令和6年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和6年10月23日(水)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 佐 藤 博 晃
主任主査 柴 田   信
主任主査 及 川 雄 也
主査 高 橋 宗 子
主査 堀 合 俊 彦
主査 佐々木 賢一郎
主査 三 浦 訓 史
1説明員
県土整備部長 上 澤 和 哉
技監兼
河川港湾担当技監 岩 崎   等
副部長兼
県土整備企画室長 加 藤 真 司
道路担当技監 菅 原 常 彦
まちづくり
担当技監 小野寺 哲 志
参事兼建築住宅課総括課長 高 井 知 行
県土整備企画室
企画課長 高 橋 正 志
県土整備企画室
管理課長 佐々木 英 将
用地課長 菊 池 秀 光
建設技術振興課
総括課長 久保田 和 憲
技術企画指導課長 田 家 清 子
道路建設課
総括課長 小野寺   淳
道路環境課
総括課長 高 瀬 文 明
河川課総括課長 馬 場   聡
砂防災害課
総括課長 君成田 忠 伸
都市計画課
総括課長 澤 田   仁
下水環境課
総括課長 佐々木 克 幸
港湾空港課
総括課長 伊 藤 秋 彦

会計管理者 滝 山 秀 樹
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 佐々木 真 一
参事兼監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 長谷川 英 治

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇福井せいじ委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、県土整備部関係について延べ10人の質疑を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の県土整備部の審査の後、決算15件及び議案2件について、意見の取りまとめと採決を行いたいと思いますので御了承願います。
 初めに、県土整備部長に県土整備部関係の説明を求めます。
〇上澤県土整備部長 令和5年度の県土整備部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部関係の事務事業の総括的な取り組み状況等について御説明いたします。
 当部では、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、計画の初年度となる、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに掲げる施策の推進に取り組んでまいりました。
 まず、復興関係でございますが、これまで復興道路等が完成し、災害に強い新たな道路ネットワークが構築されるとともに、防潮堤など津波防災施設の整備が進み、当部が整備を進めてきた73カ所のうち72カ所が完成しました。引き続き、整備中の閉伊川水門の早期完成に向け、取り組んでまいります。
 次に、政策推進関係でございますが、激甚化、頻発化する自然災害に備え、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も活用しながら、流域治水の考えのもと、ハード整備とソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策の推進に取り組みました。整備効果は確実にあらわれており、平成28年台風第10号により被災した岩泉町小本川や安家川において、治水対策の進捗により、令和6年台風第5号の出水時、河川事業を導入した区間では、河川の溢水等による住宅等の浸水被害はありませんでした。
 災害に強い道路ネットワークを構築するため、また、物流の効率化や観光振興、交流人口の拡大等を図るため、一般県道大ケ生徳田線徳田橋工区などを供用するとともに、国道282号佐比内工区のトンネル築造工事に着手するなど、道路整備を推進しました。
 社会資本の老朽化への対応については、老朽化した橋梁などの長寿命化対策を推進し、予防保全対策への転換に取り組みました。
 建設業の振興については、建設企業の経営基盤の強化に加え、ICT技術の導入などDXの推進に取り組むとともに、地域の建設企業が、県民の豊かで安全、安心な暮らしをつくり、守るという、地域から期待される役割を将来にわたって果たしていけるよう、建設関係団体等と一体となって、いわて建設業振興中期プラン2023に掲げる施策の実現に向けて取り組みました。
 これらに加え、県営住宅ストックを活用した自然減、社会減対策や、岩手型住宅の普及などGXの推進に取り組みました。
 今後におきましても、第2期アクションプランの基盤となる安全・安心な地域づくりに資する社会資本の整備などの着実な推進を図ってまいります。
 続いて、令和5年度の当部の決算について御説明いたします。令和5年度岩手県歳入歳出決算書の20ページをごらん願います。
 一般会計のうち当部関係につきましては、6款農林水産業費3項農地費の一部、8款土木費、続いて、22ページに参りまして、11款災害復旧費3項土木施設災害復旧費でございます。
 特別会計については、48ページの岩手県土地先行取得事業特別会計、58ページの岩手県港湾整備事業特別会計でございます。決算書には記載されておりませんが、一般会計、特別会計を合わせた当部の予算現額の合計は1、307億5、000万円余、支出済額の合計は866億7、100万円余でございます。
 また、翌年度への繰越額の合計は429億5、400万円余、不用額の合計は11億2、400万円余となっております。
 続いて、認定第15号令和5年度岩手県流域下水道事業会計決算の9ページをごらん願います。
 岩手県流域下水道事業会計の決算は、経常利益及び純利益がいずれも同額となる6、800万円余でございます。
 なお、決算の内容につきましては、令和5年度歳入歳出決算事項別明細書等に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 続いて、議案第29号令和5年度岩手県流域下水道事業会計資本剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明いたします。議案その4の6ページをごらん願います。
 令和5年度岩手県流域下水道事業会計のうち、資本剰余金に整理すべき受贈財産評価額に計上されている土地の譲渡により発生した損失について、受贈財産評価額を源泉とする資本剰余金45万9、461円をもって埋めようとするものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇福井せいじ委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 私からは、建設業界の働き方改革を中心にお尋ねしてまいります。
 医師、運送業界と同様に、建設業も今年度から働き方改革の本格的な取り組みが求められております。決算年度はそれの最後の準備の年度でありましたので、それを踏まえて質疑をしたいと思います。
 まず、建設業界の働き方改革の進捗状況と県の評価についてお尋ねします。
〇久保田建設技術振興課総括課長 建設業界の働き方改革の進捗についてでありますが、県内建設業は、就業者の高齢化の進行と今後見込まれる大量退職により、深刻化する担い手不足への対応が必要となっています。
 また、働き方改革関連法案による改正労働基準法が平成31年4月に施行され、法律施行後5年間の猶予期間が経過し、令和6年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されたことから、労働時間の削減に取り組む必要があると認識しているところです。
 このため、県内の建設業団体は、県内の行政機関と合同で、令和元年度から公共工事を一斉に休日とする週休二日制普及促進キャンペーンを実施しております。令和元年度、年3回の一斉閉所から始まり、令和4年度には、毎月2回、第2、第4土曜日の一斉土曜閉所、令和6年度には、それに加えて、年間6カ月は4回の土曜閉所を目指すこととして取り組んでいます。
 この取り組みの状況から、年度ごとに土曜閉所日数を増加させ、週休2日制への意識づけが進み、週休2日を初めとした働き方改革が進んでいるものと評価しているところです。
〇岩渕誠委員 県とすれば進んでいるという評価のようでありますが、それでは、具体に、平均労働時間等、他産業と比べて建設業界の県内の実態について、把握しているのであればお示しいただきたいと思います。
〇久保田建設技術振興課総括課長 建設業の平均労働時間と他産業との比較ですが、厚生労働省が公表する資料により、建設業と調査産業計の平均を比較すると、年間平均労働時間は、令和元年度には、建設業2、071時間に対して調査産業計平均は1、974時間、その差は97時間です。令和5年度には、建設業2、018時間に対して調査産業計平均は1、956時間、その差は62時間となっており、建設業の平均労働時間が減少し、他産業との差も縮小しています。
 また、年間の平均出勤日数は、令和元年度には、建設業250日に対して調査産業計平均は236日、その差は14日、令和5年度には、建設業245日に対して調査産業計平均は234日、その差は11日となっており、建設業の平均出勤日数が減少し、他産業との差も縮小している状況です。
 調査産業計平均値が減少している中でも、建設業はさらに労働時間が減少しており、その差も縮小しているため、働き方改革の成果が出ていると考えているところです。
〇岩渕誠委員 今、数字を示していただきました。確かに、今まで建設業界の実労働時間は、100時間近い差があるところから4割ぐらいは減少している。そして、年間の出勤日数でいっても3日ぐらいは縮小している。とはいえ、人手不足であったり、建設業業界に対する、特に若手のイメージということからすれば、他産業並みのところまでいかないと、なかなかこれは魅力ある産業ということにはならないのだと思いますが、この辺の認識についてお尋ねしたいと思います。
〇久保田建設技術振興課総括課長 今、岩渕誠委員がおっしゃっていたとおり、魅力ある産業にするためには、まずは公共事業から率先してやらなければと思っております。その公共事業のためには、県土整備部が発注している工事を週休2日制で始めて、それを意識づけることが大切だと思っておりますので、週休2日工事の取り組みを進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 もちろん、建設業界はお天気に左右される。そして、特に岩手県は、冬場の部分でほかの地域に比べれば厳しい環境の中でやっているということで、大変御苦労の多い業界でもあります。また、最近のような災害の多発ということになりますと、努力してもなかなか厳しいところがあるということは承知をしております。
 ただ、それを超えてやっていくということになれば、今、建設技術振興課総括課長からお話のあったように、まずは県営建設工事からどういった働き方改革、そして、週休2日という言葉が出ましたけれども、そこを徹底していくかということになるわけです。それでは、これまでの県営建設工事における働き方改革、特に週休2日の取り組み、そして、その評価についてお尋ねします。
〇久保田建設技術振興課総括課長 今、県土整備部の働き方改革について、どのようなことをしているかという話がありました。県土整備部が所管する県営建設工事の働き方改革ですが、県では、いわて建設業振興中期プラン2023において、働き方改革の推進を重点事項として位置づけており、工事現場の週休2日の拡大に官民連携で取り組んでいくこととしております。
 県土整備部所管工事の週休2日工事は、平成29年10月から、受注者の希望するモデル工事の実施を開始しており、その後、令和3年4月からは発注者指定型を導入、本格実施し、令和6年2月からは、原則、全ての工事を発注者指定型とすることとして取り組みを順次拡大しているところです。
 このことから、週休2日工事で公告した工事のうち、達成した工事の割合が、令和3年度完了工事では24%であったことに対し、令和5年度の完了工事では70%とふえているところです。
 さらに、令和6年2月からは、原則、発注者指定型で発注することとしているため、取り組みがさらに進むと見込んでいるところです。
〇岩渕誠委員 発注者指定型というのは、4週8休を原則化するということだと理解しております。そうした中で、70%ぐらいまで来たということでありますけれども、これによって、例えば、工事期間が担保されないのではないか、むしろ負担になっているのではないか、あるいは施工管理上、あるいは完了検査の中で技術的なレベルがどうなったのか、このあたりは気になるところですが、これは県としてはどのような評価をされていますか。
〇久保田建設技術振興課総括課長 県営建設工事における週休2日工事の取り組みによって、工事の施工の実態が下がったかという話だと思いますけれども、週休2日工事と通常の工事を比べても、工事の完成検査の評価点数が下がったという話もありませんし、集中して週休2日制に取り組んでいるおかげで、現場からも、よかったという意見もあるところです。ですから、週休2日工事について弊害が出ているという認識はないと思っております。
〇岩渕誠委員 その年度ごとに業界と話をして、いわゆるA級など大きいところだけではなくて、下請、あるいは、C級など規模の小さいところでも担保できるようになれば一番いいと思います。いずれ進めていただきたいと思います。
 また、建設業界もDXということで、現場もそうですけれども、兵たん部門というか、書類のやりとりに結構時間をとられるという声も聞くわけでありますが、この辺はどのような対応をしていますか。
〇久保田建設技術振興課総括課長 工事の書類のやりとりという話です。建設業界からも、働き方改革に関しては、県が発注している工事の書類について、もっと削減してほしいだとか、国土交通省や県、市町村が定めている様式について、統一化すると新しい様式をつくらなくてもいい、統一化してほしいという話がありました。ですから、国土交通省、県、市町村においては、同じような書類をもって提出できるような取り組みをしております。
 さらに、必要以上の提出を求めるようなことのないよう、書類の簡素化に向けて削減を取り組んでいるところです。
〇岩渕誠委員 お役所に聞いて、削減しましたというと、30ページが25ページになりましたなど、そのようなレベルでありまして、これはもっと劇的にやっていただけるようにお願いしたいと思います。
 今、お話があったように、県営建設工事、公共事業を中心に何とか働き方改革のきっかけづくりをしているということはよく理解しました。
 それはいいのですけれども、もう一つ、私は問題があると思っていまして、県が補助金を出して工事をするケース、民間の工事で、例えば企業立地促進奨励事業費補助金など、これは当該部局ではありませんけれども、いろいろな形で出ています。企業立地に関連するものであれば、今、県の通常ベースでいうと恐らく10%から30%ぐらいは市町村と合わせて補助があって、民間工事をしているというケースがあります。それから、震災復興のときは、津波の浸水地域に対して5割までの特例がありました。
 この状況を聞いていますと、民間工事であって、例えば大規模工事になるとゼネコンが入ってくる。ところが、下請をやっていると今までと余り変わらないという声があるわけです。一般的に補助金が入っていますから、これについてはお願いベースでも普通はやれるのではないかと思うのですが、今の県営建設工事だと、原則4週8休にしてくださいと縛りがかかって、これに応札するということになるのですが、それ以外の民間工事に対する発注については、縛りがあるのかが一つ問題になると思います。そこで財政課総括課長に伺います。県の企業立地、あるいはその他民間工事に対しての補助要件の中に、そういった働き方改革に関連する要件、要項はありますか。
〇佐藤財政課総括課長 民間の建設投資に対する県の補助は、御紹介がありました企業立地促進奨励事業費補助金や老人福祉施設等整備事業費補助金などが考えられますが、これらの工事において、働き方改革に関して何らかの上乗せ評価を行うといった仕組みは、現状はとられていないものと認識しています。
 働き方改革の視点で、岩渕誠委員御指摘の視点を取り入れることについては重要なことだと考えています。補助の仕組みの中にどのようにそういった考え方を反映させるのか、補助の本来の政策目的との整理をどうするのかといった実務上の課題もあると思いますので、御提案を受けて、さまざま研究してみたいと思います。
〇岩渕誠委員 今、財政当局からの答弁があったわけでありますけれども、最終的には、いろいろな部局にまたがりますが、建設業の働き方改革というのは主管部局がこちらになります。
 そこで、最後に県土整備部長にお伺いいたしますが、全般的に、人手不足だ、きつい、大変だというイメージを持たれがちですけれども、建設業界はなくてはならないエッセンシャルワーカーでありますし、非常に重要な産業だと思います。そうした中で働き方改革を進めていくためには、県の補助金や公的なお金が入ったところで、お願いベースにはなるかと思いますけれども、推進していく立場に立って県として指導が必要かと思いますが、県土整備部長の見解を聞いて終わります。
〇上澤県土整備部長 岩渕誠委員御指摘のとおり、地域の建設業は、地域経済を下支えする重要な産業であるとともに、近年、激甚化、頻発化する自然災害や家畜伝染病への対応、そして、社会資本の整備や維持管理の担い手として欠かすことのできない存在として認識しております。そうした中で、先ほど建設技術振興課総括課長から答弁がありましたけれども、県内建設業は就業者数の減少と高齢化が進行しているということで、今後見込まれる大量退職によりまして、担い手不足の深刻化への対応が喫緊の課題と認識しており、若者や女性等の担い手の確保、育成、そして、働き方改革の推進、生産性の向上とは必要不可欠でございます。
