主食用米への転換も理由の一つと聞いております。 それから、飼料作物につきましては、畑地化等の事業を活用してということでの減少があると聞いております。 飼料用米につきましては、主食用米への転換、それから、飼料作物につきましては、畑地化の要望が大変ございましたので、そちらの転換等により減少したと聞いております。 〇斉藤信委員 結局、水田は1、780ヘクタール減少したのです。そして、今、飼料用米を言いましたけれども、936ヘクタール減って、主食用米に回ったのは300ヘクタールだけです。結局、政府が水田を減らすために畑地化をやった。畑地化というのは一時金だけです。一時金があるから、それに乗った人はいるかもしれないけれども、水田が減らされる。これは再び米をつくれなくなってしまう。これは本当に大変なことだと思います。 1、780ヘクタール減って、畑地化は1、000ヘクタールです。だから、結局、780ヘクタールは水田がつぶされた。耕作放棄地がこの間、ふえているのではないですか。 〇吉田水田農業課長 水田の面積減少分の内訳、詳細を把握することは難しい状況でございますけれども、地域農業再生協議会等からの聞き取りによりますと、その減少理由でございますが、転換作物等の生産休止、水張り等の自己保全管理でありますとか、あとは、出荷、販売をしていない自家用野菜等への切りかえ、基盤整備事業の実施でありますとか工業用地、住宅用地等への農地転用などと聞いております。 〇斉藤信委員 耕作放棄地がどんどんふえている。岩手県の耕作放棄地の資料を見ますと、4、874ヘクタール、どんどん生産基盤が崩されているということも指摘しておきたいと思います。 米の需給に政府が責任を持ち、価格保障と所得補償が必要だと思います。欧州諸国の農業所得に占める直接支払いの割合をどのように把握していますか。 〇吉田水田農業課長 欧州諸国の農業所得に占める直接支払いの割合につきましては、国から公表されておりませんが、株式会社農林中金総合研究所が公表している資料によりますと、EU加盟28カ国では50.4%、スイスでは92.5%となっております。 〇斉藤信委員 そのとおりです。スイスが92.5%、ドイツが77%、フランス64%、EU平均が50.4%、日本は30.2%です。農業所得に占める直接支払い、国の補助が大幅に少ないのが日本なのです。 私は、もう一つ言いたいのは、今、米不足の中で、残念ながら米の価格が高騰しています。米価高騰の実態を把握していますか。 〇菅原流通企画・県産米課長 総務省が公表しております全国の消費者物価指数によりますと、令和2年を100とした場合の米類の物価指数につきましては、本年7月が111.3ポイント、8月が122.1ポイント、9月が139.6ポイントと、ことしの夏に増加しているところでございます。 〇斉藤信委員 総務省が発表した9月の全国消費者物価指数、米は前年同月比44.7%、相対価格で2万2、700円です。とんでもなく上がっているのです。 もう一つ重大なのは、米の販売量が9月16日から10月6日まで、3週続けて前年同期比の16.4%から23.8%下回った。言わば米が4割も上がって、米の販売量は既に今、下がっているのです。これをどうやって打開するか。 米の概算が上がったのは当然だし、政府がこれを直接全部転嫁するのではなくて、きちんと消費者が購入できる額に抑える。そういうことをやらなかったら、米の価格が上がったら消費量が減る。こんなことをやっていたら、米をますます守れなくなりますよ。農政担当技監、どうですか。こんなやり方をしたら、米不足、何回も繰り返されて、米生産がだめになるということになりませんか。 〇照井農政担当技監 本県の稲作は、地域農業を核たる経営体を中心に、小規模とか兼業農家の多くの経営体が生産活動に携わっている状況でございまして、こういう経営体が将来にわたって稲作に意欲を持って取り組むということは大事だと思っております。国においては、こういった稲作農家が将来にわたって意欲を持つための何らかの支援策を検討すべきだと考えております。 県としましても、ことし6月に令和7年度政府予算案の提言におきまして、米の需給調整の着実な推進、それから、多様な農業者のニーズを踏まえた総合的かつ効率的なセーフティネットの構築、それから、適正な価格形成などの仕組みづくりとか消費者の利便増進の要望をしてきたところでございます。 引き続き、生産者が意欲を持てるように、国に対しても働きかけていきたいと思っております。 〇斉藤信委員 農業や米生産を農家の自己責任にしてはだめだということです。主食の需給に国が責任を持つ、米の価格保障、所得補償をしっかりやる。 きのうの岩手日報に、岩手衆参ダブル選挙、選択の先にという見出しで農業の特集がありました。そこで最後に、東京大学大学院の鈴木宣弘氏がこう言っています。現状ではあと10年で中山間地を中心に多くの農村が崩壊する。一次産業を守ることは国防につながる。財政出動しないと食料危機は回避できない。これは鈴木宣弘氏からの警告、指摘です。 最後に、今の飼料、肥料価格の高騰の中で、酪農畜産農家の減収の実態と対策はどうなっているか、酪農家戸数はどう推移しているか示してください。 〇高橋振興・衛生課長 酪農の経営につきましては、国の畜産物生産費統計の公表値に農業物価統計の公表値を単純に掛け算した数値を示しますと、国や県の緊急対策を除き、令和5年の搾乳牛1頭当たりの収支が約5万円となっており、畜産物生産費統計の令和2年の公表値と比べまして、約20万円の減少となります。 また、ことし5月、県が経営診断や伴走支援を行っている酪農家13戸を対象に経営状況を調査した結果、令和5年の搾乳牛1頭当たりの収支は約22万円となっており、令和2年と比べ、約3万円の減少となっております。 県内の酪農家戸数につきましては、国の統計によりますと、令和6年2月1日時点で約700戸と、資材高騰前の令和2年と比べまして143戸の減少となっております。 〇斉藤信委員 何の対策もなければ、1頭当たり20万円の減収。今、岩手県の場合は3万円の減収だとのことです。私も資料を見せていただきましたが、その理由は、いわゆる雑収入、補助金だと思いますけれども、1頭当たり19万8、000円なのです。1頭当たり19万8、000円の補助があったから、それでも1頭当たり3万円の減収。100頭飼っていたら、それでも300万円の減収です。 そして、今年度は何らの対策がありません。大変なことです。自由民主党は農業、酪農をどう考えているのだと、私は本当にそう思います。国も経済対策を今、考えていますが、昨年度を上回る支援策はどのように検討されているでしょうか。 〇高橋振興・衛生課長 県ではこれまで、飼料の価格上昇分を支援する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に類似の補正予算により、飼料購入費への支援を行ってきたところでございます。 令和5年度の配合肥料価格安定緊急対策費補助の実績は、約27億1、000万円の交付額となっておりまして、令和5年度第4・四半期、1月から3月期分の補助金につきましては、ことしの7月に生産者に交付したところでございます。 直近の配合飼料価格は低下傾向にありますものの、依然として高く、畜産経営に大きな影響を与えておりますことから、県では、配合飼料価格安定制度を所管する国に対しまして、価格高騰が続いた場合でも畜産経営の再生産が可能となる十分な補填金が交付されるよう、制度の拡充について繰り返し要望しているところでございます。 現下の飼料価格の高どまりは国際情勢の影響等を受けているものであり、全国的な課題でありますことから、まずは、国において畜産経営の影響を緩和する全国一律の支援策の充実、強化を図る必要があると考えておりまして、県としては、現状をしっかり把握しながら、必要な対策を国に求めてまいります。 〇田中辰也委員 それでは、私から1点、県北地域での水稲の新品種、岩手141号につきましてお伺いいたします。 令和5年度において開発等が行われているわけですが、その結果、成果について伺いたいと思います。 また、それに基づいて、今年度において新たな実証圃場をふやして作付をしていると聞いておるところでございますが、その成果もあわせて伺います。 〇吉田水田農業課長 岩手141号の開発の経過でございます。 県北地域の主要品種となっております、いわてっこですが、耐倒伏性が十分ではない、収量確保が課題ということでございまして、生産者から、いわてっこ以上の収量が確保できる良食味のオリジナル品種を開発してほしいとの要望を受けて開発に着手いたしました。 さまざまな品種を親として人工交配した中で、平成26年に、現在の銀河のしずくである岩手107号を母に、ふ系243号を父として高配したものから、令和2年まで、県農業研究センター内で系統選抜や生産力検定などを行いまして、令和3年から5年まで、現地の圃場の気象条件下での各種特性評価を実施いたしまして開発を進めてきたものでございます。 こうした10年間の取り組みによりまして、岩手141号は、県北地域の気象条件に適し、銀河のしずく譲りの外観を持ち、いわてっこより収量面ですぐれる良食味品種であると判断いたしまして、ことし2月に奨励品種に採用したものでございます。 それから、試験栽培の状況でございますけれども、今年度につきましては、岩手141号の栽培適地のうち、10市町村、12カ所にモデル圃場を設置いたしました。栽培面積は合計で約3ヘクタールということで栽培実証を行ったところでございます。 各モデル圃場におきましては、その生育状況に合わせまして、地域の生産者を対象とした栽培研修会を開催して、岩手141号の品種特性でありますとか、いわてっことの栽培方法の違いなどについて共有してきたところでございます。 いわて141号は、どのモデル圃場におきましても、いもち病の発生もありませんでしたし、生育も順調に進みまして収穫量を確保しており、生産者からは、栽培がしやすい上に収量もとれそうだという期待の声が上がっているところでございます。 