令和6年9月定例会 決算特別委員会会議記録 |
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令和6年10月17日(木)
1開会 午前10時1分 1出席委員 別紙出席簿のとおり 1事務局職員 議事調査課 総括課長 昆 野 岳 晴 議事管理担当課長 佐 藤 博 晃 主任主査 柴 田 信 主任主査 及 川 雄 也 主査 高 橋 宗 子 主査 堀 合 俊 彦 主査 佐々木 賢一郎 主査 三 浦 訓 史 1説明員 文化スポーツ部長 小 原 勝 副部長兼 文化スポーツ 企画室長 新 沼 司 文化スポーツ 企画室企画課長 柏 葉 保 行 文化スポーツ 企画室管理課長 久 保 和 重 文化振興課 総括課長 和 田 英 子 スポーツ振興課 総括課長 鈴 木 忠 スポーツ振興課 特命参事 三ヶ田 礼 一 教育長 佐 藤 一 男 教育局長兼 首席服務管理監 菊 池 芳 彦 教育次長兼 学校教育室長 坂 本 美知治 参事兼教職員課 総括課長兼 服務管理監 大 森 健 一 教育企画室長 武 蔵 百 合 教育企画推進監兼 服務管理監 黒 澤 裕 彰 予算財務課長 古 川 敦 学校施設課長 佐々木 義 秋 学校教育企画監 伊 藤 兼 士 首席指導主事兼 義務教育課長 武 藤 美由紀 首席指導主事兼 高校教育課長 中 村 智 和 高校改革課長 西 川 信 明 首席指導主事兼 産業・復興教育課長 多 田 拓 章 首席指導主事兼 特別支援教育課長 最 上 一 郎 首席指導主事兼 生徒指導課長 千 田 幸 喜 首席経営指導 主事兼小中学校 人事課長兼 服務管理監 佐 藤 孝 之 首席経営指導 主事兼県立学校 人事課長兼 服務管理監 駒 込 武 志 保健体育課 首席指導主事兼 総括課長 中 村 和 平 生涯学習文化財課 首席社会教育 主事兼総括課長 小 澤 則 幸 企業局長 中 里 裕 美 技監兼技師長 村 上 敏 弘 次長兼 経営総務室長 浅 沼 玉 樹 経営総務室 特命参事兼 管理課長 松 本 哲 経営企画課長 白 井 孝 明 業務課総括課長 伊 藤 隆 行 電気課長 三 尾 友 明 会計管理者 滝 山 秀 樹 会計課総括課長兼 会計指導監 今 雪 博 貴 監査委員 五 味 克 仁 監査委員 中 野 玲 子 監査委員事務局長 佐々木 真 一 参事兼監査第一課 総括課長 及 川 博 英 監査第二課 総括課長 長谷川 英 治 財政課総括課長 佐 藤 直 樹 〇福井せいじ委員長 これより本日の会議を開きます。 これより議事に入ります。 認定第1号から認定第15号まで、議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。 本日は、文化スポーツ部、教育委員会及び企業局関係について、延べ29人の質疑を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。 また、関連質疑の取り扱いと換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。 また、質疑、答弁は簡潔明瞭に、そして、同様の内容の場合は、ぜひ関連質疑を利用していただきたいと思います。 初めに、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。 〇小原文化スポーツ部長 令和5年度文化スポーツ部の決算について御説明申し上げます。 初めに、当部所管の主な事務事業に係る取り組みと成果などについて、総括的に御説明いたします。 令和5年度は、文化芸術分野における児童生徒の活躍やスポーツ分野における本県ゆかりの選手の活躍による文化芸術、スポーツへの関心の高まりを岩手の活力とし、地域の活性化、地域振興につなげるため、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる各政策分野やプロジェクトに沿って、文化、スポーツ施策を推進してまいりました。 まず、健康、余暇分野については、文化芸術に親しむ機会の提供や障がい者の文化芸術活動の推進に取り組みました。また、県民誰もが生涯にわたってスポーツを楽しむことができる共生社会の推進などに取り組むとともに、令和5年4月にオープンしたきたぎんボールパークを活用し、にぎわいの創出を図りました。 さらに、原油価格、物価高騰に対応するため、文化スポーツ施設への影響に対する対策を行いました。 教育分野については、文化芸術活動を支える人材の育成や、障がい者トップアスリートを含むアスリートの競技力向上などに取り組みました。 また、中学校の休日部活動の地域移行について、教育委員会、市町村や関係団体と連携しながら、地域における受け入れ体制の構築や指導者の確保などに取り組みました。 居住環境・コミュニティ分野については、岩手芸術祭を初めとした文化イベントの開催及びスポーツ大会や合宿の誘致を行い、地域活性化、人的・経済的交流の拡大などに取り組みました。 歴史・文化分野については、平泉世界遺産ガイダンスセンターを核に、平泉の価値を国内外に発信するほか、平泉、橋野鉄鉱山、御所野遺跡の三つの世界遺産の保存活用等を図りました。 また、民俗芸能フェスティバルの開催など、地域の誇る歴史・文化資源の活用に取り組みました。 今後におきましても、デジタル技術等の活用を進めながら、文化・スポーツ振興の取り組みを着実に推進し、県民の文化芸術活動、スポーツに親しむ機会の充実を図ってまいります。 続きまして、令和5年度決算の概要について御説明申し上げます。 お手元の令和5年度岩手県歳入歳出決算書18ページをごらん願います。 2款総務費8項文化スポーツ費でありますが、これらの支出済総額は21億2、124万円余であり、翌年度への繰越額は5、403万円余、不用額は5、961万円余となっております。 決算の内容につきましては、歳入歳出決算事項別明細書記載のとおりでありますが、説明は省略させていただきます。 以上で文化スポーツ部関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますよう、お願い申し上げます。 〇福井せいじ委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇千葉秀幸委員 私からは前半が、学校部活動の地域クラブ活動への移行について。そして、後半では、民俗芸能について触れてまいりたいと思います。 まず初めに、学校部活動の地域クラブ活動への移行についてでありますが、これは手探り状態であります。そしてまた、相当な課題も山積している中にあって、徐々に、できる地域から移行を始めつつあるのだと認識しているところでございます。 まずは、令和5年度モデル事業の取り組み状況について伺ってまいりたいと思います。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 県では、地域の受け入れ体制の整備を進めるため、令和3年度から国の事業などを活用し、これまで運動部活動におきましては11市町村、文化部活動においては1町が地域移行に取り組んでおります。 令和5年度は、盛岡市、宮古市、大船渡市、西和賀町、九戸村の計5市町村でモデル事業を実施しております。 〇千葉秀幸委員 わかりました。その中で、もう既にモデル事業を終了して、3町村では、独自に地域移行の取り組みを進めていると伺っているところでございます。その中で、このモデル事業は、国からの委託料があって、その財源をもとにできたけれども、独自に走り出したら、やはり財源の問題でネックになっているという課題等々もあると思うのですが、まずは、全体的な課題ではなく、モデル事業を終えられて、自走している、独自にやられている町村の課題があれば、教えていただきたいと思います。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 モデル事業が終了しました町村が3町村ございまして、岩手町、葛巻町、九戸村、三つでございます。これらは独自で地域移行の取り組みを進めております。 これらの三つの町村では、課題として、持続可能な収支構造の構築、指導者の量、質の確保、それから、移動手段の確保、学校と地域クラブ活動の運営団体、実施主体との役割分担や責任の所在などが課題として挙げられております。 〇千葉秀幸委員 国の委託料もあった中で、主にどういったところにこの委託料を使われてきたのでしょうか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 終了した自治体におきましては、例えば関係者が意見を述べる協議会の設置、それから、モデル事業を実施するための指導者の報償費、旅費、それから、生徒指導者の保険料等々にモデル事業の委託料を充てていたと聞いております。 〇千葉秀幸委員 やはり委託料があったからこそできていたという側面もあるのだなということを改めて感じることができました。その中で、私もクラブチーム等々から幾つかお話聞いている中で、多く上がってきた課題について触れさせていただきたいと思います。 まずは、お話もありましたが、そもそも地域スポーツ団体の整備充実が本当に大変だというところ、受け皿がないところはどうやって立ち上げていいかという不安も多くあると思っておりますが、この辺の課題についても、どう認識しているのか、続けて伺いたいと思います。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 モデル事業を実施するに当たりまして、千葉秀幸委員から御指摘ありましたとおり、受け皿となります地域スポーツ団体の整備充実が課題だという声がたくさん挙がっております。 これにつきましては、例えばモデル事業をやっている中で、大船渡市のモデル事業では、学校の部活動でない陸上競技を地域移行の中で実施しているのですが、競技団体が受け皿となりまして取り組んでいるところがございます。それから、西和賀町のモデル事業では、受け皿となる団体がないので、今、モデル事業の中で、総合型スポーツクラブの設置に向けた検討、取り組みを進めております。 これらの状況、地域スポーツ団体の整備充実の状況を関係者と情報共有しながら、地域の実情に応じた地域移行を円滑に進める必要があると考えております。 〇千葉秀幸委員 どうやって立ち上げるかというところからのスタートになると思います。それぞれに投げるだけではなくて、市町村の担当課、あるいは県の職員も、その辺をしっかりとサポートしていきながら、寄り添いながら立ち上げ、そして、運営に努めていく必要があると思いますが、そちらについても伺いたいと思いますし、あわせてもう一つの大きな課題、指導者の確保というところです。私の課題意識とすれば、指導者の確保はさることながら、その競技の種目だけを指導できれば成立するというわけではなくて、教育的な側面もあわせていると思いますから、そういった指導といいますか、あるいは研修等々も重要になってくる、そういったところの研修もしっかりとあった上で、指導者が現場に携わっていく必要があると思いますが、この2点について伺いたいと思います。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 地域移行につきましては、市町村等によって課題はさまざまでございます。 今、お話のありました受け皿につきましても、それぞれ私どもで、市町村を対象とした相談会を実施。あとは、先進事例を紹介する事例発表会等のようなものを実施することとしておりますので、それらの中で、市町村の課題もお聞きしながら、それぞれの課題に対応できる支援をしていきたいと考えております。 それから、指導者への研修についてお話がございましたが、現在、教育委員会におきまして、部活動顧問、部活動指導員を対象に、部活動の指導者としての服務規律の確保、体罰等不祥事未然防止に向けたコンプライアンス意識の徹底などの研修会を実施しているところでございます。 県におきましても、教育委員会と連携しながら、モデル事業を実施している6市町に、それらの情報提供を行っているところでございます。 それから、県では、地域クラブ活動の指導者を含む、各種スポーツ指導者等を対象にしまして、年1回研修をしておりまして、そこで地域スポーツ振興にかかわる知識やスキルを習得することにより、受け入れ体制の充実につなげているところでございます。 引き続き、それら研修会を実施しまして、指導力の向上を図っていきたいと考えております。 〇千葉秀幸委員 わかりました。いずれ、行き過ぎた指導、あるいはパワハラ、セクハラということも、近年、非常に問題視されております。 県立不来方高等学校問題の件もありましたが、熱が入れば入るほど、周りが見えなくなってしまったり、行き過ぎたということが非常に懸念されることもありますので、そういった研修等もしっかり実施しながら、人材の確保に努めていきたいと思っておりますが、今後の学校部活動の地域クラブ活動への移行について、どう進めていくか、これは文化スポーツ部長に御答弁いただきたいと思います。 〇小原文化スポーツ部長 一般質問でも申し上げましたとおり、各地域でそれぞれ持っているスポーツ支援、施設、指導者、中心になっている方々、あるいは力を入れている特色あるスポーツを進めている市町村もございます。それぞれで違いますので、そこが円滑に進むように、おくれることのないように、目指すところは、教員の働き方改革であり、少子化の中で子供たちがいい部活動ができるといったようなことでありますので、しっかりそこを目指して、丁寧に対応してまいりたいと思います。 〇千葉秀幸委員 いずれ、国からの委託料もある中で、その辺も活用いただきながら、課題がある中で手探りで進めているわけでございますから、今後も積極的にこちらの委託料も御活用いただきながら、できるところから進めていただきたいと思っております。 そして、民俗芸能について触れてまいりたいと思いますが、これは地元においても、民謡であったり、神楽であったり、これまで多くの歴史を検証しながらやられている方々が非常に高齢化をしているということで、今後どう残していくかという不安の声も多かったものですから、取り上げさせていただいたものでございます。 まずもって、今現在の岩手県の誇る、この民族芸能はおよそ900前後あると承知しております。東日本大震災津波の前はもっとあったわけです。そして、コロナ禍でおよそ3年間、活動休止を余儀なくされていたことから、やむなく団体を解散したり、あるいは先ほど言ったように、高齢化に伴って今後の活動を非常に不安視しているという声が広がっているわけでございますが、まずは令和5年度の活動中の民俗芸能団体の状況について伺いたいと思います。 〇和田文化振興課総括課長 県内において活動中の民俗芸能団体の数について、まずは御答弁申し上げます。 県が毎年市町村を対象に実施しております民俗芸能団体の調査をした結果、令和6年度の活動団体数は906団体となっておりまして、5年前の令和元年度の934団体と比較すると減少傾向にある状況でございます。 〇千葉秀幸委員 その活動を今後もサポートしていきたいということで、文化スポーツ部も力を入れております。 その中で、北海道・東北ブロック民俗芸能大会等々も開催されております。本県から1団体ということですが、多くある中で、この1団体を選ぶのは非常に苦渋の判断となると思っておりますが、この辺どういう参考基準で選ばれているのか。そしてまた、来年度は岩手県開催だと伺っておりますが、この辺の計画についても伺いたいと思います。 〇和田文化振興課総括課長 北海道・東北ブロック民俗芸能大会の派遣基準についてでございます。県では、原則として、県の無形民俗文化財の指定順に団体を派遣しており、令和6年度に、宮城県多賀城市で開催されます北海道・東北ブロック民俗芸能大会には、本県から令和2年度に県指定となった宮古市の田代念佛剣舞を派遣することとしております。 本大会は、7道県の持ち回りで開催しておりまして、令和7年度は岩手県での開催を予定しているところです。北海道と東北各県の民俗芸能団体が一堂に会する貴重な機会でありますことから、大会を通じて、本県の民俗芸能の魅力を広く発信するとともに、他道県の演舞団体や関係者との交流によって、担い手の活動意欲の向上、若い世代への継承意識の醸成につながるように取り組みを進めてまいります。 〇千葉秀幸委員 わかりました。いずれ、岩手県が誇る民俗芸能をしっかりと北海道・東北ブロックの皆さんに披露していただきたいと思っております。 少しネガティブな質問になるかもしれませんが、冒頭申し上げた高齢化の問題、そして、これから維持していくのが難しいという団体がふえているのが現状です。こういった方々をどう支えていくかということもありますし、やむを得ず残すことが難しいという方々に対しても、これから、動画であるとか、画像であるとかで、こういった歴史があったということを、後世に伝えていく残し方も必要だと思っておりますが、ここの取り組みについて教えてください。 〇和田文化振興課総括課長 民俗芸能の保存についてでございます。 新型コロナウイルス感染症による活動休止などの影響も残ります中で、少子高齢化による後継者不足や、指導者の高齢化などの課題が大きくなっていると認識しているところです。 また県では、民俗芸能団体に対し、文化庁や岩手県文化振興基金を活用した支援や、岩手県民俗芸能フェスティバルの開催による公演機会の提供、県指定団体の北海道・東北ブロック民俗芸能大会への派遣などにより、担い手の確保、育成、継承に向けた取り組みを行っているところです。 さらに、いわての文化情報大事典のユーチューブチャンネルにおいて、民俗芸能の動画を公開し、その魅力を発信しているところであり、収集した動画は、次世代に引き継ぐ媒体としても活用が可能でありますことから、継承に向けた取り組みとして、民俗芸能団体の動画の収集を進めてまいりたいと考えております。 〇千葉秀幸委員 最後にいたしますが、いずれ、この民族芸能のさまざまな団体をどう残していくのか。これまで携わってこられた方々の歴史をしっかり、どう配信していくかということが重要だと思います。 ということは、今回を機に、例えば活動を休止するかもしれないけれども、映像が残っていることで、また数年後に、この映像を見ながら復帰したい、あるいはやりたいと思う方々も出てくるかもしれません。そういった方々のためにも、今の時代に即して、しっかりとユーチューブ配信を行っていたり、ライブの配信、動画等々も持っているということでございますので、こういった残し方があるということを、市町村に、そして、現場の皆さんにもしっかり周知していただいて、今後も、この岩手県が誇る民俗芸能を残していただきたいと思っておりますが、所見を伺って、質問を終わりたいと思います。 〇和田文化振興課総括課長 岩手県の民族芸能団体につきましては、やはり市町村においても、少子高齢化による後継者不足といったことを課題に掲げているところが大変多くなっております。 後継者を育成して、民俗芸能の継承、活性化を図っていくためには、県内の民族団体が相互に連携協力していくことが重要であると考えております。 県としましても、関係する協議会等もございますので、民俗芸能の保存や継承をテーマとした意見交換会なども開催しながら、そういった関係団体の相互交流の場で、市町村の参画も働きかけながら、県全体で連携を図りながら、活動を支援してまいりたいと考えております。 〔「関連」と呼ぶ者あり〕 〇畠山茂委員 私は、部活動の地域移行について、同じような中身なので、ここで伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 部活動の地域移行についてですけれども、この取り組みは、文部科学省が2023年度から3年間で集中的に取り組むということで、今、始まっております。一つには、どういった課題があるかということなのですが、先ほど答弁いただいたので、理解したつもりです。 次にお聞きしたかったのが、部活動の地域移行のこの目的は、教職員の働き方改革の一面もあって、進められていると認識しています。 現在、部活動の地域移行は、文化スポーツ部が所管をして取り組んでいます。一方で、学校全般の運営管理は教育委員会がやっているわけでありますけれども、この教育委員会との情報共有の取り組み、推進に当たっては、どのような連携を図っているのかお聞きしたいと思います。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 部活動の地域移行につきましては、畠山茂委員御指摘のとおり、教育委員会と当部で共管している部分はございます。 取り組みですが、教育委員会と連携しながら、国の事業などを活用したモデル事業、それから、地域移行で市町村担当者に向けた公立中学校の学校部活動における地域クラブ活動への移行に向けた手引きの発出及び更新をしております。 それから、岩手県における学校部活動及び新たな地域クラブ活動のあり方に関する方針の策定。それから、今年度に入りまして、新たに関係者間で情報共有や意見交換を目的とした、岩手県における地域クラブ活動のあり方に関する協議会の開催などを、教育委員会と連携しながら取り組んでおります。 また、今後実施するものですが、市町村を対象としました相談会、先進事例の紹介等を行う事例発表会、生徒児童も対象としました、岩手県の中学生にとって望ましい環境について、さまざまな立場から意見を交わすワークショップを開催することとしておりまして、これらにつきましても、引き続き、教育委員会と連携しながら取り組んでまいります。 〇畠山茂委員 今の御説明では、情報を共有しながら一体的に取り組んでいると認識いたしました。 次にお聞きしたかったのは、自治体ごとの取り組みとして、今、頑張っていると思いますが、そこで懸念されるのが、先ほどの課題でありました受け皿づくりというところであったり、あるいは指導者、もっと細かく言うと、部活動の中でけがをしたとか、事故を起こしたとか、あるいは保護者の経費の負担とか、さまざま課題がこれから出てくると思います。 そういった中で、懸念されるのは、小規模自治体のマンパワー不足、あるいは地域事情によって、この自治体の中で差が出てこないのかという懸念も考えられます。あるいは、部活動の種目によって、地域移行に対する差が出てこないのかと。それはイコール、教職員の働き方改革の差にも出てくる。どこかの市町村は地域移行で、教職員の負担がたくさん減る。一方、小さい自治体は地域移行がなかなか進まなくて、教職員の負担はそのまま残るという懸念も私はあるのではないかと思っているのですが、そういった危機感はどのように認識しているかお伺いしたいと思います。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 地域移行につきましては、地域によりまして、受け入れ団体、あとは教員ごとの指導者などの状況が相違しておりますので、それらの実情に合わせた取り組みが必要であると考えております。 先ほども御答弁しましたが、市町村等を対象とした相談会などの取り組みを実施しますので、課題を把握しながら、それぞれの市町村を支援してまいりたいと思います。 また、これも先ほど答弁した部分と重複する部分もあるのですが、市町村において、想定された業務とか手続を整備しました手引き、地域移行に係る県の考え方を示しました方針などをお示ししていますので、それらに基づきながら、市町村の地域移行を円滑に進めていくように支援をしていきたいと考えております。 〇畠山茂委員 最後になりますけれども、先ほどの説明では、今、スポーツが11市町村、文化が1自治体ということで、これから、まだまだ普及活動は必要だと思うので、ぜひ連携をしながら、協議会と、あるいは自治体と連携して頑張っていただきたいと思います。 〇城内愛彦委員 それでは、今、議論された点の延長でお伺いしたいと思います。 指導者の確保の状況は、どのようになっているのかお伺いします。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 指導者の確保の状況についてでございますが、地域クラブ活動の指導者につきましては、部活動の地域移行を円滑に進めるために、専門性や指導経験などを有する指導者の確保が大切であると認識しております。 県では、指導者を確保するため、現在の岩手県広域スポーツセンタースポーツリーダーバンクの運用を拡充しまして、関係団体等の協力を得ながら、指導者等の発掘、把握に努めるとともに、スポーツ医・科学の知見の向上や、スポーツ・インテグリティの確保に向けた研修会の開催などにより、指導力の向上を図っていきたいと考えております。 〇城内愛彦委員 県の果たす役割は、そこが私は肝だと思っています。今、多様化した多くのスポーツがあるわけでありまして、それをどうやって子供たちに、あるいはその地域のスポーツを楽しむ方々に享受をしてもらうかという点では大事だと私は思うのですね。 県の果たす役割をもう少し明確化して、また、これから、モデル事業が終わっていく中で、全県下にあまねく市町村にそれを享受するためのロードマップも含めてつくってはいかがかと思うのですが、そういった考え方はないのか。この間に、子供たちはどんどん成長していくわけです。いろいろなチャンスを、もしかしたら失うかもしれない。そのチャンスをしっかりと提供する役割が、私は県にはあるのではないか、それをコーディネートしていく役割があるのではないかと思うのですが、その辺の考え方はいかがでしょうか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 まず、指導者の関係でございますが、先ほども答弁しましたとおり、スポーツリーダーバンクがございますので、そこの登録者数をふやしまして、市町村で指導者を求める場合は、それらのマッチングを行うように、そこの拡充をしたいと思っております。 そのために、市町村の担当者会議、競技団体の事務局長会議、あとは、私たちが取り組む事例発表会、相談会などで周知しながら、その登録者数をふやしまして、マッチングできる機会を拡充していきたいと考えております。 それから、地域移行の全体のロードマップの御質問かと思いますが、地域移行につきましては、やはり指導者の状況、スポーツ、文化支援への状況が地域によって大きく異なります。一律にその工程を示すのはなかなか難しいと考えておりまして、それぞれ個別の課題に対しまして、支援していくことができるのかと考えております。 〇城内愛彦委員 逆に言うと、これまで、皆さんは地域支援について、リサーチも何も余りしていなかったということが、今、ここでわかってきたということです。いろいろなスポーツ、文化を通じてやるべきことはたくさんあって、どうやって県民を巻き込んでいくかということに主眼を置いていなかった。 先ほどの文化スポーツ部長の答弁にもありましたけれども、先生方の働き方改革がまず先にあるということが私は問題だと思うのです。そこを、文化スポーツ部としてどういうふうに取り組むかという観点が、私は欠けているのではないかと思うのです。隣の教育委員会と連携、連携と言いますけれども、連携すらできていないではないですかと私は思うのですが、部長、どうですか。 〇小原文化スポーツ部長 例えば、この春に、前年度末に方針を取りまとめましたが、これをまとめる際には、毎日のように保健体育課と膝詰めで、どこをどう変えていくといったようなことを取り交わしながら進めてまいりましたし、お互いに持っている学校現場での問題とか、我々の地域での問題とか、いろいろ持ち寄りながら、今でも、意見交換をしているところであります。 地域の支援については、支援自体は、我々もつかんでいるところですが、進め方、あるいはどういう具体的な問題があるかというところを、これからしっかり聞きながらやっていかなければならないと思っているところであります。 今、国でも、モデル事業を終えたとすれば、次、どのように展開していくかとか、市町村にアンケートをとりながら、その大方針を検討しているところですので、我々もそのアンケート結果などをつぶさに見ながら、しっかりとおくれないように、進んでいくように取り組んでまいりたいと思っております。 〇城内愛彦委員 広い県土ですので、スポーツによっては市町村をまたぐ場合も想定されるわけです。それによって不利が生じないように考えるのも、また県の役割ですし、そういったことをする、そして、子供たちの可能性を深く探って、強く引き出すという役割が皆さんにはあるわけです。その点を十二分に考えてほしいし、地域の特色があるという話もしますが、もう今さらですよ。 もう手引きとか方針とかという段階ではないと思うのです。もっと早くやってほしいし、地域では、その準備はもうしているわけです。そういう点が、私もこの間、ずっとこのモデル事業が始まってから毎回聞いていますけれども、結局は何も進んでいなかったのではないかと。現場の方々はどうしたらいいのですかと聞かれるのですが、どうにもなっていないというのが現状だという話です。 ですので、しっかりと工程表などをつくって、どのように進めていくという計画をつくって進めてほしいのです。これまで、国が示すのを待っているという話でしたし、国が示して、では、どうなったかというと、まだモデル事業はどうのこうのという話では、私はちょっとだめだと思うので、ぜひ、そこは改善して、ジャッキを巻いてほしいと思います。 次に移ります。関連するわけですが、ことしから、国民体育大会から、国民スポーツ大会に名称が変わりました。本県の取り組みについて、捉え方も含めて、どのように考えているのかお伺いします。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 国民体育大会の名称が国民スポーツ大会に変わりまして、佐賀県でことし初めて国民スポーツ大会が開催されました。 佐賀県では、初めて国民スポーツ大会を開催する県としまして、これまでにない大会運営を行っております。具体的には、総合開会式の選手団の入場におきまして、これまでと同じように隊列を組むのではなくて、自由な行進としたことに加えまして、都道府県ごとにそれぞれの独自アピールを行いました。 それから、多くの人に大会観戦、応援してほしいという思いで、レスリング、バレーボールなどの競技でナイトゲームを開催するなど、新しい大会運営を行ったところでございます。 これらの取り組みを進める中で、スポーツが持つ力を新しい価値に加え、未来につなぎ、国民スポーツ大会をきっかけとして、スポーツの力を生かした人づくりや地域づくりを進めていくべきという考えのもと、国民スポーツ大会を開催したところでございます。 本県でも、入場行進の際は、そばっちのぬいぐるみを選手団のほうで持ちまして、あまちゃんのじぇじぇじぇという文言を発しまして、アピールをしたところでございます。 今回、スポーツというふうに名称が変わりまして、よりスポーツというのは幅広い意味を持っておりますので、こういう新しい取り組みがなされたことはよかったと感じております。 〇城内愛彦委員 私はもう少し深掘りして考えておったのですが、では、それをどうやって岩手県に落とし込むかということです。大事なところはやはりそこなのではないかと思うのです。国民体育大会から国民スポーツ大会に変わる、体育からスポーツに変わっていくという、その転換点です。その辺の落とし込みが、今、皆さんから伝わってこないというのはとても残念だと思うのです。そういう準備はしてしかりだと思うし、そういうためのことを文化スポーツ部はしていたのではないか、する役割があったのではないかと思っています。二順目の国体も終わりました。レガシーというのですか、いろいろなこともあるけれども、それも含めて、新たなものに転換をする考え方はやはり必要だと思うのです。 一方で、高体連の大会も、総合開会式も中止すると。これは別の部門なので、あした聞くのですけれども、そういうことも考える中で、あるべき姿を、もう少し県民のための文化スポーツというあり方を考えてほしいと思うのですが、文化スポーツ部長に聞いて終わります。 〇小原文化スポーツ部長 今回、名称が変わりまして、教育的な意義が強かった体育から、スポーツの大会となったわけです。ある意味、世界標準と言えると思いますが、自発的に参加して、楽しみ、喜びを感じるというスポーツの言葉を用いた大会となっております。 先日の大会で、大会運営側も自由度が高くて、そして、する、見る、支えるというスポーツのかかわり方を強調していくという大会運営がございましたが、選手の参加の様子などを見ますと、既にそのように自分らに取り込んで、パフォーマンスなども大変うまくやっていると感じたところであります。 今後の大会でも、さまざまな工夫が行われて、今の時代に合った大会になっていくと思います。県としても、そうした意義に応えて、選手たちとともに、自由度が高く、楽しんで、喜びを感じられるような選手団としていきたいと思っております。 〇ハクセル美穂子委員 私からは、ソフトパワーいわて戦略推進事業費についてお伺いしたいと思います。 この事業は、コミックいわての発刊など、それから、マンガプロジェクトとか、マンガ大賞をやる事業でございましたが、令和5年度は、この事業によってどのような効果があったのか、具体の事例も含めて、その政策の評価について伺いたいと思います。 またあわせて、令和4年度から令和5年度の指標を変えておられます。令和4年度はウエブの訪問数が入っていましたけれども、令和5年度はコミックいわてWEBのページビューのみの指標で、評価はAとなっているのですが、令和4年度はDだったのですけれども、令和5年度はAになっている。この評価、指標を変えた理由についてもお伺いしたいと思います。 〇和田文化振興課総括課長 令和5年度のソフトパワーいわて戦略推進事業費、コミックいわて等マンガプロジェクトの効果ということでございます。令和6年3月に発行したコミックいわては、過去3年間で最も多く販売されている状況にあります。 そして、コミックいわてWEBのページビュー数は65万9、256件と、前年度を上回ったほか、SNSのフォロワー数は令和6年4月時点で3、392件となり、前年度より286人増加したところです。 いわてマンガプロジェクトは、地元の書店組合やマンガコースがある専門学校、それから外部有識者など、さまざまな分野の方々の参画のもとで取り組みを進めているところであり、いわてマンガ大賞コンテストでは、専門学校との連携により開催し、令和5年度は、同校の提案を取り入れて、新たにイラスト部門を創設したところです。 また、漫画を活用した海外との交流も活発化しておりまして、令和5年度はいわてマンガ大賞コンテストに、フランスや中国に加え、ポーランド、マレーシアから新たに応募があったほか、海外の学生等を対象とする4コママンガワークショップは、中国雲南省の学生が参加し、令和5年度は新たにハロウインターナショナルスクール安比校でも開催しており、漫画を通じて、本県の文化の魅力への理解促進が図られたところでございます。 それから、指標の変更についてでございます。令和4年度のコミックいわて訪問数は、ウエブページのURLの変更に伴うシステムの不具合により、訪問者数を正確にカウントできない時期がございました。そこで、目標値19万6、000人に対し、実績値が11万4、080人となり、達成度がDとなったところです。 また、コミックいわてWEBの訪問者の中には、掲載している作品を複数読まれる方もおりますので、実際に作品を閲覧した状況をより正確に反映できる指標とするために、令和5年度から第2期政策推進プランでは、ウエブにアクセスした方が見たページ数であるページビュー数を指標としたところでございます。 今後もより多くの方にコミックいわてを読んでいただけるように、SNSを活用しながら、あらゆる機会を捉えて、コミックいわてWEBを周知してまいりたいと考えております。 〇ハクセル美穂子委員 今の御答弁をお聞きしますと、この事業自体がもう既にコミックいわてを読んでもらうことを目的とした事業になってしまっているのではないかと私は感じました。 予算特別委員会でも質問をさせていただいて、そのときの文化振興課総括課長が答弁してくださった、この事業の目的は、岩手県の漫画文化の振興と、漫画を活用した本県の魅力発信、それから、交流人口の拡大を目的に13年間取り組んできた、そういう事業であると。ただ、今の評価とか、いろいろと変えた理由をお聞きしますと、もう既にコミックいわてを読んでいただく、発刊して読んでいただくという事業にしかなっていないのかと私は感じますけれども、その点については、聞いてもそのとおりだと思います。 ですから、予算特別委員会のときも、これはきちんと事業の内容を精査して、評価基準とかも考えながら、事業のあり方を考えるべきだと。13年間やってきたものをまた新しくなのか、一回ストップしてもいい時期に来ているのではないかということをお話させていただきましたが、この結果も踏まえて、今後、どのようにこの事業を行っていくのか、やめるのか。はっきり言いますけれども、私はやめたほうがいいと思っています。これについてはどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。 〇和田文化振興課総括課長 これまで10年以上にわたっていわてマンガプロジェクトを実施してきたところでありますけれども、もちろん多くの方に読んでいただいて、岩手県の文化の魅力を知っていただき、そして、そういった方々が岩手県に行きたいと思っていただいて、多くの方に来ていただくということ。そしてまた、かかわる人口がふえることで、関係人口の増加にもつながるというようなところが、本来我々が発信したい目的でございます。 説明に当たっては、読者がこれぐらいおりましたということで評価をお示ししている状況でもございます。 一方で、海外等からも数多くのいわてマンガ大賞コンテストへの参画でありますとか、フランスでのコミックいわての展示などを希望するお声をいただいたり、波及効果も見えているところもございます。現時点で、やめる、やめないということは、発言は控えさせていただきますけれども、成果をしっかり対外的に発進できるような形で事業を取り進めていくことを努力してまいりたいと考えております。 〇ハクセル美穂子委員 苦しい御答弁だと思いました。本当に苦しくお話をされていますが、実際に、令和5年度の実績値、ページビューが、65万9、256件で、目標値が65万1、000件なので、評価Aとなっておりますけれども、実はこれ、令和3年度のページビューが65万9、015件なので、読まれたページ数の増というのは、241ページだけなのです。これをもってAとするのは、私は、ほかの事業に対して、本当、ほかにしっかりやって成果を出している事業と、それから、一生懸命努力したけれども、1とか2とかしかふえなかったからDだとやられている事業とを比較しても、本当にそれでいいのですかと。