令和6年9月定例会 決算特別委員会会議記録 |
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令和6年10月18日(金)
1開会 午前10時1分 1出席委員 別紙出席簿のとおり 1事務局職員 議事調査課 総括課長 昆 野 岳 晴 議事管理担当課長 佐 藤 博 晃 主任主査 柴 田 信 主任主査 及 川 雄 也 主査 高 橋 宗 子 主査 堀 合 俊 彦 主査 佐々木 賢一郎 主査 三 浦 訓 史 1説明員 企画理事兼 保健福祉部長 野 原 勝 副部長兼 保健福祉企画室長 加 藤 勝 章 参事兼健康国保課 総括課長 日 向 秀 樹 医療政策室長 吉 田 陽 悦 子ども子育て 支援室長 前 川 貴美子 保健福祉企画室 企画課長 田 内 慎 也 保健福祉企画室 管理課長 千 葉 博 和 地域福祉課 総括課長 草 木 秀 二 指導生保課長 佐 藤 和 子 長寿社会課 総括課長 下 川 知 佳 障がい保健福祉課 総括課長 佐々木 浩 一 医務課長 柴 田 勝 師 地域医療推進課長 菊 地 宏 明 感染症課長 太 田 栄 時 次世代育成課長 齋 藤 晴 紀 医療局長 小 原 重 幸 次長 佐々木 亨 次長 宮 好 和 経営管理課 総括課長 熊 谷 正 信 職員課総括課長 尾 形 健 也 医事企画課 総括課長 鈴 木 清 志 業務支援課 総括課長 青 砥 勝 薬事指導監 菊 池 昌 之 看護指導監 福 島 京 子 医師支援推進室長 竹 澤 智 医師支援推進監 久 慈 一 広 医師支援推進監 高 橋 ゆかり 会計管理者 滝 山 秀 樹 会計課総括課長兼 会計指導監 今 雪 博 貴 監査委員 五 味 克 仁 監査委員 中 野 玲 子 監査委員事務局長 佐々木 真 一 参事兼監査第一課 総括課長 及 川 博 英 監査第二課 総括課長 長谷川 英 治 財政課総括課長 佐 藤 直 樹 〇福井せいじ委員長 これより本日の会議を開きます。 議事に入る前に、本日、世話人会で出されました意見について、皆様にお知らせいたします。 質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと。他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として、短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること。数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は、原則として行わないことという意見がありましたので、ぜひとも、御協力をお願いいたします。 これより議事に入ります。 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。 本日は、保健福祉部及び医療局関係について、延べ21人の質疑を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。 初めに、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 令和5年度の保健福祉部関係の決算について御説明いたします。 初めに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進に向けた当部所管の事務事業に係る取り組み状況等について御説明をいたします。 まず、復興推進関係についてでありますが、被災者に対し、岩手県こころのケアセンター及びいわてこどもケアセンターなどによる支援のほか、生活支援相談員による見守り活動などに取り組んでまいりました。 続いて、政策推進関係でありますが、まず健康・余暇分野では、特定健診などの受診率向上の取り組みを初め、自殺リスクが高い方への支援体制の充実強化、奨学金による医師養成や、即戦力医師の招聘、周産期医療提供体制の強化のほか、生活困窮者の自立支援、介護職員や保育士の育成、確保などに取り組んでまいりました。 次に、家族・子育て分野では、結婚、出産、子育てなどのライフステージに応じた切れ目ない取り組みの総合的な推進のほか、障がい児の療育支援体制の充実などに取り組んでまいりました。 また、安全分野におきましては、新型コロナウイルス感染症に係る検査体制、保健医療体制及びワクチン接種体制の整備や県民への適時適切な情報発信のほか、新興感染症の発生及びまん延を防止するための体制整備などに取り組んでまいりました。 今後におきましても、引き続き、被災者に寄り添った復興施策を推進していくとともに、第2期政策推進プランの重点事項に掲げる自然減対策や新興感染症対策を初め、保健医療福祉施策の充実に努めてまいります。 続きまして、令和5年度保健福祉部関係の決算について御説明いたします。 お手元の令和5年度岩手県歳入歳出決算書の18ページをお開き願います。 当部関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち、1項社会福祉費、3項児童福祉費、4項生活保護費、4款衛生費のうち、1項公衆衛生費、3項保健所費、4項医薬費、22ページに参りまして、11款災害復旧費のうち、6項保健福祉施設災害復旧費、13款諸支出金のうち、1項公営企業貸付金、2項公営企業負担金の一部であり、予算規模の総額は1、679億7、892万円余、これに対する支出済額の総額は、1、498億461万円余であり、令和6年度への繰越額の総額は22億719万円余であります。 続きまして、特別会計について御説明をいたします。 34ページをお開きください。 母子父子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でありますが、予算現額5億4、744万円余に対し、支出済額は3億1、857万円余であります。 国民健康保険特別会計の決算状況でありますが、予算現額1、147億128万円余に対し、支出済額は1、132億3、169万円余であります。 決算の内容につきましては、令和5年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。 以上で保健福祉部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 〇福井せいじ委員長 これより質疑を行います。 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇小西和子委員 私からは、ひとり親家庭等総合相談支援事業についてお伺いいたします。 前置きは省きます。ひとり親家庭等応援サポートセンターの昨年度の相談件数と主な内容等を伺います。 あわせて、今年度直近の相談件数と主な内容と対応状況を伺います。 〇齋藤次世代育成課長 ひとり親家庭等応援サポートセンターの昨年度実績についてでありますが、令和5年度の相談延べ件数は490件でありました。 主な相談内容といたしましては、子育て、教育に関することが69件、生活費、収入に関することが59件、各種制度に関することが88件、就労に関することが63件などとなっております。 今年度の相談件数等についてもお答え申し上げます。令和6年9月末現在の相談延べ件数は341件でありました。主な相談内容といたしましては、各種制度に関することが70件、就労に関することが54件、子育て、教育に関することが45件、生活費、収入に関することが40件などとなっておりました。 相談内容に応じまして、さまざまな関係機関と連携しており、各種制度に関する相談に対しては、各地域の教育委員会や各支援団体に、就労支援が必要なケースについては、ハローワークやひとり親家庭等就業自立支援センターに、子育て、教育に関する相談に対しては、各地域の市町村関係課や社会福祉協議会などに、生活費や収入、借金などお金に関する相談に対しては、生活困窮者自立相談支援機関や本事業で実施しているファイナンシャルプランナーの個別相談に、それぞれつなぐなどの対応をしております。 このほか、丁寧な対応が必要なケースに対しては、随時、相談や傾聴等の対応を行っているところでございます。 〇小西和子委員 着々と件数をふやしている。令和3年度の1、449件はさまざまな問題があったのですから、令和4年の308件、それから、令和5年の490件で、直近で341件ということですから、以前は指標にありました800件に迫るような件数ではないかと思いますし、制度等につながっているという、これは当初の目的でありましたので、目指すところの姿が見えてきたと思っております。 続けます。昨年度と今年度の支援者研修の実施状況を伺います。 〇齋藤次世代育成課長 支援者研修の実施状況についてでありますが、ひとり親家庭等応援サポートセンターでは、地域において、ひとり親家庭等の支援に携わる県市町村、市町村社協、支援団体などの職員及び民生・児童委員などの支援者の対応力向上を目的とした支援者研修を実施しているところです。 令和5年度につきましては、行政や団体の職員などの支援者を対象に、県央、県南、沿岸、県北の各圏域において研修を実施いたしまして、78名に参加いただいたところです。 また、県央地区及び釜石地区の民生・児童委員研修においては、ひとり親家庭支援をテーマに研修を実施したほか、そのほかの圏域に対しても研修に活用できるよう資料の提供を行ったところです。 令和6年度につきましては、行政や団体などの職員などの支援者を対象に、盛岡地区、花巻地区、大船渡地区、久慈地区において、研修を実施する予定としており、現在、関係機関との調整を行っているところです。 民生・児童委員研修につきましても、広域振興局が主催する民生・児童委員等を対象とした研修の開催にあわせて実施することとして、調整を行っております。 〇小西和子委員 研修のほうも着々と成果を上げているということでございます。やっと9圏域にひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設置することができました。今年度の活動状況を伺います。 〇齋藤次世代育成課長 ひとり親家庭等サポートネットワーク会議についてでありますが、各地域において、困難を抱えるひとり親がどの窓口に相談しても、専門機関につながることができる連携体制を構築するため、関係機関で構成するひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設置、開催することとしておりまして、今年度は9圏域全てで開催を予定しております。 令和6年9月末時点で、3圏域において開催いたしておりまして、また、10月には2圏域での開催となっており、その他圏域での開催についても、各広域振興局、保健福祉環境センターと調整を行っているところです。 既に開催した圏域においては、模擬事例検討や意見交換による対応の相談とか、地域の関係機関との間でのひとり親家庭の支援策や課題の共有とか、ひとり親家庭等応援サポートセンターの活動内容の周知とか、いずれにせよ、ひとり親家庭支援のための関係機関同士の連携が図られたところであると認識しております。 地域によって、ひとり親家庭等の支援に当たる人材や団体等が異なる中で、支援を必要とする方が、どの地域においても適切に支援につながることができるように、ひとり親家庭等応援サポートセンターと連携しまして、他地域の取り組みの横展開を図りながら、引き続き、取り組みを進めてまいります。 〇小西和子委員 この事業は、国から2分の1の財源が来ておりますよね。国のスキームは、ワンストップセンターを開設して、スーパーバイザーを設置して、公的支援につなぐということですけれども、なかなかそこまでは達していないというように見ております。 今まであった公的な支援では不足だったことから、この新しいセンターができたわけです。何年たっても目標になかなか達しないのであれば、違った視点とか方法で運営することも必要ではないかと私は考えます。こども基本法も国ではできましたけれども、母親と子供の人権を守るようなセンターであってほしいと思います。 そこで、お伺いいたします。岩手県社会福祉協議会に委託して、ひとり親家庭等応援サポートセンターを開設してから4年経過しました。この計画は、残すところ、来年3月末までということになります。ひとり親家庭等のさまざまな困りごとに対応できる環境を構築しますという目標を、私は達成してないと思っておりますので、この目標を達成するための今後の取り組みについて伺います。 〇齋藤次世代育成課長 まず、スーパーバイザー機能等につきましては、小西和子委員御紹介のとおりでございます。 目標達成に向けた今後の取り組みについてでありますが、ひとり親家庭の相談支援については、平成30年度に実施した岩手県子どもの生活実態調査において、各種の福祉制度や公的相談窓口の利用度や、認知度が低いことが明らかとなったことを受けまして、令和2年度から、ひとり親家庭等応援サポートセンターを設置し、関係機関、団体のネットワーク構築による相談支援体制の構築を進めているところでございます。 本事業のひとり親家庭等サポートネットワーク会議などを通じて、支援にかかわる機関、団体間の情報共有や連携強化を図っているところでございまして、相談内容に応じて、相互に適切な機関へつなぐなどの連携、協力が進んできているものと考えております。 また、今年度においては、ラジオや自治体の広報誌などを活用しまして、サポートセンターについて積極的に周知を図っているほか、LINEの公式アカウントによる相談も開始しており、認知度や相談のしやすさの向上に努めているところでございます。 今後も、9圏域全てにおいてネットワーク会議が設置されたことをもって終わりとするのではなく、当該会議による連携の強化を引き続き進め、相談機能の強化及び情報提供の充実を図りながら、ひとり親家庭等を地域で見守り、支える仕組みづくりに取り組んでまいります。 〇小西和子委員 1年前に保健福祉部長にお伺いしました。他県では、住宅補助、水道代の免除、NHK料金の免除、塾代の免除、社協主催の弁当プレゼント、キャリア支援等の支援があります。岩手県は残念ながらありません。そのあたりのことについて、貧困層にもっと目を向けていただきたいという声がありますし、人口減少対策の誰一人取り残さない取り組みの強化を、私はずっと要望してきました。 実態調査等も行ったわけですけれども、このような状況をきちんと把握した上で、施策に結びつけていただきたいと思うのです。この後でお聞きしますけれども、実態調査をして、悪化しているということがおわかりだと思います。98%の世帯は、家計が悪化していて、食べるものを減らすしかないわけですので、おかゆにしてかさを増したり、親が1日1食にしたりということで、この物価高騰で子供の命を危機に追い込んでいる実態が明らかになってきております。そういう状況を把握した上で、次の施策に結びつけていただきたいと思います。いきなりですみませんが、保健福祉部長お願いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 昨年、平成30年に続いて実施いたしました子どもの生活実態調査などに基づきまして、小西和子委員御指摘のとおり、コロナ禍とか物価高騰などを背景に、ひとり親や子供を取り巻く環境はやはり厳しいものと認識しているところでございます。 先ほど次世代育成課長から答弁申し上げましたとおり、こうしたひとり親家庭や子供の貧困など、そういった個々の状況はさまざまでございますので、一つのところで全て解決できればいいのですけれども、さまざまな福祉関係機関が連携して、共有して、それぞれ個々の課題に応じた支援が必要だと考えております。引き続き、ネットワーク、各圏域の連携協議会などで支援しますとともに、また、今、策定しておりますいわて子どもプランの中に、ひとり親家庭等自立促進計画や子どもの幸せ応援計画なども総合的に盛り込むこととしておりますので、小西和子委員御提言の内容なども十分踏まえて、策定を進めてまいりたいと考えております。 〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。 二つ目です。子どもの居場所ネットワークいわてについてお伺いいたします。 昨年度の子どもの居場所の設置箇所数と内訳、今年度の設置箇所数と内訳についてお伺いいたします。まとめてお聞きします。 今年度の子どもの居場所ネットワークの評価を伺います。 〇齋藤次世代育成課長 子どもの居場所ネットワークいわてについてでありますが、子供の居場所については、令和5年度は26市町村123カ所で取り組まれており、そのうち、食事の提供のみが59カ所、学習支援のみが13カ所、両方を実施しているのが41カ所、その他の居場所が10カ所となっております。 今年度は、令和6年8月末時点で、30市町村、138カ所で取り組まれており、そのうち、食事の提供のみが75カ所、学習支援のみが16カ所、両方を実施しているのが40カ所、その他の居場所が7カ所となっております。 続けて、子どもの居場所ネットワークいわての評価でございますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、子ども食堂や学習支援等を行う子供の居場所の全市町村への拡大を掲げており、令和4年度から子どもの居場所ネットワークいわてに配置しているコーディネーターを1名増員し、食材や支援金等の寄附のマッチング、スタッフの育成やスキルアップのための研修会の開催、参加団体の活動内容や子供の居場所支援に関する普及啓発など、支援の充実を図っているところです。 令和6年度は、子ども食堂の地域の防災拠点における役割などをテーマとした支援者向けの研修会の開催、未設置市町村における新規開設に向けた出前講座の実施などに取り組んでおります。 子供の居場所については、ネットワークを設立した平成30年度末の16市町、30カ所から、令和6年8月末現在では、先ほど申し上げたとおり、30市町村、138カ所と、着実に取り組みが拡大しており、ネットワークによるきめ細かな支援がその成果に貢献しているものと考えております。 〇小西和子委員 あと、3自治体でございます。ぜひぜひ、今年度に達成できることを期待いたします。 最後でございます。子どもの未来応援地域ネットワーク形成支援事業費の増額は、岩手県こどもの幸せ応援計画の次期計画の策定に先立って、昨年度、子供や保護者を対象としたアンケート調査を実施するためでありました。調査結果が出ておりますので、調査結果のポイントと次期計画にどのように反映させるのかお伺いいたします。 〇齋藤次世代育成課長 子どもの生活実態調査のポイントと、次期計画への反映についてでありますが、次期計画の策定に先立って実施した子どもの生活実態アンケート調査については、県内の小学5年生、中学2年生及びその保護者を対象に、令和5年度12月中旬から1月中旬までの1カ月間の回答期間を設け、学校で配布されている端末等を利用したオンライン形式で実施いたしました。回答率は、児童生徒は約57%、保護者は約18%となったところです。 調査のポイントですが、前回調査と比較して、学習の理解の状況については、両親のいる世帯、母子世帯ともに、よく理解できている、または大体理解できていると回答した割合が増加しておりました。また、母親の就労状況については、両親のいる世帯、母子世帯ともに、フルタイム、つまり正規職員と回答した割合が増加しておりました。 一方で、母子父子寡婦福祉資金などの制度を知らないと回答した母子父子世帯の割合は増加しておりました。また、お金の相談や家計管理についての悩みの項目において、悩みがあると回答した割合が、母子世帯においては両親のいる世帯と比べて高くなっており、母子世帯の公的なサービスの有効活用の促進や相談窓口などを柔軟に運用していくことが、重要な課題であると認識しております。 これらの課題を踏まえまして、次期計画の策定に当たっては、保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援の充実とか、教育の支援の確実な実施、そして、ひとり親世帯に対する相談支援の強化とともに、これらの活用を促進するための効果的な周知などの対策について盛り込んでいく予定でございます。 〇小西和子委員 国では、こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律を策定いたしました。さらに広く、深くということでございます。最後に私から申し上げたいことですけれども、子供に直接かかわる一番重要なことは、義務教育における学力格差を解消することだと考えております。 さらには、社会全体として、同情ではなく連帯の力で社会自体を変えていこうという風潮が生まれて初めて、根本的な貧困の解決が目指せるのではないかと考えます。ぜひ、この目標に向かって取り組んでいただければと思います。答弁は結構ですので、この目標に向かって、次期計画を作成していただきたいということを要望して、終わります。 〇城内愛彦委員 県立高等看護学院の卒業生の就職の状況について伺いたいと思います。 県内への就職の状況についてと、傾向がありましたらば、お伺いしたいと思います。 〇柴田医務課長 県立高等看護学院の卒業生の就業状況でございますけれども、県内に3カ所あります県立高等看護学院の令和5年度の卒業者数でございますが、これは、全体で86人でございました。その内訳といたしますと、県内での就業者が63人、それから、県外での就業者が17人、大学などへの進学された方が6人となっております。 就業者80人に占める県内就業率は78.8%となっております。 県立高等看護学院の卒業生の県内就業率自体は、おおむね70%から80%のところに来ておりまして、ほぼ同様の傾向となっております。 ことし、県外に就職された17名につきましては、東北地方に9人、それから、関東地方に8人のいずれも病院に就職された方々ということで伺っているところでございます。 〇城内愛彦委員 少しずつ伸びてきて、いい傾向だと評価するところであります。 過日、宮古市の県立高等看護学院の生徒と、県議会の特別委員会として、意見交換をいたしました。その際に、寮に冷房がなくて環境が劣悪だという話がありました。ぜひ、そういった点の改善もお願いして、なるべく県内に残っていただけるような環境とするよう努めていただきたいと思います。 次に移ります。ナースアクションの実績、課題について伺いたいと思います。 〇柴田医務課長 県では、県内の医療機関とか看護学校などとの連携によりまして、いわてナースアクションと称しまして、県内外に向けて、看護の魅力を情報発信するとともに、学生などを対象にした就職説明会の開催などをいたしまして、看護職員確保に向けたさまざまな取り組みを行っているというところでございます。 こうした取り組みによりまして、県内の就業看護職員数でございますけれども、直近の調査結果である令和4年では、1万8、087人となっておりまして、その前の調査、令和2年の1万7、890人から、着実に増加しているというところでございます。 これに加えまして、県内の看護師養成所卒業者の県内就業率は、近年は6割前後で推移しておりまして、ことしの3月の卒業生では、349名が県内医療機関に就職したところでございます。 一方で、高齢化の進展に伴いまして、看護ニーズの増大を受け、看護職員の需要は2040年度に向けて増加していくものと見込まれておりますことから、看護職員の安定的な確保と定着が重要と考えております。引き続き、関係機関等と連携協力して取り組みを進めていく必要があると考えているところでございます。 〇城内愛彦委員 私は、これまでも、民間の医療機関に対する影響も調査をするべきだという話はしてまいりました。医療資源として大事な人材でありますし、この人材がせっかく岩手県で育てたのに、県外に流出するということのないような体制づくりは必要だと思いますし、その努力が少しずつ実ってきていると思うのですが、今後、県立病院だけがよくなればいいというわけではなく、民間との連携、かかりつけ医制度等もあったりして、民間でも、実は医療資源の看護師が不足をしている、確保が大変だという状況にあるわけであります。そういったことも考えるべきだと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。 〇柴田医務課長 先ほどの直近の調査結果でございます、衛生行政報告例、国の調査でございますけれども、この中で、1万8、087人という数値がございました。これはその前の調査と比較すると、県内全域で197人、1.1%という伸びになっておりますが、これを県の医療局の同じ期間で比較しますと、県の医療局では28人増加で0.9%の増加となっておりまして、医療局の増加率に比べて、介護保険施設とか民間病院を含む全県の増加率が高い状況だということは読み取れるかと思います。あとは、岩手労働局の公表資料によりますと、令和5年度の看護職員の有効求人倍率は1.79倍となっておりまして、全産業の1.22倍よりは高い傾向にありまして、いずれ、看護職員の不足状況にあることは、私どもでも認識をしているというところでございます。 これらの状況の把握についてでございますけれども、国におきまして、来年度の予定は、新たな地域医療構想を踏まえました看護師等の需給推計を実施するということで伺っております。それに伴って、本県においても、改めて、需給推計を行う必要がありますので、この中におきまして、民間の状況についても把握に努めていきたいと考えているところでございます。 〇城内愛彦委員 ぜひ、その点については進めていただきたいと思います。 次に移ります。介護施設の状況ということで、利用者の待機状況はどのようになっているのかお伺いいたします。 〇下川長寿社会課総括課長 介護福祉施設、いわゆる特別養護老人ホームの入所待機者の状況についてでございますが、令和6年7月1日現在における特別養護老人ホームの入所申込者数は3、550人となっておりまして、このうち市町村が早期に入所が必要だと判断した待機者は750人となっております。 〇城内愛彦委員 750人という数字は決して少なくない数字だと私は思っていますし、ただ、施設側とすれば、いろいろな条件、スタッフが確保できないとか、施設の問題とかですね。これが2040年、間もなく来るときに、ピークを過ぎていけば、その施設にだんだん空きが出てくることもあって、経営というもう一方の見方もある中で、なかなかちゅうちょすることもわからないではないですが、今あるこの750人の方々を取り巻く環境、家族も含めてですけれども、やはり大変だという状況だと思います。何とかその辺を解決することも含めて考えてほしいと思うのですが、その対策はどのように考えているのかお伺いしたいと思います。 〇下川長寿社会課総括課長 城内愛彦委員のおっしゃるとおりで、これから入所の申し込みをする待機者の状況等につきましては、人口動態とかそのあたりも見ながら、整備を進めていくべきことだと考えております。 今年度からスタートしております第9期の介護保険事業計画は市町村で策定したわけですが、第9期の計画におきまして、特別養護老人ホームについては、393床開設する見込みとしております。市町村でも、そういった人口の動向とかニーズ等を踏まえて、施設整備等の計画を策定しているところと認識しております。 〇城内愛彦委員 ぜひ、市町村任せではなく、県も主導的に関連をしてかかわっていってほしいと思います。 そこで、施設側の話をお伺いすると、人材の確保が難しいという話があります。なかなか新たな人材が出てこないし、老老介護ではないですけれども、御高齢の方に頑張って介護施設で働いていただいているという状況があるようであります。 そういった状況は県でも捉えていると思うのですが、その充足状況はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。 〇下川長寿社会課総括課長 介護人材の確保の状況、充足の状況等についてでございますが、介護サービス施設事業所調査に基づく厚生労働省の推計によりますと、令和4年度の県内の介護職員数は、2万4、466人となっておりまして、前年度に比べまして100人増加しているところでございます。 また、その一方で、公益財団法人介護労働安定センターが実施しております令和5年度の介護労働実態調査によりますと、本県の65.4%、半数以上の事業所が介護従事者の不足を感じているほか、本年8月の県内の介護職の有効求人倍率ですが、全産業の1.22倍に対しまして、2.15倍となっておりまして、人材不足が顕著な状況にあると認識しております。 〇城内愛彦委員 そういう状況があることは認識しているとすれば、その対策を、県として何とかしてあげたいという気持ちはあるのだろうと思うのですが、具体的なその行動は、県として持ち合わせているのかをお伺いしたいと思います。 〇下川長寿社会課総括課長 県としましては、これまでも、介護人材の確保につきまして、参入の促進、労働環境の整備、処遇の改善、専門性の向上という三つの視点から、総合的に対策を進めているところでございます。先ほど申し上げましたような介護現場の喫緊の状況というところも十分に認識しておりまして、関係団体等からも、そういった声は聞いているところでございます。 県としましては、介護人材の魅力発信に向けた動画の作成とか、市町村や関係団体が実施するそういった魅力発信等の取り組みへの補助なども行っているところでございます。 また、労働環境の整備の部分につきましては、例えば介護ロボットやICTの導入などを進める事業所に対する支援なども行っております。これまでのように、これ一つをやると効果的というのはなかなか難しいものでございますので、そういったところを総合的に進めてまいりたいと考えております。 〇城内愛彦委員 前段でもお伺いしましたけれども、介護施設に看護師資格を持った方々もなかなか確保できないという話もあります。ぜひ、そういったことを、保健福祉部として一体とした考え方の中で対応してもらいたいと思うのです。 そうしていかないと、先ほどお話ありました750人の待機、これから当面の間、私はますますふえていくと考えていますし、そういう方々の御家族はとても大変だというところであります。安心して暮らせる岩手県をつくってもらうためにも、こういった機能を充実させるのは必要だと思うのですが、保健福祉部長いかがでしょうか。お伺いして、終わりたいと思いますので、いい答弁を期待します。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 高齢者自体の人口は、地域によっては今後減ってくるのですが、いわゆる団塊の世代の方々が今75歳になって、85歳とか90歳の方々が、今、介護施設に入所されて、待機の方もおられます。特に県央部を中心に、待機者の問題はまだまだ継続すると考えております。 長寿社会課総括課長から答弁申し上げましたとおり、市町村、また県の介護保険事業支援計画の中で、計画的に整備を進めているところではあるのですけれども、こういった施設の整備のほか、人材の確保が今後一番の課題でございますので、さまざまな介護人材の確保、育成の取り組みを、これも関係機関と連携をしながら、あわせてきちんと実施をしながら、今後におきましても、待機者の解消、また、高齢者の方々が安心して施設入所やサービスを利用できる環境整備に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。 〇中平均委員 私からは、ドクターヘリについてお伺いしてまいります。 令和5年、運航実績は全県で359回と資料をいただいておりました。久慈地域は70件、そのうち岩手県42件、青森県28件の運航実績とお伺いしておりますけれども、確認です。まず最初に、費用の実績、そして、国からだと前も聞いたような記憶がありますが、財源についてお伺いしたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 令和5年度のドクターヘリの運航費用についてでありますが、ドクターヘリの運航は、岩手医科大学附属病院が主体となって実施しておりますが、その運航に係る経費は3億1、178万円余となっており、県はその運航に係る経費に対して、3億201万9、000円を補助しております。 なお、県からの補助金の財源につきましては、国の医療提供体制推進事業費補助金を活用し、2分の1を国が負担しているほか、残りの県負担2分の1についても、普通交付税で措置されているため、実質、県の負担はないものであります。 〇中平均委員 そういうことは、岩手県としては実質負担がないということで、恐らく、これは他県でも同じなのかと思います。