今後におきましては、各モデル圃場における収量、品質、食味等の詳細について調査を行うこととしておりまして、この調査結果をもとに、モデル圃場の生産者等の意見も伺いながら、次年度以降に活用します栽培マニュアルを作成することとしております。 〇田中辰也委員 試験栽培の結果をお聞きいたしますと、非常に良好だということで期待をしているところでございますが、この試験栽培については、今のいわてっこの栽培地と同等のところでやったのか、それとも限定的に、条件不利地を抽出してやったものなのか、どういう選定で栽培地を選んで、どこをターゲットにやったのかについて伺います。 〇吉田水田農業課長 今回のモデル圃場につきましては、いわてっこの栽培適地となっている市町村、それから場所を選定して設定しております。 〇田中辰也委員 販売戦略としても、いわてっこと同等ということで、いわてっこと置きかえのような形で狙っているというお話を聞いているところでございますが、いわてっこの場合は、特に関西圏で業務用米として非常に評判がよかったところもあります。そういうところと置きかえが進むかどうかというのは、生産者としては、きちんと売れる米かどうかという点が一番心配なところでございます。食味その他についてはこれからという話でございますが、実際に購買層となるところへのPRというか、実際どうだろうかという実証についてのこれからの計画等があれば、伺いたいと思います。 〇菅原流通企画・県産米課長 いわて141号の販売についてでございます。先ほど水田農業課長が御答弁申し上げました、モデル圃場でとれたお米をサンプルとしながら、今後、卸業者等にそちらの評価をいただくような形としておりまして、そちらの結果も踏まえながら、関係団体、関係機関等と販売先については決めていこうとしているところでございます。 ただ、田中辰也委員からお話がございましたとおり、今、いわてっこは、県内外で業務用のみならず、関西圏も含め、主食用としても、一般消費用としても販売されていると関係団体からも聞いております。私どもとしても、生産面では、いわてっことの置きかえになりますことから、こうしたいわてっこを販売している皆様とのつながりというのも意識をしながら、今後販売を進めていきたいと考えております。 〇田中辰也委員 販売先が一番キーになってくると思いますし、この間の、いわてのお米ブランド化生産販売戦略ビジョンの新たな計画の中では、岩手141号の作付面積の指標を1、500ヘクタールと決定しているわけですが、これについての根拠、それから、それに向けての課題等があれば伺います。 〇吉田水田農業課長 戦略ビジョンの中の、1、500ヘクタールという根拠でございますが、いわてっこの作付面積を段階的に置きかえていくということで、そのときの年がちょうど1、500ヘクタールということで、置きかえを想定して設定したものでございます。 〇田中辰也委員 そうしたら、それ以上さらに伸ばしていくという発想ではなく、とりあえずは、いわてっこと同等という理解でよろしいですか。 〇吉田水田農業課長 面積につきましては、いわてっこから切りかえということになりますので、岩手141号が増加するに従って、いわてっこは減少していくというような形で進めてまいりたいと考えております。 〇田中辰也委員 置きかえということなのでそういうことだとは思いますが、これからの新しい品種、特に県北部は米という意識がなかなか進まないところに、新たに食味のいい品種が出るということは、農業者としては期待を持っているところであります。今、寒冷地用としてつくっていただいていると思うのですが、昨今、温暖化がかなり進んできておりまして、逆に心配するのは、高温障害が出てこないのかなという話も出ているわけですが、高温耐性その他についても問題はないということでよろしいのでしょうか。 〇吉田水田農業課長 岩手141号につきましては、育成している段階では高温を想定した品種育成ではございませんので、特に高温に強いという品種ではございません。 〇田中辰也委員 そうすると、寒冷地用なので寒さには強いのかもしれないけれども、ますます温度が上がって夏の暑さが続いてくると収量も下がってくる、もしかすると、そういうこともあるということなのでしょうか。 〇吉田水田農業課長 高温の影響は心配されるところでございますが、現在、県の奨励品種になっている品種につきましては、農家の皆様の栽培管理等の対応で全国的にも高い一等米比率を今、確保していただいているところでございます。岩手141号につきましても適切な管理をしていただいて、一定の品質を確保するとともに、地球温暖化プロジェクト事業という品種開発の関係の事業を令和5年から実施しておりますけれども、その中でも早生の品種についても、この体制があるものについての検討も進めているところでございますので、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 〇田中辰也委員 さまざまな条件を考えて対応していただいていると思いますので、その辺については感謝申し上げますし、気候変動がある中ですので、生産の方法についても、生産者とともに検討しながら取り組んでいかなければならないことだと思います。その辺につきましては、生産にかかわりまして、指導、また実証について、繰り返し検討していってほしいというところでございます。 また、どうしても所得向上につなげていってほしいと思うところでございます。私の今回の総括質疑の中でも言いましたが、県北地域はなかなか所得が上がらないという状況、特に農業生産においても、生産地が条件不利地が多い中でやっている。米についても、県南地域のような大規模な圃場がないという状況もあります。生産効率を高めていく中で、また、つくりやすい、やりやすいという話もあるでしょうが、圃場の整備その他についても、今ある圃場整備の終わったところを優先的に作付もしていかないとならないでしょうし、今、小規模でもさまざま、圃場整備の要望が出ているわけですが、そういうところも整備を推進していかないと、高齢化していって後継者がいなくなってしまうという状況が出てくると思います。せっかく希望のある品種が出てきているときに、受け皿となる圃場が効率化に対応できないということであれば、所得の向上もなかなか望めないのではないかと思うわけですが、県北地域の圃場整備の現状、これからについて伺いたいと思います。 〇東梅農村建設課総括課長 圃場整備事業についてでございます。圃場整備事業については、農業従事者の減少、高齢化が進行する中、農作業の効率化等による生産性の高い農業の実現に向け、地域から多くの実施要望が寄せられております。これは県北地域も同様でございます。 そのため、県では、農業農村整備事業のうち、圃場整備事業に予算を重点化するほか、建設コストの縮減にも取り組みながら、事業の推進に取り組んでいます。 また、事業の推進に向けては、国の予算確保が重要であるため、まずは、国に対し十分な予算措置を繰り返し要望しているところでございます。いずれこうした取り組みを通じて、地域のニーズに応じた基盤整備が早期に進むよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 〇田中辰也委員 その基盤整備というところ、生産の根本となるところが、特に中山間地はおくれているところがありますので、そういうところもこれからの県北地域の農業を支える上では非常に大事なところでありますので、国への要望も含めて、県としてどういうところを進めていくかということもしっかりと考えながら取り組んでいっていただきたいと思います。 いずれにしろ、新たな品種、県北地域の希望となる品種だと思っておりますので、さらに県北振興の一つの力強い柱となると思いますので、県としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。 〇大久保隆規副委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇大久保隆規副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。 農業関係の皆さんは退席されて結構です。 次に、第2部、林業、水産業関係について質疑はありませんか。 〇上原康樹委員 岩手県の漁業は大変苦しい状況です。苦しいという言葉だけでは足りないぐらいの惨たんたる状況だと思いますけれども、そういう中で去年、取り組むべきテーマがまた一つふえました。海業という非常に抽象的な言葉でございますけれども、ざっくり言いますと、人を呼び込んで、人との交流の場を生み出して、地域を活性化、振興させようという取り組みでございます。 私は、ことし3月の予算特別委員会で、海業についてのお話をこの場で伺いました。そこであったお話は、大槌町と山田町において、ここをモデル地域と指定して取り組みを進めるという答弁でした。その大槌町と山田町の海業の取り組みの現状、そして、進捗状況など、課題があればそれについてもお話しください。 〇森山水産担当技監 令和6年度から実施しております海業推進モデル事業でございます。これは漁村の活性化、交流人口の拡大を目指し、海業の理解醸成、あるいは、ビジネスモデルの構築を支援する取り組みでございます。 この中で、大槌町吉里吉里漁港におきまして、今年度、7月に天然ウニを活用しましたウニの漁獲、殻むき体験、実食等の体験漁業を行ったところでございます。また、11月には、山田町織笠漁港におきまして、カキ養殖の現場見学と漁業体験を予定しております。 また、課題といたしましては、これらの2町におきまして、漁協や市町村職員と意見交換を行っておりますが、この中では、ノウハウ不足による海業の取り組み方法や、漁業者等の減少に伴います漁業体験などを行う人員の確保、イベントの収入と人件費の支出によります収益性の向上、こういった点が課題として挙げられております。 〇上原康樹委員 御答弁ありがとうございます。この取り組みは国が旗を振って始まったわけですけれども、この取り組みがこれから始まるぞという情報をキャッチしたのはいつでしょうか。 