県庁内部の士気とかにもかかわってくるのではないかと、そのように思うのです。 私も行政で働いていたことがありますので、きちんと評価をしていただきながら、モチベーションを持って事業をやっていくほうが、県庁の皆さんにとっても、働きがいのある、そういった職場になるのではないかと思います。これをここまで無理やり、ずっと13年間続けてくるということは、本当は、皆さんにとっても苦しいことでもありますし、こうやって評価が出ないものにAを続けていって、ずっとここで答弁していくことも本当に大変なことだと思います。その労力を別のほうにきちんと活用して、しっかりとした文化振興をしてほしいという意味で、この質問をしておりますので、その点、ぜひ担当の課長だけではなくて、県庁全体で考えていただかなくてはいけないことではないかと思っていますので、その点についてお話をさせていただいております。 本当に、無理やりAを出してまで継続していく理由は何か、このプロジェクトは本当に見直さなければいけないと思います。なぜなら、この事業には1、366万円ほど使っています。ほかの文化振興費にある事業の中で、これが突出して大きい事業なのです。ほかは200万幾らとか、300万円とか、そういった事業です。民俗芸能をやっていらっしゃる県民の皆様、自分たちのお金を、身銭を出して衣装を買って、本当に大変だというのに、支援もなかなか十分にできていない中で、この事業に1、300万円かける意義というのが全く私には見えない。その点についてしっかりと検証してほしいと思っています。 ただ、額面だけ見れば評価Aなので、私はここでしっかりお話をさせていただきました。ぜひこの点について、次の予算要求までに検討し、事業の内容を見直すというか、廃止して、新しいものをやるのはいいと思います。そのほうがいいのではないかと思っていますので検討していただきたいと思います。その方向性について、文化スポーツ部長から御所見をお伺いしたいと思います。 〇小原文化スポーツ部長 我々、今、このプロジェクトを一生懸命やっておりますので、何とも申し上げにくいところなのですけれども、マンガプロジェクトにつきましては、ページビューという数字をどう見るかというところはそのとおりですけれども、いろいろ慎重に見きわめていく必要があると思っております。新しい取り組みとして、海外との交流とか、コンテストの工夫とか、応募者の変化などを仕掛けてきたところでありまして、岩手県に関心を持つ人たちの拡大につながっていると推察されます。コミックの編集委員やコンテストの応募者、イベントの参加者など、多くの方々にかかわっていただいているプロジェクトになっております。また、編集委員の方々からも、さまざまな意見をいただいているところでありまして、改善していかなければならないところは認識しております。 今年度の事業執行に当たりましても、さまざまな工夫や見直しを行っているところでありますし、来年度の事業についても、限られた予算の中で、御指摘のありました費用対効果をしっかり発揮できるように、工夫や見直しを行いながら、このプロジェクトによりまして、岩手県に関心を持つ人をふやし、交流人口の拡大につながるよう、検討を進めてまいります。 〇ハクセル美穂子委員 御答弁いただきましたけれども、私は残念ながら、その意義を理解することはできません。本当にソフトパワーいわて戦略推進事業が、これからもしっかりとやられているというのであれば、聖地訪問とか、そういった数がふえていってしかるべきと思うのです。ただ、聖地訪問、聖地巡礼で来てくださる方々は、実際にこのコミックいわてではなくて、その作家が頑張って発刊している、例えばハイキュー!!とか、呪術廻戦とか、すばらしい作家が岩手県から輩出されていますので、そういった方々の漫画を見て、その地元に聖地巡礼に来ている。その地元に対して、もっと巡礼しやすくするようにとか、それから、岩手県を周遊していただくようにとか、そういった取り組みになっていないのが、私は足りないのではないかと。 漫画とかサブカルチャーを否定するものでは全くありません。それをどのように県民の生活とか、県民の皆さんの利益につなげていくかということをしなければいけないのが県庁であって、そういうことをするのが県庁の事業だと思うのです。最初の芽出しの部分であれば、私、これやってもいいと思いますけれども、13年やっていく意義は全く見えないのです。 芽出しで、それが広がっていって、県内にたくさんの人が来始めました。市町村でもいろいろなことをやり始めましたというようになるのであればいいですし、これがどんどん翻訳されて、海外にも出版されましたというのは、また別の話ですけれども、同じことを13年やるということ。それも県民の皆様からいただいた税金をまず投入しながらやっている。そこはしっかりとやっていかなくてはいけないことだと思います。どんな理由が裏にあるのか、私は推察することしかできませんけれども、これをAにしていく理由があるのであれば、その理由をつくっている人からしっかりと考えていただくということが私は必要だと思います。本当にそのことをお訴えして、終わりたいと思います。 〇高橋穏至委員 大体言いたいことは言っていただきましたので、1点だけ、今の、何のためにこの指標が変わったのかという部分と、実は、この事業は令和6年度事業において、人口減、社会減対策事業という位置づけだったのですが、この事業、令和5年度のときはそういう位置づけではなかったのですよね、重点事項ではなかった。それが令和6年度事業になって、この人口減対策事業にぽっと出てきて、今まで続けてきた。そして、指標が変わって、今までだめだったのが、急にAになった。 これはどういうことなのかと、先ほどハクセル美穂子委員が推察するしかないという話をしましたが、こういった位置づけの変更とか、もし、それが目的であれば、社会減とか自然減にどう貢献したのかという部分、そこを説明いただきたいと思います。 〇和田文化振興課総括課長 人口減少対策としての位置づけということでございますけれども、人口減、そして、交流人口の拡大という両にらみで、この事業をやっているというところもございます。人の行き来がふえることで、人口がふえる、あるいは関係人口がふえることが目的というところもございますので、先ほども答弁させていただきましたとおり、多くの方に、この漫画を活用して、岩手県の魅力に触れて、そして岩手県を訪れる、あるいは岩手県に帰ってくる。そういった方々をふやしていく。そういう動機になるようなプロジェクトになるということを、この事業として考えておりましたので、今回、人口減少も絡めながら、この取り組みを進めていくと変更したところでございます。 〇高橋穏至委員 絡めて、それで変更したという説明ですが、要はそうであれば、本当にこの事業によって交流人口がふえたのかというのを検証するすべがないと、変更した意味がないのではないかと思うのですけれども、いかがですか。 〇和田文化振興課総括課長 漫画を読んで、実際に県にいらっしゃった方という、その実数として把握することがなかなか困難であるということもございますし、一方で、ウエブで漫画を読んでいただいた方からは、岩手県にぜひ来県したいといった御意見も、これまで何件かいただいているところもございます。今、実数としてどのぐらいの方がいらっしゃったかということは、御説明できる材料はございませんけれども、この漫画がきっかけでというようなところで、この取り組みを進めてまいりたいという趣旨でございます。 〇高橋穏至委員 今、手持ちがないというお話でございます。来年度の予算に向けて、これをどうするか、先ほどもゼロベースで検討したほうがいいのではないかというお話もありました。これが本当に成果をしっかりと上げられるのだというような、あるいは事業の流れというか、スキームをしっかりと組み立てながら検証できるようなロジックモデルといいますか、そういうのを出した上で、次の予算を提案していかないと、次の予算はちょっと納得いかないのかという気がしますので、その辺の考え方について、最後、文化スポーツ部長に聞いて終わります。 〇小原文化スポーツ部長 直接的なアウトカムと、さらにその先のアウトカムでこれを結びつけるのはなかなか難しい事業ではありますけれども、そのあたり、しっかり検討してまいりたいと思います。 〇工藤剛委員 本年9月6日、令和6年度のいわてスポーツプラットフォームの全体会が開かれました。それについてお伺いいたしますが、予算書の中でもこれを見つけるのがなかなか大変だったのですけれども、そもそもいわてスポーツプラットフォームの目的と、今までの活動実績をお伺いいたします。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 いわてスポーツプラットフォームの目的等についてでございますが、地域のスポーツ団体や教育機関、経済界、支援機関等が一体となりまして、これまで各組織、団体が個々に進めてきたスポーツ活動をつなぎ、官民による連携、協働により、相乗効果を発揮する取り組みを展開し、スポーツの力による健康社会の実現と、人的、経済的交流を推進し、魅力あるスポーツのまちづくりや、県民が日常的にスポーツに親しみ、楽しみ、そして、潤う豊かな社会の実現を目指すため、スポーツ分野の専門的、技術的なアドバイスを提供する機関として、令和4年11月にいわてスポーツプラットフォームを設置しております。 これまで、大規模大会や合宿の誘致、トッププロスポーツファンの拡大、アスリートの県内定着の三つの重点事項について検討を行っておりまして、令和4年度は全体会、分科会をそれぞれ1回。令和5年度は全体会1回、分科会を2回。令和6年度は、これまで全体会を1回開催しております。 〇工藤剛委員 ほぼ1回ずつといいますか、全体会、分科会が開かれているわけですが、その中で、具体的にどういった話し合いが行われたのか。代表的なものでいいのですが、教えてください。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 トッププロスポーツファンの拡大につきましては、現在、県で、いわてグルージャ盛岡、岩手ビッグブルズ、釜石シーウェイブスの3者と、地域振興推進業務の委託契約を毎年度締結していますので、その状況について、御報告をしております。 それから、アスリートの県内定着につきましては、岩手県スポーツ協会に無料職業紹介所を開設しまして、取り組みを行っておりますので、それらの取り組み、それから、現在の実績等の報告を行っております。 もう一つの重点課題の大規模大会や合宿の誘致、これは、県内の主なスポーツ大会やスポーツイベントの誘致の実績、合宿誘致の実績等を、取り組みの状況も含めて、御報告、協議をしているところでございます。 〇工藤剛委員 それで、県には、平成29年に市町村スポーツ団体、観光商工団体、トッププロスポーツチームなど、60団体を構成団体といたしまして、いわてスポーツコミッションを設置しているのですが、このスポーツコミッションとスポーツプラットフォームの違いといいますか、どちらがどういうことをしているのかということをお伺いいたします。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 いわてスポーツプラットフォームといわてスポーツコミッションとの役割分担でございますが、いわてスポーツプラットフォームにつきましては、先ほど御紹介しました三つの重点事項等を円滑に推進するに当たって必要となる、スポーツ分野の専門的、技術的なアドバイスを提供する機関となっております。 それから、いわてスポーツコミッションにつきましては、合宿誘致の最前線となる、県内33市町村を初め、プロスポーツチーム、商工団体等で構成されておりまして、事業を具体的に展開する機関という形になっております。 〇工藤剛委員 それで一つ確認したいのですが、プラットフォームのほうがスポーツコミッションの、例えばその下部組織とか、そういう意味合いではないということでよろしいのですか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 スポーツプラットフォームとスポーツコミッションは上下の関係ではなくて、それぞれ別の組織という形になっております。 〇工藤剛委員 わかりました。もう一つ確認したいのですが、第2期岩手県スポーツ推進計画(2024〜2028)の中で、例えばこのスポーツプラットフォームの位置づけはどういう形になっていますか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 プラットフォームにつきましては、さまざまなスポーツ分野の施策を進めるに当たりまして、プラットフォームの意見等を聞きながら、それらの施策を進めるような位置づけになっております。 〇工藤剛委員 それで、プラットフォームの方々の意見を聞きながら、次に進めるという意味と解釈しましたけれども、例えば今年度の全体会が、9月6日に開かれた中で、メンバーがオブザーバーと事務局を除けば、多分31人ですか。その中でこの日の会議は参加が16人で、欠席が15人ということで、とりあえず過半数は超えていますので、会議は成立しますという状態だとは思うのですが、なかなか寂しいと感じました。 ただ、実際、こちらはスポーツコミッションの団体とは違って、それこそ現役の選手の方もメンバーに入っていらっしゃるみたいですので、実際、その日に来てくださいと言ってもなかなか来られない方も多いのかと推察はいたしておりますが、その中でいろいろ御意見が出される中でも、例えばこのプラットフォームには予算がついていないというお話を聞いていますが、このプラットフォームには予算づけはされていないということでよろしいのですか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 スポーツプラットフォームにつきましては、国庫事業を申請しまして、その事業で市町村の共同連携の事業を行うとともに、事務局の事務費についても予算計上をしておりましたが、国庫事業が不採択になりまして、その部分での予算はついていない形になっておりまして、別途、課内の予算を使って、その部分の開催等をしたところでございます。 〇工藤剛委員 国庫事業がつけば一番よかったのでしょうけれども、つかないから、課内でやれる範囲で予算をつけるということで、ただ、実際事業としては、そのスポーツプラットフォームに参加されている方としては、事業としては動いているわけでして、国の予算がつかなかったから限られた中でと言われても、いきなり集められてからそう言われてもという部分は、メンバーの中にはありました。 というのは、ただ会議に呼ばれて、会議に行って、いろいろ説明を聞いてくるというだけなら、それでもいいのでしょうけれども、各競技のスポーツコミッションよりも、いわてスポーツプラットフォームのほうは、各競技から専属で来られている方が多いみたいですので、さまざま自分の競技の立場で岩手県を盛り上げていこうという意見を述べるに当たって、なかなか動きづらいという声を聞いております。 一つ例を挙げれば、例えばスキー競技とかに関しても、昨年は冬季の国民スポーツ大会が開かれたのは山形県ですか。そのときに、アルペン会場には雪が足りなくて、トラックで雪を運んで何とか開催したということでしたが、その雪を運ぶだけで3億円かかったというようなお話も競技関係者から聞きました。 ジャンプ大会にしましても、現在、全国でも国民スポーツレベルの大会ができるのは、もう全国で7カ所ぐらいしかないというふうに絞られてきている。その中での岩手県は1カ所に入っているみたいですけれども、そういった話をしていく中で、例えば合宿誘致をするにしろ、そういう大規模な大会を呼んでくるにしろ、先進地を視察に行くにも、おのおの自費で行っているということで、いや、こうしたほうがいいですよ、ああしたほうがいいですよという話を出すのには、動きづらいというようなお話を聞いております。そういうところにも、コミッションのほうは予算が多少なりともついているみたいですけれども、少し予算づけも考えて、本当にこのプラットフォームの事業を続けていくのであれば、やっていかなければ、なかなかいい御意見はもらえないのではないかと感じましたが、いかがですか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 先ほど予算の関係の答弁をしましたけれども、国庫不採択になりまして、市町村事業につきましては、不採択になった関係で実施をしておりませんが、今年度1回目の全体会につきましては、先ほど話しましたように、かなりの予算で実施しまして、予定どおり実施したところでございます。 それから、予算が不足しており、さまざま活動が難しいのではないかという御意見をいただいたところでございますが、それらについては、来年度当初予算に向けて、今、どのようにするか検討を進めているところでございます。 〇工藤剛委員 ぜひとも、来年度、予算がつくようにお願いしたいのですが、そこで、そもそもこのいわてスポーツプラットフォームの今後のあり方は、どのように考えているかお伺いします。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 今後のあり方でございますが、これまで検討してきました大規模大会、合宿の誘致、トッププロスポーツファンの拡大、アスリートの県内定着の三つの重点項目に加えまして、もともとプラットフォームのほうでは、スポーツを楽しむ環境整備、スポーツ医・科学の強みを生かしたアスリート育成、県民の健康増進に向けた取り組み、あとは、市町村と連携した特色あるスポーツ拠点づくり、スポーツツーリズムによる誘客の促進、スポーツビジネスの展開という六つの取り組み分野がございますので、それらについて、地域のスポーツ団体や教育機関、経済界、支援機関等と一体となって、課題を整理しながら、取り組みに向けた検討をしていきたいと考えております。 〇工藤剛委員 岩手県のスポーツ振興のために真剣に考えている方々、いわゆるプラットフォームのほうは、現場に精通している方々の集まりですので、その現場の立場でよい意見を述べてくれることを、もっと大事にしていただきたいということを指摘しておきます。 そして、予算をしっかりつけて、岩手県のスポーツの発展のためにつなげていっていただきたい。 先ほど出ましたけれども、漫画事業に1、300万円つけるということであれば、それはそれでいいのですけれども、だからお金がないとなるのであれば、個人的には、この大会誘致や合宿の誘致とか、トップアスリートの育成に事業をかけたほうが、岩手県のためになるのではないかと思いました。 〇はぎの幸弘委員 それでは、私は大きく2点、岩手県の世界遺産と、それから、県内のスポーツ振興について、順次、質問してまいります。 最初に、県内の3カ所の世界遺産について、まず順不同ですけれども、平泉と橋野鉄鉱山、御所野遺跡、この三つがあるわけですけれども、まずはこれらの世界遺産、それぞれの保存、あるいは管理体制、どのようになっているか確認します。 〇和田文化振興課総括課長 三つの世界遺産の保存、管理体制ということについてでございますが、本県の三つの世界遺産につきましては、人類共通の財産として確実に未来に継承するために、世界遺産の価値や保存管理の重要性について、より一層の県民への理解促進を図っていくことが必要と考えております。 こういった中で、県では、岩手県世界遺産保存活用推進協議会を設置しまして、世界遺産ごとに保存部会などを設けて、遺産影響評価、それから、遺跡の整備状況などについて関係市町と協議を行って、世界遺産としての適切な保存に向けた取り組みを進めているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 協議会を設置して、それぞれ地元の自治体とも協議をしながらということですが、自治体と岩手県の間に協議会があるということは、直接県と地元自治体が一緒に協議をするということはないという判断でよろしいのでしょうか。 〇和田文化振興課総括課長 協議会の構成員には世界遺産を有する、所在している平泉町、釜石市、一戸町の方々が構成員として入っているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 岩手県のホームページ、文化スポーツ部の世界遺産のサイトを見ますと、改めて世界遺産が一つの県に三つもあるというのは、奈良県と鹿児島県と岩手県だけということで、世界遺産一つでもあるのは全国で27都道府県、三つもあるのは非常にレアであるということで宣伝をしているようですけれども、そうなのであれば、その部分を全国あるいは世界にもっとPRして、交流人口や関係人口の拡大につなげていっていただければいいのではないかと思うのです。その観点で言いますと、この三つの世界遺産をセットにした、例えばツアーメニューを企画するとか、具体的な活用策があってもいいのではないかと思っていますが、その点はどのようになっておりますか。 〇和田文化振興課総括課長 三つの世界遺産を活用した交流人口拡大等の取り組みについてでございますが、第2期政策推進プランでは、本県が有する三つの世界遺産等を地域振興につなげるために、相互に連携交流を行いながら、一体的に取り組みを推進し、県内外に向けた魅力向上、来訪促進、周遊促進を図るとしているところでございます。 そこで、県や市町村では、各地域が主催する催事等へのPRブースの相互出展、県外イベントでのパネル展の実施などによる情報発信、それから、児童生徒による学習交流会や各資産に係るボランティア活動等の交流発表会などの交流促進、それから、出前授業や教員研修の開催による人材育成などに取り組んで、連携して取り組みを行っているところです。 こうした取り組みの内容の充実を図りながら、三つの世界遺産に係る交流人口の拡大に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えておりまして、周遊促進につきましては、特に平泉におきましては、令和4年7月に、いわて県南歴史・文化観光推進協議会を県南地域で立ち上げまして、まさに周遊観光の取り組みなどを、DMOなどを巻き込みながら協議をしているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 この三つの世界遺産、連携して活用し、個々でもいいですけども、これらを活用した収入源というのはどうなのでしょう。例えば入場料とか、関係する商品を企画しての売店販売というのが定番では考えられるのですけれども、そういうところは、三つの世界遺産、それぞれやっているかどうなのかというのは、県として把握されているのでしょうか。 〇和田文化振興課総括課長 物販につきましては、県のほうで直接物を販売するという取り組みは実施しておりませんが、各地域、商店等々で独自に商品を作成して販売するというところは、世界遺産のある地域では実施されていると認識しております。 〇はぎの幸弘委員 以前に、佐賀県の吉野ヶ里遺跡に立ち寄りましたけれども、ビジターセンターで、まず入場料を払って、中に入ると、やぐら、かやぶき、たくさんの建物、遺跡があって、そこを十分スケールメリットで、その周りの地形とも連携して、非常に世界観が広がって、高揚した中で、帰りはビジターセンターでしっかり買い物をして帰れるようなルートになっている。観光地って大体そういうものだと思うのですけれども、何かそういうものが、個々ではどうかわかりませんけれども、冒頭で言った三つの世界遺産があるというところで、何かもっと企画できないものかと思うのです。ただ、それは自治体、地元がやるものなのか、県が主体となってやるものなのかというところで、お互いに綱引きというか、そっちがやるのだろうみたいな感じだと非常にもったいないと思うのです。この吉野ヶ里遺跡を検索してみたら、最初に出てきたのは大手旅行代理店のパックツアーでした。そういう作戦というか、それで、行ってみようかという形になるのが、私は非常にうまいなと感じたところです。 三つの施設の入り込み客数について、令和5年はどのような状況だったのかというのは把握しているのか。具体な数字がないとすれば、大体の肌感覚でもいいのですが、お答えできますか。 〇和田文化振興課総括課長 令和5年度の数値になりますが、来訪者数ということで、施設ごとに計上したものを、我々で取りまとめた数字になりますけれども、平泉は74万2、000人。橋野鉄鉱山は約1万7、200人。それから、御所野遺跡は4万2、000人という数字になっております。 〇はぎの幸弘委員 やはりそうだなという感覚があるのですが、遠野市から一番近いのは橋野鉄鉱山であります。ここが一番少ない、1万7、200人。でも、把握されているだけいいかとは思うのですが、特にこの橋野鉄鉱山は、本線沿いからの交通アクセスが非常に悪いのです。せっかくの集客機会を逃している気がいたします。私の個人的な感覚ですけれども、道路アクセスとなると、これはまた部署が違うと思いますから、そういう意味ではなく捉えていただきたいのですが、文化スポーツ部として、その状況はどのように受けとめていらっしゃるか伺います。 〇和田文化振興課総括課長 橋野鉄鉱山へのアクセスとしましては、自家用車、レンタカーといった交通手段におおむね限定されているところがございますが、来訪者もそういった手段で訪れられているということになります。 ただ、明治日本の産業革命遺産の全23構成資産をめぐる旅行者も全国的にはいらっしゃいますので、統一されたロゴとデザインにより製作された道路標識を、県内では釜石エリアを中心に21カ所設置して、来訪者の円滑な周遊を図っているところでもございます。 それから、橋野鉄鉱山への来訪者数につきましては、先ほどは施設も含めての来訪者だったのですけれども、鉄鉱山への来訪者は、令和4年の6、219人から、令和5年では7、319人と、前年度よりも増加している状況にございます。昨年度は、現地に足を運んでいただけるように、橋野鉄鉱山で県主催のいわて世界遺産まつりを開催しているところでございます。 それから、令和7年度は、橋野鉄鉱山が世界遺産登録10周年を迎えるということですので、これを契機に、さまざまなイベントを予定しているところでもございますので、釜石市と連携しながら、遺跡を活用したイベントを開催するなど、来訪促進に向けた取り組みを進めたいと考えております。 〇はぎの幸弘委員 くどいようで申しわけないのですけれども、特に遠野市から橋野鉄鉱山に行くには、笛吹峠という峠を通らなければいけないのですが、私も数年ぶりに先日通ってみました。平日は通行どめなのです。休みの日だけは通れるようなので、日曜日を利用して行ってみましたけれども、私が若いころ、橋野鉄鉱山のあたりには、青ノ木グリーンパークという、スポーツアクティビティみたいな施設もあって、よく行ったものですけれども、最近は、もう樹木が生い茂って、何かジャングルみたいで、こんなところに世界遺産があるのかという状況でした。 先ほどの御答弁では、来訪者が伸びたと言っていますけれども、1、000人レベルの単位で、平泉の何十万単位には到底及ばないというところでは、私はどうかと思うのです。世界遺産ですから、ハード面にむやみな手は入れられないとは思いますけれども、ソフト面の充実化というところで、単体だけではなくて、三つそろって周遊するような企画をつくるとか、もっとメジャーにしていかないと、どんどん風化してしまうのではないかという危機感を私は覚えました。 繰り返すようですけれども、せっかく3カ所もあるのですから、ぜひ、その辺、県としてリーダーシップをとっていただきたいと思うのですが、文化スポーツ部長の所感を伺いたいと思います。 〇小原文化スポーツ部長 先ほど文化振興課総括課長から答弁がありましたように、県としても三つの世界遺産がうまく相乗効果が出るような取り組みは今もやっていますし、また、これからもいろいろ考えていきたいと思います。 橋野鉄鉱山は、アクセスに難しさがあることは承知しておりますが、例えば道路の改良とか、抜本的な改良には時間が必要であります。釜石市ともよく意見交換をしながら、ソフト的なイベントの開催とか、沿道の工夫など、時間、距離を感じさせないような、今できることを考えてまいりたいと思います。 〇はぎの幸弘委員 それでは、次に移ります。本県のスポーツ振興についてです。 最初に、岩手県におけるスポーツ振興策の現状と課題について、どう捉えておられるのか。アマチュア、プロ別に客観的にお願いします。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 本県出身選手のメジャーリーガーである大谷翔平選手や菊池雄星選手、そして、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希選手などが日米野球界で大活躍しており、県民の誇りとなっているところでございます。 本県では、国民スポーツ大会等、全国大会で活躍する選手の輩出を目指した、いわて競技力向上事業費補助、それから、オリンピック等国際大会で活躍する選手の輩出を目指したオリンピック選手等育成・強化事業費を柱としまして、選手強化事業を実施し、競技力向上を図ってきたところでございます。 国民スポーツ大会の天皇杯順位は、平成28年に開催された第71回国民体育大会の2位から年々低下しておりまして、ことしの第78回国民スポーツ大会では43位となりました。希望郷いわて国体開催から8年が経過しまして、そのときと同様の競技力を維持できないことが課題となっていると認識しております。 一方で、スキージャンプの小林陵侑選手やスノーボードの岩渕麗楽選手、スポーツクライミングの伊藤ふたば選手、自転車の中野慎詞選手など、多くの本県出身選手が世界を舞台に輝かしい活躍を続けておりまして、県内のアスリートや、次代を担う子供たちに元気と勇気を与えるとともに、県民の日々の活力となるなど、スポーツが持つ喜びと感動の力を改めて実感させているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 プロスポーツの部分が強調されているようですけれども、アマチュアからプロにステップアップするにしても、育成に力を入れていくことが必要だと思います。2月定例会でも、福井せいじ委員が御指摘されていましたけれども、プロスポーツ大会に対応可能な施設をきちんと整備すべきではないかということに、検討する必要があるという御答弁があったのですけれども、その辺については、引き続き検討しているという理解でよろしいでしょうか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 県営スポーツ施設の多くが、昭和45年に開催されました国民体育大会を契機に整備された施設でございます。耐震診断及び耐震化工事が必要となる施設への対応は全て完了しておりますが、経年とともに、施設、設備の老朽化が進行している状況でございます。 先月公表しました、県営スポーツ施設のあり方に関する報告書におきまして、スポーツ施設ごとに今後の方向性と当面の措置につきましてお示ししましたところでありまして、この報告書等を踏まえまして、個別施設計画の改訂を行いまして、計画的な修繕、改修を行いながら、長寿命化等を行ってまいりたいと考えております。 〇はぎの幸弘委員 長寿命化、本当に必要だと思います。県内には自治体を含めれば1、000を超えるスポーツ施設があるとホームページに書いていましたので、これらを維持していくことは非常に大変だと思いますから、ぜひお願いしたいと思います。 その中で、特にプロスポーツの代表的なものとして、盛岡市にバスケットボールの岩手ビッグブルズ、あるいは、サッカーのいわてグルージャ盛岡があるわけですけれども、ニュースでも、その施設改修の要望が出ていました。これはどちらも盛岡市の所有の施設となりますが、岩手県のプロチームということで、県は直接ではないにしても、何らかの支援というか、協力をしていく必要があると思うのですが、その辺の所感を伺って、終わります。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 JリーグやBリーグなどのトップリーグに参加するためのライセンス取得につきましては、施設基準を満たすスタジアムやアリーナを確保することが条件の一つになっております。 トッププロスポーツチームには、観戦機会の提供等を通じた地域活性化などに取り組んでいただいているところでございますが、上位ライセンスを取得するためには、施設の所有者に施設基準を満たす整備、改修を求める場合がございます。 例えば、サッカーのJ1、J2ライセンスの取得につきましては、入場可能数で、原則J1は1万5、000人以上、J2は1万人以上、全ての観客席が屋根で覆うなど、理想のスタジアムの基準を満たす場合は5、000人以上を初めとしましたスタジアム基準を満たす必要がありまして、これを満たすための整備改修に要する事業費が多額となるため、その財源の確保が課題となっているところと認識しております。 〇鈴木あきこ委員 私からは、いわての文化情報大事典について、まず初めに質問させていただきます。ページビュー数、閲覧数が令和3年には129万9、000件、しかし、令和5年には98万6、000件と減少していますが、その要因をどう捉えているか。また、今後どのように活用していくのかを伺います。 〇和田文化振興課総括課長 いわての文化情報大事典のページビュー数の減少についてでございますが、令和2年度から令和3年度にかけて、民俗芸能の動画を追加配信しております。そして、新型コロナウイルス感染症の影響で、外出の機会が減少するなどして、自宅等におけるインターネットによる視聴が増加したといったことにより、一時的に増加したものと捉えておりまして、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行後の令和5年度には、コロナ禍前のページビュー数に戻ったというところが減少の要因と捉えております。 そして、今後の活用方法についてですけれども、いわての文化情報大事典は、本県の文化芸術情報の発信強化を目的として、文化芸術に関する情報や伝統文化、歴史文化、生活文化、文化財などの情報をデータベース化して国内外に発信しているものでございます。 また、いわて文化情報大事典のユーチューブチャンネルにおいて、民俗芸能などの動画の公開や、岩手県民俗芸能フェスティバルの演舞動画の配信を行うなど、鑑賞の媒体としても活用を促進しているところでございます。 今後も、ホームページの内容や機能の充実を図りながら、いわての文化情報大辞典の周知と活用促進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 私は、この文化情報大事典が大好きで見ているのですが、これは、学校でも子供たちが地域学習に利用しているのです。前も検索しにくいので、早期に整備してほしいということをお話しさせていただいているのですが、検討してまいりますでとまっていて、なかなか実施していただけないところがあります。先ほど千葉秀幸委員から、民俗芸能、郷土芸能の後継者等についての質問がありましたが、きちんと整備をして、多くの方に見ていただくことで、郷土芸能にかかわっている方、また歴史や文化を守っている方たちのモチベーションにもつながっていくものと思っておりますが、その整備について、早期にやっていただけるかどうかをお聞きします。 〇和田文化振興課総括課長 早期の実施ということになりますが、掲載している情報量が6、000を超えており、内容の確認もしなければいけないと、審議会委員等からの御指摘もいただくなど、まずは、掲載されているデータベースをしっかり見ていくという作業が必要となっておりまして、それについては、今、担当のほうで手分けをして着手しているところですが、やはり数が多いというところもありますので、できるだけ早期に、内容が充実を図れるように取り組みを進めてまいりたいと思います。 〇鈴木あきこ委員 内容、件数がかなり膨大である。言ってみれば、岩手県にはそれぐらい、文化だったり、歴史があるということにもつながるので、いろいろ大変かとは思いますが、早期にやっていただきたいということと、あと、活用というところで、思っているのですが、ニューヨークタイムズ紙で盛岡市が2番目に選ばれたというところで、インバウンド、海外からの旅行客がふえていると思うのです。 このいわての文化情報大事典は、日本語だけではなくて、英語、韓国語、中国語においては、簡体、繁体、中国本土で使われている中国語と、台湾、香港で使われている中国語がきちんと訳されているのです。 せっかくインバウンドで海外から来ている人が多いのに、閲覧数も減っていく、せっかくそこまでやっているのであれば、海外からの旅行客にも、岩手県にはこういうものがあるという周知も必要かと思うのですが、今後、どのように使っていただけるかというお考えだけお伺いします。 〇和田文化振興課総括課長 先ほども申し上げましたとおり、全面改修というのがなかなか難しい状況にあることもございますが、県としては、SNSを活用した発信もあわせて実施しているところです。そういった媒体も活用しながら、インバウンドのところは、しっかり改修が進むまでは、そういった多様な媒体を通じて発進していきたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 せっかくいいものがたくさんあるので、海外の方にも見ていただきたいですし、映画を見ていると、日本の場面なのに、中国のような背景であったり、日本というものをきちんと岩手県からも発信していただきたいと思っております。 次に、文化財のユニークベニューについて伺います。文化財のユニークベニューでの文化財の活用件数の達成度がAとなっております。確かに県内各地でいろいろと行われておりますが、そこに来た、利用した、訪れた方たちの評価とか満足度というものはどうであったか伺います。 〇和田文化振興課総括課長 ユニークベニューを活用した方々の満足度ということでございますが、文化財の価値、魅力を感じて、地域全体で文化財を継承しようというような機運を高めながら、満足度の向上が図られていくということは大変重要と考えております。 お一人一人の状況を文化財の視点でお聞きすることは余りなかったということが実態にはありますが、県としましては、県内外の施設の特徴を生かしたイベントであるとか、多様なユニークベニューの活用事例というものがございますので、こういった事例を市町村と共有しながら、参加される方々の満足度の向上、そして、その把握が図られるように、一緒に情報共有を図りながら取り組んでまいりたいなと考えております。 〇鈴木あきこ委員 一人一人から聞くのは、非常に大変な作業ではあるのですが、せっかく来ていただいた方に、そのイベントだけではなくて、使っている施設がどういうものかというのも知っていただきたいなと思いました。 