令和6年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和6年10月21日(月)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 佐 藤 博 晃
主任主査 柴 田   信
主任主査 及 川 雄 也
主査 高 橋 宗 子
主査 堀 合 俊 彦
主査 佐々木 賢一郎
主査 三 浦 訓 史
1説明員
労働委員会
事務局長 四 戸 克 枝
審査調整課
総括課長 駒 木 豊 広

環境生活部長 大 畑 光 宏
副部長兼
環境生活企画室長 小 國 大 作
環境担当技監心得
兼環境保全課
総括課長 加 藤 研 史
若者女性協働
推進室長 阿 部 美登利
環境生活企画室
企画課長 吉 田 知 教
環境生活企画室
管理課長 藤 川 耕 平
特命参事兼
グリーン社会
推進課長 千 田 志 保
ジオパーク
推進課長 桜 田   功
資源循環推進課
総括課長 古 澤   勉
廃棄物施設
整備課長 石手洗   慎
自然保護課
総括課長 酒 井   淳
県民くらしの
安全課総括課長 木 村 真 智
食の安全安心課長 千 葉   正
消費生活課長 今   俊 晴
青少年・男女
共同参画課長 藤 井 茂 樹
連携協働課長 大 内 玲 子

企画理事兼
商工労働観光部長 岩 渕 伸 也
副部長兼
商工企画室長 橋 場 友 司
定住推進・雇用
労働室長 三 河 孝 司
ものづくり自動車
産業振興室長 小 野 和 紀
観光・プロ
モーション室長 高 橋 利 明
商工企画室
企画課長 齋 藤 深 雪
経営支援課
総括課長 小野寺 重 男
産業経済交流課
総括課長 伊五澤   敬
地域産業課長 藤 枝   修
雇用推進課長 小野寺 こずえ
労働課長 菅 原 俊 樹
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 熊 谷 克 行
特命参事兼
自動車産業
振興課長 高 橋 政 喜
産業集積推進課長 菊 地 浩 記
特命参事兼
プロモーション
課長 大 越 治 仁

会計管理者 滝 山 秀 樹
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 佐々木 真 一
参事兼監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 長谷川 英 治

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇福井せいじ委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、労働委員会、環境生活部及び商工労働観光部関係について延べ21人の質疑を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇四戸労働委員会事務局長 労働委員会関係の決算につきまして、お手元の歳入歳出決算事項別明細書によりまして御説明申し上げます。252ページをごらん願います。
 第5款労働費のうち、3項労働委員会費が当委員会で所管するものでございます。
 予算現額の計、1億2、560万円に対しまして、支出済額は、1億2、468万円余でございます。
 内訳でございますが、初めに、1目委員会費の支出済額3、009万円余は、委員15名分の報酬や旅費など、労使紛争の解決を図るため委員会の運営に要した経費でございます。
 次に、2目事務局費の支出済額9、458万円余は、職員の人件費や旅費など事務局の管理運営に要した経費でございます。
 以上で労働委員会関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇福井せいじ委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 それでは質問させていただきます。
 まず、労働相談と課題についてということで、現在は大変な物価高でございます。また、賃金の引き上げも年々かなりの額で進められている。そして、人材不足という課題もあって、また、いろいろなハラスメントという要素も出てまいりました。こうした労働環境に大きな変化が見られておりますが、相談内容の推移と分析について伺います。
〇駒木審査調整課総括課長 まず、労働相談の件数についてでございますけれども、令和5年度の労働相談件数は687件と過去最多となりまして、前年の令和4年度の673件と比べますと14件の増、率にして2%の増加となりましたが、相談件数は令和3年度から令和4年度に1.5倍にふえておりまして、令和5年度も高どまりの状況が続いていると考えております。
 全国比較いたしますと、個別労働紛争に関する労働相談を行っている労働委員会は、全国で31府県ございますけれども、令和5年度は、宮城県に次いで全国2番目の多さとなっている状況でございます。
 相談内容についてでございますけれども、賃金、手当に関する相談が最も多く、次いで、パワハラ、嫌がらせ、そして、退職の3項目が多い状況が続いております。これは、ハラスメント対策を初めといたしました労働関係法制度の改正、名須川晋委員御指摘の物価高や人手不足、賃金引き上げなど企業や労働者を取り巻く環境の変化が影響しているものと考えているところです。
 続いて、分析についてですけれども、個々の相談において、聞き取りにより把握できた数値でございまして、お答えいただけず不明となった項目も多い数値とはなりますが、業種別の件数でいきますと、医療、福祉関係者からの相談が21.5%と最も多く、次いで、飲食、生活関連等を含めたサービス業19.1%、製造業14.7%と続いております。
 次に、雇用形態別の相談者数につきましては、正規雇用が49.9%、非正規雇用者が33.5%、使用者からの相談が5.7%となっております。
 次に、年代別の相談者数につきましては、多い順に、50代21.7%、40代20.7%、30代15.4%となっております。
 次に、男女別の相談者数ですけれども、女性が54.3%、男性が43.8%と女性のほうが多くなっております。
 次に、地域別の相談者数についてですけれども、相談者の住所を4つの広域振興圏別に集計いたしますと、多い圏域順に、県央広域圏53.6%、県南広域圏27.8%となっておりまして、2圏域で全県の8割を占めている状況です。
 最後に、相談形式別の内容ですけれども、フリーダイヤル等電話相談が90.5%、電子申請システム等によるメール相談が5.1%、出前相談など委員による相談が3.1%などとなっております。
〇名須川晋委員 まさに現在のいろいろな課題が反映された、非常に興味深い御回答をいただいたと思っております。特に全国で2番目に高い状況ということと、令和3年からいきなり1.5倍になっている状況が明らかになりまして、これは岩手県の労働環境が非常に憂慮される状況にあるのだということがつまびらかにされたと思います。これは商工労働関係との対策が必要となってくるのかと思いましたし、医療関係も非常に多いということでございますので、人材不足や、あるいは、介護、福祉等々、給与が安いというところが顕著なのかと感じました。
 これは、労働委員会の所管ではないかもしれません。雇用契約ではないでしょうけれども、昨年10月1日からインボイスが導入されておりますけれども、これについて、何か相談というのがあれば、今、手元にないかもしれませんが、記憶の中で結構でございますので、お聞かせください。
〇駒木審査調整課総括課長 インボイスに関する相談につきましては、当方は労働相談に関する相談を受けておりますので、特にそういった相談についての記憶は持ち合わせておりません。
〇名須川晋委員 ありがとうございました。
 それでは、次でございます。市町村、弁護士会、連合、経営者団体、知事部局等、さまざまな団体との連携について、どのようになっているか伺います。
〇駒木審査調整課総括課長 他団体との連携についてでございますけれども、労働局、県商工労働観光部、弁護士会、社会保険労務士会及び県労働委員会等で、岩手労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会を組織しておりまして、本年度は7月に労働相談や個別労働紛争解決制度の運用状況等について情報交換を行ったところでございます。
 この協議会では、毎年、関係機関合同労働相談会を実施しておりまして、今年度は来週10月27日に、いわて県民情報交流センターアイーナで開催を予定しております。
 また、市町村、弁護士会、労働者団体、経営者団体からは、労働相談会の開催や労働委員会制度の周知に係る広報活動について、ポスター掲出やチラシ配架などの御協力をいただいているところです。
 特に、岩手労働局には、労働委員研修会の講師を依頼するとともに、あっせんなど個別事案に応じた相談や連携にも努めておるところでございまして、先日も、連携強化を図るため、労働相談の状況等について情報交換を行ったところでございます。
 引き続き、関係機関との連携を深めてまいります。
〇名須川晋委員 聞き漏らしたかもしれませんが、例えば、知事部局との連携についてということで、相談内容が商工労働観光部の担当課にしっかり伝わっているのかどうかということについてお聞かせください。
〇駒木審査調整課総括課長 商工労働観光部との連携についてでございますけれども、先月、定住推進・雇用労働室にお伺いいたしまして、令和5年度の相談内容等について情報提供したところでございますし、私もことし3月まで定住推進・雇用労働室で雇用推進課長を務めておりましたので、情報交換、連携については、十分させていただいているところでございます。
〇名須川晋委員 そうしますと、熟知した方々で進められているということだと認識いたしました。
 3番目でございます。個別労働紛争と労働争議の状況について伺います。
〇駒木審査調整課総括課長 個々の労働者と事業主との間の紛争でございます個別労働関係紛争のあっせんにつきましては、令和5年度は新規で2件の申請がございまして、1件が取り下げ、1件が令和6年度繰り越しとなったところでございます。
 また、労働組合と使用者との間の紛争であります労働争議事件につきましては、令和5年度の新規調整事件の申請はございませんでした。
〇名須川晋委員 それでは最後でございますが、制度の周知状況について伺います。
 相談件数が非常に多くなってきているということは、裏を返せば、PRがうまくいっているという捉え方もできるかと思いますが、県全域をカバーするための取り組みについてということ、PRの内容について、あわせて伺います。
〇駒木審査調整課総括課長 労働委員会では、県内各地域における労働問題の解決支援を行うため、令和5年度は県北・沿岸広域圏を含む県内10市町に委員が出向いて行います、出前無料労働相談会を計画いたしまして、実績といたしましては5市での実施となりましたが、この労働相談会に合わせまして公共職業安定所などの労働関係機関や各地の商工会議所、商工会、社会福祉協議会等の関係団体、市町村等にチラシ、ポスターを延べ4、722枚配布したほか、市町村広報紙への掲載を依頼したところでございまして、直近でいきますと、来週10月27日に、いわて県民情報交流センターアイーナで開催される出前無料労働相談会につきまして、広報もりおか10月15日号に掲載いただいたところでございます。
 また、平日は労働相談専用のフリーダイヤル、ろうどうでなくな、0120−610−797により事務局職員が相談等に対応しているところですし、メールによる労働相談を実施し、時間と場所を選ばない相談対応も行っており、メールによる相談が近年ふえているところでございます。
 それから、制度の周知についてでございますけれども、盛岡駅のさんさこみちなどの公共施設や商業施設、コンビニエンスストア、広域振興局、市町村等への労働委員会のポスター掲示やチラシの配布、先ほど申し上げましたが、市町村広報紙や商工団体等関係機関の広報誌、求人情報誌への掲載依頼などを行っておりますほか、労働相談が多い福祉関係の職場への周知のため、県等が実施する介護関係の研修等でのチラシ配布を行っているところですし、本年度は私立学校関係の会議の場をおかりしての制度周知も行っているところです。
 また、パワーハラスメントの相談がふえている状況もありますことから、10月の個別労働紛争処理制度周知月間に合わせ、アイーナの岩手県立図書館におきまして、来館者へのハラスメント関係図書の紹介とともに、労働委員会制度の活用を促す掲示を実施しているところです。
 また、県内企業や大学等を対象といたしました出前講座を実施し、労働法やワークルールなどの啓発とあわせまして労働委員会の各種制度の周知に努めておりますが、本年度は、高卒者向けの周知を強化するため、県教育委員会事務局の協力を得まして、県内高校への出前講座の周知を実施したところでございまして、早速、県立北桜高等学校から申し込みをいただいたところです。
 今後も、公労使の三者構成による中立、公正な労働委員会の特長を生かした各種制度が広く活用されることで労使関係の安定に寄与し、本県の労働環境の改善につながるよう、引き続き周知に努めてまいります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 一つは、今の答弁で、相談件数687件で、一番多かったのは賃金、次はパワーハラスメント、退職等とのことですが、この件数、比率を示してください。
 もう一つは、事業別に見ると、医療、福祉関係が一番多くて、21.5%ということでした。医療、福祉関係の相談というのは、主にどういう内容の相談が多いのかを示してください。
〇駒木審査調整課総括課長 相談内容の比率ということでございます。令和5年度でいきますと、賃金、手当が16.2%、パワハラ、嫌がらせが14%、退職が11.6%となっております。
 主な相談内容ということでございますが、パワハラ、嫌がらせでいきますと、上司の威圧的な言動により体調を崩し、会社の人事担当に相談したが改善されないといったような内容でございまして、例えば、それによりまして退職を決意したけれども、退職に向けて有給休暇を消化しようとしたが、有給休暇の消化について難色を示されたといったような複合した相談が多い傾向になっております。医療、福祉の相談は、そういった相談が多いということでございます。
〇斉藤信委員 それで、相談件数の90.5%は電話相談ということですから、電話相談だけで解決するというのは大変だと思うのですが、どういう形で解決をしているのか、していないのか、その他の相談機関につなぐのか。
 もう一つは、例えば消費生活相談であれば、専門職の消費生活相談員がいるのですけれども、労働相談も専門的な内容になると思うのですが、事務局職員が研修をして対応しているのか、消費生活相談員のように会計年度職員で専門的スキルを持った相談員が対応しているのか、これはいかがでしょうか。
〇駒木審査調整課総括課長 電話相談による解決についてですけれども、電話相談を受けますが、当委員会は特に指導権限等を有しておりませんので、指導権限を有する労働局ですとか労働基準監督署の照会を行いまして、そちらへの申し出につなぐといったことをしております。
 ただ、相談者は何を相談したいのかといったところから相談していきますので、こちらでワンストップ窓口として、それであれば、こういったところにお話をすると解決できますといったような機能を有していると考えております。
 それから、深い問題になりますと、月1回、月例相談会ということで、公益委員、労働委員、使用者委員、三者で相談を受けておりまして、そういった月例相談会等につなげて、あっせんにつながった例も中にはございまして、あっせんでの解決といったことも取り組んでいるところでございます。
 それから、電話相談の相談員ですけれども、事務局職員が務めておりまして、日々研さんに努めているところです。また、短時間ですけれども、1名の会計年度任用職員からも御協力をいただきながら、平日8時半から5時までの労働相談に対応しているところでございます。
〇福井せいじ委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。ありがとうございました。
 次に、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇大畑環境生活部長 令和5年度の環境生活部の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な取り組み及び今後の取り組み方針について御説明させていただきます。
 当部では、東日本大震災津波からの復興を着実に進めてきたほか、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図るとともに、重点事項として、GX―グリーントランスフォーメーションを推進し、カーボンニュートラルと持続可能な新しい成長を目指し、取り組みを進めてきたところであります。
 まず、復興推進関係につきましては、災害に強く安全で安心な暮らしを支える防災都市、地域づくりに向けて、災害にも対応できる自立、分散型のエネルギー供給体制の構築などに取り組むとともに、地域コミュニティの再生、活性化のため、NPO等が行う復興支援活動等を支援してまいりました。
 次に、政策推進関係につきましては、自然環境の分野では、多様ですぐれた環境を守り、次世代に引き継ぐため、生物多様性の保全や自然とのふれあいの促進、良好な大気、水環境を守る活動のほか、三陸ジオパークに関する取り組みなどを進めてきたところであります。
 また、循環型地域社会の形成に向け、廃棄物の発生抑制や循環的な利用、適正処理を推進するとともに、脱炭素社会の形成に向け、県民、事業者、市町村等と連携し、温室効果ガスの排出削減対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでまいりました。
 参画の分野では、性別や年齢、障がいの有無にかかわらず活躍できる社会をつくるため、男女共同参画社会の実現に向けた環境整備、若者や女性が活躍できる環境づくり、意識醸成等に取り組みました。
 今後におきましても、政策評価制度に基づく各政策の成果や課題等の分析を行い、施策に適切に反映させていくなど、より効果的かつ効率的な施策の推進に努めてまいります。
 続きまして、令和5年度の当部関係の決算の概要について御説明申し上げます。お手元の令和5年度岩手県歳入歳出決算書の18ページをごらん願います。
 環境生活部関係の決算は、3款民生費2項県民生活費の一部と、4款衛生費2項環境衛生費、22ページに参りまして、12款公債費1項公債費の一部と、13款諸支出金2項公営企業負担金の一部であり、予算現額の総額は132億2、835万円余、これに対する支出済額の総額は89億7、644万円余であります。
 恐れ入ります、18ページにお戻りいただきまして、令和6年度への繰越額は、4款衛生費2項環境衛生費の17億1、196万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和5年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承をお願いいたしますます。
 以上で環境生活部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇福井せいじ委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 一つ目は、事項別明細書217ページ、女性のためのつながりサポート事業費、1、309万円にかかわって、いわて女性のスペース・ミモザの活動等についてお伺いいたします。
 昨年度のいわて女性のスペース・ミモザの活動実績についてお伺いします。
 あわせて、生理の貧困に係る取り組みについてもお伺いいたします。市町村別の状況もお伺いいたしたいと思います。
 また、いわて女性のスペース・ミモザの活動の評価についてお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて女性のスペース・ミモザの活動実績についてでございますが、いわて女性のスペース・ミモザは、いわて県民情報交流センターアイーナにおいて相談や居場所づくり等の事業を行っているもので、令和3年7月に開設し、困難や不安を抱える女性の相談対応や居場所づくり、女性用品の提供等に取り組んでいます。
 令和5年度は、電話や対面、メール等で延べ1、827件の相談が寄せられたほか、市町村や大学、全県立学校等に延べ4、970人分の女性用品を提供したところでございます。
また、昨年度の生理の貧困に係る市町村の取り組みでございますが、7市町村が予算措置等により調達し提供しているところでございます。
また、これら市町村の一部を含む提供希望のあった28市町村に対して、ミモザから女性用品を提供したところでございます。
 次に、活動の評価についてでございますが、ミモザは設置から4年目を迎えまして、昨年度の相談件数は、一昨年度と比較して倍増し、今年度も昨年度を上回る件数で推移しておりまして、ミモザの認知が定着し、需要が高まっていると認識しております。
 また、相談内容については、仕事、子育てなどさまざまであり、そのうち、特に夫や子どもとの関係など家族に関する精神的な不安や悩みの相談がふえている状況です。
 利用された方からは、話したことで気持ちが落ち着いた、心の中に閉じ込めておけない悩みを聞いてもらい、また、励ましてもらい感謝している等の意見が寄せられているところです。
 また、女性用品を提供した女性からは、経済的に余裕がないため、とても助かるといった数多くの声が寄せられております。
 女性が抱えるさまざまな困難を受けとめ、寄り添った支援を行うミモザの取り組みは、女性一人一人の安心感の醸成や課題の解決に向けた糸口に結びついているものと認識しております。
〇小西和子委員 ありがとうございました。倍、倍とふえているのがただいまの答弁でわかりました。そして、大変助かる取り組みであるということで高く評価されているということで、ぜひこの活動は続けていっていただきたいと思います。
 先ほどの答弁にありましたけれども、女性が抱えるさまざまな困難を受けとめ、寄り添った支援を行うミモザの取り組みは、女性一人一人の安心感の醸成や課題の解決に向けた糸口に結びついている。困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、これは保健福祉部の所管でありますが、連携して取り組んでいただければと思います。
 では、二つ目です。女性活躍と人口減少対策についてお伺いいたします。
 昨年度のえるぼし認定、これは国の事業ではありますけれども、一緒に取り組んでいるということでお伺いしたいと思います。えるぼし認定の実績と評価についてお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 えるぼし認定の実績と評価についてでございますが、国では、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良である等の一定の要件を満たした企業を、えるぼし認定企業として認定しているところでございます。
 本県における令和5年度末のえるぼし認定企業数は34社となっており、また、直近の令和6年9月末現在では35社と着実にふえているところでございます。
 この件数は東北地域で1位となっており、厚生労働省の担当者からも岩手県の施策による寄与が評価される等、女性活躍に向けた取り組みの成果があらわれているものと考えています。
 なお、県では、えるぼし認定につながるよう、平成29年から、いわて女性活躍企業等認定制度に取り組んできた結果、直近の9月末現在の認定企業数は543社と順調に伸びてきており、今後も女性が活躍できる職場環境づくりに向け取り組んでいきたいと考えております。
〇小西和子委員 えるぼし認定企業が35社になりましたということで、東北地域で第1位、依然としてトップを走っていると思っております。えるぼし認定企業といわて女性活躍企業等数累計実績値というのが指標にあります。実績値545で達成度Aとなっておりますので、引き続き取り組みを強化していただきたいと思います。
 次に、女性の県外流出の解決策の一つとして、働く女性の活躍の見える化に取り組んでいるとのことでありました。実績と課題について伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 働く女性の活躍の見える化についてでございますが、県では、昨年度、各認定企業の具体的な取り組みや、就職を検討している女性へのメッセージ等の掲載数をふやすなど、いわて女性の活躍応援サイトの充実に取り組んできたところであり、今年度は、女性活躍企業等認定証の交付式の場を活用し、県の認定から国のえるぼし認定にステップアップした企業に取り組み事例を発表してもらうなど、新たな取り組みも進めています。
 また、官民連携組織である、いわて女性の活躍促進連携会議の女性の就業促進部会でも、昨年度、県政番組やSNSにより部会の取り組みを紹介したほか、今年度は、農山漁村で輝く女性部会でもラジオを活用した活動紹介等の情報発信を行っており、これらの取り組みにより、求人への好影響や認定に向けた問い合わせがふえるなどの効果につながっているところです。
 若者や女性が県内で働きたいと思えるよう、女性活躍の推進に取り組む企業をふやしていくことが重要であることから、本県で生き生きと女性が活躍している姿をさらに広げていけるよう、今後も、県と民間企業が連携した情報発信等を充実させていきます。
〇小西和子委員 予算特別委員会のときもお聞きしたのですけれども、さらに新しい取り組みを行っているということが今のお答えでわかりました。特に、岩手県の場合、4年制大学を卒業した女性の方々の雇用が大変狭いと私は感じております。ぜひ4年制大学卒業の女性も生き生きと働けるような雇用を創出していただければと思っております。
 次に、ジェンダーギャップ解消に向けた昨年度までの取り組みについてお伺いします。
 あわせて、今年度の取り組みについてもお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 ジェンダーギャップ解消に向けた取り組みについてでございますが、県ではこれまで、女性活躍企業認定の普及拡大や経営者セミナー等により、働く場でのジェンダーギャップの解消を図るとともに、家庭や地域、学校等のさまざまな場においてジェンダーギャップが解消されるよう、いわて男女共同参画センターを拠点に、男女共同参画を推進する人材の育成やセミナー等による意識改革に取り組んできたところです。
 また、昨年度から、外部専門人材をいわて女性活躍エグゼクティブアドバイザーに委嘱し、経営者層への講演をキャンペーン的に展開しているほか、モデル企業に社会保険労務士を派遣するハンズオン支援など、働く場における取り組みを強化しています。
 さらに、今年度は、これまでの取り組みに加えて、スキルの習得から就業マッチングまでを一貫して行う女性デジタル人材育成プロジェクトや、企業とコラボした家事、育児等の負担を見直す啓発キャンペーンにも新たに取り組んでおり、引き続き、家庭や地域等におけるジェンダーギャップ解消に向け積極的に取り組んでいきます。
〇小西和子委員 ぜひアドバイザーをお願いしますと何年か前から話をしておりましたけれども、いわて女性活躍エグゼクティブアドバイザーを委嘱したということで、昨年度、私も講演を聞かせていただきました。経営者の意識を変えていくということはすごく重要なことだと思いますので、ぜひこれを進めていっていただきたいと思います。
 私は一番大事なのは、当事者の声を聞くことだと思いますが、どうして岩手県に残らないのだろうとか、どうして仙台市に出てきたのですか、どうして首都圏に出ていきたいのですかといった声を聞くということを今までやってきたのでしょうか。ぜひ本音で当事者の声を聞いて、それを政策に生かしていただければと思います。
 それにかかわってですが、ジェンダーギャップの中でも大きいと思うのは、共働き世帯の夫婦の家事時間割合のことです。独身のときは、女性であれ、男性であれ、家事も含めて自分のことは自分で行っていたと思うのですけれども、結婚した途端、なぜか女性の肩に家事育児労働が重くのしかかることを解決しなければならないということになっています。ほかの国ではこのようなことはないのです。共働き世帯の男性の家事時間割合を上げるための取り組みについてお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 共働き世帯の男性の家事時間割合を上げるための取り組みについてでございますが、県の施策に関する県民意識調査によりますと、本県における共働き世帯の男性の家事時間割合が、女性に対して4割と低い状況にあることから、家事、育児の分担の現状と理想とする状態を可視化できる家事・育児シェアシートを作成し、本年9月27日に県ホームページに公開したところです。
 この取り組みは、スマートフォンなどを活用いただき、このシートに共に話し合いながら入力を進め、家事、育児分担の現状を再認識し、理想とする状態と比較することにより行動変容につなげることを目的としております。
 ことし9月に開催された親子イベントでは、家事・育児シェアシートの体験ブースを出展し、100名を超す方々に体験していただいたところであり、また、11月には、家電量販店における時短家電等の割引や、スーパー、コンビニ等の店舗におけるチラシ掲示など、企業等とタイアップしながら啓発キャンペーンを展開していくこととしております。
 家事、育児シェアの取り組みは、いわて女性の活躍促進連携会議の構成団体の皆様からも多くの賛同の声をいただいたところであり、引き続き、こうした取り組み等を進めながら、家庭等も含めた地域社会全体でジェンダーギャップ等が解消されるよう取り組んでいきます。
〇小西和子委員 いわて幸福関連指標の状況を見ますと、女性の家事時間割合に対して共働き世帯の男性の家事時間割合の目標値は42.5%です。実績値は43%で達成度Aです。指標が少し甘いのではないかと思っております。2年後の目標値が50%にはね上がっています。どうなのだろうと思っております。ぜひ途中経過のところではありますが、しっかりと取り組んでほしいと思います。
 予算特別委員会のときだったでしょうか、日本の女性の睡眠時間は他の国に比べて短いという調査結果が出ているのです。女性に家事、育児の時間が偏っているということも大いに関係しているのかと思いますし、それから、岩手県は総労働時間が大変長い県であります。全国でワーストのこともありました。働き方改革も並行して行うことが重要と考えます。
 それでは、最後にお伺いいたします。岩手県の最重要課題である人口減少対策に率先して取り組むためにも、あらゆる分野でのジェンダーギャップ解消の取り組みが重要と考えます。環境生活部長の意気込みをお伺いして、終わります。
〇大畑環境生活部長 県ではこれまで、官民連携組織であります、いわて女性の活躍促進連携会議を通じまして、女性活躍の推進に向けたさまざまな取り組みを行ってきたところであります。
 いわて女性活躍企業等認定数が昨年度中に500社の大台を超え、えるぼし認定数も東北6県で最多という状況で、県内企業等では女性活躍に向けた環境整備が着実に進んでいるものと考えております。
 本県の社会減の要因として、進学、就職期の若者、女性の転出超過が指摘される中にありまして、今年度の県人口問題対策本部会議では、人口減少対策として、アンコンシャスバイアスやジェンダーギャップの解消に取り組む重要性とともに、企業や家庭、地域など社会全体で取り組むことの必要性を確認、共有したところであります。
 今年度は、家事・育児シェアシートの普及や女性デジタル人材の育成など、新たな取り組みも始めたところであります。引き続き、関係部局や関係団体と連携をいたしまして、取り組みの充実、強化を図るなど、性別にかかわらず一人一人が生き生きと活躍できる社会の実現に向けて、積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 私は、鳥獣保護及び鳥獣被害対策の関連でお聞きしたいと思います。
私ども自由民主党岩手県連では、毎年、全33市町村を直接訪問して、それぞれの要望を聞いております。昨年もことしもやったわけですが、33市町村のうち8市町村から鳥獣保護なり対策についての要望を受けておりますので、その中で少しお聞きしたいということであります。もちろん8市町村以外にもあると思いますが、重要な課題ということで聞いています。かなりひどい状況であるから聞いているとお聞き願えればありがたいです。
 最初に、令和5年度の鳥獣被害の状況、あるいは、捕獲頭数についてお伺いしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 ニホンジカ、イノシシ、ツキノワグマなどの被害状況、あと、捕獲の状況ということでございますけれども、令和5年度の農作物被害につきましては、速報値で、鹿が前年度比3、000万円減の約2億4、000万円、イノシシが前年度比1、900万円増の約6、000万円、熊が前年度比6、700万円増の約1億円という状況になっております。
 次に、捕獲の状況でございますけれども、こちらも令和5年度になります。まず、鹿につきましては、前年度比2、584頭増の2万9、138頭、イノシシにつきましては、635頭増の1、614頭、熊につきましては、479頭増の898頭ということになっております。
 なお、熊につきましては、関心も高いということで、最近の状況も取りまとめておりまして、9月末現在で前年度比200頭増の583頭(後刻「前年比200頭減の383頭」と訂正)という状況になっております。
〇千葉伝委員 毎年毎年どんどん頭数がふえている。その結果として、鳥獣被害もふえているのが現状だということでありますが、そういった中で、特に要望の中で大きいのは、被害対策という部分と、最近はジビエという部分で、それぞれの市町村の中でやりたいという人があるやに聞いております。どうすればいいのかという質問もあるわけですけれども、特に被害防止対策については、環境生活部だけではなくて農林水産部とお互いに頑張っていただいているとは思いますが、それはそれとしてお聞きします。