青森県であったり、秋田県であったり、全国どこでもドクターヘリを配置していると思うのですが、どの県でも、基本的には自己負担がない中で運航しているのかと思いますが、久慈市は県北地域、県境ということもあって、岩手県のドクターヘリ、そして青森県八戸市から飛んでくるドクターヘリと、二つの県から来ているのですけれども、その中において、久慈市等の要望からすると、久慈市で八戸市に直接お願いしたいという話もありますが、そういった点を踏まえて、保健福祉部として、久慈地域において、運航元が岩手県、青森県と二つになっている、この理由等をどのように今捉えているのかということをお伺いしたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 久慈地域のドクターヘリ運航についてでありますが、青森県、岩手県、秋田県の北東北三県におきまして、ドクターヘリの広域連携に係る協定を締結しており、自県ヘリの要請を基本としつつ、多数の傷病者が発生した場合、気象条件により自県ヘリが対応できない場合、自県ヘリの搭乗医師が判断した場合などに、他県ヘリを要請できる運用を行っております。そうしたことから、久慈地域におけます令和5年度の出動件数は、岩手県ヘリが42件、八戸市ヘリが28件の計70件となっているところでございます。 〇中平均委員 県で、当然行政の範囲でなっていることからだと思うのですね。岩手県は、ドクターヘリは1機ですね。青森県は津軽地域と南部地域で1機ずつの2機ですね。秋田県は1機でしたか。そういった中で、大規模災害とかいろいろな傷病者の関係で、ドクターヘリの弾力的な運用という中で、今はこうなっているということだと思うのです。 そういう中で、岩手県内で他圏域から飛んでくるというところは、多分、久慈圏域が一番多いのだろうと思うのです。例えば県南地域とかは、例えば宮城県のヘリなり、あとは、盛岡市より北の地域とか、花巻市、北上市は、基本的には岩手医科大学附属病院のヘリで十分近いところですから、そういう県境地域とかでも、久慈市みたいに飛んだりしているものなのでしょうか。 〇菊地地域医療推進課長 県境付近でヘリが飛んでいるということでありますけれども、先ほども御答弁しましたとおり、北東北三県で広域の運用をしておりますので、他県に行ってということもありますし、他県から来ていただくこともあるというところでございます。 〇中平均委員 この会議中でなくていいですので、後で教えていただければと思います。そのうち直接聞きにお伺いします。 なぜこういうことを聞くかというと、久慈市、県北地域においては、次の医療局でも質疑しようと思っているのですが、緊急搬送になると、今は県立久慈病院ではなくて、八戸市に搬送されていくことも結構出てきております。診療科が変更になって、いわゆる機能分化、連携強化という観点から言って、そういうことが出てきているということです。 そういった中において、どうしても県境を挟んでいるので、医療的なところをどこまでが、県内であればこのブロック単位であったり、医療圏の単位をきちんと設定しているのでしょうけれども、そういったところを考えていくときに、今の医療圏域で言うと、産科で言えば、久慈市、二戸市合わせてのこの広い中ですよね。前回も、各委員から質問がありましたけれども、奥州市、一関市、北上市くらいまで入る以上の広さが久慈市、二戸圏域にはもうある中で、病院は県立病院に頼らざるを得ないという状況です。これは、本当は医療局審査において聞かなければいけないことなので、前段ですけれども、そういった中で、ドクターヘリをどのように運用して対応していくかというのも、また、大きな課題で、地域から県への要望として、直接八戸市に要請できるようにならないかという意見も毎回出てきているというところであります。それが、現在できない理由というか、もしくは、やらなくても大丈夫だという理由があるのか、どちらかだと思うのですが、その点をお聞かせいただければと思います。 〇菊地地域医療推進課長 久慈市からの要望の対応についてでありますけれども、現時点では、先ほど申し上げたような、広域連携運航を実施しているところでありますけれども、ドクターヘリの運航に当たりましては、患者の状態のほか、救急隊や、ヘリがランデブーポイントという着陸するために準備を行う地上支援隊という方々もいらっしゃいまして、そういった方々とか救急隊が、到着予定時刻も考慮しなければいけないというところがあります。青森県からヘリが飛ぶ場合でも、必ずしも初動開始が早くなるというわけではないということですので、そういったことも検討すべき課題と捉えております。 こうしたことから、これまでも、久慈市を含めた県北地域の市町村担当者、消防本部と意見交換を行ってきたところでありますが、今後におきましても、引き続き、より効果的な運用の実現に向けて、関係者と検討を進めてまいります。 〇中平均委員 地域、地域で、お互い感情的になることなく進めていかなければならないことなのだと思います。住んでいる私たちにしてみれば、八戸市のほうが近いのではないかというのも当然出てきますし、でも、実際の運用としては、そうとばかりも言えないのだよというのが、今のお話でもありますので、そこが地域にきちんと伝わっていかないと、いつまでたっても、県は費用を払いたくないから、八戸市に払いたくないから言っているのではないかという話なのですけれども、最初の質問で聞いたとおり、費用は国から来るわけですから、別にどちらのヘリを使っても、ある意味、岩手県の負担がふえるわけでも減るわけでもないということなのですよね、多分。 恐らく八戸市から飛んできても、岩手医科大学附属病院から飛んできても、費用負担的には、岩手県が出す額がふえるわけでないのであって、その上で、今お話あったように、さまざまな条件が重なると決して近いところから飛んでくるから早く対応できるわけではないという事態もあるという説明でしたので、それがきちんと地域に伝わっていかないと、県と自治体とのそごがいつまでも埋められないみたいなこともあるのだと思います。 この話をして、今度、地元に戻ってしゃべると、いやいや、違うという話も出てくるのかもしれませんけれども、そこも含めて、また、いろいろ意見交換しながら、この地域の医療の体制をよりよい形に持っていきたいと思います。保健福祉部もそう思っていると思うのですが、その辺のそごがない、これからの進め方等をどういうふうにしていくのかをお伺いして、終わりたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 先ほど御答弁したとおりでありますけれども、中平均委員が御指摘のとおり、地域にしっかりと説明しながら、よりよい方向に持っていくことが大事だと考えておりますので、今後も、地域の方々と、より丁寧にこちらのほうも説明しながら、いい運用になるように、進めてまいりたいと考えております。 〇飯澤匡委員 二つありますが、まず最初に、県が救急に関する相談ダイヤルを来年から設置する予定だという新聞記事が出ました。これは♯7119ということで、けがや体調不良で救急車を呼ぶのを迷ったときに利用する電話相談サービスということで、既に東北三県を含む25都府県が全域で導入しているということでございます。来年度からということですので、その準備状況等について質問をさせていただきたいと思います。 まず現状把握として、全国と本県の救急搬送に占める軽症件数の割合の推移を示していただきたいと思います。令和2年、令和3年、令和4年、全国と岩手県について示していただきたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 全国と本県の救急搬送に占める軽症件数の割合の推移についてでありますけれども、本県の救急搬送件数は、令和4年に5万件を超え、年々増加しておりまして、このうち入院を要しない軽症件数の割合につきましては、本県では、令和2年が39.8%、令和3年が40.4%、令和4年が42.1%、全国では、令和2年が45.6%、令和3年が44.8%、令和4年が47.3%と、おおむね同様の傾向となっているところであります。 また、県立病院におけます令和4年度の救急車以外のウォークインを含みます救急医療対応件数に占めます軽症割合は約7割となっております。 こうした実態を踏まえまして、救急現場や医療機関における負担を軽減するため、本県におきましても、♯7119の導入の検討を進めているところでございます。 〇飯澤匡委員 今の数字を見て、予想より大変大きな数字だなという感想でございます。 既に全国で先駆けて行っている都府県の動向について、その効果などはどういうように参考として検証したのか教えていただきたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 先行している自治体における効果につきましてですけれども、まず、東京都におきましては、事業導入前の平成18年と導入後の令和4年を比較しまして、救急出動件数に占めます軽症割合が7%減少しているほか、札幌市の病院では、事業導入後、時間外受付が8.1%減少したという事例を確認しております。 また、東北地域におけます♯7119を先行して導入している自治体にも聞き取りをしておりますけれども、全ての県で、相談件数に占める救急車を要しない利用者の割合が8割程度となっているということを確認しております。 〇飯澤匡委員 そのような大きな効果が期待されるのであれば、来年は本格的に運用されたほうがよろしいのではないかと思います。 そこで、事業の運営体制と、事業の導入に係る財源確保についてお知らせをいただきたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 まず、事業の運営体制についてでありますが、本年7月時点で、事業を実施しております全国30団体のうち、直営でコールセンターを設置しております東京都を除く29団体において、民間コールセンターに委託しているところでありまして、本県におきましても、こうした全国の事例を参考に検討をしてまいります。 それから、事業導入に係る財源確保につきましては、まず、事業費の2分の1が、国の特別交付税措置の対象となるものでございます。また、仮に県と市町村が共同で運営する場合については、県と市町村それぞれ特別交付税措置が適用されるものでございます。 〇飯澤匡委員 民間のコールセンターということですが、これは全国でいろいろなコールセンターの会社があり、自前でというのは、岩手県ではなかなかないのですが、そうすると、東北地域で導入しているそういう民間の会社というようなことになるのでしょうか。まだ決まってないということでしょうけれども、想定されるとしたら、どういう方向性なのか示していただきたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 民間のコールセンターですけれども、♯7119の事業を行っている民間の事業者は、全国でも複数ございます。東北地域にそういう会社があるかどうかは、確認できておりませんけれども、複数ございまして、ほとんどの自治体が委託して行っているということですので、そういったところも参考にしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。 〇飯澤匡委員 この相談を受けるときには、看護師であるとかそういう専門知識のある方が張りついてなければならないと思うのですが、そこのところはどのような計画なのか、教えてください。 〇菊地地域医療推進課長 民間のコールセンターの体制ですけれども、こちらのほうは、飯澤匡委員御指摘のように、看護師とかそういった専門の方々が対応いたします。場合によっては、医師などに確認をしながら、その相談される方々にどういう処置をすればいいのかというところを指示するというような形になりますので、いろいろ複数の事業所があると言いましたけれども、どの事業所もそういった形でやっていると承知しております。 〇飯澤匡委員 事前にヒアリングした段階では、その時間帯によって、何時から何時までだとか、夜中まで対応するかによってお金のかかり方が違うというようなことで、これから検討されると思いますが、県内自治体とのヒアリング、地域によってはさまざまな症例等、傾向があると思いますが、ここら辺のヒアリングの状況等について、どういう状況にあるのか。もし、やっているのだったら、教えてください。 〇菊地地域医療推進課長 県内自治体との意見交換というところも、各市町村との意見交換もやらせていただきながら、この導入につきましては、どういった効果があるとかそういったところも含めて意見交換などをしているところでございます。 その中で、市町村とか消防からは、♯7119の事業については必要だと、おおむねそういった話を聞いているところでございます。 〇飯澤匡委員 これから、導入に向けて最も大事なのは、県民への周知だと思うのです。その方法について、どういう考え方で進めようとしているのか。 それから、本格的な導入については、大体いつぐらいをめどとしているのか教えていただきたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 まず、県民への周知方法でございますけれども、飯澤匡委員御指摘のとおり、県民への周知につきましては、事業効果を上げるために特に重要であると考えております。そのため、ポスターの掲示とか、あるいは県市町村の広報誌のほか、新聞、テレビ、SNSなど、さまざまな媒体を活用して、効果が期待できる周知方法といったことを検討してまいりたいと考えております。 また、本格的な導入時期についてでございますが、昨年度、岩手県救急業務高度化推進協議会におきまして、医師、看護師及び救急救命士を委員とします専門部会を設置いたしまして、♯7119の導入に向けた検討を進めてきたところであります。 この専門部会では、♯7119が導入されることで、急なけがや急病の際にも適切な助言が得られ、県民の安心につながることや、消防や医療機関への負担軽減が期待できることから、本県においても導入すべきとの意見をいただいているところでありまして、引き続き、県としても早期に導入できるよう、検討を進めてまいります。 〇飯澤匡委員 来年導入するということですので、これは予算措置が必要なわけですよね。ただいまの答弁の中にもありましたように、相当の効果があらわれるということですから、ぜひ、これは実現をするように、財政課総括課長にも、きょうは答弁は求めませんから、よろしくお願いしたいと思います。 田内企画課長にも何か聞こうかと思ったけれども、きょうはやめておきます。 この点について、当部の意気込みなどを保健福祉部長にお聞きしたいと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 先ほど地域医療推進課長からも御答弁申し上げましたとおり、救急搬送が年々ふえておりまして、特に高齢者中心に、今後もすごく増加が見込まれます。 また、医療機関、消防機関にとっても、かなり負担になってきているという状況で、この♯7119の導入はまさに必須だと考えております。これは、昨年度策定した岩手県保健医療計画の中にも、♯7119の導入については盛り込ませていただいているところであり、これは速やかな導入に向けまして、今、検討を進めているところであります。来年度かどうかというところは、まだちょっと申し上げられないところではあるのですけれども、速やかな導入に向けて、引き続き努力してまいりたいと考えております。 〇飯澤匡委員 両磐保健医療圏の地域医療を守る懇談会などでも、これが話題になっておりまして、医師の負担軽減等について、全く別の方面から、これはやるべきだという声も上がっておりますので、ぜひとも、早期の導入を目指していただきたいと思います。 次の質問ですが、医師確保、招聘についてお伺いします。奨学金養成医師及び医師招聘による県内従事者数が、現状値、令和3年で187人、そして、年度目標値、令和5年が266人に対して実績が231人で、達成度Dとなっております。 医師をふやしているわけですが、実績が上がっていると言っていますが、県内の従事者数がなかなか伸びない状況だと、これは困るわけですよね。達成できない要因、今後の対応策について伺います。 〇竹澤医師支援推進室長 いわて県民計画(2019〜2028)におきます奨学金養成医師の配置と即戦力医師の招聘でございますけれども、令和5年度の目標値は266人でございました。これに対して、令和5年度の実績でございますが、奨学金養成医師が、目標値226人に対しまして、県内従事者数が202人、即戦力医師につきましては40人の目標に対して29人、合わせて231人となり、目標を下回ったものでございます。 この理由でございますけれども、奨学金養成医師につきましては、県外で、例えば宮城県とか東京都とかそういったところで専門研修を行っている医師の方々がいらっしゃいます。そういった医師の方々が一定数いたことによりまして、目標値を下回ったものでございます。 一方で、こういった県外で研修を終えられた医師の方々は、その研修終了後には県内で義務履行を行っていただくことになりますので、将来的にはふえていくものと考えております。 次に、即戦力医師の招聘でございますけれども、医師の方々との勤務条件がなかなか合わなかったこともございますし、この間のコロナ禍により、対面での招聘活動が難しかったということもございまして、目標を下回ったものでございます。 いずれにいたしましても、本県において、医師確保は重要な課題であると認識しております。奨学金養成医師につきましては、計画的な配置。招聘活動につきましては、関係大学への訪問、また、岩手県出身で県外で活躍されていらっしゃる医師の方々がたくさんいらっしゃいます。そういった方々とのつながりを生かして、招聘活動に力を入れていきたいと考えております。 〇飯澤匡委員 10月11日の読売新聞で、厚生労働省が2026年度から医師が多い都市部の病院に採用された臨床研修医が、医師が少ない地方で一定期間働く仕組みを導入する方針を決めたという記事が出ておりました。 2026年ですから再来年になるわけです。このような仕組みが、現在どのような情報で都市部に集中することの是正を緩和するということで、地方でも勤務できるような体制づくりを厚生労働省も考えているということですが、現状、もう既に情報は入っていると思いますが、どういう方針で積極的に進もうとしているのか。最後、保健福祉部長に聞いて、終わります。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 今、厚生労働省中心に、全国的な医師の偏在、診療科も含めた偏在対策について議論が進められて、年内にこの方針などを示されると聞いております。 その中に、飯澤匡委員から御紹介いただきました、医師少数区域での一定期間の勤務といったような研修期間ということ、また、管理者要件といいまして、地域医療支援病院とか、地域の病院等の管理者の要件、地方での勤務を一定程度とした場合に、院長になれるというような条件の拡大といったようなことも、今、議論されていると認識しております。 こうしたことに対応するため、岩手県は医師少数県ですので、医師多数県から研修医の先生方を受け入れる体制をきちんと整えなくてはならないと考えておりますので、そうした体制の構築、あわせて、都道府県間の偏在解消には、国の関与が必要でございますので、根本的な医師偏在対策について、引き続き、国に対して具体的な提言を行ってまいりたいと考えております。 〇軽石義則委員 私からは1点、岩手県難病相談支援センターについて、質問させていただきます。 県内では1万人前後の難病の患者が推移しておりますけれども、そういう中にあって、このセンターを設置して、相談、支援を継続してやっていただいているわけです。今、ふれあいランド岩手の中にこのセンターは設置されていますが、どういう経過でこの場所に設置されたのかというのを、今回は再確認したいと思いますし、これまで、このセンターを設置して、取り組みをしていただいていますが、どのような取り組み状況であったか。具体的な相談支援件数などもあれば、お示しを願いたいと思いますし、これまでの取り組みの成果、そして、課題として持っているものがあれば、お示しを願います。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 まず、難病相談支援センターの設置の経緯等についてでございますけれども、本県では、それまで実施してきておりました難病相談110番事業を拡充させる形で、平成15年11月にふれあいランド岩手に設置をしたところでございます。 また、平成27年に施行されました難病の患者に対する医療等に関する法律、いわゆる難病法と言われるものでございますけれども、この法律の中におきまして、難病の患者等の療養生活の質の向上を支援することを目的とする施設が設置できるとされたことから、難病相談110番を設置しておりましたふれあいランド岩手におきまして、現在まで設置をしてきたというところでございます。 次に、取り組み状況につきましては、相談員を配置いたしまして、来所のほか、電話やメール、FAXなどによる相談を受け付けております。令和5年度の相談件数は2、584件となっております。このほか、出張研修会、説明会の開催、それから、地域交流会支援などを実施しておりまして、難病患者の支援に当たっているところでございます。 現在、指定難病が341疾患となっておりますので、多様な症状を持つ難病患者への対応や、難病制度の改正に的確に対応できるよう、引き続き、相談員の確保、それから、資質の向上に努める必要があると考えております。 〇軽石義則委員 支援員の皆さんも一生懸命やっているのは当然御存じのとおりだと思いますし、難病の皆さんも、家族を含めて、時代の推移といいますか、背景によって、課題がそれぞれ変わってきております。支援の方法も変化してきているような状況でありますけれども、一番大事なのは、それを支援していただける体制ではないかと思っております。現在は設置基準に基づいて配置をされていると思うのですが、現状、どのような状況になっているのでしょうか。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 センターの職員体制につきましては、国の要綱に基づきまして、管理者1名のほか、相談支援員2名、就労支援担当職員1名を配置しております。相談支援員のうち1名は、看護師資格を有する方を配置している状況にあります。 〇軽石義則委員 本来であれば、事業主体は県ということになると思いますけれども、それを委託しているわけですので、当然、連携はしっかりとっていただいていると思います。計画の作成及び事業の評価なども関与することになっているはずですし、相談の取り組み状況について、解決ができない課題を、県としてどう支援していくかということもあると思うのですが、どのような事業者との連携を図られているのか、お示し願います。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 受託事業者との連携につきましてですが、県では、受託事業者であります一般社団法人岩手県難病疾病団体連絡協議会、いわゆる難病連という名称でお呼びしておりますけれども、毎年度開催いたしております懇談会等におきまして、難病相談支援センターの事業等について、意見交換を行っているところでございます。 また、医療費助成の受給者証は毎年度更新されますけれども、この交付時に、難病相談支援センターが県内各地で開催いたします難病患者の交流会、相談会の開催案内を同封し、事業の周知に努めているという状況もあります。さらに、各保健所が開催いたします講演会や患者交流会等に難病相談支援センターの職員の方々にも参画をいただきまして、情報交換、それから、連携に努めているところでございます。 〇軽石義則委員 先般、地元紙にも、難病相談支援員である根田さんのインタビュー記事が特集として組まれていて、このような支援員の皆さんが見えないところでしっかり支えていただいているからこそ、事業が成り立っているのではないかと思っておりますし、そういう部分では、支援員の役割の重要性はより高まってきていると思うのです。 ただ、支援員の皆さんも、年齢的なものもありますし、事業を継続する上では、人材育成をしっかりとしていくことが私はポイントだと思っていまして、人材育成をするためには、受託者が責任を持ってやるというのでは、限界があると思っています。 それを、事業主体であるべき県がそのことも含めて支えていかなければならないと思っているのですが、その部分についてはどのように取り組んでいるのでしょうか。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 相談員等の人材育成についてでございますけれども、県では、事業委託経費の中に、相談員の方々が研修に参加したり、あるいはスキルアップのための事業等を行うための経費につきまして計上をしているところでございます。 今、軽石義則委員から御紹介があったとおり、職員も高齢化してきておりまして、後継者の確保、それから、育成も重要だと、要望の中でもお伺いしているところでございます。 県といたしましては、国主催の研修への参加、それから、先ほど申し上げたとおり、人材育成等に努めてきたところではございますけれども、例えば、後任の方を探すという場合につきましては、よくお話をお伺いし、県として、できる最大限の協力をさせていただきたいと考えております。 〇軽石義則委員 人材を育てることに加えて、人選する段階から、県でしっかり後ろ支えしていただくことが、私は大事だと思っています。今、一生懸命やっていただいている方も、限界がどうしても来ると思いますので、そのときでは遅いと思うのです。できれば、今、一生懸命やっていただいている支援員さんと一緒に、仕事をしながら引き継いでいくという形にしていかなければ、私はつながっていかないと思うのですが、その部分についてはどうでしょうか。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 相談員の方々のこれまでに培ってきました経験やスキルを次の方々に引き継いでいくことは、非常に重要な観点だと考えております。どのような時期に、どのような形でということにつきましては、受託団体であります難病連等とよく協議をいたしまして、どういう方法をとれるか、これから協議をさせていただきたいと考えております。 〇軽石義則委員 根田さんのように、県立病院を退職して、その経験を生かして今の仕事をしていただいているというのが、私は大事だと思っています。そういう意味では、まさに資格がなければできないところ、そして、具体的に難病に携わってきた方が、その支援を継続してできるような体制は、私は必要ではないかと思っているので、その部分も、ぜひ、県としてしっかり後ろ支えをしていただければ、難病の皆さんも、安心して相談することができますし、自分たちも自立しようとしているので、その自立をいかに支援していくかというのも大事な事業ですから、そのことを含めて、今後も継続してやっていただきたいと思います。 今後、難病相談支援センターの機能をさらに充実していかなければならないと私は思っています。平成15年に、難病相談110番を難病相談支援センターに移行しましたが、今の場所が本当に適切かどうかという部分についてはどうお考えでしょうか。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 難病相談支援センターの設置場所でありますふれあいランド岩手でございますけれども、ふれあいランド岩手自体は、各障がい者団体、難病団体の方々が、地域交流室に入居しておりまして、さまざまな意見交換であったり、情報交換をできる場としてはふさわしいものとまずは考えております。 狭隘であるというお話はずっとお伺いをしているところではございますけれども、受託事業者である難病連と協議をいたしまして、特別に個別相談スペースを確保するなど、団体交流室に入居している他の団体と比べまして、最大限の配慮をしていると認識しているところでございます。 今後、そのスペースでいいのかどうかということにつきましては、継続して御意見を伺っていきたいと考えておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、意見交換であったり、あるいはそのふれあいランド岩手のさまざまなスペースを使えるというメリットもございますので、そういう点も含めて検討を進めていきたいと考えております。 〇軽石義則委員 団体とも協議をしているとは言っても、難病連からの要望において、現在のセンターのスペースの課題については、ずっと訴えられてきているのです。 私も、ふれあいランド岩手によく行っています。センターの中では相談はできませんけれども、違う場所はあるとの答弁でありますけれども、相談以外の事業もしていて、いろいろな資料も置いてあるわけです。そういうところでプライバシーを確保しながら、相談できることが大事だと思いますし、場所が離れることによって、電話のつなぎを適切に行うとか、相談者がわざわざ来たのに相談員がいなかったということがないようにしていただきたい。相談員は、県内を巡回しているわけですから。 そうなると、会っても、何か役に立っているかどうかというのは疑問のところもあります。これまでも、その要望の回答は、今、健康国保課総括課長がお話ししたように、最大限の配慮をしているというのは、あのスペースの中では最大限の配慮だと思いますけれども、北海道のように、センターを独立してつくることを望んではいますが、今の段階ではなかなか厳しいと思いますし、まさに難病の皆さんは、医療機関に近いところで相談に乗っていただいたり、病院とのかかわりをどうしていくかという部分も、立地条件によって、大きく違ってくると思うのです。 今後、そういう意味では、今のセンター機能を充実することだけではなくて、そういう医療機関と連携する、場所も近いところということも考えていかなければならないと思います。ふれあいランド岩手も30周年を迎えて、丁寧に使用していただいているようですが、毎年のように、多額の修繕費をかけて維持していることを含めていくと、これから福祉総合センターも移設されることになっているのですが、本来であれば、そういうところに一緒に入っていたほうが、いろいろな他の福祉相談との連携もあると思います。今からそれを考えられるかどうかは別にして、そういうことも含めて、今後、考える時期に来ているのではないかと思うのですが、ふれあいランド岩手の30年以降の考え方、そして、難病相談支援センターを今後どう運営していくかと、立地場所も含めて、考え方があれば、お聞きしたいと思います。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 難病相談支援センターの設置場所につきましては、今、軽石義則委員から御紹介あったとおり、例えば医療機関に隣接する場所という考え方も一つあるかと思います。相談内容を見させていただきますと、例えば令和5年度で、最も相談として多かった分類は、難病団体の方々からの相談、その次が日常生活の相談となっているようです。医療機関に隣接することで、医療の面での安心感はあるかと思いますけれども、こういう相談内容を確認しますと、それよりは、日常生活であったり、あるいは団体の運営の仕方等の相談が多いこともありますので、こういう点も踏まえて、場所につきましては、検討を進めていきたいと考えております。 それから、ふれあいランド岩手そのものにまだ置くのかという点につきましては、先ほども御答弁したとおり、団体等の連携もありますし、あるいは来所される方々の移動の御負担等もあるかと思いますので、総合的に勘案しながら、検討を進めていきたいと考えております。 〇軽石義則委員 総合的に勘案して、長年来ておりますので、結果として実感できるような対策を、難病患者の皆さん、家族も含めて示すようにしていただければと思いますし、それが生きる力になってきているのも現実です。保健福祉部長、この点について、早期に検討していただくように、ぜひお願いできないでしょうか。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 軽石義則委員から御紹介いただいたとおり、難病連から、支援員の育成とか、そもそものセンターの相談するスペースの問題は、もう長年、御相談、御協議いただいている課題だと認識しております。 先ほど健康国保課総括課長から御答弁申し上げましたとおり、ふれあいランド岩手にいることもメリットの一つでございますので、そういったことも勘案しながら、団体ともきちんと協議を重ねながら、今後のあり方について、検討を進めていきたいと考えております。 〇神崎浩之委員 この夏、私の同級生が亡くなりました。