また、こういうのは大体土日に利用されるかと思うのですが、もし平日でも行けるようなところがあれば、近隣の学校とか、あとは幼稚園、保育園の子供たちがお散歩で訪れるとか、そうやって小さいころからいろいろな地域の歴史、文化財に携わるのは、非常にふるさと愛も育つのではないかと思いますので、使っていただきたいと思いますが、最後に、そちらの所感を伺って、終わります。 〇和田文化振興課総括課長 県におきましては、文化財を生かした地域活性化を図るということで、歴史的建造物や史跡公園など、文化財をユニークベニューや観光コンテンツとして活用することとしております。令和5年度は、釜石市の橋野鉄鉱山、令和6年度は一戸町の御所野遺跡で、世界遺産を活用した世界遺産まつりを実施しているところでもございます。 また、市町村においても、盛岡城跡公園を活用した北のクラフトフェアとか、あるいは花巻市の旧小原家住宅での夜神楽体験ワークショップなど、さまざまな施設の特徴を生かしたイベントも実施されております。今後とも、県市町村が県内各地の取り組み事例や、国が作成したユニークベニューハンドブックに掲載された県外の取り組み事例などを参考に、文化財の特徴や魅力を生かした取り組みが実施されるように、情報共有を図りながら、活用を促進してまいりたいと考えております。 〇田中辰也委員 それでは、私から質問させていただきます。 まずは、スポーツ施設の運用について伺います。県スポーツ施設のあり方について検討を進めているところでございますけれども、県内には、先ほども議論ありましたけれども、各市町村営の施設も広くあって、活用されているというところでございます。 その施設の中に、野球場とか体育館とかであれば、プロスポーツであればなかなか大変でしょうけれども、普通の小中学生とかが利用する分には、余り問題はないのでしょうが、小中学生でもいろいろな競技をやっています。特に各地区でも、陸上競技は盛んに大会も開かれているところでございますし、その場合に利用する陸上競技場、これが公認を取るとなると、その維持管理費が非常に高くなってくるという事実があります。 それを全部県でやれというのは難しい話で、各市町村で持っている、そういうコースを広域利用していくという考え方をもって、維持管理を全体としてやっていくということをしないと、市町村で公認を維持するためで、1億円以上とかかかるわけです。 それが、最初、新設するときは補助金があるのですが、更新のときは全く何もないという状況もありますので、そういうところを、広い県土ですので、ある程度広域的に見た中で、地域でそういう活用する施設については、広域で何かやるような計画というか、スポーツ施設のあり方の中に含めながら考えていくということはないでしょうか。 〇鈴木スポーツ振興課総括課長 県や市町村が有する、特に高規格な施設として整備されたスポーツ施設につきましては、県全体としてスポーツの振興を図るため、大規模大会の開催や全県的な競技力向上に向けた有効活用に一体となって取り組んでまいりました。 先日公表しました県営スポーツ施設のあり方に関する報告書においては、県営スポーツ施設それぞれの現状から、県の役割や各県営スポーツ施設の今後の方向性についてお示ししたところでございます。 人口減少、少子高齢化を背景に、本県の公営スポーツ施設についても、整理、統合が進められるものと見込まれますが、市町村のスポーツ施設の重要性や置かれている状況を踏まえまして、必要に応じて競技団体や市町村と意見交換を行うなど、県民がスポーツに親しむ環境の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 〇田中辰也委員 特に陸上競技場は、先ほど申しましたけれども、本当にその維持管理コストが非常にかかりまして、更新のたびに、競技用の備品も全部入れかえなければなかったりとか、非常に苦労する。ただ、小中学生の小さな地区大会で、たまたまそこでいい記録が出ることもあるわけです。そういう競技力の向上も含めて、公認コースでレースをするのは非常にモチベーションが上がることでもありますし、小中学生の競技力向上も含めて、ある広域で考えていけるような形で、市町村と協議しながら、連携してやっていただきたいと思う次第でございます。 続きまして、無形文化遺産について伺います。先ほど、世界遺産についてのお話がありましたが、県内に三つの世界遺産があって、それぞれやっているわけですが、その世界遺産についてのアピールとかPRについては、ホームページその他でもしっかりとなされているわけですが、無形文化遺産については余り露出度が高くないという思いをしているわけです。無形文化遺産ですので、後継者がいなくなればなくなってしまうもので、文化遺産の場合は不動産なので、基本的には残るのですが、無形の場合は、後継者がいなくなれば途絶えてしまうというリスクを抱えているわけです。岩手県の風土、歴史、文化に根ざしたものでありますので、そういうものについて、しっかりとPRをして、ほかから興味、関心を持ってもらって、移住、定住にもつながってくるであろうし、その後継者育成にもつながってくると思いますが、まだまだPRが十分ではないなという思いをしていますが、その辺の対策について伺います。 〇和田文化振興課総括課長 県内におけるユネスコの無形文化遺産の取り組みについてですが、県内には、無形文化遺産は、伝統的な音楽、舞踊、演劇、工芸技術といった歴史、文化、生活風習と密接に結びついた重要な文化遺産を対象としており、本県では、早池峰神楽、来訪神、仮面・仮装の神々に含まれる吉浜のスネカ、それから、風流踊りを構成する永井の大念仏剣舞、鬼剣舞などが登録されているところでございます。 県としては、こうした無形文化遺産への保護措置の中でも、継承者の育成に向けた取り組みが重要と認識しておりまして、文化芸術イベントの民族芸能団体出演や、世界遺産と連携したイベントの開催などにより、発表の機会を確保するとともに、民俗芸能を岩手県の魅力として発信しながら、若い世代の誇りや意欲を高めるような機会を創出するなど、担い手の確保、継承、PRに向けた取り組みを行っていきたいと考えております。 〇田中辰也委員 そういうイベントもそうですけれども、発信力というか、そういうところがなかなか検索で引っかかってこない感じがするのです。ホームページにも、前面に余り出てきていない感じもしているのですが、そういうイベントも含め、ホームページ等の更新、その他に向けて、もう少し前に出していったほうがいいのではないかと思いますが、その件についてはいかがでしょう。 〇和田文化振興課総括課長 さまざま文化財、文化芸術等の発進力というところの御指摘だと思います。今、我々が媒体として持っているいわての文化情報大事典もございますけれども、そのほかに、SNSであるとか、さまざま、若い人にも見ていただけるような媒体もございます。そういったものを活用しながら、できるだけ幅広く発信をするように、我々も努力をしてまいりたいと思います。 〇福井せいじ委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇福井せいじ委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。 文化スポーツ部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。 この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。 午前11時53分 休憩 午後1時1分 再開 〇大久保隆規副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。 〇佐藤教育長 令和5年度の教育委員会の決算について御説明申し上げます。 初めに、教育委員会が所管する事務事業の総括的な取り組みと今後の取り組み方針等について御説明いたします。 教育委員会におきましては、東日本大震災津波からの教育の復興と、学校教育及び社会教育、家庭教育の充実の二つを大きな柱として、本県教育の振興に取り組んでまいりました。 まず、東日本大震災津波からの教育の復興につきましては、児童生徒の心のサポートや本県独自の教育活動であるいわての復興教育の推進などに取り組んでいるところです。 昨年11月に岩手県立図書館内に開設したI−ルームにおいては、児童生徒等による震災、防災等の学びや探究活動が進められています。 今後も、東日本大震災津波の経験や教訓を後世に確実に引き継ぎ、いわての復興、発展を支える人材の育成に向けた取り組みを一層推進してまいります。 また、児童生徒一人一人に寄り添ったきめ細かな支援に取り組んでまいります。 次に、学校教育の充実につきましては、児童生徒の確かな学力の育成に向けて、ICT機器の効果的な活用も図りながら、教育活動の質をさらに向上させる取り組みを進めており、今年度設置した岩手県学校教育DX・学力育成協議会において、市町村教育委員会と協議を進めてまいります。 また、不登校対策の推進や、運動習慣、食習慣及び生活習慣の一体的な改善等を図る60プラスプロジェクト、いわて留学を含めた県立高校の魅力化など、教育課題に対応した施策を展開するとともに、次期県立高等学校再編計画の土台となる県立高等学校教育のあり方〜長期ビジョンの策定に取り組んでいるところです。 ハード面についても、高校再編計画等との整合性も図りながら、老朽化した県立学校の改修、改築や特別支援学校の整備など、社会情勢の変化に対応した教育環境の整備を進めております。 今後も、学校教育のDXや教職員の働き方改革などを一層推進しながら、多様なニーズに対応した質の高い学びを確保し、岩手県の子供たちの可能性を伸ばし、夢を育む学校教育の充実に向けて取り組んでまいります。 次に、社会教育、家庭教育の充実につきましては、今年度に60周年を迎える本県独自の教育活動である教育振興運動を一層推進し、地域学校協働活動の充実等も図りながら、地域の課題解決に取り組んでまいります。 今後におきましても、いわて県民計画(2019〜2028)及び本年3月に策定しました岩手県教育振興計画(2024〜2028)の両計画のもと、本県の未来を創造していく人づくりに取り組んでまいります。 続きまして、決算について御説明申し上げます。 お手元の令和5年度岩手県歳入歳出決算書の20ページをごらんください。 教育委員会関係の一般会計歳出決算は、10款教育費のうち、1項教育総務費の一部、22ページ8項大学費及び9項私立学校費を除いたものと、次の11款災害復旧費、4項教育施設災害復旧費であり、予算現額の総額は1、246億4、506万円余、これに対する支出済額の総額は1、208億8、123万円余、翌年度への繰越額は23億8、396万円余、不用額は13億7、987万円余となっております。 決算の内容につきましては、令和5年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 〇大久保隆規副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇佐々木順一委員 まず、高等学校の魅力化についてお伺いいたします。 いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業費については、令和2年度に小規模校を対象として事業に着手しております。令和4年度からは、国の交付金を活用して全県展開を行っておりますけれども、高校魅力化のために実施している地域連携コーディネーターの配置といった具体的な施策とその結果、そして、どのように評価しているのかお伺いをいたします。 また、これまでの取り組みを踏まえまして、次年度以降、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 〇西川高校改革課長 高校魅力化の取り組み状況についてでありますが、高校の魅力化を推進するに当たり、教育資源に限りのある小規模校においては、コーディネーターの配置が外部と連携を図る上で有効であることを考慮し、令和5年度から小規模校3校に地域連携コーディネーターを配置し、経験や人脈等を生かした探究活動への支援や外部人材の招聘、効果的な情報発信等に取り組んでいただいております。 このような取り組みにより、地域や地元企業等との連携、協働体制の構築が進むとともに、それぞれの学校や地域の特徴を生かした協働的な教育活動の充実が図られているものと考えております。 魅力化事業につきましては、国の交付金事業を活用とする3カ年事業であり、同様の内容とした場合は、今年度が最終年度となりますが、事業内容を見直しまして、改めて国交付金事業の事業採択に取り組み、魅力ある学校づくりの取り組みを継続して進める必要があるものと認識しており、来年度以降の学校の魅力化の取り組みを継続する方策について検討してまいります。 〇佐々木順一委員 今の話は、国の交付金をまず財源としてということでありましたが、3カ年ということでありました。 ただ、答弁を聞いていると、これは継続を前提にというように私は理解したので、もし交付金がなければ、それはそれとして残念なことでありますが、ぜひ、県としても独自でこの事業を今後とも継続していただきたいと思っております。 小規模自治体と高校は切っても切り離すことのできない関係にあります。地域ではいろいろな文化資源、歴史がありますので、それを将来に引き継いでいくと。その担い手としての高校生の育成という、そういう目的もあると思います。 あわせて、地域の方がその高校に入学するわけでありますから、ある意味では入学促進策と言えるかもしれません。このことを踏まえて、それでは、県立西和賀高等学校の学級増についてお伺いいたします。 教育長は6月、そして、今定例会において、当会派の議員からの質疑に対しまして、学級減と同様に、入学者などの複数年の実績を見てから検討するとの答弁をしております。いわばある意味では実績主義と捉えてもいいと思います。岩手県立西和賀高等学校の令和7年度生徒募集についての請願採択を踏まえて、今後、どのように対応するのかお伺いいたします。 これまで、教育委員会は、生徒数の減少から、学校の統廃合や学級減などの対応をしてきたところでありますけれども、先ほど質疑した高校の魅力化や地元自治体の取り組み支援によっては、学級増もあり得るといったことを、結果として想定すべきではなかったかと、こう思います。 改めて、今後、西和賀高校の2学級化について、どのように対応するのかお伺いいたします。 〇佐藤教育長 西和賀高校の学級増についてのお尋ねでございます。6月議会定例会におきまして、西和賀高校の学級増につきましては、定員を一定程度上回る状況が複数年続く場合、学級増を考える必要がある旨、御答弁申し上げたところでありまして、その後8月6日に、令和7年度の本県の高等学校の学級編制等を公表いたしました。 9月中旬には、西和賀町から西和賀高校の2学級化の要望とともに、令和7年度の志願者見込み数の状況の説明があり、先ほど佐々木順一委員からお話のございましたとおり、本定例会に2学級化の請願がなされ、採択という結論に至ったところでございます。 その後、西和賀町とも意見交換を重ねまして、西和賀町が想定する志願者数等について、改めて確認、精査をさせていただいたところです。 学級数の増減についての判断は、原則として複数年の実績を踏まえて判断する方針ではございますが、当該校につきましては、他地域への通学が極端に困難な地域に所在する特例校であること。それから、地域の支援を受けて、いわて留学の実績を上げていること。令和7年度入試について、昨年度の志願者数を超える一定の志願者数が見込まれることなどを考慮する必要があるのではないかと考えているところであり、西和賀高校につきましては、令和6年度の入学者の実績と、西和賀町が見込む令和7年度志願者数などを判断材料として、令和7年度、臨時の措置として1学級増とすることについて、速やかに教育委員会議にお諮りすることとしたいと考えております。 〇佐々木順一委員 もう一回。今の教育長の答弁は、令和7年度の志願者数の見込みをもって、令和7年度から1学級を増とするものと理解いたしました。生徒の希望と、地方自治体の要望に即した賢明な判断だと思っております。 私は、教育委員会は、他の部局と異なりまして、法令主義、実績主義に徹しまして、裁量権は極力行使しないと思っておりました。しかしながら、今の御答弁で、新たな領域に踏み込んだものと思っております。 今の教育長の英断に改めて敬意と感謝を申し上げたいと思っております。中でも、北上選挙区の県会議員の皆様方、また請願の紹介議員になられた方、そして特に旧湯田町の出身であります松本雄士委員は、ことのほか感謝しているのではないかと拝察をしているところであります。速やかに事務手続を進めていくということでありましたが、具体的にどういう事務手続になるのか、概要をお知らせいただければありがたいと思います。 〇佐藤教育長 今月21日には、教育委員会定例会がございますが、その場で教育委員に御説明の上、次の11月上旬には臨時会になろうかと思いますが、そういう会で規則改正がございます。正式には規則改正が必要でございますので、そういう形で教育委員会としては進めてまいりたいと考えております。 〇佐々木順一委員 佐藤教育長になって、教育委員会もかなり柔軟になってきたものと思っておりますので、引き続き、この地域の方々、また生徒の、子供たちの希望に即した文教行政、教育行政を展開していただくように期待を申し上げたいと思います。 次に、次期高校再編計画についてお伺いいたします。 これまで開催された県立高等学校教育のあり方検討会議や地区別懇談会において、県教育委員会からは、中学校卒業者数は令和3年3月時点で9、954人、しかしながら、令和20年3月には、約4、200人が減るということで、結果として5、800人程度まで生徒数が減少することが示されております。 これを学級数に置きかえると、令和6年度の217学級数に対して、令和20年には105学級減となり、112の学級数になるものであります。かなり衝撃的な数字が近い将来控えているということになります。 これまで県教委は、平成12年の1月に初めての高校再編計画である県立高等学校整備計画を策定しまして、県立高校の設置数を第1期期間、平成12年から平成21年度まででありましたが、83校から63校に、第2期期間、平成28年から令和7年度まで、63校から59校とすることで、これまで統廃合を進めてきております。 しかしながら、高校再編計画においては、計画策定時のとおり進まなかったことが多々あったと思っておりますし、これは紛れもない事実であります。 つきましては、こういったものを踏まえて、令和8年度からの次期高校再編計画は、県民にとっては避けては通れない重要課題であります。県民の多角的な多様な議論を積み重ねまして、十分な理解を得るためにも、これまで以上に丁寧かつ真剣に作業を進めるべきものと思っておりますが、これに対する教育長の見解を求めたいと思います。 〇佐藤教育長 県教育委員会では、現行再編計画の終期を見据えまして、昨年度から次期県立高等学校再編計画の土台となる長期ビジョンの策定に向けて、外部有識者を構成員とする県立高等学校教育の在り方検討会議を開催し、議論を重ねてまいりました。 この会議は昨年6月から全6回開催いたしまして、専門的な見地から多様かつ貴重な意見を頂戴することができたと思っております。また、本年5月に6地区8会場において、地区別懇談会を実施し、各地区、各会議の方々からも御意見を頂戴し、検討会議における検討の参考とさせていただいたところでございます。 長期ビジョンの案におきましては、全ての生徒が変化の激しい社会に主体的に対応する資質、能力を備えるとともに、持続可能な社会の構築につなげることなどを目指して、今後の県立高校における教育環境の構築に向けて取り組むことをうたっております。 今後、パブリックコメント及び県民説明会などを開催しまして、広く県民の皆様の御意見を伺いながら、次期高等学校再編計画の土台となる、この長期ビジョンの策定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 〇城内愛彦委員 不登校の状況について伺います。過去5年間の不登校児童生徒の推移と状況についてと、対策までお伺いします。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 不登校児童生徒の推移の状況と対策についてでありますが、令和4年度児童生徒の問題行動、不登校等、生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によりますと、不登校児童生徒は、小学校は617人で、平成30年度より333人増加、中学校は1、388人で、平成30年度より409人増加、高等学校は583人で、平成30年度より52人増加となっており、小中高合わせて2、588人であり、平成30年度より794人の増加となっております。 対策についてですが、県教育委員会では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの配置、24時間子供SOSダイヤルなどの相談窓口の設置、1人1台端末等を利用した、こころの相談室の設置、市町村の教育支援センターの新設、強化のための補助事業など、これまでの不登校対策に加え、今年度は新たに不登校児童生徒支援連絡会議主催による保護者支援のためのフォーラムの開催、県教育支援センターふれあいルームの県立図書館内への設置、1人1台端末等を活用したこころの健康観察システムのモデル事業に取り組んでいるところです。 〇城内愛彦委員 この数字も驚くべき数字であって、皆さんが淡々と答えるので、私はびっくりしているのですけれども、どんどんふえてきているというのは、傾向等対策も含めて、対策がしっかりと講じられていないのではないかとも考えられるわけでありまして、この辺を今やっておかないと、少ない子供たちをこれからどうやって育てていくのだということに尽きます。 一方で、先生方の働き方改革ということもあるわけでありまして、その辺、今後抜本的な対策というのは考えるべきだと思うのですが、どうでしょうか。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 不登校対策の抜本的な対策でございますが、周囲の大人が、子供の悩みや不安などを早期発見することに努める必要があると思っております。 組織対応といたしまして、校長のリーダーシップのもと、専門職を含めたチーム学校による未然防止、早期発見、早期対応の取り組み、そして、教育支援センターなどによる相談支援体制の充実等に取り組んでいく必要があると思っております。 〇城内愛彦委員 ぜひ、大変だということのくくりにしないで、しっかり取り組んでほしいと思います。次期岩手県を担う人材ですので、よろしくお願いします。これは本当に大事な話ですのでお願いします。 そこで、先生方の働き方改革の状況と実績、課題も含めてお伺いします。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 まず働き方改革の状況と実績でございます。近年、子供の抱える課題は多様化、複雑化し、学校を取り巻く環境も大きく変化し、求められる役割が拡大してきております。そうした中、教職員の多忙化が問題となっており、学校の働き方改革の推進が急務となっております。 こうした状況を踏まえまして、県教育委員会といたしましては、平成30年度に岩手県教職員働き方改革プランを策定し、以降、3年ごとに改訂を行いながら、例えば県立学校におけるICT環境の整備、夏季、年末年始の学校閉庁日の設定、あるいは留守番電話による時間外対応など、長時間勤務の削減に向けた取り組みを実施してまいりました。 その結果、県立学校におけます時間外在校等時間が月100時間以上の教員の延べ人数は、令和元年度の1、857人から、令和5年度には7人と大幅に減少してきており、一定の成果が出てきていると認識しております。 次に課題でございます。先ほど申し上げたとおり、長時間勤務の教員は減少傾向にありますけれども、その一方で、昨年度実施いたしました教職員のアンケート調査の結果によりますと、業務にやりがいを感じているか、授業等に集中できているか、健康で生き生きと業務を行っているかとの項目における肯定的回答が減少しており、負担軽減や業務改善の実感を伴った、より実効性のある取り組みを進めていく必要があると認識しております。 こうしたことから、県教育委員会といたしましては、これまでもスクールサポートスタッフや部活動指導員など、支援スタッフの配置拡充に努めてきたところであり、加えて、今年度からは、県内統一の統合型校務支援システムを市町村立学校に順次導入することにより、通知表作成などの校務負担の大幅な削減を図ること、あるいはスクールロイヤーを導入し、全ての学校で法務相談ができる体制を整備することにより、学校における諸課題への速やかな対応と、教職員の負担軽減を図ることなど、量的、質的な負担軽減を実感できる取り組みを進めているところでございます。 また、産業医の保健指導の対象者を、時間外在校等時間、月80時間以上の者に拡充することにより、教職員の健康確保にも取り組んでいるところでございます。 子供たちによりよい教育を行うためには、教職員自身のワーク・ライフ・バランスの確保が重要であり、引き続き、県立学校、市町村教育委員会と連携し、県全体の教職員の働き方改革を推進してまいります。 〇城内愛彦委員 今、答弁のあった最後の部分が、私は一番肝だと思っているのですが、子供たちによりよい教育をというところです。まさにこれが働き方改革も含めて、前段の不登校の状況もお伺いしましたけれども、バランスがとれていないというところに尽きると思うのです。子供たちをしっかりと守れる状況をまずつくることが大事だし、子供たちを豊かに育ててあげられる環境をつくるべきだと思う。その中で、先生方の働き方改革も必要であるということです。 以前、私が、文教委員会に所属したときにお伺いしたのですけれども、相当数の先生方の中で、非常勤の先生方がいらっしゃる。その方々は、休むのかと聞いたらば、その先生方は休むことはない、一生懸命子供たちに接しているという話をお伺いしました。 採用に当たっても、そういう方々を率先して採用していくというのも、私はこの教育委員会の中のあるべき姿ではないかと思うのですが、どうですか。 〇駒込首席経営指導主事兼県立学校人事課長兼服務管理監 本県では、学校現場の経験を通して、実践的指導力を身につけて、即戦力と期待される臨時的任用教職員を対象として、採用試験の1次選考試験の一部を免除する優遇措置をとってきたところです。 さらに、来年度実施の採用試験においては、1次選考試験から論文を廃止し、情熱を持って教員を目指している臨時的任用教職員の方々が、現場での業務と並行しながら、より採用試験に臨みやすくできるようにする予定です。今後も、有為な人材の確保に向けて、採用試験制度の整備等に努めてまいりたいと考えています。 〇城内愛彦委員 有為なというのは、子供たちにとって有為なということであって、県教委にとってのということではないと私は思っていますので、ぜひ、その辺は間違えないようにお願いしたいと思います。 クラブ活動に入りますが、クラブ活動の外部指導者の導入の状況についてお伺いします。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 外部指導者についてでございますが、県内の市町村立中学校において、部活動指導員配置事業を活用し、部活動指導員を配置しているのは、令和6年度7月現在で22市町村、67校であり、123名の指導員を配置しております。また、県立中学校においては、令和6年度、2名配置している状況となっております。 平成30年からの年次推移を見ると、配置する人数は増加傾向になっております。 同様に、県立高等学校において、令和6年度、45校に対し103名の部活動指導員を配置しており、こちらも配置校、配置人数ともに増加しております。 〇城内愛彦委員 午前中に、文化スポーツ部で聞いたのですけれども、外部からの指導者について、教育委員会と連携をしてという話をされましたが、この間、どういう連携をされてきたのかお伺いしたいと思います。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 指導者の連携についてでございますが、文化スポーツ部と連携して、研修会、あとは、文化スポーツ部の所管であるスポーツリーダーバンクを活用して増加に努めております。 〇城内愛彦委員 これは文化スポーツ部でもお伺いしたのですけれども、今後、これが全体的に広まるまで、浸透するまでの、タイムスケジュールといいますか、工程表をつくって、いつまでやるという、そういう行動を起こすべきではないかと思うのですが、教育委員会ではそういうお考えはあるのかお伺いしたいと思います。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 まず、部活動地域移行も含めてでございますが、国の部活動の地域移行のイメージの中に、地域連携というものがございます。地域移行がスムーズにいかない市町村については、まず地域の人材を活用して、地域連携から始める。受け皿となる団体が整えば、そこで地域移行にシフトしていくということで、今、部活動指導員が、どんどんふえている状況でございますので、地域移行に向けては、プラスの状況かと思います。 〇城内愛彦委員 いずれ、子供たちはあっという間に成長してしまいますので、その機会を逃がさないようにお願いしたいと思います。よりよい連携に努めていただきたいと思います。 最後になりますけれども、県高総体の総合開会式がなくなるということが新聞に出ていましたけれども、そのことについてお伺いしたいと思います。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 県高総体総合開会式についてでございますが、岩手県高等学校体育連盟において、参加生徒の身体的、経済的負担、生徒数減少に伴う収入減による事業の精選、そして、運営に当たる生徒及び教員の業務負担などの課題があったことから、令和7年度以降の総合開会式のあり方について、スポーツ教育学、元選手、マスコミ関係者等を含めた委員で構成された検討委員会を7月と10月に開催し、検討を行ったところでございます。 検討委員会の中では、競技大会前の選手負担の軽減と競技大会の運営を最優先するという高体連の方針のもと、生徒の経済的負担、時間的制約等により、全ての学校の生徒の参集が難しい。あとは安心、安全な競技大会運営のための財源確保の問題。全国都道府県の3分の2が総合開会式を実施せず、競技別に対応していることなどの理由から、令和7年度以降の総合開会式は実施せず、競技ごとに開会式を実施すると、事務局案を示して、この検討委員会委員から賛同を得たところでございます。 今後、岩手県高等学校体育連盟の理事会、専門部委員長合同会議、あとは、評議員会等で決定していく予定となっております。 〇城内愛彦委員 私的には、とても残念な方向だと思います。いろいろな意味で、高校に在籍する3年間の中での一つのポイントだと思っていますし、また、これまで、総合開会式で果たす県内への経済波及効果も応分にあったわけでありますので、今後、スポーツのあり方は、その人だけではなくて、周りに与える影響も多分にあるわけでありますので、そういうことも含めて考えていただければと思います。出た結果については、しようがないというしかありませんけれども、しようがないでは、少し子供たちもかわいそうだと思うのですが、教育長、いかがですか。 〇佐藤教育長 私の時代も、総合開会式はとても大規模に行われたイベントでありまして、鮮明に記憶に残っております。そういう経験は、確かに変えがたいものだと私も思っております。 しかしながら、今、担当の課長から御説明がありましたとおり、経済的な負担、最近は気候がかなり暑いという状況もあるということ、それから全国的な状況等も踏まえて、高等学校体育連盟で議論を積み重ねてこられたということで、県教委としては、その方向を見守るということかと考えております。 〔「関連」と呼ぶ者あり〕 〇神崎浩之委員 今の城内愛彦委員の働き方改革に対する答弁の中で、留守番電話を設置しているという答弁がありましたので、私も思い出して、質問をさせていただきたいと思います。 最近、子供たちをないがしろにした働き方改革が進んでいるのではないかと、非常に危惧しているわけであります。その中で、保護者の方から、それから、自治会の方からも、学校に電話したら留守番電話だったという話を聞きました。これはどういう意図、目的で、学校の時間外の留守番電話の対応になったのか。この時間帯、それから、小中高、全学校で実施されているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 この留守番電話の対応、あるいは夏季、年末年始の学校閉庁日の設定でございますが、この働き方改革の前提としまして、地域、保護者の皆様の御理解をいただきながらやっていかなければならないと考えておりますけれども、生徒が休みのときに、まとめてしっかりとした休みをとるという方針のもとで、全県的に一斉に取り組みを進めているところでございます。 留守番電話の時間外対応については、令和4年度末をもって、全県立学校で導入済みでございます。いずれも、緊急の連絡につきましては、別途、携帯電話とか、Teamsとかといった代替手段でやりとりを行っております。 あとは、夏季休暇も4日、年末年始は6日程度、そういうものをあらかじめ設定して、お休みをとる働き方改革を進めさせていただいているところでございます。 今後とも、地域の皆様、保護者の皆様に御理解と御協力をいただきながら、不測の事態についてはきちんと連絡体制を敷ける、そういったものもしっかりととりながら進めていきたいと思っております。 〇神崎浩之委員 小学校、中学校はどうなのか。きちんと子供たちを休ませるというのはあるのですが、子供たちの連絡は、保護者とかTeamsとか、そういう別途の手段があるということですけれども、それ以外の対外的な関係機関の方とか、そういう方はどうなのか。 不登校の問題にしても、それから、地域の部活動の関係にしても、保護者以外の方が学校に連絡をとる場合があります。そういう方は、仕事が終わってから連絡する場合もありますよね。例えば電話を受けたときに、録音を聞いてかけ直すようなこともあるのかどうか。学校に連絡するのは、適切な内容で、時間外に連絡する方というのが非常に多いと思うのです。冷たくなったと言われるのですよ。学校は閉ざしていると言われるのです。これから、さまざまな面で、学校はどんどん開放していくとか、学校経営とか、地域との連携とか、部活も含めてやっていくときに、こういう対応というのはどうなのか。弊害も含めて、保護者以外の時間外の連絡について、どう対応していくのかお伺いしたいと思います。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 留守番電話でございますので、録音していただいて、その後、勤務時間にまた御連絡をするという対応が一般的にとられているのかと思っております。 繰り返しになりますが、働き方改革をすれば、さまざまそういったしわ寄せがある場面も出てくるかもしれませんけれども、一方で、そういうところを地域の皆様、保護者の皆様に御理解をいただきながら進めていかないと、時間外の勤務はなかなか減っていかないものですから、ぜひ地域で、学校の先生を守るといいますか、少しでもいい方向に持っていけるように御協力をいただければと思っております。そういう面でのサービスが悪くなったということにならないように、引き続き、我々も取り組んでまいりたいと思います。 〇神崎浩之委員 最後に、教育長にお伺いして、やめますけれども、サービスが悪くなるということではなくて、これからどんどん学校を開放していきたいのか、ただでさえコロナ禍で近寄りがたい学校になっているのです。行けない。そういうことも含めて、今後、先ほどの部活動の関係、不登校のこと、さまざまなことも含めて、私は、学校はどんどん開放していく、地域に開かれた、来やすい、寄りやすい学校であるべきだと思うのですが、この辺の弊害も含めて、教育長の御所見を伺って、終わります。 〇佐藤教育長 おっしゃるとおり、地域に開かれた、あるいは地域に支えられながら、学校というのは運営されるべきものであって、新しい仕組みとしては、コミュニティスクールが急激に、本県も全国上位の導入率になっております。 コミュニティスクールというのは、まさに地域の方々に運営協議会ということで入っていただいて、さまざま御意見を頂戴しながら、学校を運営していくということでありまして、まさに御指摘のような課題、問題が出てくるということであれば、我々としても、そういう場で、しっかり議論していただく必要があろうかということが大事かと考えております。 いずれ、地域とともにある学校というものをつくっていかなければならないというのは、神崎浩之委員おっしゃるとおりだと考えております。 〇吉田敬子委員 まずは不登校対策についてお伺いします。 先ほど、城内愛彦委員からの質疑で、推移についてはわかりました。2022年度は、小中高合計で2、588人の不登校児童生徒がいるということです。その中で、県では、先ほども御答弁ありましたけれども、各市町村に対して教育支援センターの設置を促している状況ですけれども、その設置状況と、教育支援センターを利用している児童生徒数から、この教育支援センターの果たしている役割をどう評価しているか、まずお伺いします。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 市町村の教育支援センターの設置状況と役割についてですが、令和6年8月末現在、県内33市町村のうち27市町で教育支援センターを設置している状況でございます。 教育支援センターは、不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善などのための相談、指導を行うことにより、その社会的自立に資することを基本としており、市町村の教育支援センターは主に小中学生が支援対象となっており、令和6年8月末現在で210名が利用しております。 教育支援センターは、学校に登校することが難しい児童生徒にとって、学習機会の確保や居場所として大切な役割を担っており、県教育委員会では、引き続き、未設置の町村に対して、県の補助制度を活用した設置を促してまいります。 〇吉田敬子委員 27市町の中で、全体で210名が利用しているということで、全体に2、588人、これは2022年度の数なので、一概にこの数と8月末現在の210名で単純計算はできないのですけれども、私が自分で計算したら、大体8%ぐらいの子供たちが教育支援センターを利用しているということで、2、588人に対しての、その不登校児童生徒数の受け皿にはまだまだ教育支援センターはなり得ていないと思っております。 