 今お聞きしたいのは、鳥獣被害について、野生鳥獣の捕獲頭数のお話を先ほど伺いました。この捕獲頭数を決めるに当たって、それぞれの関係市町村に県において大きい枠で何頭捕獲するかという予定頭数を決めているわけですよね。その決め方がどのような決め方で決まっているのか、改めてお聞きしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 熊の捕獲頭数の考え方ということでございますけれども、現在の第五次ツキノワグマ管理計画の中では、推定個体数3、700頭ということで推計しておりまして、こちらの頭数を令和8年度末、計画期末までに3、400頭に減らすという方針の考え方で取り組んでいるところでございます。この中で、毎年、年間の捕獲上限数を有識者が構成する協議会の中で検討させていただいております。
 その際に、前年度の捕獲実績ですとか被害の状況なども勘案しながら捕獲頭数を定めさせていただいているところでございまして、令和6年度につきましては、昨年度より多くなっておりまして、796頭ということで捕獲上限数を設定させていただいているところでございます。
 市町村に対しましては、この捕獲上限数に従いまして、一般的には、事案ごとに通常許可という形で1件許可している場合と、事前に、千葉伝委員がおっしゃったように、捕獲枠という形で配分する形で捕獲を行う特例許可という形で行っておりまして、市町村に対しましても、捕獲上限数であったり、市町村ごとの前年度の実績に基づきまして、特例許可の枠というのも配分させていただいている状況でございます。
〇千葉伝委員 各市町村でそれぞれ頭数、生息数が多いところ、あるいは少ないところもあるかもしれません。そういったことで、県全体の頭数を把握することが私はまず第一義的に大事なことだと思っております。
 その上で、今、それぞれの捕獲頭数を決めているというわけで、市町村によっては、うちではこのぐらいぜひ捕獲したいとか、その分の予定を配分してもらいたいという市町村もあるのですが、そのようなことは可能ですか。
〇酒井自然保護課総括課長 市町村に配分する際には、まずは年度当初に、先ほど申し上げました、前年度の当該市町村の捕獲実績だったり、その市町村での被害の状況なども勘案しながら配分させていただいているところでございますが、例えば、昨年度のように、人身被害が多発していたようなケースにつきましては、市町村からの要望を踏まえまして、2回にわたって特例許可の追加配分を行わせていただいているところでございます。
 今年度につきましても、改めて市町村の希望をとりまして、10月1日付で追加配分を行ったところでございまして、地域の実情を踏まえて、配分については対応しているところでございます。
〇千葉伝委員 鹿もイノシシも大変ですけれども、熊に特定してこれから進めていきたいと思います。
 熊については、ことし国で指定管理鳥獣に追加されたということであります。その結果として、国でも予算を配分しているということで、県も熊の対策について、今定例会にも追加予算が上程されているわけですが、今回、追加している中身としては、どういうことを考えているのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 今定例会でございますけれども、8月に国から熊対策に関する新たな交付金メニューが示されたことを踏まえまして、個体数管理のための熊の捕獲事業ですとか、人身被害の未然防止に向けた啓発を展開するためのテレビCMの制作や放送のための経費、リーフレット等の製作経費を新たに追加させていただいているところでございます。
〇千葉伝委員 野生鳥獣の捕獲について、国でも追加して熊を指定管理鳥獣にしたということであります。今、おっしゃったとおり、それぞれ予算を生かして対策を進めるということでしょうが、指定管理鳥獣になった後となる前とで県のやり方、政策が変わったところがあればお知らせ願います。
〇酒井自然保護課総括課長 指定管理鳥獣前後の県の取り組みの変化ということでございますけれども、まず、大きな変化といたしましては、指定管理鳥獣となったことに伴いまして、環境省の交付金が活用できることになりました。これまで熊の捕獲事業につきましては、有害捕獲という形で市町村が農林水産省の交付金を使って捕獲する以外は国の交付金はなかったところでございますけれども、今回、改めて環境省の交付金を使いまして、県がみずから捕獲事業を行うという点が、違いとすると大きな点ということになろうかと思います。
 そのほか、先ほどの普及啓発の部分につきましても、交付金が使えるということで、今回、新たに追加させていただいたところでございます。
〇千葉伝委員 ところで、野生鳥獣の対策を進めるには、先ほど言ったとおり、生息数を調査する実態はどうだということがあるわけで、先ほど聞き漏らしたのですが、ことしの予算で、たしかセンサーカメラを市町村に貸与して調べるということだったと思うのですが、現状はどうなっているのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 今年度の当初予算に計上させていただきましたもので、新たな部分といたしまして、これまで推定個体数が不明となっておりましたイノシシの関係につきまして、センサーカメラを活用いたしまして、試行的に個体数の調査をするということで計上させていただきました。今、契約の手続も終わりまして、これから事業に着手しようというところでございます。
 千葉伝委員がおっしゃられた市町村に貸与という部分に関しましては、昨年度の12月補正でカメラと移動式の電気防止柵、熊対策の関係ですが、こちらを計上させていただきまして、市町村に貸し出しできるように各広域振興局に配備させていただいているところでございます。
 済みません、今、貸し出し状況につきましては、広域振興局から報告を求めていない関係で手元にはございませんけれども、今の状況といたしますと、そういった形になっております。
〇千葉伝委員 先ほど生息頭数もお聞きしたところであります。前にどなたかが聞いたかもしれませんが、今いる生息頭数をどの程度まで減らすとか、人間との共生も含めて頭数を調整していくということでやっているわけです。そういったところでお聞きしたいのは、今回のツキノワグマも含め、ほかの鳥獣を含めて、適正頭数とはどういうことを言っているのか、改めてお聞きしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 適正頭数という考え方になりますと、野生鳥獣の関係ですと捉え方がなかなか難しい部分がございまして、現在の我々の管理計画の中でいきますと、例えば、鹿であれば、平成30年度時点で個体数が約10万頭ということで推計しておりまして、こちらを計画期末までに何とか減らそうという考え方の中で取り組んでおります。その計画の中では2万5、000頭以上ということで目標を掲げております。予算の面でいきますと、毎年何とか2万5、000頭以上の目標の中で、今年度につきましては、2万7、000頭分の予算を確保して、有害捕獲を含めてこれから取り組みを進めているところでございます。県の推計に基づきますと、このペースでいけば、当初の推計個体数10万頭よりは減るのではないかという推計をしているところでございます。
 イノシシにつきましては、個体数がわからないということで、積極的な捕獲を進めるという考え方になります。
 熊につきましては、先ほど申し上げましたとおり、3、700頭から3、400頭まで減らすということで、今、目標に掲げているところでございます。
〇千葉伝委員 鹿は先ほどの話で十四、五万頭いるのですか、10万頭を目指して毎年2万5、000頭近く調整していくというわけであります。それでも多いのではないか。いないのが適正頭数ではないかという人もいますが、それはそれとして、今いる野生鳥獣と人間の共生を含めた上で、しっかりと両方がともに生きる関係になればいいと思っております。
 ところでもう一つ、各市町村からのお願いがあるのですが、野生鳥獣を捕獲した後の処理ということで、私も6月定例会で質問しておりますけれども、この分について、県が捕獲した後の管理を決められた場所で処理するというやり方をしてほしいという要望が結構多いのですが、ここの部分については、今、県の考え方はどうなっているのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 捕獲後の個体処理についてでございますけれども、有害捕獲ですとか指定管理鳥獣捕獲等事業で捕獲しました個体の処理につきましては、捕獲現場での埋設処理、一般廃棄物処理施設での焼却処理などが行われているところでございまして、現状では、これらの手法が最も適切な方法ではないかと考えているところでございます。
 また、個体処理につきましては、全国的には生物分解による減容化の施設であったりとか、専用の焼却炉による焼却施設を設置する事例などもございますので、このような取り組みにつきましては、市町村に紹介していきたいと考えております。
 また、岩手県鳥獣被害防止総合支援事業におきましては、市町村等による焼却施設や食肉利用加工施設の整備が可能となっておりまして、県では、市町村等が行う施設の整備に対しまして補助事業等の活用を促しておりますほか、令和6年度につきましては、県単独事業として、市町村等が行う捕獲個体の処理施設に要する経費を支援いたします鳥獣捕獲個体処理効率化支援事業費を創設したところでございまして、引き続き、市町村と連携して捕獲個体の処理が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 ジビエの関係で、先ほど聞き漏らしたかもしれませんが、現在、県にやりたいという市町村が何カ所か来ているかと思うのですが、おわかりであればお知らせ願いたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 ジビエの関係になりますと、直接的には農林水産部が所管しておりますので、情報として伺っているというところでございますが、御案内のとおり、既に大槌町ですとか遠野市で食肉加工施設が稼働しているところでございます。そのほかに、宮古市でもジビエの施設に関しては御興味を示していらっしゃるということで情報をいただいています。
〇千葉伝委員 いずれにしても、かなりの捕獲数が年々増加しているということでありますので、駆除に当たっての先ほどの県の処理の指導も含めて頑張っていただきたいです。
 ところで、猟友会の関係で、そういった駆除はお願いして、また、駆除した後の処理も、山に埋めたり、さまざま対応しているのですが、猟友会の皆さんから話を聞くと、どうも今の報奨金では、猟に出るのも大変だとのことです。この増額については、どういう考えなのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、県で猟友会にお願いしております事業といたしますと、これからでございますけれども、イノシシと鹿に関します指定管理鳥獣捕獲等事業ということで、こちらは県の猟友会に委託させていただきまして、県の猟友会を通じて地区の猟友会に活動に伴う経費が支払われるという形になっております。こちらにつきましては、全体の頭数に対しての契約ということになっておりますので、1頭当たりの単価ということではございません。
 1頭当たりということになりますと、市町村が行っております有害捕獲ですと、農林水産省で単価、上限額が1頭当たりおおむね8、000円ということで決められておりまして、こちらの増額につきましては、農林水産部にも確認しておりますけれども、市町村からの要望を踏まえまして、政府予算要望の中で国に増額を働きかけるということで毎年要望させていただいていると承知しております。
〇千葉伝委員 農林水産部にあした、また改めてお聞きしたいと思いますが、各市町村を回ったときに、単独でかさ上げして報酬を出している市町村もあるわけであります。そういったことも含めれば、お互い隣同士で単価が違うとか、そういうことがあまりないように、県が平準化させるやり方も十分考えていただきたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇高橋穏至委員 私も同じ質問でしたので、関連で質疑させていただきます。
 鹿、イノシシに対しては、今、千葉伝委員からお話が出ました。私が取り上げる中で一つ、一緒に33市町村を回っている中で、最近、ニホンザルの出現が非常に多くなってきたという話をいただきました。ビデオまで見せられまして、学校の周りを15頭から20頭の群れが回っているということです。お話を聞いたところ、岩手県以外の東北地区では管理しているようだけれども、岩手県はしないのですかという話と、何とか対策に事業をつけてもらえないかというお話がありました。
 当局に事前にお伺いしたところ、第二種鳥獣管理計画というもののようですが、そういった取り組みの見通しはあるのかどうか、お聞きします。
〇酒井自然保護課総括課長 ニホンザル対策についてでございますけれども、まず、ニホンザルの現況ということで、県内におきましては、平成29年度の国の調査ですとか令和3年度に県が市町村にアンケートを行っておりますが、五葉山周辺を初め、沿岸広域振興局管内を中心に群れが確認されているところでございます。
 対策ということでございますけれども、ニホンザルによる農作物被害防止に向けまして、国の事業を活用いたしまして、市町村が地域ぐるみで取り組む被害を及ぼす猿の捕獲のほか、電気柵の設置や放任果樹の伐採、やぶの刈り払いなど里に寄せつけない環境整備、生息状況調査やGPS発信機を装着させた猿の行動に基づく追い払い活動などを支援しているところでございます。
 鳥獣保護管理法に基づく第二種特定鳥獣管理計画は、都道府県の区域内におきまして、生息数が著しく増加している、または、生息地の範囲が拡大している鳥獣の個体数管理が必要な場合に策定することとされているところでございます。
 こうした中、国のガイドラインにおきましては、本県の状況は、生息地が限定的で、捕獲を進める上で個体群の維持等に特に配慮が必要な要配慮地域とされている状況にあること、また、被害対策のための捕獲許可を行うことも可能でございますので、まずは市町村と連携しながら、生息状況や農業被害などの現状把握とその対応に努めていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 それでは、県内に対して今、令和3年の調査ということでしたが、令和4年、5年、その後調査をしているのかどうか。私の住んでいるところでも最近、猿が出始めまして、イノシシとかと違って、人間が取ったように上手に農作物を取っていくのです。盗まれたのかと思うと、実は猿が持っていったという話を聞いたりするので、結構広がっているのではないかと思われるのですが、そういった調査状況はどうでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 先ほど申し上げました令和3年度のアンケート調査でございますが、こちらはニホンザルだけではなくて、イノシシなども含めてアンケート調査をさせていただいたものでございまして、期間は令和元年度から令和3年度まで、この3年間で実施させていただいたものでございます。それ以降につきましては、このアンケート調査は実施しておりませんので、直近の状況が令和3年度ということになっております。
〇高橋穏至委員 イノシシのときもそうでしたけれども、温暖化になってイノシシがふえたと思ったら、一気にこの二、三年でふえてしまって、追いつかない状況になってきています。そうなってからでは遅いですので、ぜひ継続して調査するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 アンケート調査につきましては、こちらは地元の自治会ですとか町内会の方々に、まず、いるかいないかとか、その状態が群れだったのか単独だったのかという形での確認ということです。この3カ年間でそれぞれの鳥獣に関しまして、例えば、このとき中心としましたのは、イノシシの状況を把握したいということで行ったところもございまして、この調査によって全県での生息が確認されたということで、一旦、この調査については区切りとさせていただいたところでございます。
 ニホンザルにつきましては、まだ実態がわからない部分等もございますので、まずは御要望のあります市町村の状況等をもう少し正確に把握させていただいた上で対応を考えていければと考えております。
〇高橋穏至委員 私どもが回った市町村からは、県でぜひ実態も含めて調査して管理してほしいという要望なのです。令和3年にやったから終わりではなくて、定期的に、毎年は無理でも隔年でもいいですので、押さえておかないと、気づいたときにはもう手おくれという状況になるのではないかと思うのですが、再度いかがでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 ニホンザルの状況調査ということでございますけれども、現在、市町村で行っております鳥獣被害防止計画に基づく対応ということでございますが、こちらは電気防止柵の設置ですとか追い払い活動だけではなくて、モニタリング、生態の状況などを把握する部分に関しましても、国の交付金を活用可能となっておりましたので、この部分に関しましては、国の交付金を活用した形での取り組みということも市町村に助言しながら、一緒に対応を考えていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 市町村とお話をしながら、しっかりと県としての全体像を捉えておかないと、気づいたときには手おくれ、これはイノシシのときにそうだったわけですから、ぜひとも取り組むべきと思いますけれども、やりとりは行ったり来たりで平行線ですので、最後、環境生活部長に聞いて終わります。
〇大畑環境生活部長 ニホンザルの生息状況の実態の把握という部分については、高橋穏至委員御指摘の調査を継続しながら実態把握を進めるべきというところは、そのとおりかと思っております。調査の仕方については、アンケート調査がいいのか、どうするのがいいのかということ、それから、国におきましても、過去に調査をやった例がございますので、国としての考え方も確認しながら、どういう調査ができるのか、そこは検討させていただければと思います。
〇高橋穏至委員 ぜひやる方向でお願いします。要は、東北地区でやっていないのは岩手県だけというお話もいただきました。岩手県だけニホンザルが住めない地域というようには思えませんので、ぜひそこはしっかりと検討するよう申し上げて、終わりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私から、いわて幸福関連指標の犬、猫の返還・譲渡率について伺いますが、令和5年度の達成度はAということで100%となっておりまして、これを維持していくのが当面の目標ということになっております。この数字はいいのですけれども、犬、猫の保護の仕方や環境について、これが現代に合っているものなのか。動物愛護管理センターもできますが、各地域の収容所等の関係や、あるいは、ボランティアの皆さんがかかわっていただいている中で、県がこの環境でよしというところと、ボランティアの皆さんがよしとするところのギャップがあって、それを埋めるために今、ボランティアも手出しでさまざまなことをしていただいているという状況にあるのかと思っております。こういった部分について、県としてもそれに合わせたというか、現代に合った適正な形で保護していくということに手を伸ばしていかなければいけないのではないかという視点で質問させていただきます。
 まずは、ボランティアの支援に対する県の認識と、10月から一時預かりボランティアがスタートしておりますが、この内容をお示しいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 まず、ボランティアの支援に対します県の認識についてでございますが、動物愛護施策を推進するに当たりましては、動物の愛護と適正飼養に対する県民の関心と理解の深まりはもとより、市町村、関係機関とともに県内各地域で広くボランティア活動を展開する動物愛護団体等との連携、協働が不可欠であると認識しております。
 一方、これら動物愛護団体等におきましては、活動の運営基盤を支えます収入の確保や人材の育成、確保等の点で課題を有しているということも、これまでの協議や意見交換の場などを通じまして承知しているところでございます。
 県では、これまで多頭飼育問題への対応や動物の適正飼養等に係る研修会の開催を通じまして、ボランティアのスキルアップとあわせ、人材の掘り起こしに取り組んできたところでございますが、今後はこれらの取り組みとあわせまして、活動団体に対する官民の支援制度に関する情報提供なども行ってまいります。
 また、現在、動物愛護の拠点となる動物愛護管理センターの整備に向けまして検討を進める中で、広く地域で活動する多くのボランティアや動物愛護団体等との連携、協働のあり方については、動物愛護推進協議会などの意見も伺いながら進めることとしており、これらの取り組みを通じまして、ボランティア等への支援について議論を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、一時預かりボランティア制度の内容についてでございますが、一時預かりボランティア制度は、地域のボランティアの協力のもと、ボランティアの自宅等で一時的に飼育して人なれを進めることなどにより譲渡適性を高め、動物の生存機会の拡大等を図ることを目的として今年度創設した取り組みでございます。
 制度の実施に当たりましては、その費用を本年7月から9月にかけまして、クラウドファンディング型ふるさと納税で募り、結果として82人の支援者の方々から、目標額である150万円を上回る165万円余の御寄附をいただいたところでございます。
 一時預かりボランティアは、離乳前の犬、猫の飼養を目的とするミルクボランティア、そして、人になれていない犬、猫を人や環境にならすことを目的とする社会化ボランティア、また、主に高齢の犬、猫の終生飼養を目的とした長期預かりボランティアの3つの区分で募集しておりまして、クラウドファンディングによる寄附金を活用して、一時預かり期間に必要なペットフードなどの物品のほか、一時預かり対象となる犬、猫の体調不良時の診療費などの一部を負担することとしております。
 今後、一時預かりボランティアの取り組みを契機として、ボランティアとの連携強化や動物の生存機会の拡大と譲渡の推進に取り組んでまいります
〇佐々木朋和委員 この一時預かりボランティアは、これまで全てボランティアの方が実費で出していた部分を、このような形で経費を補助するということは大変いいことだと思っているのですけれども、今、答弁があったように、今回このような金額が集まりましたが、今後も、こういったクラウドファンディングやこの事業を来年度以降も続けていく方針なのか。また、現状、今の金額からのクラウドファンディングでスタートさせておりましたけれども、予算的には拡充が必要なものなのか、それとも、これで一定程度続けていくという方向なのか、あわせて伺いたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 今年度取り組み始めました一時預かりボランティアの事業につきましては、今後も同様の形で継続していきたいと考えておりまして、その財源につきましては、並行して検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 継続していくということでしたけれども、財源について、予算規模について、今で十分なのか、それともクラウドファンディングの金額もこれから拡大をしていかなければいけない状況なのか、この辺についてお聞かせください。
〇千葉食の安全安心課長 今回の事業に必要と考えた予算規模につきましては、その時点で預かりを想定した頭数に合わせた規模で考えているところでございますので、来年度以降につきましても、保護した動物の実績等を踏まえて予算規模について検討してまいります。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。この一時預かりボランティアの犬、猫に対する人なれを増進していくところで、いわて幸福関連指標は犬、猫の返還・譲渡率100%ですけれども、これは人なれをして譲渡可能なものの数だと思うのです。一方で、ボランティアの皆様方に聞くと、もう少し人なれについて、早くから手をかける、あるいは、頭数をふやしていくことによって、より譲渡対象となる犬、猫がふえていくという話も聞いておりますので、ぜひ続けていただきたいと思います。
 冒頭、御答弁であったボランティアへの支援に対する県の認識ということでお聞かせをいただきましたが、私は、例えば、地域で収容所がありまして、その設備の足らざる部分に対して、ボランティアの皆さんも毛布を持ってきたり、クーラーをつけたりということで実費でやっていただいている。こういった部分については、ある意味、ボランティアの活動だということではなくて、県として整備すべきところではないかというところが混ざり合っている状況なのではないかと思っています。
 そういった中で、冒頭、県がこれでいいと思う環境とボランティアの皆さんが思ういい環境のところのギャップがあるという御指摘をしたわけですけれども、一時預かりボランティアがあるにせよ、あるいは、動物愛護管理センターができたにせよ、一定期間はどうしても地域の収容所―収容所という名前もいかがなものかと思いますが、収容所で犬、猫がある一定期間過ごさなければいけないという状況がある中で、収容所の改修状況と今後の予定をお示しいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 各保健所の動物管理施設の改修状況等についてでございますが、動物愛護事業を推進する上で、動物管理施設の適切な飼養管理体制の整備は重要であると考えており、令和5年度は、一関保健所を含む4保健所で犬のおりの拡張を行ったほか、1保健所ではオイルヒーターを設置したところでございます。
 令和6年度は、県央保健所におきまして、猫の譲渡を推進するために、これまで活用されていなかったスペースを活用し、猫の譲渡室として整備を行っております。
 また、動物管理施設の今後の改修についてでございますが、今後も必要に応じて修繕等を行うこととしているほか、現在進めている動物愛護管理センターの整備の検討を行う中で、センターと既存の動物管理施設との役割分担と連携のあり方などについて、動物愛護推進協議会等の意見も伺いながら進めているところであり、既存の動物管理施設の大規模な改修等につきましても、これらの動きを踏まえ、具体的に検討してまいります。
〇佐々木朋和委員 具体的にこれから検討していただけるということでお願いをしたいのですけれども、記憶に新しいところで、岩手県内でも管理の環境が劣悪だったペットセンターが全国ニュースに載ったと思います。それを受けて、県でも動物たちを引き取ったわけですけれども、その引き取り先の収容所が適正な場所なのかということが非常に私は気になります。令和3年に動物の愛護及び管理に関する法律が改正されて、ゲージの大きさとか、あるいは、温度計、湿度計があって、きちんと温度管理をしなさいという具体的な飼養の基準が出たわけです。それに合わせた収容所なのかと。そうなっていないと、劣悪なところから、少し劣悪なところに移動したのでは、本当にしゃれにもならない話だと思います。
 収容所の改修、必要に応じてではなくて、例えば、この法律に合ったような体制で整備をしていく、その目標点が見えれば、動物愛護にかかわっていただいている皆様方も安心すると思います。そういった考え方で整備をしていくことも必要ではないかと思いますが、この辺の所見を伺いたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 動物管理施設における整備の基準等についてでございます。昨年度行った犬のおりの拡張につきましても、令和3年度の法改正に沿った形で目標とする広さを考えて、足りない部分について拡張工事を行ったところでございます。
 今後におきましても、この法律で定めた動物取扱業に対する基準ではありますが、その基準を保健所の動物管理施設にも当てはめて、足りない部分がないように必要な改修に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございます。その一言が聞けてよかったと思います。
 現在、その基準に足りないところが、どの程度あるのでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 明確な基準に合わない施設はないものと承知しているところでございますが、例えば、温度環境ですとか、もっと上を目指したほうがよいという部分があることは承知しておりますので、その部分につきましても、可能な限り、例えば、暖房器具であるとか、エアコンまではいかないにしても、適切な換気設備ですとか、そのような施設の対応ができるように努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 明確に基準にそぐわないところはないという話でしたけれども、私も見学もさせていただきましたが、とはいえ、グレーなのではないかというのは見ればわかるところだと思います。ぜひともそういった部分がないように、早急に計画的に予算も要求をしていただいて、よろしくお願いしたいと思います。
〇村上貢一委員 私からは、第三次岩手県循環型社会形成推進計画についての、もったいない・いわて3R運動に関連してお伺いいたします。
 本県の第三次岩手県循環型社会形成推進計画においては、基本目標を、地域循環共生圏を3Rで支える持続可能ないわてとし、その目標実現に向けた三つの具体像として、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環、災害に強く持続可能な廃棄物処理体制の確立、廃棄物の適正処理の徹底を掲げております。また、県民総参加による、もったいない・いわての3R運動方針を掲げております。
 そこで、まずは、令和5年度の同計画に掲げる一般廃棄物の減量化等の目標達成状況をお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 一般廃棄物の減量化等の目標達成状況についてでございますが、県では、循環型地域社会の形成に向け、3Rの推進やリサイクル産業の振興を柱とする第三次岩手県循環型社会形成推進計画を令和3年3月に策定し、一般廃棄物の減量化等に関し、令和7年度に達成を目指す目標値を設定しております。
 主な目標値の進捗状況ですが、県民1人1日当たり家庭系ごみ排出量については、令和7年度の目標値465グラムに対し、令和4年度の実績値は514グラムとなっており、また、県内の廃棄物の埋め立て量を表す年間最終処分量については、令和7年度目標値3万5、800トンに対し、令和4年度の実績値は3万6、656トンとなっております。
 計画に掲げる目標値の進捗状況については、おおむね順調に進んでいるものがある一方、取り組みを強化していくべきものもあることから、目標達成に向けて、引き続き市町村や関係機関等と連携し、普及啓発等に取り組んでまいりたいと考えております。
〇村上貢一委員 リサイクル率の現時点での評価といいますか、指数がわかれば教えてください。
〇古澤資源循環推進課総括課長 ごみ処理量に占めるリサイクル量の割合をあらわすリサイクル率でございますが、令和7年度の目標値23%に対しまして、令和4年度の実績値は16.8%となっております。
〇村上貢一委員 私は、いつも岩手県のリサイクル率は大体18%ぐらいだと認識しておりましたが、現時点で16.4%ということは低くなっているのではないかと思います。その要因、分析など、どのようになっているのかお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 このリサイクル率の考え方としましては、市町村等で受け入れる一般廃棄物のうち、リサイクルに回されている量を割合として示しているものでございます。したがいまして、店頭回収等がふえてきているということなので、それがリサイクル率に反映できていないということから、数値上、リサイクル率が少し下がり気味になっていると考えております。
〇村上貢一委員 そこで、全国の都道府県のリサイクル率の順位を見ると、山口県とか鳥取県、岡山県が30%ぐらい。平成30年度のデータだけで見ますと、岩手県は東北6県の中でも最上位で18%ぐらいだったのですが、ほかの指標を見ても、岩手県は東北6県の中でもほぼ上位なので、すごく頑張っていると思って感心しているのですけれども、山口県、鳥取県、岡山県など、上位との差を分析、検証などしているのであればお示しください。
〇古澤資源循環推進課総括課長 確かに、リサイクル率は、全国を並べてみるとそれなりの差があるということは承知しておりますが、実際、計算の仕方にあるのか、あるいは、回収の仕方とかそういったところにあるのか、今の段階では承知していないところがございますので、その辺については、少し情報収集していきたいと考えております。
〇村上貢一委員 それでは、その点に関連して、次の質問に移ります。
 エコ協力店いわて認定制度についてお伺いいたします。県と市町村がごみの減量化やリサイクルについて、みずから目標を立てて目標に取り込む店舗をエコショップいわて認定店、エコレストランいわて認定店、エコホテルいわて認定店として認定しております。その中で、いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書では、達成度Aとはなっておりますが、この認定制度のこれまでの取り組みをどのように評価しているのか、成果と課題をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 エコ協力店いわて認定制度の取り組みの成果と課題についてでございますが、県では、環境に配慮し、ごみの減量化等の目標を立てて3Rの推進に積極的に取り組む店舗をエコ協力店として認定しておりまして、令和6年9月末現在の認定数は323店舗で、協力店による取り組みを県民に周知することを通じて、県民の意識醸成にもつなげているところでございます。
 エコ協力店では、店舗によるレジ袋消費量の削減、エコバッグの活用、リサイクルの促進などに取り組んでおり、こうした取り組みが県民の3R意識の醸成とともに、ごみ減量に寄与しているものと考えております。
 一方、協力店からは、事業者にとっての認定メリットが十分でないことや、エコ協力店の取り組みの周知が十分でないなどの声が寄せられており、こうしたことを課題と捉え、改善に取り組んでいく必要があると考えております。