 県土整備部としては、直接、民間工事への指導は難しいということでありますが、いわて建設業振興中期プラン2023を踏まえまして、これは県の工事だけではなくて、民間の工事も含めての取り組みとして策定したものでありますから、まずは、県営建設工事での公共工事における働き方改革に積極的に取り組んで、こうした動きを民間工事を含めた建設業界全体に波及させ、休日が確保される業種として選ばれるよう、そういった取り組みが広く担い手確保につながるもの、あるいは、つなげていきたいという観点から、県の補助金が入る民間工事につきましても、他部局と連携して取り組むことは大切だと考えているところでございます。
〇佐々木茂光委員 私からは、近年、多発している土砂法面等の崩落と落石、その辺について、現状をどのように捉えているのか。いろいろ異常気象で、豪雨災害に起因する崩落、落石があったり、ついこの間も、台風の影響かどうか、そういった被害があって、内陸部から沿岸部に行く非常に重要な路線が、たびたびそういう状況に置かれているわけですが、この現状をどのように捉えているのか。また、それに合わせて、どのような対策を講じようとしているのか、お話をいただきたいと思います。
〇高瀬道路環境課総括課長 道路管理についてです。県では、法面等の道路施設について、豪雨等の異常気象時に対する安全性と地震時に対する耐震性に関する点検を実施しており、緊急輸送道路において、緊急度が高い要対策箇所が93カ所あると確認しております。
 このうち、令和5年度末までに国道107号遠野市下鱒沢地区など19カ所で、落石防止のための網や柵の設置等の対策を完了しています。
 今年度は、国道340号陸前高田市銭洞地区など13カ所で緊急輸送道路の要対策箇所の対策を進めており、4カ所で対策を完了する予定です。
 引き続き、道路利用者の安全確保に努めてまいります。
〇佐々木茂光委員 この間、崩落した国道107号の場所については、その対策を講じる前の場所だと捉えていいのですか。
〇高瀬道路環境課総括課長 令和6年9月2日に国道107号住田町世田米地区において落石による全面通行どめが発生しました。現在は応急対策として大型土のうを設置し、片側交互通行の上、転石の除去や破損した落石防護ネットの補修などを進めているところです。
 こちらにつきましては、対策前というか、点検時にはまだ要対策という結果にはなっていなかったところでありまして、その後、新たに対策が必要となったところでございます。
〇佐々木茂光委員 実は、そこの箇所は、落石注意という看板が早い時期から立っています。あそこを通行する人たちが、落石注意といって、ここを通っていいのかと。看板も大分古くなりました。恐らく大分前から立っていたのだと思うのですけれども、道路に対して少しオーバーハングしている状況に見えるところも見受けられるのですが、調査は定期的にするものなのか、パトロールをしながらということになるのか、実際に現場の法面を上がっていって崩落箇所から調査するものなのか、その辺はどういう形ですか。日常のパトロールを恐らくされていると思うけれども、崩れる元は山の中にあるから、その辺、どのような方法で調査されているのか。
〇高瀬道路環境課総括課長 佐々木茂光委員御指摘のとおり、日常の道路パトロールにおいて、通常の法面の点検、落石の有無等は確認しているところですけれども、やはり山の中にございます。こちらにつきましては、平成8年から9年にかけての道路防災総点検、また、平成19年度にはその再点検、平成23年、24年度には緊急点検、平成28年度にも再点検、直近では、平成30年度に過去の点検結果を再調査するということで、定期的な点検を行っておりまして、おおむね10年以内には見直しを行っている状況でございます。
〇佐々木茂光委員 地元というか、そこを通行する人たちにしてみれば、一日でも早くそういった対策を講じていただきたいという思いがあると思うのです。今の国道107号の話になりますと、ここ何年かで確かにネットを張っていただいたりとか、外れているところを落としてもらったりして対策を講じていただいておりますことに対しては、非常にいいことだと思います。
 ただ、私が今、言っているのは、道路管理者としてそういった状況が果たしていつまでもあっていいものかということなのです。このごろ、気仙地域だけでなく県内どこを見てもそういった箇所があって、地震が頻発している、豪雨災害が続く、そういう状況が条件的に重なって崩落したり落石したりということに結びついているのかと思うのです。
 崩れないと直さない、原則はそういうことになるでしょうけれども、頻発して出てきていることに対する先んじた対策は必要ではないかと思うのです。その辺のこれからの取り組む姿勢や考え方について、私は気仙地域のことだけを言っているのではなくて、岩手県内どこをとってもそういう箇所が散見されるので、ここは、何らかの見直しをする形で、先んじた対策を講じていくべきではないかと思うのですが、その辺についての御見解はいかがですか。
〇高瀬道路環境課総括課長 現在の落石対策等につきましては、点検結果で要対策となったところを中心に進めておりまして、佐々木茂光委員の御指摘のとおり、予防的なところまでは手が回っていない状況ではございます。
 今年度も補正予算を含めて11億円の予算で執行しているところですけれども、これらの法面対策には多くの予算が必要であるということで、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策等の国費を最大限活用しているところです。これらを進めるためには、公共事業予算の安定的な確保が必要であるということで、必要な予算の確保を進めていくように、当初予算で別枠で確保するように国に対しても要望しているところでございます。できるだけそういった箇所が早期に解消できるように努めてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 落石注意という看板を皆さんも恐らく目にすることがあると思うのですけれども、あれはどういう状況のところに立てて注意喚起するものなのですか。
〇高瀬道路環境課総括課長 落石注意の看板でございますが、明確な基準はないのですけれども、過去にそういった落石事例があったところ、あるいは、点検や日常の目視等で、石が浮いている、木の根が出ているといった状況が見られた場合には、簡易的な看板を立てた後に、しっかりとした常設の標識、看板を設置するということで、すぐに法面対策ができないまでも、通行者の方に注意喚起をしていくということでございます。
〇佐々木茂光委員 注意して通ってくださいということでいいのですよね。それは必ずしもいい対策ではないと思います。転石だから、一つ外すと次の石、次の石という場所も恐らくあると思うので、常にパトロールにもっと力を入れて、さらに、そういった注意喚起をする。何でもそうだけれども、事が起きてしまってからでは遅いので、その辺にも力を入れる取り組みが必要ではないかと思います。
 過去に私は、国道107号線を通っていて石が転がっていて―道路の真ん中ぐらいまでにおりてきた石です。大船渡市にある沿岸広域振興局に電話したこともあります。
 あとは、それにあわせて倒木です。冬場になって風が強かったりすると、古木が折れるというか倒れてきます。ああいうものも山が見えるうちに早め早めに取り除くとか、道路面の対策をとるのも必要かと思っております。
 私も行ったり来たりしている中でそういったところが見えるので……
〇福井せいじ委員長 質疑は簡潔にお願いします。
〇佐々木茂光委員(続) 土木事務所の方とそこを歩いた経緯もあります。そういったところもあわせてできるような体制をつくっていただきたいと思います。
 次は、国道343号の件でございますけれども、ことし、去年とILC―国際リニアコライダーに関連する予算が徐々に増額になった形で今、進められております。そういう意味では、ある意味、建設の機運が上がってきているのではないかと捉えているわけでありますが、これらについて、道路を預かる県土整備部として、どのように捉えているのかお聞かせ願えればと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 ILC建設の機運の高まりの受けとめについてでございますけれども、国道343号は、沿岸地域の復興や県民の安全、安心な生活、観光振興等を支え、ILCを推進する上でも重要な位置づけを持つ路線であると認識しております。
 また、佐々木茂光委員御指摘のとおり、ILC関連予算が多く計上されるなど、ILCを取り巻く環境が変化してきていると認識しております。
 こうしたことから、国道343号の最大の隘路となっております笹ノ田峠につきまして、昨年3月に設置しました国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会において、笹ノ田峠の現道課題を踏まえた整備方針案や技術的課題などの検討を着実に進めているところでございます。
〇佐々木茂光委員 私が言いたかった受けとめはどうかというのは、これはもっと早く我々もやらなくてはならないという空気になっているのかどうかということを少し探りたいと思って、今お話をしたところです。
 確かに、いろいろな調査を進めております。この間も、9月の初めごろになりますか、ヘリコプターを使って地質の状況を確認する、調査をしますと地元の地域にもお知らせがあって、ここまで来ているのか、何のためにヘリコプターが飛んでいるのかと思いました。
 私も悪いところもあるのだろうけれども、ILCと道路は切り離して考えたほうがいいのかと。県土整備部が、ILC、ILCと言われるから道路整備がおくれているのではないのかと思ったり、ILCを絡めるような、道路に対する熱意がそちらにも移ってきております。それを感じているがために、道路を預かる県土整備部がその機運をどのように捉えているかを聞きたいところでした。
 今のお話でそのとおりなので、いろいろ調査して検討するということで、その会が催されているのですけれども、それはどこまで調査をしていくのか、どこまで検討していくのか。ILC、トンネルの位置づけそのものから調査対象になっていることと思うのですが、どこまで検討会が役割を果たしていくのかということをまずお聞かせ願いたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 先ほど佐々木茂光委員からお話がありました地質調査の状況、検討協議会の今後にについてでございます。
 ヘリコプターを用いて行う地質調査であります空中電磁探査につきましては、本年9月に現地での測定作業を行ったところでございまして、現在、取得したデータの解析などを進めているところでございます。
 今後の検討協議会では、その結果を確認した上で、その調査結果を踏まえた技術的課題の整理、整備方針案の具体的な検討を行うことを考えております。
〇佐々木茂光委員 その報告については、我々が聞くことも可能なのでしょうか。
 もう一つは、技術的なことを検討していくということは、ある程度その路線にかかわる、例えば、設計を含めて線形をどのような形にするというところまで踏み込んだ検討委員会という解釈でよろしいですか。
〇小野寺道路建設課総括課長 検討協議会の中では、有識者の方も含めまして、協議会が終わりましたらば速やかに公開するということで、先般も関係する沿線の議員の皆様には御紹介したところでございます。誤解や憶測に基づき地域に混乱を招くということで、議事の内容の透明性を確保する観点から非公開で会議は行っておりますけれども、速やかに議事の公開をさせていただいているところでございます。
 それから、ルートといいますか検討の内容につきましては、今、技術的課題を踏まえながら、どのような課題を克服していくかということで、先ほどお話ししました有識者の方々とも、助言をいただきながら検討を進めているところでございます。
〇佐々木茂光委員 当然、現地にそれをどのように生かすか、現地の調査は一番大事になってくるわけです。聞くところによると、ILCに関しては、日本としての態度も早々にはっきりしないとだめなのでないかという機運がないわけではないのでありまして、その辺に対してどう受けとめているのかと思うのですが、最後に県土整備部長から。やる気があるか、ないかだから。前にも言うように、先行して、路線と目されるところにくいでも打ったらいいのではないかと。県土整備部としてのその心意気をぜひお聞かせ願えれば。これを最後にしたいと思います。お願いします。
〇上澤県土整備部長 県が管理する道路整備の考え方につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた各分野の政策を力強く推進するためには、あらゆる社会経済活動や県民の安全、安心な暮らしを支える社会基盤を強化していくことは非常に重要だと認識しております。
 県の道路全体としての考えということで、広大な県土を有する本県にとって、高規格道路である東北道、三陸沿岸道路の縦軸、釜石道や宮古盛岡横断道路の横軸、そして、これらを補完する道路が一体となって機能するということで、岩手県新広域道路交通計画におきまして、構想路線や、国道343号を一般広域道路に位置づけたということでございますので、内陸部と沿岸部を結ぶ道路の整備、災害に強い道路ネットワークの強化に向けて、国道343号についても、きちんと調査を進めてまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 都市公園の遊び場づくり、インクルーシブ公園についてお伺いしたいと思います。
 昨年度から、県主催でインクルーシブ公園の見学会を開催していただいております。この取り組み実績をどう評価しているか。各市町村での新たなインクルーシブ公園の整備、または遊具設置の動きについてもお伺いいたします。
〇澤田都市計画課総括課長 インクルーシブ公園見学会の取り組みの評価と新たなインクルーシブ公園の整備等の動きについてですが、県内市町村の都市公園事業担当者を対象としたインクルーシブ公園の見学会については、令和5年9月に開催し、16市町に参加いただいたところです。今年度は11月に開催する予定です。
 この見学会により、県内市町村におけるインクルーシブな公園や遊具に対する理解が広がっていると評価しているところです。
 各市町村での新たなインクルーシブな公園や遊具の設置については、整備の主体や手法が市町村や民間開発者などさまざまなため、全てを承知しておりませんが、国庫補助事業等のヒアリングを通じて整備状況の共有を図っております。
 インクルーシブ遊具については、全国的にも徐々に導入事例がふえてきていると認識しており、今後、遊具の更新等を行う際には、多様な主体の意見を踏まえるとともに、インクルーシブな視点を取り入れていくことが必要であり、さまざま機会を捉えて全国の事例を情報提供するなど、市町村の理解促進に努めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 具体的な事例というのは、把握されていると思っていたのですけれども、ないということですか。
〇澤田都市計画課総括課長 具体的には、従来どおり、宮古市のうみどり公園や、一関遊水地記念緑地公園などといったところに設置しておりまして、新たに設置されているところにつきましては、吉田敬子委員から前に御紹介がありました、盛岡市都南地区の岩手飯岡駅前の都市公園に設置しているという情報をいただいております。
〇吉田敬子委員 盛岡市で今年度整備し、来年度使えるようになるということです。小さい公園ですけれども、盛岡市では初めてインクルーシブ遊具を設置していただけるということを私も最近知りまして、ぜひそういった点についても共有しながら、御答弁いただけるのかと思っていたのであえて聞いたのですけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
 33市町村のうち延べ18市町が参加しているということで、33市町村全てがこの見学会に参加していただけるように、これからもお願いしたいと思っております。
 本県には四つの都市公園があります。県庁の前の内丸緑地、花巻広域公園、御所湖広域公園と陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園です。2022年に成立したこども基本法において、児童の権利に関する条例の精神にのっとり子供施策を総合的に推進することとされていまして、都市公園の遊び場は子供の遊びの確保を提供し、子供の成長を支える役割の一端を担っています。誰もが遊べる、いわゆるインクルーシブな遊び場の整備が求められているという観点から、本県の都市公園の遊び場について、老朽化に伴う整備をその都度、少しずつはやっていただいておりますけれども、その整備状況と課題を県としてはどう捉えているかお伺いいたします。
〇澤田都市計画課総括課長 都市公園の遊び場における老朽化等に伴う整備状況と課題についてでございますが、4カ所の県立都市公園のうち、遊具が設置されている花巻広域公園と御所湖広域公園では、いずれも供用から40年以上が経過し、施設の老朽化による維持管理と県民ニーズを反映した利活用の両立が課題と認識しています。このため、岩手県公園施設長寿命化計画に基づき、施設の修繕や更新を行っているところです。
 今年度は、施設の老朽化により使用に影響が生じている花巻広域公園のテニスコートや御所湖広域公園の木製遊歩道の更新工事等を実施しております。