両親が他界して、子供もいない方であり、孤独死ということで、死亡届や火葬に関する手続、遺体の受け取り、財産管理等、法的手続で、何回も市役所や家庭裁判所などに通って、さまざま苦労しました。今、人口減少ということで、少子化がうたわれておりますけれども、人口減少というのは、家族介護にも大きな影響があるのだと感じたところであります。 そこで、高齢者、障がい者の権利擁護と成年後見制度の利用促進について伺ってまいります。 まず、成年後見制度の県内の利用状況でありますが、これは、認知症の高齢者であったり、障がい者でも、精神障がい、知的障がいという判断能力が弱い方を対象とした制度です。この成年後見制度について、任意後見、法定後見の利用状況についてお伺いしたいと思います。 〇草木地域福祉課総括課長 成年後見制度の利用状況についてですが、神崎浩之委員御指摘のとおり、成年後見制度は、認知症、知的障がい、精神障がいなどを理由に一人で決めることが心配な方々を対象として、後見人などが財産管理や地域での日常生活を支える制度であり、県内における制度利用者は、令和5年10月末現在で、2、149名となっております。 その内訳としましては、盛岡家庭裁判所によりますと、家庭裁判所によって選任される法定後見制度を利用されている方が2、137名、また、あらかじめ御本人が、みずからが選んだ方と契約しておく任意後見制度を利用されている方が12名となっております。 〇神崎浩之委員 岩手県は広いということで、高齢者、障がい者等の成年後見制度の利用の想定人数は、これは障がい者の数ではなくて、家族でできればいいわけなので、捉え方がなかなか難しいと思いますが、県における、今後の成年後見制度の利用想定人数について伺いたいと思います。 〇草木地域福祉課総括課長 高齢者、障がい者の成年後見制度の利用想定人数についてでありますが、認知症高齢者等の人数については、県が行った認知症高齢者等の日常生活自立度調査によりますと、令和5年3月末時点で5万121人となっております。 また、知的障がいを有する方々の人数は、県の療育手帳交付台帳登載数によりますと、令和6年3月末現在で1万2、621人、さらに、精神障がいを有する方の人数は、県の精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数によりますと、令和6年3月末現在で1万3、870人となっておりまして、これらの方々を合計しますと7万6、000人となります。神崎浩之委員御指摘のとおり、成年後見制度を必要とする方は、判断能力が不十分な単身世帯の方など、日常生活を支える方が身近にいない方となります。その概数としましては、7万6、000人となっておりますが、具体な人数については把握しておりません。 〇神崎浩之委員 あるデータでは、32.7%で計算しているというデータもあります。七万何がしもあるのですけれども、それに対応する市町村の権利擁護センターなり、成年後見センターなりの開設状況について、それから、今、国では、中核機関を設置しようということなのですが、それらの設置状況についてお伺いいたします。 〇草木地域福祉課総括課長 岩手県では、令和6年10月1日現在、全ての市町村において、権利擁護センター、いわゆる中核機関が設置されておりまして、市町村関係部局と連携して、相談対応や利用促進に取り組んでいるところでございます。 〇神崎浩之委員 県内全市町村というか、エリアでやっと設置ができたということで、まずは喜んでおります。 一方、この仕事は非常に大変であります。権利擁護センターの設置も重要ですが、人材の育成、確保をどうやっていくのかということに非常に課題があると思っております。弁護士であったり、司法書士であったり、社会福祉士であったり、さまざまな職種が想定されて、家庭裁判所から任命されるということでありますけれども、これらの課題について、保健福祉部長にお伺いします。今言った人材の育成について、権利擁護センターはできたけれども、市町村の職員が担っていたりはするわけで、実際に後見人となる人材の育成、確保、それから、親族の申し立てだとか、首長の申し立てだとか、それから、市民後見人、法人後見人とか、さまざまな複雑な課題が多く残っていると思っております。それらも含めて、権利擁護センター設置後の課題と対応についてお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 成年後見制度につきましては、全国平均にはまだまだ至っていなくて、利用状況はまだまだ低いと考えております。神崎浩之委員御指摘のとおり、体制は市町村にできたのですけれども、それを担う人材については、担い手の確保が必要だと考えておりまして、市民後見人や法人後見人の育成支援が必要と考えております。 このため、県としても、市民後見人の育成や、法人後見団体の活動支援など、成年後見制度の担い手育成のために、市町村支援に取り組んでいきたいと考えております。 〇神崎浩之委員 いずれ、本当は利用すべき対象者がいっぱいいるのですけれども、何とかやっているということもあります。財産のこととか、身上監護で、老人ホームに入るとか、病院に入るとか、この判断を実は何の法的根拠もなくやっている現状もありますので、今後、家族からさまざまな問題が提起されていっても、対応できるような体制をつくっていただきたいと思います。 次に、震災の心のケア事業についてお伺いいたします。 6月定例会の一般質問でも取り上げさせていただきました。確かに心のケア事業は重要で、今後も続いていくわけでありますけれども、東日本大震災津波から13年たって、今の岩手県の心のケアの体制でいいのかどうかということを問題提起させていただきました。 この震災の関係も、国が、令和8年度から見直していくということもあるのですが、現在の心のケア事業について、事業予算と事業内容と実施体制についてお伺いをいたします。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 心のケア事業でございますが、令和5年度の事業予算決算額で申しますと3億6、800万円余となっております。 事業内容ですが、これまでの取り組みを継続し、震災こころの相談室を沿岸7市町村に開設し、精神科医など専門職による相談対応を行うとともに、要支援者の早期発見、早期対応のため、市町村が行う特定検診や保健事業への参画、市町村保健師など地域支援者への技術支援、地域住民向けの健康教室など、普及啓発等に取り組んだところであります。 実施体制ですが、岩手医科大学に設置する岩手県こころのケアセンターを中心に、沿岸地域4カ所の地域こころのケアセンターを拠点として、専門的ケアを実施しており、職員数は、令和6年4月1日現在で47名、うち医師等の専門職は31名となっております。 〇神崎浩之委員 中央センターが、盛岡市ではなく、矢巾町にあって、それから、沿岸地域に4カ所ということで、こころのケアセンターがあるわけであります。 市町村には保健センターがあるわけですが、私が市町村にお邪魔したときに、市町村保健センターとこころのケアセンターがうまく連携して、心の問題について対応できているのかというと、非常に疑問を感じてまいりました。ある市町村は濃厚に関係しているし、ある市町村は、市町村は市町村の事業、震災の心のケアのほうは、こころのケアセンターに任せようといった状況があります。 さらに、岩手県は保健所を設置しているわけですけれども、保健所とこころのケアセンターが、一体的に対応されていないという話も聞いてまいりました。 こころのケアセンターは、国の予算で運営しているわけですけれども、国から震災復興特別交付金として90億円程度交付されていて、その半分がハード整備である閉伊川の水門の関係。ソフト事業40億円のうちこころのケアセンター事業は4億円程度で、結構な割合を占めているわけであります。これが今は、10分の10の割合で国から交付されているわけですけれども、令和8年度から、この復興予算の内容について、国は見直していくということです。それから、一般施策で対応していくというような動きになっております。 これについて、国の今後の心のケアの方針と県の対応について、お伺いしたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 まず、国の今後の方針でございますが、現在、国で有識者によるワーキンググループを設置し、令和8年度以降における復興施策の方向性等について、検討を進めているところでございます。 本年8月に行われた中間報告によりますと、心のケア等の被災者支援に関しては、中長期的視野に立って、切れ目なく対応を継続できる体制の確立などの課題が残されていることから、第2期復興・創生期間内での事業完了が困難である場合には、令和7年度末で一律に事業が廃止される事態にはならないという見通しとなったところでございます。 現在、国のワーキンググループにおいて、最終報告に向けた議論が行われておりますので、引き続き、国に対しては、被災者に寄り添った対応を求めていきたいと考えております。 それから、県の対応としましては、被災者が抱える問題は複雑多様化しておりまして、いまだにトラウマによるフラッシュバックの症状に悩む方もいらっしゃるということから、こういった方々には、被災者により寄り添った対応を継続する必要があると考えております。 また、被災地は専門職の確保が難しい地域でもございますので、当面は、こころのケアセンターによる専門的な相談、支援の継続が必要であると認識をしております。 将来的には、市町村、保健所などを中心に、身近な地域での対応ができる体制構築が望まれますので、こころのケアセンターによる地域の専門人材の育成も継続して取り組んでいきながら、中長期的な視野に立った包括的な支援体制の構築に向けても取り組んでまいりたいと考えております。 〇神崎浩之委員 いずれ、一般質問でもお話をさせていただきましたが、県は本庁があって、そして、専門的な精神保健福祉センターがある。そこを中心に、各保健所から市町村の保健につなげていって、この震災の心のケアを、引き続き、国の補助が切れてもできるような体制をつくっていただきたい。 内陸地域にも被災者がいるわけですが、今は沿岸地域しか行っていないですよね。内陸地域の対応も含めて、こういう体制をとっていただきたいと思います。 それから、最後の質問ですけれども、感染症法上の位置づけの5類移行後の新型コロナウイルス感染症への支援についてお伺いいたします。令和5年度の支援事業数、支援額、内容について、それから、5類移行後の介護現場での感染状況と現場の悲鳴について、どう把握されているかお伺いいたします。 〇下川長寿社会課総括課長 令和5年度の新型コロナウイルス感染症に係る高齢者施設への支援についてでございますが、高齢者施設等において感染症が発生した際に生じます、いわゆるかかり増し経費に対する補助でございますが、令和5年度の実績は、延べ590事業所に対して、12億8、568万9、000円を交付したところでございます。 内訳としましては、令和4年度中に感染者が発生し、令和5年度中に申請があった延べ327事業所に、10億5、600万円、令和5年度中に感染症感染者が発生し、令和5年度中に申請があった延べ263事業所に2億2、964万9、000円を交付したところでございます。 主な対象経費でございますが、感染症のために生じた職員の割増賃金や手当、感染性廃棄物の処理費用、あと、感染者等の発生により在庫の不足が見込まれる衛生用品の購入費用などとなっております。 また、5類移行後の感染等の状況についてでございますが、感染状況については、5類移行前と単純な比較はできませんが、令和5年5月から令和6年3月末までに、保健所で確認をしました高齢者施設のクラスターは、発生日ベースで、計226件となっております。1カ月当たりにしますと、平均で20.5件という状況でございます。 また、令和6年4月から9月末では、計117件と、1カ月当たり平均で19.5件という状況になっております。 現場の状況についてでございますが、事業者団体の方々との意見交換等を我々も実施しているところですけれども、そういった際に、限られた介護職員の中で、職員に感染者が生じると、ほかの職員に御負担がかかり、介護サービスの提供に御苦労されるといったような、切実な状況を伺っているところでございます。 〇神崎浩之委員 十分に当局もわかっていらっしゃるということだと思いますので、ぜひとも、令和6年度についても、引き続き対応していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 〔「関連」と呼ぶ者あり〕 〇名須川晋委員 ただいまの神崎浩之委員の成年後見制度の状況についてというところで、関連して質疑させていただきます。 全く同じ質問もございましたので、その点は省きながらでございますが、2、149名がこの制度を県内で使われているということで、対象人数から言えば、7万6、000人ということで、数パーセントの人しか活用してないという状況が明らかになったかと思います。 任意後見制度の利用者は12名ということでございましたが、任意後見制度の利用者をふやしていく必要があるのではないかと思いますが、まず、それについてお願いいたします。 〇草木地域福祉課総括課長 任意後見制度についてでございます。先ほどの答弁と重複してしまいますが、生前、認識があるうちに、みずからが代理人と契約して行うのが任意後見制度。 一方で、成年後見制度は、これも御案内のとおりと思いますが、裁判所の審判等を経て、事理弁識能力の程度に応じて、成年後見人、被保佐人、被補助人がつけられるという仕組みになっております。 任意後見制度の利用者をふやしていく取り組みですが、まず、県内での後見人の状況について、親族が47%、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が48%、市民後見制度、つまり団体、法人であったり市民が任意後見をするという制度の利用が5%となっておりまして、そのほかに任意後見制度があるわけです。まず、制度利用という意味では、専門職についてはどうしても限りがございますので、市民後見制度の利用者をふやしていくということを取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 〇名須川晋委員 県内の65歳以上の高齢者世帯はどれほどあるか、お伺いいたします。 〇下川長寿社会課総括課長 本県の高齢者世帯の状況についてでございますが、令和2年の国勢調査によりますと、全世帯数49万828世帯のうち、高齢者世帯は12万2、857世帯となっております。 〇名須川晋委員 そのうち独居の老人世帯はどれほどかということと、引き取り手のいない遺体がもしおわかりであれば、お伺いをいたします。 〇下川長寿社会課総括課長 独居、いわゆる高齢者単独世帯ということでございますが、同じ国勢調査からの数字になりますけれども、6万2、424世帯となっておりまして、増加の傾向が見込まれているところでございます。 また、県内の引き取り手のない御遺体の数ということでございますが、県警察本部等にも確認をしてみたところでございますが、こうした引き取り手のいない遺体についての統計というものがありませんで、把握をしていないところでございます。 〇名須川晋委員 六万二千世帯が単身の高齢世帯ということで、独身者の増加や核家族が進む中、独居老人、そして、身寄りのない独居老人が増加傾向にあると思われます。 先ほど神崎浩之委員もお話しされましたが、全く身寄りのない方は、死亡後にも多岐にわたる手続が必要となって、果たして、誰がやるのか。 私も、最近、親父を亡くしまして、その手続を今やっているのですが、これは高齢者でなくても大変だということがよくわかりまして、今、こういう質問をしております。社会システムに横串が刺さっていないということで、それぞれ一つずつ名義を変えていったり、口座を廃止したり、新たにつくったりということで、大変複雑かつ煩雑な手続が必要になってきて、これは、認知症である高齢者は到底無理だろうということを、今、感じております。 そして、新たに、ことしの4月1日からは、不動産の3年以内の相続登記ということが義務化されているという新たな状況がありますので、法定後見制度の利用者も少ないのですけれども、この任意後見制度について、まだ認知症ではないのですけれども、単独で何とか暮らしていける、あるいは配偶者が亡くなったけれども、その配偶者の方も高齢だから、そういう手続はとれないということがあろうかと思います。この任意後見制度を、たった12名ではなくて、もっともっとふやしていく必要があると思われますが、こうした状況についてどう捉えているのか。保健福祉部長に所感等を含めて御答弁をいただきます。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 名須川晋委員御指摘のとおり、高齢者の単身世帯を初め夫婦のみ世帯で、配偶者がお亡くなりになった場合など、多岐にわたる死後事務手続が必要となり、御遺族や御家族の御負担が大きいものと認識をしております。 こうした課題は多岐の分野にわたりますことから、国では、関係省庁横断で、有識者等が出席いたします地域共生社会の在り方検討会議を本年6月から開催し、地域共生社会の実現に向けた検討を進めているところでございます。 身寄りのない高齢者等が抱える課題等への対応につきましては、地域共生社会の在り方検討会議の論点の一つとされておりまして、課題への支援のあり方や地域で支える体制のあり方について議論される見込みとなっております。 また、先ほど神崎浩之委員にも御答弁申し上げましたとおり、体制はできましたけれども、成年後見制度は、任意後見も含めまして、まだまだその利用が十分でないという課題認識を我々は持っておりますので、人材育成とかそういったさまざまなところで、市町村とも連携しながら、体制強化に取り組んでいきたいと考えております。 〇名須川晋委員 第二期成年後見制度利用促進基本計画によれば、県も協議会をつくれということになっておりますけれども、その設置状況についてお知らせください。 〇福井せいじ委員長 執行部答弁できますか……後ほどお答えをさしあげます。 〇名須川晋委員 わかりました。 繰り返しになりますけれども、この任意後見制度について、12名ということでございます。ここを、ぜひとも岩手県でもう少しふやしていただきたい。市町村が末端でかかわって、やっとこの数字だと思いますが、県でも協議会を設置して、広報活動を含めて、しっかりと取り組んでいくことを要望して、終わります。 〇佐々木朋和委員 私からは、障がい児の療育支援体制の充実について伺いたいと思います。 令和5年度主要施策の成果に関する説明書において、具体的推進方策指標や活動内容、成果指標、ともにAとなっておりますが、現状として、環境が十分であるかというと、そうではないのかと思っております。まずお聞きしたいのが、医療的ケア児支援センターへの相談支援件数が計画で120件のところ、284件と倍の相談支援件数が寄せられております。 一方で、支援員は3人配置ということで、そのままということでございますが、人員は十分なのか。また、相談支援の内容について、どのようなものが多いのかをお示しいただきたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 医療的ケア児支援センターでございますが、相談支援を担う専門職員としましては、看護師である医療的ケア児コーディネーター2名、社会福祉士である事務員1名の計3名で活動をしております。 相談の主な内容につきましては、胃ろうなど経管栄養や喀痰吸引などの医療面での相談が37件、退院後の生活など在宅移行に向けた相談が60件、福祉サービス、保育サービスの利用など福祉面の相談が56件となっておりまして、内訳としては、保護者から171件、支援者等から113件の計284件の相談に対応したところでございます。 件数につきましては、令和5年度は、センターを設置してから初めて通年での開所ということになりましたので、見込みよりも多くなったというところでございますが、人員配置につきましては、医療的ケア児、その家族への情報提供や助言、関係機関との連携調整など、県センターとして必要な対応を行うための所要の職員を配置しているものと考えております。 〇佐々木朋和委員 初年度ということで、相談が多くあったということでありますが、今後も、この件数が継続していく見込みだとお考えなのか、あるいは落ち着いていくというところなのか、この見込みも教えていただきたいと思いますし、また、それだけ相談が寄せられるということは、現場での課題とか悩みという方が多いのかと思いますけれども、その辺についての所見ももう一度お願いしたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 相談件数につきましては、先ほども申し上げましたが、センターが開所したばかりで、それから周知が進んだこともあると思います。 それから、特定の方からは繰り返しの相談もございますので、そういったことで、相談件数につきましては、今後も伸びていくことが考えられると思っております。 ただ、今後は、県のセンターだけに相談支援件数が集中しないよう、各地域でも、医療的な見地から助言等を行える医療的ケアアドバイスチームの創設に向けて、今取り組んでおりますので、そういったものの創設により、各地域でも医療的ケア児への支援が完結するような取り組みを進めてまいります。 〇佐々木朋和委員 了解いたしました。 それだけ現場でも、困りごとがあることをお聞きしますし、これから、医療的ケアアドバイスチームも軌道に乗っていけば、また、より近いところでの相談にもなっていくのかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 あとは、やはり地域で頼りになる事業者をふやしていくことが大きな課題だろうと思っております。 県では、その点についての指標で、機器整備補助を使った事業所、あるいは短期入所の新規の事業所数を、令和5年度は1に設定をして、1軒できたということでA評価となっておりますが、近年の整備状況と、どのくらいの期間で、どの程度の事業所を整備しようとしているのか、また、ニーズに対してこの計画が十分なのか、伺いたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 短期入所事業所の整備についてでありますが、医療的ケア児を持つ家族の負担軽減のニーズは高いところでございまして、既存の医療提供施設などを活用した医療型短期入所事業所の拡充が重要であると考えております。 医療的ケア児等の超重症児の受け入れ体制の整備に向け、機器等を購入する事業者に対して助成を行っておりますが、近年の助成実績としては、令和元年度に2件、令和5年度に1件となっております。 医療的ケア児に係る短期入所事業につきましては、医療的ケアの複雑さ、それから、個々の疾病に対応できるスキルが求められますことから、事業者の参入がなかなか進まない状況にあります。ただ、そういった中にあっても、着実に受け入れ態勢の拡充を進めたいということで、参入を希望する事業者に速やかに支援できるよう、補助事業は継続しているところでございます。 これまでも、介護職員を対象にした研修とか、先ほど申し上げましたアドバイスチームの創設など多角的な取り組みを進めてまいりましたが、引き続き、この機器整備補助事業なども活用しながら、さらに、担い手の拡充を図り、ニーズを踏まえたサービス提供に向けた環境整備を進めていく考えであります。 〇福井せいじ委員長 この際、佐々木朋和委員の質疑の途中でありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。 佐々木朋和委員、御了承願います。 午後0時1分 休憩 午後1時1分 再開 〇大久保隆規副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。 〇草木地域福祉課総括課長 午前中の答弁でお答えできませんでした、県における成年後見制度の協議会の設置状況と運営状況についてでございますが、国が令和4年3月に閣議決定した第二期成年後見制度利用促進基本計画において、都道府県単位で協議会を整備することとされており、本県では、権利擁護の推進に係る意見交換等の場としまして、弁護士会、医師会等の関係団体を構成員とする岩手県成年後見制度利用促進ネットワーク会議を平成30年に設置しております。この会議は、毎年度、県、市町村の取り組み状況の報告や、担い手育成方針等について意見交換しておりまして、引き続き、関係機関、団体等との連携、協力関係を強化してまいりたいと考えております。 〇大久保隆規副委員長 質疑を続行いたします。 〇佐々木朋和委員 午前中答弁をいただきました機器整備補助事業所あるいは短期入所事業所の新規の開設について、令和元年度が2件、令和5年度が1件という実績を言っていただきましたが、ニーズに合わせて、毎年の目標数を決めていっていると思うのですけれども、それに比べると、この数字はどのように評価をされているのか伺いたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 障がい者の短期入所事業につきましては、既存の医療機関とか介護福祉施設の空床を利用しながら、受け入れを拡充しようとするものでございますが、医療的ケア児に対しての短期入所につきましては、午前中の答弁でも申し上げたとおり、医療的ケアの面での困難さというところがハードルになっているものと考えております。 そのため、医療的ケア児に限定した短期入所につきましては、毎年度、何カ所ずつふやしていくかというところの具体的な目標がなかなか立てにくいところもありまして、着実に受け入れの体制を進めるためには、支援者に対する研修とか、あとは、ニーズがあるところの医療機関とか、保護者会への個別のマッチングというところで調整しながら、今、受け入れ先を広げているところでございます。 こういった箇所数がふえてきましたならば、アドバイスチームなども立ち上げますし、そういった中で、先行事例なども各地域で情報共有を展開しながら、県内での拡充を図っていければと考えております。 〇佐々木朋和委員 その医療的な人材というところで、県では、看護職員を対象とした支援者育成研修を指標としております。 一方で、先ほども医療型という話もありましたけれども、この福祉型短期入所事業所も受け皿としてはあるのかといった中で、今度は、介護人材に痰吸引等をできるようにする産後研修も促していくべきだと思うのですけれども、こういった取り組みはどうなっているのか伺いたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 人材の確保についてでございますが、特定の方に対して、喀痰吸引等の医療行為を行うに当たって、受講を要する喀痰吸引等研修、いわゆる3号研修につきましては、本県では、県が認定した社会福祉法人等7カ所の登録研修機関において実施しているところでございます。平成24年の制度施行以来、研修修了者に交付する認定特定行為業務従事者認定書の交付件数は1、743件となっております。 県としましては、3号研修につきまして、ホームページ上で情報発信していくとともに、登録研修機関に対しては、必要な研修機会の確保について働きかけを行っていくなど、研修受講を促す取り組みを進めてまいります。 なお、指標としております医療的ケア児支援者育成研修につきましては、現に医療的ケアを提供する看護師等を対象にしたものでございまして、小児への医療的ケアに係る実技の研修を行っているところでございますが、看護師以外の看護職員が喀痰吸引等を行う場合にあっても、当該研修を修了した看護師が、その指導や支援の役割を担うことも期待されるものと考えております。 〇佐々木朋和委員 わかりました。よろしくお願いしたいと思います。 国で補助制度もあると思っておりましたけれども、常勤の方のみだという話もありまして、現場からは、常勤でなくても、県単でも拡充をしてほしいという意見も出ているところでありました。 私は、この医療型のほうをしっかりと進めていただきたいし、毎年、件数が少なくとも、手を挙げた事業者に対応するために、ぜひ継続をしてほしいということは前提にしながらも、また、受け皿として、福祉型短期のほうも拡充をしていかなければいけないと思っております。 そういった中にあっては、医療型に比べて報酬も少なく、また、医療的ケア児は、介助するために人も必要です。そういった意味では、さまざまな研修の補助であるとか、あるいは県単としてのかさ上げであるとか、そういった望む声も出ております。そういった部分についても拡充をしながら、受け皿を整備していかないと、本県ではなかなか進んでいかないのかという思いもあるのですけれども、そういった点について、御所見をいただきたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 短期入所事業所を含め、医療的ケア児へのサービスにつきましては、サービスの拡充のためには、人材育成、人材体制の確保というところが課題であると認識しております。 答弁申し上げております介護職員を対象とした医療的ケア児支援者育成研修とか、先ほどの3号研修、これは指定の登録機関で行っておりますが、そういったところへの研修も促しながら、人材育成はしっかりと進めていく必要があると思っております。 その中で、受講費用の負担というところのお話もございました。特に3号研修の受講費用につきましては、各研修機関で設定しているところですが、場所によっては数万円かかるというところもあると伺っているところでございます。 3号研修に対する受講費用の助成というところは、県としては実施していないところですが、一定の要件を満たす場合は、国が実施する人材開発支援助成金の対象とされていることから、その旨を研修受講をお知らせするホームページ上でも紹介させていただいているというところでございます。 受講促進につきましては、医療的ケア児のサービスに従事する方の充足の状況とか、県内外の施策の動向なども注視しながら、引き続き検討していきたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。受講料も事業者の負担になってくるということでありました。他県では、独自で、国の補助を拡充して、一定の要件をという話もありましたけれども、そこを拡充してやっているところもありますので、ぜひ検討いただきたいと思います。 こういった支援は、雇用の受け皿をつくるということであり、親御さんにとって、今度は労働人口になっていただく、仕事ができるようになるといったことへの対応でもありますので、ある一定の面では人口減少対策だと思います。ぜひとも、予算の拡充を所管部としても要望していただきたいと思います。 最後の質問にさせていただきますけれども、介護人材の確保ということで、県内全体の分野で人材不足ですし、介護人材も全体の人手不足から、より技術が求められて、リスクもあり、それに比して待遇面も十分とは言えない超重症児・者事業所へ人が集まらない傾向が強くなっていると、現場から声が出ております。 県では、介護人材確保のために、仕事のやりがいを伝えるなど、職業としての介護のイメージアップに努めておりますが、高齢者介護施設が中心となっている印象を受けます。 また、医療的ケア児の御家族にお話を聞きますと、介護者には、経験を積んだ技術のあるベテランを好む傾向にあるのかと思っていたのですけれども、そうとは限らずに、親子の限られた人間関係で生活をしているので、今どきのファッションやメイクの話ができるような、年齢の近い介護者を歓迎する意見もありました。 また、支援学校の分教室や地域の交流会などで、同世代の要介護者との交流を通して介護職を志すきっかけにされる方もあることから、高校生や中学生に対しての超重症児・者事業所への職場体験の実施や、高卒者、専門学校卒業者への働きかけも積極的に行うべきだと思っております。 県の全体としての介護人材確保のための取り組みと、あわせて、超重症児・者事業所の介護人材確保対策の今後の方向性を伺いたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 人材の確保についてでございますが、超重症児・者への支援を含む障害福祉サービスの人材確保について、県では、岩手県社会福祉協議会に委託設置しております岩手県福祉人材センターにおいて、小中高等学校に対して、福祉の仕事に関する出前講座のほか、福祉の仕事体験事業を実施しておりまして、令和5年度は、障害福祉サービス事業所5カ所において障がい者支援を実際に体験する機会を設けたところでございます。 