〇村上貢一委員 323店舗ということでございますが、その内訳、エコショップいわてと、エコレストランいわて、エコホテルいわての内訳についてお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 エコショップが305店舗、エコレストランが15店舗、エコホテルが3店舗でございます。
〇村上貢一委員 わかりました。そこで、私はホームページで確認させていただいたら、エコショップの登録店305店舗のうち約200店舗ほどが、皆様が御存じの大手コンビニチェーンストアでありました。そのほかの多くは、地域の大型スーパー店であり、県内の個人経営の小規模事業者はわずか10店舗ほどでありました。それを見るにつけて、さすが大手コンビニエンスストアは、企業の社会的責任とか3R推進運動への使命感というか貢献度を非常に企業として意識づけているということを感じましたし、県内の中小企業者もその姿勢を見習わなければいけないのではないかと感じている次第であります。
 そこで、願わくば、地域の事業所、パパママストアというような、例えば食料品店でありますとか、八百屋、魚屋、酒屋、米屋、考えられる業態にも波及すれば、より広く県民に浸透し、さらに循環型地域社会の形成や醸成につながるのではないかと思いますが、その辺の取り組みについて御見解をお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 エコ協力店いわて認定制度の事業運営につきましては、一部委託事業で行っているところがございます。したがいまして、委託事業者において、大手のコンビニエンスストア以外にも小規模の商店などにも取り組みを促し、認定していただくようにということで取り組んでいるところでございます。
〇村上貢一委員 そうしますと、広がっていかない障壁はどのように分析していますか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 直近のエコ協力店いわての認定店舗数の推移を見ると、昨年度は313店舗でございましたし、その前は307店舗ということで、少しずつ上がってきております。一方で、店舗を廃業するとかで減っているところもあるので、上限というか、ふえている一方、減っているということで、結果的にあまり伸びていないところがございます。
 課題ということでは、認定基準がございますので、認定店舗になるためには認定基準に合うような取り組みをしていただく、あるいは計画をしていただく、あるいは報告していただくということがございますけれども、認定メリットが十分ではないという事業者からの声がございますので、その辺が要因で伸び悩んでいるというか、数字的には少しずつしか伸びていない状況になっていると考えております。
〇村上貢一委員 第三次岩手県循環型社会形成推進計画においては、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環と銘打っているわけですから、ぜひ具体的な実践についても、しっかりとそこは取り組んでいただきたいと思います。大手チェーンがやるのは何となく当たり前のような気がするのですけれども、これをもっと広くさせるには、数多くある県内の事業所がやってこそ初めて浸透すると思うのですが、もう一度お伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 村上貢一委員に御指摘いただきましたとおり、大手店舗以外の店舗、スーパーにも認定店になっていただくというような形で取り組みは継続してやっていきたいと考えております。
〇村上貢一委員 そういう面から考えますと、エコレストランいわては15店舗でしたか、エコホテルいわてが3店舗、少し寂しい結果でありますが、ここを見ると、大手サプライチェーンとかではなく地元の地域の業者がしっかり入っておりますので、ここのポテンシャルは非常に高いのではないかと思いますので、業界、団体のところにアプローチをかけて、営業といいますか、しっかりとこの辺を取り組んでいくと、さらにもっと深化した取り組みに通じると思うのですが、いかがですか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 今、村上貢一委員から御指摘がありましたように、エコショップ305店舗に対してエコレストラン、あるいはエコホテルが少ないということでございます。これにつきましては、もともとエコショップいわて認定制度という制度でスタートしまして、エコレストラン、あるいはエコホテルというカテゴリー、区分をつけたのが令和4年度からでございますので、現時点で数が少ないという状況になっておりますが、新たな区分を設けましたということもありますので、引き続き、店舗数をふやすような取り組みはしていきたいと考えております。
〇村上貢一委員 いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書を見ますと、達成度はAということでありますけれども、令和8年度の計画目標値が令和3年度と一緒の301というところでありますから、この辺はしっかりと情報修正していただいて、もっと着実に、強力に推し進めていただきたいと切に願うものであります。
 次に、いわてプラごみ削減協力店、もったいない・いわて☆食べきり協力店の2事業についてお伺いいたします。
 昨年度スタートした、いわてプラごみ削減協力店の登録店数は、ホームページを確認しますと、今月1日時点で187件であります。また、同様に、もったいない・いわて☆食べきり協力店の登録数は、本年7月3日時点で179店舗でありました。現在の課題と今後の取り組みについてのお考えをお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 いわてプラごみ削減協力店、もったいない・いわて☆食べきり協力店の課題と今後の取り組みについてでございますが、まず、いわてプラごみ削減協力店制度は、使い捨てプラスチック容器等の使用削減に取り組む事業者を登録し、事業者の取り組み内容を広く県民に周知することにより、海洋プラスチック汚染等の原因となるプラスチックごみの排出抑制を推進することを目的として、令和5年度に創設した制度でございまして、今年度9月末時点で186店舗が登録されております。
 また、もったいない・いわて☆食べきり協力店制度は、飲食店等で食べ残しの削減に取り組む事業者を登録し、各事業者の特色に応じた取り組みを広く県民に周知することにより、食品ロス削減の取り組みを推進することを目的として平成29年に創設した制度でございまして、本年9月末現在で179店舗が登録されている状況でございます。
 これら二つの制度につきましても、先ほど御説明したエコ協力店いわて認定制度と同様に、事業者にとっての登録メリットが十分でないことなどが課題と考えておりまして、引き続き、登録店の周知、啓発の取り組みを充実させるとともに、事業者や登録店舗を利用する県民等の意見なども丁寧に把握しながら、より効果的な制度となるように検討してまいりたいと考えております。
〇村上貢一委員 現時点でどのように課題を解消していくのか。そして、どのように有機的な取り組みにしていくのか、現状で何かありましたらばお伺いいたします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 現時点で新たな取り組みとすると、登録事業者にいかに周知するか、知っていただくかということでございますので、今、県のホームページでは公開しているのですけれども、SNSなどのほかの媒体なども通じての周知がすぐにできる取り組みかと考えております。
〇村上貢一委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。フォローアップは登録制であって、認定制でもありませんので、現場の声をしっかりと吸い上げて、そして反映させて、さらに3R実践活動を循環型社会形成に頑張っていただきたいと思います。
〇軽石義則委員 私は、消費生活について1点御質問させていただきます。
 新聞報道等を見ますと、コロナ禍、物価高を含めて経済、社会情勢も変化して、消費者の立場とすれば、いろいろな課題も発生してきているという報道もあるわけですが、県民生活センターでそれらの対応も中心にされていると思いますけれども、令和5年度の消費生活相談の概要はどのようになっているのか。内容を分析していると思いますけれども、どのように分析をして評価されているのかお聞きいたします。
〇今消費生活課長 令和5年度の消費生活相談の概要についてのお尋ねでございます。
 県全体の消費生活相談件数は、令和元年度以降、おおむね9、000件台で推移しておりまして、令和5年度は9、956件となっております。
 相談件数を商品及びサービス別に見ますと、身に覚えのない請求などの商品一般でありますとかフリーローン、サラ金に関する相談が上位となっております。これらは前年度と比較して増加しております。
 また、SNSをきっかけといたしました消費者トラブルに関する相談が年々増加しているという状況にございます。
 相談件数を契約当事者の居住市町村別に見ますと、多い順に、盛岡市、奥州市、一関市となっております。
 また、相談件数を年齢別に見た場合、65歳以上の高齢者の相談が3、288件となっておりまして、全体の3分の1ほどを占めております。
〇軽石義則委員 その内容についてもう少し詳しく教えていただきたいのですけれども、消費相談の中には、違法性といいますか、法に触れるようなものもあるのではないかと思われますが、そういう相談について、実際あるのかどうかお伺いします。
〇今消費生活課長 消費生活相談の具体的な内容ということでございます。例えば、通信販売の形態におきまして、お試し商品だということで消費者が誤認して契約する場合がございますが、実際はお試しではなくて定期購入のトラブルだったということに後で気づきまして、それに関する取り消しの御相談をいただくということもございます。
 それから、SNSの場合では、SNSで知り合った方から副業とか投資の話を持ちかけられて、簡単にもうかるというようなお話が来て、それに乗って投資等をしたり、副業の関係の商品を買ったりするのですが、結局はもうからないというようなことでの御相談等がございました。
〇軽石義則委員 その相談に対応して、いろいろ解決もしていただいているということでありますけれども、それらの相談に対応する結果をどのように把握されているのか。対応状況、そして、その推移はどのようになっているのでしょうか。
〇今消費生活課長 寄せられた相談の対応状況と推移ということでございます。
 令和5年度に、先ほど寄せられました消費生活相談のうち、相談員が解決の方法を相談者に助言する形、あるいは、相談員が事業者と相談者との間に入ってあっせんを行うといった形、それから、かなり被害が深刻化していて法的に解決を求めなければいけないような他機関の紹介という例もございまして、そういった紹介等も含めまして、相談解決した割合は96.2%となっております。
 令和元年度以降、相談解決割合は95%以上で推移しているところでございます。
〇軽石義則委員 かなり解決しているということですけれども、100%になっていない背景は、どのように分析されているのでしょうか。
〇今消費生活課長 100%になっていない理由でございますが、例えば、消費生活相談員があっせんを行いましたけれども、事業者の間でのあっせんがうまくいかなかったということで、あっせんが不調になったものもございますし、あとは、相談していらっしゃった方が、そのうち相談者からとの連絡が私どものほうでとれなくなったとか、そういったことで、やむを得ず相談解決につながらなかったというような例がございます。
〇軽石義則委員 一生懸命やっていただいているのは承知しておりますけれども、人数的に相談件数の割にその体制が不足しているのではないかという心配もあってお聞きしたわけです。現状、相談体制はどのようになっているのか。また、相談体制の中で課題等があればお示し願います。
〇今消費生活課長 消費生活相談体制の状況と課題ということでございます。
 現在、消費生活相談員は県民生活センターには7名、県内11市の消費生活センター等に計36名が配置されておりまして、県民からの消費生活相談に対応しているところでございます。
 課題といたしましては、近年のデジタル化の進展等に伴いまして、軽石義則委員がおっしゃいましたとおり、消費者を取り巻く環境が大きく変化している中、消費生活相談の内容も多様化、複雑化しておりまして、こういった寄せられる相談に対して、県全体で解決力の向上を維持しながら、さらに向上を図っていくことが課題だと考えております。
〇軽石義則委員 多くの方々がそれぞれ自己努力をして解決に向けて相談員の皆さんが取り組んでいると思いますけれども、それらの体制を含めた今後の取り組みにおいて、背景や要因を分析して対策をとっておられると思いますが、現状、どのような対策をとられているのでしょうか。
〇今消費生活課長 課題を踏まえました今後の取り組みというお尋ねでございます。
 先ほどSNSを介した消費者トラブルに関する相談が増加しているということですとか、高齢者の相談件数が全体の3分の1ほどを占めているという相談傾向について御説明を申し上げました。こうした相談傾向を捉えまして、各年代層に対する効果的な広報媒体を考慮しながら、消費者トラブル防止に関する普及啓発を図っていくこととしているところでございます。
 また、高齢者の消費者被害を防止するため、高齢者の方々は一般的に被害に遭っても気づきにくいという特性がある方がいらっしゃいます。そういった方々のためには、地域における見守り関係者の見守りが大事だと考えておりまして、そういった見守り関係者を対象に、被害防止のための知識習得を図る研修会を開催しておりまして、今後も地域における見守りを通じた消費者被害防止の体制づくり等を促進してまいりたいと考えています。
 さらに、社会環境の変化に対応した県全体の消費生活相談に対する解決力向上のため、国が開催いたします研修受講の働きかけでありますとか県の相談事例研究会、それから、セミナー等の実施を通じまして、今後も引き続き、相談員の資質向上に取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 引き続きそれらについても力を入れていただくことによって、県民の消費生活にも安心、安全がさらに拡大されると思います。
 もう一方、消費者の面から見て、そのような体制も大事だと思うのですが、今、既に社会で大きく問題になっていると思いますが、カスタマーハラスメント、サービスを受ける側と提供する側の立場が不当になっているという声も大きくなっているわけです。県のホームページでも、カスタマーハラスメントは犯罪ですよという啓蒙活動を掲載していただいて、これは大きな前進だと思っているのですけれども、そういう意味で、消費者に消費行動を倫理的にといいますか、サービスを提供する側のことも配慮した消費行動が必要だということを啓蒙することも大事ではないかと思っております。これらについて、本来、働く側の対応は商工関係でやらないといけないのですが、消費者という立場で守ることも、そして、正しい行動、消費行動をしていただくことを考えていただくことも大事な取り組みだと思います。これは他部門との連携をとりながらしなければならないと思っておりますので、現状、どのような連携をとりながら取り組みをされているのかお伺いいたします。
〇今消費生活課長 カスタマーハラスメントに対する現在の取り組み状況と今後の方向性ということでの御質問でございました。
 厚生労働省が作成いたしましたカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによりますと、カスタマーハラスメントは、顧客等の消費生活、従業員の健康確保、事業者の安定した事業活動などに大きく影響を与えるもので、その防止に向けては、事業者等による取り組みのほか、顧客等においてもハラスメントに対する理解や認識を深めることが必要であるとされているところでございます。
 県におきましては、消費者自身が、モラルに基づき倫理的な消費行動を行うことができますよう、出前講座での説明、広報紙の発行、県ホームページを通じて、消費者が事業者に対して意見を伝える際のポイントにつきまして、周知、啓発を行ってきたところでございます。
 軽石義則委員御指摘のとおり、カスタマーハラスメントの防止につきましては、消費者、事業者及び就業者、双方への啓発が必要であると考えますことから、今後も消費者教育の中で、引き続き周知、啓発に取り組んでまいりますとともに、岩手労働局や商工労働観光部とも連携して取り組んでまいりたいと思います。
 具体的には、出前講座ということで、企業ですとか法人から研修等の中で出前講座をお願いするというお話もございますので、そういった中で、企業側の情報をいただきながら、関係部局と一緒になって周知、啓発に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 ぜひそれをさらに進めていただきたいと思いますし、現場の皆さんの声を私もいろいろいただいているのですけれども、ホームページに掲載していただいたのは非常に感謝しておりました。ただ、事業者としてカスタマーハラスメントに関するポスターを事業所に張ろうとすれば、自分たちの企業名を入れたポスターは、自分たちのことなので、なかなか張りづらい、啓蒙しづらい。行政のポスターが1枚店頭にあるだけで抑止効果としてはお客さんにも理解していただけるということなので、県として関係部門、関係箇所との連携もあると思いますが、ぜひそういう活動を広げていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
〇今消費生活課長 軽石義則委員から御指摘いただきました啓蒙の方法につきまして、関係部局とも相談して、どのような方法が手法としてできるのかということも含めまして、これから検討してまいりたいと思います。
〇福井せいじ委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時1分 休憩
   午後1時2分 再開
〇大久保隆規副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇酒井自然保護課総括課長 午前中の千葉伝委員の熊の捕獲実績に関しまして、令和6年9月時点の捕獲実績を583頭と先ほど答弁させていただいたところでございますが、こちらは令和5年9月末の捕獲実績でございまして、令和6年9月末ですと200頭減の383頭ということになりますので、訂正して答弁させていただきます。
〇大久保隆規副委員長 質疑を続行いたします。
〇松本雄士委員 私からは、動物愛護の推進についてお伺いいたします。
 新たな動物愛護管理センターの検討も進んでいるなど、非常に期待しているところでありますけれども、動物愛護の普及啓発において、令和5年度のいわて県民計画(2019〜2028)の具体的方策推進指標の状況を見ますと、普及啓発の行事の参加者数とか推進員の委嘱者数とか、そういった活動指標はAをクリアしているというところで、取り組みが非常に進んでいると思います。
 そこで、第3次岩手県動物愛護管理推進計画にもありますけれども、さらに学校と連携、保健所が学校に出向いてやる、学校、教育との連携が非常に重要と考えるのですけれども、現状、学校等に出前授業をしている保健所の数、実施回数等についてお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護に関する出前授業等についてでございますが、近年、動物愛護に対する社会的関心が高まる中、その普及啓発に資する出前授業などの重要性も増していると認識しております。
 動物の適正飼養や命の大切さを伝える出前授業については、令和5年度は2カ所の保健所において、小学校や地域住民を対象として、合計6回、165名に対して実施しております。
 また、このほかに、岩手県獣医師会や動物愛護団体等が行う、動物愛護フェスティバルや譲渡会などの普及啓発の取り組みについても、県内広く行われていると承知しており、県としても、これらの団体等と可能な限り連携し、その啓発に取り組んでまいります。
〇松本雄士委員 こういった命を守る教育、小中学校のときからそういうところと連携して進めていくということ、情操教育に非常に効果があるのだろうと思っております。まだ2カ所で6回165名、推進計画において、今後そういった活動地域をどんどん拡大していくとあるのですけれども、今後の取り組みについて伺います。
〇千葉食の安全安心課長 この出前授業等に関する取り組みにつきましては、現在、検討を進めております動物愛護管理センターの重要な事業の一部と考えているところでございまして、動物愛護管理センターの整備に向けて、今のうちから可能な限り拡大できるように努めてまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 動物愛護管理センターの整備とあわせてということで、動物愛護管理センターの取り組みは、また後ほどお伺いいたします。
 次に、第3次岩手県動物愛護管理推進計画において、推進目標で犬、猫の返還・譲渡率を設定しているのですけれども、直近の実績と、直近の殺処分の状況についてお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 犬、猫の返還・譲渡率の直近の状況についてでございますが、第3次岩手県動物愛護管理推進計画に掲げる目標値として設定している、譲渡適性がある犬や猫が返還または譲渡になった割合である返還・譲渡率について、直近5年間の実績は、犬につきましては、令和元年度以降、令和5年度まで100%と、令和7年度の中間目標である100%を達成しており、猫については、令和元年度に98.8%、令和2年度に100%、令和3年度に98.8%、令和4年度、令和5年度はともに100%と、いずれも令和7年度の中間目標である99.2%を達成しているところでございます。
 また、殺処分の状況についてでございますが、殺処分数の過去5年間の実績は、犬については、令和元年度の25頭から令和5年度は3頭に、猫については、令和元年度の239頭から令和5年度は131頭に、いずれも減少傾向にあるところでございます。
 また、殺処分数につきましては、攻撃性があるなどの理由で譲渡適性がないと判断し、やむを得ず殺処分したもの、収容中に死亡したもの、その他の理由により殺処分したものの三つに分類して把握しているところですが、令和5年度の数値の内訳としましては、犬は、3頭全てが収容中の死亡であり、猫は、譲渡適性がないと判断したものが31頭、収容中の死亡が100頭となっているところでございます。
〇松本雄士委員 動物愛護団体、また、ボランティアの方々の御努力によって、返還・譲渡率、また、殺処分の数が減少してきていることに敬意を表する次第であります。
 直近の犬、猫の返還・譲渡率は100%というところで、この計画推進目標において、私は殺処分ゼロというのを明記すべきと考えるのですけれども、それに対する見解を伺います。
〇千葉食の安全安心課長 計画において殺処分ゼロを目標とすることについてでございますが、第3次動物愛護管理推進計画では、殺処分ゼロに準じた目標として、現在、治癒の見込みのない病気や攻撃性があるなどの理由で譲渡することが適切ではないと判断された犬、猫を除いた、返還・譲渡率について、令和12年度を目標として100%を目指すこととしているところです。
 現在、譲渡適性がある犬、猫は、おおむね譲渡できているところですが、譲渡適性がないと判断された犬、猫についても、その譲渡適性を高めたり、幼弱などの理由により収容中に死亡する数を減らすことが重要であると考えております。
 このため、県では、殺処分ゼロを目指した具体的な取り組みとして、今年度から、人なれを進めるなど譲渡適性を高めることを主な目的として動物の一時預かりボランティアの取り組みを開始したところです。
 また、現在、盛岡市と共同で動物愛護管理センターの整備に向けた取り組みを進めているところであり、センターの整備を通じて、人と動物が共生する社会の実現を図ることとしています。
 県としては、可能な限り殺処分ゼロを目指していく考えではありますが、第3次動物愛護管理推進計画への目標値の位置づけにつきましては、ボランティアの協力やセンター整備の効果なども踏まえ、動物愛護推進協議会などの場で引き続き検討してまいります。
〇松本雄士委員 午前中の佐々木朋和委員の質問にも、そういった人なれを進めるためにもっとボランティア支援の強化を進めるべきだと、そういった取り組みをやっていくということで、しっかり進めていただきたいのですけれども、譲渡不適が本当に譲渡不適なのかというところ、動物愛護団体の代表の方から、しっかりケアしていけば本来守れた命なのではないのかといったお話を聞いております。私も保護犬を預かって、保護犬には私のほうがかえってお世話になっているというか、家族に安らぎを与えてくれておりまして、最初はいろいろ難しいところがあるのですけれども、一つでも守れる命をしっかり目標を掲げるところが大切かと思っていまして、ぜひとも目標設定を検討していただきたいと思っております。
 そして、次に、動物愛護管理センターについてお伺いしたいのですけれども、現在、検討が進められている、命の教育の拠点として本当に重要な施設になると思っておりますし、期待しているところであります。施設整備において、子供の学びの受け入れ、交流の場として考えているということでありましたけれども、施設整備の検討状況についてお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 命の教育の拠点としての検討状況についてでございますが、動物愛護管理センターの整備に当たっては、有識者や動物愛護団体等で構成する岩手県動物愛護推進協議会等で意見を伺いながら、盛岡市とともに整備基本計画を検討しているところでございます。
 施設整備については、岩手県動物愛護センター(仮称)基本構想に掲げます動物愛護センターが担うべき機能の内容を踏まえまして、広く県民、市民が利用できる開かれた施設として、動物愛護思想の普及の拠点となるよう検討しているところでございます。
 具体的には、子どもたちを中心に動物の命を通じて学ぶ、いのちの教育や、動物とのかかわりのすばらしさを体感できる、ふれあい体験教室などを実施する機能や、譲渡を受けた飼い主の皆様の交流拠点としての機能など、動物愛護管理センターが担うべき機能を発揮できる施設となるよう準備を進めてまいります。
〇松本雄士委員 今、子供の学びの受け入れを中心に考えてくれているというところで、ぜひ進めていただきたいのですけれども、小学校などの授業の一環で大型バスで来るようなこともあるかと思いまして、駐車場の整備など、そういったところもぜひ検討していただきたいと思います。
 また、負傷動物の受け入れも想定されるのですけれども、その際、動物愛護団体の代表の方から、しっかり診るためにレントゲン設備のことであったり、今、本当に不足している獣医師を確保できるのかという懸念の声を聞いております。そういったレントゲン施設や獣医師の確保についての見通しについてお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 負傷動物の受け入れに係る見通しについてでございますが、負傷動物の受け入れに係るレントゲンなどの施設整備につきましては、負傷動物の治療等に支障がないよう、現在、他県の動物愛護管理センターにおける受け入れ体制や設備状況も参考にしながら検討しているところでございます。
 また、負傷動物の治療を担う獣医師の確保についてですが、現在は県内の各保健所の負傷動物に係る応急治療や、より専門的な治療が必要となる場合、岩手県獣医師会との委託契約により実施しているところであり、動物愛護管理センターの治療体制につきましても、関係機関と協議の上、検討してまいります。
〇松本雄士委員 まさに今、検討している段階なので、そういったことだと思います。先ほど収容所みたいな表現がありまして、これまでは処分するような場というイメージ、印象が強いのですが、これからはそういったところも、動物愛護管理センターも、命をしっかり守り育てる場所という位置づけで取り組んでいくと思いますので、施設や人の整備、手当をしっかり、なかなか難しいと思うのですけれども、よろしくお願いいたします。
 加えてでありますけれども、管理運営体制についてであります。施設整備の基本計画、構成案を見ますと、管理運営において、選択肢の一つかもしれませんけれども、外部委託の導入が検討されている。他県における動物愛護管理センターの運営体制がそもそもどうなっているのか。また、外部委託した場合のメリット、デメリットをどう考えているのかお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 まず、動物愛護管理センターの他県の運営体制についてでございます。
 動物愛護管理センターが設置されている45都道府県の運営体制の状況については、保護収容した動物の飼養管理について、約7割程度の都道府県が外部への委託を実施しているほか、動物愛護の普及啓発や譲渡会等の業務については、約3割程度が外部委託を行っているところです。
 また、施設清掃などの施設の維持管理につきましては、ほとんどの都道府県において外部委託を行っていると承知しております。
 また、外部委託のメリット等についてでございますが、外部委託のメリットとしては、民間活力の効果的活用や多様な主体との協働により、それぞれの主体が持つノウハウや強みを生かした魅力あるセンター運営につながることと考えております。
 一方、現在、センターの整備に向けて、有識者や動物愛護団体等から広く意見をいただく中で、動物の飼養管理を外部委託した場合に、受託した業者が多様な状況に応じた柔軟な対応ができない場合も想定されるとの懸念の意見も出ているところでございます。
 いただいた意見は、外部委託におけるデメリットとも考えられることから、飼養管理業務の対応のあり方など、運営上のさまざまな課題等について、引き続き検討を進めてまいります。
〇松本雄士委員 今出されたデメリットを懸念する声を私も聞いております。管理運営において一定のマニュアルが設定される、マニュアルに基づいて画一的に運用されますと、先ほど、本来であれば柔軟な対応で、もしかしたら守れた命も守れなくなってしまうのではないかというところ、そこは委託先の選定とか、どういった委託をしてもらうかといったあたりをしっかり確認して実施していただくということでクリアできるかもしれませんけれども、他県の状況をしっかり調査していただいて、進めていっていただきたいと思います。
 先ほど殺処分ゼロの目標設定についてお願いしましたけれども、しっかりとした目標を持つということ、そして、その上で、一つでも守れる命を守るという柔軟な運用体制をしていただく。そういったことに取り組んでいるという大人たちの姿勢が子供たちに対していい教育になると思っていますし、それがよりよい地域社会、豊かな社会をつくっていくと思いますので、動物愛護管理センターの整備に向けて、協議会でいろいろ出された意見を踏まえて、よりよいものをつくっていただきたいと思います。
〇千葉盛委員 午前中もありましたけれども、私もニホンザルの対策について質問させていただきます。高橋穏至委員に取り上げていただいて、本当にありがたく思っております。
 国で示している分布図にも北上市は入っておりませんので、恐らくそういった意味からも、盛岡市でも目撃例がありましたし、いろいろなところで目撃例がありますので、きちんとした生息状況は調査したほうがいいと思いますし、今、気仙地域というか、住田町、大船渡市、釜石市で被害が深刻なので質問させていただきます。
 岩手県の野生鳥獣による農作物被害は、その多くが鹿による被害となっており、ニホンザルによる被害も、ほかの鳥獣被害額からすれば少額に見えるかもしれませんが、急増しております。また、ニホンザルが住宅地に出没するなど、住田町、大船渡市、釜石市など沿岸部を中心に、ニホンザルによる生活環境被害等が発生しており、早期の対応を怠れば、ニホンジカやイノシシのように、今後さらに広域的に被害が拡大することが懸念されております。
 被害を軽減するために早急に対策が必要と考えますが、本県ではニホンザルの第二種特定鳥獣管理計画が策定されておりません。東北各県では管理計画を策定しており、本県も猿の管理計画を策定すべきと考えますが、所見を伺います。
〇酒井自然保護課総括課長 ニホンザル対策についてでございますけれども、午前中に御答弁させていただきましたとおり、現在、県で把握しております状況といたしますと、群れとして猿の状況を確認しておりますのは、五葉山周辺を初めとした沿岸広域振興局管内を中心としたところで、そのほかの地域につきましては、はぐれ猿と言われる単独で目撃といったものは把握しておりますけれども、群れは、そういった状況になっております。
 あと、農作物被害額につきましては、直近で令和4年度になりますが、約173万円ということで、この額につきましては、令和2年、3年と比較いたしますと、おおむね横ばいぐらいかと把握しております。
 対策につきましては、基本的には市町村が中心となりますけれども、国の事業を活用いたしまして、地域ぐるみで取り組む被害を及ぼすニホンザルの捕獲ですとか電気柵の設置、放任果樹の伐採、やぶの刈り払いなど里に寄せつけないための環境整備、生息状況調査やGPS発信機を装着させたニホンザルの行動に基づく追い払い活動を支援しているところでございます。
 第二種特定鳥獣管理計画につきましては、基本的な管理計画の考え方といたしますと、生息数が著しく増加しているといった点ですとか、生息地の範囲が拡大している個体数の管理、この個体数の管理というのが鳥獣保護管理法では個体数を減らすという考え方になりますけれども、こういったことが必要な場合に策定されるものと承知しております。
 現在におきましては、被害対策の中の捕獲許可は実施することも可能と考えておりますので、まず、市町村と連携いたしまして、正確な実態把握といった部分と被害対策という部分で、農業被害などの防除対策をしっかり対応していきたいと考えております。