 今後は、御所湖広域公園のローラー滑り台など、大型遊具が一斉に更新時期を迎えることから、更新整備を計画的に進めるとともに、インクルーシブな視点や来園者のニーズを踏まえた整備に努めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 築40年ということで、老朽化に伴う整備が必要なことと、時代に合わせた都市公園の整備という観点が必要だということは、これまでもお話しさせていただいております。例えば、お隣の宮城県は、昨年度から県立都市公園でプレイパークを開設しております。これは利府町にある加瀬沼公園で、私もことし見てきました。プレイパークは、全ての子供が自由に遊ぶことのできる遊び場ということと、プレイリーダーを、毎日ではなく月1回だとか置いていただいている、こういった時代のニーズに合わせた公園整備を他県でされております。
 他県では、公園部局と福祉部局が共同で整備している事例などもあって、ぜひ参考にしていただきたいと思っておりますし、県土整備部では、これまでも人口減少対策につながる取り組み事例をまとめていただいて、県民の皆さんにも広く、子育て支援を頑張っています、頑張りますとお示しいただいておりますけれども、その中にぜひ、インクルーシブの視点についても、さらに強化していっていただきたいと思っております。
 子供を初めとした多様な主体に意見を聞いて、遊び場づくりをともに進めていくことが重要だと思っておりますけれども、これまで都市公園においての利用者のアンケート調査等をしたことがあるのか。もししていないのであれば、したほうがいいと私は思っておりますけれども、所感と今後の方針についてお伺いいたします。
〇澤田都市計画課総括課長 多様な主体の意見を踏まえた遊び場づくりでございますが、国土交通省が作成した、みんなで育てる都市公園の遊び場づくり参考事例集において、インクルーシブな遊び場をつくるに当たっては、子供を初めとした多様な主体に意見を聞き、遊び場づくりをともに進めていくことが重要としており、多様な主体の意見を踏まえながら整備することが必要であると考えています。
 現在、御所湖広域公園では、遊具などの施設の更新に当たり、県民ニーズを反映した施設整備のあり方や公園施設の利活用の方向性の検討を行っており、公園利用者を初め、多様な主体の意見を把握する調査を実施しているところです。
 今後とも、多様な主体の意見の把握に努めながら、計画的な施設整備と適切な維持管理に努めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 そのアンケートは、多様な主体の中に具体的に子供を対象にしてとっているということでよろしいですか。
〇澤田都市計画課総括課長 アンケートというよりは、聞き取りやヒアリングなど、アンケートも含めて関係する機関、多様な主体に意見を伺うということで、子供も含めてそういったことに取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 インクルーシブな視点となった場合、他県だと特別支援学校に通う子供たちの世帯にもアンケートをしていまして、例えば、福岡市だと、約38%が行かない。なぜかというと、なかなか遊べる遊具がないという調査結果も出ておりまして、多様な主体の中に特別な支援を要する児童生徒、御家庭も入っているのか確認したいと思います。
〇澤田都市計画課総括課長 ヒアリングの候補先につきましては、現在、検討中でございまして、吉田敬子委員の御意見、御指摘を踏まえまして検討していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 宮古市のうみどり公園は、県内の中ではインクルーシブな遊具だけではなく、しっかり公園という形で整備されていて、障がいがあっても遊べる遊具がたくさんあります。障がいがあっても宮古市に行っているという盛岡市に住んでいる御家庭もいらっしゃいまして、そういう方々の声を実際に聞いた上で、ぜひ整備の検討をしていっていただきたいですし、新たに遊具などを設置するだけではなく、時代に合わせたという点で、ぜひ声を拾っていただきたいと思っております。
 小野寺まちづくり担当技監にもお伺いしたいのですが、今回のインクルーシブ遊具の見学会をしていただくときに、ちょうど都市計画課総括課長をしていただいておりました。今、まちづくりと一体となった都市公園のリノベーションを全国でも、盛岡市も含めてですけれども、やっておりまして、時代背景に合わせた都市公園をまちづくりとしてやっていくという観点で、ぜひ県土整備部は進めていっていただきたいですし、その中で子供政策、こども基本法にのっとって、声もしっかり反映して整備に努めていっていただきたいと思っておりますけれども、まちづくりと都市公園という観点からの御所見について、お伺いできればと思います。
〇小野寺まちづくり担当技監 公園整備におけるまちづくりと子供の成長などに関する施策についてですけれども、まず、子供が公園で遊ぶといったときには、いろいろな遊具を通しまして実体験で成長の機会を与える。楽しさや、それとあわせて、心、遊具を譲り合ったり、我慢して次の人に渡すというところを学ぶ機会でもあるかと思いますので、公園はそういう場の提供に非常に重要な役割だと思います。
 また、まちづくりの観点で見ると、まちの拠点、人が集まる場所や地域のほかから人を呼び込む場所としての使い方もできるかと思いますので、こういった視点を持って進めるといった中で、先ほど吉田敬子委員から御指摘があったとおり、多様な主体に意見を聞く、当事者としての声を聞くといったところは、その方々の参画にもつながりますし、意見を反映していくといったことにつきましては、公園を自分事として思ってもらって、その公園を長く使ってもらうということが非常に大切かと思います。
 そういった年代を超えて活用をすることによって地域が活性したり、地域の資源にその公園がなるという見方もできるかと思います。それが最終的には、いつまでも使ってもらえる、人口減少対策や若者の支援にもなるかと思いますので、そういった視点のまちづくりにつきましては、これからもいろいろな事例を踏まえながら研究してまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 ぜひ多様な主体の声を聞きながら、まちづくりの観点で都市公園の整備を進めていっていただきたいと思っております。子供だけではなく多世代が集う場所である公園ですので、子供だったり、子育ての世代だけではもちろんありませんけれども、今、安全で安心に過ごせる多くの居場所が屋内でもあって、屋外でも必要な時代になっていて、特に子供の多様な体験活動や外遊びの機会を提供できるという意味では、都市公園がすごく重要な場所の一つであると私は思っております。ぜひ多様な主体の中にインクルーシブの視点も踏まえて声を反映できる都市公園の整備を目指していっていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 それでは、最初に、重要港湾におけるコンテナの取り扱い等について、まず数字を確認したいと思います。釜石港が大分盛況を呈しておりまして、新たな航路もことし4月から開設されたということですので、その点も踏まえるためにお知らせをいただきたいと思います。釜石港、大船渡港別に令和3年、4年、5年6年の前期、あとは6年の見込みについてもお知らせください。
〇伊藤港湾空港課総括課長 コンテナ取り扱い貨物量についてでありますが、釜石港は、いずれも空コンテナを除く実入りでございますが、令和3年が5、357TEU、令和4年が5、195TEU、令和5年は速報値で4、399TEU、令和6年前期は速報値で2、511TEUとなっております。令和6年全体の見込みは、直近の貨物量動向を考慮しますと、4、600TEU程度と推計されます。
 また、大船渡港は、令和3年が3、352TEU、令和4年が2、995TEU、令和5年は速報値で3、468TEU、令和6年前期は速報値で1、893TEUとなっており、令和6年全体の見込みは3、800TEU程度と推計されます。
〇飯澤匡委員 実入りに関しては、期待されているより数字が伸びていない気がするのですけれども、これはどのように分析していますか。
 意外と大船渡港の需要が非常に安定しているという印象ですが、これについての分析もあわせてお願いします。
〇伊藤港湾空港課総括課長 コンテナ航路につきましては、本年6月に釜石港に新たに国際フィーダー航路が定期就航されるということで、航路の本数はふえたところでございます。そういった中で、貨物については、ポートセールスの成果によりまして新たな荷主を確保するといったことがあるわけですけれども、逆に、他県の港湾に移るといった状況も起きております。ですので、ポートセールスの取り組みは継続的に必要なところがございます。
 大船渡港については、これもフィーダー航路で入ってきますが、住宅用資材の移入が堅調でございまして、順調に数字がふえているということもあって、年々、少しずつ数字が伸びているという状況でございます。
〇飯澤匡委員 各地、また各港、東北地域でも綱引きをやっているわけで、せっかく岩手県は打って出ると知事も言っているわけですから、それなりの成果を上げていかないといけないと思っています。
 関連して質問しますが、本県におけるコンテナに仕上がっていない、CYではないLCL貨物がどのような各港に行っているか。仕向け先と通関の動向について、どのように把握されているかお知らせください。
〇伊藤港湾空港課総括課長 本県におけるLCL貨物、複数の荷主の貨物で1本のコンテナを仕立てる、いわゆるコンテナ混載貨物についてですが、国が令和5年11月の1カ月を対象に実施した全国輸出入コンテナ貨物流動調査の結果が本年7月に公表されております。これによりますと、本県で発生する貨物で、海上コンテナによって輸出された貨物は1カ月間で約1万4、000トンあり、そのうちLCL貨物は230トンで、構成割合は1.6%との結果が出ています。
 LCL貨物だけを取り出した仕向け地はわからないですけれども、コンテナ貨物全体では、アジア向けが約77%、ヨーロッパ向けが約16%となっているところでございます。
〇飯澤匡委員 そのデータはどういう根拠に基づいているか。潜在的には、掘り起こせばまだまだ貨物は出てくると思いますし、ポートセールスに当たっても、コンテナ1本ごとに回してくださいという通常どおりのやり方ですけれども、貨物をどのようにして岩手県の港に集めるかという努力も本県は戦略的に考えていかなければならないと私は思っております。
 いずれにいたしましても、岩手県の場合は輸入貨物が少ないということがこの間の決算特別委員会でのお話で出ていましたので、輸出、輸入ともあわせて、さまざまな戦略が必要ではなかろうかと思っております。これは各部局にまたがっておりますので、今後もさまざまなことも提案をさせていただきたいと思います。
 次の質問ですが、先ほど佐々木茂光委員からもお話がありました国道343号の新笹ノ田トンネル実現に向けた動きについて。先ほど少しお話がありましたが、最新の検討会議の内容について。
 あわせて、先ほどお話がありましたように、空中からの調査は何のために行ったのか。この目的と調査の結果をどのように生かそうとしていたのか、目的、内容についてお知らせください。
〇小野寺道路建設課総括課長 国道343号笹ノ田峠における検討協議会の内容についてでございますけれども、本年7月31日に開催いたしました第3回国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会におきまして、昨年9月に開催いたしました第2回検討協議会の意見を踏まえ、冬期交通の課題、道路利用者の声などを確認し、冬期間の安全確保や東日本大震災津波伝承館などへの安全で円滑な観光ルートの確保が課題であることを再確認したところでございます。
 また、整備方針案の検討も行いまして、長大トンネルを含む現道南側のバイパスルートが優位であるとは考えられるものの、複雑な地質の課題が確認されていることから、広範囲に地質の状況を調査できる空中電磁探査により地質状況をよく調べる必要があるとの有識者からの御意見をいただいたところでございます。
 それから、地質調査の状況、目的、その結果をどう生かすかということでございますけれども、有識者より複雑な地質の課題が確認されており、その調査方法についても、地質状況をよく調べる必要があるとの意見をいただき、本年9月、電磁センサーをつるしたヘリコプターを利用して、空中から広範囲の地質を調査する空中電磁探査を行ったところでございます。
 これにつきましては、土地の立ち入りを要さずに広範囲の調査を速やかに行うというようなスピード感にも意を用い、調査方法を有識者、あるいは国の助言等を受け、県内の道路事業では恐らく初めてだとは思うのですが、新たな技術も導入しながら、早くできる方法はないかということで実施したものでございます。
 この結果につきましては、取得したデータの解析を現在進めておりますけれども、今後、必要な整理をしていきまして、技術的な課題の克服に向けて検討協議会で取り組んでまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 ただいま解析の作業を進めているということですが、次の検討会議については速やかに開催されて、課題のさらなる洗い出しをするという作業になろうかと思います。これはいつごろをめどにやる予定ですか。
〇小野寺道路建設課総括課長 次回の検討協議会の開催についてでございますけれども、第3回の検討協議会でいただいた意見を踏まえまして、今回の空中電磁探査の結果の解析を進め、一定程度、解析に時間は要しますけれども、その結果で技術的課題のさらなる検討を進める必要があります。現時点で次回の検討協議会の開催時期を明確にお示しすることはできませんけれども、できる限りデータの解析、それから、検討協議会の開催に向けて、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 調査の前提で、かなり入り組んだ地質があるということを話し合いしているわけですが、その後に導き出される答えというのは大体見えた中での調査だと思うのです。これをどう導いていくか、県土整備部として実現に向けた戦略的な流れをしっかりしておかないといかんと思うわけですが、その点について、現時点でどういう考えで実現に向けて進もうとしているのか、まさか後退するためにやっているわけではないと思いますから、進もうとしているのか、そのお考えを示していただきたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 検討協議会の進め方につきましては、飯澤匡委員からお話があったように、複数の断層と確認されている複雑な地質であるという地形でございますので、これらの調査の結果を踏まえまして具体的な検討を進めるということで、検討協議会の進め方につきましても、繰り返しにはなりますが、現時点で検討に要する期間をお示しはできませんけれども、手戻りなく着実に検討を進めるという考えでございます。
〇飯澤匡委員 検討ばかりやってもしようがないので、その方針のもとにどうやって進めるかが大事ですから、その点を聞いているのです。
 あわせて、東北地方整備局の動きについて。国からの財源を補助してもらわないとどうにもならないというのは今の時点でもわかるわけですから、その点をどういうふうに県土整備部は戦略的に、言える部分と言えない部分はあるかもしれませんけれども、財源の確保を目的にした上で、恐らく今の調査事業もやっていると思うのですが、その点について、どういう方針なのか示していただきたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 国道343号は、御承知のとおり、道路管理者は県であるということで、検討協議会は県が主体となって開催しておりますけれども、交通や法面防災の専門家に委員として参画いただいているほか、南三陸沿岸国道事務所の方にもオブザーバーとして参加していただいております。
 また、飯澤匡委員御指摘のように、予算、事業費の確保も大事な観点でございます。それにつきましては、国に対して調査検討に必要な支援をということで、具体的には、先ほどお話ししたように、国にもオブザーバー参加いただきながら、国費の確保等につきましても、この事業箇所以外についても、道路事業、あるいは公共事業予算全体に対して、安定的な持続的な国費の確保を政府要望等、機会を捉えて国に要望しているところでございます。
〇飯澤匡委員 後段の部分の広範な部分ではなくて、国道343号に特化して聞いているわけですから、その点はきちんとフォーカスして答えてください。
 最後に、この件について県土整備部長の方針、ただ単に復興支援道路でやっていますからということではなくて、こうして研究会まで進めているのだから、その実現方針をしっかり示していただきたいと思いますが、いかがですか。
〇上澤県土整備部長 国道343号につきましては、技術的な課題等も非常に大きいし、難しい中身につきまして有識者の先生方からも指摘されているということで、こういった今回の電磁探査の調査等もやっているところでございます。事業規模等も相当大きくなっていくことも想定されますことから、そういった予想される技術的課題につきましては、ステップを踏みながら、調査の熟度を少しずつ高めながら考えていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 いずれ実現に向けた動きと捉えていますし、今回の空中からの調査については、県が独自のお金でやるということなので、それは評価しますが、しっかりと前に進めるようにちゃんとお願いしたい。ちょっと乱暴な言い方だけれども、お願いしたいと思います。
 最後に、道路の側道環境整備についてお伺いします。