また、岩手県医療的ケア児支援センターでは、先月になりますけれども、医療的ケア児やその保護者の日常生活を紹介し、その支援について、県民の関心を促すための市民公開講座を今年度初めて開催させていただきました。約200人の参加をいただいたところでございます。 障害福祉分野においても、人材育成は大変重要な課題であると認識しておりまして、こうした取り組みのほか、職員の処遇改善などの取り組みもあわせまして、超重症児・者を含む支援人材の確保を総合的に支援してまいりたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 全体の話をしていただいた中に、超重症児・者へのお話もしていただきましたけれども、私の質問の趣旨としては、そういった事業所も職場体験等の場所に選んでいただく、そういったところをぜひともプッシュしていただいて、そういった機会を設けていただければという趣旨でございますので、よろしくお願いしたいと思います。 〇ハクセル美穂子委員 私からは、子供の医療費助成の状況についてお聞きしたいと思います。 令和5年度、県内市町村における子供の医療費助成は、市町村がさまざま頑張っていただいて進んできております。県は、高校生までの現物給付をまず進めているということですが、令和5年度末で、県内での子供の医療費助成の差は県としてはどのように捉えられていますでしょうか。 また、市町村から要望が上がってきているようですが、その内容についてもお伝えしていただきたいと思います。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 令和5年度の県内市町村の子供の医療費助成の状況等についてでございますけれども、令和5年8月から、全ての市町村は高校生年代までを対象に現物給付化しております。所得制限につきましては、令和5年度末までは29市町村が所得制限なしとしておりましたけれども、本年8月現在では、2市が所得制限を撤廃いたしまして、計31市町村となっております。 また、受給者負担につきましては、各市町村で助成要件は異なりますが、25市町村がゼロとなっているところでございます。 次に、市町村の要望についてでございますけれども、要望内容といたしましては、県の補助対象の拡大、全国一律の制度創設の働きかけなどの要望があったところでございます。 〇ハクセル美穂子委員 令和5年の8月から全部現物給付になっているということで、特に何か進んできているところはないのですが、所得制限が全県で撤廃になっているというわけでもなく、そして、受給者負担についても、子供が多くて、財政的に厳しい市町では、受給者負担も他の市町村に比べて多くある状況で、この子供の医療費は推移しているということだと、御報告を私も受けています。 市町村からも、以前にも増して、医療費助成の拡充という要望が上がってきているようです。10市町から、県内一律化もですし、国にも訴えてほしいということです。市町村では8割強の財政負担をしているということで、市町村でも、人口減少の事業などさまざまな事業が実施されている中で、この子供の医療費助成の財政負担等がかなり重く市町村にはのしかかってきているのではないかと私は推察しております。こういった市町からの要望等も踏まえた上で、来年度以降、県は、この子供の医療費助成に関しましては、どのような方向性を考えておられるのか、改めてお伺いいたします。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 来年度以降の方向性についてでございますけれども、県内の多くの市町村で、医療費助成の拡充が徐々にではありますが、進んできている状況下にありまして、例えば県の助成額をふやすことにつきましては、県による市町村への財政支援を拡充したとしても、県民が既に受けている医療費助成の負担が、市町村から県に移る部分がほとんどだということでもありまして、拡充額相当の県民サービスの向上に結びつくものではないと認識しております。 また、県の助成対象の拡大を行う場合につきましては、重度心身障がい児・者など、他の医療費助成制度との公平性にも配慮する必要がございまして、県の施策全体の中で総合的に検討する必要があると考えております。 医療費助成につきましては、全国の自治体や市長会、町村会からも、全国一律の制度の創設が強く求められておりますことから、県といたしましても、全国知事会等とも連携いたしまして、国に対して働きかけを行っていきたいと考えております。 〇ハクセル美穂子委員 令和6年2月定例会における私の代表質問のときに知事にお伺いした際の答弁とほぼ同じでした。 ただ、所得制限に関しましても、県内の2市では、3歳まではまだ所得制限がありますけれども、3歳以降は、県基準よりは緩和されているかもしれません。しかしながら、他市町村であれば医療費を受けられるにもかかわらず、お支払いしながら、その格差の中で子育てをしていらっしゃる方がいるという状況でございます。 全国一律ということで国に訴え続けるのは、そのとおり必要なことだと思いますけれども、特に子供の多い市が多いのですが、そこの住民の方々は、他市町村であれば受給できる医療費分もお支払いしながら子育てしていますので、少しずつでもこういった要件を拡充していってほしいと思います。 一つの市では、非課税者の方でも、小学生及び中学生は受給者負担がされているという状況でございます。そういったところは、県も支援の手を差し伸べて少しずつ拡充していく必要があるのではないかと私は思っておりますので、その点について、今後も検討のテーブルだけでも載せていただければと思います。それはお願いをして、次の質問に移りたいと思います。 次は、いわて子育て応援の店登録事業についてお伺いしたいと思います。これは、長年形を変えてやっていくべきではないかと思います。もうそろそろこの子育て応援の店をやることによって、子育て支援をしているというように県がやっていく段階ではなくて、次のステップに行くべきではないかとお話をさせていただいておりますけれども、令和5年度は、訪問者数は、令和4年より多くて、100軒以上のお店を訪問して、評価Aであるにもかかわらず、協賛してくださった店舗数の増は39で、達成度はDということです。人と時間を割いているにもかかわらず、評価というか、入ってくださる店舗数がだんだん少なくなってきているという事業になってきてしまっています。 これについて、令和5年の結果と、それから、今後の方向性について、今、どのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。 〇齋藤次世代育成課長 いわて子育て応援の店についてでありますが、本県では、社会全体で子育て世帯を支援する機運醸成を図ることを目的に、企業や店舗にいわて子育て応援の店の協賛店舗として登録いただくことにより、妊婦及び18歳未満の子供連れの全ての家庭に対し、協賛店独自の子育て支援サービスを提供しているというものです。 協賛店舗の拡充に向けて、企業訪問による登録の働きかけや、いわてで生み育てる県民運動と連動した広報、周知などを実施しておりまして、令和5年度末で累計協賛店舗数は2、431店舗となっております。 一方で、ハクセル美穂子委員御指摘のとおり、新規登録店舗数に伸び悩みが見られることは事実であります。このことから、今年度は、新たに商工団体、関係自治体、県で構成する推進協議会を開催する方向で検討を進めております。 その場で、協賛店舗数をふやすための取り組みなどについて議論を深めながら、そこでいただいた御意見などを踏まえて、いわて子育て応援の店の協賛店舗数の拡大を図ってまいる考えでございます。 〇ハクセル美穂子委員 今年度は、商工会とかそういった方々も入れながら、この事業のあり方を考えていくということで、それでいいのですけれども、これは遅きに失しているような気もすると私は考えております。 これは、県の事業全般に言えることなのではないかと思っているのですけれども、県職員の皆さんは、本当に県内でも優秀な方々が集まって、ブレーンとして、この岩手県のための事業をやっていただいています。そういった方々が100店舗も回って、それで、結果が39店舗しかふえない事業をずっと何年も何年も、これも、私が県議会議員になったときからもう既に行われている事業だったと記憶していますので、10年近く行ってきて、事業をうまく終息というか、例えば民間に渡して、事業をさらに拡大した形で、機運醸成に使っていただくとか、そういった転換がなかなかうまくいってない事業が全体的に見てもあるのかと感じております。 これは、保健福祉部の中での事業でございますけれども、今回、令和6年度で、商工団体の方々とお話し合いしていただくということですので、商工系の方々にしてみれば、特典を差し上げて、それで、また私たちの店に来てもらえるということです。そして、この店は子育て支援が充実しているお店だということで、広く皆さんに利用してもらえるきっかけになるとか、いろいろな活用の仕方があると思うので、こういう応援の店などがふえていったときに、どうやって次の段階につなげていくのかということも、事業を開始しながら考えていくべきだと思っております。ぜひ、その点について、民間の方々とも連携しながらできるような形を模索していただきたいと思います。これも要望で、次の質問に行きたいと思います。 次に、児童発達支援センターについてお伺いしたいと思います。この児童発達支援センターは、令和5年度で県内3カ所しかまだ設置されていませんが、令和8年度末までに、各市町村に少なくとも1カ所以上設置することを基本として進められている事業でございます。 今後、このセンターを設置するために、県内市町村に対してどのような働きかけをしていかれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 児童発達支援センターについてでございますが、まず設置状況でございますが、今年度4月から1カ所新たに設置されまして、今年度は4カ所、四つの市町に設置されているところでございます。 児童発達支援センターでございますが、児童福祉法において、障がいのある子供や家族支援のほか、保育所や学校等と連携して発達支援を行う、市町村の中核的な通所施設と位置づけられているところでございます。 国の基本的指針においては、先ほどハクセル美穂子委員からも御紹介ありましたとおり、当該センターを市町村または圏域単位に1カ所以上設置することとされております。 しかし、未設置圏域のうち、特に単独で設置を検討している市町村においては、設置基準を満たすための実務経験を有する者などの人材の確保、それから、地域における連携体制の検討、調整に時間を要しているなどの課題により、設置が進んでいない状況にあります。 県としましては、設置の促進に向けまして、県内外の先進事例の情報提供を行うための市町村会議の開催、それから、個別圏域の訪問による助言、人材養成研修などを実施してきておりまして、こうした取り組みを通じまして、引き続き、早期の設置を支援してまいります。 〇ハクセル美穂子委員 この児童発達支援センターは、本当に必要とされてきていると私も思っておりまして、小学校に入る前に、集団生活が難しいお子さんを、保育園にいる間にこの支援事業所に連れて行って、どのように感情のコントロールをするのかとか、動作のコントロールとか、さまざま行動要領をしていただくことで、これをやることによって、小学校に入ってからも、集団生活の中でしっかりと勉強し、みんなと仲よくして、学校生活を送っていけるというようなメリットも多くあるということで、ぜひ、これは進めていってほしいと思っています。このセンターについては、私の住んでいる町も含めて、人的資源が本当に少ないところは、例えば市町が連携して一つのセンターを例えば活用するということが、本当に必要なタイプの事業だと思っています。 過去には、病児保育の関係でもいろいろ質問させていただきましたが、同じような形で、近隣の市町村が一緒になってこのセンターを活用していくというような方策を、岩手県ではもう少し進めていくべきだと思っております。先ほどお話をされていましたけれども、市町村にはその必要性と、それから、連携のやり方がまだまだ落とし込めていないのではないかと感じております。 今後、市町村に対してどのように助言を行うのか。市町村職員が県に来たときに助言をしているのか、それとも県から市町村に行って、助言をされるような予定なのか、その辺について、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 先ほども答弁しましたとおり、基本的には、各市町村に1カ所設置、これは圏域での設置でもいいということとされておりまして、一つの児童発達支援センターを複数の市町村で利用するとか、それから、センターの形でなくても、複数の支援事業所が連携して、面的に支援していくという形でもいいということにされております。 さまざまな形態での事業実施が想定されます。県内の圏域でも、面的に取り組んでいる地域もございますので、そういった県内、県外の事例をお伝えするとともに、発達障害の早期発見、早期療育につなげることは、今後の子供さんの人生においても大事なことだと認識しております。そういった取り組みの意義につきましても、あわせて、市町村の会議とか、あと、具体的な相談があった場合は、本庁もそうですし、広域振興局とも連携しながら、個別の助言、それから、必要に応じて調整などもしながら、市町村を支援してまいりたいと考えております。 〇ハクセル美穂子委員 ぜひ、支援をさらに拡充していっていただきたいと思います。児童発達支援事業所を行っている民間の方々の中には、本当に真摯に事業を進めていってくださっているがために、中心的な役割を持つセンター機能をぜひ担わせてほしいというところもあるのですけれども、市町村との事業に対する考え方の温度差みたいなものもあって、ここになってくれればいいだろうというところも手を挙げても、なかなか話が進まないなどということもあるということは、今、聞いておりますので、ぜひ、県としても、コーディネーターとしての役割をもう少し発揮していただいて、この点について進めていっていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。 〇高橋穏至委員 まず最初に、岩手であい・幸せ応援事業費及びいわてで家族になろうよ未来応援事業費について質問します。 岩手であい・幸せ応援事業費、いわゆるi−サポの事業ですが、この事業に関しては、政策企画部の審査でも取り上げられておりまして、その質疑が、新聞にも載りました。i−サポの成婚数が過去最多ということで、大きく報道されております。令和5年度、この事業の達成度はAということで、目標を達成しているわけですけれども、事業成果をどう分析しているか。ふるさと振興総合戦略における当該事業のKPIの指標が実は令和5年度から見直されておりまして、その辺も踏まえて、どう評価しているか。そして、令和6年度は、食事券などで予算を拡充しているが、その進捗はどうかを伺います。 〇齋藤次世代育成課長 岩手であい・幸せ応援事業費についてでありますが、第2期政策推進プランにおける事業目標は、会員数における成婚率が全国の上位の率に相当する7%となることを目標といたしまして、会員数の増に応じた成功者数を目指すという考え方により設定したものです。 令和5年度は、先ほど御紹介いただいたとおり、目標が成婚者数55人に対して、実績が65人であり、達成度はAとなっております。 こちらについては、感染症とか経済状況などの社会情勢などさまざまな要因が考えられますので、一概に要因がどうと申し上げることは難しいかと思っておりますが、例えば令和5年度の入会金無料キャンペーンなど、昨年度までの会員数増加に向けた取り組みの効果もあると考えられます。 今年度の進捗につきましては、i−サポの性格診断マッチングなどの機能が追加されたシステムが本年12月中旬から運用される予定であるほか、8月末までの間にi−サポで交際成立となった51組のカップルに食事券を配付させていただいているところでございます。 〇高橋穏至委員 会員数の7%が目標だということで、当然、会員数のカウント方法にもよると思うのですが、この指標の見直しによりまして、進捗目標は累計数字になってきているわけです。累計数字だから、毎年5人ずつふやした目標設定になっているのですが、この考え方は、結局、会員数も同じようにふえるという見込みからの累計で設定したということ。要は、単年度にどれくらい成果が上がったではなくて、累計にしたということの捉え方、そして、令和5年度は、目標より10人多かったわけですから、令和6年度は累計でいくと、10人少なくてもA評価になるのかと捉えるわけですが、その辺の考え方はどうなのでしょうか。 〇齋藤次世代育成課長 会員数の増に応じた成婚者数を目指すということは、マッチングの効果が一定以上のものになるためには、一定の会員数、一般的には1、000名などと言われますけれども、それをキープする必要があるということを踏まえたものでして、成婚の増と同様に、会員数の増加にも努めていく必要があるということで設定されているものと、承知しております。 〇高橋穏至委員 わかりました。 数字は毎年報告されますので、しっかりそこを見てまいります。あと、入会金無料キャンペーンは今年度も続いているのかということと、食事券は今後も続くのかと。要は、上乗せ、上乗せでいくのかという考え方はどうなのでしょうか。 〇齋藤次世代育成課長 令和5年度の入会金無料キャンペーンにつきましては、昨年度、期間を区切って行ったものでありますので、キャンペーン自体は終了しています。 そして、食事券の配付につきましては、現時点では、今年度に限定した取り組みとして実施しているものでございます。 〇高橋穏至委員 わかりました。ぜひ、実績を上げていってほしいものだと思います。 もう一つの事業、いわてで家族になろうよ未来応援事業、これは市町村に対して、新婚世帯を応援する事業なわけですが、これの令和5年度の課題はどう捉えているのか。今年度に至っては、県独自の上乗せをやっているのですが、その効果はどう見ているか、お伺いします。 〇齋藤次世代育成課長 いわてで家族になろうよ未来応援事業についてですが、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用し、結婚に伴う新生活の経済的負担を軽減するため、新婚世帯の住宅費用や引っ越し費用等を支援するものでありまして、令和4年度は17市町村、令和5年度は22市町村と、徐々に実施市町村数が拡大しているところであります。 ただし、令和5年度の目標値は23市町村でありますので、これには至らなかったものでございます。これについて、市町村からは、必ずしも家賃や引っ越し費用が発生しない世帯もあるということ、補助対象とされていない家具、家電等の購入費の負担が大きいことなどから、補助対象経費の拡充を求める声が寄せられたところです。 このことを踏まえて、先ほど御紹介いただきましたが、今年度からは、経済的負担のさらなる軽減により、希望する方が、希望する時期に結婚できるよう支援を拡充するためということで、県独自の支援金10万円の上乗せ給付に取り組んでいるところです。 令和6年度は、29市町村において結婚新生活支援事業の実施を見込んでいるところであり、県独自の上乗せも含めて、事業の活用がさらに進むように、県内市町村で組織する結婚新生活支援事業推進連絡会などの場において、事業実施のノウハウやメリットなどを共有していく考えでございます。 〇高橋穏至委員 ぜひ、成果に結びつくように取り組んでいただきたいと思います。 それでは、次のライフデザイン形成支援事業費について質問いたします。これは、高校生を初めとする県内の若者に結婚、妊娠、出産、子育てと仕事、さまざまなライフイベントについて積極的に考えて、将来のライフデザインを希望を持って描く機会を提供するためのセミナーの開催となっているのですが、セミナーの回数、それから、受講者数、ともに目標をしっかりとクリアされているのですが、その成果として捉える若者の意識はどうなのかというのが課題としてあります。まず、このセミナーの開催場所について、大まかにどの地区でやったとか、開催の場所は県下全域でやったのか、あるいは、それに参加したのは高校生だけなのかといったところをお知らせください。 〇齋藤次世代育成課長 県では、新婚世帯などのためのライフプランセミナーなどを行ってきたところですが、令和5年度からは、新たに県内高等学校5校において、ライフプラン設計講座を実施するなど、結婚前の若者のライフプラン形成への後押しを強化しているところでございます。 令和5年度の新婚世帯などのためのライフプランセミナーについては、盛岡市内でのリアルでの開催とオンラインでの開催、これを合わせて13回実施いたしまして、20代の方を中心に延べ357名に受講いただいており、出産、育児にかかわる制度を知ることができたといったような感想をいただいているところです。 一方で、高校生へのライフプラン設計講座につきましては、先ほど申し上げたとおり、県内5高等学校を対象としたものでありまして、こちらについても、満足との回答をアンケートでは多くいただいているところでございます。 〇高橋穏至委員 今、満足という回答をいただいているということですが、このアンケートは、大まかでいいですけれども、どんな感じのアンケートだったのか。要は、これによって将来家庭を持とうという動機づけになっているかどうかというのが、実は気になるところです。実はこれは、ことしの6月23日の新聞に、こども家庭庁が実施した若者の結婚観に関する意識調査の結果が掲載されたわけですが、日本、米国など5カ国の若者の結婚観について、日本は結婚すべきだ、結婚したほうがよいと答えた割合が45.0%、前回の2018年度から5.9ポイント、約6%減っているという紹介でした。 一方、結婚しなくてもいい、結婚しないほうがよいは合計42.0%で、前回から6.6%上昇している。要は、この間、若者は、結婚に対して否定的なイメージを持っているという新聞報道で、これは、米国を含め5カカ国、ドイツ、フランス、スウェーデン等の割合からして、一番日本が低いという、そういう記事でした。 非常にこれが気になりまして、このライフデザイン形成事業は、このセミナーをやって、若者の意識がどう変わったかというのを、これはセミナーをやる前、やった後の変化とか、そういったものを捉えているかどうかをお伺いします。 〇齋藤次世代育成課長 若い世代の結婚観や意識の変化については、県としても重く受けとめるべきことであると思います。一方で、そういったものを定性的に測ることは困難であると考えますが、その上で、先ほど申し上げたライフプランセミナーやライフプラン設計講座で行ったアンケートにつきましては、選択項目以外にも自由記載での御感想などをいただいており、既に結婚している新婚世帯の方からは、これからのことを夫婦で話し合うきっかけになったといった感想とか、高校生を対象としたライフプラン設計講座では、早いうちにきちんと自分のライフプランを考えることが大切だと思ったということとか、自分の望んだライフプランを実現するために、高校生のうちからできることをしたいといった感想を頂戴したところです。 〇高橋穏至委員 今年度の予算では、令和5年度当初予算より拡充して取り組むことになっているわけですが、令和5年度は5校ということでしたけれども、将来家庭を持つであろう高校生を対象にするのであれば、ある程度対象は捉えられるので、そういったところにしっかりとした結婚観、ライフデザイン、要は、将来に希望を持てるような素材を与えていく必要があるのではないかと思います。 昨日の新聞にも、若者たちは将来像をどう描けばよいのかということで、大学の授業料が大変だというメッセージがどんどん出てくるわけですけれども、結婚して家庭を持って、こうなるのだよ、こういうことができるのだよというポジティブな情報は、なかなか報道されないものです。そういった機会は非常に大事ではないかと思うのですが、今後に向けた取り組みの方向性についてどう考えるか、所見を伺います。 〇齋藤次世代育成課長 結婚に関しては、個人の自由な選択に基づくものであることは大前提でございますが、そのことに関して、若いうちから正しい知識を得ていただいて、自分の望むライフデザインをしていただくべく、県としても応援することが大事であると考えております。 御紹介いただいたとおり、高校生を対象としたライフプラン設計講座については、今年度も、昨年とは違った5高校を対象として実施する予定でございますが、引き続き、その取り組みの展開について検討していきたいと考えております。 〇高橋穏至委員 結婚するしないは個人の選択、もちろんそのとおりだと思います。ただ、その選択をするときに、その情報として、今はマイナスイメージの情報がいっぱいあるので、自分の多様な選択をできるように、しっかりとした情報を伝えてもらいたいということで、ぜひ、さらなる取り組みの拡大を望みたいと思います。 〇村上貢一委員 私からは、子育て支援に関連し、児童虐待防止アクションプラン(2021〜2025)について、お伺いいたします。 児童虐待防止アクションプラン(2021〜2025)は、ことしで4年目を迎え、計画期間も残り1年でございますが、これまでのアクションプランの取り組みの状況、成果と課題を当局はどのように捉えているのかお伺いいたします。 〇前川子ども子育て支援室長 児童虐待防止アクションプラン(2021〜2025)の取り組み状況、成果と課題についてでございますが、県では、これまで、児童虐待防止アクションプラン(2021〜2025)に基づきまして、市町村や関係機関と連携し、虐待の発生予防から早期発見、早期対応、再発防止等に取り組んできたところでございます。 本県の児童虐待相談対応件数ですが、こちらは直近の公表データであります令和4年度におきまして、児童相談所が1、717件、市町村が913件、合わせて2、630件となっておりまして、増加の傾向が続いておりますが、この要因としましては、児童虐待防止対策についての啓発が進み、県民全体の理解が高まっていることとか、子供の面前におけるDVが心理的虐待として認知されたことなどが考えられ、アクションプランに基づくさまざまな取り組みが、虐待の早期発見、早期対応につながっているものと認識しております。 今後は、相談や通告に至る前の段階からリスク要因を把握し、支援につなぐ虐待発生予防の取り組みの充実が必要だと考えております。特に母子保健と児童福祉の連携等によります、妊娠期から出産後までの切れ目のない支援体制の構築が重要と考えております。 〇村上貢一委員 今の答弁はよくわかりましたけれども、今回、要対協―要保護児童対策地域協議会の報告書等も拝見しまして、ヤングケアラーが、最近、特に顕著にふえているという実態もあると思います。その実態と、また、今後の支援についてお伺いいたしたいと思います。 〇前川子ども子育て支援室長 ヤングケアラーの状況についてでございますけれども、県では、今、御紹介ありましたけれども、市町村の要対協で把握しているヤングケアラーの状況について、毎年度照会をしております。 令和4年度は、43人がヤングケアラーとして登録されていたところであります。学年別に見ますと、中学生が最も多く、約半数程度となっておりますし、ケアの対象は、親が最も多く、53.5%、次いで幼い兄弟が39.5%などとなっております。 県では、ヤングケアラーの相談を受けます全県的な相談窓口を設置したりとか、あとは、ヤングケアラーにかかわる可能性のある方々に研修等を行いまして、ヤングケアラーについての理解の促進に努めているところでございます。 〇村上貢一委員 県内のヤングケアラーは、特に中学生が多いということでありましたけれども、小学生も入っているようですから、一番大事なのは、早期発見というところだと思います。 そういう中で、保育園、幼稚園、認定こども園、また、学校、あとは児童館とか、学童クラブとか、放課後児童クラブなどがありますが、そういうところに、早期発見する上での意識啓発というか、研修事業などをもっと推進して行っていただきたいと思いますけれども、次年度に対する考えをお伺いいたします。 〇前川子ども子育て支援室長 ただいま御意見いただきました関係機関の職員等に対する研修は、非常に重要だと考えております。県におきましても、今年度も、さまざまなところに出向いての研修などを行っておりますけれども、引き続き、今後も、さまざまな関係機関の方々と連携しながら、人材の育成とか、適切に相談対応できる方々をふやしていきたいと考えております。 〇村上貢一委員 児童相談所の体制強化というところも重要なところだと思います。児童福祉司、児童心理司は、専門職というところもあり、難しいかと思いますけれども、これらの職員の増員を、今後どのように図っていくのか、次年度に向けての方向性等をお伺いいたします。 〇前川子ども子育て支援室長 児童相談所の職員の関係でございますけれども、児童相談所では、児童福祉司とか心理関係の職員とか、専門職を多く配置しております。 これらの職員に関しましては、基準に基づいて配置をしているという状況にございますが、近年、先ほど御答弁しましたとおり、虐待の相談件数などもふえておりますし、件数だけではなく、その相談の内容などもかなり複雑な背景を持ったケースがふえているというお話も聞いておりますので、今後も、引き続き、児童相談所の状況をきちんと把握しながら、対応していきたいと考えております。 〇村上貢一委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。 次に、関連して、先ほどの答弁にも切れ目のない支援というところでお話がありましたが、妊娠相談窓口、困難を抱える女性支援について、お伺いいたします。 先月公表されたこども家庭庁のこども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第20次報告)によりますと、2022年度に虐待死した子供は全国で72人、0歳が25人で最も多く、44.6%でありました。0歳のうち、月齢0カ月の幼児が15人、60%ということで、第1次報告から第20次報告までの推移を見ても、0歳が最も多い結果が続いております。 予期しない妊娠、計画していない妊娠、妊婦健康診査未受診、妊娠届の未提出、母子健康手帳の未交付、若年、10代妊娠が多くなっているような現状でございます。 その中において、予期せぬ妊娠、悩み葛藤する女性を支援しているにんしんSOSいわてなどの民間支援団体と、今後、具体的にどのように連携強化に取り組んでいくのか、お伺いいたします。 〇前川子ども子育て支援室長 ただいま村上貢一委員から御紹介のありました検証結果等を踏まえまして、県としましても、妊娠届の提出に至っていない妊婦とか、予期せぬ妊娠や妊娠不安等に悩む方への支援の強化が重要と考えているところでございます。 一方で、こうした方々は行政の相談になかなかつながりにくい、行政への相談をためらうといった傾向があるものと考えております。村上貢一委員御紹介のにんしんSOSいわてが行うメールを活用した相談対応とか、同行支援、一時的な居場所の提供等の柔軟な取り組みは、悩みを抱えている方々の受け皿となり、妊娠から出産、子育てまで切れ目のない支援につなげるために、有効な取り組みと認識しております。 県では、このような民間団体の活動と連携協働しまして、支援が必要な妊婦の早期把握や相談体制の充実を図るため、活用可能な国の補助事業について幅広く情報収集を行いながら、官民協働による支援体制の構築に向けて検討を行っているところでございます。 〇村上貢一委員 ぜひ、そこは強力にお願いしたいところではありますが、母子健康手帳を持ってないということは、存在自体も世の中には知られていないというところであり、誰も知る由もないという、本当に大変なところであります。 その中で、にんしんSOSいわては、最前線で、その入口で活動をして、支援を昼夜行っております。その実績をもっと生かしていく上でも、当局がぜひ足を運んでいただいて、現場に行って、対話をもっと重ねて生かしていっていただければと思います。次年度に向けて、その対話をいかにもっとしていくかというところをお伺いします。 〇前川子ども子育て支援室長 ただいま御指摘ありましたとおり、現場の実情をしっかり把握する必要があると考えております。 今年度は、当室の担当職員が、これまでも何度かにんしんSOSいわてを運営する法人ともお話をさせていただいていますし、先日もお伺いして、具体的な事例などもお聞きしてきたところでございます。そうした事例をお聞きしますと、行政につながっていなかった方々が、にんしんSOSいわてにつながっているといった実情も把握したところでございますので、村上貢一委員から御指摘ありましたとおり、こうした民間団体の力もあわせて取り組みを進めていく方向で検討したいと思っております。 