〇森山水産担当技監 これは、国で令和4年3月に漁港漁場整備長期計画の中に海業の取り組みを盛り込んでおりまして、その後、漁港漁場整備法の改正等が行われております。その過程で実施を把握したものでおります。 〇上原康樹委員 物事を始める前には、その仕込みといいましょうか、段どりといいましょうか、これが取り組みを成功させる決め手になる場合があるわけでございますけれども、岩手県として、農林水産部として、正式にこの取り組みを始める前にどういう下準備を重ねましたでしょうか。 〇森山水産担当技監 県といたしましては、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの中におきまして、水産物の直売所や漁業体験活動、マリンレジャーなどの活動を活用いたしまして、漁村の活性化を図る海業を促進するということを盛り込んでおります。 また、令和4年3月に策定いたしました岩手県水産基本整備方針の中におきましても、魅力あふれる漁業地域づくりの推進ということで、海業の取り組みを促進することを盛り込んでおります。 〇上原康樹委員 このプロジェクトに地域の人がいかにかかわっていくか。それぞれの資質をこのプロジェクトに反映させることができるかどうかというキーマンの発掘といいましょうか、ストックといいましょうか、そうした活動が必要になったと思うのですけれども、この辺はいかがでしょうか。 〇森山水産担当技監 上原康樹委員がおっしゃいますとおり、キーマンの存在は非常に欠かせないものだと考えております。県といたしましては、今年度の実施する事業の中でシンポジウムを行い、理解醸成に向けた取り組みを行うほか、先ほど申しました2地区でモデルツアーを実施いたしまして、それらの経験を踏まえて、地域の方々が海業を推進する上でのノウハウを取得するような取り組みを行っていきたいと考えております。 〇上原康樹委員 今、人の話が出ましたけれども、人の意識というものも非常に重要だと思います。地域のお母さんたちがこのプロジェクトに賛同してくれるのか、そして、漁師のお父さんやおじいさんたちは共感してくれるのか、何を協力してくれるのか、この辺の人の気持ちの発掘といいましょうか、あるいは、促しといいましょうか、そういう取り組みはいかがですか。 〇森山水産担当技監 海業の取り組みは、地域の方々が主体になって取り組んでいかなければならないことだと考えております。海業の計画づくりにつきましては、地域の関連する団体、組織、それから民間企業、あるいは県の行政も含めて協議会をつくりまして、その中で計画づくりを行ってきております。 そういった組織を含めて、地域の方々、漁業者の方々といった方たちの声も反映しながら、海業の取り組みを進めていけるように取り組んでいきたいと考えています。 〇上原康樹委員 そうした地域の人々に対する支援、サポートというものは、具体的にどうしようとしていますか。 〇森山水産担当技監 まずは、今年度実施いたしますシンポジウム、これは漁協職員、市町村職員等の方たちを対象として考えておりますが、県外での先進地事例ですとか、あるいは、水産庁の職員も含めて講師としてお呼びする予定でございます。そういったものを皆さんで学んでいただきながら、地域に落とし込んで、地域の素材を磨いていただくような取り組みにしたいと考えています。 〇上原康樹委員 私事で恐縮ですが、私は暇さえあれば三陸地域に通って、一つ一つの漁港を見て回っています。これは調査ではございません。個人的に三陸地域の海が好きだからです。これが要するに、海業の原点なのだと今、気づいているところではあるのですけれども、漁港がいいとか、砂浜がいいとか、漁師小屋がすてきだとか、あの民宿、あの旅館がいいとか、一つ一つの要素ではなくて、海業というのは、その地域一体の自然ですとか、観光面ですとか、人のよさですとか、あるいはお祭りですとか、そういったものが一体になって初めて、三陸地域のその地域の風土というものを呼吸することのうれしさ、感動、これが海業だと思うのです。どういう視点でこの海業を活性化させていこうとお考えですか。 〇森山水産担当技監 これまでの県内での取り組みは、例えば、漁業学習ですとか、大漁まつり等のイベントとか、そういったものが散発的に行われてきたものでございます。これらを有機的に連携させて、海業という一つのつながりをもって取り組むことによって、相互に高め合うといいますか、影響し合って、より一層の相乗効果を生み出すことができるのではないかと考えています。 〇上原康樹委員 点ではなく面にしていくという努力が海業には大変大切なのだと思いますけれども、そういう側面から、私、提案させていただいてよろしいでしょうか。 先ほどモデル地域として大槌町の吉里吉里漁港ですとか山田町の笠織漁港ですとか、そういう地名が具体的に出てきておりますけれども、点から面ということを体現している地域として、もう既にパッと思い浮かぶのは田老漁港周辺、それから、大船渡市の細浦漁港周辺。なぜ周辺と言ったかというと、そのほかにも多くの漁港とかかわりを持っている、非常につながりのよい漁業を学ぶ最高の地域だなと感じているのですけれども、この辺、どのように県としてお感じになっていますか。 〇森山水産担当技監 ただいま上原康樹委員から御提案のありました地域を含め、県内には景観や地域文化など、特色のある地域が多数ございます。県といたしましては、今年度、沿岸市町村ごとに行いました意見交換を継続しながら、各地域の魅力を再認識し、磨き上げる中で、新たな取り組み地域を市町村、関係団体等の意見を伺いながら検討していきたいと考えております。 〇上原康樹委員 渾身の力を込めて田老地区と大船渡地区の名前を出したのですけれども、お答えが少々薄かったという気がいたします。もう少しお願いします。 〇森山水産担当技監 先ほどございました田老地区、それから大船渡地区につきましては、具体的に、今の段階で計画づくりとかそういった話はいただいてはおりませんが、ことし行いますシンポジウムなどを経ながら、多方面からいろんな方の意見を伺いながら取り組んでいきたいと考えています。 〇上原康樹委員 具体的に申し上げますと、大船渡市には大船渡温泉という滅多に予約ができないすばらしい宿泊施設がありますし、それからまた、大船渡市からすぐ、10キロメートルほど走ると広田湾に行くのです。広田湾まで行けば東日本大震災津波伝承館があります。いろいろな意味で、復興のこと、観光面的なこと、多くの魅力を持っている地域があるわけでございます。 そういう意味で、今からもしモデル地域としてうちもやりたいと勢いよく手を挙げてもらうためには、事前にもっともっとこういうプロジェクトがあるのだ、皆さんどうですか、参加しますか、参加するのだったら、県とこうやって力を合わせて実現しませんかという夢のある、希望のあるプロジェクトになると思うのです。そういうことをもっと事前に、海業そのものをモデル地域だけではなくて、三陸沿岸一帯に発信していくという取り組みはどうでしょうか。これからあるのでしょうか。 〇森山水産担当技監 県全体の意識醸成といいますか、海業という取り組みは最近始まった取り組みでございますので、県内でも認知がまだ十分でない部分もございますので、そういった意識醸成を図るということから、今年度、シンポジウムを予定しております。 来年度についても継続することで検討中でございますけれども、そういった取り組みをしながら、県内の地域に呼びかけつつ、サポートできる部分はサポートしながら、一緒に取り組んでいきたいと考えています。 〇上原康樹委員 第一次産業の生産現場、生産している地域をよく知ってもらうということがこれから非常に大切になってくるのだと思います。お米がどうやってできるのかを知らない子供も都市部などではほとんどだと思いますし、魚はどこからやってくるのか、こういうことを体験的に学んでいないと、一次産業というのは長続きしないような気もいたします。米が今、大変なことになっている、魚がとれない、どうしようというときに、それをみずからの危機感として感じられる国民、県民に育ってもらうということは大変な事業だと思うのです。だから、この海業というものは、いろいろな意味で大きな意味を持っていると思うのです。 最後に、基本的な、哲学的な、理念的なところを伺います。海業と、そして漁業とどういうふうにリンクしてこのプロジェクトに携わっていくのか、お話を伺います。 〇森山水産担当技監 海業は海や漁村の地域資源を活用しながら地域を活性化するという取り組みでございますけれども、これまで漁業体験学習や大漁まつりなどの地域イベントの開催、漁業と触れ合う取り組み等が行われております。まずは、地域の魅力を再認識し、これらを磨き上げていくことが必要だと考えています。 また、これまでの取り組みを踏まえて、参加者が漁業に対する理解を深めるほか、水揚げされたばかりの水産物を味わい、おいしさを体感していただくことで漁村や水産物の魅力向上、交流人口への拡大につなげることが重要だと考えておりますので、そういった取り組みを推進していきたいと考えております。 〇上原康樹委員 最後に、農林水産部長が海業というプロジェクトにどんなお考えを持っているのか。そして、海業のこれからの展開について、お考えをお聞かせください。 〇佐藤農林水産部長 水産業が今、主要魚種の不漁ですとか、あるいは資材価格の高騰という厳しい状況にある中で、新しい視点で取り組む海業というものが期待されているのだと思っております。 本県の場合は、今、答弁もしてきておりますけれども、大槌町の吉里吉里地区、釜石市の箱崎地区、こういったところが国のモデル地区、あるいは推進地区に指定されている、全国の中でも指定された地域でありますし、それから、山田町の織笠地区は計画の策定が進んでいるということであります。ぜひこうした取り組みを、上原康樹委員から御提案があったように、沿岸各地に広げていきたいと思っております。 それから、漁業と海業との関係というところですけれども、例えば、一例でいえば、ウニの畜養などの取り組みも沿岸各地に広まってきているのですけれども、こういった畜養ウニを活用していく、それを体験するといった取り組み、あるいは、みちのく潮風トレイルというところと漁港地域の重なりもありますので、こういったところがうまく連携できないかといったところも考えていく必要があるのだと思っております。 