 例を挙げますと、国道4号の水沢バイパスを通って、水沢インターチェンジから乗ってくるのですけれども、国道4号水沢バイパスの雑草繁茂がひどくて、一年中放置されているわけです。以前であれば、国道についても地域の人が環境整備と称していろいろな活動をしているわけですが、市街地から少し離れていることもあるし、なかなかそうは至らないというのは今の社会の現状でもあると思うのですが、いかんせん、365日ずっと放置されているものですから、県外から来た人であるとか、非常に印象がよくないと思うのです。この環境整備の主体は、国道4号でありますから国であるのでしょうけれども、こうしたものを地域とともにどうやって解決していくのか。それはどうやったらいいのですか。改めてお伺いしたいと思います。
〇高瀬道路環境課総括課長 国道の側道の環境整備でございます。国道の側道の管理ですけれども、一般的には国道の管理者が管理する場合と、市町村が管理する場合があり、飯澤匡委員御指摘の水沢バイパスの側道については、奥州市が管理していると承知しております。
 側道の環境整備については、国道管理者と側道管理者との間で除草などの環境整備に関して取り決めており、水沢バイパスの側道については、側道の民地側の除草を奥州市、バイパス側の除草を国が行っており、国はバイパス側の路肩の除草を年に1回以上行っていると伺っております。
 県としましては、地元の声に耳を傾け、必要な情報を各管理者へ届けるように努めていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 やっているようには見えないのですけどね。わかりました。国道4号、1桁国道についても、今、このような答弁があったということでよろしいですか。再度確認をさせていただきます。
〇高瀬道路環境課総括課長 1桁国道全般において、基本的には、道路本線は国土交通省ですし、側道については、一般的には市町村が管理しているという中で、その中間部分といいますか、側道部分と本線部分の間は国土交通省が管理しているということです。国土交通省におきましても、車両や歩行者の通行に支障がある部分につきましては、年に1回以上刈っているというところですが、それ以外の部分につきましては、より状況が悪化した場合には刈ると聞いております。
〇飯澤匡委員 歩道と国道との間に外来種の草が出ているわけです。これは奥州市が管理をするということでいいのですか。
〇高瀬道路環境課総括課長 国道4号の歩道と車道の間の管理は、当然、国道ですので国です。本線と側道の間は、あくまでも国が管理している。さらに、側道から民地側、商業地であったり、田んぼであったり、そちらについては、管理している市が草を刈るという状況でございます。
〇畠山茂委員 道路整備の優先順位についてと、もう一点は、土砂災害警戒区域の対応について伺いますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、道路整備の優先順位について、この事項は令和6年度の新年度の予算特別委員会でも取り上げました。答弁を読みますけれども、防災対策や産業振興など幸福の追求を支える社会基盤が整っている岩手の実現に向けて、災害に強い道路ネットワークの構築や日常生活を支える安心、安全な道づくり、都市化や主要な観光地を結ぶ道路の整備を進めていくこととしており、道路整備の優先順位については、いわて県民計画(2019〜2028)等を踏まえながら、公共事業評価制度に基づき、必要性、重要性、緊急性、効率性など事前の評価を実施した上で公共事業予算の動向を見極めながら総合的に判断していきますという答弁でした。
 そこで、先ほどの議論もありましたけれども、人口減少と少子高齢化によりまして、まず、小中学校の統廃合が進んでいます。そこで起きている現象は、スクールバスで片道45分から1時間かけて、左側は崖で右側は川といった狭隘な曲がりくねった道を子供たちが通っている現状があります。岩手県の子供たちのためにも、スクールバスの道路整備は優先度が高い喫緊の課題だと考えます。ぜひとも地元市町村と情報共有しながら、スクールバスの路線整備を進めてほしいと考えるわけでありますけれども、道路整備の優先順位について、県の認識をお伺いいたします。
〇小野寺道路建設課総括課長 道路整備の優先順位についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)等を踏まえながら、公共事業評価制度に基づきまして、スクールバス等の通学に関しての利用状況など、路線の役割を踏まえた重要性、必要性、緊急性、効率性など事前の評価を実施した上で、さらに、用地課題や事業実施の環境、あるいは公共事業予算の動向等も見極めながら、総合的に判断しているところでございます。
〇畠山茂委員 予算特別委員会と同じで、総合的に判断をしていくという答弁でございました。教育委員会としてもスクールバスが通る路線は通学路ではないという認識だということで、なかなかここが難しいのです。通学路であれば、きっと安心、安全のために優先的に道路整備を進めると思うのですが、スクールバスだからゆえに一般道路とみなされて、進まない。でも、そこには片道45分から1時間かけて行く。人生を振り返りますと、小中学校の時間は貴重です。その後の将来の人生を左右するような貴重な時間を、片道それだけの時間を負担するというのは、私はかわいそうだと思います。
 今回、私が念頭に置いて質問しているのは、岩泉町の大川釜津田地区、宮古市の重茂半島が今、そういう状況で児童生徒が通っているわけであります。早急な道路整備が必要、あるいは、大規模改修が難しくても退避場所をところどころつくる、木を少し伐採して見通しをよくするなど、さまざまな対策もぜひ行っていただいて、子供たちを教育できる環境に配慮していただきたいと思うのですが、改めてそういった視点での再質問させていただきます。
〇小野寺道路建設課総括課長 お話のありました岩泉町、あるいは宮古市のスクールバス路線の課題については、市町村要望などの機会を通じて、市町と情報共有をしているところでございます。お話のありました岩泉町内の県道におきましては、現在、大川松草線の本町−大広工区などが事業中でありますが、それ以外の未改良区間の2車線改良整備ができないところでも、地域から意見を聞きながら、例えば、路肩に敷砂利を敷設しまして待避スペースをつくったり、あるいは、安全な通行の支障となる樹木の伐採など、バスの運転手にも話を聞きながらやっているところでございます。
 引き続き、市町とも情報共有しながら、事業中工区の整備を推進するとともに、安全な通行の支障となる樹木の伐採などの取り組みを進めまして、スクールバス等の安全な通行を確保していきたいと考えております。
〇畠山茂委員 道路整備は先ほども議論があったとおり、本当に予算が少ない中で、県内に期成同盟もたくさんあって、大変なところだとは思いますが、ぜひ教育、子供の観点からも配慮していただきたいと思います。
 二つ目の質問に移ります。土砂災害警戒区域の対応についてであります。
 近年は線状降水帯などによる大雨が全国各地で発生をしております。昨日もニュースでは宮崎県で発生したということで、いつどこで被害が発生するかわからない状況にあります。
 10月20日の朝日新聞に岩手県内の土砂災害への対応記事が載っておりまして、土砂災害警戒区域の指定は、県内1万3、305カ所で、東北地方で一番多いということで、さらに国土交通省の通知で、再調査をした結果、新たに来年度以降9、992カ所を追加する方針とされています。一番多いのは、市町村でいうと一関市、2番目が宮古市と続きます。県では、災害、危険が迫っている箇所を優先的にハード整備を進めていて、新聞等を見ますと、年間60億円の予算を計上して取り組んでいる。また、ソフト面では、がけ崩れ危険住宅移転促進事業による住宅移転に県は独自の上乗せをして、1戸当たり最大で582万円の補助をしていますと。ただ、読むと、2016年以降実績はゼロということになっておりました。
 そこで、岩手県民の生命と財産を守るために、土砂災害警戒区域について、ハード面、ソフト面において、取り組みの成果と今後の課題をどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇君成田砂防災害課総括課長 お尋ねのありました、取り組み成果と今後の課題についてでありますが、ハード事業について、令和5年度は、令和元年東日本台風などで被害がありました箇所において、砂防施設等62カ所を整備しているところでございまして、宮古市高浜の沢(2)地区など13カ所が完成したところでございます。
 なお、令和6年8月の台風第5号では、岩泉町松橋川砂防堰堤などにおきまして土石流、流木等を捕捉し、下流への被害防止に効果を発揮したところでございます。
 今後のハード事業については、要整備箇所数が、新聞報道でもありましたとおり、4、021カ所と非常に多く、膨大な時間と費用を要することから、要配慮者利用施設など保全対象の重要性や緊急性を踏まえて重点化を図りながら計画的な整備を進めていくところでございます。
 次に、ソフト事業についてですが、令和5年度は、土砂災害警戒区域の指定に向けた基礎調査1、509カ所や土砂災害警戒区域危険標識の設置69カ所などを実施したところでございます。
 また、復興防災部所管の岩手県風水害対策支援チームの構成員として、会議の中で土砂災害に関する情報共有等を図りながら、迅速な避難につながるよう取り組んだところでございます。
 今後の課題についてでございますが、県内には、畠山茂委員御指摘のとおり、1万3、305カ所の危険区域がございまして、さらに、高精度な地形情報を用いて抽出しました、新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所9、992カ所が加わり、土砂災害のリスク箇所は約2万3、000カ所と大幅に増加したところでございます。
 このため、引き続き、土砂災害から県民の生命、財産を守るため、復興防災部、市町村と連携のもと、最大限国庫補助事業を活用しながら、ハードとソフトを効果的に組み合わせた防災、減災対策を推進していきたいと思っております。
〇畠山茂委員 今後のハード面の部分をお聞きしたいのですけれども、先ほどの説明ですと、重要地域が4、021カ所あり、手がついているのが1割ぐらいということです。先ほどの予算の関係も絡んで大変だと思いますが、この整備に当たっては、中長期的な計画等はできているのか、それとも、あくまでも予算を見ながら、年次年次で対応していくのか、そういった計画があるのかどうかお聞きしたいと思います。
〇君成田砂防災害課総括課長 整備計画についてのお尋ねがございました。先ほども答弁しましたとおり、5戸以上の保全人家があるところが要整備箇所という位置づけでございます。これについての優先整備の考え方は、市町村の意見を十分聞きながら、危険な箇所に対してその都度要望等も捉えなら整備していくということで、いわて県民計画(2019〜2028)も見ながらやっているところでございます。
〇畠山茂委員 そうすると、計画はなく、都度都度の要望の状況を見ながら手を打ち続けていくということで、わかりました。
 最後に、先ほども説明があったとおり、県内2万3、000カ所を超える警戒区域がふえて、東北地方で一番危険な状況に今あります。そこで、多発する集中豪雨に対して、県民の生命と財産を守る上で復興防災部も同じような役割があるわけでありますけれども、復興防災部とどのような連携を図ってこれから取り組んでいくのか、最後にお聞きしたいと思います。
〇君成田砂防災害課総括課長 復興防災部との連携についてでございますが、先ほど答弁しましたことも含まれますけれども、豪雨が多発している状況を鑑みまして、岩手県風水害対策支援チームの構成員として適切な土砂災害に関する情報を提供するほか、ハザードマップが避難のためには重要なツールだと認識しておりましたので、そういった情報を復興防災部にも提供しながら、県民の安全、安心に寄与していくと考えております。
〇佐々木宣和委員 先ほど飯澤匡委員からもありましたけれども、港湾活用に係るところで伺います。
 まず一つ目、いわて県民計画(2019〜2028)事業実施状況報告書の171ページ、172ですけれども、港湾取り扱い貨物量、目標517万トンに対して455万トン、D評価というところと、コンテナ貨物取り扱い量、目標が1万1、000TEUに対して7、867TEU。理由として、県内の紙、パルプ関連工場の一時的な生産停止、北米、欧州の仕向け先工場の閉鎖等が重なったということですけれども、今後の目標、令和8年度に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
〇伊藤港湾空港課総括課長 港湾取り扱い貨物量の目標達成に向けた取り組みについてでありますが、令和5年の港湾取り扱い貨物量は、荷主企業の生産活動等の影響によりまして、前年実績に比べ3%程度減少したところです。このうちコンテナ取り扱い貨物量については前年実績とほぼ同量の結果でございました。
 どちらも目標値を下回っておりますが、特にコンテナ取り扱い貨物量に関しては、県内港湾への利用転換を図ることを目指して設定した目標値を大きく下回る結果となっております。
 これまで県では、港湾所在市等と連携した企業訪問や、首都圏に本社を有する荷主企業、船会社等に向けて県内港湾の利用を呼びかける、いわてポートフォーラムin東京を実施するとともに、本年8月には、内陸市町の企業誘致担当者などを対象とした、“いわての港湾”利用促進セミナーin盛岡を開催し、内陸に立地する企業にとっても県内港湾利用のメリットがあることをPRしたところです。
 今後も、物流の2024年問題への対応等により、陸上輸送から海上輸送への転換が進むものと認識しておりますので、これを好機と捉え、目標値の達成に向け、県内港湾の利便性等について一層の理解が深まるようポートセールスに取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 何とか頑張っていただきたいというところですけれども、余り言うのもあれですが、宮古−室蘭フェリー航路が休止になったときも、何かできたことがなかったのかと思ったりして、関係部局と連携を図りながら、しっかりと取り組んでいただいて、数字を上げていただくような形でお願いしたいと思っているところでございます。
 次に、小本川の河川改修についてでございます。6月末時点で激特事業の進捗率が85.7%、助成事業が98%でありましたけれども、台風第5号で手戻り工事が発生いたしまして、既に新聞報道もされておりますが、来年3月末、年度内での完成が難しくなったというところでございました。
 改めて、地元としては河川改修工事をやっていただいて、台風第5号で被害が軽減されたこと、本当にありがたいと思っているのですけれども、この改修事業の成果と今後の工事の見通しについて伺いたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 小本川河川改修事業の成果についてですが、令和6年8月の台風第5号により、岩泉雨量観測所におきまして、平成28年台風第10号と同規模の総降水量を観測しましたが、河川改修事業を導入し、河道掘削や築堤等を行った結果、河川の溢水等による住宅等の浸水被害は発生しなかったところであります。
 また、小本川の中流に位置する赤鹿水位観測所地点の洪水時のピーク水位につきましては、改修前の断面における水位を推定し比較した結果、25センチメートルの水位低減効果を確認するなど、河川改修の効果があらわれているものと考えております。
 次に、今後の工事の見通しについてですが、8月の台風第5号による出水によりまして、小本川及び清水川の工事箇所において、既存の護岸工や工事用仮設物の一部流出等の被害が発生し、工事の追加や手戻りが必要となったことから、今年度内の完成が困難となったところでございます。
 現時点で全ての工事の完成時期をお示しすることは難しい状況ですが、引き続き、工事工程の再精査や施工方法の再検討を行い、一日も早い完成に向けて取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 あれから8年以上たって、来年の8月30日には9年目というところでありまして、何とかそれまでに完成していただけるといいのかと思っています。ことしも成果という形で聞いているわけですけれども、実は去年もお盆の時期に大きな台風、豪雨災害があって、毎年のように豪雨災害があるようなところです。一日も早く完成して、みんなで万歳がしたいところでもありますので、よろしくお願いいたします。
 そして、防災、減災対策ですけれども、平成28年台風第10号災害の経験から、これまでもさまざまな取り組みをしてきたところでございまして、令和2年からは流域治水に取り組みまして、毎年の予算のときの知事演述でもキーワードになっております。何度か質問しておりますけれども、改めて、平成28年台風第10号災害の前から水位周知河川の指定、カメラ等についてというところ、浸水想定区域図、また、水位計、タイムラインの運用について、あれからどのくらい地域をカバーできるようになったのか示していただきたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 平成28年の台風第10号を踏まえたソフト施策の取り組みについてですが、水位周知河川の指定などのソフト施策については、国、県、市町村等で構成する大規模氾濫減災協議会におきまして減災の目標を定め、計画的に取り組んできたところです。
 台風第10号災害が発生しました平成28年度末時点から現在までの県管理河川313河川における各取り組みの状況についてですが、水位周知河川につきましては、28河川32区間の指定でございましたが、現在は46河川59区間の指定となっており、令和7年度末までには累計で52河川67区間を指定し、引き続き、指定拡大に向けた検討を行ってまいります。