〇村上貢一委員 ぜひ、そこは強力に進めてほしいと思います。少し重なる質問かもしれませんが、予期しない妊娠をした女性に対する支援には、医療機関、保健福祉分野、児童福祉分野の支援者が重層的に、当事者に寄り添い続けていくための持続的な支援システム構築が最も必要と考えます。その辺の県のお考えと、その具体的な検討はなされておるのか、お伺いいたします。 〇前川子ども子育て支援室長 現状の取り組みについてお話をさせていただきますと、予期しない妊娠も含めまして、出産後の養育について、出産前から特に支援が必要と認められる妊婦に対しましては、市町村の母子保健担当部署とか、医療関係者、児童相談所といった複数の支援者で構成されますいわゆる市町村の要対協におきまして、特定妊婦として登録の上、情報を共有し、必要な支援を行っているところでございます。 一方で、にんしんSOSいわての活動のところでもお話をさせていただきましたけれども、妊娠届を提出していない妊婦とか、妊婦健診未受診の方につきましては、対象者の把握や緊急的な支援が困難であるのが課題となっております。 今後は、先ほども答弁させていただきましたが、こうした女性たちの支援を行う民間団体と連携しまして、要対協の構成機関などにも加えていただくなど、連携を強化しまして、支援の契機となる相談先の選択肢をふやしていくとともに、関係機関の間で支援方針を共有し、本人の意向に寄り添いながら、切れ目のない支援を行う仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えております。 〇村上貢一委員 そこは安心しました。県内市町村の自治体などは、母子保健、児童福祉を担当する課などでは、マンパワーの不足とか、質的不足、量的不足などがあると聞き及んでおりますので、ぜひ、要対協の構成団体の中にも入れていただいて、情報共有をしていただいて、入口から出口までしっかりと切れ目のない支援につながるよう、県がしっかりとリードして行っていただきたいと思いますが、その方向性についてお伺いいたします。 〇前川子ども子育て支援室長 ただいま御指摘いただきました内容につきましては、県としましても非常に重要なことと考えておりまして、今後、母子保健と児童福祉の連携がかなり肝になってくるのではないかと考えております。 当室としましても、母子保健も所管している部署になりますので、これまで以上に、市町村の母子保健と児童福祉が連携しながら、さまざまな関係機関の方と力を合わせて、取り組みが進むように働きかけをしていきたいと考えております。 〇村上貢一委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。 そういう中で、にんしんSOSいわては、日本財団の助成金をもとに、2022年から立ち上がり、ことしでその助成も終わります。そういう中で、財団から助成を受けた団体は、全国では18団体あるというところでございますが、そのうちの半分は、助成が終わると事業を縮小しなければならない。1団体はもう廃業しなければいけないという財源不足により、切れ目のない支援に切れ目が入るような状況がありますので、ここはしっかりと県も、妊産婦等生活援助事業もありますし、ことしの4月には、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律も施行されましたので、ぜひ、さまざまな事業の活用を検討して、しっかりと財源を確保して、令和7年度当初予算に目をさらにしなくても見えるようなぐらいにしっかりと位置づけていただければと思いますが、御所見をお伺いいたします。 〇前川子ども子育て支援室長 先ほども答弁の中で少し触れさせていただきましたけれども、県では、先ほど御紹介ありましたけれども、活用可能な国の補助事業が幾つかございますので、そういったものについて幅広く情報収集を行いながら、官民協働による支援体制の構築に向けて、検討を行っていきたいと考えております。 〇村上貢一委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。 過去には、県内において、ゼロ歳児の虐待死事案等が、近年で3件ございました。ぜひ、何とか、虐待死は最悪の人権じゅうりんであり、絶対にあってはいけないことだと思いますので、県では、そこにしっかりと立ち向かって頑張っていただきたいということをお話ししまして、終わります。 〔「関連」と呼ぶ者あり〕 〇村上秀紀委員 今、児童相談所の件が出ましたので、それに関連して、質問したいと思います。 先ほど、相談対応件数とか傾向については御答弁がありましたが、その中で被害が潜在化、長期化する。そして、複雑化、多様化するというところの観点から、児童相談所と警察との連携方法について、まず伺います。平成30年には、県の保健福祉部と県警察本部において、相互連携に係る協定を締結し、県警察本部に岩手県児童相談所情報管理システムを導入したということですが、まず、このシステムは両者が共有するシステムなのか、また、そうでない場合は、児童相談所の情報管理のシステムがどのようになっているかを伺います。 〇前川子ども子育て支援室長 システムの関係についてでございますけれども、こちらのシステムにつきましては、県警察と児童相談所との間で情報が共有できるようにということで導入されているものであります。 警察で確認できる情報は、一部制限等もかかっておりまして、全ての情報が見られるわけではございませんけれども、閲覧可能な情報につきましては、警察と児童相談所との間で共有し、より迅速な対応ができるようにということで取り組んでいるものでございます。 〇村上秀紀委員 これは、児童相談所にお世話になった方の声とか、また、実際に面接調査に立ち会いまして、その際に違和感を覚えた点も踏まえて、質問します。県と警察との合同実技訓練を行っていると伺ったのですけれども、これは立ち会い調査等の実技訓練ということでしたが、ほかの面接調査についても合同訓練が行われているのかどうかというところを伺います。 〇前川子ども子育て支援室長 合同訓練は、先ほど村上秀紀委員から御紹介あったとおりの内容となっておりまして、面接調査に関する訓練は行われていないところでございます。 〇村上秀紀委員 複雑化、多様化しているということですので、この面接調査についても、これまでの事例などを積み上げて、そして、組織の強化を図っていくことが、今後、必要だと思うのです。 この合同訓練は行われてないということでしたが、例えば、警察から児童相談所に通告されて、その事案が処理された後、そのフィードバックについては、どのように行っているかを伺います。 〇前川子ども子育て支援室長 警察から児童相談所に対して通告があった事案につきましては、児童相談所で方針を決定した後、児童虐待に関する児童相談所と警察の相互連携に係る実施要領に定められた様式によりまして、児童の居住地を管轄する警察署に文書で通知しているところでございます。 〇村上秀紀委員 しっかり事例を積み上げて、その後のノウハウを積み上げているということでございますけれども、このフィードバックした後に、恐らく児童相談所でも、調査方法に関するマニュアルをしっかりと整備されていると思いますけれども、そのマニュアルについて、具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。 〇前川子ども子育て支援室長 児童相談所の調査方法に関するマニュアルについてでございますけれども、児童相談所では、こども家庭庁から発出されております、子供虐待対応の手引きとか、児童相談所運営指針に基づきまして業務を行っているところでございます。 こうした内容につきましては、新任の児童福祉司に対しまして、研修などにおいて、しっかりと児童相談所の役割とか、面接や調査の方法について、研修を実施しているという状況でございます。 〇村上秀紀委員 そのマニュアルの内容について、例えば、初めに警察で調査をして、その後、児童相談所に通告する。そのときに、初めの調査内容とその後の児童相談所での調査内容の方向性に相違があった場合は、例えばその調査途中で、もう一度警察に連絡して、今、こちらで調査したらこういった少し違う状況だけど、どうなのだろうとか、そういった相互の連携は行っているのでしょうか。 〇前川子ども子育て支援室長 児童相談所では、通告を受けて、必要な調査等を行っておりますけれども、通告があった際の通告内容の正確な把握とか、被虐待状況の評価と緊急性の判断、関係機関に対する初期調査など、子供の安全確認のための調査や必要な場合の緊急保護、立ち入り所調査等は、児童相談所がその専門的知識に基づきまして、主体的に実施するものでございますが、情報共有とか、援助要請が必要と判断したものについては、警察と共有しながら対応をしているという状況でございます。 〇村上秀紀委員 それが定められているということですけれども、実際に、本当に相違があったときに、きちんと途中で確認し合っているかどうか。マニュアルがしっかり定められている弊害として、例えばそれに沿っていかなければならないということで、そこに縛られている案件がないかどうかということを聞きたいところなのです。 件数も増加しているし、複雑化、多様化しているということで、また、対応するのはお互い人間ですから、きっと間違いもあると思うのです。今、警察に確認しながらということでしたけれども、そういった中で、実際に確認したときに、相違があった場合、その次の調査の進め方について、具体的に伺いたいのです。 〇前川子ども子育て支援室長 相違があった場合の対応ということでございますけれども、先ほども答弁させていただきましたとおり、調査につきましては、児童相談所がその専門的知識に基づいて主体的に実施するものでございますので、あくまでも、通告を受けた内容を踏まえまして、児童相談所で必要な調査を行って、その後の対応について決定していくという流れになっております。 〇村上秀紀委員 わかりました。 先ほど、村上貢一委員も質疑しておりましたが、こうやって件数がふえているということで、対応するスタッフの増員なども必要なのではないかというお話もありましたし、増員だけではなくて、人材研修も行っているということでしたので、今後、件数はふえていくと思いますので、ぜひ、組織体制は強化していただきたいと思います。 あと一つ申し上げたいのは、実際に、調査で方向性に相違があって、それで、少し具体的に言えば、例えば初めの警察の調査では、今後、よからぬ内容があったかもしれないけれども、実際は、それは誤認であったということがあると、調査を受けた方の御家族とか、子供たちに対して、これからの人生において、心に残るものができてしまうと非常にかわいそうです。一度、少しでも何か相違があったというときには、気軽にお互いに情報共有しながら、複雑化しているからそういう事案が出てくるのはしようがないと思うのですけれども、なるべく誤認を少なくしていきながら、安全、安心な世の中をつくっていただきたいと思います。その辺に関しては、再度、いかがでしょうか。 〇前川子ども子育て支援室長 児童虐待の対応につきましては、まず、中核を担う児童相談所が関係機関と緊密な連携を図って、対応を進めていくことが非常に重要かと思いますが、まず大前提として、子供の安全確保を最優先に対応するというところが重要となっていると思いますので、そのあたりきちんと関係機関と共有を図りながら、今後も、子供の安全最優先で対応をしていけるように、取り組んでまいりたいと思います。 〇高橋こうすけ委員 私からは、産後ケア事業についてお伺いさせていただければと思います。 県内の産後ケア事業の実施市町村数は、令和5年で32市町村となっておりまして、達成度もAとなって、大変すばらしいことだと思っているのですが、まだまだ課題もたくさんあると思っております。 先ほど来、児童相談所とか妊娠相談窓口とか、虐待についてお話が出ているのですけれども、この産後ケア事業に関しても、赤ん坊の虐待だったり、母親のメンタルヘルスといったことにも対応できるセーフティネットとしても、すごく重要な役割を持っていると思っております。 実際に、現場の方と意見交換をさせていただきまして、実際に、子供ができてうれしくて、産むけれども、産んでみたら、思っていたものと何か全然違ったとか、産後には本当にいろいろなパターンがあるのだと聞いております。 実際に、今、産後ケア事業を実施している32市町村は、基本的には、日中やっているということで、夜中に対応しなければいけないという事例もあると聞いております。 そういった中で、産後ケア事業は非常に重要な役割を持っていると思うのですけれども、県内各地の実情に応じた対応が求められることもあると思います。この産後ケアの施設整備に関して、施設の整備のあり方、今後どうあるべきか、お伺いします。 〇齋藤次世代育成課長 産後ケアの施設の今後のあり方についてお尋ねをいただきました。産後ケア事業は、母親の心理的回復、心理的な安定を促進するとともに、母親自身がセルフケア能力を育み、母子の愛着形成を促し、健やかな育児ができるよう支援するものでございます。こちらの意義は、先ほど高橋こうすけ委員から御紹介していただいた内容と一致するものと思います。支援を必要とする全ての方が、身近な地域で利用できる体制の整備を促進する必要があると認識しております。 産後ケア事業の実施方法には、病院や診療所、自治体が設置する施設などで実施する宿泊型や通所型、特定の施設ではなく、利用者の居宅で実施する訪問型の3類型が示されているところでありまして、各市町村における産後ケアに対するニーズや、社会資源の状況に応じた方法により、きめ細かいケアが実施される必要があると認識しております。 したがいまして、宿泊型も含めたきめ細かい産後ケアを受けられる環境の構築に当たりましては、施設整備だけで実現できるものではなく、市町村において継続的な事業化がなされることにより、持続的に運営が可能となるものと考えております。 〇高橋こうすけ委員 知事のマニフェストプラス39でもありますが、県では、全国トップクラスの子育て支援を掲げております。そういったことを掲げている中で、宿泊型産後ケア施設は、今、県内で1カ所のみと認識しております。現場の方と意見交換させていただいて、非常に感じているのは、供給が需要に全然追いついていない。宿泊型産後ケアを受けたいという方がすごく多いと聞いております。 ただ、現場のスタッフの人数も少ない、施設も多くないという中で、他県では、宿泊型産後ケアが非常に進んでいると認識しております。全国と比較して、岩手県は1カ所しかない、少ないと思っているのですが、そういった中で、県で、人材確保も含めて、宿泊型産後ケアを主体的に進めるべきと考えていますが、県の所感をお伺いします。 〇齋藤次世代育成課長 他県においては、宿泊型の産後ケア施設を整備している事例もあることについては、承知しているところでございます。一方で、県土の広さとか、社会資源の配置、人口分布など、本県特有の事情にも注意を払う必要はあるものと考えております。 その上で、宿泊型も含めたきめ細かい産後ケアを受けられる環境の構築に当たりましては、繰り返しになって申しわけありませんが、市町村において継続的に事業化がなされることで、持続的に運営が可能となるものと考えております。 県としては、圏域単位での連携の必要性も考慮しつつ、現在、圏域ごとに開催している連絡調整会議の場などを活用し、市町村や地域の関係者との意見交換を行いながら、各地域の実情に応じた事業のあり方について議論を進めていく考えでございます。 〇高橋こうすけ委員 圏域ごとにということでお話も進んでいるということでございます。そういった広域の連携でも、ぜひあるべきだと私は思っておりますので、前に前に話を進めていただきたいと思っております。 そういった中で、いろいろな地域事情もあると思うのですけれども、一番課題となるのは人材確保の部分と思っております。そういった中で、人材確保に関して、県でサポートできるところが今後あればと思っているのですが、いかがでしょうか。 〇齋藤次世代育成課長 人材確保に対する支援についてでありますが、県では、産後ケアに係る人材を確保し、市町村において継続的に事業化がなされ、継続的な運営が可能となるよう、令和6年度から、新たに県内の助産師の活用促進支援に取り組んでいるところであります。 先ほど申し上げました連絡調整会議の場などを活用いたしまして、市町村や地域の関係者との意見交換を行いながら、市町村のニーズ把握に努めているところでございます。 〇高橋こうすけ委員 国の動向もございます。地域の方々と現場の方々と、話を密にしていただいて、この産後ケア事業をさらに前に進むように、ぜひお願いをしたいと思います。最後に、保健福祉部長から、産後ケアに関する今後の所感をお伺いさせていただければと思います。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 産後ケアについては、高橋こうすけ委員からも御紹介いただきましたけれども、いわて県民計画(2019〜2028)の目標として、全市町村で実施ということで掲げて、今、32市町村まで進んでまいりました。また、令和4年度から市町村と連携して、いわゆる産後ケアの利用料の無償化という形で、市町村と一緒に取り組んで、これに伴いまして、実施市町村も、令和3年の26から令和5年には32、利用者数も、令和5年度は1、265人と約3割増加いたしました。 今後については、高橋こうすけ委員からも御指摘いただいているとおり、さまざまなサービス形態があるのですけれども、地域に応じて、宿泊型も含めて、施設をきちんと整備をしていくこと、そのために、課題となっている人材を確保していくこと、この二つがやはり重要だと思っています。 そのほかにも、産後ケアの利用者については、まだまだ地域差がございます。人材がいる県央部では利用者が多くて、町村部は少ない傾向があるのですが、一方で、小さな町村部でも、利用者が結構ある町村もありまして、いろいろ市町村によって工夫をしながら、利用者のニーズに応えている。 また、デイサービスとか、いわゆるアウトリーチなどもうまく組み合わせながら進めているところもありますので、こういった体制整備とともに、県内でまだまだ進んでない地域もありますので、そういった地域についても展開を図れるように、両面で施策を進めてまいりたいと考えております。 〇大久保隆規副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。 午後2時25分 休憩 午後2時47分 再開 〇福井せいじ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇はぎの幸弘委員 それでは、迅速に質問してまいります。 私は、障がいをお持ちの方の就労移行支援に係る制度について、何点か質問したいと思います。といいましても、これはそもそも国の制度でもありますし、実際の運用は各市町村が行っていると思いますので、この場で質問もどうかと思いましたが、県が全く無関係ということでもありませんので、その趣旨を御理解いただきながら、御答弁いただければと思います。 まず、就労移行支援制度に関しては、2年間の期限つきで、障がいをお持ちの方の企業等に就職させるための支援と認識しておりますけれども、岩手県内における就労移行支援施設の現状について、地域別の施設数とか、過不足がないかとか、それ以外のもし課題もあるのであれば、それも含めて、実情をお聞かせください。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 障がい者の就労支援に係る事業の状況でございますが、幾つかサービスがございまして、まず県内では、障がい者の就労を支援する事業所として、一般企業等で就労が困難な方に就労機会を提供する就労継続支援が、雇用型―いわゆるA型が47カ所、非雇用型―いわゆるB型が208カ所ございます。 また、一般企業等への就労を希望する人に必要な訓練を行う就労移行支援が22カ所、一般企業等に就労した人の日常社会生活を支援し、就労定着を促す就労定着支援が19カ所ございます。 障がい者の地域移行の進展に伴い、総じて、これらの事業所数は着実に増加しているところでございますが、サービス種別で見ますと、就労移行支援の事業所が、近年減少傾向にあります。 また、地域別に見ますと、就労継続支援事業所が比較的偏りなく開設されている一方、就労移行支援及び就労定着支援につきましては、盛岡圏域、岩手中部圏域、一部の沿岸圏域などに偏在している傾向が見られるところでございます。 〇はぎの幸弘委員 今の御答弁ですと、まず、就労継続のほうは堅調であると。ただ、移行支援の事業所のほうが減少ということは、結局、普通は、この移行支援を経て継続のほうに、ステップアップというか移行していくわけですから、それが減少するということは今度は、A型、B型といった継続のほうも厳しくなってくるのではないかと素人考えで思っているのですけれども、今言ったように、移行支援が減少傾向であるということであると、岩手県全体が、イメージとして、特に障がいをお持ちの方が暮らしにくくなるというレッテルを張られるのもどうかと思います。その点について、ぜひ改善していく必要があると思うのですが、御認識を伺います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 先ほど御答弁申し上げました就労移行支援の事業所が減少傾向にある要因としましては、就労移行支援事業所が担う就労アセスメント、これは就労能力の評価等でございますけれども、これが平成29年度以降、特別支援学校においても、高等部在学中の生徒に対して実施可能とする扱いとされたことから、支援事業所を利用せずに一般就労につながる事例が多くなったことによるものと認識しております。 サービス種別で見ると、就労移行支援については減少、あるいは地域の偏りがあることを御答弁させていただきましたが、各地域にはハローワークがございますし、圏域ごとに障がい者就業生活支援センターも整備されております。そういう複数の障がい者の就労支援をサポートする関係機関がございますので、県も含めて、それらの機関と連携しながら、障がい者の就労支援に取り組んでいるというところでございます。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 それはそれで、そのように支援学校でもできるようになってきたということで、裾野が広がったという捉え方もできますが、私が相談を受けた方からの話ですと、就労移行支援の事業所は、いわゆる採算ベースになかなか乗らないというお話を伺いました。 一般企業であれば、企業努力をして経費を節減しながら、経営ベースに乗せていくのですけれども、就労移行の制度はそれが許されないという話を聞きました。その辺は何か改善することを考えなければいけないと思い、そういうことを国に提言もしていったほうがいいのではないかと思うのですけれども、その辺はどのように受けとめていますでしょうか。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 就労移行支援事業所につきましても、国の制度によるサービス支援事業所ということでございまして、人員配置の基準がございます。サービス管理責任者、それから、生活支援員、職業指導員などを置くことになっております。 特にサービス管理責任者につきましては、それぞれの障害福祉サービス事業所に配置が義務づけられているものでございます。そのため、県では、サービス管理責任者の養成を図るため、毎年度、サービス管理責任者等基礎研修及び実践研修を実施しているところでございます。研修修了者につきましては、基礎研修につきましては、おおむね年間約150人、実践研修につきましては約110人となっております。 〇はぎの幸弘委員 先ほども答弁の中に出ていました、いわゆる一般企業への紹介ということでハローワークは管轄がまた別だと思いますから、それは、改めてそちらの場で言いますけれども、今、御答弁の中にありましたサービス管理責任者、これも併任ができないというか、1カ所に必ず1人専属で置かなければいけないと聞きました。 その辺の制度なども、もう少し柔軟にやっていかないと、結局、グループホームなどをやりたくても、人がいない、そういう有資格者がいないから開設できないとかということで、結局、利用者にしわ寄せが寄って、待機する方がふえてくることにもなると思うのですけれども、その辺も国に課題を提起していったほうがいいと思うのですが、その辺についての御所感はいかがでしょうか。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 サービス管理責任者についてでございますが、サービス管理責任者になるためには、障がい児者の支援に係る実務経験を積んだ上で、基礎研修及び実践研修を修了することが必要であり、事業所の開設に当たっては、その適格者の確保に苦慮しているという声があることは承知しております。 はぎの幸弘委員御指摘のとおり、国の制度でございますが、国では、実務経験年数等の要件を満たした基礎研修の修了者を一定期間、サービス管理責任者として配置できる取り扱いとしているほか、令和5年6月からは、実践研修の受講要件を一部緩和するなど、サービス管理責任者の業務を担う人材確保のための措置を講じているところでございます。 こうしたことも踏まえ、県としては、引き続き、計画的な人材養成に努めてまいりますが、国の制度ということでございますので、受講要件等でなかなか人材の確保が難しいという現場からの声も伺っていますので、国に対しては、現場の実態を踏まえた制度となるように、県としても、引き続き要望してまいります。 〇はぎの幸弘委員 ぜひ、その辺をやるべきだと思います。だからといって、一回言ったからといってすぐ制度が変わるというのも非現実的ですけれども、ただ、しっかりと認識してもらうためには、粘り強く働きかけることが大事だと思います。 そうしないと、先ほども言いましたが、健常者だけでなくて、障がいを持った方も含めて、全ての人がいわゆる住みやすい県になっていくという旗上げをするべきだと私は思っております。 保健福祉部長に所感を伺いたいのですが、その前に、県内の33市町村との、情報交換とか連携はしっかりとれているか確認します。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 障害福祉サービスにつきましては、給付決定が市町村の事務となっておりますし、そういったこともありますので、事業所の整備とか、受け入れの数とか、そういったところは、県もそうですが、市町村もそれぞれに障がい者計画を持っておりまして、計画的に整備を進めているところでございます。 その上で、市町村とは、適宜、会議等で情報交換をしておりますし、あと、研修なども市町村と連携をしながら実施しておりますので、そういったところで、今後も連携してまいりたいと思っております。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 いずれ、障がいをお持ちの方にとっては、自立していく上で、制度のしがらみでなかなか思うようにいかないこともあると思いますし、私も小さな会社を経営していますけれども、先ほど御答弁の中でも触れていた、法定雇用率という部分で障がい者を雇用しなければならないという、もうがんじがらめで、しかも、雇いたいのですけれども、人手不足に、さらに、障がいをお持ちの方という条件がつくと、雇いたくても雇えない。それなのに、いわゆる支援金と称するペナルティーをとられるのは、非常に理不尽だと思っています。これは、商工労働観光部の審査で、また質問します。 そういう制度のおかしいと思うところは、国にしっかりと働きかけていく必要があると思うのですが、最後に、保健福祉部長の所感を伺って、終わります。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 岩手県は、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例 に基づいて、ユニバーサルな障がいのある方の就労支援は、本当に重要な取り組みだと考えております。 はぎの幸弘委員から、地域における現場の声、制度には、昔できた制度、国ももちろん不断に見直しをしていると思うのですけれども、全国均一ではない部分、都市部と岩手県ではかなり違う部分、事業者を取り巻く環境、事業所を取り巻く環境も違います。 そういった意味では、現場の地方の声を不断にきちんと国に対して状況をお伝えするとともに、必要な提言、要望について、今後も行ってまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 私からは、農福連携の推進についてお伺いいたします。 農業サイド、福祉サイドのそれぞれの事情、農業サイドの労働者不足とか、障がい者サイドの雇用の場の確保、また、その親和性といったところから、この取り組みがどんどん広がっていけばいいと思っております。 その取り組みを進めていくときに、広げていくときに、まず知ってもらう、そして、踏み出していただく、そして、継続支援、広がっていくという、この三つの視点でお伺いしたいと思います。 その農福連携の取り組みを知ってもらう、認知度向上の取り組みとして、岩手県農福連携応援マークがございますけれども、これの現在の普及状況と活用促進に向けた取り組み、インセンティブ等についてお伺いいたします。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 農福連携応援マークでございますが、先ほど松本雄士委員から御紹介ございましたとおり、県内で生産または収穫された農林水産部、または、その加工品であり、障がい者が生産から出荷までの工程に従事している商品等に対して交付することにより、農福連携に対する認知度の向上、取り組みの応援を目的とするものでございます。 令和元年度の制度開始からこれまで、19事業所、34商品に対し交付しており、現在は、5事業所、9商品で、継続して活用されているところでございます。 農福連携応援マークの効果としましては、障がい者に対する合理的配慮や、共生社会への理解の広がりにより、農福連携の理念に共感する消費者層への訴求が可能となることが考えられます。 令和6年度から新たに、就労支援事業所に対し、商品開発や魅力あるデザイン等の助言指導を行うアドバイザーの派遣等も行っておりまして、そういった取り組み等も含めまして、応援マークの認知度向上活用を促してまいりたいと思います。 〇松本雄士委員 現在は、5事業所、9商品と、非常に低調、停滞しております。農福連携の応援マークがあることは余り認知されてない方が多いのではないのかと思っております。 そこで、本県において、障がい者芸術と株式会社ヘラルボニーはもう本当に世界に向けて取り組んでいて、そういったところとコラボできたらすてきなのですけれども、ヘラルボニーに限らず障がい者芸術に取り組んでいる団体の方々が多くいらっしゃって、そういった芸術祭へ行きますと、本当に際立ったすばらしいものを感じます。 その応援マーク一つということではなくて、そういった方々とのコラボで、そういうのをパッケージに採用するとか、障がい者芸術活動との連携、農業、福祉、芸術のコラボ、農福アートみたいな、こういった取り組みに発展していけば、もっと認知度向上は上がっていくのではないかと思うのですけれども、その辺のところについての見解を伺います。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 農福連携マークにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、農福連携の理念に共感する方とか、障がい者を応援したいという方への訴求が可能になると考えておりまして、御指摘のとおり、このマークがあることをしっかりと認知度を上げていかなければならないと思っております。その普及啓発にも、今後、さらに努めてまいりたいと考えております。 先ほども少し御答弁申し上げましたが、令和6年度から新たに、就労支援事業所に対して、商品開発や魅力あるデザイン等の助言指導を行う専門アドバイザーの派遣事業を実施しております。農福連携応援マークの活用促進もそうですが、松本雄士委員御提案の障がい者芸術との連携等も含め、認知度や付加価値の向上に取り組んでいきたいと考えております。 ヘラルボニー社のお話もございましたが、そのほかにも、県内でも障がい者アートに取り組んでいらっしゃる社会福祉法人とか、さまざまな作家がいらっしゃいます。