〇千葉盛委員 市町村と連携と言うのですけれども、管理計画をつくって、市町村、地域住民と連携してほしいということで、ニホンザルが出ている当該地域からも要望が来ていると思います。今、住田町、大船渡市、釜石市もそうですけれども、頭数はそんなにふえていないような話をされますが、この区域に限っては、群れもふえていますし、頭数も確認されているだけでも、この30年くらいで100頭近くはふえています。それも示されていますし、区域も岩手県全体で考えようとしているのか、気仙地域というか、ニホンザルが今いるところだけでも計画はつくれますので、そういったところで見ているのか。
 県全体で見られるとまだ広がっていませんが、広がってきたら遅いので、鹿もそうですけれども、五葉山周辺だけだったものが今はとんでもなく広がって被害額も相当です。イノシシも平成22年にようやく1頭目が確認されてから、この十数年で生息数もわからないくらいふえていて、管理計画をつくっても手に負えていない。熊も実際、今、大量に出没しています。すごい状態になっています。人身被害がふえているから、ようやくいろいろ対応されていると思いますけれども、そうなる前にしっかり管理すべきではないかという質問なのですけれども、もう一度、御答弁をよろしくお願いします。
〇酒井自然保護課総括課長 確かにこれまで、今現在持っております管理計画につきましては、それぞれ、鹿、イノシシ、熊、カモシカということで今、第二種鳥獣管理計画を持っておりますが、こちらにつきましては、全県での生息域の拡大とか頭数の拡大といったところを踏まえて管理計画を定めさせていただいたという背景はもちろんございます。
 御指摘のとおり、今のところ、ニホンザルにつきましては、大きめの群れがあるのは、おおむね気仙地域だけということで、令和3年度に沿岸広域振興局で実際調査した頭数でいきますと、この時点で100頭ぐらいという頭数でございました。そういったエリアを限定した形での管理計画の策定は、確かに、ガイドラインでも指定しているわけではございません。そういったところも含めまして、まずは令和3年度以降の実態もわかっておりませんので、実際、市町村が求めていらっしゃるのは、管理計画を定めてつくることを目的とされているのか、それとも、対策をするに当たってもう少し捕獲しやすくしてほしいということなのか、実際何を求めていらっしゃるのかといったところをもう少し正確に把握させていただいて、その上で、管理計画が本当に必要であれば、その上で判断をしていきたいと考えております。
〇千葉盛委員 何を求めているのかではなくて、最近出てきた話ではないですので、市町村ともう一度しっかり話をしてほしいのですけれども、県もかかわって対策をしたいということで管理計画をつくってほしい。任意ですけれども、県でなければこれはつくれないのです。市町村ではつくれないので、県がしっかりと状況把握、情報収集する、計画をつくってほしい。実際の対策は市町村なので、それはもちろんやります。地域住民が一番困っていますので、その地域住民の声を市町村とか団体が届けているわけです。そういう人たちが何をどどのようにしていけばいいのか。
 ニホンザルはほかの動物と違って、20頭、30頭で出てくるわけです。畑などに出てきて一網打尽に全部やっていくわけです。あと、学校や教育施設など、こども園とかでも目の前に出てくるわけです。結局、対応できていないわけです。今のところ、人身被害と言われるものはないかもしれませんけれども、実際は危険な目に遭っていることはいっぱいあるのです。
 そうしたことを無計画にやるのではなくて、計画をつくってほしい。県と市町村とで一緒にやりましょう。鹿とかイノシシとかと一緒です。森林総合研究所でしたか、前に行ったときに、そのときは熊の話で行ったのですけれども、イノシシの話もされまして、ほかの動物も一緒ですけれども、結局、対応が後手に回ってしまったので、予算もかかるし労力もかかるようになってしまった。だから、今、ニホンザルが少ないうちに、最小の予算で最小の労力で対応できるうちにそういったことをやるのが絶対にいいですよとのことでした。
 しかも、今みたいに、鹿などは何万頭を有害駆除、イノシシも何千頭を有害駆除、熊も何百頭。これは異常なのです。駆除すればいいというものではなくて、駆除をしないように、被害が少なくなるように早めにやりましょうということを当該地域が言っているわけです。
 ここで終わらせたいので、環境生活部長に、これは早くやったほうが管理できるようになりますし、無用な駆除もしなくて済みますので、そういったところで共存を目指すので、結局は大きな被害が起きてから対応しても大きな被害にしかつながりません。管理計画をつくっている動物でもこのとおりですので、何とか早く管理計画をつくっていただきたいと思いますけれども、御答弁をよろしくお願いします。
〇大畑環境生活部長 管理計画の策定につきましては、法に基づいてやる部分でございます。鳥獣保護管理法は、被害の防止という側面もあれば、生物多様性を守っていくという側面もございます。いずれ計画をつくるに当たっては、現状把握をしないことにはなかなか前に進んでいきませんので、そこは市町村と連携した上で現状把握をして、その上で、計画の策定が必要かどうかというところは専門家の意見も聞いた上で判断していきたいと思います。
〇千葉盛委員 やめたかったのですけれども。いや、そのとおりなのですが、計画をつくるまでやめないという質問ではないです。現状把握も含めての管理計画ですので、現状把握に努めて、いや、必要ありませんではなくて、実際、環境省からも、わざわざ改定してまでニホンザルの管理計画をつくってくださいと今年度も出されているので、必要な計画だと思います。それは答弁を求めませんけれども、現状把握して終わりではなくて、しっかりと対策をしていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。もう一度答弁をお願いします。
〇大畑環境生活部長 ニホンザル対策につきましては、千葉盛委員御指摘の面も含めて対応していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 最初に、第2次地球温暖化対策実行計画の推進についてお聞きいたします。
 岩手県の温室効果ガス削減量はどうなっているでしょうか。目標に照らして示してください。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 まず、岩手県の温室効果ガス排出量の削減目標でございますが、2030年度に57%の削減に向けて取り組んでいるところでございます。
 直近の実績は、2021年度、令和3年になりますが、こちらの排出量は1、043万8、000トンで、基準年でございます2013年度と比べまして399万3、000トン、27.7%の減少となっており、削減は着実に進んでいるものと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 2021年度というと、2020年、2021年はコロナ禍で経済活動が一番停滞した時期ですから、この数字は努力してそうなったというよりは、経済状況にかなり影響された数ではないかと私は思います。
 次に、県有施設の脱炭素化の取り組みと実績を示してください。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 県有施設についてでございますが、昨年10月に、2030年度までの県の事務事業に関する温室効果ガスの排出量を60%削減するため、新築建築物のZEB(Net Zero Energy Building)化であったり、公用車のEV化などの基準を定めた県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針を策定いたしました。また、本年3月には同方針に基づく工程表を作成したところでございます。
 この方針に基づきまして、今年度は二戸地区の特別支援学校など2施設のZEB化、釜石地区合同庁舎など29施設のLED化、公用車15台のEV化、県立高等学校5校への太陽光発電の導入に向けた実施設計などに取り組んでいるところです。
 今後も関係部局と連携して、県有施設等の脱炭素化を進めていくこととしております。
〇斉藤信委員 県有施設のZEB化、もっと厳密に言うと、ZEB Ready水準の整備です。今、住宅でいうと、ZEB化というのはヨーロッパでは全然基準にならない、そういうレベルで今、脱炭素化がされているので、ぜひそのことはよく踏まえて取り組んでいただきたい。
 それで、各市町村の温室効果ガス排出量の削減目標の作成はどうなっているでしょうか。また、脱炭素化の具体的な取り組みも示してください。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 まず、市町村の削減目標についてでございますが、地球温暖化対策実行計画の区域施策編を策定済みの17市町村のうち、国の目標であります46%以上の目標を掲げている市町村は16市町村となっております。
 そのうち、県の目標であります57%以上の目標を掲げております市町村は、軽米町が77%、久慈市が62%など4市町となっているところでございます。
 次に、市町村の脱炭素化の取り組みについてでございますが、住民や中小事業者など、より身近な立場から省エネ設備導入補助や再生可能エネルギー導入補助など、それぞれの地域特性を踏まえて取り組みを進めているところでございます。
 特に、国の脱炭素先行地域として選定されております5市町におきましては、生ごみを原料とするバイオガス発電の導入や、津波被災跡地への太陽光発電施設の設置など、それぞれの地域課題解決に向けて取り組みを進めているところです。
〇斉藤信委員 地球温暖化対策実行計画の目標を定めているところがまだ17市町村ですから、半分強ということになります。ぜひ全市町村がしっかり策定できるように、県も援助を強めていただきたい。
 次に、EV等普及促進事業の実績、これはどうでしょうか。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 EV等普及促進事業の実績でございます。
 令和5年度は、交通事業者や物流事業者と意見交換なども実施させていただきまして、EVバス2台の導入に対して補助を行ったところでございます。
 今年度につきましては、県民が幅広く利用可能となるように充電設備を導入する事業者も補助対象として拡充させていただいたところでございまして、現在までに、EVバス4台、EVバス用充放電設備3基、急速充電器6基に対して補助決定させていただいております。
〇斉藤信委員 EVバスは去年2台。よく調べてみたら、これは中国製なのです。日本のEVのおくれを感じます。EVの普及が余り進んでいないように見えるのですけれども、要因は何ですか。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 EVに関してでございますけれども、充電設備の設置の問題もあると思います。あとは、EVですので走行距離という問題もあろうかと思います。そこで、先ほども申し上げましたけれども、充電設備を導入する事業者への補助を今年度から実施しておりまして、より充電しやすい環境となるように努めております。このような取り組みを進めまして、EVの導入がさらに進みますように取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 省エネ性能の高い家電製品への転換というのは、家庭部門で省エネする大変重要な中身を示しています。市町村ではかなり進んで、例えば、奥州市などはどのぐらいCO2削減に貢献しているかといった試算も公表しているのですけれども、市町村の補助事業の取り組みとその実績をどのように見ているでしょうか。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 市町村におきましては、令和5年度は10市町におきまして、家庭向けに省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫などの導入に対する補助が行われたと把握しております。今年度におきましても、8市町で実施されたと把握しております。
 市町村におきましては、より住民生活に身近だというところから、このような補助を実施していると承知しておりますが、県におきましては、より排出量の高い産業部門のほうを集中的に支援させていただいておりまして、中小事業者に対して省エネルギー設備の導入に対する補助をさせていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 県はぜひ事業所への支援を強めてやっていただきたい。
 次に、二つ目の課題でありますけれども、県央ブロックごみ処理広域化計画について、盛岡広域環境組合の施設整備検討委員会の進捗状況と県央ブロックごみ処理体制検討協議会による資源化処理の目標と体制はどうなっているでしょうか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 まず、盛岡広域環境組合における施設整備検討委員会の進捗状況についてでございますが、施設整備検討委員会は、施設規模、処理方式、環境保全対策及び余熱利用等について調査、審議するために設置されたものでございまして、直近では、本年10月に第6回の委員会を開催し、ごみ処理方式、施設配置図、動線計画図案、余熱利用計画等について協議したものと承知しております。
 次に、県央ブロックごみ処理体制検討協議会による資源化処理の目標と体制についてでございますが、本年7月に開催された、令和6年度第1回県央ブロックごみ処理体制検討協議会において、焼却処理以外の中間処理体制に関する基本方針案が示され、八幡平市と岩手町により新たな共同処理体制の構築を行うなど、六つの拠点で処理を進める方針が承認されたと承知しております。
 また、令和5年2月に策定された盛岡広域環境組合循環型社会形成推進地域計画において、総資源化量を令和10年度に2万8、417トンとする目標が定められており、今後、この目標及び基本方針に基づき、各施設の整備運営主体において具体的な検討を行った上で、目標が定められるものと認識しております。
〇斉藤信委員 私はごみ問題で一番重要なのは、焼却主義からごみを燃やさない、資源化する、ここに一番のキーポイントがあると思います。県央ブロックでは、ごみの減量、リサイクル、プラスチックの分別回収などについては、どういう目標、計画が示されているのでしょうか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 ごみの減量、リサイクル、プラスチックの分別回収の具体化についてでございますが、盛岡広域環境組合循環型社会形成推進地域計画におきまして、生ごみの減量のため、食品の使いきり、食べきり、水きりの3きり運動を推進するほか、容器包装廃棄物の削減及び資源化を推進することとされております。
 また、令和5年2月に構成市町が締結した、県央ブロックごみ処理広域化の推進に関する協定では、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づくプラスチック類の分別収集、資源化について、令和14年度までに関係市町の全域で実施することとされており、今後、焼却処理以外の中間処理体制に関する基本方針に基づき、各施設の整備運営主体において、具体的な検討が行われるものと認識しております。
〇斉藤信委員 結局、ごみの減量、リサイクル、プラスチックの回収という具体的な目標計画が決まっていないのです。決まっていないまま一極集中型の大型焼却施設をつくる。私は、これは矛盾なのだと思います。カーボンニュートラルの時代です。
 ことし3月に盛岡広域環境組合一般廃棄物(ごみ)処理基本計画が策定されました。この計画では、令和15年度が目標ですけれども、ごみの減量は令和4年度比で12.5%減です。約10年後にたった12.5%減なのです。人口も減るでしょう。ほとんど減量しないというような計画です。
 日量当たり438トンの大型焼却施設をつくる。この計画は矛盾に満ちていると思います。例えば、盛岡市のごみの内訳を見ますと、44%は生ごみです。24%は紙やプラスチックです。これは、やったら大幅に削減できます。今の私が言った数の半分以上は削減できるのではないですか。全部削減してもいいぐらいの目標です。それがたった12.5%です。人口減少分しか減らさないということではないですか。これはわかっていますよね。いわば、ごみの減量、リサイクル、プラスチックの分別という一番大事な課題、目標を棚上げして一極集中型の大型焼却炉をつくる、これは間違いではないですか。私は、県が技術的な指導をやるべきだと思います。大幅なごみの減量、リサイクル、この目標を決めた上で焼却施設の規模は決めるべきではないのか。反対でないのか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 盛岡広域ブロックのごみ処理体制のお話かと思います。盛岡広域環境組合では焼却施設を、焼却以外の中間処理については検討協議会でということで、一体的に検討して、資源循環やリサイクルも進めながら焼却もしていくということで検討しているものと承知しております。
〇斉藤信委員 県としては苦しい答弁ですよね。先ほども答弁の中で、6カ所で中間処理をするということでしょう。これだけで300億円かかるというのです。焼却施設で300億円かかると言われています。とんでもなく莫大なお金をかけて、巨大な施設をつくって、だったら減量、リサイクルはどうするのだ。カーボンニュートラルはどうするのだ。肝心な目標計画を抜きにした計画は、私は見直すべきだと思います。
 今、盛岡インターチェンジ付近に大型焼却施設を整備しようとしています。大型焼却施設というものは、地域住民に環境負荷をもたらすのです。有害物質が排出されるのです。盛岡クリーンセンターでもそれが一番問題になりました。こういう有害物質がどれだけ排出されるかという試算は住民に示されているのでしょうか。中継基地から大型車で盛岡インターチェンジ付近にごみを運ぶ、大型車両が盛岡インターチェンジ付近で倍増すると予測しているのです。国道46号はゴールデンウィークに一番渋滞するところです。私は、そういう点でも本当に問題のある施設で、住民からしっかり意見を聞いて、この計画は見直すべきだと思いますが、いかがですか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 例えば、焼却施設による排出基準があるのですけれども、盛岡広域組合における検討委員会の中で、排ガス自主規制値というものを設定しております。この排ガス自主規制値というものは、ばいじん施設でありますので、大気汚染防止法に基づく規制基準があるのですが、その法基準よりもかなり低い自主基準を設定するということで、地域住民の方、あるいは、健康被害防止のための一つの技術的な取り組みということで理解しております。
〇斉藤信委員 大型焼却施設でごみを燃やせば、その分、有害物質は大量に出るのです。環境基準というものは濃度なのです。しかし、有害物質は総量で出るのです。だから、規模を2倍にしたら2倍出るのです。私は、そういう意味でいけば、こういう環境負荷は地域住民に影響を与えるのだから、盛岡クリーンセンターは、それを日常的に監視するモニターの設置をしたわけです。住民が監視しているから下手な有害物質を出さないような仕組みを盛岡クリーンセンターではつくった。しかし、規模を倍にしてやるとなったら、これは人口密集地帯です。大型店も集中立地している。そういうところで、そもそも立地の条件のないところに無理やり一極集中型の施設をつくる計画になっているのではないかと思います。
 そういう意味では、肝心な減量リサイクル、焼却主義から脱却して、基本的には物を燃やさない、最大限資源化、活用するというのがカーボンニュートラルの目指すごみ処理のあり方だと思うけれども、一言だけお聞かせください。
〇古澤資源循環推進課総括課長 国の考え方もごみ処理施設の整備に当たっては、プラスチックの再資源化への対応、温室効果ガスへの排出削減を求めているということで承知しておりますので、県としても、引き続き、広域環境組合及び構成8市町村の取り組みに技術的な助言を行ってまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 私は、若者に対する支援についてお伺いしたいと思います。
 人口減少、少子化対策において、子育て支援と並行して、未婚の若者支援の重要性というものが注目され、また、指摘されているところです。私の総括質疑で、知事は、令和5年の若者支援の取り組みとして、青少年なやみ相談を挙げられました。まず、青少年なやみ相談室の取り組み状況をお伺いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 青少年なやみ相談室の取り組み状況についてでありますが、青少年なやみ相談室は、いわて県民情報交流センターアイーナにある青少年活動交流センター内に相談窓口を設置し、青少年やその保護者からの相談に対応しているものでございまして、令和5年度の相談件数は922件であるほか、今年度9月末時点では403件となっております。
〇小林正信委員 わかりました。知事は、生きにくさを生きやすさにと常々おっしゃっておりまして、そのためには若者がどういう生きにくさを抱えているのか、これを把握することが重要だと思います。青少年なやみ相談の内容が一体どういうものだったのか、922件ということでございましたけれども、そして、それをどう分析して若者支援に生かすお考えがあるのかという点をお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 青少年なやみ相談室に寄せられる相談内容についてでございますが、これまでと同様、家庭生活や学業、体の発達などに関するものが多い傾向にありますが、その背景には、本人の発達特性や家庭の問題など複合的な事情を有する場合が少なくないと認識しておりまして、関係するほかの相談支援機関においても同様の傾向があると伺っております。
 さまざまな理由で困難に直面している若者への支援に当たっては、雇用、福祉、教育、医療等との連携強化を図る必要があることから、子ども・若者自立支援ネットワーク会議を通じまして、関係部局等と情報共有や連絡調整等を行っているところでございます。
〇小林正信委員 了解いたしました。さまざま若者、青少年の悩みも複雑化しているのだと思っております。この青少年なやみ相談室は、これまで若者の悩み、青少年の悩みを受けとめてこられました。その取り組みには敬意を表する次第でございますけれども、その上で、生きにくさを生きやすさに変える、それが人口減少の基本との知事の考えを踏まえれば、青少年なやみ相談室の取り組みのさらなる充実が必要なのではないかと考えております。
 以前、他地域の子ども・若者総合相談センター、全国でも県主体でやっていると思うのですけれども、こういったところの取り組みの調査、研究もされるということもお伺いしております。そうした調査をこれからもやっていただきたいと思いますし、そうした調査研究も含めて、今後の取り組みの充実について、どう考えておられるのかお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 青少年なやみ相談室の充実についてでございます。
 県では、支援を必要とする潜在的な若者にも青少年なやみ相談室を初めとした各種相談窓口が広く活用されるよう、窓口の周知広報に取り組んでいるところでございます。
 一方、支援を必要とする若者やその保護者の中には、相談することにためらいを感じている方や複合的な事情を有している方がいると伺っており、引き続き、関係機関の連携による支援に取り組むとともに、小林正信委員からも御案内のありました他県の事例なども研究しながら、若者や保護者が相談しやすい体制づくりに取り組んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひともお願いしたいと思います。生きにくさを生きやすさに変えるという大事な取り組みだと思いますので、お願いしたいと思います。
 そして、若者サポートステーションの取り組みをしっかり充実させていくという意味でのいわて若者ステップアップ事業費、これも若者支援にとって重要だと考えます。令和5年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて若者ステップアップ支援事業費の取り組み状況についてでございますが、いわて若者ステップアップ支援事業費は、若年無業者等の就労や社会的な自立を支援するため、国の地域若者サポートステーション事業と一体として、盛岡市と一関市、宮古市に拠点を設けているものでございます。
 主な取り組みといたしましては、就労を希望する若者に対し、訪問支援や相談対応、コミュニケーション能力等の向上に向けた活動・交流機会の提供、就業に向けたジョブトレーニング等を行っており、令和5年度は4、722件の相談に対応し、212人の進路決定につながったところでございます。
〇小林正信委員 4、722件は結構すごい量だと思います。212人の方が就労できたということで、本当にすばらしい事業なのですけれども、予算も微減をしてきているところなのかと思います。私はぜひこれを強化していただきたいと常々申し上げておりまして、生きにくさを生きやすさに変える事業だと思いますので、充実をお願いしたい。
 そして、総括質疑において、知事は、総合的な若者支援策を講じていくことが重要だと考えを示されていました。先ほど挙げた青少年なやみ相談室や、また、いわて若者サポートステーション、ジョブカフェやヤングハローワーク、あるいは民間団体の取り組みなど、さまざまな若者支援の取り組みを連携、充実させることが今後さらに必要なのではないかと考えております。
 青森県では、ジョブカフェとハローワークとサポートステーションが一つの建物の同じフロアに入っています。この三つが連携して相談者によりきめ細やかなサポートを提供していると伺っております。ジョブカフェなど就労支援は商工労働観光部、青少年なやみ相談室やサポートステーションは環境生活部、また、住まいの支援等については県土整備部ということで、若者支援は他部局にわたると思います。今後、総合的な若者支援策を講じる上で、他部局とのさらなる連携の強化が必要と考えますけれども、御所見をお伺いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 若者支援施策の部局間連携についてでございますが、困難や悩みを抱える若者への支援に向け、これまで子ども・若者自立支援ネットワーク会議を通じて関係部局等と連携した取り組みを進めてきたところでございますが、本県の社会減は、若年層の転出が大きな要因となっていることを踏まえ、今年度の人口問題対策本部会議におきましても、若者の新しい価値観への理解や若者が抱える悩みへの対応等について、その必要性を確認したところでございます。
 若者支援をさらに充実させていくためには、部局横断的な取り組みが不可欠であり、今後も、人口問題対策本部会議やそのワーキンググループなどの枠組みを活用しまして、関係部局と連携を深めながら取り組みを進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひとも知事も全庁を挙げて若者支援を行っていくとおっしゃいました。メーンで引っ張っていくのは環境生活部だと思いますので、ぜひともリーダーシップを持って取り組んでいただければと思います。
 続いて、いわて若者活躍支援強化事業費について、令和5年の取り組み状況をお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて若者活躍支援強化事業費の取り組み状況でございます。
 若者の参画、交流、発表機会の創出やネットワークづくりを促進するため、いわて若者カフェの運営や、いわてネクストジェネレーションフォーラムの開催を行ってきたほか、自発的な活動を行う若者グループ等に対し、補助事業による支援を実施しております。
 加えて、いわて若者交流ポータルサイト、コネクサスによる若者の情報発信、交流の場を創出し、本県の若者が活躍できる環境づくりに取り組んできたところでございます。
 令和5年度は、いわて若者カフェのカフェマスターを講師に地域課題等を考えるイベントを6回開催したほか、若者の提案によるイベントも16回開催するなど、若者の挑戦やネットワークづくりの支援に取り組んだところであり、いわて若者カフェの利用者数は前年比5.4倍に伸びたところでございます。
 また、今年度は、いわて若者カフェの連携拠点を県内4カ所に設置し、カフェマスターも増員したほか、いわてネクストジェネレーションフォーラムを北上市で開催し、北上川バレー地域を事例に岩手県の将来像を議論することとしているなど、若者の活動、交流の場の全県への波及を図っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 いわてネクストジェネレーションフォーラムについては、昔はみんなでわいわいやる感じのものから、どうすれば若者の意見が現実的に政策に反映できるのかや、若者がどうすれば自分の夢とか目標をかなえることができるのかというあたりに、北上市で開催されたということは、少しずつ軌道修正もしてこられてきているのかという気もいたしますが、さまざま若者の意見をしっかり政策に反映させていくというところも今後さらに重要なのかと思います。いわてネクストジェネレーションフォーラムで提言等も行っているとは思うのですけれども、さらに、県の政策をつくる上で、若い方たちの意見というものが現実的に反映をされるというところが今後、非常に重要になってくるのではないかと思います。
 他県でもさまざま、若者会議ですとか若者議会とか、そういう事例もございます。県政の若者の参画をさらに進める必要があると考えますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 県政への若者の参画についてでございますが、県では、これまでいわて若者カフェやいわてネクストジェネレーションフォーラムのほか、中学生を対象とした、わたしの主張、いわて希望塾などのさまざまな機会を捉えて、若者の生の声を聞き、課題意識等を把握するよう努めてきたところでございます。
 また、青少年の健全育成に関する意識調査を3年に一度実施しておりまして、調査結果をいわて青少年育成プランの内容に反映することにより、青少年の意見等を取り入れた取り組みを進めてきております。
 令和5年度のいわてネクストジェネレーションフォーラムにおきましては、若者からの提言発表を通じて若者世代の新たな価値観を共有し、施策検討の参考としたところであり、今年度におきましても、先ほど申し上げたとおり、北上川バレーエリアを事例として、若者に選ばれる地域とはどのようなものかをテーマに据えて議論することとしております。
 今後も、若者の自由な発想力や創造力を生かして若者支援施策を展開できるよう、取り組んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、再生可能エネルギー導入促進事業について、令和5年度の取り組み状況をお伺いしたいと思います。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 再生可能エネルギー導入促進事業についてですが、この事業では、事業者に対する自家消費型太陽光発電設備設置の補助と、市町村に対する自立・分散型エネルギー供給システム設計等支援事業費補助金、地球温暖化対策実行計画等策定事業費補助金の三つの事業を実施しております。
 まず、事業者向け自家消費型太陽光発電設備の補助についてですが、令和5年度は、木材、木製品製造業や食料品製造業などの5事業者に対し補助を実施しました。
 次に、市町村の自立・分散型エネルギー供給システムの導入計画策定等に対する補助につきましては、公共施設への太陽光発電設備導入を目指す紫波町に対し補助を実施しました。
 次に、市町村が地球温暖化対策実行計画等を定める場合の補助につきましては、遠野市など5市町に対し補助を実施したところです。
〇小林正信委員 いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランの成果指標である、太陽光発電設備等導入補助により導入された発電設備容量の達成度がDとなっていますけれども、その要因についてお伺いしたいと思います。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 小林正信委員お尋ねの達成度の件でございますが、令和5年度は、合計2、000キロワットの発電設備の導入に向けて事業者等への働きかけを行ってきたところですが、実績として989キロワットの導入にとどまったため、成果指標の達成度がDとなったところでございます。
 この事業は令和5年度から新たに開始したところですが、事業実施に当たり、温暖化防止いわて県民会議の構成団体等を通じ周知を行ったところですが、周知が十分に行き届かなかったと考えられるほか、世界的な産業用半導体や電子部品の需給逼迫等により機器の入手が困難な状況にあったことも要因の一つと考えております。
 本年度におきましては、温暖化防止いわて県民会議構成団体に対して複数回にわたって周知を実施しているほか、事業者が参加する会議等に職員が直接出向いて周知を図るなど、取り組みを強化したところであり、多くの事業者の皆様に補助事業が活用されるよう、引き続き取り組んでいきます。
〇小林正信委員 わかりました。この太陽光発電に対する期待は大変大きい部分もあると思うのですけれども、太陽光発電パネルの耐用年数は20年から30年と言われておりまして、今後、太陽光パネルの大量廃棄時代が来るのではないかと言われております。福岡県などではパネルのメンテナンス業者と収集運搬の方とリサイクル業者がみんなで使用済みパネルに関する情報を共有しながら、効率的に太陽光パネルを回収したり、再利用したりという取り組みを行っているとのことです。
 岩手県としても、太陽光パネルの大量廃棄に備えて対応を図っていく必要があると思うのですけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
〇古澤資源循環推進課総括課長 太陽光発電施設の廃棄についてでございますが、太陽光発電設備の処分につきましては、一般的に解体後、金属、ガラス類、コンクリート殻は再資源化され、その他は廃棄処分されているところでございます。
 県としましては、耐用年数経過後の発電設備が適正に処理される仕組みを構築するよう国に対して要望してきたところでございます。