 水位周知河川の指定と合わせて実施します河川監視カメラの設置につきましては、2河川3カ所でございましたが、現在は72河川155カ所となっているほか、市町村とのタイムラインにつきましては、水位周知河川指定済みの全46河川、31市町村で作成済みでございます。
 想定最大規模の降雨に対応する洪水浸水想定区域につきましては、未指定でございましたが、現在は128河川を指定しており、令和7年度末までに、住宅等の防護対象のある全294河川の指定を完了させる予定でございます。
 水位計につきましては、58河川84カ所の設置でございましたが、現在は281河川472カ所となっており、沿川に集落がある河川については、おおむね設置済みとなっております。
〇佐々木宣和委員 何度か伺っていて、私も県政報告でまとめて資料をつくったこともあるのですけれども、進捗が図られて少しずつ数字が積み上がっていくと精神衛生上もいいのかと思いますし、毎年これだけ豪雨災害がありますので、これを使って、しっかり地域の防災、減災、それぞれの人の意識にも生かしていければというところでもございます。
 次に、河道掘削に関して伺いたいと思います。
 河道掘削、立ち木伐採の状況について、予算と、面積は難しいという話をされていましたので箇所数と、また、立ち木伐採に県民税などが使えないのかという話もいただいておりますけれども、この点について伺います。
〇馬場河川課総括課長 河道掘削と立ち木伐採の状況についてでありますが、県では、平成28年台風第10号による被害を受けまして、平成29年度から令和3年度までの5年間で、国費等を活用しながら、事業費約74億円により河道掘削を114河川において、立ち木伐採を74河川において実施したところございます。
 令和4年度からは、頻繁に発生する洪水による河道の状況変化に応じまして、あらかじめ実施箇所を限定せずに機動的に対応することとしまして、令和4年度は約4億円により22河川で、令和5年度は約9億円により37河川で河道掘削等を実施したところでございます。
 次に、いわての森林づくり県民税の活用についてでございますが、豪雨災害の激甚化、頻発化など、制度の創設時から取り巻く環境は大きく変化していることから、所管する農林水産部を中心に、使途の拡大に向けた具体的な検討が進められていると伺っており、関係部局と連携しながら河川の立ち木伐採に取り組み、適正な河川管理に努めてまいります。
〇佐々木宣和委員 次に、しゅんせつ事業ですけれども、緊急浚渫推進事業債が令和2年度から始まっておりまして、令和6年度までとなっております。県内自治体からは要望をもらっているところですけれども、その活用状況と効果をどう把握しているのか、要望の対応について伺います。
〇馬場河川課総括課長 緊急浚渫推進事業債の活用状況と効果についてでありますが、県が管理する一級河川、二級河川におきまして、令和2年度から令和5年度までに、事業費約9億円により河道掘削や立ち木伐採を実施したところであり、今年度も事業費約4億円により実施予定としております。
 また、市町村では、令和6年度までに18市町におきまして、一級河川、二級河川の支川等で活用されており、当事業の活用により流域全体の治水安全度の向上が図られていると考えております。
 次に、要望に対する対応についてでありますが、洪水被害の防止等に資する取り組みを推進していくため、令和7年度以降の緊急浚渫推進事業の継続、また、対象施設の拡充につきまして、国に対し、本年6月の政府予算提言・要望におきまして要望したところでございます。
 また、本年9月には、岩手県知事が会長を務めます、13県知事で構成する、命と生活を守る新国土づくり研究会におきまして、国に対し、同事業の継続や拡充を含めた提言を行ったところでございます。
 今後も引き続き、機会を捉えて国に働きかけてまいります。
〇佐々木宣和委員 最後、道路整備に関してでございます。地域連携道路整備事業費の令和5年度決算が61億円という形になっております。令和4年も61億円だったので、同様の数字というところでございます。財政的に苦しい中で同じような数字を積み上げたというのは評価できるところかと思いますけれども、ただ、構想路線、きょうもさまざま質問がありましたけれども、道路整備実現に向けては、さらに予算の確保が必要となるところでもございます。道路大会などでは、国費の確保などが必要、機会を捉えて国に働きかけていくという話をされておりますけれども、令和5年度はどのような働きかけをされていたのか伺います。
〇小野寺道路建設課総括課長 予算確保に向けた国への働きかけについてでありますけれども、令和5年度の実績といたしまして、国の概算要求前である令和5年6月、それから、令和6年度の予算編成を行う11月に、政府予算に関する提言・要望を行って、公共事業予算の安定的、持続的な確保などを国に働きかけたところでございます。
 加えて、10月には、他の都道府県と連携いたしまして、全国知事会を通じた国への働きかけを行っております。
 また、令和5年5月には知事と東北地方整備局長との懇談会の場がありまして、それらを活用しまして本県の状況を説明するなど、さまざまな場を活用しまして地域の実情を国に届けているところでございます。
 引き続き、さまざまな機会を捉えて国に働きかけて、公共事業予算の安定的、持続的な確保に努めてまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 毎年取り組んでいることを比較していくのは難しいところかと思いますけれども、例えばですが、今回、知事が市町村要望に立ち会って2年目というところで、一般質問させていただいた中で、市町村によっては要望事項を説明する際に動画を活用するなど、さまざま工夫を凝らすようになってきており、説明の手法についても質的な充実が図られてきたと感じています。市町村も毎年要望するに当たっては、その内容を質的に変えていくとか、量的にさらにふやしていくとか、そんなことを考えられているところでございますので、何とか道路整備が進むように継続して取り組んでいただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私からも、これまで質疑がありました国道343号新笹ノ田トンネルについてお伺いしたいと思います。
 第3回技術課題等検討協議会において、調査をして課題の再認識が行われておりまして、冬期交通の安全確保、現道法面の亀裂があって、それの安全対策、また、観光ルートの確保ということで、それぞれ調査やアンケートをとって、この3点が明確になったと報告があります。その上で、現道の南側のバイパスルートが整備計画案としては優位性がある。一方で、脆弱で複雑な地質が技術的課題として挙げられるということが報告されています。
 これまでループ橋の耐用年数もあるということで、どちらかというと、まだ使っていきましょうみたいな雰囲気もあったのかと思うのですけれども、このように改良すべき課題が再確認されたということで、これについての受けとめは、早急に改良すべき課題として出てきているのだという認識であるのか、また、これは技術的課題の見通しが立てば、早急に課題解決のために事業化すべきであると認識を持たれているのか、御見解をいただきたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 国道343号笹ノ田地区の事業化の必要性についてでございます。
 昨年3月に設置いたしました検討協議会においては、佐々木朋和委員から御紹介ありましたとおり、笹ノ田峠付近の現道の課題等を踏まえた対策の必要性や、対策を講じる場合の技術的な課題、効果、整備方針案を今後、取りまとめていく予定となっております。
 その後の対応につきましては、検討協議会での検討結果、それから、公共事業予算の動向等を踏まえて総合的に判断していくことになろうかと思います。
〇佐々木朋和委員 総合的に判断ということになってしまうのですけれども、課題に着目したときに、これはしばらくかかって課題を解決していいものなのか、それとも、今回、再調査をしたり、また、アンケート調査をとったわけで、この課題については放置してはいけない、看過できないような課題として県としては認識されているのか、この点について、もう一回お願いしたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 検討協議会の中で確認をいただきました課題につきましては、道路の管理の中でも適切に維持管理をしながら安全な通行の確保に努めるとともに、抜本的な課題の解決につきましては、この検討協議会の中で、どのような対策、方針案ということで今後取りまとめていくという形になろうかと思います。
〇佐々木朋和委員 なかなかこれ以上は、というところでしょうけれども、課題がこのように明確になった。今までは地元の中では、冬場は事故が多いなどと言われていたことが、実際に調べてみてこうだった、また、観光ルートとしても、アンケートをとってみて実際にこういう声があったということは重いことだと思います。これはいつまでも放置をしていい課題ではないと思っております。ぜひとも検討の速度を加速させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に行きたいと思いますけれども、今般、令和7年度、8年度の県営建設工事入札参加資格審査基準が変更となり、週休2日制、4週8休達成の項目が追加されまして、建設事業者にはさらなる経営努力が求められている状況だと思います。一方で、物価高騰、人件費高騰、また、発注事業の減少という中にあって、建設事業者の外部環境は厳しい状況が続いています。災害が多発する中で、復旧の担い手である建設事業者が経営を継続していけるように、県としても限られた発注事業だとは思いますけれども、より実態に合った価格で落札されるように、積算の仕方、対応についても、関係団体と協議をしながら改善に取り組むべきではないかと私は思っております。
 そういった中で、少し例を挙げていきたいと思いますけれども、支障木の伐採について伺いたいと思います。現在は、設計の段階で1本数千円と認定をされておりますが、長さによっては、一回切断をするだけでは済まないものもあったり、あるいは、積算の中に撤去費用が入っていないといった声も聞かれている中で、特段の事情がある場合は相見積もりを取って積算されているそうですけれども、現状はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇田家技術企画指導課長 県の土木工事における支障木伐採単価についてでありますが、県では設計書の作成に当たりまして、岩手県土木工事標準積算基準書に基づき積算しております。
 施工現場条件や施工方法が基準書の条件と乖離がある場合など、これによることが不適当または困難であると認められる場合は適用除外と規定されており、見積もり単価を採用するなど、適切な設計積算を行うこととしております。
 支障木伐採については、急峻な地形、搬入路の状況、交通の影響など、さまざまな施工方法となることから、伐採後の切断や運搬が必要と判断される場合は、必要な経費を設計計上する必要があります。
 このため、支障木の伐採単価について、土木工事標準積算基準書と現場の条件が合わない場合は、見積もり単価を採用しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 そのように対応していただいているということですけれども、実際にそれが現場でどれほど運用されているのかということだと思います。そもそもの積算の表が合っているのかという課題もありますし、それが現場と特段の事由があるという判断をして見積もりに移行するのかといった判断も適切に行われているのか、私はもう一度チェックが必要なのではないかと思っております。
 復興工事等がたくさんあったときには、これも仕方がないかということで見過ごしていた、不満があっても受けていただいていた事業者たちも、苦しくなってくれば、適正に判断してほしいといった声が出てくるのも普通のことかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、緊急性のある工事についてです。例えば、道路が通れなくなる状態になって、早急に復旧をしなければならない工事があります。そういったときに、維持管理で行うような500万円、600万円ぐらいの工事があっても、その中で評価として創意工夫や地域貢献が求められる。受注者としてはこれが負担であって、点数が仮に低く評価されると後の受注にも影響が出てしまって、二の足を踏むという声もあります。こういった点についても、実情に合ったように改善するべきではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇田家技術企画指導課長 緊急性のある工事の成績評定についてでありますが、請負工事施工成績評定要領に基づき、完成検査時点において設計金額が250万円を超える工事については成績評定を実施しており、工事における創意工夫や地域への貢献などについては、受注者から実施状況の報告があった場合は評価しているところでございます。
 緊急性のある工事では、緊急性を要する観点から、通常の工事で実施している創意工夫や地域への貢献などが実施できない場合もあるところです。
 また、緊急性のある工事に限らず、小規模工事や難易度が低い工事では、同様に成績評定で評価対象とならない項目もあるところです。
 そのため、緊急性のある工事の成績評定では、緊急指示や災害対応に関する項目の評価、仮設道路や仮排水など創意工夫における評価、災害発生時における地域支援や救援活動などの受注者における対応について評価しているところでございます。
 また、評価項目とならない項目は対象外としまして、成績が低くならないよう配慮しております。
 引き続き、請負工事施工成績評定については、適切な運用となるよう取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 適切な運用となるように取り組んでいただいているということですけれども、現場からこういった声も出ている中にあって、こちらについても、もう一度チェックをしていく―地域の建設業の皆さんも、こういった緊急性のある工事は受けることが地域貢献だと思って、意気に感じてやっていただいているわけですけれども、それを受けたがために後々の受注にもかかわってくるとなると、やはり二の足を踏むという状態にもなるのかと思います。
 今、御説明いただきましたけれども、そういった運用でしっかりと行われているのか、また、成績評定そのものについてもチェックをしていくべきではないかと思います。
 今、このように、建設事業者を取り巻く環境が厳しいという声は各委員も聞いている中だと思いますけれども、今般、令和7年度、8年度の経営建設工事入札参加資格審査基準が変更となって、より経営努力が求められている中にあっては、こういうときだからこそ、県としても工事発注が多くない中で、建設事業者が正当に利益を得られるように、このタイミングで適正な積算に向けての見直すべきところを総チェックするべきではないかと思っております。こういった考え方について、県としてはどのように御認識をされているのか伺って、終わりたいと思います。
〇田家技術企画指導課長 適正な積算に向けた取り組みについてでありますが、工事価格の積算については、適切に作成された仕様書及び設計書に基づき、最新の実勢価格を適切に反映させつつ、実際の施工に要する通常妥当な経費について、適正な積算をしているところでございます。
 県では、国土交通省が実態調査等に基づき毎年改定している積算基準を準用しており、岩手県の積算基準書も毎年改定しているところでございます。
 このため、県土整備部では、毎年、積算基準書等の説明会や土木技術専門研修、積算システム基本操作研修、積算審査能力向上研修を行い、積算、審査能力の向上に努めております。
 引き続き、基準等の改定が行われた際は適切に反映し、適正な積算に努めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 一回で終わろうと思ったのですけれども、御説明をいただきましたが、今、私が言ったような現状の反映といったところが余り入っていない御答弁だったと思うので、最後に県土整備部長にお聞きしたいと思います。
 今、復興需要も終わり、人件費も上がっている、物価も上がっている中で、なかなか発注工事も少ない。そういった中で苦労しながら事業者の皆さんも地域の担い手として頑張っていただいていると思っているのです。そういった中で、より働き方改革等を求めていくのであれば、県としてもより実態に沿った積算となるような工夫を、団体ともしっかりと話をしながら進めていくべきだと思いますけれども、その点についての所見を伺って、今度こそ終わりたいと思います。
〇上澤県土整備部長 積算につきましては、先ほど技術企画指導課長からも答弁を差し上げましたけれども、国が出しております積算基準、それは毎年の実態調査を踏まえたものでやってきているということで、それが必ずしも個々の現場に合わない場面があるということだと思います。そういった状況につきましては、まず、受注者におきましては、施工計画書を作成する段階で、通常のところと違った場所であって、こういった対策をしなければならないといったものを具体的に提案した中で、発注者、受注者双方協議の上、実態に合わない場合については、それがより反映されるような形で、適切な設計変更の対応につながるようにやっていきたいと思います。
〇福井せいじ委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時3分 休憩