いろいろなところでポスターとかチラシとかそういったものにも活用されている方々がいらっしゃいますので、そういった幅広い連携先の可能性を、今後、検討してまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 今、御答弁で、いろいろ前向きに検討していただけるというところ、本当に進んでいただきたいなと思います。こういうのを買う、エシカル消費と今は言うのですかね。いろいろ地域貢献の消費、価格だけではないとか、自分の好みだけでなくて、地域共生等に貢献するというところでの消費につながるものだと思いますので、そういうところを、既存のままですと、しぼんでいくだけでは認知度が上がらないので、そういったアイデアのところを、ぜひ取り入れてやっていただいて、まず知ってもらうということ。 知ってもらった上で、今度は農業者サイドと福祉サイドに踏み出していただかなければならないのですけれども、現在、農福連携に取り組む法人や福祉サービス事業者へのハード支援として、国の農山漁村振興交付金の農福連携型があるのですが、現在、農福連携に取り組んでいる事業所は、全体で、先ほどの就労支援が250ぐらいの中で、約半分ぐらいあるし、興味があるところも40ぐらいと、一定数はあるのですけれども、国の事業が平成29年から始まっているのですが、本県では、採択が6件ぐらい、百何十億かそういう農福連携をやっている事業があるのですけれども、採択件数は少ない。令和5年度はゼロと、ほとんど活用されていないという実態がありますけれども、その要因をどう捉えているのか、お伺いいたします。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 国の交付金についてでありますが、松本雄士委員御紹介の農山漁村振興交付金の農福連携型のこれまでの活用実績は6件となっております。活用が進んでない要因としましては、農業経営体においては、経営の拡大等の計画に応じて、当該事業、当該交付金に限らず、国や県のさまざまな事業の中から、みずからの経営に最も適した事業を活用しているものと伺っております。 一方、6府県ではございますが、交付金を活用した社会福祉法人や農業経営体からは、ソフト対策による生産加工技術の導入とか、ハード対策による設備導入により、農林水産分野への事業が軌道に乗ったという事例もあると承知しております。 県としては、こういった支援制度や成果の事例なども情報提供しながら、制度の活用について、さらに丁寧に支援してまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 現場に行ってお伺いしますと、国の制度はハードルが高過ぎると。3年で5名以上そういった雇用をふやせとかで、そもそも現状維持が精いっぱいの中でどうにかやっているのに、なかなか厳しいということです。 そういったところで、さきの一般質問でも、私は、この件に触れて、いろいろ答弁いただいたので、その中では、民間の団体とか公益財団法人で、比較的低廉でハードルが低い支援制度があって、そういうものを周知しているということでありました。改めてお伺いしますけれども、最初は、スモールで、スピーディーで、シンプルな、そういった支援があってほしいのですけれども、県としてのお考えをお伺いいたします。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 農福連携に取り組む上でのハード整備という部分で、民間の助成もございまして、それらの情報提供に努めているところでございますが、先ほど御紹介のとおり、草刈り機とか、そういった比較的低廉なスモールな設備導入にも活用された実績があることも承知しております。 この事業も、確かに雇用条件などがあるのでハードルも高いのですが、そもそも知られているのかどうかというところもしっかり検証しながら、障がい者就労支援センターのコーディネーター等とも連携しまして、こういった助成事業があるというところを、活用を丁寧に周知しながら、促していきたいと考えております。 〇松本雄士委員 県での検討は、あまり前向きな答弁をいただけなかった。ぜひ考えていただきたいですし、公益財団法人とか民間の支援制度はほとんど知られていません。私も教えてもらって、現場へ持っていって、ああ、こういうのがあったのだといった感じでしたので、ぜひ、その周知にもっと努めていただきたいなと思いますし、県での検討も、引き続きお願いしたいと思います。小さな一歩が後々の大きな広がりになりますので、ぜひ、その小さな一歩を支援していただきたいと思います。 そして、その広げていくための継続的な支援として、その体制のところ、こちら側の推進体制としての充実強化が必要と思っていまして、県では、農福連携のコーディネーターを県の社会福祉協議会に委託している。農福連携のコーディネーターは1名です。全体では、就労支援コーディネーターは3名委託し、農福連携に1名専任してもらっているという中で、一人で、先ほどの件数とか、また、この県は広いという中で、御苦労されているという話を聞いてきました。 そういった中で、就労支援コーディネーター3名分総体の委託費は、令和5年度は1、497万円であったのが、令和6年には約260万円削減されて1、231万円になってしまった。なかなか活動も大変だという話を聞いております。どのような理由で、どのような部分が削減されたのか、お伺いいたします。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 農福コーディネーターの予算についてでございますが、令和6年度の障がい者就労支援センター設置運営事業に係る委託料の削減は、財源となる国庫補助金の補助率引き下げに伴うものでございます。再委託業務の内製化とか、事務費の削減等、業務合理化を図りながら、事業の中核を担うコーディネーターの配置については、3名体制を維持したところでございます。 〇松本雄士委員 1、200万円で3名というのが十分かどうかというのはあるのですけれども、現場は、前は1、500万円のところで、いろいろな事業を3名体制で、広い県内をカバーしてやっていたが、非常に厳しくなってきた。国庫補助金が下がったから県は下がってしまうのかといったような意見等、いろいろ内製化、合理化というところには当然努めているけれども、その辺のところをいろいろ苦労しているという話を聞いてまいりましたので、ぜひ、また、次年度の予算の際には、いろいろ検討をしていただきたいと思っております。 そういった予算が減ったときに、保健福祉部だけの予算ではなくて、農林水産部でも、いわゆる部局横断的にいろいろ必要なところを手当てしていくことがあっていいのではないのかと思っております。そういったところの予算措置の確保のところに対する、どういった連携がとられているのか、また、その考えをお伺いいたします。 〇佐々木障がい保健福祉課総括課長 農福連携推進に当たっての他部局との連携でございますが、当部では、先ほどの障がい者就労支援センター設置事業により農福連携の推進を行っておりますが、当部所管の事業のほか、県南広域振興局では、支援人材の育成やマッチング支援、福祉関係者向けの研修会等に独自に取り組むなど、現場のニーズに即した事業を、農業振興施策として取り組んでいるところでございます。 こうした取り組みにつきましては、農業、流通、福祉関係者のほか、農林水産部等の関係課を構成員とする県設置の農福連携協議会において共有をしておりまして、現場の課題や施策のさらなる推進について協議をしているところでございます。引き続き、農林水産部など他部局とも連携しながら、農福連携を一層推進してまいりたいと考えております。 〇松本雄士委員 農林水産部と連携して、そういった手当てしている例もあるというところでして、障がい者就労支援コーディネーターの農福連携のところも、農林水産部局と連携して、また、その辺のいろいろな必要な役割等に対する予算措置を検討していっていただきたいと思います。 最後に、この体制のところについて保健福祉部長にお伺いしたいのですけれども、大抵、北海道から東北地域で、農福連携を推進するには、農林水産部が主体となっているようなケースが多くて、さらに山形県は、最近、農福連携推進センターも設置して、農福連携の推進を進めている。食料農業農村基本法が改正になって、新しくできる46条にも盛られて、また、農林水産省が、農福連携等推進ビジョンを新たにつくり直して、強力に進めていくというところがありまして、私とすれば、どちらがというのはあれですけれども、個人的な考えとすれば、農林水産部主体ですし、こういった農福連携推進のセクションがあってほしいと思うのですけれども、そこについての所見をお伺いいたします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 松本雄士委員御指摘のとおり、農福連携については、福祉的なアプローチのほか、農林水産サイドからの効率的な支援とか、安定的な農業経営とか、両方からのアプローチが必要だと考えております。 先ほど障がい保健福祉課総括課長から御答弁申し上げましたとおり、県内の関係する部局で、協議会という形で課題共有に努めているところですが、どういった形が適切なのか。多分、それぞれ都道府県でいろいろ過去の経緯とか地域の事情などもあって、今に至っているのではないかと思いますので、少し他県の事情なども研究していきながら、農林水産部等関係部局とも少し意見交換をしながら、検討してまいりたいと思います。 〇菅原亮太委員 産後ケア事業利用件数は、3、393件の目標に対して、令和5年度は2、947件でB評価となっておりますので、これをどうやってふやしていくかというところを踏まえて、質問していきたいと思っています。 まず、そもそもの前提として、子ども・子育て支援法には、都道府県の役割として、基本指針に基づき、都道府県事業計画を作成し、市町村の区域を越えた広域的な調整などを定めるよう努めるといった役割記載がありますけれども、これを踏まえて、県として考える県の役割とは何か。そして、県として果たしている役割、取り組みについて、どのようなものがあるか伺いたいと思います。 〇齋藤次世代育成課長 産後ケアにおける県の役割についてでありますが、先ほど菅原亮太委員が御紹介くださいました、子ども・子育て支援法の地域子ども・子育て支援事業といいますのは、市町村が地域の実情に応じ、市町村子ども・子育て支援事業計画に従って実施するものとされているスキームであります。今般の法改正により、産後ケア事業もこれに位置づけられたものと承知しております。 同法や今後改定が予定されている産後ケア事業ガイドラインによれば、都道府県には、実施主体である市町村を広域支援することが期待されていると承知しておりまして、県としては、支援を必要とする全ての方が利用できるようにするため、産後ケア事業の推進に取り組む市町村への支援を充実してきたところです。 県は、これまでも、国庫補助が導入される以前である令和4年度から、市町村が行う産後ケア利用料の無償化に対する補助を実施してきており、さらに、令和6年度においても、全国でも例の少ない産後ケア利用時の子供の一時預かりや、交通費の支援に対する補助を新たに開始したところです。 別の答弁と重複いたしますが、また、産後ケアに係る人材を確保し、市町村において、継続的に事業化がなされるよう、県内の助産師の活用促進支援にも、令和6年度から新たに取り組んでいるところです。 〇菅原亮太委員 市町村の支援を行うというのが県の役割だという答弁をいただきました。 ここで、県産婦人科医会と自由民主党会派で懇談をいたしたことがありまして、その際に出た提言について、御紹介させていただきたいと思います。 県産婦人科医会から、県立病院で産後ケアを受けられる体制を整備することについて提言したいというのがありました。概要をかいつまみますと、産後ケア事業は、市町村保健師が対応していますが、助産師がかかわらないとケアができません。盛岡市では、幾つかの出産可能な産科診療所で産後ケアを提供していますが、県北部、沿岸部では、出産可能な産科診療所がなく、市町村も助産師の確保ができず、全く進んでいない市町村もあります。産後ケアを行っている市町村産科診療所でさえ、希望者が多く、産後ケアを希望する全ての妊産婦を受け入れることができず、困っている状態で、この状態が続けば、児童虐待、心中、自殺などは減少せず、人口減少に拍車をかけると思われます。 よって、県立病院の空きベッドを活用したりして、県立病院でも積極的に産後ケアに取り組むことを提言したいといったことで、県産婦人科医会からもこういったお話をいただきましたが、これについて、県の見解を伺いたいと思います。 〇齋藤次世代育成課長 菅原亮太委員に御指摘をいただきました、助産師を中心とした人材の不足に関しましては、県でも、県産婦人科医会や市町村等から、その実情について伺っているところであります。 御指摘の県立病院の産後ケア事業への参画についてでありますが、県立病院についても、地域において産後ケアにかかわる1主体となり得ると認識しておりまして、事業委託等による連携の必要性が生じた場合には、県が市町村と県立病院の間に入ることにより、広域調整の機能、役割を果たす必要があると考えております。 県立病院としての対応については、医療局へお尋ねいただければと存じます。 〇菅原亮太委員 考え方を伺えてよかったです。 先ほどの高橋こうすけ委員への答弁でも、宿泊型も含めたきめ細かい産後ケアを受けられる環境の構築に当たっては、市町村においても、継続的に事業化がなされることで、持続的な運営が可能となるものと考えておりますという御答弁がありましたけれども、助産師の確保が、市町村にとっても本当に大きな課題と感じています。特に宿泊型というと、夜勤できる助産師の確保は、市町村の担当の方に聞きますと、本当にそこが厳しい、難しいといった声も伺いました。 先ほどの産婦人科医会からの提言もあったように、県で夜勤の助産師を集約するような形で、宿泊型産後ケアをできれば、そういった課題も解決できるのではないか。例えば、市町村はアウトリーチとデイサービス、県はショートステイ、宿泊型という形で、そういった役割分担も、ぜひ、今後も検討いただけたらありがたいと思っております。 最後、令和6年度から助産師の活用促進支援に取り組んでいますという御答弁をいただいていますけれども、これは、まだ内容が全然決まってないと伺っておりますので、これも、早く制度を開始できるように、市町村のほうも待望しておりますので、ぜひ、迅速にお願いしたいと思っております。 次に小児科医の確保について伺います。小児科医の確保の前に、県の事業で、産科診療所開設等支援事業費補助制度がありますけれども、これは産婦人科を開業したいというときに、県で助成しますという制度だと思いますが、これについて、令和5年度だけでなくて、これまで一度も利用実績がないと伺っておりますが、その理由についてと、また、利用実績がなくても、これを予算化して、事業として残している理由について伺いたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 産科診療所開設等支援事業費補助制度につきましては、平成30年度に導入したところでありますが、制度開始前の10年間において、分娩を取り扱う診療所は、平成19年度の32施設から、平成28年度には20施設へと大幅に減少し、診療所がない地域が複数発生したことから、産科診療所の開業支援や、産科医確保のための施策として、新たに施設を開設する場合等の県単の補助制度を創設したものであります。 一方で、県内の分娩数が年々減少し、出産年齢の高齢化により、ハイリスク妊産婦が増加傾向にある中で、関係学会からは、産科医の十分な人数の配置が求められていることなど、安全、安心な妊娠、出産ができる体制整備が重視されているところであります。 こうした状況の中で、周産期母子医療センターなどの規模の大きい病院に勤務する医師が多くなっている傾向がありまして、こうしたことなどが、これまで利用実績がない理由と考えております。 また、予算化の考え方についてでありますが、県内で分娩を取り扱う診療所は、制度を創設した後も、当時の18施設から10施設に減少しているところであります。こうした状況を踏まえまして、県としましては、県内の分娩取り扱い医療機関を確保、維持していく必要があると考えており、また、県内での開設等のニーズがあった場合に、速やかに支援できるよう、事業を継続し、毎年度、予算化しているところであります。 一方で、先ほど御答弁申し上げましたとおり、産科医は、周産期母子医療センターなど規模の大きい病院に勤務する傾向があり、また、本制度の目的の一つであります産科医確保につきましては、奨学金制度により着実にふえている状況がありますので、こうした状況を踏まえつつ、今後、どういった施策が効果的であるか検討しながら、周産期医療の充実に向けて取り組んでまいります。 〇菅原亮太委員 利用実績がなくても、予算化して残している理由としては、産科医の招致活動をするときに、うちでこうやってハード整備しますから、体一つでも来てくださいと。多分、セールスのためのツールとして、そういった事業を残しているのだと思いました。 それを踏まえると、小児科も開設支援事業があっていいのではないかというお話でございます。市町村の担当者に聞いても、分娩施設が少なくなっているのは本当に喫緊の課題でありますけれども、それと同時に、小児科医も本当にどんどん減っているというところで、産科施設同様、小児科施設も、県民の安心、安全な暮らしを築く基盤であって、安心して子供を産み、育てる重要な基盤と私も考えています。 市町村からも、小児科医の確保についてお願いしたいと、県にも要望が出ていると思いますけれども、であれば、こういった小児科開設支援事業もあってもいいのではないかと思うところでありますが、それについて、見解をいただければと思います。 〇菊地地域医療推進課長 小児科の開業の補助事業についてでありますが、産科開業の補助事業につきましては、先ほど御答弁しましたとおり、診療所がない地域が複数発生したということで、制度をつくったものでありますが、小児科につきましては、標榜する医療機関が、直近の10年間で155施設から126施設へと減少しているものの、全ての二次医療圏において開設されているというところでございます。 このため、現時点におきまして、小児医療施設の開設に係る補助制度の導入には至っていないというところでございまして、奨学金医師の養成による小児科医の確保、育成などにより、引き続き、小児医療体制の充実に取り組んでまいります。 〇菅原亮太委員 今のところは、医療圏で開設されているから必要ないという答弁でございました。これは、将来的にはどうなるかわからないというところもありますので、引き続き、議論していきたいと思っております。 最後ですけれども、県保健医療計画を見ますと、小児地域医療センターが各県立病院にあるのですけれども、県立胆沢病院と県立釜石病院だけ、小児地域医療センターが設置されていない状況であります。 分娩施設がないから設置してないのかと感じましたけれども、地元としては、本当に小児科不足が深刻というところで、そういう分娩施設がないところこそ、小児地域医療センターを配置してほしいといった要望もいただいております。 県として、小児地域医療センターについて、県立胆沢病院だったり、県立釜石病院への設置について、検討の考えを伺いたいと思います。 〇菊地地域医療推進課長 県立胆沢病院と県立釜石病院の小児地域医療センターの設置についてでありますが、安全、安心な地域の小児医療体制を維持していくため、小児地域医療センターにおきましては、常勤医複数名の体制で、入院を要する小児救急医療に24時間対応可能な機能を担っておりまして、一般的な小児外来などの身近な医療につきましては、各圏域内で対応しているところでございます。 今年度からスタートしております県の第8次保健医療計画で、小児医療体制の検討に当たりましては、大学教授や医療関係団体等の専門家、市町村や消防などで構成します岩手県周産期小児医療協議会の場において、県立釜石病院につきましては、小児地域医療センターから小児地域支援病院に変更し、県立胆沢病院につきましては、引き続き、小児地域支援病院としたところであります。 将来的な小児地域医療センターの設置につきましては、今後の小児科医の確保状況や患者数の推移などを踏まえまして、岩手県周産期小児医療協議会等の関係者の意見をいただきながら、検討をしていくことになると考えております。 〇斉藤信委員 それでは、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きいたします。 昨年度の感染状況はどうだったのか。第9波、第10波、今年度の第11波の感染状況について、高齢者施設、医療施設のクラスター発生状況、入院患者の状況、死者数について示してください。 〇太田感染症課長 本県における感染の状況についてでありますが、昨年度のいわゆる第9波及び第10波、今年度の第11波につきまして、それぞれ8週間の比較となりますが、高齢者施設のクラスター報告数については、第9波は63件、第10波は57件、第11号は58件となっており、医療施設のクラスター報告数については、第9波は23件、第10波は30件、第11波は25件となっております。 また、入院者数については、県内の主な21病院の延べ人数となりますが、第9波は5、481人、第10波は4、900人、第11波は3、819人となっております。 次に、厚生労働省の人口動態統計月報における新型コロナウイルス感染症を死因とする死亡者数については、第9波があった令和5年8月から9月の2カ月間は102人、第10波があった令和6年1月から2月の2カ月間は98人となっております。 なお、第11波があったことし8月から9月の統計は、まだ公表されていないところです。 〇斉藤信委員 昨年の5月8日に新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけが5類に移行したのです。それ以降、9波、10波、11波と、今、答弁があったように、高齢者施設のクラスター発生状況はほぼ同じレベルです。医療機関の場合も、ほぼ同じレベルで発生している。 死者数で見ると、第9波は102人、第10波は98人ということで、これまた、大変なシェアが出ている。私は、新型コロナウイルス感染症対策の究極の目標は、死者をなくすことだと思うのです。 調べてみましたら、第6波は43人、第7波が97人なのです。第8波が、これは去年の3月9日まで、私が質問する直前までで416人でしたから、第8波が本当に大きな波だった。しかし、それと比べると、第8波以外と比べると、死者数は今のほうが多いと言ってもおかしくない状況なのです。 クラスターもそうです。感染者数は、今は正確に全数調査ではないので比較できないのですけれども、私は、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけは5類に移行したけれども、本当に同じような規模で、9波、10波、11波、波が続いているのではないか。この点についてお聞きします。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 斉藤信委員御指摘のとおり、昨年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類になりましたけれども、新型コロナウイルス自体は今もあり、これまでいわゆるパンデミックということに対応していましたけれども、エンデミックという形で、季節性インフルエンザと同じような対応に制度的にはなりました。 ただ一方で、病原性等は全く変わってなく、オミクロン株が続いていますけれども、株も毎回少しずつ変異をして、流行の波が、今、夏の波と冬の波といった形で続いておりまして、それに伴いまして、クラスター等についても、引き続き発生しているという状況と認識しております。 〇斉藤信委員 それで、改めて、私、経緯を見て驚いたのは、今お話ししたように、第8波は最大の波で、死者も多かった。実は、この第8波のさなかに5類移行の方針が決まっているのですよ。いわば、終息したから、そういう傾向があるから、5類感染症への移行を決めたのではないのですね。もう全然関係なく、第8波の一番大きな波の後半の部分で、去年の1月ですから。 本当に、これは財政の理由ですよ。新型コロナウイルス感染症にお金をかけられないと、そういう財政的な事情から、新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行したのではないか。そういう意味で、この点は大変大事なことだと思いますけれども、もう一つお聞きしたいのは、高齢者施設における感染者に対する対応は、今どうなっているのでしょうか。 〇下川長寿社会課総括課長 高齢者施設における感染者に対する対応についてでございますが、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行しました現在において、高齢者施設の入所者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、病状が軽症の患者には、薬の処方などにより施設内療養が行われておりますが、医師が入院による治療が必要だと判断した場合には、受け入れ可能な医療機関へ入院して、治療が行われております。 県では、5類感染症に移行するに当たりまして、高齢者施設等に対しまして、基本的な感染対策の徹底、感染者が発生した場合の療養体制の確保や、協力医療機関等との連携内容の再確認などについて、文書で依頼を行ったところでございます。 〇斉藤信委員 そこで、実は、第8波のときに、全体の死者が多かった。去年の予算特別委員会で私が取り上げたときに、第8波は、そのときに死者は全体で416人でした。ところが、高齢者施設の施設内で亡くなったのは124人なのです。これは約3割です。これは、私はもう大問題だと思います。 この新型コロナウイルス感染症の対応を県も検証したと思うのですけれども、私、振り返りを読んでみたけれども、そういう事実の認識もない。残念ながら、この教訓をどう生かすかという記述もなかった。第8波で死者の3割が高齢者施設内で、当時、とめ置きと言われました。ここで亡くなったということをどのように検証したのか示してください。 〇吉田医療政策室長 コロナ禍の振り返りでありますが、医療提供体制や検査体制等につきまして、医療体制部会とか感染症専門部会で御議論いただきながら、振り返りは行ってきたというところでございます。 斉藤信委員から御指摘がありました、高齢者施設の死者についても、医療機関で治療を必要とする方々といったところは適切に医療機関で治療をしてきたというところもあり、感染状況に応じた医療提供体制については、提供してきたというところでございます。 〇斉藤信委員 私は、去年の県議会2月定例会でも取り上げたけれども、あなたがそう言うのだったら、こんなに死者は出ないのですよ。死者の3割が高齢者施設内療養中で亡くなった。実態は、酸素飽和度が高い。本来なら入院させなくてはならない、そういう入所者も入院できなかった。これは事実ですよ。 だから、亡くなった3割が、高齢者施設の施設内療養で亡くなったことをもっと検証して、そうならないような対策をしっかり打ち出す必要があるのではないか。これは、もう一回、保健福祉部長に聞きましょう。 〇野原企画理事兼保健福祉部長 再流行期だった第8波におきましては、確かに介護施設等の高齢者施設を初め医療機関でも、かなり対応が難しい状況でした。 我々も、高齢者施設等で、本当に医療が必要な方々については、治療されたと思うのですが、課題としては、パンデミックにおける介護施設等の福祉施設と医療施設との連携体制、これが日ごろ、もちろん形式上はあるのですけれども、そういった部分が弱かったと考えております。 したがいまして、今後、新しい介護報酬、医療報酬のほうでも、そういった連携についての加算なども、そういったことを踏まえても設けられたと認識しておりますし、県としても、そういったことを踏まえて、医療施設と介護施設等との連携、こちらについて取り組みを進めているところでございます。 〇斉藤信委員 第8波は、確かに本当に爆発的な感染と言ってもいいような状況だったということもありますけれども、本当に死者をなくすという、そういう犠牲者をなくすというのが究極の目標ですから、振り返りの中で、10万人当たりの感染者数は、岩手県は最低なのです。そういう意味では、私は、岩手県は頑張ったと思います。 しかし、死者数で見ると、少ないほうだけれども、そういう犠牲者が出たのも事実ですから、しっかり検証して、私は、この対策ももっとわかりやすいものにぜひしていただきたいと思います。 そこで、世界的な感染状況、各国の対応についてはどうなっているか示してください。 〇太田感染症課長 世界的な感染状況と各国の対応についてでありますが、国立感染症研究所の令和6年9月の調査分析によりますと、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は継続しており、オミクロン株のJN.1系統が本年1月ごろに主流になった後、4月ごろからKP.3系統の割合が世界的に増加していることが報告されております。 令和5年3月に、WHOが公表した新型コロナワクチンに係る指針におきまして、高齢者や基礎疾患を持つ方を対象とした追加接種が推奨されているところであり、欧米等の諸外国におきまして、高齢者等へのワクチン接種が継続されているところでございます。 〇斉藤信委員 世界的な流行が継続している。日本も、9波、10波、11波と。ほとんど同じレベルで推移をしているのではないか。だから、この冬に第12波はあり得るのです。そういう意味では、政府は、何かもう終わったような感じで、補助もなくす、何もなくすというふうにしていますけれども、今、病院は面会禁止です。施設も面会禁止です。いわば5類感染症移行前と同じ体制で、今の感染対策に取り組んでいるのが病院や高齢者施設の実態です。そういう点で、しっかりした情報発信をしていただきたいと思います。 そこで、新型コロナウイルス感染症関連補助金の縮小、廃止の影響について、医療機関の経営状況などについて示してください。 〇太田感染症課長 補助金の縮小、廃止の影響についてでありますが、令和5年11月に公表された医療機関の経営状況に係る国の調査によりますと、令和4年度における一般病院の収支は、平均で4、000万円余りの黒字でありましたが、新型コロナウイルス感染症関連補助金の収入を除きますと、2億2、000万円余りの赤字であるとの結果が示されているところです。 また、令和5年度の実績については、まだ公表されていないところです。 なお、総務省が先日公表しました令和5年度地方公営企業等決算の概要におきまして、全国681の病院事業の収支総額について、令和4年度は1、996億円の黒字だったところ、令和5年度は2、055億円の赤字となり、差し引き約4、000億円の収支が悪化していることが示されております。 医療機関の経営に与える影響については、引き続き、情報把握に努め、対策が必要な場合は、全国知事会等を通じて国に要望してまいりたいと考えております。 〇斉藤信委員 民間病院も公立病院も、本当に、新型コロナウイルス感染症関連補助金がなかったら赤字だと。特に県立病院は35億円の損失を出しましたけれども、令和5年度は、60億円の補助金が18億円に減ったのです。だから、まだ継続している中で、補助金を削られるということは、本当に赤字を押しつけるような体制で、これも全国的な問題にして、民間も公立もやっていけませんから、ぜひ、しっかり対応していただきたい。 最後に、介護の問題についてお聞きいたします。 県内における介護離職の状況、介護事業所の休止、廃止の状況と、その理由を示してください。 〇下川長寿社会課総括課長 県内における介護離職等の状況についてでございますが、介護離職の状況につきましては、総務省の実施した令和4年就業構造基本調査によりますと、前職の離職理由のうち、介護、看護のために過去1年間に離職した者の数は、全国で10万6、000人、そのうち本県は1、100人となっております。 また、県内の介護事業所の休止、廃止の状況についてでございますが、令和6年度は、8月までの間に63事業所が休廃止をしております。そのうち6事業所が経営難を、23事業所が人材不足を理由としているところでございます。 〇斉藤信委員 本当に私は、介護の土台が、今、崩壊しつつあるのではないかという気がいたします。 そこで、介護職員の離職と確保が大変切実ですが、この介護職員の不足の状況、そして、介護職員の賃金の実態、この間、引き上げの状況を示してください。 〇下川長寿社会課総括課長 介護職員の離職等の状況についてでございますが、公益財団法人介護労働安定センターが実施した介護労働実態調査によりますと、令和5年度における本県の介護職員等の離職率は12.2%でございます。