 国におきましては、10キロワット以上の事業用太陽光発電設備について、廃棄物処理費用を担保するため、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法において、太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度を措置しているところでございます。
 また、本年8月には、再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会の中間取りまとめ結果を踏まえ、太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインの改定を行ったほか、ことし9月には新たな有識者会議を立ち上げ、具体的なリサイクルの方法や費用補助などの支援策について検討が進められているところでございます。
 今後、国の動向を注視しながら、太陽光発電設備が解体される工事について把握した場合には、関係法令に基づきまして適正に処理されるよう対応してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 今から対応をぜひとも考えておいていただきたいと思います。
 最後に、この間の脱炭素社会・調査特別委員会において、今後、企業がいかに環境に配慮するか、環境経営という言葉もございますけれども、そういったことで学ばせていただきました。今後、特に半導体産業においては、つくられた半導体がどれだけ環境に配慮されたものかや、どれだけ半導体をつくるときにCO2削減ができたのか、そういうところが取引先にかなり注目されるというか、取引する際などに重要になってくるというお話も伺いました。そのことから、県南地域では半導体産業が、今、かなり活性化していますけれども、半導体産業に使われる電力を再生可能エネルギーに転換をしていくということが今後なされなければならないと思います。そうした課題について、環境生活部としてどのように捉えて対応していくお考えかお伺いして、終わりたいと思います。
〇千田特命参事兼グリーン社会推進課長 再エネ由来の電力供給という観点かと思います。
 小林正信委員御指摘の半導体産業につきましても、工場で大規模な自家消費型太陽光発電システムの導入などが行われているところでもございますし、それ以外にも、早池峰ダムで企業局が発電しているグリーン電力を活用して新型車の製造を行っている事例もございます。
 また、来年2月には、新たに地域内の地熱発電所の電源を核とした全国初の地域新電力も八幡平市で事業を開始する予定となっているなど、エネルギーの地域内循環の取り組みが県内で広がりつつあると考えているところです。
 県としては、このような取り組みがさらに拡大するよう、引き続き、事業者に対する脱炭素経営の優良事例の周知や、自家消費型太陽光発電設備の導入の補助を行うとともに、再エネ由来の電力をその地域に供給する地域新電力の創設の検討に取り組む市町村への計画策定補助などの助言を進めてまいりたいと思っております。
〇大久保隆規副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇大久保隆規副委員長 質疑がないようでありますので、これで環境生活部関係の質疑を終わります。
 環境生活部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、商工労働観光部長に、商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 令和5年度の商工労働観光部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、総括的な取り組みと今後の取り組み方向について御説明を申し上げます。
 当部では、いわて県民計画(2019〜2028)が目指す、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現に向けて、ものづくり産業の一層の集積促進、若年者の県内定着とU・Iターン、移住、定住の推進、若者や女性などに魅力ある雇用、労働環境の構築、中小企業者のDXの推進による生産性向上、起業、スタートアップの支援などに取り組むとともに、ニューヨークタイムズ紙への盛岡市の掲載を契機としたインバウンドの拡大や魅力ある観光地域づくり、さらには、県産品の販路拡大などに取り組んでまいりました。
 また、経済を取り巻く環境は、エネルギー、原材料価格の高騰が続く中での賃上げや、全国的な人口減少に伴う人材確保への対応が求められるなど厳しい状況にあり、いわて中小企業事業継続支援センター相談窓口の設置を初め、さまざまな支援を展開するとともに、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助や物価高騰対策賃上げ支援費といった新たな取り組みも展開してまいりました。
 現在、県内の中小企業者は、引き続き厳しい経営環境を強いられていると受けとめており、今後におきましても、国の経済対策などとも連動しながら、関係団体と連携し、県内経済の活性化に向けた支援を展開してまいります。
 以上、令和5年度の総括的な取り組みと今後の方向について御説明申し上げました。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。令和5年度岩手県歳入歳出決算書の18ページをごらん願います。
 一般会計歳出における商工労働観光部の決算は、2款総務費のうち4項地域振興費の一部、5款労働費のうち1項労政費、2項職業訓練費、20ページに参りまして、7款商工費、22ページに参りまして、11款災害復旧費のうち2項商工労働観光施設災害復旧費でありますが、これらの予算現額は1、294億188万円余、これに対する支出済額は1、148億7、054万円余、翌年度繰越額は28億8、252万円余、不用額は116億4、880万円余であります。
 次に、46ページをごらん願います。中小企業振興資金特別会計でありますが、予算現額は、歳入歳出それぞれ10億184万円余であり、これに対する収入済額は9億8、024万円余、支出済額は9億7、840万円余であります。
 以上で、商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇大久保隆規副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 私は、昨年度、出入国管理及び難民認定法の改正案が閣議決定され、今年度、国会で可決されたことを受けて、外国人労働者の実態についてお伺いしたいと思います。
 昨年、県内ではかなり外国人労働者の数がふえました。特定技能外国人についてもふえておりますけれども、県内の外国人労働者の就労実態等について、まずお知らせいただきたいと思います。
〇菅原労働課長 岩手労働局が公表いたしました外国人雇用の届け出状況によりますと、令和5年10月末現在で岩手県で働いている外国人労働者は7、082人でございます。外国人を雇用している事業所は1、200事業所でございます。いずれも過去最高を記録しているところでございます。
 就労実態でございますけれども、在留資格別でお話しさせていただきますと、本県の場合、技能実習生が3、341人と最も多く、続きまして、専門的、技術的分野の在留資格をお持ちの方が1、784人、身分に基づく在留資格の方が1、116人となっているところでございます。
〇岩渕誠委員 今、紹介がありましたけれども、7、000人というのは、前の年から比べて1、000人ぐらいオーバーしている。それから、特定技能でいうと倍になっているはずです。そしてまた、1、200社ということですから、非常に幅広く外国人労働者を受け入れているということとなっていると思います。
 こうした外国人労働者に対して、現在、県としては外国人労働者の存在というのをどのように認識しているか、この数字を踏まえてお示しいただきたいと思います。
〇菅原労働課長 全国的な人口減少の進展によりまして、地域で必要とする産業人材を十分に確保することが難しくなってきております。国におきましても、現行の技能実習制度を発展的に解消して、先ほど御紹介がありました育成就労支援制度を創設という流れでございます。
 こうした動きと連動しまして、単に不足する労働者を補うといった観点ではなくて、地域経済を牽引する高度人材の受け入れや、待遇面ですぐれた労働環境を岩手県で働く外国人の方に構築していく必要があるという認識で今、事業を進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 端的に言って、本県の産業界において、外国人労働者はなくてはならないという印象を持っているということですか。
〇菅原労働課長 産業人材不足という中で、日本人、外国人があるわけですけれども、その一つの重要なところだと認識しています。
〇岩渕誠委員 私は冒頭、改正した出入国管理及び難民認定法について申し上げましたが、今までは技能実習は国際貢献というのが建前でありました。日本に外国人に来てもらって、技能を実習して本国に帰って産業発展に尽くしてもらう、国際貢献が建前だったのですが、今回の出入国管理及び難民認定法で、この中身から育成就労ということに変わりました。育成就労というのは、言葉はいいのですが、要は、人手不足なので、外国人労働者をしっかり日本にマッチしてやってもらおうという話なわけです。
 ただ、今の答弁をお聞きいたしますと、単純に人手不足を解消するための制度だけではだめで、就労支援、高度な人材を受け入れ、地域経済の牽引役になってほしいという非常に発展的な考えを県としては表明されたわけであります。
 そうなりますと、その分もここで答えてほしかったのですが、それはそれとして、今、日本自体が非常に円安でありますし、来ている外国人労働者のほとんどが東南アジアであります。ここは現地通貨に対して円安がかなり進んでいる地域であります。為替でいうと恐らく3割ぐらい円安が進んでいる地域、安くても17%ぐらい下落している地域であり、賃金の面でいうと、日本は安い国になってしまったから、優秀な人材を引っ張ることに関していうと、金銭的な面ではインセンティブは薄くなってきているのが現状だと思います。
 そうした中で、岩手県の言う地域経済に貢献する人材を集めるためには、相当程度のことをしないと集まらないと思います。現状でも北関東地方でそういった人材はとまっているとよく言われているのですが、外国人労働者の確保に向けた支援について、どのように検討されていますか。
〇菅原労働課長 育成就労制度ができたことによりまして、長期にわたり産業を支える人材の確保や外国人に魅力ある制度、選ばれる国になるというような話は出てきているところでございますけれども、私たちとしては、地方の実情を踏まえた人材確保策となる必要があると考えています。
 ことし、外国人労働者実態調査を実施しておりまして、今、外国人労働者の雇用実態や課題の把握を行っております。12月には結果が見えてくる予定ですけれども、この中で企業の考えも広く伺っていくこととしています。種々課題もありますので、そこを踏まえながら、今後の取り組みを考えていきたいと思っています。
〇岩渕誠委員 既に教育委員会では、外国人の労働者の子弟について、日本語がしゃべれない子供たちがふえるということを想定して新たな指針を作成すると、この2月定例会で質問に対して表明されておりますから、周辺環境というところも含めて、これは進むのだと思います。
 ただ、一方で、12月まで待ってという話もよくわかるのですけれども、日本の4月に入社をしてというところと向こうの大学のスケジュールは違いますから、割と早めにこれは対応していかなければならないのだと思います。
 特に高度な技能人材を迎えるということになれば、各地で競争になっています。例えばですが、今、学生向けのインターンシップという制度が岩手県にはあります。これは国籍要件や地域要件はないですよね。想定されているのは東京都や首都圏の学生を呼ぶという発想だと思うのですが、発展的に、外国人の若手の技能者、学生に広げて、岩手県での就労体験というようなものを、まず入り口をきちんとつけておかないとだめなのだろうと思います。入り口競争というのは多分全国で起こると思うので、こうした具体的な支援策を早急に検討すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
〇菅原労働課長 今のお話に関しましてですけれども、育成就労支援制度におきましても、転籍という問題、課題などが出ております。そういうこともありまして、基本的には、優秀な外国人を受け入れるために、外国人が働きやすい環境整備をしていかなければいけないと思っております。そういう一つの手段として、今お話のありました働く前にインターンシップをするということは、検討に値するものと考えております。
〇岩渕誠委員 きょうは財政課総括課長もおりますので、新年度の実現に向けて尽力をいただきたいと思います。
 次に、半導体産業の集積についてお伺いいたします。
 半導体は岩手県内においてかなり重要な産業になっております。10年前には装置産業、デバイス産業を合わせて2、600億円程度の産出額でありましたけれども、産出額で7、000億円を超えてきた。10年前は県の製造業全体の1割程度だったのが今は2割以上になっているということで、非常に重要な産業になってきているわけであります。
 県でもいわて半導体関連産業振興ビジョンをつくっていまして、昨年は第2期アクションプランスタートの年になっております。そこで、昨年度の半導体産業の集積、取引拡大の状況についてお示しいただきたいと思います。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 半導体関連産業の令和5年度の実績についてであります。
 産業集積について、新規の立地、増設の件数で御説明を申し上げますと、新規の立地はございませんでしたが、増設が6件で、いずれも半導体製造装置関係でございます。
 取引の拡大については、県が把握しております地場企業の半導体関連取引成約件数、こちらはデバイス関係、半導体製造装置関係、両方ございまして、合計で25件でございます。
 そして、製造品出荷額ですが、先ほど岩渕誠委員から御紹介もありましたが、最新の数値、令和4年の実績でございます。電子部品、デバイス、電子回路製造業、これが半導体デバイス関連ですが、5、040億円、そして、半導体製造装置製造業が1、984億円、合計で7、024億円で、自動車産業を抜いて1位となるなど着実に成長しているところでございます。
〇岩渕誠委員 ますます半導体産業が本県のリーディング産業になっているということでございます。
 一口に半導体といっても結構ありまして、岩手県の場合は、半導体製造装置は東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社になります。それから、デバイス関係、これはいろいろあるのですが、中心はキオクシア岩手株式会社ということになるかと思います。片方は装置産業ですし、片方はメモリ半導体という分野、世界と戦っている産業なのでありますけれども、本県における半導体産業のこうした立地構成は、他県と比べてどのような利点や武器になっているか、こういった状況認識についてお伺いいたします。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 本県の半導体産業の特質、特徴でございます。
 本県の半導体産業は50年の歴史がございます。企業の顔ぶれを見まして、複数の世界的な半導体メーカー、そして、半導体製造装置メーカーを中核としておりまして、半導体製造を支える関連企業や製造装置のサプライチェーンを形成する地場企業が集積をしております。これだけ多彩な企業がある県というのも珍しいのではないかと考えております。加えまして、関連産業の産学官連携体制も他県に先駆けて構築されておりまして、本県は他の地域にはない特色や優位性を有している国内有数の半導体産業の集積地であると考えております。
〇岩渕誠委員 他県向けの立派なお話でございますけれども、私はあえて課題を申し上げます。半導体の集積ということで、東北地方全体で取り組んでいるわけでありますけれども、先般、宮城県に進出予定でありましたPSMC―力晶積成電子製造が撤退し、白紙になったということであります。SBIホールディングスが別な企業を持ってきたいということは言っていますけれども、恐らく市場向けのアナウンスだと思います。このPSMCの撤退について、本県への影響はどのように考えていますか。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 PSMCの撤退の影響ということでございます。
 昨年10月末のPSMCの宮城県進出発表後、東北広域で半導体産業に対する関心が高まる効果がございました。また、今後、岩手県南地域等への関連企業の進出や県内企業の取引拡大、東北全体における半導体関連産業の一層の集積等への期待感がありましたことから、今回の進出撤回は、本県としては残念であると考えております。
 一方で、まだ工場の建設前でありますし、新工場の稼働を前提といたしました関連企業の投資等も行われておりませんことから、本県を含めて実質的な影響はないと考えております。
〇岩渕誠委員 実際に、私もPSMCという台湾のファンドについては、DRAMを使ったメモリ半導体のほうが主力だと思いますから、大きさも40ミリメートルや60ミリメートルといった汎用的なもので、今、話題になっているTSMC―台湾セミコンダクターマニュファクチャリングカンパニー、熊本県や北海道の国産の半導体の最先端というものとは少し違うので、市場に与えるインパクトはそんなに大きくないのかと思っております。
 ただ一方で、先ほど申し上げたとおり、本県でいうとメモリ半導体が大きいものですから。今、世界の中ではロジック半導体が非常に大きくなっています。ロジック半導体というのは、NVIDIAに代表されるように、生成AI向けの半導体であります。NVIDIAがファブレス企業で、実際につくっているのがTSMCということで、生成AIにかかわる半導体だからTSMCの熊本県進出がインパクトがあるし、これに対抗して、北海道で国産のラピダスをやるということになっているのです。そういった意味でいうと、岩手県の場合はロジック半導体がないわけではないですが、ここは少し弱いだろう。これが来れば非常にインパクトがあると思っているのですが、ロジック半導体関連の参入可能性、あるいは、働きかけについてはどのように考えていますか。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 今、御紹介がございましたとおり、ロジック半導体につきましては、先端的な高機能なものと、汎用の広く使われているものとございます。
 AIや自動運転などで近年注目を浴びております先端ロジック半導体、あるいは、それに次ぐ高い機能を持つ半導体ですが、現在、国の支援を受けまして、熊本県のTSMC、北海道のラピダスというところで新工場の建設が進められております。
 生産基盤の強化ということでありますけれども、一方で、国際的に競争環境が厳しい分野でございます。本県の半導体関連産業は、先ほど来、御紹介がありましたけれども、最先端のフラッシュメモリ、センサー、パワー半導体のほか、汎用のロジック半導体を若干製造しているということ、さらに加えて、半導体製造装置も含めまして、多種多様な製品を生産しております。
 半導体の市場は、世界規模で社会経済状況の変化を受けて大きく変動する傾向があることを踏まえまして、県としては、国内においてさまざまな半導体関連製品が生産されることが地域経済の安定化と持続的な成長につながるという認識のもとで、今後も国等の関連機関と連携しまして、ロジック半導体も含め、新たな企業誘致、サプライチェーン強化など、生産基盤強化を支援していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 最後に一言、御意見を申し上げます。
 半導体産業は今、何をやっているかというと、半導体そのものの、できれば電気を使わないような半導体をつくっているのですが、それを製造する過程で電気が非常にかかります。それから、水が非常にかかります。したがって、それをどうやって低減していくかというのは半導体メーカーの国際的な基準にある程度なっていくのだと思います。そういった意味では、トヨタ自動車株式会社が電源をグリーン電源に変えて、本県の輸出先が非常にふえたという先例がありますので、ぜひ半導体産業の誘致についても、GXを取り入れた産業団地、工業団地の育成などを踏まえて取り組んでいただきたいと思います。
〇大久保隆規副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時37分 休憩
   午後2時56分 再開
〇福井せいじ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木宣和委員 私からは、観光人口に関して、産業技術短期大学校の県北地域への設置について、また、中小小規模事業者振興について伺わせていただきたいと思います。
 まず一つ目が、成果指標は、いわて県民計画(2019〜2028)の実施状況報告書の316、317ページに書かれている内容に関してですけれども、三陸地域の延べ宿泊者数というところで、目標値151万人泊に対して83万人泊でした。ただ、これは速報値で数字は違うという話を聞いておりましたけれども、令和5年は、ゴールデンウィーク明けに新型コロナウイルス感染症が2類感染症から5類感染症になって、通常モードになって1年というところかと思います。コロナ禍明けの岩手県の観光の状況、岩手県としてどのぐらい戻っている状況なのか、東北の各県はどういった状況なのか。また、県内の三陸地域だったり沿岸地域だったり、県北、県南地域だったり、それぞれ地域ごとに濃淡等々があったのか、なかったのかというところを聞きたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 令和5年度の県内の延べ宿泊者数は585万人余で、コロナ禍前の令和元年度と比較しまして約93%、うち三陸地域は208万人余で、令和元年度比では約114%となっております。
 また、東北各県の状況でございますが、令和5年度と令和元年度との比較では、本県が約93%に対しまして、青森県が約95%、宮城県が約92%、秋田県が約82%、山形県が約82%、福島県が約76%となっており、全体として回復に向かっているものの、コロナ禍前には届いていない状況となっております。
 そしてまた、先ほど圏域別ということでお話がありましたが、令和5年度の本県の観光客の入り込み客数では、圏域別では、県央地域が約79%、県南地域が約80%、沿岸地域が約86%、県北地域が約98%となっております。
〇佐々木宣和委員 沿岸地域が208万人、114%で、実はかなり来ていただいていたのかというところです。ただ、全体とすれば93%、585万人泊で、コロナ禍前には届いていないのかというところでございました。
 実際、東北地方も今、数字を聞くと、山形県だったりは、まだかなり低い状況なのかと伺っていたところでございます。
 次は、三陸地域来訪学校数で、コロナ禍で教育旅行を三陸地域に誘致していこうというところで、目標110校に対して、実績値が24校でありまして、一つ、コロナ禍でできた流れを生かし切れていなかったというところかと思いますけれども、この理由と対策等について伺います。
〇高橋観光・プロモーション室長 佐々木宣和委員御指摘の三陸地域への来訪校数の目標値と実績でございますけれども、これは、昨年度実施いたしました三陸地域へ来訪した学校に対するバス運行補助を行う、いわて教育旅行誘致促進事業費補助の目標値と実績値となっております。
 令和5年の三陸地域への教育旅行の来訪状況は、学校数512校、児童生徒数3万234人回で、コロナ禍で最も来訪が多かった令和3年と比較して、学校数で約83%、児童生徒数で約91%となっております。一方で、コロナ禍前の令和元年との比較では、学校数で約153%、児童生徒数で約146%となっております。
 新型コロナウイルス感染症の5類移行などにより、旅行先をコロナ禍前の方面に変更する学校が増加いたしまして、三陸地域を訪問する学校が減少したことが理由と考えております。
 県では現在、この事業を継続するとともに、岩手県観光協会や一般社団法人東北観光推進機構と連携して首都圏、北海道、関西地方からの修学旅行の誘致に取り組んでおります。
 今後、多くの学校に三陸地域が教育旅行先として選ばれるよう、近隣県や県内内陸校の総合学習での三陸沿岸地域の震災学習やSDGsをテーマとした自然体験などを磨き上げ、三陸地域への教育旅行の誘致拡大に取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 コロナ禍前よりはふえているけれども、コロナ禍のときの人数よりは減っているというところで、継続して取り組んでいきたいところでございました。一つ、三陸沿岸地域に来ていただくきっかけをつくったものを継続して取り組んでいただきたいところでございます。
 最後の東北観光推進機構と連携した旅行博覧会等来場者総数、目標が31万人に対して実績は13万人の、事業と成果の関係性について伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 一般社団法人東北観光推進機構と連携した事業についてであります。
 インバウンドの誘客拡大については、東北全体としての魅力の発信や周遊を拡大していくことが重要でございます。令和5年度におきましては、東北観光推進機構と連携いたしまして、台湾、タイ、マレーシアとオーストラリアに計5回、現地旅行博やPRイベントに出展いたしまして、東北一体となったPRプロモーションを行ったことから、実績13万人となったところでございます。
 なお、目標31万人の多くを占めています中国でございますが、中国につきましては、訪日団体旅行がいまだ解禁されなかったため、東北観光推進機構として当初想定していた旅行博への出展を見合わせたことによりまして、来場者の目標を達成できなかったということでございます。
 東北観光推進機構と連携した事業の取り組みなども通じまして、令和5年度の外国人延べ宿泊者数は、コロナ禍前の約8割まで回復したところでございまして、取り組みの成果は出ているのではないかと考えております。
〇佐々木宣和委員 中国の問題があるというところでございます。東北全体の話もどのぐらい戻ってきたのかという話を聞かせていただいたのですけれども、自由民主党として全国旅館政治連盟岩手県支部の方々と意見交換をさせていただいた際に、東北各県の観光予算に関するところで、岩手県は非常に少ないのではないかという御指摘をいただきました。キャンペーンに関しても、通常の観光に関しても、恐らく空港の利活用等々も入っているかと思いますけれども、ほかの県に比べると少ないという指摘をされたところなのですけれども、この点に関して、岩手県としてどのような認識を持たれているのかを伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 令和5年度の観光関連事業の関係でございますが、観光関連の予算につきまして、観光経済新聞に掲載されておりますけれども、こちらにつきましては、都道府県の観光担当部課を対象に計上されたものであり、都道府県によっては、計上する事業の性格に違いがあること、そしてまた、組織再編、大型施設整備などに伴う増減を考慮する必要がありまして、都道府県間の比較などには注意が必要とされております。
 具体的に申しますと、本県につきましては、観光プロモーション室の当初予算を計上して回答しておりますが、他の都道府県におきましては、交通や空港関連予算も含めて、観光を所管する部局予算として回答している都道府県もあると伺っておりまして、単純に比較することができないと考えているところでございます。
〇佐々木宣和委員 単純に比較することはできないとはいいつつ、例えば、観光キャンペーンに関して、ほかの県と比較して分析していかなければいけないようなところがあると思うのです。比較できないというところではなくて、比較していいキャンペーンを打っていくことがいいのではないかと思いますけれども、改めてお願いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 本県におきましては、例えば、誘客促進に向けた観光キャンペーンの実施に当たりましては、県、市町村、関係団体などが参画する協議会を組織いたしまして、各界からの負担金を財源といたしまして、オール岩手の体制で取り組んでおります。そのほか、JR東日本と連携いたしまして、誘客や宣伝に関してより大きな事業効果が発揮できるよう、効率的な事業の実施に努めているところでございます。
 そしてまた、先ほどの観光経済新聞のアンケートの分野別主要事業の予算額の割合について見ますと、国内やインバウンドの誘客、観光資源の発掘、受け入れ体制整備など、バランスよく確保しておりまして、中でも観光資源の発掘や受け入れ体制整備にかける予算の割合は、他県と比較しても大きな割合を占めており、観光地域づくりに重点的に取り組んでいることが大きな特徴と考えております。
 こうした取り組みによりまして、令和5年度における延べ宿泊者数は、コロナ禍前の令和元年度と比較すると、青森県に次いで高い数字となっております。本県においては、厳しい財政状況にある中、今後においても、限られた予算の中で最大限の効果が発揮できるように、国の予算も活用しながら、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 観光業は裾野の広い産業というところでありまして、投資した効果がいろいろ広がっていくということもあって、しっかりとベースとなる予算の確保は必要なのではないかと思います。
 そして今、観光地域づくりというキーワードもいただきましたので、DMОに関して、一般質問では取り組みの強化との答弁をいただいているところです。これからいろいろな数字をつくっていくため、連携を促すのが役割だと思っていますけれども、自治体からは、戦略的な発想、全体を俯瞰して企画してもらえるとありがたいという声もいただいているところですが、観光振興の担当部局として、三陸DMОセンターに何を求めているのか、評価と課題について伺います。
〇高橋観光・プロモーション室長 三陸DMOセンターの評価と課題についてでございます。
 公益財団法人さんりく基金三陸DMOセンターは、観光で稼ぐ三陸の観光地域づくりを推進するため、地域の多様な関係者との合意形成を図りながら、取り組みを推進する役割を担っているものと認識しております。
 このセンターでは、これまで市町村の意見も伺いながら、市町村の観光地域づくりに向けた取り組みを支援してきたところでございます。例えば、観光客の動向データを収集、分析したマーケティング調査結果の共有や、各地で観光地域づくりの中心となって活動する観光プランナーの養成など、人材育成にも努めてきたところでございまして、市町村や観光プランナーなどからも一定の評価をいただいているものでございます。
 今後におきましても、こうした取り組みをさらに充実させるとともに、観光プランナーにより創出された観光コンテンツの商品化や販売、また、近年、国内外からの来訪が増加傾向にあります、みちのく潮風トレイルなど新たな地域資源の活用を進めるなど、引き続き、各種データに基づいたマーケティングにより、稼ぐ観光地域づくりを推進し、三陸沿岸地域への入り込み数をふやしていくことが必要と考えております。
〇佐々木宣和委員 データ活用をしていく等々もあるのですけれども、データマネジメントプラットフォームの話を一般質問でさせていただきまして、DMОが受ける組織というか、使うような組織でもあると思うのです。今、地域連携DMОが三陸DMОセンターと世界遺産平泉・一関DMО、候補DMОで岩手県観光協会がある。岩手県観光協会がデータマネジメントプラットフォームをやっている形かと思うのですけれども、少し飛ばしたような形になって申しわけないですが、岩手県観光協会が地域連携DMОになると、県とすればどう考えていくのかということを伺いたいと思います。データを使われる組織体として地域連携DMОに観光協会がなるということでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 現在、公益財団法人岩手県観光協会が候補DMОとなっておりまして、この後、登録DMОを目指して内容を充実させているところでございますが、三陸DMОセンターもそういった中の情報共有を図りながら、一緒にデータ管理を進めていきたいと考えているところでございます。
 いずれにしましても、県の観光協会におきましては、各市町村の地域づくりという中で、各市町村の中にあります観光課と一緒になって連携を図りながら、データの集積等を進めていくということで、いわて観光DMPの運用を活用して、各市町村の中でも操作説明会を行うなど、一緒になって取り組みをしているところでございますので、そういった取り組みを通じながら、今後の稼ぐ観光地域づくりを目指していきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 わかるような、わからないようなところもあるのですけれども、まちづくり会社を、DMОを発展的にと聞いているのですが、このまちづくり会社についての検討状況、県庁内で検討しているのかを聞きたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 まちづくり会社についてでございますが、マニフェストプラス39に掲げる、まちづくり会社につきましては、さんりく基金や三陸DMOセンターが果たしている役割をさらに発展させ、さらなる復興を進めるとともに、三陸地域の価値を高め、三陸地域にかかわる一人一人の幸福度を高めることを目指す組織とすることとしております。現在、ふるさと振興部が中心となって検討が進められているところでございます。
 検討に当たりましては、当部を含めた関係部局からなる庁内ワーキンググループが設置されております。また、民間のまちづくりや地域交通政策の専門家、沿岸地域の宿泊事業者などの意見も聞きながら、事業の方向性や組織形態など基本フレームについて検討が進められているところでございます。