   午後1時1分 再開
〇福井せいじ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇伊藤港湾空港課総括課長 先ほどの飯澤匡委員からの御質問に対し、答弁が漏れておりました。申しわけございません。
 コンテナ貨物におけるLCL貨物の通関の動向についてお尋ねでございましたが、コンテナ貨物流動調査の対象期間中にLCL貨物を県内でコンテナ詰めした量はゼロとなっていること、本県発コンテナ貨物の約7割が京浜港から輸出されていることなどから、LCL貨物のほとんどが京浜港付近の混載施設でコンテナ詰めと通関手続が行われているものと推測されます。
〇福井せいじ委員長 質疑を続行します。
〇はぎの幸弘委員 冒頭で上澤県土整備部長が申しておりました、老朽化した橋梁の長寿命化等々に取り組んでおられるとのことのようですけれども、その辺、もう少し詳しく確認したいと思います。
 橋梁の維持管理等、あるいは、道路も含めて、一括してやりたいと思います。多分、老朽化というのは50年以上かと簡単に思っているのですけれども、県内にある橋、県の管理、各自治体の管理、国の管理等々あるかもしれませんが、それらについて、現状と課題といいますか、どのように把握しておられるのか伺います。
〇高瀬道路環境課総括課長 橋梁の維持管理の実態、あと課題です。
 県内には、国、県、市町村等が管理する橋梁が約1万4、000橋存在します。そのうち県が管理する橋梁は約2、700橋あります。建設後50年以上経過した橋梁の割合は現在約4割ですが、20年後には約8割にまで増加するため、老朽化対策が必要な橋梁の増加が県の課題となっております。この傾向は、県内市町村においても同様となっております。このため、県及び市町村においては、法定点検結果を踏まえた橋梁長寿命化修繕計画を策定し、計画的に補修や修繕を推進しているところです。
 また、県内には、技術職員数が少ない市町村もあることから、公益財団法人岩手県土木技術振興協会において、市町村の橋梁点検、診断業務の地域一括発注を行っているほか、国土交通省及び県が事務局を務める岩手県道路メンテナンス会議において、地方公共団体職員の技術力育成を目的とした講習会を開催するなど、市町村への業務支援及び技術支援に取り組んでいます。
〇はぎの幸弘委員 予算の関係もあると思うのですけれども、とりあえずはそういう計画に基づいて、予定どおり進んでいるという判断でよろしいのでしょうか。それとも少しおくれ気味だとか、その辺の状況を伺います。
〇高瀬道路環境課総括課長 橋梁につきましては、橋梁長寿命化修繕計画を策定しておりまして、おおむねそちらに沿った形で対策ができております。道路一般につきましては、なかなか予算の確保等が難しいところもありまして、思うように進んでいない部分もございます。
〇はぎの幸弘委員 道路のほうが特に厳しいということですね。
 道路の維持に関してですけれども、先ほども少し触れられておりましたが、支障木の関係です。先日も私の地元である遠野土木センターの職員に迅速に対応していただいて、国道107号の地区の枝の伐採等々はしていただいたのですが、そのときに出てきた課題として、県有地のところから伸びている樹木であれば、もちろん伐採はできるのでしょうけれども、民有地、私有地から伸びてきている支障木に関して、かなり深刻な状況です。例えば、快晴でまぶしい太陽の日差しの中でトンネルを通るくらいに道路に覆いかぶさっている支障木が大変な状況というのは、恐らく遠野市だけではなくて県内各地にあると思うのですけれども、民有地から生えている木に対しての対策は、今までどのような体制だったのでしょうか。
〇高瀬道路環境課総括課長 樹木等の障害物の撤去です。道路の通行に支障がある樹木の枝等を確認した場合は、その樹木が道路敷地外のものの場合は、その所有者に伐採をお願いしているところでございます。ではありますが、安全な通行に著しい支障がある場合には、緊急的に道路管理者が枝等の伐採を行っている場面はございます。
〇はぎの幸弘委員 民有地から生えているものでも、道路にトンネルになるように、両側からクロスするような感じで覆いかぶさっている部分があるのです。先日、遠野土木センターの所長と話し合いをしたときには、その辺が所有者の方に理解を得られるのかが課題の一つというお話も伺っているのですけれども、伐採している実情があるのでしょうか。
〇高瀬道路環境課総括課長 今、はぎの幸弘委員から御指摘があったとおり、民有地でございますので、その樹木につきましては個人の所有ということになりますので、我々が勝手に伐採することはできませんけれども、緊急性が高い場合においては伐採することもあるところで、今年度も県内において実績はあります。
〇はぎの幸弘委員 覆いかぶさるということは、もうかなり太いのです。最近は異常気象でゲリラ豪雨があったり、雷などで倒木しても大変ですので、ぜひそういった部分をもっと民間の所有者に周知していただいて、理解を得てやったほうがよろしいかと思います。
 次に、具体的な話で恐縮なのですが、先ほども少し具体例が出ていましたけれども、先日の豪雨で、復興道路である釜石道において複数回にわたりがけ崩れがございました。最初のがけ崩れは翌日すぐに復旧、開通したのですけれども、次のがけ崩れはしばらくかかって、やっと開通しました。私も何回か通ったのですけれども、その後、またいろいろなところが崩れかかっています。まだ完全には道路をふさぐほどではないですけれども、危険な状況、今後もしまた大雨が降るようであれば、ここも崩れるのではないかというところが結構あります。その辺の確認というのは、国土交通省も含めてされているのかどうか伺います。
〇高瀬道路環境課総括課長 釜石自動車道のお話でございます。宮守インターチェンジから遠野インターチェンジ間は、8月25日の大雨で法面が崩れて通行どめとなり、応急復旧工事を行い、26日に通行どめが解除となりましたが、8月30日の大雨で再び崩落し、通行どめとなりました。応急復旧工事により、9月14日に下り線、20日には上り線の通行どめが解除となっております。
 当該箇所の恒久対策については、道路を管理する国土交通省南三陸沿岸国道事務所より、現在、国土交通省内で災害申請の手続を進めているところであり、釜石自動車道を安全、安心に利用していただけるよう、本復旧工事の早期着工及び完成に向けて取り組んでいくと伺っております。
 それ以外の箇所につきましては、日常のパトロール中で確認をしていただいているものと承知しております。
〇はぎの幸弘委員 国が主体となって対策をされているということですね。県としてもそういったところの情報をぜひつかんでおいていただいければと思います。
 次に、交通量が比較的多い国道などの主要な道路で特にですが、歩道が未整備のところが見受けられるのですけれども、そういった箇所が、県内でどの程度あるかというのは把握されているのでしょうか。また、それらに関する改善計画の有無や課題をどう捉えていらっしゃるか伺います。
〇高瀬道路環境課総括課長 国道等の歩道の整備状況でございます。県が管理する国道は約1、240キロメートルございまして、そのうち歩道が設置されている区間は約670キロメートル。なお、両側に歩道が設置されている区間は、そのうち約170キロメートルとなっております。
 歩道の整備につきましては、多くの地区で整備要望があり、限られた予算の中で効率的に整備を進めていくことが課題となっております。まずは児童が安全に通学できるように、小学校の通学路を優先して歩道整備を進めているところでございます。
〇はぎの幸弘委員 それはそのとおりだと思います。子供たちの安心、安全が優先だというのはわかります。ただ、岩手県の場合、インバウンドで外国人の方々も多く来県され、観光地めぐりもされております。具体例で言うと、遠野市などの場合は、貸し自転車で各名所を回るのが結構メジャーに行われているのですが、歩道のないところが非常に危ないのです。律儀に車道を走っているのです。片側、往復自転車もいいところも律儀に車道を走って、しかも、大型車が多く通るところがあるのです。これに関しての答弁はいいですけれども、そういったところもありますので、ぜひ国と協議、情報共有しながら、早期の解決に努めるべきではないかと思います。
 次は提案なのですけれども、せっかくの道路、生活インフラ、電線の地中化や、これまでも災害等、落雷で停電などいろいろありますから、そういったのも含めて、電力会社とも協議をしながら、道路インフラ、生活インフラを集中的にするという取り組みについて。あるいは、県内各地から盛岡市、県庁所在地、高度医療施設への、特に沿岸地域からの道路アクセス網を、縦横だけではなく斜め道路も含めて―斜め道路は大体一般道ですから、特に斜め道路のアクセスをよくしないと主要道路が交通麻痺したときにすぐに断絶されてしまうということになりますから、そういう配慮が不可欠だと思うのですけれども、その点についての御見解を伺います。
〇高瀬道路環境課総括課長 まず、電線の地中化についてお答えします。電柱は、はぎの幸弘委員御指摘のとおり、台風や地震などにより倒れた場合には道路が通行できなくなり、災害救助の支障となる場合があるほか、歩行者の通行の支障となっている場合もございます。景観を損なっている場合などもありまして、県では道路の地下空間を利用して電線を収容するなど、無電柱化の取り組みを進めているところです。
 今年度は、遠野市の一般県道遠野停車場線新穀町と一般県道遠野住田線中央通りの無電柱化事業に新たに着手しております。県内6路線6カ所で無電柱化を進めており、引き続き、電力、通信事業者等と調整しながら無電柱化に取り組んでまいります。
〇小野寺道路建設課総括課長 高度医療施設へのアクセス網の整備についてでございますけれども、広大な県土を有する本県におきましては、県内各地から高度医療施設へのアクセス向上や都市間交流を支える道路ネットワークの強化が必要と認識しております。
 こうしたことから、いわて県民計画(2019〜2028)に基づきまして、高度医療施設への緊急搬送ルートの整備などの日常生活を支える安全な道づくりや、県庁所在地であります盛岡市など都市間を結びまして、産業振興や交流を支える道路の整備を推進しているところでございます。
 本年3月には、遠野方面などから矢巾町の岩手医科大学附属病院への救急搬送ルートともなっている一般県道大ケ生徳田線徳田橋工区の供用を開始したところでございます。
 今後とも、安全、安心を支え、産業や観光振興の基盤となる道路の整備を推進してまいります。
〇はぎの幸弘委員 よろしくお願いします。
 あとは、道路維持管理には各地元の建設業者の協力が欠かせないと思うのですが、その点は、先ほどの御答弁で類似の答弁がありましたので割愛いたします。
 次に、河川管理に移ります。ゲリラ豪雨など自然災害が頻発しておりますが、河川が氾濫する危険性が増しているのですけれども、そういったところの対策は万全なのかという観点で伺います。県内の河川の中には堤防が未整備なところもあるということで、そういったところは把握されているのか。把握されているとすれば、どのような対策を施しているか伺います。
〇馬場河川課総括課長 自然災害に対する河川の対策についてでありますが、県では、近年の浸水実績がある区間や資産が集中する箇所など、緊急性の高い箇所から河川改修や堆積土砂の撤去等、それから、堤防の築堤などのハード整備を進めているところですが、岩手県におきましても、1時間に50ミリメートル以上の雨が発生した箇所がこの40年間で約3.2倍に増加しているほか、令和元年、令和4年、ことしの8月など、1時間雨量で既往最大を更新する雨が発生するなど、近年、経験のない豪雨による災害が頻発しているところでございます。
 県では、堤防が未整備のところ、未改修のところなど、整備が必要な河川の延長を要整備区間として捉えております。それらの対策としまして、河川改修等のハード対策と合わせまして、住民の避難を促すため、洪水浸水想定区域の指定拡大などのソフト施策も効果的に組み合わせながら、防災、減災対策に取り組んでいるところでございます。
 今後も、必要な予算の確保に努めながら、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水の考え方を踏まえた防災、減災対策を推進してまいります。
〇はぎの幸弘委員 その具体的な対策については、後ほどまた改めて伺いたいと思います。
 河川の中に、盛岡市を流れる北上川などもそうですけれども、柳の木とかがえらく繁茂していて、大雨が降ったら流れて、川に挟まってダムになったりしたらどうするのだろうというところが結構あるのですが、野生鳥獣の隠れ家になったりもするのです。そういったところが多いのですけれども、河川には入るなと地元の住民は言われているものですから、撤去もなかなかできない。この辺は県としてどう把握され、どう解決しようとされているのか伺います。
〇馬場河川課総括課長 河川内の樹木につきましては、動植物の生息、生育環境としての機能がある一方で、洪水時の流下阻害となったり、流出した樹木が橋梁等に引っかかり河道を塞いだりするなど、その繁茂の状況によりましては治水上の課題があると認識しており、このような樹木の伐採などの維持管理は重要であると考えております。
 このため、県では、近年浸水被害が発生した区間や資産が集中する箇所など緊急性の高い箇所におきまして、河道掘削の工事とあわせて立ち木の伐採を実施しており、令和5年度は、遠野市の長野川など37河川で実施したところでございます。
 今後も必要な予算の確保について、引き続き国に働きかけながら、適正な河川管理に取り組んでまいります。
〇はぎの幸弘委員 先ほども少し触れましたけれども、例えば、遠野市では市内一斉河川清掃が毎年8月第1日曜日に行われております。私の地区も河川堤防などの雑草をみんなで払っているのですけれども、河川の敷地内には入らないようにという指導があります。昔は、小さな親切大きなお世話なのか、護岸まで行って、柳の木も人の背くらいのときにどんどん刈っていたのですけれども、今はやるなと言われるのです。そういったところを、予算もなかなかない時代ですから、市民と協働で、地元の地域の住民と一緒になって取り組む、自治体と協力して取り組むということをやってみたらどうかと思うのですが、その点はどうなのか、伺います。
〇馬場河川課総括課長 河川管理における住民との協働についてでございますが、住民との協働による河川清掃や草刈りなどのボランティア活動は、良好な河川環境の維持向上を図る上で大変重要な役割を担っていると認識しておりまして、県では、住民によるボランティア活動を支援する制度を設け、活動に必要な用具の支給や保険料の負担などの支援をしているところでございます。
 これに加えまして、例えば、はぎの幸弘委員がおっしゃいました一斉清掃の場合など、草刈り後の刈り草の収集や運搬処分、草刈り作業に支障となる立ち木の伐採を県が行う、また、地元の市の協力も得るなど、地域の方々の作業負担の軽減にも取り組んでいるところでございまして、今後も取り組んでまいりたいと思っております。県と市で情報共有をした上で、また、地元の皆さんと意見を交換させていただければと思っております。
 今後もボランティア活動支援制度の周知について、より一層工夫しながら行うとともに、活用いただいている方々から、作業の負担となっている具体的な内容などを伺いながら支援に努め、住民との協働を推進してまいります。
〇斉藤信委員 最初に、岩手型住宅ガイドラインがことし3月末に改訂されました。その内容と意義について示してください。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 岩手型住宅ガイドラインの御質問をいただきました。令和6年3月に岩手型住宅ガイドラインを改訂させていただきました。
 内容でございますけれども、断熱性能について、ZEH基準を上回る水準を盛り込むとともに、省エネ住宅の効果をより高めるための気密性能の確保及び太陽光発電などの創エネ設備や省エネ設備の設置などを盛り込んだところでございます。
 また、このガイドラインには、省エネ住宅の期待される効果として、冬の寒さ対策のほか、体感温度の改善、結露、カビの抑制効果、疾病有病率の改善、夏の暑さ対策などの健康面の効果についても記載しているところでございます。
 今後、広く県民や事業者に向けガイドラインの周知を図り、高い省エネ性能の住宅の普及を図ることが重要であり、県民の皆様にメリット等をお伝えしていくことが有意義だと思っております。
〇斉藤信委員 私も岩手型住宅ガイドラインを読ませていただきました。かなり積極的な内容で、断熱性能は等級6以上という形で、岩手県の住宅のあり方が示されています。
 そして、最後のページには、どうやって取り組むのかということも示されていますけれども、今、お話のあったように、住宅の情報の提供や岩手型住宅の体感やセミナー、住教育の実施、岩手型住宅賛同事業者の募集、そして、講習会、補助事業の実施とありますが、これは今年度からどのように取り組まれていますか。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 今年度、いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助という新しい補助金なども予算でお認めいただきまして、進めております。完成するのはこれからでございますけれども、完成した住宅を使ってPRなどもやっていこうと思っております。
 技術的な問題のセミナーなどは、昨年からまた継続してことしもやっているところでございます。
〇斉藤信委員 岩手型住宅賛同事業者の募集とありますけれども、現段階でどのぐらいの事業者が参加しているのでしょうか。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 岩手型住宅賛同事業者でございますけれども、令和5年度で100社の登録という形になっております。