近年は、10%台から13%台で推移している状況でございます。 また、介護職員の賃金の状況についてでございますが、令和5年度賃金構造基本統計調査によりますと、本県の介護職員の月額平均賃金は21万7、800円であり、令和元年度と比較すると1万7、500円増加をしております。 一方で、全国の介護職員の全国平均賃金との比較では、3万600円低く、本県の全産業の月額平均賃金との比較では、4万1、800円低い状況となっております。 引き続き、処遇改善が必要な状況にあるものと認識しております。 〇斉藤信委員 21万7、800円は、全国の全産業と比べると、10万円低い。本当に低賃金のまま置かれているために、介護で働きたいと思っても、介護職に就けない。親が反対する、そういう深刻な状況です。 私たち日本共産党は、国の介護保険に対する国庫負担が、今、25%ですけれども、これを35%に引き上げて、いわば、国民の負担なしに介護の状況を改善するということを提案しております。 国庫負担を10%上げろというのは、自由民主党、公明党も、政権を離れたときに言っていたのです。だから、これは本気になってやれば、国庫負担の増額で、今の崩壊状態の介護保険の状況を打開できるのではないか。私はこのように思います。 最後ですけれども、高齢者施設等への物価高騰対策について、令和5年度はどれだけ支援したのか、令和6年度の見通しはどうなのか、このことをお聞きいたします。 〇下川長寿社会課総括課長 高齢者施設への物価高騰対策の支援についてでございますが、県では、物価高騰により厳しい経営環境にある高齢者施設を支援するため、令和4年度から令和5年度に計3回、累計で7億7、515万円の物価高騰支援金を支給したところでございます。 支援金については、事業者団体との意見交換等も参考にしながら、令和5年度には、対象に訪問、相談系の事業所を追加したほか、令和5年度の2回目におきましては、入所系及び通所系の介護事業所への支援金に、食材料費分を加え、拡充を図ったところでございます。 現在、国において、物価高騰に対応した新たな経済対策の策定が進められているというところでございますので、県としましては、こうした動向を注視しながら、必要な対応について検討をしてまいりたいと思います。 〇斉藤信委員 7億7、515万円の支援をしたということですからね。これがなかったら、この分が高齢者施設の負担になりますので、ぜひ、国と並行して取り組んでいただきたい。 〇高田一郎委員 それでは、私からは、最初に、岩手県子どもの幸せ応援計画(2020〜2024)についてお聞きいたします。 ことしは最終年度でありますので、まず、何が前進したのか、実現できなかった課題、また、今後重視しなければならない課題について、まず示してください。 〇齋藤次世代育成課長 子どもの幸せ応援計画(2020〜2024)についてでありますが、現計画に掲げる主な指標のうち、母子世帯の親の正規の職員、従業員の割合が、平成30年度の48%から令和5年度速報値で61.9%まで上昇しております。 また、子ども食堂など、子どもの居場所づくりに取り組む市町村数は、平成30年度の16市町村から令和5年度では26市町村まで増加しているところです。 一方で、昨年度実施した岩手県子どもの生活実態調査結果も踏まえますと、今後、重視すべき課題が幾つか見えてきております。前回の調査と比較して、母子父子寡婦福祉資金などの支援制度を知らないと回答した母子父子世帯の割合が増加しているところでありまして、県としては、母子父子自立支援員による相談支援、児童扶養手当の支給や、母子父子寡婦福祉資金の貸し付けなどの経済的支援策の周知に努めていく必要があるとの考えです。 また、お金の相談、家計管理についての悩みの項目において、悩みがあると回答した割合が、母子世帯では両親のいる世帯と比べて高くなっております。このことから、母子世帯の公的なサービスの有効活用の促進や相談窓口などを柔軟に運用していくことが重要な課題であると認識しております。 今後も、ファイナンシャルプランナーによる家計管理の支援、母子世帯の母等を対象とした職業訓練を実施するなど、就労、収入面の支援の充実に取り組んでいくとともに、ひとり親家庭等応援サポートセンターによる相談支援体制の充実を図ってまいる考えでございます。 〇高田一郎委員 子供の貧困問題で一番深刻なのは、ひとり親世帯の相対的貧困率が非常に高いということだと思います。全国的には44%と言われていますけれども、この問題解決が大事だと思います。 この間、岩手県も、就労支援とか、あるいは経済的な支援、今、相談支援という話がありましたけれども、さまざまな取り組みで支援をしてきました。こういう取り組みの中で、本県のひとり親家庭の相対的貧困率がどのように改善されたのか、どうなっているのか。 また、ひとり親世帯への今後の取り組みについてですけれども、これは午前中議論もありました。この中で、就労支援、教育支援、相談支援、この三つが大事だという答弁でありました。 したがって、この間、子どもの幸せ応援計画を5年間取り組んできて、この三つが大事だということは、私もそのとおりだと思います。今回、5年間取り組んできて、この三つの支援は、具体的に、今後どうしようとしているのか、何か考えといいますか、方針があったら、お伝えいただきたいと思います。 〇齋藤次世代育成課長 まず、相対的貧困率についてであります。子供の貧困率については、厚生労働省が国民生活基礎調査において、3年に一度調査を行っており、都道府県別の数値は未公表となっているため、都道府県、市町村別のデータを提供するよう、国に対しては要望を継続している状況でございます。 県で実施している岩手県子どもの生活実態調査については、令和5年度に実施したところでありますが、こちらは、小学5年生、中学2年生の児童生徒及びその保護者に限定し、実施した抽出調査でありますため、所得に関しても、世帯の収入階層区分のみを調査項目としておりますため、国が公表している相対的貧困率と同等の算出は難しいところでございます。 いずれにせよ、ひとり親や低所得世帯など生活困窮世帯の保護者に対しては、これまでは、岩手県子どもの幸せ応援計画に基づき、関係機関との連携のもと、自立に向けた支援や経済的支援に取り組んでいるところです。 今後につきましては、現在、策定を進めている次期いわて子どもプランにおきまして、貧困の状況にある方々が社会的な孤立に陥ることがないように、親の妊娠、出産期からの相談支援の充実や、居場所づくりなどを加えて、先ほど御指摘をいただきました観点など、生活の安定に資するための支援等の具体的な施策を盛り込んでいき、一体的に推進していく予定としております。 〇高田一郎委員 昨年行った生活実態調査は私も見ましたけれども、この中では、正規雇用率も13.9%ふえているとか、あるいは収入についても、15万円未満のひとり親家庭が、前回調査から比べて10%減になっているとか、数字的には大きく前進しているのではないかと思いますが、先ほど、母子家庭について、正規雇用率が48%から61%になったと、ここが大きいのかなと思います。 今、ひとり親家庭が抱えている課題は、不安定雇用だと思うのです。以前、いろいろ議論がありましたけれども、ひとり親家庭の不安定雇用、パートとか非正規雇用とかこういう不安定の中で働いて、本当に子供と向き合う時間もないという、この解決が大事だと。だから、不安定雇用をなくしていくという取り組みが非常に大事だと思いますので、今後は、大きな柱の一つにして、就労環境の改善にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 もう一つ、ひとり親家庭が困難に直面しているのは、養育費をもらえないひとり親家庭が多いということだと思うのです。本県の母子家庭における養育費の受領率は37.7%、4割を切っているという状況です。この打開が求められているのではないかと思います。 兵庫県明石市では、3カ月間最大15万円を市が立てかえをして、そして、行政がその相手に催促を促してやっているという、それで大きな成果を上げているということが報道されております。これも一つの参考にすべきだと思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。 〇齋藤次世代育成課長 養育費の立てかえ払いについてでありますが、現在、県では、委託設置しておりますひとり親家庭等就業自立支援センターにおいて、相談員による養育費相談や弁護士による無料法律相談によりまして、養育費や面会交流の取り決め方法などの相談に対応しているほか、養育費確保に向けた諸制度とその活用方法等に関する講習を実施しているところです。 今年度の9月末現在の相談延べ件数は、相談員による養育費相談が313件、弁護士による無料法律相談が28件となっており、養育費に関する講習会は年4回実施することとして調整を行っております。 相談事業における相談内容などから、養育費の立てかえ払いとか、養育費の関係で言えば、例えば支払いの公正証書作成に係る費用の支援など、ひとり親家庭の自立支援に係る有効な手段について、現状及びニーズを把握した上で、ほかの自治体での活用事例や成果なども参考にしながら、今後の支援のあり方については、研究してまいりたいと考えております。 いずれにせよ、親の離婚により子供の利益が損なわれることがないよう支援することが重要であると考えておりまして、引き続き、養育費や面会交流の取り決め及び履行確保に関する相談等に、適切に対応してまいる考えでございます。 〇高田一郎委員 自立支援センターでの相談とか、弁護士の相談とか、さまざまな対応をしているということですけれども、相談が中心になっているのです。それでも、37.7%ということですから、これは何とか改善しなければいけないかと思います。 こども大綱でも、養育費の受領率について、新しい計画では、その指標の一つにすることになりました。けれども、今、国の対応は、具体的に受領率を高める中身がありませんので、実効あるものにしていくためにも、明石市の取り組みに学んで、県レベルでも行って、国の制度にしていくというか、そういう対応も必要ではないかと思っています。これは検討するということですから、ぜひ検討していただきたいと思います。 次に、生活困窮者の学びの支援についてお聞きいたします。 まず、生活保護世帯への大学等の進学率、本県は39%となっておりますが、生活保護世帯以外の学生の進学率に比べれば、相当低い状況になっています。この要因については、どのように把握されているのでしょうか。 あわせて、生活困窮者、生活保護世帯への学習支援が非常に大事だと思いますが、県内の取り組み状況について示してください。 〇佐藤指導生保課長 生活保護世帯の大学等進学率についてでございますが、本県の生活保護世帯に属する子供の大学や専修学校等への進学率は、国の調査によりますと、令和4年4月1日現在で39%となっておりまして、国が公表しております令和2年4月1日現在の28.4%と比較すると、10.6ポイント上昇しているところでございます。 高等教育の修学支援新制度とか、民間奨学金の充実、それから、生活困窮者対策における学習支援などにより、制度的には、生活保護世帯の子供も進学をしやすい環境が整ってきているところでございます。 しかし一方で、高田一郎委員御指摘のとおり、一般世帯の大学等進学率と比較しますと下回っているところでございまして、その要因につきましては、国が実施しました全国の生活保護担当課への調査によりますと、子供自身の進学意欲や就職希望、それから、保護者の進学に対する考え方、それから、自宅から通学できる範囲の大学が少ないなど、個々の事情も含めまして、要因が複合的にあると考えられております。 生活保護世帯の学習支援の取り組みについてでございますけれども、生活困窮者自立支援制度における子どもの学習・生活支援事業につきまして、令和5年度から新たに5町村を加えて、24市町村を対象に実施をしているところでございます。 令和5年度は、404人のお子さんが学習会に参加しているほか、子供に対する学習支援、それから、保護者も含めた生活習慣、育成環境の改善に関する支援を行う訪問型の支援を204人の対象者が受けているところでございます。 貧困の連鎖防止のためには、子どもの学習・生活支援を通じまして、子供本人と保護者の双方にアプローチをして、子供の将来の自立を後押しすることが重要と考えております。1人でも多くの子供たちが希望する進路に進んでいけるよう努めてまいります。 〇高田一郎委員 生活困窮者への学習支援については、家庭訪問は204人、学習会は404人という数字をいただきました。これは、生活困窮者自立支援法に基づく任意事業という形でやっていると思うのですけれども、これは、今、説明があったように、経済的格差が教育格差につながって、貧困の連鎖になってはいけないという、そういうことで始まった事業ですけれども、私は、対応している自治体が、人数も含めて余りにも少ないのではないかなと思います。これは任意事業だからなのかと思いますが、もっと多くの自治体で取り組んでほしいと思いますけれども、これがなかなか広がらないのはなぜなのかということが一つです。 そして、生活保護世帯については、今、生活保護制度については、大学に進学すれば、生活保護の対象から外れるのですよね。世帯分離をしなければならないので、そうすると結局、生活扶助が減額されて、親の生活保護費にも影響が出る。だから、先ほど進学するのは、意欲がないという、それが原因だというのがありますけれども、こういう制度になっていれば、大学へ行きたくても行きづらいのです。だから、こういう生活保護制度のあり方を抜本的に見直す必要があるのではないかと私は思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。 〇佐藤指導生保課長 子どもの学習支援の未実施についてですけれども、例えば事業の委託先が確保できないなどの事情により、実施に結びついていないというところもあると聞いております。 一方で、こちらの事業につきましては、令和6年度24市町村で実施をしているところですけれども、このほかに公営の学習塾とか、それから、子ども食堂など、子供の居場所における学習支援などが行われている市町村もあるというところでございます。 それから、生活保護制度に関して、子供の大学進学についてですけれども、生活保護制度におきましては、生活に困窮する方が、その利用し得る資産、能力、その他あらゆるものを活用することを要件とされております。稼働年齢に達している方、義務教育を修了した方につきましては、原則として、終了していただくことになっております。 この点を考慮しまして、生活保護世帯の子供が大学などに進学する場合、その子供の分については保護費の給付の対象外となっており、同一世帯に属していても、形式的に、生活保護世帯の生計からは大学生を別にする世帯分離の取り扱いとなっているところでございます。 ただ一方で、生活保護世帯の子供が大学に進学する場合につきましては、高校生によるアルバイト収入などのうち、大学に進学する経費を収入認定除外とする取り扱いとか、それから、大学などに進学する際の進学準備給付金などの支給といった生活保護制度上の取り扱いもございます。 〇高田一郎委員 生活保護世帯について若干の改善がありましたけれども、基本的には、なかなか進学できないという構造的な問題がありますので、ぜひ、この改善を国に求めていってほしいと思います。 最後に子ども食堂についてお伺いしたいと思います。 県内の実施状況、成果、課題についてお伺いしたいと思います。この間、物価高騰のもとで、子ども食堂をやめるとか、あるいは回数を減らすとか、そういう実態も周りに出ています。このことを含めて、この実施状況、成果、課題についてお伺いしたいと思います。 〇齋藤次世代育成課長 子ども食堂についてでありますが、御案内のとおり、子ども食堂については、個人や団体を含む地域のさまざまな主体の方の協力により運営されているものでございます。 令和6年8月末現在では、30市町村、138カ所まで取り組みが拡大したところでありまして、地域における子供の居場所に関しましては、着実に広がってきているのではないかと考えております。 今後の課題といたしましては、県北部や沿岸部などを中心に、子供の居場所が未設置の市町村での開設など、まずは、市町村レベルでの取り組みが全県において実施されるよう支援していくとともに、福祉、教育、労働、女性活躍など、庁内関係部局や市町村などの関係機関で連携し、広く県民の理解と参画を促しながら、子供の居場所づくりに努めてまいる考えでございます。 〇高田一郎委員 岩手県は立ち上げ支援などもやって、全国的にも非常に頑張っている自治体だと思っております。 子ども食堂は非常に大事な事業だと思いますので、全ての市町村という目標だけではなく、滋賀県では、小学校区全ての300カ所の目標で取り組んでいるという自治体もありますので、そういったすぐれた自治体の経験に学んで、岩手県でもさらに拡充するように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。要望で終わります。 〇小林正信委員 私からは、健康づくりプロジェクトについてお伺いさせていただきます。 いわて県民計画(2019〜2028)の次世代を担うプロジェクトの一つであり、いわて幸福関連指標でも一番初めに挙げられている健康寿命、また、がん、心疾患及び脳血管疾患で死亡する人数にかかわる重要なプロジェクトであると思っています。 プロジェクトの令和5年度の具体的な取り組みを三つ挙げております。その中の一つ、岩手県医療等ビッグデータ利活用システムにおいて収集したビッグデータを市町村に提供したとあります。市町村において、このビッグデータは、今後、どのように活用されるのか。県として、市町村への活用のアドバイス、支援が必要と考えますが、御所見をお伺いします。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 市町村におけるビッグデータの活用についてでございますけれども、現在、保険者から収集した医療データ等をもとに、地域別、疾患別の受療動向等の9種類の基本分析を行いまして、市町村等に提供しているところでございます。市町村においては、こうした分析結果を地域の健康課題に対応した効果的な取り組みに活用いただきたいと考えております。 具体的には、脳血管疾患や心疾患、糖尿病等の生活習慣病に係る県平均と市町村別データを提供しているところでございまして、こうした疾患等の予防のための取り組みに生かしていただきたいと考えております。 県といたしましては、市町村において、分析結果を理解し、健康づくりの立案や実践につなげられる人材の育成やスキルアップが必要と考えておりますので、こうした取り組みにつながるよう、今後、市町村の職員を対象にしたデータの利活用に係る研修会等の開催に取り組んでいきたいと考えているところでございます。 〇小林正信委員 おっしゃるとおり、ビッグデータをせっかく市町村に提供したので、これを十分に活用して、市町村の施策に反映されて初めてシステムは価値があると思います。 令和元年から令和3年にかけてのシステム構築、また、令和4年度以降のシステム維持費の合計で、約1億7、000万円かかっていると思います。ビッグデータを分析できる人材が、市町村ごとに、今後、必要なのだろうと思いますし、課題はさまざまあると思うのですけれども、せっかくかけた予算が生かされるよう、よろしくお願いいたします。 この具体的な取り組みの中で、西和賀町におけるモデル的な取り組み、パーソナルヘルスレコードの運用についてですが、これは、令和2年に7、400万円をかけて開始されて早4年になります。この取り組みの横展開、運用、市町村の拡充も考えていく段階なのかと思いますが、今後、どのように展開していくお考えかお伺いします。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 パーソナルヘルスレコードの今後の展開についてでございますけれども、令和2年度末から、西和賀町におきまして、スマートフォンなどの端末を用いて、病院の診療記録やさまざまな健康情報を、本人や家族が正確に把握するとともに、アプリを導入した町民に対しまして、町の健康づくりの取り組みの情報を発信するなどのパーソナルヘルスレコード事業の試行を行っているところでございます。 当該事業につきましては、コロナ禍の影響もありまして、試験運用がいまだ継続しているところではございますけれども、本運用に向けましては、町民の理解促進が必要となることから、町におきましては、各種広報媒体のほか、人間ドックなどの際に周知活動を行っていると聞いているところでございます。 県といたしましては、引き続き、西和賀町との調整や助言を継続するとともに、試験運用で得られた成果や課題等をもとに、他市町村における展開の可能性について、検討をしていきたいと考えているところでございます。 〇小林正信委員 わかりました。個人の健康管理の上で重要な取り組みなのだろうと思いますけれども、もっと広がっていかなければ意味がないと思いますので、取り組みの周知等もお願いしたいと思います。 そして、個別疾患のデータ抽出を行うシステムの構築について、これは脳血管疾患患者のデータを抽出し、予防に活用するものと思いますけれども、現在のシステム構築状況についてお伺いします。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 個別疾患を抽出するシステムの構築状況についてでございますけれども、現在、医療レセプトデータを集積する医療等ビッグデータ利活用システムによりまして、先ほども御答弁申し上げましたが、脳血管疾患などの受療動向等の分析を行って、市町村等に提供しているところでございます。 こうした取り組みに加えまして、電子カルテデータから自動的に疾患を抽出するための仕組みをつくり、この抽出機能を利用してデータの集積、分析を行うことを目指しまして、岩手医科大学におきまして、抽出の精度を検証する研究を続けているところでございます。 また、国立社会保障人口問題研究所などの外部研究機関と連携をいたしまして、心疾患の地域格差や健診ハイリスク者の受療行動、うつ病患者の治療等に係る共同研究を実施しております。こうした研究を通じまして、詳細な分析に取り組んでいきたいと考えているところでございます。 〇小林正信委員 この個別試験のデータ抽出は岩手医科大学でやっていただいているということですけれども、平成30年から6年間たっております。そろそろシステム構築が十分になされてもよいのではないかと思いますし、ここまでプロジェクトの具体的な三つの取り組みについて確認をさせていただきましたけれども、どの取り組みもまだまだ十分に結果が出ていない、少し行き詰まっている感じがあります。 そうした中で、脳血管疾患の10万人当たりの粗死亡率については、プロジェクトが始まった後の令和元年が159.1、令和5年が160.8と、ほぼ変化がありません。全国の順位もずっとワースト2位のままです。平成30年からことしで7年目の健康づくりプロジェクトですが、残念ながら、県民の健康づくりに寄与できていないのではないか、結果が出ていないのではないかと言わざるを得ない状況と思います。 総額で2億6、000万円、7年かけて結果が出ていないとなると、プロジェクトの見直しも必要ではないかと思います。これまでの経緯を考えると、せっかくビッグデータがございますし、そのビッグデータを活用したシステム、その運用、これは続けていくという方向なのかもしれませんけれども、県民の脳卒中の粗死亡率を下げるとか、脳卒中を予防するという点に注目して、新たな取り組みも必要ではないかと考えますけれども、御所見をお伺いします。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 脳血管疾患の予防のための取り組みについてでございますが、先ほど、ビッグデータの答弁の中でもなかなか進んでいないという印象だと受けとめられたということでございましたが、データをうまく活用すること、それから、データに基づいて取り組みを進めていくことが重要だと考えておりますので、次の展開に向けまして、その点に留意して進めていきたいと考えております。 それから、脳血管疾患そのものの予防についてでございますけれども、本年3月に策定いたしました健康いわて21プラン(第3次)におきましては、脳血管死亡率の全国との格差の縮小、それから、健康寿命の延伸を全体目標としたところでございます。 脳卒中は要介護となる主な原因でもありますことから、県民全体が一丸となった取り組みにより、脳卒中死亡率のさらなる減少に取り組む必要があると考えております。 具体的な取り組みといたしましては、脳卒中の予防には、若年層への働きかけが重要と考えておりまして、企業が行う健康経営の取り組みへの積極的な支援、それから、食生活の改善、歩数の増加、運動習慣等の増加等に関する施策を実施いたしますほか、いわて健康情報ポータルサイト等を活用いたしまして、県民の正しい知識の普及、それから、啓発に向けた情報発信に取り組んでいきたいと考えております。 〇小林正信委員 今言っていただいた取り組みも、これは健康づくりプロジェクトの一環であると捉えてよろしいでしょうか。 〇日向参事兼健康国保課総括課長 健康づくりプロジェクトを構成する一つとして、脳血管疾患等の予防、それから、死亡率の減少を目指すということでございますし、データをうまく活用していただくということは、地域の健康課題に対応した健康づくりの対応をしていただくということになりますので、幅広い意味では、これもプロジェクトの一環として我々は取り組みを進めていきたいと考えているものでございます。 〇小林正信委員 わかりました。幅広い意味で。それもせっかくですので、プロジェクトに一個加えていただいて。 せっかくのこのプロジェクトですけれども、例えば岩手医科大学にシステム構築を任せるとか、西和賀町にお願いするとか、システム会社にビッグデータのシステムをやってもらって、運用とかやってもらうこと、これも大事だと思うのですけれども、外部任せになっているのではないかという印象も少しあって、県職員がこれまで7年間主体的に周知啓発とかをやっていたほうがもっとよかったのではないか、せっかくの7年間がよかったのではないかなという印象を私も少し持ってしまいました。今後も、県民の健康づくりに直結するようなプロジェクトになるように、しっかり取り組みを進めていただければと思います。 次に、ひとり親支援につきましては、小西和子委員から詳しく質疑がありましたので、令和5年度の支援の取り組みについてはわかりました。 ただ、ひとり親の相談窓口、例えば就業自立支援センターでは、2名の人員体制で、令和5年は510件の対応をされていると。さまざま忙しい中、ひとり親に寄り添った対応が十分にできているのか少し心配であります。 ひとり親の方たちにとって、相談をするとか、相談に行くということ自体が、大変に勇気が要る、そして、勇気を出して相談に来た方が安心できるような、寄り添った対応が大事であると思います。ひとり親のためのワンストップの窓口における相談体制の強化、相談員のスキルアップ等も含めた、今後の取り組みの充実についてお伺いします。 〇齋藤次世代育成課長 ひとり親支援の今後の取り組みの充実についてでございますが、ひとり親とか子供の困りごとについては、内容が多岐にわたっていることから、全ての問題を一元的に解決することはどうしても難しく、それぞれ専門の分野に的確につないでいく支援が求められていると考えております。 そのため、関係機関と連携し、県の設置するセンターの周知に引き続き努めるのはもちろんのこと、ひとり親世帯のニーズに応じ、就業、生活に関するアドバイスなどを担う、ひとり親家庭等就業自立支援センターと、ひとり親家庭等が適切な支援につながるための仕組みづくりを担うひとり親家庭等応援サポートセンターとが、それぞれの役割を果たすことにより、重層的にひとり親世帯の就業及び自立を支援してまいる考えでございます。 〇小林正信委員 ぜひともお願いいたします。 そういったワンストップのところに行ったひとり親の方が、少しびびってしまって、なかなか自分の心のうちを御相談できないということにならないように、優しく対応していただけるようにお願いできればなと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後に、ヤングケアラーへの支援について、まず令和5年度における現状について、あわせて、令和5年度の取り組み状況についてお伺いします。 〇前川子ども子育て支援室長 ヤングケアラーの現状についてでございます。県では、市町村の要対協―要保護児童対策地域協議会から照会をして把握しておりまして、要対協が把握しているヤングケアラーの状況としましては、令和4年度43人が登録されているという状況でございます。 また、令和5年度に、県が高校2年生を対象に行った実態調査におきましては、回答があった6、559人のうち家族の中に世話をしている人がいると回答した方が207人、全体の3.2%となっているほか、ケアの対象は、親が最も多く、53.1%、次いで、祖父母が37.2%となっております。 続きまして、令和5年度の支援の取り組み状況についてでございます。県では、令和4年度から、ヤングケアラー支援体制強化事業を実施しておりまして、全県的な相談窓口を設置し、ヤングケアラー本人からの相談に対応しておりますほか、令和5年度は、先ほども少し触れましたけれども、県内の高校2年生を対象とした実態調査を実施したところでございます。 また、ヤングケアラーは、自身を当事者として自覚していないという場合も多く、周囲の大人が理解を深め、必要な支援につなげることが非常に重要でありますので、県内各地に出向きまして、ヤングケアラーとつながる可能性のある支援者の方々を対象とした研修にも力を入れて、取り組んできたところでございます。 あわせて、各高校への相談窓口の周知、地域包括支援センターや医療機関などへのリーフレットやガイドラインの配布を行っております。市町村や関係機関と連携しまして、さまざまな機会やツールを活用して、ヤングケアラーの理解促進や相談窓口の周知に努めてきたところでございます。 〇小林正信委員 わかりました。 これまでも、介護についての議論がさまざまございましたけれども、介護する家族の負担が大きいということで、最近では、働きながら家族の介護をする方を指して、ビジネスケアラーという言葉も出てきていると。こうした状況から、例えばヤングケアラー支援の条例、また、家族介護者を支援するケアラー支援条例を制定する自治体も出始めているということです。 また、ことしの6月施行の改正子ども若者育成支援推進法では、ヤングケアラーを国や自治体が支援するべき対象として明文化したと。都道府県の役割として、オンライン等で個々の相談に応じ、状況や課題を整理すること、必要な支援に向けた市町村への働きかけをすること、精神的ケアなど専門的な相談支援等の実施が求められていると。こうした法改正の動き、また、全国の取り組みを踏まえて、今後の取り組みの充実について、どうお考えなのかお伺いをしたいと思います。 〇前川子ども子育て支援室長 ただいま御紹介がございましたように、改正子ども・若者育成支援推進法におきまして、国、地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象に、ヤングケアラーが明記されたというところでございます。 これに伴いまして、主に市町村においては、ヤングケアラーを把握するための調査の実施などが必要とされましたほか、本人が担っているケアを外部サービスで代替していくなどの具体的な支援内容が示されたところでございます。 こうした支援を進めていくためには、先ほども答弁で少し触れましたが、周囲の大人などが理解を深めて、家庭において子供が担っている家事や家族のケアの負担に気づき、必要な支援につなげるというところが非常に重要でございます。 県では、今年度、県内各地に出向きまして、ヤングケアラーへの理解を深めるための研修等を実施しておりますほか、全ての中学生と高校生に対しまして、相談窓口周知のためのカードを配布したというところでございます。 今後の取り組みですが、先ほど御紹介がありましたけれども、今後は、改正法に基づきまして、県、市町村が、それぞれの役割を担うというところがございますので、県、市町村それぞれの役割をしっかり担うことで、ヤングケアラーの把握から支援につなぐ仕組みを構築することが重要であると考えております。 県では、広域的な支援体制を展開しながら、市町村における実態把握や支援内容の充実が図られるように、市町村の取り組みを支援していきたいと考えております。 