いずれ、そういった厳しい環境にある海業の振興を、理解の醸成と沿岸各地への横展開を県として進めてまいります。 〇大久保隆規副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 午後2時25分 休憩 午後2時47分 再開 〇福井せいじ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇佐々木宣和委員 水産業について伺います。 まず一つ目、いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書の140ページでございますけれども、新規漁業就業者数、令和3年の現状値47人というところで、令和5年、目標が50人のところが16人だったというところでございます。比較する必要もないですけれども、農業、林業に関してはA評価というところで、漁業は、先ほども質疑がありましたけれども、なかなか厳しい状況で、新規漁業就業者の確保も苦しいのかというところがありますけれども、これに関して、要因と取り組みの方向性について伺いたいと思います。 〇野澤漁業調整課長 この減少要因についてでございますが、社会全体の人手不足の深刻化に加えまして、近年の海洋環境の変化に伴う本県の主要魚種であるアワビ、秋サケ等の不漁による水揚げ量、金額の減少などが影響していると考えております。 このため、県では、市町村や関係機関などと連携いたしまして、いわて水産アカデミーを核とした人材育成等により、新規漁業就業者の確保、育成に取り組むとともに、担い手の確保に向け、養殖業の規模拡大や法人化、新たな漁業、養殖業の導入などによる漁業収入の増加に向けた取り組みを進めており、今後とも、こうした取り組みの充実、強化を図りながら、漁業関係団体や市町村とも連携いたしまして、県内外から漁業就業者を確保し、将来の本県の漁業を牽引する担い手として活躍できるよう、きめ細かな支援を行ってまいります。 〇佐々木宣和委員 人手不足というか、実際、人口も減っている中で、漁業にかかわる方も少なくなっていて、子供たちも少なくなっていて、私は、前もこうしたほうがいいのではないかと思っていたのは、漁業単独で漁業者を確保するわけではなくて、一次産業全体でかかわるような方々をふやすような工夫はできないものかということです。就職キャンペーンみたいなもので、漁業と林業と農業とそれぞれブースを構えて何とかという話も聞いたことがあるのですけれども、一次産業全体で就業者を確保するようなことを考えていくといいかと思っているのですが、それに関しては何かありますでしょうか。 〇野澤漁業調整課長 まず、漁業に関してでございますが、県立宮古水産高等学校や県立高田高等学校を訪問いたしまして、漁業就業者の働きかけを依頼したりですとか、あと、盛岡市などでは、いわて就業マッチングフェアや、漁業就業者支援フェアということで、県外でも出展してPR活動をしたりですとか、佐々木宣和委員御指摘のとおり、水産ではそういう活動を行っているところでございます。 一方、農業や林業も同じような状況ではございますので、そこは今後、いろいろ意見交換を図りながら、連携の可能性については研究してまいりたいと思います。 〇佐々木宣和委員 では、具体的に、水産業の話に移っていきますが、養殖ワカメ生産者1人当たりの生産量、実績が16.6トン、目標は19.1トンだったというところでございます。栽培漁業推進事業費、アワビの漁獲量、実績が101トン、目標は343トンというところでございました。令和5年の新規事業の評価を含めて、これらの要因と今後の取り組みの方向性を示していただきたいと思います。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 まず、養殖ワカメの生産者1人当たりの生産量でございますが、令和4年1月から3月ごろにかけまして、親潮が本県に接岸したことによって冷水が流れ込んできた状況がございます。それによってワカメの生育が停滞するなどの影響によって減少したところでございます。 一方、アワビの漁獲量ですが、近年におきましては、海洋環境の変化によりまして、いそ焼けが拡大し、餌となります海藻類の生育が悪く、成長や身入りが悪かったことによりまして目標数量に達しない状況が続いたところでございます。 〇佐々木宣和委員 それを受けてですけれども、今後の方向性というところを伺いたいと思います。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 こうした状況を受けまして、県では、養殖ワカメの生産量回復に向けまして、県水産技術センターが開発しました水温変化に強い大型人工種苗の普及、拡大を進めておりますとともに、アワビにつきましては、その資源回復に向けまして、種苗放流手法の改善に加え、藻場造成等の取り組みを一体的に進めているところでございます。 〇佐々木宣和委員 外的な要因、黒潮の影響もあったところでございますけれども、何とか苦しいところを乗り越えるような取り組みをしていただきたいと思っているところでございます。 そして、今、一番大きいところでございますけれども、漁業経営のセーフティネットの見直しについて伺います。 ことし7月、自由民主党の水産部会が東京都で開かれまして、その部会において、水産庁から漁業経営セーフティネットの共済積立ぷらす制度の見直しについての方向性が示されました。このうち、太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国際会議の小委委員会において、漁獲枠を拡大することが合意され、11月下旬から始まる年次会合で正式決定する見込みであるとのことでした。これはいいことですけれども、これを背景に、これまでのクロマグロ資源管理の実施に伴う収入減少を補償するための積立ぷらすの払い戻し判定金額が前回契約を下回らないようにする特例制度である下げ止め特例について、廃止を視野に入れた見直しを検討するとの報告がありました。 近年の海洋環境の変化によるサケ等の主要魚種が不漁の中、資源管理に取り組む漁業者や漁協にとっては、漁獲変動等に伴う減収を補填する漁業共済や積立ぷらす等の漁業収入安定対策事業による支援がより一層重要になっていると考えますけれども、県の所見を伺います。 〇野澤漁業調整課長 積立ぷらすの下げ止め特例は、漁獲金額が減少した場合に、掛金の払い戻しを行う際の判定金額が過去の実績で固定されるものであることから、近年のサケ等の主要魚種の不漁により、水揚げ金額が大きく減少している県内定置網にとっては有効に機能している制度となっております。 また、この特例は、クロマグロを漁獲する定置網のみの措置となっておりますが、漁業共済や積立ぷらす等の漁業収入安定対策事業は、漁獲、生産金額の減少などの損失を補填するものであり、本県の漁業経営の安定に極めて重要な役割を果たしていると認識しております。 〇佐々木宣和委員 認識をしていただいているというところでございますけれども、アクションとして、国に対して何か働きかけをするとか、そういったところを伺いたいと思います。 〇野澤漁業調整課長 県では、国に対しまして、当該制度の柔軟な運用と十分な予算の確保に加えまして、その見直しに当たっては、漁業関係者への説明や意見交換を行うなど、漁業経営に大きな影響を与えることがないように十分な配慮を要望したところでございまして、今後の国の動向等を注視しながら、漁業経営が安定するよう取り組んでまいります。 〇佐々木宣和委員 非常に大きいところでございますので、それこそ漁業経営に関して、何とか成り立っている要因の一つでもありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。 林業に行きます。令和5年は、岩手県県産木材等利用促進行動計画、10カ年のもので、プランが4年、4年で2期目の1年目というところでございました。 この利用促進行動計画でございますけれども、3本の柱でありまして、県産木材等の利用の促進に関する施策、県産木材等の適切な供給の確保に関する施策、人材の確保、育成、普及啓発等に関する施策というところでございまして、それぞれ一つずつだけピックアップして伺いたいと思います。 一つ目が、県産木材等の利用の促進というところで、公共施設、公共工事における木材利用の状況、令和5年から令和8年で7、500立方メートルの目標というところでございましたけれども、令和5年の状況を伺いたいと思います。 目標として、低層の木造化率は100%にしていこうということでありましたり、可能な限り、内装も含めて木質化していくという形かと思いますけれども、令和5年の状況を伺いたいと思います。 〇高橋林業振興課総括課長 第2期岩手県県産木材等利用促進行動計画における、県の公共施設、公共工事における木材利用量は、令和5年度から令和8年度までの4年間の目標7、500立方メートルに対し、令和5年度の実績が1、965立方メートルと、1年目経過時点で約26%となり、4分の1を超えて、おおむね順調な状況となっております。 県が整備します低層の公共施設については、佐々木宣和委員御指摘のとおり、木造化率100%を目標としておりまして、令和5年度は対象となる2棟全てを木造としまして目標達成としたほか、3棟の改修においても内装に木材を活用するなど、積極的に木材利用に取り組んだところでございます。 〇佐々木宣和委員 これをさらに加速させていくためにはどうすればいいのかというところで、分離発注をしてほしいという話をよく伺うのですけれども、この点に関して御答弁をいただきたいと思います。 〇高橋林業振興課総括課長 県では、県内の建築士等を対象としました中大規模建築物に係る木造設計の技術講習会の開催などを行っているところでありますけれども、佐々木宣和委員御提案の材工分離発注につきましては、大型の木造施設を建設する場合など、調達に時間を要する木材の確実な利用に有効な手法の一つと考えておりますことから、技術講習会等におきまして事例を説明するなど、周知を図っていきたいと考えております。 