 今後、市町村と連携いたしまして、関係団体の意見も伺いながら、年度内の基本フレームの取りまとめを目指してまいります。
〇佐々木宣和委員 商工業小規模事業経営支援事業費補助に関して、これも一般質問でやらせていただきましたけれども、経営指導員等の給与水準の引き上げを早急に検討する必要があることから、待遇面を含めた商工指導団体の体制強化について、関係部等と調整を進めてまいりますとの答弁をいただいております。今後の対応、スケジュール、予測について伺います。
 また、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業を含めて、来年度予算をどう考えていくのか伺います。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、商工指導団体の体制強化に係る検討スケジュールでございますけれども、前提といたしまして、県内の中小企業、小規模事業者が直面する多くの課題に対応していくためには、商工会を初めとする商工指導団体による伴走支援の果たす役割がますます重要となっている。まさに今後の中小企業、小規模事業者支援施策の根幹であると考えております。
 そのような中、商工指導団体が人材を安定的に確保し、中小企業、小規模事業者の支援に必要な体制を維持、強化していくためには、経営指導員等の給与水準の引き上げの検討が必要であると考えているものです。このことから、それらにつきましては、関係部局と速やかに検討してまいります。
 それから、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助等でございますけれども、コロナ禍やエネルギー価格、物価高騰の中で、過剰債務など中小企業者の金融面の経営課題解決のほか、業態転換、それから事業再編を含む事業継続に向けた取り組みを幅広く支援するため、商工指導団体等への補助事業として実施しているものです。
 コロナ禍が収束し、社会経済情勢は徐々に正常化しつつあるものの、ゼロゼロ融資の返済の開始及び本格化など、いまだ中長期的な支援を必要とする経営課題も残っている状況です。
 この事業による支援施策は、恒常的に必要となっていくもの、まだ当面継続する必要があるもの、必要性が低くなってきているもの、大きくこの三つに分類されると考えています。恒常的に必要となるもの、それから、当面継続する必要があるものにつきましては、引き続き必要な支援を展開していくことができるよう、先ほど申し上げました、同じ商工指導団体の補助事業である商工業小規模事業経営支援事業費補助などの見直しとあわせて検討を進めてまいります。
〇佐々木宣和委員 何にせよ、商工会や商工会議所から、なかなか人材確保も厳しいという話もされることも多く、体制をしっかり整えられるように取り組んでいただきたい。
 私は商工業小規模事業経営支援事業費補助に関しては何回か質問させていただいておりますけれども、一般質問のような答弁を期待して質問しているところでありますので、しっかり寄り添いながら取り組んでいただきたいと思います。
〇高橋但馬委員 それでは、2023年に行くべき岩手推進事業費について伺います。
 観光庁の観光再始動事業を活用して、ニューヨークタイムズ紙でも取り上げられた箇所を利用し、特別な体験、提供等によるインバウンド消費の拡大が図られたと考えております。事業採択額6、500万円を使って開催したイベントによるインバウンドの誘客等をどう捉えているかお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 2023年に行くべき岩手推進事業費は、令和5年1月のニューヨークタイムズ紙、2023年に行くべき52カ所に盛岡市が選ばれたことによりまして、県内波及効果を図るため、観光庁の観光再始動事業を活用いたしまして、盛岡市内のほか、平泉、橋野鉄鉱山、御所野遺跡の世界文化遺産を会場に、わんこそば世界大会や、食と郷土芸能等を組み合わせたイベントなど、期間限定の特別なイベントを実施いたしまして、インバウンドの誘客や県内周遊に取り組んだものでございます。
 事業の実施に当たりましては、盛岡市を初めとする県内の自治体や関係団体などで構成される協議会とワーキンググループを組織いたしまして、イベントの企画や運営について連携して取り組んでまいりました。
 イベントに参加した外国人観光客へのアンケートでは、岩手県の食と文化について多くのことを学べた、食もすばらしかったし、エンターテインメントも魅力的だった、すばらしい時間を過ごした、などの評価をいただきました。
 イベントを実施した酒蔵におきましては、モデルツアーを通じまして、外国人目線での意見をもとに、施設案内の多言語化や説明方法の改善等を行いまして、事業実施後も外国人観光客への案内に活用され、県内の他の酒蔵において、外国人観光客の受け入れを行う際の優良事例になりました。
 また、イベントの広報を通じまして、海外への本県の観光コンテンツのPRもできたことによりまして、イベントそのものの効果に加えまして、今後の誘客や受け入れ整備にもつながっているものと考えております。
 また、さらに、史上初となる盛岡市と花巻市のわんこそば店全7店舗の協力による、わんこそば世界大会の開催などによりまして、自治体や事業者間の連携体制の礎を築くことができたものと考えております。
 今回の事業を通じて得られた知見やノウハウ、観光コンテンツの魅力の向上に寄与できるアイデア等を市町村とも共有しながら、今後も連携してインバウンドの誘客拡大に向け取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 ニューヨークタイムズ紙の記事を皮切りに新たな外国人観光客が盛岡市に訪れるという中で、先ほど観光庁の予算を使ってイベントを開いて、さらにそれが拡大に広がったと私は理解しているのですけれども、令和元年は34万3、970人泊だった外国人の延べ宿泊数が、コロナ禍の令和3年に1万7、750人泊まで下落しました。令和5年は28万2、510人泊まで回復しています。この観光庁の事業は、令和6年度は名前が少し変わって、特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業ということで、一次公募の採択事業を決定したということですけれども、その事業に対する採択の状況と、県としてどのようにその辺に取り組んでいくのかお知らせください。
〇高橋観光・プロモーション室長 観光庁の令和6年度の事業の活用ということでございますが、まず、採択の状況でございますが、令和5年度観光庁の特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業の一次公募が113件、二次公募が244件となっております。そして、一次公募の中に、みちのく潮風トレイルを活用した高付加価値トレッキング事業がございます。令和6年度におきまして、一般社団法人東北観光推進機構がこの事業を活用いたしまして、本県と連携して、国内外からの注目が高まっている、みちのく潮風トレイルに関する取り組みを行っているところでございます。
 この事業の中では、みちのく潮風トレイルに本県の伝統芸能の鑑賞や食、アクティビティを組み合わせた上での本格的なロングコースから、短期間の滞在者向けのショートコースまで造成いたしまして、海外向けに販売するほか、トレイルコースの付加価値を高めるために、トレイルガイドの育成や、次の宿泊施設へ荷物を移動させる手ぶらトレッキング、いわゆるハンズフリートレッキングがあるのですが、そういった仕組みの構築に取り組んでいるところでございます。
 今後も、国の事業も活用しながら、インバウンドのさらなる拡大や受け入れ体制の整備などに取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 今回、盛岡市にとどまる外国人から、東北観光推進機構でその枠を広げたと私は理解しているのですけれども、そこを踏まえてですが、本県の外国人来訪者の県観光協会の利用実績、そして、日本人観光客の実績についてもお知らせください。
〇高橋観光・プロモーション室長 外国人来訪者などによる公益財団法人岩手県観光協会の利用実績についてでありますが、県観光協会では、外国人観光客の多くが利用する盛岡駅2階のいわて・盛岡広域観光センターを、本県のみならず北東北全域の観光案内を行う広域の観光案内所と位置づけ、対応職員の人件費の一部を負担しているところでございます。
 令和5年度におけるいわて・盛岡広域観光センターの対応者総数は8万4、000人余、うち日本人が7万6、400人余、外国人が7、600人余で、コロナ禍前を上回る実績となっております。
 県では、ニューヨークタイムズ紙効果などによる外国人観光客の増加を踏まえ、盛岡駅における受け入れ体制の強化を図るため、県観光協会、公益財団法人盛岡観光コンベンション協会、JR盛岡駅などの関係者による、盛岡おもてなしミーティングを定期的に開催しておりまして、その場で来訪者からの声や要望の共有、対応策や対応の可能性についての意見交換などを行っているところでございまして、今後も盛岡駅を中心とした連携の強化に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 この前、観光・交通政策調査特別委員会で県の観光協会を訪問してきたのですけれども、立地的に、盛岡駅に着いてあそこの場所まで―マリオスにあるわけですけれども、かなり奥まったところにあって、観光協会の事務作業的にはわかるのですけれども、観光客に対するサービスという部分では、なかなか厳しい場所にあるのかと思っています。
 今、観光・プロモーション室長から出ましたけれども、南改札を出たところにあるいわて・盛岡広域観光センターは、インターネットのグーグルの口コミがあって、南改札を抜けた場所にのぼりが出てわかりやすい、いろいろと観光情報を教えてもらった。ただ、その一方で、あく時間が遅過ぎる、閉まるのが早過ぎて全然使えない、一言残念というのもありました。
 例えば、仙台市から外国人が盛岡駅に来た場合、周遊バスのでんでんむしの第1便は、右回りが9時です。左回りが9時5分の発車となった場合、情報収集する時間がないということで、せめて8時半ぐらいにあいていると便利だなという声が載っていたわけですけれども、この中で、お役所仕事というコメントもあって、そこの時間帯をもう少し柔軟にすることによって観光客の満足度が上がるという部分も出てくると思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 あく時間が遅い、そしてまた、早く閉まるというお話でございました。こういった話も含めまして、盛岡おもてなしミーティングの場でさまざまな御意見を全部関係者でまず共有をさせていただているところでございまして、高橋但馬委員のきょうのお話についても、今後、おもてなしミーティングで共有させていただきたいと考えております。
 お役所仕事的なという話もありましたが、関係者の中でお互い共有しながら、少しでもすき間時間を使って対応できるものがないかということを今、一緒に共有しているところでございます。
 例えば、一番意見が多かったのは、スーツケースをしまう場所がなかなかないのだというお話がありまして、これについては、関係者と協議しながら進めているところでございます。そういったさまざまな声をもとに、できる限り盛岡駅が非常に満足のいくような受け入れ施設になっていくように努めてまいりたいと考えておりますが、これは県だけではなくて、JR盛岡支社を初め関係者の協力をいただきながら進めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 今回の観光庁の予算でもインバウンド受入環境整備高度化事業費ということで、観光案内所の設備の増設やWi−Fiなどの予算もついています。その辺も利用することによって、岩手県のゲートウェイである盛岡駅を起点にして、ニューヨークタイムズ紙を見て来る盛岡市を回りたい人や、そのほかに、県内外の広域観光の拠点となるような観光案内所として、盛岡市と県がしっかりとタッグを組んでやることによって、さらに外国人観光客がふえてくると思いますし、満足度も上がってくると思いますので、その辺の取り組みをお願いして終わりたいと思います。
〇飯澤匡委員 それでは、昨年の決算特別委員会に引き続きまして、キオクシア社の将来成長予測について伺います。
 市況が大分改善して、財務状況も一時的にはよくなった。売上高が史上最高になったというようなニュースもある一方、上場については今月に行われるのではないかというような形でしたが、先月の新聞報道で、今月の上旬は見送り。次の段階への設備投資における資金調達が去年から余り動いていないのですよね。巨大装置産業ですから、今のNAND型フラッシュメモリが続くうちは活況を呈していると思うのですが、米でいえばひとめぼれみたいな状況の中で、今後さらに新たな展開がどんどん続いていくわけですから、先ほどもいろいろな話が出ましたけれども、現状は最高の状態と見据えていくと、次の段階をどう見据えていくかというのが本県の課題だと思うのです。財務状況等を含め、設備投資というのは産業において大きな鍵を握るので、その点で県はどのように把握しているか説明してください。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 キオクシア社の資金調達の状況についてでございます。
 キオクシアホールディングス株式会社の発表によりますと、6月には経営基盤の安定化と機動的な事業展開を図ることを目的といたしまして、メガバンクを主要行とする銀行団から、返済期限を迎えていた約5、400億円の借入金の期限延長を行い、あわせて、運転資金2、100億円の追加融資枠を設定したところであります。
 また、9月でございますが、キオクシア岩手株式会社を含めた特定の設備投資を目的といたしまして、銀行団との間で新たに1、200億円の融資枠を設定したとのことであります。
 このほか、7月には日本政策投資銀行との間で出資の期間延長を合意するなど、財務基盤の安定化に向けたさまざまな取り組みを進めていると伺っております。
 なお、キオクシアの事業状況につきましては、先ほど飯澤匡委員からも御紹介がございましたが、2025年3月期第1・四半期の連結決算概要によりますと、売上高は4、285億円と過去最高を更新、純利益も698億円と黒字に転換するなど、大きく改善しているところでございます。
〇飯澤匡委員 私の問題意識は余り強く受けとめていないようですけれども、その次の段階が大事だと思っているのです。同社の動向について、今のところはいいです。でも、今のは全部借金ですよね。投資ではないのです。借金枠をふやしているだけですから、それも含めて今後の動向―今、汎用型でうまくいっているからいいけれども、次の質問で次世代型の話もしますが、それに対する投資ができなければ、この装置産業は一気に100からゼロに落ちましたから、その点を深く認識をしなければならないと思います。その将来予測について、県はどう押さえているのかお知らせください。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 NAND型フラッシュメモリの将来予測、キオクシアの将来予測ということでございます。
 現在、市況が大分改善をしているところであります。現在、キオクシアでは第8世代の開発をしております。ただ、NAND型フラッシュメモリ一本という形で進めておりまして、現在、AI向けのサーバが普及する中で、DRAMを使いますHBMという広域帯メモリの市場が拡大しております。これについては、キオクシアは関与できておりませんので、そういった波に乗りおくれているという報道もございます。
 一方で、AIサーバにつきましては、高速、低電力、低コストのメモリを求めるという声が高まっておりまして、特に、今後ふえる推論用のAIサーバに関しては、NANDの需要が高まるというマスコミの報道もございます。
 また、キオクシアではNAND一辺倒に対する問題意識も有しているということで、次世代型のメモリ、新たなメモリについても開発に着手していると伺っております。
 今後もキオクシアの市況を県としてはしっかりと情報収集をしながら、動向については注視していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 私はずっと前から同社の財務体質について懸念を抱いている中で、今、説明があって、かなり開発は進めているという答弁でありましたが、問題は、お金がないとできないのです。今は政府も次世代型、北海道に建設を進めているラピダスについては、法律までつくって投資をしようという考えがあるようですけれども、次から次へと新しい展開に入っていった場合に取り残されてしまったのでは、あなた方がいるうちはいいかもしれないけれども、そのうちに全くなくなってしまっては元も子もないので、そのためにどうしていくか、リスクを回避するための考え方もあなた方の中では必要ではないかと思って、常々こういう質問をしているわけです。
 さらにもう一回聞きますけれども、次世代半導体の同社の取り組みについて、今はシリコンウエハーを使った半導体ということですが、もう既に世界ではパワー半導体と呼ばれる炭化ケイ素であったり、窒化ガリウムであったり、コストが高過ぎて全体的に移行する段階にはまだまだなっていないという情報ですけれども、そういう動向も踏まえた同社の立ち位置について、どういう分析をしているのか教えてください。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 キオクシアの次世代半導体への取り組みと同社の立ち位置ということでございます。
 各種発表によりますと、現在、積層数で218層となる第8世代をキオクシアは生産しておりまして、積層数が300層越えとなります第9世代については、生産基盤の構築に取り組んでいくということであります。
 積層数が1、000層を超える次世代メモリの量産化については、2030年から2031年を目指して開発に取り組んでいるということでありますし、それ以降は製造手法を変更しながら、2040年以降、動作原理の見直しも必要になってくるということでございます。
 先ほど若干申し上げましたが、次世代の半導体の開発につきましてですけれども、NAND型の技術をベースといたしまして、ストレージクラスメモリ、そして、CXLメモリ等の開発に取り組んでいるということでありまして、さまざまな半導体メモリがある中でも、みずからの進むべきところ、経営判断というところでしっかりと狙いを定めながら活動していると受けとめております。
〇飯澤匡委員 ずっと肯定的でやっているうちに落とし穴にはまらないように、それだけを常時、私は監視をしていきたいと思います。
 宮城県は頓挫してしまいましたけれども、熊本県のTSMCを初め、半導体産業の進出については、経済効果はかなり上がっている。熊本県も大変な状況であると聞いております。
 半導体関連の仕事を探す人が勤務地に選んだ都道府県の割合というのは、熊本県、先ほど言った北海道が急上昇しているわけですが、岩手県は上昇していない。これはどこかに起因しているのではないでしょうか。あなた方が随分喧伝をするような状況がマーケットでは技術に期待する部分がなかなかないのではないかと思料されますが、その点についてはどのような感想ですか。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 現在、半導体関連の大規模な投資が進んでおりますのが熊本県、そして北海道という形でございます。実は、投資を進めているのが2道県だけではございませんで、国が特定半導体生産施設等整備計画として認定して、補助金を投入している企業が幾つかございます。その中の一つがキオクシアでございます。
 現在、北上市での投資もその対象になっております。大規模な投資が行われる中、そこに雇用される人々、その家族、関係者といった多くの方々が北上市の地に訪れて、そこで就職をしたり、時間を過ごしたりというようなことを進めております。これに対して、まちづくりといった観点、そこに交流人口として入ってこられる方々の住みよいまちづくり、そして、ここでまた働きたいと思えるような職場づくりといったことを考えまして、現在、東北経済産業局が中心となって、「半導体well―beingな街」−研究会を立ち上げております。
 これについては、自治体がその対象として参加しておりまして、北上市、一関市等がこの中に入っております。県としても、この研究会の活動にはしっかりと参加していきたいと考えておりまして、半導体関連で岩手県に入ってくる人々がもっとふえるように、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 事実としてベスト5にも入っていないのですから、課題は多いということでいいですね。これはずっとこれからも監視をしていきたいと思います。
 次に、インランドポートの導入についてですが、これは総務部でも提案して、ぜひとも岩手県でも取り組み等について研究をしていただきたいというお話をさせていただいたのですが、当該部として、輸入、輸出の通関状況の実績についてどのように把握しているのか。そしてまた、本県が実現するための現在の課題とすれば何が挙げられるのか、二つまとめてお伺いします。
〇伊五澤産業経済交流課総括課長 まず、本県の直近の輸入、輸出通関実績についてでございますが、財務省貿易統計によりますと、内陸に6カ所ある保税蔵置場を含めた令和5年の輸出通関実績は、本県を管轄する函館税関管内の支署、出張所別で、金額の多い順に、釜石税関支署が約211億円、大船渡税関支署が約54億円、宮古出張所が実績なしで、合計約264億円となっております。
 また、輸入通関実績は、金額が多い順に、大船渡税関支署が約145億円、釜石税関支署が約122億円、宮古出張所が約27億円で、合計約293億円となっておりまして、輸出と輸入の合計した通関実績は、本県の場合、約558億円となっています。この金額は、製造品種価格が岩手県と似通っている山形県、約1、780億円の約3分の1となっております。
 それから、本県が実現するための課題認識についてでございますが、インランドポートを導入するに当たっては、何よりも、その機能を十分活用できるだけの外国貨物を確保する必要があると考えております。
 先ほど答弁申し上げたとおり、令和5年の本県の通関実績は558億円と、山形県の約3分の1となっているなど、東北地域の中でも最も少ない金額となっております。
 これは、ほかの県には発電所や製油所などがあり、それらを稼働させるための石炭や原油の輸入が非常に多いといった産業構造の相違が大きな要因になっていますが、また、こうした状況から、輸出についても、輸入実績の多い港湾がより活用されていると認識しており、課題としましては、繰り返しになりますが、外国貨物の確保、県内港湾の活用、これらが課題と考えております。
〇飯澤匡委員 御紹介があったように、山形県と産業構造が非常に似ているわけですが、3分の1ということは、通関実績も3分の1で、総務部でも申し上げましたように、地方消費税も約4分の1です。自由に使えるお金を岩手県は確保できていないということになっています。
 これから岩手県は外に打って出るということで、輸出を多く頑張るということですが、残念ながら、農産物についても、羽田空港だったり横浜近郊で通関をするという状況になっています。輸入と輸出は表裏一体ですから、特に装置産業については、山形県は輸入が多いというのは、中国からの関係で、それも輸入の一つの材料になっているわけですから、先ほど言ったように、半導体にしても、しっかりとした産業を地につけて継続的に行うということが肝要になるわけです。
 この産業を戦略的に進めるという意味においては、こうした大企業も必要なのですが、一方、中小企業の底上げというのも商工労働観光部は同時に考えていかないとならないと思うわけです。冒頭、商工労働観光部長が申し上げましたように、今、中小企業は危機に瀕しておって、原料高、人件費増、そして、国内マーケットの縮小、後継者難、立ちはだかる課題は山積しています。
 中小企業が納める県税二税についても、年々減少しているわけで、いわゆる財務状況が余りよくないという状況になっています。政府も原材料高についてはいろいろな支援をしていますが、根本的に足腰の強い企業をつくっていくためにはどうしたいいかということを真剣に考えていかなければならないと思うのですが、基本的な考え、時代に沿った中小企業の育成について、どのようにお考えなのか、改めてお伺いをしたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 中小企業支援の基本針についてでございますが、まず、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、持続可能で活力ある地域経済の振興を図ることを目的として、平成27年4月に施行した中小企業振興条例におきましては、中小企業者の新たな事業分野の開拓及び経済的、社会的環境の変化に対応した経営の向上に向けた自主的な努力の促進、そして、中小企業者による魅力ある多様な就業の機会の創出及び中小企業者の事業活動により地域において生産され、もしくは販売される商品の消費、または提供される役務の利用の促進、そして、県、市町村、中小企業者、県民、教育機関、中小企業関係団体、その他の関係機関及び関係団体が参画し、連携し及び協力するよう努めること、この三つを基本理念として定めております。
 また、この条例におきまして、中小企業者等の意見を聞いた上で、中小企業振興に関する総合的、長期的な目標、施策の方向等について、基本計画を策定、公表する旨を定めております。
 この規定に基づきまして、直近では昨年3月、令和5年から8年を計画期間とします、岩手県中小企業振興第3期基本計画を策定しております。この基本計画の中で、取り巻く現状を踏まえ、東日本大震災津波からのなりわいの再生、新しい三陸の創造、それから、コロナ禍等からの事業継続支援、社会経済情勢の変化に対する自己変革力の向上、デジタル技術等による労働生産性の向上、労働力確保、若者、女性等が働きやすい雇用環境、労働環境の構築、そして、起業、スタートアップ及び事業承継の推進を重点取り組み事項として設定しております。そして、現行のいわて県民計画(2019〜2028)長期ビジョン、第2期アクションプランと一体的に取り組みを進めているところでございます。
〇飯澤匡委員 私も企業経営をしており、私の代になってもう30年近くなりますけれども、これほど厳しい時はないと思っております。今、るる御説明がありましたけれども、実際問題、もっと激しく時代は動いていて、あなたの会社、買いますからどうですかと毎日来ます。これは我が社だけではなくて全ての会社、同業者から来ます。要するに、中央資本が労働力を確保したいだけのためにそういうことをやって、後継者難の会社は何社かそれに応じたところもあったり、なかなか難しい時代に入っているということをしっかり県内も歩いて、その状況を照査していただきたいということだけ申し上げて、終わります。
〇はぎの幸弘委員 私は、先週の保健福祉部のときに一部取り上げた部分を改めて、質問してまいります。
 昨年3月に障害者雇用促進法施行令が改正されまして、本年4月から障がい者の法定雇用率が段階的に引き上げられております。まずは、この状況に関して、県として法改正をどのように受けとめていらっしゃるか伺います。
〇小野寺雇用推進課長 障害者雇用促進法施行令改正の受けとめについてでございますが、この改正に伴う国の公表資料によりますと、全国の障がい者雇用の状況として、令和4年度時点で19年連続過去最高を更新し、障がい者雇用は着実に進展しているとのことでございます。
 この状況を踏まえ、国では、令和5年1月に障害者法定雇用率を含め、障害者雇用対策基本方針等について見直すということでございます。
 その後、令和5年6月に、公益労働者、使用者、障がい者の各代表で構成される労働政策審議会障害者雇用分科会が、厚生労働省案は妥当と認める答申を行ったことから、障害者雇用促進法施行令が改正されたものでございます。
 県といたしましても、全国的な人口減少の進展によりまして、あらゆる企業において人材確保が課題になっており、障がい者や高齢者を初め、働く意欲のあるすべての方々が特性や希望に応じて能力を発揮できる仕事に就くことができる環境を整備することが重要であると認識しております。
〇はぎの幸弘委員 国の調査では、19年連続上昇と言っているということで、それはトータルとしてはそうかもしれませんけれども、そのほとんどが大企業が主ではないですか。中小企業のほとんどは大企業に負けて、そちらに吸い取られて、トータルでは上昇しているかもしれませんけれども、特に岩手県の場合、中小企業はそういう状況があると私は感じていますけれども、その辺はどうでしょう。
〇小野寺雇用推進課長 障がい者雇用の実態についてでございますが、岩手労働局から提供を受けております障害者職業紹介状況によると、令和5年度の新規登録者数は977名、登録者数のうち有効中の者、求職者ということになりますが、こちらにつきましては、2、998名でありまして、横ばい傾向となっております。
 より多くの障がい者を就業支援につなげていくため、関係機関と連携しまして掘り起こしを行っていかなければいけないという状況だということは認識しております。
〇はぎの幸弘委員 障害者雇用促進法の改正のいわゆる法定雇用率に関しては、守れなければ足りない分の障がい者1人当たり毎月5万円を納付金として納めなさいというものです。1人足りなければ年間60万円納めなければならない。それが結局、法定雇用率以上に雇用している企業に助成金として流れていく。弱者から吸い上げられたお金が全部、雇っている大企業に流れていくという、端的に言えばそういう仕組みになっています。それをそういうきれいごとで並べられると、ますますいらっと来るわけですよね。私はそう思います。99.7%は中小企業ですから、その部分をもう少し認識したほうがいいと思います。これについての答弁は必要ありません。
 成果説明書を見ますと、障がい者委託訓練や事業所向けセミナーなど、県としても普及啓発を図っているということが出ておりました。その具体的な内容と実績及び効果について御説明をお願いします。
〇小野寺雇用推進課長 障がい者委託訓練等の内容、実績及び成果についてでありますが、県内事業所における障がい者雇用率の向上を図るため、障がい者の特性の理解や業務への生かし方、障がい者を雇用している優良事業所の実例などを紹介するセミナー等を行っているところでございます。
 令和4年度は140名、令和5年度は179名と参加者は年々増加しており、障がい者雇用に対する理解が進んでいるところでございます。
 次に、障がい者委託訓練についてでありますが、就職に必要な知識、技能を習得し、障がい者の就職を促進するため、受け入れ企業等の御協力をいただき、障がい者の多様なニーズに対応した訓練を実施しているところでございます。
 令和4年度は受講修了者18名中6名が就職し、就職率は33.3%、令和5年度は受講修了者13名中9名が就職し、就職率は69.2%と増加したところでございますが、令和5年度目標である74.5%に至っていない状況でございます。
〇はぎの幸弘委員 そうは申し上げても、実際は、企業で障がい者の雇用をしたいとなるとハローワークが窓口ですけれども、いや、いないんですよで終わるのです。大体そうです。そういうように一部の方は実績として報告しているでしょうけれども、大概がそうなっていない。これもまた現実です。そこにいて、その人をあえて雇いたくないというのでしたら納付金を納めてもいいです。でも、雇いたいから人を紹介してくださいと言っても、いないのですと言われて終わり。それに対してペナルティ、納付をしないとならないというのは、私はすごく理不尽だというのが率直な理由です。これは県ではなくて国で定めた法律ですが、ぜひそういったことも国とのやりとりの中で、現場の実情を伝えていただければありがたいと私は思っております。
 次に、最低賃金の件で質問をいたします。皆さん御承知のとおり、昨今の最低賃金の上昇率は、私からすれば異常としか言いようがない。かつては毎年3円程度の上昇でしたが、今般は59円、約60円、20倍です。先日、コンビニ大手の某社長が、最低賃金引き上げでつぶれる会社は守らなくていいなどという発言をしたニュースもネットニュースでも見ましたけれども、企業が倒産すれば路頭に迷うのは経営者だけではないのです。そこに働く一般社員も路頭に迷うわけです。そういう部分では、まさに大企業のエゴだと私ははっきり申し上げたいと思っております。
 本県におけることしの最低賃金見直しというのは、最下位を脱出したいがために、どういう根拠かわかりませんが、先ほども言ったとおり59円、952円にしましたが、最下位は脱出したものの、ほぼほぼ最下位レベルなわけです。来年も同じペースで上がるのではないかなどという話もあります。
 ここでこのテーマを出すというのは、商工労働観光部ですから、企業側の見解として受けとめていただきたいのですが、最低賃金が上がることは否定はしません。ただ、企業の最低賃金が上がる部分に対する対応能力とのバランスを配慮する必要があるのではないかと思います。つまり、企業というのは、最低賃金対応の原資というのは、例えば製造業であれば製品への価格転嫁なわけですから、取引先がそれを認めなければ板挟みなわけです。結局、そうなると企業倒産が起きてくる。今回の59円の上昇でも今後、そういう部分が如実に出てくる可能性はあります。企業側の視点が欠けているのではないかという私の指摘に対し、どのような御見解をお持ちか伺います。
〇小野寺経営支援課総括課長 今、お話のありました賃金の引き上げと企業の収益性向上という点に関しましては、一体的に進めていくことが不可欠であると考えております。特に中小企業、小規模事業者においては、収益性の向上をいかに実現していくかということが極めて重要であると考えております。
 このため、企業の生産性向上と適切な価格転嫁の実現に重点的に取り組む必要があると、現状はこういう状況でございますので、商工会、商工会議所を初めとした商工指導団体、それから中小企業支援機関、こういったところとも密接に連携しながら必要な取り組みを進めているところであり、今後におきましても、さまざまな状況変化に対応しながら、適時適切な施策展開を図ってまいりたいと考えております。