県立教育支援センターは、花巻市にありますけれども、今年度からは、そのふれあいルームの分室を県立図書館に設置していただきましたが、その利用状況と成果をどう評価しているかお伺いいたします。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 県立図書館内に設置しているふれあいルームの利用状況と成果についてですが、県教育委員会では、花巻市の県総合教育センター内にある県教育支援センターふれあいルームについて、その利便性を図るため、令和6年度に県立図書館内にふれあいルーム盛岡を設置し、不登校児童生徒やその保護者に対する教育相談体制の充実を図るとともに、多様な学びの場や居場所の確保に取り組んでいるところです。 令和6年9月末の時点で、高校生2名が利用しており、学校、家庭、センターの三者が協力し、それぞれの生徒の状況、カリキュラムなどに合わせた支援を行い、学習機会の確保に努めているところです。 ふれあいルーム盛岡を設置したことにより、これまで支援につながっていなかった生徒が通所し、みずからの進路目標に向かって主体的に取り組むことができており、今後も支援を必要としている高校生やその保護者に、必要な情報や支援が届くよう取り組んでまいります。 〇吉田敬子委員 現在2名ということで、私は今月頭、県立図書館のふれあいルームの分室に伺いました。そこでお話を伺いましたけれども、合計で3名いた子供たちのうちの1名は学校に転入ができて、1人学校に戻れたという高校生でした。その中で、また、宮古市からも1人通っている生徒が保護者の送迎でいらっしゃるということで、保護者の方の声で、子供たちが来られるところができてよかったという評価をいただいているということをお伺いしました。県立図書館でこのような取り組みをしていることは、私はすごく評価しておりまして、それを各市町村立図書館も同様の取り組みが進むとよいのではないかと考えております。 実際に大分県では、同じように県立図書館で、まず県が設置した後に、モデル的に各市町村立の図書館でやれるような取り組みをされているということをお伺いしましたけれども、それについての御所見をお伺いしたいと思います。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 各市町村立図書館での同様の取り組み推進などについてでございますけれども、図書館は、読書や調べ学習などのさまざまな体験を通して、自己肯定感や学習意欲を高める場としても期待でき、不登校児童生徒の学びの場や居場所としての役割を担うことができると認識しています。 県教育委員会では、図書館を初めとした社会教育施設などを活用した多様な学びの場や居場所の確保に取り組んでいるところであり、こうした取り組みやその成果などについて、市町村教育委員会に情報提供することを通じて、誰一人取り残されない学びの保障に向けた取り組みの充実を図ってまいります。 〇吉田敬子委員 先ほどは、今の不登校児童生徒数のうちの8%しか受け皿がないということで、教育支援センターを各市町村にふやしていただくことも、そこも受け皿にはなると思うのですけれども、先ほど来の御答弁の中で、子供たち、家庭も含めてですけれども、多様な問題、課題があるということで、いろいろな受け皿をふやしていく必要が私はあると思います。この図書館での不登校対策というところで、県立図書館での成果を上げておりますし、県立図書館のほうの職員からもお話を伺いましたけれども、こういった取り組みはぜひ図書館でもしていきたいということでお話をされていましたので、市町村のほうでも取り組みが進むよう期待をしております。 民間のフリースクールの役割が大きくなってきております。一般質問で佐々木朋和議員も取り上げておりましたけれども、他県では、長野県が認定制度を取り入れたり、また、三重県も利用料の半額の取り組みをしていたりしておりますけれども、そこまで利用料の補助ではなくとも、例えばフリースクールの見学会を県が主催するなど、そういった都道府県も出てきている中で、連絡協議会での議論等から、本県の方向性について改めて伺いたいと思います。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 本県のフリースクールに関する方向性についてですが、県教育委員会では、不登校児童生徒の多様な学びや居場所の確保、フリースクール等民間団体等との連携を図るため、令和3年度から不登校児童生徒支援連絡会議を設置し、不登校児童生徒の支援に係る課題などについての意見交換や情報共有を図ってきているところです。 今年度は、7月にこの支援連絡会議が主催し、不登校の子供を抱える保護者の支援を目的に、不登校支援フォーラム2024を開催し、学校、家庭、地域が一体となった子供たちへの支援に関する講演、本県の不登校施策の説明、フリースクールの代表者やスクールソーシャルワーカーなどによるパネルディスカッションなどを行い、保護者やフリースクールなど、民間団体の関係者など約90人が多様な学びを実現する支援のあり方について理解を深めたところです。 さらに来月には、今年度第2回のフォーラムを開催し、不登校の経験者や保護者による体験談や、教育支援センターによるアウトリーチ型支援の取り組み、フリースクール等民間団体による学習支援などの取り組みなどの発表を行うとともに、参加者による情報交換等により、広く不登校児童生徒への支援について理解を深めてまいります。 〇吉田敬子委員 情報交換等は3年かけていろいろやられてきている中で、先ほど城内愛彦委員もお話しされていましたけれども、もっと具体的に、では何をしていくかということを教育支援センター、そして、分室もつくっていただいて、フリースクールの方々からは、財政支援のことを言われているはずです。 それを、他県では具体的に認定制度をしたり、補助したりということをやっているので、すごく情報共有というのは大事だと思いますけれども、そう言っている間に、子供たちはどんどん成長して、卒業して終わるというような形の中で、今すぐにでも、そういう財政支援のほうを検討していっていただきたいですし、小学校1年生から不登校になる児童がふえている中で、幼児教育センターを県で設置して2年目になりますけれども、そちらもしっかり強化していただきたいと思います。こちらの件について御所見を伺いたいと思います。 〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 現在、幼児教育から高校教育までを見通した学びの連続性の確保ということが、より重視されている教育の流れでございます。特に幼保小接続では、小学校1年生から不登校になる児童が増加傾向にあるという現状を踏まえましても、子供たちの園における育ちや学びを土台として、小学校以降の学びにつなげ、子供たちが安心して、入学後自己を発揮し、主体的に学校生活を送れるように取り組むことが重要であると認識しております。 そのため、いわて幼児教育センターでは、幼保小接続の狙いといたしました教員研修について、幼保小の学びをつなぐ研修会、小学校低学年教育研修会等を実施しておりまして、計画的に、今、推進しているところで、各学校での幼保小の接続の推進に寄与できるように取り組んでいるところでございます。 〇吉田敬子委員 よろしくお願いいたします。 読書活動の推進についてお伺いいたします。県立図書館の資料購入費が全国最低水準となっているということですけれども、その推移と、それは他県と比べてどうなっているのか、県の認識をお伺いいたします。 〇小澤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 岩手県立図書館の資料購入費の推移及び他県との比較についてでありますけれども、本県の県立図書館の資料購入に係る過去5年の当初予算額は2、000万円台で推移しており、他県においては、東北6県の平均は3、000万円台から4、000万円台、全国の平均は5、000万円台で推移しております。 なお、参考までに、人口1人当たりの資料購入に係る令和5年度当初予算額は、本県は18.4円であり、東北6県の平均は28.7円、全国の平均は21.5円となっております。 〇吉田敬子委員 全国の中でも最下位に近い資料購入費ですけれども、全国の中で一番は東京都3億円、2位が高知県1億円。高知県は、県立と市立が一つになったという意味でちょっと多いということを伺いましたけれども、3位の鳥取県単体でも1億円ということで、アイーナに移ったときには5、000万円台ぐらい資料購入費があったところが、そこから今は半分以下になっているわけで、バリアフリー図書だったり、大活字本、高齢者の方だったら、字が大きい本だとか、そういった本を本来は置いていかなければいけなかったり、また、新しい本はもちろんどんどん出ていく中で、このくらいの購入費では、県全体の、図書という読書環境の中ではすごく少ないのではないかと思っています。県内の書店も減少する中で、書店ゼロまたは一つしかない市町村も半分以上となっている現状の中で、本県の読書環境や市町村立図書館を支える中核施設としての役割を十分果たせているのか、県の所感をお伺いしたいと思います。 あわせてですけれども、ことし6月に、岩手県立図書館等振興指針の改訂に関しての答申が出されております。県立図書館のすべきこと、市町村立図書館のすべきこと等がしっかり入っておりますけれども、これについての進捗についてもお伺いしたいと思います。 〇小澤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 まず、中核施設としての役割についてでありますけれども、県立図書館は生涯学習推進の中核的な施設として、公民館図書室等を含む全ての公立図書館等に対して支援を行っております。 具体的には、令和5年度の実績では、26の市町村立図書館等へ訪問し、運営支援や助言を行っております。また、協力貸し出しは、図書が676件、1、278冊、視聴覚資料は19件、35点あり、協力レファレンスは25件、企画展示資料の巡回展は延べ76館で行っております。また、市町村立図書館等職員研修として専門研修を実施し、県内から28名が参加しております。 今後も、県立図書館が市町村立図書館等を支える施設として、市町村のニーズを踏まえた運営支援に努めてまいります。 続きまして、岩手県公立図書館等振興指針の改訂に向けた取り組みについてでありますが、現在の指針は、平成16年度に策定したものですが、当時は、本県における公立図書館を概括的に見た場合に、市町村立図書館の設置率は全国平均より高いものの、貸し出し冊数の数値が低いことや、市町村間における格差が見られたことなどにより、県民が等しく図書館サービスを享受できる体制とは言いがたい状況でありました。 このことから、当時進められていた新たな県立図書館の整備充実を推進するとともに、県内の公立図書館の振興を図ることを目的に、指針を策定したものであります。 指針策定から約20年となりますが、現在までの間に、東日本大震災津波の発災がありましたし、障害者差別解消法や読書バリアフリー法の施行のほか、文部科学省が示す図書館の設置運営に関する基準の改正などもあったことから、図書館を取り巻く環境が大きく変化しており、これらも踏まえた改訂について今年度から協議を始めております。 〇吉田敬子委員 前のものから20年たっているということで、時代も変わっていて、今は、社会教育施設としての役割が、先ほどの不登校対策も含めた取り組みも、図書館が役割としてある中で、しっかり図書館の資料購入費もふやしていただきたいですし、この指針についても、その協議会の皆さんがいろいろ声を上げていただいていて、各市町村での取り組み、例えば紫波町だと、本と商店街というまちづくりイベントもやられていたりとか、そういった各市町村の本を通じたまちづくりだったりも、岩手県は、文学の国いわてということで掲げている中で、図書館の蔵書についても、そして、図書館の役割についても、この指針の中でしっかり整備していっていただきたいと思っております。 〔「関連」と呼ぶ者あり〕 〇ハクセル美穂子委員 先ほどの吉田敬子委員の教育支援センターに関する質問がありましたので、それに関連して、私の質問をさせていただきます。 先ほどの質問の中にもありましたけれども、不登校の方々の8%ぐらいが、この教育支援センターを活用しているというか、それぐらいしか活用されていないということが先ほどの質疑の中でも明らかになっております。 私は、令和5年度から令和6年度にかけては、支援センターの設置については、答弁がありましたとおり27にふえているということは認識しておりますけれども、この教育支援センターの周知が徹底していないのではないかという点について御質問をさせていただきます。 教育支援センター設置はしたけれども、不登校になった場合に、不登校になったお子さんを通じて、この支援センターについてのこういうものがあるというのを教えることはなかなか難しいと。そして、保護者の方々にも、実は事前には活用方法についての周知は、学校を通しても行われている様子が、私も子供がいますので、なかなか来ない。ことしは1回ですね、教育支援センターというものがありますというものが学校を通じて来て、不登校のときには使えますとか、このように使えますという周知の紙が来たと記憶しておりますが、それ以外、適応指導教室自体も、こういったものがあるということがなかなか保護者の皆さんに伝わっていないと感じております。こういったところ、令和5年度で改善した策があるのか、その点についてまずお聞きしたいと思います。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 不登校児童生徒の保護者への周知等についてでございますが、令和3年度から進めております不登校児童生徒支援連絡会議などにおきましても、学校と連携した保護者への支援のあり方でございますとか、保護者向けの情報提供のあり方について話題になったところでございます。 そして、先ほど御紹介させていただきました、本年7月に開催いたしました不登校支援フォーラム2024などにつきましては、保護者にも御案内を出して取り組んでいるところでございまして、そのフォーラムの中で、教育支援センターの事例を紹介しながら、パネルディスカッションなども行ったところでございます。 今後、保護者への周知についてさらに努めていかなければならないと思っております。 〇ハクセル美穂子委員 私も同様の気持ちでおります。保護者の皆さんに、今、不登校になられている方々以外にも、まだ使う必要がないというか、まず学校に来ている子供たち、それから、その保護者の皆さんにも、もしこういうことになったときはこういう場所がありますよということを事前に伝えておくのは、すごく大切なことだと思っています。 私も、自分の市町村の中でも、不登校になってしまったお子さんを持っていた同級生のお母さんに、こういう場所がありますよというのをお知らせしたことがあったのですけれども、2年ぐらい前に、こういうのがあるのですかと言われました。それが1件だけならまだしも、数件あり、皆さん、実際に自分のお子さんが不登校になったときに、いろいろな支援策を探すけれども、その前にアンテナに触れていなかったがために、なったときに活用できていないという、実際の現状がございましたので、学校の働き方改革とかもありますが、必要な事項については、学校から生徒を通して、保護者の皆さんに、常に支援策があるということ、それから、予防とか、いろいろ使えるものがあるというのを伝え続けていくというのは大切なことだと思いますので、ぜひ、これからさらに力を入れてやっていただきたいと思います。そのことをお願いして、不登校対策全般の分を教育長にお聞きして、終わりたいと思います。 〇佐藤教育長 校内外にかかわらず、教育支援センターは非常に大事な資源だと思っておりまして、これをふやすということを県教委として取り組んでまいりました。できたものについては、不登校であるか否かにかかわらず、そういったものがあるということを市町村教委も通じて、しっかり学校から周知していただくように努めてまいりたいと考えております。 〇佐々木努委員 私も不登校対策について取り上げさせていただきます。先日、総括質疑でも取り上げましたけれども、続きの意味もありますので、よろしくお願いします。 今、教育支援センターの話も出ましたが、教育支援センターも、まだ全市町村では実施されていませんが、重要な役割を担っているし、担わなくてはならないと思いますけれども、教育支援センターだけで解決できないというのが、今の不登校の現状だと思っておりまして、それをどちらが補完と言ったらいいのかわかりませんが、補完しているのがフリースクールだとも思っています。 それで、私、県教委がフリースクールの役割に対してどのような認識をお持ちかということを、お聞きしたいと思っていたのでお願いいたします。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 フリースクールの役割についてですが、フリースクール等民間団体については、子供たちの居場所としての役割を担うほか、学習支援や体験活動を行う団体として、児童生徒の状況等に合わせた取り組みが行われているものと承知しております。 県教育委員会では、フリースクールと民間団体との連携を図るため、不登校児童生徒支援連絡会議を開催しておりますけれども、学校と連携した保護者への支援や、保護者向けの情報提供について話題にしているところでございます。 〇佐々木努委員 そういう意図もあった質問でありましたけれども、もう一つは、県教委として、フリースクールに対して、役割が県にとって、あるいは子供たちにとってどのように重要だと認識されているのかということをお聞きしたかったのですが、いかがでしょうか。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 フリースクールについてでございますが、誰一人取り残されない学びの保障に向けて、多様な学びの場や、居場所の確保に取り組んでいるところでございます。そのためにも、フリースクール等の連携を強化させていく必要があると思っております。 そのため、繰り返しになりますが、令和3年度から連絡会議を開催し、不登校児童生徒の支援に係る課題等について、意見交換、情報共有を行っているところでございます。 〇佐々木努委員 私にとっては、学校ももちろん大事ですし、いろいろなフリースクールを見て回りましたけれども、フリースクールも非常にこれから大事な役割を担う、そういう場所なのだということをすごく今思っておりまして、何とかこれからますますふえ続ける不登校の子供たちの受け皿の一つになってほしい。私は実際に不登校の子供を持ちましたので、そのことをより強く思っているわけでありまして、これは総括質疑のときにもお話ししましたし、先ほども吉田敬子委員からもお話がありましたが、長野県とか三重県、あと茨城県もフリースクールに対しての運営費の助成、あるいは通っている子供たちへの支援を行っている。 そういうことが、これから不登校の子供たちがふえていくという状況の中で、子供たちの居場所をしっかり確保するために、私は大事な取り組みだと思うわけでありまして、この3県、もっとあるかもしれませんが、財政的に豊かな都道府県ではないと思いますが、そういう中でも、教育支援センターも頑張る。そして、この民間のフリースクールの取り組みも支援するという、そういう二重三重の支援というものが行われていることに対して、非常にうらやましく感じるわけであります。 これは市町村が取り組むべきことということ、あるいは国がやるべきことという意識はあるかと思いますけれども、県として、できる限りのことはやっていただきたいと思いますので、どうか、他県と同様の取り組みについても検討を始めてほしいと思いますので、これは教育長にお伺いしたいと思います。 〇佐藤教育長 これまで、教育支援センターを優先的に、重点的に整備していこうということで取り組んできたということはそのとおりでございますし、全国的にも、それ以外にもさまざまな施策が展開されていて、フリースクールとも連携、あるいはフリースクールに直接支援をしているというところは、佐々木努委員から紹介のあったとおり、だんだんふえてきているというところはそのとおりだと思っております。 財政的な制限もありますので、あるいは国の動向なども見ながら、全国の状況も見ながら、本県として、どういう形に将来的に持っていけるのか。いずれ、フリースクールも、我々とすれば、不登校対策の重要なパートナーだと考えておりますので、今後、さまざまの方策はしっかり検討してまいりたいと思っております。 〇佐々木努委員 ことしの6月に、特別委員会の調査で、一関市の虹の学園に行ってきましたけれども、通常、全国的にフリースクールの月謝といいますか、利用料は平均で3万3、000円。高いところは5万円、6万円というところもあるようですけれども、平均で3万3、000円のところ、虹の学園は地元一関市の子供は5、000円で、市外の人は7、000円という、本当に低額の利用料で運営をしている。 そのかわり、地元の人たちの善意で食料を持ち込んでいただいて、あるいは料理をしてもらってお昼を提供したりするという、本当に涙ぐましい努力をしながら、たくさんの子供たちを受け入れているという状況を見て、行政として少しでも支援をしてあげたいと、私は強く思いましたので、ぜひ、御検討いただきたい、そのように思います。 次に、学びの多様化学校についてお伺いしたいと思います。これも不登校対策なわけでありますけれども、これについては、今、全国的に設置数がふえておりまして、令和6年4月時点で、全国で35の学校が設置されているということで、年々ふえてきているという状況であります。 文部科学省も、2027年に全都道府県、政令都市に設置をしたいということを考えているようでありますが、我が県は今のところ設置はしておりません。この学びの多様化学校設置についての県教委の考え方、それから、取り組みがあれば、取り組みについてもお聞きいたします。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 学びの多様化学校設置についてでございますが、学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校は、児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成して教育を実施することができる学校であり、基礎学力の定着や社会性の育成、自己肯定感の向上、進学によい影響を与えるなどの効果が見られているものと承知しております。 現在、全国で35設置されているものと把握しております。県教育委員会では、これまで学びの多様化学校に係る全国の研修会や先進校への視察のほか、現在、各市町村教育委員会へ学びの多様化学校に関する調査を行い、設置の検討状況等の把握に取り組んでいるところでございます。 〇佐々木努委員 今、調査中ということですね。そうすると、今、市町村の動きがどうなっているのかということは、この場でお聞かせいただくことはできませんね。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 これまでも何度か調査等を進めているところでございますが、検討の状況にはないというのが現状でございまして、今現在のところ、さらに調査しているところでございます。 〇佐々木努委員 これは市町村の考え方ももちろんありますし、フリースクールの関係とか、さまざま考えていかなければならないことがあるので、市町村も積極的にというところまではいっていないのだと思いますが、いずれ、必要性に迫られていると私は理解していますので、市町村は市町村で考えていただきたいし、県のほうも、国がそのような方向性を示しているということであれば、積極的に取り組んでほしいということは働きかけていく必要があると思います。 もう一つ、これは市町村だけのことではなくて、県が学びの多様化学校をつくれないということではなく、県としても設置ができるということになっております。 今までは、県が設置した例はありませんが、今年度、福岡県で、来年4月開校に向けて、今、生徒募集が始まろうとしています。福岡県立小郡高等学校の普通科みらい創造コースということで、定員40名をこれから募集するということで、多分、これが県立の第1号ということになっていると思いますが、私は、高校生世代の不登校が我が県でも非常に多いという状況の中で、定時制、杜陵高校とか、それからこの間もお話ししました星北高等学園等の不登校児の生徒の受け入れを積極的に取り組む、そういうところだけで私は支援が十分だとは思っておりませんで、ぜひ県にも、今、高校もなかなか生徒数が少ない状況の中で、不登校もふえていくという状況であれば、高校の維持という面でも、非常にこれは重要な取り組みではないかと思いますが、改めて県として、この学びの多様化学校に取り組む、そのようなお考えはないかお伺いいたします。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 学びの多様化学校について、他県の状況でございますけれども、福岡県で学びの多様化学校の設置に向けた準備が進められていることは承知しているところでございます。 今後でございますけれども、国の動向や他県の先進校の事例の調査を進めていくとともに、児童生徒の支援のあり方について、多様な学びの機会等について研究してまいりたいと思っております。 〇佐々木努委員 ぜひお願いしたいと思います。やり方は一つではなくて、さまざまあると思いますし、他県に先駆けて、こういうものに取り組むことが、岩手県の子供たちにとって、岩手県の魅力化にも、私はつながっていくと思いますので、ぜひ積極的な検討を求めて、終わりたいと思います。 〇佐藤ケイ子委員 私からは、県立図書館の状況、それから、高校の魅力化事業、いわて留学、そして、西和賀高校の件について、大分重複しておりますので、一部割愛しながら質問をさせていただきます。 県立図書館の件、図書購入費ですけれども、新聞報道などもあって、私も大分気にしておりました。それから、貸し出し数、専任職員、蔵書数など、多くの項目が全国平均に比べると低水準、全国レベルでも下のほうのランクにあるということでありました。 県図書館協議会の会議録でも、予算の確保を毎回要望しているけれども、今回は逆に減額されてしまった。それから、利用者アンケートでは、3割程度が不十分と回答していることがわかりましたけれども、この県立図書館の運営状況についての見解をお伺いいたします。 〇小澤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 県立図書館の運営状況についてでありますが、県立図書館は生涯学習の振興と文化の発展に寄与することを目的に、県民のニーズに対応したサービスの提供に努めることとしており、限られた予算の中で、県立図書館の役割を踏まえた資料の収集、郷土資料等のデジタル化、県内市町村立図書館等との本の相互貸借サービスの活用などにより、県民の読書活動の促進に向けた取り組みを推進しております。 なお、県立図書館では、生涯学習の中核的な施設として、調査、研究、教養に役立つ資料の収集を基本としながら、岩手県全域に関する資料の専門的な図書館として、郷土資料の収集やデジタル化を重点的に行っており、利用者アンケートでは、調べもののための辞書や郷土資料について、満足と回答した割合は約8割となっており、県立図書館としての一定の役割を果たしていると認識しております。 今後も、利用者アンケートや、市町村立図書館等との意見交換等により、ニーズを把握しながら、適切な運営と、県民へのサービスの向上を図ってまいります。 〇佐藤ケイ子委員 県立図書館としての一定の役割は果たしているという見解でありますけれども、私、前にも、市町村の図書館関係者から、県立図書館は県立としての役割を果たしていないと言われておりました。 市町村の図書館を支援するとか、市町村職員の資質向上などにも取り組まなければならないのですけれども、それが非常に不十分だと言われておりました。どちらかというと、県立ではなくて、盛岡市の図書館だという認識が県内の図書館関係者から言われているのですけれども、この県立図書館の役割を果たしていくために、どのように取り組んでいくか、資質向上の取り組みなども含めてお伺いいたします。 〇小澤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 市町村と職員の資質向上を含めた取り組みについてでありますが、県立図書館では、市町村立図書館等のニーズを踏まえ、図書館運営に関する支援を行っております。令和5年度は、図書資料が1、278冊、視聴覚資料は35点の協力貸し出しを実施したほか、職員に対する専門研修は、昨年度28名の参加で実施するなど、図書館職員の知識、技能等の習得を支援しております。 また、県立図書館では、市町村図書館等と意見交換を行い、市町村立図書館等の運営状況や利用者の動向、地域との協働などの状況を把握することにより、今後の研修やその他の支援事業にフィードバックすることを目的として、市町村立図書館等への訪問を実施しており、令和5年度は26件の訪問を行いました。 今後も、市町村図書館を支援、または連携しながら、県民の読書活動を推進してまいります。 〇佐藤ケイ子委員 訪問、それから、市町村図書館への貸し出し、研修もしたということですけれども、実際には、この件数とか冊数も、研修参加も非常に少ないのです。 26回訪問して、どういう効果があったとか、課題をどのように認識したとかありますでしょうか。 〇小澤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 訪問のときには、それぞれの図書館の職員から、研修内容への要望、または運営等で困っていることを聴取しながら、県立図書館で支援できることはないかということで、個別に対応しているところであります。 〇佐藤ケイ子委員 個別にどういう対応したのか、ちょっとそこまではなかったので、まあいいのですけれども、県立図書館ということは、県民に対して開かれたというか、充実した図書館であってほしいとすごく願っているわけです。県立図書館としてどんどん発信もしていただきたいし、市町村の支援もしていただきたいということを申し上げて、この項目について終わります。 それから次は、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業費、いわて留学と県立西和賀高等学校の件については、先ほど佐々木順一委員の質疑の中で、県教委の英断が示されましたので、本当によかったなとほっとしたところであります。ありがとうございます。 それで、私どもも会派で、市町村要望を行っておりますけれども、この県立高校の再編、それから、教育関係の充実という要望をする市町村が非常に多いわけです。13市町村から要望が出されております。これは知事要望しましたので、教育委員会にもその詳細が回るとは思いますけれども、ぜひ対応していただきたい。 高校魅力化事業といわて留学の取り組みの成果をどう評価しているのか。各市町村からは、この高校魅力化事業は、これからもやっていきたい、市町村の活性化にもつながっているという要望がかなり多かったので、今後の方向もお伺いいたします。 〇西川高校改革課長 高校魅力化事業といわて留学の取り組みの成果についてでありますが、令和4年度から国の交付金を活用しましたいわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業により、全県立高校に展開し、取り組みによって、地域や地元企業との連携、協働体制の構築が進むとともに、それぞれの学校や地域の特徴を生かした協働的な教育活動の充実が図られてきており、民間事業者が開発いたしました高校魅力化評価システムに係るアンケート調査の結果では、生徒の資質、能力に関し、主体性や協働性に関する数値が若干上昇していることが見られるなど、取り組みの成果があらわれていると捉えているところでございます。 また、いわて留学についてのお尋ねですけれども、いわて留学は、県外から入学した生徒と、県内生徒がともに学ぶことにより、互いに刺激し合い、切磋琢磨するなど、高い教育的効果が期待され、近年の入学実績は、令和3年度が3校19人、令和4年度が8校31人、令和5年度が9校25人、令和6年度が9校32人と、過去最多となるほど、これまでの取り組みの成果があらわれてきたものと認識しております。 〇佐藤ケイ子委員 いわて留学は、このように方針を示してから、市町村が非常に頑張っているわけです。持ち出しを、財源的にも、それから、人の持ち出しもして取り組んでいます。こうした成果を本当に評価していただきたい。教育委員会とともに、この市町村の取り組みを評価していただきながら、市町村がせっかくこうやって成果を上げても、また学級減になるのかとか、そういったことのないように、ぜひ、今回の西和賀高校の英断のように、市町村を応援するような体制で取り組みをお願いしたいと思います。ありがとうございます。 〇大久保隆規副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。 午後2時34分 休憩 午後2時52分 再開 〇大久保隆規副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇高橋穏至委員 将来、社会減につながると考えられるいわて幸福関連指標についてということで、学校での地域教育に取り組んでいるほか、学校・家庭・地域の連携教育推進事業費補助などの事業では、活動内容や生活指標がA評価となっているのですが、その成果、幸福関連指標のほうは、例えば将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合が、中学校においては、令和3年度72.8に比して、令和5年度は73.8であるとか、令和5年度は目標値73.8に対して71.8ということでD評価ですし、また、自分の住む地域が好きでないと、子供は戻ってきませんので、自分の住む地域が好きかどうかと思っている児童生徒の割合は現状値72に対して70ということで、小学校でD評価、中学校でもD評価で、地域に愛着を持っているところには評価がなかなか上がっていかないということですが、これについての見解を伺いたいと思います。 〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合についてでございますが、中学校では、日々の教科学習での協働的な学び合いに加えまして、キャリア教育等を通じ、社会を学ぶ機会の一つとして職場体験活動を実施しており、生徒自身が自分の変容や成長を実感することにより、自己実現や将来への展望につなげられる学習に取り組んでいるところです。 中学校では指標の目標値に2ポイント届いておりませんけれども、全国平均よりも5.5ポイント高い数値となっておりまして、引き続き、市町村教育委員会と連携しながら、学校教育活動全体を通じて、いわてキャリア教育指針に基づく取り組みの充実を行ってまいりたいと考えております。 〇多田首席指導主事兼産業・復興教育課長 自分の住む地域が好きだと思っている児童生徒の割合についてですが、令和5年度の調査結果では、指標目標値に、小学校で2ポイント、中学校で1ポイント届かず、D評価となりました。 しかし、どちらかといえばそう思うを加えた肯定回答では、小学校が93ポイント、中学校は89ポイントとなっております。 児童生徒が地域のよさを理解するためには、体験学習が重要であると考えておりますが、昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したところであり、各校の教育計画は、前年度末にコロナ禍での実施を前提としていたことから、体験的な学習活動を通して地域のよさを実感する機会が十分ではなかったのではないかと考えております。 県教育委員会といたしましては、いわての復興教育やキャリア教育などを通して、どちらかといえばそう思うの肯定的回答群が、そう思うの積極肯定に移行するよう、引き続き、学校の支援を図ってまいりたいと考えております。 〇高橋穏至委員 これは一般質問とか、今までも取り上げてきたテーマでございまして、若者がその地域に定着するためには、ふるさと教育の充実が大事ではないかということで、いつもきちんとやっていますという答弁しかなかったので、問題意識がどうなのか。やっているし、上がっているから大丈夫なのか。でも、実際、若者はどんどん出て行っているというところで、もっと強化する必要があるのではないかということが1点。それから、もう一つ違うアプローチで考える必要があるのかということも含めながら、今やっている事業については、引き続き続けることが大事だと思いますけれども、幸福関連指標、要は若者がこの地域にしっかり残ってくれる要素は何なのかというのをぜひ考えていただきたいと思います。 もう一つは、学校教育のDXの推進についてであります。県と市町村が連携して、学校教育に取り組む情報化を推進するため、GIGAスクール運営支援センターの運営のほか、新たに学校DX支援リーダーの配置及び全県統一の統合型校務支援システムを構築する学校教育ICT活用促進事業費がありますけれども、具体的な事業の成果についてお伺いします。 〇武蔵教育企画室長 学校教育ICT活用促進事業費についてでございますが、この事業費のうち、GIGAスクール運営支援センター事業につきましては、ヘルプデスクでの問い合わせ対応や、学校への訪問指導、研修を実施したほか、学校DX支援リーダーを任用いたしまして、学校訪問により、課題等の聞き取りや助言を行うとともに、課題等を訪問研修に反映させるなど、ICT機器の活用の推進に取り組んでまいりました。 具体的な成果でございますけれども、令和6年度全国学力学習調査によりますと、授業において、ほぼ毎日、または週3日以上、ICT機器を活用している割合が、本県の小学校では83.9%と、前年度よりも12.5ポイント上昇しております。また、中学校においては87.8%で、前年比で5.9ポイントの増、高等学校1学年では68.8%で、前年よりも15.7ポイント上昇するなど、一定の成果が出ているものと捉えております。 また、統合型校務支援システムにつきましては、令和5年度は、システム構築に向けまして、市町村と連携して、各種様式の標準化などに取り組んでまいりました。