〇佐々木宣和委員 次に、県産木材等の適切な供給の確保に関する施策というところで、理由も書かれておりますけれども、再造林に関して、どのような状況にありますかというところと、目標を達成するためにはどのように考えているか、伺います。 〇砂子田森林整備課総括課長 再造林につきましてでございますけれども、令和5年度の再造林面積は849ヘクタールとなっておりまして、佐々木宣和委員からお話のありました再造林率でございますけれども、10年前の30%台から、令和5年度につきましては、45%まで上昇しているところでございます。 県では、再造林を促進するために、国の補助事業やいわての森林づくり県民税等の積極的な活用に努めてまいりましたほか、森林所有者の負担軽減を図るために、植栽本数が従来より少ない低密度植栽や、伐採から再造林までの作業を連続して行う一貫作業システムを普及するなど、造林コストの低減に向けた取り組みを促してきたところでございます。 今後につきましても、引き続き、森林整備事業などさまざまな事業を積極的に展開いたしまして、林業関係団体等と一体となって再造林を促進してまいります。 〇佐々木宣和委員 最後は人材の確保、育成、普及啓発等に関する施策というところで、意欲と能力のある林業経営体数、新規林業就業者数についての目標と進捗についての評価、今後の方向性について伺います。 〇砂子田森林整備課総括課長 令和5年度の意欲と能力のある林業経営体数でございますが、目標と同数の94経営体でありまして、令和5年度の新規就業者数につきましては、目標110人に対しまして143人と、それぞれ目標を達成したところでございます。 林業経営体や林業就業者など担い手の確保、育成につきましては、林業経営体の経営能力の向上等を目的とした研修や、いわて林業アカデミーによる伐木技術の習得支援などによりまして、着実に成果が上がっているものと考えております。 本県の広大な森林を維持、管理していくためには、引き続き、地域の森林経営管理の主体でございます意欲と能力のある林業経営体の育成や新規就業者の確保に向けて、取り組みを進めてまいります。 〇佐々木宣和委員 一つ再質問しますけれども、新規林業者数が大きく上振れをしているところで、これの要因に関して伺いたいと思います。 〇高橋林業振興課総括課長 新規就業者数が目標から大幅にふえた理由でございますが、これは、林業以外の業種からの転職が非常にふえたということと考えております。 〇佐々木宣和委員 次に、森林環境譲与税の状況に関して伺います。令和元年からスタートいたしまして、令和5年で5年間が経過しているところでございます。使途別の執行額で、意向調査、森林現況調査、森林整備、人材育成、担い手対策、木材利用と四つのカテゴリーでアンケート等でも聞いているかと思いますけれども、市町村ごとの取り組みに関する進捗、特に小さい自治体ですと譲与税の交付額が少ないというところがあります。これに関してどう捉えているのか伺います。 〇高橋林業振興課総括課長 市町村では、森林環境譲与税を活用しまして、所有者にかわって森林を適切に経営管理するため、林業行政を担当する地域林政アドバイザーを配置し、航空レーザー等を活用した森林の現況調査や森林所有者への経営意向調査などに取り組んでいるところであります。 これらの取り組みによりまして、これまでに29市町村が経営意向調査を実施しており、その調査結果をもとに、6市町が森林整備に係る計画づくりを行うなど、市町村による適切な森林管理に向けた取り組みが着実に進められております。 また、小規模な自治体におきましては、平泉町や大槌町のように、譲与税を活用した森林整備を着実に進めている自治体があるものの、対象となる森林の規模や推進体制などにより、取り組みの進捗はさまざまであることから、県において、技術的助言など取り組み状況に応じた支援を行っているところであります。 〇佐々木宣和委員 課題認識として、譲与税でも面積割でお金が配られるというところですけれども、市町村ごとに配られているところでございまして、効率を考えると、面的にどうやって広げていけばいいのかというのは、5年経過しましたので、少しずつ考えていく必要があるのではないかと思っております。 最後に、ナラ枯れでございますけれども、県議会の議事録を見ると、平成22年にナラ枯れという言葉が初めて発言されたようなところでございます。今まで北上を防ぐ等々と言っていましたけれども、洋野町まで到達しているところでもありますし、なかなか厳しいと思っているところです。 決算額に関しては、ナラ枯れ駆除、松くい虫等防除事業費が4、200万円ぐらい、ナラ林健全化、いわて環境の森整備事業が3、000万円ぐらいで63ヘクタールとところでございますけれども、ここまで広がってきてしまっているところですが、今後の方向性について、どう考えているのか伺いたいと思います。 〇小川整備課長 今後の方向性についてでありますけれども、県では、ナラ枯れ被害を早期に発見するため、9月をナラ枯れ被害調査強化月間と位置づけまして、ヘリコプターやドローンによる空中探査や、職員による地上調査を集中的に実施しております。 また、市町村等では、新たに被害が発生した区域を中心に、伐倒薫蒸等による被害木の徹底駆除を実施しているほか、予防対策として、いわての森林づくり県民税を財源とする、いわて環境の森整備事業により高齢なナラ林を伐採し、被害を受けにくい森林への若返りを進めています。 引き続き、市町村や関係団体等と連携し、ナラ枯れ被害の防除対策に積極的に取り組んでまいります。 〇佐々木宣和委員 そのとおりだと思うのですけれども、国の予算が、国2分の1、県と市町村で4分の1ずつの予算が減っているような話も聞いているのですが、市町村からすると、ナラ枯れに対してどのような取り組みをしていけばいいのかというところで、何か御意見等々、いただいているものがあれば伺いたいと思います。お願いします。 〇小川整備課長 市町村への働きかけということでございますが、県では、ナラ枯れ被害の防止に向けまして、先ほど申し上げたような被害の駆除、被害を受けにくい森林への若返りということに取り組んでおりますし、そういった取り組みに加えまして、毎年度、各地区で被害対策連絡会議を開催しまして、国の試験研究機関や県林業技術センターとともに、市町村ごとの被害状況に応じた効果的な防除対策が実施されるよう助言を行うなど、被害拡大防止に努めているところでございます。 〇中平均委員 それでは、水産業の関係で質問させていただきます。 最初に、水産業振興費についてお伺いいたします。令和5年度の当初予算10億7、697万円、補正額が減額補正で1億4、218万7、000円とあります。この減額の内容を改めてお伺いしたいと思います。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 減額の主な内容といたしましては、国庫補助金の要望額に対する交付決定額の減少によりまして、まず、栽培漁業推進事業費で1億6、864万3、000円の減、さらに、さけ資源緊急回復支援事業費で2、537万1、000円の減となっておりますほか、水産業共同利用施設の入札執行残が生じたことによりまして減となっております。 〇中平均委員 国庫のいわゆる内示割れ等ですか。等というのは、たしかそういう説明を去年聞いて、ことしの令和6年度予算でも結構大きく減額補正が来ていますけれども、その点は、今回はあえて質問しませんが、水産業振興費が、非常に厳しい中にある中で減額と来ると、地域も含め水産業でどのようにしていくのだという話にもなってくるということであります。できる限りの国庫内示割れがないように動いていただくという点。また、いつも15カ月予算の補正でついてくる点もあると思いますので、そこを踏まえながらやっていっていただきたいと思います。 次に、主要魚種の不漁等の対策についてということでお伺いします。 主要魚種の不漁、先ほども佐々木宣和委員からもありました、ワカメ、アワビのいそ根資源の減少がありましたし、サケ、イカ等の主要魚種の不漁は、もう既に皆様御承知のとおりです。また、貝毒は、ことしは長期化ということで、出荷ができなかったところもございます。特に、野田村では今までとは違う貝毒が出て、その対応が大変だったと聞いておりますが、この出荷制限、産地の対応、先ほど聞いたものもあるのですが、改めて、その対応と、それによってどのような結果が出たのかということをお伺いします。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 まず、主要魚種の不漁についてでございますが、サケ資源の回復に向けまして、北海道などからの種卵の確保に努め、大型で遊泳力の高い強靱な稚魚を生産し、令和6年春の放流実績といたしましては、目標の約7割に当たる約5、600万尾を放流したところでございます。 また、貝毒の長期化による出荷制限に関しましては、安全性の確保に向けた県の助言、指導を踏まえまして、令和4年10月に、県漁連がホタテガイの加工向け出荷基準を見直したところでございます。それによって出荷可能な状況が広がりまして、生産者にとっては収入の安定化につながっているところでございます。 〇中平均委員 貝毒の時期を見直して、少しでも出荷できるようになったということですね。あと、種卵の確保は令和5年度は目標値7割ということでございました。それでは、ことしはどれぐらいを目標に、サケの放流に向けての確保を予定しているのか。そして、それに向けての状況もあわせてお知らせください。 あとは、新たな水産資源利活用モデル開発事業費、629万円で、令和5年度が初年度で、令和6年度が最終と認識しています。これの実績及び成果をまずお示しください。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 本事業では、これまで企画提案を募集いたしまして、結果、4事業者を採択いたしまして、昨年度から2カ年にわたって、国内外の市場調査や販路開拓、商品開発に取り組んでおります。