〇斉藤信委員 それでは、具体的な事業についてお聞きいたします。新規事業で、いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助、これは3、000万円の予算が組まれていますけれども、今年度の現段階の実績を示してください。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 今年度からの新たな事業といたしまして、いわて省エネルギー住宅建設推進事業ということで取り組んでおります。15件を想定して事業を始めておりますが、現時点で交付決定は8件となっているところでございます。
〇斉藤信委員 15件というのは目標があって、等級6等が10件、7等が5件の計画ですね。8件はどうなっていますか。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 8件の内訳でございますけれども、等級6が5件、等級7が3件という形になっております。
〇斉藤信委員 岩手型住宅でかなり積極的なレベルの住宅をこれから目指すと。それはすごくいいのだけれども、費用もかかるわけです。だから、これを普及しようと思ったら、これだけの費用がかかるけれども、これだけのメリットがあります、10年後、もしくは20年後には回収できますと、こういうことをしっかり示さないと普及しないと思うのですが、その点ではどういう取り組みをされていますか。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 このような住宅の普及に向けた取り組みのための具体的な数字ということでございます。等級6とか7とか、非常に高い性能の住宅でございますので、建設はこれから進んでいくところで、まだ我々も確度の高い数字を確認できていないところでございます。ただ、斉藤信委員御指摘のとおり、具体的な数字を示して、どれくらいの年数で回収できるのかといったことを示すように持っていくことが我々としても非常に大事だと思っております。
 予算もお認めいただき、建設に対する補助金を始めておりまして、実際に8件の事例が集まってきております。これを分析していけば―この数字を出すのは難しいのは、年々、資材高騰などで数字だけが走ってしまうとどうしたらいいのかというのがあるのですけれども、今年度の、もしかしたら来年も、補助金の実績はこうだったという形で出すことはうそではないですので、いいのではないかと。そういうことをやっていこうと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 かなり抜本的なガイドラインになっていますから、なぜ6等級以上の高性能な、高断熱の住宅が岩手県では必要なのか。ここに書かれていることがあるのです。だから、それをわかりやすく県民に普及していくということにぜひ取り組んでいただきたい。
 それと、賛同事業者は100社というのだけれども、県内の工務店は、これからここで勝負しないと仕事が出てこないというぐらいの取り組みにしてほしいのです。そうしないと大手住宅メーカーに行ってしまいます。全ての工務店が等級6以上の高気密、高断熱、高性能の住宅をつくれる、そこをやらないと地元の波及効果はないわけで、その点、ぜひしっかりやっていただきたい。
 その次に、これまで住宅リフォーム助成、住まいの省エネルギー改修推進事業をやってきました。この実績、今年度の取り組みを示してください。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 改修の補助、住まいの省エネルギー改修推進事業費補助ということでやっております。令和4年度から実施しており、令和5年度を通して行った実績ですけれども、予算で10件は想定していたのですが、11件の実績だったというところでございます。やはりPRが大事だということで、例えば、県政番組の、いわて!わんこ広報室や、岩手日報社で今年度、住宅特集をやっていただきまして、こういった場で周知する、あるいは、省エネルギー技術普及促進支援セミナーも行っておりまして、優良事例を紹介するという取り組みを今年度も続けているところでございます。
〇斉藤信委員 今年度は今までと違って、市町村への間接補助になるのですよね。そこをきちんと言わないと。補助の仕方が違ってくるわけだから。であれば、令和6年度はどれだけの市町村が県と一緒になってやるようになっているのか。補助額は県と市の半分ずつで総額としては同じとなるのか、そういう中身もわかりやすく簡潔に示してください。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 これまで令和4年度から省エネルギー改修推進事業に取り組んできておりまして、令和4年、5年は国の交付金の使い方としまして、地方負担分は県が持って進めておりました。さらに地域にも普及するように、また、件数もふやせるように、先ほど申し上げました、想定するのが去年までは10件くらいとしてやっていたのですけれども、今年度、私たちも市町村に足を運んで御相談しながら進めて、ことしは35件くらいはできるのではないかという予算です。ただ、予算の上限が少し下がって変わってはいるのですが、一歩一歩、変えて進めています。
 現在、賛同をいただいた市町村数は手元にないものですから、御容赦いただければと思います。
〇斉藤信委員 これはそこまで調べていかないと。市町村一覧が県のホームページにも出ていました。後で答えてください。
 岩手型住宅の岩手型というのは、県産木材を活用するというので岩手型と言っているのです。私はいつも言っているのだけれども、県産木材活用は林業振興課です。岩手型住宅は県産木材を使うということをしっかり位置づけた高性能のものですから、私は一体として取り組む必要があるのではないかと。県産木材活用の件数は、昨年度130件です。願わくば、130件ぐらい県産木材とあわせて等級6以上の高レベルの住宅とする必要があるのではないか。この点、農林水産部と提携して一体型に取り組むとならないのかどうか。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 農林水産部との連携というお話でございます。もう一つ別の補助事業、住みたい岩手の家づくり促進事業費補助で、こちらは完全に農林水産部のいわて木づかい住宅普及促進事業費と連動してやっておりまして、いろいろな目的のもとにいろいろな事業を回しているところもございます。いわて木づかい住宅普及促進事業とは完全に連動してやろうということで、窓口も岩手県木材産業協同組合に一本化して、連携も取り組みながら、問題は、省エネ住宅は、価格も高いというところもあったりして、総合的に勘案して進めているところでございます。連携については、もちろん大事だと思って進めております。
〇斉藤信委員 次に、災害公営住宅の課題についてお聞きいたします。
 災害公営住宅の高齢化の状況、集会所の活用状況、生活支援相談員の配置の状況について示してください。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 県の災害公営住宅の状況で、まず、高齢化の状況ということでございます。災害公営住宅の65歳以上の高齢者を含む世帯の状況は、令和6年6月末現在で、1、442世帯のうち801世帯、55.6%となっているところでございます。そのうち高齢者のひとり暮らし世帯は494世帯で、全体の34.3%となっているところでございます。
 次に、集会所の活用状況でございます。集会所のある29団地の令和6年度第1・四半期における1カ月当たりの集会所の活用状況でございますが、0回が2団地、1回から10回が23団地、11回から20回が4団地となっているところでございます。
 あとは、生活支援相談員の関係でございます。生活支援相談員については、市町村社会福祉協議会が地域の支援ニーズを踏まえて、4カ所の災害公営住宅となりますけれども、そのほか、防災集団移転先団地ですとか、被災者が通いやすい商店街などに生活支援相談員を配置し、災害公営住宅の入居者に加え、持ち家を再建した被災者等も対象に支援を行っていると聞いているところでございます。
〇斉藤信委員 災害公営住宅、これは県営住宅の場合ですけれども、高齢者世帯が55.6%、独居が34.3%ですから、3件に1件は独居です。規模の大きい災害公営住宅の話を聞きますと、毎日のように救急車が来るような状況があるのだと、こういう大変厳しい状況であります。
 それだけに入居者の状況を自治会が把握する、日常的にコミュニティがつくられているということが大変重要です。しかし、コミュニティ形成のために設置をされた集会所の利用は、ゼロから2回までが20団地で68.9%です。7割はほとんど閉まっているという状況であります。これは何度も言うけれども、阪神淡路大震災の孤独死発生の教訓で集会所がつくられたのです。コミュニティ形成の拠点につくられた。しかし、これは入居者任せにしていては、できないということもこの間、明らかになったことです。行政の支援が必要です。
 それで、例えば、山田町の大沢団地は月20回集会所が使われています。大船渡市の県営みどり町アパートは12回、盛岡市の県営南青山アパートは16回、この三つには支援員が配置されているのです。支援員が配置されているところは、本当にしっかり活用されている。陸前高田市の県営栃ヶ沢アパートだけは、配置されていないけれども20回。実は、災害公営住宅は、自治体がいろいろなサークルをつくって、そしてサークルの人たちが活用する。これはこれですばらしい取り組みなのですけれども、そういう意味でいけば、設置された、整備された立派な集会所が活用されていないということを設置者として放置していいのかと。
 これだけ支援員を配置しているところとしていないところの差がはっきりしているわけだから、この点、担当者としてどう考えていますか。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 生活支援相談員のお話もございました。生活支援相談員の配置自体は他部局の所管とはなりますけれども、我々としても、集会所を活用してほしいということは非常に考えておりまして、私も現場に出るたび、必ずのぞくようにしております。正式な活用件数としてはこうやって出てくるのですけれども、少しのぞけば、例えば、おじいさんの方4名でマージャンをしていらっしゃったり、いろいろな活用の仕方があるなと。ただ、それが本当にコミュニティの活性化につながるにはどうしたいいかというのは、我々も研究を続けていきたいと思います。
〇斉藤信委員 これは大船渡市と岩手大学の特任助教の船戸先生が、大船渡市の県営住宅も市営住宅も入居者を全部調査したのです。災害公営住宅で両隣3軒わからないというのが3分の1以上あるのです。普通の住宅だったら、それはないのです。そういう形で孤立化が進む。そういう意味で、このままにしていてはだめだというのがアンケート調査の結果ですから、これは保健福祉部地域福祉課と連携してどういう支援が必要なのか、知恵を出してやっていただきたい。
 住宅リフォーム助成の問題については、実は、一番活用しているのが一関市です。一関市では補助額の10倍以上の事業費の実績も上げています。残念ながら県議会では緊急経済対策としてリフォーム助成制度の創設を求める請願が不採択になりましたけれども、一番経済的な効果、そして、生活改善の効果がある取り組みですから、その点はぜひ県としても市町村の状況を把握して取り組んでいただきたい。
〇小林正信委員 私は、防災、減災、国土強靱化についてお伺いしたいと思います。
 国では、防災、減災、国土強靱化に関して集中して取り組む意味で、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を実施しております。県としても、これに対応して第2期岩手県国土強靱化地域計画を策定して計画的な予算確保に取り組んでいらっしゃいます。地域計画は県土整備部のみならず、他部局にわたるのですけれども、県土整備部としての令和5年度の計画、5か年加速化対策の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
〇高橋県土整備企画室企画課長 5か年加速化対策の取り組み状況についてでございますけれども、近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の安全、安心な暮らしを守るため、県では、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を最大限活用しまして、県民の安全、安心を支える社会資本の整備や適切な維持管理に取り組んでいるところであります。これまで、5か年加速化対策を含む国の経済対策への対応分といたしまして、当部所管の公共事業費につきましては、令和2年度から5年度までの4年間の合計では948億円の補正予算を計上しまして、この取り組みを推進しているところでございます。このうち、令和5年度につきましては211億円、補正予算を計上しているところでございます。
 引き続き、この予算も活用しながら、岩手県の強靱化に取り組んでまいります。
〇小林正信委員 ぜひともこの取り組みを進めていただきたいと思うのですけれども、この加速化対策は令和7年度までということで、また、県の地域計画もこれと同じなので令和7年度までとなっております。近年の自然災害を考えると、引き続きの取り組みが必要となるだろうと思いますけれども、昨年、防災・減災等に資する国土強靱化基本法が改正されまして、加速化対策後も継続して対策に取り組むための実施中期計画が法律の中に盛り込まれました。こうした国の動きもある中で、岩手県としても引き続き、国土強靱化に取り組むべき地域、また、箇所が出てきていると思うのですけれども、今後の具体的な事業について、お考えをお伺いしたいと思います。
〇高橋県土整備企画室企画課長 今後の国土強靱化対策等の事業の展開についてでございますけれども、広大な県土を有する本県におきまして、県民の安全、安心な暮らしを守るため、社会資本の整備等は重要なものと認識しております。
 その整備効果は着実にあらわれてきておりますものの、近年、災害が激甚化、頻発化しておりますことから、小林正信委員御指摘のとおり、今後におきましても、河川改修や砂防施設の整備などの防災、減災対策、高規格道路を補完する道路等の整備といった災害に強い道路ネットワークの構築など、岩手県の強靱化を進めていく必要があると考えております。
 これらの取り組みを着実に推進していくためには、国費の活用を図っていくことが重要でありますことから、これまで、国に対しまして、通常の政府予算提言・要望に加えて、政党を通じた国土交通大臣への要望などを行ってきたところですが、引き続き、先ほど小林正信委員からもお話のありました国土強靱化実施中期計画の早期策定を含む防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策のさらなる推進などにつきまして、さまざまな機会を捉えて働きかけてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。また、国としても中長期的な計画としても考えている方向なのかと思います。岩手県としても、国とも連携をして、県の今後の第2期以降の計画というところも用意していただき、各市町村とも連携をしながら国土強靱化の取り組みを進めていただきたいと思います。
 続きまして、道路整備についてでございます。昨年閣議決定された国土形成計画によると、生活圏人口10万人程度以上を一つの目安として想定した地域づくり、また、地域の生活、経済の実態に即した市町村の境にとらわれない地域間の連携、補完といった考え方が示されている。今後の人口減少を考えたとき、地域間、自治体間の連携を強化する道路ネットワークの充実は先ほど来も議論がございましたけれども、これは急務なのだろうと思います。
 令和5年度の道路関係予算は全体の5%程度と、例年並みの予算を確保されましたけれども、この予算確保の取り組みについてお伺いしたいというところと、努力をされた点、また、今後の取り組みについてのお考えをお伺いしたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 道路整備の予算の確保の取り組みについてでございますけれども、道路を初めといたします社会資本の計画的な整備に当たりましては、国費など公共事業費予算の確保が必要であることから、令和7年度政府予算提言・要望において、公共事業予算の安定的、持続的な確保と合わせて、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策のさらなる推進について、国へ提言、要望してきたところでございます。
 特に、県内の道路整備に対する要望は数多くあることから、引き続き、さまざまな機会を捉えまして、県内道路整備の必要性等を訴え、国に働きかけていくなど、道路整備の予算の確保に努めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いします。岩手県は県土が非常に広うございますので、道路ネットワークの整備は本当に必要な県なのだろうと。市町村の要望も本当に多いし、また、市町村のアピールも非常に具体的になってきているというところもございますので、そういう要望もしっかり受けていただきながら、県としても国、市町村と連携をしながら、どういう道路が必要なのかというところはしっかり要望していっていただきたいと思います。