令和6年度から、県と11市町村が運用を開始したほか、令和8年度当初までに、県内全ての市町村において運用開始することについて調整を終えたところでございまして、国が掲げる100%整備の達成に向けてめどがついたところと捉えております。 〇高橋穏至委員 この事業に関しては、教育の現場の児童生徒に対するITを活用した事業の改善が一つと、校務支援のほうは、仕事の標準化によって、転勤があっても、同じようなシステムで運営できて、効率化を図って、働き方改革を進めるという、二つの側面がある事業なのかと思って捉えているのですが、今、説明いただいたとおり、令和5年度の成果では、33市町村中、まだ4市町村しかないということでして、今現在はふえているという話です。 校務支援のほうは、学校全体では何%ぐらい普及してきているのでしょうか。 〇大久保隆規副委員長 執行部、答弁できますか。 〇高橋穏至委員 後でもいいです。 〇大久保隆規副委員長 それでは後ほど答弁してください。 〇高橋穏至委員 そちらは後でいいです。 今までの各委員の質疑応答の中で、課題意識としては、学校の働き方改革がずっと取り上げられてきまして、今の校務支援システムも、結局、働き方の改善で効率化しようという事業ですけれども、働き方改革の中から、例えばクラブ活動の地域移行というのがあったのですが、一般質問でも取り上げたのですけれども、同じように、働き方改革の中で出てきたのがPTA活動ではないかと思っております。 学校と親をつなぐ。家庭教育と言いますけれども、教育振興運動60年という話で、教育振興運動の最初は、まず家庭で、しっかりと家庭学習をしようという運動から始まった。学校と家庭とのつながり、そして、PTA活動が非常に盛んになってきたのですが、今では、PTAは任意で参加しなくなってきている。学校は親との対応で結構苦慮しているのです。テレビの番組でも、PTAというと、どちらかというと、学校に対するクレーム団体みたいなイメージでの放送も多くなっています。 しかし、本来は、PTAは、親と教師が子供の学びや生活のために力を合わせて共同目標を持って取り組むという組織なはずなのですが、どうしてもPTA活動をやろうと思えば時間外になりますので、どんどん消えてきているのではないかという危惧を持っているのですが、働き方改革と、PTA活動の本来の目的を、所感だけ伺います。あとは一般質問で聞きます。 〇佐藤教育長 大変難しいお尋ねを頂戴したわけでございますが、PTAと申しますか、各家庭も多様化しているということがあろうかと思っております。 一方で、働き方改革は、教員のワーク・ライフ・バランスという点もあり、それから、改革を進めた後には、本来、子供と向き合う時間を生み出すというような、非常に意義のある取り組みでもありますが、一方で、学校は、教員あるいは事務職員のみで運営できるわけではなく、保護者、地域、それから、家庭の応援、あるいは協力、連携がなければうまく回らないという実態もあります。 コミュニティスクール、地域学校協働活動、教育振興運動などというさまざまなツール、方法があります。これはトータルで県教委が進めたいと思います。今、PTAの課題を委員からお話しいただきましたが、もちろん市町村教委と連携しながら進める中で、さまざまな課題に、地域と保護者と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 一般質問でも取り上げましたが、特別支援教育について伺いたいと思います。 まず令和5年度のいわて幸福関連指標、具体的推進方策指標の、この特別支援教育に関する達成度について、どのように評価しているのか伺いたいと思います。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 令和5年度の指標の達成度の評価についてですが、いわて幸福関連指標、特別支援学校が適切な指導・支援を行っていると感じる保護者の割合が、年度目標値96%に対して、実績値が96%であり、目標値を達成しております。 また、具体的推進方策指標6指標におきましては、達成度がAまたはBの指標が5指標、達成度Dの指標が1指標という結果でした。 達成度Dの指標が1指標ありましたが、関連する事業につきましては、順調に取り組まれていることから、全体的な評価としましては、おおむね順調であると捉えているところです。 〇佐々木朋和委員 この主要施策の成果に関する説明書を見る限りはそうなのだろうと思います。一方で、そういった所感が、この特別な支援を要するお子さんや保護者の皆さんの評価と直結するのかというと、我々議員が聞き及んでいるところと比べると、少し乖離があるのかという思いで質問させていただきます。 まずこの指標のあり方ですけれども、特別支援学校が適切な指導・支援を行っていると感じる保護者の割合が96%。これを令和8年まで続けていくということですが、この適切な指導・支援を行わないなどということがあるのだろうかと。まさに当たり前のところというか、当たり前というのも大変なのですけれども。 あとは、県立学校における医療ケアが必要な児童生徒が、看護職員による医療的ケアを受けた割合が100%を維持していくと。これも、今、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律もできて、学校においても、医療的ケアができるようになりましたので、受け入れておいて、医療的ケアができないなどということがあるのか、ここについて疑問に思うところなのです。今も100%ですから、これを令和8年度まで維持をしていくことが、目標として適切なのかと感じます。 誰一人取り残されないという、このプランで、例えばこの指標の中には、医療的ケア児、あるいは特別な支援を要する子供たちで、地元の特別支援学校に通いたいけれども、通うことができなくて進学を諦めた生徒さんや、あるいは越境して入学をしている生徒さんもいるわけであります。そういった部分について、県教委として状況をどのように捉えているのか。また、このような課題を指標にもあらわすべきではないかと思うのですけれども、所見を伺いたいと思います。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校への通学困難な児童生徒の実態の捉えについてですが、県教育委員会では、通学保障の観点から、現在15本分校のうち7校で通学バスを運行し、8校に寄宿舎を設置しているところです。 しかしながら、障がいの程度が重いことや医療的ケアが必要で、通学バスや寄宿舎の利用ができないことから、保護者の付き添いのもと、通学をお願いしている児童生徒が一定数在籍していることは承知しているところです。 指標にあらわしていない課題につきましては、各地域における特別な支援を必要とする児童生徒数の推移や、必要な教育環境の整備等について、学校や地域の実情の把握の必要があると捉えており、情報の収集や分析に努めているところです。 引き続き、教育環境の整備、充実や学びの場の保障について、関係機関と連携を図りながら検討を進めてまいります。 〇佐々木朋和委員 そのように捉えていただいているのはありがたいと思います。最初に、指標についての評価を聞きましたから、そのようなお答えだったのだと思います。一番目にそういった答えが出てくれば、大変心強いと思ったところですけれども、このようなお話をさせていただいたのは、私の一般質問を聞いて、教育長から、千厩分教室の在籍者については、人数は変わらず6人と答弁をいただいたのですけれども、それを聞いて、親御さんからは、そうではないのだと、通いたいけれども通えなくて諦めた人もいる、別な高校に越境して通っている子もいるのだと。そういった部分についての言及がなかったというのは、県教委はどのように思っているのか、そういった疑問の声が上がったものですから、あえて取り上げさせていただきました。 そういった中で、スクールバスの拡充についてお聞きしたいと思います。県では、保護者の要望をどのように捉えているのか。また、今後、拡充の予定はあるのか教えていただきたいと思います。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 スクールバスの拡充の必要性についてですが、通学バスの運行を含む通学手段の確保につきましては、県特別支援学校PTA連合会からも要望をいただいているところです。 要望につきましては、保護者等の御意見を直接お伺いする重要な機会であると捉えており、要望内容についても真摯に受けとめているところです。 今後の通学バスの拡充についてですが、岩手県特別支援学校整備計画の中にも、現状やニーズに対して柔軟に対応できるように、有効かつ効率的な活用に向けて検討が必要としておりますので、引き続き、地域や児童生徒、学校の実情等を踏まえた上で、福祉機関など関係機関とも調整を図りながら、可能な方策について、多角的、総合的に検討していきたいと考えているところです。 〇佐々木朋和委員 先ほど来の議論の中でも、子供たちはすぐに成長してしまうという話もありました。何回か聞かせていただいているのですけれども、課題については認識していただいている。それが予算を確保して、拡充に向かっていかないというのは、どういった原因があるのだろうと疑問に思うわけでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。何が障害になっているのでしょうか。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 通学バスの拡充についてですが、先ほど申しましたとおり、さまざまな計画の中で検討を進めているところですけれども、人的な部分であったり、財政的な部分であったり、通学バスを走らせるための体制の部分であったりというようなところに課題がありますので、そういったところの課題をクリアできるように、現在も検討を進めているところです。 〇佐々木朋和委員 ここで教育長にお聞きしたいと思います。 先ほど来、フリースクールについての議論もそうですけれども、例えば今のバス運行でも、スクールバスがあることによって、親御さんの通学についての手があく、イコール就労ができたりということで、人口減少の中で大切な就労機会を設けることができるといったこともあるわけですし、お子様にとっても、学校に通えることによって社会のつながりができて、岩手県の一員として活躍の場を広げていける。私は、こういった部分にあっては、人口減少対策、教育についてもあるのだと思うのです。 今の予算の確保の仕方については、各事務事業をマイナスシーリングで削減をした上で、人口減少と重要施策については、3倍の予算要求ができるということになっています。教育委員会、学校については本当に予算もきつきつでやっているというのが、設備や校舎の古さを見ても思うわけでありますけれども、そういった中で、特別支援教育とか、あるいはフリースクールは時代の趨勢だと思うのです。これから求められているものだと思うのです。それについて、大胆に予算を振り向けなければいけないといったときに、教育委員会の中でどうやって予算を確保していくつもりなのか、あるいは県全体として考えていくのか、時代の趨勢だと思われる特別な支援を要する、この特別支援教育やフリースクール等について、どのように予算を確保していくつもりなのかお聞かせいただきたいと思います。 〇佐藤教育長 特別支援教育やフリースクールなど、重要課題についての予算の確保についてということのお尋ねでございます。 佐々木朋和委員がおっしゃるとおり、例えば特別支援教育もそうですし、フリースクールとの連携と、保護者、子供たちが享受できるそのメリットは、今、御紹介のありましたとおり、大きなものがあろうかと思います。我々としても重要な事項と承知しております。 一方で、予算確保に向けまして、我々も年度初めからディスカッションを重ね、当初予算要求に向け、さまざま検討を進めてきております。一定の庁内のルールに従って、最大限予算確保できるよう議論を重ねておりますので、我々としてもまさに本県教育の充実が図られるよう、努力を重ねてまいる次第であります。 〇佐々木朋和委員 済みません、苦しい答弁をさせてしまいました。よくわかりました。こういった部分に予算を振り向けていくのは、トップリーダーの決断だと思います。誰一人取り残さないという方向性を抱えている知事に、ここはしっかりとやっていただかないといけないというのがわかりましたので、また、事ある機会に、私も知事に直接話をしていきたいと思います。 次に分教室についてお聞きしたいと思います。一般質問でも県立千厩高等学校の分教室という話をさせていただきましたが、校舎について、先日、医療的ケア児のお子さんと親御さんで、千厩高校に入る機会があったそうです。そうしたら、やはり空き教室等はあるけれども、バリアフリー化の問題もあると感じたそうです。そういったときに、今ある市町立学校にはバリアフリーであるとか、そういった部分も整っているわけでありまして、分教室高等部の、市町村立小中学校への整備という考え方もあるのではないかと私も考えたところでありますけれども、そういった可能性もあるのか、その所見を伺いたいと思います。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 分教室の整備についてですが、小中学校に分教室を整備する場合、現在は、該当する市の教育委員会や当該校の理解と協力をいただきながら、学習環境を整えているところです。 分教室高等部の設置につきましては、これまで、各分教室の児童生徒数の動向や、個々の障がいの状況などの情報の収集や分析に努めてきているところです。現段階では、設置の妥当性や、設置する場合の整備の仕方も含めて、障がいのある児童生徒等の多様なニーズに対応した教育環境の整備、充実や学びの場の保障について検討を進めてまいります。 〇佐々木朋和委員 小中学校あるいは小中の分教室に併設をするという考え方も、その範疇に入っているのかどうかだけ教えていただけませんか。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 整備の仕方も含めてというところ、御答弁させていただきましたので、そういったところ、広い視点に立って、今後、検討を進めていきたいと思います。 〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。 次に、医療的ケア児のための看護師の安定的な確保についてであります。医療的ケア児が、分教室なり特別支援学校にずっといらっしゃれば、永続的な勤務になるわけですけれども、今は、そういった医療的ケアが必要な生徒が入るとなったら募集をしてということを繰り返しているのだと思うのです。これは市町村立だったと思うのですけれども、ほかの自治体の例では、病院と連携をして、病院の看護師さんがある一定、そこでローテーションで回しながら、医療的ケア児のサポートに当たるために学校に来てやっていただける。そういった取り組みもあると聞いております。 そういった場合に、岩手県では県立病院があるのですから、例えば千厩の分教室であれば、県立千厩病院から派遣するという形をとれれば、安定的に看護師が確保できるのではないかと思うのですけれども、そういった検討はなされたことがあるのか。今後、検討していくべきと思いますが、御所見を伺いたいと思います。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 医療的ケア看護職員の派遣についてですが、現在、看護職員の確保に向けましては、これまで保健福祉部障がい保健福祉課や、県医療的ケア児支援センターと情報を共有するとともに、県看護協会ナースセンターに看護職員の求人について協力を要請し、任用に結びつけているところです。 今後、看護職員が不足する状況がある場合には、訪問看護ステーションや病院等からの支援も検討していくことが考えられているところです。 〇佐々木朋和委員 今は体制が整っているということでしょうけれども、ぜひ、そういった部分も検討いただければと思います。 最後に、一般質問でも取り上げましたが、就労支援について、お聞きしたいと思います。就労サポーター制度の登録企業の指標がDとなっておりますが、どのように総括して、改善していくのか伺いたいと思います。 また、一般質問の中では、今までの就労支援のスタイルのところのお話しかありませんでしたけれども、就労サポーター制度を活用して、より多様な就労や生きがいづくりのあり方を模索するべきと思います。例えば委託を受けるとか、あるいは障がい者スポーツの分野であるとか、いろいろな角度で就労にもこだわらずに、生きがいづくりという観点も必要なのかと思うのですけれども、その辺についても模索するべきと思いますが、御所見を伺いたいと思います。 〇最上首席指導主事兼特別支援教育課長 就労サポーター制度の指標の総括ですが、就労サポーター制度の登録につきましては、これまで、各特別支援学校が新規の企業訪問等を通して、制度の説明を行い、理解を得ることでふえてきていると捉えております。令和5年度におきましても同様の取り組みを行い、趣旨や内容を理解していただくよう努めましたが、理解を得るまでに至らなかったケースも見られ、多くの企業の登録に結びつかなかったことから、指標がDになったと考えているところです。 県教育委員会では、新たにサポーター制度の趣旨や取り組み事例を紹介したチラシを作成し、各特別支援学校と協力しながら、新規の企業開拓に取り組み、県内の企業等が参加する会議や企業訪問を捉え、制度の趣旨等を説明し、登録を依頼しているところです。 また、多様な就労や生きがいづくりのあり方についてですが、これまで就労した方々の中には、企業や地域との協力を得て、資格取得などのスキルアップにつなげたり、スポーツ面での支援を受けたりしながら、仕事のやりがいや生きがいを見つけ、生き生きと生活を送っているなどの例が認められているところです。 今後も、就労サポーター制度に加え、特別支援学校と企業との連携協議会という取り組みも行っておりますので、余り固定的、限定的に考えず、内容の広がりや改善を意識しながら、多様な就労や生きがいづくりにつながる支援の充実に努めてまいりたいと考えております。 〇佐々木朋和委員 一般質問より少しプラスに答弁していただいてありがとうございます。 就労サポーター制度の周知をお話ししていただきましたけれども、私が提案させていただいたような就労サポーター制度のあり方も少し広げて、もう少し企業も一緒になってやれるような取り組みであったりというところも充実させるということで、就労サポーターをふやしていくという方向も考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 〇大久保隆規副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。 〇武蔵教育企画室長 先ほど、高橋穏至委員から御質問のございました、令和6年度に校務支援システムの運用を開始している学校数についてお答えいたします。 市町村立学校につきましては、11市町村の小学校92校、中学校42校、また、県立中学校1校の計135校となっております。 〇村上貢一委員 私からは、岩手県教職員働き方改革プランについて、教員の人材確保という観点から質問させていただきます。 初めに、令和7年度の本県の公立学校教員採用候補者選考試験の志願者数は、小中学校、高校、支援学校などに、昨年度より78人減の計905人の志願となり、実際の受験者数805人に対し、採用候補者数は312人となり、最終倍率は2.5倍という結果でありました。志願者数は9年連続減少、以前の半数の状況ということであります。その倍率も過去最少とのことですが、その状況をどのように分析しているのか、まずお伺いいたします。 〇佐藤首席経営指導主事兼小中学校人事課長兼服務管理監 令和7年度公立学校教員採用候補者選考試験の状況についてでありますが、受験倍率が下がった主な原因として、受験者数の減少と採用者数の増によるものと捉えております。 特に受験者の減少は全国的な傾向であり、その要因として、新卒者が民間企業に流れていること、そして、過年度採用試験を不合格となった者が再度チャレンジせずに、ほかの職種を選択していることなどが挙げられます。また、臨時的任用講師をしていた受験者が合格し、採用されるケースも多くあるため、近年では、臨時的任用講師の志願者が年々減少していることも一因であると分析しております。 今後も、教員の魅力を伝える取り組みや、採用試験のあり方についての検討を進めつつ、学校における働き方改革をさらに推進し、勤務環境の整備にも努めながら、岩手県の教育を担う有益な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。 〇村上貢一委員 先ほど、城内愛彦委員からも、臨時的任用教職員経験者というところでの質問があり、答弁がありましたけれども、私が聞き及ぶところでありますと、何年にもわたって講師をやっているけれども、なかなか採用試験で受からないという話を聞いておりますけれども、現在はそういうことではなく、昨今では、臨時的任用教職員経験者の合格率も上がっているという実態なのでしょうか。 〇駒込首席経営指導主事兼県立学校人事課長兼服務管理監 近年の県内で講師を経験している方の合格率というか、採用候補者に占める割合をお答えしたいと思います。 過去5年間のところで比較して、5年前、令和3年度の採用では、採用候補者に占める県内講師の割合は36.3%でございました。そして、今回の試験、つまり来年度採用、令和7年度採用で同じく採用候補者に占める県内講師経験者の割合は39.6%。5年前と比較すると若干上がっていますが、この5年間のところでは、3割から4割のところで推移しているというのが状況でございます。 〇村上貢一委員 まずそうなのだというところで安心しておりますが、現場をしっかりと経験して、その熱い思いをというところはすごい担保になると思いますので、より即戦力として、積極的採用というか、そういう方向で、しっかりと県教委では取り組んでいただきたいと思います。 次に、人材確保の取り組みとして、採用説明会のオンラインガイダンスの実施、ペーパーティーチャーを対象とした説明会の実施、電子申請による受験申し込み、令和2年度実施の採用試験より、受験年齢制限を満49歳以下から満59歳以下に引き上げもされておりますが、これらの取り組みの成果と課題をお伺いいたします。 〇駒込首席経営指導主事兼県立学校人事課長兼服務管理監 人材確保の取り組みの成果と課題についてでございますが、まず採用試験についてのオンライン説明会につきましては、令和4年度から実施してきたところであり、今年度―令和6年4月に実施した際は97名の参加がありました。 また、ペーパーティーチャー説明会は、昨年度に初めて開催し、36名の参加があり、参加を機に、講師任用につながった例もございます。 電子申請による受験申し込みは、令和5年度から実施しており、受験者からは、短時間で準備することができたとか、書類作成が楽になりよかった等の感想もいただいております。 受験年齢制限につきましては、令和2年度実施の試験より満59歳以下とし、50歳代の受験生は、この5年間で延べ189名、そのうち18名が合格しております。 課題といたしましては、オンライン説明会やペーパーティーチャー説明会の実施について、より広く周知する必要があると考えており、今年度は来年度の採用試験の日程及び変更点とともに、各種説明会についても、例年より早目の案内を行っているところです。参加者の拡大を図るため、教育事務所とも連携して、ペーパーティーチャー説明会を県内3会場で実施する予定でございます。今後もこうした取り組みを充実させながら、人材の確保に取り組んでまいります。 〇村上貢一委員 ペーパーティーチャーは、いわゆる免許を失効された方とか、休眠免許の方とかと認識しておりますし、また、50歳代の方も189名が受験しているということで、そういう方々のフォローとして、例えばフォローアップ研修などをしっかりと充実させて、より安心して受験してくださいとか、手を挙げてくださいという取り組みも必要かと思いますが、その点についての取り組み状況をお伺いいたします。 〇駒込首席経営指導主事兼県立学校人事課長兼服務管理監 御指摘のとおり、年齢、あるいはペーパーティーチャーにかかわらず、これからの採用に当たっては、新卒者も含めて、採用に至るまでのフォロー、合格後のフォロー、安心して職に就ける採用前の指導が必要だと思っておりますので、今後、そういう広い視野に立って、安心して働ける環境づくりに努めてまいりたいと思います。 〇村上貢一委員 よろしくお願いしたいと思います。 続いて、いわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書によりますと、教職大学院の現職教員修了者数は、令和5年度の目標値39人に対し、実績値は38人で1人及ばず、達成度Bではありますが、令和6年度現時点での状況を伺います。 また、令和8年度の目標値は63人でありますが、これまでの取り組みをどのように評価し、その達成に向けての御見解をお伺いいたします。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 県教育委員会では、学校や地域において、中核的、指導的な役割を担う人材を計画的に育成することを目的としまして、平成28年度から、岩手大学教職大学院への派遣研修を行っております。令和6年度は、研修1年目及び2年目の教員、それぞれ8名の計16名を派遣しております。 また、現在までに54名が派遣研修を修了し、うち87%に当たる47名が学校の管理職や事務局、あるいは教育事務所の指導主事に従事するなど、学校や教育行政におきまして、中心的な役割を担っているところでございます。 近年、子供の抱える課題は多様化、複雑化し、学校や教育行政を取り巻く環境も大きく変化しております。求められる役割も拡大しておりますことから、この教職大学院への派遣研修も活用しながら、引き続き、学校や教育行政における中核人材の育成に取り組んでまいります。 〇村上貢一委員 ぜひ、教育委員会と歴史ある岩手大学教育学部教職大学院と、より深く連携、協働をした上で、今日的な課題解決に向けて探求を続けていただきたいと思いますし、より高度な教職人材の養成、また、大学院生との関係性も深めていけばと思います。また、高校生に対してのいわゆる教員の魅力発信のような取り組みとか、そういうことも含めて、今現在、どのように考えているのかお伺いいたします。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 将来、教員を目指す人材の確保という観点でまいりますと、まず、お話のありました高校生を対象にしまして、小中学校への学校公開の参加を呼びかけております。教員の仕事に直接触れることで、進路選択の参考としてもらう取り組みを、本年8月から新たに始めたところでございます。 こうした取り組みを通じて、高校生のときから、将来、教員を目指してもらうといったきっかけづくりをこれからも続けていきたいと思っています。 〇村上貢一委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。 教育長にお伺いしたいのですが、中教審の答申では、令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修等のあり方についての終わりのところ、一部抜粋して紹介しますが、子供たちにとって、自分に寄り添ってくれたり、温かく見守ってくれたりした教師に出会い、自分もこうなりたいと強く心打たれた経験こそが、次代の教師の育成の第一歩であると示されております。 その上で、学校指導運営体制の効果的な強化、充実や、学校における働き方改革を強力に推進するとともに、学校を心理的安全性が確保できる職場にすることが不可欠であると示しております。これらのことから、教育現場における持続的な人材確保をいかに進めていくのか。そのためには、将来、教員を目指す人材をどのように育成していくのか、今後の取り組みについての御見解をお伺いしたいと思います。 〇佐藤教育長 将来、教員を目指す人材の確保という観点からも、学校現場における働き方改革、それから、運営体制の見直し、処遇改善、これは中教審から答申がなされておりますが、そういうものを進めていく。本県は、特に働き方改革プランを持っていますので、これは県立学校はもちろんですが、市町村教委にもつくっていただきましたので、これを一緒に推進するということと、先ほど担当の課長からもお話ありましたが、学校公開に高校生が参加するということもありますが、そのほか、例えば県立一関第二高等学校とか、大船渡高等学校もそうなのですが、高校生が地域の小中学校に実際にインターンシップと言ったらいいのか、受け入れていただいて、将来、小中学校の先生になりたいという生徒に、実際に学校現場を見てもらうという取り組みを拡充し始めております。ことしから大船渡高校もスタートしますが、そういうことで、学校現場をよくし、そういうよくなった学校現場を子供たちに見てもらうことが、将来の教員を目指す人材の確保に必要なのではないかと考えております。 〇村上貢一委員 よろしくお願いしたいと思います。 それでは、次に学校アレルギー疾患対応についてお伺いします。 岩手県教育委員会策定の学校におけるアレルギー疾患対応指針では、市町村教育委員会と学校アレルギー疾患対応委員会が主体となり、関係教職員の共通理解、研修、給食管理の見直し等を進めていくことが必要であるとしております。 また、児童生徒の状態が変わったときや、ヒヤリハット事例があったときは、教職員全員で共通理解を図ること、また、その事例を市町村教育委員会等に報告することとしておりますが、県教育委員会までの報告は求めているところではないと認識しております。 そこでお伺いいたします。情報共有による学校におけるアレルギー疾患対応体制の充実、事故防止を目的とし、各市町村教育委員会及び県立学校は、緊急時対応及びヒヤリハット事例を県教育委員会に報告し、教育委員会は各事案について情報を集約し、必要に応じて各市町村教育委員会及び県立学校にフィードバックし、さらなる体制の充実と事故防止に役立てていくべきと考えますが、その認識と今後の対応へのお考えをお伺いいたします。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 県教育委員会が策定した学校におけるアレルギー疾患対応指針では、村上貢一委員御指摘のとおり、小学校でアレルギーによるヒヤリハット事例が発生した場合、必ず校内のアレルギー疾患対応委員等に報告し、教職員全員で共通理解を図るとともに、設置者である市町村教育委員会に報告することとしております。 指針においては、県教育委員会までの報告は明記していないところではありますが、毎年、市町村教育委員会にヒヤリハット事例の報告を依頼しているところでございます。 また、現在県教育委員会では、県教育委員会が策定した学校におけるアレルギー疾患対応指針の改訂に向けて準備を進めているところでございます。今年度、岩手県アレルギー疾患医療拠点病院の医師などの有識者による検討会議を開催しております。会議では、ヒヤリハット事例の報告と活用についてもさまざま御意見をいただいているところでございます。 県教育委員会といたしましては、アレルギー疾患対応体制の充実及び事故防止のため、ヒヤリハット事例の報告と、情報共有体制のあり方について、検討会議の中でさらに議論を深めていくものとしております。 〇村上貢一委員 報告は、毎年という観点ではなく、発生した時点で、県教委に報告してくださいというスタンスで、ぜひ、改訂に動いていただければと思います。 直近では、新潟県上越市では、昨年7月に重篤な給食アレルギー事故が起き、また、ことし9月にも、同市の小学校で、卵アレルギーの低学年児童が給食後にアレルギー症状を発症し、緊急搬送される事故が、何と2年も続けて発生いたしました。上越市では、ことしの2月に再発防止策などをまとめ、研修会なども実施しておりましたが、全く教訓が生かされなかったという現状であります。ぜひ、アレルギーは死に直結することを肝に銘じた上で、改訂も進めていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 ヒヤリハット事例の活用については、未然防止、あとは、再発防止の観点から重要と考えております。その対応方法等については、教育委員会といたしましても課題と捉えております。学校において、わかりやすく、運用しやすい指針への改訂を進めてまいりたいと思います。 〇菅野ひろのり委員 私からも、働き方改革の延長で、教職員人事管理費、スクールサポートスタッフ配置事業について伺います。 これは、令和5年度決算1、280万円、7名配置しているということでありました。コロナ禍のときは交付金の関係から、全校に配置できたということだったと思っております。 そこで伺いますが、令和5年度を受けて令和6年度、この配置状況は、どのようになっていますでしょうか。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 スクールサポートスタッフの令和6年度の配置でございます。今年度は、小中学校に42人、特別支援学校に3人の計45人を配置しております。 〇菅野ひろのり委員 45人ということで、これは継続的に小西和子委員とかも取り上げており、この間も一般質問でもありましたが、岩手県は1割程度の小中学校にしか配置されていないということでありました。 それでお伺いしたいのが、県としては45名分配置しましたということでありますが、実際の市町村からの要望、もっと配置したいとか、その声はどのようになっていますでしょうか。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 市町村でも独自に配置をしているケースがあると聞いておりまして、何かしらの要望の形でつくるサポートスタッフを増員してくれという大きな要望をいただいている状況には余りないところでございます。 〇菅野ひろのり委員 あまりそういう声は聞いていないという認識ということですね。 そうなると、今、働き方改革プランの中でも、いろいろな環境整備として、サポートする専門スタッフの配置など掲げているわけであります。それで、その中にもスクールサポートスタッフがある。現状としては、なかなかふえてこないとなると、いろいろな答弁を聞いていても、これは重要だという認識を示されていますが、先ほどの御回答だと、市町村から出てきている声としては、余りそのように受けとめていないのかというニュアンスでも受けとめてしまいました。 改めて、このスクールサポートスタッフの重要性、必要性をどのように考えているのか伺います。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 スクールサポートスタッフでございますが、教員でなければできない仕事に集中できる体制を整備する観点で、この配置は重要であると認識しています。 一方で、さまざまな支援スタッフのメニューがございます。例えば、スクールサポートスタッフは45人ですけれども、学習指導員60人分、部活動指導員は191人分、スクールカウンセラー70人分、スクールソーシャルワーカーは16人分といった支援スタッフです。そういった予算を確保して、学校のさまざまな運営をサポートできる体制を構築しようとして取り組んでいるところでございます。国のメニュー、あるいは学校の課題に対応できるよう、チーム学校として、教員が仕事に専念できる体制を構築する観点で、さまざまなスタッフを配置する取り組みをしながら、学校現場を応援していきたいと思っております。 〇菅野ひろのり委員 答弁が遠くて、きちんとわからなかったのですけれども、いずれ必要としているということだけれども、現実的に、これは予算の確保も難しくて配置できていない、し切れていないということなのだろうと思います。 それで、先ほど答弁いただいた中から、もう来年度の予算編成にいろいろ検討されているという中でありますが、令和7年度は拡充していく方向なのか、現状維持なのか伺います。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 このスクールサポートスタッフの補助事業でありますが、国の負担割合が3分の1となっておりまして、残り3分の2は県負担となりますことから、増員に伴って、県の財政負担も増加することが課題となっております。 このため、政府予算提言要望や全国知事会を通じて、国に対して補助対象経費の拡大、補助率の引き上げ、地方財政措置の拡充など、必要な財政支援を要望しているところでございます。 今、実際に、配置している学校で、いわゆる在校等時間がどう変化したかとか、そういったものを来年度予算に向けて調査を行っております。この配置の効果等を踏まえて、来年度の配置について検討してまいりたいと思います。 加えて、国の補助事業を活用し、国に繰り返し要望しながら、財源の確保にも取り組んでいきたいと思っています。 〇菅野ひろのり委員 国の予算ありきということで、来年度も難しいのかと思って聞いておりましたが、では、この働き方改革は、どのように進めていくのかということになってくるのだと思います。 伺いますが、先生方の労働時間縮減はどのようになっていますでしょうか。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 時間外在校等時間の状況でございます。教職員働き方改革プランに基づきまして、さまざま長時間勤務の削減に向けた取り組みを進めてきたところでございますが、県立学校の実績で申しますと、時間外在校等時間が月100時間以上の教員の延べ人数は、令和元年度の1、857人から、令和5年度は7人。80時間以上の者は、令和元年度は4、000人強おりましたが、それが1、000人程度まで減ってきております。 そういったところで、そういう面での効果はあるのかと思っております。 〇菅野ひろのり委員 減っているけれども、まだ1、000人いるという認識でよろしいですね。 それでお聞きすると、例えば減った要因は、どういう取り組みをしたから削減になったと分析されているのでしょうか。 〇大森参事兼教職員課総括課長兼服務管理監 人をふやす取り組みと、仕事を減らす取り組みをバランスよくやっていくことが重要かと思っています。 加配も含めた定数改善がまず第一点にありますし、支援スタッフの拡充もあります。業務を減らす取り組みということでありますと、先ほど来お話をしています統合型校務支援システムの導入、あとは、県立学校の例になりますけれども、ICT環境の整備ということで、回線の増強、あとは、先ほど城内愛彦委員にも御答弁申し上げましたけれども、年末年始の閉庁日の設定、そういった仕事を減らす取り組みをあわせて行う。