令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(高橋穏至君) 自由民主党の高橋穏至でございます。
 選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正を行うよう強く要望するという、発議案第4号選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書の提出に、反対の立場から討論いたします。
 本発議案は、昨年6月定例会において、自由民主党会派が反対し、賛成多数で採択されたものです。意見書の提出に反対の理由は昨年と変わっておりません。
 発議案の提案理由では、昨年3月に公表された内閣府の家族の法制に関する世論調査の結果において、現在の夫婦同姓制度を維持したほうがよいが27.0%、現在の夫婦同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用についての法制度を設けたほうがよいが42.2%、選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよいが28.9%となっており、夫婦が、それぞれ結婚前の姓を名乗ることを希望する意見が一定程度あるというのが提案理由の第1となっており、昨年と変わっておりません。
 昨年と違うのは、ことし6月に、一般社団法人日本経済団体連合会が、夫婦別姓を法的に認めない現行の制度は、女性の活躍が広がる中で、契約時や海外渡航時などの場面で不便や不利益が生ずるなどとして、選択的夫婦別姓制度導入等の早期実現を政府に求める提言をまとめたという点で、それ以外の論点は変わっておりません。
 しかし、現在の夫婦同姓制度を維持したほうがよいが27.0%に対して、選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよいが28.9%で、1.9%上回っているものの、現在の夫婦同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用についての法制度を設けたほうがよいが42.2%で、選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよいの28.9%を大きく上回っております。
 圧倒的多数の意見ではなく、一定程度あるという理由で、県議会で十分な議論がなされないまま、住民を代表する県議会の総意として、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正を行うよう強く要望する意見を提出するには、かなり無理があります。
 また、発議案に記述されてあるとおり、最高裁判所は、平成27年12月の判決に続き、令和3年6月の決定において、夫婦同姓制度が憲法に違反していないと判断し、夫婦の氏に関する制度のあり方について、国会で論ぜられ、判断されるべきであると指摘しております。
 選択的夫婦別姓制度の導入に当たっては、婚姻制度や家族のあり方、戸籍制度をどのようにするかなど、広範囲にわたる議論、検討が必要であり、国会での議論を深め、国民の理解醸成を進めるべきであります。さまざまな角度で調査や議論を深めるべきであり、国に対して早急に議論を進めることを求める意見書であれば、問題ないと思います。
 改めて、本意見書提出の反対の論点としていることは、選択的夫婦別姓のメリット、デメリットや選択的夫婦別姓制度の推進や反対ではありません。世論調査でも意見が分かれている中で、県議会が、一つの選択肢を県民の総意として意見書として国に提出することとなります。県内調査や県議会での十分な議論のなされない状態で本意見書を提出することは、岩手県議会の議論の熟度が疑われます。
 以上のことから本発議案に反対するものであります。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 次に、高田一郎君。
   〔25番高田一郎君登壇〕

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