 また、緊急搬送のための道路の議論も先ほどございました。県内唯一の高度救命救急センターがある岩手医科大学附属病院に通じる道路という議論もございました。今、事業化が予定されている、国道4号盛岡南道路につきましては、早期着工が望まれているところだと思います。現在の進捗状況をわかる範囲でお知らせいただきたいということと、今後、国に対して、県としても他の高規格道路ともあわせて国道4号盛岡南道路の早期整備も訴えていただきたいと考えているのですけれども、県のお考えをお伺いしたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 盛岡南道路の進捗状況についてでございますけれども、国において令和4年度に事業化されました盛岡南道路につきましては、現在、調査設計を進めていると国から伺っております。
 国道4号の渋滞の緩和や周辺に集積している物流拠点への円滑な物流の確保に加えまして、県内唯一の高度救命救急センターである岩手医科大学附属病院へのアクセス向上を図るためには、盛岡南道路の整備推進が必要であると認識しておりまして、本年6月に実施した、令和7年度政府予算提言・要望におきまして、盛岡南道路の整備推進を国に要望したところでございます。
 盛岡南道路の早期工事着工に向けて、今後とも、機会を捉えて県に(後刻「国に」と訂正)働きかけていきたいと思います。
〇小林正信委員 国に働きかけていただきたいと思います。
〇小野寺道路建設課総括課長 失礼しました。国に働きかけてまいります。
〇小林正信委員 そうですよね。自分に働きかけてどうするのだろうと思ったりして。
 流域治水についてお伺いしたいと思います。令和5年度における流域治水の取り組みについて、まずお伺いしたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 流域治水の取り組みについてですが、令和5年度は流域治水の取り組みの全県展開を進めたところであり、沿岸部の全ての二級水系など46水系で流域治水プロジェクトを策定し、流域治水に取り組む実施主体、内容、工程表を取りまとめたところでございます。
 流域治水プロジェクトに位置づけたハード対策とソフト施策を流域のあらゆる関係者が協働して進めており、県では、ハード対策につきましては、平成28年台風第10号で被災した岩泉町小本川等におきまして、河道の拡幅や築堤等の河川改修工事を進めたところです。
 ことし8月の大雨の際には、これらの河川におきまして、整備がなかった場合と比べて水位が低減するなど、河川改修工事の効果があらわれています。
 ソフト施策につきましては、盛岡市米内川など70河川の洪水浸水想定区域指定や、2河川2区間の水位周知河川の指定など、防災情報の充実強化を進めたところでございます。
〇小林正信委員 流域治水プロジェクトも非常に順調にふえてきている、拡大していっていただいていると思いますし、取り組みに敬意を表する次第でございます。また、小本川につきましても、この流域治水の考え方をしっかりと反映させて、流域防災力が大きく拡大している、向上していると思っているところでございます。
 しかしながら、今回、盛岡市の米内川の氾濫がございましたけれども、国や市町村とも連携をしながらプロジェクトの充実、内容の充実等も図っていただきたいところはお願いしたいところだと思います。
 国土交通省は、河川改修とあわせて雨水の流出抑制対策を義務づける特定都市河川の指定を全国に拡大した。流域治水の取り組みを充実させる方針をさらに国としても示しているというところです。
 こうした指定等も含めて、今後頻発する自然災害、豪雨災害に対応するためにも、流域治水の取り組みをさらに充実させるべきと思っておりますけれども、この御所見をお伺いしたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 流域治水の今後の取り組みについてですが、今月までに県内の全ての水系におきまして流域治水プロジェクトを策定し、流域の関係者が協働して取り組むハード対策とソフト施策を位置づけたところでございます。
 県が行うハード対策につきましては、令和元年台風第19号で被災しました久慈市小屋畑川など、近年、洪水により家屋の浸水被害が発生した区間や、資産の集中している区間などにおきまして、河川改修工事を進めてまいります。
 ソフト施策につきましては、住宅等の防護対象がある全ての河川、294河川の洪水浸水想定区域の指定を令和7年度末までに完了させるほか、盛岡市米内川などの水位周知河川の指定拡大を進めてまいります。
 また、令和4年8月豪雨で被災しました馬淵川の一戸町と葛巻町の流域を対象に、流域治水を加速化させる特定都市河川指定の検討を進めるほか、自主防災協議会との協働による避難訓練や、パネル展の開催による住民周知など、流域治水を自分事化する取り組みも進めてまいります。
 引き続き、流域のあらゆる関係者が協働して行う流域治水の考え方のもと、ハード対策とソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策に取り組んでまいります。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。河川流域に住んでいらっしゃる住民の方が流域治水という考え方を理解いただくということは非常に重要だと思いますので、自分事化というところもしっかりと含めながら、ハード、ソフト面の充実について、ぜひともお願いしたいと思います。
 次に、住まいの支援についてお伺いします。住宅の確保に配慮を要する方を支援する居住支援法人は、県内に10団体あったかと思うのですけれども、令和5年度の活動状況がどうだったのかお伺いしたいと思います。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 住宅セーフティネットの関係の御質問でございます。この取り組みにつきましては、岩手県居住支援協議会という形で進めております。
 住宅確保要配慮者に対する民間賃貸住宅への円滑な入居促進を図るためには、小林正信委員からも御紹介のありました居住支援法人による住宅情報の提供や相談、見守りなどの生活支援業務が重要な役割を担っているということで、居住支援協議会の活動ということにはなりますが、令和5年度におきましては、居住支援法人が継続してその活動を行える環境づくりについて、市町村や社会福祉協議会等関係機関も交えて、2回の意見交換会を行ったところでございます。
〇小林正信委員 居住支援法人の皆さんの取り組みがやはり重要なのだろうと思います。そして、先般、生活困窮者自立支援保護法も改正されて、自治体が住まいに関する相談支援を行うことが明確化された。そして、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律―住宅セーフティネット法も改正されて、居住支援法人が安否確認や福祉サービスのつなぎを行う居住サポート住宅という取り組みが創設されたと。
 こうした法改正を受けて、県としても増加する単身高齢者を含めた住宅確保要配慮者への支援を充実していっていただければと考えますけれども、今後の県の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 住宅セーフティネット法の改正を受けた県の取り組みということでございます。
 小林正信委員からも御紹介がありました住宅セーフティネット法の改正によりまして、さまざま改正点がございますけれども、特に、住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化といったことも盛り込まれており、県単位で今まで居住支援協議会があったところでございますが、市区町村による居住支援協議会の設置の促進、努力義務という形ではございますけれども、そういったものが求められる形になっているところでございます。
 このため、今年度、地域における支援体制の基盤となる市町村単位での居住支援協議会の設置の推進を図ることを目指しまして、福祉部局等とも連携し、県居住支援協議会事業として取り組みを進めていこうとしているところでございます。
〇小林正信委員 さらに細やかに住まいの支援が展開されるように今後なっていくのだろうと思いますので、ぜひとも取り組みの強化をお願いしたいというところです。
 そして、住宅確保要配慮者への支援と同時に、若者に対する居住支援についても充実をさせていっていただきたい。人口減少対策という観点もあります。若い世代への居住支援の現状と今後の取り組みについて、お伺いしたいと思います。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 住宅セーフティネットの重要な役割としては、県営住宅を管理しているところでございます。令和3年度から、県営住宅の空き室を活用して、結婚や子育て等のライフステージを控えた39歳以下の若者世代を対象に、より低廉な家賃で貸し出す県営住宅活用促進モデル事業を続けておりまして、令和6年度から、さらに家賃を低減して、名称も、若者・地域応援住宅支援事業費と見直しを図って進めているところでございます。
 地域から要望等もございまして、モデル事業で、社宅や学生寮といった活用ができないかということもお話をいただいておりまして、今後とも研究していきたいと思っております。
〇小林正信委員 今、さまざまなアイデアが出ていると。全国では、例えば、官民連携でリノベーションを民間に任せて、さらに部屋を格好よくしたりという取り組みなどもございますし、ぜひとも研究をしていっていただきたいなと思うところでございます。
 国土交通省では、公営住宅のリノベーションを含めた住宅団地再生の手引きを作成して、さまざま取り組みを紹介しています。先ほどのコミュニティの問題等、あるいは、孤独、孤立という問題もございましたけれども、こうした手引等も活用しながら、さらに県営住宅の活用についても考えていっていただきたいと思いますけれども、その点をお伺いして終わりたいと思います。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 国で取りまとめを行いました、住宅団地再生の手引きについて御紹介がございました。大変参考になると思っております。施設の老朽化等のハード面の課題なども書いておりますし、地域活動の担い手不足といった地域持続性の課題も指摘されておりまして、我々の県営住宅にも本当に共通する課題だと思っております。
 ハード面は、岩手県公営住宅等長寿命化計画をつくって適切に改修などを進めているところでございますし、地域持続性の課題という点に関しましては、岩手県立大学との共同研究による地域コミュニティ活動の活性化の支援や、民間力を活用した高齢入居者の見守り活動支援、県営住宅の空き室を活用してこういった取り組みもやっておりまして、今後とも研究して続けていきたいと思います。
〇福井せいじ委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高井参事兼建築住宅課総括課長 先ほど斉藤信委員の御質問に十分にお答えできませんでした。補足させていただきます。
 住まいの省エネルギー改修推進事業費補助金で、今年度、市町村で一緒に取り組みを進めていただいているのは、盛岡市を初め15市町村でございます。
〇福井せいじ委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
 県土整備部、会計管理者及び監査委員の皆さんは退席されて結構です。ありがとうございました。
 次に、お諮りいたします。当委員会に付託されました決算15件及び議案2件について、その意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において世話人会で御協議願い、その結果を待って委員会を開き、結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〇斉藤信委員 発言時間も制限して早く終わりましたので、取りまとめは遅くとも午後5時には再開できるようにやっていただきたい。
〇福井せいじ委員長 ありがとうございます。頑張ります。
 その他、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため暫時休憩いたします。
   午後2時6分 休憩
   午後7時26分 再開
〇福井せいじ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算15件及び議案2件に対する世話人会の意見を取りまとめましたので、その結果を御報告申し上げます。
 初めに、議案第28号令和5年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて及び議案第29号令和5年度岩手県流域下水道事業会計資本剰余金の処分に関し議決を求めることについての2件は、それぞれ原案を可とすることといたした次第であります。
 次に、認定第1号令和5年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、次の意見、すなわち、令和5年度は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの初年度であり、県は、自然減・社会減対策、GX―グリーントランスフォーメーション、DX―デジタルトランスフォーメーション、安全・安心の4つの重点事項を強力に推進するとしていた。しかしながら、決算審査においては、人口減少対策の充実、医療機能の充実、中小企業や農林水産業への支援、そして、東日本大震災津波からの復興などについて、さらなる取り組みが必要であるとの意見が多数出された。
 令和7年度予算を編成するに当たり、以下の点に注力して県政の運営に努められたい。
 人口減少に関しては、自然減、社会減対策として掲げられている事業の多くは、活動内容指標や成果指標がA評価を得ているが、ソフトパワーいわて戦略推進事業など、自然減、社会減対策に関連するいわて幸福関連指標が達成されていない事業が散見される。このような状況を打破するためにも、結婚支援、出産環境の整備、産後ケアの拡充、不登校対策と県立高校の魅力化と教育環境の整備に一層取り組むとともに、今後はロジックモデルや評価指標の検証を行い、若者、女性等当事者の声を聞き、さらなる成果の達成に向けて取り組むこと。
 庁内のDXを推進して働き方改革と効率化を図るとともに、県内の市町村や農林水産業、中小企業へのDX推進支援を強化すること。
 物価高騰や最低賃金の大幅な引き上げなどにより、中小企業や農林水産業者は厳しい経営状況にあることから、生産性や収益の向上などに向けた取り組みを進めること。
 震災復興において、ハード整備は進んだものの、暮らしやなりわいの復興はまだまだ途上である。特に不漁が続く漁業にあっては、新規就業者も目標を大きく下回っており、水産業を初め観光や製造、商工業などあらゆる産業の支援を強力に進めること。
 岩手県立病院等事業会計に対する多額の繰出金の抑制のため、大幅な赤字決算となった県立病院の経営改善に取り組み、医療人材の確保や持続可能な医療提供体制を構築すること。
 頻発、激甚化する水災害への備えとして、流域治水対策を推進すること。
 ニホンジカ、イノシシ、ツキノワグマに加え、ニホンザルについても第二種特定鳥獣管理計画を作成し、鳥獣被害対策全体の取り組みを加速させること。
 人口減少を背景に、県財政では一般財源の減少が見込まれ、歳出では人件費や社会保障費、公債費の増加が予測され、財政調整基金の残高も令和9年度には枯渇する見通しが公表されており、限られた財源の中で最大の効果を上げる必要がある。超過課税のあり方を含め、新たな歳入確保策を検討するとともに、歳出の適正化を徹底し、予算編成にめり張りを持たせ、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めること。
 また、公共施設等の適切な維持、管理、コスト縮減、財政負担の平準化を図ることとの意見を付し、認定することとし、認定第2号から認定第15号までの14件は、認定することといたした次第であります。
 これより採決いたします。
 お諮りいたします。議案第28号及び議案第29号の2件について、一括して採決いたします。
 各案件は、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇福井せいじ委員長 起立全員であります。よって、議案第28号及び議案第29号の2件については、原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。認定第1号令和5年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇福井せいじ委員長 起立全員であります。よって、認定第1号令和5年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。認定第2号から認定第15号までの14件について、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇福井せいじ委員長 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第15号までの14件については、認定することに決定いたしました。
 以上をもって当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。
 委員各位の御協力に対し深く感謝を申し上げ、これをもって決算特別委員会を閉会いたします。ありがとうございました。(拍手)
   午後7時32分 閉会

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