今年度につきましては、昨年度の取り組みで明らかとなりました課題などを踏まえまして、小売店のニーズに合わせた商品開発や流通試験などに取り組んでいるところでございます。 〇中平均委員 まず、2カ年の事業で、今年度が最終で間違っていないですよね。その2カ年の中で、これを受けて採択された4事業がどのような形で今後進んでいくことを目指しているのか。市場調査して、国内市場、海外市場を調査しているとも聞いていますし、販路を開拓していく。久慈市だと、バスや新幹線を使って輸送して、朝とったものをその日のうちに飲食店等へ出すと認識はしているのですけれども、それが今、実証実験的にやっているわけですよね。それを今度、軌道に乗せていかないといけないと思うのです。今の事業が終わって、市場調査して終わりではなくて、進めないといけないと思うのですけれども、そこをどのように考えているのかお伺いします。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 一例ではございますけれども、ウニの高鮮度流通に取り組んでおります久慈市漁協におきましては、高速バスや新幹線を活用しまして、朝に水揚げした殻つきウニを、その日のうちに首都圏の飲食店に届けましたところ、鮮度につきまして大変好評だったのですが、一部の飲食店から、殻つきウニはむき身に比べて扱いづらいというような御意見もあったところでございます。それを受けまして、今年度については、むき身による出荷試験も行っているところでございます。 あと、今後に向けましては、本事業で構築しましたビジネスモデルをその事業者みずからがブラッシュアップしていただくこととともに、県内の水産加工事業者等に広く展開することによりまして、新たなビジネスとして定着を図るなど、引き続き、県内で増加している魚種の有効活用に向けて取り組んでいきたいと考えております。 〇中平均委員 そうだと思うのです。例えば、むき身でなければ扱いづらい。私も聞いたところだと、お店の値段設定、客単価が高い店、どこも高いところなのでしょうけれども、その中で、むき身でなくてもそのままで使えるところはないかとか、そういうお店は流通課で押さえていませんか。 〇臼井流通課総括課長 県では、県外の飲食店を中心に、そういった販売店の声を聞きながら県産食材を提案するという取り組みを行っておりまして、水産物についても、そのような取り組みの中で提案をしているところでございます。今後、そのような取り組みを続けてまいります。 〇中平均委員 そういった中で、今のは採択された4事業者のうちの一つの久慈市の事例ですけれども、そのほか、盛岡市の会社がやったものとかありますよね。うまく説明できないので後でいいのですが、そのようにいろいろやっている中で、ここで終わらせるのではなくて、2カ年で培ったノウハウなり投下した予算なりを生かして来年度以降に伸ばしていくことに努めていってもらいたいということを言いたかっただけです。 先ほど言ったサケの種卵の確保についてお願いします。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 失礼しました。先ほど、この春に放流したサケ稚魚の実績についてお答えしましたけれども、この秋に採卵して、来年の春に放流するサケ稚魚の生産計画でございますけれども、こちらのほうも今年度と計画としては同じ7、500万尾の稚魚の放流を計画いたしております。 〇中平均委員 もう一回確認です。7、500万尾の放流を計画していて、北海道を含めほかのところからも種苗を集めてきてやっていくということですね。ありがとうございます。 それでは、最後に一つ。浮体式洋上風力発電の関係でお伺いするのですが、先般、ふるさと振興部審査でも聞いたのですけれども、風力発電が沿岸漁業なり水産業に与える影響を担当部としてどのように捉えているのかをお伺いしたいと思います。 〇野澤漁業調整課長 現時点におきましては、事業が想定されている区域がイサダ漁や底びき網などの漁場や船舶の航路と重複している可能性があることから、県及び久慈市では、該当する区域の先行利用者との協議を行い、漁場や航路の重複状況や、重複した場合の影響度について把握していくこととしております。 また、今年度、久慈市におきましては、昨年度に実施した自然条件や漁業実態を把握するための調査結果をもとに、事業による影響を可能な限り回避、低減できるよう、事業実施想定区域の絞り込みなどを行い、地元漁業者からは一定の理解が得られた状況であると認識しております。 〇中平均委員 その上で、水産担当として、大丈夫ということでいいのですか。洋上風力の浮体式が出ても、基本的には今の説明で大丈夫ということなのかと思っているのですが、どうでしょうか。 〇野澤漁業調整課長 海面における漁業活動といいますのは、権利者、利害関係者が複雑でございまして、沿岸海域におきましては、漁業権区域、いわゆる共同漁業権とか定置漁業権、区画漁業権が設定されるほか、その沖合になれば、ほかの地域、他県の漁業者も含めて操業が行われているわけでございまして、権利関係はさらに複雑になるということが想定されております。 そういった意味で、今回の検討チームというものがございますので、そういったところに参画しながら、漁業者の理解が得られるように関係者間の連携を強めて、粘り強く取り組んでまいりたいと我々としては考えております。 〇中平均委員 ぜひ農林水産部でも協力していただきながら、前に進めていくことをお願いしていきたいと思っています。 先行している五島列島の浮体式風力の海面の下のほうを見ると、新しい漁床になったりもしています。そういったところも見ていきながら、権利調整は当然大変だと思うのですけれども、水産に携わっている皆さんが説明をすると受け入れやすい漁業者も当然いますし、そういった中で、プラス面も当然出てくる中で、ぜひこの活動をお願いしていきたいのです。ウイン・ウインの関係をつくっていかないといけないと思うのですが、そのための活動は、今、お聞きしましたので、部局間連携といつも出ていますけれども、ぜひそれを進めていただきたいということです。 最後に農林水産部長に聞くのも申しわけないところもあるのですけれども、その辺の部局間連携をどう取り組んでいって、今の検討チームを回していくのか。そして、久慈市もやっているのですけれども、より当事者が積極的に動いていきながら早く進めていくのか。この間も言いましたが、県土整備部では港湾計画の改定も出てきますから、それをやっていくには、ここができていかないといけませんので、それを一つ一つクリアしていくために、どこが主体ということではなくて、チームの中で一緒に進めていくということだと思うのです。そのためにどのように組織を回していって協力していくのかを農林水産部長に聞いて、終わりたいと思います。 〇佐藤農林水産部長 この久慈市の洋上風力発電ですけれども、経済波及効果、あるいは、2050年のカーボンニュートラルの実現という意味で、大変期待の高い取り組みだと認識しております。 これまでも、先ほど来答弁申し上げております、庁内各部局で構成する検討チームに当部としても参画をして取り組んでまいりまして、こういった中で、地元漁業者から、今年度に入って一定の理解が進んだというような取り組みの進捗もございます。 今後も、当部として漁業の面からさまざま課題とか、あるいは意見があると思いますので、その調整が進むように助言をしながら、このチームに積極的にかかわって、そして、漁業者の理解が得られるようにきめ細かく対応してまいります。 〇吉田敬子委員 木育の推進についてお伺いいたします。 県では、木育の推進等につながる県産木材活用の取り組みや森林公園機能強化事業において、県産材を活用した木製品や木材教材などで木育を体験できる屋内空間等を普及推進していただいております。令和3年度から開始してことしは4年目ですけれども、これまでの木育の取り組み実績をどう評価しているか、お伺いいたします。 〇高橋林業振興課総括課長 県では、児童生徒等の森林や林業への理解醸成を図り、木材のよさや利用の意義等を学ぶ機会を提供するため、これまで教育施設等への県産木材製品の導入や森林公園の機能強化などに取り組んできたところであります。 令和3年度以降、いわて子どもの森や保育所など62施設に木製玩具等を導入したほか、県民の森など4カ所の森林公園に、就学前の幼児も木製品と触れ合うことができる木育スペースを整備したところであります。 こうした取り組みにより、森林公園の令和5年度の利用者が、前年度に比べ1割増の16万6、000人となっており、子供達が木材に触れる機会の増加など、木育の推進や森林づくりへの理解醸成につながっているものと捉えております。 〇吉田敬子委員 実績額として、令和3年度は6、858万円、令和4年度が約9、613万円、令和5年度は約6、335万円とそれぞれ推移しています。これは森林公園の強化とそれぞれの木製品、各施設62施設とおっしゃいましたけれども、全て合わせての金額がこのように推移しています。 木製品等は農林水産部から各部局に照会をかけていただいて、それぞれの部局が必要な木製品等を吸い上げていただいて、普及してきているわけですけれども、今後の事業費がさほど大きくふえることがないのではないかと私は考えております。令和6年度の事業推移状況とあわせて、今後のニーズ等についての県の所管をお伺いいたします。 〇高橋林業振興課総括課長 令和6年度につきましては、県立病院院内保育所や県立青少年の家など県内の13施設に木製の玩具やベンチなどの導入を予定しているほか、森林公園の木育スペースに導入した木製玩具の補充を行う予定としております。 今後のニーズにつきましては、既存施設で導入しました木育スペース等における木製玩具等の修理や入れかえが想定されますが、その対応につきましては、木育に取り組む施設における整備計画等を踏まえながら検討してまいります。 〇吉田敬子委員 森林公園四つに木育スペース等を設置していただいて、私もやっと、ことしになって全て行くことができました。