〇はぎの幸弘委員 世間では物価高に賃金の上昇ベースがまだ追いついていない、さらなる賃上げが必要だ、1、500円に早く到達すべきだとかありますが、ある上場企業などは、過去最高の利益を出したというのもその間にはあります。物価高というけれども、全部が全部、根拠のある物価高騰なのか、便乗ではないのかというのもきちんと監視していく必要があると私は思います。
 繰り返しますが、私は最低賃金が上がるのは否定はしません。ただ、バランス、商売の基本はウイン・ウインです。自分ばかりいいことになっても、相手が苦境に陥っていれば長続きしませんし、その逆でも同じです。ぜひ一度、そういった部分、視点、立ちどまってよく考えて、賃金アップだけではなくて、アップするためには何が必要かということを冷静に考えて、重要な施策を打っていくべきと私は考えますが、最後に商工労働観光部長の御見解を伺って、終わります。
〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 地域経済を持続的に発展させていくためには、処遇面を含めた若者や女性に魅力ある雇用、労働環境を構築し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事に就くことができるようにしていくことが重要であると考えております。
 一方で、県内の多くの中小企業は、エネルギー、原材料価格の高騰などの影響、また、価格転嫁が十分に進んでいないことなどにより、人材確保のために防衛的な賃上げを余儀なくされるなど、その経営環境は引き続き厳しい状況にあると受けとめております。
 今般、最低賃金59円という引き上げでございます。国の目安額自体が50円というすごく大幅な引き上げがあったところでございますが、こうした大幅な引き上げに対応していく、こうした状況を打破していくためには、はぎの幸弘委員御指摘のとおり、価格転嫁が適正に行われ、また、生産性向上が進むための支援を行い、賃上げに見合った利益をしっかりと確保できるようにしていかなければならないと考えております。
 加えまして、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す大胆な国の経済対策も必要であると考えておりまして、そうした対策の実行を国に強く働きかけ、関係団体等と連携しながら、今後の対応策を早急に検討していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 はぎの幸弘委員の続きのようになってしまいますけれども、物価高騰賃上げ支援金について、まずお聞きしたいと思います。
 今の御答弁で、賃上げが可能になるように、生産性向上と価格転嫁というのはそのとおりなのですけれども、しかしながら、そこのラインに乗っていくには時間がかかると思うのです。ここ数年は令和5年10月から令和6年9月まで行ったような物価高騰対策賃上げ支援金について、ある一定は継続が必要なのではないかと思っております。
 その角度からの質問ですけれども、一般質問では、今後の対応をしっかりと検討していくという答弁もいただきました。しかしながら、賃上げは10月にはスタートして、11月、本格的には12月から企業側は給与の支払いにその分が乗っかってくるということですので、タイムリーに支援をしていくためには、これから12月に補正をしても1月、2月の事業化ということでは間に合わないのではないかと思います。
 聞くところによりますと、今の物価高騰対策賃上げ支援金の原資は、6億円ぐらいが国からの交付金、あとは県単独の予算で、それについて、さらに練り直しはできないということですけれども、現行の事業を、要件変更、期間延長して対応するということはできないのか、改めて伺いたいと思います。
〇菅原労働課長 物価高騰対策賃上げ支援金を、条件変更して延長はできないかというお話でございます。
 まず、また同じような話をして恐縮なのですけれども、前提条件としては、一般質問のときにも申し上げましたが、予算の制約が一番大きく、繰越予算として措置したものですから、条件変更や期間延長についてはなかなか難しいと考えております。
〇佐々木朋和委員 もう少ししっかりした答弁が返ってくるかと思いました。使い方を改めて変えることはいかがなものかと思いますが、同事業として延長する、あるいは企業として2回目も使っていいよと。さらに来年度までと言わずに、1月、2月までの間で申請を可能にする、そういった変更もできないものかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 先ほど労働課長が答弁したとおりなのですけれども、この事業もなるべく長く実施したいという意図で期間を設定しています。精算などをいろいろ考えると、来年度までいけないので、なかなか難しいのですけれども、先ほど、はぎの幸弘委員の質問にも答弁したとおり、県内の中小企業を取り巻く環境は非常に厳しいということでございますので、次の対策は何ができるか、今、早急な検討を進めておりますので、そちらを急いで対応していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。
 観光予算について伺いたいと思います。先ほどの質疑で、佐々木宣和委員からも御指摘がありました観光経済新聞の予算規模の件です。私も関係者から、この時期になると、毎年よくよく言われます。どのように分析しているかという質問だったのですけれども、佐々木宣和委員の質問のお答え、そのとおりだと思いますので、少し違う質問をさせていただきたいと思います。
 そうであれば、東北各県の状況とあわせて、観光・プロモーション室の予算だけではなく、観光予算を寄せて発信してはどうでしょうかと思います。見え方としても、岩手県は観光に力を入れていないのではないかという思いが県内の観光業者から不満として出るということもいかがなものかと思いますし、外の観光関連の皆さんからも岩手県は観光に力を入れていないのかと、私も言われたことがあります。そういった意味でも、また、各県と比較をしっかりとした中で、みずからの予算規模がどうなのかということをはかる意味でも、そこは足並みをそろえて報告をしていくということも必要なのではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 東北各県の予算の関係ですけれども、いろいろな場で私もこういう話をかなり受けております。特に、一般社団法人東北観光推進機構と話し合いした中でも、岩手県は各県と比べてそれほど低いわけではない、ほかの県は交通であったり、空港の予算などが入っているけれども、うちはプロモーションの予算だけだということもありました。今回の観光経済新聞については、今までも経年的に書いてきている状況もございますので、今、佐々木朋和委員からお話のあった点も踏まえながら、どういった形で横並びでやれるかどうかというのは、東北6県と、そしてまた、東北観光推進機構とも研究しながら進めてまいりたいと思っております。
 佐々木朋和委員がお話ししたように、私もいろいろな現場でそういう話をしょっちゅうされるのですけれども、私どももできる限り、厳しい中で、限られた予算の中で最大限に効果が出るように苦慮しながらやっていますので、今後、国の予算もできるだけ活用して進めてまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 我々もぜひ、岩手県がまじめに、このように挙げているのだということもお伝えしたいと思いますし、一方で、考慮いただけるということですので、よろしくお願いしたいと思います。
 ただ、少ない予算の中で苦慮して効果的な事業をやっていただいているというのは、そのとおりだと思うのですけれども、こういう新聞記事が出て、足りないと思う場面というのは観光関係者の中にもあるのかと。だからこういう声も出てきているのかということも正直なところで、インバウンドプロモーション支援事業について伺いたいと思います。
 令和5年度、令和6年度と海外へ事業者が営業に行く際のプロモーションについての支援を行う事業ですけれども、今年度は開始して2カ月程度で終了となってしまった。冬にかけて、これから東南アジアを中心に旅行博など予定されているのに、これに使えないという声が方々から出ておりました。予算規模は適正であったのか、伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 インバウンドプロモーション支援事業でございますが、県内の観光事業者の海外プロモーションを支援し、コロナ禍で大きく落ちたインバウンドの早期回復を図るため、令和5年4月から実施しているものでございます。
 今年度予算につきましては、要求時点における活用状況が令和5年12月の台湾での利用を含めても予算額の二、三割程度の活用のみであって、令和6年1月以降の大きな旅行博等もないということもあり、プロモーション活動も少ないのではと見込みまして予算額を計上したものでございます。
 今年度におきましては、インバウンドの誘客回復が進んだことにより、観光事業者における海外でのプロモーション活動が活発化し、想定を上回るペースの交付申請の件数があったこと、そしてまた、円安や物価高騰の影響による支援対象経費が増加したこともございまして、7月12日付交付申請分をもって予算額に達したことから、申請受付を終了したものでございます。
 この事業については、先ほども申し上げましたが、コロナ禍で大きく落ち込んだインバウンドの早期回復を目的に、スタートダッシュということで計上したものでございます。そういった中で、県内のインバウンド宿泊施設がコロナ禍前の8割まで回復してきているということもございます。観光事業者による海外でのプロモーション活動が活発化するということもございましたので、当初の目的に対しては一定の成果があったのではないかと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 宿泊についても8割が回復しているという御答弁がありましたけれども、今のお話ですと、来年度以降はどうなのか、検討されているのか、少し心配な答弁でもありました。県内を見れば、インバウンドが来ているところがありますが、全体的な回復としてはいかがなものか。また、国内の観光客が余り動いていないという現状もある中で、国内の観光客を誘致できない分、さらにインバウンドで誘客をしなければ大変厳しい状況ではないかと思うのですけれども、今後の事業の方向性について伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 今の佐々木朋和委員からの御質問、御意見、御指摘も踏まえまして、今後改めて観光事業者等の御意見も伺いながら、インバウンドの誘客拡大に向けて効果的な事業の検討を進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 御答弁にありましたとおり、燃料費高騰等によってプロモーション費もかかり増しになっているというところですから、そういった意味でも需要のある事業だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、要件についても、事業規模の拡大がなかなか難しいといった場合には、今回、冬場に大きな旅行博があるといったときに、事前に申し込みスタートとなったときから申し込めればいいのですけれども、期間の問題があって、そこは申し込めなかったという不公平感を言われる事業者もおりました。そういった要件についても、ぜひとも御検討いただければいいかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、県境連携についてです。今、インバウンドの観光客も本県に多くいらっしゃっていただいておりますけれども、入り地が東京都だと、どうしてもバスの関係や団体客を中心に、福島県、よくて仙台市までで、なかなか岩手県まで北上してこられないという状況にあるとお聞きしておりました。そういった意味では、いわて花巻空港のみならず、東北地方に降り立つインバウンドの観光客については、岩手県としてはチャンスがあるわけです。特に仙台空港は各国からの便数も多く、ここに降り立ったお客様にどうやって岩手県に来ていただくかが大きな課題だと思っております。
 そういった中にあって、どうしても岩手県よりも山形県に流れる傾向にある。なぜならば、銀山温泉や山寺など有名な観光地もあるのですけれども、山形県は自分の県の空港ではない仙台空港に降り立った客にもインバウンドの宿泊助成をやっている。一方で、岩手県にはない。こういったところで、仙台市と山形県が一体となって旅行商品を組まれている状況にあると思います。そういった中にあっては、県境連携した取り組み、宿泊助成も必要なのではないかと思います。
 また、北上線や大船渡線など、メモリアルということで、今年度は旅行商品の造成に県境をまたいでも助成をしていただいているということは高く評価をしております。こういった流れをぜひとも次年度にも続けていくべきだと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 仙台空港利用に対する宿泊助成ということでございましたが、東北各県におきましては、佐々木朋和委員御指摘の山形県の宿泊助成に限らず、県内空港の利用拡大や県内周遊の促進に向けて、旅行商品のPRや二次交通の確保など、さまざまな形の支援を行っていると承知しております。
 本県におきましては、いわて花巻空港を利用する旅行商品に対する宿泊費の支援に加えまして、令和6年度から、新たに、いわて花巻空港の利用に限らず、沿岸や県北地域を周遊する場合のバス利用等への交通費の支援を開始したところでございます。
 佐々木朋和委員御指摘の山形県での取り組み、インバウンド宿泊助成なども今後、研究しながら、現在取り組んでいるバス利用等への支援とあわせて、どのような取り組みを行うのが効果的な誘客につながるのか、検討してまいりたいと考えております。
 そしてまた、JR線を活用した県境を越える旅行商品造成支援でございます。県では、市町村、観光関連団体、民間企業等で構成する、いわて観光キャンペーン推進協議会を通じまして、観光キャンペーン期間中などに地域の受け入れ体制整備を目的とする観光商品造成や、県内周遊を目的とする旅行商品造成に対しまして支援を実施しているところでございます。
 現在、いわて秋旅キャンペーンを展開しているところでございますが、この中で、例えば、地域の受け入れ体制整備を目的とする観光商品造成の支援といたしまして、一般社団法人一関市観光協会が実施する、奥州三大荒祭り室根神社特別大祭と三陸沿岸ゆかりの地・探訪ツアーでは、目的地を一関市、気仙沼市、陸前高田市としまして、JR大船渡線を利用するツアーに対して、県境を越える行程部分についても支援することとしております。
 また、県内周遊を目的とする旅行商品造成の支援では、JR線を利用しないものの、本県のほか、青森県の十和田湖や秋田県の角館などを周遊する旅行に対して、青森県や秋田県を周遊する部分の支援は行っていないものの、本県を周遊する部分の行程については助成しております。
 その他、県境は越えないものの、JR釜石線や三陸鉄道を活用した旅行商品の造成に対しても支援を行っているところです。
 こうした取り組みは、令和7年1月から3月に予定しております冬季観光キャンペーン2025におきましても、同様に実施する予定でございまして、現在、JR大船渡線や北上線を活用した旅行商品への支援について問い合わせを受けているところでございます。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。県南地域だけではなくて、県北地域も含めて、県境をまたいだ周遊もぜひとも県としても、あるいは、隣県と協調して補助して、全体が補助となるように、ぜひともお願いをしたいと思います。
 最後の質問になると思います。JRの話が出ましたので、JRの重点販売地域指定と対応した秋キャンペーンについて、今、行われておりますけれども、今回の秋キャンペーンの内容と予算総額、また、ターゲットについてお示しいただきたいと思います。
 キャンペーン内容が若者向けのように感じる一方で、JR重販はおとなの休日等、シニア層中心ではないかという事業者の声もあります。そういったギャップについてもどのようにお考えなのか伺って、終わりたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 現在実施しております、いわて秋旅キャンペーンでは、これまで本県への来訪が多かった40歳から50歳代の方に加えまして、若い世代にもしっかりとPRすることで交流人口の拡大につなげていくために、ターゲットを若者といたしまして、令和6年10月から12月までの3カ月間、岩手県の豊かな自然を感じることができる体験や絶景・秘境カフェなど、県内各エリアの特色ある観光素材を紹介し、岩手県の秋を満喫する旅を提案するということでテーマを設定しております。
 本キャンペーンの予算総額は3、840万円余となっておりまして、若者に向けた情報発信としてSNSを強化し、キャンペーンの情報を総合的に発信する特設サイトの開設や、同サイトへの誘導を促すリーフレットやPRポスターの作成、首都圏等でのイベント開催、旅行商品造成等の支援を行っております。
 また、この観光キャンペーンの展開に当たっては、人口が比較的少ない町村にも多くの方々が訪れるよう、その魅力を発信しておりまして、キャンペーンポスターでは、西和賀町のネビラキカフェ、住田町の滝観洞、特設サイトでは、猊鼻渓舟下りと平泉中尊寺紅葉銀河探訪ツアーなどを紹介しております。
 なお、JR東日本重点販売地域指定は、年間を通じて、季節ごとにJR東日本管内の各県をエリアとして2カ所程度を選定して実施しているものでございます。大人の休日倶楽部パスは、この地域指定の有無にかかわらずJR東日本管内で利用できるものでございまして、関連した取り組みとはなっていないとJR東日本からは聞いておりますが、これらのお客様にも十分に本県の秋を楽しんでいただきたいと考えております。
〇福井せいじ委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時21分 休憩
   午後4時41分 再開
〇大久保隆規副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇松本雄士委員 私から、社会減対策の一つとしての県内就業の促進についてお伺いいたします。
 県内就業の促進の一つの指標である、岩手県内で将来働いてみたいと思う企業のある高校生の割合が、令和5年度19.8%、D判定、2割にも満たない。これでは社会減はやはりとまらないというところでありますけれども、大きく目標を下回っている要因と、どのような取り組みを行ってきたのか、また、今後どのような取り組みをしていくのか、お伺いいたします。
〇小野寺雇用推進課長 県内企業の認知度向上に向けた取り組みについてでありますが、県では、小学生段階からの工場見学やものづくり体験、小中学校での出前授業などの取り組みに加え、活動内容指標、成果指標である高校生の進学後の県内就職促進のための合同説明会の開催や、就業支援や県内就業・キャリア教育コーディネーターによる学校現場と連携したキャリア教育に取り組んでおりますが、松本雄士委員御指摘のとおり、県内の高等学校1、2年生を対象とした令和5年度意識調査では、岩手県内に将来働いてみたいと思う企業があるとの回答の増加に至らなかったところでございます。
 県内企業の認知度を向上させていくためには、小学生段階から、保護者を含めて県内企業や産業状況を理解していただき、子供たちみずからが将来のライフデザインを考えるためのキャリア教育を充実していくことが重要と考えております。
 このため、先ほどの県の取り組みの工夫を初め、いわてで働こう推進協議会を核とした、高校生等を中心に県内企業の魅力発信や企業活動内容の理解促進の取り組みの普及に努め、高校生等に対する県内企業の認知度向上を図っていきたいと考えております。
〇松本雄士委員 小中学生からのキャリア教育、職業観を育成していくのが非常に大切であると私も思います。それに取り組んでいるということでありましたが、また、高校生については、就職合同説明会を開催されている。就職合同説明会に関しては、指標Aでありますが、働いてみたいと思う企業があるが2割にも満たないと大きなギャップです。取り組み成果、活動成果指標はAと認識していますけれども、働いてみたいと思う企業につながっていないという大きなギャップがある。このことについての見解をお伺いいたします。
〇小野寺雇用推進課長 小学生段階からキャリア教育に取り組んでいるところでございますが、学校の授業やインターネット等において、県内企業の情報や県内で働くイメージを十分に浸透することができず、今はわからないという回答も約6割を占めている状況でございまして、そこの取り組みを普及させていくということを、県の取り組みだけではなく、いろいろな団体などの取り組みを普及させていくことによりまして、あるという回答に導いていきたいという考えでございます。
〇松本雄士委員 今、インターネット等での浸透、情報の発信ということでしたが、バーチャルな世界ではキャリア教育というのは真に育んでいかないのかと。キッザニアといった大がかりな施設ではなくても、昨日も地元の商工会青年部がチャグジョブという取り組みで、地元の中小企業の人が30弱ぐらい集まって一般的なものではなくて、結構リアルな感じで、そこで見ていた社長が、これを覚えたら、あしたはもう現場に出られるからな、みたいなことを言いながら職場体験をやっている。もっとそういうのをやっていくべきだなと。教育部門と連携して、商工部門はそういうのを後押ししてもらいたいと思っております。
 そして、県内大学卒業者の定着も非常に低調というか下がってきている。令和5年度で40.8%というところでありまして、ふるさと振興部の学事振興課との連携になると思うのですけれども、現状の高等教育機関と連携した定着の取り組みも大切ですが、やはり限定的かと思います。商工労働観光部としては県内定着の改善に本当に重要な取り組みは何だと認識されているのかお伺いいたします。
〇小野寺雇用推進課長 県内大学卒業者の県内定着促進についてでありますが、令和6年3月の大学卒業者の県内就職率は、前年比1.9ポイント減となっておりまして、コロナ禍を経て、また、人口減少の進展に伴いまして、全国的に人材確保が大きな課題となる中、大都市圏の企業の採用活動がさらに活発化し、大学生の地元就職率は東北各県とも低下している状況でございます。
 このような中、いわて高等教育地域連携プラットフォームのワーキンググループが実施したアンケート調査によりますと、県内の大学生が就職先を考える上で重視する項目として、給与に次いで、充実した厚生福利、職場の人間関係、雰囲気が高く、やりたい仕事や好きなことができるを大きく上回っております。
 こうした状況を踏まえまして、待遇面や執務環境の改善など、企業における若者や女性に魅力がある労働環境の構築を進めていくとともに、企業によるインターンシップの受け入れやSNSの活用等によりまして、すぐれた雇用条件を含めた採用情報を大学生に直接発信していくことが重要であると考えております。
〇松本雄士委員 インターンシップ、SNSでの発信強化というのはツールであって、本質的なところは都市部との所得格差の解消であったり、また、県内就業を促進といっても、受け皿がそもそもなければ就業も進まない。私は、大きくは都市部との所得格差と受け皿というところだと思っております。
 労働環境やワークライフバランスに対して、若者や女性などに魅力ある雇用労働環境をということで、いわて働き方改革推進運動に取り組んでいます。令和5年度の政策評価を見ますとA判定、940事業者で、目標を上回っているという結果が出ておりますけれども、そもそも県内の中小企業数は3万社を超えるという中にあって、何百という目標設定は桁が一つ違う、少な過ぎるのではないかと考えるのですが、そこの見解について伺います。
〇菅原労働課長 いわて働き方改革推進運動参加事業者数につきましては、計画終了年度まで1、350事業者を目指すこととして、単年度では135事業者に新たに参加いただくことで目標を設定しているものです。
 その考え方につきましては、第2期アクションプランの検討を行った令和4年度時点におきまして、働き方改革に係る宣言等を行っている事業者数が、本県は東北地方で1位の水準となっており、その水準を維持するため、令和3年度の現状値680事業者の約2倍に当たる1、350事業者を目指すということで設定したものでございます。
 目標設定の中では、実際に働き方改革に積極的に取り組むことができるのは、一定程度の人数規模がある企業が多いのではないかと想定されることから、第1期アクションプランの目標値の考え方として、小規模企業を除いた企業数で算定したものです。第2期アクションプランにおいても、その考え方を踏襲して、先ほど申し上げた数字となっているところでございます。
〇松本雄士委員 東北1位の水準だったということで、発射台の数値を踏まえたということでありますけれども、小規模を除いてであるかもしれませんが、中小企業の経営基盤強化をもっと厚くしていかないとならないのだろうと。そのために高い意欲的な目標設定であってほしいと思います。
 先ほど佐々木宣和委員からも、商工指導団体を通じた中小企業の生産性向上と処遇改善という話が出ました、中小企業再生・再チャレンジ事業費の継続であったり、小規模事業経営支援事業費補助の継続、拡充は強くお願いする次第であります。私からもお願いします。
 続いて、受け皿がなければ、県内に定着しろ、就業しろといっても進まないわけでありまして、企業誘致等による地域産業の拠点化、高度化、その取り組みについてお伺いいたします。
 企業誘致、新規立地、増設というのは、県全体で累計でありますけれども、令和5年度、目標30に対して33、A判定、一方、県北・沿岸地域においては、5という目標に対して4で満たなかったという状況になっております。これの活動指標として、県全体としての企業訪問や来訪対応もA判定になっているので、全体とすればA判定ということなのですけれども、県北地域のほうは目標に満たなかった。県北・沿岸地域への誘致活動、企業訪問や来訪等の対応、県北・沿岸地域に限定しての活動の内容、実績についてお伺いいたします。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 令和5年度における県北・沿岸地域を対象とした企業訪問・来訪等の対応件数であります。企業誘致の活動、それから、ものづくり産業振興という目的で行ったものについてお答え申し上げます。
 企業への訪問が104件、来訪等の対応は57件であります。
 そして、令和5年、同じく県北・沿岸地域における新規立地件数はございませんでした。増設が4件ということで、この4件のうち3件が食料品製造業となっております。
〇松本雄士委員 県全体で見たときに、県北・沿岸地域に対するそういった取り組みが少し弱い、薄いと思っております。さきの一般質問でもこの辺を質問して、答弁において、県北・沿岸地域は非常にポテンシャルがあるのだとお答えいただいておりますけれども、今後の誘致に向けた具体的な取り組みについてお伺いいたします。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 一般質問におきまして、県北・沿岸地域では高い技術力を誇る縫製業、コネクタや空気圧関連の製造業、農林水産資源を生かした食料品製造業に加え、再生可能エネルギーを活用した企業誘致の可能性が高いと考えると御答弁をさせていただいたところでございます。
 企業誘致等によります地域産業の拠点化、高度化の推進に当たりましては、先日、知事から御答弁申し上げたとおりということで、それぞれの地域の資源や特色を生かした産業振興に取り組んでいるところでございます。
 具体的な取り組みといたしまして、それぞれの地域の中核的企業と取引関係のあります企業や、農林水産資源など地域資源の活用可能性がある企業に対する誘致活動とともに、中核的企業と地場企業との取引マッチング、設備投資、人材確保、デジタル化への支援など、地域産業の発展につながるさまざまな取り組みを実施しているところでありまして、さらに、今後は、本県の再生可能エネルギーのポテンシャルを強みとした誘致活動も強化していきたいと考えているところでございます。
 なお、県北・沿岸地域につきましては、企業立地奨励事業費補助金の補助率や補助対象を内陸部より有利な制度設計としておりますことから、そうした制度も最大限活用いたしまして、地域産業の拠点化、高度化につなげてまいります。
〇松本雄士委員 具体的な取り組みをお伺いしましたけれども、先ほどの県北・沿岸地域の企業訪問の実績であったり、新規誘致の実績でありまして、もっと補助率や活動のボリュームを上げていくことが必要かと考えるのですけれども、その辺の見解について伺います。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 県北・沿岸地域における、企業誘致に限らず産業振興、ものづくり産業振興というところでございますが、なかなか難しさがございます。交通アクセス、エネルギー供給、上下水道、通信網などの産業インフラ、それから、取引先企業や市場との近接性、関連産業の集積、人材の確保、物流コスト等、総合的にさまざま企業は判断をしておりますけれども、なかなか難しい部分もございます。こういったところをいかにカバーして実績につなげていけるか、しっかりと活動を強化して取り組んでまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 均衡ある県土の発展、経済発展が非常に重要であると思います。我々は東京一極集中を批判しているわけでありますけれども、それを同じ県内の中でスモール版でやってはいけないのだと思います。やはり均衡ある経済発展を図っていかなければ人口減に対応できないと思っておりまして、ぜひともよろしくお願いいたします。
 そして、地域産業の拠点化、高度化の一つである滝沢市IPUイノベーションパークへの企業誘致への取り組みについてでありますけれども、これもさきの一般質問において質問して、IPUはかなりポテンシャルがある。今やっているところの取り組みもありますけれども、それに加えて、U・Iターンの促進を図っていくという答弁がありました。具体的にどのようにU・Iターンの促進を図っていくのかお伺いいたします。
〇熊谷特命参事兼ものづくり産業振興課長 滝沢市IPUイノベーションパークの立地企業の人材確保に向けましては、県立大学の学生とパーク内企業との交流拡大等による新卒者の就職促進とともに、U・Iターンによる就職促進が重要と考えております。
 そういった中で、U・Iターン促進の具体的な取り組みといたしましては、U・Iターン就職フェアや就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてにより、県内企業の魅力発信とU・Iターン就職マッチングを行っております。また、移住支援金や奨学金返還支援制度により経済的な部分での支援を行っているところでございます。
〇松本雄士委員 フェア、マッチングに取り組んでいるということでありますけれども、より踏み込んだインセンティブを考えていただきたい。さきの一般質問で、滝沢市IPUイノベーションパークの拡張について進めていくという答弁がありまして、滝沢市IPUイノベーションパークの拡張が今後想定されております。大きい拡張かと思っておりまして、そこに企業をしっかり呼び込んでいくために、今以上のインセンティブを付与、それは滝沢市だけではなくて近隣市町、県央地域以北の産業につながると思っておりますので、ぜひとも御検討のほどよろしくお願いいたします。
〇菅原亮太委員 私からも、若者の県内定着について伺いたいと思います。
 松本雄士委員からも御案内がありましたとおり、令和5年度主要施策の成果に関する説明で、岩手県内に将来働いてみたいと思う企業がある高校生の割合が19%、達成度Dとなっていました。これで一番深刻だと思うのは、今はわからないという回答が6割ということです。ないとかあるだったらわかるのですが、わからないとなると、周知がなかなか進んでいないのではないかと危惧したところであります。
 先ほどの答弁の中では、小中学生からのキャリア教育で、いろいろな団体と取り組んでまいりますとありましたけれども、私も他県にいたときは、その辺、取り組んでいる県にいまして、中学生のときに1週間ぐらい企業で職場体験をして、それが終わったら、それぞれの業界で働いた中学生同士で、私はこういう業界で働いてきた、こういう現状と課題があったといった情報共有をして、お互いにこの県にはこういう業界があって、こういう会社があるという情報交換をしていました。そういうふうに、もう少し深くいろいろな業界とつながりながら、また、職場体験についても、より検討していただきたいと思いますが、これについて御所見をいただければ幸いです。
〇小野寺雇用推進課長 地元を初め、県内の企業と触れ合う機会を小学生段階からふやし、岩手県の産業の状況について理解を深めていくことは、若者の県内定着を進めていく上で重要なことだと考えております。
 そのため、小学生段階からの工場見学やものづくり体験、小中学校での出前授業などを積極的に取り組んでいるところでありまして、こうした取り組みを進める上で、学校現場を所管しております教育委員会とも一緒に検討して進めていきたいと考えているところでございます。
〇菅原亮太委員 以前、当局に県外の大学を卒業した岩手県出身の学生のうち、県内にUターンで就職した割合の推移を伺いましたところ、調査把握していないとの回答で、数字として有しているのは、県の相談窓口を訪れた学生数のみということでございました。EBPMという言葉を持ち出すまでもありませんが、データがないとUターン政策の事業の成果検証ができないのではないかと懸念するところでございます。
 他県では、毎年、企業にファクスを送って、新入社員の県内、県外割合調査を実施されている県もございます。こうした事例を参考に、まず、こういった現状を知るために、県内出身学生の調査に取り組む必要があるかと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 県内出身学生の動向調査についてでございますが、大学生等のUターン就職の動向につきまして、菅原亮太委員御指摘の福井県の事例のほか、高校卒業時に同意を得た県外大学への進学者に対し、大学卒業時にアンケート調査を行っている県や、主な県外大学にアンケート調査を実施している県が数県ある状況を承知しております。