〇福井せいじ委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 質疑がないようでありますので、これで保健福祉部関係の質疑を終わります。 保健福祉部の皆さんは退席されて結構です。ありがとうございました。 委員の皆様にお諮りいたします。 おおむね再開後1時間半が経過しましたが、残り2名の質問者がおります。質疑を継続したいと思いますが、いかがでしょうか。 〔「よし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 それでは継続したいと思います。 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。 〇小原医療局長 認定第12号令和5年度岩手県立病院等事業会計決算につきまして御説明申し上げます。 県立病院等事業の運営に当たりましては、事業の効率的な運営と経営の健全性に配意しながら、公的医療機関としての使命である地域医療の確保と、保健衛生の向上に努めてきたところであります。 令和5年度におきましても、新型コロナウイルス感染症への対応と通常診療の両立に取り組むとともに、良質で効率的な医療提供体制と、これを支える持続可能な経営基盤の確立のため、岩手県立病院等の経営計画(2019〜2024)のもと、多様な取り組みを展開してまいりました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、令和5年5月に5類となった以降も、患者数がコロナ禍前の水準に戻らず、病床利用率が上がらないことや、給与費の増加や燃料費等の物価高騰により、支出の拡大が続いていること等、依然厳しい経営環境に置かれているところでございます。 引き続き、新型コロナウイルス感染症からの完全移行に伴う通常診療の充実に取り組む中で、収益の確保や効率的な費用の執行など、各種取り組みを進め、安定した経営基盤の確立を図りながら、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めてまいります。 それでは、お手元の決算書に基づきまして、その概要を御説明いたします。 決算書の7ページをごらん願います。 まず、決算報告書の収益的収入及び支出ですが、収入の第1款病院事業収益の決算額は、表の右から3列目、1、169億5、052万円余、支出の第1款病院事業費用の決算額は、表の右から4列目、1、204億7、882万円余です。 8ページに参りまして、収入の第1款資本的収入の決算額は、表の右から3列目、170億5、553万円余、9ページに参りまして、支出の第1款資本的支出の決算額は、表の右から6列目、204億701万円余、繰越額は5億3、258万円余です。 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額54億147万円余につきましては、過年度分損益勘定留保資金などで措置するものでございます。 次に損益計算書について御説明申し上げます。 11ページをごらん願います。 上から5行目、経常損失では32億6、101万円余、純損失では35億3、711万円余となり、赤字決算となったものでございます。 このことにより、当年度累積欠損金は428億2、190万円余となりました。 なお、12ページ以降の剰余金計算書等につきましては、説明を省略させていただきます。 以上で医療局関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 〇福井せいじ委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇中平均委員 では、県立病院について質問させていただきます。 県立病院の機能分化と連携強化ということで進めていくと認識しております。地域医療構想における共有モデル推進区域の設定もあって、保健福祉部ではなく、今回は医療局で質疑させていただきたいと思います。 久慈市には県立久慈病院がございます。大半の医療を担っているという状況でございますが、先般の報道が出ましたけれども、9月30日に行われた久慈圏域での地域医療構想調整会議が新聞報道されておりましたが、この内容について、まずはお伺いしたいと思います。 〇熊谷経営管理課総括課長 久慈圏域で行われました地域医療構想調整会議につきましては、県立病院の機能分化と連携強化の基本方向のもと、高度専門的な医療と身近な医療の両立に向けまして、医療機能の一定の集約や、回復期、リハビリ機能の強化といった内容につきまして、市町村や医療関係者を初め御出席の皆さんから御意見をいただきました。 今回お示しの次期経営計画の方向性につきましては、当局の説明に対しまして、おおむね御理解をいただいたと認識しておりますけれども、議論の中では、機能分化の中で、例えばリニアックの集約等に関しまして、放射線治療の患者をいかにスムーズに他圏域での治療に移行していくかといった搬送の仕組みや、開業医の方が5年で3割ほど減少しているという背景の中、開業医と県立病院の連携の必要性といった部分につきまして、意見が交わされたところでございます。 〇中平均委員 5年で3割ですね。去年、おととしで3件開業医の方が閉められたというところです。 そして、機能分化について、内容は私も読んで、また、一般質問等でもいろいろ出ておりますけれども、これは県立久慈病院に限らず、いわゆる県北、沿岸圏域の病院というのでしょうか、民間の病院がどうしても少なくて、県立病院に頼らなければならない地域というところから見ると、機能分化という名前はいいですけれども、結局は、機能集約されていっているのではないか。 簡単に言えば、今回はがんの関係です。久慈圏域と二戸圏域の病院の分は県立中央病院。その前は、出産の関係は久慈圏域、二戸圏域が一つの圏域ということになって、県立二戸病院で出産とハイリスク分娩を含めて行うということで、県立久慈病院は産科ゼロになりましたが、皆様にさまざまな努力をいただいて産科医をふやしていただいて、通常分娩は県立久慈病院で行いますということでした。ただ、ハイリスク分娩は県立二戸病院という形になっています。 そして、達増知事になって最初のとき、今の病院体制に戻して、診療所などを閉鎖していくというときに、それでもやはり医師不足が大変なのでということで、たしかこの補正予算案を通したということだったと記憶しています。そういったところを見ていく中で、まず、かかりつけ医をつけて、県立病院の負担を減らしていって、分業化を図っていきながらやりましょうと進めてきましたけれども、そのかかりつけ医となるべき民間の開業医も減っているという現実。次は、この機能分化という名のもとに、また診療科目が減っていく。実際、県立久慈病院では、令和5年4月から、脳出血性疾患、救急患者は県立久慈病院では受け入れることは難しいとなっています。このような状況を踏まえて、地域では、機能分化は、結局、ただ減らされているのではないかという声がどうしても出てくるのは御理解いただけると思うのですが、その地域に対する説明をどのように考えているのかお伺いします。 〇熊谷経営管理課総括課長 住民の方々にとりましては、今、中平均委員から御指摘がございましたように、一定の高度専門機能の集約といったことがございます。それに伴いまして、患者の方々の移動の負担が生じるといったことについては否めないものと考えておりますけれども、県立病院といたしましては、そうした県民負担を最小限とするために、診療情報の共有や、地域連携クリニカルパスを推進しまして、中核的な病院で高度治療を行った後は、患者の居住地により近い地域のケアミックス、連携強化型の病院で医療を受けられるようにする。こうした病院間の連携強化を進めまして、県内全体でよりよい医療提供体制を確保してまいりたいと考えております。 〇中平均委員 ケアミックスのお話が今ありましたけれども、例えばがんで、診断や、ステージによって違いは当然ありますけれども、基本的には、県立中央病院や岩手医科大学附属病院に来て、手術をして、地域に戻って、そして、治療を進めていくという形が、今行われている形です。けれども、例えば今回の機能分化のような、簡単に言えば減らしていく議論はすごく早く進んでいくのです。具体的にやっていく。 そして、岩手医大と県立病院と地域の開業医の医師会と話をしていく。どうしてもそこに地域―市役所等も入っていますけれども、その告知がないまま進んでいっているという現状ではないのかと思うのです。 例えばそのケアミックスを進めて、最終的には地域に戻って、治療なり何なりやれますと言いますけれども、では、そこの具体的な方法をどのように考えているのか。例えば県立久慈病院の空き病棟を使ってやるということだと思うのですけれども、もしくは、別のところを使うのかもしれませんが、そういったところが今回の機能分化とあわせて出てこなければ、結局、ただ吸収されていくだけと捉えてしまう。これは久慈圏域だけではないと思うのです。 県立大船渡病院を初め、今回、集約になってしまったほかのところも、県立釜石病院とかもそうでしょうし、この間、菅原亮太委員が言った産婦人科関係の県南地域もそうでしょうし、減らしていくのは早く計画が出てくるのですけれども、それを補完していくものもあわせて出して、それはそれで知らしめていかなければならないと思うのですけれども、そこの点はどのように考えていますか。 〇熊谷経営管理課総括課長 ケアミックス型の病院につきましては、一定の高度医療から身近な医療まで、広範な住民ニーズに幅広く対応していく病院ということで、今回は御説明させていただいております。 一部の高度専門医療、例えばロボットを使った治療といったことについては、他病院との連携ということになりますけれども、そうした病院で医療を受けた後は、ただいま御説明させていただきましたように、幅広いニーズということで、例えば薬物療法とか、身近な治療を継続するということで、住民にとってより長い期間の治療を受けていただく機能を持つ病院として、役割を発揮してまいりたいと考えています。 〇中平均委員 済みません、揚げ足を取るわけではないのですが、それが具体的に、県立久慈病院でどういうことを出せば、それがなるのですか。どういうふうなことを考えて、それをいつ提示してくる予定なのでしょうか。 〇熊谷経営管理課総括課長 今回の経営計画の素案につきましては、地域医療構想調整会議や、県立病院の運営協議会につきましては、現時点ではまだ開催できておりませんで、来週以降の開催となっておりますけれども、地域の住民の方々、それから、福祉団体の関係の方々等も御出席しております。 そうした場面で、皆様の御意見を賜りながら、広く周知を図っていきたいと思っておりますし、県立病院が所在している市町村も全て回らせていただきまして、説明を既にさせていただいております。 そうした中で、御意見等もいただいておりますので、そうした御意見等の内容も踏まえまして、どういった周知の方法がいいのか。具体的には、今回、県議会等を初め公の場でさまざまお話しさせていただきたいと思っておりますけれども、実行に移していく段階に当たりましては、病院の中で、主治医や、実際に受け持っている医師の方から、こうなっていくということを丁寧に患者の皆さん方に御説明してまいりたいと思います。 〇中平均委員 答弁ありがとうございます。県立病院運営協議会は、久慈圏域は28日です。また、そこでさまざま議論になるのかと思っておりますけれども、今、さまざまお話しした、皆さんの立場は、当然、医療資源が脆弱な岩手県ではどうやっていくかという中で考えていくのは重々わかります。 そうわかった上で、この県議会の場でもいろいろな議論をして、そして、私もそうですし、各議員は地元に帰って、こういう状況なので、なるべくかかりつけ医をつくってくれないかとか、そして、救急搬送を少しでも減らすような努力をしてくれないかとか、そういうことをやっている状況です。 そして、この段階で今度は、機能分化と連携強化という中で、字面はそのとおりなのでしょうけれども、繰り返しになりますが、機能強化と連携強化の考え方は十分理解できるとまでは言いませんけれども、人口減少が進んでいる地域の医療を切り捨てているのではないか。そうではないと言うのでしょうけれども、そう捉えざるを得ないのではないかと思ってしまいます。 それで、連携強化についてお聞きするのですけれども、例えば、先ほどの出産の関係で、久慈市から県立二戸病院へ行くときに、医療費を補助しています。これはどの圏域でも補助していたと思うのですが、先般の一般質問で、釜石市から県立大船渡病院に行く妊婦の交通費も釜石市で補助しています。 そういう支援もある中で、例えば今回、機能分化していく中で、今までは、久慈市で言えば産科を受診する方ですけれども、今回の機能分化によって移動しなければいけなくなる。治療によっては移動しなければならなくなる人たちにとって、産科と同じような形での連携強化を踏まえての患者の移動に関しての交通費の補助など、産科と同じような考え方をしているのかどうか。これからの会議や検討次第ということなのかもしれませんが、そこも今度セットで出していかなければならない話なのかと思うのですけれども、どうでしょうか。 〇熊谷経営管理課総括課長 ただいま御紹介いただきました妊産婦支援事業につきましては、保健福祉部の所管でございますけれども、今、御紹介いただきましたように、釜石市におきましては、市の事業として県立大船渡病院への移動に対しての補助は創設されたと伺っています。 県としては、一定程度の補助事業は御用意しておりますので、こうした今回の機能分化、連携強化の中で、その市町村にどのようなことができるのかといったことや、保健福祉部として、地域医療をどう回していくのかということについては、我々としても、承った意見につきましては、地域医療構想調整会議等でも、そういった話題が出る場面がありますので、当該部局に対してお伝えしてまいりたいと思っております。 〇中平均委員 保健福祉部の所管ということは私もわかっていますし、もともとは県北広域振興局で、久慈市がやっているのに、半額負担を上乗せして全額にして、そして、それを全県展開したのが次の年でした。そういうふうにやってきているのはわかっています。 ただ、医療局として、例えば、機能分化、連携強化、そして、これから各病院がやっていく中で、県立久慈病院に限らず、各病院、機能分化していくものがあります。そういうところに対してこういうふうにやるので、保健福祉部とも連携しながら、その予算を確保していかなければならないといった考えも出てくるのかと思って、伺ったところです。 医療資源が脆弱な岩手県の医療の提供体制をどうするかというところに行くのですけれども、限られた医療資源の分散は県全体の医療の質の低下を招きかねない。今、資料がすぐ出てこなくて、何の文書かはっきりしませんが、そういうふうに書かれております。 そして、県下にあまねく医療の点と、あとは、どうしても赤字が多い中で、黒字にしていかなければならないというところがあります。私の地域にしてみれば、県立久慈病院と、民間でやっている中で、赤字が出たとしても、県立久慈病院が赤字だから減らしていくとか、なくすと言われるのは、非常に困る。 そういったことを踏まえながら、あえてお聞きするのですけれども、知事は、マニフェストプラス39で、地域医療を守っていくと言っていました。それはそのとおりで、守っていきながらどうしていくかと、医療資源が限定されている中でやっていくということなのだと思うのですが、ただ、今、私がずっと質問してきたようなこの懸念はどうしてもついて回るわけです。ハイボリュームセンターという中で、結局、集約していくということになると、総数が同じ中で集約されていくわけですから、そういった知事のマニフェスト等に書かれているのを見ると、地域の医療は今まで以上に絶対よくなるみたいな雰囲気もあったのですが、そこを踏まえて、どういうふうにやっていこうとするのか。いきなり医者の数がふえないのは十分わかります。 斉藤信委員がふえると言っていますけれども、ふやしてみてから教えていただきたいと思いますが、本当にふえるのであれば、ふえた上で、この対応でいいのです。その点を踏まえて、今後の医療局は、どうやっていくか。 改めて、また、知事等に聞く機会もあるでしょうから、そのときも質問は当然していきますけれども、今段階で、病院運営協議会も各地域でやっていくという中で、医療局として、地域の医療を見捨てないのだ、切り捨てるわけではなくて、どうやっていくのだという、今、どういう発信をしているのか、お聞かせください。 〇熊谷経営管理課総括課長 ただいま御指摘いただきました、限られた医療資源の分散という部分につきましては、医療の高度専門化、それから、人口減少、受療動向の変化といったものが加速度的に早くなっておりまして、限られた医療資源を分散させることにつきましては、こうした変化に対応していくことも非常に難しくなってきております。 また、症例数の少ない病院につきましては、医師が一層集まりにくくなると、県全体、ひいては地域の医療の質の低下を招きかねないという状況になることを懸念しております。 こうした中で、医療機能を集約していくことにつきましては、県内で高度専門医療を高い質で保ちながら安定提供していくというための必須の取り組みということで考えているところでございます。 医療局といたしましては、病院機能が変わっていく地域におきましても、高度専門医療が円滑に受けられるよう、例えばICTの活用によりまして、搬送先の医療機関や消防等と患者情報を共有して、スムーズに救急対応を図ってまいります。 また、高度な手術の後には、先ほども御答弁させていただきましたけれども、より身近な地域で、身近な県立病院に適切な転院が図られるよう、診療情報の共有や、地域連携クリニカルパスの推進、それから、オンライン診療等を活用して、県立病院が一体となりまして、全県的な医療提供体制の充実を図ってまいります。 〇斉藤信委員 それでは、県立大船渡病院における看護師の超過勤務問題の解決の取り組みについて、今回、昨年6月定例会から4回目です。これは本当に最後の質問にしたいと思って、質問いたします。 ことし3月21日付で大船渡労働基準監督署が是正勧告と指導の通知を出しましたが、その具体的内容を示してください。 〇尾形職員課総括課長 大船渡労働基準監督署からの是正勧告と指導についてでございますが、令和6年3月に、大船渡労働基準監督署から、県立大船渡病院の看護師について、休憩時間の確保に関する是正勧告のほか、残業時間が適切に申告されていないおそれがあることから、令和5年4月にさかのぼって出退勤記録等の確認のほか、職員から事実関係について聞き取りを行うなどの実態調査や必要な対応を行うよう指導を受けたものでございます。 〇斉藤信委員 きょうで4回目になりますけれども、医療局長は、労働基準監督署からこういう是正勧告と指導を受ける、このことをどういうふうに受けとめていますか。反省していますか。 〇小原医療局長 これまで、休憩時間の確保に向けて、業務応援による体制確保などの取り組みを進めてきたところでございますが、今般、大船渡労働基準監督署から、県立大船渡病院の看護師について、休憩時間の確保に関する是正勧告があったことから、業務の進捗状況を確認し、業務への調整を行うなど対策を講じているところでございます。 また、昨年度、県立大船渡病院では、出退勤の打刻の徹底や、勤務時間外に行う業務を確実に申請できる環境づくりを進めているほか、申請されていない超過勤務の状況も確認の上、手当を追給したという状況でございます。 そのような取り組みを行ってまいりましたけれども、今般、残業時間が適切に申告されていないおそれがあるということについて指導がございましたことを踏まえて、令和5年度4月にさかのぼって、全ての看護師を対象に、超過勤務の有無を確認するなど、実態を丁寧に確認の上、適切に対応しているところでございます。 〇斉藤信委員 反省の言葉がありませんでした。 医療局長は、今まで議会で何と言っていたかというと、超過勤務が申請しづらい雰囲気はあった、そういう声はあったと答弁しています。雰囲気ではないのです。超過勤務の申請を認めてこなかった。申請しても、認めない。申請すれば、つきまとって、何で超過勤務をやったのだと言う。結局、超過勤務が申請できないような状況がつくられた。これは、総看護師長を中心にしたパワハラでした。私は、本当に深い反省の上に立って、今回の是正勧告と指導に基づいて取り組むべきだと思います。 そこで、どういう調査方針、調査方法で、超過勤務の実態を把握するのかを示してください。 〇尾形職員課総括課長 超過勤務の実態の把握についてでございますが、現在、県立大船渡病院において、大船渡労働基準監督署からの助言を踏まえ、まずは、令和5年10月から令和6年3月までを対象に、申請されていない超過勤務の有無について、職員から申告を求め、全ての看護師を対象とした面談に着手し、状況の確認を進めているところでございます。 令和5年4月から9月までの分については、昨年度に調査の上、追給を実施したところですが、今般の指導を踏まえまして、再度、調査を行う予定でございまして、調査の結果、確認された超過勤務については、勤務実態を確認の上、追給を含め、適切に対応してまいります。 〇斉藤信委員 今の調査状況を示してください。 〇尾形職員課総括課長 現在、職員に向けて、超過勤務の有無について申告するよう通知しておりまして、対象職員273名中109名からは、超過勤務の実績がないという申し出がございます。また、未申請の超過勤務があると答えたのは29名でございました。 全体の回収率は、現在のところ、全体の50.5%でございますけれども、この状況を申告されていない職員も含めまして、今後、全員に対して面談を行っていく考えでございます。 〇斉藤信委員 私は、9月24日に院長と事務局長にお会いしてきました。どういう調査方法でやるのかと聞いたら、自主申告なのです。 そして、私が9月24日に聞いたときには、看護師全体の中で60人ぐらいの申請だということでした。これは去年の10月に申請した数と同じでした。今の結果は全然違っていました。たった29人しか申請してない。何でこのようなことになるのか。 あなた方が、労働基準監督署の指導のとおりに調査してないからなのです。労働基準監督署はこう言っているのではないですか。過去11カ月、令和5年4月にさかのぼって、出退勤記録や電子カルテログ記録等による労働時間記録を確認するほか、当該労働時間記録を示した上で、各労働者から事実関係について聞き取りを行うなどの実態調査を行う。自主申告ではないのです。 いいですか。1年前の認められなかった超過勤務を、看護師は証明するすべがない。だから労働基準監督署は、あなた方は出退勤記録、電子カルテログ記録を全部つかんでいるのだから、把握している労働時間記録を示した上で、調査をしなさい。自主申告ではないのです。何でこういう調査をしないのですか。 〇尾形職員課総括課長 調査方法につきましては、これまで、大船渡労働基準監督署と調整を行い、その助言を踏まえて調査を進めているところでございます。 まずは、令和5年10月からことし3月までを対象に調査を行うということで、職員への聞き取りにつきましては、労働基準監督署からの調査方法の助言を踏まえまして、出退勤記録をもとにまず行います。電子カルテのログ情報、こちらもございますが、システムの仕様上、自動ログ機能があるということで、勤務時間を正確に測ることは難しいため、補助的に活用しながら進めているというところでございます。 今後、全ての看護師を対象に面談を行いまして、確認された超過勤務について、勤務実態を確認した上で、追給を含め、適切に対応してまいります。 〇斉藤信委員 出退勤記録は、打刻した後に仕事をしているという例がかなりあります。しかし、電子カルテログ記録は、仕事が終わった時間が大体決まるのです。だから、労働時間はあなた方が把握できている。それを示して、これは全て超過勤務ですかと、看護師とこうやって調査しないとだめでしょう。労働基準監督署が自主申告でいいと言ったのですか。 言ったのですか。 〇尾形職員課総括課長 超過勤務の状況についての確認の進め方については、まず病院事務局から全ての看護職員にその超過勤務の有無を確認する。そして、その申告をもとに面談を進めていくというこの流れについて、労働基準監督署からの了解を得ているところでございます。 〇斉藤信委員 労働基準監督署に確認しましたけれども、自主申告でいいなどと言っていません。 言っていませんよ。 是正勧告と指導に調査の仕方をはっきり書いているではないですか。 そもそも労働基準監督署の勧告は、あなたが言うように、去年の4月にさかのぼって調査しなさいということです。それを、あなた方は、今、10月は1回やったから、10月以降の分は自主申告なのです。このやり方もおかしいでしょう。4月にさかのぼってやらなければだめなのです。 去年9月に、超過勤務の申請ができないから、看護科ではなくて、事務局に申請しなさいと、こうやった。300人中60人しか申請しなかった。それは怖いからです。仕返しされると思うから、60人しか申請しなかったのです。 ただ、この60人の申請の中身は極めて重大です。1、271時間の超過勤務が確認された。始業前の超過勤務が44.3時間、打刻の枠内での超過勤務が618時間、打刻の枠外が653時間、休憩時間がとれないのが205時間だった。 いいですか。打刻の枠内というのは、仕事が終わってから打刻した。これが超過勤務になってないということです。申請しなければ超過勤務手当を払わない、これが枠内の超過勤務です。枠外というのは、打刻してから仕事をしているということです。 こういうやり方で、60人分は、大体超過勤務の不払い労働がどのようにやられたかが明らかになった。自主申告ではだめなのです。あなた方が把握している労働時間を全ての看護師に示して、これは全て超過勤務ですかと、こういうふうに調査すべきではないですか。事務局長はそうであると言いましたけれども、職員課はどうなのですか。言われたとおりやるべきではないですか。 〇尾形職員課総括課長 先ほども答弁申し上げましたが、この調査方法の進め方については、労働基準監督署からの助言を受けまして、進めております。職員への申請は求めておりますが、この申請の結果を受けて、改めて、職員に状況を確認し、さらに、こちらとしては、電子カルテのログ情報も提供しながら、職員個々に状況を確認し、超過勤務の有無を確認しようということでございます。 〇斉藤信委員 看護師の面接では、あなた方が把握している労働時間はしっかり提供する、示すということです。それをしっかりやってください。 大体、去年申請できなかった超過勤務何時間かなんて看護師はわからないのだから。当たり前の方法で、自主申告でごまかすようなことを絶対やってはならない。 それで、今どういう状況になっているかというと、残念ながら、超過勤務時間は減っていません。実は、6月から、出入口に出退勤記録を記録する機器を設置しました。これは一歩前進です。 それでも、主任クラスの看護師は、出入口まで行って打刻してから、また白衣のまま戻って仕事をしているというのが実態です。あとは、今、超過勤務を申請しているこういう人たちも、実際に超過勤務した一部しか申請していない。怖いからです。やった分を申請すれば、何でこんなにやったのかと、今でもこう言われる。 総看護師長は激しいパワハラで、部屋の外まで聞こえるような怒号があった。今、それはないようです。しかし、総看護師長はやめました。これは、なぜやめたのですか。自主退職ですか。 その当時の体制はほとんど変わっていない。師長クラスは11人いましたが、9人そのまま残っています。パワハラグループの全体が残っているのです。だから、残念ながら、職員の中には去年のトラウマが残っています。総看護師長がやめた理由、そして、そういうパワハラの体制をほとんど温存した理由は何ですか。 〇尾形職員課総括課長 総看護師長の退職事由につきましては、これは個人に関する情報でございまして、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。 昨年度、総看護師長の行動、発言、そういったことについては、昨年度、病院におきまして、関係職員、また、部下職員のヒアリングを行っているところでございます。その中では、特に問題行動は認められなかったと聞いているところでございます。 ただ、超過勤務を申請しづらいという状況があったということで、各部門の長に対しまして、部下職員等に正確な超過勤務の申請を促すこととあわせて、上司や部下に関係なく、相互に意見交換ができ、休暇や超過勤務を申請しやすい職場環境の整備に努めるよう、病院内の経営会議や各部門の会議などで、さまざまな機会を捉えて、周知徹底を図っているところでございます。 〇斉藤信委員 去年、どういう形で超過勤務の削減が強要されたのか。看護の質が落とされた。まず、患者に寄り添った看護はできなかった。汚れた衣服がそのまま、ひげそりもされず、1カ月風呂に入っていない患者もいた。それで、超過勤務を減らすために、おむつ交換は2回から1回に減らした。お尻が赤くただれることもあった。転院前の患者は風呂に入れるが、退院の患者は自宅で入浴してもらう。高齢者の患者が多いので、これは県立大船渡病院に限らないのですけれども、看護の量はふえているのです。そういう中で、超過勤務だけやめろと言っているから、看護の質が落ちてしまった。残念ながら、これは継続しています。 私は、そういう意味で、本当に労働基準監督署から是正勧告と指導を受ける最大の責任者は総看護師長だと思います。ただやめれば済むという話ではないと思うのです。大体、県立遠野病院で、2、400万円の不払い、払った張本人がその総看護師長ではないですか。 ただ、あなた方が何の処分もしないでやめさせる。責任の所在がはっきりしないではないですか。このようなやり方でいいのですか。そういう曖昧なことをやっているから、パワハラの体制が残されるのではないですか。違いますか。 〇尾形職員課総括課長 ただいま、冒頭に御指摘のあった看護の質の低下という御指摘ですけれども、前回の決算特別委員会の総括質疑においても、同様の御指摘をいただいたところです。 それを受けまして、全病院に聞き取り調査を実施しておりまして、超過勤務の縮減をするために、入浴回数を減らすとか、寝衣の交換を減らすとか、そういった実態は一切ございません。患者への清潔ケアといいますけれども、これらは患者一律に実施するものではなくて、さまざまな状況、そういったエビデンスをもとに個別に評価し、実施しているものでございます。 県立病院に勤務する3、000人を超える看護師は、いかに患者が療養しやすい環境を整えてあげるか、また、効果的にいかに看護を提供していくか、そのことを考え、また、日々業務スケジュールを組んで、研鑽を積みながら、日夜努力しているという状況でございます。 また、さまざまな学会等にも参加し、また、県立病院では、先月、全病院から成る岩手県立病院総合学会を開催して、医療提供のあり方等、さまざま議論しているところです。そのような中で、今、斉藤信委員から御指摘があったように、職員から発言があったことが事実であれば、それはしっかり改めて確認して、県立病院としての医療の質の向上に、引き続き努めてまいりたいと考えております。 〇斉藤信委員 弁解はいいから。私は、現場で聞いた実態を訴えているのです。だから、そういうことがあってはならないという通知を出してください。看護の質は守りなさいと、そういうふうに改善すればいいのです。犯人捜しはしないで。私が言うと、情報を漏らしたのは誰だとなりますから。このようなやり方をしていたら、職場の環境は改善しません。そういう実態があるのだったら、改善しなさいと、こういう形でしっかりやる。 そして、大事なことは、是正勧告、指導を受けたのだから、責任の所在をはっきりして、そして、本当に働きがいのある職場をつくることです。 最後に、医療局長、労働時間をはっきり示して、労働基準監督署の指導どおりに調査をやると、不払いを支給すると答えてください。 〇小原医療局長 いずれ、超過勤務を実施したものにつきましては、適切に把握をして、適切に支給するということが大切だと思いますので、しっかりと面接、確認の上、必要な対応をしてまいりたいと考えております。 〇福井せいじ委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 質疑はないようでありますので、これで医療局関係の質疑を終わります。 医療局の皆さんは御苦労さまでした。 以上で本日の日程は全部終了いたしました。皆様の進行に対する御協力に心から感謝を申し上げます。 本日はこれをもって散会いたします。 午後5時15分 散 会 |
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