あとは、啓発ということで、さまざまメールマガジンを各学校に配信したりとか、PTA連合会の会合に、働き方改革の重要性などを我々も行ってお話をしたりとか、市町村教育委員会のプランの策定にも支援をしたりとか、そのような取り組みもしながら、量を減らす取り組みと、人をふやす取り組みをミックスして、何とか学校の働き方改革を一層進めていけるように取り組んでいきたいと思います。 〇菅野ひろのり委員 さまざまな取り組み、工夫しながら効果も出ているということでありましたので、スクールサポートスタッフについては、私は現場の先生からの声が非常に強いという受けとめをしておりますので、財政措置が必要だとは思いますが、ぜひそれを念頭に置きながら、予算をどう確保していくのか、取り組んでいただきたいと思っています。 そして、先ほど答弁もありました、仕事量といいますか、事務的なところを減らしていくのだという中で、もう一点、要望の中で、これは市町村ですが、先生方の負担になっている中で、学校公開についてであります。学校公開の準備、研究事業について、これは膨大な時間が要されるという中で、この学校公開の実態はどのようになっていますでしょうか。 〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 学校公開研究会についてでございますけれども、学校公開研究会は、授業研究を通じた学校における教育課程及び学習指導の改善、充実を目的として実施しているものでございます。公開校の先進的な実践を共有し、普及を図ることができる貴重な機会であるとともに、教師の指導力向上、ひいては、子供たちに確かな力を身につけさせることにもつながる取り組みであると捉えています。 令和6年度の公開校数は、小学校が33校で12.2%、中学校が20校で13.7%となっており、令和2年度と比較いたしますと、小学校では3.9ポイント、中学校では6.7ポイント減少しております。 その多くは、市町村教育委員会の研究指定により実施されているものですが、研究紀要や学習指導案をスリム化したり、半日公開で開催したりするなど、教職員の負担等を考慮しつつ、学校の意向を尊重しながら進めているものと承知しております。 今後も、子供たちへのよりよい教育の実現に向けて、教職員の負担軽減の視点を持ちながら、効果的な学校公開研究会が行われるよう、市町村教育委員会と連携いたしまして、研究内容の焦点化や精選等に取り組んでまいります。 〇菅野ひろのり委員 御答弁いただきましたが、今後も行われるようというという言い方をしましたので、続けていくのだと感じました。 いろいろ議論はありますけれども、先生方の負担は減っていっている現状もあるわけです。一方で、よりよい教育のための研究会でもあると。ただ、この役割も少しずつ、もしかしたら変わってきているのかという認識をしました。 いずれ、ここを先生方としっかり話していただいて、取り組みを進めていくのか、働き方改革の観点から縮小していくのか、私は見直しが必要ではないかと思っておりますので、そこについてお考えを伺いたいと思います。 〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 子供たちにとっては、わかる授業をしてくれる先生との学習ということに対しては非常に意欲的に取り組む、そして、力をつけていくと思います。働き方改革の中で、教師として忘れてはいけないことは、子供たちにきちんとした学びの保障をすることだと考えます。 指導が独善的になってしまうことも、一方では問題になるかと思いますし、お互いに教職員同士が協働的に見合って、学び合って、研鑽を積んでいくということについては、教師にとっても大事な専門性のスキルの向上だと考えますし、岩手県の先生方の多くは、子供たちにいい授業をしたいと願っている方がほとんどでございますので、オーバーワークという視点と、あとは、そういう自分たちの専門性をきちんと全うするということと、上手にバランスをとって考えていかなければならない部分で、働き方改革ということで、指導力の向上のところをそぐような形になっては、岩手県の子供たちの学びの保障にはなかなかつながらないのかという部分、今考えているところでございます。 〇菅野ひろのり委員 すばらしい答弁でしたので、ぜひ、そのようにお願いしたいと思います。 〇はぎの幸弘委員 まず、令和5年度主要施策の成果に関する説明書の16ページ、17ページから何点か質問してまいります。 まず16ページのいわて幸福関連指標の状況ですが、全体として見た場合に、前年度比でA、B指標が大幅にふえて、D指標が大幅に減少していると私は捉えましたが、特に前年度、D評価がいきなりA評価になっているというのが、指標としては19、21、26、27、34ということで、これは、意欲を持って、みずから学ぼうとする児童生徒の割合であるとか、ともかく授業関連が多いのですが、どのような対策を講じて、いきなりA評価に結びつけていったのか伺います。 〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 達成度がAになった指標についてでございますが、指標19、意欲を持ってみずから進んで学ぼうとする児童生徒の割合と、指標21、授業で自分の考えを深めたり広げたりしている児童生徒の割合については、コロナ禍が明けて以降、学びの環境に制限がなくなり、各学校が主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の推進に注力し、教職員も研修で学んだことについては、制限のない中で、指導に生かしやすくなり、教育活動の質を向上させ、学習効果を高めてきた成果であり、目標値の達成につながったものと捉えています。 指標26、27、自己肯定感を持つ児童生徒の割合につきましては、中央教育審議会の令和3年答申で示されました一人一人の子供を主語にする学校教育の実現に向けて、多様性と包摂性に基づく取り組みが推進されてきたことや、令和4年12月の生徒指導提要の改訂を受け、各学校において、一人一人の個性の発見と、よさや可能性の伸長につながる対話、励まし、賞賛といった働きかけなど、いわゆる発達支持的生徒指導を一層大切にして取り組んできたことが、子供たちの自己肯定感を育むことにつながったものと捉えています。 指標34、将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合については、社会に開かれた教育課程の実現に向けた取り組みや、探究的な学びの充実など、学校外の世界に触れて学ぶ機会が充実してきたことにより、子供たちが自分の夢や目標を見つめることにつながったものと捉えています。 どの指標におきましても、各学校の先生方のたゆまぬ努力の成果でありまして、県といたしましても、引き続き、研修の充実を図り、学校の取り組みを支援してまいります。 〇はぎの幸弘委員 そうしますと、子供たちにとっては、学力向上などの実績に結びついているという判断でよろしいでしょうか。 〇武藤首席指導主事兼義務教育課長 学力の定着につきましては、諸調査等で課題も明らかになっているところでございまして、学力向上に係る各種の事業を通して、今年度、推進しているところでございます。 〇はぎの幸弘委員 先ほどからの議論にあるとおり、働き方改革も必要ですけれども、その前に、子供たちの学力向上に重きを置いていくべきだなと思っておりますが、それはそれとして、逆に、前年度A評価だったものがD評価となった指標があります。指標25で、人が困っているときに進んで助けようと思う児童生徒の割合の高校生部門が、いきなりAからDになっているのですけれども、これの要因についてはどうなのでしょうか。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 高校生の指標に関する、Dになった要因ということでございます。令和5年4月に実施した調査で、進んで助けようと思いますかという質問に対して、4段階、そう思う、どちらかといえばそう思う、どちらかといえばそう思わない、そう思わないのうち、この指標はそう思うと、積極的な肯定回答をした生徒の割合がこの指標となっているところでございまして、令和5年4月の調査では、そう思うと積極肯定の回答、生徒の割合が63%ということで、目標値の66%を3ポイント下回ったことから、達成度がDとなったものでございます。 一方で、そう思う、どちらかといえばそう思うの二つを合わせた肯定回答の生徒の割合が、令和3年度が97.2%、令和4年度が97.6%、令和5年度が98.2%と、わずかではありますが、上昇してきておりまして、各高等学校において、教育活動全体を通じて、人を思いやるような道徳教育を推進する中で、人が困っているときは進んで助けようと思っている生徒の割合は増加はしているのですが、生徒自身に思いやりの心を強く自覚させるということに至らなかったと、そのように考えております。 今後は、各高校での特別活動授業等での話し合い、他者との共同した学校行事の運営等を通じて、よりよい社会を形成しようとする活動を充実させるなどしながら、一層の道徳教育の充実も図ってまいりたいと、そのように考えております。 〇はぎの幸弘委員 このKPI指標というのは、正直ふなれで、今のお話を聞いても、結局、いきなりA評価になっても、学力向上には実際は結びついているかどうかは課題があるとか、何か判断が非常に曖昧で、これで判断はできないという気はしておりますので、この辺は今後に向けての自分自身の課題だと思っております。 次に、ICTの活用状況について伺いますが、まずは県立高校について、ICT活用の現状と課題、今、どう捉えているのか伺います。 〇武蔵教育企画室長 県立高校におけるICT活用の現状と課題についてでございますけれども、県教育委員会では、国の交付金を活用しまして、これまで県立高校の1人1台端末の整備を進め、これまでに全生徒の7割に当たる1万5、980台を整備したところです。 また、県立高校では、令和6年度の新入生から、個人所有のパソコン、タブレット端末を持ち込み授業で活用するBYODを本格実施いたしまして、県が整備した端末と合わせて、全県で1人1台端末の環境が整ったところでございます。 活用状況につきましては、さきにも御答弁申し上げたとおり、令和6年度の調査結果によりますと、県立ではほぼ毎日、または週3回以上の授業での活用が68.8%となっておりまして、着実に活用が進んできているものと捉えております。 課題といたしましては、学校間でまだ活用の差が生じているということもございますので、ICTを活用した教員の指導力の向上を図り、さらなる活用を進めていくことが必要であると認識しております。 〇はぎの幸弘委員 今、最後の答弁で出ましたが、教職員の皆様のICT関連の習熟度、これについてもう少し詳しくお聞かせください。 〇武蔵教育企画室長 教職員のICTの習熟度についてのお尋ねでございます。国の令和5年度の学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果によりますと、本県の小中学校における授業にICTを活用して指導する能力について、できる、またはややできると回答した教員の割合が75.8%となっておりまして、前年度の74%から1.8ポイントの増加が見られるものの、全国と比較しても4.6%下回っている状況にございます。 具体的には、学習ソフトウェアなどを活用して、児童生徒一人一人の理解、習熟の程度に合わせて、課題などに取り組ませることができるとした回答が74.8%、あるいはグループでの考えをまとめたり、資料や作品を制作することについて活用できるとの回答が69.2%などとなっておりまして、個別最適な学び、協働的な学びの一体的な充実に向けて、さらなるスキルの底上げが課題であると認識しております。 〇はぎの幸弘委員 これは、いわゆる自己申告の集計なのでしょうか。それとも何か定量の調査物があって、それで計算して出てくる指標でしょうか。 〇武蔵教育企画室長 こちらの調査につきましては、教員のできる、できないという回答に対する調査結果ということになります。 〇はぎの幸弘委員 ということは、どこまで信憑性があるかというのは、私は少し疑問があると思います。実際に、先ほど冒頭の答弁の中にも一部あったのですけれども、いずれ、せっかく整備したパソコンが十分活用されていないという全国的なニュースもありました。 あるいは先ほどの答弁の中で、来年度から高校入学時にパソコン端末を実費購入でそろえてもらうとか、これまで国が進めてきているGIGAスクールといいますか、ICTをもっとさらに活用しなければいけないときに、ブレーキがかかるような状況だと。あるいは足踏みしているような状況だと。先生の習熟度もそうだし、ハード面の整備もそうだし、これは一回整備したからといっても、更新していかなければならないものです。 ですから、その辺の状況がどうなっているのかというのは、もしその状況についてわかる部分があれば、御答弁をお願いします。 〇武蔵教育企画室長 まず、整備した学習端末の更新についてでございますけれども、昨年度末、国の事業による基金を創設いたしまして、計画的に令和8年度に向けて、各市町村において整備した端末の更新を進めていくこととしております。こちらにつきましては、県と市町村の間で協議会、あるいはワーキンググループを設置いたしまして、計画的な更新についても協議しながら進めているところでございます。 また、教員の指導力向上につきましては、各種研修等を通じまして、指導力の向上に努めているところでございます。また、ICTの支援員によるサポートとか、それから、GIGAセンターによるサポートなどの支援体制を構築することによって、より教員の方が活用していただけるような体制づくりにさらに努めてまいりたいと考えております。 〇はぎの幸弘委員 令和5年度主要施策の成果に関する説明書の17ページで、いじめ防止対策の推進といじめ事案への適切な対処という項目で、こころの相談室を開設して、悩みや不安を抱える児童生徒がいつでも相談できる体制の構築に取り組んだとありますが、こころの相談室、この周知方法や運営状況、実績などをお尋ねします。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 こころの相談室の周知、運営状況についてですが、県教育委員会では、県立の中学校、高校、特別支援学校において、令和5年4月から、1人1台端末などを利用し、悩みや不安を抱えた児童生徒が各学校に開設されたこころの相談室に相談できる体制を整えたところです。 年度初めや各学期の初めなどに、各学校が開設した相談窓口につながるための二次元バーコードを児童生徒に配布するとともに、保護者宛文書などにより周知しています。相談したい児童生徒は、いつでも相談することができ、1人1台端末等を利用して、自分のこと、友達のことなどの相談内容や相談したい相手を入力すると、児童生徒の要望に応じて、スクールカウンセラー、相談担当の教諭、養護教諭などが面談に当たる仕組みとなっています。 令和5年度に各学校に寄せられた相談件数は331件、令和6年度は6月末現在で46件の実績がございます。 〇はぎの幸弘委員 331件に対して46件、これ、成果があったのが46件ということでしょうか。どういうことでしょうか。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 令和5年度の相談件数が331件、令和6年度の6月末現在で相談があった相談件数が46件ということでございます。 〇はぎの幸弘委員 令和5年度の331件、これについては、対応としては、適切に解決に結びついていると捉えているのか、その辺の課題があるのか伺います。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 子供たちの悩みや不安などを抱えている状況を早期に発見して、学校で、組織的に適切に対応していると認識しております。 〇はぎの幸弘委員 わかりました。 先ほどから、不登校がふえているとか、そういったところをしっかりケアするのが大事という議論が多いのですけれども、それはそれでもちろん大事なことですが、私とすれば、その前に、まず不登校を出さないようにするという対策が必要だと思いますし、最終的には、私、昭和の人間だからそう言うのかもしれませんけれども、自分の身は自分で守らなければいけないというのが、親はいつまでも生きているわけではないですし、そういう自立心を育てる教育も必要だと思うのです。 そういう中で、そういう判断をできる子を育てることは、要は、同時に学力向上に結びつくと思います。ICTを活用しながら、そういう学力向上、あるいは教職員の皆さんの働き方改革にしっかりと結びつけることが大事だと思います。先生方も、自分たちの勤務状況がよくなるかわりに、児童生徒の学力が下がったのでは、プロ教師としてプライドが傷つくと思います。そういった視点もやはり必要だと思うのですが、最後に、その辺の所感について、教育長に伺って、終わります。 〇佐藤教育長 私どもは昨年度末、教育振興計画を改訂いたしました。教員の働き方改革、これも重要でございまして、ワーク・ライフ・バランスを進めながら、生徒によりよく向き合うことも必要。それから、知徳体ということで、もちろん学力、体力も徳育も進めていくということで、トータルで、教育委員会ということで努力してまいりたいと考えております。 〇千葉秀幸委員 私からは、いじめ不登校対策について、端的に伺ってまいります。 まずは、先ほど、いじめ、不登校対策について認知件数、不登校生徒の数が示されたわけでございますが、これは令和4年の推移でございます。文部科学省から出てくるものだと思っておりますが、令和5年度は、いつごろ公表されるのか教えていただきたいと思っておりますし、まだ発表はされていないものの、さまざま、現場と連携をとれていれば、残念ながらふえてしまっているとか、あるいは横ばいだとか、そういった傾向が見られると思っておりますが、わかる範囲でお答えいただきたいと思います。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 いじめと不登校についてでございますが、例年、児童生徒の問題行動、不登校等、生徒指導上の諸課題に関する調査は、文部科学省で調査しているところでございまして、今年度も例年のとおり、10月というところで聞いておりますが、下旬という情報もいただいているところでございます。 なお、いじめ、不登校につきましては、各学校で、いじめについてはさまざま認知をしながら、そして、不登校については防止しながら進めているところでございますけれども、十分に減少というのは難しいと把握しているところでございます。 〇千葉秀幸委員 私も、現状はまだ苦しいという結果なのだろうと思っているところでございます。いじめを認知した生徒が、いじめを解消されたのか等々の把握をされているのか。あわせて、不登校は30日以上であれば不登校生徒とみなすということでございますが、不登校生徒が学校復帰されているのか、そういった把握についてお伺いしたいと思います。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 まず、いじめの状況、解消の把握についてでございます。いじめは、被害者に対する心理的、または物理的な影響を与える行為がやんでいる状態が相当の期間継続していること、被害者が心身の苦痛を受けていないことが解消の要件であり、各学校において、少なくとも3カ月を目安に状況を把握し続け、支援するとともに、被害者本人や保護者への面談等で、心身の苦痛を感じていないかどうか確認しているところでございます。 県教育委員会では、独自調査で、令和4年度中に認知したいじめの現在の状況の調査において把握しており、いじめの解消率は97.7%という状況でございます。 次に、不登校児童生徒の状況の把握についてでありますが、不登校の背景や要因は多岐にわたり、個々の児童生徒の状況も多様であり、児童生徒一人一人の実態や支援ニーズを的確に把握することが重要であると認識しています。 県教育委員会としては、高校については、県独自で行っている年4回の長期欠席者調査、小中学校については、各教育事務所において、指導主事、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、在学青少年指導員等が中心となり、管内の市町村教育委員会からの情報をもとに、不登校児童生徒の状況の把握に努めているところでございます。 〇千葉秀幸委員 いじめに関しては、さまざまな課題に九十数%改善に向かっているということでございましたが、引き続き100%を目指して取り組みを継続していただきたいと思っております。 次にスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの配置について伺いたいと思いますが、令和4年度は、スクールカウンセラー80人だったのに対して、令和5年度、65%ということで、15人減っております。そしてまた、スクールソーシャルワーカーですが、令和4年24人だったのに対して、令和5年は18人ということで6人の減少。それぞれ配置されている人数自体が減っていると懸念しているところでございます。 そうは言っても、人数が減ったけれども、総対応時間自体はふえているという資料もいただいているところでございますが、これは、時間がふえているということから、個人に対して、長い時間しっかりと相談に乗ったり、対応はされているという取り組み内容になっているのか伺いたいと思います。 〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの令和5年度の対応状況についてでございます。スクールカウンセラーは、令和4年度まで、沿岸部に配置していた巡回型カウンセラーの仕組みを全県展開し、全ての教育事務所などにエリア型カウンセラー14名と、各学校に配置される配置型スクールカウンセラー51名の計65名を、小中高特別支援学校に配置し、県内全ての公立学校での相談に対応できる体制を整えているところです。 スクールソーシャルワーカーにつきましては、配置や勤務形態を見直し、令和5年度、新たに教育事務所管内を統括するエリア型スクールソーシャルワーカー6名と、各学校訪問する訪問型スクールソーシャルワーカー12名の計18名を、各教育事務所に配置し、全ての中学校区に対応できる体制を整えているところです。 エリア型カウンセラーとエリア型スクールソーシャルワーカーの配置により、各教育事務所における組織的な対応を強化するとともに、一人一人の児童生徒の状況をきめ細かく把握し、教育相談体制の充実を図っているところでございます。 〇千葉秀幸委員 わかりました。 いずれ、人数がまだまだ減っていない以上、もっと配置をふやしていただきたいなど、さまざまな思いはありますが、財源的な部分もありますから、これ以上申し上げることはいたしません。令和6年度も新たな取り組みをしながら、いじめ、あるいは不登校対策をされているということでございますので、人数が減少していくこと、私も強く望んでいるところでございます。 次に、県南地域の工業高等学校について伺いたいと思います。次期再編計画の後期計画で、県立一関工業高等学校、県立水沢工業高等学校ともに胆江、両磐とブロックを越えた統合案が示されたところでございますが、令和5年度、県南工業高校の新設に対しての検討状況は、現在どうなっているのか伺いたいと思います。 〇西川高校改革課長 建設場所の選定に当たっては、令和4年度に外部委託による基礎調査を行い、令和5年度から外部有識者を構成員とする検討会議を設置して御意見を伺ったところであります。 また、設置場所の選定にあわせまして、今年度から教育内容の検討に着手しているところでありまして、今後、統合時期など、整備スケジュールにつきましても検討を進めていく予定でございます。 〇千葉秀幸委員 外部有識者を構成員とする検討会議を設置されているということでございましたが、これは非公表でありますけれども、今現在、検討会議の状況について、話せる内容、範囲で構いませんので、お話しいただきたいと思います。 〇西川高校改革課長 やはり話せないところが多くありまして、立地候補地の選定に当たりましては、公平性、透明性を確保するため、外部委託による基礎調査を行い、先ほどお話ししましたとおり、外部有識者や教育、産業などの各分野の専門家により構成される方から成る検討会議を設置しまして、専門的な見地から、広く御意見を伺ったところであります。 地域の産業振興の動向や通学する生徒の利便性等について、多角的、客観的な観点から慎重に検討していただき、取りまとめられたものを報告していただいたものと認識しております。 〇千葉秀幸委員 候補地について、各委員、そして、県民も気になっているところでございますが、いずれ、ブロックを越えておりますので、公共交通の観点とか、幅広い視点で慎重に御判断をいただきたいと思っております。 今年度―令和6年度の検討状況でありますが、年度内に当該会議を4回開催して、教育内容の方向性を決定するということが示されておりますが、この方向性がそのまま進むのかという質問をさせていただきたいのです。 というのも、実際に、ことし方向性を決めても、建設して開設するまで、5年も6年もかかる話ですから、人口の問題であったり、あとは、半導体、自動車産業の問題、あるいは地元企業の方々が望む情勢等々も変わってくると思います。今後も、複数回の方向性も再度確認する必要があると思っておりますが、そこについても伺わせてください。 〇西川高校改革課長 教育内容の方向性についてでありますが、今年度から教育内容の検討に着手しているところであり、現時点においては、統合決定時の1学年6学級、両校の特色ある学びを確保するとともに、ITやIoT、AI等、これからの技術革新に対応した学びを実現する学科の創設等を含め、他県の先進校を視察するなど、検討を進めているところです。 今後、産業構造や社会の変化、生徒数の減少なども踏まえ、産業界が求める人材育成ニーズに幅広く対応が可能となるよう、県南地域に新設する工業高校の検討を進めてまいりますが、先ほど千葉秀幸委員からもお話がありましたとおり、9月の常任委員会の際にも御報告したのですけれども、事業に着手してから建物が建つまでに、やはり5年ぐらいかかるであろうと。 県南工業高校につきましては、用地の選定もあるということで、立地場所があるということでは、用地の取得、整地、盛り土などいろいろありますので、それなりの期間がかかるというところもありますし、この期間において、学習指導要領の改訂も見込まれるところも多少あると思いますので、その辺も含めまして、来年度につきましては、ある程度の公表はさせていただきますが、もしかしたら、そういった見直しが出てくる可能性もあることは承知しております。 〇千葉秀幸委員 わかりました。いずれ、柔軟に御対応いただきたいと思っております。 最後に、今、県立宮古商業高等学校も、まだ時間がかかっているような状況もございます。先ほど御答弁もありましたが、売買だったり、あるいは造成等々も時間がかかってくるのだろうと思っております。 今後の統合新設校の開校までのスケジュールについて伺いたいと思います。 〇西川高校改革課長 整備スケジュールにつきましても、今、検討中でありまして、教育内容次第によっては、取得する用地の面積とか、いろいろと検討するところがございますので、そちらにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。 〇大久保隆規副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。 午後4時29分 休憩 午後4時52分 再開 〇大久保隆規副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 〇鈴木あきこ委員 いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業費のプラットフォームnoteについて質問いたします。 小規模高校対象から全県立高校に拡大しておりますが、今の活用状況とその目的を伺います。 〇西川高校改革課長 プラットフォームnoteについてですが、ウエブ配信サイトnoteを活用した各校の情報発信におきましては、事業開始年度の令和4年度は、投稿数が約2、900件、令和5年度は約5、800件と、2倍に増加、令和6年度9月末現在で、3、000件を超える投稿が既にされており、これまでの総投稿数は約1万2、000件となっております。 各校の特色化、魅力化を紹介する投稿を目的としておりますが、県教育委員会のいわて高校魅力化投稿は、令和6年度9月末現在で、1万6、000件を超える県内外からのアクセスがあり、いわて留学を活用して、県外から進学した生徒及びその保護者にとって、岩手県の高校の情報を得る手段として、好評を得ております。 県教育委員会といたしましては、今後につきましても、こうした取り組みを推進するとともに、各学校の魅力化に向けた情報発信に取り組んでまいります。 〇鈴木あきこ委員 私も拝見しましたが、各高校の魅力ある活動等が載っておりまして、大変いいなと思ったのですが、小規模高校は留学とかと言ってやっている高校もいろいろありますので、できれば、小規模高校がよくわかるようなつくりだったらよかったのかと思います。盛岡市内の高校もいっぱいありましたが、そこはまず、そこだけで生徒は集められるので、小規模高校をもう少しピックアップしてもいいのではないかということをお話しして、次に進みたいと思います。 次に、遠隔授業について伺います。文部科学省で、COREハイスクールネットワーク構想事業がありまして、各県でいろいろな名前をつけて、その事業を行っています。 岩手県においては、イーハトーブCOREハイスクールネットワーク構想ということで、これは岩手県立総合教育センターの遠隔授業配信拠点センターFIRセンターでやっていると思うのですが、現在、県立葛巻高等学校、県立西和賀高等学校、県立花泉高等学校、県立伊保内高等学校、県立山田高等学校、県立種市高等学校の6校が行っているということですが、その成果を伺います。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 遠隔授業の成果ということでございますが、これは小規模校で実施しております。成果といたしましては、小規模校は、学校規模の関係から教員配置が限られるところがあって、特に選択科目等で、専門の教員の配置がちょっと難しい科目があるのですが、この遠隔授業を通して、当該科目の専門教員がいない学校でも、質の高い授業を実施することで、学習効果が上がっている。あるいは、生徒の進路にもいい影響を与えていると、そのように考えております。 〇鈴木あきこ委員 小規模校で実施され、成果も上がっているということで、ありがとうございます。 文部科学省に県が提出した令和5年の遠隔授業の成果報告書の中で、令和5年11月に実施された生徒のアンケートの中で、学力がついた、について、当てはまる、どちらかというと当てはまるが78%。満足度は71%でした。満足度については、全国では81%で、10%の差はありましたが、71%は決して悪くないのではないかと私自身思っておりますので、この遠隔授業は、小規模校を中心に、子供たちの有効な学びの方法としてやっていけるのではないかと思いますが、今後、小規模校も含め、導入拡大をしていくのかを伺います。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 令和3年度から3年間の指定を受けて、文部科学省の事業を行ったときには、5校で行ったものでございました。今年度、従来の5校に加えて、1学級校に対して、そのニーズについて確認したところ、1校ニーズがあるといった回答がありまして、そこでは有効な効果があったといったこともございます。 フリーでということではありませんけれども、今後も、小規模のニーズを伺いながら、学校の決定を行っておりますので、ニーズを伺い、希望があれば、その実施科目の関係等を調整しながら、実施を検討していきたいと考えております。 〇鈴木あきこ委員 次に、特例校について伺います。 現在、県立岩泉高等学校、県立葛巻高等学校、県立西和賀高等学校の3校が特例校になっております。その3校は、例えば岩泉高校はKIZUKIプロジェクト、葛巻高校は葛高ミライノカタチプロジェクト、西和賀高校はユキノチカラプロジェクトと、地域に根ざした活動等、小規模だからこそできるプロジェクトを行っています。 現在、特例校に指定されている3校について、いろいろな活動をしていますが、教育委員会として、どのように評価していらっしゃいますでしょうか。 〇西川高校改革課長 特例校3校の現状についてでありますが、葛巻高校、西和賀高校、岩泉高校において、地域との連携、協働体制を構築し、地域資源を活用した探究的な学びなど、特色ある教育活動が行われております。 また、それぞれの町が、公営塾の運営や大学進学補助などの財政支援を行っていただき、各校が進路実績等を上げております。 それから、いわて留学についても取り組んでおりますが、葛巻高校につきましては、これまで先進的に取り組んでいただいたところであり、近年は、毎年一定数の入学者の確保をしております。西和賀高校につきましては、令和4年度入試から募集を開始しまして、今年度の入学者から成果があらわれております。岩泉高校につきましては、これまで実施してこなかったのですけれども、今年度―令和7年度入試から取り組むこととして進めております。 〇鈴木あきこ委員 先ほども申し上げましたが、小規模だからできることとか、いろいろと取り組みが進んでいるということがわかりました。 先ほどの遠隔授業にもかかわってくるのですが、この小規模校で、県教育委員会は、入学者20人以下が2年続いたら募集停止ということを言っておりますが、市町村要望に行くと、どこの市町村も、それが怖いのです。自分たちの地域には県立高校が一つしかないのに、そこが募集停止になったらどうしようということで、いろいろ頑張っているのがよくわかりました。 岩手県は広いですし、少子化があるので、これから、特例校の条件に当てはまる高校は、もっとふえてくるのではないかなと思うのですが、今まで以上に、特例校をふやす可能性はあるのでしょうか。 〇西川高校改革課長 特例校の増加の可能性についてでございますが、現行計画の前期計画において、学校の最低規模を1学年2学級とし、特例校の前提として、近隣に他の高校がなく、他地域への通学が極端に困難な場合、地域における学びの機会を保障するため、1学年1学級を最低規模とする学校を特例校として配置しております。 現行の計画期間中におきまして、生徒数の減少から1学級校は、3校から11校に増加したところであり、現在、策定中の県立高等学校教育の在り方長期ビジョン案では、学校規模のビジョンを、学校規模の大小にかかわらず、各校が特色、魅力ある教育活動を展開し、生徒が主体的かつ意欲的に学ぶことのできる環境を構築することが重要であるとする方向で、検討を進めておりまして、次期高校再編計画を策定する際には、特例校の定義づけ等につきましても、検討していくこととしております。 〇鈴木あきこ委員 ぜひ検討していただきたいと思います。 各市町村を歩いていると、その高校がなくならないために、市町村がお金を出して、支援をする。県立沼宮内高等学校ですと、岩手町が3、000万円出していて、県立高校なのに、市町村にしたら結構大きいお金だと思っております。 岩手県の子供がきちんと教育を受ける権利を守っていくのは、県立高校に対しては、岩手県の責任が重いと思っておりますので、今後も、岩手県に生まれた子供たちが、岩手県で格差のない、少し長くなりますけれども、例えば、今、親の所得が低ければ、子供の学力にかかわってくるという話も聞かれますが、岩手県に生まれて、環境が整備されていなかったので、他県に比べたら、岩手県の子供が厳しい状況にあるという状況にならないようにしていただきたいと思います。 最後に、教育長にその所見を伺って、終わります。 〇佐藤教育長 現行計画におきましても、教育の機会の保障と教育の質の保障という観点が重要とされているところでありまして、次期計画に向けてのビジョンづくりをしておりますが、いずれ、今、鈴木あきこ委員がおっしゃられたように、教育の機会の確保も重要でありますし、質の保障も重要ということで、その兼ね合いを、さまざまな有識者の方々の御意見も頂戴しながら、案づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 〇畠山茂委員 簡潔にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 1点目が、小学校での教科担当制の導入についてです。教職員の働き方改革として、文部科学省は、五、六年生の教科担当制を導入し、令和7年度からは、3年生、4年生に拡大する方針が示されています。 そこで、教職員の負担軽減では、学校現場においては、どのような成果が出ているのか伺います。 あわせて、導入に当たりまして、児童生徒への影響はどう分析しているのかも伺います。 〇佐藤首席経営指導主事兼小中学校人事課長兼服務管理監 教科担任制導入に係る教職員の負担軽減の成果、それから、児童への影響についてでありますが、小学校における教科担任制は、学びの質の向上と教師の持ち時間数の軽減を図るために行われるものであり、令和6年度―今年度は、本県において、専科指導教員125名を、延べ185校に配置しているところであります。 畠山茂委員御指摘のとおり、令和7年度の概算要求において、高学年から中学年へ拡充する方針が示されていると認識しております。 教科担任制の導入により、教師の持ち時間数の軽減や、そのことによって生まれた時間で、授業準備の効率化等が図られ、学校教育活動の充実や、教員の負担軽減に資するものと捉えております。 また、十分な教材研究のもと、専門性の高い教科指導が行われることにより、児童一人一人の学習内容の理解度、そして、定着度や学びの質の向上に効果があると認識しております。 加えて、学級担任のみではなく、複数の教師が教科指導に当たることを通じて、多面的な児童理解が図られるほか、教科担任制である中学校への円滑な接続にも寄与するものであります。 今後、導入が拡大予定である小学校の中学年においても、同様の効果が期待されるものであり、本県におきましても、国の加配を活用して、教科担任制をさらに進めてまいりたいと考えております。 〇畠山茂委員 有効に行われていると認識いたしましたので、次に移ります。 2点目は、午前中の文化スポーツ部に続いて、部活動の地域移行について伺います。 