それぞれのよさがあって、ただ、結構山の奥にあるので、そこまで行くのも大変で、大船渡市にある大窪山森林公園が一番大変だと思ったのですけれども、利用者が一定数、1割増ということで、それぞれの場所によって増減はあるかもしれませんが、この木育施設を導入していることで森林公園の利用者がふえたり、木育の推進にはすごく寄与していると私は大変評価しているところであります。 これまでも岐阜県の取り組み等を取り上げさせていただいているのですけれども、岐阜県はもともと、ぎふ木育30年ビジョンというものを2013年に策定した上で、本県と同様に木製品の導入支援を行い、その後に木育の県の拠点として、ぎふ木遊館という施設を2020年に開設しました。大人気の施設となって、全県展開が望まれたということで、ことし8月に、そのサテライト施設の第1号が市町村―中津川市というところですけれども、展開されています。この実施設計等にも県の、岩手県の林業アカデミーに当たる岐阜県立森林文化アカデミーの卒業生もかかわっているということであります。 本県では、今年度から、こちらは保健福祉部の所管でありますけれども、既存施設を活用した子どもの遊び場整備事業を展開しております。これは上限1、000万円で、現在は大船渡市と遠野市に設置されておりまして、私はまだ行けていないのですけれども、今月できた遠野市の大型遊具の施設、とぴあ内にあるところは、私も自分の友人、知人で利用している方の声を聞いていますが、県内で屋内で大きい遊具があるところはないので、こういうところがあると、とてもありがたいという声を聞きました。 遠野市は、県の保健福祉部の事業費1、000万円を使った上で5、800万円の事業なのですけれども、これまでは県で森林公園に木育施設を設置していただいたり、先ほども事業費をいろいろお話しさせていただきました。木製品をある程度普及してきた中で、また次の展開に農林水産部でぜひ取り組んでいっていただきたいと思っております。 先ほどの保健福祉部の、既存施設を活用した子どもの遊び場整備事業、上限1、000万円だと常任委員会の…… 〇福井せいじ委員長 質問は簡潔にお願いします。 〇吉田敬子委員(続) はい。そちらでも議論があるのですけれども、限られた予算の中なので、この事業とあわせた部局横断的な取り組みとして、本県の木育拠点施設に向けた取り組みを展開してはいかがかと考えますが、県の所感をお伺いしたいと思います。 〇高橋林業振興課総括課長 県では、先ほど説明しましたとおり、いわて子どもの森や保育所などに木製玩具等を導入しておりますが、さらに、木育の拠点となる施設としまして、先ほど説明しましたとおり、県民の森など4カ所の森林公園に木育スペースを整備したところであります。 さらに、市町村において、久慈市の道の駅いわて北三陸や、先ほど御紹介がありました遠野市のとぴあ、それから、民間におきまして、花巻市の花巻おもちゃ美術館や盛岡市のイオンモール盛岡など、木育の拠点となる施設や木育スペースが整備されてきております。 このように、県のほか市町村や民間においても、木育の拠点となる施設整備や関連する取り組みが展開されてきており、本県における木育の取り組みは着実に進んできているものと認識しております。 また、保健福祉部の、既存資源を活用した子どもの遊び場整備事業との連携につきましては、遠野市のとぴあなどの事例を参考にしながら、今後検討してまいりたいと思います。 〇吉田敬子委員 子育て世代が望んでいるのは、未就学児の小さい子だけが遊ぶところではなくて、せめて小学生まで遊べるような施設です。遠野市も3歳から12歳が対象ということで、保健福祉部の1、000万円だとなかなか小さいお子さん、3歳程度くらいまでの場所しか設置できなかったりするので、先ほど検討いただくということでしたので、今後、一緒に事業展開していっていただきたいと思っております。 先ほども、ぎふ木育30年ビジョンのお話をさせていただきましたけれども、せっかくこのように岩手県でも木製品の導入支援をしていただいているので、木育の拠点施設の整備、そして、さらに、森に出かけようという流れを、ぎふ木育30年ビジョンは流れをしっかりつくっていますので、ぜひ岩手県もこのような木育ビジョンのようなものを作成して推進していっていただきたいと考えておりますが、県の今後の方針をお伺いしたいと思います。 〇高橋林業振興課総括課長 県では、岩手県県産木材等利用促進条例に基づきまして、岩手県県産木材等利用促進基本計画と行動計画を策定しております。この計画における基本方向の一つに、児童または生徒の森林、林業及び県産木材等についての理解醸成の促進を掲げまして、児童生徒等に対し、県産木材に触れる機会の提供に取り組んでいるところであります。 また、令和4年6月からは、県や関係団体等が連携し、県民や企業等が木にふれる、木を知る、木を使う、木を伝えるの四つの行動に取り組みます、いわて木づかい運動を展開しておりまして、いわて木づかいフェスタなど木育に関するさまざまな取り組みを実施しているところであります。 今後におきましても、岩手県県産木材等利用促進基本計画と第2期行動計画に基づきまして、児童生徒等の森林、林業及び県産木材等についての理解醸成の促進に取り組んでまいりたいと思います。 〇吉田敬子委員 石川県で森林公園の屋内の木育施設として、最近、もりのひみつきちというのができたのですけれども、こちらは石川県の観光部局もしっかり入った上で、この事業費は総工費7億5、100万円となっています。なかなかそこまではできないですけれども、先ほどお話ししましたとおり、保健福祉部と農林水産部と合築して予算を出していっていただければ、市町村でまたさらにこういった事業展開ができるのではないかと思っていますので、検討していっていただけるということですので、それに期待したいと思います。よろしくお願いします。 〇斉藤信委員 それでは、水産業再生の取り組みについて、昨年度の主要魚種、サケ、サンマ、スルメイカの水揚げ量、魚市場ごとの水揚げ量、水揚げ額はどうか、震災前との比較を含めて示してください。 〇野澤漁業調整課長 主要魚種等の水揚げでございますが、令和5年の主要魚種の水揚げ量は、サケは134トン、震災前の0.5%、サンマは4、366トンで震災前の8%、スルメイカは2、589トンで震災前の14%となっております。 また、県内13魚市場の総水揚げ量になりますが、7万3、000トンで震災前の41%となっております。 また、金額に関しましては、160億円で、震災前の68%となっております。 〇斉藤信委員 先ほども議論があったのですけれども、この要因と対策はどうなっているか。そして、今年度の漁獲状況はどうなっているかお示しください。 〇野澤漁業調整課長 まずは、サケの不漁の原因でございますが、国の不漁問題に関する検討会というものがございまして、こちらの報告書によれば、海洋環境の変化に伴う春先の海水温の上昇、あと、餌となるプランクトンの減少などにより、放流後のサケ稚魚が十分に成長できず、生き残る割合である生残率が低下したことなどとされております。 サンマにつきましては、今年度は漁場が岸寄りに形成されたということでございまして、前年同期を上回ったものの、依然として、先ほど申し上げたとおり、震災前と比べまして非常に厳しいという状況になっております。 この不漁の原因は、やはり海洋環境の変化による資源量の減少、あと、北から冷たい水が南下するわけでございますが、近年、親潮の張り出しが弱くなっており、岩手県沖に漁場が形成されにくいという状況が続いていることが挙げられております。 また、スルメイカの不漁の原因でございますが、こちらも海洋環境の変化による資源量の減少、また、まとまった漁場形成がなかったということが挙げられております。 また、直近のサケ、サンマ、スルメイカの漁獲状況でございますが、10月10日現在の漁獲状況でございます。サケにつきましては、現在、2トン、前年同期比83%、震災前比6.5%、サンマにつきましては、2、113トンで前年同期比208%、震災前比12%、スルメイカにつきましては、2、144トン、前年同期比120%、震災前比の22%となっております。 〇斉藤信委員 サケは本当に深刻な状況で、サンマ、スルメイカは前年と比べて、昨年度も今年度も増加している。レベルが低いと思いますけれども。 もう一方の主力は養殖なのですけれども、ワカメ、昆布、アワビ等の水揚げ量、額、震災前との比較について示してください。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 直近のデータによりますと、まず、水揚げ量でございますが、ワカメは、令和6年産が9、660トンで震災前の44%、昆布は、令和5年産が4、013トンで震災前の35%、アワビは、令和5年度に101トンで震災前の29%、ほか、ホタテガイにつきましては、令和5年度に1、530トンで震災前の24%、カキは、令和4年度に、むき身が341トンで震災前の53%、殻つきで1、463万個で震災前の70%となっております。 一方、水揚げ金額ですが、ワカメは、同じく令和6年産が37億4、000万円で震災前の89%、昆布は、令和5年産が7億円で震災前の46%、アワビは、令和5年度に8億9、000万円で震災前の39%、ホタテガイは、令和5年度に10億3、000万円で震災前の59%、カキは、令和4年度に、むき身が8億5、000万円で震災前の84%、殻つきが15億3、000万円で震災前の126%となっております。 〇斉藤信委員 養殖もなかなか厳しい状況にある。震災直後に、最初に取り組んだのはワカメだったのです。翌年から水揚げできるということで、そういう形で再建に乗り出したということを思い出しますけれども、特にワカメ、これは日本一と言われますけれども、減少している要因、そして対策、先ほどもあったのですけれども、改めて示してください。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 養殖ワカメの生産量が減少している要因でございますが、まず、大きく震災前との比較ということでございますと、震災後、養殖施設の台数、あとは、それを使う漁業者の数が減ったということがまず大きく影響しているかと思います。 