令和6年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 発議案第4号選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書について、賛成の立場で討論を行います。
 今、夫婦同姓を法律で義務づけている国は、世界では日本だけとなっております。同時に、国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して、繰り返し、法律で夫婦同姓を義務づけることは女性差別であり、直ちに改正すべきだと何度も勧告してきました。そして、1996年には、法務省の法制審議会で、選択的夫婦別姓度の導入を含む民法改正を答申しています。あれから30年もたとうとしております。選択的夫婦別姓制度を法制化することは、まさに待ったなしの課題となっています。
 岸田首相は、2021年度の内閣府の調査を挙げて、意見がさまざま分かれているという理由で法制化に背を向けてきました。先ほどの反対討論の中でも、この世論調査が紹介されていました。しかし、この調査は、質問項目が大幅に変更され、旧姓の通称使用について法制審議会で却下された質問を加えるなど、意図的なものだと指摘もされてきました。
 選択的夫婦別姓については、法政大学と国立社会保障・人口問題研究所の調査では、83.9%が賛成しております。ことし6月には一般社団法人日本経済団体連合会が、選択的夫婦別姓の早期実現を求める要望書を政府に提出いたしました。日本経済団体連合会は、これは女性の人権問題であるとともに、同姓の強制によりビジネス上のリスクが生じるとの指摘もされました。そして、日本経済団体連合会の実態調査では、会社で旧姓の通称が可能でも、何かしらの不便さ、不合理、そして不利益が生じるとの声が88%でありました。
 ことし6月に開催された日本弁護士連合会の総会でも決議がされ、選択的夫婦別姓を求める訴訟が全国で起きており、地方議会での意見書採択も広がっております。もはや反対しているのは自由民主党の一部だけではないでしょうか。
 個人の尊厳、法のもとの平等、婚姻の自由、夫婦同等の権利、日本国憲法で女性の権利が認められてから77年。ところが、夫婦の95%で女性が姓を変えている。その中には、同姓の強制によって、女性が姓を変えることが当たり前にされているため、違和感を口にすることができないまま姓を変えている女性もおります。アイデンティティーの喪失、キャリアの断絶、改姓の煩雑な手続、そして、海外では通称は使えないなどの不利益を圧倒的に女性が受けている。これが現実であります。
 夫婦同姓の義務は、明治憲法で男性優先の家族内秩序がつくられ、女性は法的に無力者とされた男尊女卑の社会でつくられたもので、そもそも時代錯誤であります。
 岸田首相は、家族の一体感、子供の利益にかかわる問題ということも言われ続けてきました。既に事実婚の家族は何百万人と存在しています。同姓だからきずなは崩れない、別姓で家族のきずなが弱まるということに何の根拠もありません。その様な統計や調査もありません。家族の一体感や子供の幸せにかかわることは、それぞれの家族の営みにかかかわることであります。家族の一体感という指摘がされますが、そういう捉え方をすること自体が、特定の価値観の押しつけにほかならないと私は思います。
 選択的夫婦別姓制度とは、別姓にしたくない人は同姓のままでいい、さまざまな意見があるから選択できるようにしようということであります。事実としてあるのは、女性の個人の尊厳が傷つけられていることです。選択したいと言っている人の権利を奪うのではなくて、選びたい人が選べずに苦しんでいる、これを取り除くのが政治の役割だと思います。
 世界経済フォーラムは、ことし6月12日、2024年の各国における男女格差をはかるジェンダー・ギャップ指数を発表しました。146カ国中118位と、主要7カ国の水準には遠く及ばないだけでなく、開発途上国や軍政国家を含む東アジア・太平洋地域の中でも下位にある不名誉な地位にあります。その責任は政治にあります。歴代政権が、男女共同参画、多様性の尊重などと言いながら、本気で男女格差の是正、ジェンダー平等に取り組んできませんでした。
 家族のあり方は多様化し、夫婦や家族の形はさまざまであります。個人の選択に寛容な社会をつくっていかなければなりません。男女がともに活躍できる社会実現のためにも、選択的夫婦別姓制度の法制化は急務であります。
 以上が賛成する理由であります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、発議案第4号選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立多数であります。よって、発議案第4号は、原案のとおり可決されました。
   
   日程第21 発議案第5号漁業生産力の発展に向けた支援の充実・強化を求める意見書から日程第29 発議案第13号公立病院等の運営に対する支援の充実を求める意見書まで
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第21、発議案第5号から日程第29、発議案第13号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各交渉団体会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第5号漁業生産力の発展に向けた支援の充実・強化を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立多数であります。よって、発議案第5号は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第6号から発議案第13号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立全員であります。よって、発議案第6号から発議案第13号までは、原案のとおり可決されました。
   
   日程第30 議員派遣の件
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第30、議員派遣の件を議題といたします。
   
〔参照〕
議事日程第5号中 日程第30 議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の目的派遣場所期間派遣議員
親子県議会教室盛岡市令和6年
7月27日
千 葉 秀 幸 議員
畠 山   茂 議員
高橋 こうすけ 議員
鈴 木 あきこ 議員
佐々木 朋 和 議員
工 藤   剛 議員
令和6年度北海道・東北六県議会議員研究交流大会秋田県
秋田市
令和6年
8月29日
小 西 和 子 議員
佐 藤 ケイ子 議員
柳 村   一 議員
大久保 隆 規 議員
畠 山   茂 議員
城 内 愛 彦 議員
川 村 伸 浩 議員
福 井 せいじ 議員
高 橋 穏 至 議員
高橋 こうすけ 議員
吉 田 敬 子 議員
千 葉   盛 議員
飯 澤   匡 議員
斉 藤   信 議員
木 村 幸 弘 議員

   
〇議長(工藤大輔君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました2件についてでありますが、会議規則第116条第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   
   閉 会
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第5回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後3時1分 閉 会

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