現在の部活動の大会のあり方については、少子化で、部活動の数が減少し、やりたい部活ができない、あるいは、合同チーム、競技種目によってはクラブチームでの中総体の出場も、今は出始めています。 そこで、地域移行への途上にあるとはいえ、部活動の加入は、義務から任意に変わりました。その中で、競技種目によっては、競争させる上で、学校単位もあり、合同チームもあり、そして、地域クラブの参加もある中で、ある意味、地域クラブは、地域の選抜チームともいえ、そもそも競技する上で条件が違うなど、大会運営において、現場から不満や弊害の声が出ていないのか、お伺いしたいと思います。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 県が策定した岩手県における学校部活動及び新たな地域クラブ活動のあり方に関する方針の中で、大会等の主催者は、移行期において、学校部活動と地域クラブ活動の両方が存在する状況において、公平、公正な大会参加機会を確保できるよう、複数校合同チームの取り扱いや参加登録のあり方について、随時、実態に応じた見直しを図り、生徒にとって望ましい大会とすると示しているところでございます。 これを踏まえ、県中学校体育連盟では、地域クラブ活動の県中学校総合体育大会及び県中学校新人大会への参加要件を示し、毎年度、その可否を審査しているところでございます。 参加要件といたしましては、各競技団体に登録し、日常的な活動が、指導者資格を有する指導者のもとで適切に行われていること、国が発出したガイドラインにおける新たな地域クラブ活動に示された、適切な休養日等の設定を遵守するということなどが示されており、大会には、その要件を満たした適切な地域クラブ活動が参加しており、生徒にとって望ましい大会が開催されているものと認識しております。 〇畠山茂委員 何で聞いたかというと、宮古市のサッカー協会の会長に就任したのですが、ことしの中総体県大会のサッカーの部門で、宮古市のクラブチームが優勝したということで、その中では、賛否両論が当事者からあったと聞いております。 今、部活動の地域移行ということで、さっき言ったとおり、学校の単独もあれば、合同チーム、地域クラブもあるということで、途上なので、運営が大変難しい部分は確かにあると思います。 将来的には、いろいろあり方も見直していくと思うので、今後とも、文化スポーツ部と連携をしながら、健全な運営というか、あまり批判がないような運営に、これからもぜひ努めていただきたいと思います。 これは、ここでとどめたいと思います。 次の質問に移ります。3点目が、県立高校の後期再編計画についてお伺いしようとしましたけれども、多くの委員が触れていましたので、考え方、方向性は理解しましたので、ここは割愛したいと思います。 4点目に移ります。4点目が、県立高校のトイレの洋式化についてです。 文部科学省は、2023年9月に、公立小中学校の施設のトイレの洋式化の状況について、調査結果を公表しました。和式のトイレは31.7%に対して、洋式トイレは68.3%であります。 今、各家庭における洋式トイレの普及状況、あるいはバリアフリー化、防災機能の強化などの観点からも、今後は、トイレの洋式化が進められていくものと、文部科学省では示しています。 そこで、県立高校での洋式トイレの男女別の普及率を伺いたいと思います。 また、今後のトイレの洋式化についての取り組みの計画も伺います。 次に、総括質疑で田中辰也委員もこの点について触れていたのですけれども、答弁では、トイレの洋式化は、現在が42.3%、今年度末に46.2%の説明がありました。高校の全国平均の洋式トイレの普及率を把握しているのであれば、あわせてお伺いしたいと思います。 次に、県の平均数値のお話から、各校の普及率で、最低値と最高値で格差があるのかないのか。平等な普及率になっているのかもお伺いしたいと思います。 最後に、トイレの洋式化について、改修基準や最終普及率の目標について、どのような考え方を持っているかも、あわせてお伺いいたします。 〇佐々木学校施設課長 まず、洋式トイレの普及率等についてでございますけれども、これまで、生徒の生活様式の変化や、避難所としても活用される学校施設の多様な利用者への配慮などの観点から、トイレの洋式化につきまして、校舎の改築や大規模改修等にあわせて、順次、その整備を進めてきたところです。 トイレの洋式化の充足率につきましては、各年度の5月1日現在の教職員及び生徒数に応じて、それぞれ便座を、男子は30人に1個、女子は15人に1個の割合で設置した割合で算出しておりまして、令和6年5月1日現在、県立高校では、男子は85.9%、女子は73.7%、男女合わせて78.9%となっております。 また、全トイレ数における男女別の洋式化率で申し上げますと、令和5年度末現在で、男子は45.1%、女子は39.5%、男女合わせて42.3%となっております。 現在、トイレの洋式化につきましては、重点推進項目と位置づけて、改修に取り組んでおりまして、引き続き、個々の学校の状況、要望を踏まえながら、必要な箇所について、早期に対応してまいります。 続きまして、高校の洋式トイレ普及率の全国平均でございますが、全国平均の様式トイレの普及につきまして、文部科学省の調査の対象が、高校が対象外になっておりますので、まとめていないところではあるのですが、令和2年4月1日現在の他県の調査結果によりますと、回答がなかった9府県を除きます全国平均が42.8%、岩手県は38.6%となっております。 次に、各校の普及率の最低値と最高値の差ということでございましたけれども、令和6年5月1日現在の教職員及び生徒数に応じて算出する充足率では、最低値が32.4%、最高値が100%、差が67.6%となっております。 なお、令和5年度末現在で、全トイレ数における洋式化率は、最低値が18.6%、最高値が95.8%、差が77.2%となっております。 最後に、改修基準や最終普及率の目標についてということでございますが、トイレの洋式化につきましては、先ほど申しましたとおり、重点推進項目と位置づけて、改修に取り組んでおりまして、個々の学校の状況、要望を踏まえながら、必要な箇所を早期に対応することとしております。 いわて県民計画(2019〜2028)における県立学校のトイレ洋式化の充足率につきまして、令和8年度までに86%とすることを目標に取り組んでおりまして、目標達成に向けて、引き続き、改修に取り組んでまいります。 〇畠山茂委員 今、いろいろ答弁いただきましたけれども、まず普及率については、先ほど、人数と箇所に対してという説明がありましたけれども、私は、基本的には、箇所数に対してだと一番わかりやすい。例えば、女性トイレは、四つトイレがあったら、50%の二つなのか、それとも、最終目標が86%であれば、四つあるとすると、最低三つとか、何かそういったきちんとわかりやすい形で、その普及状況は持っていっていただきたいし、今、格差の話も、最低が18%の普及率が、最高で95%、新しい学校はそうだと思うのですけれども、まだまだ格差があると認識しました。 今は、それこそ昭和の時代に建てた施設が多いと思うので、今、令和になって、時代もかなり変わってきているという部分もあるので、学校だけがいつまでも昭和の時代の建物ではいけないと思うので、ここは、ぜひ、先ほど言った86%を目指して、重点的にこれからも取り組んでいただきたいと思います。 それから、最後は、県立宮古商工高等学校と県立宮古水産高等学校の新築工事についてです。 宮古商工高校と宮古水産高校の新築工事については、地盤の脆弱化や建設工事価格の高騰によりまして、今、1年間工事開始が延びている状況にあります。 きのうも触れたのですけれども、市内では、県立宮古病院の改修工事が3度にわたって入札不調に終わりまして、物価高騰、人件費高騰などで、公共工事が大きな影響を受けていると感じています。 そこで改めて、宮古商工高校と宮古水産高校の新築工事が、再度、物価高騰、さまざまな要因でおくれないように願っているのですけれども、現在の県の御認識を伺いたいと思います。 〇佐々木学校施設課長 県立宮古商工高校と宮古水産高校の新築工事につきましては、宮古商工高校商業校舎敷地内に、合築の上、整備することといたしまして、令和4年5月から設計業務を進めていたところですが、物価高騰、人件費高騰などの影響によりまして、整備計画及び設計内容の見直しが必要となり、昨年度の9月補正で、設計委託料の不足分を措置していただいたところです。 現在、設計受託業者と協議を進めながら、設計業務を進めているところでございます。工事の予算につきましては、今年度2月定例会におきまして、予算議案を提案させていただくことになりますけれども、目標としております令和9年度中の供用開始に向けて、物価高騰、人件費高騰による影響額を見きわめながら、取り組んでまいります。 〇畠山茂委員 生徒の皆さん、それから教職員の皆さんも、一日も早い完成を願っていて、1年おくれただけでも、えーっというような声も出ていますので、ぜひ、一日も早い完成を願って、終わります。 〇村上秀紀委員 最初に、高校再編計画にかかわるところで二つ伺いたいのですが、まず、総合学科についてです。本年5月17日に行われた教育委員会地区懇談会において、出された質問に関してですが、総合学科が設置されている自治体の教育長から、総合学科が設置されてからおよそ20年たちますが、これについて、あり方についての再検証が必要なのではないかと意見が出ました。それについての進捗を伺います。 〇西川高校改革課長 総合学科の成果と課題についてでありますが、地区別懇談会でも、村上秀紀委員から御紹介がありましたとおり、そういったお話があったところでございますけれども、総合学科高校につきましては、共通教科や専門教科にわたる幅広い科目の中から、生徒が自己の興味、関心に基づき、将来の職業選択を視野に入れて、主体的に科目を選択し、学ぶことにより、個性を伸ばしながら、自己実現を可能とする能力を育てることができるよう、普通科、専門学科に続いて、第三の学科として位置づけられたものであります。 このような特徴を生かして、早期のキャリア教育への取り組み、企業や大学等への共同連携を図るなどの進路指導等の強化が、大学や短大などの進学等を含め、系統に関連した進路実現に反映されるなどの成果を上げているものと認識しております。 一方、課題のほうですけれども、現行の再編計画で、総合学科の最低規模としている3学級の学校があり、生徒数が減少する中で、地域の産業構造や地域のニーズを踏まえた系列のあり方や、多角化との再編等を踏まえるなど、今後において、検討が必要であるものと承知しております。 〇村上秀紀委員 課題の定員を下回るというと、その下回っている原因はどのように把握しているでしょうか。 〇西川高校改革課長 まず、大前提として、生徒数が減っているということがあるのと、それぞれの学科によって、なかなか言いにくいところではあるのですが、中学生側の求める学科コースなのかという、そういったところがきちんと正確に反映されているかどうか、その辺が課題ではないかと感じている状況でございます。 〇村上秀紀委員 まず、生徒数が減っているということでしたけれども、実際、県内7校、総合学科が設置されておりますが、その中の地域によっては、人口が減少していない地域でも、定員割れを起こしているところにはどんな問題があるかというと、先ほどお話があったと思うのですが、実際、全県を見渡すと、この定員に対して志望するのがおよそ半分です。総合学科の本質的な問題を、もう少し深いところをお話しいただけますでしょうか。 〇西川高校改革課長 一つの理由として、県内の産業構造から考えると、土木関係の学科の設置割合が低いのではないかという分析をしております。 こちらにつきましては、県立釜石工業高等学校、久慈工業高等学校、福岡工業高等学校、大船渡工業高等学校ですけれども、こちらには、建設関係の学科が設置、過去にはされておりましたが、現在は、少子化による生徒数の減少や、公共事業等の減少によりまして、地元の建設関連企業からの求人も少なくなり、それに伴って、志願者数も減少したという状況もありまして、そういった形で学科改編や学校の統合等になり、募集停止になった経緯もございますので、こういったところが多少なりとも影響しているものではないかと認識しております。 〇村上秀紀委員 今、ちょうど工業系の学科の話に行きましたので、総合学科はここまでにして、次に行きたいと思うのですけれども、同じく5月17日に行われた地区別懇談会で出た質問です。 県内全域に設置されている工業系の学科において、工業技術、特に建築設備を学べる学科が少ない。ただし、現場では、これらの人材が不足している。産業技術短期大学などとスムーズに連携できる建築設備系の学科は、今後重要な分野であるという意見が出たのですけれども、これを踏まえて、今の地域の産業構造に照らし合わせて、各工業系の学科の定員とニーズは、どのようなバランスになっているか、そこに乖離があるのか、その辺を伺いたいと思います。 〇西川高校改革課長 どの辺まで地域のニーズが反映されているのかという御質問ですけれども、過去には、釜石地域において、鉄鋼業を中心とした産業構造から、機械や金属などを中心とした産業構造への転換が進んでおり、そういったものが地域のニーズであったというところもあります。 また、久慈工業高校のように、土木科、建築科を募集停止して、新たに、建築環境科を今回設置するようなところもありますので、その時代に応じた産業構造や、電気、機械、土木は基本的な部分ですので、地区別懇談会でも、さまざまな方から、そもそも基本となる学科をしっかりと人材育成させてほしいという意見もいただいておりますので、その辺も踏まえた上で、長期ビジョンに反映させるとともに、次期高校再編計画に盛り込んでまいりたいと思います。 〇村上秀紀委員 それぞれの人材が不足していると、本当にもったいないお話だと思います。せっかく地域で就職するニーズがあるけれども、学んでいる人が少ないから、ニーズというか、働く場所があるのに、人材が育っていないのはもったいないことだと思いますので、ぜひ柔軟に、その辺の学科の再編は行っていただきたいと思います。 次に、いわて進学支援ネットワーク事業費のうち、探求STEAM教育推進事業に関する取り組みの成果と課題を伺います。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 探求STEAM教育推進事業の成果ということでございますけれども、現在、各推進校におきましては、現地調査やデータサイエンスにかかわる講座等を実施して、データやエビデンス等に基づいた分析をするなどして、探究活動を実践してきているところでございます。 県教育委員会も、研修会などを通して、その生徒の学びの深化を図っているところでございますが、こういった取り組みを通しまして、推進校におきましては、探究活動を進める基盤づくりが進んできております。 今後さらに、データサイエンスにかかわる講座内容の充実と探究活動を発展させて、県内の高校へ普及させていく必要があるかと、そのように考えております。 〇村上秀紀委員 このSTEAM教育というのは、グローバル社会で活躍できる人材を育てる教育方法ということですけれども、これまで数年やってきて、具体的に取り組んでいる9校の子供たちのその後の進学先とか、あるいは就職先に対する変化が出てきているのでしょうか。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 STEAMの探究活動によって、現代の諸課題に対する解決できるような人材を、教科横断的な探究活動によって、そういった人材を育成していこうと取り組んでいるものでございます。この事業につきましては、令和5年度から取り組んでいるものでございまして、進路状況については、これから成果は出てくるかと思いますが、現在のところ、大きな変化は出てきてないところでございます。 〇村上秀紀委員 今は、余り出てきていないということですが、今後、そこは求めていくために推進していくのでしょうか。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 生徒の進路目標の達成という観点で申しますと、探究STEAM教育事業につきましては、先ほども申し上げましたけれども、生徒の理数分野への興味関心を涵養して、理系人材やデータを収集、分析、活用できる人材の輩出を加速して、そういった人材を輩出していく、そういった人材育成の目的で取り組んでいるものでございます。 一方で、現在、大学入試等では、総合型選抜といった割合が大きくなってきておりますので、こういった探究的な活動を通して、思考力、判断力の育成でもって、こういった入試の対応にもなるものと思っておりまして、いずれ、生徒個々の希望する進路の実現につながればよろしいかと、そのように考えております。 〇村上秀紀委員 人間力を養って、その子供たちが希望する進路に向かう力を養うということですけれども、実際にこれを取り組んできて、もともと県では、地元で暮らす子供たちは、地元で進学して、地元で就職しなければだめなのだというような知事答弁もこの間あったので、この子供たちをしっかり受け入れられる進路先あるいは就職先を、県内にしっかりつくっていかなければならないと思うのですけれども、今実際に、取り組んでいる9校の子供たちが、大学に進学するときには、県内、県外どのぐらいの割合で進学しているのでしょうか。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 令和5年度の大学の入学状況ということですが、この9校というデータは、現在、持ち合わせてないのですが、岩手県内の高校から、令和5年度に岩手県内の大学へ入学した割合が28.0%となっております。 〇村上秀紀委員 これは令和5年度ということですが、近年、この割合に変化は出ているのでしょうか。 〇中村首席指導主事兼高校教育課長 過去の実績については、現在、持ち合わせていない状況でございます。 〇村上秀紀委員 恐らく、教育委員会で子供たちのこういった教育の政策と、そして、県が求める、子供たちが将来どのように進んでいくかというところは、整合性をしっかりとりながら、教育委員会でこういう人材を育てたいということであれば、県内で就職させたい、進学させたいのであれば、そういったものを知事部局としっかり話し合って、トータル的に環境をつくっていかなければならないと思うのです。 3割に満たない方々しか岩手県に残っていかないわけですから、この割合がどうやって伸びていくか、きちんと変化を押さえながら、どうやって伸びていくかというのを考えながら、教育政策とそういった子育ての政策等をあわせていかなければならないと思います。 この間の一般質問で、岩崎友一議員が、子供たちは、抑え込むだけではなくて、自由に飛び立たせることも必要なのではないかなというお話もしていました。川の流れもそうだと思います。人工的に流れをつくっても、その許容範囲を超えれば、川は暴れてしまうこともありますので、だから、全てではないと思います。その答弁の中でも、確かにいいことも言っているのです。 県外に出て活躍する人、県外からやってくる人など、個人の自由な生き方の選択の中で、さまざまな形で、岩手県とかかわりながら、働き、学び、暮らすことができるようにしていくことを推進している。私、これ大賛成です。 ですから、そういう観点で推進していくことが本当に大事だと思うのですが、ただ一方、先ほど私がお話ししたとおり、岩手県で進学して、岩手県で就職しなければだめなのだという、その辺の話が少しずれてくるところがあると思いますので、県としては、きちんと方向性をしっかり定めて、教育委員会、そして、知事部局一緒になって、これからの子供たちの学びの環境をつくっていただきたいということで、私からは終わります。 〇菅原亮太委員 県立西和賀高等学校について、先ほど佐々木順一委員から御質問ありましたので、この点について一つだけコメントさせていただきます。 我々、自由民主党会派で市町村要望をさせていただいて、西和賀町にもお邪魔して、町長とお話をしてきました。そのときに、少人数学級による指導によって進学率が高いので、生徒や保護者からも好評を得ていると。 そこで、私は、定員をふやすと、定員割れして進学率が下がるのではないですかと聞いたのですけれども、町長からは、それでも、学力向上の自信がある。それぐらい魅力的な教育を行っている。特に特例校の役割を果たすためにも、定員増をお願いしたいという話で、熱い声を聞きましたので、私も、ぜひやりたいという話で終わっていました。 今回、教育長の英断によって、検討されるというところでありましたけれども、もし定員割れしても、進学率の向上が見られるのであれば、それはモデル校になり得るような、本当にすばらしい結果をもたらすのだと感じましたので、改めて、教育長の英断に感謝したいと思います。ありがとうございます。 二つ目の質問ですけれども、医系進学コースについて伺います。 幸福関連指標で、社会ニーズに対応した学習内容の充実などによる生徒の進路実現の推進で、具体的推進方策でも、生徒の進路実現に向け、自校で設定した進路目標を達成できた高校の割合について、計画値67%に対して、令和5年度実績69%、達成度Aとなっておりましたが、この令和8年度の目標値70%を達成する上でも、この医系進学コースは非常に重要だと感じております。 実際、岩手医科大学の県内高校生の割合が、16%から23%に対して、東北の他県の大学医学部の合格者のうち、県内高校生の割合が25%から43%というところで、医師偏在解消のためにも、医学部合格者数増加のために、岩手県の高校生の学力向上が急務になっております。 達増知事のマニフェストにおいても、医系進学コース設置を標榜していて、令和6年度当初予算附帯意見においても、4年間で道筋を示すとなっております。 先日の一般質問の岩崎友一議員への知事答弁でも、これについて、順次実施しているという知事答弁でありましたが、この医系進学コースの再編について、教育委員会として、進んでいるとお考えか伺いたいと思います。 〇菊池教育局長兼首席服務管理監 医系進学コースの設置についてでございますが、現在、策定を進めております県立高等学校教育の在り方長期ビジョンの案におきましては、県政課題等に対応した人材の育成に向け、医系統分野の専門職を目指すコースなど、学力向上や特色あるコースの設置に取り組むこととしております。 また、同じく長期ビジョンの案においては、生徒の多様な進路希望や学習ニーズに対応した指導体制の一層の充実に向けて、進学指導に重点を置いた全日制普通高校への単位制の導入についても取り組むこととしております。 医系進学コースの設置等につきましては、カリキュラムの検討や、教員配置など、学校内の指導体制、また、地域のニーズや、学校運営協議会など関係者との取り組みの共有などが必要でありまして、設置校やその設置時期、さらには、単位制の導入等を含めまして、現在、検討を進めているところでございます。 〇菅原亮太委員 先ほど御答弁ありましたように、県立高等学校教育の在り方会議の長期ビジョン素案でも、設置について検討し、取り組むといった記載になっております。この長期ビジョンは、計画としては、10年から15年の計画期間だと伺っております。ただ、マニフェストは、4年間で道筋をつけるというところでありました。この差があるわけでありますが、本当にマニフェストに沿って、残り3年ですけれども、4年間で道筋をつけられるのかどうか、改めて伺いたいと思います。 〇菊池教育局長兼首席服務管理監 長期ビジョンにつきましては、御紹介のとおり、ビジョン自体に計画期間は定めておらないのですけれども、期間としては、10年、15年を見据えたという形で、今現在、検討を進めているものでございます。 長期ビジョンにつきましては、今後、パブリックコメントや県民説明会などを行う予定としておりまして、その中での意見等を踏まえることはもちろんですが、県教育委員会としましては、他県の先進的な取り組み等も参考にしながら、その設置校、設置時期、教育課程の検討など、学校を交えた丁寧な検討を進めた上で、現時点において、設置の時期についてはお示しすることはできませんけれども、準備が整い次第、コースの設置等を進めてまいりたいと考えております。 〇菅原亮太委員 ぜひ、位置づけに向けて、早期に取り組みをお願いしたいと思います。 次に三つ目の質問になります。 高校再編計画についてですけれども、8学区制について伺いたいと思います。この8学区制は、特定の高校への入学者の過度の集中を避け、高校教育の機会均等を図り、生徒の通学、就学の適正を図るため、8学区制が定められており、高等学校普通科に就学しようとする者は、その学区内の高等学校に出願することとされています。 私は生まれが違う県でして、そこは全県1区制でしたので、岩手県はこういうのがあるのだとびっくりしました。 そこで伺いたいのが、岩手県の学区制について、これは他県でも行っているか、東北6県について、他県の状況を伺いたいと思います。 〇西川高校改革課長 学区制の他県での実施状況についてでありますが、東北においては、山形県、福島県において、学区を設けております。いずれも、岩手県と同様に、普通学科に対して学区を指定しており、専門高校等は全県1区となっております。 また、青森県、秋田県、宮城県においては、学区を廃止し、全県1区となっております。 全国的には、21道府県で学区を設けております。 〇菅原亮太委員 全日制課程の普通科において、募集定員の10%以内で、学区外からの入学を認めている。志願者数が定員に満たない場合は、学区の制限を受けないこととされています。学区外許容率を上回る学校がどのくらいあるかを、まず伺いたいと思います。 〇西川高校改革課長 学区外許容率がある学校についてでありますが、過去5年間において、学区外許容率を上回る志願者があったのは、令和5年度入試における県立不来方高等学校人文、理数学系のみとなっております。 〇菅原亮太委員 今、お話があったように、令和5年度は、不来方高校で学区外の志願者が上回ったというところでありました。この学区制について、県の高校あり方検討会議の中で、中学生の進路意識調査において、学区制に対する中学生の回答では、現在のままがよいが28.2%、拡大または廃止するのがよいが25.3%。 一方、保護者の回答では、学区制について、現在のままがよいが22.9%、一方、拡大または廃止するのがよいが47.5%と、上がっていました。 この結果を踏まえて、当局として、この学区制の拡大または廃止について、どのようなお考えか伺いたいと思います。 〇西川高校改革課長 先ほど御紹介がありましたけれども、令和5年度に実施しました中学生の進路意識調査先において、進学したい学校、普通科、理数科に対する中学生の回答では、学区外にあるが、釜石・遠野ブロック、二戸ブロックで高く、学区制に対する保護者の回答では、廃止するのがよいが、釜石・遠野ブロック、二戸ブロックで高くなっており、学区を廃止した場合は、県北地域や沿岸地域等から、内陸部への中学校卒業者の移動の増加が懸念されると認識しております。 通学区域が設定されている趣旨や、入学者選抜における学区の制限の状況、特定の地域への志願者の集中を招く懸念等を考慮し、学区のあり方につきましては、次期高校再編計画における高校の配置を踏まえた上で、検討してまいりたいと考えております。 〇菅原亮太委員 学区制については、今後どうしていったらいいかというのは、私も、これからいろいろと学んでいきたいと思っておりますけれども、提案としてですけれども、先ほど御答弁があったように、釜石・遠野ブロック、二戸ブロックでは、学区を廃止したほうがよいと答えた方が多いという現状がありました。 現状、この学区制によって、沿岸地域、県北地域の方にとっては、盛岡市の高校を受けようとすると、相当学力がないと厳しいというところがあって、最初から志願すること自体を諦めている方もいらっしゃるのではないかといった可能性も考えられます。特に県北地域、沿岸地域の方は、例えば志望校に落ちた場合、行くところとしては、私立の盛岡市や八戸市といったところになっていると伺っています。 もし、この学区制を残すのであれば、例えばですけれども、県立高校を学区内と学区外どちらも受けられますと。前期、後期のように柔軟な対応はどうかと思ったのですが、それについて御所見があれば、伺いたいと思います。 〇西川高校改革課長 御提案のありました件ですけれども、現在、入試につきましては、同日に開催しているところもありまして、学区内、学区外と分けて実施することは、なかなか困難な状況であるのではないかと推測しております。 〇菅原亮太委員 いろいろとそういった事情もあると、私も考えておりましたが、全国的には、この学区制について廃止拡大が結構進んでいるようです。 先ほどの青森県、秋田県、宮城県も、青森県、秋田県は、平成17年度に廃止、宮城県は平成22年度に廃止という形で、また、徳島県も廃止の方向ですし、栃木県も廃止になって、地域偏在の状況も、栃木県の資料を見ますと、特に地域偏在は見られなかったというレポートもありました。 これからの少子化も含めて、学区制については、いろいろ考えていかなければならない話なのかと思っておりますけれども、改めて、最後、教育長に、この学区制について、今後の少子化等も含めたこれからの将来を考えて、御所見があれば伺いたいと思います。 〇佐藤教育長 学区制のお尋ねでございますが、今、担当の課長が申し上げましたとおり、生徒の学校選択の機会拡大というメリットがある反面、地域外への生徒の流出など、地域にとっては一定のデメリットもあろうかと思います。 学区のあり方については、東北各県でも、先ほど担当の課長からお話があったとおり、廃止した県もございます。そういうところの実績といいますか、その結果どういうことが起きたのか等を含めて、調査分析しながら、今後の次期再編計画策定に向けて、慎重に検討していく必要があるかなと考えております。 〇菅原亮太委員 先ほどの徳島県の話では、学区内の最低合格点数と、学区外の最低合格点数が結構開きがあって、学区外の人のほうが最低合格点数は高かったというデータもあるようですので、ほかのいろいろな県の統計的に見ると、廃止したほうが、恐らく全体的な底上げとして学力向上は見込まれると予想されますけれども、一方で、地域偏在、そういった課題もあるというところで、これからも、これについては、議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 〇高田一郎委員 まず、学校給食についてお聞きいたします。 食材等の高騰がここずっと続いて、現場では大変な苦労をされていると思います。県教委として、現場での苦労や課題をどのように把握されているのか伺います。 それから、もう一つあわせてお伺いします。学校給食の提供回数であります。文部科学省の学校給食の実態調査結果が最近出されました。それによりますと、本県の小中学校の給食提供回数は全国最下位となっております。長野県と比べれば27日間も少ない状況になっています。その要因は、どのように把握されているのか。また、本県の給食提供回数の実態も含めて示してください。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 初めに、学校給食実施回数減、値上げに係る状況等についてでございますが、学校給食の実施回数や給食費などの実施状況については、2年に1回実施の文部科学省による学校給食実施状況調査。文部科学省調査が実施されない年度については、本県独自に調査を行い、状況を把握しているところでございます。 学校給食の回数の増減状況については、令和5年度と令和6年度を比較して、回数が減ったのは、小学校だと7市町村、中学校4市町、回数がふえたのが、小学校4市町村、中学校6市町村となっております。 物価高騰の対応についてでございますが、学校給食の品質や栄養価を保つよう、輸送コスト等が少ない地元生産者からの生鮮野菜等購入、あとは見積もりによる安定的な食材の購入など、調理場ごとに工夫をしていると聞いております。 続きまして、学校給食提供回数についてでございます。学校給食提供回数の推移についてでございますが、文部科学省が隔年で実施している調査によると、国公立小中学校の平均で、岩手県の小学校の平均になりますが、平成28年が177回、平成30年172回、令和3年174回、令和5年174回、中学校におきましては、平成28年が175回、平成30年が170回、令和3年が173回、令和5年が172回となっております。 なお、令和5年度の全国平均回数、小学校は192回、中学校では188回となっております。全国の平均と比較して、本県の学校給食の回数が少ないことについてでございますが、確認できた平成18年だと、中学校が176回、小学校で176回から178回となっており、現在とさほど変化がない状況でございます。 給食の実施方法については、設置者である市町村において、学校行事と地域の実情等を踏まえて、総合的に判断していると認識しております。 〇高田一郎委員 給食の提供回数については、今の答弁では、明確な把握がされていないという実態だと思うのです。これは、働き方改革からなのか、それとも、給食費を抑制するためになっているのか。実態、原因をよく把握すべきだと思うのです。 そして、岩手県は余りにも少な過ぎると思いますので、これは市町村の判断だと思うのですけれども、余りにも少ないので、そこも含めて、学校給食の提供のあり方についても、よく検討していただきたい、これは問題提起だけを指摘しておきたいと思います。 今、学校現場では、地場産品を減らすとか、あるいはデザートを減らす。しかし、一方では、栄養摂取基準がありますから、これを守らなければいけない、そういう中で、もう、いよいよ給食回数を減らすか、あるいは給食費を上げるか、そういうアンケートをこれから始めるという自治体も出てきております。 そういう意味では、この物価高騰対策へのさらなる支援が必要だと思います。教育委員会は、県立特別支援学校もありますので、物価高騰対策に対する支援を一層取り組んでいかなければならないと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 物価高騰に対する市町村への支援でございますが、国への要求等、引き続き行っていきたいと思います。 〇高田一郎委員 昨年は、国の交付金で値上げ分を抑制しましたけれども、今年度については、市町村それぞれ単独で予算を使って抑えている。国の方向がまだ見えておりませんけれども、国に対する要求は当然ですけれども、これ以上の値上げは本当に大変なので、国の経済対策もよく見ながら、ぜひ対応していただきたいと思います。 次に、学校給食におけるアレルギー対策についてお聞きしたいと思います。 本県のアレルギーに該当する児童数はどのように推移しているのか、また、その要因について、どのように把握されているのか伺います。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 アレルギーの状況でございますが、令和4年度公益財団法人日本学校保健会が実施したアレルギー疾患に関する調査によると、平成25年度調査との比較において、ぜんそくは減少しておりましたが、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アナフィラキシーが増加したとの結果が示されております。 本県の公立小中学校において、学校給食の対応が必要な食物アレルギーのある児童生徒の過去5年の推移についてですが、小学校が令和元年度1、777人、これは全体の3.1%、令和2年度1、837人、これは3.3%、令和3年度1、639人、2.9%、令和4年度1、801人、これが全体の3.3%、そして、昨年度―令和5年度が1、676人、3.2%となっております。 中学校につきましては、令和元年度539人、全体の1.8%、令和2年596人、全体の2.0%、令和3年743人で2.5%、令和4年度622人、2.1%、昨年度―令和5年度が710人、2.5%、年度により人数の増減はあるものの、ほぼ横ばいの状況でございます。 アレルギー疾患の増減に係る明確な要因は特定しかねますが、食生活が多様化している中で、学校において、さまざまなアレルギー疾患の対応が必要とされておりますので、引き続き、市町村と連携し、食物アレルギーを持つ児童生徒への個々の状況に応じた対応の支援を行っていきたいと思います。 〇高田一郎委員 今、説明がありましたけれども、横ばいになっているとはいえ、毎年、2.5%から3%前後の数になって、そして、生徒数も2、300人とか、そんな推移がずっと続いております。 先ほども議論があって、対応が間違えば死に至るような状況になるという、本当に真剣に取り組んでいかなければならない課題だと思いますけれども、先ほど紹介があった県のアレルギー対応指導指針の中では、学校給食については、アレルギーに対応した給食の提供が求められる。国の指導指針もそうであります。学校給食を整備して、そこでしっかりと対応するというのが原則だと思います。ところが、学校の給食現場では、それに対応する施設がなかなか確保できないとか、人の配置の問題とかあろうかと思います。 そこで今、アレルギー対応を行っている学校給食施設はどの程度あるのか。そして、今後の県の考え方として、アレルギーに対応できる学校施設を整備、これを原則に対応していく考えなのかどうか、そのことも含めて示してください。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 まず初めに、アレルギー対応について対応している施設数ということですが、アレルギー対応について、指針、マニュアルを作成している学校給食施設数が、令和4年度が77施設、作成してない施設16、昨年度―令和5年度になりますが、マニュアルを作成している給食施設77、令和5年度が14施設となっております。 県では、学校給食における食物アレルギー対応指針を作成しております。市町村や学校単位で連携しにくい機関との広域的な対応の取りまとめや支援、あとは、関係者の定期的な協議の場を設けて、連携体制を構築するなど、そのような対応をとっております。 〇高田一郎委員 わかりました。 学校給食をめぐっては、この間、県議会でも無償化の議論がありましたけれども、給食の質の問題も大変大事だと思います。無償化になっても、質が落ちれば、これは問題ですから、回数の問題、そして、中身の問題も含めて、さらに充実できるように、しっかりと取り組んでいただければと思います。 次に、学校の検診の事業についてお伺いいたします。 要受診者の児童生徒の医療機関への受診の状況はどのようになっているのでしょうか。以前にも、なかなか受診できない子供たちがふえていることを指摘して、その取り組みの強化を求めてきましたけれども、受診率向上に向けて、どのように取り組まれているのか、この点も含めて、答弁をお願いします。