それに加えまして、直近の状況ですけれども、令和5年産と令和6年産につきましては、高水温の影響などによりまして生産量が減少したといった状況もございます。 そうした中で、対策といたしましては、近年、半フリー種苗と言われる県水産技術センターが開発しました人工種苗を活用しまして、少しでも多くの生産ができるよう取り組みを進めているところでございます。 〇斉藤信委員 養殖は、基本的には安定した収入が見込まれるものなのだと思うのです。重茂漁協がワカメ、昆布の養殖に取り組みながら、経営の安定を図って加工、さらには付加価値をつけた商品化という形で取り組んできたのは、私は教訓的だと思うけれども、そういうところが今、全体として減少している。本当に残念なことなので、頑張っていただきたい。 そこで、魚種変化に対応した対策と実績を示してください。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 近年の海洋環境の変化等によりまして、本県では、具体的には、マイワシやブリ、シイラ、タチウオといった、いわゆる温かい海にすむ魚種の水揚げ量が増加しております。一方で、これらの魚種につきましては、県内の消費者にとってなじみが薄く、安価で県外へ出荷される場合が多い状況となっております。 そうしたことから、県内でのそういった魚種の認知度を高めまして、単価の向上や加工原料としての活用を図っていく必要があると考えているところでございます。 〇斉藤信委員 実績はどうですか。 〇筒井技術参事兼水産振興課総括課長 失礼しました。そういった認識のもとに、取り組みといたしまして、県では、加工原料としての成分分析などを行いまして、水産加工業者を対象に、成分特性や加工方法などを学ぶセミナーなどを開催いたしております。 また、水揚げ量が増加している魚種等を対象といたしました新たな販路や物流のビジネスモデルの構築に向けまして、国内外の飲食店等のニーズ調査ですとか販路開拓、あるいは、魚種の特性を生かした加工品や調理の手間を省いた、いわゆる簡便商材の開発などに取り組んでいるところでございます。 今後、引き続き、増加している魚種の有効活用に向けまして、生産分野と流通加工分野との連携を深めながら、魚種の変化に対応するための取り組みを一層強化していきたいと考えております。 〇斉藤信委員 私は、予算特別委員会のときにもお聞きして、しっかりとした答弁をもらえなかったのだけれども、震災前と比べて、普代村は水揚げ量153%、野田村は162%です。震災前と比べて1.5倍に水揚げをふやしている要因は何なのか。それは新しい魚種を活用しているからだと思うのです。新しい魚種を活用しているという答弁も少しあったのだけれども、これは調べてみましたか。 〇野澤漁業調整課長 普代村と野田村の水揚げが昨年よりもふえているという状況のお話でございました。 普代村につきましては、マイワシ、サバがふえておりまして、マイワシでいきますと、震災前が3カ年平均で約30.4トンございましたのが、令和5年ですと65倍になっておりまして、1、982.8トンということで、マイワシがかなり増加しているということ。また、サバ類につきましても、震災前3カ年平均で348.3トンというのが、令和5年になりますと1、534.6トンということで4.4倍にふえております。 野田村につきましても同様に、イワシが震災前に4.8トンあったものが令和5年では917トンで191倍、サバが震災前に157トンあったのが令和5年では1、195トンということで7.6倍の増加になっております。 これらの要因でございますが、近年の海洋条件によりまして、野田村、普代村でイワシ等が局所的に岸寄りに回遊しやすい海洋条件となりました。日々の漁獲のばらつきもあるということで、自然環境の要因ということが結果ということです。 ことしの直近でございますが、令和6年1月から9月30日の漁獲、普代村の水揚げで今現在、2、619トンに対しまして、令和5年度、前年同期比で3、055トン、令和5年度同期比で86%ということで、若干下がったということで、乱高下している状況となっております。 〇斉藤信委員 私が聞きたかったのは、例えば、普代村の魚市場は総量でも4、662トンです。釜石市が5、468トンですから、それに次ぐぐらいの水揚げがある。これは去年もおととしもです。私が聞きたいのは、どう活用されているかです。これだけ水揚げをやって、どう活用されているか。魚種転換というものもこういうところを参考にしながらやっていく必要があるのではないかというのが私の質問のポイントなので、どうですか。わかりますか。 〇野澤漁業調整課長 イワシにつきましては、最近、フィッシュミールの関係で単価が非常に上がっているという話を聞いております。フィッシュミール用の原料として流通されていると聞いておりますし、また、今後、ふえている魚種についての付加価値を上げるということは重要と考えておりますので、引き続き、こういった取り組みを進めていくという状況になろうかと思います。 〇斉藤信委員 主要魚種がこれだけ低迷している中で、とれる魚種で勝負する、思い切ってそこの活用を考える必要があるのだと思います。 次に、クロマグロの漁獲状況、定置網に入っている状況、昨年度、今年度、示してください。 〇野澤漁業調整課長 クロマグロの漁獲状況等についてでございますが、令和6年度における定置網での漁獲量は、9月30日現在、小型魚が76.8トン、漁獲可能量の92%、大型魚が19.5トンで漁獲可能量の30%を消化しております。前年同期比でいきますと、小型魚が93%、大型魚が38%となっております。 また、定置網では、クロマグロにおきましては、現在、資源管理を行っておりまして、漁獲可能量を超過しないように、入網したクロマグロの放流を行っておりますが、令和5年度につきましては、小型魚と大型魚合わせて、推定ですが、約37万9、000尾、重量にして約2、700トンを放流したということで定置漁業者から報告を受けております。 〇斉藤信委員 昨年度の話をしませんでしたけれども、昨年度は小型魚、大型魚を合わせて15万7、210トンです。それで、定置網で放流した分というのは、トン数でいくと2、704トンですか、漁獲と放流した分と、これは何倍になりますか。 〇福井せいじ委員長 執行部、答弁できますか。計算に時間がかかりますか。 斉藤信委員、後でいいですか。 〇斉藤信委員 去年も聞いているのでね。 〇野澤漁業調整課長 約17倍ということになろうかと思います。 〇斉藤信委員 すごいのですよ。これだけ定置網に入って、放流しないとならない。本当の矛盾で、昨年度は前の年よりふえているということなのです。 そこで、若干の漁獲割り当てがふえそうだということになっているけれども、沿岸漁民の割り当てが少ないのです。全国1万以上いる沿岸の漁民と、二十数社しかないまき網業者の割り当て数量はどうなっていますか。 〇野澤漁業調整課長 今年度の本県の割り当ては、小型魚が83.7トン、大型魚が全体で64.7トンということになりますので、このうち定置網と漁船漁業ということで振り分けていることでございます。ただ、大半が定置網の割り当てになろうかと思います。 〇斉藤信委員 私が言ったのは全国的な割り当ての話です。全国二十数社のまき網漁業者、そして沿岸漁民。二十数社しかないまき網漁業者のほうが何倍も割り当てされるのです。そして、1万もいる全国の定置網をやっているところが少ない。 ましてや、おかしいのは、小型の割り当てが大型より多いわけです。資源を守るというのだったら、小型魚を少なくして大型魚を割り当てるのが当たり前なのだと思うけれども、私は全体として、これは国際条約ですから、日本の割り当てがふえると思いますけれども、今、どれだけふえる話になっているか。そして、国内の割り当てについては、どういう議論になっているかわかりますか。 〇野澤漁業調整課長 済みません、先ほどの全国的な漁獲の割り当てということでございました。30キログラム未満の小型魚で、令和5年度の管理年度の漁獲でいいますと、漁獲可能量が4、094.8トン、令和6年度が30キログラム未満の小型魚が3、757.1トンということになっております。令和5年度の小型魚が4、094.8トン、令和6年度が3、757.1トンとなっております。 一方、大型魚につきましては、令和5年度が6、845.7トン、令和6年度が7、516.1トンとなっております。 また、全国的な割り当ての今後の部分ということでございますが、漁獲割り当ての拡大につきましては、現在、クロマグロの漁獲管理を国際的に行う中西部大西洋まぐろ類委員会北小委員会におきまして、令和7年度以降、日本の漁獲枠を小型魚10%増、大型魚50%増とすることで合意したところでございまして、11月下旬に開催される国際会議の年次会合で正式決定する見込みでございます。 県といたしましては、国に対して、クロマグロの資源量の増加に合わせまして、本県の漁獲可能量を速やかに増加するよう要望しているところでございまして、今後も国に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。 〇斉藤信委員 クロマグロは今、大不漁の中でとれるわけだから、とれたものを放流しないとならない、このぐらい漁民にとってつらいことはないのです。9月24日に水産政策審議会で漁獲枠の配分案というものが示されていますから、そのことを私は言っているので、国内の割り当てのやり方も沿岸漁民にしっかりと重点を置いた割り当てにするように、しっかりそのことも働きかけていただきたい。 〇福井せいじ委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。ありがとうございます。 以上で本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。 午後3時58分 散 会 |
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