 一方で、県外の大学への進学者等が卒業後に県内に戻って就職する割合等につきましては、進学、就職期となる18歳から23歳までの人口移動の数値を比較することで、おおむねの状況が把握できると考えております。
 本県におきましては、県外の69の大学に岩手U・Iターンクラブに加盟いただいておりまして、コロナ禍に活動を見合わせていた大学訪問等も再開しているところでございます。協力いただける大学からのデータ取得などに取り組んでいきたいと考えています。
 あわせて、他県における調査結果の具体的な活用方法についてのベンチマークなども行っていきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 他県がそういった取り組みをされていると御承知いただきまして、ありがとうございます。半年ぐらい前に、当局にこういう例のアンケートをお配りしており、この中では、大学生だけではなくて転職する社会人の採用についてもアンケートをとっていますので、総合的に具体的な数字の調査をぜひ御検討いただきたいと思っております。
 最後、三つ目の質問になります。ことし2月、一般質問で私が県内企業に係る県外での魅力周知や説明会の実施について伺ったところ、首都圏などでU・Iターンフェアを開催しているとの答弁でございました。より細かく、首都圏に限らず学生の進学先を把握しつつ、各大学で合同企業説明会を実施する必要があるのではないかと感じております。
 ことしの8月に岩手県商工会議所青年部のワークショップに参加させていただきまして、その際、参加企業である会員の方から、個々の企業で県外において企業説明会を行っている。資金力の差で採用活動、人材獲得に差が出てしまっている。県として県内企業をまとめた企業説明会を各大学でやってほしいといった声も聞かれたところであります。ぜひ県の主催として、県内企業合同での企業説明会を本県の出身者が多く進学している各大学等でやることを御提案したいと思いますが、御見解をいただきたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 県主催の合同説明会についてでございますが、県では、ふるさといわて定住財団と連携のもと、東京都内と仙台市内において、学生や社会人を対象としたU・Iターン、就職フェアを合同開催し、本年8月に東京都内で開催したフェアでは、県内の35の企業がブースを設置して就職相談を実施したところでございます。
 また、令和4年度から、弘前大学において、秋田県と共催で秋田・岩手業界研究セミナーを開催いたしまして、県内企業も参加して自社の魅力の発信などを行うとともに、令和5年度からは、東北学院大学におきまして、仙台市内等の学生と県内企業の若手職員との交流イベントなども開催しているほか、今年度は、東北工業大学主催のオンライン企業説明会に県内企業が出展するなどの取り組みを行っております。
 岩手県出身者が多く進学している大学におきまして企業説明会を行うことは、U・Iターン就職を進める上で有効な手段であると考えられますことから、今後も、このような取り組みの拡大に努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、物価高騰と中小企業の実態、対策についてお聞きいたします。
 物価高騰の状況ですけれども、消費者物価指数、企業物価指数、企業倒産件数、それぞれどうなっているでしょうか。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、盛岡市消費者物価指数でございますが、令和2年の年平均指数値を100といたしますと、令和5年は106.7、令和6年は1月時点で108.3、直近の8月時点では110.6となっております。
 次に、国内企業物価指数でございますが、同じく令和2年の年平均指数値を100といたしますと、令和5年は119.9、令和6年は、1月時点で120.3、直近の8月時点では123.0となっております。
 それから、県内の企業倒産件数は、株式会社東京商工リサーチ盛岡支店の公表データによりますと、令和2年は42件、令和3年25件、令和4年47件、令和5年55件となっており、さらに、ことし令和6年は、1月から9月までの9カ月で55件といった状況となっております。
〇斉藤信委員 大変厳しい状況の中にあると思います。
 そこで、県が四半期ごとに実施している事業者影響調査で売り上げの減少、利益率の低下、価格転嫁率はどうなっているでしょうか。
〇小野寺経営支援課総括課長 今、お話しいただきました、エネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査は標本調査で実施しておりますので、回答の割合でお答えいたします。ことし8月時点で行った調査結果によりますと、エネルギー価格、物価高騰等による経営への影響が継続していると回答した事業者のうち、売り上げの減少を影響に挙げる事業者は33.6%、利益率の低下を影響に挙げる事業者は62.4%となっております。
 また、原材料費、人件費などの増加による販売、受注価格への価格転嫁の状況をお聞きしましたところ、価格転嫁を実現したのは11.2%、一部実現したのは52.6%、価格引き上げの交渉中は4.6%、これから交渉を行う、3.9%、価格転嫁はしていない、もしくは価格変動の影響はない、3.7%、そして、価格転嫁は実現していないのが16.4%となっております。
 そして、価格転嫁を一部実現したと回答した事業者のうち、その転嫁率でございますが、10%未満は42.9%、10%から30%未満は35.8%、30%から50%未満は11.3%、50%から70%未満は6.3%、70%から100%未満は3.8%、こういった状況となっております。
〇斉藤信委員 結局、売り上げが減少しているというのは、資材が上がっていますから、売り上げが上がっても元を取れないのです。だから、売り上げが減少しているというのはダブルの打撃を受けているということになると思います。
 そして、利益率低下が62.4%。価格転嫁を聞きましたが、価格転嫁を実現したのは11.2%で、今、答弁があったように、一部実現したという中は、30%未満がほぼ8割です。一部転嫁といっても7割以上は転嫁できていないということですから、本当に厳しい状況にあると思います。
 そこで、物価高騰による中小企業、小規模事業者の課題と県の対応策についてお聞きしたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 ただいまお話しいたしました影響調査におきまして、経営課題についてお聞きしております。その中で挙げられた割合が高いものとしては、原料、資材高騰への対応が54.8%、価格転嫁、46.5%、人材確保、46.5%、賃金の引き上げ、42.8%、このような状況となっております。
 したがいまして、今、お話のありましたとおり、利益確保に苦しむ中で、人材確保などのために防衛的な賃上げを余儀なくされているなど、県内中小企業、小規模事業者を取り巻く環境は、依然として非常に厳しいと考えております。
 これらの課題に対応するため、県といたしましては、国、それから、商工指導団体と連携いたしまして、まずは円滑な価格転嫁の促進に向けたパートナーシップ構築宣言の普及拡大に取り組むとともに、利益率の向上、そして効率的な業務運営、新たな顧客層の獲得といった小規模事業者の経営革新計画の策定による生産性向上に向けた取り組み支援、そして、さらに物価高騰対策賃上げ支援金による賃上げ原資の補填、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助による持続的な賃上げのための生産性向上の取り組み支援、こういった直接的な支援等を展開しているところです。
〇斉藤信委員 賃上げ支援については、後でまた聞きます。私はパートナーシップ構築制度はいいと思うけれども、どのぐらい有効性があるものですか。
〇小野寺経営支援課総括課長 パートナーシップ構築宣言は、サプライチェーンの中で取引先がウイン・ウインの関係に行こうという基本的な考え方がございますので、価格転嫁をお互いに適切にやっていきましょうという機運醸成、意識醸成という観点では、非常に有効な取り組みであると考えております。
〇斉藤信委員 例えば、トヨタ自動車株式会社は5兆円の利益を上げたと。全国商工会議所会頭が、5兆円の利益のうち1兆円は下請、中小企業に回すべきだという発言を異例でやりました。下請、中小企業に回さないで、賃上げもほんの一部です。ほとんど株主と、あとは内部留保です。ここを根本的に解決しないと、下請、中小企業は賃上げの原資が出てこない。それは全国的な問題ですから、全国的にどのように県として取り組んでいくのか考えていただきたい。
 そこで、ゼロゼロ融資の実績、返済の状況、条件変更等の伴走的支援の状況について示してください。
〇小野寺経営支援課総括課長 令和2年5月から令和3年5月末まで取り扱いを行いました新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資の融資実績でございますが、件数は1万2、110件、金額は1、944億790万円余となっております。
 次に、この資金の令和6年8月末時点の残高のある件数、残高は、貸付残高を有するのが7、115件、貸付残高としては775億2、181万円余となっております。
 次に、この資金の返済状況でございますが、ことし8月末までに約定返済が開始されたものは6、658件、金額は687億9、586万円余でございます。それ以降、ことし9月以降に約定返済開始予定のものは、件数は457件、金額は87億2、595万円余となっております。
 続きまして、ゼロゼロ融資の返済開始に伴う借りかえ需要に対応するため、国の保証制度の改正に合わせて令和5年1月10日から県の貸付要件を緩和いたしました新型コロナウイルス感染症対策資金、いわゆる伴走資金でございますが、これにつきましては、要件緩和以降の保証承諾実績が、ことし8月末時点で2、927件、額は748億1、691万円余、このうち借りかえ需要に対応したものは2、092件、額は442億2、566万円余となっております。
 最後に、これら新型コロナウイルス感染症関連の融資に係る条件変更、据置期間や最終期限の延長等の状況でございますが、ことし8月末時点で、対応資金は512件、額は69億9、055万円余、対策資金は147件、額は43億2、182万円余となっております。
〇斉藤信委員 今、まさにゼロゼロ融資の返済がピークを迎えているといってもいいと思います。厳しい物価高騰が続いている中で、伴走的支援を強めていただきたい。1社たりとも倒産させないというぐらいの気持ちでやっていただきたい。
 そこで、先ほど55件の倒産件数だったとありました。このうち社会保険料滞納による倒産の状況を示してください。
〇小野寺経営支援課総括課長 東京商工リサーチ盛岡支店によりますと、ことし1月から9月まで、今、お話の倒産件数55件のうち、倒産企業に関するコメント欄に社会保険料等の滞納の記載があったものは8件と承知しております。
〇斉藤信委員 55件のうち8件というのは14%なのです。今、社保倒産というのが大きな問題になっていて、県内で2番目の岩手中央タクシー株式会社も社会保険料滞納でタクシーを差し押さえられて倒産したのです。そのとき、実は銀行と返済の相談をしていたさなかです。そんなときに乗り込んできて、差し押さえして倒産。
 実は、これだけにとどまらないのです。日本共産党県議団として一関民主商工会から話を聞いてまいりました。年金事務所もやっているのですけれども、コロナ禍は終わった、納付できないのは事業者の責任だと言い放ち、去年の4月ごろから強権的な徴収を行うようになりました。そして、夏ごろからは業者に対する差し押さえを連発するようになり、複数の業者が廃業に追い込まれました。この事態を重く見て、一関民主商工会は年金事務所と21回にわたって交渉し、業者の実情を鑑み、すぐに催促することは避けるように求めてきましたと。これは一関地域で既に倒産ではなくて廃業です。先ほど倒産は8件と言ったけれども、廃業に追い込まれたのはもっと多いと思います。今、税務署より社会保険庁のほうがひどいと、こうした実態をどのように把握されているでしょうか。
〇小野寺経営支援課総括課長 社会保険料の滞納関連の事案につきましては、いわて中小企業事業継続支援センター会議の場でも金融機関から情報提供があります。具体的には、コロナ禍に設けられた最長3年の納付猶予の特例措置が順次終了し、猶予期間中に業績を立て直すことができなかった企業が、不動産や事業用資産を差し押さえられ倒産に至ったケースも報告されております。なかなか対応が難しい案件だというのは、その関係者での認識が一致しているところです。
〇斉藤信委員 これは国会でも取り上げました。当時の鈴木財務大臣、社会保険庁も国税の徴収に準じてやるのです。そうすると、最長で4年間猶予することが認められている。ところが、4年どころか1年で差し押さえする。こういうことをやっていますから、これはぜひ金融機関その他一緒になって、余りひどいことはきっちり抗議をするということをひとつやっていただきたい。
 次に、物価高騰対策賃上げ支援金の問題についてお聞きいたします。全国に先駆けて中小企業に直接支援をしたというのは、すばらしい取り組みです。直近の実績を示してください。
〇菅原労働課長 令和6年10月10日時点の実績でございます。申請件数は2、653件、人数にしますと1万8、766人、金額にしますと9億3、830万円です。支給実績は2、502件、人数は1万7、646人、金額にしますと8億8、230万円となっております。順次支給に努めているところでございます。
〇斉藤信委員 一般質問の答弁でも、2、000件を予定していたけれども、今の答弁だと2、653件で、予想を上回る申請があったというのは大変大きな成果だったと。特に20人以下の中小企業、小規模企業で、実に70%、7割を占めるのです。本当に零細な企業がこれを頼りにして賃上げをしたということは大変重要だと。建設業が一番多くて20.5%です。製造業が16.5%、卸・小売業が15.6%で、医療、福祉が13.3%となっておりました。
 先ほども議論がありましたけれども、2、600件を超えたのはいいけれども、支払い予定は9億円ですから、21億円の事業で、事務費もありますから、恐らく10億円弱は残ると思うのです。旅行割引のときには延長したではないですか。ああいう取り組みができないのか。そういうように国との協議は、返還などというのはもったいない話で、これだけいい事業を延長して実施するということはできないのか、いかがですか。
〇菅原労働課長 先ほども御答弁申し上げたとおり、繰り越しというお金の性質もあって予算上の壁があるのですけれども、当然、私たちも県内の中小企業を取り巻く状況の厳しさは重々承知しております。そういう中で、今回、最低賃金も大幅に引き上げられた、あと、支援金の実施状況も踏まえて、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出すために、大胆な経済政策を国にまずしっかりと働きかけて、今後の対応をトータルで検討していきたいと思っています。
〇斉藤信委員 これは国がやらないとだめです。中央最低賃金審議会が50円引き上げるといって、県はそれに上乗せ9円をやっただけですから。国が何の対策もとらずに50円上げろということ自身が矛盾している。そして、先ほども答弁があったように、今回上げたところも防衛的賃上げなのです。財源があってやっているわけではない。だから、こうした中小企業に対する直接支援なしに賃上げできないのだと私は思うのです。
 日本共産党はこの11年間で大企業が内部留保でふやした200兆円に5年間、年間2%を掛け、最低10兆円の財源を確保して、全部中小企業に回す、こういう提案をしています。財源を示して賃上げを提案しているのは、恐らく日本共産党だけだと思います。
 そういう点で、本当に国の責任が問われている。同時に、岩手県が全国に先駆けてやったのだから、これは検討すると言っていましたけれども、ぜひ継続、拡充をやっていただきたい。商工労働観光部長、いかがですか。
〇岩渕企画理事兼商工労働観光部長 国への返還にはならない予定で、交付金を活用した部分は21億円の半分程度で、あとは一般財源を使っていますので、交付金はほぼ使い切るという見込みでございます。
 その上で、何度も答弁が繰り返しになっているのですが、中小企業は大変な状況にございますので、早急に対策を講じられるようにしっかりと検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 国の経済対策も指示されて検討されていると思いますから、同時並行で、国が打ち出したらすぐ予算化して、少なくとも12月定例会には提案するというテンポでやっていただきたい。全国に先駆けて第2弾もやると、そのことを強く求めて、私の質問を終わります。
〇小林正信委員 私は、就職氷河期世代の支援についてお伺いします。
 知事は、生きにくさを生きやすさに変える取り組みとして挙げられておるのが就職氷河期世代への支援。令和5年度のエンパワー予算では、令和4年度より地域就職氷河期世代支援加速事業費が2、500万円から1、300万円に減額になっております。減額により本当に十分な取り組みがなされたのかどうか、その点についてお伺いいたします。
〇小野寺雇用推進課長 令和5年度の予算減額に伴う取り組みについてでございますが、国の地域就職氷河期世代支援加速化交付金が、令和5年度から県を経由せず、国から直接市町村へ交付になったことが予算減額の主な理由となっております。
 令和5年度は、前年度に引き続き、就職氷河期世代の雇用促進と活躍できる職場環境整備を支援するための意識啓発セミナーを実施したほか、各自のライフスタイルやペースに合わせて資格やスキル取得ができるよう支援するeラーニングを実施するなど、同等の取り組みを行ったところでございます。
〇小林正信委員 岩手県としても就職氷河期世代への支援を充実させてやっていたので、予算が減ったというところは、いくら市町村に行ったとはいえ、大変厳しかったかと思っていまして、令和6年度は、1、300万円から500万円にさらに減額になっている。これはさらに市町村に行ったのかというあたりをお伺いしたい。
 せっかく2、500万円の幅で今まで充実させてきた岩手県の就職氷河期世代支援の取り組みが縮小してしまっているのかという懸念もあるわけでございますけれども、これは生きにくさを生きやすさに変えるという非常に大事な取り組みだと思うので、そのあたり、今後どのように行っていくのかお伺いしたいと思います。
〇小野寺雇用推進課長 今、お問い合わせのありました、令和5年度から令和6年度にさらに予算減額があったということについてでございますけれども、令和5年度に建設業、介護福祉業、製造業など、人手不足が顕著であり、初心者でも歓迎するという企業の業務内容や厚生福利といったものについて御紹介するという目的で動画を作成した取り組みを実施しております。
 その動画を作成した後、シゴトバクラシバいわてのホームページ内に企業情報と一緒に掲載するという取り組みを行いまして、その制作と掲載経費が令和5年度には計上になっていて、令和6年度につきましては、掲載終了ということで、掲載自体は継続して周知しているのですけれども、令和6年度にはその予算が減になったことに伴う予算減となっております。
〇小林正信委員 岩手県の就職氷河期世代の支援は、国の予算も使いながら、かなりの伴走型で、一人一人に寄り添った支援をしていてすばらしいと思ってきたのですけれども、市町村が担っていただいているのか、市町村の取り組みが充実されているのかというあたり、もしわかればお伺いしたいと思います。
〇小野寺雇用推進課長 市町村の取り組みについては、資料等を準備しておりませんでしたけれども、県の取り組み自体につきましては、昨年度に引き続きまして、企業を対象としました意識啓発セミナー、就職氷河期世代を対象にいたします資格やスキル取得を支援するeラーニングを実施しておりまして、今後もさらに人手不足が予測されますことから、就職氷河期世代を含むミドル世代に対しまして、その世代の特性やニーズに応じたスキルアップ、企業に対する意識醸成、求職者と県内企業のマッチング支援は引き続き実施していく方向で考えております。
〇小林正信委員 知事が生きにくさを生きやすさに変える取り組みだ、代表的なものだとおっしゃっていたので、500万円になったというのは悲しかったというか、もう少し取り組みをさらに充実をさせていただきたかったという点も指摘をさせていただきながら、今後の取り組みを期待したいと思います。
 次に、令和5年度の起業・スタートアップ推進事業の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 起業・スタートアップ推進事業費の中では、いわてスタートアップ推進プラットフォームによります関係機関の連携を通じまして、地域経済の新たな担い手となる起業家の育成を支援するとともに、大学生等の起業マインドの醸成を図るため、いわてイノベーションスクールを実施しております。
 令和5年度の主な実績でございますが、まず、プラットフォームに女性の起業支援分科会といった三つの分科会を設置して、若者や女性の起業における効果的な支援手法を検討するとともに、県内関係機関の支援策情報を一元的に発信するポータルサイトを新たに開設いたしましたし、いわてイノベーションスクールにおきまして、大学生を中心に、座学やワークショップ形式により起業に必要な知識を学び、28人が修了した。令和5年度の実績はこのようになっております。
〇小林正信委員 いわてスタートアップ推進プラットフォームをつくったことは非常に重要な取り組みなのだろうと思いますし、起業した後の支援も重要なのだろうと思っております。
 創業間もないスタートアップ企業は有形資産が乏しい。融資を受けるための担保を設定できず資金調達に苦労する場面が多いと伺っております。こうしたことから、事業ノウハウや知的財産などの無形資産を含めた事業価値も担保の対象とする企業価値担保権が創設されたと伺っております。
 また、県内では中小企業団体中央会が支援して、ITベンチャー4社が協同組合を立ち上げたとの報道もございました。今後、こうしたスタートアップに対する資金繰り支援や、また、連携支援を充実させる等、スタートアップの経営継続支援をさらに充実させていただきたいと思うのですけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 今、お話がありましたとおり、起業、スタートアップ支援におきましては、単に開業数をふやすだけでは当然だめで、その後の支援を継続して、法人化や、さらに成長企業として育成していく取り組みが非常に重要であると考えております。
 県内の商工指導団体では、起業した方に対するフォローアップも継続的に行っており、今、お話に出ましたさまざまな経営課題への相談対応も行っております。そういった形で新規創業者に対する伴走支援にも積極的に取り組んでおります。
 伴走支援に当たっては、より質の高い支援も重要となりますので、先ほどお話しいたしました、いわてスタートアップ推進プラットフォームの分科会の中で支援手法の情報交換も実施しております。
 あわせて、資金調達という観点に立ちますと、県で若者・女性創業支援資金、創業者向けの支援も準備して、その中の利子補給、保証料補給も展開しております。
 いずれ、今後も起業者の状況やニーズに応じてさまざまな支援施策が必要となってくると思います。商工指導団体と密接に連携して、重層的な支援を展開してまいります。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 そして、スタートアップの中でも社会的課題の解決に向けた前向きな影響、インパクトを与える企業をインパクトスタートアップと呼ぶということで、岩手県においてもインパクトスタートアップが非常に顕著に出始めていると知事も答弁されています。
 経済産業省では、インパクトスタートアップを官民一体で支援するプログラムを今、進めている。そして、中小企業庁では、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業を白黒模様のシマウマに例えてゼブラ企業と呼んでいると。地域において、このゼブラ企業の創出、育成に向けた基本指針を中小企業庁は策定したと。今後も社会的課題がふえていく本県において、インパクトスタートアップの創出、推進を図る必要があると考えますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 インパクトスタートアップは、社会課題の解決と経済的な成長を両立し、ポジティブな影響を社会にもたらすスタートアップとして近年注目を浴びております。今、お話にありましたとおり、県内でも株式会社ヘラルボニーや奥州市に拠点を持つ株式会社ファーメンステーションが有名かと思います。
 社会課題、それから地域課題の解決という視点は、インパクトスタートアップはもちろんですが、今、御紹介のありました、創業や第二創業といったことで地域課題解決に取り組む中小企業、小規模事業者が中心となって、地域の多様で複雑な社会課題の解決を目指す取り組みも非常に重要であると考えております。これは良質な雇用、豊かな暮らしの実現に向け、果たす役割は非常に大きいと考えます。
 したがいまして、今後とも、社会課題、地域課題の解決という視点のもと、今、お話ししておりました国の取り組みとも連携しながら、起業支援施策を的確に展開していくことが重要と考えておりますので、その対応に努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 もう既に、いわてスタートアップ推進プラットフォームでもさまざま議論されていると思うのですけれども、このプラットフォームが社会的課題を見つけていく、そしてインパクトスタートアップにつなげていくという取り組みをさらに充実させていただきたいと思います。今、既に、頑張って社会的課題を解決している中小企業もたくさん岩手県にはあると思います。インパクト投資という、そういった企業に投資をする流れも出てきているということでございますので、そこに着目しながら、ぜひとも社会的課題解決のための取り組み等を充実させていっていただきたい。
 次に、事業承継の令和5年度の状況をお伺いします。あわせて、事業承継推進事業の取り組みについてお伺いします。
〇小野寺経営支援課総括課長 本県では、平成27年に国が設置しました岩手県事業承継・引継ぎ支援センターを中心に、商工指導団体など地域の関係機関が連携して事業承継ネットワークを構築し、後継者人材バンクの活用によるマッチング支援、それから、商工指導団体と連携した事業承継診断を通じて後継者不在企業への相談対応などにより事業承継支援を展開しております。
 これらの取り組みにより、令和5年度の事業承継・引継ぎ支援センターのマッチング成約件数は、前年度よりも15件増加して42件、過去最高の数値という状況でございます。
 それから、県の事業承継推進事業でございますが、この事業承継推進事業費は二つの補助事業により構成しておりまして、一つが企業向けの事業承継補助金、もう一つが商工指導団体等に対する次世代後継者育成事業費補助でございます。
 まず最初の事業承継補助金は、令和5年度に新設したもので、事業承継を契機に新たな事業に取り組む後継者を支援するものです。令和5年度は、新商品開発や生産性向上に資する冷凍設備の導入など、13事業者に活用いただき、840万円余の補助金の交付を行いました。
 それから、商工会連合会に対して補助している次世代後継者育成事業費補助金では、経営力強化につながる優良な取り組みを行った企業、経営指導員の優良支援事例を表彰する、いわてビジネスイノベーションアワードを年1回開催しております。それから、後継者や若手経営者を対象とした勉強会の開催費用支援などを行い、若手経営者、後継者の経営力向上、円滑な事業承継、それらを支える商工支援団体の支援スキルの向上、こういったものに取り組んでおります。
〇小林正信委員 今おっしゃったのは後継者の支援ということで、小規模事業者の、ほとんどが家族でやっているファミリービジネスだろうと。ファミリービジネスに対する承継問題も大事なのだろうということで、今おっしゃった取り組みが非常に重要なのだろうと思います。また、ベンチャー型の事業承継というところも今おっしゃいましたけれども、そういったところも充実させていっていただきたいと思います。
 そういったところで、今後の取り組みをさらに充実させていただきたいと思いますけれども、そのお考えをお伺いしたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 これまでの取り組みによりまして、商工指導団体の経営指導員などが経営革新計画、事業承継補助金を活用した新たな取り組みを若手後継者と並走しながら支援して成果を上げているといった好事例、それから、市町村と事業承継・引継ぎ支援センターとが連携し、地域おこし協力隊などの移住者が地域の店舗を承継する事例なども生まれてきております。
 事業承継の関係機関で構成する岩手県事業承継ネットワークには、本年度から20市町が参画して連携を強化しているところでもあります。これらの関係機関が連携し、事業承継診断、相談対応、マッチングイベントの開催等を通じ、円滑な事業承継のための意識啓発から事業承継の実現まで総合的に支援するとともに、商工指導団体による伴走支援などの好事例の横展開を図り、関係機関が連携して重層的な事業承継支援を展開してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 次に、新産業事業化促進事業について、令和5年度における製品化、事業化の状況はどうなったのかお伺いしたいと思います。
〇熊谷特命参事兼ものづくり産業振興課長 令和5年度において、ヘルステック等製品化促進事業費補助を創設いたしまして、7件の事業を支援いたしました。
 このうち、現時点で製品化、事業化に至ったのは2件と伺っておりまして、残りの5件については、現在も研究開発を推進中だと伺っております。
〇小林正信委員 新たな事業ということで、ぜひともさらに取り組みを進めていただきたいと思いますし、また、医療機器等関連産業のクラスターのTOLICでは、スタートアップや成長可能性が高い事業に投資を行うファンドを設立した。そういった民間のファンド等とも連携をしながら、ヘルステック産業の振興をぜひやっていただきたいと思うのですけれども、そのあたりのお考えをお伺いしたいと思います。
〇熊谷特命参事兼ものづくり産業振興課長 県においては、TOLICのファンドへは直接出資は行っておりませんけれども、ファンドの設立に向けて、金融機関等向けファンド構想説明会において、県からファンドへの理解、協力を呼びかけるなど、TOLICや盛岡市と連携し、設立を支援してきたところでございます。
 また、先ほどありました補助事業等の有望な案件等がございましたらば、ファンド関係者、TOLIC関係者との定期的な意見交換を行っておりまして、そういった場で情報提供していきたいと考えております。
〇小林正信委員 そしてもう一点、TOLICでスタートアップ入居の新施設も考えているということで、定期的に協議を進めている状況だと思うのですけれども、この支援施設の整備の検討状況をお伺いしたいと思います。
〇熊谷特命参事兼ものづくり産業振興課長 先ほど申し上げた定期的な意見交換を行いながら、これまではヘルステック分野のイノベーション創出拠点の拡張について、その必要性や求められる機能の検討を進めてきたところでございます。
 こうした取り組みをベースといたしまして、さらに一歩段階を進めるため、今後、盛岡市、地方独立行政法人岩手県工業技術センター、公益財団法人いわて産業振興センター及び県において、研究開発企業の集積拡大に向けた検討会議を設置することとしておりまして、この中で、ヘルステック分野のイノベーション創出拠点の拡張につきましても検討を行っていくこととしております。
〇小林正信委員 ぜひともお願いしたいと思います。
 最後に、AIなどデジタル技術の進展に伴い急増するデータを保存処理する拠点であるデータセンターの建設が国内で活発化している。データセンターは都市部に集中しており、関東圏と関西圏で9割を占めている。かつて、上原康樹委員が、冷涼で地盤がしっかりしている岩手県こそデータセンターの適地であると。この誘致について質問した際、国や民間事業者、電力会社との意見交換を行っており、市町村の意向を踏まえ立地に取り組むとの当時の副知事の非常に期待の持てる答弁がございました。その後の誘致の取り組み、また、現状についてお伺いしたいと思います。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 国がデータセンターの地方分散の促進を打ち出す中でありまして、これまで本県にも複数の企業から問い合わせがございました。その後、用地の提案、候補地の案内など、誘致に前向きな市町村と連携して取り組みを進めてきたところでありますが、現在までに誘致が実現したものはない状況でございます。
〇小林正信委員 頑張ってくださいということしか言えないのですが、データセンターは冷涼な岩手県には適地だということ、再生可能エネルギーが県北地域は非常に頑張っていらっしゃるということで、県北地域にデータセンターというところも期待が大きいのかと思いますので、ぜひとも岩手県としても真剣に誘致に取り組んでいただきたいと思います。そのあたりの決意をお伺いして終わりたいと思います。
〇小野ものづくり自動車産業振興室長 先ほどございましたとおり、データセンターは冷涼な気候が適しているということで、本県を含む東北地方が、立地の候補地になり得るものと見込まれております。
 また、先ごろでありますが、政府が光技術を活用しましてデータセンターの地方分散をさらに後押しするという報道もあったところでございます。
 県としては、引き続き情報収集を進めながら、データセンターの誘致の可能性を探ってまいりたいと考えております。
〇大久保隆規副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇大久保隆規副委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時48分 散 会

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