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 学校検診についてでございます。要受診と診断された児童生徒のうち、医療機関を受診した割合でございますが、眼科検診において受診した割合、小学校が49.4%、中学校が35.2%、高等学校におきましては23.8%、耳鼻科検診における医療機関への受診、小学校43.7%、中学校が29.0%、高等学校18.2%、心臓検診については、小学校72.8%、中学校74.2%、高等学校67.7%、視力検査については、小学校で50.9%、中学校が34.6%、高等学校におきましては26.6%、歯科検診については、小学校51.0%、中学校31.3%、高等学校では21.3%となっております。 受診率の向上の取り組みについてでございますが、家庭の理解と協力が必要であり、児童生徒、保護者との三者面談等の機会を利用して、受診の必要性を伝えるとともに、公費医療助成制度の情報提供や、個々に応じた保健指導、健康相談を行っております。 〇高田一郎委員 以前にお聞きしたときにも、同じような答弁でありました。でも、実態としては、受診率がなかなかふえないという問題があります。 親の責任とか、そういうことが指摘されますけれども、それだけでは解決しないと思うのです。きちんと受診しなければ、大きな問題にも発展するわけでありますから、例えば、親や子供だけではなく、他人も含めた健康教育をやるとか、あるいは部活や校外活動があっても、受診を優先させるとか、あるいは、大きな学校であれば養護教諭を複数科にするとか、そういう今までの対応ではなくて、従来の枠を超えた抜本的な対策をとっていかなければ、なかなか受診率は向上できないのではないかと思いますので、ぜひ対応していただきたいと思います。 もう一つ、受診の問題で言えば、不登校の子供たちの受診です。これは、学校での受診ができないわけです。でも、これはやらなければならないと思うのです。特に不登校の子供は、不登校に至るまで、精神的なストレスがかかって、その後も活動の低下によって運動不足ということで、非常に健康リスクが高いと言われております。 そういう意味では、学校検診を受けたかどうかというのをきちんと把握をして、そして、必要な対応をしていくべきではないかと思いますけれども、不登校児の学校検診を把握されているのか、そのことも含めて、答弁をお願いいたします。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 不登校児童の検診についてでございます。学校によっては、受診しやすいように不登校児童生徒だけ時間をずらして実施したり、学校医の協力を得て、後日、学校医のもとで健康診断を受けるなどの対応をとっております。 不登校児童生徒の検診の状況について、具体的な数値は把握しておりませんが、文部科学省の通知を受け、当日の欠席や長期欠席など、個別の事情により健康診断を受けることができなかった場合の対応について検討し、保健だよりや学年通信等で保護者に事前通知するなど、適切に対応するよう、改めて通知しているところでございます。 県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会、県医師会等と連携して、不登校の児童生徒についても、できる限り健康診断を受けることができるよう取り組んでいきたいと思います。 〇高田一郎委員 先ほどもお話ししたように、不登校の子供たちのほうが健康に対するリスクが高いという、これも専門家も指摘しているところです。したがって、全ての不登校児に対してしっかりと検診ができるような環境をつくって、その実態を把握することが大事なのではないかと思います。 他県の状況を見ると、学校健診に来ていただいている先生に、直接病院に行って診てもらうとか、あるいは教育支援センターに出向いて、検診をするとか、いろいろな工夫をして取り組んでいる自治体があります。そういった自治体の経験、教訓を学んで、小中学校に2、000人もいる不登校児、これを確実に検診できるような体制をぜひとっていただきたいと思いますけれども、そのことを含めて、答弁をお願いしたいと思います。 〇中村首席指導主事兼保健体育課総括課長 学校における健康診断の目的と役割ですが、学校における健康診断は、家庭における健康観察を踏まえて、学校生活を送るに当たり、支障があるかどうか、健康状態を把握するという役割と、学校における健康課題を明らかにして、健康教育に役立てるという、大きく二つの役割があると思います。いずれ、不登校児童生徒についても対応できるように、体制を整えていきたいと思います。 〇大久保隆規副委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇大久保隆規副委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。 教育委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。 〇中里企業局長 令和5年度の企業局関係の決算等について御説明申し上げます。 令和5年度の事業運営に当たりましては、中期経営計画に基づき、電気事業では、高経年化した既設の発電所の再開発を進めるとともに、新規水力開発に向けた調査などに取り組み、工業用水道事業では、令和5年4月から新北上浄水場の一部給水を開始するとともに、ニーズに応じたさらなる給水能力の増強などに取り組んでまいりました。 また、震災復興、ふるさと振興に寄与するため、いわて復興パワーの取り組みによる電気料金の割り引き、GXに資する施策などの財源としての一般会計への繰り出しや、県立病院等事業会計への長期貸し付けを行うなど、地域貢献に積極的に取り組んだところでございます。 まず、認定第13号令和5年度岩手県電気事業会計決算について御説明いたします。 電気事業会計決算の7ページ、タブレットデータでは、決算関係資料19、岩手県電気事業会計決算の7ページをごらん願います。 1、決算報告書(1)収益的収入及び支出ですが、収入、第1款電気事業収益の決算額は、表の右から3列目、81億6、445万円余、支出、第1款電気事業費用の決算額は、表の右から4列目、63億1、097万円余となっております。 次に8ページをごらん願います。 (2)資本的収入及び支出ですが、収入、第1款資本的収入の決算額は、表の右から3列目、1億355万円余、支出、第1款資本的支出の決算額は、表の右から6列目、72億563万円余であり、不足に対し、欄外に記載のとおり、当年度分消費税及び地方消費税資本的収支調整額等で補填しています。 続きまして、9ページの損益計算書をごらん願います。 下から4行目の経常利益及び下から3行目の当年度純利益がそれぞれ16億1、813万円余となり、黒字決算となったものでございます。 なお、10ページ以降の剰余金計算書等につきましては、説明を省略させていただきます。 次に、議案第28号令和5年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて、御説明いたします。 恐れ入りますが、別冊の議案その4の5ページ、タブレットデータは、決算関係資料07、議案その4予算外の5ページをごらん願います。 令和5年度岩手県電気事業会計の未処分利益剰余金27億5、148万円余のうち、11億3、335万円余を資本金に組み入れるとともに、9億4、013万円余を建設改良積立金に、6億7、800万円を震災復興・ふるさと振興パワー積立金にそれぞれ積み立てようとするものでございます。 次に、認定第14号令和5年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明いたします。 工業用水道事業会計決算の7ページ、タブレットデータは、決算関係資料21、岩手県工業用水道事業会計決算の7ページをごらん願います。 1、決算報告書(1)収益的収入及び支出ですが、収入、第1款工業用水道事業収益の決算額は、表の右から3列目、9億9、521万円余、支出、第1款工業用水道事業費用の決算額は、表の右から4列目、14億6、146万円余となっております。 続きまして、8ページをごらん願います。 (2)資本的収入及び支出ですが、収入、第1款資本的収入の決算額は、表の右から3列目、10億9、802万円余、支出、第1款資本的支出の決算額は、表の右から6列目、9億8、284万円余であり、欄外に記載のとおり、前年度同意済未発行企業債7億6、820万円を除いた不足に対し、過年度分消費税及び地方消費税資本的収支調整額等で補填しています。 次に、9ページの損益計算書をごらん願います。 下から3行目の経常損失及び下から2行目の当年度純損失がそれぞれ5億1、567万円余となり、赤字決算となったものでございます。 なお、10ページ以降の剰余金計算書等につきましては、説明を省略させていただきます。 以上で企業局関係の決算等について説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。 〇大久保隆規副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。 〇はぎの幸弘委員 私は、企業局の長期経営方針のうち、第1期中期経営計画は令和5年度で終了でしたけれども、基盤を整備するというのが主な目的だと思います。これについて伺ってまいります。 まずは、収支計画における工業用水の収益的収支ですが、令和元年度から4年度までの経常損益は黒字ですけれども、令和5年度のみ計画の段階からマイナス4億6、700万円となっています。 これは、減価償却が例年に比べて2倍以上になっていますから、その辺が要因かと思うのですけれども、具体的に御説明をお願いします。 〇伊藤業務課総括課長 第1期中期経営計画における工業用水道事業の収益的収支についてでありますが、はぎの幸弘委員御指摘のとおり、令和2年3月に策定した第1期中期経営計画において、令和5年度の収益的収支は、収益が10億3、300万円、費用が15億円で、差し引いた経常収益は4億6、700万円の損失を見込んでいたところです。 これは、はぎの幸弘委員も御指摘のとおり、新北上浄水場建設に伴う減価償却費が増加することなどにより、多額の費用が見込まれたことによるものです。 〇はぎの幸弘委員 新北上浄水場ということですね。これは見込み額ということで、しからば新しく始まった第2期中期経営計画の中を見たら、4億6、700万円の赤字の見込みがさらに5億8、700万円ということで、1億2、000万円ほど赤字額がふえている。これも見込み額と書いてありますが、実際はどうだったのでしょうか。 〇伊藤業務課総括課長 第2期中期経営計画における工業用水道事業の収益的収支についてですが、先ほど申し上げました第1期中期経営計画での見込み額に比べますと、1億2、000万円余の増となっており、これはユーザー企業の契約水量の増量のおくれなどの影響により、収益が見込みを下回ったことが大きな要因となっております。 実際の決算での損失額につきましては、先ほど企業局長から説明させていただいたとおり、経常損失は5億1、567万円余と、7、100万円ほど下回ったところでございます。 〇はぎの幸弘委員 いずれ、工業用水は大手の誘致企業にとっては、本当に生命線のようなものですから、ぜひ、何とか続けて、途切れなくお願いしたいと思います。 第2期中期計画の資料の中に、第1期の取り組み実績が出ていましたので、それを確認しましたが、次は電気事業のほうです。コロナ禍に対応して、第二制御室を別の建屋に増設したとありました。まとめて質問しますが、第二制御室はコロナ禍対応ということですが、これは全ての発電施設に設けたということなのか。だとすると、総額幾らぐらいかかっているのか。これはそもそも除菌することで用が足りなかったのか、まず、この2点について質問します。 〇三尾電気課長 電気事業における第二制御室についてですが、制御室は県内20カ所の発電所等の情報を集約し、運転監視などを行う施設であり、常時2名の企業局職員が365日、三交代制で勤務し、運転監視の業務を行っているところでございます。 令和2年度に政府が発表した新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言を受け、経済産業省は全国の電力、ガス事業者等に対し、代替施設の活用など、安定供給の継続に万全を期すよう、要請したところです。 企業局では、既存の業務継続計画及びこれを補完する具体的な対応方針を策定し、運転監視の業務を行う職員が感染した場合でも、電力の安定供給を継続できるよう、第二制御室を別の建屋に増設しました。 これは、発電所それぞれにではなく、1カ所に増設したというものです。第二制御室の運用については、感染防止のため、分散勤務を想定しており、また、新たな感染症の拡大などを想定し、制御室の移行訓練、運転監視業務の代替要員研修を毎年実施し、体制を整えております。 〇はぎの幸弘委員 これを発電所の施設全部につくるのは大変なことだと思っていたので、安心しました。2カ所あるということは、仮に新型コロナウイルス感染症に感染しても、第二制御室で、継続して電力供給はできるということですね。 次の質問ですけれども、電気あるいは工業用水道両事業とも、施設の耐震化や強靱化を行っておりますが、具体的にはどのような工事をしたのか、代表的な事例で結構ですので、教えてください。 〇伊藤業務課総括課長 施設の耐震化、強靱化についてでありますが、第1期中期経営計画期間におきましては、全ての発電所建屋の耐震化が完了したほか、建築物以外の施設についても、改良工事にあわせて耐震化に取り組み、おおむね計画どおりに進めたところでございます。 〇はぎの幸弘委員 どの程度のものに耐えられるかと聞きたいところですが、耐え得る安全性を考慮していると思いますので、善意で受けとめて、次に移ります。 細かい部分で恐縮ですけれども、組織力向上の項目で、第一種ダム水路主任技術者新規資格取得者数のKPIが、令和5年度でD評価となっておりました。これは、計画2人に対して1人は充足しているようですけれども、そもそも達成度が60%未満のためにD評価となっているようです。その前年までは目標が1人だったのに、なぜいきなり2人になったのか。わざわざD評価にしなければいけなかったのかという素朴な疑問ですが、2人必要だったのでしょうか。 〇松本特命参事兼管理課長 2名に対して実績が1名ということで、率にすると50%で、非常に低く見えますけれども、年度をまたいでしまいましたが、翌年度資格を取得しましたので、実質的には2名取得できているという状況になっております。 〇はぎの幸弘委員 取得時期がずれたにしても、前年度までは1人の目標値だったのが、2人になったということは、2人必要だったのですか。それとも、予備としてもう一人取らせたということなのか。目標値がなぜ変わったのですか。 〇村上技監兼技師長 ダム水路主任技術者につきましては、2名必要となっております。今後も、安定的にダム水路主任技術者を確保するために、あと1名をふやそうという計画ですから、さらにもう一人、2名をさらにふやそうという考えでおりました。 〇はぎの幸弘委員 それでは、まとめの質問ですけれども、第1期中期経営計画の実績として、例えば電気事業会計の過年度剰余金が、県の施策に約20億円の財政支援を行っておりますし、令和5年度には、他会計に30億円の貸し付けを行っていると。これは、まさに岩手県として自主財源を生み出す重要な事業であると、本当に感謝を申し上げる次第でございます。 基本理念には、再エネの推進拡大もうたっておりますが、そのことに基本的には異論はないのですが、あくまで、これは私見ですけれども、気候任せで、調整のきかない太陽光や風力よりも、企業局が推進している水力発電、これをさらに充実させる取り組みを進めるべきと思っております。 加えて、バイオマス発電のうち、例えば下水を利用したメタンガスのバイオマス発電であったり、お隣の秋田県では、地熱発電の開発も進んでいるやに伺っております。 特に地熱の場合は、熱源を探し当てるのは、宝くじを当てるくらい非常に難しいということは聞いたことはあります。水力だけだと、渇水時に、発電に不安があるということを考えると、新たな取り組み―長期計画の中にも新たにチャレンジしていくという項目もあったので、聞きたいのですけれども、バイオマスや地熱という、人の手で調整がきくエネルギーに対して、チャレンジするという意気込みや可能性はどのようにお考えか伺います。 〇白井経営企画課長 カーボンニュートラルを目指した発電の検討についてでありますが、本県では、バイオマス発電や地熱発電なども高いポテンシャルを有しているものの、企業局が開発するには、バイオマス燃料の確保や、地下資源特有の開発リスクなどといった課題も多いと認識しているところでございます。 なお、企業局におきましては、一般会計繰り出しによるGX関連施策の一つといたしまして、バイオマス資源活用の取り組みに財政支援を行っております。今後も、GXに関する連絡会議等を通じまして、県内での導入状況等の情報収集を行うとともに、必要に応じて支援していくこととしています。 企業局といたしましては、これまで多数の水力開発に取り組んできた実績がございます。今年度も4地点の開発可能性調査、1地点の基本設計を進めるなど、現在も開発に向けて、積極的に取り組んでいるところでございまして、今後におきましても、知見を生かせる水力発電を中心とした再生可能エネルギーの開発に注力していきたいと考えております。 〇はぎの幸弘委員 そうであれば、渇水の心配がないよう山の上に広葉樹をたくさん植える、あるいは小水力発電などは、災害時の停電のときに街路灯が消えないようにするなど、各自治体と協力し合いながら、可能性を探っていって、さらに、水力発電をきわめていただければと思います。 〇大久保隆規副委員長 おおむね再開後1時間半が経過いたしましたが、この後、質疑を表明している委員があと2人となっていることから、質疑を継続したいと思いますので、御了承願います。 〇松本雄士委員 電気事業会計における剰余金処分、また、一般会計への還元策についてお伺いいたします。 電気事業会計においては、令和5年度16億1、800万円の純利益を計上して、剰余金処分においては、建設改良積立金に9億4、000万円、そして、震災復興・ふるさと振興パワー積立金に6億7、800万を積み立てるとのことです。震災復興・ふるさと振興パワー積立金から一般会計に繰り出されて、さまざまな施策に充当されるということで、安定した利益を計上して、県財政への貢献は大きく、期待も非常に高いというところであります。 そこで、この剰余金処分、また、その還元策について、どのような考え、また、基準に基づいて行われているのか、お伺いいたします。 〇白井経営企画課長 剰余金処分の考えや判断基準についてでございますが、地方公営企業は、経済性の発揮と公共の福祉の増進を経営の基本としておりまして、その経費は経営に伴う収入をもって充てる、いわゆる独立採算制が原則とされております。 そのため、将来発生する維持、改良等の費用に備えるための所要資金等を確保しておくことが必要でありますことから、まずは、企業債の償還原資であります減債積立金、そして、将来の既設発電所の改良工事や新規開発等の原資となる建設改良積立金に積み立てしております。 その上で、それを上回る純利益が発生した場合、地域貢献といたしまして、環境保全活動、クリーンエネルギー導入促進積立金や震災復興・ふるさと振興パワー積立金に積み立てることとしております。 〇松本雄士委員 独立採算制を基本に、安全性を勘案して、さらに上回る剰余金があればということで、財政課を初め各部局と連携、調整の上、その還元策を検討されていると思うのですけれども、その繰り出し水準について、電気事業の規模や利益水準が、同規模の他県と比較して、本県はどうだと認識しているか、見解を伺います。 〇白井経営企画課長 還元策の他県との比較についてでございますが、令和5年度の包括外部監査結果報告書によりますと、本県の電気事業の規模等が同程度の県といたしまして、富山県と新潟県を挙げております。富山県との比較では、おおむね同水準とされておりましたが、新潟県との比較では、低い水準と示されているところでございます。 新潟県との違いにつきまして、新潟県では、一般競争入札により価格のみで売電先を決定しているのに対しまして、岩手県では、再生可能エネルギーの地産地消に向けて、価格のみではなく、販売方法や経営の確実性、地域貢献などといった要素により、売電先を決定しておりますので、利益水準が異なっているということがございます。 また、岩手県では、将来の固定資産の改良等に向けまして、早めの資金需要に備える必要があるなど、新潟県とは経営事情が異なっているところもありまして、繰り出し額につきましては、妥当な水準を一概に設定しようとすることは容易ではないと示されているところでございます。 したがいまして、現状の剰余金処分における利益還元策につきましては、包括外部監査において、過大あるいは過少ということもなく、一定の評価がなされる水準であるとされておりまして、企業局としても、同様と認識しているところでございます。 〇松本雄士委員 包括外部監査結果には、そのとおり記載があると。ただ一方で、売電方針や財務戦略の違いはあるにせよ、新潟県は倍以上の繰り出し水準で、いろいろ還元しているという事実があるということであります。 包括外部監査結果報告書において、想定より多額の利益が計上された場合には、財政的貢献の内容及び保有する流動資産―令和4年度末では190億円ぐらい、令和5年度末でも560億円ぐらいの流動資産を保有しているわけでございますけれども、それらの有効活用の検討に余地がある旨、意見されております。 加えて、その解決方法として、再生可能エネルギーの維持拡大に活用していくことや、これが基本になるかと思うのですけれども、地球温暖化対策との関連性が高い一般会計の事業に充当することが優先されるべきであり、本来は、県民から徴収した税金で行うべき福祉や教育といったさまざまな事業に対して、この電気料金として徴収した資金を充当することには、特段の説明を要するということに留意されたいという旨が記されております。このことへの見解と対応を伺います。 〇白井経営企画課長 まず、想定より多額の利益が計上された場合の財政的貢献の内容及び保有流動資産の有効活用についてでございますが、昨年度の包括外部監査結果報告書では、現状の利益還元策について一定の評価ができる水準であるということが示されております。 その一方で、企業局で今後発生する必要な費用といたしまして、各年度で留保しなければならない額を利益から控除した残額―報告書では、これを企業局が想定した利益としていますが、その利益を超えた、いわゆる想定より多額の利益が計上された場合の財政的貢献の内容及び保有流動資産の有効活用は、検討の余地があるのは、松本雄士委員御指摘のとおりでございます。 こうした意見を踏まえまして、財政的貢献の内容につきましては、令和6年度は、震災復興、ふるさと振興に寄与する事業や、GXの推進に資する事業等に総額7億7、700万円を一般会計に繰り出すこととしております。 また、保有流動資産の有効活用につきましては、令和5年度に、病院事業会計へ30億円の貸し付けを行い、地域貢献に寄与するとともに、将来発生する必要な費用の資金の一部につきましては、利率が上昇傾向にある国債などを新たに購入するなど、積極的な資産運用に努めているところでございます。 また、解決の方向性についてでございますけれども、こちらにつきましては、既設発電所の再開発や新規開発など、再生可能エネルギー維持拡大のための資金として活用することをまず第一と考えておりまして、その上で、地球温暖化対策と関連性の高い事業や、震災復興、ふるさと振興に寄与する事業、GX推進に資する事業へ適切に充当していくこととしております。 〇松本雄士委員 私は、先般、総務部に新たな地方債の可能性について質問しておりますが、今後、非常に厳しい財政の中での第一次産業の振興やGXの推進において、その財源が、どこかに有効的に使えるものがないのかという思いで質問しているところであります。 そういった中にあって、今年度の剰余金処分で建設改良積立金は33億円を超える水準になり、また、特別な修繕引き当ても、これは一定の基準で引き当てていると思うのですけれども、25億円で、合わせて大体50億円を超える水準でそういう備えもあります。安全性のところは十分にあるのかと考えるわけでありますけれども、さらなる積極的な還元策についての見解を伺います。 〇白井経営企画課長 内部留保につきましては、今、御指摘いただいたような部分がありますが、第2期中期経営計画の期間中における建設改良資金の割合といたしましては、トータルで、3年間で143億円ほど建設改良費を予定しているということもあります。現時点でのストックといたしましては、余裕があるように見えるかもしれませんけれども、そういった将来の備えといたしましては、建設改良積立金をしっかりとストックしておく必要があると認識しているところであります。 〇松本雄士委員 その点に関しては、包括外部監査結果においても指摘されているのですけれども、企業債で行くのか、自己資金で行くのか、財務戦略をどう考えるかというところですが、本県とすれば、そこは自己資金で賄っていきたいという方針でしょうか。 〇白井経営企画課長 資金調達の方法でございますけれども、将来、電気事業の料金の状況、電力市場がどのように推移するかが不透明な中で、しっかりとした経営基盤を確立する上で、自己資金をしっかりストックした状態で運営していきたいと考えているところでございます。 〇松本雄士委員 今、第2期中期経営計画の中なので、急に方針は変えられないかと思うのですけれども、ぜひとも、積極的な還元策を検討していただきたいと思います。 加えて、多くの水力ダムは、かんがい事業にも供されており、そこからの発電によって生み出された利益もありますから、GXや農業部門へ還元をより検討していくべきかと考えるのですが、その辺についての見解を伺います。 〇白井経営企画課長 農業部門のGX推進への還元についてでございますが、まず、そもそも企業局の事業運営といたしまして、胆沢第二発電所や岩洞第一発電所など、国のかんがい事業と共同で、取水堰堤や水圧鉄管等の施設を整備しているというところがございます。 また、その運用に当たっては、国から受託して、施設の維持管理を行い、かんがい期間中は農業用水を優先して、発電所の使用水量の調整や発電を停止するなど、まずは、農業用水の安定供給を第一に対応してきたところでございます。 剰余金の処分につきましては、毎年度、企業局が主体的に県の環境保全、クリーンエネルギー導入促進や震災復興、ふるさと振興に係る施策に対し、繰り出しを行っておりますほか、総務部からの要請により、決算状況、経営状況を踏まえて、電気事業の運営に支障のない範囲で、GXの推進に関する施策への繰り出しを実施しているところでございます。 これらの一般会計の繰り出しを含めた地域貢献を確実に行っていくためには、電力や農業用水の安定供給が非常に重要だと認識しておりますので、引き続き、発電所の適正な運営に努めてまいります。 〇松本雄士委員 利益を農業の部門に還元するというよりは、まず、安定的な農業用水の供給が第一義的だということですね。 次に、決算書類の会計に関する書類に係る注記の南本内の建設準備金、3、600万円弱について、当面、事業の用に供するところが、今、見通せてないので、減損の兆候ありと書かれているのですけれども、この辺の見通しについて、お伺いいたします。決算書類にあることでしたので、答弁に時間がかかるのであれば、後ほど御回答ください。 最後に、企業局長にお伺いしたいのですけれども、令和4年9月の持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書にも記載されているのですが、本県の再エネは、広大な面積の自然で、非常にポテンシャルが高いと。さらなる投資の可能性があると言及されているところでございます。 また、中期経営方針に基づく中期計画においても、その辺の投資のところ、新規の水力発電の可能性や新たな電源開発の検討を進めていくという旨が書かれております。ぜひとも進んでほしいのですけれども、一方、この再エネは、電源調整というところで、時期によって電力過剰や出力抑制のような、そういったいろいろ難しい要素もあるのだと思います。 そこにつきまして、グリーン水素等を見据えた新たな投資と、先ほどはぎの幸弘委員からも、いろいろな地熱やバイオマスへのチャレンジの話もありましたけれども、水力をさらにしっかり拡大していって、グリーン水素も絡めていくと。そして、食料とエネルギーは、本県は100%の自給率をしっかりと確保して、自立した県を目指す、そういった方針で進んでいくというのが非常に大切かと思うのですけれども、この辺の将来に向けた投資、挑戦というところについて、所見を聞いて、終わりたいと思います。 〇中里企業局長 再生可能エネルギーの維持、拡大につきまして、本県のみならず全国的に非常に期待が大きいと思っております。 企業局としましては、先ほど来答弁させていただいておりますとおり、知見を生かせる水力発電を中心とした再生可能エネルギーの開発を進めることとしておりまして、新規開発につきましては、力を入れて取り組んでいるところでございます。 バイオマスあるいは地熱につきましては、ポテンシャルが高いものの、先ほども申し上げましたとおり、バイオマスにつきましては、燃料はさまざまございますが、それを企業局としては持ち合わせていないということで、その調達がなかなか難しいということ。地熱につきましては、掘って当たるかというようなリスクが大きいというところもございます。 民間では動きがあるとの情報がございますので、バイオマス等の開発プロジェクトへの参画の要請等があった場合には、企業局としての知見を生かして何か参画できる方法があれば、それにつきましては検討していきたいと思っております。 また、水素につきましても、庁内の検討会議を環境生活部でやっております。そちらへ参加いたしまして、関連施策への財政的な支援を行っているところでございまして、まずは、そういったところで貢献をしてまいりたいと思っております。 〇伊藤業務課総括課長 先ほどお問い合わせのありました、南本内の決算書に計上されております建設準備勘定の部分のことと思いますが、そちらのことに関しましては、南本内地点におきましては、経済性や実現性について、さらに十分な精査を行って、中長期的な視点で建設に向けて調査、検討を進め、事業化を検討していきたいと考えております。 当面は、流量観測を継続するとともに、新技術の導入など、建設コスト縮減に向けた情報収集などを行っていきたいと考えております。 〇斉藤信委員 それでは、私は第一に、企業局における地球温暖化防止対策についてお聞きいたします。 風力発電事業、太陽光発電事業は、昨年度、計画目標に対してどういう実績でしょうか。今年度のこれまでの状況を含めて示してください。 〇三尾電気課長 風力発電事業及び太陽光発電事業の実績についてでありますが、令和5年度の風力発電事業については、風況がおおむね計画どおりであったことなどから、目標値5、807万9、000キロワットアワーに対し、供給実績は5、830万5、619キロワットアワーであり、達成率は100.4%となっております。 また、令和6年度の9月末までの実績については、高森高原風力発電所における風況が低調であったことなどから、目標値2、409万5、000キロワットアワーに対して、供給実績は2、379万1、268キロワットアワーであり、達成率は98.7%となっています。 令和5年度の太陽光発電事業については、日射量が計画を上回ったことなどから、目標値153万2、000キロワットアワーに対して、供給実績は162万6、489キロワットアワーであり、達成率は106.2%となっています。 また、令和6年度の9月末までの実績については、日射量が計画を上回ったことから、目標値96万9、000キロワットアワーに対して、供給実績は101万2、392キロワットアワーであり、達成率は104.5%となっています。 〇斉藤信委員 東北電力は、昨年度、再エネの出力抑制を10回行ったということです。その影響はどうなのか、金額ベース含めて示してください。今年度はどうなっているかも示してください。 〇三尾電気課長 出力抑制の影響についてですが、令和5年度の再生可能エネルギーの出力制御は、主に4月から6月や、3月の土日、祝日の8時から15時にかけての電気の需要が少なく、太陽光発電の出力がふえる時間帯に、電力の需要と供給のバランスを維持するために行われ、東北エリアにおいては、計17回の指示が出され、実際には、14回の出力制御が行われています。 そのうち8回で、企業局施設も対象となっており、3施設延べ10件、計63時間程度の出力制御を受け、供給電力量は約16万キロワットアワーの減少となり、収入では、約400万円の減収となっております。 また、令和6年度9月末までの実績ですが、令和5年度と同様に、4月から6月に発生しており、3施設、延べ17件、計112時間程度の出力制御を受けており、供給電力量は約16万キロワットアワーの減少となり、収入では約400万円の減収となっております。 〇斉藤信委員 そうすると、今年度は9月までですけれども、去年以上の出力抑制の影響を受けていると。本来、再エネを最優先するということであるべきだと私は思いますけれども、そういう実態だということです。 予算特別委員会でも聞いたのですけれども、新規水力開発の取り組みはどう進められているか。開発可能性のある1地点での基本設計の状況、概略設計で可能性のある1地点の状況はどうなのか示してください。 〇伊藤業務課総括課長 新規水力開発の取り組みについてですが、昨年度は新たな開発候補地点の検討として、可能性調査を4地点と、概略設計を4地点で実施したところです。 今年度は、昨年度、概略設計を実施し、調査結果が良好だった1地点で、新規水力開発候補地点の基本設計を実施しており、詳細な主要工作物のレイアウトと設計、発電計画諸元の算出、施工計画の検討、概算工事費の算定と経済性の評価を行っています。 また、昨年度、可能性調査を実施し、調査結果が良好だった1地点で、次の段階の概略設計に進める予定としていましたが、今年度は、基本設計に注力して取り組むこととしたことから、概略設計については、来年度以降進める予定としています。 なお、今年度は、可能性調査を新たに4地点で実施しており、現地踏査のほか、水の取り入れ口から発電所予定地までの水路ルートや、最大出力などの発電計画諸元を整理した上、概算工事費の算定と経済性の評価を行っています。 〇斉藤信委員 地球温暖化対策は、本当にもう猶予のならない事態です。1.5度Cに抑えると言うけれども、去年は、もう1.48度C、ことしは、もう1.5度Cを超えているのではないかと言われるような状況になっております。 今も議論がありましたけれども、企業局としても、再生可能エネルギーの開発を、もっと積極的に、水力は大いにやってほしいけれども、水力以外のところにも、私は挑戦をすべきではないのかと思いますが、いかがですか。 〇伊藤業務課総括課長 再生可能エネルギーの開発についてですが、新規水力開発につきましては、可能性調査を実施し、調査結果が良好だった地点について、概略設計、基本設計など、各調査段階で精度を高めた経済性を評価して、事業化の判断を行い、実施設計、建設工事と進めていくことになります。 企業局としては、水力発電を中心に、これまでのノウハウや技術の蓄積といった強みを生かして、新規開発等に取り組んでいるところです。新規水力開発については、さまざまな課題があるものの、今後も、調査、検討を継続し、脱炭素社会の実現に貢献できるよう、新規水力開発の事業化に向けて、積極的に取り組んでいきます。 〇斉藤信委員 次に、新北上浄水場建設の進捗状況と今後の見通しについてお聞きします。 キオクシア岩手株式会社の減産調整が令和4年10月から始まり、工場増設は一昨年休止状態でありましたが、現状と今後の見通しはどうなっていますか。 〇伊藤業務課総括課長 現状と今後の見通しについてですが、令和5年度は、工業用水の契約水量は伸びたものの、社会経済情勢やユーザー企業の生産状況により、実給水量は、令和4年度と比べてやや減少したところです。 今後の見通しについては、中長期的には、半導体市場の回復を受けて、ユーザー企業の水需要は増加していくものと見込んでいます。 〇斉藤信委員 新北上浄水場の工事の進捗状況はどうなっているでしょうか。 〇伊藤業務課総括課長 新北上浄水場の工事の進捗状況についてでありますが、新北上浄水場建設工事は、平成30年度から事業着手しておりますが、第1期工事は、令和5年3月に工事を完了し、現在、第2期工事に着手しているところです。 現在行っている第2期工事では、本年度、土木工事において、現地工事に着手し、沈殿池、排泥池、濃縮槽、配水池の築造を進めております。 電気機械設備工事については、機械設計を行った後に、機器の工場での製作に着手する予定であり、工期である令和8年度完了に向けて、おおむね順調に進んでいるところです。 〇斉藤信委員 この整備計画に対応した工業用水の需要予測はどうなっていますか。 〇伊藤業務課総括課長 工業用水の需要予測についてですが、キオクシア岩手株式会社を初めとする各ユーザー企業に対して、年数回の訪問を通じて、工業用水の使用計画を確認するなど、綿密な情報交換を行っているほか、工場立地や工場拡張を予定している企業に関しては、関係者で、随時、情報交換を行っており、工業用水需要の的確な把握に努めているところです。 今後は、生成AI、デジタル技術の急速な進展などにより、半導体市場の中長期的な成長が期待できることから、ユーザー企業への実給水量は増加していくものと期待しております。 〇斉藤信委員 今後の給水見込みについても示してください。 〇伊藤業務課総括課長 今後の給水量の見込みにつきまして、令和6年度は、契約水量として、日量4万2、333トン、令和7年度に関しましては、約4万8、000トン、令和8年度に関しましては、約4万9、000トンを見込んでおります。 〇大久保隆規副委員長 ほかに質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 〇大久保隆規副委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。 企業局の皆さんは御苦労さまでした。 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後6時59分 散 会 |
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